JP2018134060A - 側弯症の検査方法 - Google Patents
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Abstract
Description
側弯症は、通学年代の児童に多く発症し、10歳から骨格が成熟するまでの児童において、側弯の指標であるコブ角(Cobb angle)で少なくとも10°の弯曲を示し、且つ、その病因が明らかでないものを思春期特発性側弯症(Adolescent idiopathic scoliosis;AIS)と定義する。AISの発症頻度は、通学年代の児童の内、日本で2%、世界では2〜3%であり、日本では毎年1万人程度が発症している。
さらに、近年、伝達不平衡解析(Transmission Disequilibrium Test;TDT)法に基づくゲノムワイド関連解析(Genome-wide association study;GWAS)によって、AISと関連する遺伝子の候補が報告された(非特許文献1)。しかしながら、それらは、多重検定補正後のケース−コントロール関連解析においてはAISとの関連の再現性が得られていない。
また、第9染色体短腕22.2領域(9p22.2領域)に存在するBNC2 (basonuclin-2)遺伝子のSNPと側弯症の関連についても報告されている(特許文献3)。しかし、女性に特異的なSNPや側弯症の進行度に関連するSNPはあまり知られていない。
[1]rs59404763、rs10196262、rs1475712およびrs1828853からなる群より選択される一塩基多型または該一塩基多型と連鎖不平衡にある一塩基多型を分析し、該分析結果に基づいて側弯症を検査することを特徴とする、側弯症の検査方法。
[2]前記側弯症が、思春期特発性側弯症である、[1]に記載の方法。
[3]前記側弯症が女性における側弯症であり、一塩基多型がrs59404763、rs10196262またはrs1475712である、[1]に記載の方法。
[4]前記側弯症の検査が側弯症の進行度の検査であり、一塩基多型がrs1828853である、[1]に記載の方法。
[5] 配列番号1〜9のいずれかに示す塩基配列において、塩基番号26番目の塩基を含む15塩基以上の配列、又はその相補配列を有する側弯症検査用プローブ。
[6] 配列番号1〜9のいずれかに示す塩基配列において、塩基番号26番目の塩基を含む領域を増幅することのできる側弯症検査用プライマー。
[7] Obscurin遺伝子またはObscurin遺伝子のプロモーターに連結されたレポーター遺伝子を発現する細胞に医薬候補物質を添加する工程、Obscurin遺伝子またはレポーター遺伝子の発現量を測定する工程、及び前記発現量を増加させる物質を選択する工程を含む、側弯症の予防薬又は治療薬をスクリーニングする方法。
[8] Obscurin遺伝子のmRNAまたはタンパク質の発現量を測定する工程を含む、側弯症の検査方法。
[9] EML4遺伝子またはEML4遺伝子のプロモーターに連結されたレポーター遺伝子を発現する細胞に医薬候補物質を添加する工程、EML4遺伝子またはレポーター遺伝子の発現量を測定する工程、及び前記発現量を低下させる物質を選択する工程を含む、側弯症の予防薬又は治療薬をスクリーニングする方法。
[10] EML4遺伝子のmRNAまたはタンパク質の発現量を測定する工程を含む、側弯症の検査方法。
本発明の方法は、rs59404763、rs10196262、rs1475712およびrs1828853から選択される一塩基多型(SNP)または該一塩基多型と連鎖不平衡にあるSNPを分析し、該分析結果に基づいて側弯症を検査することを特徴とする。本発明において、「検査」とは側弯症の発症リスクの検査及び側弯症の発症の有無の検査、さらには側弯症の進行度の検査及び予測を含む。本発明の方法においては、SNPの分析結果を、側弯症の発症リスク、発症の有無、および進行リスクと関連付ける。
rs58194408はGenBank Accession No. NC_000001.10の228401707番目の塩基におけるグアニン(G)/アデニン(A)の多型を意味し、この塩基がGである場合は側弯症の可能性または発症リスクが高い(表3)。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、GG>AG>AAの順で側弯症の可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がGである被験者には、側弯症の予防や治療を行うことが考えられる。
なお、rs58194408について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの長さの配列を、配列番号2に示した。配列番号2における26番目の塩基が多型を有し、この塩基がA(リスクアレル)である場合は側弯症の可能性または発症リスクが高いと判定される。
rs59404763と連鎖不平衡にある塩基としては、他にもrs117147433やrs75785474が挙げられる。
/アデニン(A)の多型を意味し、この塩基がAである場合は側弯症の可能性または発症リスクが高い(表2)。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、AA>AG>GGの順で側弯症の可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基がAである被験者には、側弯症の予防や治療を行うことが考えられる。
rs144297067はGenBank Accession No. NC_000002.11の42362286番目の塩基における-(塩基なし)/TGTTTTGTTT(挿入)の多型を意味し、この塩基にTGTTTTGTTTが挿入されている場合は側弯症の可能性または発症リスクが高い(表3)。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、挿入変異のホモ>挿入と挿入なしのヘテロ>挿入なしのホモの順で側弯症の可能性または発症リスクが高い。よって、この塩基が挿入変異である被験者には、側弯症の予防や治療を行うことが考えられる。
なお、rs144297067について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの長さの配列を、配列番号4に示した。配列番号4における26番目の塩基が多型を有し、ここにTGTTTTGTTTの挿入(リスクアレル)がある場合は側弯症の可能性または発症リスクが高いと判定される。
rs10196262と連鎖不平衡にある塩基としては、他にもrs11676073、rs13392988、rs13386561、rs11684533、rs17669917、rs13410780が挙げられる。
rs1475712と連鎖不平衡にある塩基としては、rs144779633が挙げられる。
rs1828853は11q14.1領域のMIR4300HG遺伝子内に位置するSNPであり、GenBank Accession No. NC_000011.10の82371520番目の塩基におけるグアニン(G)/アデニン(A)の多型を意味し、この塩基がAである場合は側弯症の発症リスクおよび進行リスクが高い(表4)。また、遺伝子型を考慮して解析した場合は、AA>AG>GGの順で側弯症の発症リスクおよび進行リスクが高い。よって、この塩基がAである被験者には、側弯症の予防や治療を行うことが考えられる。
なお、rs971548について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの長さの配列(相補鎖)を、配列番号7に示した。配列番号7における26番目の塩基が多型を有し、この塩基がA(rs971548のリスクアレルの相補塩基)である場合は側弯症の発症リスクおよび進行リスクが高いと判定する。
なお、rs35333564について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの長さの配列を、配列番号8に示した。配列番号8における26番目の塩基が多型を有し、この塩基が−(リスクアレル)である場合は側弯症の発症リスクおよび進行リスクが高いと判定する。
なお、rs7949305について、SNP塩基及びその前後25bpの領域を含む合計51bpの長さの配列を、配列番号9に示した。配列番号9における26番目の塩基が多型を有し、この塩基がC(リスクアレル)である場合は側弯症の発症リスクおよび進行リスクが高いと判定する。
の解析結果から、該当する位置がどの種類の塩基であるかを決定することができる。なお、シークエンス反応の前に、あらかじめSNP部位を含む断片をPCRなどによって増幅しておくことが好ましい。
12(1): 139-146.)が挙げられる。具体的には、まず、目的のSNPを含むDNAを増幅し、増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる。次いで、解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離し、分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度の違いによってどのタイプの多型であるかを決定することができる。
本発明の方法により判定された結果は、必要に応じて医師等に提供される。結果を提供された医師等は、身体診察、X線検査、CT検査等の必要な検査を行った上で、発症リスクや進行リスクを診断することができる。医師等がAISの発症リスクや進行リスクが高いと診断した場合には、装具やギプスの装着や牽引等の治療を施すことができる。また、リスクが低いと診断した場合には、患者に取って負担が大きいこれらの治療を回避することができる。
本発明はまた、側弯症を検査するためのプライマーやプローブなどの検査試薬を提供する。このようなプローブとしては、上記SNP部位を含み、ハイブリダイズの有無によってSNP部位の塩基の種類を判定できるプローブが挙げられる。具体的には、配列番号1〜9の
いずれかに示す塩基配列の26番目の塩基を含む配列、又はその相補配列を有する15塩基以上の長さのプローブや、当該塩基と連鎖不平衡の関係にある塩基を含む配列、又はその相補配列を有する15塩基以上の長さのプローブが挙げられる。なお、「当該塩基と連鎖不平衡の関係にある塩基」及びその前後の領域の塩基配列は、例えば、National Center for Biotechnology InformationのdbSNPデータベース(http//www.ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/)から取得できる。プローブの長さは好ましくは、15〜35塩基であり、より好ましくは20〜35塩基である。
なお、26番目の塩基が欠失や数塩基の挿入である場合は、欠失や数塩基の挿入を26番目の塩基とみなす。
本発明においては、後述のとおり、rs58194408のリスクアレルが転写因子結合の減少及び転写活性の低下によりObscurin (OBSCN)発現の減少を引き起こし、OBSCN発現の減少が女性のAISの発病に影響する可能性があることが示唆された。また、rs10196262のリスクアレルが転写因子結合の増加及び転写活性の上昇によりEML4発現の増加を引き起こし、EML4発現の増加が女性のAISの発病に影響する可能性があることが示唆された。したがって、OBSCNの発現を増加させる活性またはEML4の発現を低下させる活性を指標にして薬剤をスクリーニングすることにより、側弯症の予防薬又は治療薬となりうる物質を得ることができる。
薬候補物質を添加する工程、OBSCNもしくはEML4遺伝子またはレポーター遺伝子の発現量を測定する工程、及び前記発現量を変化させる物質を選択する工程を含む、側弯症の予防薬又は治療薬のスクリーニング方法が挙げられる。
ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子などが例示できる。これらのレポーター遺伝子をOBSCNもしくはEML4遺伝子のプロモーターに連結し、これを哺乳類細胞に遺伝子を導入するために用いられるプラスミドに組み込み、リポフェクションなどの通常の方法にて細胞にトランスフェクションする。
ができる。レポーター遺伝子の発現量はレポーター遺伝子の種類にもよるが、蛍光強度や発光強度、放射能強度などによって測定することができる。
本発明はまた、OBSCNもしくはEML4遺伝子のmRNAまたはタンパク質の発現量を測定する工程を含む、側弯症の検査方法(検査データを得る方法)を提供する。OBSCN遺伝子のmRNAまたはタンパク質の発現量が健常人などの対照と比べて減少している場合、側弯症に罹患している、または側弯症の危険性が高いと判定することができる。EML4遺伝子のmRNAまたはタンパク質の発現量が健常人などの対照と比べて増加している場合、側弯症に罹患し
ている、または側弯症の危険性が高いと判定することができる。
[AISの性別階層化ゲノムワイド関連解析]
まず、GWAS対象(2104件の症例と10736件の対照)と最新の1000人ゲノムプロジェクト参照ハプロタイプを使用して全ゲノムインピュテーションを実施した。なお、対象者全員と少数の対象者の保護者からインフォームドコンセントを得た。本研究は試験実施機関と理化学研究所の倫理委員会により認可された。解析はマルチプレックスPCRベース・インベーダーアッセイ(Third Wave Technologies社)を用いて行った。
女性データセット(2007件の症例と4751件の対照)内では染色体10q24.31領域及び染色体6q24.1領域上のこれまでに特定された2か所のAIS感受性座位がゲノムワイド有意性(P<5×10-8)に達し、21か所の座位が示唆的な関連(P<1×10-5)を示した。
前記23か所の女性関連座位から6か所のこれまでに同定または調査が行われた座位を除外した。残りの17座位の各々に関して、我々は再現解析のために最小のP値を有するSNPを選択した。それらのうち、rs144779633、rs35518445及びrs3045832をそれぞれ、各SNPと高い連鎖不平衡状態(R2>0.98)にあるrs1475712、rs10208206及びrs12537799と置き換えた。
日本人女性の対象からなる独立したセット(941件の症例と1387件の対照)を用いて各座位について代表的なSNPの遺伝型をタイプし、有意な関連(P<2.94×10-3というボンフェローニ補正P値の閾値)を有する2例のSNP(rs59404763及びrs10196262)と有望な関連(P=6.09×10-3、OR=1.19)を示す1例のSNP(rs1475712)を特定した。GWASの結果と再現解析の結果を組み合わせるとrs59404763とrs10196262がP<5×10-8というゲノムワイド有意性の閾値に達し、rs1475712が示唆的な関連を示した(表1)。これらの新規感受性バリアントは女性では有意な関連を示したが、男性では有意な関連を示さなかった(表2)。
前記関連座位の特徴を分析するため、rs59404763及びrs10196262の周囲にあるタイピングされ、インピュテーションにより補完されたSNPをプロットした(図1)。最も有意な関連があったSNPであるrs59404763(複合P値=2.51×10-10、OR=1.53、95%CI=1.34〜1.75)は染色体1q42.13領域上のOBSCNのイントロン内に位置し(図1a)、関連があった他方のSNPであるrs10196262(複合P値=3.16×10-9、OR=1.33、95%CI=1.21〜1.46)は染色体2p21領域にある特徴不明の遺伝子であるLOC102723824の近傍に位置した(図1b)。
各座位の原因SNPを特定するため、rs59404763及びrs10196262とそれぞれ強固に相関する(R2>0.8)バリアントを選択し、そしてHaploregを使用してそれらのバリアントの調節能力を評価した(表3)。
染色体1q42.13座位内では最も有意な関連があったSNPはOBSCN遺伝子の中にあった(図1a)。それらのうち、rs58194408はDNase I高感受性部位、ヒストンマーク及び幾つかの転写因子についてのモチーフの変化をはじめとした調節能力についての強固な証拠を有しているので、そのSNPを候補原因SNPとして選択した。
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)を実施し、核タンパク質へのリスクアレルの結合強度が非リスクアレルの結合強度と比較して低下している(図2a)という転写因子結合のアレル差異を発見した。次にrs58194408がOBSCNの発現に対してアレル特異的効果を
有しているか調査した。OBSCNプロモーターとそのSNPの周囲のゲノム分節を含有するルシフェラーゼレポーターベクターを構築し、それらのレポーターベクターの転写活性を分析した。その結果、リスクアレルは非リスクアレルよりも有意に低い転写活性を示した(図2b)。これらの結果より、リスクアレルが原因の転写因子結合の減少及び転写活性の低下に起因するOBSCN発現の減少が女性のAISの発病に影響する可能性があることが示唆された。
染色体2p21座位内の最も有意な関連があったSNPは遺伝子間のものであった。したがって、候補感受性遺伝子を特定するため、Hi-C相互作用ブラウザを使用してrs10196262及び有意な関連があった他のSNPに重なるトポロジカル関連ドメイン(TAD)を検索し、そしてLOC102723824、EML4及びCOX7A2Lの3つの遺伝子を含むTADを発見した(図4a)。遺伝型−組織発現(GTEx)プロジェクトに由来するそれらの遺伝子の発現量的形質座位(eQTL)データより、rs10196262はEML4の発現と有意な関連があり、リスクアレルは非リスクアレルよりも高発現を示すことが明らかになった。
次に、rs144297067がEML4の発現に対してアレル特異的効果を有しているか調査した。EML4プロモーターとそのバリアントの周囲のゲノム分節を含有するルシフェラーゼレポーターベクターを構築し、それらのレポーターベクターの転写活性の変化を分析した。その結果、rs144297067というリスクバリアントが非リスクバリアントよりも有意に高い転写活性を示すことがわかった(図3b)。これらの観察結果はGTExポータルのeQTLデータと一致した。
細胞培養及びルシフェラーゼレポーターアッセイ
候補原因バリアントの各アレルについてのルシフェラーゼレポーターベクターを構築するため、両端にXhoI切断部位を含む二本鎖オリゴヌクレオチド(Invitrogen社)として各バリアントに隣接するゲノム断片を合成し、pGL3プロモーターベクター内のSV40プロモーターの上流にそれらのゲノム断片をクローン化した。我々はOBSCNプロモーター領域及びEML4プロモーター領域(それぞれ−987〜+53及び−765〜+274)をpGL4.10ベクター(Promega社)にクローン化することによりOBSCNプロモーター・ルシフェラーゼ融合ベクター及びEML4プロモーター・ルシフェラーゼ融合ベクターも構築した。次にrs58194408の周囲のゲノム断片をOBSCNプロモーター・ルシフェラーゼ融合ベクターにクローン化し、rs144297067の周囲のゲノム断片をEML4プロモーター・ルシフェラーゼ融合ベクターにクローン化した。それらのコンストラクトの全てのインサートをシーケンシングによって確認した。Transit-LT1(Mirus Bio社)を使用してHEK293細胞及びA172細胞にこれらのコンストラクトを形質移入し、製造業者の指示に従って形質移入から24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。これらの実験ではphRL-TKベクター又はphRL-SV40ベクター(Promega)を正規化用の内部対照として使用した。全てのアッセイを三連で少なくとも二回実施した。
相補的なオリゴヌクレオチドをアニーリングして各プローブを調製し、DIGゲルシフトキット(Roche社)を使用してジゴキシゲニン(DIG)-11-ddUTPでそのプローブを標識した。核抽出物を以前に記載されたように調製した。標識されたオリゴヌクレオチドを添加する前に過剰量の非標識オリゴヌクレオチドと核抽出物を予備インキュベートすることで競合実験を実施した。反応混合物を氷上で20分間にわたって定温放置した。DNAタンパ
ク質複合体を6%TBEゲル(Invitrogen社)上で分離し、製造業者の指示に従って化学発光検出システム(Roche社)を使用してシグナルを検出した。
ゲノムワイドの有意な関連がある前記2か所の座位の他に我々は染色体20q13.12領域上に示唆的な座位を特定した。関連があったSNPであるrs1475712はSLC2A10とEYA2との間の遺伝子間領域に位置し、rs1475712のTADはただ1つの遺伝子であるEYA2を含んだ(図4b)。EYA2はショウジョウバエ(Drosophila)のeyes absent遺伝子のヒトホモログである。Eya2はDach2又はSix1と物理的に相互作用して筋原性の遺伝子発現を相乗的に調節する。
以前に記載された(Am J Hum Genet 97, 337-342 (2015).)2142人のAIS患者を動員した。全ての患者が脊椎側弯症専門の外科医による診察とX線診断評価を受けた。全ての患者またはそれらの患者の保護者からインフォームドコンセントを得た。本研究は理化学研究所と試験実施機関の倫理委員会により認可された。骨格の成熟度に関係なく40°以上のコブ角を有する弯曲を弯曲の進行として定義し、骨格が成熟した患者において30°以下のコブ角を有する弯曲を弯曲の非進行と定義した。この基準は、40°よりも大きなコブ角を有する弯曲は骨格の成熟後でも進行性であり,一方で30°よりも小さいコブ角を有する弯曲は非進行性であるというAISの自然な経過に基づいている。今回、我々は明確な分類を行うために前記の2つの群の間に10°というギャップを置いた。コブ法には5〜10°の観察者内誤差または観察者間誤差がある。骨格の成熟を4以上のRisserグレード(参照番号24)によって規定した。手術されなかった症例については患者の最新のX線写真を使用してコブ角を評価し、手術された症例については手術前の患者の最後の診察に由来する情報を使用してコブ角を評価した。
独立した日本人のAISコホート(323人の進行した患者と283人の進行しなかった患者)を使用して前記10か所の候補座位の関連の再現性を調査した。我々は染色体11q14.1上のrs1828853というSNPによって表される1か所の座位との関連の証拠を3.73×10-5のP値(5.00×10-3未満のボンフェローニ補正P値)で見出した。GWASと再現解析の結果を組み合わせると、rs1828853がP<5×10-8というゲノムワイド有意性閾値に達した(複合P値=1.98×10-9;オッズ比=1.56;95%信頼区間(CI)=1.35〜1.80;表4)。
染色体11q14.1上の座位の特徴を分析するため、我々はrs1828853の周囲にあるタイプされ、インピュテーションにより補完されたSNPをプロットした。Locus Zoomを使用して局所的アソシエーションプロットを作成した。ランドマークとなるSNPであるrs1828853と強いLDにあるSNPを抽出し、プロットした(図5c)。これらのSNPはMIR4300HGという単一の遺伝子だけを含む同一のLDブロックの中に存在した。それらの最も有意に関連したSNPはMIR4300HGのイントロン1内に位置した(図5bおよび5c)。
機能的SNPを検索するため、我々はHaploRegバージョン4.1を使用してrs1828853と強く相関する(r2≧0.9)SNPを抽出した。rs971548、rs35333564およびrs7949305という3例のSNPがエンハンサーヒストンマーク内に位置した。したがって、そのSNPを含むゲノム領域は幾つかのエンハンサーのcis配列として作用する可能性がある。
Claims (10)
- rs59404763、rs10196262、rs1475712およびrs1828853からなる群より選択される一塩基多型または該一塩基多型と連鎖不平衡にある一塩基多型を分析し、該分析結果に基づいて側弯症を検査することを特徴とする、側弯症の検査方法。
- 前記側弯症が、思春期特発性側弯症である、請求項1に記載の方法。
- 前記側弯症が女性における側弯症であり、一塩基多型がrs59404763、rs10196262またはrs1475712である、請求項1に記載の方法。
- 前記側弯症の検査が側弯症の進行度の検査であり、一塩基多型がrs1828853である、請求項1に記載の方法。
- 配列番号1〜9のいずれかに示す塩基配列において、塩基番号26番目の塩基を含む15塩基以上の配列、又はその相補配列を有する側弯症検査用プローブ。
- 配列番号1〜9のいずれかに示す塩基配列において、塩基番号26番目の塩基を含む領域を増幅することのできる側弯症検査用プライマー。
- Obscurin遺伝子またはObscurin遺伝子のプロモーターに連結されたレポーター遺伝子を発現する細胞に医薬候補物質を添加する工程、Obscurin遺伝子またはレポーター遺伝子の発現量を測定する工程、及び前記発現量を増加させる物質を選択する工程を含む、側弯症の予防薬又は治療薬をスクリーニングする方法。
- Obscurin遺伝子のmRNAまたはタンパク質の発現量を測定する工程を含む、側弯症の検査方法。
- EML4遺伝子またはEML4遺伝子のプロモーターに連結されたレポーター遺伝子を発現する細胞に医薬候補物質を添加する工程、EML4遺伝子またはレポーター遺伝子の発現量を測定する工程、及び前記発現量を低下させる物質を選択する工程を含む、側弯症の予防薬又は治療薬をスクリーニングする方法。
- EML4遺伝子のmRNAまたはタンパク質の発現量を測定する工程を含む、側弯症の検査方法。
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