JP2012038785A - 基板の製造方法ならびにそれに用いられるフィルムおよび組成物 - Google Patents

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求樹 岡庭
Takaaki Uno
高明 宇野
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晋太郎 藤冨
Takashi Okada
敬 岡田
Toshihiro Otsuki
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Abstract

【課題】耐熱性および力学的強度に優れた基板の製造方法およびその製造方法に用いられる組成物を提供すること。
【解決手段】(b)示差走査熱量測定(DSC、昇温速度20℃/分)によるガラス転移温度(Tg)が230〜350℃である芳香族ポリエーテル系重合体を含むフィルムの少なくとも一方の面に素子を形成する素子形成工程を含む基板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、基板の製造方法ならびにそれに用いられるフィルムおよび組成物に関する。
近年、高機能化する携帯電話やデシタルカメラ、ナビゲーター、その他各種電子機器類の小型化、軽量化の進展に伴って、これらに使用される電子材料に用いられる基材(フィルム)の高機能化、具体的には、耐熱性、柔軟性に加えてガラス並の光透過性が求められている。
従来、柔軟性を有するフィルムを製造する方法として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムやSUS板等の支持体上に樹脂を含む組成物を塗布した後乾燥することで該支持体上にフィルムを形成し、その後、支持体からフィルムを剥離する方法等が用いられている。
また、電子材料に用いられる基材(フィルム)を形成するための樹脂としては、従来、例えば(特許文献1)に示されるような全芳香族ポリイミドが用いられてきた。しかしながら、ポリイミドからなるフィルムは、分子内および分子間での電荷移動錯体の形成により黄褐色に着色しているため、透明フィルム基板等の光透過性が必要な用途に適用することは困難であった。また、ポリイミドをフィルムに成形する場合には、300〜500℃の温度でイミド化することが必要となるため、製造プロセス負荷が高かった。
特開2002−322298号公報
本発明は上記した問題点に鑑みてなされたもので、耐熱性および力学的強度に優れたプロセスメリットの高い基板の製造方法、ならびに該基板を製造するために用いられる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定のガラス転移温度(Tg)を有する芳香族ポリエーテル系重合体を含むフィルムの少なくとも一方の面に素子を形成することで、耐熱性および力学的強度に優れ、反りやねじりの発生を低減できる基板を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[17]を提供するものである。
[1] (b)示差走査熱量測定(DSC、昇温速度20℃/分)によるガラス転移温度(Tg)が230〜350℃である芳香族ポリエーテル系重合体を含むフィルムの少なくとも一方の面に素子を形成する素子形成工程を含む基板の製造方法。
[2] 前記芳香族ポリエーテル系重合体が、下記式(1)で表わされる構造単位および下記式(2)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する、[1]に記載の基板の製造方法。
Figure 2012038785
(式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ0〜4の整数を示す。)
Figure 2012038785
(式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhは、それぞれ0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。)
[3] 前記芳香族ポリエーテル系重合体が、さらに、下記式(3)で表わされる構造単位および下記式(4)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(ii)を有する、[1]または[2]に記載の基板の製造方法。
Figure 2012038785
(式(3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、eおよびfは、それぞれ0〜4の整数を示し、nは0または1を示す。)
Figure 2012038785
(式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、それぞれ前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfは、それぞれ前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。)
[4] 前記芳香族ポリエーテル系重合体における上記構造単位(i)と上記構造単位(ii)とのモル比が50:50〜100:0である、[3]に記載の基板の製造方法。
[5] 前記芳香族ポリエーテル系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜500,000である、[1]〜[4]のいずれかに記載の基板の製造方法。
[6] 前記フィルムの厚み30μmにおけるJIS K7105透明度試験法による全光線透過率が85%以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の基板の製造方法。
[7] 前記フィルムの厚み30μmにおけるYI値(イエローインデックス)が3.0以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の基板の製造方法。
[8]
前記工程(b)を210℃〜400℃の範囲で行う、[1]〜[7]のいずれかに記載の基板の製造方法。
[9] (a)前記工程(b)の前に、前記フィルムを支持体上に設ける工程を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の基板の製造方法。
[10] 前記工程(a)が、前記芳香族ポリエーテル系重合体を含む組成物を支持体に塗布して乾燥することにより、前記フィルムを支持体上に形成する工程である、[9]に記載の基板の製造方法。
[11] 前記工程(a)における乾燥を100〜300℃の範囲で行う、[10]に記載の基板の製造方法。
[12] 前記工程(a)が、予め形成した前記フィルムを、支持体上に設ける工程である、[9]に記載の基板の製造方法。
[13] 前記支持体がシリコンウエハまたは無アルカリガラスである、[9]〜[12]のいずれかに記載の基板の製造方法。
[14] 前記工程(b)が支持体上に設けられたフィルム上に素子を形成する素子形成工程である、[1]〜[13]のいずれかに記載の基板の製造方法。
[15] 前記工程(b)の後に、(c)前記素子が形成されたフィルムを前記支持体から剥離する工程を含む、[14]に記載の基板の製造方法。
[16] 下記式(1)で表わされる構造単位および下記式(2)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する重合体を含むことを特徴とする、[1]〜[15]のいずれかに記載の基板の製造方法に用いられるフィルム。
Figure 2012038785
(式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ0〜4の整数を示す。)
Figure 2012038785
(式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhは、それぞれ0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。)
[17] 下記式(1)で表わされる構造単位および下記式(2)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する重合体と有機溶媒とを含むことを特徴とする、[10]に記載の基板の製造方法に用いられる組成物。
Figure 2012038785
(式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ0〜4の整数を示す。)
Figure 2012038785
(式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhは、それぞれ0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。)
本発明の基板の製造方法によれば、耐熱性および力学的強度に優れた基板を容易に製造することができる。
本発明の基板の製造方法は、(b)示差走査熱量測定(DSC、昇温速度20℃/分)によるガラス転移温度(Tg)が230〜350℃である芳香族ポリエーテル系重合体を含むフィルムの少なくとも一方の面に素子を形成する素子形成工程を含むことを特徴とする。なお、芳香族ポリエーテル系重合体とは、主鎖にエーテル結合を形成する反応により得られる重合体のことをいう。
≪フィルム≫
前記フィルムは、示差走査熱量測定(DSC、昇温速度20℃/分)によるガラス転移温度(Tg)が230〜350℃である芳香族ポリエーテル系重合体を含む。
上記芳香族ポリエーテル系重合体のガラス転移温度は、好ましくは240〜330℃であり、さらに好ましくは250〜300℃である。
このような芳香族ポリエーテル系重合体を含んでなるフィルムは、光透過性、耐熱性、耐熱着色性および力学的強度にバランスよく優れる。また、このようなフィルムは寸法安定性に優れ、熱収縮率が小さい。このため、該フィルムの一方の面に素子を形成する際のスパッタやCVD法における加熱工程等を高温で行うことができ、基板を容易に製造することができる。なお、本発明において、「耐熱着色性」とは、大気中、高温(230℃)で1時間程度熱処理した際の着色のしにくさをいう。
前記芳香族ポリエーテル系重合体は、主鎖にエーテル結合を形成する反応により得られる重合体を表わし、下記式(1)で表わされる構造単位(以下「構造単位(1)」ともいう。)および下記式(2)で表わされる構造単位(以下「構造単位(2)」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する重合体(以下「重合体(I)」ともいう。)であることが好ましい。重合体が構成単位(i)を有することで、ガラス転移温度が230〜350℃である芳香族ポリエーテルを得ることができる。このような重合体(I)を含んでなるフィルムは、高温下でも着色、変形および力学的強度の低下が起こりにくい等の優れた性質をバランスよく有し、耐熱性および力学的強度に優れ、反りやねじりが起こりにくい基板を得ることができる。
Figure 2012038785
前記式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ0〜4の整数を示す。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、ならびに酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の1価の炭化水素基等を挙げることができる。
炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
前記炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の炭化水素基としては、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖の炭化水素基がより好ましい。
前記直鎖または分岐鎖の炭化水素基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基およびn−ヘプチル基等が挙げられる。
前記炭素数3〜12の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3または4の脂環式炭化水素基がより好ましい。
炭素数3〜12の脂環式炭化水素基の好適な具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロへキシル基等のシクロアルキル基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基およびシクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基が挙げられる。当該脂環式炭化水素基の結合部位は、脂環上のいずれの炭素でもよい。
前記炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基およびナフチル基等が挙げられる。当該芳香族炭化水素基の結合部位は、芳香族環上のいずれの炭素でもよい。
酸素原子を含む炭素数1〜12の炭化水素基としては、エーテル結合、カルボニル基およびエステル基を有する炭素数1〜12の炭化水素基等を挙げることができる。
エーテル結合を有する炭素数1〜12の炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基および炭素数1〜12のアルコキシアルキル基などを挙げることができる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、プロペニルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基およびメトキシメチル基等が挙げられる。
また、カルボニル基を有する炭素数1〜12の炭化水素基としては、炭素数2〜12のアシル基等を挙げることができる。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基およびベンゾイル基等が挙げられる。
エステル基を有する炭素数1〜12の炭化水素基としては、炭素数2〜12のアシルオキシ基等が挙げられる。具体的には、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基およびベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
窒素原子を含む炭素数1〜12の炭化水素基としては、イミダゾール基、トリアゾール基、ベンズイミダゾール基およびベンズトリアゾール基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子を含む炭素数1〜12の炭化水素基としては、具体的には、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンズオキサゾール基およびベンズオキサジアゾール基等が挙げられる。
Figure 2012038785
前記式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhは、それぞれ0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、前記と同様の官能基等を挙げることができる。
前記重合体は、上記構造単位(1)と上記構造単位(2)とのモル比(但し、両者(構造単位(1)+構造単位(2))の合計は100である。)が、光学特性、耐熱性および力学的特性の観点から構造単位(1):構造単位(2)=50:50〜100:0であることが好ましく、構造単位(1):構造単位(2)=70:30〜100:0であることがより好ましく、構造単位(1):構造単位(2)=80:20〜100:0であることがさらに好ましい。
ここで、力学的特性とは、重合体の引張強度、破断伸びおよび引張弾性率等の性質のことをいう。
また、前記重合体(I)は、さらに、下記式(3)で表わされる構造単位、および下記式(4)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(ii)を有してもよい。前記重合体(I)がこのような構造単位(ii)を有すると、該重合体(I)を含むフィルムの力学的特性が向上するため好ましい。
Figure 2012038785
前記式(3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、eおよびfは、それぞれ0〜4の整数を示し、nは0または1を示す。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、前記と同様の官能基等を挙げることができる。
炭素数1〜12の2価の有機基としては、炭素数1〜12の2価の炭化水素基、炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数3〜12の2価の炭化水素基、ならびに酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数3〜12の2価のハロゲン化炭化水素基等を挙げることができる。
炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素基、炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基およびヘプタメチレン基等が挙げられる。
炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基およびシクロへキシレン基等のシクロアルキレン基;シクロブテニレン基、シクロペンテニレン基およびシクロヘキセニレン基等のシクロアルケニレン基などが挙げられる。
炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基およびビフェニレン基等が挙げられる。
炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価のハロゲン化炭化水素基、炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価のハロゲン化炭化水素基としては、ジフロオロメチレン基、ジクロロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、テトラクロロエチレン基、ヘキサフルオロトリメチレン基、ヘキサクロロトリメチレン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基およびヘキサクロロイソプロピリデン基等が挙げられる。
炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基としては、前記炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基としては、前記炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の炭化水素基としては、エーテル結合、カルボニル基、エステル基およびアミド基を有する炭素数1〜12の2価の炭化水素基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基としては、具体的には、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価の炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
Figure 2012038785
前記式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、それぞれ前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfは、それぞれ前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。なお、mが0の時、R7はシアノ基ではない。
前記重合体は、前記構造単位(i)と前記構造単位(ii)とのモル比(但し、両者((i)+(ii))の合計は100である。)が、光学特性、耐熱性および力学的特性の観点から(i):(ii)=50:50〜100:0であることが好ましく、(i):(ii)=70:30〜100:0であることがより好ましく、(i):(ii)=80:20〜100:0であることがさらに好ましい。
前記重合体(I)は、光学特性、耐熱性および力学的特性の観点から前記構造単位(i)および前記構造単位(ii)を全構造単位中70モル%以上含むことが好ましく、全構造単位中95モル%以上含むことがより好ましい。
前記重合体(I)は、例えば、下記式(5)で表わされる化合物(以下「化合物(5)」ともいう。)および下記式(7)で表わされる化合物(以下「化合物(7)」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を含む成分(以下「(A)成分」ともいう。)と下記式(6)で表わされる化合物を含む成分(以下「(B)成分」ともいう。)とを、反応させることにより得ることができる。
Figure 2012038785
前記式(5)中、Xは独立してハロゲン原子を示す。
Figure 2012038785
前記式(7)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、それぞれ前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、Xは、前記式(5)中のXと同義である。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。
Figure 2012038785
前記式(6)中、Raは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基、メタンスルホニル基またはトリフルオロメチルスルホニル基を示し、この中でも水素原子が好ましい。なお、式(6)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義である。
上記化合物(5)としては、具体的には、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、2,5−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,5−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリルおよびその反応性誘導体を挙げることができる。特に、反応性および経済性等の観点から、2,6−ジフルオロベンゾニトリル、および2,6−ジクロロベンゾニトリルが好適に用いられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
上記式(6)で表わされる化合物(以下「化合物(6)」ともいう。)としては、具体的には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、および、その反応性誘導体等が挙げられる。上述の化合物の中でも、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが好適に用いられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
上記化合物(7)としては、具体的には、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、2,4’−ジフルオロベンゾフェノン、2,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、2,2’−ジフルオロベンゾフェノン、2,2’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、2,4’−ジクロロベンゾフェノン、2,4’−ジクロロジフェニルスルホン、2,2’−ジクロロベンゾフェノン、2,2’−ジクロロジフェニルスルホン、3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、および3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン等を挙げることができる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
化合物(5)および化合物(7)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物は、(A)成分100モル%中に、80モル%〜100モル%含まれていること好ましく、90モル%〜100モル%含まれていることがより好ましい。
また、(B)成分は、必要に応じて下記式(8)で表わされる化合物を含むことが好ましい。化合物(6)は、(B)成分100モル%中に、80モル%〜100モル%含まれていることが好ましく、90モル%〜100モル%含まれていることがより好ましい。
Figure 2012038785
前記式(8)中、R5、R6、Z、n、eおよびfは、それぞれ前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義であり、Raは、前記式(6)中のRaと同義である。
前記式(8)で表わされる化合物としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、2−フェニルヒドロキノン、4,4’−ビフェノール、3,3’−ビフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1’−ビ−2−ナフトール、1,1’−ビ−4−ナフトール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンおよびその反応性誘導体等が挙げられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
上述の化合物の中でも、反応性および力学的特性の観点から、4,4’−ビフェノールが好適に用いられる。
前記重合体(I)は、より具体的には、以下に示す方法(I')で合成することができる。
(B)成分に含まれる化合物(6)を有機溶媒中でアルカリ金属化合物と反応させて、化合物(6)のアルカリ金属塩を得た後に、得られたアルカリ金属塩と、(A)成分に含まれる化合物(5)および/または化合物(7)とを反応させる。なお、化合物(6)とアルカリ金属化合物との反応を化合物(5)および/または化合物(7)の存在下で行うことで、化合物(6)のアルカリ金属塩と化合物(5)および/または化合物(7)とを反応させることもできる。
反応に使用するアルカリ金属化合物としては、リチウム、カリウムおよびナトリウム等のアルカリ金属;水素化リチウム、水素化カリウムおよび水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属;水酸化リチウム、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ金属;炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩などを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
アルカリ金属化合物の使用量は、前記式(6)中の1つの−O−Raに対し通常1〜3倍当量であり、好ましくは1.1〜2倍当量であり、さらに好ましくは1.2〜1.5倍当量である。
また、反応に使用する有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチルラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)およびトリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)などを使用することができる。これらの溶媒の中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホンおよびジメチルスルホキシド等の誘電率の高い極性有機溶媒が特に好適に用いられる。
さらに、前記反応の際には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールなどの水と共沸する溶媒をさらに用いることもできる。
(A)成分と(B)成分の使用割合は、(A)成分と(B)成分の合計を100モル%とした場合に、(A)成分が好ましくは45モル%以上55モル%以下、より好ましくは50モル%以上52モル%以下、さらに好ましくは50モル%を超えて52モル%以下であり、(B)成分が好ましくは45モル%以上55モル%以下、より好ましくは48モル%以上50モル%以下であり、さらに好ましくは48モル%以上50モル%未満である。
また、反応温度は、好ましくは60℃〜250℃で、より好ましくは80℃〜200℃の範囲である。反応時間は、好ましくは15分〜100時間、より好ましくは1時間〜24時間の範囲である。
前記芳香族ポリエーテル系重合体は、ポリイミド系重合体の合成に必要なイミド化のための高温処理が不要であるため、重合体の製造プロセス負荷が低く、容易に重合体を製造することができる。
前記芳香族ポリエーテル系重合体は、TOSOH製HLC−8220型GPC装置(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:テトラヒドロフラン(以下「THF」ともいう。)で測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは15,000〜400,000、さらに好ましくは30,000〜300,000である。
前記芳香族ポリエーテル系重合体は、熱重量分析法:TGAで測定した熱分解温度が、好ましくは450℃以上、より好ましくは475℃以上、さらに好ましくは490℃以上である。
前記フィルムの厚みは好ましくは1〜250μm、より好ましくは2〜150μmであり、さらに好ましくは5〜125μmである。
前記フィルムは、厚みが30μmである場合に、JIS K7105透明度試験法における全光線透過率が、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましい。全光線透過率は、ヘイズメーターSC−3H(スガ試験機社製)を用いて測定することができる。
前記フィルムは、厚みが30μmである場合に、波長400nmにおける光線透過率が、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。波長400nmにおける光線透過率は、紫外・可視分光光度計V−570(JASCO社製)を用いて測定することができる。
前記フィルムは、厚みが30μmである場合に、YI値(イエローインデックス)が、3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。YI値は、スガ試験社製SM−T型色彩測定器を用いて測定することができる。YI値がこのような範囲にあることで、着色のしにくいフィルムを得ることができ、各種用途に用いられる基板に好適に使用することができる。
また、前記フィルムは、厚みが30μmである場合に、熱風乾燥機にて大気中230℃で1時間の加熱を行った後のYI値が3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。YI値がこのような範囲にあることで、高温下でも着色のしにくい基材を得ることができ、各種用途に用いられる基板に好適に使用することができる。
前記フィルムは、波長633nmの光に対して、好ましくは1.55〜1.75、より好ましくは1.60〜1.70の屈折率を有する。屈折率は、ヘイズメーターSC−3H(スガ試験機社製)を用いて測定することができる。
前記フィルムは、厚みが30μmである場合に、厚み方向の位相差(Rth)が、200nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。位相差は、大塚電子社製RETS分光器を用いて測定することができる。
前記フィルムは、引張強度が、50〜200MPaであることが好ましく、80〜150MPaであることがより好ましい。引張強度は、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて測定することができる。
前記フィルムは、破断伸びが、5〜100%であることが好ましく15〜100%であることがより好ましい。破断伸びは、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて測定することができる。
また、前記フィルムは、引張弾性率が、2.5〜4.0GPaであることが好ましく、2.7〜3.7GPaであることがより好ましい。引張弾性率は、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて測定することができる。
前記フィルムはSeiko Instruments社製SSC−5200型TMA測定装置を用いて測定した線膨張係数が、好ましくは80ppm/K以下、より好ましくは75ppm/K以下である。
前記フィルムは、湿度膨張係数が、15ppm/K以下であることが好ましく、12ppm/K以下であることがより好ましい。湿度膨張係数は、MA(SIIナノテクノロジー社製、TMA−SS6100)湿度制御オプションを用いて測定することができる。フィルムの膨張係数が前記範囲にあると、フィルムの寸法安定性(環境信頼性)が高いことを示すため、各種用途に用いられる基板としてより好適に用いることができる。
前記工程(b)では、前記フィルム上に素子を形成する。
この工程(b)は、210℃〜400℃の範囲で行うことが好ましく、220〜370℃の範囲で行うことがより好ましい、230〜350℃の範囲で行うことがさらに好ましい。
前記フィルムは、耐熱性に優れるため、前記温度範囲でフィルム上に素子を形成することができる。
形成する素子としては、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、薄膜トランジスタ(TFT)素子等の発光素子、金属配線および半導体集積回路等のモジュール挙げられる。有機EL素子、TFT素子等の発光素子等を形成した場合には、フレキシブルディスプレイ基板などとして用いることができる。また、金属配線、半導体集積回路等のモジュールを形成した場合には、フレキシブル配線用基板などとして用いることができる。
TFT素子を形成する方法としては、具体的には、前記基材上にスパッタ法等で金属や金属酸化物などの膜を形成した後にエッチングするなどして、ゲート電極を設ける。スパッタ法等で金属や金属酸化物などの膜を形成する際の温度は、210℃〜400℃であることが好ましく、220℃〜370℃であうことがより好ましく、230℃〜350℃であることが好ましい。次に、ゲート電極を設けた基材上にプラズマCVD法等で窒化珪素膜等のゲート絶縁膜を形成する。さらに、ゲート絶縁膜上にプラズマCVD法などにより有機半導体などからなる活性層を形成する。プラズマCVD法等でゲート絶縁膜や有機半導体などの膜を形成する際の温度は、210℃〜400℃であることが好ましく、220℃〜370℃であうことがより好ましく、230℃〜350℃であることが好ましい。次に活性層の上にスパッタ法などで金属や金属酸化物などの膜を形成した後にエッチングするなどして、ソース電極およびドレイン電極を設ける。最後に必要に応じてプラズマCVD法等で窒化珪素膜等を形成し、保護膜とすることにより、薄膜トランジスタ素子を製造することができる。
以上では、ボトムゲート型の薄膜トランジスタ素子を説明したが、本発明の薄膜トランジスタ素子はこの構造に限定されず、トップゲート型であってもよい。
ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極は、導電性材料で形成されれば特に制限されないが、金属や金属酸化物などを挙げることができる。
金属の例としては、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、アルミニウム、亜鉛、マグネシウム、およびこれらの合金が挙げられ、金属酸化物の例としては、ITO、IZO、ZnOおよびIn23が挙げられる。このほかにも、基材との接着性を考慮して、前記導電性材料として、導電性ポリマーを用いてもよい。
これらの中でも金属酸化物を用いると、透明電極を形成することができるため、好ましい。
また、有機EL素子を形成する方法としては、例えば、前記フィルム上に、フィルム面側から順に、絶縁層、第1の電極、有機半導体層、第2の電極および保護層を形成する方法が挙げられる。
さらに、金属配線を形成する方法としては、例えば、ラミネート法、メタライジング法等によりフィルム上に銅層を設け、該銅層を公知の方法で処理することで金属配線を設けることができる。ラミネート法の場合には、たとえば、前記フィルム上に銅箔等の金属箔を熱プレスすることで、銅層を設けることができる。メタライジング法の場合には、例えば、蒸着法またはスパッタリング法によって、本発明のフィルムと結合するNi系の金属からなるシード層を形成する。そして、湿式めっき法により所定の膜厚の銅層を設けることができる。なお、メタライジング法を用いる場合には、金属との親和性を発現させるために予め前記フィルムの表面改質を行っておくことも可能である。
前記素子は、以下で述べるような支持体上に設けられたフィルム上に形成してもよいし(支持体を用いる方法)、支持体を用いず、例えば、ロール状に巻いた前記フィルム上に形成してもよい(ロール・ツー・ロール方法)。
前記支持体を用いる方法では、前記フィルム上に素子を形成した後に素子が形成されたフィルムを支持体から剥離することが好ましい。支持体上に設けられたフィルム上に素子を形成することで、工程(b)の加熱条件下でも、フィルムの寸法変化が少なく、素子を所望の位置に容易に形成することができる。
前記ロール・ツー・ロール方法は、具体的には、巻き出しロールから巻き出された前記フィルムを巻き取りロールに巻き取る間に前記素子を形成する方法である。この方法によれば、支持体を用いる方法に比べ、ある工程から次の工程に個々の支持体を搬送する手間がなくなり、装置規模の小規模化が可能となる。そのため、製造コスト、手間および装置等を大幅に省け、基板を効率良く量産することができる。
本発明の基板の製造方法は、前記工程(b)の前に、前記フィルムを支持体上に設ける工程(a)を含むことが好ましい。
前記工程(a)としては、好ましくは、前記芳香族ポリエーテル系重合体を含む組成物を支持体上に塗布して(塗膜を形成し、該塗膜を)乾燥することにより、前記フィルムを支持体上で形成する工程(a1)、および、予め形成した前記フィルムを支持体上に設ける工程(a2)等が挙げられる。
前記工程(a1)で用いられる前記組成物としては、好ましくは、前記重合体(I)と有機溶媒とを含む組成物が挙げられる。この組成物としては、前記の方法(I')で得られた重合体(I)と有機溶媒との混合物をそのまま使用することができる。このような組成物を用いることで、容易に、安価にフィルムを製造することができる。
また、前記の方法で得られた重合体(I)と有機溶媒との混合物から、重合体(I)を固体分として単離(精製)した後、有機溶媒に再溶解して組成物を調製することもできる。
前記重合体(I)を固体分として単離(精製)する方法は、例えば、メタノール等の重合体の貧溶媒に重合体(I)を再沈殿させ、その後ろ過し、次いで減圧乾燥すること等により行うことができる。
この有機溶媒としては、前記重合体(I)を溶解し得る溶媒であって、支持体と反応しない溶媒であれば特に制限されないが、例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびγ−ブチロラクトンが好適に用いられ、塗工性、経済性の観点から、好ましくは、塩化メチレン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンが好適に使用される。これらの溶媒は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
前記重合体(I)を溶解させた組成物中の重合体濃度は、重合体(I)の分子量にもよるが、通常、5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。5重量%未満では、厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすい恐れがある。一方、40重量%を超えると、組成物の粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性に欠けることがある。
なお、組成物の粘度は、重合体の分子量や濃度にもよるが、通常、2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。2,000mPa・s未満では、成膜中の樹脂組成物の滞留性が悪く、支持体から流れ落ちてしまうことがある。一方、100,000mPa・sを超えると、粘度が高過ぎて、膜厚の調整が困難となり、フィルムの成形が困難となることがある。
また、組成物にはさらに老化防止剤を含有させることができ、老化防止剤を含有することで得られるフィルムの耐久性をより向上させることができる。
老化防止剤としては、好ましくは分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物を挙げることができる。
本発明で使用することのできる分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−tert−ブチルフェニル]ブタン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、および、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどを挙げることができる。
本発明において、重合体100重量部に対して分子量500以上のヒンダードフェノール系化合物は0.01〜10重量部の量で使用することが好ましい。
前記組成物を支持体上に塗布して塗膜を形成する方法としては、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法およびドクターブレードを用いる方法等が挙げられる。塗膜の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜250μmであり、好ましくは2〜150μmであり、より好ましくは5〜125μmである。
また、上記塗膜を乾燥する方法としては、特に制限されないが、例えば、加熱により塗膜を乾燥すればよい。加熱の条件は、上記有機溶媒が蒸発すればよく、特に限定されないが、例えば100〜300℃で1〜5時間、好ましくは60〜250℃で1〜5時間である。なお、加熱は二段階、更には三段階以上で行ってもよい。この場合、加熱温度を、各段階を経る毎に徐々に上げることが好ましく、例えば、100℃で30分加熱した後、150℃で1時間加熱するなどである。また、必要に応じて、窒素雰囲気下、もしくは減圧下にて乾燥を行ってもよい。
前記工程(a2)は、前記芳香族ポリエーテル系重合体や、前記組成物から予めフィルムを作成しておき、得られたフィルムを支持体上に設ける工程である。予め形成されたフィルムを支持体上に設ける方法としては、例えば、支持体上に粘着材層を介して貼合する方法等を挙げることができる。
前記工程(a2)においてフィルムを作成する方法としては、特に制限されないが、例えば、工程(a1)と同じように、ポリエチレンテレフタラート(PET)などの基材上に前記組成物を塗布して乾燥し、その後、該基材から乾燥物を剥離することでフィルムを作成する方法が挙げられる。
前記粘着材層を形成する粘着剤としては、公知のものを使用することができ、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤、エポキシ系粘着剤が挙げられる。これらの粘着剤の中でも耐熱性に優れる観点から、シリコーン系粘着剤を好適に用いることができる。
前記支持体としては、シリコンウエハおよび無アルカリガラスなどが挙げられる。無アルカリガラスとは、カリウムやナトリウムなどのアルカリ成分を含まないガラスのことである。
このような支持体は、加熱条件下で高寸法安定性を有するため、工程(a)や工程(b)において、熱が印加されても、寸法変化が少ない。このため、該支持体上に設けられるフィルムも寸法変化が少なくなり、素子を所望の位置に容易に形成することができる。
また、このような支持体を用いることで、該支持体を取り除いた後の基板の反りやねじりを防ぐことができる。
本発明の基板の製造方法が、前記工程(a)を含む場合には、前記素子が形成されたフィルムを前記支持体から剥離してもよい(工程(c))。本発明では、この剥離後の素子が形成されたフィルムのことを「基板」という。
剥離の方法としては、支持体の端部に予めマスキングテープを貼り付け、上記工程(a)および(b)を実施した後、マスキングテープをはがすことを起点として、基板を剥離する方法や、支持体の端部に切り込みを入れて起点を作り剥離する方法、水やアルコールなどの溶剤に工程(b)で得られた支持体付基板を浸漬して基板を剥離する方法、等が挙げられる。剥離する際の温度としては、通常0〜100℃であり、好ましくは10〜70℃であり、より好ましくは20〜50℃である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(1)構造分析
下記実施例で得られた重合体の構造分析は、IR(ATR法、FT−IR,6700、NICOLET社製)およびNMR(ADVANCE500型,BRUKAR社製)により行った。
(2)重量平均分子量、数平均分子量(Mw)および分子量分布
下記実施例で得られた重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mw)および分子量分布は、TOSOH製HLC−8220型GPC装置(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:THFを用いて測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
下記実施例および比較例で得られた重合体またはフィルムのガラス転移温度は、Rigaku社製8230型DSC測定装置を用いて、昇温速度20℃/minとして測定した。
(3')熱分解温度
下記実施例および比較例で得られた重合体の熱分解温度を熱重量分析法(TGA:窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分、5%重量減少温度)により測定した。
(4)機械的強度
下記実施例および比較例で得られたフィルムの室温における引張強度、破断伸び、引張弾性率を、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて、JIS K7127に準じて測定した。
(5)環境安定性
下記実施例および比較例で得られたフィルムの線膨張係数をSeiko Instruments社製SSC−5200型TMA測定装置を用いて測定した。一度280℃まで昇温した後、3℃/minで降温した際の200〜100℃での勾配から線膨張係数を算出した。
下記実施例および比較例で得られたフィルムの湿度膨張係数をMA(SIIナノテクノロジー社製、TMA−SS6100)湿度制御オプションを用いて下記条件にて測定を実施した。
湿度条件:40%RH→70%RH(引張法:加重5g) 温度:23℃
(6)光学特性
下記実施例および比較例で得られたフィルムについて、全光線透過率、イエローインデックス(YI)をJIS K7105透明度試験法に準じて測定した。具体的には、フィルムの全光線透過率をスガ試験機社製SC−3H型ヘイズメーターを用い、YI値を、スガ試験社製SM−T型色彩測定器を用いて測定した(加熱前YI)。さらに、得られたフィルムを熱風乾燥機にて大気中230℃で1時間の加熱を行った後のYI値(加熱後YI)および全光線透過率をスガ試験社製SM−T型色彩測定器を用いて測定した。なお、測定は、JIS Z 8722条件に準じて行った。
また、下記実施例および比較例で得られたフィルムの位相差(Rth)は、大塚電子社製RETS分光器を用いて測定した。なお、測定の際の基準波長は589nmであり、位相差の評価膜厚は30μmに規格化した値で示した。
実施例および比較例で得られたフィルムの波長400nmにおける光線透過率は、紫外・可視分光光度計V−570(JASCO社製)を用いて測定し、得られたフィルムの屈折率は、ヘイズメーターSC−3H(スガ試験機社製)を用いて測定した。
[実施例1]
(重合体合成)
3Lの4つ口フラスコに(A)成分:2,6−ジフルオロベンゾニトリル(以下、「DFBN」ともいう。)35.12g(0.253mol)、(B)成分:9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下、「BPFL」ともいう。)70.08g(0.200mol)、レゾルシノール(以下、「RES」ともいう。)5.51g(0.050mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」ともいう。)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管および冷却管を取り付けた。
次いで、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をDean−Stark管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。
室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(重合体)を得た(収量95.67g、収率95%)。
得られた重合体の物性を表1に示す。得られた重合体の構造分析及び重量平均分子量の測定を行った。結果は、赤外吸収スペクトルの特性吸収が、3035(C−H伸縮)、2229cm-1(CN)、1574cm-1、1499cm-1(芳香環骨格吸収)、1240cm-1(−O−)であり、重量平均分子量が130,000であった。
(フィルム作製)
次いで、得られた重合体をDMAcに再溶解し、重合体濃度20質量%の組成物を得た。該組成物を、ポリエチレンテレフタラート(PET)からなる基材上にドクターブレードを用いて塗布し、70℃で30分乾燥させ、ついで100℃で30分乾燥してフィルムとした後、PET基材より剥離した。その後、フィルムを金枠に固定し、さらに230℃、2時間乾燥して、膜厚30μmの評価用フィルムを得た。
得られた評価用フィルムの物性を表1に示す。
(基板作製1)
(重合体合成)で得られた重合体をDMAcに再溶解し、重合体濃度20質量%の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物をスピンコーターにて無アルカリガラスからなる支持体上に塗布し、80℃で30分乾燥させ、ついで150℃で60分乾燥した後、さらに230℃、60分間乾燥して、膜厚30μmのフィルムを得た。そして、スパッタリング装置を用いて、得られた支持体上に形成された評価用フィルムの片面にアルゴン雰囲気下230℃、5分間の成膜条件下で透明導電膜を形成した。そして、その後透明導電膜が形成されたフィルム(基板)を支持体から剥離した。なお、ターゲット材料としてはITOを用いた。得られた基板の透明導電膜の比抵抗値は、2×10-4(Ω・cm)であった。
[実施例2]
RES5.51gの代わりに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン11.41g(0.050mol)を使用した以外は、実施例1と同様に行った。得られた重合体、フィルムおよび基板の物性を表1に示す。
[実施例3]
(B)成分として、BPFL70.08gおよびRES5.51gの代わりに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン78.84g(0.225mol)および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン8.41g(0.025mol)を使用した以外は実施例1と同様に行った。得られた重合体、フィルムおよび基板の物性を表1に示す。
[実施例4]
(B)成分として、BPFL70.08gおよびRES5.51gの代わりに、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン125.65g(0.250mol)を使用した以外は実施例1と同様に行った。得られた重合体、フィルムおよび基板の物性を表1に示す。
[実施例5]
(B)成分として、BPFL70.08gおよびRES5.51gの代わりに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン87.60g(0.250mol)を使用した以外は実施例1と同様に行った。得られた重合体、フィルムおよび基板の物性を表1に示す。
[実施例6]
(B)成分として、BPFL70.08gおよびRES5.51gの代わりに、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン78.84g(0.225mol)および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン6.71g(0.025mol)を使用した以外は実施例1と同様に行った。得られた重合体、フィルムおよび基板の物性を表1に示す。
[実施例7]
(A)成分として、DFBN35.12gの代わりに、DFBN28.10g(0.202mol)および4,4−ジフルオロベンゾフェノン11.02g(0.051mol)を用いた以外は実施例5と同様に行った。得られた重合体、フィルムおよび基板の物性を表1に示す。
[実施例8]
(A)成分の配合量を、DFBN17.56g(0.126mol)および4,4−ジフルオロベンゾフェノン27.55g(0.126mol)に変更した以外は実施例7と同様に行った。得られた重合体、フィルムおよび基板の物性を表1に示す。
[実施例9]
(A)成分として、DFBN35.12gの代わりに、4,4−ジフルオロジフェニルスルホン(DFDS)78.84g(0.250mol)を使用した以外は実施例5と同様に行った。得られた重合体、フィルムおよび基板の物性を表1に示す。
[比較例1]
(B)成分として、BPFL70.08gおよびRES5.51gの代わりに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン84.06g(0.250mol)を使用した以外は、実施例1と同様に重合体と評価用フィルムを得た。得られた重合体および評価用フィルムの物性を表1に示す。
さらに、スパッタリング温度を150℃とした以外は、実施例1の(基板作成1)および(基板作成2)と同様に透明導電性フィルムを作成した。得られた透明導電性フィルムの比抵抗値は、5×10-3(Ω・cm)であった。なお、成膜温度を実施例1と同様に230℃とした場合には、フィルムが変形し均一な透明導電膜が形成されなかった。
[比較例2]
帝人(株)製のポリエチレンナフタレートフィルム:ネオテックスを使用し、評価は実施例1と同様の方法で行った(膜厚125μm)。得られたフィルムの物性を表1に示す。
得られたフィルムを用いて、比較例1と同様に透明導電性フィルムを作成した。得られた透明導電性フィルムの比抵抗値は、7×10-3(Ω・cm)であった。なお、成膜温度を実施例1と同様に230℃とした場合には、フィルムが変形し均一な透明導電膜が形成されなかった。
[比較例3]
温度計、攪拌機、窒素導入管、及び冷却管を取り付けた300mLの4つ口フラスコに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン9.70g(23.6mmol)を添加した。次いで、フラスコ内を窒素置換した後、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(60ml)を加え均一になるまで攪拌した。得られた溶液に2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物5.30g(23.6mmol)を室温で加え、そのままの温度で12時間攪拌を続けて反応させ、ポリアミック酸を含む溶液を得た。
得られたポリアミック酸を含む溶液にNMP(75ml)を加えて希釈した後、ピリジン(7.5ml)および無水酢酸(6.7ml)を加え、110℃で6時間攪拌してイミド化を行った。その後、室温まで冷却した後、大量のメタノールに投じ、ろ別によりろ物を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(重合体)を得た(収量13.5g、収率95.3%)。
次いで、得られた重合体をDMAcに再溶解し、20質量%の樹脂溶液を得た。該樹脂溶液を、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基材上にドクターブレード(100μmギャップ)を用いて塗布し、100℃で30分乾燥させ、ついで150℃で60分乾燥してフィルムとした後、PET基材より剥離した。その後、フィルムをさらに150℃、減圧下で3時間乾燥して、膜厚30μmの評価用フィルムを得た。評価は実施例1と同様の方法で行った。また、得られた評価用フィルムおよび重合体を用いて、実施例1の(基板作製1)と同様に導電性フィルムを作成した。結果を表1に示す。
Figure 2012038785

Claims (17)

  1. (b)示差走査熱量測定(DSC、昇温速度20℃/分)によるガラス転移温度(Tg)が230〜350℃である芳香族ポリエーテル系重合体を含むフィルムの少なくとも一方の面に素子を形成する素子形成工程を含む基板の製造方法。
  2. 前記芳香族ポリエーテル系重合体が、下記式(1)で表わされる構造単位および下記式(2)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する、請求項1に記載の基板の製造方法。
    Figure 2012038785
    (式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ0〜4の整数を示す。)
    Figure 2012038785
    (式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhは、それぞれ0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。)
  3. 前記芳香族ポリエーテル系重合体が、さらに、下記式(3)で表わされる構造単位および下記式(4)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(ii)を有する、請求項1または2に記載の基板の製造方法。
    Figure 2012038785
    (式(3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、eおよびfは、それぞれ0〜4の整数を示し、nは0または1を示す。)
    Figure 2012038785
    (式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、それぞれ前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfは、それぞれ前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。)
  4. 前記芳香族ポリエーテル系重合体における上記構造単位(i)と上記構造単位(ii)とのモル比が50:50〜100:0である、請求項3に記載の基板の製造方法。
  5. 前記芳香族ポリエーテル系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜500,000である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  6. 前記フィルムの厚み30μmにおけるJIS K7105透明度試験法による全光線透過率が85%以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  7. 前記フィルムの厚み30μmにおけるYI値(イエローインデックス)が3.0以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  8. 前記工程(b)を210℃〜400℃の範囲で行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  9. (a)前記工程(b)の前に、前記フィルムを支持体上に設ける工程を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  10. 前記工程(a)が、前記芳香族ポリエーテル系重合体を含む組成物を支持体に塗布して乾燥することにより、前記フィルムを支持体上に形成する工程である、請求項9に記載の基板の製造方法。
  11. 前記工程(a)における乾燥を100〜300℃の範囲で行う、請求項10に記載の基板の製造方法。
  12. 前記工程(a)が、予め形成した前記フィルムを、支持体上に設ける工程である、請求項9に記載の基板の製造方法。
  13. 前記支持体がシリコンウエハまたは無アルカリガラスである、請求項9〜12のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  14. 前記工程(b)が支持体上に設けられたフィルム上に素子を形成する素子形成工程である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の基板の製造方法。
  15. 前記工程(b)の後に、(c)前記素子が形成されたフィルムを前記支持体から剥離する工程を含む、請求項14に記載の基板の製造方法。
  16. 下記式(1)で表わされる構造単位および下記式(2)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する重合体を含むことを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の基板の製造方法に用いられるフィルム。
    Figure 2012038785
    (式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ0〜4の整数を示す。)
    Figure 2012038785
    (式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhは、それぞれ0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。)
  17. 下記式(1)で表わされる構造単位および下記式(2)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する重合体と有機溶媒とを含むことを特徴とする、請求項10に記載の基板の製造方法に用いられる組成物。
    Figure 2012038785
    (式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ0〜4の整数を示す。)
    Figure 2012038785
    (式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhは、それぞれ0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。)
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