JP5621847B2 - 重合体、その製造方法、フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が2.5×104〜5.0×105であり、かつGPCにより測定された積分分子量分布曲線による、ポリスチレン換算の分子量が5.0×103以下である低分子量成分の占める量が、重合体全体に対して5.0%以下である重合体。
工程(a)後の混合物と、下記式(5)で表される化合物および下記式(7)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含む成分(A)とを混合し、工程(a)で得られたアルカリ金属塩と成分(A)とを反応させる工程(b)
を含む、[1]または[2]に記載の重合体の製造方法。
[10] 前記フィルムをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解させて得られる溶液であって、前記重合体の濃度が10重量%である溶液のYI値が、32.0以下である、[6]〜[9]のいずれかに記載のフィルム。
前記重合体および有機溶媒を含む重合体組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、
該塗膜を210〜350℃で焼成する工程と
を含む、フィルムの製造方法。
また、本発明によれば、さらに熱収縮率の小さいフィルムも得ることができる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が2.5×104〜5.0×105であり、かつGPCにより測定された積分分子量分布曲線による、ポリスチレン換算の分子量が5.0×103以下である低分子量成分の占める量が、重合体全体に対して5.0%以下である。
前記重合体は、下記式(1)で表される構造単位(以下「構造単位(1)」ともいう。)および下記式(2)で表される構造単位(以下「構造単位(2)」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する。このため、前記重合体は、耐着色性、耐熱性および光透過性に優れる。よって、前記重合体を含むフィルムは、高温焼成などの熱処理を行うことができるので、高温下での熱収縮が起こりにくいフィルムを得ることができる。
ここで、力学的特性とは、重合体の引張強度、破断伸びおよび引張弾性率等の性質のことをいう。
前記重合体は、例えば、下記式(5)で表される化合物(以下「化合物(5)」ともいう。)および下記式(7)で表される化合物(以下「化合物(7)」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を含む成分(A)と下記式(6)で表される化合物を含む成分(B)とを、反応させることにより得ることができる。
前記重合体(I)は、TOSOH製HLC−8220型GPC装置(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:テトラヒドロフラン(以下「THF」ともいう。))を用いて測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは15,000〜400,000、さらに好ましくは30,000〜300,000である。
本発明に係るフィルムは、前記重合体を含む。このため、本発明に係るフィルムは、着色性、耐熱性および光透過性に優れる。
本発明のフィルムの製造方法としては、特に制限されないが、前記重合体を含む重合体組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、該塗膜から有機溶媒を除去する工程を含む方法が挙げられる。
このような重合体組成物を用いることで、より着色が少なく、光透過性に優れるフィルムを製造することができる。
本発明のフィルムは、JIS K7133(熱処理温度220℃、60分)における熱収縮率が−0.1〜0.1%であり、好ましくは−0.05〜0.05%であり、さらに好ましくは−0.03〜0.03%である。
熱収縮率=(L0−L)×100/L0(%)
本発明のフィルムは、このようなガラス転移温度を有することにより、優れた耐熱性を有する。
本発明のフィルムは、透過率がこのような範囲にあることで、特に高い光線透過率を有する。
具体的には、
本発明のフィルムを200℃で6時間乾燥した後に、DMAcに溶解して得られる溶液であって、前記重合体の濃度が10重量%である溶液のYI値は、15.0以下であることが好ましく、7.0以下であることがさらに好ましい。
下記実施例1−1〜5、参考例1−6および比較例1−1〜4で得られた重合体の構造分析は、IR(ATR法、FT−IR,6700、NICOLET社製)およびNMR(ADVANCE500型,BRUKAR社製)により行った。
下記実施例1−1〜5、参考例1−6および比較例1−1〜4で得られた重合体の重量平均分子量は、TOSOH製HLC−8220型GPC装置(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:THF)を用いて測定した。検出器はRI、流量0.6ml/min、測定濃度0.2重量%、標準ポリスチレン換算。
下記実施例1−1〜5、参考例1−6および比較例1−1〜4で得られた評価用フィルムのガラス転移温度はRigaku社製、Thermo Plus DSC8230を用いて、昇温速度20℃/分として評価した。
下記実施例1−1〜5、参考例1−6および比較例1−1〜4で得られた重合体の熱分解温度を熱重量分析法(TGA:窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分、5%重量減少温度)により測定した。
下記実施例1−1〜5、参考例1−6および比較例1−1〜4で得られた評価用フィルムの室温における引張強度、破断伸び、引張弾性率を、JIS K7127に準じて、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて測定した。
下記実施例1−1〜5、参考例1−6および比較例1−1〜4で得られた評価用フィルムについて、全光線透過率、YI値をJIS K7105透明度試験法に準じて測定した。具体的には、フィルムの全光線透過率をスガ試験機社製SC−3H型ヘイズメーターを用いて、YI値(イエローインデックス)をスガ試験機社製SM−T型色彩測定器を用いて測定した(加熱前YI)。
下記実施例1−1〜5、参考例1−6および比較例1−1〜4で得られた評価用フィルムを用いて、JIS K7133に準じて実施した。具体的には、所定の温度(220℃または240℃)に設定された恒温室の中にあらかじめ正確な長さを測定したフィルム(100mm×100mm)を無緊張状態で入れ、60分保持した後、取り出し、室温に戻してからその寸法の変化を読み取った。熱処理前のフィルム長さL0と熱処理後のフィルムの長さLより、次式により熱収縮率を求めた。
熱収縮率=(L0−L)×100/L0(%)
下記実施例1−1〜5、参考例1−6および比較例1−1〜4で得られた評価用フィルムの湿度膨張係数は、TMA(SIIナノテクノロジー社製 TMA−SS6100、湿度制御オプション付き、湿度条件:40%RHから70%RHへ10%毎に湿度を変更(引張法:荷重5g)、温度23℃、各湿度で2時間保持、傾きからCHEを算出、サンプルサイズ4mm×20mm、厚み30μm、チャック間10mm)により測定した。
3Lの4つ口フラスコに成分(B):9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下「BPPFL」ともいう。)125.65g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下「DMAc」ともいう。)643gおよびトルエン161gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管および冷却管を取り付けた。
得られた評価用フィルムの物性を表1に示す。
成分(B):BPPFL(0.250mol)の代わりに9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下「BPFL」ともいう。)87.60g(0.250mol)を使用した以外は実施例1−1と同様に行った。
得られた重合体および評価用フィルムの物性を表1に示す。
実施例1−1の焼成工程において、焼成温度を230℃から270℃に変更し、焼成雰囲気を大気下から窒素雰囲気下に変更した以外は実施例1−1と同様に行った。
得られた重合体および評価用フィルムの物性を表1に示す。
成分(B):BPPFL(0.250mol)の代わりにBPFL52.56g(0.150mol)と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(以下、「Bis−F」ともいう。)33.62g(0.100mol)を使用した以外は実施例1−1と同様に行った。
得られた重合体および評価用フィルムの物性を表1に示す。
成分(B):BPPFL(0.250mol)の代わりにBPFL78.92g(0.225mol)と1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、「Bis-Z」ともいう。)6.72g(0.025mol)を使用した以外は実施例1−1と同様に行った。
得られた重合体および評価用フィルムの物性を表1に示す。
成分(B):BPPFL(0.250mol)の代わりにBPFL87.69g(0.250mol)を用い、成分(A):2,6−ジフルオロベンゾニトリル(0.251mol)の代わりに4,4'−ジクロロジフェニルスルホン72.15g(0.251mol)を使用した以外は実施例1−1と同様に行った。
得られた重合体および評価用フィルムの物性を表1に示す。
実施例1−1の焼成工程における焼成温度を230℃から200℃に変更し、焼成雰囲気を大気下から窒素雰囲気下に変更した以外は実施例1−1と同様に行った。
得られた重合体および評価用フィルムの物性を表1に示す。
実施例1−2の焼成工程における焼成温度を230℃から200℃に変更し、焼成雰囲気を大気下から窒素雰囲気下に変更した以外は実施例1−2と同様に行った。
得られた重合体および評価用フィルムの物性を表1に示す。
参考例1−6の焼成工程における焼成温度を230℃から200℃に変更し、焼成雰囲気を大気下から窒素雰囲気下に変更した以外は参考例1−6と同様に行った。
得られた重合体および評価用フィルムの物性を表1に示す。
成分(B):BPFL87.69g(0.250mol)の代わりに4,4'−ジヒドロキシビフェニル46.55g(0.250mol)を使用した以外は参考例1−6と同様に行った。フィルムの焼成工程は230℃ではフィルムの変形が見られたため、200℃に変更した。
得られた重合体および評価用フィルムの物性を表1に示す。なお、240℃で熱処理した後の熱収縮率は、評価用フィルムが波打ちして測定できなかったため、測定できなかった。
下記実施例2−1〜5、参考例2−6および比較例2−1〜5で得られた重合体の構造分析は、IR(ATR法、FT−IR,6700、NICOLET社製)およびNMR(ADVANCE500型,BRUKAR社製)により行った。
下記実施例2−1〜5、参考例2−6および比較例2−1〜5で得られた重合体の重量平均分子量は、TOSOH製HLC−8220型GPC装置(カラム:SuperH2000およびSuperH4000、ガードカラム:SuperH−Lを連結したカラム、展開溶剤:THF)を用いて測定した。検出器はUV、波長254nm、流量0.6ml/min、測定濃度0.3重量%、標準ポリスチレン換算。また、GPCによるポリスチレン換算の分子量が5.0×103以下である成分の重合体全体に対する占める量は、GPCによる積分分子量分布曲線より算出した。
下記実施例2−1〜5、参考例2−6および比較例2−1〜5で得られた評価用フィルムのガラス転移温度は、Rigaku製 Thermo Plus DSC8230を用い、昇温速度20℃/min窒素下で測定した。
下記実施例2−1〜5、参考例2−6および比較例2−1〜5で得られた評価用フィルム、および該フィルムをさらに270℃で1時間焼成した後の、それぞれのフィルムを下記実施例2−1〜5、参考例2−6および比較例2−1〜5で得られる重合体の濃度が10重量%となるようにDMAcに溶解させた溶液の、色相(YI値)を紫外可視分光光度計(JASCO社製型番V−570、C光源、視野角10度)にて測定した。
また、下記実施例2−1〜5、参考例2−6および比較例2−1〜5で得られた評価用フィルムの厚み30μmにおけるJIS K7105透明度試験法による全光線透過率を、ヘイズメーターSC−3H(スガ試験機社製)を用いて測定した。
3Lの4つ口フラスコに(B)成分:9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下、「BPFL」ともいう。)87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、DMAc490gおよびトルエン122gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管および冷却管を取り付けた。
DMAc490gおよびトルエン122gの代わりに、DMAc293gおよびトルエン73gを用いた以外は実施例2−1と同様に行った。得られた重合体および評価用フィルムの物性を表2に示す。
BPFL87.60g(0.250mol)の代わりに、BPFL78.84g(0.225mol)と1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BisZともいう)6.71g(0.025mol)とを用いた以外は実施例2−2と同様に行った。得られた重合体および評価用フィルムの物性を表2に示す。
BPFL87.60g(0.250mol)の代わりに、BPFL78.84g(0.225mol)と2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(BisAFともいう)8.41g(0.025mol)とを用いた以外は実施例2−2と同様に行った。得られた重合体および評価用フィルムの物性を表2に示す。
2,6−ジフルオロベンゾニトリル34.95g(0.251mol)の代わりに、2,6−ジフルオロベンゾニトリル27.96g(0.201mol)と4,4’−ジフルオロベンゾフェノン10.91g(0.050mol)とを用いた以外は実施例2−2と同様に行った。得られた重合体および評価用フィルムの物性を表2に示す。
2,6−ジフルオロベンゾニトリル34.95g(0.251mol)の代わりに、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン63.82g(0.251mol)を用いた以外は実施例2−2と同様に行った。得られた重合体および評価用フィルムの物性を表2に示す。
3Lの4つ口フラスコに(B)成分:BPFL87.60g(0.250mol)、(A)成分:2,6−ジフルオロベンゾニトリル34.95g(0.251mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、DMAc490gおよびトルエン122gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管および冷却管を取り付けた。
(B)成分:BPFL78.84g(0.225mol)およびBisZ6.71g(0.025mol)、(A)成分:2,6−ジフルオロベンゾニトリル34.95g(0.251mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、DMAc490gならびにトルエン122gを用いた以外は、比較例2−1と同様に行った。得られた重合体および評価用フィルムの物性を表2に示す。
(B)成分:BPFL78.84g(0.225mol)およびBisAF8.41g(0.025mol)、(A)成分:2,6−ジフルオロベンゾニトリル34.95g(0.251mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、DMAc490gならびにトルエン122gを用いた以外は、比較例2−1と同様に行った。得られた重合体および評価用フィルムの物性を表2に示す。
(A)成分:2,6−ジフルオロベンゾニトリル27.96g(0.201mol)および4,4’−ジフルオロベンゾフェノン10.91g(0.050mol)、(B)成分:BPFL87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、DMAc490gならびにトルエン122gを用いた以外は、比較例2−1と同様に行った。得られた重合体および評価用フィルムの物性を表2に示す。
(A)成分:4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン63.82g(0.251mol)、(B)成分:BPFL87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、DMAc490gならびにトルエン122gを用いた以外は、比較例2−1と同様に行った。得られた重合体および評価用フィルムの物性を表2に示す。
Claims (13)
- 前記重合体が、さらに、下記式(2)で表される構造単位、下記式(3)で表される構造単位および下記式(4)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する、請求項1に記載の重合体。
- 下記式(6)で表される化合物を含む成分(B)とアルカリ金属化合物とを反応させて、成分(B)のアルカリ金属塩を得る工程(a)、および
工程(a)後の混合物と、下記式(5)で表される化合物および下記式(7)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、少なくとも下記式(5)で表される化合物を含む成分(A)とを混合し、工程(a)で得られたアルカリ金属塩と成分(A)とを反応させる工程(b)
を含む、請求項1または2に記載の重合体の製造方法。
- 請求項1もしくは2に記載の重合体、または、請求項3もしくは4に記載の製造方法で得られる重合体を含む樹脂組成物。
- 請求項1もしくは2に記載の重合体、または、請求項3もしくは4に記載の製造方法で得られる重合体を含むフィルム。
- 前記重合体が、さらに、下記式(2)で表される構造単位、下記式(3)で表される構造単位および下記式(4)で表される構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位を有する、請求項7に記載のフィルム。
- 前記フィルムの厚み30μmにおけるYI値(イエローインデックス)が、3.0以下である、請求項6〜8のいずれか1項に記載のフィルム。
- 前記フィルムをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解させて得られる溶液であって、前記重合体の濃度が10重量%である溶液のYI値が、32.0以下である、請求項6〜9のいずれか1項に記載のフィルム。
- 前記フィルムの厚み30μmにおけるJIS K7105透明度試験法による全光線透過率が85%以上である、請求項6〜10のいずれか1項に記載のフィルム。
- 示差走査熱量測定(DSC、昇温速度20℃/分)によるガラス転移温度(Tg)が230〜350℃である、請求項6〜11のいずれか1項に記載のフィルム。
- 請求項6〜12のいずれか1項に記載のフィルムを製造する方法であって、
前記重合体および有機溶媒を含む重合体組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、
該塗膜を210〜350℃で焼成する工程と
を含む、フィルムの製造方法。
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