従来のロータリーダイカッターにおける背景技術は以下のとおりである(下記特許文献1参照)。図13に示すように、従来のロータリーダイカッターは、ダイロール1のロール本体1aの軸とアンビルロール2のロール本体2aの軸とがそれぞれに対応して機械本体に装着された軸受(図示省略)によってその両側を回転可能に支持され、それぞれの軸を中心として相対して逆方向に回転し、その回転に伴い、シートS(ここでは複数層の紙から成る段ボールS1)が上下に間隔をあけて互いに対向するように配置されたダイロール1とアンビルロール2との間に挟まれて次から次へと順次送られてくる。ダイロール1は、そのロール本体1aの周面に固定されたダイボード10を備えており、このダイボード10でシートSに打抜・罫入加工を施す。
ロール本体1a、2aの各軸を支持する上記軸受には、軸に対して直交する方向への元来固有の少し遊びや余裕があり、その程度や大きさは機械によりまちまちである。なお、加工を施されたシートSが製品として問題のあるものとならない程度に、シートSのスリップ等によるその送り速度に誤差の生じることがある。
ロータリーダイカッターの従来からの特徴としては、回転機械であるため、上下方向へ間欠的に往復動する平盤状の刃物台と受台とで打抜・罫入加工を行うプラテンダイカッターよりも生産性に優れている点が挙げられる。
ロータリーダイカッターにおけるダイロール1を構成するダイボード10は、ダイロール1のロール本体1aの外周面に沿うように湾曲する半円筒状のベニヤ板等からなる基板11に、金属製の加工具12を植え込むように取り付けたものであり、加工具12には、先端部に刃を有する切刃部材12aと、先端部に罫線の形状に対応する形状を有する罫入部材12bとがある。加工具12が切刃部材12aである場合には、その先端部がアンビルロール2に接触するので、刃先の欠損防止を考慮して様々な硬度のものが適宜使用される。加工具12が罫入部材12bである場合には、その先端部はアンビルロール2上のシートSに接触・押圧して罫線を形成し、アンビルロール2に当接することはない。
なお、ロータリーダイカッターにおいては、基板11に取り付けられて高速度で回転移動している切刃部材12aを、ダイロール1及びアンビルロール2のロール本体1a,2aの軸をそれぞれ支持する軸受の遊びや余裕の範囲内で、アンビルロール2に瞬時に強く押し当てることにより、シートSが高速度で水平方向に移動している段ボールS1等の剛性の大きいものであっても、一瞬で切断してシートSに打抜加工を施す。同様に、罫入部材12bにおいては、シートSに押圧に伴い罫入加工を施す。一方、プラテンダイカッターにおいては、走行停止中のシートSに対して切刃部材又は罫入部材を上下方向に移動させて、シートに打抜加工又は罫入加工を施す。
ロータリーダイカッターにおけるアンビルロール2には、鋼製のロール本体2aである円筒状シリンダの表面に切刃部材12aの刃先が当たっても傷が付かないように、表層部に硬化処理を施して比較的硬度数の大きい層を形成したものや、切刃部材12aの刃先が欠損しないように、表層部にステンレス鋼のような比較的硬度数の小さい層を形成したものがあり、これらのように表層部に硬さを持たせた鋼製のものがハードカット方式と呼ばれるロータリーダイカッターに適用される。
ハードカット方式の場合は、図12に示すように、切刃部材12aの刃先がシートSに接することにより切断を開始して徐々に喰い込んで行き、図13に示すように、その喰い込み量の最も大きくなる最下点でアンビルロール2の金属製の表面に接して、シートSは切断加工される。このとき、アンビルロール2の表面に接した切刃部材12aの刃先が、アンビルロール2のロール本体2aを支持する軸受の遊びや余裕の大きさの範囲内でアンビルロール2の表面を加重的に僅かに押圧して、シートSを確実に切断する。
従って、ハードカット方式の場合、ダイボード10の基板11の表面からの切刃部材12aの突出高さは、ロール本体2aの軸受の上記遊びや余裕の大きさの範囲内でアンビルロール2を押圧できることも考慮し、機械個々の特性にも対応して微妙に適宜調整された高さに設定される。この突出高さが低過ぎるとシートSを適切に切断できず、また、高過ぎると軸受に負荷が掛かり過ぎて故障を起こしたり、アンビルロール2の表面を傷つけたり、切刃部材12aの刃先の破損を招いたりする。
なお、このように切刃部材12aの突出高さを適宜調整したとしても、高速度で走行移動している剛性の大きいシートSを確実に切断するために、高速度で回転移動している切刃部材12aが切断ごとに最下点でアンビルロール2に激しく接触し、強い負荷を受けることから、切刃部材12aの先端部が破損したり、その本体部分が折れ曲がったりすることがある。
また、切刃部材12aでのシートSの切断過程において、アンビルロール2のロール本体2aを支持する軸受の上記遊びや余裕の大きさの範囲内で、アンビルロール2とその表面に接触するシートSは上下方向に動くので、シートSを正確な位置で切断できなかったり、シートSに綺麗な切断部を形成できなかったりすることがある。
一方、アンビルロール2には、表層部が例えばウレタン層のような軟らかい層となっているものがあり、このようなアンビルロール2がソフトカット方式と呼ばれるロータリーダイカッターに適用される。
ソフトカット方式の場合は、切刃部材12aの刃先が最下点に至った際に、その刃先はアンビルロール2のウレタン層に接し、ウレタン層の厚さ方向の中間部まで喰い込んで、ウレタン層の上にあるシートSを切断加工するため、シートSを比較的確実に切断でき、切刃部材12aの寿命は長くなるが、ウレタンが傷み易くなる。
なお、アンビルロール2の表層部をウレタンとした場合、切刃部材12aの刃先の最下点でのウレタン層への喰い込み量は、通常1mm~3mm程度とするが、この喰い込み量は使用するウレタンの材質、柔軟度、層の厚さ等によって様々な大きさに調整される。このようなソフトカット方式の場合も、ダイボード10の基板11の表面からの罫入部材12bの突出高さは、アンビルロール2のロール本体2aの軸受の上記遊びや余裕の大きさの範囲内でアンビルロール2を押圧できることも考慮し、機械個々の特性にも対応して、微妙に適宜調整された高さに設定される。この突出高さが低過ぎるとシートSに適切な罫線の形成ができず、また、高過ぎると軸受に負荷が掛かり過ぎて故障を起こしたり、ウレタンの傷みがひどくなったりする。
上記のようなハードカット方式又はソフトカット方式のいずれの方式のロータリーダイカッターにおいても、加工具12が切刃部材12aである場合には、切刃部材12aの先端が最下点で激しくアンビルロール2に接することによって、アンビルロール2上のシートSを切断して打抜加工を行う。また、加工具12が罫入部材12bである場合には、罫入部材12bの先端がアンビルロール2に接することなく、アンビルロール2上のシートSを最下点で激しく押圧して窪ませ、シートSに所要形状の罫線を鮮明に入れる罫入加工を行う。従って、ダイボード10の基板11の表面からの罫入部材12bの突出高さは、切刃部材12aの突出高さより低く設定されている。
すなわち、ダイボード10の基板11の表面からの切刃部材12aの突出高さは、ハードカット方式の場合、切刃部材12aの刃先が最下点でアンビルロール2に激しく接し、アンビルロール2を軸受の上記遊びや余裕の範囲内で下方へ押圧して移動させることができ、シートSへの刃先の喰い込み量が最も大きくなる高さとされる。一方、ソフトカット方式の場合、刃先が最下点でアンビルロール2のウレタン等の軟らかい層の厚さ方向の中間部まで喰い込み、さらに、アンビルロール2を軸受の上記遊びや余裕の範囲内で下方へ押圧して移動させることができ、シートSへの刃先の喰い込み量が最も大きくなる高さとされる。
また、ダイボード10の基板11の表面からの罫入部材12bの突出高さは、ハードカット方式及びソフトカット方式のいずれの場合においても、罫入部材12bの先端部がシートSへの喰い込みの最も大きくなる最下点でアンビルロール2上のシートSに激しく接し、アンビルロール2を軸受の上記遊びや余裕の範囲内で、その軸方向に対して直交する方向である下方へ押圧して移動させることができ、シートSに対するその先端部の喰い込み量が最も大きくなる高さとされる。
以下の記載は、図12および図13に示すハードカット方式の従来の場合についてのものであるが、ソフトカット方式の従来の場合についても同様である。
高速度で回転移動する加工具12が切刃部材12aである場合、ダイロール1の回転に伴い、切刃部材12aの先端はシートSに接触して喰い込み始め、高速度で走行移動しているシートSの切断を開始する。その後、シートSへの切刃部材12aの喰い込み量が増して行き、切刃部材12aは、シートSへの喰い込み量が最も大きくなる最下点を通過して、やがてシートSから抜け出し、シートSの切断加工が瞬時に完了する。
ここで、切刃部材12a又は罫入部材12bは、最下点に至った際、アンビルロール2を、その軸を支持する軸受の上記遊びや余裕の範囲内で下方へ激しく押圧し、シートSが剛性の強いものであっても、シートSを完全に切断したり、シートSに鮮明な罫線を形成したりするが、アンビルロール2上のシートSは、高速度で回転移動するアンビルロール2と共に、軸受の上記遊びや余裕の範囲内で動くので、シートSを正規の位置で切断することや罫入れすることは困難である。
また、ロータリーダイカッターには、ダイロール1が下方に配置され、アンビルロール2が上方に配置されるタイプのものもある。このタイプの場合も、ダイロール1が上方に配置され、アンビルロール2が下方に配置される上記タイプの場合と同様に、切刃部材12a又は罫入部材12bの先端部のシートSへの喰い込み量が最上点で最も大きくなり、アンビルロール2に激しく接して、アンビルロール2を支持する軸受の上記遊びや余裕の範囲内で、アンビルロール2の軸に対して直交する方向である上方へ押圧して移動させるので、このときの反力によって、切刃部材12a又は罫入部材12bは、アンビルロール2から一挙に強い負荷や激しく大きい衝撃を受ける。この負荷や衝撃は、アンビルロール2や、切刃部材12a及び罫入部材12bが高速度で回転している程、遠心力等の作用により大きいものとなる。
また、いずれのタイプのロータリーダイカッターにおいても、切刃部材12a又は罫入部材12bの先端部の前後の両側部は、剛性の大きいシートSに喰い込んで挟まれた状態で移動するので負荷を大きく受ける。また、ダイロール1とアンビルロール2との間隔は狭いので、その間に送り込まれて挿入されるシートSの先端部が詰まってトラブルを起こすことがある。
このようなロータリーダイカッターで加工したシートSの前端部は、所定長さの切断屑代(端部代)Sgとなる部分において、切刃部材12aで化粧断ちされて最終的には製品となる。ただし、切断屑代Sgとなる部分と製品となる部分は、少しの間、一体的に次の工程へ送られる。このとき、除去されることになる切断屑代Sgの部分の長さは短かくする方がシートSのロスを削減できるが、短くなり過ぎると化粧断ちが良好にできなくなって製品部が不良品となってしまうおそれがあるため、切断屑代Sgの所定長さは通常1mm~10mm程度とされ、シートSの性状、製品の形状、機械の仕様、客先の要望等によって適宜決められる。また、罫入加工を行う場合も屑となる端部代が生じる。
なお、切刃部材12aによる化粧断ちを行わないで、シートSの端部から上述の切断屑代Sgの長さと同じくらいの短い所定長さの端部代Sgの部分に、罫入部材12bによる罫入加工を施す場合もある。
上記ロータリーダイカッターにおけるシートSの送りに際しては、僅かな速度のむらが生じたり、シートSに僅かに無駄な動きが生じたりすることがあるほか、特に、シートSが段ボールのように、厚さ方向の中間部に波状の構造を有する紙から成るようなものである場合、シートSの切断端が変形したり、潰れたりするので、切断屑代Sgの実際の長さは、製品として実用上問題のない範囲内で、当初定めた所定長さよりわずかに前後して長くなったり、短くなったりする。
また、ロータリーダイカッターには、上方にアンビルロール2を配置し、下方にダイロール1を配置して、互いに対向するように上下に間隔をあけるタイプのものもあり、このタイプの場合には、下方のダイロール1に設けた加工具12は、順次送られてくるシートSに最上点で最も大きく喰い込んで加工を行うものとなるが、その構成および作用等は、上方にダイロール1を配置し、下方にアンビルロール2を配置する上記タイプのロータリーダイカッターと実質的には同じである。
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<ロータリーダイカッターの概要>
図1に示すように、この発明の実施形態に係るダイボード10が取り付けられるロータリーダイカッターにおいては、図12及び図13に示す従来のハードカット方式と同様、ダイロール1のロール本体1aとアンビルロール2のロール本体2aとが上下に間隔をあけて互いに対向するように配置されて機械本体に取り付けられている。ダイロール1とアンビルロール2のそれぞれのロール本体1a,2aの各軸は、従来のものと同様に、それぞれの軸に対して直交する方向へ元来固有の遊びや余裕が若干あり、機械本体に取り付けられている軸受(図示省略)によって、その両側を回転可能に支持され、ダイロール1とアンビルロール2は、それぞれの回転軸を中心として相対して逆方向に高速度で回転し、その回転に伴い、シートS(ここでは複数層の紙から成る段ボールS1)が高速度で次から次へとダイロール1とアンビルロール2との間に順次送られてくる。
段ボールS1には、種々の厚さのものがあり、従来より、通常0.5mm程度から8mm程度の厚さのものが多用されている。これらの段ボールS1は、複数層の紙から構成されて波状の構造体を有するために、何れも剛性は強いが、剛性の大きさは様々である。
従来と同様に、ダイロール1を構成するダイボード10は、最終製品となる箱などに形成する前の展開状態の平坦なシート素材に加工するため、ダイロール1のロール本体1aの外周面に沿うように湾曲する半円筒状のベニヤ板等からなる基板11に、金属製の加工具12を植え込むように取り付けたものである。
加工具12には、先端部に刃を有する切刃部材12aと先端部に罫線の形状に対応する形状を有する罫入部材12bとがあり、図示省略した基板11の穴を介してボルトによりダイロール1の周面に沿って固定される。加工具12のうち、ダイロール1の回転方向に直交するように横切る方向であるダイロール1の幅方向に延びて、シートSに最初に当接し、初期の段階でシートSの移動方向に対して横切る方向に喰い込んで加工を行うものが初期加工具121である。
そして、従来と同様、初期加工具121が切刃部材12aである場合、切刃部材12aの先端は、シートSへの喰い込み量が最大となってアンビルロール2の表面に接し、アンビルロール2の表面を押圧することによって、アンビルロール2上のシートSを切断して打抜加工を行う。また、初期加工具121が罫入部材12bである場合、罫入部材12bの先端は、シートSへの喰い込みを開始して最大の喰い込み量となるまでの間、アンビルロール2に直接接することなく、アンビルロール2上の厚みのあるシートSを押圧して窪ませ、シートSに所要形状の罫線を入れる罫入加工を行う。従って、従来と同様に、ダイボード10の基板11の表面からの罫入部材12bの突出高さは、切刃部材12aの突出高さより低く設定されている。
なお、従来と同様、加工を施されたシートSが製品として問題のあるものとならない程度に、シートSの送り速度に誤差の生じることがある。例えば、避けることのできない僅かなシートSのスリップによって、シートSの送り速度がダイロール1及びアンビルロール2の周速に対応した所定の速度よりも少し遅れるような場合がある。
<ハードカット方式>
(上方:ダイロール、下方:アンビルロール、初期加工具が切刃部材の場合)
ハードカット方式の場合、アンビルロール2の表層部は、従来のハードカット方式の場合と同様に鋼製で硬さを持たせたものである。このハードカット方式におけるシートSの加工に際しては、従来の場合と同様、図3および図4に示すように、切刃部材12aの刃先がシートSへ接することにより喰い込み始めて切断を開始し、シートSの厚み分まで徐々に喰い込んでいき、その喰い込み量の最も大きくなる点である最下点でアンビルロール2に接し、その時点でシートSは切断加工される。ここで、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する軸受は、その軸に対して直交する方向への遊びや余裕を元来有しており、その遊びや余裕の大きさの範囲内で、切刃部材12aの刃先が最下点でアンビルロール2を僅かに押圧して、シートSを確実に切断する。
ダイボード10の基板11の表面からの切刃部材12aの突出高さは、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する軸受の上記遊びや余裕の大きさの範囲内でアンビルロール2が移動することを考慮し、さらに機械個々の特性にも対応して微妙に調整される。この突出高さが低過ぎるとシートSを適切に切断できず、また、高過ぎると軸受に負荷が掛かり過ぎて故障を起こしたり、アンビルロール2の表面を傷つけたり、刃先の破損を招いたりする。
図1乃至図4に示すように、ダイロール1を構成するダイボード10において、基板11には、加工具12のうち、ダイロール1の回転方向と直交するように横切る方向であるダイロール1の幅方向に延びてシートSに最初に当接し、初期の段階で打抜加工を行う初期加工具121としての切刃部材12aに直前で近接して、ダイボード10の周面に沿うように、本発明による押圧部材13が取付具備されている。
押圧部材13は、罫入部材12bと同様の金属製の短い帯材であり、初期加工具121よりも先に、アンビルロール2をその軸を支持する軸受が上記のように元来有する遊びや余裕の範囲内の大きさで直接押圧できる程度に、基板11の表面からの突出高さ寸法を有する。これにより、押圧部材13は、アンビルロール2とその表面に接するシートSを上下方向に動かない状態にして、シートSを正確な位置で切断する。
図2において、仮想的に二点鎖線で示したシートSの外周寄りの切刃部材12aの内側に当たる部分が、打ち抜かれて化粧断ちされた製品のシート素材となって、最終的には製品部となり、その外側に当たるシートSの前端部分は、所定長さの屑として除去される従来どおりの切断屑代Sgとしての端部代部となり、端部代部は製品部と一体的になって次へ送られる。また、初期加工具121が罫入部材12bである場合も、シートSの前端部分に端部代部としての屑代部は生じる。
なお、シートSの送り速度には僅かなむらが生じたり、また、シートSにはわずかに無駄な動きが生じたりするので、切断屑代(端部代)Sgの実際の長さは、製品として実用上問題のない範囲で当初定めた所定長さよりわずかに前後して長くなったり、短くなったりすることもある。
押圧部材13は、ダイロール1の回転方向に対し、前端部から後端部にわたって周方向に所定長さを有しており、その後端部を切断屑代Sgの前端である二点鎖線で示す部分に近接させ、その後端部から前端部にわたる全体が、切断屑代Sgの前端から前方へ僅かに離れた間際な外側の位置に取り付けられている。すなわち、所定長さの押圧部材13は、初期加工具121としての切刃部材12aから少なくとも切断屑代Sgの短い所定長さを超える間隔をあけて、前方へ離れた間際な位置に取り付けられている。また、押圧部材13は、ダイボード10の前後方向に対し傾いてハの字状に延びている。
切断屑代Sgの長さは、短い方が材料のロスを低減でき、また、押圧部材13の後端部を初期加工具121としての切刃部材12a(以下、本項において単に切刃部材12aという。)により近接させて、切刃部材12aがシートSへ最も大きく喰い込む点である最下点に至る直前までの間、押圧部材13でアンビルロール2を下方へ押圧できる。
ところが、切断屑代Sgが短くなり過ぎると、化粧断ちが良好にできなくなって、製品部が不良品となってしまうおそれがあるので、切断屑代Sgの長さは、従来と同様に、シートSの性状、製品の形状、機械の仕様、客先の要望等によって、1mm~10mm程度の範囲で適宜決められる。
押圧部材13の前端部は、切刃部材12aがアンビルロール2へ激しく接触し、シートSへ最も大きく喰い込む点である最下点に至る直前までにアンビルロール2を押圧できる部位に位置させればよく、早い時点でアンビルロール2を押圧できる位置にすると、押圧部材13が長くなり、押圧部材13に無駄となる部分が生じる。
また、押圧部材13の後端部を、切刃部材12aの位置よりダイロール1の回転方向の前方側へ少なくとも短い切断屑代Sgの所定の長さを超える間隔をあけて、切刃部材12aに直前で近接した間際な部位に位置させているので、押圧部材13は、切刃部材12aがシートSへの喰い込み量の最も大きくなる点である最下点に至る直前までの間、アンビルロール2を軸受の遊びや余裕の範囲内で下方へ押圧している。従って、切刃部材12aがアンビルロール2に接触時に受ける衝撃は大きく緩和される。
上述のように、実際の切断屑代Sgの長さは所定の長さを超える場合もあるので、このような場合、押圧部材13の後端部が切断屑代Sgの前端部に触れることを避けるため、押圧部材13の後端と切刃部材12aとの間隔を切断屑代Sgの所定の長さを超える長さにする必要がある。
特に、シートSが厚さ方向の中間部に波状の構造を有する中しん紙を挟んだ段ボールのようなものである場合、切刃部材12aによる切断端が変形したり、潰れたりして切断屑代Sgの長さが僅かにまちまちになって、予期していた寸法より長くなったり、或いは、押圧部材13が使用されている間に変形して長くなったりすることによって、押圧部材13が切断屑代Sgに接してシートSの走行を阻害し、加工の不良なシートSを大量に生産してしまうようなことがあり得るので、切刃部材12aと押圧部材13の後端部との間隔についての上記寸法関係を遵守する必要がある。
すなわち、押圧部材13の後端部がシートSの前端部の切断屑代Sgに接すると、シートSの走行を阻害することになるので、押圧部材13の後端部の位置は、切刃部材12aの位置よりダイロール1の回転方向の前方側へ少なくとも短い切断屑代Sgの長さを超える間隔をあけて、切刃部材12aに直前で間際に近接した位置にする必要がある。このような点を勘案して、押圧部材13の後端と切断屑代Sgの前端との間隔は1mm~5mm程度にすることが好ましい。
上記のように、押圧部材13を、切刃部材12aよりも先にシートSの前方でアンビルロール2に接して、これを直接押圧でき、シートSの前端部の切断屑代Sgに接触しないように切刃部材12aに近接させたダイボード10の基板11の周面の位置に取り付けると、押圧部材13がシートSに一切当接しない状態で、シートSには切刃部材12aによる加工が行われる。
この実施形態においては、上記のとおり、図3に示すように、ダイロール1の周方向に所定長さを有する押圧部材13は、切刃部材12aがシートSに接して喰い込みを開始する切断開始時点から、図4に示すように、切刃部材12aのシートSへの喰い込み量が最大となって、切刃部材12aがシートSを切断し最下点に至る直前までの間には、その前端部からアンビルロール2に当接し始め、アンビルロール2をその軸受が元来有する上記遊びや余裕の範囲内で下方へ押圧することにより、高速度で回転しているアンビルロール2が上方へ動かないように抑制している。
また、所定長さの押圧部材13によるアンビルロール2への接触及び押圧は、高速度で回転移動しながら押圧部材13の前端部から後端部へと移動していき、切刃部材12aが最下点に至る直前までは最大の押圧力が維持されている。
そして、切刃部材12aが最下点に至った瞬間は、押圧部材13の後端は最下点を通過した後であって、押圧部材13によるアンビルロール2に対する押圧力は最大ではなく減少しているが、上記のとおり、押圧部材13の後端部は切刃部材12aに間際になるように近接していて、押圧部材13の後端部と切刃部材12aの間隔は、切断屑代Sgの短い所定長さを超える程度の間隔であるため、切刃部材12aが最下点に至る直前まで、アンビルロール2は押圧部材13によって軸受の上記と同様の遊びや余裕の範囲内の最大の押圧力で押圧されたままの状態であり、また、アンビルロール2は高速度で回転しているので、切刃部材12aが最下点に至った際には、一旦移動したアンビルロール2がすぐには現状の元の位置には復帰せず、未だアンビルロール2は下方すなわちアンビルロール2の軸方向に対して直交する方向へ移動したままの状態である。
従って、切刃部材12aがシートSへの喰い込み量の最も大きい点である最下点に至って、シートSを切断する際に送られてくるシートごとに、切刃部材12aに対してアンビルロール2やシートSから作用する瞬間的で強い衝撃が大幅に緩和されるので、切刃部材12aの曲折や破損が防止され、シートSが剛性の大きいものであっても確実な切断加工が行われる。
また、切刃部材12aでの切断加工時に、押圧部材13でアンビルロール2が下方へ押圧されているので、アンビルロール2やアンビルロール2上のシートSの不要な動きが抑制され、シートSを正規の位置で正確に切断できる。さらに、アンビルロール2は押圧部材13での押圧によって下方へ移動して、ダイロール1とアンビルロール2との間は拡大するので、シートSがダイロール1とアンビルロール2の間に送り込まれ挿入される際に詰まって、トラブルを引き起こすことはない。
(下方:ダイロール、上方:アンビルロール、初期加工具が切刃部材の場合)
また、従来と同様、図5及び図6に示すように、ロータリーダイカッターには、ダイロール1が下方に配置され、アンビルロール2が上方に配置されるタイプのものもある。このタイプの場合も、押圧部材13の前端部の位置は、初期加工具121としての切刃部材12a(以下、本項において単に切刃部材12aという。)がアンビルロール2に強く当たる最上点に至るまでにアンビルロール2を適度に押圧できる位置であればよく、早い時点でアンビルロール2を押圧できる位置にすると押圧部材13が長くなり、無駄となる。
なお、シートSの送り速度には僅かなむらが生じたり、また、シートSにはわずかに無駄な動きが生じたりするので、切断屑代(端部代)Sgの実際の長さは、製品として実用上問題のない範囲で、当初定めた所定長さよりわずかに前後して長くなったり、短くなったりした長さになることもある。
上述のように、実際の切断屑代Sgの長さは当初定めた所定の長さを超える場合や押圧部材13が変形して長くなることもあるので、このような場合、押圧部材13の後端部が切断屑代Sgの前端部に触れてシートSの走行を阻害することを避けるため、押圧部材13の後端と切刃部材12aとの間隔を、切断屑代Sgの所定の長さを超える長さにする必要がある。このような点を勘案して、押圧部材13の後端と切断屑代Sgの前端との間隔は1mm~5mm程度にすることが好ましい。
この実施形態においては、上記のとおり、図5に示すように、ダイロール1の周方向に所定長さを有する押圧部材13は、切刃部材12aがシートSへの喰い込みを開始する切断開始時点から、図6に示すように、切刃部材12aのシートSへの喰い込み量が最大となって、切刃部材12aがシートSを切断し最上点に至る直前までの間には、その前端部からアンビルロール2に当接し始め、アンビルロール2をその軸受が元来有する上記遊びや余裕の範囲内で上方へ押圧することにより、高速度で回転しているアンビルロール2が下方へ動かないように抑制している。
また、所定長さの押圧部材13がアンビルロール2にシートSの前方で接触し押圧力が作用する部分は、高速度で回転移動しながら押圧部材13の前端部から後端部へと移動していき、切刃部材12aが最上点に至る直前までは最大の押圧力が維持されており、切刃部材12aがアンビルロール2への接触時に受ける衝撃は大きく緩和される。
そして、切刃部材12aが最上点に至った瞬間は、押圧部材13の後端は最上点を通過した後であって、押圧部材13によるアンビルロール2に対する押圧力は最大ではなく減少しているが、上記のとおり、押圧部材13の後端部は切刃部材12aに間際な位置で近接していて、押圧部材13の後端部と切刃部材12aの間隔は、切断屑代Sgの短い所定長さを超える程度の間隔であるため、切刃部材12aが最上点に至る直前まで、アンビルロール2は押圧部材13によって軸受の上記と同様の遊びや余裕の範囲内の最大の押圧力で押圧されたままの状態であり、また、アンビルロール2は高速度で回転しているので、切刃部材12aが最上点に至った際には、一旦移動したアンビルロール2がすぐには現状の元の位置には復帰せず、未だアンビルロール2は上方すなわちアンビルロール2の軸方向に対して直交する方向へ移動したままの状態である。
従って、切刃部材12aがシートSへの喰い込み量の最も大きい点である最上点に至って、シートSを切断する際に送られてくるシートごとに、切刃部材12aに対してアンビルロール2やシートSから作用する瞬間的な強い衝撃が大幅に緩和されるので、切刃部材12aの曲折や破損が防止され、シートSが剛性の大きいものであっても確実な切断加工が行われる。
また、切刃部材12aでの切断加工時に、押圧部材13でアンビルロール2が上方へ押圧されているので、アンビルロール2やアンビルロール2上のシートSの不要な動きが抑制され、シートSを正規の位置で正確に切断できる。さらに、アンビルロール2は押圧部材13での押圧によって上方へ移動して、ダイロール1とアンビルロール2との間は拡大するので、シートSがダイロール1とアンビルロール2の間に送り込まれ挿入される際に詰まって、トラブルを引き起こすことはない。
(上方:ダイロール、下方:アンビルロール、初期加工具が罫入部材の場合)
一方、ダイロール1の幅方向に延びてシートSに最初に当接し、初期の段階でシートSの移動方向に対して横切る方向に喰い込んで加工を行う初期加工具121が罫入部材12bである場合は、初期加工具121が切刃部材12aである場合のようにシートSの進行方向の前端側を化粧断ちすることはないので切断屑代Sgは生じないが、シートSの前端から短い所定長さ離れた位置において、罫入部材12bで罫入加工されることにより、屑代となる端部代Sgは生じる。
そこで、初期加工具121が罫入部材12bである場合においても、以下に記載のとおり、切刃部材12aの場合と同様の押圧部材13を設ける。
このタイプの場合も、押圧部材13の前端部は、初期加工具である罫入部材12b(以下、本項において単に罫入部材12bという)がアンビルロール2へ激しく接触し、シートSへ最も大きく喰い込む点である最下点に至る直前までにアンビルロール2を押圧できる位置であればよく、早い時点でアンビルロール2を押圧できる位置にすると押圧部材13が長くなり無駄となる。
また、押圧部材13の後端部がシートSの前端部の端部代Sgに接すると、シートSの走行を阻害することになるので、押圧部材13の後端部の位置は、罫入部材12bの位置よりダイロール1の回転方向の前方側へ少なくとも短い端部代Sgの長さを超える間隔をあけて、罫入部材12bに直前で近接した間際な位置にする必要がある。
特に、シートSが厚さ方向の中間部に波状の構造を有する中しん紙を挟んだ段ボールのようなものである場合、切断端が変形したり、潰れたりして端部代Sgの長さが僅かにまちまちになって、予期していた寸法より長くなったり、或いは、押圧部材13が使用されている間に変形して長くなったりすることによって、押圧部材13が端部代Sgに接してシートSの走行を阻害し、加工の不良なシートSを大量に生産してしまうようなことがあり得るので、罫入部材12bと押圧部材13の後端部との間隔についての上記寸法関係を遵守する必要がある。このような点を勘案して、押圧部材13の後端と端部代Sgの前端との間隔は1mm~5mm程度にすることが好ましい。
ところで、ダイボード10の基板11の表面からの押圧部材13の突出高さが高過ぎると、アンビルロール2のロール本体2aを支持する軸受に負荷が掛かり過ぎて故障を起こしたりし、また、低過ぎると、アンビルロール2のロール本体2aの軸に対する軸受の遊びや余裕の大きさの範囲内で適切に押圧できなくなる。
従って、ダイボード10における基板11の表面からの押圧部材13の突出高さは、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する上記と同様の軸受の遊びや余裕の大きさの範囲内でアンビルロール2を適切に押圧、移動させることのできる高さとなるように、押圧部材13の材質・硬度、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する軸受の遊びや余裕、機械個々の特性、罫線形成の不良防止等を考慮の上、微妙に調整して適宜決めることになる。
初期加工具121が罫入部材12bである場合においても、上記のとおり、押圧部材13は、罫入部材12bが最下点に至るまでの間には、その前端部からアンビルロール2に当接し始め、アンビルロール2をその軸受が元来有する上記遊びや余裕の範囲内で下方へ押圧することにより、高速度で回転しているアンビルロール2が上方へ動かないように抑制している。
また、押圧部材13がアンビルロール2にシートSの前方で接触し押圧力が作用する部分は、高速度で回転移動しながらその前端部から後端部へと移動していき、罫入部材12bが最下点に至る直前までは最大の押圧力が維持されており、罫入部材12bがアンビルロール2に接触する際に受ける衝撃は大きく緩和される。
そして、罫入部材12bが最下点に至った瞬間は、押圧部材13の後端は最下点を通過した後であって、押圧部材13によるアンビルロール2に対する押圧力は最大ではなく減少しているが、上記のとおり、押圧部材13の後端部は罫入部材12bに間際な位置で近接していて、押圧部材13の後端部と罫入部材12bの間隔は端部代Sgの短い所定長さを超える程度の間隔であるため、罫入部材12bが最下点に至る直前まで、アンビルロール2は押圧部材13によって軸受の上記と同様の遊びや余裕の範囲内の最大の押圧力で押圧されたままの状態であり、また、アンビルロール2は高速度で回転しているので、罫入部材12bが最下点に至った際には、一旦移動したアンビルロール2がすぐには現状の元の位置には復帰せず、未だアンビルロール2は下方すなわちアンビルロール2の軸方向に対して直交する方向へ移動したままの状態である。
従って、罫入部材12bがシートSへの喰い込み量の最も大きい点である最下点に至って、シートSに罫入れする際に送られてくるシートごとに、罫入部材12bに対してアンビルロール2やシートSから作用する瞬間的で強い衝撃が大幅に緩和されるので、罫入部材12bの曲折や破損が防止され、シートSが剛性の大きいものであっても正確で鮮明な罫線が形成される。
また、罫入部材12bでの罫入加工時に、押圧部材13でアンビルロール2が下方へ押圧されているので、アンビルロール2やアンビルロール2上のシートSの不要な動きが抑制され、シートSに正確な位置で罫線を形成できる。さらに、アンビルロール2は押圧部材13での押圧によって下方へ移動して、ダイロール1とアンビルロール2との間は拡大するので、シートSがダイロール1とアンビルロール2の間に送り込まれ挿入される際に詰まって、トラブルを引き起こすことはない。
(押圧部材の方向及び配置)
ハードカット方式における上記いずれのタイプのロータリーダイカッターにおいても、図1及び図2に示すように、押圧部材13は、初期加工具121としての切刃部材12aに対して、交互に逆となる斜め方向に延びるように、初期加工具121としての切刃部材12aの長さ方向に沿って配置され、初期加工具121としての切刃部材12aに臨んで互い違いに逆向きとなり、それぞれの両端がダイロール1の回転方向において前端と後端となる「ハ」字状をなすように並んでいる。これにより、シートSのいずれの方向においても満遍なく、押圧部材13がアンビルロール2をある程度の長さをもって適度な押圧力で押し下げるようになっている。初期加工具121が罫入部材12bの場合の押圧部材13も同様である。
このような方向及び配置とされた押圧部材13によると、上記のように、アンビルロール2の表層部を鋼製として硬さを持たせたハードカット方式の場合、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する軸受が元来有する軸に対して直交する方向への遊びや余裕の大きさの範囲内で、アンビルロール2を確実に押圧できる。
(ハードカット方式の押圧部材の突出高さ)
上記ハードカット方式の各タイプにおいて、ダイボード10の基板11の表面からの押圧部材13の突出高さが高過ぎると、アンビルロール2のロール本体2aを支持する軸受に負荷が掛かり過ぎて故障を起こしたり、アンビルロール2がダイロール1から離れ過ぎて加工具12でのシートSへの加工が適切に行われなかったりし、また、低過ぎると、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する軸受の遊びや余裕の大きさの範囲内でアンビルロール2を適切に押圧できなくなる。
従って、基板11の表面からの押圧部材13の突出高さ寸法は、アンビルロール2がその軸に対する軸受の元来固有の遊びや余裕の範囲内で軸方向に動くように、例えば加工具12が切刃部材12aである場合、切刃部材12aの基板11の表面からの突出高さ寸法と同等程度とし、好ましくは切刃部材12aの突出高さ寸法に対して0.0mm~0.5mm程度の範囲内で、押圧部材13の材質・硬度、押圧部材13の使用に伴う変形による高さ寸法の伸縮、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する軸受の遊びや余裕、機械個々の特性、押圧部材13の破損防止等を考慮して、適宜微妙に調整して決定する。
<ソフトカット方式>
(上方:ダイロール、下方:アンビルロール、初期加工具が切刃部材の場合)
次に、図7及び図8は、上記と同様の構造を有するダイボード10を、上方に位置するダイロール1に取り付け、下方に位置するアンビルロール2として、表層部にウレタン21を設けたソフトカット方式により、シートSとしての剛性の強い板紙S2に打抜・罫入加工を行う場合を示す。なお、板紙S2には、種々の厚さのものがあり、従来より、通常0.5mm程度の厚さのものが多用されており、板紙S2の剛性は強いものであるが、剛性の大きさは様々である。
ダイロール1を構成するダイボード10において、基板11には、加工具12のうち、ダイロール1の回転方向と直交するように横切る方向に延びてシートSとしての板紙S2に最初に当接し、初期の段階で打抜加工を行う初期加工具121としての切刃部材12aに直前で近接してダイボード10の周面に沿うように、押圧部材13が取り付けられている。押圧部材13は、罫入部材12bと同様の金属製の短い帯材であり、初期加工具121よりも先にアンビルロール2を直接押圧する。
ソフトカット方式の場合、加工具12が切刃部材12aであれば、切刃部材12aの先端がアンビルロール2の表面層の軟らかいウレタン21に接し、少し喰い込むことによってアンビルロール2上の板紙S2を切断して打抜加工を行う。
なお、アンビルロール2の表層部を柔らかいウレタン21とした場合、切刃部材12aの先端部の喰い込み量は、従来と同様に1mm~2mm程度であるが、この喰い込み量や窪み量は、使用するウレタン21の材質、柔軟度、層の厚さ等によって様々である。
ソフトカット方式の場合においても、ハードカット方式の場合と同様に、図7および図8に示すように、切刃部材12aの刃先が板紙S2への喰い込みを開始した後、板紙S2の厚み分まで徐々に喰い込んでいき、その喰い込み量の最も大きくなる点である最下点で板紙S2は切断加工される。
この最下点での切断時には、切刃部材12aの刃先は、アンビルロール2の軟らかいウレタン21の層へ少し喰い込み、さらに、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する上記と同様の軸受の遊びや余裕の大きさの範囲内で、板紙S2をわずかに押圧して確実に切断する。切断屑代Sgは製品部と一体的になって送られた後除去される。
なお、ソフトカット方式の場合においても、板紙S2の前端部側の切断屑代Sgの長さは短い方が材料のロスを低減でき、また、押圧部材13の後端部を初期加工具121としての切刃部材12a(以下、本項において単に切刃部材12aという。)に間際で近接させて、切刃部材12aが最下点に至る直前まで板紙S2の前方において押圧部材13によりアンビルロール2を下方へ押圧することができる。
ところが、切断屑代Sgが短くなり過ぎると、化粧断ちが良好にできなくなって、製品部が不良品となってしまうおそれがあるので、切断屑代Sgの長さは、従来と同様に、板紙S2の性状、製品の形状、機械の仕様、客先の要望等によって、2mm~10mm程度の範囲で適宜決めればよい。
押圧部材13は、その前端部から後端部にわたって前後方向(ダイロール1の回転の周方向)に所定長さを有しており、その後端部を切断屑代Sgの前端に近接させ、その後端部から前端部にわたる全体が切断屑代Sgの前端から前方へ少し離れた位置に取り付けられている。すなわち、所定長さの押圧部材13は、切刃部材12aから少なくとも切断屑代Sgの短い所定長さを超える間隔をあけて前方へ離れた位置に取り付けられて、シートSである板紙S2の前方でアンビルロール2に接する。
この実施形態の場合も、シートSの切断端が変形したり、潰れたりして、切断屑代Sgの長さが僅かにまちまちになって、予期していた寸法より長くなったり、或いは、押圧部材13が使用されている間に変形して長くなったりすることによって、押圧部材13が端部代Sgに接してシートSの走行を阻害し、加工の不良なシートSを大量に生産してしまうようなことがあり得るので、押圧部材13の後端部が切断屑代Sgの前端部に触れることを避けるため、切刃部材12aと押圧部材13の後端の間隔を切断屑代Sgの長さを超えるようにする必要がある。このような点を勘案して、押圧部材13の後端と切断屑代Sgの前端との間隔は1mm~5mm程度にすることが好ましい。
シートSの切断加工に際しては、上記ハードカット方式の場合と同様、図7に示すように、ダイロール1の周方向に所定長さを有する押圧部材13は、切刃部材12aがシートSへの喰い込みを開始する切断開始時点から、図8に示すように、切刃部材12aのシートSへの喰い込み量が最大となって、切刃部材12aがシートSを切断し最下点に至るまでの間には、その前端部からアンビルロール2に当接し始め、アンビルロール2をその軸受が元来有する上記遊びや余裕の範囲内で下方へ押圧することにより、高速度で回転しているアンビルロール2が上方へ動かないように抑制している。
また、所定長さの押圧部材13によるアンビルロール2への接触及び押圧は、高速度で回転移動しながら押圧部材13の前端部から後端部へと移動していき、切刃部材12aが最下点に至る直前までは最大の押圧力が維持されており、切刃部材12aがアンビルロール2に接触時に受ける衝撃は大きく緩和される。
そして、切刃部材12aが最下点に至った瞬間は、押圧部材13の後端は最下点を通過した後であって、押圧部材13によるアンビルロール2に対する押圧力は最大ではなく減少しているが、上記のとおり、押圧部材13の後端部は切刃部材12aに間際で近接していて、押圧部材13の後端部と切刃部材12aの間隔は、切断屑代Sgの短い所定長さを超える程度の間隔であるため、切刃部材12aが最下点に至る直前まで、アンビルロール2は押圧部材13によって軸受の上記と同様の遊びや余裕の範囲内の最大の押圧力で押圧されたままの状態であり、また、アンビルロール2は高速度で回転しているので、切刃部材12aが最下点に至った際には、一旦移動したアンビルロール2がすぐには現状の元の位置には復帰せず、未だアンビルロール2は下方すなわちアンビルロール2の軸方向に対して直交する方向へ移動したままの状態である。
従って、切刃部材12aがシートSへの喰い込み量の最も大きい点である最下点に至って、シートSを切断する際に送られてくるシートごとに、切刃部材12aに対してアンビルロール2やシートSから作用する瞬間的で強い衝撃が大幅に緩和されるので、切刃部材12aの曲折や破損が防止され、シートSが剛性の大きいものであっても確実な切断加工が行われる。
また、切刃部材12aでの切断加工時に、押圧部材13でアンビルロール2が下方へ押圧されているので、アンビルロール2やアンビルロール2上のシートSの不要な動きが抑制され、シートSを正規の位置で正確に切断できる。さらに、アンビルロール2は押圧部材13での押圧によって下方へ移動して、ダイロール1とアンビルロール2との間は拡大するので、シートSがダイロール1とアンビルロール2の間に送り込まれ挿入される際に詰まって、トラブルを引き起こすことはない。
押圧部材13の前端部は、切刃部材12aがアンビルロール2へ激しく接触して、シートSへ最も大きく喰い込む点である最下点に至る直前までにアンビルロール2を押圧できる位置であればよく、早い時点でアンビルロール2を押圧できる位置にすると、押圧部材13が長くなり、押圧部材13に無駄となる部分が生じる。
また、押圧部材13の後端部が板紙S2の前端部の切断屑代Sgに接すると、板紙S2の走行を阻害することになるので、押圧部材13の後端部の位置は、切刃部材12aの位置よりダイロール1の回転方向の前方側へ少なくとも短い切断屑代Sgの長さを超える間隔をあけて、切刃部材12aに直前で近接した位置にする必要がある。このような点を勘案して、押圧部材13の後端と切断屑代Sgの前端との間隔は1mm~5mm程度にすることが好ましい。
上記のとおり、押圧部材13は、切刃部材12aよりも先に板紙S2の前方でアンビルロール2に接してこれを直接押圧でき、板紙S2の前端部の切断屑代Sgに接触しないように切刃部材12aに近接させたダイボード10の周面の位置に取り付けているので、押圧部材13が板紙S2に一切当接しない状態で、板紙S2には切刃部材12aによる加工が行われることとなり、押圧部材13が板紙S2の走行を阻害することはない。
(ソフトカット方式の押圧部材の突出高さ)
ところで、ソフトカット方式の場合、ダイボード10の基板11の表面からの押圧部材13の突出高さが高過ぎると、ウレタン21の層が深く傷いたり、アンビルロール2のロール本体2aの軸受に負荷が掛かり過ぎて故障を起こしたりするほか、押圧部材13がアンビルロール2の軟らかいウレタン21の層を圧縮して、アンビルロール2を余分に押圧することになって、アンビルロール2が基板11から離れてしまう。また、基板11の表面からの押圧部材13の突出高さが低過ぎると、アンビルロール2のロール本体2aの軸受の遊びや余裕の大きさの範囲内でアンビルロール2を適切に押圧できなくなる。
従って、ダイボード10の基板11の表面からの押圧部材13の突出高さは、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する軸受の上記と同様の遊びや余裕の大きさの範囲内でアンビルロール2を適切に押圧し移動させて、加工具12がシートSに適切な加工を行うことができるように、押圧部材13の材質・硬度、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する軸受の上記と同様の遊びや余裕、機械個々の特性、押圧部材13の破損防止、ウレタン21の柔軟度等を考慮し、基板11の表面からの切刃部材12aの突出高さと同等程度になるくらいに、切刃部材12aの突出高さに対して-1.0mm~-3.0mmの範囲内で適宜微妙に調整して決定する。
(上方:ダイロール、下方:アンビルロール、初期加工具が罫入部材の場合)
ソフトカット方式の場合も、従来のものやハードカット方式の場合と同様に、ダイロール1の幅方向に延びてシートSである板紙S2に最初に当接し、初期段階で板紙S2の移動方向に対し横切る方向に喰い込んで加工を行う初期加工具121が罫入部材12bである場合は、初期加工具121が切刃部材12aである場合のように板紙S2の進行方向の前端側を化粧断ちしないので切断屑代Sgは生じないが、板紙S2の前端から短い所定長さ離れた位置で罫入部材12bで罫入加工されて、屑となる端部代Sgは生じる。
そこで、初期加工具121が罫入部材12bである場合においても、以下に記載のとおり、切刃部材12aの場合と同様の押圧部材13を設ける。
基板11における押圧部材13の前端部は、初期加工具である罫入部材12b(以下、本項において単に罫入部材12bという)がアンビルロール2へ激しく接触し、シートSへ最も大きく喰い込む点である最下点に至る直前までにアンビルロール2を押圧できる位置であればよく、早い時点でアンビルロール2を押圧できる位置にすると押圧部材13が長くなり無駄となる。
また、押圧部材13の後端部がシートSの前端部の端部代Sgに接すると、シートSの走行を阻害することになるので、押圧部材13の後端部の位置は、罫入部材12bの位置よりダイロール1の回転方向の前方側へ少なくとも短い端部代Sgの長さを超える間隔をあけて罫入部材12bに直前で間際に近接した位置にする必要がある。
なお、シートSの送り速度には僅かなむらが生じたり、また、シートSにはわずかに無駄な動きが生じたりするので、端部代Sgの実際の長さは、製品として実用上問題のない範囲内で、当初定めた所定長さよりわずかに前後して長くなったり、短くなったり、或いは、押圧部材13が使用されている間に変形して長くなったりすることもある。
この場合に押圧部材13の後端部が端部代Sgに接することによって、シートSの走行を阻害しないようにするために、押圧部材13は、罫入部材12bから端部代Sgの所定の長さを超えた位置に設けられている。このような点を勘案して、押圧部材13の後端と端部代Sgの前端との間隔は1mm~5mm程度にすることが好ましい。
このようなソフトカット方式の場合もまた、加工具12が罫入部材12bであれば、罫入部材12bの先端がアンビルロール2に接することなく、アンビルロール2上の厚みのある板紙S2を押圧して窪ませ、板紙S2に所要形状の罫線を入れる罫入加工を行う。この際、ウレタン21は軟らかいので少し窪み、これに沿って板紙S2も少し窪んで罫入加工が行われる。
なお、ダイボード10の基板11の表面からの罫入部材12bの突出高さは、切刃部材12aの突出高さより低く設定されている。
また、アンビルロール2の表層部を柔らかいウレタン21とした場合、罫入部材12bの先端部での窪み量は、従来と同様に1mm~2mm程度であるが、この喰い込み量や窪み量は、使用するウレタン21の材質、柔軟度、層の厚さ等によって様々である。
(下方:ダイロール、上方:アンビルロール、初期加工具が切刃部材の場合)
図9及び図10に示すように、ダイロール1が下方に配置され、アンビルロール2が上方に配置されるタイプのソフトカット方式の場合においても、ハードカット方式の場合と同様に、押圧部材13の前端部の位置は、初期加工具121としての切刃部材12a(以下、本項において単に切刃部材12aという。)が、アンビルロール2に強く当たる最上点に至る直前までにアンビルロール2を適度に押圧できる位置であればよく、早い時点でアンビルロール2を押圧できる位置にすると押圧部材13が長くなり無駄となる。
なお、シートSの送り速度には僅かなむらが生じたり、また、シートSには僅かに無駄な動きが生じたり、切断端が変形したり、潰れたりするので、切断屑代Sgの実際の長さは、製品として実用上問題のない範囲内で、当初定めた所定長さよりわずかに前後して長くなったり、短くなったり、或いは、押圧部材13が使用されている間に変形して長くなったりすることもある。
この場合に、押圧部材13の後端部が切断屑代Sgに接することによって、シートSの走行を阻害して、加工の不良なシートSを大量に生産してしまうようなことを避けるために、押圧部材13は、切刃部材12aから切断屑代Sgの所定の長さを超えた位置に設けられている。
この実施形態においては、上記ハードカット方式の場合と同様に、図9に示すように、ダイロール1の周方向に所定長さを有する押圧部材13は、切刃部材12aがシートSへ接触して喰い込みを開始する切断開始時点から、図10に示すように、切刃部材12aのシートSへの喰い込み量が最大となって、切刃部材12aがシートSを切断し最上点に至るまでの間、その前端部からアンビルロール2に当接しはじめ、アンビルロール2をその軸受が元来有する上記遊びや余裕の範囲内で上方へ押圧することにより、高速度で回転しているアンビルロール2が下方へ動かないように抑制している。
また、所定長さの押圧部材13によるアンビルロール2への接触及び押圧は、高速度で回転移動しながら押圧部材13の前端部から後端部へと移動していき、切刃部材12aが最上点に至る直前までは最大の押圧力が維持されており、切刃部材12aがアンビルロール2に接触時に受ける衝撃は大きく緩和される。
そして、切刃部材12aが最上点に至った瞬間は、押圧部材13の後端は最上点を通過した後であって、押圧部材13によるアンビルロール2に対する押圧力は最大ではなく減少しているが、押圧部材13の後端部と切刃部材12aの間隔は切断屑代Sgの短い所定長さを超える程度の間隔であるため、切刃部材12aが最上点に至る直前まで、アンビルロール2は押圧部材13によって軸受の上記と同様の遊びや余裕の範囲内の最大の押圧力で押圧されたままの状態であり、また、アンビルロール2は高速度で回転しているので、切刃部材12aが最上点に至った際には、一旦移動したアンビルロール2はすぐには現状の元の位置には復帰せず、未だアンビルロール2は上方すなわちアンビルロール2の軸方向に対して直交する方向へ移動したままの状態である。
従って、切刃部材12aがシートSへの喰い込み量の最も大きい点である最上点に至って、シートSを切断する際に送られてくるシートごとに、切刃部材12aに対してアンビルロール2やシートSから作用する瞬間的な強い衝撃は大幅に緩和されるので、切刃部材12aの曲折や破損が防止され、シートSが剛性の大きいものであっても確実な切断加工が行われる。切断屑代Sgは製品部と一体的になって送られた後除去される。
また、切刃部材12aでの切断加工時に、押圧部材13でアンビルロール2が上方へ押圧されているので、アンビルロール2やアンビルロール2上のシートSの不要な動きが抑制され、シートSを正規の位置で正確に切断できる。さらに、アンビルロール2は押圧部材13での押圧によって上方へ移動して、ダイロール1とアンビルロール2との間は拡大するので、シートSがダイロール1とアンビルロール2の間に送り込まれ挿入される際に詰まって、トラブルを引き起こすことはない。
上記のとおり、押圧部材13は、切刃部材12aよりも先にシートSの前方でアンビルロール2に接してこれを直接押圧でき、板紙S2の前端部の端部代Sgに接触しないように切刃部材12aに近接させたダイボード10の周面の位置に取り付ける。
この実施形態の場合も、シートSの切断端が変形したり、潰れたりして、切断屑代Sgの長さが僅かにまちまちになって、予期していた寸法より長くなったり、或いは、押圧部材13が使用されている間に変形して長くなったりすることによって、押圧部材13が切断屑代Sgに接して、シートSの走行を阻害し、加工の不良なシートSを大量に生産してしまうようなことがあり得るので、押圧部材13の後端部が切断屑代Sgの前端部に触れることを避けるため、切刃部材12aと押圧部材13の後端の間隔を切断屑代Sgの長さを超えるようにする必要がある。このような点を勘案して、押圧部材13の後端と切断屑代Sgの前端との間隔は1mm~5mm程度にすることが好ましい。
なお、ダイボード10の基板11の表面からの押圧部材13の突出高さが高過ぎると、アンビルロール2のロール本体2aを支持する軸受に負荷が掛かり過ぎて故障を起こしたりし、また、低過ぎると、アンビルロール2のロール本体2aの軸受の遊びや余裕の大きさの範囲内で適切に押圧できなくなる。
従って、ダイボード10の基板11の表面からの押圧部材13の突出高さは、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する軸受の上記と同様の遊びや余裕の大きさの範囲内でアンビルロール2を適切に押圧、移動させることのできる高さとなるように、押圧部材13の材質・硬度、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する軸受の上記と同様の遊びや余裕、機械個々の特性、ウレタン21の柔軟度、切断加工の不良防止等を考慮の上、微妙に調整して適宜決めることになる。
(下方:ダイロール、上方:アンビルロール、初期加工具が罫入部材の場合)
ところで、初期加工具121が罫入部材12bの場合においても、切刃部材12aの場合と同様に、押圧部材13で押圧されたアンビルロール2は、一旦移動した後、すぐには現状の元の位置に復帰できない。
従って、押圧部材13の前端により、罫入部材12bでのシートSへの喰い込み時において、下方から押圧されたアンビルロール2は、その回転に伴って、押圧部材13の後端部側での押圧へと移行し、やがて押圧部材13の後端での押圧が解除されて、罫入部材12bが最上点を通過した後も軸受の上記と同様の遊びや余裕の大きさの範囲内で上方へ移動したままの状態となる。
なお、シートSの送り速度には僅かなむらが生じたり、シートSには僅かに無駄な動きが生じたり、切断端が変形したり、潰れたりするので、端部代Sgの実際の長さは、製品として実用上問題のない範囲内で、当初定めた所定長さよりわずかに前後して長くなったり、短くなったりすることや、或いは、押圧部材13が使用されている間に変形して長くなったりすることもある。
この場合に、押圧部材13の後端部が端部代Sgに接することによって、シートSの走行を阻害して、加工の不良なシートSを大量に生産してしまうことを避けるため、押圧部材13は、罫入部材12bから端部代Sgの所定の長さを超えた位置に設けられており、押圧部材13は端部代Sgの前方でアンビルロール2を押圧する。このような点を勘案して、押圧部材13の後端と端部代Sgの前端との間隔は1mm~5mm程度にすることが好ましい。
この実施形態の場合も、罫入部材12bが最上点を通過する時には、アンビルロール2は、その軸を支持する軸受の上記と同様の遊びや余裕の範囲内で、アンビルロール2の軸方向に対して直交する方向である上方への移動を維持した状態になっているので、罫入部材12bが最上点でアンビルロール2上のシートSへ激しく当たっても、罫入部材12bが受ける衝撃は緩和され、罫入部材12bの曲折や破損が防止される。
<総括>
(本発明の効果)
上記それぞれの実施形態では、初期加工具121がシートSへ最も大きく喰い込む時点において、アンビルロール2は、その軸を支持する軸受の遊びや余裕の範囲内で、その軸方向に対して直交する方向へ押圧部材13によって移動された状態を維持しているので、初期加工具121の側面部に対して、長さ方向にわたって広く瞬間的にダイロール1の回転方向に対し後方へ傾くような負荷が軽減され、初期加工具121の先端側面部に作用する衝撃が緩和されるため、初期加工具121の先端部の破損や曲折が防止される。
従って、初期加工具121の長寿命化を図ることができ、打抜・罫入加工により製造される展開状態の平坦なシートは、切断加工や罫線加工のむらや不良のない高精度のシート素材となり、このシート素材から優れた見栄えの良い箱などの最終製品が生産される。
また、上記それぞれの実施形態において、押圧部材13がシートSに当接しない状態で初期加工具121によるシートSへの加工が行われるので、押圧部材13がシートSの移動を阻害せず、シートSは所定の加工位置からずれることなく正確に送られる。さらに、アンビルロール2は、押圧部材13での押圧によりその軸方向へ移動して、ダイロール1とアンビルロール2との間が拡大するので、シートSがダイロール1とアンビルロール2の間に送り込まれ挿入される際に詰まって、トラブルを引き起こすことはない。
(その他)
図1および図2に示すように、上記各実施形態に係る押圧部材13は、初期加工具121に対して、交互に逆となる斜め方向に延びるように、初期加工具121の長さ方向に沿って配置され、初期加工具121に臨んで、互い違いに逆向きとなり、それぞれの両端がダイロール1の回転方向において前端と後端となる「ハ」字状をなすように並んでいるものとしているが、押圧部材13は、ダイボード10における加工具12の配置に応じて、基板11への取り付けの手間やコスト及びシートSの性状や加工形状を考慮し、初期加工具121に近接して沿うように適宜の形状及び配置とすればよい。
例えば、押圧部材13の形状及び配置は、図11(a)に示すように、初期加工具121の長さ方向に断続的に平行するように延びる太い線状のものとしてもよい。また、図11(b)に示すように、数本ずつ単位として断続的に初期加工具121に平行するように延びる線状のものとしてもよく、図11(c)に示すように、数本ずつ単位として初期加工具121の長さ方向に直交するように延びる線状のものとしてもよい。そのほか、図11(d)、(e)、(f)に示すように、×状、〇状、△状のものが初期加工具121の長さ方向に断続的に並ぶようにしてもよい。このように、押圧部材13は、ダイロール1の回転方向における前端と後端を有する形状及び構造のものであればよい。
また、押圧部材13として、罫入部材12bと共通の金属製のものを例示したが、押圧部材13は、硬質材であれば、プラスチック樹脂等の他の材質から成るものであってもよい。例えば、アンビルロール2のロール本体2aの軸を支持する軸受の遊びや余裕の大きさの範囲内で、アンビルロール2を適度に押圧できる程度の硬度を有するものであれば、硬質のプラスチックやコルクのように非金属の硬質材から成るものであってもよい。