JP2012219104A - 芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面改質方法、該方法を用いて得られた表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品、該表面改質芳香族ポリエーテル系重合体に金属皮膜を形成する方法および金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品 - Google Patents

芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面改質方法、該方法を用いて得られた表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品、該表面改質芳香族ポリエーテル系重合体に金属皮膜を形成する方法および金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品 Download PDF

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Koji Numata
公志 沼田
Toshitaka Otsuki
敏敬 大月
Mitsuhiro Watanabe
充広 渡辺
Kunihito Baba
邦人 馬場
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Abstract

【課題】芳香族ポリエーテル系重合体成形品と金属皮膜との密着性に優れ、該成形品と金属皮膜との界面の平滑性に優れる金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品を得るための、芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面改質方法を提供すること。
【解決手段】芳香族ポリエーテル系重合体成形品を酸処理する工程を含むことを特徴とする芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面改質方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面改質方法、該方法を用いて得られた表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品、該表面改質芳香族ポリエーテル系重合体に金属皮膜を形成する方法および金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品に関する。
プリント配線板は、電解めっき等により絶縁基材の表面に金属皮膜を形成することで得られる。この際、該絶縁基材と金属皮膜との密着性を向上させるために、通常、予め絶縁基材表面を表面改質する。
表面改質する方法としては、機械的または腐食により絶縁基材表面を粗面化する方法、化学反応により特定の基を絶縁材表面に形成する方法等が挙げられ、具体的には、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理、クロム酸処理、紫外線処理、電子線処理、放射線処理等が行われている。
近年、GHz帯の高周波を利用する電子機器の開発が求められ、これに応じて、高周波対応のプリント配線板の開発が望まれている。このような高周波対応のプリント配線板としては、金属皮膜との密着性に加えて、高周波信号の伝送特性から、信号伝達回路に必要な金属皮膜の厚みが薄いこと、絶縁基材と金属皮膜との界面が平坦性に優れることが要求されている。
特許文献1には、金属皮膜との密着性に優れ、金属皮膜とシクロオレフィンポリマー材との界面の平坦性に優れる金属皮膜付シクロオレフィンポリマー材が開示されており、この金属皮膜付シクロオレフィンポリマー材は、紫外線を照射すること等の特定の方法でシクロオレフィンポリマー材表面を改質することによって得られることが記載されている。
また、特許文献2には、特定の式で表わされる繰り返し単位を有する芳香族ポリエーテルは、耐熱性、機械的強度等に優れており、電気、電子、機械分野の素材として好適に用いることが可能である旨開示されている。
特開2008−94923号公報 特開2006−199746号公報
本発明は、耐熱性、機械的強度等に優れている芳香族ポリエーテルを基材として用い、該基材と金属皮膜との密着性に優れ、基材と金属皮膜との界面の平滑性に優れる金属皮膜付き基材を得るための、該基材の表面改質方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の表面改質方法により、芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面を改質すれば、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[11]を提供するものである。
[1] 芳香族ポリエーテル系重合体成形品を酸処理する工程を含むことを特徴とする芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面改質方法。
[2] 前記酸処理工程で使用する酸がクロム酸である、[1]に記載の表面改質方法。
[3] 前記芳香族ポリエーテル系重合体が、下記式(1)で表わされる構造単位および下記式(2)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する、[1]または[2]に記載の表面改質方法。
(式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。)
(式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ独立に前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。)
[4] 前記芳香族ポリエーテル系重合体が、さらに、下記式(3)で表わされる構造単位および下記式(4)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(ii)を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の表面改質方法。
(式(3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、eおよびfは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、nは0または1を示す。)
(式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、それぞれ独立に前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfは、それぞれ独立に前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。)
[5] 前記芳香族ポリエーテル系重合体において、上記構造単位(i)と上記構造単位(ii)とのモル比が50:50〜100:0である、[1]〜[4]のいずれかに記載の表面改質方法。
[6] 前記芳香族ポリエーテル系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜500,000である、[1]〜[5]のいずれかに記載の表面改質方法。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の表面改質方法により得られた表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品。
[8] 下記工程aおよび工程bを含む、[7]に記載の表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面に金属皮膜を形成する方法。
工程a:前記表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品に金属薄膜層を形成する工程
工程b:前記金属薄膜層が形成された成形品の金属薄膜層形成側を電解めっきする工程
[9] 無電解めっきにより金属薄膜層を形成する、[8]に記載の金属皮膜を形成する方法。
[10] 物理蒸着により金属薄膜層を形成する、[8]に記載の金属皮膜を形成する方法。
[11] [8]〜[10]のいずれかに記載の金属皮膜を形成する方法により形成された金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品。
本発明によれば、芳香族ポリエーテル系重合体成形品と金属皮膜との密着性に優れ、成形品と金属皮膜との界面の平滑性に優れる金属皮膜付き基材を得ることができる。
本発明に係る金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品の1例を示す断面模式図である。 本発明に係る金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品の1例を示す断面模式図である。 実施例で得られた金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品のSEM(走査型電子顕微鏡)像である。
≪表面改質方法≫
本発明の表面改質方法は、芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面を改質する方法であり、芳香族ポリエーテル系重合体成形品を酸処理する工程を含むことを特徴とする。
本発明の表面改質方法によれば、芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面が改質され、表面の平滑性は高いが、金属皮膜との密着力に優れる表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品が得られる。
前記芳香族ポリエーテル系重合体成形品を酸処理する工程は、特に制限されず、表面改質に用いられる従来公知の酸または酸塩を用いて、前記成形品の表面を改質する。
用いられる酸としては、特に制限されず、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、クロム酸、クロム酸カリウム、過ヨウ素酸および四酢酸鉛などが挙げられる。これらの中でも、得られる表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品の平滑性および金属皮膜との密着性の点、ならびに、金属皮膜付き芳香族ポリエーテル重合体成形品の成形品表面の平滑性の点を考慮すると、クロム酸、より具体的には、クロム酸混液を用いることが好ましい。クロム酸混液により前記芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面を酸処理しても、該表面は粗化されにくい。
前記クロム酸混液とは、例えば、重クロム酸塩を水に溶解させ、この溶液に濃硫酸を加えることにより調製される溶液のことをいい、所望の用途に応じて、重クロム酸塩水溶液の使用量と濃硫酸の使用量を調節すればよい。
クロム酸を用いる酸処理は、通常、前記芳香族ポリエーテル系重合体成形品を重クロム酸またはその塩の酸性水溶液に浸漬することにより行われる。浸漬時間は好ましくは10秒〜20分、より好ましくは30秒〜15分であり、必要に応じて加温下、加圧下で行ってもよい。さらに、必要により、浸漬後の成形品を水などを用いて洗浄し、乾燥させてもよい。
<芳香族ポリエーテル系重合体成形品>
前記芳香族ポリエーテル系重合体成形品(以下「成形品」ともいう。)は、芳香族ポリエーテル系重合体(以下「重合体(I)」ともいう。)を含むフィルムなどの成形品、好ましくは重合体(I)を含む組成物から形成されるフィルムなどの成形品のことをいい、その形状等は所望の用途に応じて適宜選択でき、特に制限されないが、フィルム等の板状体であることが好ましい。
前記重合体(I)は、示差走査熱量測定(DSC、昇温速度20℃/分)によるガラス転移温度(Tg)が好ましくは230〜350℃、より好ましくは240〜330℃、さらに好ましくは250〜300℃である。
前記重合体(I)のガラス転移温度は、例えばRigaku社製8230型DSC測定装置(昇温速度20℃/分)を用いて測定される。
このような重合体(I)を含む組成物から得られる成形品は、耐熱性、力学的強度および電気的特性等にバランスよく優れる。
前記重合体(I)は、主鎖にエーテル結合を形成する反応により得られる重合体であり、下記式(1)で表わされる構造単位(以下「構造単位(1)」ともいう。)および下記式(2)で表わされる構造単位(以下「構造単位(2)」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する重合体(以下「重合体(II)」ともいう。)であることが好ましい。このような重合体(II)を含む組成物から得られる成形品は、優れた耐熱性、耐熱性、力学的強度および電気的特性等にバランスよく優れ、さらに、透明性および表面平滑性等に優れる。
前記式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示す。a〜dは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0または1である。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、炭素数1〜12の1価の炭化水素基、ならびに酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の1価の有機基等を挙げることができる。
炭素数1〜12の1価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の炭化水素基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
前記炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の炭化水素基としては、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖の炭化水素基がより好ましい。
前記直鎖または分岐鎖の炭化水素基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基およびn−ヘプチル基等が挙げられる。
前記炭素数3〜12の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜8の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3または4の脂環式炭化水素基がより好ましい。
炭素数3〜12の脂環式炭化水素基の好適な具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロへキシル基等のシクロアルキル基;シクロブテニル基、シクロペンテニル基およびシクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基が挙げられる。当該脂環式炭化水素基の結合部位は、脂環上のいずれの炭素でもよい。
前記炭素数6〜12の芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ビフェニル基およびナフチル基等が挙げられる。当該芳香族炭化水素基の結合部位は、芳香族環上のいずれの炭素でもよい。
酸素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子および酸素原子からなる有機基が挙げられ、中でも、エーテル結合、カルボニル基またはエステル結合と炭化水素基とからなる総炭素数1〜12の有機基等を好ましく挙げることができる。
エーテル結合を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルケニルオキシ基、炭素数2〜12のアルキニルオキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基および炭素数1〜12のアルコキシアルキル基などを挙げることができる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、プロペニルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基およびメトキシメチル基等が挙げられる。
また、カルボニル基を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数2〜12のアシル基等を挙げることができる。具体的には、アセチル基、プロピオニル基、イソプロピオニル基およびベンゾイル基等が挙げられる。
エステル結合を有する総炭素数1〜12の有機基としては、炭素数2〜12のアシルオキシ基等が挙げられる。具体的には、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、イソプロピオニルオキシ基およびベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
窒素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子および窒素原子からなる有機基が挙げられ、具体的には、シアノ基、イミダゾール基、トリアゾール基、ベンズイミダゾール基およびベンズトリアゾール基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子、炭素原子、酸素原子および窒素原子からなる有機基が挙げられ、具体的には、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンズオキサゾール基およびベンズオキサジアゾール基等が挙げられる。
前記式(1)におけるR1〜R4としては、炭素数1〜12の1価の炭化水素基が好ましく、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
前記式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ独立に前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは、単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、mは、0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。gおよびhは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0である。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、前記式(1)における炭素数1〜12の1価の有機基と同様の有機基等を挙げることができる。
前記重合体(II)は、上記構造単位(1)と上記構造単位(2)とのモル比(但し、両者(構造単位(1)+構造単位(2))の合計は100である。)が、光学特性、耐熱性および力学的特性の観点から構造単位(1):構造単位(2)=50:50〜100:0であることが好ましく、構造単位(1):構造単位(2)=70:30〜100:0であることがより好ましく、構造単位(1):構造単位(2)=80:20〜100:0であることがさらに好ましい。
ここで、力学的特性とは、重合体の引張強度、破断伸びおよび引張弾性率等の性質のことをいう。
また、前記重合体(II)は、さらに、下記式(3)で表わされる構造単位および下記式(4)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(ii)を有してもよい。前記重合体(II)がこのような構造単位(ii)を有すると、該重合体(II)を含む成形品の力学的特性が向上するため好ましい。
前記式(3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、nは、0または1を示す。eおよびfは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、好ましくは0である。
炭素数1〜12の1価の有機基としては、前記式(1)における炭素数1〜12の1価の有機基と同様の有機基等を挙げることができる。
炭素数1〜12の2価の有機基としては、炭素数1〜12の2価の炭化水素基、炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価の有機基、ならびに酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価のハロゲン化有機基等を挙げることができる。
炭素数1〜12の2価の炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素基、炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価の炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、イソプロピリデン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基およびヘプタメチレン基等が挙げられる。
炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基およびシクロへキシレン基等のシクロアルキレン基;シクロブテニレン基、シクロペンテニレン基およびシクロヘキセニレン基等のシクロアルケニレン基などが挙げられる。
炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、ナフチレン基およびビフェニレン基等が挙げられる。
炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基としては、炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価のハロゲン化炭化水素基、炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基および炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基等が挙げられる。
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖の2価のハロゲン化炭化水素基としては、ジフロオロメチレン基、ジクロロメチレン基、テトラフルオロエチレン基、テトラクロロエチレン基、ヘキサフルオロトリメチレン基、ヘキサクロロトリメチレン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基およびヘキサクロロイソプロピリデン基等が挙げられる。
炭素数3〜12の2価のハロゲン化脂環式炭化水素基としては、前記炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
炭素数6〜12の2価のハロゲン化芳香族炭化水素基としては、前記炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の有機基としては、水素原子および炭素原子と、酸素原子および/または窒素原子とからなる有機基が挙げられ、エーテル結合、カルボニル基、エステル結合またはアミド結合と炭化水素基とを有する総炭素数1〜12の2価の有機基等が挙げられる。
酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価のハロゲン化有機基としては、具体的には、酸素原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む炭素数1〜12の2価の有機基において例示した基の少なくとも一部の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換された基等が挙げられる。
前記式(3)におけるZとしては、単結合、−O−、−SO2−、>C=Oまたは炭素数1〜12の2価の有機基が好ましく、炭素数1〜12の2価の炭化水素基、炭素数1〜12の2価のハロゲン化炭化水素基または炭素数3〜12の2価の脂環式炭化水素基がより好ましい。
前記式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、それぞれ独立に前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfは、それぞれ独立に前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。なお、mが0の時、R7はシアノ基ではない。
前記重合体(II)は、前記構造単位(i)と前記構造単位(ii)とのモル比(但し、両者((i)+(ii))の合計は100である。)が、光学特性、耐熱性および力学的特性の観点から(i):(ii)=50:50〜100:0であることが好ましく、(i):(ii)=70:30〜100:0であることがより好ましく、(i):(ii)=80:20〜100:0であることがさらに好ましい。
ここで、力学的特性とは、重合体の引張強度、破断伸びおよび引張弾性率等の性質のことをいう。
前記重合体(II)は、光学特性、耐熱性および力学的特性の観点から前記構造単位(i)および前記構造単位(ii)を全構造単位中70モル%以上含むことが好ましく、全構造単位中95モル%以上含むことがより好ましい。
前記重合体(II)は、例えば、下記式(5)で表わされる化合物(以下「化合物(5)」ともいう。)および下記式(7)で表わされる化合物(以下「化合物(7)」ともいう。)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物を含む成分(以下「(A)成分」ともいう。)と、下記式(6)で表わされる化合物を含む成分(以下「(B)成分」ともいう。)とを、反応させることにより得ることができる。
前記式(5)中、Xは独立してハロゲン原子を示し、フッ素原子が好ましい。
前記式(7)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、それぞれ独立に前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、Xは、独立に前記式(5)中のXと同義である。
但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。
前記式(6)中、Raは、それぞれ独立に水素原子、メチル基、エチル基、アセチル基、メタンスルホニル基またはトリフルオロメチルスルホニル基を示し、この中でも水素原子が好ましい。なお、式(6)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ独立に前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義である。
上記化合物(5)としては、具体的には、2,6−ジフルオロベンゾニトリル(DFBN)、2,5−ジフルオロベンゾニトリル、2,4−ジフルオロベンゾニトリル、2,6−ジクロロベンゾニトリル、2,5−ジクロロベンゾニトリル、2,4−ジクロロベンゾニトリルおよびこれらの反応性誘導体を挙げることができる。特に、反応性および経済性等の観点から、2,6−ジフルオロベンゾニトリルおよび2,6−ジクロロベンゾニトリルが好適に用いられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
上記式(6)で表わされる化合物(以下「化合物(6)」ともいう。)としては、具体的には、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(BPFL)、9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレンおよびこれらの反応性誘導体等が挙げられる。上述の化合物の中でも、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンが好適に用いられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
上記化合物(7)としては、具体的には、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン(DFDS)、2,4'−ジフルオロベンゾフェノン、2,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、2,2'−ジフルオロベンゾフェノン、2,2'−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3'−ジニトロ−4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、3,3'−ジニトロ−4,4'−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロジフェニルスルホン、2,4'−ジクロロベンゾフェノン、2,4'−ジクロロジフェニルスルホン、2,2'−ジクロロベンゾフェノン、2,2'−ジクロロジフェニルスルホン、3,3'−ジニトロ−4,4'−ジクロロベンゾフェノンおよび3,3'−ジニトロ−4,4'−ジクロロジフェニルスルホン等を挙げることができる。これらの中でも、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン、4,4'−ジフルオロジフェニルスルホンが好ましい。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
化合物(5)および化合物(7)からなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物は、(A)成分100モル%中に、80モル%〜100モル%含まれていることが好ましく、90モル%〜100モル%含まれていることがより好ましい。
また、(B)成分は、必要に応じて下記式(8)で表わされる化合物を含むことが好ましい。化合物(6)は、(B)成分100モル%中に、50モル%〜100モル%含まれていることが好ましく、80モル%〜100モル%含まれていることがより好ましく、90モル%〜100モル%含まれていることがさらに好ましい。
前記式(8)中、R5、R6、Z、n、eおよびfは、それぞれ独立に前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義であり、Raは、それぞれ独立に前記式(6)中のRaと同義である。
前記式(8)で表わされる化合物としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、2−フェニルヒドロキノン、4,4'−ビフェノール、3,3'−ビフェノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3'−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,1'−ビ−2−ナフトール、1,1'−ビ−4−ナフトール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンおよびこれらの反応性誘導体等が挙げられる。上述の化合物の中でも、レゾルシノール、4,4'−ビフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパンが好ましく、反応性および力学的特性の観点から、4,4'−ビフェノールが好適に用いられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
前記重合体(II)は、より具体的には、以下に示す方法(I')で合成することができる。
方法(I'):
(B)成分を有機溶媒中でアルカリ金属化合物と反応させて、(B)成分(化合物(6)および/または化合物(8)等)のアルカリ金属塩を得た後に、得られたアルカリ金属塩と、(A)成分とを反応させる。なお、(B)成分とアルカリ金属化合物との反応を(A)成分の存在下で行うことで、(B)成分のアルカリ金属塩と(A)成分とを反応させることもできる。
反応に使用するアルカリ金属化合物としては、リチウム、カリウムおよびナトリウム等のアルカリ金属;水素化リチウム、水素化カリウムおよび水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属;水酸化リチウム、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウム等の水酸化アルカリ金属;炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウムおよび炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩などを挙げることができる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
アルカリ金属化合物は、前記(B)成分中の全ての−O−Raに対し、アルカリ金属化合物中の金属原子の量が通常1〜3倍当量、好ましくは1.1〜2倍当量、さらに好ましくは1.2〜1.5倍当量となる量で使用される。
また、反応に使用する有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチルラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、ジフェニルスルホン、ジフェニルエーテル、ベンゾフェノン、ジアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)およびトリアルコキシベンゼン(アルコキシ基の炭素数1〜4)などを使用することができる。これらの溶媒の中でも、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、スルホラン、ジフェニルスルホンおよびジメチルスルホキシド等の誘電率の高い極性有機溶媒が特に好適に用いられる。
さらに、前記反応の際には、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、クロロベンゼン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールなどの水と共沸する溶媒をさらに用いることもできる。
(A)成分と(B)成分の使用割合は、(A)成分と(B)成分との合計を100モル%とした場合に、(A)成分が好ましくは45モル%以上55モル%以下、より好ましくは50モル%以上52モル%以下、さらに好ましくは50モル%を超えて52モル%以下であり、(B)成分が好ましくは45モル%以上55モル%以下、より好ましくは48モル%以上50モル%以下であり、さらに好ましくは48モル%以上50モル%未満である。
また、反応温度は、好ましくは60〜250℃、より好ましくは80〜200℃の範囲である。反応時間は、好ましくは15分〜100時間、より好ましくは1時間〜24時間の範囲である。
前記重合体(I)は、TOSOH製HLC−8220型GPC装置(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:テトラヒドロフラン(以下「THF」ともいう。))で測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは15,000〜400,000、さらに好ましくは30,000〜300,000である。
前記重合体(I)は、熱重量分析法(TGA)で測定した熱分解温度が、好ましくは450℃以上、より好ましくは475℃以上、さらに好ましくは490℃以上である。
前記成形品を形成するための組成物としては、前記の方法(I')で得られた重合体(II)と有機溶媒との混合物をそのまま使用することができる。また、前記組成物は、前記の方法(I')で得られた重合体(II)と有機溶媒との混合物から、重合体(II)を固体分として単離(精製)した後、有機溶媒に再溶解して調製することもできる。
前記重合体(II)を固体分として単離(精製)する方法は、例えば、メタノール等の重合体の貧溶媒に重合体を再沈殿させ、その後ろ過し、次いでろ物を減圧乾燥すること等により行うことができる。
前記重合体(II)を再溶解させる有機溶媒としては、前記重合体(II)を容易に溶解するものが好適に選ばれる。例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンおよびγ−ブチロラクトンが好適に用いられ、塗工性、経済性の観点から、好ましくは、塩化メチレン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンが好適に使用される。これらの溶媒は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
また、塗工時の乾燥性や成形品の均一性、表面平滑性などの向上を狙い、その他の有機溶媒、例えば、エーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒、ケトン系有機溶媒、炭化水素系有機溶媒、アルコール系有機溶媒から選ばれる1種、あるいは2種以上の溶媒を適宜組み合わせて使用することができる。この場合、大気圧下(1,013hPa)での沸点が40〜250℃、さらには50〜150℃の範囲内にある有機溶媒が好適であり、重合体(II)を均一に溶解、分散させることのできる範囲で用いられることが好ましい。
これらのその他の有機溶媒の好ましい例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;乳酸エチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルなどのジエチレングリコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンなどのケトン類;γ−ブチロラクトンが挙げられる。
なお、前記有機溶媒は、重合体(I)を含む組成物にも好適に用いられる。
前記組成物中の重合体(I)の濃度は、重合体の分子量にもよるが、通常、1〜40質量%、好ましくは5〜25質量%である。組成物中の重合体(I)の濃度が前記範囲にあると、膜厚調整が容易で、ピンホールが生じにくく、表面平滑性に優れる成形品を形成することができる。
なお、前記重合体(I)を含む組成物の粘度は、重合体の分子量や濃度にもよるが、好ましくは50〜100,000mPa・s、より好ましくは500〜50,000mPa・s、さらに好ましくは1000〜20,000mPa・sである。組成物の粘度が前記範囲にあると、成形中の組成物の塗布対象物等への滞留性に優れ、厚みの調整が容易であるため、成形品の形成が容易である。
また、前記重合体(I)を含む組成物にはさらに老化防止剤を含有させることができ、老化防止剤を含有することで、得られる成形品の耐久性をより向上させることができる。
老化防止剤としては、好ましくはヒンダードフェノール系化合物を挙げることができる。
本発明で使用することのできるヒンダードフェノール系化合物としては、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−tert−ブチルフェニル]ブタン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、および、3,9−ビス[2−〔3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどを挙げることができる。
本発明において、老化防止剤は、前記重合体(I)100重量部に対して、0.01〜10重量部の量で使用することが好ましい。
前記成形品の形成方法は、特に制限されないが、前記重合体(I)を含む組成物をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムおよびSUS板などの支持体上に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより除去することで成形品を得る工程とを含むことが好ましい。得られた成形品は、支持体から剥離して用いられる。
前記組成物を支持体上に塗布して塗膜を形成する方法としては、ロールコート法、グラビアコート法、スピンコート法およびドクターブレードを用いる方法等が挙げられる。
また、塗膜から前記有機溶媒を蒸発させることにより有機溶媒を除去する工程は、具体的には塗膜を加熱することにより行うことができる。塗膜を加熱することにより、該塗膜中の有機溶媒を蒸発させて除去することができる。前記加熱の条件は、有機溶媒が蒸発すればよく、支持体や重合体に応じて適宜決めればよいが、例えば加熱温度が30℃〜300℃であることが好ましく、40℃〜250℃であることがより好ましく、50℃〜230℃であることがさらに好ましい。
また、加熱時間としては、10分〜5時間であることが好ましい。なお、加熱は二段階以上で行ってもよい。具体的には、30〜80℃の温度で10分〜2時間乾燥後、100℃〜250℃でさらに10分〜2時間加熱するなどである。また、必要に応じて、窒素雰囲気下もしくは減圧下にて乾燥を行ってもよい。
前記成形品が板状体である場合、その厚みは、所望の用途に応じて適宜選択されるが、好ましくは1〜250μm、より好ましくは2〜150μmであり、さらに好ましくは10〜125μmである。
前記成形品は、Rigaku社製8230型DSC測定装置(昇温速度20℃/分)によるガラス転移温度(Tg)が、230〜350℃であることが好ましく、240〜330℃であることがより好ましく、250〜300℃であることがさらに好ましい。
前記成形品が、このようなガラス転移温度を有すると、成形品上に金属皮膜を形成する際の加熱や必要に応じて行われるめっき後の熱処理を高温で行うことができるため、めっき界面が平滑であるにもかかわらず、金属皮膜との密着力の高い金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品を容易に製造することができる。
なお、「めっき界面」とは、図1に示すように、金属皮膜付き芳香族ポリエーテル重合体成形品の表面改質成形品と金属皮膜との界面のことをいい、例えば、「めっき界面が平滑」であるとは、図2に示すように、金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品をエッチング等することにより該成形品上に金属の配線パターンを形成した後の、露出している成形品表面と金属配線が形成されている成形品面とが平滑であることも意味する。
前記成形品は、引張強度が、50〜200MPaであることが好ましく、80〜150MPaであることがより好ましい。引張強度は、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて測定することができる。
前記成形品は、破断伸びが、5〜100%であることが好ましく、15〜100%であることがより好ましい。破断伸びは、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて測定することができる。
前記成形品は、引張弾性率が、2.5〜4.0GPaであることが好ましく、2.7〜3.7GPaであることがより好ましい。引張弾性率は、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて測定することができる。
前記成形品は、Seiko Instruments社製SSC−5200型TMA測定装置を用いて測定した線膨張係数が、好ましくは80ppm/K以下、より好ましくは75ppm/K以下である。
前記成形品は、湿度膨張係数が、15ppm/%RH以下であることが好ましく、12ppm/%RH以下であることがより好ましい。湿度膨張係数は、MA(SIIナノテクノロジー社製、TMA−SS6100)湿度制御オプションを用いて測定することができる。成形品の膨張係数が前記範囲にあると、めっき界面の平滑性が高く、電気的特性等に優れる金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品を製造することができる。
前記成形品は、比誘電率が2.0〜4.0であることが好ましく、2.3〜3.5であることがより好ましく、2.5〜3.2であることがさらに好ましい。比誘電率は、HP(株)製の4284A型LCRメーターを用いて測定することができる。比誘電率が前記範囲にあると、得られる金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品は、高周波・高密度化が求められる用途に好適に用いられる。
前記成形品は、厚みが30μmである場合に、JIS K7105透明度試験法における全光線透過率が、85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましい。全光線透過率は、ヘイズメーターSC−3H(スガ試験機社製)を用いて測定することができる。
前記成形品は、厚みが30μmである場合に、波長400nmにおける光線透過率が、好ましくは70%以上であり、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。波長400nmにおける光線透過率は、紫外・可視分光光度計V−570(JASCO社製)を用いて測定することができる。
前記成形品は、厚みが30μmである場合に、YI値(イエローインデックス)が、3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。YI値は、スガ試験機社製SM−T型色彩測定器を用いて測定することができる。
前記成形品は、厚みが30μmである場合に、熱風乾燥機にて大気中230℃で1時間の加熱を行った後のYI値が3.0以下であることが好ましく、2.5以下であることがより好ましく、2.0以下であることがさらに好ましい。
前記成形品の波長633nmの光に対する屈折率は、好ましくは1.60以上、さらに好ましくは1.65以上、特に好ましくは1.70以上である。屈折率は、プリズムカプラ モデル2010(Metricon社製)を用いて測定することができる。
前記成形品は、厚みが30μmである場合に、厚み方向の位相差(Rth)が、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。位相差は、大塚電子社製RETS分光器を用いて測定することができる。
≪表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品≫
前記表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品(以下「表面改質成形品」ともいう。)は、前記成形品を酸処理することで得られる。得られる表面改質成形品は、表面の平滑性は高いが、金属皮膜との密着力に優れる。
≪金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品≫
前記金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品(以下「金属皮膜付き成形品」ともいう。)は、前記表面改質成形品の表面に金属皮膜を形成することで製造され、下記工程aおよびbを含むことが好ましいが、要求品質に適合さえすれば、例えば高速無電解めっきで所望の厚さの金属皮膜を形成することもできる。
工程a:前記表面改質成形品に金属薄膜層を形成する工程
工程b:前記金属薄膜層が形成された成形品の金属薄膜層形成側を電解めっきする工程
前記工程aは、前記表面改質成形品に金属薄膜層を形成する工程であり、特に制限されないが、好ましくは無電解めっきまたは物理蒸着により、より好ましくは無電解めっきにより前記表面改質成形品に金属薄膜層を形成する。
前記無電解めっきとしては、特に制限されないが、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解クロムめっき、無電解銅−ニッケル合金めっき、無電解ニッケル−クロム合金めっき、無電解銅−クロム合金めっき、無電解スズめっき、無電解金めっき等が挙げられ、前記表面改質成形品と金属薄膜層との密着性の安定化を図るために、還元剤としてホルマリンまたは次亜リン酸を用いた無電解めっきが好ましい。
前記無電解めっきは、通常、前記表面改質成形品を所望のめっき液に浸漬することにより行われる。浸漬時間は好ましくは15秒〜30分、より好ましくは30秒〜5分であり、めっき温度は好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜60℃であり、必要に応じて加圧下で行ってもよい。
なお、無電解めっきを行う前には、必要に応じて、前記表面改質成形品を洗浄するために、所望のアルカリ溶液を用いたアルカリ洗浄工程(例えば、20〜70℃で30秒〜5分)、前記表面改質成形品表面を下記触媒等が吸着しやすい表面にするために、カチオン系化合物等のコンディショニング剤を用いたコンディショニング工程(例えば、20〜70℃で30秒〜5分、前記表面改質成形品と金属薄膜層との密着性を向上させるために、スズ・パラジウムイオンやスズ・パラジウムコロイドなどを用いた触媒化工程(例えば、20〜50℃で30秒〜5分)、前記表面改質成形品と金属薄膜層との密着性を向上させるために、塩酸や硫酸などの酸に浸漬する活性化工程(例えば、20〜50℃で15秒〜5分)等の工程を行うことが好ましく、これらの工程をこの順で行うことがより好ましい。
また、無電解めっきを行った後、電解めっきする前に、例えば、80〜200℃で15秒〜120分、所望のガス雰囲気下で熱処理してもよい。
前記物理蒸着としては、特に制限されないが、スパッタリング、イオンプレーティング、クラスターイオンビーム、真空蒸着などが挙げられ、これらの中でも、均一で密着性に優れる金属薄膜層を得る点から、形成したい金属薄膜層に応じたスパッタリングターゲットを用いるスパッタリングが好ましい。
物理蒸着の条件は、形成したい金属薄膜層に応じて適宜調整すればよい。
前記金属薄膜層を形成する金属の種類は特に限定されないが、前記表面改質成形品との密着性に優れ、後述する電解めっきで形成される電解めっき層と強固に接着し、必要に応じて行われるエッチング工程において、不要部を容易かつほぼ完全に除去できる金属種であることがより好ましい。この金属としては、銅、ニッケル、クロム、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛、スズ、インジウム等の金属、または、ニクロムなどこれら金属の一種以上を含む合金が挙げられ、中でも、銅、ニッケル、クロム、チタン、銅合金、ニッケル合金がさらに好ましく、ニッケルまたはニッケルと銅やクロム等とのニッケル合金が特に好ましく、ニッケルが最も好ましい。
前記金属薄膜層の厚みは、特に制限されないが、好ましくは0.01〜3μmであり、より好ましくは0.1〜2μmである。金属薄膜層の厚さが前記範囲にあると、膜厚が均一で平坦性に優れる膜が得られ、電解めっき時に安定した通電状態となる傾向にある。
前記工程bは、前記工程aで得られた金属薄膜層が形成された成形品の金属薄膜層形成側を電解めっきする工程であり、金属薄膜層上に電解めっき層が形成される。
前記電解めっき層を形成する金属の種類としては、形成したい電解めっき層、金属皮膜に応じて適宜選択すればよく、特に制限されないが、銅めっき、ニッケルめっき、スズめっき、亜鉛めっき、鉄めっき、銅−亜鉛合金めっき、ニッケル−コバルト合金めっき、ニッケル−亜鉛合金めっき等が挙げられる。なお、電解めっき層は、前記金属薄膜層と同一の材質からなる層であってもよい。
前記電解めっき層の厚みは、所望の用途に応じて適宜調整され、特に制限されないが、好ましくは5〜30μmであり、より好ましくは10〜20μmである。
前記電解めっきは、通常、前記金属薄膜層が形成された成形品の金属薄膜層形成側を所望のめっき液に浸漬することにより行われる。浸漬時間は好ましくは15秒〜120分、より好ましくは30秒〜60分であり、めっき温度は好ましくは20〜50℃、より好ましくは25〜40℃、さらに好ましくは30〜40℃であり、電流密度は好ましくは0.5〜10A/dm2、より好ましくは1〜4A/dm2であり、必要に応じて加圧下で行ってもよい。
また、電解めっきを行った後、例えば、80〜200℃で15秒〜120分、所望のガス雰囲気下で熱処理してもよい。
前記金属皮膜付き成形品としては、金属皮膜面を所望の用途に応じてエッチング等することにより、前記表面改質成形品上に金属皮膜からなる配線パターンを有するものであってもよい。
前記金属皮膜付き成形品は表面平滑性に優れ、配線パターンを形成した後の、露出している成形品表面と金属配線が形成されている成形品面とが平滑であるため、電気特性に優れる。
前記金属皮膜付き成形品は、表面改質成形品と金属皮膜との密着性に優れ、耐熱性なども良好である。従って、種々の装飾めっき、電子材料用途等での使用が可能である。例えば、芳香族ポリエーテル系重合体成形品を基材として用いた自動車用部品表面への金属光沢めっき、芳香族ポリエーテル系重合体成形品を絶縁層に用いた配線板等である。特に、前記金属皮膜付き成形品は表面平滑性に優れるため、プリント配線板材料、高周波・高密度化が求められる用途に用いられるプリント配線板として好適に用いられる。また、前記金属皮膜付き成形品はファインピッチ回路およびエッチングファクターに優れた回路の形成能に優れる。さらに、薄い芳香族ポリエーテル系重合体成形品の両面に金属皮膜を形成すれば、プリント配線板の内蔵キャパシタを形成するための材料とすることもでき、電気抵抗値の大きな金属成分で金属皮膜を形成すれば、抵抗回路の形成が可能な導電層となる。
これらの用途に前記金属皮膜付き成形品を用いると、回路設計時に要求される特性値のバラツキを小さくできる。
また、前記金属皮膜付き成形品の金属皮膜を溶解除去した後の表面改質成形品の表面粗さ(Rzjis(十点平均粗さ))は5μm以下であることが好ましく、前記金属皮膜付き成形品を高周波用途のプリント配線板に用いる場合には、より好ましい表面粗さ(Rzjis)は1μm以下である。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(1)構造分析
下記実施例で得られた重合体の構造分析は、IR(ATR法、FT−IR,6700(NICOLET社製))およびNMR(ADVANCE500型,BRUKAR社製))により行った。
(2)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)
下記実施例で得られた重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、TOSOH製HLC−8220型GPC装置(カラム:TSKgelα―M、展開溶剤:THF)を用いて測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
下記実施例で得られた重合体またはフィルム1のガラス転移温度は、Rigaku社製8230型DSC測定装置を用いて、昇温速度20℃/minとして測定した。
(4)機械的強度
下記実施例で得られたフィルム1の室温における引張強度、破断伸び、引張弾性率を、引張試験機5543(INSTRON社製)を用いて、JIS K7127に準じて測定した。
(5)光学特性
下記実施例で得られたフィルム1について、全光線透過率およびイエローインデックス(YI値)をJIS K7105透明度試験法に準じて測定した。具体的には、全光線透過率を、スガ試験機社製ヘイズメーターSC−3Hを用いて測定し、YI値を、スガ試験機社製SM−T型色彩測定器を用いて測定した(加熱前YI)。
また、下記実施例で得られたフィルム1を熱風乾燥機にて大気中230℃で1時間の加熱を行った後、YI値をスガ試験機社製SM−T型色彩測定器を用いて測定した(加熱後YI)。なお、測定は、JIS K7105条件に準じて行った。
また、下記実施例で得られたフィルム1の位相差(Rth)は、大塚電子社製RETS分光器を用いて測定した。なお、測定の際の基準波長は589nmであり、位相差の評価膜厚は30μmに規格化した値で示した。
[実施例1]
3Lの4つ口フラスコに(A)成分:2,6−ジフルオロベンゾニトリル(以下、「DFBN」ともいう。)35.12g(0.253mol)、(B)成分:9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下、「BPFL」ともいう。)87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」ともいう。)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、Dean−Stark管および冷却管を取り付けた。
次いで、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をDean−Stark管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。
室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(重合体)を得た(収量95.67g、収率95%)。
得られた重合体の物性を表1に示す。得られた重合体の構造分析および重量平均分子量の測定を行った。結果は、赤外吸収スペクトルの特性吸収が、3035(C−H伸縮)、2229cm-1(CN)、1574cm-1、1499cm-1(芳香環骨格吸収)、1240cm-1(−O−)であり、重量平均分子量が130,000であった。得られた重合体は前記構造単位(1)を有していた。
次いで、得られた重合体をDMAcに再溶解し、重合体濃度20質量%の樹脂組成物を得た。該組成物を、ポリエチレンテレフタラート(PET)からなる基板上にドクターブレードを用いて塗布し、70℃で30分乾燥させ、ついで100℃で30分乾燥してフィルムとした後、PET基板より剥離した。その後、フィルムを金枠に固定し、さらに230℃、2時間乾燥して、膜厚30μmのフィルム1を得た。フィルム1の物性を表1に示す。
<表面改質>
クロム酸水溶液を用いたクロム酸処理によりフィルム1の表面を改質した。具体的には、濃度300g/Lの無水クロム酸水溶液1Lと20vol%濃度の硫酸1Lとを混合したクロム酸水溶液を調製し、得られた水溶液を70℃に加熱した後、上記フィルム1を8分間浸漬し、表面処理を行った。
<金属皮膜の形成>
上記の表面改質したフィルムを用いて、下記の手順1〜7で金属皮膜付きフィルムを形成した。
手順1;アルカリ洗浄(50g/lのNaOH溶液を使用、60℃で2分)
手順2;コンディショニング(ローム&ハーツ社製 CC231を使用、45℃で1分)
手順3;触媒化(ローム&ハーツ社製 キャタポジット44を使用、45℃で2分)
手順4;活性化(10%硫酸を使用、45℃で30秒)
手順5;無電解めっき(5分)
手順6;電解銅めっき(25℃×60分)
手順7;熱処理(120℃×60分)
前記手順5における無電解めっきは、手順4後のフィルムを下記無電解銅ニッケル合金めっき浴または無電解ニッケルめっき浴に浸漬させることにより行い、0.1μm厚の無電解銅ニッケルめっき薄膜または無電解ニッケルめっき薄膜を形成した。
・無電解銅ニッケル合金めっき浴
CuSO4・5H2O(0.03mol/L)
NiSO4・6H2O(0.0025mol/L)
クエン酸ナトリウム(0.01g/L)
NaPH22/H2O(0.10g/L)
PEG−1000(1.0g/L)
ホウ酸(0.50mol/L)
pH;9.0
浴温度;60℃
攪拌;窒素吹き込み
なお、PEG−1000は、平均分子量1000のポリエチレングリコール系界面活性剤である。
・無電解ニッケルめっき浴
NiSO4・6H2O(0.1mol/L)
クエン酸(0.1mol/L)
グリシン(0.1mol/L)
NaPH22/H2O(0.2mol/L)
(NH42SO4(0.2mol/L)
pH;8.0
浴温度;40℃
攪拌;無し
前記手順6における電解銅めっきは、手順5で得られた無電解銅ニッケルめっき薄膜または無電解ニッケルめっき薄膜上に、下記硫酸酸性銅めっき液を用い、液温を25℃、電流密度を3.33A/dm2とし、10μm厚の電解銅めっき膜を形成した。
・硫酸酸性銅めっき液
CuSO4・5H2O(180g/L)
2SO4(45g/L)
HCl(0.05g/L)
UBAC−Ep(0.005g/L)
攪拌;空気吹き込み
なお、UBAC−Epは、奥野製薬社製の電解銅めっき用添加剤である。
<密着性評価>
上記で作製した金属皮膜付きフィルムの、金属皮膜の引き剥がし強さをSHIMADZU社製、EZ−Test/CEを用いて測定したところ、無電解銅ニッケル合金めっき浴を用いて得られる金属皮膜付きフィルムの引き剥がし強さは0.2kN/m、無電解ニッケルめっき浴を用いた試験片の引き剥がし強さは0.6kN/mであった。
無電解ニッケルめっき浴を用いた金属皮膜付きフィルムの金属皮膜面に、前記手順6と同様の条件で電解銅めっきすることにより膜厚15μmの電解銅めっき膜を形成し、サブトラクティブ法にて配線以外の金属皮膜をエッチングにて除去することにより、金属配線付きフィルムを形成した。配線部のフィルム1と電解銅めっき膜との界面の観察像を図3に示す。図3から明らかなように、芳香族ポリエーテル系樹脂表面の粗化は観察されず、平滑なめっき界面が得られていることが明確となった。
1:芳香族ポリエーテル系重合体成形品
2:金属薄膜層
3:電解めっき層
4:金属皮膜

Claims (11)

  1. 芳香族ポリエーテル系重合体成形品を酸処理する工程を含むことを特徴とする芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面改質方法。
  2. 前記酸処理工程で使用する酸がクロム酸である、請求項1に記載の表面改質方法。
  3. 前記芳香族ポリエーテル系重合体が、下記式(1)で表わされる構造単位および下記式(2)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(i)を有する、請求項1または請求項2に記載の表面改質方法。
    (式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、a〜dは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。)
    (式(2)中、R1〜R4およびa〜dは、それぞれ独立に前記式(1)中のR1〜R4およびa〜dと同義であり、Yは単結合、−SO2−または>C=Oを示し、R7およびR8は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜12の1価の有機基またはニトロ基を示し、gおよびhは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、mは0または1を示す。但し、mが0の時、R7はシアノ基ではない。)
  4. 前記芳香族ポリエーテル系重合体が、さらに、下記式(3)で表わされる構造単位および下記式(4)で表わされる構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一つの構造単位(ii)を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面改質方法。
    (式(3)中、R5およびR6は、それぞれ独立に炭素数1〜12の1価の有機基を示し、Zは、単結合、−O−、−S−、−SO2−、>C=O、−CONH−、−COO−または炭素数1〜12の2価の有機基を示し、eおよびfは、それぞれ独立に0〜4の整数を示し、nは0または1を示す。)
    (式(4)中、R7、R8、Y、m、gおよびhは、それぞれ独立に前記式(2)中のR7、R8、Y、m、gおよびhと同義であり、R5、R6、Z、n、eおよびfは、それぞれ独立に前記式(3)中のR5、R6、Z、n、eおよびfと同義である。)
  5. 前記芳香族ポリエーテル系重合体において、上記構造単位(i)と上記構造単位(ii)とのモル比が50:50〜100:0である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表面改質方法。
  6. 前記芳香族ポリエーテル系重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜500,000である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面改質方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面改質方法により得られた表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品。
  8. 下記工程aおよび工程bを含む、請求項7に記載の表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品の表面に金属皮膜を形成する方法。
    工程a:前記表面改質芳香族ポリエーテル系重合体成形品に金属薄膜層を形成する工程
    工程b:前記金属薄膜層が形成された成形品の金属薄膜層形成側を電解めっきする工程
  9. 無電解めっきにより金属薄膜層を形成する、請求項8に記載の金属皮膜を形成する方法。
  10. 物理蒸着により金属薄膜層を形成する、請求項8に記載の金属皮膜を形成する方法。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の金属皮膜を形成する方法により形成された金属皮膜付き芳香族ポリエーテル系重合体成形品。
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