JP2015180219A - 緑内障進行リスクの判定方法 - Google Patents
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Abstract
Description
基多型の存在の検出方法、及び該検出方法に用いるキットに関する。
ある。眼圧の上昇が緑内障における乳頭陥凹と視野障害の主要な原因であるとされる。一
方、眼圧が統計的に算出された正常範囲にとどまる緑内障も存在するが、この場合もその
個体にとって視野障害を生じるに十分高い眼圧であるため緑内障を発症すると考えられて
いる。
す原因を考慮する必要がある。このため、緑内障の診断には、眼圧の高低及びその原因に
よって緑内障のタイプを分類することが重要とされる。眼圧上昇を来す原因としては、眼
内を充たす房水の主要な排出経路である隅角の閉塞の有無が重要である。これらの観点か
ら原発性の緑内障は、隅角の閉塞を伴う閉塞隅角緑内障、隅角の閉塞を伴わない開放隅角
緑内障に大きく二分され、このうち開放隅角緑内障は、眼圧上昇を伴う狭義の開放隅角緑
内障、すなわち、原発開放隅角緑内障と眼圧が正常範囲にある正常眼圧緑内障に分類され
る。
家族歴があるとの報告もあり、一般的には20〜25%が遺伝的なものと解されている。この
ような報告に基づき、緑内障の原因遺伝子を探索する研究が行われており、その成果とし
てミオシリン(MYOC)遺伝子の変異が開放隅角緑内障に関連すること(特許文献1参照)、オ
プティニューリン遺伝子(OPTN)の変異が正常眼圧緑内障に関連することが報告された(非
特許文献1参照)。しかしながら、これらの遺伝子のみでは緑内障の遺伝的要因を全て説
明することはできず、なお未知の緑内障関連遺伝子の存在が予想される。
化する置換変異が見られ、当該変異がその生物種の集団においてある程度の頻度、一般的
に約1%以上の頻度で存在する。一塩基多型は遺伝子上のイントロン、エクソン、あるい
はこれら以外のゲノムの領域のいずれにも存在する。
らの検査では緑内障の確定診断には至らない。通常、これらに加えて視野検査が行われる
が、検査が長時間で患者に負担が大きいことや、検査に慣れが必要であるため初回の検査
結果の信頼性が低いなどの問題がある。
的な原因遺伝子は同定されていない。一方、単一の遺伝子の変異又は多型で疾患への関与
が説明できなくとも、緑内障への関与が比較的穏やかな遺伝子の変異又は多型が多数存在
し、それぞれが組み合わせられて作用することによって緑内障発症への遺伝的要因の関与
が説明できると考えられる。
に着目した。
者があることが経験的に知られている。このような緑内障の進行が早い患者が存在する理
由は不明であるが、遺伝的要因の関与が疑われる。緑内障の進行に関与する多型を見出す
ことにより、当該多型において緑内障の進行が早い患者で頻度の高い型を有する者は、緑
内障の進行リスクが高いことを予知し、より慎重な治療と高頻度の経過観察を行い、緑内
障の進行を管理するなど、治療計画の立案に用いることができる。さらに、緑内障治療薬
の候補物質が実際に緑内障治療薬に用いられるか否かを検討するための臨床試験は長期間
の試験を要するが、本発明の緑内障進行に関与する多型を有する患者を集めて臨床試験を
行うことにより、緑内障治療薬の候補物質の臨床試験の期間を短縮することが出来る。ま
た、このような臨床試験によって選択された緑内障治療薬は、進行が早い緑内障の治療に
特に有効である可能性がある。
進行リスクを予測する方法、及び該検出方法に用いるキットを提供することにある。
知の多型部位を網羅的に解析し、緑内障の進行に関連する一塩基多型を見出し、さらに、
当該一塩基多型において緑内障の進行が早い患者に高頻度に認められるアレルとその対立
アレル、各アレルの組み合わせである緑内障の進行が早い患者に高頻度に認められる遺伝
子型を見出した。またさらに、これらの緑内障の進行に関連する一塩基多型の複数を組み
合わせて判定を行うことにより、より高精度にサンプル提供者が緑内障の進行を生じやす
い者であるか否かの判定が可能であることを見出し、本発明を完成した。
〔1〕被検者由来のサンプルにおいて、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群
より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の
31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工
程A)、ならびに
前記工程Aで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号203〜752で示される塩基
配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較
する工程(工程B)
を含み、
前記工程Aで検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障リスクがある
と判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程A
で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型であ
る場合に緑内障リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う
場合、前記工程Aで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型
である場合に緑内障リスクが有ると判定される、緑内障リスクの有無の判定方法、
〔2〕被検者由来のサンプルにおいて、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群
より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる核酸分子におけ
る、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで
検出する工程(工程C1)、又は、配列番号753〜1061で示される塩基配列からなる群より
選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる塩基配列を含む核酸
分子を用い、前記一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工
程C2)、ならびに
前記工程C1又はC2で検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号203〜752で示
される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型を含む少なく
とも1つの核酸分子と比較する工程(工程D)
を含み、
前記工程C1又はC2で検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障リ
スクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、
前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホ
モ型又はヘテロ型である場合に緑内障リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが
劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリス
クアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合に緑内障リスクが有ると判定される、緑内障
リスクの有無の判定方法、
〔3〕配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つ
の塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、各
塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子、及び/又は、配列番号753〜106
1で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相
補的配列からなる塩基配列を含む核酸分子を含有する、被検者由来のサンプルにおいて前
記一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出するための、緑内障リスクの
有無の判定キット、
〔4〕以下の工程を含む、緑内障リスクの有無の判定方法。
工程(i):被検者由来のサンプルから核酸分子を抽出する工程
工程(ii):前記工程(i)で抽出された核酸分子に対し、配列番号203〜752で示される塩基
配列又はその相補的配列から選択される少なくとも1つの塩基配列について、各塩基配列
の31番目に存在する一塩基多型のアレルを検出する工程
工程(iii):前記工程(ii)で検出されたアレルに基づき、緑内障リスクの有無を判定する
工程
〔5〕配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つ
の塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、各
塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型を含む核酸分子の、
緑内障リスクの判定のための使用、
〔6〕被検者由来のサンプルにおいて、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群
より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の
31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工
程E)、ならびに
前記工程Eで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号203〜752で示される塩基
配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較
する工程(工程F)
を含み、
前記工程Eで検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障であると診断
され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程Eで検出
された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合
に緑内障であると診断され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工
程Eで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合に
緑内障であると診断される、緑内障の診断方法、ならびに
〔7〕以下の工程を含む、緑内障進行リスクの判定方法。
工程(I):請求項3記載の判定方法を用いて、緑内障進行リスクの有無判定を行う工程
工程(II):前記工程(I)において、少なくともいずれか一つの一塩基多型について進行リ
スクがあると判定された場合に、さらなるリスク判定が必要であると判定される工程
工程(III):前記工程(II)において、さらなるリスク判定が必要であると判定された場合
に、請求項5記載の判定方法を用いて、さらに緑内障進行リスクの有無判定を行う工程
に関する。
一塩基多型のアレル又は遺伝子型を分析することにより、サンプル提供者における緑内障
の進行リスクの有無を判定し、さらには、リスクの高低を予測することができる。このリ
スクに基づきサンプル提供者は緑内障の予防措置を講じ、又は適切な治療を受けることが
できる。また、本発明の緑内障の進行に関連する一塩基多型を用い、緑内障進行リスクが
高い患者を選択して緑内障治療薬の臨床試験を行うことにより、緑内障治療薬の臨床試験
の期間を短縮できるため、有用である。
まれる少なくとも1つの一塩基多型(以下、SNPと記載することもある)を用いて、前記一
塩基多型を少なくとも1つ有するアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程を
含む、緑内障リスクを判定する方法において、被検者由来のサンプルにおいて、前記工程
により検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、特定の塩基配列におけるハイリスクアレ
ルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較する工程をさらに含み、前記
検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障リスクがあると判定され、
あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記検出された遺伝子型
が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合に緑内障リスク
が有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記検出された
遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合に緑内障リスクが有
ると判定される、緑内障リスクの有無の判定方法である。本発明は、緑内障の進行に関連
する一塩基多型を見出し、さらに、当該一塩基多型において緑内障進行例に高頻度に認め
られるアレルとその対立アレル、各アレルの組み合わせであって緑内障進行例に高頻度に
認められる遺伝子型を見出し、これらを用いることに大きな特徴を有する。なお、本明細
書において多型とは、ある生物種におけるゲノムの特定の位置の配列に多様性が認められ
ることを言い、多型が存在する部位(以下、多型部位ともいう)とは、一塩基多型が認めら
れるゲノム上の部位を言う。
基を有するそれぞれの型を言う。本明細書において遺伝子型とは、ある多型部位において
、対立するアレルの組み合わせを言う。さらに、ある多型部位において、対立するアレル
の組み合わせである遺伝子型には3つの型があり、同じアレルの組み合わせをホモ型とよ
び、異なるアレルの組み合わせをヘテロ型とよぶ。
定されたものに対応する他のアレルを言う。
型又は緑内障の進行に関連する一塩基多型のことをいい、即ち、緑内障の発症に関連する
一塩基多型とは、当該一塩基多型におけるそれぞれのアレル又は遺伝子型の頻度が、緑内
障患者と非患者で統計学的にあるp値で有意に異なる一塩基多型を言い、緑内障の進行に
関連する一塩基多型とは、当該一塩基多型におけるそれぞれのアレル又は遺伝子型の頻度
が、緑内障進行例と緑内障非進行例で統計学的にあるp値で有意に異なる一塩基多型を言
う。
のうち、緑内障進行群において緑内障非進行群より頻度が高いアレルをいう。一方、本発
明においてローリスクアレルとは、ある多型部位においてハイリスクアレルに対立するア
レルをいう。
ルに関して同様に定義される。即ち、ある多型部位において、ハイリスクアレル又はロー
リスクアレル同士の組み合わせをホモ型とよび、ハイリスクアレルとローリスクアレルの
組み合わせをヘテロ型とよぶ。
といい、遺伝子型の頻度を比較する態様を遺伝子型モデルという。なお、遺伝子型モデル
には、優性遺伝モデルと劣性遺伝モデルがあり、前者はハイリスクアレルのホモ型とヘテ
ロ型が共に進行リスクに関与する態様を意味し、後者はハイリスクアレルのホモ型が進行
リスクに関与する態様を意味する。
とは、緑内障を罹患している(又は将来罹患する)場合に、疾患感受性によって決まる前記
緑内障の進行が早い可能性を言う。本発明において、リスクの予測とは、将来のリスクの
有無を現時点で判定し、又は、将来のリスクの大小を現時点で決定することを言う。
障(NTG)のことを意味し、開放隅角緑内障とは、特に断りなく使用された場合正常眼圧緑
内障を含まない狭義の原発開放隅角緑内障(POAG)を意味する。
、即ち緑内障進行例、及び、進行が遅い患者、即ち緑内障非進行例、それぞれの血液から
総DNAを抽出し、ヒトゲノム上の公知の一塩基多型約50万個を指標として、個々の一塩基
多型のアレル又は遺伝子型の緑内障進行例及び緑内障非進行例における頻度を比較するこ
とにより、候補となる一塩基多型を選択した。さらに、候補として選択された前記一塩基
多型について個々の一塩基多型のアレル又は遺伝子型の頻度を上述のサンプル群と異なる
緑内障進行例及び緑内障非進行例において取得し、これらの結果を統合することにより、
頻度の差が統計学的に高い有意性で認められる一塩基多型を見出した。なお、詳細は実施
例の項で説明するが、緑内障進行例とは、一定期間内に眼圧下降薬や手術による治療を施
しても視野の進行が見られる患者とし、緑内障非進行例とは、これらの治療により視野の
進行が阻止される患者とした。また、緑内障進行例からなる群を緑内障進行群、緑内障非
進行例からなる群を緑内障非進行群とした。これらの解析により見出された緑内障の進行
に関連する一塩基多型を有するアレル又は遺伝子型を用いることにより、緑内障の進行リ
スクの有無の判定及び進行リスクの大小の予測が可能となる。詳細は実施例の項にて説明
するが、以下のような方法により、本発明で開示された緑内障に関連する一塩基多型を同
定することができる。
まず、緑内障進行例、及び、緑内障非進行例、それぞれの血液から総DNAを抽出する。
血液中の総DNAは公知の任意の方法によって抽出することができるが、例えば細胞を溶解
して溶出させたDNAを、シリカでコーティングした磁性ビーズの表面に結合させ、磁気を
利用して分離、回収することによってDNAを抽出することができる。
るアレルの同定は、例えば後述の固層化プローブを用いる方法など、任意の方法で行うこ
とができる。その際、検出に用いるプローブは、目的とする一塩基多型及びその周辺の配
列情報を基に設計することができる。設計に当たっては、dbSNPのような公知の一塩基多
型のデータベースを用い、そこから得られる配列情報を参考にすることもできる。一塩基
多型の検出に用いるプローブは、ゲノムのセンス鎖に相補的なプローブであっても、アン
チセンス鎖に相補的なプローブであっても、いずれによっても検出できる。詳細は後述す
るが、ヒトのゲノム上に存在する一塩基多型を検出できるプローブを大量に固層化し、同
一操作で多数の一塩基多型のアレルを決定可能なキットも市販されており、このようなキ
ットを用いて効率よくサンプル中のアレルを決定することも可能である。また、このよう
なキットの多くは、一つのサンプルに含まれる対立する各々のアレルを同一操作で検出す
る構成になっており、遺伝子型を決定することができる。
例由来のDNAに存在するアレルを同定しておき、各アレルの頻度及び遺伝子型の頻度を緑
内障進行群対緑内障非進行群で統計学的に比較し、アレル頻度又は遺伝子型頻度の少なく
とも一方に、p値がある基準によって定められた有意水準を下回るような差が生じるか否
かをもって判定することができる。差が生じる場合には、これらの因子についてアレル頻
度又は遺伝子型頻度を緑内障進行群と緑内障非進行群で比較し、いずれのアレル又は遺伝
子型が緑内障進行群で高頻度に認められるかを決定する。
し行うことに起因する第一種の過誤は公知の補正方法、例えばボンフェローニの方法によ
って補正することができ、ボンフェローニの補正に基づく場合、例えば5×10-2のp値を
、検定の繰り返し回数、即ち、カイ二乗検定の比較対象となる多型の個数で割って有意水
準とすることができる。このようにして求めた有意水準を下回る一塩基多型をより好まし
い一塩基多型として選択することができ、また、他の公知の多重性の補正に用いられる方
法、例えばFDR法やパーミューテーション法も好ましい一塩基多型の選択に用いてもよい
。但し、ボンフェローニの補正等、公知の多重性の補正方法は繰り返し解析を行う事象が
完全独立を前提とした方法であり、一方、後述のように、一塩基多型には連鎖不平衡が認
められることから完全独立ではない場合が存在する。即ち、このような場合、ボンフェロ
ーニの方法で補正を行うと過剰補正になると考えられる。特に、本発明のような全ゲノム
に亘る一塩基多型解析に対しては、統計的に比較すべき要因が非常に多数であるため、多
重性の補正を行うとp値が著しく低下し、疾患との関連のある一塩基多型を見落とす可能
性が高まる(Schymick J C et al., Lancet Neurology. 2007;6: 322-8;Van Steen K et
al., Nature Genetics. 2005:37: 683-691)。学術的に望ましい多重性の補正方法は未だ
確立されていないが、他の補正方法としては、別の公知の補正方法による補正を行うか、
又は、ボンフェローニの補正による有意水準を下回らない範囲の任意の適切な水準に有意
水準を設定することができる。任意の適切な水準を設定する場合、例えば50万個の一塩基
多型を繰り返し解析する場合の有意水準は5×10-2が用いられ、1×10-2がより好ましく、
1×10-3がさらに好ましく、1×10-4がさらに好ましく、3×10-5がさらに好ましく、1×10
-5がさらに好ましい。後述のように本発明においては緑内障との関連が認められる一塩基
多型がゲノム上のある領域に連続して存在することが確認されていることからも、このよ
うな有意水準の調整が有用である。
一種の過誤を低下させつつ検出力を保つ方法としては、一塩基多型解析を二段階に分割し
て実施することが挙げられる(Skol A.D. et al., Nature Genetics. 2006:38: 209-213)
。例えば、ある一定数のサンプルに対して一塩基多型解析を行う場合、まず、一次解析と
して、その一部のサンプルに対して全ゲノムに亘る多数の一塩基多型解析を行い、次いで
、二次解析として、残りのサンプルに対して、一次解析である程度絞り込んだ一塩基多型
を用いて解析を行う。この場合、いずれの解析においても比較的低いp値、例えば0.05と
なるような一塩基多型を選択すればよく、好ましくは、最初の解析において候補となる一
塩基多型を一定の有意水準で選択し、当該選択された一塩基多型について、別のサンプル
を用いてさらに解析すればよい。一方で、一次解析と二次解析の結果を個別に統計解析す
るのではなく、これらを統合して解析することはより好ましい。このような場合には、公
知のメタ解析の手法、例えば、マンテル・ヘンツェル法(Mantel N et al., Journal of t
he National Cancer Institute 1959:22: 719-748)によって、2回の解析結果を統合す
ることができる。マンテル・ヘンツェル法などのメタ解析の手法によって解析結果を統合
する際には、個々の解析における一塩基多型の選択を行う有意水準はボンフェローニ補正
の水準である必要はなく、絞込みの効率等を考慮して設定しても良い。一方、マンテル・
ヘンツェル法などのメタ解析手法によって統合されたp値を用い、有意であるか否かの判
断を行う際には、多重性を意識した有意水準とすることは好ましい。なお、マンテル・ヘ
ンツェル法とは、カイ二乗検定等を行う際に、複数回の解析によって得られた結果に対し
て重み付けを行い、解析結果を統合する方法である。マンテル・ヘンツェル法によって統
合される統計学的なパラメーターには、p値の他に、後述のオッズ比等が挙げられる。
の一塩基多型が1回の操作で検出されるマイクロアレイを用い1回の解析で得られた結果
に基づく場合、好ましくはp値が1×10-3以下である一塩基多型であり、より好ましくは
p値が3×10-4以下である一塩基多型であり、さらに好ましくはp値が1×10-4以下である
一塩基多型であり、さらに好ましくは、p値が3×10-5以下である一塩基多型である。マ
ンテル・ヘンツェル法などのメタ解析手法によって、複数の解析結果を統合して得たもの
である場合には、好ましくはp値が1×10-2以下である一塩基多型であり、より好ましく
はp値が3×10-3以下である一塩基多型であり、さらに好ましくはp値が1×10-4以下であ
る一塩基多型であり、さらに好ましくはp値が3×10-4以下である一塩基多型である。
とが望ましい。例えば全サンプルに対する各一塩基多型の判定率、すなわちコールレート
が低い多型部位はタイピングエラーが発生している率が高く、信頼性が高くない。このた
め、コールレートが十分に高い一塩基多型部位を用いて解析することが望ましい。一塩基
多型の採否の基準とするコールレートとしては、例えば好ましくは70%、より好ましくは
75%、さらに好ましくは80%、さらに好ましくは85%、さらに好ましくは90%以上のコー
ルレートを示す一塩基多型を採用することが望ましい。
ナーアレル頻度がある。
十分な個体数を持つ遺伝的に均一な集団においては、ある遺伝子座における各対立遺伝子
の分布頻度は世代を重ねても一定であることを言う。ハーディー・ワインバーグ平衡が成
立しているか否かは、いくつかの公知の方法、例えばカイ二乗検定やフィッシャーの直接
確率計算法によって確認することができる。十分な数の集団では、1回の任意交配によっ
てハーディー・ワインバーグ平衡が成立する、すなわち、近親交配が存在しない限りハー
ディー・ワインバーグ平衡は成立していると考えられる。このため、一般的には、母集団
におけるハーディー・ワインバーグ平衡の成立を前提に、標本の遺伝子型判定のエラーを
検出する目的でハーディー・ワインバーグ平衡の検討が用いられる。しかし、全体として
ハーディー・ワインバーグ平衡が成立していたとしても、ある遺伝子座において疾患群又
は対照群において特定の遺伝子型が偏って存在する場合、例えば、特定の遺伝子型が疾患
に対して支配的な影響を有する場合などがあるため、疾患関連遺伝子の探索を行う場合に
は、本検討を省略することも可能である。
の頻度の内、頻度が低い方のアレルの頻度のことを言う。閾値は任意に設定することが可
能である。前述のように一塩基多型の概念は、マイナーアレル頻度が約1%を上回るもの
であるから、マイナーアレル頻度が1%を下回る一塩基多型は棄却することが望ましい。
一方、疾患群においてアレル頻度が極めて高い、又は極めて低いアレルは疾患に対して支
配的な影響を持つ可能性がある。多因子疾患の原因となる多型の探索においては疾患への
相対的な関与が比較的低い多型が複数個関与していると考えられることから、このような
多型を探索する目的では、一定以下の頻度、例えば5%未満のマイナーアレルを除外して
解析することも望ましい手段となり得る。逆に、疾患に支配的影響を有する多型の探索を
行うには、マイナーアレル頻度による棄却を行わないことも有効である。
配列のデータベース、又は、dbSNPのような公知一塩基多型のデータベースを参照するこ
とにより、その一塩基多型が存在するゲノム上の位置、配列情報、一塩基多型が存在する
遺伝子又は近傍に存在する遺伝子、遺伝子上に存在する場合にはイントロン又はエクソン
の区別やその機能、他の生物種における相同遺伝子などの情報を得ることができ、これら
の情報を元に本発明において用いる核酸分子を取得し、本発明に用いるプローブなどを設
計することができる。
る基準として、ハイリスクアレルが定義される。前述のように、本発明において、ハイリ
スクアレルとは、緑内障と関連する一塩基多型の各アレルのうち、緑内障進行群において
緑内障非進行群より頻度が高いアレルをいい、、本発明においてローリスクアレルとは、
ある多型部位においてハイリスクアレルに対立するアレルをいう。
について進行リスクを有すると判断される。
又は劣性遺伝モデルに従うかを考慮して進行リスクが判断される。ある多型部位において
、ハイリスクアレルのホモ型とヘテロ型の頻度が緑内障非進行群に比べて緑内障進行群に
おいて有意に高い場合、これらの遺伝子型は優性遺伝モデルに従うという。ハイリスクア
レルが優性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型の場合に
当該一塩基多型について進行リスクを有すると判断される。一方、ハイリスクアレルのホ
モ型の頻度が緑内障非進行群に比べて緑内障進行群において有意に高い場合、これらの遺
伝子型は劣性遺伝モデルに従うという。ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合に
は、ハイリスクアレルのホモ型の場合に当該一塩基多型について進行リスクを有すると判
断される。
うにローリスクアレルは、ハイリスクアレルに対立するアレルであり、即ち、緑内障非進
行群において高頻度に認められるアレルである。アレルによって判定を行う場合、ローリ
スクアレルを持たないことにより、当該一塩基多型について進行リスクを有すると判断さ
れる。
クアレルが優性遺伝モデルに従うか、又は劣性遺伝モデルに従うかを考慮して進行リスク
が判断される。ある多型部位において、ローリスクアレルのホモ型とヘテロ型の頻度が緑
内障進行群に比べて緑内障非進行群において有意に高い場合、これらの遺伝子型は優性遺
伝モデルに従うという。ローリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合には、ローリスク
アレルのホモ型又はヘテロ型でない場合に当該一塩基多型について進行リスクを有すると
判断される。一方、ローリスクアレルのホモ型の頻度が緑内障進行群に比べて緑内障非進
行群において有意に高い場合、これらの遺伝子型は劣性遺伝モデルに従うという。ローリ
スクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、ローリスクアレルのホモ型でない場合に当
該一塩基多型について進行リスクを有すると判断される。
意であると判断されたp値が求められた手法と同じ手法を用いることができる。有意であ
ると判断されたp値が求められた手法が1つの一塩基多型について複数存在する場合には
、いずれを用いても良いが、好ましくは最も低いp値が計算された手法と同じ手法を用い
る。
の間にどの程度強い関連が存在するかの指標として、相対危険度又はオッズ比が用いられ
る。
たない群での発症率の比である。一方、オッズ比とは、一般に患者群における危険因子を
持つ人の割合と持たない人の割合の比、即ちオッズを、非患者群において同様に求めたオ
ッズで除したものであり、本発明のようなケース・コントロール研究において用いられる
ことが多い。本発明においてオッズ比はアレル頻度と遺伝子型頻度に基づいて求められる
。即ち、進行に関連する一塩基多型のオッズ比とは、緑内障進行群における、あるアレル
又は遺伝子型の頻度と他のアレル又は遺伝子型の頻度の比を、緑内障非進行群において同
様にして得られる頻度の比で除したものである。本発明においては、これらの指標により
、あるアレル又は遺伝子型を有すると、それ以外のアレル又は遺伝子型を有する場合に比
べて、緑内障が進行するリスクがどの程度増加するかを予測することができる。例えば、
ある一塩基多型の特定のアレルのオッズ比が1より大きい場合には、当該アレルは緑内障
進行群において高頻度に認められるアレルであり、オッズ比が大きいほど当該アレルを有
するサンプル提供者の緑内障進行のリスクは高い。一方、アレルのオッズ比が1より小さ
い場合には、当該アレルは疾患において高頻度に認められるアレルの対立アレルであり、
オッズ比が小さいほど当該アレルを有するサンプル提供者の緑内障進行のリスクは低い。
遺伝子型についても同様に疾患のリスクを予測することができる。
値が常に1より大となる。このようにハイリスクアレルを持つ場合に1より大になるよう
にオッズ比を定義することにより、複数の一塩基多型を組み合わせてリスク予測すること
が容易になる。
ズ比は緑内障進行群におけるハイリスクアレルの頻度とローリスクアレルの頻度の比を、
緑内障非進行群におけるハイリスクアレルの頻度とローリスクアレルの頻度の比で除した
ものとして求めればよい。遺伝子型におけるオッズ比を求めるには、ハイリスクアレルが
優性遺伝モデルに従うか、又は劣性遺伝モデルに従うかを考慮してオッズ比が求められる
。即ち、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合には、ハイリスクアレルのホモ型
及びヘテロ型が危険因子となり、ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合には、ハ
イリスクアレルのホモ型が危険因子となる。よって、ハイリスクアレルが優性遺伝モデル
に従う場合のオッズ比は緑内障進行群におけるハイリスクアレルのホモ型の頻度とヘテロ
型の頻度の和を求め、前記の和とローリスクアレルのホモ型の頻度の比を、緑内障非進行
群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。ハイリスクアレルが劣性遺伝モ
デルに従う場合には、緑内障進行群における、ローリスクアレルのホモ型の頻度とヘテロ
型の頻度の和を求め、ハイリスクアレルのホモ型の頻度と前記和の比を、緑内障非進行群
において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。
ができる。前述のように、オッズ比が1以上と以下ではリスク予測に対する意味が逆転す
る。よって、オッズ比の95%信頼区間を求め、その信頼区間に1を含む場合、そのような
オッズ比のリスク予測に対する信頼性は高いとは言えない。
も、オッズ比の大小を用いてそのリスクの大小を予測することができる。
オッズ比を求めることができる。
(RA1combRA2comb)/(RA3combRA4comb)
ただし、
RA1comb:緑内障進行群において、少なくとも一つのアレルがハイリスクアレルである場
合のアレル頻度
RA2comb:緑内障進行群において、いずれのアレルもローリスクアレルである場合のアレ
ル頻度
RA3comb:緑内障非進行群において、RA1combに対応するアレル頻度
RA4comb:緑内障非進行群において、いずれのアレルもローリスクアレルである場合のア
レル頻度
と、それぞれの一塩基多型のハイリスクアレルを共に保有する、又は、いずれか一つを保
有する緑内障進行群の頻度を、いずれのハイリスクアレルも保有しない緑内障進行群の頻
度で除することでオッズが求められる。同様に求めた緑内障非進行群におけるオッズとの
比を算出することにより、一塩基多型の組み合わせの場合のオッズ比を求めることができ
る。
リスクアレルが優性遺伝モデルに従うか、あるいは劣性遺伝モデルに従うかを考慮してオ
ッズ比が求められる。
せた際のオッズ比を求めることができる。
(RGd1combRGd2comb)/(RGd3combRGd4comb)
ただし、
RGd1comb:緑内障進行群において、少なくとも一つの遺伝子型がハイリスクアレルのホモ
型又はヘテロ型の頻度
RGd2comb:緑内障進行群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻度
RGd3comb:緑内障非進行群において、RGd1combに対応する遺伝子型の頻度
RGd4comb:緑内障非進行群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻
度
ズ比は、緑内障進行群において、2つの一塩基多型のいずれかがハイリスクアレルのホモ
型又はヘテロ型である頻度と2つの一塩基多型のローリスクアレルが共にホモ型である頻
度の比を、緑内障非進行群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。
せた際のオッズ比を求めることができる。
(RGr1combRGr2comb)/(RGr3combRGr4comb)
ただし、
RGr1comb:緑内障進行群において、少なくとも一つの遺伝子型がハイリスクアレルのホモ
型の頻度
RGr2comb:緑内障進行群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻度
RGr3comb:緑内障非進行群において、RGr1combに対応する遺伝子型の頻度
RGr4comb:緑内障非進行群において、いずれの遺伝子型もローリスクアレルがホモ型の頻
度
緑内障進行群において、2つの一塩基多型のいずれかのハイリスクアレルがホモ型である
頻度と2つの一塩基多型のローリスクアレルが共にホモ型である頻度の比を、緑内障非進
行群において同様に求めた頻度の比で除して求めればよい。なお、一塩基多型の組み合わ
せのオッズ比は、異なる遺伝形式を持つ一塩基多型を組み合わせて算出することもできる
。
に比べてオッズ比は増加する。したがって、2つ以上の一塩基多型の組み合わせにより、
緑内障の進行リスクのより高いサンプル提供者を同定することとなり、一塩基多型を単独
で用いた場合に比べて予測精度の向上が可能となる。
るために、多変量解析法を用いることができる。多変量解析法としては、ロジスティック
回帰分析法、判別分析法、重回帰分析法、比例ハザード分析法など当業者に周知の方法を
用いることができるが、なかでも、緑内障が進行するリスクがある・ないなどの二値変数
を扱う場合には、ロジスティック回帰分析法が有効である。
(Π)がどの程度寄与するかを解析する方法である(わかりやすい医学統計学、p148-179、
森實敏夫、メディカルトリビューン社)。ロジスティック回帰分析を行うことにより、各
独立変数に対する回帰係数(λ)を求めることができるが、この回帰係数はそれぞれの独立
変数が従属変数をどの程度説明するかを示す指標として利用することができる。また、こ
の回帰係数を以下の式に代入することにより、各独立変数が得られた際の従属変数を算出
することができる。
Φ=1/{1+exp[−(λ0+λ1Π1+λ2Π2+λ3Π3+・・・)]}
なお、ロジスティック回帰分析を行うに際して、ステップワイズ法などを用いて、あらか
じめ解析に用いる独立変数Πを絞り込むことができる。ステップワイズ法とは、任意の独
立変数Πを追加することによって、回帰係数が最大化するように独立変数Πを選択する手
法である。つまり、任意の独立変数Πを追加することにより回帰係数が最大化した後は、
さらに別の独立変数Πを加えても同じ結果が得られることを意味する。
組み合わせることにより、それぞれの一塩基多型を単独で用いた時に比べて、進行リスク
の予測精度がどの程度向上するかを知ることができる。即ち、前記任意の2つ以上の一塩
基多型のそれぞれを独立変数Πとし(一方のアレルのホモ型=0、ヘテロ型=1、対立ア
レルのホモ型=2とする)、ロジスティック回帰分析により上記の式を求める。各サンプ
ルにおいて、各一塩基多型に対する変数をこの式に代入し従属変数Φを計算する。従属変
数Φが一定の閾値(例えば0.5)より大であるときにこのサンプルの提供者が緑内障進行例
であると判断する。この判定結果と当該一塩基多型を持つサンプル提供者が実際に緑内障
進行例であったか否かを照合する。本発明の一塩基多型の2つ以上の組み合わせによって
、一致する割合が向上することを確認することにより、組み合わせによる精度向上を確認
することができる。
なく、連鎖して遺伝することがある。ある集団において、交配による組み換えが行われて
いるにも関わらずこのような連鎖が保持されている状態を連鎖不平衡と呼び、連鎖が保持
されている単位をハプロタイプブロック又はLDブロックと呼ぶ。
近傍に集中して存在する場合があることが見出されている。これらの領域は緑内障に関連
するLDブロックに属していると考えられる。緑内障に関連するLDブロックを決定する
ためには、その領域に存在する一塩基多型をなるべく多数前述の方法にて解析し、LDブ
ロックを決定するためのアルゴリズム、例えばEMアルゴリズムを適用することによって決
定できる。又は、公知のLDブロックに本発明の緑内障に関連する一塩基多型が属してい
る場合、そのLDブロックを緑内障に関連するLDブロックとすることができる。公知の
LDブロックは、カルフォルニア大学サンタクルーズ校がインターネットのウェブ上で提
供するGenome Browserなどで閲覧することができる。
された緑内障に関連する一塩基多型と連鎖することから、同様に緑内障に関連する一塩基
多型と考えられ、緑内障の発症又は進行リスクの予測に用いられる。また、緑内障に関連
するLDブロック内、又は、本発明者らの実験によって同定された緑内障に関連する一塩
基多型の周辺の配列を再決定することにより、当該一塩基多型と連鎖する、即ち緑内障の
発症又はその進行と関連する未知の一塩基多型が見出される可能性もある。見出された一
塩基多型が実際に緑内障の発症又はその進行と関連するか否かは、これまでの説明と同様
にそのアレル又は遺伝子型の頻度を疾患群と対照群で比較することにより判定することが
できる。
れることをいう。翻訳領域型一塩基多型(cSNP)とは、タンパクに翻訳される領域に一塩基
多型が存在するもののうち、当該一塩基多型を含むコドンが他のアミノ酸をコードするコ
ドンや終止コドンに変異するなど、アミノ酸配列に変化を伴うものをいう。サイレント型
一塩基多型(sSNP)とは、翻訳領域に一塩基多型が認められるもののうち、アミノ酸配列の
変化を伴わないものをいう。ゲノム型一塩基多型(gSNP)とは、ゲノム上の遺伝子をコード
しない領域に一塩基多型が存在することをいう。転写調節型多型(rSNP)とは、転写調節
に関与すると考えられる部位に存在する一塩基多型をいう。
の場合も疾患との関連を有し得る。イントロン又は非翻訳領域に一塩基多型が存在する場
合は、遺伝子発現制御に影響する場合や、遺伝子の転写後に起こるスプライシングやmRNA
の安定性に影響することがある。翻訳領域に一塩基多型が存在する場合は、その塩基の置
換によってあるアミノ酸に対応するするコドンが別のアミノ酸に対応するコドンに変化す
る、又は、終止コドンに変化するなどの変化が生じ、これによってコードされるタンパク
質の構造に変化が生じることがある。これらの変化によって遺伝子の発現量や機能、ひい
ては当該遺伝子がコードするタンパクの発現量又は機能に変化が生じ、種々の疾患の原因
になり得る。ゲノム型一塩基多型が疾患と関連する場合は、当該多型部位を含む領域が実
際には翻訳され、他の遺伝子の発現に何らかの影響を及ぼしている可能性がある。サイレ
ント型一塩基多型が疾患と関連している場合、その一塩基多型の周辺に疾患と関連する別
の多型が存在し、当該多型とサイレント型一塩基多型が連鎖している場合に疾患との関連
が認められることが考えられる。同様に、サイレント型一塩基多型以外の一塩基多型であ
っても、当該一塩基多型自体は直接的な緑内障の原因ではなく、周辺に存在する緑内障の
真の原因である多型と連鎖している場合にも、これらの一塩基多型と緑内障の関連が認め
られることがある。このような場合には、後述のように、本発明の一塩基多型の周辺を再
シークエンスすることによって、緑内障の原因である多型を見出すこともできる。しかし
ながら、疾患の真の原因となるか否かに関わらず、いずれの場合も、緑内障の進行リスク
を予測する目的でこれらの一塩基多型を使用することができる。
本発明のある態様では、緑内障と関連する一塩基多型を含む核酸分子、及び、緑内障と
関連する一塩基多型を含む核酸分子に相補的な配列を有する核酸分子が提供される。
を有する核酸分子は緑内障進行リスクの高低を判定するマーカーとして用いることが出来
る。さらにこれらの核酸分子は、当該一塩基多型における、緑内障進行例において高頻度
に認められるアレル若しくはその対立アレルを検出し、又は、遺伝子型を決定するための
プローブとして用いることができる。また、当該一塩基多型がエクソン上又はその近傍に
存在する場合には、これらの核酸分子は遺伝子の転写物の検出に用いることができる。
鎖の二重鎖で構成されている。即ち、一塩基多型もセンス鎖とアンチセンス鎖に存在して
おり、いずれの鎖の一塩基多型を検出することも同じ意味を持つから、本発明の核酸分子
はこれらのいずれをも含む。
のいずれかを含む核酸分子、後述の表3〜4に記載された連鎖不平衡データなどを基に決
められた領域又は遺伝子上に存在する任意の一塩基多型を含む核酸分子、及び、これらの
核酸分子に相補的な核酸分子は全て本発明の核酸分子に含まれる。
28又は表52〜70に記載された一塩基多型を含む核酸分子又はその相補的な核酸分子
であり、かつ、当該一塩基多型がgSNPの場合には、センス鎖の上流側の公知の一塩基多型
の次の塩基から下流側の公知の一塩基多型の一塩基前の塩基までの配列からなる核酸分子
又はその相補的配列からなる核酸分子であり、当該一塩基多型がiSNP、sSNP又はcSNPの場
合には、当該一塩基多型を含むゲノム上の遺伝子全長からなる核酸分子、その相補的配列
からなる核酸分子、当該一塩基多型を含む相補DNA(cDNA)分子又はその相補的配列からな
る核酸分子であり、当該一塩基多型がrSNPの場合には、センス鎖の上流側の公知の一塩基
多型の次の塩基から、当該一塩基多型が存在するプロモーター領域の下流に存在する遺伝
子全長からなる核酸分子又はその相補的配列からなる核酸分子である。
かを問わず、これらの混合配列を含む核酸分子もまた本発明に含まれる。本発明の核酸分
子にリボ核酸を用いる場合には、本発明の核酸分子の配列(相補的配列を含む)において、
チミンはウラシルに読み替えてもよいものとする。また、これらの核酸分子に、本発明に
用いるための機能を損なわない範囲で、必要に応じ化学修飾を施すことができる。この場
合の機能とは、核酸分子を使用する目的を達成する機能を言う。
れた情報をデータベースで検索して得られる配列情報に基づき、公知の方法、例えばホス
ホロアミダイト法を用いて合成することができる。市販のDNA合成機を用いて合成するこ
とも可能である。また、本発明の核酸分子はヒト由来のDNAを含むサンプルから、PCR法な
どの公知の方法により、又は、一部の核酸分子についてはヒト由来のRNAを含むサンプル
から、RT-PCR法などの公知の方法により取得することができる。取得に必要なプライマー
は当業者であれば本明細書に開示された配列情報、又は、本明細書に開示されたデータベ
ースのIDから検索可能な配列情報に基づき設計することができる。例えばPCR法を用いる
場合には、目的とする核酸分子の一部の配列と相同な配列を有するような約10〜30塩基の
プライマーが使用可能であり、RT-PCR法を用いる場合には、オリゴdTプライマー、又はラ
ンダムヘキサマーなどを用い、逆転写反応を行ってcDNAを作成し、当該cDNA中の目的の配
列を前述のPCR法で増幅することによって得ることができる。
を有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含む核酸分
子であることが望ましい。
酸分子は、例えば50万個の核酸分子が1回の操作で検出されるマイクロアレイを用い1回
の解析で得られた結果に基づく場合、好ましくはp値が1×10-3以下である核酸分子であ
り、より好ましくはp値が3×10-4以下である核酸分子であり、さらに好ましくはp値が1
×10-4以下である核酸分子であり、さらに好ましくは、p値が3×10-5以下である核酸分
子である。マンテル・ヘンツェル法などのメタ解析手法によって、複数の解析結果を統合
して得たものである場合には、好ましくはp値が1×10-2以下である核酸分子であり、よ
り好ましくはp値が3×10-3以下である核酸分子であり、さらに好ましくはp値が1×10-3
以下である核酸分子であり、さらに好ましくはp値が3×10-4以下である核酸分子であり
、さらに好ましくはp値が1×10-4以下である核酸分子である。
水準を設定し、好ましい核酸分子を選択することができる。例えば、ボンフェローニの補
正に基づく場合、5×10-2のp値を、検定の繰り返し回数、即ち、カイ二乗検定の比較対
象となる多型の個数で割って有意水準とすることができる。このようにして求めた有意水
準を下回る一塩基多型を持つ核酸分子をより好ましい核酸分子として選択してもよい。そ
の際、マンテル・ヘンツェル法などのメタ解析手法によって統合されたp値を用い、メタ
解析の対象とした一塩基多型の個数を用いてボンフェローニ補正を行ってもよい。他の公
知の多重性の補正に用いられる方法、例えばFDR法やパーミューテーション法を好まし
い核酸分子の選択に用いてもよい。
本発明の別の態様では、ゲノム由来の核酸分子を含むサンプル中に、緑内障進行群にお
いて頻度が高いアレル又は遺伝子型を有するか否かの検出方法が提供される。サンプルと
しては、ゲノム由来の核酸分子を抽出可能なものであれば何でも良いが、例えば、血液、
白血球、毛根、毛髪、唾液、口腔粘膜細胞、皮膚、生検によって得た筋肉又は臓器などの
組織等が用いられる。
チセンス鎖で構成されており、本発明の一塩基多型のアレルの決定は、当該多型部位のセ
ンス鎖、アンチセンス鎖のいずれの塩基を検出することによっても行うことができる。
の判定方法は如何なるものでも用いうるが、例えば本発明で開示された配列情報に基づき
設計した、各アレルに特異的なプローブ、好ましくは後述の本発明のプローブを用いてハ
イブリダイズし、そのシグナルを検出することによりそれぞれのアレルを検出することが
できる。また、対立する各々のアレル、即ち、ある一塩基多型について疾患との関連が高
いアレル及び低いアレルにそれぞれ異なる標識を施し、それらを多型部位にハイブリダイ
ズさせるプローブ又は、対立する各々のアレルを固層化したマイクロアレイなどの固層化
プローブを用いることにより、同一サンプルに含まれる対立する各々のアレルを検出する
ことができる。このような構成では、サンプルのアレルのみならず遺伝子型を決定するこ
とも可能である。また、対立する各々のアレルを同一担体上に固層化したマイクロアレイ
などの固層化プローブを用いる場合には、同一操作でハイブリダイズを行い、同一操作で
検出する構成とすることもできる。
る。プローブを用いてハイブリダイズする方法の例としてはタックマン法、インベーダー
(Invader (登録商標))法、ライトサイクラー法、サイクリンプローブ法、MPSS法、ビーズ
アレイ法などがあり、これらのいずれも用い得る。同一のアレルを検出するためのプロー
ブであっても、検出に用いる方法によってより好ましいプローブが異なる場合がある。本
発明の一塩基多型のアレル又は遺伝子型の判定は検出方法に依存しないが、検出方法に応
じて適するプローブを使用することが望ましい。
意の長さのオリゴプローブを用いることにより遺伝子多型を検出する方法である。目的と
する多型を有する核酸分子にプローブがハイブリダイズし、PCR反応により5'側のプロー
ブの一部が切り離され、蛍光物質が発する蛍光量を測定することにより多型の有無を判定
する。
が全く異なっているプローブ(レポーター)と、5'側の共通配列のみを有するプローブ(イ
ンベーダー)を用いて遺伝子多型を検出する方法である。目的とする核酸分子とこれらの2
本のプローブをハイブリダイズさせた後、ヌクレアーゼで処理し、切り出されたレポータ
ープローブの一部が蛍光物質と消光物質を有する検出用プローブとハイブリダイズした後
にヌクレアーゼで処理すると、蛍光物質が遊離するので、この蛍光量により多型の有無を
判定する。
ンカープローブを、あらかじめPCRで増幅した多型を有する核酸分子にハイブリダイズさ
せることにより多型を検出する方法である。ハイブリダイズしたDNAに徐々に熱を加えて
いくと、ある一定の温度になると多型検出プローブが遊離するので、この蛍光量を測定す
ることにより多型の有無を判定する。
列の両端を挟むようにDNA配列を結合させ、それぞれのDNA端に蛍光物質又は消光物質を有
するプローブ(DRDプローブ)を利用した多型解析法である。あらかじめPCRなどで増幅した
目的とする核酸分子にDRDプローブをハイブリダイズさせ、この複合体にRNaseを作用させ
ると蛍光色素が遊離するので、この蛍光量を測定することにより多型の有無を判定する。
法である。エンコードアダプタープローブとは、5'側に4塩基の突出末端、それに続いて
制限酵素であるBbvIの認識配列、ならびに3'側にデコーダープローブが結合する一本鎖配
列を有するオリゴDNAである。一方、デコーダープローブは、3'側に蛍光物質を有する一
本鎖オリゴDNAであり、4種類の異なる配列からなり、各配列が一つのエンコードアダプ
タープローブと特異的にハイブリダイズする。多型を有する核酸分子をビーズに固定して
おき、BbvIの認識配列を含む開始アダプターを結合させ、BbvIで4塩基突出末端となるよ
う消化する。突出した4塩基の3'末端から順次エンコードアダプタープローブとライゲー
ションし、結合したエンコードアダプターの配列を特定のデコーダープローブで検出する
。
されるシグナルのアレイ上の位置情報を特定するオリゴヌクレオチド(アドレス配列)が結
合したビーズを組み合わせて遺伝子型判定を行う方法である。例えば、イルミナ社のアド
レス配列(23塩基)のみが固定されたビーズを使用するゴールデンゲートアッセイ、及び、
アドレス配列(30塩基)にアレル検出用のプローブ(50塩基)が結合したビーズを使用するIn
finium(登録商標)アッセイがある。いずれの方法においても、アドレス配列を基に、アレ
イ上に任意に配置されたそれぞれのビーズに対して、アレル検出用のプローブがアレイ上
のどの位置に結合しているのかを知ることができる。
異的にハイブリダイズする2種のプローブ(アレル特異的プローブ)、及び一塩基多型の3'
側の1〜20塩基下流の配列に特異的にハイブリダイズするプローブ(下流配列認識プローブ
)を用いる。下流配列認識プローブには、アレイ上の位置特定用のアドレス配列が付与さ
れている。また、これらの3つのプローブには後述するユニバーサルプライマーが結合す
る配列が含まれている。3つのプローブをゲノムDNAにアニーリングさせた後、DNAポリメ
ラーゼとリガーゼを添加する。伸長反応とライゲーション反応により、アレル特異的プロ
ーブと下流配列認識プローブ間のギャップを連結するアレル特異的な産物が生成される。
このアレル特異的産物を鋳型とし、各アレルに特異的な2種の蛍光標識ユニバーサルプラ
イマーと下流配列認識プローブに結合するユニバーサルプライマーを用いてPCR反応を行
う。標識されたPCR産物をビーズ上に固定されたオリゴヌクレオチドとアドレス配列を介
してハイブリダイズする。ビーズ上の蛍光を共焦点レーザースキャナーで検出することに
よりアレルと遺伝子型の判定を行う。
セレクト ジェノタイピング ビーズチップ(iSelectTMGenotyping BeadChip)]は本手法
に従っている。本アレイによるアレルの検出には2つの方法が存在する。1つ目の方法には
、3'末端が一塩基多型を検出する部位である3'末端の塩基のみ異なる2種のプローブ(50塩
基のアレル検出用プローブ、Infinium Iタイプ)を用いる。あらかじめ、ゲノムDNAの全ゲ
ノム増幅を行い、酵素による断片化を行う。プローブと断片化ゲノムDNAのハイブリダイ
ズ後、アレル特異的伸長反応が起こり、1種類の蛍光色素で標識された多型部位の1塩基分
下流(3'側)の塩基がプローブに対応して取り込まれる。もう一つの方法には、プローブ内
に一塩基多型のアレル特異的な配列を持たない1種のプローブを用いる(50塩基のアレル検
出用プローブ、Infinium IIタイプ)。このプローブの3'末端は多型部位から1塩基分上流
(5'側)までの配列になっている。プローブと断片化ゲノムDNAをハイブリダイズさせ、一
塩基伸長反応により、2種類の蛍光色素のいずれかで標識された塩基が目的とする一塩基
多型部位に対応して取り込まれる。どちらの方法でも、蛍光を共焦点レーザースキャナー
で検出することによりアレルと遺伝子型の判定を行う。
については後述する。
質量分析法及びダイレクトシークエンス法が挙げられる。
るため、酵素消化により異なるDNA断片が生成され、その電気泳動パターンの違いから多
型の有無を判定する方法である。目的とする核酸分子をPCRにて増幅し、この増幅断片を
制限酵素で切断して、電気泳動で生成した断片を解析する。増幅される多型を含む核酸分
子の長さは、通常、50〜10,000塩基対であり、好ましくは100〜1,000塩基対である。
い、その電気泳動パターンの違いから多型の有無を判定する方法である。目的とする核酸
分子をPCRにて増幅し、この増幅断片を熱やアルカリ処理により一本鎖DNAにする。この一
本鎖DNAは塩基配列特異的な高次構造を形成するため、これらの増幅断片を電気泳動する
と、その構造の違いにより電気泳動度に差が見られる。PCRに使用するプライマーは、放
射性同位元素又は蛍光物質で標識されている。また、増幅される多型を含む核酸分子の長
さは、通常、50〜10,000塩基対であり、好ましくは100〜1,000塩基対である。
速して検出器まで飛行させ、その飛行時間の違いなどにより質量を同定する方法である。
この質量分析法を、上記のプライマーエクステンション法などと組み合わせて多型を検出
する。具体的には、多型を有する核酸分子の多型部位の一塩基上流までの配列と相補的な
プライマー、4種のジデオキシリボヌクレオチドのいずれか、及び、それに対応するもの
以外のデオキシリボ核酸を用いて一塩基の伸長反応を行い、3'末端に取り込まれた配列の
異なる核酸生成物の質量の違いを測定することにより多型を同定することができる。
である。代表的な方法は、サンガー法(ジデオキシ法)と呼ばれる。無標識、又は、放射性
同位元素若しくは蛍光物質で標識したプライマーを目的とする核酸分子に結合させ、クレ
ノー酵素などによる伸長反応を、無標識、又は放射性同位元素若しくは蛍光物質で標識し
た4種のジデオキシリボヌクレオチドで停止させた後、制限酵素で消化し、生じたDNA断片
を電気泳動で分離する。電気泳動像を基に、低分子量の断片から順に3'末端の塩基配列を
読み取ることにより、多型を含む前後の塩基配列を決定する。この変法として、プライマ
ーエクステンション法と呼ばれるものがある。これは、多型を有する核酸分子の多型部位
の一塩基上流までの配列と相補的なプライマーを用いて一塩基の伸長反応を行い、3'末端
に取り込まれた4種のジデオキシリボヌクレオチドのいずれかの配列を読み取る方法であ
る。このジデオキシリボヌクレオチドの同定には様々な方法があるが、たとえば、4種の
ヌクレオチドを異なる蛍光物質で標識し、電気泳動により分離・同定する。また、伸長反
応の際に生成されるピロリン酸をATPに変換し、そのATPをルシフェラーゼの発光により同
定する手法も用いられる。伸長反応に使用するプライマーの長さは、通常、10〜300塩基
対であり、好ましくは、15〜25塩基対である。
少なくとも一部分に対し相補的な核酸分子が互いに相補的な塩基配列に基づき水素結合を
介して会合することを意味する。元の核酸分子と会合する相補的な核酸分子の種類は同じ
でも異なっても良く、これらの核酸分子を構成する核酸はデオキシリボ核酸、リボ核酸又
はペプチド核酸であり得る。これらの核酸分子において、リボ核酸について言う場合には
、核酸分子の配列(相補的配列を含む)において、チミンはウラシルに読み替えてもよいも
のとする。
分子の部分配列と相補的な配列を有する核酸分子が特異的にハイブリダイズする条件を意
味する(Fred M. Ausuble et al., Current Protocols in Molecular Biology、p2.10.1‐
2.10.16、John Wiley and Sons, Inc)。このような条件の具体例としては、ある配列を有
する核酸分子と、当該核酸分子にハイブリダイズさせる相補的な核酸分子の複合体の融解
温度(Tm)より好ましくは約5〜約30℃、より好ましくは約10℃〜約25℃低い温度、0.01〜6
倍濃度のSSC(塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム混合溶液)、SSPE(塩化ナトリウム、リ
ン酸二水素ナトリウム及びEDTA混合溶液)又はMES(2-(N-Morpholino)ethanesul fonic Aci
d及び塩化テトラメチルアンモニウム混合溶液)緩衝液のようなハイブリダイズ用の反応溶
液、及び、pH6〜8の水素イオン濃度のような条件が挙げられる。例えば、25bp のDNAプロ
ーブを固層化した固層化プローブの場合のストリンジェントな条件は、1倍濃度のMES緩
衝液中(水素イオン濃度は6.5〜6.7)49℃でハイブリダイズし、6倍濃度のSSC(水素イオン
濃度は8.0)、25℃、次いで0.6倍濃度のSSC(水素イオン濃度は8.0)、45℃で順次洗浄する
ような条件が挙げられる。
由来の配列若しくは調製された核酸分子において当該アレルを含むこと、又は、ある核酸
分子が当該多型部位において、当該アレルを含む配列を有する核酸分子にストリンジェン
トな条件下で特異的に、即ち、当該アレルと対立するアレルを識別可能なようにハイブリ
ダイズすることを言う。
、その中央(即ち、31番目)の塩基のみが異なる2組の塩基配列の組(配列番号が奇数番目と
偶数番目の組)からなり、当該31番目の塩基が多型部位である。多型部位におけるハイリ
スクアレルは後述の表26〜28又は表52〜70に記載されている。これらの任意の一
塩基多型について、緑内障進行例において高頻度に存在するアレルの存在を判定する場合
、サンプル中のハイリスクアレルを検出することにより、緑内障進行例に高頻度に存在す
るアレルの存在を判定することができる。
プルに含まれる対立する各々のアレルの有無を検出し、遺伝子型を決定することができる
。即ち、あるアレルのみが検出される場合は当該アレルのホモ型であり、2つのアレルが
検出される場合には当該2つのアレルを持つヘテロ型である。これらの一塩基多型の少な
くとも1つについて、遺伝子型を検出することにより、サンプル中に、緑内障非進行群よ
りも緑内障進行群で高頻度に認められる遺伝子型が存在するか否かを判定できる。即ち、
前記一塩基多型において、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、ハイリスクア
レルのホモ型又はヘテロ型が緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度に認められる遺
伝子型であり、ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、ハイリスクアレルのホモ
型が緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度に認められる遺伝子型である。対立する
各々のアレルを同一操作で測定することは、判定の誤差を低減する観点からも望ましい。
群で高頻度に認められるアレル又は遺伝子型が存在する場合、当該サンプルを提供した緑
内障患者は、緑内障の進行リスクが高いと予測され、また、当該サンプルを提供した緑内
障が疑われる者は緑内障進行例と診断されるべき蓋然性が高く、当該サンプルを提供した
現時点で緑内障に罹患していない者は将来緑内障を発症する場合にはその進行が早いと予
測される。
おいて、検出に用いられる一塩基多型は、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる
群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列
の31番目に存在する一塩基多型であり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、少な
くとも1つの塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩
基多型であり、
さらに好ましくは、以下の、一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群より選択される、
少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在する
一塩基多型である。(ここで、前述のように、a〜sで示される配列番号の組において、そ
れぞれの配列の組が1つの一塩基多型に対応しており、それぞれの塩基配列は前記一塩基
多型の互いに対立するアレルを31番目の塩基に含む塩基配列である)
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列において、各
塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルを用いることが好ましい。
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配
列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列
番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配
列番号240
なお、これらはそれぞれの多型部位において、ハイリスクアレルを含む配列である。
つ以上を組み合わせて検出することにより、将来的な緑内障の進行リスクの判定の精度を
向上することもできる。
p値が低い一塩基多型であり、より好ましくは、前述のマンテル・ヘンツェル法等のメタ
解析法によって2回の解析で得られた結果を統合して得られたp値についてボンフェロー
ニ補正水準下でも有意と判断されるような一塩基多型である。また、別の観点からは、後
述のロジスティック回帰分析によって、組み合わせによるリスク予測精度の向上に寄与す
ることが確認される一塩基多型を用いることも好ましい。一方、前述の連鎖不平衡状態に
ある一塩基多型は同じ挙動を示すことから、連鎖不平衡状態にある一塩基多型を複数組み
合わせた場合には、同じ領域に基づく緑内障リスクを必要以上に重く評価する場合がある
。本発明の一塩基多型を組み合わせて疾患のリスク予測を行う場合であって、全てのリス
クを均等な重み付けで評価したい場合には、前述の連鎖不平衡状態にあるような一塩基多
型が複数含まれる場合、当該連鎖不平衡状態にある一塩基多型のうちのいずれか一つのみ
を用いて予測を行うことも好ましい。
ジスティック回帰分析によって求められる回帰式を用いて緑内障の進行リスクを予測する
ことができる。即ち、前記任意の2つ以上の一塩基多型のそれぞれを独立変数Πとし(一
方のアレルのホモ型=0、ヘテロ型=1、対立アレルのホモ型=2とする)、ロジスティ
ック回帰分析により回帰式を求める。各サンプルにおいて、各一塩基多型に対応する値を
この式に代入し従属変数Φを計算する。従属変数Φが一定の閾値(例えば0.5)より大であ
るときにこのサンプルの提供者が進行リスクを有すると判断することができる。
おいて、任意の2つ以上の一塩基多型を組み合わせる場合、検出に用いられる一塩基多型
は、好ましくは配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、2つ以
上の異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目
に存在する一塩基多型であり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、2つ
以上の異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番
目に存在する一塩基多型であり、
さらに好ましくは、以下の、一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群より選択される、
2つ以上の異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の
31番目に存在する一塩基多型であり、(ここで、前述のように、a〜sで示される配列番号
の組において、それぞれの配列の組が1つの一塩基多型に対応しており、それぞれの塩基
配列は前記一塩基多型の互いに対立するアレルを31番目の塩基に含む塩基配列である)
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群より選択される、10個
以上の異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番
目に存在する一塩基多型であり、
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群より選択される、全て
の異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に
存在する一塩基多型である
しく、この観点からは、前記組み合わせの全ての態様において、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、ならびに
h:配列番号217及び/又は配列番号218
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在す
る一塩基多型からなる群を群1の一塩基多型とし、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、ならびに、
j:配列番号221及び/又は配列番号222
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列において、各塩基配列の31番目に存在す
る一塩基多型からなる群を群2の一塩基多型とし、
群1に属する一塩基多型を用いる場合には、群1中のいずれか1つの一塩基多型を、及び
/又は、
群2に属する一塩基多型を用いる場合には、群2中のいずれか1つの一塩基多型を用いる
ことが好ましい。
なる群より選択される、2つ以上の異なる一塩基多型を含む塩基配列又はその相補的配列
において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレルが好ましい。
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配
列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列
番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配
列番号240
なお、これらの塩基配列はそれぞれの多型部位でハイリスクアレルを持つ塩基配列である
。
本発明の別の態様では、緑内障に関連するアレルを検出可能なアレル特異的な核酸分子
又はプローブ(以下、プローブと記載)、及び、前記プローブを用いて緑内障に関連するア
レル又は遺伝子型を検出する方法が提供される。
な配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし得るものであればいかなるものでも
用いられる。多型部位のアレルの決定は、ゲノムのセンス鎖、アンチセンス鎖のいずれの
多型部位を検出することによっても行うことができるため、本発明のプローブはセンス鎖
のアレルに特異的な配列の相補的配列及びアンチセンス鎖のアレルの特異的な配列に相補
的な配列、すなわちセンス鎖のアレルに特異的な配列のいずれも含まれる。本発明のプロ
ーブは本発明の一塩基多型を含むcDNA又はmRNAの検出に用いることもできる。cDNA又はmR
NAの検出に用いる場合、当該一塩基多型はエクソン又はその近傍に存在するものが用いら
れる。
れた一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を検出可能なプローブ、及び後述の表3〜4又
は表71〜81に記載された緑内障に関連する領域に存在する任意の一塩基多型の各アレ
ル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブは全て本発明のプローブに含まれる。本
発明のプローブは、例えば50万個の一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出
可能なプローブが1回の操作で検出されるマイクロアレイを用い1回の解析で得られた結
果に基づく場合、好ましくはp値が1×10-3以下である一塩基多型の各アレル又はその相
補鎖を特異的に検出可能なプローブであり、より好ましくはp値が3×10-4以下である一
塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブであり、さらに好まし
くはp値が1×10-4以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能
なプローブであり、さらに好ましくは、p値が3×10-5以下である一塩基多型の各アレル
又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブである。マンテル・ヘンツェル法などのメ
タ解析手法によって、複数の解析結果を統合して得たものである場合には、好ましくはp
値が1×10-2以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプロ
ーブであり、より好ましくはp値が3×10-3以下である一塩基多型の各アレル又はその相
補鎖を特異的に検出可能なプローブであり、さらに好ましくはp値が1×10-3以下である
一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブであり、さらに好ま
しくはp値が3×10-4以下である一塩基多型の各アレル又はその相補鎖を特異的に検出可
能なプローブであり、さらに好ましくはp値が1×10-4以下である一塩基多型の各アレル
又はその相補鎖を特異的に検出可能なプローブである。
らに好ましくは、本発明におけるプローブにおいて、アレル特異的なハイブリダイズに寄
与する配列はアレル特異的な配列又はその相補鎖のみからなる。本発明におけるプローブ
には、アレル特異的な配列とストリンジェントな条件でハイブリダイズし得る範囲におい
て、末端にスペーサー又は安定化等に供する目的で当該配列に由来しない任意の数塩基の
配列を付加することができる。付加される配列は、好ましくはヘアピン構造等の三次元構
造を取らない配列である。
は通常用いられるいかなるものでも用いうるが、一般的にはFITCやCy3などの蛍光標識、
ビオチン、又は、アルカリホスフォターゼや西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素標識
などが用いられる。ビオチン標識を用いる場合には、ビオチンに特異的に結合するストレ
プトアビジンにさらに検出可能な標識を施しておき、当該標識ストレプトアビジンを二次
標識として使用する。標識ストレプトアビジンの代わりに標識抗ビオチン抗体を使用する
こともできる。プローブに標識を施す方法は公知の如何なる方法でも用いられ、その方法
は当業者にとって周知である。プローブに前述のスペーサーとなる任意の配列を付加し、
スペーサーに標識を施すこともできる。プローブの標識化用の試薬、標識ストレプトアビ
ジン、標識抗ビオチン抗体などは試薬として市販されており、購入することもできる。
イズし得るかぎり、デオキシリボ核酸、リボ核酸、又は、ペプチド核酸であるかを問わず
、これらの混合配列を含むプローブもまた本発明に含まれる。ここで、本発明のプローブ
にリボ核酸を含むプローブを用いる場合には、本発明のプローブの配列(相補的配列を含
む)において、チミンはウラシルに読み替えてもよいものとする。また、本発明における
プローブには、目的とするアレルを有する核酸分子にストリンジェントな条件下で特異的
にハイブリダイズし得る限り、必要に応じ化学修飾を施すこともできる。化学標識を施す
方法は公知のいかなる方法も用いられる。
らかじめ担体上に固層化しておくことも可能である。数個乃至数十万個の異なる一塩基多
型のそれぞれのアレルに対応するプローブを、一つの一塩基多型あたり一個乃至十数個ず
つあらかじめ固体の担体上の定められた位置に固層化しておき、サンプルをこれに反応さ
せ、ハイブリダイズしたプローブから生じるシグナルをスキャンしコンピューターを用い
て解析する固層化プローブ、いわゆるマイクロアレイの形態を取ることも可能である。固
層化プローブの形態を取る場合には、固層化するプローブの最大数はプローブの固層化密
度と固層化部位の面積によって制限される。
識化しておき、固層化された本発明の非標識プローブと結合させることにより、又は、検
出すべきアレルを持つ核酸分子を固層化された本発明の非標識プローブと結合させた後に
公知の方法で標識化することにより、標識された標的アレルを持つ核酸分子由来の固層上
のシグナルを検出することができる。
ト、スポッティングフォトリソグラフなどの方法を用いることができる。また、担体の材
質には制限がなく、一般的に用いられる材質、例えばポリカーボネートやポリスチレンな
どの高分子、ガラス、シリコン結晶等が用いられる。また、核酸の接着力を高めるために
、固層化の前に担体にあらかじめ陽イオン化などのコーティングを施しても良い。また、
非特異的な核酸の担体への吸着を防ぐため、固層化を行った後に公知のブロッキング剤に
よりブロッキングを行うこともできる。このようなブロッキング剤には、非特異的な核酸
の担体への吸着を抑制できるものであれば何でも用いられるが、例えばサケ精子DNA、
デンハルト溶液、ヒト胎盤から抽出したCot-I DNA、ドデシル硫酸ナトリウムなどの陰イ
オン性界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどの非イオン性界面
活性剤などを用いることができる。
プローブを固層化することにより、一つのサンプル中に含まれる対立する各々のアレルを
同一操作で検出する構成とすることもできる。このような構成では、サンプルのアレルの
みならず遺伝子型を決定することも可能である。
又は47〜53塩基、さらに好ましくは前述の多型部位とその前後計25塩基の長さを有し、か
つ、前述の多型部位とその周辺の配列、若しくはこれに相補的な配列を含むプローブであ
ること、前述の多型部位とその5'上流側、好ましくは49塩基の配列(50塩基の配列)を有し
、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、若しくはこれに相補的な配列を含むプローブ
であること、又は、前述の多型部位の5'上流側50塩基の配列を有し、かつ、前述の多型部
位に隣接する配列、若しくはこれに相補的な配列を含むプローブであることが望ましい。
1) 前述の多型部位とその前後各12塩基の配列、即ち、25塩基の長さを有し、かつ、前述
の多型部位とその周辺の配列、若しくはこれに相補的な配列を含む、当該一塩基多型のア
レルを特異的に検出可能なプローブ、又は
2a) 前述の多型部位とその5'上流側49塩基の配列(50塩基の配列)を有し、かつ、前述の多
型部位を含む配列若しくはこれに相補的な配列からなる、当該一塩基多型のアレルを特異
的に検出可能なプローブ、若しくは、
2b) 前述の多型部位の5'上流側50塩基の配列を有し、かつ、前述の多型部位に隣接する配
列、又はこれに相補的な配列からなる、当該一塩基多型のアレルを特異的に検出可能なプ
ローブである。
おいて、検出に用いられるプローブは、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群
より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配
列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ
、及び/又は、配列番号753〜1061で示される塩基配列からなる群より選択される、少な
くとも1つの塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブであり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、少な
くとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列に
おいて、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、配列番
号753〜776で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又
はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブであり、
さらに好ましくは、以下の、a〜sの一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択
される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からな
る塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/
又は、aa〜ssの塩基配列若しくは塩基配列の組からなる群Bより選択される、少なくとも
1つの塩基配列若しくは塩基配列の組又はこれらの相補的配列を含む配列からなるプロー
ブである。
(ここで、a〜sで示される配列番号の組において、それぞれの配列の組が1つの一塩基多
型に対応しており、それぞれの塩基配列は前記一塩基多型の互いに対立するアレルを31番
目の塩基に含む塩基配列であり、
aa〜ssで示される配列番号又は配列番号の組において、それぞれの塩基配列又は塩基配列
の組が1つの一塩基多型の検出に用いられるプローブの配列又はプローブの配列の組であ
り、
aとaa、bとbb、cとcc、dとdd、eとee、fとff、gとgg、hとhh、iとii、jとjj、kとkk、lと
ll、mとmm、nとnn、oとoo、pとpp、qとqq、rとrr、及び、sとssがそれぞれ同じ一塩基多
型に対応する)
群A
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
群B
aa:配列番号753、
bb:配列番号754、及び/又は、配列番号772、
cc:配列番号755、
dd:配列番号756、
ee:配列番号757、
ff:配列番号758、
gg:配列番号759、
hh:配列番号760、及び/又は、配列番号773、
ii:配列番号761、及び/又は、配列番号774、
jj:配列番号762、及び/又は、配列番号775、
kk:配列番号763、
ll:配列番号764、
mm:配列番号765、
nn:配列番号766、及び/又は、配列番号776、
oo:配列番号767、
pp:配列番号768、
qq:配列番号769、
rr:配列番号770、ならびに
ss:配列番号771
を含む塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補
的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する
一塩基多型のアレルを含むプローブを用いることが好ましく、
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配
列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列
番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配
列番号240
群Bにおいては、以下の塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列
又はその相補的配列を含む塩基配列からなるプローブが好ましい。
配列番号753、配列番号754、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配
列番号759、配列番号760、配列番号761、配列番号775、配列番号763、配列番号764、配列
番号765、配列番号766、配列番号767、配列番号768、配列番号769、配列番号770、及び、
配列番号771
なお、これらの塩基配列はハイリスクアレルの検出に用いられるプローブに対応する配列
である。
おいて、任意の2つ以上の一塩基多型を組み合わせる場合、検出に用いられるプローブは
、好ましくは配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、一塩基多
型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列におい
て、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、配列番号75
3〜1061で示される塩基配列からなる群より選択される、塩基配列又はその相補的配列を
含む塩基配列からなるプローブであって、これらのうち2つ以上の異なる一塩基多型に対
応するプローブであり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、一塩
基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列に
おいて、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、配列番
号753〜776で示される塩基配列からなる群より選択される、塩基配列又はその相補的配列
を含む塩基配列からなるプローブであって、これらのうち2つ以上の異なる一塩基多型に
対応するプローブであり、
さらに好ましくは、以下の、a〜sの一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択
される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からな
る塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/
又は、aa〜ssの塩基配列若しくは塩基配列の組からなる群Bより選択される、2つ以上の
異なる塩基配列若しくは塩基配列の組又はこれらの相補的配列を含む配列からなるプロー
ブであり、
(ここで、a〜sで示される配列番号の組において、それぞれの配列の組が1つの一塩基多
型に対応しており、それぞれの塩基配列は前記一塩基多型の互いに対立するアレルを31番
目の塩基に含む塩基配列であり、
aa〜ssで示される配列番号又は配列番号の組において、それぞれの塩基配列又は塩基配列
の組が1つの一塩基多型の検出に用いられるプローブの配列又はプローブの配列の組であ
り、
aとaa、bとbb、cとcc、dとdd、eとee、fとff、gとgg、hとhh、iとii、jとjj、kとkk、lと
ll、mとmm、nとnn、oとoo、pとpp、qとqq、rとrr、及び、sとssがそれぞれ同じ一塩基多
型に対応する)
群A
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
群B
aa:配列番号753、
bb:配列番号754、及び/又は、配列番号772、
cc:配列番号755、
dd:配列番号756、
ee:配列番号757、
ff:配列番号758、
gg:配列番号759、
hh:配列番号760、及び/又は、配列番号773、
ii:配列番号761、及び/又は、配列番号774、
jj:配列番号762、及び/又は、配列番号775、
kk:配列番号763、
ll:配列番号764、
mm:配列番号765、
nn:配列番号766、及び/又は、配列番号776、
oo:配列番号767、
pp:配列番号768、
qq:配列番号769、
rr:配列番号770、ならびに
ss:配列番号771
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、一
塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列
において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、前記
塩基配列の組からなる群Bより選択される塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列か
らなるプローブであって、これらのうち10個以上の異なる一塩基多型に対応するプローブ
であり、
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、一
塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列
において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含むプローブ、及び/又は、前記
塩基配列の組からなる群Bより選択される塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列か
らなるプローブであって、これらの全ての異なる一塩基多型に対応するプローブである。
しく、この観点からは、前記組み合わせの全ての態様において、
前記群Aについては、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、ならびに
h:配列番号217及び/又は配列番号218
からなる群に属する塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基
配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む塩基配列からなる群を群
1の塩基配列とし、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、ならびに、
j:配列番号221及び/又は配列番号222
からなる群に属する塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基
配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む塩基配列からなる群を群
2の塩基配列とし、
前記群Bについては、
cc:配列番号755、
dd:配列番号756、
ee:配列番号757、
ff:配列番号758、
gg:配列番号759、
hh:配列番号760、及び/又は、配列番号773、
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる群を群1の塩基
配列とし、
ii:配列番号761、及び/又は、配列番号774、
jj:配列番号762、及び/又は、配列番号775、
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる群を群2の塩基
配列とし、
群1に属する塩基配列を用いる場合には、群1中のいずれか1つの塩基配列を含むプロー
ブを用い、及び/又は、
群2に属する塩基配列を用いる場合には、群2中のいずれか1つの塩基配列を含むプロー
ブを用いることが好ましい。
含む塩基配列からなる群より選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的
配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一
塩基多型のアレルを含むプローブが好ましく、
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配
列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列
番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配
列番号240
群Bにおいては、以下の塩基配列からなる群より選択される塩基配列又はその相補的配列
を含む塩基配列からなるプローブが好ましい。
配列番号753、配列番号754、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配
列番号759、配列番号760、配列番号761、配列番号775、配列番号763、配列番号764、配列
番号765、配列番号766、配列番号767、配列番号768、配列番号769、配列番号770、及び、
配列番号771
なお、これらの塩基配列はハイリスクアレルの検出に用いられるプローブに対応する配列
である。
基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含
み、かつ、蛍光物質及び消光物資を含む。より好ましくは20〜60塩基の長さを有し、かつ
、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含み、かつ、蛍光物質及
び消光物資を含む。
通配列を有するが、5'側の配列が全く異なっているプローブ(レポーター)と、5'側の共通
配列のみを有するプローブ(インベーダー)からなる。これらのプローブは、通常、好まし
くは10〜300塩基の長さを有し、より好ましくは20〜60塩基の長さを有する。
300塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配
列を含み、かつ、蛍光物質及び消光物資を含む。より好ましくは20〜60塩基の長さを有し
、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含み、かつ、蛍光
物質及び消光物資を含む。
の周辺の配列、又はこれに相補的な配列を有するRNA配列の両端を挟むようにDNA配列を結
合させ、それぞれのDNA端に蛍光物質又は消光物質を有する。これらのプローブは、通常
、好ましくは10〜300塩基の長さを有し、かつ、前述の多型部位とその周辺の配列、又は
これに相補的な配列を含む。より好ましくは20〜60塩基の長さを有し、かつ、前述の多型
部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を含む。
いて制限酵素であるBbvIの認識配列、ならびに3'側にデコーダープローブが結合する一本
鎖配列を有するオリゴDNA(エンコードアダプタープローブ)、ならびに、3'側に蛍光物質
を有する一本鎖オリゴDNAであり、4種類の異なる配列からなり、各配列が一つのエンコ
ードアダプタープローブと特異的にハイブリダイズするオリゴDNA(デコーダープローブ)
である。前述の多型部位とその周辺の配列、又はこれに相補的な配列を有するRNA配列の
両端を挟むようにDNA配列を結合させ、それぞれのDNA端に蛍光物質又は消光物質を有する
。エンコードアダプタープローブの長さは、通常、好ましくは10〜300塩基対であり、よ
り好ましくは15〜40塩基対である。また、デコーダープローブの長さは、通常、好ましく
は10〜300塩基対であり、より好ましくは5〜30塩基対である。
本発明の別の態様では、緑内障に関連する一塩基多型を検出するためのキットが提供さ
れる。
示された緑内障に関連するいずれかの一塩基多型のアレル又は遺伝子型を検出することが
できるものであれば全て含まれる。前述のように、本発明のキットは一塩基多型のセンス
鎖、アンチセンス鎖のいずれの塩基を検出するものであっても良く、これらの両者を検出
するものであっても良い。本発明のキットは、例えば50万個の一塩基多型について緑内障
に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットが1回の操作で検出されるマイクロアレ
イを用い1回の解析で得られた結果に基づく場合、好ましくは後述の表26〜28に記載
されたp値が1×10-4以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子
型を検出するキットであり、より好ましくはp値が3×10-4以下である一塩基多型につい
て緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットであり、さらに好ましくはp値
が1×10-4以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出す
るキットであり、さらに好ましくは、p値が3×10-5以下である一塩基多型について緑内
障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットである。マンテル・ヘンツェル法など
のメタ解析手法によって、複数の解析結果を統合して得たものである場合には、好ましく
は後述の表52〜70に記載されたp値が1×10-2以下である一塩基多型について緑内障
に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットであり、より好ましくはp値が3×10-3
以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットで
あり、さらに好ましくはp値が1×10-3以下である一塩基多型について緑内障に関連する
アレル又は遺伝子型を検出するキットであり、さらに好ましくはp値が3×10-4以下であ
る一塩基多型について緑内障に関連するアレル又は遺伝子型を検出するキットであり、さ
らに好ましくはp値が1×10-4以下である一塩基多型について緑内障に関連するアレル又
は遺伝子型を検出するキットである。
ルの両方を検出するキットも本発明の実施態様の一つである。このようなキットを用いる
場合、既に説明したように各アレルの遺伝子型を決定することも可能である。
ル又は遺伝子型が存在することを検出することにより、緑内障患者の進行リスクを予測し
、現時点で緑内障に罹患していない人が将来緑内障を発症した際の進行リスクを予測し、
又は、緑内障の疑いがある者の緑内障の診断を行うことができる。
ーブの標識を異なるものとすることにより、又は、前述のマイクロアレイ若しくはビーズ
アレイの形態とすることにより、対立するアレルを同一操作で測定するキットとすること
もできる。
することにより、緑内障の進行リスクの予測や精密な視野検査の要否の判定の精度を向上
させることもできる。このような構成においても、異なる標識を施したプローブ又は前述
のマイクロアレイ若しくはビーズアレイの形態とすることにより、検出を同一操作で行う
構成とすることもできる。
おいて、検出又はリスク予測に用いられるキットは、配列番号203〜752で示される塩基配
列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこ
れらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を
含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスク
の予測を行うキット、及び/又は、配列番号753〜1061で示される塩基配列からなる群よ
り選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる核
酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測
を行うキットであり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、少な
くとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列に
おいて、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進行
に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、及び/又は、
配列番号753〜776で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基
配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連す
る一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットであり、
さらに好ましくは、以下の、a〜sの一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択
される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からな
る塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて
緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、
及び/又は、aa〜ssの塩基配列若しくは塩基配列の組からなる群Bより選択される、少な
くとも1つの塩基配列若しくは塩基配列の組又はこれらの相補的配列を含む塩基配列から
なる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスク
の予測を行うキットである。
(ここで、a〜sで示される配列番号の組において、それぞれの配列の組が1つの一塩基多
型に対応しており、それぞれの塩基配列は前記一塩基多型の互いに対立するアレルを31番
目の塩基に含む塩基配列であり、
aa〜ssで示される配列番号又は配列番号の組において、それぞれの塩基配列又は塩基配列
の組が1つの一塩基多型の検出に用いられる核酸分子の配列又は核酸分子の配列の組であ
り、
aとaa、bとbb、cとcc、dとdd、eとee、fとff、gとgg、hとhh、iとii、jとjj、kとkk、lと
ll、mとmm、nとnn、oとoo、pとpp、qとqq、rとrr、及び、sとssがそれぞれ同じ一塩基多
型に対応する)
群A
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
群B
aa:配列番号753、
bb:配列番号754、及び/又は、配列番号772、
cc:配列番号755、
dd:配列番号756、
ee:配列番号757、
ff:配列番号758、
gg:配列番号759、
hh:配列番号760、及び/又は、配列番号773、
ii:配列番号761、及び/又は、配列番号774、
jj:配列番号762、及び/又は、配列番号775、
kk:配列番号763、
ll:配列番号764、
mm:配列番号765、
nn:配列番号766、及び/又は、配列番号776、
oo:配列番号767、
pp:配列番号768、
qq:配列番号769、
rr:配列番号770、ならびに
ss:配列番号771
型を含む塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列若しくはその相
補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在す
る一塩基多型のアレルを含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出
又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットが好ましく、
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配
列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列
番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配
列番号240
群Bにおいては、以下の塩基配列からなる群より選択される塩基配列又はその相補的配列
を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は
緑内障の進行リスクの予測を行うキットがが好ましい。
配列番号753、配列番号754、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配
列番号759、配列番号760、配列番号761、配列番号775、配列番号763、配列番号764、配列
番号765、配列番号766、配列番号767、配列番号768、配列番号769、配列番号770、及び、
配列番号771
なお、これらの塩基配列はハイリスクアレルの検出に用いられる核酸分子に対応する配列
である。
おいて、任意の2つ以上の一塩基多型を組み合わせる場合、検出又はリスク予測に用いら
れるキットは、好ましくは配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択され
る、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩
基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内
障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、及び
/又は、配列番号753〜1061で示される塩基配列からなる群より選択される、塩基配列又
はその相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩
基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットであって、これらのうち2つ以
上の異なる一塩基多型に対応するキットであり、
より好ましくは、配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、一塩
基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列に
おいて、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進行
に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、及び/又は、
配列番号753〜776で示される塩基配列からなる群より選択される、塩基配列又はその相補
的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検
出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキットであって、これらのうち2つ以上の異なる
一塩基多型に対応するキットであり、
さらに好ましくは、以下の、a〜sの一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択
される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からな
る塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて
緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、
及び/又は、aa〜ssの塩基配列若しくは塩基配列の組からなる群Bより選択される、塩基
配列若しくは塩基配列の組又はこれらの相補的配列を含む塩基配列からなる核酸分子を用
いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキッ
トであって、これらのうち2つ以上の異なる一塩基多型に対応するキットであり、
(ここで、a〜sで示される配列番号の組において、それぞれの配列の組が1つの一塩基多
型に対応しており、それぞれの塩基配列は前記一塩基多型の互いに対立するアレルを31番
目の塩基に含む塩基配列であり、
aa〜ssで示される配列番号又は配列番号の組において、それぞれの塩基配列又は塩基配列
の組が1つの一塩基多型の検出に用いられる核酸分子の配列又は核酸分子の配列の組であ
り、
aとaa、bとbb、cとcc、dとdd、eとee、fとff、gとgg、hとhh、iとii、jとjj、kとkk、lと
ll、mとmm、nとnn、oとoo、pとpp、qとqq、rとrr、及び、sとssがそれぞれ同じ一塩基多
型に対応する)
群A
a:配列番号203及び/又は配列番号204、
b:配列番号205及び/又は配列番号206、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、
h:配列番号217及び/又は配列番号218、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、
j:配列番号221及び/又は配列番号222、
k:配列番号223及び/又は配列番号224、
l:配列番号225及び/又は配列番号226、
m:配列番号227及び/又は配列番号228、
n:配列番号229及び/又は配列番号230、
o:配列番号231及び/又は配列番号232、
p:配列番号233及び/又は配列番号234、
q:配列番号235及び/又は配列番号236、
r:配列番号237及び/又は配列番号238、ならびに、
s:配列番号239及び/又は配列番号240
群B
aa:配列番号753、
bb:配列番号754、及び/又は、配列番号772、
cc:配列番号755、
dd:配列番号756、
ee:配列番号757、
ff:配列番号758、
gg:配列番号759、
hh:配列番号760、及び/又は、配列番号773、
ii:配列番号761、及び/又は、配列番号774、
jj:配列番号762、及び/又は、配列番号775、
kk:配列番号763、
ll:配列番号764、
mm:配列番号765、
nn:配列番号766、及び/又は、配列番号776、
oo:配列番号767、
pp:配列番号768、
qq:配列番号769、
rr:配列番号770、ならびに
ss:配列番号771
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、一
塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列
において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進
行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット、及び/又は
、前記配列の組からなる群Bより選択される塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列
からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リ
スクの予測を行うキットであって、これらのうち10個以上の異なる一塩基多型に対応する
キットであり、
さらに好ましくは、前記一塩基多型を含む塩基配列の組からなる群Aより選択される、一
塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列
において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子を用いて緑内障の進
行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行うキット及び/又は、
前記配列の組からなる群Bより選択される塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列か
らなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リス
クの予測を行うキットであって、全ての異なる一塩基多型に対応するキットである。
しく、この観点からは、前記組み合わせの全ての態様において、
前記群Aについては、
c:配列番号207及び/又は配列番号208、
d:配列番号209及び/又は配列番号210、
e:配列番号211及び/又は配列番号212、
f:配列番号213及び/又は配列番号214、
g:配列番号215及び/又は配列番号216、ならびに
h:配列番号217及び/又は配列番号218
からなる群に属する塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基
配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む塩基配列からなる群を群
1の塩基配列とし、
i:配列番号219及び/又は配列番号220、ならびに、
j:配列番号221及び/又は配列番号222
からなる群に属する塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる塩基
配列において、各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型を含む塩基配列からなる群を群
2の塩基配列とし、
前記群Bについては、
配列番号755、
配列番号756、
配列番号757、
配列番号758、
配列番号759、ならびに、
配列番号760、及び/又は、配列番号773
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる群を群1の塩基
配列とし、
配列番号761、及び/又は、配列番号774、ならびに、
配列番号762、及び/又は、配列番号775
からなる群に属する塩基配列又はその相補的配列を含む塩基配列からなる群を群2の塩基
配列とし、
群1に属する塩基配列を用いる場合には、群1中のいずれか1つの塩基配列をを含む核酸
分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を
行うキットを用い、及び/又は、
群2に属する塩基配列を用いる場合には、群2中のいずれか1つの塩基配列を含む核酸分
子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は緑内障の進行リスクの予測を行
うキットを用いることが好ましい。
含む塩基配列からなる群より選択される、一塩基多型を含む塩基配列若しくはその相補的
配列又はこれらの部分配列からなる塩基配列において、各塩基配列の31番目に存在する一
塩基多型のアレルを含む核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は
緑内障の進行リスクの予測を行うキットが好ましく、
配列番号203、配列番号205、配列番号207、配列番号210、配列番号212、配列番号214、配
列番号215、配列番号218、配列番号220、配列番号222、配列番号223、配列番号226、配列
番号228、配列番号230、配列番号232、配列番号233、配列番号236、配列番号238、及び配
列番号240
群Bにおいては、以下の塩基配列からなる群より選択される塩基配列又はその相補的配列
を含む塩基配列からなる核酸分子を用いて緑内障の進行に関連する一塩基多型を検出又は
緑内障の進行リスクの予測を行うキットが好ましい。
配列番号753、配列番号754、配列番号755、配列番号756、配列番号757、配列番号758、配
列番号759、配列番号760、配列番号761、配列番号775、配列番号763、配列番号764、配列
番号765、配列番号766、配列番号767、配列番号768、配列番号769、配列番号770、及び、
配列番号771
なお、これらの塩基配列はハイリスクアレルの検出に用いられる核酸分子に対応する配列
である。
本発明の一塩基多型を用いて緑内障の進行リスクの予測を行う際に、緑内障進行リスク
の精密な予測が必要と考えられる候補者を選択し、次いで前記候補者に詳細なリスク予測
を行うような、2段階又はそれ以上の多段階のリスク予測を行うことができる。
なくとも1個、好ましくはいずれか1個ないし数個について前述の緑内障の進行リスク予
測を行い、次いで、前述の本発明の一塩基多型の組み合わせを用いて詳細なリスク予測を
行えばよい。必要に応じてさらに組み合わせの個数を増やし、リスク予測の精度を向上す
ることもできる。このように2段階又はそれ以上の多段階にリスク予測を行うことにより
、リスク予測に行う費用の低減化と高精度のリスク予測の両立が可能となる。
型の少なくとも1つを検出可能なように、前記一塩基多型の少なくとも1つ、好ましくは
いずれか1個ないし数個を検出可能なプローブを固層化した固層化プローブを用いるよう
なリスク予測方法は簡便であり、低コストで実現できる。なお、この場合の核酸抽出方法
は、公知技術で実現可能な、又は市販の簡便な核酸抽出キットを用いることができる。こ
のようなリスク予測に用いる固層化プローブは、例えば酵素標識したプローブを用い、比
色法にて検出するような方法が簡便である。検出に用いるサンプルも、唾液、口腔粘膜細
胞、尿、毛根、血液又は白血球等の比較的低侵襲で得られるものが好ましい。
発明の一塩基多型の2つ又はそれ以上を組み合わせて緑内障の進行に関連する一塩基多型
の検出を行い、高精度のリスク予測を行えばよい。
の段階での被験者の負担を最低限としつつ、リスク予測の精度を向上することができる。
ノム上に有する者は、緑内障が早期に進行するリスクが高く、緑内障進行例で高頻度に認
められるアレル又は遺伝子型を有さない者は、緑内障が早期に進行するリスクが低い。本
発明によって緑内障が早期に進行するリスクが高い患者を選択し、緑内障治療薬の候補物
質の臨床試験を行うことによって、当該緑内障治療薬の候補物質の臨床試験期間を短縮す
ることができる。
例示するものであって、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されることを意図するもの
ではない。なお、以下の実施例では、特に詳細な説明がない一般的に用いられる分子生物
学的手法については、モレキュラークローニング (Joseph Sambrook et al., Molexular
Cl oning - A Laboratory Manual, 3rdEdition, Cold Spring Harbor Laboratory Press,
20 01)などの成書に記載された方法及び条件が用いられる。
によって緑内障家族歴を有さないと判断された非患者それぞれの血液から総DNAを抽出し
、ヒトゲノム上の公知の一塩基多型約50万個を指標として疾患に関連する遺伝子座を解析
し、疾患との関連の確認を行った。また、緑内障の進行が早い患者、即ち緑内障進行例と
緑内障の進行が遅い患者、すなわち緑内障非進行例についても同様に一塩基多型の同定と
進行との関連の確認を行った。
検体からのDNAの抽出は市販の自動核酸抽出機 (キアゲン(QUIAGEN)社、バイオ
ロボット (BIOROBOT(登録商標)) EZ1)を使用し、同抽出機に適合する、磁気
ビーズに吸着させた核酸を磁気によって回収する核酸抽出キット(EZ1 DNA B
lood 350μl Kit)を用いた。総DNAの抽出は機器及びキットの取扱説明書に
従い実施した。本方法により、血液検体350μLから約5μgの総DNAを得た。
一塩基多型の分析は、ヒトゲノム上の公知の一塩基多型約50万個の分析が可能な市販の
マイクロアレイ型の一塩基多型分析キット(アフィメトリックス社 ジーンチップ ヒュー
マンマッピング500K(GeneChip(登録商標)Human Mapping 500K))(以下、マイクロアレ
イと記載)を使用した。一塩基多型の検出は同キットに適合するスキャン装置(アフィメト
リックス社ジーンチップスキャナー3000(GeneChip(登録商標) Scanner 3000))を使
用した。一塩基多型の分析は専用の分析ソフトウェア(アフィメトリックス社
ジータイプ(GTYPE(商標)))を使用した。
イ上に適用して検体から抽出したDNAに存在する一塩基多型を解析した。簡単に説明する
と、総DNA 250ngを制限酵素NspIで処理したサンプルとStyI処理したサンプルを調製し、
それぞれのサンプルの突出末端にアダプターを結合させ、PCR法にて増幅した。PCR産物を
回収してDNaseIで断片化し、キットに含まれるラベリング試薬を用い、断片化したPCR産
物の末端をビオチン標識した。標識済みの両断片化済みPCR産物にハイブリダイゼーショ
ン用の緩衝液を加え、99℃で10分間熱処理した後、49℃で1分間インキュベートし、最初
に処理した制限酵素に応じてNspI処理サンプル用マイクロアレイ又はStyI処理サンプル用
マイクロアレイ上に注入し、49℃で16〜18時間ハイブリダイズした。ハイブリダイズ終了
後マイクロアレイをストレプトアビジン-フィコエリスリンにより染色した。前述のスキ
ャン装置を用い、固層化されたアレル特異的プローブとハイブリダイズしたサンプル中の
DNA末端にビオチン及びストレプトアビジンを介して結合したフィコエリスリンに由来す
る蛍光を読み込み、前述のソフトウェアで解析した。NspI処理サンプル用マイクロアレイ
及びStyI処理サンプル用マイクロアレイにはそれぞれ約25万個の一塩基多型に対応するプ
ローブがあらかじめ固層化されており、両者の結果を統合して1サンプルあたり約50万個
の一塩基多型に対する解析結果とした。本方法によって、各々の一塩基多型の対立するア
レルが同一操作で読み取られるため、この結果から遺伝子型を決定した。この場合、一塩
基多型を構成する各々のアレルの両方のシグナルが検出されればヘテロ、いずれか一方の
シグナルのみが検出されれば、当該検出されたアレルをホモに持つ遺伝子型とした。
センス鎖に対するプローブ又はアンチセンス鎖に対するプローブが使用されている。また
、同キットのデータシートに拠れば、HapMapプロジェクトで報告された一塩基多型と本キ
ットで重複する一塩基多型について、270サンプルを用い本キットの判定結果とHapMapの
判定結果を比較したところ、99%以上の一致率を示すことが記載されている。
疾患関連一塩基多型の比較は、クラインらが加齢黄斑変性症の原因遺伝子検討に用いた
方法 (Science、308巻、385ページ、2005年) に準じて行った。
障患者を緑内障患者群、問診によって緑内障家族歴がないことを確認した健常者を非患者
群に割り付けた。緑内障患者群418例、非患者群300例から、研究内容について十分に説明
した上で参加者の自由意志で得た同意の下に提供された血液を検体とし、実施例1に記載
の方法で総DNAを抽出し、実施例2に記載の方法で一塩基多型の分析を行った。それぞれ
の患者について得られた一塩基多型の分析結果はリレーショナルデータベースを採用した
Laboratory Information Management System(ワールドフュージョン社、LaboServer)に格
納した。そのシステム内に一塩基多型の解析専用プログラムを作成、実装し、以下に述べ
る解析を行った。即ち、緑内障患者群及び非患者群のいずれにおいてもコールレートが90
%未満の一塩基多型、緑内障患者群と非患者群のコールレートの差が5%以上の一塩基多
型、マイナーアレル頻度が5%未満の一塩基多型、及び、カイ二乗検定によりp値1×10-4
以下でハーディー・ワインバーグ平衡が成立していないと判定される一塩基多型を棄却す
ることにより、実験的な信頼性が高いと考えられる一塩基多型を抽出し、当該一塩基多型
について、群間のアレル頻度及び遺伝子型の頻度を比較した。アレル頻度及び遺伝子型の
頻度はカイ二乗検定によって統計学的に比較を行った。p値1×10-3以下を示した一塩基
多型については、遺伝子型判定の基となるクラスター画像の確認を行った。クラスターの
分離が不明瞭にも関わらず遺伝子型判定がなされていた場合はその一塩基多型は解析対象
外とした。すなわち、遺伝子型判定の誤りを本作業により除外した。クラスターの評価に
あたり、一塩基多型名及び危険率の値は伏せて実施した。p値1×10-4以下、即ち- logP
が4以上でアレル又は遺伝子型が緑内障との関連を示す一塩基多型を表1〜2に示す。な
お、各表におけるそれぞれのアレルと疾患の関連のオッズ比、遺伝子型と疾患の関連のオ
ッズ比は以下の式(1)〜(5)に基づいて算出した。
アレル頻度=その群における当該アレルの検出数/その群における全アレル検出数
式(1)
遺伝子型頻度=その群における当該遺伝子型の検出数/その群における全遺伝子型の検出
数 式(2)
アレルのオッズ比=[(緑内障患者群における、緑内障患者群にて高頻度に認められるアレ
ルの検出数)/(緑内障患者群における、緑内障患者群にて高頻度に認められるアレルと対
立するアレルの検出数)]/ [(非患者群における、緑内障患者群にて高頻度に認められるア
レルの検出数)/(非患者群における、緑内障患者群にて高頻度に認められるアレルと対立
するアレルの検出数)] 式(3)
ホモ型の遺伝子型のオッズ比=[(緑内障患者群における、緑内障患者群にて高頻度に認め
られるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)/(緑内障患者群における、非患者群にて
高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)]/ [(非患者群における、緑
内障患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)/(非患者群
における、非患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)]
式(4)
ヘテロ型の遺伝子型のオッズ比=[(緑内障患者群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数
)/(緑内障患者群における、非患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝
子型の検出数)]/ [(非患者群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数)/(非患者群におけ
る、非患者群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)] 式
(5)
スアレイID番号、アレル1及びアレル2を構成するそれぞれの塩基、エクソン・イントロ
ン情報(一塩基多型が遺伝子上に存在する場合は遺伝子名及びSNPが存在するエクソン又は
イントロンを示し、一塩基多型が遺伝子上に存在しない場合は、近傍遺伝子及び当該遺伝
子と当該一塩基多型の間の距離を示す)、一塩基多型が存在する染色体番号、一塩基多型
の物理的位置、アレルのカイ二乗検定によるp値(-logP)、緑内障患者群及び非患者群の
ハイリスクアレル頻度、ハイリスクアレルのタイプ(ハイリスクアレルがアレル1である
かアレル2であるかを示す)、アレルのオッズ比、遺伝子型のカイ二乗検定によるp値(-l
ogP)、ホモ型及びヘテロ型の遺伝子型のオッズ比、ならびに、それぞれの多型部位におけ
るアレル1を含む配列の配列番号及びアレル2を含む配列の配列番号を示す。なお、前記
dbSNP ID番号又はアフィメトリックスアレイID番号より、当業者はこれらの番号から当該
一塩基多型の配列やアレルの情報を入手することができる。
比較すると統計学的に差が認められた。これらの一塩基多型のいずれか一つについて、そ
のアレルを決定することにより、サンプル中に、非患者群よりも緑内障患者群で高頻度に
認められるアレルが存在するか否かを判定できる。
伝子座を占める配列番号1又は2で示される核酸分子には1箇所の多型部位が存在する。
即ち、31番目の塩基がA(アレル1)又はG(アレル2)のいずれかである一塩基多型が緑内
障の発症に関連し、ハイリスクアレルとして表示されているアレル1、すなわち、当該一
塩基多型のAであるアレルが緑内障患者群において高頻度に認められる。さらに、アレル
のオッズ比、ホモ及びヘテロ型の遺伝子型のオッズ比を用い、当該アレル又は遺伝子型を
持つ場合に疾患リスクがどれだけ上昇するかを予測できる。同様に、表1〜2に開示され
る配列はいずれもその配列中に緑内障と関連する多型部位を有し、当該多型部位における
一つのアレル又は少なくとも一つの遺伝子型が緑内障患者群において高頻度に認められる
。
多型を40個、ゲノム上の比較的近接した領域に集団で存在するような21個の領域を見出し
た。
アレル又は遺伝子型は緑内障の発症リスクが高いことを示すマーカーとして用いることが
可能となる。一方、当該アレルに対立するアレル又は当該遺伝子型以外の遺伝子型は緑内
障の発症リスクが低いことを示すマーカーとして用いることが可能となる。
クトより提供されるデータベースを参考に決定した。すなわち、HapMapプロジェクトの日
本人と中国人を併せた連鎖不平衡データを基に、表1〜2に示した一塩基多型と連鎖不平
衡にあると考えられる一塩基多型が存在する領域を決定した。
域の物理的位置と遺伝子名を決定した。一方、表1〜2に示した一塩基多型が遺伝子を含
まない連鎖不平衡領域に存在する場合、当該領域の物理的位置のみを決定した。また、表
1〜2に示した一塩基多型が連鎖不平衡領域を超える1つの遺伝子上に存在する場合は、
当該遺伝子名のみを決定した。
3〜4に、各領域を代表する一塩基多型、当該領域が存在する染色体番号、当該領域の物
理的位置(開始点及び終点)ならびに領域に含まれる遺伝子名を示す。
多型と連鎖していると考えられる領域又は遺伝子であり、これらの領域又は遺伝子中に存
在する一塩基多型は本発明の一塩基多型と連鎖していると考えられる。即ちこれらの領域
中に存在する任意の一塩基多型は当該領域内に存在する表3〜4に記載された一塩基多型
と連鎖しており、これらの任意の一塩基多型についても同様に緑内障のリスク予測に用い
ることができる。
の関連を示す一塩基多型を表5〜25に示す。
ックスアレイID番号、エクソン・イントロン情報(一塩基多型が遺伝子上に存在する場合
は遺伝子名及びSNPが存在するエクソン又はイントロンを示し、一塩基多型が遺伝子上に
存在しない場合は、近傍遺伝子及び当該遺伝子と当該一塩基多型の間の距離を示す)、当
該一塩基多型が存在する染色体番号、当該一塩基多型の物理的位置、アレルのカイ二乗検
定によるp値(-logP)、緑内障患者群及び非患者群のハイリスクアレルの頻度、アレルの
オッズ比、遺伝子型のカイ二乗検定によるp値(-logP)、ならびに、ホモ型及びヘテロ型
の遺伝子型のオッズ比を示す。なお、表中でオッズ比がNDと表示されている箇所は、分
母となる検出数のいずれかが0であってオッズ比が算出不能であることを示す。
基多型413個を見出した。
を比較すると統計学的に差が認められた。これらの一塩基多型のいずれか一つについて、
そのアレルを決定することにより、サンプル中に、非患者群よりも緑内障患者群で高頻度
に認められるアレルが存在するか否かを判定できる。
実施例3と同様にして、緑内障進行例と緑内障非進行例の一塩基多型の比較を行った。
圧緑内障患者のうち、一定期間内に眼圧下降薬や手術などの眼圧下降治療にも関わらず視
野欠損が進行した患者210例(緑内障進行例)、進行しなかった患者175例(緑内障非進行例)
から、研究内容について十分に説明した上で参加者の自由意志で得た同意の下に提供され
た血液を検体とし、実施例3と同様に解析して群間のアレル頻度及び遺伝子型の頻度を比
較した。アレル頻度及び遺伝子型の頻度も同様にカイ二乗検定によって統計学的に比較を
行った。p値1×10-4以下、即ち-logPが4以上でアレル又は遺伝子型が緑内障の進行との
関連を示す一塩基多型を表26〜28に示す。なお、各表におけるそれぞれのアレルと緑
内障の進行との関連のオッズ比、遺伝子型と緑内障の進行との関連のオッズ比を以下の式
(6)〜(8)に基づいて算出した。
アレルのオッズ比=[(緑内障進行群における、緑内障進行群にて高頻度に認められるアレ
ルの検出数)/(緑内障進行群における、緑内障進行群にて高頻度に認められるアレルと対
立するアレルの検出数)]/ [(緑内障非進行群における、緑内障進行群にて高頻度に認めら
れるアレルの検出数)/(緑内障非進行群における、緑内障進行群にて高頻度に認められる
アレルと対立するアレルの検出数)] 式(6)
ホモ型の遺伝子型のオッズ比=[(緑内障進行群における、緑内障進行群にて高頻度に認め
られるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)/(緑内障進行群における、緑内障非進行
群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数)]/ [(緑内障非進行群
における、緑内障進行群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺伝子型の検出数
)/(緑内障非進行群における、緑内障非進行群にて高頻度に認められるアレルをホモで有
する遺伝子型の検出数)] 式(7)
ヘテロ型の遺伝子型のオッズ比=[(緑内障進行群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数
)/(緑内障進行群における、緑内障非進行群にて高頻度に認められるアレルをホモで有す
る遺伝子型の検出数)]/ [(緑内障非進行群における、ヘテロ型の遺伝子型の検出数)/(緑
内障非進行群における、緑内障非進行群にて高頻度に認められるアレルをホモで有する遺
伝子型の検出数)] 式(8)
クスアレイID番号、アレル1及びアレル2を構成するそれぞれの塩基、エクソン・イント
ロン情報(一塩基多型が遺伝子上に存在する場合は遺伝子名及びSNPが存在するエクソン又
はイントロンを示し、一塩基多型が遺伝子上に存在しない場合は、近傍遺伝子及び当該遺
伝子と当該一塩基多型の間の距離を示す)、当該一塩基多型が存在する染色体番号、当該
一塩基多型の物理的位置、アレルのカイ二乗検定によるp値(-logP)、緑内障進行群及び
緑内障非進行群のハイリスクアレル頻度、ハイリスクアレルのタイプ(ハイリスクアレル
がアレル1であるかアレル2であるかを示す)、アレルのオッズ比、遺伝子型のカイ二乗
検定によるp値(-logP)、ホモ型の遺伝子型のオッズ比、ヘテロ型の遺伝子型のオッズ比
、ならびにそれぞれの多型部位におけるアレル1を含む配列の配列番号及びアレル2を含
む配列の配列番号を示す。なお、表中でオッズ比がNDと表示されている箇所は、分母と
なる検出数のいずれかが0であってオッズ比が算出不能であることを示す。
る一塩基多型61個を見出した。
の間で統計学的な差が認められた。これらの一塩基多型のいずれか一つについて、そのア
レルを決定することにより、サンプル中に、緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度
に認められるアレルが存在するか否かを判定できる。
認められるアレル又は遺伝子型は緑内障の進行リスクが高いことを示すマーカーとして用
いることが可能となる。一方、当該アレルに対立するアレル又は当該遺伝子型以外の遺伝
子型は緑内障の進行リスクが低いことを示すマーカーとして用いることが可能となる。
の進行との関連を示す一塩基多型を表29〜51に示す。
リックスアレイID番号、エクソン・イントロン情報(一塩基多型が遺伝子上に存在する場
合は遺伝子名及びSNPが存在するエクソン又はイントロンを示し、一塩基多型が遺伝子上
に存在しない場合は、近傍遺伝子及び当該遺伝子と当該一塩基多型の間の距離を示す)、
当該一塩基多型が存在する染色体番号、当該一塩基多型の物理的位置、アレルのカイ二乗
検定によるp値(-logP)、緑内障進行群及び緑内障非進行群のハイリスクアレル頻度、ア
レルのオッズ比、遺伝子型のカイ二乗検定によるp値(-logP)、ならびに、ホモ型及びヘ
テロ型の遺伝子型のオッズ比を示す。なお、表中でオッズ比がNDと表示されている箇所
は、分母となる検出数のいずれかが0であってオッズ比が算出不能であることを示す。
る一塩基多型480個を見出した。
の間で統計学的な差が認められた。これらの一塩基多型のいずれか一つについて、そのア
レルを決定することにより、サンプル中に、緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度
に認められるアレルが存在するか否かを判定できる。
表1〜2又は表26〜28に記載された一塩基多型の周辺の再シークエンスを行い、各
一塩基多型が検出されることの確認、及び存在する可能性がある未知の一塩基多型の同定
を行うことができる。再シークエンスは公知の如何なる方法でも実施し得るが、例えばダ
イレクトシークエンス法によって行うことができる。
実施例3又は4にて同定された緑内障に関連する一塩基多型、又は、表1〜51に記載
された一塩基多型の周辺に存在する公知の一塩基多型のアレルならびに遺伝子型を判定す
るために固層化プローブを作成することができる。公知の一塩基多型は例えば、dbSNPやJ
SNPのデータベースから引用できる。固層化プローブには、例えば数個乃至数十万個程度
の感度、特異性、再現性を最大化するようにデザインされたオリゴヌクレオチドプローブ
を搭載できる。固層化プローブは、例えば、固体の担体上でオリゴヌクレオチド合成する
方法や、オリゴヌクレオチドを合成してから固体の担体上に高密度に固定していく方法な
どで製造することができる。
実施例6にて製造した固層化プローブを使い、緑内障進行の有無を精度よく判定するこ
とができる。疾患に関連する一塩基多型を検出するプローブを複数組み合わせることによ
り、緑内障を進行するリスクがどの程度増加するかを評価する。ある閾値を超える場合は
、緑内障を進行すると判定する。
ムに存在する一塩基多型を比較できる。距離が近い場所に存在する一塩基多型同士は、連
鎖不平衡により連鎖して遺伝している可能性がある。固層化プローブにより表1〜2又は
表26〜28に示した一塩基多型と連鎖している一塩基多型を同定することが出来る可能
性があり、より緑内障と関連の強い一塩基多型を見出すことが期待できる。
第一種の過誤を低下させつつ検出力を保つため、実施例4の一次解析で同定された緑内
障進行関連候補一塩基多型に対して、独自に設計した一塩基多型解析用アレイ(以下、カ
スタムアレイ)を用いて別途収集したサンプルの一塩基多型の二次解析を行った。
クト ジェノタイピング ビーズチップ(iSelectTM Genotyping BeadChip)を使用した。
実施例4でp値が1×10-3以下を示した緑内障進行関連一塩基多型531個に対して、これ
らの一塩基多型を特異的に検出するプローブの設計を試みた。これらのプローブはビーズ
を介して基板上に任意に固定されるため、ビーズの位置を特定する工程(デコーディング)
が必要である。デコーディングの過程で位置の特定が不可であった一塩基多型検出用プロ
ーブについては解析対象から除外した。その結果、531個の一塩基多型のうち、477個の一
塩基多型のタイピングが可能なカスタムアレイの作製が可能であり、前記カスタムアレイ
を後述する一塩基多型の分析に用いた。なお、ビーズアレイ法のInfinium(登録商標)アッ
セイの項で記載したように、本アッセイ法には1種類のプローブを用いる方法と2種類のプ
ローブを用いる方法の2通りの方法がある。基本的に1つの一塩基多型の検出に1種類のプ
ローブの使用であるが、一部の一塩基多型に対しては2つのプローブを使用した。
実験は、イルミナ社のカスタムアレイキット及び解析機器の説明書に従い、キットに含
まれる専用試薬を用いて行った。以下に、簡単に実験手順を説明する。実施例1にて抽出
した総DNA 150〜300ngにゲノム処理専用試薬と水酸化ナトリウム溶液を加えた。次いで、
全ゲノム増幅酵素を加え、37℃で20〜24時間インキュベーションして全ゲノムを増幅させ
た。さらに、断片化酵素を加え、37℃で1時間インキュベーションした。イソプロパノー
ルによりDNAを沈殿させた後、可溶化試薬を添加し、48℃、1時間懸濁した。95℃で20分
間熱変性させ、カスタムアレイにこの溶液を注入し48℃で16〜24時間ハイブリダイズした
。
を行い、蛍光シグナルの増幅を行った。シグナルは、同キットに適合するスキャン装置(
イルミナ社 BeadArray Reader)により読み取った。また、一塩基多型の分析には専用のソ
フトウェア(イルミナ社 BeadStudio 3.1)を使用した。本分析方法によって、各一塩基多
型の対立するアレルが同時に判定可能であり、この分析結果を基に遺伝子型を決定した。
各一塩基多型を構成するそれぞれのアレルのシグナルが両方検出されればヘテロ、いずれ
か一方のシグナルのみが検出されれば、当該検出されたアレルのホモ型とした。
従い、解析対象となる全ての一塩基多型について、蛍光シグナルの分布を示すクラスター
画像を基に遺伝子型判定の正確性を確認した。正確に決定された一塩基多型の遺伝子型に
対しては、蛍光シグナルは各々が完全に分離された3つのクラスター(2種のホモ型とヘテ
ロ型)となって画像上に表示される。一方、正確に判定されなかった一塩基多型に対して
は、3つのクラスターの境界線は不明瞭になる。解析ソフトウェアによってクラスター分
離度が高くないと判定された場合、その一塩基多型のクラスター画像を再度確認した。ク
ラスターが不明瞭にも関わらず遺伝子型の判定がなされている場合はそのサンプルは以後
の解析作業より除外した。なお、クラスター画像を確認する際は、マスキング下にて、す
なわち一塩基多型名ならびにp値を当該一塩基多型と照合できない状態で実施した。なお
、二次解析に用いた本カスタムアレイと一次解析に用いたアフィメトリックス社 ジーン
チップ ヒューマンマッピング500Kで重複する一塩基多型について、104サンプルを用い
て遺伝子型判定の一致率を比較したところ、99%以上の一致率を示した。
緑内障学会ガイドラインに基づき診断された原発開放隅角緑内障患者及び正常眼圧緑内
障患者のうち、一定期間内に眼圧下降薬や手術などの眼圧下降治療にも関わらず視野欠損
が進行した患者を緑内障進行群に割り当て、進行しなかった患者を緑内障非進行群に割り
当てた。なお、視野欠損の進行判定には、The Advanced Glaucoma Intervention Studyで
用いられた基準を参考にした(the AIGS investigators, Ophthalmology 1994;101:1445-1
455.)。
新たなサンプルを収集した。実施例4とは異なる緑内障進行群110例、緑内障非進行群113
例から、研究内容について十分に説明した上で参加者の自由意志で得た同意の下に提供さ
れた血液をサンプルとし、実施例1に記載の方法で総DNAを抽出し、実施例9に記載の方
法で一塩基多型の分析を行った。それぞれのサンプルについて得られた一塩基多型の分析
結果はリレーショナルデータベースを採用したLaboratory Information Management Syst
em(ワールドフュージョン社、LaboServer)に格納した。そのシステム内に一塩基多型の解
析専用プログラムを作成、実装し、以下に述べる解析を行った。即ち、緑内障進行群及び
緑内障非進行群のいずれにおいてもコールレートが90%未満の一塩基多型、マイナーアレ
ル頻度が5%未満の一塩基多型を棄却することにより、実験的な信頼性が高いと考えられ
る一塩基多型を抽出した。
メタ解析にはマンテル・ヘンツェル法を用いた(わかりやすい医学統計学、p48-80、森
實敏夫、メディカルトリビューン社)。即ち、実施例4と実施例10に記載した方法の両
方で実験的な信頼性が高いと考えられた464個の一塩基多型について、アレル頻度と2つの
遺伝子型頻度(優性遺伝モデル、劣性遺伝モデル)をマンテル・ヘンツェルカイ二乗検定を
用いて統計学的に比較を行った。p値が1.1×10-4以下(464回の多重比較を行った際のp<0
.05に相当するボンフェローニ補正の水準)、即ち-logPが3.96以上でアレル、優性遺伝モ
デル、劣性遺伝モデルのいずれかで緑内障との関連を示す一塩基多型を表52に示す。
・ヘンツェル法のオッズ比、及び、95%信頼区間の算出は以下の手順で実施した。
二乗値を求め、自由度1のカイ二乗分布と比較して、p値を算出した。
た。
算した。
算した。
のオッズ比を計算した。
算した。
計算した。
計算した。
のオッズ比の95%信頼区間を計算した。
番号、一塩基多型の物理的位置、エクソン・イントロン情報(一塩基多型が遺伝子上に存
在する場合は遺伝子名及び一塩基多型が存在するエクソン又はイントロンを示し、一塩基
多型が遺伝子上に存在しない場合は、近傍遺伝子及び当該遺伝子と当該一塩基多型の間の
距離を示す)、連鎖不平衡状態の情報(同一の連鎖不平衡領域に存在する一塩基多型に対し
て、LD1〜LD2の番号を付与した)、アレル1及びアレル2を構成するそれぞれの塩基、ハ
イリスクアレルの塩基、緑内障進行群及び緑内障非進行群のハイリスクアレル頻度、3種
類のマンテル・ヘンツェル検定(アレル頻度、優性遺伝モデル、劣性遺伝モデル)の中で最
もp値が低かった検定方法でのp値、その検定種類、オッズ比、95%信頼区間、それぞれ
の多型部位におけるアレル1を含む配列の配列番号及びアレル2を含む配列の配列番号、
ならびに、二次解析の際に用いたプローブの核酸配列を示す配列番号(基本的に同一プロ
ーブによって両方のアレルを検出するが、2種類のプローブを用いてアレルを識別する場
合は2つの配列番号を併記)を示す。なお、前記dbSNP ID番号より、当業者はこれらの番
号から当該一塩基多型の配列やアレルの情報を入手することができる。
比較すると、マンテル・ヘンツェルカイ二乗検定によって統計学的に差が認められた。実
施例4の場合と同様にこれらの一塩基多型のいずれか一つについて、そのアレルを決定す
ることにより、サンプル中に、緑内障非進行群よりも緑内障進行群で高頻度に認められる
アレルが存在するか否かを判定できる。
基多型を19個、ゲノム上の比較的近接した領域に集団で存在するような13個の領域を見出
した。
レル(即ちハイリスクアレル)又は遺伝子型(即ち、ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに
従う場合、ハイリスクアレルのホモ型又はヘテロ型、ハイリスクアレルが劣性遺伝モデル
に従う場合はハイリスクアレルのホモ型)は緑内障の進行リスクが高いことを示すマーカ
ーとして用いることが可能となる。一方、当該アレルに対立するアレル又は当該遺伝子型
以外の遺伝子型は緑内障の進行リスクが低いことを示すマーカーとして用いることが可能
となる。
関連を示す一塩基多型を表53〜70に示す。
るためのマーカーとして使用できる。
トより提供されるデータベースを参考に決定した。すなわち、HapMapプロジェクトの日本
人と中国人を併せた連鎖不平衡データを基に、表52に示した一塩基多型と連鎖不平衡に
あると考えられる一塩基多型が存在する領域を決定した。
の物理的位置と遺伝子名を決定した。一方、表52に示した一塩基多型が遺伝子を含まな
い連鎖不平衡領域に存在する場合、当該領域の物理的位置のみを決定した。また、表52
に示した一塩基多型が連鎖不平衡領域を超える1つの遺伝子上に存在する場合は、当該遺
伝子名ならびにその遺伝子の物理的位置を決定した。
71〜81に、各領域を代表する一塩基多型、当該領域が存在する染色体番号、当該領域
の物理的位置(開始点及び終点)ならびに領域に含まれる遺伝子名を示す。
関連する一塩基多型と連鎖していると考えられる領域又は遺伝子であり、これらの領域又
は遺伝子中に存在する一塩基多型は本発明の一塩基多型と連鎖していると考えられる。即
ちこれらの領域中に存在する任意の一塩基多型は当該領域内に存在する表53〜70に記
載された一塩基多型と連鎖しており、これらの任意の一塩基多型についても同様に緑内障
の進行リスク予測に用いることができる。
本発明においては、緑内障の進行に関与すると判定された任意の一塩基多型を2つ以上
組み合わせることにより、それぞれの一塩基多型を単独で用いた時に比べて、疾患の危険
性の予測精度がどの程度向上するかについてロジスティック回帰分析を用いて検討した。
本解析には、アレルあるいは遺伝子型の頻度を統計的に比較することにより、緑内障の進
行に有意に関連すると判定された前記の一塩基多型のうち、任意の組み合わせを用いるこ
とができる。その一例として、ボンフェローニの補正を行っても有意差を示した19個の
一塩基多型に対してロジスティック回帰分析を行った。
イズ法によりロジスティック回帰分析に使用する一塩基多型のさらなる絞込みを行った。
その際の変数取込・変数除去基準として0.01を採用した。また、ステップワイズ法の適用
にあたり、同一のLDブロックに属する一塩基多型(表52において、連鎖不平衡の欄に
同じ記載があるもの)については、各LDブロックに属するいずれか1つの一塩基多型で
代表することとし、前記いずれか1つの一塩基多型が取込対象となるように設定した。絞
り込まれた一塩基多型のそれぞれを独立変数(Π)とし(一方のアレルのホモ型=0、ヘテ
ロ型=1、対立アレルのホモ型=2とする)、ロジスティック回帰分析により回帰係数(λ
)を求め下記の式(18)を決定した。
式(18)
Φ=1/{1+exp[−(λ0+λ1Π1+λ2Π2+λ3Π3+・・・)]}
次に、各サンプルにおいて、それぞれの一塩基多型に対応する変数をこの式に代入しリス
ク予測値(Φ)を計算した。Φが0.5より大であるときにこのサンプルの提供者が進行リス
クがあると判断した。この判定結果と当該一塩基多型を持つサンプル提供者が実際に緑内
障進行例であったか否かを照合することにより一致率を算出した。さらに、取り込まれた
それぞれの一塩基多型単独、及び、2つ以上の任意の一塩基多型の全ての組み合わせにつ
いて、上記一致率を求め、組み合わせに用いた一塩基多型の個数ごとに一致率の平均値と
標準偏差を求めた。表82に、単独および任意の個数の一塩基多型の組み合わせ、任意の
個数を組み合わせる際の組み合わせ数、並びに、一致率の平均値及び標準偏差の関係を示
す。なお、すべての計算は、SAS Institute Japan 株式会社の、Windows(登録商標)版SAS
9.1.3を用いて行った。
ロックに属するもの同士をそれぞれ1つと考えると、13個)のうち10個に絞り込まれ
た(rs4316157、rs1358105、rs4076919、rs2395453、rs6132862、rs10483416、rs787433、
rs4802905、rs12554461、rs4927088)。したがって、残りの3個の一塩基多型を追加しても
10個の組み合わせと同様の結果が得られることを示している。これら10個の一塩基多
型のうち、それぞれ単独あるいは任意の2つ以上の組み合わせに対して、ロジスティック
回帰式を用いて個々の症例のリスク予測値(Φ)を算出した。リスク予測値に対するカット
オフ値を0.5とすると、各一塩基多型を単独で使用した場合の一致率の平均値±標準偏
差は57.6±2.4%であった。この一致率は組み合わせに用いる一塩基多型の数が増
大するにしたがって増加し、10個すべてを組み合わせた際に最大値である67.8%に
達した。
しても良好な一致率が得られるが、これらを組み合わせることによりさらに診断精度を向
上させることができることが明らかとなった。
ノム上に有する者は、将来的に緑内障が進行するリスクが高く、緑内障進行群で高頻度に
認められるアレル又は遺伝子型を有さない者は、将来的に緑内障が進行するリスクが低い
。
ることにより、サンプル提供者の緑内障の進行リスクの高低を判定することができる。こ
のリスクに基づきサンプル提供者は緑内障の予防措置を講じ、又は適切な治療を受けるこ
とができる。また、本発明の緑内障の進行に関連する一塩基多型を用い、緑内障進行リス
クが高い患者を選択して緑内障治療薬の臨床試験を行うことにより、緑内障治療薬の臨床
試験の期間を短縮できるため、有用である。
Claims (34)
- 被検者由来のサンプルにおいて、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より
選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の31番
目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程A)
、ならびに
前記工程Aで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号203〜752で示される塩基
配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較
する工程(工程B)
を含み、
前記工程Aで検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障リスクがある
と判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程A
で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型であ
る場合に緑内障リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う
場合、前記工程Aで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型
である場合に緑内障リスクが有ると判定される、緑内障リスクの有無の判定方法。 - 緑内障リスクが緑内障の進行リスクである、請求項1記載の判定方法。
- 塩基配列が配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群より選択される、請求項2
記載の判定方法。 - 工程Bにおける比較を、配列番号203〜240で示される塩基配列におけるハイリスクアレ
ルを含むアレル及び/又は遺伝子型を任意に2つ以上選択して組み合わせて行い、工程A
で検出されたアレルが工程Bで比較用に選択した前記何れかのアレルである場合に緑内障
リスクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合
、工程Aで検出された遺伝子型が工程Bで比較用に選択した前記何れかの遺伝子型のホモ
型又はヘテロ型である場合に緑内障リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣
性遺伝モデルに従う場合、工程Aで検出された遺伝子型が工程Bで比較用に選択した前記
何れかの遺伝子型のホモ型である場合に緑内障リスクが有ると判定される、請求項3記載
の判定方法。 - 工程Bにおける比較を、配列番号203〜240で示される塩基配列におけるハイリスクアレ
ルを含むアレル及び/又は遺伝子型を全て選択して組み合わせて行い、工程Aで検出され
たアレルが工程Bで比較用に選択した前記何れかのアレルである場合に緑内障リスクがあ
ると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、工程Aで
検出された遺伝子型が工程Bで比較用に選択した前記何れかの遺伝子型のホモ型又はヘテ
ロ型である場合に緑内障リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデ
ルに従う場合、工程Aで検出された遺伝子型が工程Bで比較用に選択した前記何れかの遺
伝子型のホモ型である場合に緑内障リスクが有ると判定される、請求項4記載の判定方法
。 - さらに、進行リスクの大小の予測を行う工程を含む、請求項2記載の判定方法。
- 緑内障が原発開放隅角緑内障(POAG)又は正常眼圧緑内障(NTG)である、請求項1記載の
判定方法。 - 被検者由来のサンプルにおいて、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より
選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる核酸分子における、
各塩基配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出
する工程(工程C1)、又は、配列番号753〜1061で示される塩基配列からなる群より選択
される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列からなる塩基配列を含む核酸分子
を用い、前記一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程C
2)、ならびに
前記工程C1又はC2で検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号203〜752で示
される塩基配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型を含む少なく
とも1つの核酸分子と比較する工程(工程D)
を含み、
前記工程C1又はC2で検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障リ
スクがあると判定され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、
前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホ
モ型又はヘテロ型である場合に緑内障リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが
劣性遺伝モデルに従う場合、前記工程C1又はC2で検出された遺伝子型が前記ハイリス
クアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合に緑内障リスクが有ると判定される、緑内障
リスクの有無の判定方法。 - 緑内障リスクが緑内障の進行リスクである、請求項8記載の判定方法。
- 工程C1及びDにおける塩基配列が配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群よ
り選択され、又は、工程C2における塩基配列が配列番号753〜771で示される塩基配列か
らなる群より選択される、請求項9記載の判定方法。 - 工程Dにおける比較を、配列番号203〜240で示される塩基配列におけるハイリスクアレ
ルを含むアレル及び/又は遺伝子型を含む核酸分子を任意に2つ以上選択して組み合わせ
て行い、工程C1又はC2で検出されたアレルが工程Dで比較用に選択した前記何れかの
核酸分子におけるハイリスクアレルである場合に緑内障リスクがあると判定され、あるい
は、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、工程C1又はC2で検出された
遺伝子型が工程Dで比較用に選択した前記何れかの核酸分子における遺伝子型のホモ型又
はヘテロ型である場合に緑内障リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺
伝モデルに従う場合、工程C1又はC2で検出された遺伝子型が工程Dで比較用に選択し
た前記何れかの核酸分子における遺伝子型のホモ型である場合に緑内障リスクが有ると判
定される、請求項10記載の判定方法。 - 工程Dにおける比較を、配列番号203〜240で示される塩基配列におけるハイリスクアレ
ルを含むアレル及び/又は遺伝子型を含む核酸分子を全て選択して組み合わせて行い、工
程C1又はC2で検出されたアレルが工程Dで比較用に選択した前記何れかの核酸分子に
おけるハイリスクアレルである場合に緑内障リスクがあると判定され、あるいは、前記ハ
イリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、工程C1又はC2で検出された遺伝子型が
工程Dで比較用に選択した前記何れかの核酸分子における遺伝子型のホモ型又はヘテロ型
である場合に緑内障リスクが有ると判定され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに
従う場合、工程C1又はC2で検出された遺伝子型が工程Dで比較用に選択した前記何れ
かの核酸分子における遺伝子型のホモ型である場合に緑内障リスクが有ると判定される、
請求項11記載の判定方法。 - さらに、進行リスクの大小の予測を行う工程を含む、請求項9記載の判定方法。
- 核酸分子をプローブとして用いる、請求項8〜13いずれか記載の判定方法。
- 核酸分子が23塩基〜55塩基である、請求項14記載の判定方法。
- プローブが固定化されてなる、請求14記載の判定方法。
- 緑内障が原発開放隅角緑内障(POAG)又は正常眼圧緑内障(NTG)である、請求項8記載の
判定方法。 - 配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩
基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、各塩基
配列の31番目に存在する一塩基多型を含む核酸分子、及び/又は、配列番号753〜1061で
示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的
配列からなる塩基配列を含む核酸分子を含有する、被検者由来のサンプルにおいて前記一
塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出するための、緑内障リスクの有無
の判定キット。 - 緑内障リスクが緑内障の進行リスクである、請求項18記載のキット。
- 塩基配列が配列番号203〜240で示される塩基配列からなる群、及び/又は、配列番号75
3〜771からなる群より選択される、請求項19記載のキット。 - 配列番号203〜240で示される塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列か
らなる核酸分子を任意に2つ以上、及び/又は、配列番号753〜771で示される塩基配列又
はその相補的配列からなる核酸分子を任意に2つ以上含有する、請求項20記載のキット
。 - 配列番号203〜240で示される塩基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列か
らなる核酸分子を全て、及び/又は、配列番号753〜771で示される塩基配列又はその相補
的配列からなる核酸分子を全て含有する、請求項21記載のキット。 - 進行リスクの大小の予測をさらに行うための、請求項19記載のキット。
- 核酸分子をプローブとして用いる、請求項18〜23いずれか記載のキット。
- 核酸分子が23塩基〜55塩基である、請求項24記載のキット。
- プローブが固定化されてなる、請求項24記載のキット。
- 緑内障が原発開放隅角緑内障(POAG)又は正常眼圧緑内障(NTG)である、請求項18記載
のキット。 - 以下の工程を含む、緑内障リスクの有無の判定方法。
工程(i):被検者由来のサンプルから核酸分子を抽出する工程
工程(ii):前記工程(i)で抽出された核酸分子に対し、配列番号203〜752で示される塩基
配列又はその相補的配列から選択される少なくとも1つの塩基配列について、各塩基配列
の31番目に存在する一塩基多型のアレルを検出する工程
工程(iii):前記工程(ii)で検出されたアレルに基づき、緑内障リスクの有無を判定する
工程 - 工程(iii)が、工程(ii)で検出されたアレルに基づき、遺伝子型を決定する工程を含む
、請求項28記載の判定方法。 - 工程(iii)が、工程(ii)で検出されたアレルが、ハイリスクアレルであるか否かを判定
する工程を含む、請求項28又は29記載の判定方法。 - 工程(iii)が、工程(ii)で検出されたアレルがハイリスクアレルである場合に、緑内障
リスクが高いと判定される工程を含む、請求項30記載の判定方法。 - 配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より選択される、少なくとも1つの塩
基配列若しくはその相補的配列又はこれらの部分配列からなる核酸分子であって、各塩基
配列の31番目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型を含む核酸分子の、緑内
障リスクの判定のための使用。 - 被検者由来のサンプルにおいて、配列番号203〜752で示される塩基配列からなる群より
選択される、少なくとも1つの塩基配列又はその相補的配列における、各塩基配列の31番
目に存在する一塩基多型のアレル及び/又は遺伝子型をin vitroで検出する工程(工程E)
、ならびに
前記工程Eで検出されたアレル及び/又は遺伝子型を、配列番号203〜752で示される塩基
配列におけるハイリスクアレルを含むアレル及び/又は遺伝子型の少なくとも1つと比較
する工程(工程F)
を含み、
前記工程Eで検出されたアレルが前記ハイリスクアレルである場合に緑内障であると診断
され、あるいは、前記ハイリスクアレルが優性遺伝モデルに従う場合、前記工程Eで検出
された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型又はヘテロ型である場合
に緑内障であると診断され、前記ハイリスクアレルが劣性遺伝モデルに従う場合、前記工
程Eで検出された遺伝子型が前記ハイリスクアレルを含む遺伝子型のホモ型である場合に
緑内障であると診断される、緑内障の診断方法。 - 以下の工程を含む、緑内障進行リスクの判定方法。
工程(I):請求項3記載の判定方法を用いて、緑内障進行リスクの有無判定を行う工程
工程(II):前記工程(I)において、少なくともいずれか一つの一塩基多型について進行リ
スクがあると判定された場合に、さらなるリスク判定が必要であると判定される工程
工程(III):前記工程(II)において、さらなるリスク判定が必要であると判定された場合
に、請求項5記載の判定方法を用いて、さらに緑内障進行リスクの有無判定を行う工程
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