JP5624348B2 - 弾性クローラ - Google Patents
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Description
この建設機械用のクローラ式走行装置に採用される弾性クローラは、鉄シュー(鉄製クローラ)を採用していたクローラ式走行装置のクローラ装着機構を変更することなく、鉄製クローラを弾性クローラに変更できるようにした履き替えタイプである。
このロングピッチタイプの弾性クローラ6に対して、耐脱輪性能や低振動性能を改善すべく、セミショートピッチタイプと呼ばれる弾性クローラ6が開発された。
このショートピッチタイプの弾性クローラ6は、図9(c)に示すように、芯金23の配設ピッチP2をロングピッチタイプの弾性クローラ6の芯金23の配設ピッチP1の半分とすることにより、スプロケットの各歯(すべての歯)が芯金23に噛み合うようにしたものである。
そこで、このショートピッチタイプの弾性クローラ6には、重量軽減とコストダウンの要求がある。
前記第1の芯金と第2の芯金とは、クローラ本体の左右方向中央部に埋設された芯金中央部と、この芯金中央部から左右に延びる翼部と、前記芯金中央部からクローラ内周側に突設されていて前記スプロケット,アイドラ,転輪に係合することで脱輪を防止するための左右一対の係合突起とを備えている。
また、この弾性クローラのクローラ本体内には、第1の芯金及び第2の芯金の翼部の外周側に配置された抗張体をクローラ周方向にわたって埋設している。
また、スプロケット2を、図4(a)の矢示a方向に回転駆動すると、スプロケット2の歯2aが第1,2の芯金9,10を押圧して該芯金9,10にスプロケット2から駆動力が伝わると共に該芯金9,10に伝達された駆動力は抗張体19を介して弾性クローラ全周に伝達される。
また、第1の芯金9についても同様に、スプロケット2の駆動時に抗張体19から荷重が作用する。
本発明は、耐脱輪性能・低振動性能を維持しながら軽量化・コストダウンを図ったショートピッチタイプの弾性クローラを提供することができるよう工夫することを課題とする。
前記クローラ本体の左右方向中央部に、第1の芯金と第2の芯金との間に形成されていてスプロケットの歯が挿入する係合孔を形成し、
前記第1の芯金は、クローラ本体の左右方向中央部に埋設された芯金中央部と、この芯金中央部から左右に延びる翼部と、前記芯金中央部からクローラ内周側に向けて突設されていて前記スプロケット,アイドラ,転輪に係合することで脱輪を防止する左右一対の係合突起と、転輪が転動するレール面とを備え、
前記第2の芯金は、クローラ本体の左右方向中央部に埋設された芯金中央部と、この芯金中央部から左右に延びる翼部と、第1の芯金の一対の係合突起及びレール面と略同等の一対の係合突起及びレール面を備え、
前記クローラ本体内に、第1の芯金及び第2の芯金の翼部の外周側に配置された抗張体をクローラ周方向にわたって埋設し、
前記第2の芯金の翼部のクローラ外周側の面を、第1の芯金の翼部のクローラ外周側の面よりもクローラ内周側に位置させており、
前記クローラ本体がスプロケットに巻き掛けられた部分において、クローラ周方向で隣接する第1の芯金間で抗張体が略直線状となるように、第2の芯金の翼部のクローラ外周側の面が第1の芯金の翼部のクローラ外周側の面よりもクローラ内周側に位置していることを特徴とする。
のクローラ外周側の面よりもクローラ内周側に位置させたことにより、
弾性クローラをスプロケットに巻き掛けて該スプロケットを回転駆動させたときにおいて、スプロケットの周方向で隣接する第1の芯金間に位置する第2の芯金に抗張体から大きな荷重が加わるのを防止或いは該第2の芯金に抗張体から荷重が作用しないようにすることができ、これによって、第1の芯金に対して第2の芯金の強度を落として該第2の芯金の軽量化・コストダウンを図ることができ、延いては、弾性クローラの軽量化・コストダウンを図ることができる。
これらの発明において、第2の芯金は、第1の芯金と略同等の一対の係合突起及びレール面を有するので、本発明の弾性クローラの芯金ピッチと同じピッチで第1の芯金をクローラ周方向にわたって配設した弾性クローラと耐脱輪性能及び低振動性能は略同等である。
図8において1は、例えば、建設機械の走行部として採用されるクローラ式走行装置である。
このクローラ式走行装置1は、前後一側に配置されたスプロケット2と、前後他側に配置されたアイドラ3と、これらスプロケット2とアイドラ3との間に配置された複数の転輪4と、スプロケット2,アイドラ3,転輪4を左右軸回りに回転自在に支持するトラックフレーム5と、スプロケット2,アイドラ3,転輪4にわたって巻き付けられた無端帯状の弾性クローラ6とを備え、スプロケット2を回転駆動することにより該スプロケット2から弾性クローラ6に駆動力が伝達されて該弾性クローラ6が周方向に循環回走され、これにより、前後方向に走行可能とされている。
前記弾性クローラ6は、本実施形態では、履き替えタイプで且つショートピッチタイプの弾性クローラ6である。
このクローラ本体7の外周側には、地面に接地するラグ8がクローラ周方向Yに間隔をおいて且つ全周にわたって設けられている。
また、このクローラ本体7には、第1の芯金9と第2の芯金10とがクローラ周方向Yに一定のピッチPで交互に配設されて設けられている。
前記第1の芯金9は、クローラ本体7の左右方向X中央部に埋設された芯金中央部12と、この芯金中央部12から左右に延びる翼部13と、前記芯金中央部12からクローラ内周側Iに向けて突設された左右一対の係合突起14とを備えている。
また、本実施形態では、図3に示すように、一対の係合突起14の頂面(クローラ内周側Iの端面)が、転輪4又はアイドラ3が転動(走行)するレール面15とされている。
図3において、外ツバタイプの転輪4を実線で示し、中ツバタイプの転輪4を仮想線で示している。
この第2の芯金10にあっても、一対の係合突起18の頂面(クローラ内周側Iの端面)が転輪4又はアイドラ3が転動(走行)するレール面15とされている。
また、第2の芯金10の芯金中央部16の頂面16aの接地面からの高さ(距離)は、第1の芯金9の芯金中央部12の頂面12aの接地面からの高さと同じ高さ位置とされており、第2の芯金10の芯金中央部16のクローラ外周側Oの面16bが第1の芯金9の芯金中央部12のクローラ外周側Oの面12bよりもクローラ内周側Iに位置している。
る(完全にオーバーラップしている)。
したがって、第2の芯金10の一対の係合突起18は、第1の芯金9の一対の係合突起14と同等の脱輪防止機能を有する。
また、第2の芯金10の係合突起18が第1の芯金9の係合突起14と同等の形状に形成され且つクローラ周方向Yから見て同位置に位置していることから、該第2芯金のレール面15の接地面からの高さは、第1の芯金9のレール面15と同高さとされている(第2の芯金10は、第1の芯金9と同等の軌道機能を備えたレール面15を有する)。
第2の芯金10の係合突起18及びレール面15が第1の芯金9の係合突起14及びレール面15と同等の機能を有することにより、ショートピッチタイプの弾性クローラ6の耐脱輪性能及び低振動性能を確保することができる。
すなわち、第2の芯金10の翼部17は第1の芯金9の翼部13に比べて、左右方向Xの長さLが短いと共にクローラ周方向Yの幅W2が狭く且つ厚みT2が薄い。
前記クローラ本体7内には、第1の芯金9の左右各翼部13及び第2の芯金10の左右各翼部17のクローラ外周側Oに配置されていて、各芯金9,10の翼部13,17を外囲いする左右の抗張体19がクローラ周方向Y全周にわたるように埋設されている。
前記構成の弾性クローラ6にあっては、クローラ本体7をスプロケット2,アイドラ3及び転輪4にわたって巻き掛けると、スプロケット2に巻き掛けられた部分において、クローラ本体7に形成した係合孔11にスプロケット2の歯2aが挿入して該スプロケット2の歯2aが第1の芯金9及び第2の芯金10と噛み合う(図4参照)。
そして、特に、本実施形態では、図4(b)に示すように、スプロケット2から第1の芯金9に駆動力が伝わると、抗張体19がスプロケット2の周方向で隣接した第1の芯金9間において直線状となるように、第2の芯金10の翼部17のクローラ外周側Oの面17bが、第1の芯金9の翼部13のクローラ外周側Oの面13bよりもクローラ内周側Iに位置している。
すなわち、従来のものにあっては、図4(a)に示すように、弾性クローラ6がスプロケット2に巻き掛けられた部分では、クローラ本体がスプロケット2に沿って屈曲して抗張体19が多角形状に屈曲するので、スプロケット2を回転駆動すると、スプロケット2の周方向で隣接する第1の芯金9間で抗張体19が直線状になろうとし、これら第1の芯金9の間に位置する第2の芯金10をスプロケット2の歯底に向けて押圧する荷重Fが抗張体19から該第2の芯金10に作用することとなり、第2の芯金10は、該荷重Fに耐えうるだけの強度が必要とされるが、本実施形態では、この荷重Fが第2の芯金10に作用しないのである。
また、前述したように、第2の芯金10の係合突起18及びレール面15が第1の芯金9の係合突起14及びレール面15と同等の機能を有するので、ショートピッチタイプの弾性クローラ6の耐脱輪性能及び低振動性能を落とさないで、該ショートピッチタイプの弾性クローラ6の軽量化を図ることができる。
前記構成において、図4(c)に示すように、第2の芯金10の芯金中央部12のクローラ周方向Yの幅W1及びクローラ厚さ方向Zの厚みT1を、第1の芯金9の芯金中央部12と同等としてもよい。
また、第2の芯金10を極端に短くすることにより、接地時に地面から作用する荷重が減り、重量を落とすことができる(翼部17の長さLが短くなることで、芯金10に作用する曲げスパンが短くなり、強度、重量を落とすことができる)。
翼部17を設けないようにしてもよい。
しかしながら、翼部17がないと、第2の芯金10とクローラ本体7との接着面積が減ることとなるので、スプロケット2から第2の芯金10に駆動力が伝わる際における荷重が繰り返し第2の芯金10に作用すると、第2の芯金10が早期にクローラ本体7から剥離する惧れがある。
これによって、図5(c)に示すように、第2の芯金10のスプロケット周方向前後の第1の芯金9がスプロケット2の歯2aに噛合している状態で、該第2の芯金10の芯金中央部16とスプロケット2の歯2aとの間に隙間Gができ、第2の芯金10にスプロケット2から駆動力が伝達されない。
なお、翼部17を有する第2の芯金10の芯金中央部16に、図5の構成を採用してもよい。
この実施形態にあっても、第2の芯金10のレール面15は、接地面からの高さが第1の芯金9のレール面15と同じ高さになるように設定されており、第2の芯金10のレール面15が第1の芯金9のレール面15と同等の機能を有する。
2a スプロケットの歯
3 アイドラ
4 転輪
7 クローラ本体
9 第1の芯金
10 第2の芯金
11 係合孔
12 第1の芯金の芯金中央部
13 第1の芯金の翼部
13a 第1の芯金の翼部のクローラ外周側の面
14 第1の芯金の係合突起
15 レール面
16 第2の芯金の芯金中央部
17 第2の芯金の翼部
17a 第2の芯金の翼部のクローラ外周側の面
18 第2の芯金の係合突起
19 抗張体
I クローラ内周側
O クローラ外周側
P ピッチ
T1 第1,2の芯金の芯金中央部のクローラ厚さ方向の厚み
X 左右方向(弾性クローラの帯幅方向)
Y クローラ周方向
W1 第1,2の芯金の芯金中央部のクローラ周方向の幅
Claims (3)
- 弾性体によって無端帯状に形成されていて、スプロケット(2),アイドラ(3)及び転輪(4)にわたって巻き掛けられるクローラ本体(7)を備え、このクローラ本体(7)に第1の芯金(9)と該第1の芯金(9)より軽量の第2の芯金(10)とをクローラ周方向(Y)に一定のピッチ(P)で交互に配設し、
前記クローラ本体(7)の左右方向(X)中央部に、第1の芯金(9)と第2の芯金(10)との間に形成されていてスプロケット(2)の歯(2a)が挿入する係合孔(11)を形成し、
前記第1の芯金(9)は、クローラ本体(7)の左右方向(X)中央部に埋設された芯金中央部(12)と、この芯金中央部(12)から左右に延びる翼部(13)と、前記芯金中央部(12)からクローラ内周側(I)に向けて突設されていて前記スプロケット(2),アイドラ(3),転輪(4)に係合することで脱輪を防止する左右一対の係合突起(14)と、転輪(4)が転動するレール面(15)とを備え、
前記第2の芯金(10)は、クローラ本体(7)の左右方向(X)中央部に埋設された芯金中央部(16)と、この芯金中央部(16)から左右に延びる翼部(17)と、第1の芯金(9)の一対の係合突起(14)及びレール面(15)と略同等の一対の係合突起(18)及びレール面(15)を備え、
前記クローラ本体(7)内に、第1の芯金(9)及び第2の芯金(10)の翼部(13,17)の外周側に配置された抗張体(19)をクローラ周方向(Y)にわたって埋設し、
前記第2の芯金(10)の翼部(17)のクローラ外周側(O)の面(17b)を、第1の芯金(9)の翼部(13)のクローラ外周側(O)の面(13b)よりもクローラ内周側(I)に位置させており、
前記クローラ本体(7)がスプロケット(2)に巻き掛けられた部分において、クローラ周方向(Y)で隣接する第1の芯金(9)間で抗張体(19)が略直線状となるように、第2の芯金(10)の翼部(17)のクローラ外周側(O)の面(17b)が第1の芯金(9)の翼部(13)のクローラ外周側(O)の面(13b)よりもクローラ内周側(I)に位置していることを特徴とする弾性クローラ。 - スプロケット(2)からクローラ本体(7)に駆動力が伝達される際に前記第2の芯金
(10)にスプロケット(2)から駆動力が伝達されないように、該第2の芯金(10)の芯金中央部(16)のクローラ周方向(Y)の幅(W1)を、第1の芯金(9)の芯金中央部(12)のクローラ周方向(Y)の幅(W1)よりも幅狭に形成したことを特徴とする請求項1に記載の弾性クローラ。 - 前記第2の芯金(10)の芯金中央部(16)のクローラ厚さ方向(Z)の厚み(T1)を、第1の芯金(9)の芯金中央部(12)のクローラ厚さ方向(Z)の厚み(T1)よりも肉薄に形成したことを特徴とする請求項1または2に記載の弾性クローラ。
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