JP5624763B2 - 緑内障進行リスクの判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、緑内障の進行に関連する一塩基多型、又は、緑内障の進行リスクが高い一塩基多型の存在の検出方法、及び該検出方法に用いるキットに関する。
緑内障は、網膜神経節細胞死により特徴的な視神経乳頭陥凹と視野障害をきたす疾患である。眼圧の上昇が緑内障における乳頭陥凹と視野障害の主要な原因であるとされる。一方、眼圧が統計的に算出された正常範囲にとどまる緑内障も存在するが、この場合もその個体にとって視野障害を生じるに十分高い眼圧であるため緑内障を発症すると考えられている。
緑内障の治療の基本は眼圧を低く保つことであり、眼圧を低く保つためには高眼圧を来す原因を考慮する必要がある。このため、緑内障の診断には、眼圧の高低及びその原因によって緑内障のタイプを分類することが重要とされる。眼圧上昇を来す原因としては、眼内を充たす房水の主要な排出経路である隅角の閉塞の有無が重要である。これらの観点から原発性の緑内障は、隅角の閉塞を伴う閉塞隅角緑内障、隅角の閉塞を伴わない開放隅角緑内障に大きく二分され、このうち開放隅角緑内障は、眼圧上昇を伴う狭義の開放隅角緑内障、すなわち、原発開放隅角緑内障と眼圧が正常範囲にある正常眼圧緑内障に分類される。
緑内障に遺伝が関係することは古くから知られており、開放隅角緑内障では5〜50%に家族歴があるとの報告もあり、一般的には20〜25%が遺伝的なものと解されている。このような報告に基づき、緑内障の原因遺伝子を探索する研究が行われており、その成果としてミオシリン(MYOC)遺伝子の変異が開放隅角緑内障に関連すること(特許文献1参照)、オプティニューリン遺伝子(OPTN)の変異が正常眼圧緑内障に関連することが報告された(非特許文献1参照)。しかしながら、これらの遺伝子のみでは緑内障の遺伝的要因を全て説明することはできず、なお未知の緑内障関連遺伝子の存在が予想される。
一方、一塩基多型とは、個体のゲノムの塩基配列において、一つの塩基が別の塩基に変化する置換変異が見られ、当該変異がその生物種の集団においてある程度の頻度、一般的に約1%以上の頻度で存在する。一塩基多型は遺伝子上のイントロン、エクソン、あるいはこれら以外のゲノムの領域のいずれにも存在する。
特開2002−306165号公報 Rezaie T 他11名、 Science, 2002年, Vol.295, No.5557, p1077-1079.
一般に、緑内障の簡略な検査として、眼圧や眼底写真が用いられるが、必ずしも、これらの検査では緑内障の確定診断には至らない。通常、これらに加えて視野検査が行われるが、検査が長時間で患者に負担が大きいことや、検査に慣れが必要であるため初回の検査結果の信頼性が低いなどの問題がある。
一方、前述のように、緑内障の発症には遺伝的要因の関与が強く疑われているが、決定的な原因遺伝子は同定されていない。一方、単一の遺伝子の変異又は多型で疾患への関与が説明できなくとも、緑内障への関与が比較的穏やかな遺伝子の変異又は多型が多数存在し、それぞれが組み合わせられて作用することによって緑内障発症への遺伝的要因の関与が説明できると考えられる。
発明者らは、緑内障に関連する遺伝子を見出すため、ゲノム上の多型、特に一塩基多型に着目した。
また、緑内障は長時間をかけてゆっくりと進行する疾患であるが、中には進行が早い患者があることが経験的に知られている。このような緑内障の進行が早い患者が存在する理由は不明であるが、遺伝的要因の関与が疑われる。緑内障の進行に関与する多型を見出すことにより、当該多型において緑内障の進行が早い患者で頻度の高い型を有する者は、緑内障の進行リスクが高いことを予知し、より慎重な治療と高頻度の経過観察を行い、緑内障の進行を管理するなど、治療計画の立案に用いることができる。さらに、緑内障治療薬の候補物質が実際に緑内障治療薬に用いられるか否かを検討するための臨床試験は長期間の試験を要するが、本発明の緑内障進行に関与する多型を有する患者を集めて臨床試験を行うことにより、緑内障治療薬の候補物質の臨床試験の期間を短縮することが出来る。また、このような臨床試験によって選択された緑内障治療薬は、進行が早い緑内障の治療に特に有効である可能性がある。
本発明の課題は、緑内障の進行に関与する一塩基多型を検出することにより、緑内障の進行リスクを予測する方法、及び該検出方法に用いるキットを提供することにある。
発明者らは、緑内障患者において、進行が早い患者と遅い患者のゲノム上に存在する公知の多型部位を網羅的に解析し、緑内障の進行に関連する一塩基多型を見出し、さらに、当該一塩基多型において緑内障の進行が早い患者に高頻度に認められるアレルとその対立アレル、各アレルの組み合わせである緑内障の進行が早い患者に高頻度に認められる遺伝子型を見出した。またさらに、これらの緑内障の進行に関連する一塩基多型の複数を組み合わせて判定を行うことにより、より高精度にサンプル提供者が緑内障の進行を生じやすい者であるか否かの判定が可能であることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は
〔1〕被検者由来のサンプルにおいて、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程A)、ならびに
前記工程Aで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号203〜752で示される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較する工程(工程B)
を含み、
前記工程Aで検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障リスクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程Aで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合に緑内障リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程Aで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合に緑内障リスクが有ると判定される、緑内障リスクの有無の判定方法、
〔2〕被検者由来のサンプルにおいて、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる核酸分子における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程C1)、又は、配列番号753〜1061で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる塩基配列を含む核酸分子を用い、前記一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程C2)、ならびに
前記工程C1又はC2で検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号203〜752で示される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型を含む少なくとも1つの核酸分子と比較する工程(工程D)
を含み、
前記工程C1又はC2で検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障リスクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合に緑内障リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合に緑内障リスクが有ると判定される、緑内障リスクの有無の判定方法、
〔3〕配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子、及び/又は、配列番号753〜1061で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる塩基配列を含む核酸分子を含有する、被検者由来のサンプルにおいて前記一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出するための、緑内障リスクの有無の判定キット、
〔4〕以下の工程を含む、緑内障リスクの有無の判定方法。
工程(i):被検者由来のサンプルから核酸分子を抽出する工程
工程(ii):前記工程(i)で抽出された核酸分子に対し、配列番号203〜752で示される塩基配列又はその相補的配列から選択される少なくとも1つの塩基配列について、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルを検出する工程
工程(iii):前記工程(ii)で検出されたアレルに基づき、緑内障リスクの有無を判定する工程
〔5〕配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型を含む核酸分子の、緑内障リスクの判定のための使用、
〔6〕被検者由来のサンプルにおいて、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程E)、ならびに
前記工程Eで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号203〜752で示される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較する工程(工程F)
を含み、
前記工程Eで検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障であると診断され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程Eで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合に緑内障であると診断され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程Eで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合に緑内障であると診断される、緑内障の診断方法、ならびに
〔7〕以下の工程を含む、緑内障進行リスクの判定方法。
工程(I):請求項3記載の判定方法を用いて、緑内障進行リスクの有無判定を行う工程
工程(II):前記工程(I)において、少なくともいずれか一つの一塩基多型について進行リスクがあると判定された場合に、さらなるリスク判定が必要であると判定される工程
工程(III):前記工程(II)において、さらなるリスク判定が必要であると判定された場合に、請求項5記載の判定方法を用いて、さらに緑内障進行リスクの有無判定を行う工程
に関する。
本発明の方法により、サンプル中に存在するゲノム由来の核酸分子に含まれる本発明の一塩基多型のアレル又は遺伝子型を分析することにより、サンプル提供者における緑内障の進行リスクの有無を判定し、さらには、リスクの高低を予測することができる。このリスクに基づきサンプル提供者は緑内障の予防措置を講じ、又は適切な治療を受けることができる。また、本発明の緑内障の進行に関連する一塩基多型を用い、緑内障進行リスクが高い患者を選択して緑内障治療薬の臨床試験を行うことにより、緑内障治療薬の臨床試験の期間を短縮できるため、有用である。
本発明は、特定の塩基配列からなる群より選択される塩基配列又はその相補的配列に含まれる少なくとも1つの一塩基多型(以下、SNPと記載することもある)を用いて、前記一塩基多型を少なくとも1つ有するアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程を含む、緑内障リスクを判定する方法において、被検者由来のサンプルにおいて、前記工程により検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、特定の塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較する工程をさらに含み、前記検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障リスクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合に緑内障リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合に緑内障リスクが有ると判定される、緑内障リスクの有無の判定方法である。本発明は、緑内障の進行に関連する一塩基多型を見出し、さらに、当該一塩基多型において緑内障進行例に高頻度に認められるアレルとその対立アレル、各アレルの組み合わせであって緑内障進行例に高頻度に認められる遺伝子型を見出し、これらを用いることに大きな特徴を有する。なお、本明細書において多型とは、ある生物種におけるゲノムの特定の位置の配列に多様性が認められることを言い、多型が存在する部位(以下、多型部位ともいう)とは、一塩基多型が認められるゲノム上の部位を言う。
また、本明細書においてアレルとは、ある多型部位において取りうる、互いに異なる塩基を有するそれぞれの型を言う。本明細書において遺伝子型とは、ある多型部位において、対立するアレルの組み合わせを言う。さらに、ある多型部位において、対立するアレルの組み合わせである遺伝子型には3つの型があり、同じアレルの組み合わせをホモ型とよび、異なるアレルの組み合わせをヘテロ型とよぶ。
本明細書において、対立するアレルとは、ある一塩基多型を構成するアレルのうち、特定されたものに対応する他のアレルを言う。
本発明において、緑内障に関連する一塩基多型とは、緑内障の発症に関連する一塩基多型又は緑内障の進行に関連する一塩基多型のことをいい、即ち、緑内障の発症に関連する一塩基多型とは、当該一塩基多型におけるそれぞれのアレル又は遺伝子型の頻度が、緑内障患者と非患者で統計学的にあるp値で有意に異なる一塩基多型を言い、緑内障の進行に関連する一塩基多型とは、当該一塩基多型におけるそれぞれのアレル又は遺伝子型の頻度が、緑内障進行例と緑内障非進行例で統計学的にあるp値で有意に異なる一塩基多型を言う。
本発明において、ハイリスクアレルとは、前記緑内障と関連する一塩基多型の各アレルのうち、緑内障進行群において緑内障非進行群より頻度が高いアレルをいう。一方、本発明においてローリスクアレルとは、ある多型部位においてハイリスクアレルに対立するアレルをいう。
また、遺伝子型についてのホモ型及びヘテロ型は、ハイリスクアレルとローリスクアレルに関して同様に定義される。即ち、ある多型部位において、ハイリスクアレル又はローリスクアレル同士の組み合わせをホモ型とよび、ハイリスクアレルとローリスクアレルの組み合わせをヘテロ型とよぶ。
緑内障進行群と緑内障非進行群のアレル頻度を統計学的に比較する態様をアレルモデルといい、遺伝子型の頻度を比較する態様を遺伝子型モデルという。なお、遺伝子型モデルには、優性遺伝モデルと劣性遺伝モデルがあり、前者はハイリスクアレルのホモ型とヘテロ型が共に進行リスクに関与する態様を意味し、後者はハイリスクアレルのホモ型が進行リスクに関与する態様を意味する。
本発明において緑内障リスクとは、緑内障に関するリスクを言う。緑内障の進行リスクとは、緑内障を罹患している(又は将来罹患する)場合に、疾患感受性によって決まる前記緑内障の進行が早い可能性を言う。本発明において、リスクの予測とは、将来のリスクの有無を現時点で判定し、又は、将来のリスクの大小を現時点で決定することを言う。
また、本明細書において、緑内障は好ましくは開放隅角緑内障(OAG)又は正常眼圧緑内障(NTG)のことを意味し、開放隅角緑内障とは、特に断りなく使用された場合正常眼圧緑内障を含まない狭義の原発開放隅角緑内障(POAG)を意味する。
以下に、緑内障に関連する一塩基多型の同定方法を説明する。
本発明において、緑内障に関連する一塩基多型は、具体的に、緑内障の進行が早い患者、即ち緑内障進行例、及び、進行が遅い患者、即ち緑内障非進行例、それぞれの血液から総DNAを抽出し、ヒトゲノム上の公知の一塩基多型約50万個を指標として、個々の一塩基多型のアレル又は遺伝子型の緑内障進行例及び緑内障非進行例における頻度を比較することにより、候補となる一塩基多型を選択した。さらに、候補として選択された前記一塩基多型について個々の一塩基多型のアレル又は遺伝子型の頻度を上述のサンプル群と異なる緑内障進行例及び緑内障非進行例において取得し、これらの結果を統合することにより、頻度の差が統計学的に高い有意性で認められる一塩基多型を見出した。なお、詳細は実施例の項で説明するが、緑内障進行例とは、一定期間内に眼圧下降薬や手術による治療を施しても視野の進行が見られる患者とし、緑内障非進行例とは、これらの治療により視野の進行が阻止される患者とした。また、緑内障進行例からなる群を緑内障進行群、緑内障非進行例からなる群を緑内障非進行群とした。これらの解析により見出された緑内障の進行に関連する一塩基多型を有するアレル又は遺伝子型を用いることにより、緑内障の進行リスクの有無の判定及び進行リスクの大小の予測が可能となる。詳細は実施例の項にて説明するが、以下のような方法により、本発明で開示された緑内障に関連する一塩基多型を同定することができる。
(緑内障に関連する一塩基多型の同定)
まず、緑内障進行例、及び、緑内障非進行例、それぞれの血液から総DNAを抽出する。血液中の総DNAは公知の任意の方法によって抽出することができるが、例えば細胞を溶解して溶出させたDNAを、シリカでコーティングした磁性ビーズの表面に結合させ、磁気を利用して分離、回収することによってDNAを抽出することができる。
抽出したDNAサンプル中の一塩基多型における塩基の種類、すなわち一塩基多型を有するアレルの同定は、例えば後述の固層化プローブを用いる方法など、任意の方法で行うことができる。その際、検出に用いるプローブは、目的とする一塩基多型及びその周辺の配列情報を基に設計することができる。設計に当たっては、dbSNPのような公知の一塩基多型のデータベースを用い、そこから得られる配列情報を参考にすることもできる。一塩基多型の検出に用いるプローブは、ゲノムのセンス鎖に相補的なプローブであっても、アンチセンス鎖に相補的なプローブであっても、いずれによっても検出できる。詳細は後述するが、ヒトのゲノム上に存在する一塩基多型を検出できるプローブを大量に固層化し、同一操作で多数の一塩基多型のアレルを決定可能なキットも市販されており、このようなキットを用いて効率よくサンプル中のアレルを決定することも可能である。また、このようなキットの多くは、一つのサンプルに含まれる対立する各々のアレルを同一操作で検出する構成になっており、遺伝子型を決定することができる。
緑内障に関連する一塩基多型は、前述のような方法で、緑内障進行例及び緑内障非進行例由来のDNAに存在するアレルを同定しておき、各アレルの頻度及び遺伝子型の頻度を緑内障進行群対緑内障非進行群で統計学的に比較し、アレル頻度又は遺伝子型頻度の少なくとも一方に、p値がある基準によって定められた有意水準を下回るような差が生じるか否かをもって判定することができる。差が生じる場合には、これらの因子についてアレル頻度又は遺伝子型頻度を緑内障進行群と緑内障非進行群で比較し、いずれのアレル又は遺伝子型が緑内障進行群で高頻度に認められるかを決定する。
統計学的な解析には、例えばカイ二乗検定を用いることができる。また、比較を繰り返し行うことに起因する第一種の過誤は公知の補正方法、例えばボンフェローニの方法によって補正することができ、ボンフェローニの補正に基づく場合、例えば5×10-2のp値を、検定の繰り返し回数、即ち、カイ二乗検定の比較対象となる多型の個数で割って有意水準とすることができる。このようにして求めた有意水準を下回る一塩基多型をより好ましい一塩基多型として選択することができ、また、他の公知の多重性の補正に用いられる方法、例えばFDR法やパーミューテーション法も好ましい一塩基多型の選択に用いてもよい。但し、ボンフェローニの補正等、公知の多重性の補正方法は繰り返し解析を行う事象が完全独立を前提とした方法であり、一方、後述のように、一塩基多型には連鎖不平衡が認められることから完全独立ではない場合が存在する。即ち、このような場合、ボンフェローニの方法で補正を行うと過剰補正になると考えられる。特に、本発明のような全ゲノムに亘る一塩基多型解析に対しては、統計的に比較すべき要因が非常に多数であるため、多重性の補正を行うとp値が著しく低下し、疾患との関連のある一塩基多型を見落とす可能性が高まる(Schymick J C et al., Lancet Neurology. 2007;6: 322-8;Van Steen K et al., Nature Genetics. 2005:37: 683-691)。学術的に望ましい多重性の補正方法は未だ確立されていないが、他の補正方法としては、別の公知の補正方法による補正を行うか、又は、ボンフェローニの補正による有意水準を下回らない範囲の任意の適切な水準に有意水準を設定することができる。任意の適切な水準を設定する場合、例えば50万個の一塩基多型を繰り返し解析する場合の有意水準は5×10-2が用いられ、1×10-2がより好ましく、1×10-3がさらに好ましく、1×10-4がさらに好ましく、3×10-5がさらに好ましく、1×10-5がさらに好ましい。後述のように本発明においては緑内障との関連が認められる一塩基多型がゲノム上のある領域に連続して存在することが確認されていることからも、このような有意水準の調整が有用である。
また、一般に、第一種の過誤と統計学的な検出力は反比例することが知られている。第一種の過誤を低下させつつ検出力を保つ方法としては、一塩基多型解析を二段階に分割して実施することが挙げられる(Skol A.D. et al., Nature Genetics. 2006: 38: 209-213)。例えば、ある一定数のサンプルに対して一塩基多型解析を行う場合、まず、一次解析として、その一部のサンプルに対して全ゲノムに亘る多数の一塩基多型解析を行い、次いで、二次解析として、残りのサンプルに対して、一次解析である程度絞り込んだ一塩基多型を用いて解析を行う。この場合、いずれの解析においても比較的低いp値、例えば0.05となるような一塩基多型を選択すればよく、好ましくは、最初の解析において候補となる一塩基多型を一定の有意水準で選択し、当該選択された一塩基多型について、別のサンプルを用いてさらに解析すればよい。一方で、一次解析と二次解析の結果を個別に統計解析するのではなく、これらを統合して解析することはより好ましい。このような場合には、公知のメタ解析の手法、例えば、マンテル・ヘンツェル法(Mantel N et al., Journal of the National Cancer Institute 1959:22: 719-748)によって、2回の解析結果を統合することができる。マンテル・ヘンツェル法などのメタ解析の手法によって解析結果を統合する際には、個々の解析における一塩基多型の選択を行う有意水準はボンフェローニ補正の水準である必要はなく、絞込みの効率等を考慮して設定しても良い。一方、マンテル・ヘンツェル法などのメタ解析手法によって統合されたp値を用い、有意であるか否かの判断を行う際には、多重性を意識した有意水準とすることは好ましい。なお、マンテル・ヘンツェル法とは、カイ二乗検定等を行う際に、複数回の解析によって得られた結果に対して重み付けを行い、解析結果を統合する方法である。マンテル・ヘンツェル法によって統合される統計学的なパラメーターには、p値の他に、後述のオッズ比等が挙げられる。
緑内障に関連するアレル又は遺伝子型の検出に用いられる一塩基多型は、例えば50万個の一塩基多型が1回の操作で検出されるマイクロアレイを用い1回の解析で得られた結果に基づく場合、好ましくはp値が1×10-3以下である一塩基多型であり、より好ましくはp値が3×10-4以下である一塩基多型であり、さらに好ましくはp値が1×10-4以下である一塩基多型であり、さらに好ましくは、p値が3×10-5以下である一塩基多型である。マンテル・ヘンツェル法などのメタ解析手法によって、複数の解析結果を統合して得たものである場合には、好ましくはp値が1×10-2以下である一塩基多型であり、より好ましくはp値が3×10-3以下である一塩基多型であり、さらに好ましくはp値が1×10-4以下である一塩基多型であり、さらに好ましくはp値が3×10-4以下である一塩基多型である。
解析にあたり、信頼性の高い結果を得るためには、十分な数の一塩基多型を解析することが望ましい。例えば全サンプルに対する各一塩基多型の判定率、すなわちコールレートが低い多型部位はタイピングエラーが発生している率が高く、信頼性が高くない。このため、コールレートが十分に高い一塩基多型部位を用いて解析することが望ましい。一塩基多型の採否の基準とするコールレートとしては、例えば好ましくは70%、より好ましくは75%、さらに好ましくは80%、さらに好ましくは85%、さらに好ましくは90%以上のコールレートを示す一塩基多型を採用することが望ましい。
その他、解析に際し考慮され得る因子としては、ハーディー・ワインバーグ平衡とマイナーアレル頻度がある。
ハーディー・ワインバーグ平衡とは、変異や淘汰圧がなく、任意交配により形成された十分な個体数を持つ遺伝的に均一な集団においては、ある遺伝子座における各対立遺伝子の分布頻度は世代を重ねても一定であることを言う。ハーディー・ワインバーグ平衡が成立しているか否かは、いくつかの公知の方法、例えばカイ二乗検定やフィッシャーの直接確率計算法によって確認することができる。十分な数の集団では、1回の任意交配によってハーディー・ワインバーグ平衡が成立する、すなわち、近親交配が存在しない限りハーディー・ワインバーグ平衡は成立していると考えられる。このため、一般的には、母集団におけるハーディー・ワインバーグ平衡の成立を前提に、標本の遺伝子型判定のエラーを検出する目的でハーディー・ワインバーグ平衡の検討が用いられる。しかし、全体としてハーディー・ワインバーグ平衡が成立していたとしても、ある遺伝子座において疾患群又は対照群において特定の遺伝子型が偏って存在する場合、例えば、特定の遺伝子型が疾患に対して支配的な影響を有する場合などがあるため、疾患関連遺伝子の探索を行う場合には、本検討を省略することも可能である。
マイナーアレル頻度とは、2つのアレルに含まれる一塩基多型の場合では、2つのアレルの頻度の内、頻度が低い方のアレルの頻度のことを言う。閾値は任意に設定することが可能である。前述のように一塩基多型の概念は、マイナーアレル頻度が約1%を上回るものであるから、マイナーアレル頻度が1%を下回る一塩基多型は棄却することが望ましい。一方、疾患群においてアレル頻度が極めて高い、又は極めて低いアレルは疾患に対して支配的な影響を持つ可能性がある。多因子疾患の原因となる多型の探索においては疾患への相対的な関与が比較的低い多型が複数個関与していると考えられることから、このような多型を探索する目的では、一定以下の頻度、例えば5%未満のマイナーアレルを除外して解析することも望ましい手段となり得る。逆に、疾患に支配的影響を有する多型の探索を行うには、マイナーアレル頻度による棄却を行わないことも有効である。
このようにして得た緑内障に関連するアレル型又は遺伝子型は、Genbankのような公知配列のデータベース、又は、dbSNPのような公知一塩基多型のデータベースを参照することにより、その一塩基多型が存在するゲノム上の位置、配列情報、一塩基多型が存在する遺伝子又は近傍に存在する遺伝子、遺伝子上に存在する場合にはイントロン又はエクソンの区別やその機能、他の生物種における相同遺伝子などの情報を得ることができ、これらの情報を元に本発明において用いる核酸分子を取得し、本発明に用いるプローブなどを設計することができる。
このようにして決定された緑内障と関連する一塩基多型においてリスクの有無を判断する基準として、ハイリスクアレルが定義される。前述のように、本発明において、ハイリスクアレルとは、緑内障と関連する一塩基多型の各アレルのうち、緑内障進行群において緑内障非進行群より頻度が高いアレルをいい、、本発明においてローリスクアレルとは、ある多型部位においてハイリスクアレルに対立するアレルをいう。
進行リスクの有無の判定は、アレル又は遺伝子型によって行うことができる。
アレルによって判定を行う場合、ハイリスクアレルを持つことにより、当該一塩基多型について進行リスクを有すると判断される。
遺伝子型によって判定を行う場合には、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従うか、又は劣性遺伝モデルに従うかを考慮して進行リスクが判断される。ある多型部位において、ハイリスクアレルのホモ型とヘテロ型の頻度が緑内障非進行群に比べて緑内障進行群において有意に高い場合、これらの遺伝子型は優性遺伝モデルに従うという。ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型の場合に当該一塩基多型について進行リスクを有すると判断される。一方、ハイリスクアレルのホモ型の頻度が緑内障非進行群に比べて緑内障進行群において有意に高い場合、これらの遺伝子型は劣性遺伝モデルに従うという。ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型の場合に当該一塩基多型について進行リスクを有すると判断される。
進行リスクの有無の判定は、ローリスクアレルによっても行うことができる。前述のようにローリスクアレルは、ハイリスクアレルに対立するアレルであり、即ち、緑内障非進行群において高頻度に認められるアレルである。アレルによって判定を行う場合、ローリスクアレルを持たないことにより、当該一塩基多型について進行リスクを有すると判断される。
遺伝子型の場合も同様に考えられる。遺伝子型によって判定を行う場合には、ローリスクアレルが優性遺伝モデルに従うか、又は劣性遺伝モデルに従うかを考慮して進行リスクが判断される。ある多型部位において、ローリスクアレルのホモ型とヘテロ型の頻度が緑内障進行群に比べて緑内障非進行群において有意に高い場合、これらの遺伝子型は優性遺伝モデルに従うという。ローリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合には、ローリスクアレルのホモ型又はヘテロ型でない場合に当該一塩基多型について進行リスクを有すると判断される。一方、ローリスクアレルのホモ型の頻度が緑内障進行群に比べて緑内障非進行群において有意に高い場合、これらの遺伝子型は劣性遺伝モデルに従うという。ローリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、ローリスクアレルのホモ型でない場合に当該一塩基多型について進行リスクを有すると判断される。
アレル、優性遺伝モデル、劣性遺伝モデルのいずれの手法を用いて判定を行うかは、有意であると判断されたp値が求められた手法と同じ手法を用いることができる。有意であると判断されたp値が求められた手法が1つの一塩基多型について複数存在する場合には、いずれを用いても良いが、好ましくは最も低いp値が計算された手法と同じ手法を用いる。
一般に、疾患と関連する一塩基多型において、一方のアレル又は遺伝子型と疾患の有無の間にどの程度強い関連が存在するかの指標として、相対危険度又はオッズ比が用いられる。
一般に相対危険度(relative risk)とは、危険因子を持つ群での発症率と危険因子を持たない群での発症率の比である。一方、オッズ比とは、一般に患者群における危険因子を持つ人の割合と持たない人の割合の比、即ちオッズを、非患者群において同様に求めたオッズで除したものであり、本発明のようなケース・コントロール研究において用いられることが多い。本発明においてオッズ比はアレル頻度と遺伝子型頻度に基づいて求められる。即ち、進行に関連する一塩基多型のオッズ比とは、緑内障進行群における、あるアレル又は遺伝子型の頻度と他のアレル又は遺伝子型の頻度の比を、緑内障非進行群において同様にして得られる頻度の比で除したものである。本発明においては、これらの指標により、あるアレル又は遺伝子型を有すると、それ以外のアレル又は遺伝子型を有する場合に比べて、緑内障が進行するリスクがどの程度増加するかを予測することができる。例えば、ある一塩基多型の特定のアレルのオッズ比が1より大きい場合には、当該アレルは緑内障進行群において高頻度に認められるアレルであり、オッズ比が大きいほど当該アレルを有するサンプル提供者の緑内障進行のリスクは高い。一方、アレルのオッズ比が1より小さい場合には、当該アレルは疾患において高頻度に認められるアレルの対立アレルであり、オッズ比が小さいほど当該アレルを有するサンプル提供者の緑内障進行のリスクは低い。遺伝子型についても同様に疾患のリスクを予測することができる。
本発明において、ハイリスクアレルを基準にオッズ比を求めることにより、オッズ比の値が常に1より大となる。このようにハイリスクアレルを持つ場合に1より大になるようにオッズ比を定義することにより、複数の一塩基多型を組み合わせてリスク予測することが容易になる。
詳細は実施例の項にて数式で示されるが、アレルについてオッズ比を求める場合、オッズ比は緑内障進行群におけるハイリスクアレルの頻度とローリスクアレルの頻度の比を、緑内障非進行群におけるハイリスクアレルの頻度とローリスクアレルの頻度の比で除したものとして求めればよい。遺伝子型におけるオッズ比を求めるには、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従うか、又は劣性遺伝モデルに従うかを考慮してオッズ比が求められる。即ち、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型及びヘテロ型が危険因子となり、ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型が危険因子となる。よって、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合のオッズ比は緑内障進行群におけるハイリスクアレルのホモ型の頻度とヘテロ型の頻度の和を求め、前記の和とローリスクアレルのホモ型の頻度の比を、緑内障非進行群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、緑内障進行群における、ローリスクアレルのホモ型の頻度とヘテロ型の頻度の和を求め、ハイリスクアレルのホモ型の頻度と前記和の比を、緑内障非進行群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。
さらに、オッズ比を用いて、リスクの予測に用いる一塩基多型の信頼性を確認することができる。前述のように、オッズ比が1以上と以下ではリスク予測に対する意味が逆転する。よって、オッズ比の95%信頼区間を求め、その信頼区間に1を含む場合、そのようなオッズ比のリスク予測に対する信頼性は高いとは言えない。
また、本発明の一塩基多型の組み合わせによって緑内障の進行リスクを予測する場合にも、オッズ比の大小を用いてそのリスクの大小を予測することができる。
アレルによるオッズ比は、以下の式により、2つ以上の一塩基多型を組み合わせた際のオッズ比を求めることができる。
(RA1combRA2comb)/(RA3combRA4comb)
ただし、
RA1comb:緑内障進行群において、少なくとも一つのアレルがハイリスクアレルである場合のアレル頻度
RA2comb:緑内障進行群において、いずれのアレルもローリスクアレルである場合のアレル頻度
RA3comb:緑内障非進行群において、RA1combに対応するアレル頻度
RA4comb:緑内障非進行群において、いずれのアレルもローリスクアレルである場合のアレル頻度
例えば、緑内障の進行リスクに関連する2つの一塩基多型を組み合わせる場合を考えると、それぞれの一塩基多型のハイリスクアレルを共に保有する、又は、いずれか一つを保有する緑内障進行群の頻度を、いずれのハイリスクアレルも保有しない緑内障進行群の頻度で除することでオッズが求められる。同様に求めた緑内障非進行群におけるオッズとの比を算出することにより、一塩基多型の組み合わせの場合のオッズ比を求めることができる。
遺伝子型の場合の組み合わせによるオッズ比を求めるには、単独の場合と同様に、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従うか、あるいは劣性遺伝モデルに従うかを考慮してオッズ比が求められる。
優性遺伝モデルによるオッズ比は、以下の式により、2つ以上の一塩基多型を組み合わせた際のオッズ比を求めることができる。
(RGd1combRGd2comb)/(RGd3combRGd4comb)
ただし、
RGd1comb:緑内障進行群において、少なくとも一つの遺伝子型がハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型の頻度
RGd2comb:緑内障進行群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻度
RGd3comb:緑内障非進行群において、RGd1combに対応する遺伝子型の頻度
RGd4comb:緑内障非進行群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻度
例えば、2つの一塩基多型のハイリスクアレルが共に優性遺伝モデルに従う場合のオッズ比は、緑内障進行群において、2つの一塩基多型のいずれかがハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型である頻度と2つの一塩基多型のローリスクアレルが共にホモ型である頻度の比を、緑内障非進行群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。
劣性遺伝モデルによるオッズ比は、以下の式により、2つ以上の一塩基多型を組み合わせた際のオッズ比を求めることができる。
(RGr1combRGr2comb)/(RGr3combRGr4comb)
ただし、
RGr1comb:緑内障進行群において、少なくとも一つの遺伝子型がハイリスクアレルのホモ型の頻度
RGr2comb:緑内障進行群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻度
RGr3comb:緑内障非進行群において、RGr1combに対応する遺伝子型の頻度
RGr4comb:緑内障非進行群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻度
2つの一塩基多型のハイリスクアレルが共に劣性遺伝モデルに従う場合のオッズ比は、緑内障進行群において、2つの一塩基多型のいずれかのハイリスクアレルがホモ型である頻度と2つの一塩基多型のローリスクアレルが共にホモ型である頻度の比を、緑内障非進行群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。なお、一塩基多型の組み合わせのオッズ比は、異なる遺伝形式を持つ一塩基多型を組み合わせて算出することもできる。
一般に、2つ以上の一塩基多型を組み合わせることにより、これらを単独で用いた場合に比べてオッズ比は増加する。したがって、2つ以上の一塩基多型の組み合わせにより、緑内障の進行リスクのより高いサンプル提供者を同定することとなり、一塩基多型を単独で用いた場合に比べて予測精度の向上が可能となる。
本発明の一塩基多型の組み合わせによる緑内障の進行リスクの予測精度の向上を確認するために、多変量解析法を用いることができる。多変量解析法としては、ロジスティック回帰分析法、判別分析法、重回帰分析法、比例ハザード分析法など当業者に周知の方法を用いることができるが、なかでも、緑内障が進行するリスクがある・ないなどの二値変数を扱う場合には、ロジスティック回帰分析法が有効である。
ロジスティック回帰分析法とは、一つの従属変数(Φ)を説明するために複数の独立変数(Π)がどの程度寄与するかを解析する方法である(わかりやすい医学統計学、p148-179、森實敏夫、メディカルトリビューン社)。ロジスティック回帰分析を行うことにより、各独立変数に対する回帰係数(λ)を求めることができるが、この回帰係数はそれぞれの独立変数が従属変数をどの程度説明するかを示す指標として利用することができる。また、この回帰係数を以下の式に代入することにより、各独立変数が得られた際の従属変数を算出することができる。
Φ=1/{1+exp[−(λ0+λ1Π1+λ2Π2+λ3Π3+・・・)]}
なお、ロジスティック回帰分析を行うに際して、ステップワイズ法などを用いて、あらかじめ解析に用いる独立変数Πを絞り込むことができる。ステップワイズ法とは、任意の独立変数Πを追加することによって、回帰係数が最大化するように独立変数Πを選択する手法である。つまり、任意の独立変数Πを追加することにより回帰係数が最大化した後は、さらに別の独立変数Πを加えても同じ結果が得られることを意味する。
本発明においては、緑内障の進行に関与すると判定された任意の一塩基多型を2つ以上組み合わせることにより、それぞれの一塩基多型を単独で用いた時に比べて、進行リスクの予測精度がどの程度向上するかを知ることができる。即ち、前記任意の2つ以上の一塩基多型のそれぞれを独立変数Πとし(一方のアレルのホモ型=0、ヘテロ型=1、対立アレルのホモ型=2とする)、ロジスティック回帰分析により上記の式を求める。各サンプルにおいて、各一塩基多型に対する変数をこの式に代入し従属変数Φを計算する。従属変数Φが一定の閾値(例えば0.5)より大であるときにこのサンプルの提供者が緑内障進行例であると判断する。この判定結果と当該一塩基多型を持つサンプル提供者が実際に緑内障進行例であったか否かを照合する。本発明の一塩基多型の2つ以上の組み合わせによって、一致する割合が向上することを確認することにより、組み合わせによる精度向上を確認することができる。
また、十分に遺伝的に近い場所に存在する一塩基多型部位同士は独立に遺伝するのではなく、連鎖して遺伝することがある。ある集団において、交配による組み換えが行われているにも関わらずこのような連鎖が保持されている状態を連鎖不平衡と呼び、連鎖が保持されている単位をハプロタイプブロック又はLDブロックと呼ぶ。
本発明者らの実験結果では、緑内障に関連する一塩基多型は、実際にゲノム上の比較的近傍に集中して存在する場合があることが見出されている。これらの領域は緑内障に関連するLDブロックに属していると考えられる。緑内障に関連するLDブロックを決定するためには、その領域に存在する一塩基多型をなるべく多数前述の方法にて解析し、LDブロックを決定するためのアルゴリズム、例えばEMアルゴリズムを適用することによって決定できる。又は、公知のLDブロックに本発明の緑内障に関連する一塩基多型が属している場合、そのLDブロックを緑内障に関連するLDブロックとすることができる。公知のLDブロックは、カルフォルニア大学サンタクルーズ校がインターネットのウェブ上で提供するGenome Browserなどで閲覧することができる。
緑内障に関連するLDブロックに属する一塩基多型は、本発明者らの実験によって同定された緑内障に関連する一塩基多型と連鎖することから、同様に緑内障に関連する一塩基多型と考えられ、緑内障の発症又は進行リスクの予測に用いられる。また、緑内障に関連するLDブロック内、又は、本発明者らの実験によって同定された緑内障に関連する一塩基多型の周辺の配列を再決定することにより、当該一塩基多型と連鎖する、即ち緑内障の発症又はその進行と関連する未知の一塩基多型が見出される可能性もある。見出された一塩基多型が実際に緑内障の発症又はその進行と関連するか否かは、これまでの説明と同様にそのアレル又は遺伝子型の頻度を疾患群と対照群で比較することにより判定することができる。
本発明において、イントロン型一塩基多型(iSNP)とはイントロンに一塩基多型が認められることをいう。翻訳領域型一塩基多型(cSNP)とは、タンパクに翻訳される領域に一塩基多型が存在するもののうち、当該一塩基多型を含むコドンが他のアミノ酸をコードするコドンや終止コドンに変異するなど、アミノ酸配列に変化を伴うものをいう。サイレント型一塩基多型(sSNP)とは、翻訳領域に一塩基多型が認められるもののうち、アミノ酸配列の変化を伴わないものをいう。ゲノム型一塩基多型(gSNP)とは、ゲノム上の遺伝子をコードしない領域に一塩基多型が存在することをいう。転写調節型多型(rSNP)とは、転写調節に関与すると考えられる部位に存在する一塩基多型をいう。
このように、一塩基多型はゲノム上のどのような位置にも存在することがあり、いずれの場合も疾患との関連を有し得る。イントロン又は非翻訳領域に一塩基多型が存在する場合は、遺伝子発現制御に影響する場合や、遺伝子の転写後に起こるスプライシングやmRNAの安定性に影響することがある。翻訳領域に一塩基多型が存在する場合は、その塩基の置換によってあるアミノ酸に対応するするコドンが別のアミノ酸に対応するコドンに変化する、又は、終止コドンに変化するなどの変化が生じ、これによってコードされるタンパク質の構造に変化が生じることがある。これらの変化によって遺伝子の発現量や機能、ひいては当該遺伝子がコードするタンパクの発現量又は機能に変化が生じ、種々の疾患の原因になり得る。ゲノム型一塩基多型が疾患と関連する場合は、当該多型部位を含む領域が実際には翻訳され、他の遺伝子の発現に何らかの影響を及ぼしている可能性がある。サイレント型一塩基多型が疾患と関連している場合、その一塩基多型の周辺に疾患と関連する別の多型が存在し、当該多型とサイレント型一塩基多型が連鎖している場合に疾患との関連が認められることが考えられる。同様に、サイレント型一塩基多型以外の一塩基多型であっても、当該一塩基多型自体は直接的な緑内障の原因ではなく、周辺に存在する緑内障の真の原因である多型と連鎖している場合にも、これらの一塩基多型と緑内障の関連が認められることがある。このような場合には、後述のように、本発明の一塩基多型の周辺を再シークエンスすることによって、緑内障の原因である多型を見出すこともできる。しかしながら、疾患の真の原因となるか否かに関わらず、いずれの場合も、緑内障の進行リスクを予測する目的でこれらの一塩基多型を使用することができる。
(緑内障に関連するアレルを含む核酸分子)
本発明のある態様では、緑内障と関連する一塩基多型を含む核酸分子、及び、緑内障と関連する一塩基多型を含む核酸分子に相補的な配列を有する核酸分子が提供される。
これらの緑内障と関連する一塩基多型を含む核酸分子又は当該核酸分子に相補的な配列を有する核酸分子は緑内障進行リスクの高低を判定するマーカーとして用いることが出来る。さらにこれらの核酸分子は、当該一塩基多型における、緑内障進行例において高頻度に認められるアレル若しくはその対立アレルを検出し、又は、遺伝子型を決定するためのプローブとして用いることができる。また、当該一塩基多型がエクソン上又はその近傍に存在する場合には、これらの核酸分子は遺伝子の転写物の検出に用いることができる。
真核生物のゲノムを構成する核酸分子はセンス鎖と、センス鎖に相補的なアンチセンス鎖の二重鎖で構成されている。即ち、一塩基多型もセンス鎖とアンチセンス鎖に存在しており、いずれの鎖の一塩基多型を検出することも同じ意味を持つから、本発明の核酸分子はこれらのいずれをも含む。
後述の表1〜2、表5〜25、表26〜28及び表29〜51に記載された一塩基多型のいずれかを含む核酸分子、後述の表3〜4に記載された連鎖不平衡データなどを基に決められた領域又は遺伝子上に存在する任意の一塩基多型を含む核酸分子、及び、これらの核酸分子に相補的な核酸分子は全て本発明の核酸分子に含まれる。
本発明のある態様では、好ましくは、本発明の核酸分子は、後述の表1〜2、表26〜28又は表52〜70に記載された一塩基多型を含む核酸分子又はその相補的な核酸分子であり、かつ、当該一塩基多型がgSNPの場合には、センス鎖の上流側の公知の一塩基多型の次の塩基から下流側の公知の一塩基多型の一塩基前の塩基までの配列からなる核酸分子又はその相補的配列からなる核酸分子であり、当該一塩基多型がiSNP、sSNP又はcSNPの場合には、当該一塩基多型を含むゲノム上の遺伝子全長からなる核酸分子、その相補的配列からなる核酸分子、当該一塩基多型を含む相補DNA(cDNA)分子又はその相補的配列からなる核酸分子であり、当該一塩基多型がrSNPの場合には、センス鎖の上流側の公知の一塩基多型の次の塩基から、当該一塩基多型が存在するプロモーター領域の下流に存在する遺伝子全長からなる核酸分子又はその相補的配列からなる核酸分子である。
本発明における核酸分子は、デオキシリボ核酸、リボ核酸、又は、ペプチド核酸であるかを問わず、これらの混合配列を含む核酸分子もまた本発明に含まれる。本発明の核酸分子にリボ核酸を用いる場合には、本発明の核酸分子の配列(相補的配列を含む)において、チミンはウラシルに読み替えてもよいものとする。また、これらの核酸分子に、本発明に用いるための機能を損なわない範囲で、必要に応じ化学修飾を施すことができる。この場合の機能とは、核酸分子を使用する目的を達成する機能を言う。
本発明における核酸分子は、本明細書に開示された配列情報、又は、本明細書に開示された情報をデータベースで検索して得られる配列情報に基づき、公知の方法、例えばホスホロアミダイト法を用いて合成することができる。市販のDNA合成機を用いて合成することも可能である。また、本発明の核酸分子はヒト由来のDNAを含むサンプルから、PCR法などの公知の方法により、又は、一部の核酸分子についてはヒト由来のRNAを含むサンプルから、RT-PCR法などの公知の方法により取得することができる。取得に必要なプライマーは当業者であれば本明細書に開示された配列情報、又は、本明細書に開示されたデータベースのIDから検索可能な配列情報に基づき設計することができる。例えばPCR法を用いる場合には、目的とする核酸分子の一部の配列と相同な配列を有するような約10〜30塩基のプライマーが使用可能であり、RT-PCR法を用いる場合には、オリゴdTプライマー、又はランダムヘキサマーなどを用い、逆転写反応を行ってcDNAを作成し、当該cDNA中の目的の配列を前述のPCR法で増幅することによって得ることができる。
核酸分子は、好ましくは16〜55塩基、より好ましくは23〜27塩基又は47〜53塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含む核酸分子であることが望ましい。
緑内障の進行に関連する一塩基多型を含む核酸分子を選択する場合、本発明における核酸分子は、例えば50万個の核酸分子が1回の操作で検出されるマイクロアレイを用い1回の解析で得られた結果に基づく場合、好ましくはp値が1×10-3以下である核酸分子であり、より好ましくはp値が3×10-4以下である核酸分子であり、さらに好ましくはp値が1×10-4以下である核酸分子であり、さらに好ましくは、p値が3×10-5以下である核酸分子である。マンテル・ヘンツェル法などのメタ解析手法によって、複数の解析結果を統合して得たものである場合には、好ましくはp値が1×10-2以下である核酸分子であり、より好ましくはp値が3×10-3以下である核酸分子であり、さらに好ましくはp値が1×10-3以下である核酸分子であり、さらに好ましくはp値が3×10-4以下である核酸分子であり、さらに好ましくはp値が1×10-4以下である核酸分子である。
好ましい核酸分子を選択する別の手段としては、公知の多重性の補正方法によって有意水準を設定し、好ましい核酸分子を選択することができる。例えば、ボンフェローニの補正に基づく場合、5×10-2のp値を、検定の繰り返し回数、即ち、カイ二乗検定の比較対象となる多型の個数で割って有意水準とすることができる。このようにして求めた有意水準を下回る一塩基多型を持つ核酸分子をより好ましい核酸分子として選択してもよい。その際、マンテル・ヘンツェル法などのメタ解析手法によって統合されたp値を用い、メタ解析の対象とした一塩基多型の個数を用いてボンフェローニ補正を行ってもよい。他の公知の多重性の補正に用いられる方法、例えばFDR法やパーミューテーション法を好ましい核酸分子の選択に用いてもよい。
(緑内障に関連する一塩基多型の検出方法及び緑内障の進行リスクの予測方法)
本発明の別の態様では、ゲノム由来の核酸分子を含むサンプル中に、緑内障進行群において頻度が高いアレル又は遺伝子型を有するか否かの検出方法が提供される。サンプルとしては、ゲノム由来の核酸分子を抽出可能なものであれば何でも良いが、例えば、血液、白血球、毛根、毛髪、唾液、口腔粘膜細胞、皮膚、生検によって得た筋肉又は臓器などの組織等が用いられる。
前述のように、真核生物のゲノムを構成する核酸分子は互いに相補的なセンス鎖とアンチセンス鎖で構成されており、本発明の一塩基多型のアレルの決定は、当該多型部位のセンス鎖、アンチセンス鎖のいずれの塩基を検出することによっても行うことができる。
前述のように、核酸分子を含むサンプル中に当該アレル又は遺伝子型が含まれるか否かの判定方法は如何なるものでも用いうるが、例えば本発明で開示された配列情報に基づき設計した、各アレルに特異的なプローブ、好ましくは後述の本発明のプローブを用いてハイブリダイズし、そのシグナルを検出することによりそれぞれのアレルを検出することができる。また、対立する各々のアレル、即ち、ある一塩基多型について疾患との関連が高いアレル及び低いアレルにそれぞれ異なる標識を施し、それらを多型部位にハイブリダイズさせるプローブ又は、対立する各々のアレルを固層化したマイクロアレイなどの固層化プローブを用いることにより、同一サンプルに含まれる対立する各々のアレルを検出することができる。このような構成では、サンプルのアレルのみならず遺伝子型を決定することも可能である。また、対立する各々のアレルを同一担体上に固層化したマイクロアレイなどの固層化プローブを用いる場合には、同一操作でハイブリダイズを行い、同一操作で検出する構成とすることもできる。
その他の本発明の一塩基多型を検出する方法としては、次のようなものが利用可能である。プローブを用いてハイブリダイズする方法の例としてはタックマン法、インベーダー(Invader (登録商標))法、ライトサイクラー法、サイクリンプローブ法、MPSS法、ビーズアレイ法などがあり、これらのいずれも用い得る。同一のアレルを検出するためのプローブであっても、検出に用いる方法によってより好ましいプローブが異なる場合がある。本発明の一塩基多型のアレル又は遺伝子型の判定は検出方法に依存しないが、検出方法に応じて適するプローブを使用することが望ましい。
タックマン法とは、5'側に蛍光物質を結合させ、その3'側には消光物質を結合させた任意の長さのオリゴプローブを用いることにより遺伝子多型を検出する方法である。目的とする多型を有する核酸分子にプローブがハイブリダイズし、PCR反応により5'側のプローブの一部が切り離され、蛍光物質が発する蛍光量を測定することにより多型の有無を判定する。
インベーダー法とは、多型を有する核酸分子の3'側と共通配列を有するが、5'側の配列が全く異なっているプローブ(レポーター)と、5'側の共通配列のみを有するプローブ(インベーダー)を用いて遺伝子多型を検出する方法である。目的とする核酸分子とこれらの2本のプローブをハイブリダイズさせた後、ヌクレアーゼで処理し、切り出されたレポータープローブの一部が蛍光物質と消光物質を有する検出用プローブとハイブリダイズした後にヌクレアーゼで処理すると、蛍光物質が遊離するので、この蛍光量により多型の有無を判定する。
ライトサイクラー法とは、蛍光物質を有する多型検出プローブ及び消光物質を有するアンカープローブを、あらかじめPCRで増幅した多型を有する核酸分子にハイブリダイズさせることにより多型を検出する方法である。ハイブリダイズしたDNAに徐々に熱を加えていくと、ある一定の温度になると多型検出プローブが遊離するので、この蛍光量を測定することにより多型の有無を判定する。
サイクリンプローブ法とは、目的とする核酸分子の多型部位と相補な配列を持つRNA配列の両端を挟むようにDNA配列を結合させ、それぞれのDNA端に蛍光物質又は消光物質を有するプローブ(DRDプローブ)を利用した多型解析法である。あらかじめPCRなどで増幅した目的とする核酸分子にDRDプローブをハイブリダイズさせ、この複合体にRNaseを作用させると蛍光色素が遊離するので、この蛍光量を測定することにより多型の有無を判定する。
MPSS法とは、エンコードアダプター及びデコーダープローブを用いて多型解析を行う方法である。エンコードアダプタープローブとは、5'側に4塩基の突出末端、それに続いて制限酵素であるBbvIの認識配列、ならびに3'側にデコーダープローブが結合する一本鎖配列を有するオリゴDNAである。一方、デコーダープローブは、3'側に蛍光物質を有する一本鎖オリゴDNAであり、4種類の異なる配列からなり、各配列が一つのエンコードアダプタープローブと特異的にハイブリダイズする。多型を有する核酸分子をビーズに固定しておき、BbvIの認識配列を含む開始アダプターを結合させ、BbvIで4塩基突出末端となるよう消化する。突出した4塩基の3'末端から順次エンコードアダプタープローブとライゲーションし、結合したエンコードアダプターの配列を特定のデコーダープローブで検出する。
ビーズアレイ法とは、アレル検出用プローブ、及び、アレル検出用プローブにより検出されるシグナルのアレイ上の位置情報を特定するオリゴヌクレオチド(アドレス配列)が結合したビーズを組み合わせて遺伝子型判定を行う方法である。例えば、イルミナ社のアドレス配列(23塩基)のみが固定されたビーズを使用するゴールデンゲートアッセイ、及び、アドレス配列(30塩基)にアレル検出用のプローブ(50塩基)が結合したビーズを使用するInfinium(登録商標)アッセイがある。いずれの方法においても、アドレス配列を基に、アレイ上に任意に配置されたそれぞれのビーズに対して、アレル検出用のプローブがアレイ上のどの位置に結合しているのかを知ることができる。
ゴールデンゲートアッセイの方法を以下に示す。一塩基多型の検出には、各アレルに特異的にハイブリダイズする2種のプローブ(アレル特異的プローブ)、及び一塩基多型の3'側の1〜20塩基下流の配列に特異的にハイブリダイズするプローブ(下流配列認識プローブ)を用いる。下流配列認識プローブには、アレイ上の位置特定用のアドレス配列が付与されている。また、これらの3つのプローブには後述するユニバーサルプライマーが結合する配列が含まれている。3つのプローブをゲノムDNAにアニーリングさせた後、DNAポリメラーゼとリガーゼを添加する。伸長反応とライゲーション反応により、アレル特異的プローブと下流配列認識プローブ間のギャップを連結するアレル特異的な産物が生成される。このアレル特異的産物を鋳型とし、各アレルに特異的な2種の蛍光標識ユニバーサルプライマーと下流配列認識プローブに結合するユニバーサルプライマーを用いてPCR反応を行う。標識されたPCR産物をビーズ上に固定されたオリゴヌクレオチドとアドレス配列を介してハイブリダイズする。ビーズ上の蛍光を共焦点レーザースキャナーで検出することによりアレルと遺伝子型の判定を行う。
Infiniumアッセイの方法を以下に示す。後述するイルミナ社のアレイ[イルミナ社 アイセレクト ジェノタイピング ビーズチップ(iSelectTMGenotyping BeadChip)]は本手法に従っている。本アレイによるアレルの検出には2つの方法が存在する。1つ目の方法には、3'末端が一塩基多型を検出する部位である3'末端の塩基のみ異なる2種のプローブ(50塩基のアレル検出用プローブ、Infinium Iタイプ)を用いる。あらかじめ、ゲノムDNAの全ゲノム増幅を行い、酵素による断片化を行う。プローブと断片化ゲノムDNAのハイブリダイズ後、アレル特異的伸長反応が起こり、1種類の蛍光色素で標識された多型部位の1塩基分下流(3'側)の塩基がプローブに対応して取り込まれる。もう一つの方法には、プローブ内に一塩基多型のアレル特異的な配列を持たない1種のプローブを用いる(50塩基のアレル検出用プローブ、Infinium IIタイプ)。このプローブの3'末端は多型部位から1塩基分上流(5'側)までの配列になっている。プローブと断片化ゲノムDNAをハイブリダイズさせ、一塩基伸長反応により、2種類の蛍光色素のいずれかで標識された塩基が目的とする一塩基多型部位に対応して取り込まれる。どちらの方法でも、蛍光を共焦点レーザースキャナーで検出することによりアレルと遺伝子型の判定を行う。
なお、上記のハイブリダイズ方法で用いられるプローブの長さや修飾などの特性の詳細については後述する。
また、プローブによるハイブリダイズを行わない方法としては、PCR-RFLP法、SSCP法、質量分析法及びダイレクトシークエンス法が挙げられる。
PCR-RFLP法とは、多型を有する核酸分子において、多型が制限酵素の切断部位に存在するため、酵素消化により異なるDNA断片が生成され、その電気泳動パターンの違いから多型の有無を判定する方法である。目的とする核酸分子をPCRにて増幅し、この増幅断片を制限酵素で切断して、電気泳動で生成した断片を解析する。増幅される多型を含む核酸分子の長さは、通常、50〜10,000塩基対であり、好ましくは100〜1,000塩基対である。
SSCP法とは、多型を有する核酸分子をPCRで増幅し、一本鎖DNAにした後、電気泳動を行い、その電気泳動パターンの違いから多型の有無を判定する方法である。目的とする核酸分子をPCRにて増幅し、この増幅断片を熱やアルカリ処理により一本鎖DNAにする。この一本鎖DNAは塩基配列特異的な高次構造を形成するため、これらの増幅断片を電気泳動すると、その構造の違いにより電気泳動度に差が見られる。PCRに使用するプライマーは、放射性同位元素又は蛍光物質で標識されている。また、増幅される多型を含む核酸分子の長さは、通常、50〜10,000塩基対であり、好ましくは100〜1,000塩基対である。
質量分析法とは、高分子をマトリクスとレーザーなどでイオン化し、高電界場の中を加速して検出器まで飛行させ、その飛行時間の違いなどにより質量を同定する方法である。この質量分析法を、上記のプライマーエクステンション法などと組み合わせて多型を検出する。具体的には、多型を有する核酸分子の多型部位の一塩基上流までの配列と相補的なプライマー、4種のジデオキシリボヌクレオチドのいずれか、及び、それに対応するもの以外のデオキシリボ核酸を用いて一塩基の伸長反応を行い、3'末端に取り込まれた配列の異なる核酸生成物の質量の違いを測定することにより多型を同定することができる。
ダイレクトシークエンス法とは、多型を有する核酸分子の塩基配列を直接読み取る方法である。代表的な方法は、サンガー法(ジデオキシ法)と呼ばれる。無標識、又は、放射性同位元素若しくは蛍光物質で標識したプライマーを目的とする核酸分子に結合させ、クレノー酵素などによる伸長反応を、無標識、又は放射性同位元素若しくは蛍光物質で標識した4種のジデオキシリボヌクレオチドで停止させた後、制限酵素で消化し、生じたDNA断片を電気泳動で分離する。電気泳動像を基に、低分子量の断片から順に3'末端の塩基配列を読み取ることにより、多型を含む前後の塩基配列を決定する。この変法として、プライマーエクステンション法と呼ばれるものがある。これは、多型を有する核酸分子の多型部位の一塩基上流までの配列と相補的なプライマーを用いて一塩基の伸長反応を行い、3'末端に取り込まれた4種のジデオキシリボヌクレオチドのいずれかの配列を読み取る方法である。このジデオキシリボヌクレオチドの同定には様々な方法があるが、たとえば、4種のヌクレオチドを異なる蛍光物質で標識し、電気泳動により分離・同定する。また、伸長反応の際に生成されるピロリン酸をATPに変換し、そのATPをルシフェラーゼの発光により同定する手法も用いられる。伸長反応に使用するプライマーの長さは、通常、10〜300塩基対であり、好ましくは、15〜25塩基対である。
本発明において、ハイブリダイズとは、ある配列を有する核酸分子と、その核酸分子の少なくとも一部分に対し相補的な核酸分子が互いに相補的な塩基配列に基づき水素結合を介して会合することを意味する。元の核酸分子と会合する相補的な核酸分子の種類は同じでも異なっても良く、これらの核酸分子を構成する核酸はデオキシリボ核酸、リボ核酸又はペプチド核酸であり得る。これらの核酸分子において、リボ核酸について言う場合には、核酸分子の配列(相補的配列を含む)において、チミンはウラシルに読み替えてもよいものとする。
本発明においてストリンジェントな条件とは、ある配列を有する核酸分子に、前記核酸分子の部分配列と相補的な配列を有する核酸分子が特異的にハイブリダイズする条件を意味する(Fred M. Ausuble et al., Current Protocols in Molecular Biology、p2.10.1‐2.10.16、John Wiley and Sons, Inc)。このような条件の具体例としては、ある配列を有する核酸分子と、当該核酸分子にハイブリダイズさせる相補的な核酸分子の複合体の融解温度(Tm)より好ましくは約5〜約30℃、より好ましくは約10℃〜約25℃低い温度、0.01〜6倍濃度のSSC(塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム混合溶液)、SSPE(塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及びEDTA混合溶液)又はMES(2-(N-Morpholino)ethanesul fonic Acid及び塩化テトラメチルアンモニウム混合溶液)緩衝液のようなハイブリダイズ用の反応溶液、及び、pH6〜8の水素イオン濃度のような条件が挙げられる。例えば、25bp のDNAプローブを固層化した固層化プローブの場合のストリンジェントな条件は、1倍濃度のMES緩衝液中(水素イオン濃度は6.5〜6.7)49℃でハイブリダイズし、6倍濃度のSSC(水素イオン濃度は8.0)、25℃、次いで0.6倍濃度のSSC(水素イオン濃度は8.0)、45℃で順次洗浄するような条件が挙げられる。
本発明においてアレル特異的(又は、アレルに特異的)とは、当該多型部位を含むゲノム由来の配列若しくは調製された核酸分子において当該アレルを含むこと、又は、ある核酸分子が当該多型部位において、当該アレルを含む配列を有する核酸分子にストリンジェントな条件下で特異的に、即ち、当該アレルと対立するアレルを識別可能なようにハイブリダイズすることを言う。
本発明で開示された、緑内障の進行に関連する一塩基多型を含む61塩基長の核酸配列は、その中央(即ち、31番目)の塩基のみが異なる2組の塩基配列の組(配列番号が奇数番目と偶数番目の組)からなり、当該31番目の塩基が多型部位である。多型部位におけるハイリスクアレルは後述の表26〜28又は表52〜70に記載されている。これらの任意の一塩基多型について、緑内障進行例において高頻度に存在するアレルの存在を判定する場合、サンプル中のハイリスクアレルを検出することにより、緑内障進行例に高頻度に存在するアレルの存在を判定することができる。
また、上記で同定した任意の緑内障の進行に関連する一塩基多型について、一つのサンプルに含まれる対立する各々のアレルの有無を検出し、遺伝子型を決定することができる。即ち、あるアレルのみが検出される場合は当該アレルのホモ型であり、2つのアレルが検出される場合には当該2つのアレルを持つヘテロ型である。これらの一塩基多型の少なくとも1つについて、遺伝子型を検出することにより、サンプル中に、緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度に認められる遺伝子型が存在するか否かを判定できる。即ち、前記一塩基多型において、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、ハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型が緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度に認められる遺伝子型であり、ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、ハイリスクアレルのホモ型が緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度に認められる遺伝子型である。対立する各々のアレルを同一操作で測定することは、判定の誤差を低減する観点からも望ましい。
このようにしてサンプルの分析を行い、サンプル中に緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型が存在する場合、当該サンプルを提供した緑内障患者は、緑内障の進行リスクが高いと予測され、また、当該サンプルを提供した緑内障が疑われる者は緑内障進行例と診断されるべき蓋然性が高く、当該サンプルを提供した現時点で緑内障に罹患していない者は将来緑内障を発症する場合にはその進行が早いと予測される。
本発明の緑内障に関連する一塩基多型の検出方法及び緑内障の進行リスクの予測方法において、検出に用いられる一塩基多型は、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型であり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型であり、
さらに好ましくは、以下の、一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型である。(ここで、前述のように、a〜sで示される配列番号の組において、それぞれの配列の組が1つの一塩基多型に対応しており、それぞれの塩基配列は前記一塩基多型の互いに対立するアレルを31番目の塩基に含む塩基配列である)
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
上記のいずれかの一塩基多型を用いる場合、中でも、以下の一塩基多型を含む塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルを用いることが好ましい。
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配列番号240
なお、これらはそれぞれの多型部位において、ハイリスクアレルを含む配列である。
さらに、一つのサンプルを用いて、本発明の緑内障に関連するアレル又は遺伝子型の二つ以上を組み合わせて検出することにより、将来的な緑内障の進行リスクの判定の精度を向上することもできる。
組み合わせる一塩基多型は、本発明の一塩基多型であれば用いられるが、好ましくは、p値が低い一塩基多型であり、より好ましくは、前述のマンテル・ヘンツェル法等のメタ解析法によって2回の解析で得られた結果を統合して得られたp値についてボンフェローニ補正水準下でも有意と判断されるような一塩基多型である。また、別の観点からは、後述のロジスティック回帰分析によって、組み合わせによるリスク予測精度の向上に寄与することが確認される一塩基多型を用いることも好ましい。一方、前述の連鎖不平衡状態にある一塩基多型は同じ挙動を示すことから、連鎖不平衡状態にある一塩基多型を複数組み合わせた場合には、同じ領域に基づく緑内障リスクを必要以上に重く評価する場合がある。本発明の一塩基多型を組み合わせて疾患のリスク予測を行う場合であって、全てのリスクを均等な重み付けで評価したい場合には、前述の連鎖不平衡状態にあるような一塩基多型が複数含まれる場合、当該連鎖不平衡状態にある一塩基多型のうちのいずれか一つのみを用いて予測を行うことも好ましい。
本発明の任意の2つ以上の一塩基多型の組み合わせによってリスク予測を行う場合、ロジスティック回帰分析によって求められる回帰式を用いて緑内障の進行リスクを予測することができる。即ち、前記任意の2つ以上の一塩基多型のそれぞれを独立変数Πとし(一方のアレルのホモ型=0、ヘテロ型=1、対立アレルのホモ型=2とする)、ロジスティック回帰分析により回帰式を求める。各サンプルにおいて、各一塩基多型に対応する値をこの式に代入し従属変数Φを計算する。従属変数Φが一定の閾値(例えば0.5)より大であるときにこのサンプルの提供者が進行リスクを有すると判断することができる。
本発明の緑内障に関連する一塩基多型の検出方法及び緑内障の進行リスクの予測方法において、任意の2つ以上の一塩基多型を組み合わせる場合、検出に用いられる一塩基多型は、好ましくは配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、2つ以上の異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型であり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、2つ以上の異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型であり、
さらに好ましくは、以下の、一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群より選択される、2つ以上の異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型であり、(ここで、前述のように、a〜sで示される配列番号の組において、それぞれの配列の組が1つの一塩基多型に対応しており、それぞれの塩基配列は前記一塩基多型の互いに対立するアレルを31番目の塩基に含む塩基配列である)
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群より選択される、10個以上の異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型であり、
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群より選択される、全ての異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型である
また、組み合わせに用いる一塩基多型は連鎖不平衡状態にないものを用いることが好ましく、この観点からは、前記組み合わせの全ての態様において、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、ならびに
h:配列番号217及び/又は配列番号218
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型からなる群を群1の一塩基多型とし、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、ならびに、
j:配列番号221及び/又は配列番号222
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型からなる群を群2の一塩基多型とし、
群1に属する一塩基多型を用いる場合には、群1中のいずれか1つの一塩基多型を、及び/又は、
群2に属する一塩基多型を用いる場合には、群2中のいずれか1つの一塩基多型を用いることが好ましい。
さらに、前記組み合わせの全ての態様において、以下の一塩基多型を含む塩基配列からなる群より選択される、2つ以上の異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルが好ましい。
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配列番号240
なお、これらの塩基配列はそれぞれの多型部位でハイリスクアレルを持つ塩基配列である。
(緑内障に関連するアレルを検出可能なプローブ)
本発明の別の態様では、緑内障に関連するアレルを検出可能なアレル特異的な核酸分子又はプローブ(以下、プローブと記載)、及び、前記プローブを用いて緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出する方法が提供される。
プローブは、本発明の緑内障に関連する一塩基多型の多型部位における、アレル特異的な配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし得るものであればいかなるものでも用いられる。多型部位のアレルの決定は、ゲノムのセンス鎖、アンチセンス鎖のいずれの多型部位を検出することによっても行うことができるため、本発明のプローブはセンス鎖のアレルに特異的な配列の相補的配列及びアンチセンス鎖のアレルの特異的な配列に相補的な配列、すなわちセンス鎖のアレルに特異的な配列のいずれも含まれる。本発明のプローブは本発明の一塩基多型を含むcDNA又はmRNAの検出に用いることもできる。cDNA又はmRNAの検出に用いる場合、当該一塩基多型はエクソン又はその近傍に存在するものが用いられる。
後述の表1〜2、表5〜25、表26〜28、表29〜51又は表52〜70に記載された一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を検出可能なプローブ、及び後述の表3〜4又は表71〜81に記載された緑内障に関連する領域に存在する任意の一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブは全て本発明のプローブに含まれる。本発明のプローブは、例えば50万個の一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブが1回の操作で検出されるマイクロアレイを用い1回の解析で得られた結果に基づく場合、好ましくはp値が1×10-3以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブであり、より好ましくはp値が3×10-4以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブであり、さらに好ましくはp値が1×10-4以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブであり、さらに好ましくは、p値が3×10-5以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブである。マンテル・ヘンツェル法などのメタ解析手法によって、複数の解析結果を統合して得たものである場合には、好ましくはp値が1×10-2以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブであり、より好ましくはp値が3×10-3以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブであり、さらに好ましくはp値が1×10-3以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブであり、さらに好ましくはp値が3×10-4以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブであり、さらに好ましくはp値が1×10-4以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブである。
本発明におけるプローブは、好ましくはアレル特異的な配列又はその相補鎖を含み、さらに好ましくは、本発明におけるプローブにおいて、アレル特異的なハイブリダイズに寄与する配列はアレル特異的な配列又はその相補鎖のみからなる。本発明におけるプローブには、アレル特異的な配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし得る範囲において、末端にスペーサー又は安定化等に供する目的で当該配列に由来しない任意の数塩基の配列を付加することができる。付加される配列は、好ましくはヘアピン構造等の三次元構造を取らない配列である。
プローブには検出に用いるための任意の標識を施すことができる。プローブに施す標識は通常用いられるいかなるものでも用いうるが、一般的にはFITCやCy3などの蛍光標識、ビオチン、又は、アルカリホスフォターゼや西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素標識などが用いられる。ビオチン標識を用いる場合には、ビオチンに特異的に結合するストレプトアビジンにさらに検出可能な標識を施しておき、当該標識ストレプトアビジンを二次標識として使用する。標識ストレプトアビジンの代わりに標識抗ビオチン抗体を使用することもできる。プローブに標識を施す方法は公知の如何なる方法でも用いられ、その方法は当業者にとって周知である。プローブに前述のスペーサーとなる任意の配列を付加し、スペーサーに標識を施すこともできる。プローブの標識化用の試薬、標識ストレプトアビジン、標識抗ビオチン抗体などは試薬として市販されており、購入することもできる。
本発明におけるプローブは、目的とするアレルを有する核酸分子に特異的にハイブリダイズし得るかぎり、デオキシリボ核酸、リボ核酸、又は、ペプチド核酸であるかを問わず、これらの混合配列を含むプローブもまた本発明に含まれる。ここで、本発明のプローブにリボ核酸を含むプローブを用いる場合には、本発明のプローブの配列(相補的配列を含む)において、チミンはウラシルに読み替えてもよいものとする。また、本発明におけるプローブには、目的とするアレルを有する核酸分子にストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズし得る限り、必要に応じ化学修飾を施すこともできる。化学標識を施す方法は公知のいかなる方法も用いられる。
検出用のプローブは、溶液状態でサンプルと反応させ公知の方法で検出することも、あらかじめ担体上に固層化しておくことも可能である。数個乃至数十万個の異なる一塩基多型のそれぞれのアレルに対応するプローブを、一つの一塩基多型あたり一個乃至十数個ずつあらかじめ固体の担体上の定められた位置に固層化しておき、サンプルをこれに反応させ、ハイブリダイズしたプローブから生じるシグナルをスキャンしコンピューターを用いて解析する固層化プローブ、いわゆるマイクロアレイの形態を取ることも可能である。固層化プローブの形態を取る場合には、固層化するプローブの最大数はプローブの固層化密度と固層化部位の面積によって制限される。
このような固層化プローブの形態を取る場合、サンプル中の核酸分子を公知の方法で標識化しておき、固層化された本発明の非標識プローブと結合させることにより、又は、検出すべきアレルを持つ核酸分子を固層化された本発明の非標識プローブと結合させた後に公知の方法で標識化することにより、標識された標的アレルを持つ核酸分子由来の固層上のシグナルを検出することができる。
固層化は公知のいかなる方法によっても行うことができるが、例えば合成オリゴプリント、スポッティングフォトリソグラフなどの方法を用いることができる。また、担体の材質には制限がなく、一般的に用いられる材質、例えばポリカーボネートやポリスチレンなどの高分子、ガラス、シリコン結晶等が用いられる。また、核酸の接着力を高めるために、固層化の前に担体にあらかじめ陽イオン化などのコーティングを施しても良い。また、非特異的な核酸の担体への吸着を防ぐため、固層化を行った後に公知のブロッキング剤によりブロッキングを行うこともできる。このようなブロッキング剤には、非特異的な核酸の担体への吸着を抑制できるものであれば何でも用いられるが、例えばサケ精子DNA、デンハルト溶液、ヒト胎盤から抽出したCot-I DNA、ドデシル硫酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどの非イオン性界面活性剤などを用いることができる。
また、プローブを固層化する場合には、同一担体上に対立する各々のアレルに特異的なプローブを固層化することにより、一つのサンプル中に含まれる対立する各々のアレルを同一操作で検出する構成とすることもできる。このような構成では、サンプルのアレルのみならず遺伝子型を決定することも可能である。
アレルの検出に用いるプローブは、好ましくは16〜55塩基、より好ましくは23〜27塩基又は47〜53塩基、さらに好ましくは前述の多型部位とその前後計25塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、若しくはこれに相補的な配列を含むプローブであること、前述の多型部位とその5'上流側、好ましくは49塩基の配列(50塩基の配列)を有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、若しくはこれに相補的な配列を含むプローブであること、又は、前述の多型部位の5'上流側50塩基の配列を有し、かつ、前述の多型部位に隣接する配列、若しくはこれに相補的な配列を含むプローブであることが望ましい。
アレルの検出に用いるさらに好ましいプローブは、
1) 前述の多型部位とその前後各12塩基の配列、即ち、25塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、若しくはこれに相補的な配列を含む、当該一塩基多型のアレルを特異的に検出可能なプローブ、又は
2a) 前述の多型部位とその5'上流側49塩基の配列(50塩基の配列)を有し、かつ、前述の多型部位を含む配列若しくはこれに相補的な配列からなる、当該一塩基多型のアレルを特異的に検出可能なプローブ、若しくは、
2b) 前述の多型部位の5'上流側50塩基の配列を有し、かつ、前述の多型部位に隣接する配列、又はこれに相補的な配列からなる、当該一塩基多型のアレルを特異的に検出可能なプローブである。
本発明の緑内障に関連する一塩基多型の検出方法及び緑内障の進行リスクの予測方法において、検出に用いられるプローブは、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、配列番号753〜1061で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブであり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、配列番号753〜776で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブであり、
さらに好ましくは、以下の、a〜sの一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、aa〜ssの塩基配列若しくは塩基配列の組からなる群Bより選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくは塩基配列の組又はこれらの相補的配列を含む配列からなるプローブである。
(ここで、a〜sで示される配列番号の組において、それぞれの配列の組が1つの一塩基多型に対応しており、それぞれの塩基配列は前記一塩基多型の互いに対立するアレルを31番目の塩基に含む塩基配列であり、
aa〜ssで示される配列番号又は配列番号の組において、それぞれの塩基配列又は塩基配列の組が1つの一塩基多型の検出に用いられるプローブの配列又はプローブの配列の組であり、
aとaa、bとbb、cとcc、dとdd、eとee、fとff、gとgg、hとhh、iとii、jとjj、kとkk、lとll、mとmm、nとnn、oとoo、pとpp、qとqq、rとrr、及び、sとssがそれぞれ同じ一塩基多型に対応する)
群A
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
群B
aa:配列番号753、
bb:配列番号754、及び/又は、配列番号772、
cc:配列番号755、
dd:配列番号756、
ee:配列番号757、
ff:配列番号758、
gg:配列番号759、
hh:配列番号760、及び/又は、配列番号773、
ii:配列番号761、及び/又は、配列番号774、
jj:配列番号762、及び/又は、配列番号775、
kk:配列番号763、
ll:配列番号764、
mm:配列番号765、
nn:配列番号766、及び/又は、配列番号776、
oo:配列番号767、
pp:配列番号768、
qq:配列番号769、
rr:配列番号770、ならびに
ss:配列番号771
上記のいずれかの一塩基多型を用いる場合、中でも、群Aにおいては以下の一塩基多型を含む塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルを含むプローブを用いることが好ましく、
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配列番号240
群Bにおいては、以下の塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブが好ましい。
配列番号753、配列番号754、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号760、配列番号761、配列番号775、配列番号763、配列番号764、配列番号765、配列番号766、配列番号767、配列番号768、配列番号769、配列番号770、及び、配列番号771
なお、これらの塩基配列はハイリスクアレルの検出に用いられるプローブに対応する配列である。
本発明の緑内障に関連する一塩基多型の検出方法及び緑内障の進行リスクの予測方法において、任意の2つ以上の一塩基多型を組み合わせる場合、検出に用いられるプローブは、好ましくは配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、配列番号753〜1061で示される塩基配列からなる群より選択される、塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブであって、これらのうち2つ以上の異なる一塩基多型に対応するプローブであり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、配列番号753〜776で示される塩基配列からなる群より選択される、塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブであって、これらのうち2つ以上の異なる一塩基多型に対応するプローブであり、
さらに好ましくは、以下の、a〜sの一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、aa〜ssの塩基配列若しくは塩基配列の組からなる群Bより選択される、2つ以上の異なる塩基配列若しくは塩基配列の組又はこれらの相補的配列を含む配列からなるプローブであり、
(ここで、a〜sで示される配列番号の組において、それぞれの配列の組が1つの一塩基多型に対応しており、それぞれの塩基配列は前記一塩基多型の互いに対立するアレルを31番目の塩基に含む塩基配列であり、
aa〜ssで示される配列番号又は配列番号の組において、それぞれの塩基配列又は塩基配列の組が1つの一塩基多型の検出に用いられるプローブの配列又はプローブの配列の組であり、
aとaa、bとbb、cとcc、dとdd、eとee、fとff、gとgg、hとhh、iとii、jとjj、kとkk、lとll、mとmm、nとnn、oとoo、pとpp、qとqq、rとrr、及び、sとssがそれぞれ同じ一塩基多型に対応する)
群A
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
群B
aa:配列番号753、
bb:配列番号754、及び/又は、配列番号772、
cc:配列番号755、
dd:配列番号756、
ee:配列番号757、
ff:配列番号758、
gg:配列番号759、
hh:配列番号760、及び/又は、配列番号773、
ii:配列番号761、及び/又は、配列番号774、
jj:配列番号762、及び/又は、配列番号775、
kk:配列番号763、
ll:配列番号764、
mm:配列番号765、
nn:配列番号766、及び/又は、配列番号776、
oo:配列番号767、
pp:配列番号768、
qq:配列番号769、
rr:配列番号770、ならびに
ss:配列番号771
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、前記塩基配列の組からなる群Bより選択される塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブであって、これらのうち10個以上の異なる一塩基多型に対応するプローブであり、
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、前記塩基配列の組からなる群Bより選択される塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブであって、これらの全ての異なる一塩基多型に対応するプローブである。
また、組み合わせに用いる一塩基多型は連鎖不平衡状態にないものを用いることが好ましく、この観点からは、前記組み合わせの全ての態様において、
前記群Aについては、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、ならびに
h:配列番号217及び/又は配列番号218
からなる群に属する塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む塩基配列からなる群を群1の塩基配列とし、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、ならびに、
j:配列番号221及び/又は配列番号222
からなる群に属する塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む塩基配列からなる群を群2の塩基配列とし、
前記群Bについては、
cc:配列番号755、
dd:配列番号756、
ee:配列番号757、
ff:配列番号758、
gg:配列番号759、
hh:配列番号760、及び/又は、配列番号773、
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる群を群1の塩基配列とし、
ii:配列番号761、及び/又は、配列番号774、
jj:配列番号762、及び/又は、配列番号775、
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる群を群2の塩基配列とし、
群1に属する塩基配列を用いる場合には、群1中のいずれか1つの塩基配列を含むプローブを用い、及び/又は、
群2に属する塩基配列を用いる場合には、群2中のいずれか1つの塩基配列を含むプローブを用いることが好ましい。
さらに、前記組み合わせの全ての態様において、群Aにおいては、以下の一塩基多型を含む塩基配列からなる群より選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルを含むプローブが好ましく、
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配列番号240
群Bにおいては、以下の塩基配列からなる群より選択される塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブが好ましい。
配列番号753、配列番号754、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号760、配列番号761、配列番号775、配列番号763、配列番号764、配列番号765、配列番号766、配列番号767、配列番号768、配列番号769、配列番号770、及び、配列番号771
なお、これらの塩基配列はハイリスクアレルの検出に用いられるプローブに対応する配列である。
アレルの検出にタックマン法を用いる場合のプローブは、通常、好ましくは10〜300塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含み、かつ、蛍光物質及び消光物資を含む。より好ましくは20〜60塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含み、かつ、蛍光物質及び消光物資を含む。
アレルの検出にインベーダー法を用いる場合のプローブは、前述の多型部位の3'側と共通配列を有するが、5'側の配列が全く異なっているプローブ(レポーター)と、5'側の共通配列のみを有するプローブ(インベーダー)からなる。これらのプローブは、通常、好ましくは10〜300塩基の長さを有し、より好ましくは20〜60塩基の長さを有する。
アレルの検出にライトサイクラー法を用いる場合のプローブは、通常、好ましくは10〜300塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含み、かつ、蛍光物質及び消光物資を含む。より好ましくは20〜60塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含み、かつ、蛍光物質及び消光物資を含む。
アレルの検出にサイクリンプローブ法を用いる場合のプローブは、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を有するRNA配列の両端を挟むようにDNA配列を結合させ、それぞれのDNA端に蛍光物質又は消光物質を有する。これらのプローブは、通常、好ましくは10〜300塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含む。より好ましくは20〜60塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含む。
アレルの検出にMPSS法を用いる場合のプローブは、5'側に4塩基の突出末端、それに続いて制限酵素であるBbvIの認識配列、ならびに3'側にデコーダープローブが結合する一本鎖配列を有するオリゴDNA(エンコードアダプタープローブ)、ならびに、3'側に蛍光物質を有する一本鎖オリゴDNAであり、4種類の異なる配列からなり、各配列が一つのエンコードアダプタープローブと特異的にハイブリダイズするオリゴDNA(デコーダープローブ)である。前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を有するRNA配列の両端を挟むようにDNA配列を結合させ、それぞれのDNA端に蛍光物質又は消光物質を有する。エンコードアダプタープローブの長さは、通常、好ましくは10〜300塩基対であり、より好ましくは15〜40塩基対である。また、デコーダープローブの長さは、通常、好ましくは10〜300塩基対であり、より好ましくは5〜30塩基対である。
(緑内障に関連するアレルを検出するためのキット)
本発明の別の態様では、緑内障に関連する一塩基多型を検出するためのキットが提供される。
本発明のキット(又はリスク予測用の組成物)には、サンプル中の核酸分子に本発明で開示された緑内障に関連するいずれかの一塩基多型のアレル又は遺伝子型を検出することができるものであれば全て含まれる。前述のように、本発明のキットは一塩基多型のセンス鎖、アンチセンス鎖のいずれの塩基を検出するものであっても良く、これらの両者を検出するものであっても良い。本発明のキットは、例えば50万個の一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットが1回の操作で検出されるマイクロアレイを用い1回の解析で得られた結果に基づく場合、好ましくは後述の表26〜28に記載されたp値が1×10-4以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットであり、より好ましくはp値が3×10-4以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットであり、さらに好ましくはp値が1×10-4以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットであり、さらに好ましくは、p値が3×10-5以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットである。マンテル・ヘンツェル法などのメタ解析手法によって、複数の解析結果を統合して得たものである場合には、好ましくは後述の表52〜70に記載されたp値が1×10-2以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットであり、より好ましくはp値が3×10-3以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットであり、さらに好ましくはp値が1×10-3以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットであり、さらに好ましくはp値が3×10-4以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットであり、さらに好ましくはp値が1×10-4以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットである。
前述の緑内障進行群において高頻度に認められるアレルと、当該アレルと対立するアレルの両方を検出するキットも本発明の実施態様の一つである。このようなキットを用いる場合、既に説明したように各アレルの遺伝子型を決定することも可能である。
本発明のキットを用いて、サンプル中に緑内障進行群において高頻度に認められるアレル又は遺伝子型が存在することを検出することにより、緑内障患者の進行リスクを予測し、現時点で緑内障に罹患していない人が将来緑内障を発症した際の進行リスクを予測し、又は、緑内障の疑いがある者の緑内障の診断を行うことができる。
また、前述のように、対立するアレルにそれぞれ特異的なプローブを用い、かつ、プローブの標識を異なるものとすることにより、又は、前述のマイクロアレイ若しくはビーズアレイの形態とすることにより、対立するアレルを同一操作で測定するキットとすることもできる。
一つのサンプルを用いてこれらのアレル又は遺伝子型の複数を検出する構成のキットとすることにより、緑内障の進行リスクの予測や精密な視野検査の要否の判定の精度を向上させることもできる。このような構成においても、異なる標識を施したプローブ又は前述のマイクロアレイ若しくはビーズアレイの形態とすることにより、検出を同一操作で行う構成とすることもできる。
本発明の緑内障に関連する一塩基多型の検出方法及び緑内障の進行リスクの予測方法において、検出又はリスク予測に用いられるキットは、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、及び/又は、配列番号753〜1061で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットであり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、及び/又は、配列番号753〜776で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットであり、
さらに好ましくは、以下の、a〜sの一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、及び/又は、aa〜ssの塩基配列若しくは塩基配列の組からなる群Bより選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくは塩基配列の組又はこれらの相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットである。
(ここで、a〜sで示される配列番号の組において、それぞれの配列の組が1つの一塩基多型に対応しており、それぞれの塩基配列は前記一塩基多型の互いに対立するアレルを31番目の塩基に含む塩基配列であり、
aa〜ssで示される配列番号又は配列番号の組において、それぞれの塩基配列又は塩基配列の組が1つの一塩基多型の検出に用いられる核酸分子の配列又は核酸分子の配列の組であり、
aとaa、bとbb、cとcc、dとdd、eとee、fとff、gとgg、hとhh、iとii、jとjj、kとkk、lとll、mとmm、nとnn、oとoo、pとpp、qとqq、rとrr、及び、sとssがそれぞれ同じ一塩基多型に対応する)
群A
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
群B
aa:配列番号753、
bb:配列番号754、及び/又は、配列番号772、
cc:配列番号755、
dd:配列番号756、
ee:配列番号757、
ff:配列番号758、
gg:配列番号759、
hh:配列番号760、及び/又は、配列番号773、
ii:配列番号761、及び/又は、配列番号774、
jj:配列番号762、及び/又は、配列番号775、
kk:配列番号763、
ll:配列番号764、
mm:配列番号765、
nn:配列番号766、及び/又は、配列番号776、
oo:配列番号767、
pp:配列番号768、
qq:配列番号769、
rr:配列番号770、ならびに
ss:配列番号771
上記のいずれかの一塩基多型を用いる場合、中でも、群Aにおいては、以下の一塩基多型を含む塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルを含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットが好ましく、
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配列番号240
群Bにおいては、以下の塩基配列からなる群より選択される塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットがが好ましい。
配列番号753、配列番号754、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号760、配列番号761、配列番号775、配列番号763、配列番号764、配列番号765、配列番号766、配列番号767、配列番号768、配列番号769、配列番号770、及び、配列番号771
なお、これらの塩基配列はハイリスクアレルの検出に用いられる核酸分子に対応する配列である。
本発明の緑内障に関連する一塩基多型の検出方法及び緑内障の進行リスクの予測方法において、任意の2つ以上の一塩基多型を組み合わせる場合、検出又はリスク予測に用いられるキットは、好ましくは配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、及び/又は、配列番号753〜1061で示される塩基配列からなる群より選択される、塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットであって、これらのうち2つ以上の異なる一塩基多型に対応するキットであり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、及び/又は、配列番号753〜776で示される塩基配列からなる群より選択される、塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットであって、これらのうち2つ以上の異なる一塩基多型に対応するキットであり、
さらに好ましくは、以下の、a〜sの一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、及び/又は、aa〜ssの塩基配列若しくは塩基配列の組からなる群Bより選択される、塩基配列若しくは塩基配列の組又はこれらの相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットであって、これらのうち2つ以上の異なる一塩基多型に対応するキットであり、
(ここで、a〜sで示される配列番号の組において、それぞれの配列の組が1つの一塩基多型に対応しており、それぞれの塩基配列は前記一塩基多型の互いに対立するアレルを31番目の塩基に含む塩基配列であり、
aa〜ssで示される配列番号又は配列番号の組において、それぞれの塩基配列又は塩基配列の組が1つの一塩基多型の検出に用いられる核酸分子の配列又は核酸分子の配列の組であり、
aとaa、bとbb、cとcc、dとdd、eとee、fとff、gとgg、hとhh、iとii、jとjj、kとkk、lとll、mとmm、nとnn、oとoo、pとpp、qとqq、rとrr、及び、sとssがそれぞれ同じ一塩基多型に対応する)
群A
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
群B
aa:配列番号753、
bb:配列番号754、及び/又は、配列番号772、
cc:配列番号755、
dd:配列番号756、
ee:配列番号757、
ff:配列番号758、
gg:配列番号759、
hh:配列番号760、及び/又は、配列番号773、
ii:配列番号761、及び/又は、配列番号774、
jj:配列番号762、及び/又は、配列番号775、
kk:配列番号763、
ll:配列番号764、
mm:配列番号765、
nn:配列番号766、及び/又は、配列番号776、
oo:配列番号767、
pp:配列番号768、
qq:配列番号769、
rr:配列番号770、ならびに
ss:配列番号771
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、及び/又は、前記配列の組からなる群Bより選択される塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットであって、これらのうち10個以上の異なる一塩基多型に対応するキットであり、
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット及び/又は、前記配列の組からなる群Bより選択される塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットであって、全ての異なる一塩基多型に対応するキットである。
また、組み合わせに用いる一塩基多型は連鎖不平衡状態にないものを用いることが好ましく、この観点からは、前記組み合わせの全ての態様において、
前記群Aについては、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、ならびに
h:配列番号217及び/又は配列番号218
からなる群に属する塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む塩基配列からなる群を群1の塩基配列とし、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、ならびに、
j:配列番号221及び/又は配列番号222
からなる群に属する塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む塩基配列からなる群を群2の塩基配列とし、
前記群Bについては、
配列番号755、
配列番号756、
配列番号757、
配列番号758、
配列番号759、ならびに、
配列番号760、及び/又は、配列番号773
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる群を群1の塩基配列とし、
配列番号761、及び/又は、配列番号774、ならびに、
配列番号762、及び/又は、配列番号775
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる群を群2の塩基配列とし、
群1に属する塩基配列を用いる場合には、群1中のいずれか1つの塩基配列をを含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットを用い、及び/又は、
群2に属する塩基配列を用いる場合には、群2中のいずれか1つの塩基配列を含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットを用いることが好ましい。
さらに、前記組み合わせの全ての態様において、群Aにおいては、以下の一塩基多型を含む塩基配列からなる群より選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルを含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットが好ましく、
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配列番号240
群Bにおいては、以下の塩基配列からなる群より選択される塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットが好ましい。
配列番号753、配列番号754、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配列番号759、配列番号760、配列番号761、配列番号775、配列番号763、配列番号764、配列番号765、配列番号766、配列番号767、配列番号768、配列番号769、配列番号770、及び、配列番号771
なお、これらの塩基配列はハイリスクアレルの検出に用いられる核酸分子に対応する配列である。
(2段階又は多段階にリスク予測を行う、緑内障進行リスクの予測方法)
本発明の一塩基多型を用いて緑内障の進行リスクの予測を行う際に、緑内障進行リスクの精密な予測が必要と考えられる候補者を選択し、次いで前記候補者に詳細なリスク予測を行うような、2段階又はそれ以上の多段階のリスク予測を行うことができる。
2段階又はそれ以上の多段階のリスク予測を行う場合、まず、本発明の一塩基多型の少なくとも1個、好ましくはいずれか1個ないし数個について前述の緑内障の進行リスク予測を行い、次いで、前述の本発明の一塩基多型の組み合わせを用いて詳細なリスク予測を行えばよい。必要に応じてさらに組み合わせの個数を増やし、リスク予測の精度を向上することもできる。このように2段階又はそれ以上の多段階にリスク予測を行うことにより、リスク予測に行う費用の低減化と高精度のリスク予測の両立が可能となる。
最初の段階のリスク予測は、簡便なリスク予測方法でよい。例えば、本発明の一塩基多型の少なくとも1つを検出可能なように、前記一塩基多型の少なくとも1つ、好ましくはいずれか1個ないし数個を検出可能なプローブを固層化した固層化プローブを用いるようなリスク予測方法は簡便であり、低コストで実現できる。なお、この場合の核酸抽出方法は、公知技術で実現可能な、又は市販の簡便な核酸抽出キットを用いることができる。このようなリスク予測に用いる固層化プローブは、例えば酵素標識したプローブを用い、比色法にて検出するような方法が簡便である。検出に用いるサンプルも、唾液、口腔粘膜細胞、尿、毛根、血液又は白血球等の比較的低侵襲で得られるものが好ましい。
次の段階のリスク予測は、精度を重視するリスクの予測方法が良い。例えば、前述の本発明の一塩基多型の2つ又はそれ以上を組み合わせて緑内障の進行に関連する一塩基多型の検出を行い、高精度のリスク予測を行えばよい。
このように2段階又は多段階にリスク予測を行うことで、コストを低減し、又は、最初の段階での被験者の負担を最低限としつつ、リスク予測の精度を向上することができる。
また、本発明で開示された緑内障進行例で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型をゲノム上に有する者は、緑内障が早期に進行するリスクが高く、緑内障進行例で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型を有さない者は、緑内障が早期に進行するリスクが低い。本発明によって緑内障が早期に進行するリスクが高い患者を選択し、緑内障治療薬の候補物質の臨床試験を行うことによって、当該緑内障治療薬の候補物質の臨床試験期間を短縮することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、実施例は本発明をより良く理解するために例示するものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されることを意図するものではない。なお、以下の実施例では、特に詳細な説明がない一般的に用いられる分子生物学的手法については、モレキュラークローニング (Joseph Sambrook et al., Molexular Cl oning - A Laboratory Manual, 3rdEdition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 20 01)などの成書に記載された方法及び条件が用いられる。
本発明では、緑内障と診断された患者、及び、緑内障ではないと診断され、かつ、問診によって緑内障家族歴を有さないと判断された非患者それぞれの血液から総DNAを抽出し、ヒトゲノム上の公知の一塩基多型約50万個を指標として疾患に関連する遺伝子座を解析し、疾患との関連の確認を行った。また、緑内障の進行が早い患者、即ち緑内障進行例と緑内障の進行が遅い患者、すなわち緑内障非進行例についても同様に一塩基多型の同定と進行との関連の確認を行った。
実施例1 検体からのDNAの抽出
検体からのDNAの抽出は市販の自動核酸抽出機 (キアゲン(QUIAGEN)社、バイオロボット (BIOROBOT(登録商標)) EZ1)を使用し、同抽出機に適合する、磁気ビーズに吸着させた核酸を磁気によって回収する核酸抽出キット(EZ1 DNA B lood 350μl Kit)を用いた。総DNAの抽出は機器及びキットの取扱説明書に従い実施した。本方法により、血液検体350μLから約5μgの総DNAを得た。
実施例2 一塩基多型の分析
一塩基多型の分析は、ヒトゲノム上の公知の一塩基多型約50万個の分析が可能な市販のマイクロアレイ型の一塩基多型分析キット(アフィメトリックス社 ジーンチップ ヒューマンマッピング500K(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K))(以下、マイクロアレイと記載)を使用した。一塩基多型の検出は同キットに適合するスキャン装置(アフィメトリックス社ジーンチップスキャナー3000(GeneChip(登録商標) Scanner 3000))を使用した。一塩基多型の分析は専用の分析ソフトウェア(アフィメトリックス社
ジータイプ(GTYPE(商標)))を使用した。
実施例1にて抽出した総DNAをキット及び機器の説明書に従って処理し、マイクロアレイ上に適用して検体から抽出したDNAに存在する一塩基多型を解析した。簡単に説明すると、総DNA 250ngを制限酵素NspIで処理したサンプルとStyI処理したサンプルを調製し、それぞれのサンプルの突出末端にアダプターを結合させ、PCR法にて増幅した。PCR産物を回収してDNaseIで断片化し、キットに含まれるラベリング試薬を用い、断片化したPCR産物の末端をビオチン標識した。標識済みの両断片化済みPCR産物にハイブリダイゼーション用の緩衝液を加え、99℃で10分間熱処理した後、49℃で1分間インキュベートし、最初に処理した制限酵素に応じてNspI処理サンプル用マイクロアレイ又はStyI処理サンプル用マイクロアレイ上に注入し、49℃で16〜18時間ハイブリダイズした。ハイブリダイズ終了後マイクロアレイをストレプトアビジン-フィコエリスリンにより染色した。前述のスキャン装置を用い、固層化されたアレル特異的プローブとハイブリダイズしたサンプル中の DNA末端にビオチン及びストレプトアビジンを介して結合したフィコエリスリンに由来する蛍光を読み込み、前述のソフトウェアで解析した。NspI処理サンプル用マイクロアレイ及びStyI処理サンプル用マイクロアレイにはそれぞれ約25万個の一塩基多型に対応するプローブがあらかじめ固層化されており、両者の結果を統合して1サンプルあたり約50万個の一塩基多型に対する解析結果とした。本方法によって、各々の一塩基多型の対立するアレルが同一操作で読み取られるため、この結果から遺伝子型を決定した。この場合、一塩基多型を構成する各々のアレルの両方のシグナルが検出されればヘテロ、いずれか一方のシグナルのみが検出されれば、当該検出されたアレルをホモに持つ遺伝子型とした。
なお、同キットの説明書に拠れば、同キットに固層化されているプローブは、ゲノムのセンス鎖に対するプローブ又はアンチセンス鎖に対するプローブが使用されている。また、同キットのデータシートに拠れば、HapMapプロジェクトで報告された一塩基多型と本キットで重複する一塩基多型について、270サンプルを用い本キットの判定結果とHapMapの判定結果を比較したところ、99%以上の一致率を示すことが記載されている。
実施例3 緑内障患者と非患者の一塩基多型の比較
疾患関連一塩基多型の比較は、クラインらが加齢黄斑変性症の原因遺伝子検討に用いた方法 (Science、308巻、385ページ、2005年) に準じて行った。
緑内障学会ガイドラインに基づき診断された原発開放隅角緑内障患者及び正常眼圧緑内障患者を緑内障患者群、問診によって緑内障家族歴がないことを確認した健常者を非患者群に割り付けた。緑内障患者群418例、非患者群300例から、研究内容について十分に説明した上で参加者の自由意志で得た同意の下に提供された血液を検体とし、実施例1に記載の方法で総DNAを抽出し、実施例2に記載の方法で一塩基多型の分析を行った。それぞれの患者について得られた一塩基多型の分析結果はリレーショナルデータベースを採用したLaboratory Information Management System(ワールドフュージョン社、LaboServer)に格納した。そのシステム内に一塩基多型の解析専用プログラムを作成、実装し、以下に述べる解析を行った。即ち、緑内障患者群及び非患者群のいずれにおいてもコールレートが90%未満の一塩基多型、緑内障患者群と非患者群のコールレートの差が5%以上の一塩基多型、マイナーアレル頻度が5%未満の一塩基多型、及び、カイ二乗検定によりp値1×10-4以下でハーディー・ワインバーグ平衡が成立していないと判定される一塩基多型を棄却することにより、実験的な信頼性が高いと考えられる一塩基多型を抽出し、当該一塩基多型について、群間のアレル頻度及び遺伝子型の頻度を比較した。アレル頻度及び遺伝子型の頻度はカイ二乗検定によって統計学的に比較を行った。p値1×10-3以下を示した一塩基多型については、遺伝子型判定の基となるクラスター画像の確認を行った。クラスターの分離が不明瞭にも関わらず遺伝子型判定がなされていた場合はその一塩基多型は解析対象外とした。すなわち、遺伝子型判定の誤りを本作業により除外した。クラスターの評価にあたり、一塩基多型名及び危険率の値は伏せて実施した。p値1×10-4以下、即ち- logPが4以上でアレル又は遺伝子型が緑内障との関連を示す一塩基多型を表1〜2に示す。なお、各表におけるそれぞれのアレルと疾患の関連のオッズ比、遺伝子型と疾患の関連のオッズ比は以下の式(1)〜(5)に基づいて算出した。
アレル頻度=その群における当該アレルの検出数/その群における全アレル検出数 式(1)
遺伝子型頻度=その群における当該遺伝子型の検出数/その群における全遺伝子型の検出数 式(2)
アレルのオッズ比=[(緑内障患者群における、緑内障患者群にて高頻度に認められるアレルの検出数)/(緑内障患者群における、緑内障患者群にて高頻度に認められるアレルと対立するアレルの検出数)]/ [(非患者群における、緑内障患者群にて高頻度に認められるアレルの検出数)/(非患者群における、緑内障患者群にて高頻度に認められるアレルと対立するアレルの検出数)] 式(3)
ホモ型の遺伝子型のオッズ比=[(緑内障患者群における、緑内障患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)/(緑内障患者群における、非患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)]/ [(非患者群における、緑内障患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)/(非患者群における、非患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)] 式(4)
ヘテロ型の遺伝子型のオッズ比=[(緑内障患者群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数)/(緑内障患者群における、非患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)]/ [(非患者群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数)/(非患者群における、非患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)] 式(5)
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表1及び2に得られた公知の一塩基多型を特定するdbSNP ID番号又はアフィメトリックスアレイID番号、アレル1及びアレル2を構成するそれぞれの塩基、エクソン・イントロン情報(一塩基多型が遺伝子上に存在する場合は遺伝子名及びSNPが存在するエクソン又はイントロンを示し、一塩基多型が遺伝子上に存在しない場合は、近傍遺伝子及び当該遺伝子と当該一塩基多型の間の距離を示す)、一塩基多型が存在する染色体番号、一塩基多型の物理的位置、アレルのカイ二乗検定によるp値(-logP)、緑内障患者群及び非患者群のハイリスクアレル頻度、ハイリスクアレルのタイプ(ハイリスクアレルがアレル1であるかアレル2であるかを示す)、アレルのオッズ比、遺伝子型のカイ二乗検定によるp値(-logP)、ホモ型及びヘテロ型の遺伝子型のオッズ比、ならびに、それぞれの多型部位におけるアレル1を含む配列の配列番号及びアレル2を含む配列の配列番号を示す。なお、前記dbSNP ID番号又はアフィメトリックスアレイID番号より、当業者はこれらの番号から当該一塩基多型の配列やアレルの情報を入手することができる。
表1〜2に記載したアレル又は遺伝子型の頻度は、家族歴のない非患者と緑内障患者を比較すると統計学的に差が認められた。これらの一塩基多型のいずれか一つについて、そのアレルを決定することにより、サンプル中に、非患者群よりも緑内障患者群で高頻度に認められるアレルが存在するか否かを判定できる。
具体的に、表1〜2に記載された最初の一塩基多型を例に説明すると、互いに相同な遺伝子座を占める配列番号1又は2で示される核酸分子には1箇所の多型部位が存在する。即ち、31番目の塩基がA(アレル1)又はG(アレル2)のいずれかである一塩基多型が緑内障の発症に関連し、ハイリスクアレルとして表示されているアレル1、すなわち、当該一塩基多型のAであるアレルが緑内障患者群において高頻度に認められる。さらに、アレルのオッズ比、ホモ及びヘテロ型の遺伝子型のオッズ比を用い、当該アレル又は遺伝子型を持つ場合に疾患リスクがどれだけ上昇するかを予測できる。同様に、表1〜2に開示される配列はいずれもその配列中に緑内障と関連する多型部位を有し、当該多型部位における一つのアレル又は少なくとも一つの遺伝子型が緑内障患者群において高頻度に認められる。
上記検討によってアレル又は遺伝子型と緑内障の関連がp値1×10-4以下となる一塩基多型を40個、ゲノム上の比較的近接した領域に集団で存在するような21個の領域を見出した。
表1〜2に記載された一塩基多型について、緑内障患者群において高頻度に認められるアレル又は遺伝子型は緑内障の発症リスクが高いことを示すマーカーとして用いることが可能となる。一方、当該アレルに対立するアレル又は当該遺伝子型以外の遺伝子型は緑内障の発症リスクが低いことを示すマーカーとして用いることが可能となる。
次に、表1〜2に示した一塩基多型の周辺の領域及び/又は遺伝子を、HapMapプロジェクトより提供されるデータベースを参考に決定した。すなわち、HapMapプロジェクトの日本人と中国人を併せた連鎖不平衡データを基に、表1〜2に示した一塩基多型と連鎖不平衡にあると考えられる一塩基多型が存在する領域を決定した。
また、表1〜2に示した一塩基多型が遺伝子を含む連鎖不平衡領域にある場合、当該領域の物理的位置と遺伝子名を決定した。一方、表1〜2に示した一塩基多型が遺伝子を含まない連鎖不平衡領域に存在する場合、当該領域の物理的位置のみを決定した。また、表1〜2に示した一塩基多型が連鎖不平衡領域を超える1つの遺伝子上に存在する場合は、当該遺伝子名のみを決定した。
各領域についてp値が最低となる一塩基多型をその領域を代表する一塩基多型とし、表3〜4に、各領域を代表する一塩基多型、当該領域が存在する染色体番号、当該領域の物理的位置(開始点及び終点)ならびに領域に含まれる遺伝子名を示す。
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表3〜4に記載した領域は、表3〜4中に記載された本発明の緑内障に関連する一塩基多型と連鎖していると考えられる領域又は遺伝子であり、これらの領域又は遺伝子中に存在する一塩基多型は本発明の一塩基多型と連鎖していると考えられる。即ちこれらの領域中に存在する任意の一塩基多型は当該領域内に存在する表3〜4に記載された一塩基多型と連鎖しており、これらの任意の一塩基多型についても同様に緑内障のリスク予測に用いることができる。
また、同様に、p値1×10-3以下、即ち-logPが3以上でアレル又は遺伝子型が緑内障との関連を示す一塩基多型を表5〜25に示す。
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表5〜25には、得られた公知の一塩基多型を特定するdbSNP ID番号又はアフィメトリックスアレイID番号、エクソン・イントロン情報(一塩基多型が遺伝子上に存在する場合は遺伝子名及びSNPが存在するエクソン又はイントロンを示し、一塩基多型が遺伝子上に存在しない場合は、近傍遺伝子及び当該遺伝子と当該一塩基多型の間の距離を示す)、当該一塩基多型が存在する染色体番号、当該一塩基多型の物理的位置、アレルのカイ二乗検定によるp値(-logP)、緑内障患者群及び非患者群のハイリスクアレルの頻度、アレルのオッズ比、遺伝子型のカイ二乗検定によるp値(-logP)、ならびに、ホモ型及びヘテロ型の遺伝子型のオッズ比を示す。なお、表中でオッズ比がNDと表示されている箇所は、分母となる検出数のいずれかが0であってオッズ比が算出不能であることを示す。
上記検討によってアレル又は遺伝子型と緑内障との関連がp値1×10-3以下となる一塩基多型413個を見出した。
表5〜25に記載したアレル又は遺伝子型の頻度は、家族歴のない非患者と緑内障患者を比較すると統計学的に差が認められた。これらの一塩基多型のいずれか一つについて、そのアレルを決定することにより、サンプル中に、非患者群よりも緑内障患者群で高頻度に認められるアレルが存在するか否かを判定できる。
実施例4 緑内障進行例と緑内障非進行例の一塩基多型の比較
実施例3と同様にして、緑内障進行例と緑内障非進行例の一塩基多型の比較を行った。
即ち、緑内障学会ガイドラインに基づき診断された原発開放隅角緑内障患者及び正常眼圧緑内障患者のうち、一定期間内に眼圧下降薬や手術などの眼圧下降治療にも関わらず視野欠損が進行した患者210例(緑内障進行例)、進行しなかった患者175例(緑内障非進行例)から、研究内容について十分に説明した上で参加者の自由意志で得た同意の下に提供された血液を検体とし、実施例3と同様に解析して群間のアレル頻度及び遺伝子型の頻度を比較した。アレル頻度及び遺伝子型の頻度も同様にカイ二乗検定によって統計学的に比較を行った。p値1×10-4以下、即ち-logPが4以上でアレル又は遺伝子型が緑内障の進行との関連を示す一塩基多型を表26〜28に示す。なお、各表におけるそれぞれのアレルと緑内障の進行との関連のオッズ比、遺伝子型と緑内障の進行との関連のオッズ比を以下の式(6)〜(8)に基づいて算出した。
アレルのオッズ比=[(緑内障進行群における、緑内障進行群にて高頻度に認められるアレルの検出数)/(緑内障進行群における、緑内障進行群にて高頻度に認められるアレルと対立するアレルの検出数)]/ [(緑内障非進行群における、緑内障進行群にて高頻度に認められるアレルの検出数)/(緑内障非進行群における、緑内障進行群にて高頻度に認められるアレルと対立するアレルの検出数)] 式(6)
ホモ型の遺伝子型のオッズ比=[(緑内障進行群における、緑内障進行群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)/(緑内障進行群における、緑内障非進行群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)]/ [(緑内障非進行群における、緑内障進行群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)/(緑内障非進行群における、緑内障非進行群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)] 式(7)
ヘテロ型の遺伝子型のオッズ比=[(緑内障進行群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数)/(緑内障進行群における、緑内障非進行群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)]/ [(緑内障非進行群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数)/(緑内障非進行群における、緑内障非進行群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)] 式(8)
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表26〜28に得られた公知の一塩基多型を特定するdbSNP ID番号又はアフィメトリックスアレイID番号、アレル1及びアレル2を構成するそれぞれの塩基、エクソン・イントロン情報(一塩基多型が遺伝子上に存在する場合は遺伝子名及びSNPが存在するエクソン又はイントロンを示し、一塩基多型が遺伝子上に存在しない場合は、近傍遺伝子及び当該遺伝子と当該一塩基多型の間の距離を示す)、当該一塩基多型が存在する染色体番号、当該一塩基多型の物理的位置、アレルのカイ二乗検定によるp値(-logP)、緑内障進行群及び緑内障非進行群のハイリスクアレル頻度、ハイリスクアレルのタイプ(ハイリスクアレルがアレル1であるかアレル2であるかを示す)、アレルのオッズ比、遺伝子型のカイ二乗検定によるp値(-logP)、ホモ型の遺伝型のオッズ比、ヘテロ型の遺伝子型のオッズ比、ならびにそれぞれの多型部位におけるアレル1を含む配列の配列番号及びアレル2を含む配列の配列番号を示す。なお、表中でオッズ比がNDと表示されている箇所は、分母となる検出数のいずれかが0であってオッズ比が算出不能であることを示す。
上記検討によってアレル又は遺伝子型と緑内障の進行との関連がp値1×10-4以下となる一塩基多型61個を見出した。
表26〜28に記載したアレル又は遺伝子型の頻度は、緑内障進行例と緑内障非進行例の間で統計学的な差が認められた。これらの一塩基多型のいずれか一つについて、そのアレルを決定することにより、サンプル中に、緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度に認められるアレルが存在するか否かを判定できる。
また、表26〜28に記載された一塩基多型について、緑内障進行群において高頻度に認められるアレル又は遺伝子型は緑内障の進行リスクが高いことを示すマーカーとして用いることが可能となる。一方、当該アレルに対立するアレル又は当該遺伝子型以外の遺伝子型は緑内障の進行リスクが低いことを示すマーカーとして用いることが可能となる。
また、同様に、p値1×10-3以下、即ち、-logPが3以上でアレル又は遺伝子型が緑内障の進行との関連を示す一塩基多型を表29〜51に示す。
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表29〜51には、得られた公知の一塩基多型を特定するdbSNP ID番号又はアフィメトリックスアレイID番号、エクソン・イントロン情報(一塩基多型が遺伝子上に存在する場合は遺伝子名及びSNPが存在するエクソン又はイントロンを示し、一塩基多型が遺伝子上に存在しない場合は、近傍遺伝子及び当該遺伝子と当該一塩基多型の間の距離を示す)、当該一塩基多型が存在する染色体番号、当該一塩基多型の物理的位置、アレルのカイ二乗検定によるp値(-logP)、緑内障進行群及び緑内障非進行群のハイリスクアレル頻度、アレルのオッズ比、遺伝子型のカイ二乗検定によるp値(-logP)、ならびに、ホモ型及びヘテロ型の遺伝子型のオッズ比を示す。なお、表中でオッズ比がNDと表示されている箇所は、分母となる検出数のいずれかが0であってオッズ比が算出不能であることを示す。
上記検討によってアレル又は遺伝子型と緑内障の進行との関連がp値1×10-3以下となる一塩基多型480個を見出した。
表29〜51に記載したアレル又は遺伝子型の頻度は、緑内障進行例と緑内障非進行例の間で統計学的な差が認められた。これらの一塩基多型のいずれか一つについて、そのアレルを決定することにより、サンプル中に、緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度に認められるアレルが存在するか否かを判定できる。
実施例5 特定された一塩基多型の周辺の配列決定法による新規一塩基多型の確認
表1〜2又は表26〜28に記載された一塩基多型の周辺の再シークエンスを行い、各一塩基多型が検出されることの確認、及び存在する可能性がある未知の一塩基多型の同定を行うことができる。再シークエンスは公知の如何なる方法でも実施し得るが、例えばダイレクトシークエンス法によって行うことができる。
実施例6
実施例3又は4にて同定された緑内障に関連する一塩基多型、又は、表1〜51に記載された一塩基多型の周辺に存在する公知の一塩基多型のアレルならびに遺伝子型を判定するために固層化プローブを作成することができる。公知の一塩基多型は例えば、dbSNPやJ SNPのデータベースから引用できる。固層化プローブには、例えば数個乃至数十万個程度の感度、特異性、再現性を最大化するようにデザインされたオリゴヌクレオチドプローブを搭載できる。固層化プローブは、例えば、固体の担体上でオリゴヌクレオチド合成する方法や、オリゴヌクレオチドを合成してから固体の担体上に高密度に固定していく方法などで製造することができる。
実施例7
実施例6にて製造した固層化プローブを使い、緑内障進行の有無を精度よく判定することができる。疾患に関連する一塩基多型を検出するプローブを複数組み合わせることにより、緑内障を進行するリスクがどの程度増加するかを評価する。ある閾値を超える場合は、緑内障を進行すると判定する。
また、実施例6にて製造した固層化プローブを使い、緑内障患者と非緑内障患者のゲノムに存在する一塩基多型を比較できる。距離が近い場所に存在する一塩基多型同士は、連鎖不平衡により連鎖して遺伝している可能性がある。固層化プローブにより表1〜2又は表26〜28に示した一塩基多型と連鎖している一塩基多型を同定することが出来る可能性があり、より緑内障と関連の強い一塩基多型を見出すことが期待できる。
実施例8 カスタムアレイの設計
第一種の過誤を低下させつつ検出力を保つため、実施例4の一次解析で同定された緑内障進行関連候補一塩基多型に対して、独自に設計した一塩基多型解析用アレイ(以下、カスタムアレイ)を用いて別途収集したサンプルの一塩基多型の二次解析を行った。
カスタムアレイには、イルミナ社の市販の一塩基多型分析キット(イルミナ社 アイセレクト ジェノタイピング ビーズチップ(iSelectTM Genotyping BeadChip)を使用した。実施例4でp値が1×10-3以下を示した緑内障進行関連一塩基多型531個に対して、これらの一塩基多型を特異的に検出するプローブの設計を試みた。これらのプローブはビーズを介して基板上に任意に固定されるため、ビーズの位置を特定する工程(デコーディング)が必要である。デコーディングの過程で位置の特定が不可であった一塩基多型検出用プローブについては解析対象から除外した。その結果、531個の一塩基多型のうち、477個の一塩基多型のタイピングが可能なカスタムアレイの作製が可能であり、前記カスタムアレイを後述する一塩基多型の分析に用いた。なお、ビーズアレイ法のInfinium(登録商標)アッセイの項で記載したように、本アッセイ法には1種類のプローブを用いる方法と2種類のプローブを用いる方法の2通りの方法がある。基本的に1つの一塩基多型の検出に1種類のプローブの使用であるが、一部の一塩基多型に対しては2つのプローブを使用した。
実施例9 カスタムアレイを用いた一塩基多型の分析
実験は、イルミナ社のカスタムアレイキット及び解析機器の説明書に従い、キットに含まれる専用試薬を用いて行った。以下に、簡単に実験手順を説明する。実施例1にて抽出した総DNA 150〜300ngにゲノム処理専用試薬と水酸化ナトリウム溶液を加えた。次いで、全ゲノム増幅酵素を加え、37℃で20〜24時間インキュベーションして全ゲノムを増幅させた。さらに、断片化酵素を加え、37℃で1時間インキュベーションした。イソプロパノールによりDNAを沈殿させた後、可溶化試薬を添加し、48℃、1時間懸濁した。95℃で20分間熱変性させ、カスタムアレイにこの溶液を注入し48℃で16〜24時間ハイブリダイズした。
ハイブリダイズ終了後、各プローブについてアレル特異的伸長反応又は一塩基伸長反応を行い、蛍光シグナルの増幅を行った。シグナルは、同キットに適合するスキャン装置(イルミナ社 BeadArray Reader)により読み取った。また、一塩基多型の分析には専用のソフトウェア(イルミナ社 BeadStudio 3.1)を使用した。本分析方法によって、各一塩基多型の対立するアレルが同時に判定可能であり、この分析結果を基に遺伝子型を決定した。各一塩基多型を構成するそれぞれのアレルのシグナルが両方検出されればヘテロ、いずれか一方のシグナルのみが検出されれば、当該検出されたアレルのホモ型とした。
イルミナ社の解析マニュアルであるInfinium(登録商標) Genotyping Data Analysisに従い、解析対象となる全ての一塩基多型について、蛍光シグナルの分布を示すクラスター画像を基に遺伝子型判定の正確性を確認した。正確に決定された一塩基多型の遺伝子型に対しては、蛍光シグナルは各々が完全に分離された3つのクラスター(2種のホモ型とヘテロ型)となって画像上に表示される。一方、正確に判定されなかった一塩基多型に対しては、3つのクラスターの境界線は不明瞭になる。解析ソフトウェアによってクラスター分離度が高くないと判定された場合、その一塩基多型のクラスター画像を再度確認した。クラスターが不明瞭にも関わらず遺伝子型の判定がなされている場合はそのサンプルは以後の解析作業より除外した。なお、クラスター画像を確認する際は、マスキング下にて、すなわち一塩基多型名ならびにp値を当該一塩基多型と照合できない状態で実施した。なお、二次解析に用いた本カスタムアレイと一次解析に用いたアフィメトリックス社 ジーンチップ ヒューマンマッピング500Kで重複する一塩基多型について、104サンプルを用いて遺伝子型判定の一致率を比較したところ、99%以上の一致率を示した。
実施例10 緑内障進行例と非進行例の遺伝子型判定
緑内障学会ガイドラインに基づき診断された原発開放隅角緑内障患者及び正常眼圧緑内障患者のうち、一定期間内に眼圧下降薬や手術などの眼圧下降治療にも関わらず視野欠損が進行した患者を緑内障進行群に割り当て、進行しなかった患者を緑内障非進行群に割り当てた。なお、視野欠損の進行判定には、The Advanced Glaucoma Intervention Studyで用いられた基準を参考にした(the AIGS investigators, Ophthalmology 1994;101:1445-1455.)。
本解析に対しては、一次解析として行った実施例4で使用した同じサンプルを用いず、新たなサンプルを収集した。実施例4とは異なる緑内障進行群110例、緑内障非進行群113例から、研究内容について十分に説明した上で参加者の自由意志で得た同意の下に提供された血液をサンプルとし、実施例1に記載の方法で総DNAを抽出し、実施例9に記載の方法で一塩基多型の分析を行った。それぞれのサンプルについて得られた一塩基多型の分析結果はリレーショナルデータベースを採用したLaboratory Information Management System(ワールドフュージョン社、LaboServer)に格納した。そのシステム内に一塩基多型の解析専用プログラムを作成、実装し、以下に述べる解析を行った。即ち、緑内障進行群及び緑内障非進行群のいずれにおいてもコールレートが90%未満の一塩基多型、マイナーアレル頻度が5%未満の一塩基多型を棄却することにより、実験的な信頼性が高いと考えられる一塩基多型を抽出した。
実施例11 メタ解析
メタ解析にはマンテル・ヘンツェル法を用いた(わかりやすい医学統計学、p48-80、森實敏夫、メディカルトリビューン社)。即ち、実施例4と実施例10に記載した方法の両方で実験的な信頼性が高いと考えられた464個の一塩基多型について、アレル頻度と2つの遺伝子型頻度(優性遺伝モデル、劣性遺伝モデル)をマンテル・ヘンツェルカイ二乗検定を用いて統計学的に比較を行った。p値が1.1×10-4以下(464回の多重比較を行った際のp<0.05に相当するボンフェローニ補正の水準)、即ち-logPが3.96以上でアレル、優性遺伝モデル、劣性遺伝モデルのいずれかで緑内障との関連を示す一塩基多型を表52に示す。
マンテル・ヘンツェルカイ二乗検定、ならびに、これらの一塩基多型に対するマンテル・ヘンツェル法のオッズ比、及び、95%信頼区間の算出は以下の手順で実施した。
アレルモデル、優性遺伝モデル、劣性遺伝モデルについて、マンテル・ヘンツェルカイ二乗値を求め、自由度1のカイ二乗分布と比較して、p値を算出した。
アレルモデルのマンテル・ヘンツェルカイ二乗値(χAMH 2)は、以下の式に従い計算した。
Figure 0005624763
優性遺伝モデルのマンテル・ヘンツェルカイ二乗値(χDMH 2)は、以下の式に従い計算した。
Figure 0005624763
劣性遺伝モデルのマンテル・ヘンツェルカイ二乗値(χRMH 2)は、以下の式に従い計算した。
Figure 0005624763
アレルモデル、優性遺伝モデル、劣性遺伝モデルについて、マンテル・ヘンツェル検定のオッズ比を計算した。
アレルモデルのマンテル・ヘンツェル検定のオッズ比(ORaMH)は、以下の式に従い計算した。
Figure 0005624763
優性遺伝モデルのマンテル・ヘンツェル検定のオッズ比(ORdMH)は、以下の式に従い計算した。
Figure 0005624763
劣性遺伝モデルのマンテル・ヘンツェル検定のオッズ比(ORrMH)は、以下の式に従い計算した。
Figure 0005624763
アレルモデル、優性遺伝モデル、劣性遺伝モデルについて、マンテル・ヘンツェル検定のオッズ比の95%信頼区間を計算した。
アレルモデルの95%信頼区間(95%CIA)は、以下の式に従い計算した。
Figure 0005624763
優性遺伝モデルの95%信頼区間(95%CId)は、以下の式に従い計算した。
Figure 0005624763
劣性遺伝モデルの95%信頼区間(95%CIr)は、以下の式に従い計算した。
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表52に得られた公知の一塩基多型を特定するdbSNP ID、一塩基多型が存在する染色体番号、一塩基多型の物理的位置、エクソン・イントロン情報(一塩基多型が遺伝子上に存在する場合は遺伝子名及び一塩基多型が存在するエクソン又はイントロンを示し、一塩基多型が遺伝子上に存在しない場合は、近傍遺伝子及び当該遺伝子と当該一塩基多型の間の距離を示す)、連鎖不平衡状態の情報(同一の連鎖不平衡領域に存在する一塩基多型に対して、LD1〜LD2の番号を付与した)、アレル1及びアレル2を構成するそれぞれの塩基、ハイリスクアレルの塩基、緑内障進行群及び緑内障非進行群のハイリスクアレル頻度、3種類のマンテル・ヘンツェル検定(アレル頻度、優性遺伝モデル、劣性遺伝モデル)の中で最もp値が低かった検定方法でのp値、その検定種類、オッズ比、95%信頼区間、それぞれの多型部位におけるアレル1を含む配列の配列番号及びアレル2を含む配列の配列番号、ならびに、二次解析の際に用いたプローブの核酸配列を示す配列番号(基本的に同一プローブによって両方のアレルを検出するが、2種類のプローブを用いてアレルを識別する場合は2つの配列番号を併記)を示す。なお、前記dbSNP ID番号より、当業者はこれらの番号から当該一塩基多型の配列やアレルの情報を入手することができる。
表52の一塩基多型のアレル又は遺伝子型の頻度は、緑内障非進行群と緑内障進行群を比較すると、マンテル・ヘンツェルカイ二乗検定によって統計学的に差が認められた。実施例4の場合と同様にこれらの一塩基多型のいずれか一つについて、そのアレルを決定することにより、サンプル中に、緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度に認められるアレルが存在するか否かを判定できる。
上記検討によってアレル又は遺伝子型と緑内障の関連がp値1.1×10-4以下となる一塩基多型を19個、ゲノム上の比較的近接した領域に集団で存在するような13個の領域を見出した。
表52に記載された一塩基多型について、緑内障進行群において高頻度に認められるアレル(即ちハイリスクアレル)又は遺伝子型(即ち、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、ハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型、ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合はハイリスクアレルのホモ型)は緑内障の進行リスクが高いことを示すマーカーとして用いることが可能となる。一方、当該アレルに対立するアレル又は当該遺伝子型以外の遺伝子型は緑内障の進行リスクが低いことを示すマーカーとして用いることが可能となる。
同様に、p値1×10-2以下、即ち-logPが2以上でアレル又は遺伝子型が緑内障進行との関連を示す一塩基多型を表53〜70に示す。
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表53〜70に記載された一塩基多型についても、同様に緑内障の進行リスクを予測するためのマーカーとして使用できる。
次に、表52に示した一塩基多型の周辺の領域及び/又は遺伝子を、HapMapプロジェクトより提供されるデータベースを参考に決定した。すなわち、HapMapプロジェクトの日本人と中国人を併せた連鎖不平衡データを基に、表52に示した一塩基多型と連鎖不平衡にあると考えられる一塩基多型が存在する領域を決定した。
また、表52に示した一塩基多型が遺伝子を含む連鎖不平衡領域にある場合、当該領域の物理的位置と遺伝子名を決定した。一方、表52に示した一塩基多型が遺伝子を含まない連鎖不平衡領域に存在する場合、当該領域の物理的位置のみを決定した。また、表52に示した一塩基多型が連鎖不平衡領域を超える1つの遺伝子上に存在する場合は、当該遺伝子名ならびにその遺伝子の物理的位置を決定した。
各領域についてp値が最小となる一塩基多型をその領域を代表する一塩基多型とし、表71〜81に、各領域を代表する一塩基多型、当該領域が存在する染色体番号、当該領域の物理的位置(開始点及び終点)ならびに領域に含まれる遺伝子名を示す。
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表71〜81に記載した領域は、表53〜70中に記載された本発明の緑内障の進行に関連する一塩基多型と連鎖していると考えられる領域又は遺伝子であり、これらの領域又は遺伝子中に存在する一塩基多型は本発明の一塩基多型と連鎖していると考えられる。即ちこれらの領域中に存在する任意の一塩基多型は当該領域内に存在する表53〜70に記載された一塩基多型と連鎖しており、これらの任意の一塩基多型についても同様に緑内障の進行リスク予測に用いることができる。
実施例11 ロジスティック回帰分析
本発明においては、緑内障の進行に関与すると判定された任意の一塩基多型を2つ以上組み合わせることにより、それぞれの一塩基多型を単独で用いた時に比べて、疾患の危険性の予測精度がどの程度向上するかについてロジスティック回帰分析を用いて検討した。本解析には、アレルあるいは遺伝子型の頻度を統計的に比較することにより、緑内障の進行に有意に関連すると判定された前記の一塩基多型のうち、任意の組み合わせを用いることができる。その一例として、ボンフェローニの補正を行っても有意差を示した19個の一塩基多型に対してロジスティック回帰分析を行った。
まず、ボンフェローニの補正で有意であった19個の一塩基多型の中から、ステップワイズ法によりロジスティック回帰分析に使用する一塩基多型のさらなる絞込みを行った。その際の変数取込・変数除去基準として0.01を採用した。また、ステップワイズ法の適用にあたり、同一のLDブロックに属する一塩基多型(表52において、連鎖不平衡の欄に同じ記載があるもの)については、各LDブロックに属するいずれか1つの一塩基多型で代表することとし、前記いずれか1つの一塩基多型が取込対象となるように設定した。絞り込まれた一塩基多型のそれぞれを独立変数(Π)とし(一方のアレルのホモ型=0、ヘテロ型=1、対立アレルのホモ型=2とする)、ロジスティック回帰分析により回帰係数(λ)を求め下記の式(18)を決定した。
式(18)
Φ=1/{1+exp[−(λ0+λ1Π1+λ2Π2+λ3Π3+・・・)]}
次に、各サンプルにおいて、それぞれの一塩基多型に対応する変数をこの式に代入しリスク予測値(Φ)を計算した。Φが0.5より大であるときにこのサンプルの提供者が進行リスクがあると判断した。この判定結果と当該一塩基多型を持つサンプル提供者が実際に緑内障進行例であったか否かを照合することにより一致率を算出した。さらに、取り込まれたそれぞれの一塩基多型単独、及び、2つ以上の任意の一塩基多型の全ての組み合わせについて、上記一致率を求め、組み合わせに用いた一塩基多型の個数ごとに一致率の平均値と標準偏差を求めた。表82に、単独および任意の個数の一塩基多型の組み合わせ、任意の個数を組み合わせる際の組み合わせ数、並びに、一致率の平均値及び標準偏差の関係を示す。なお、すべての計算は、SAS Institute Japan 株式会社の、Windows(登録商標)版SAS 9.1.3を用いて行った。
表82に示すように、ステップワイズ法により19個の一塩基多型(うち、同一LDブロックに属するもの同士をそれぞれ1つと考えると、13個)のうち10個に絞り込まれた(rs4316157、rs1358105、rs4076919、rs2395453、rs6132862、rs10483416、rs787433、rs4802905、rs12554461、rs4927088)。したがって、残りの3個の一塩基多型を追加しても10個の組み合わせと同様の結果が得られることを示している。これら10個の一塩基多型のうち、それぞれ単独あるいは任意の2つ以上の組み合わせに対して、ロジスティック回帰式を用いて個々の症例のリスク予測値(Φ)を算出した。リスク予測値に対するカットオフ値を0.5とすると、各一塩基多型を単独で使用した場合の一致率の平均値±標準偏差は57.6±2.4%であった。この一致率は組み合わせに用いる一塩基多型の数が増大するにしたがって増加し、10個すべてを組み合わせた際に最大値である67.8%に達した。
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このように、一塩基多型による緑内障進行リスクの判定は、各一塩基多型を単独で使用しても良好な一致率が得られるが、これらを組み合わせることによりさらに診断精度を向上させることができることが明らかとなった。
以上、本発明で開示された緑内障進行群で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型をゲノム上に有する者は、将来的に緑内障が進行するリスクが高く、緑内障進行群で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型を有さない者は、将来的に緑内障が進行するリスクが低い。
本発明の方法により、サンプル上の本発明の一塩基多型のアレル又は遺伝子型を分析することにより、サンプル提供者の緑内障の進行リスクの高低を判定することができる。このリスクに基づきサンプル提供者は緑内障の予防措置を講じ、又は適切な治療を受けることができる。また、本発明の緑内障の進行に関連する一塩基多型を用い、緑内障進行リスクが高い患者を選択して緑内障治療薬の臨床試験を行うことにより、緑内障治療薬の臨床試験の期間を短縮できるため、有用である。

Claims (18)

  1. 被検者由来のサンプルにおいて、配列番号307及び308で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程A)、ならびに
    前記工程Aで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号307及び308で示される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較する工程(工程B)
    を含み、
    前記工程Aで検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障の進行リスクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程Aで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合に緑内障の進行リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程Aで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合に緑内障の進行リスクが有ると判定される、緑内障の進行リスクの有無の判定方法。
  2. さらに、進行リスクの大小の予測を行う工程を含む、請求項記載の判定方法。
  3. 緑内障が原発開放隅角緑内障(POAG)又は正常眼圧緑内障(NTG)である、請求項1記載の判定方法。
  4. 被検者由来のサンプルにおいて、配列番号307及び308で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる核酸分子における、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程C1)、又は、配列番号810で示される塩基配列又はその相補的配列からなる塩基配列を含む核酸分子を用い、前記一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程C2)、ならびに
    前記工程C1又はC2で検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号307及び308で示される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型を含む少なくとも1つの核酸分子と比較する工程(工程D)
    を含み、
    前記工程C1又はC2で検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障の進行リスクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合に緑内障の進行リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合に緑内障の進行リスクが有ると判定される、緑内障の進行リスクの有無の判定方法。
  5. さらに、進行リスクの大小の予測を行う工程を含む、請求項記載の判定方法。
  6. 核酸分子をプローブとして用いる、請求項4又は5記載の判定方法。
  7. プローブが固定化されてなる、請求項記載の判定方法。
  8. 緑内障が原発開放隅角緑内障(POAG)又は正常眼圧緑内障(NTG)である、請求項記載の判定方法。
  9. 配列番号307及び308で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、ここで、該部分配列の長さが23塩基〜55塩基であり、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子、及び/又は、配列番号810で示される塩基配列又はその相補的配列からなる塩基配列を含む核酸分子を含有する、被検者由来のサンプルにおいて前記一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出するための、緑内障の進行リスクの有無の判定キット。
  10. 進行リスクの大小の予測をさらに行うための、請求項記載のキット。
  11. 核酸分子をプローブとして用いる、請求項9又は10記載のキット。
  12. プローブが固定化されてなる、請求項11記載のキット。
  13. 緑内障が原発開放隅角緑内障(POAG)又は正常眼圧緑内障(NTG)である、請求項記載のキット。
  14. 以下の工程を含む、緑内障の進行リスクの有無の判定方法。
    工程(i):被検者由来のサンプルから核酸分子を抽出する工程
    工程(ii):前記工程(i)で抽出された核酸分子に対し、配列番号307及び308で示される塩基配列又はその相補的配列から選択される少なくとも1つの塩基配列について、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルを検出する工程
    工程(iii):前記工程(ii)で検出されたアレルに基づき、緑内障の進行リスクの有無を判定する工程
  15. 工程(iii)が、工程(ii)で検出されたアレルに基づき、遺伝子型を決定する工程を含む、請求項14記載の判定方法。
  16. 工程(iii)が、工程(ii)で検出されたアレルが、ハイリスクアレルであるか否かを判定する工程を含む、請求項14又は15記載の判定方法。
  17. 工程(iii)が、工程(ii)で検出されたアレルがハイリスクアレルである場合に、緑内障の進行リスクが高いと判定される工程を含む、請求項16記載の判定方法。
  18. 配列番号307及び308で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、ここで、該部分配列の長さが23塩基〜55塩基であり、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型を含む核酸分子の、緑内障の進行リスクの判定のための使用。
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