JP5621305B2 - 共役ジエンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、共役ジエンの製造方法にかかり、特にn−ブテン等の炭素原子数4以上のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応により、ブタジエン等の共役ジエンを製造する方法に関する。
n−ブテン等のモノオレフィンを触媒の存在下に酸化脱水素反応させてブタジエン(以下、「BD」と称す場合がある。)等の共役ジエンを製造する方法としては、下記の反応式に従う接触酸化脱水素反応等があげられる。この反応においては、水が副生する。
+1/2O→C+H
この接触酸化脱水素反応によるブタジエンの工業的な製造法として、ナフサ分解で副生するC留分(炭素原子数4の炭化水素の混合物。以下、「BB」と称す場合がある。)からのブタジエンの抽出分離プロセスにおいて、抽出蒸留塔でブタジエンを分離して得られた、1−ブテンの他、2−ブテン等を含む混合物(以下、この混合物を「BBSS」と称す場合がある。)を、原料として用い、このBBSS中に含まれるブテンからブタジエンを製造する方法が提案されている。
留分からのブタジエンの抽出分離プロセスを示す代表的なプロセスとしては、図2に示すプロセスを例としてあげることができる。まず、C留分は、蒸発塔31を経て第1抽出蒸留塔32に導入され、抽出剤(ジメチルホルムアミド(DMF)等)でブタジエン等が抽出されると共に、他のC成分(以下「BBS」と称す場合がある。)が蒸発除去される。BBSは次いでi−ブテン分離塔33でi−ブテンが除去され、BBSSが系外へ排出される。
第1抽出蒸留塔32からのブタジエン抽出液は次いで予放散塔34、及び第1放散塔35で抽出剤のDMF等が分離され、その後、圧縮機36を経て第2抽出蒸留塔37に導入され、抽出剤(DMF等)で再抽出される。この第2抽出蒸留塔37で分離されたアセチレン類はブタジエン回収塔38、第2放散塔39を経て燃料として回収される。
第2抽出蒸留塔37からの粗BDは更に第1蒸留塔40、及び第2蒸留塔41で精製され高純度の1,3−ブタジエンが回収される。なお、図2において、200〜219は配管を示す。
前記n−ブテンの接触酸化脱水素反応によるブタジエンの代表的な製造方法としては、特許文献1に、下記に示すブタジエンの製造方法が提案されている。
(1)n−ブテンを気相接触酸化脱水素せしめてブタジエンを製造する反応工程、
(2)該反応工程から得られる生成ガスを冷却し生成ガス中に含まれる微量の高沸点副生物を除去する冷却工程、
(3)冷却した生成ガス中に含まれる少量のアルデヒド類を除去するアルデヒド除去工程、
(4)導出した生成ガスを圧縮する圧縮工程、
(5)圧縮された生成ガスからブタジエン及びその他のC炭化水素を含むC成分を回収するC回収工程。
また、n−ブテンの接触酸化脱水素反応で用いられる複合酸化物触媒の例としては、特許文献2に記載されている触媒をあげることができる。この特許文献2には、この複合酸化物触媒をブテンの酸化脱水素反応によるブタジエンの製造触媒として用いることが記載されている。
特開昭60−115532号公報 特開2003−220335号公報
ところで、ブタジエンは、液相で重合して重合物を生成しやすいことが知られている。また、生じたブタジエンの重合物は、ポップコーンポリマーと呼ばれ、機器・配管の中で重合が進行することにより、機器・配管が破損したり、あるいは機器から重合物を大気中に取り出したときに発火したりした事例が多数報告されている。このため、ブテンを酸化脱水素してブタジエンを生成し、生成ガスから溶媒を用いてブタジエンを回収する方法においては、ブタジエンの重合を防止することが重要である。
しかし、特許文献1,2には、ブテンの酸化脱水素反応によりブタジエンを製造した後、生成ガスから溶媒を使用してブタジエンを含む炭化水素を回収する際のブタジエンの重合については記載されていない。
ところで、前記のブタジエンの重合はブタジエンの過酸化物が前駆体となることが知られており、酸素の存在下でブタジエンを加熱したときに生成しやすい。このため、ブタジエンを溶解する溶媒から酸素を除去することにより、溶媒へ溶解させたときのブタジエンの酸化を防止することが考えられる。
この溶媒から酸素を除去する簡便な方法として、溶媒を加熱する方法があげられるが、上述のように、溶媒の加熱によりブタジエンの過酸化物が生成するおそれがあり、また、溶媒は、しばしば循環使用されることがあるので、加熱によって発生した過酸化物が、溶媒に残存してしまうと、過酸化物が蓄積し、ブタジエンの爆発的な重合を引き起こす可能性がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、n−ブテン等のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応によりブタジエン等の共役ジエンを製造する方法において、共役ジエンの重合を防止し、より安全に運転ができ、更に高い収率で安定的に共役ジエンの製造を行うことができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと、分子状酸素含有ガスとを混合して得られる混合ガスを反応器に供給し、触媒の存在下、酸化脱水素反応により生成された共役ジエンを含む生成ガスを得、該生成ガスを吸収溶媒と接触させて溶媒吸収液を得た後、該溶媒吸収液を脱気し、次いで、蒸留分離により、前記溶媒吸収液から前記共役ジエンを分離回収する共役ジエンの製造方法において、前記吸収溶媒中に1〜3000wtppmの重合禁止剤が含有され、かつ、前記溶媒吸収液を加熱することにより、この溶媒吸収液中の過酸化物濃度を100wtppm以下とすることにより、前記の課題を解決することができたのである。
さらに、溶媒吸収液を脱気する際の温度を50℃以上120℃以下としてもよい。さらにまた、溶媒吸収液を加熱する際の温度を、100℃以上200℃以下にしてもよい。
所定量の重合禁止剤を含有する吸収溶媒を用いることにより、この吸収溶媒中の過酸化物濃度の生成を抑制することが可能となり、共役ジエン重合物の生成を抑制することが可能となる。
そして、それまでに生じていた共役ジエンの過酸化物を分解することができ、これを前記した重合禁止剤を加えた吸収溶媒に溶解させるので、共役ジエンの過酸化物を生成するのを抑制しながら分解することができ、共役ジエン重合物の生成を抑制することが可能となる。
本発明の共役ジエンの製造方法の実施の形態を示すプロセス図である。 留分からのブタジエンの抽出分離プロセスを示すプロセス図である。
以下に本発明の共役ジエンの製造方法の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されない。
この発明にかかる共役ジエンの製造方法は、炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと、分子状酸素含有ガスとを混合して得られる混合ガスを反応器に供給し、触媒の存在下、酸化脱水素反応により生成された共役ジエンを含む生成ガスを得、該生成ガスを吸収溶媒と接触させて溶媒吸収液を得た後、該溶媒吸収液を脱気し、次いで、蒸留分離により、前記溶媒吸収液から前記共役ジエンを分離回収する方法である。
前記共役ジエンの製造方法のプロセスを、図1を用いて説明する。このプロセスは、原料ガスの酸化脱水素工程(工程(A))、クエンチ工程(工程(B))、脱水工程(工程(C))、溶媒吸収工程(工程(D))、脱気工程(工程(E))、及び溶媒分離工程(工程(F))の各工程からなる。
<工程(A)(酸化脱水素工程)>
まず、酸化脱水素工程である工程(A)について説明する。
原料ガスを配管101より導入すると共に、配管102、103、104より、分子状酸素含有ガスとしての空気、並びに必要に応じて、不活性ガス(イナートガス)及び水(水蒸気)を導入し、これらの混合ガスを予熱器(図示せず)で150〜250℃程度に加熱した後、配管100より触媒が充填された多管式の反応器(酸化脱水素反応器)1に供給する。原料ガス、窒素ガス、空気、及び水(水蒸気)を反応器1に、直接別々の配管で供給してもよいが、均一に混合した状態で反応器1に供給するのが好ましい。反応器1内で不均一な混合ガスが部分的に爆鳴気を形成したり、反応器1で管毎に異なる組成の原料が供給されるという事態を防ぐことが出来るというメリットがあるからである。
[分子状酸素含有ガス]
前記の分子状酸素含有ガスは、通常、分子状酸素が10体積%以上、好ましくは、15体積%以上、更に好ましくは20体積%以上含まれるガスのことであり、具体的に好ましくは空気である。なお、分子状酸素含有ガスを工業的に用意するために必要なコストという観点から、分子状酸素が50体積%以下、好ましくは、30体積%以下、更に好ましくは21体積%以下であることが好ましい。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、分子状酸素含有ガスには、任意の不純物を含んでいても良い。含んでいても良い不純物として、具体的には、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、CO、CO、水等が挙げられる。この不純物の量は、窒素の場合、通常90体積%以下、好ましくは85体積%以下、より好ましくは80体積%以下である。窒素以外の成分の場合、通常10体積%以下、好ましくは1体積%以下である。この量が多すぎると、反応に必要な酸素を供給するのが難しくなる傾向にある。
[不活性ガス、水(水蒸気)]
前記不活性ガス(イナートガス)は、前記の混合ガスが反応器1中において、爆鳴気を形成しないようにブテン等の可燃性ガスと酸素の濃度を調整するという理由から、水(水蒸気)は窒素ガスと同様に可燃性ガスと酸素の濃度を調整するという理由、及び触媒のコーキングを抑制するという理由から、ブテン、及び分子状酸素含有ガスと共にこれらを原料ガスとして反応器1に供給するのが好ましい。前記不活性ガスとしては窒素、アルゴン、二酸化炭素などが挙げられ、これらの中でも、経済的観点から窒素が好ましい。
[原料ガス]
前記原料ガスは、共役ジエンの原料を、気化器(図1で図示せず)でガス化したガス状物をいう。例えば、1,3−ブタジエン(BD)を得ようとする場合には、高純度の1−ブテン又は2−ブテンを原料とすることもできるが、前述のナフサ分解で副生するC留分(BB)からブタジエン及びiーブテンを分離して得られるn−ブテン(1−ブテン及び2−ブテン)を主成分とし、他にイソブテン等を含む炭素原子数4のモノオレフィンからなる留分(BBSS)や、n−ブタンの脱水素又は酸化脱水素反応により生成するブテン留分を使用することもできる。また、エチレンの2量化により得られる高純度の1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン又はこれらの混合物を含有するガスを原料ガスとして使用しても差し支えない。尚、このエチレンはエタン脱水素、エタノール脱水、又はナフサ分解などの方法で得られるエチレンを使用することができる。更に、石油精製プラントなどで原油を蒸留した際に得られる重油留分を、流動層状態で粉末状の固体触媒を使って分解し、低沸点の炭化水素に変換する流動接触分解 (Fluid Catalytic Cracking)から得られる炭素原子数4の炭化水素類を多く含むガス(以下、FCC−C4と略記することがある)をそのまま原料ガスとする、又は、FCC−C4からリンや砒素などの不純物を除去したものを原料ガスとして使用しても差し支えない。
さらに、1,3−ブタジエン(BD)以外の共役ジエンを得ようとする場合、ペンテン、メチルブテン、ジメチルブテン等の炭素原子数5以上、好ましくは炭素原子数5〜6のモノオレフィンを主成分として用いることができる。
従って、炭素原子数4以上、好ましくは炭素原子数4〜6のモノオレフィンを原料ガスの主成分として用いることにより、炭素原子数4以上、好ましくは炭素原子数4〜6の共役ジエンを得ることができる。これらのモノオレフィンは必ずしも単離した形で使用する必要はなく、必要に応じて任意の混合物の形で用いることができる。
なお、本明細書において、主成分とは、原料ガスに対して、通常40体積%以上、好ましくは60体積%以上、より好ましくは75体積%以上、特に好ましくは99体積%以上含有する成分をいう。また、n−ブテン等のモノオレフィンの組成における1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンの比率は限定されるものではなく、任意の値を取ることができる。
また、原料ガス中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意の不純物を含んでいても良い。含んでいても良い不純物としては、具体的には、イソブテン等の分岐型モノオレフィン;プロパン、n−ブタン、i−ブタン、ペンタンなどの飽和炭化水素;プロピレン、ペンテンなどのオレフィン;1,2−ブタジエンなどのジエン;メチルアセチレン、ビニルアセチレン、エチルアセチレン等のアセチレン類等が挙げられる。また、反応の目的物である1,3−ブタジエンが含まれていても良い。これらの不純物の量は、通常、原料ガス全量に対し、40体積%以下、好ましくは20体積%以下、より好ましくは10体積%以下、特に好ましくは1体積%以下である。この量が多すぎると、主原料である1−ブテンや2−ブテンの濃度が下がって反応が遅くなったり、副生物が増える傾向にある。
[混合ガス組成]
前記の混合ガスの組成としては、原料ガスに対し、Oが40〜120vol/vol%、Nが500〜1000vol/vol%、HOが90〜900vol/vol%が好ましく、Oが100〜115vol/vol%、Nが600〜800vol/vol%、HOが100〜200vol/vol%がより好ましい。原料ガスに対するOの比率がこの範囲を逸脱すると、反応温度を調整しても、出口O濃度を調整しづらくなる傾向がある。また、NやHOの比率が大きくなるほど、原料ガスが薄くなるので効率が悪くなる傾向があり、一方、小さくなるほど、反応ガスが爆発組成に入ったり、除熱が困難になったりする傾向がある。
[混合ガスの爆発範囲]
前記混合ガスは、酸素と可燃性ガスの混合物であることから、爆発範囲に入らないように各々のガス(可燃性ガス、空気、及び必要に応じて不活性ガスと水(水蒸気))を供給する配管に設置された流量計にて、流量を監視しながら、反応器1入り口の組成制御を行い、上記した混合ガス組成に調整される。
なお、ここでいう爆発範囲とは、酸素と可燃性ガスの混合ガスが何らかの着火源の存在下で着火するような組成を持つ範囲のことである。可燃性ガスの濃度がある値より低いと着火源が存在しても着火しないことが知られており、この濃度を爆発下限界という。また可燃性ガスの濃度がある値より高いとやはり着火源が存在しても着火しないことが知られており、この濃度を爆発上限界という。各々の値は酸素濃度に依存しており、一般に酸素濃度が低いほど両者の値が近づき、酸素濃度がある値になったとき両者が一致する。このときの酸素濃度を限界酸素濃度と言い、酸素濃度がこれより低ければ可燃性ガスの濃度によらず混合ガスは着火しない。
本発明の反応を開始するときは、最初に反応器に供給する分子状酸素含有ガスを含有する空気、不活性ガス、水蒸気の量を調整して反応器入り口の酸素濃度が限界酸素濃度以下になるようにしてから可燃性ガスの供給を開始し、次いで可燃性ガス濃度が爆発上限界よりも濃くなるように可燃性ガスとエアーなどの分子状酸素含有ガスの供給量を増やしていくのが良い。
可燃性ガスと分子状酸素含有ガスの供給量を増やしていくときに、水蒸気や窒素などのイナートガスの供給量を減らすことにより、混合ガスの供給量を一定となるようにしてもよい。このようにすると、配管及び反応器におけるガス滞留時間を一定に保ち、圧力の変動を抑えることができる。
なお、爆発範囲外であっても、ある温度、圧力条件下で、ある時間保持されると発火する場合がある。このときの保持時間を発火遅れ時間という。反応器周りを設計するときは原料配管や生成ガス配管の滞留時間が発火遅れ時間以下になるように設計する必要がある。発火遅れ時間は温度や圧力、組成に依存するので一概には言えないが、混合原料配管の滞留時間は1000秒以下、生成ガス配管の滞留時間は10秒以下もしくは生成ガスを10秒以内に350℃以下に冷却することが望ましい。
[酸化脱水素反応の条件]
前記反応器1には、後述の酸化脱水素反応触媒が充填されており、この触媒上で、前記原料ガスが酸素と反応し、共役ジエンと水が生成する。この酸化脱水素反応は発熱反応であり、反応により温度が上昇するが、反応温度は280〜400℃の範囲に調整することが好ましい。そして、反応器1は、例えば熱媒体(ジベンジルトルエンや亜硝酸塩など)による除熱を行うことにより、適宜冷却して、触媒層の温度を一定に制御することが好ましい。
反応器1の圧力は、特に限定されないが、通常、0MPaG以上、好ましくは、0.002MPaG以上、更に好ましくは、0.02MPaG以上、特に好ましくは0.05MPaG以上である。この値が大きくなるほど、反応器に反応ガスを多量に供給できるというメリットがある。一方、上限は、0.5MPaG以下であり、好ましくは0.3MPaG以下、更に好ましくは、0.1MPaG以下である。この値が小さくなるほど、爆発範囲が狭くなる傾向にある。
反応器1の滞留時間は、特に限定されないが、下限は、通常0.36秒以上、好ましくは、0.72秒以上、更に好ましくは1.2秒以上である。この値が大きくなるほど、転化率が高くなるというメリットがある。一方、上限は、7.2秒以下であり、好ましくは3.6秒以下、更に好ましくは、1.8秒以下である。この値が小さくなるほど、反応器が小さくなる傾向にある。
[生成ガス中の成分]
前記の反応により生じた生成ガス中に含まれる原料ガス中のモノオレフィンに対応する共役ジエンの濃度は、原料ガス中に含まれるモノオレフィンの濃度に依存するが、通常1〜15vol%、好ましくは、5〜13vol%、更に好ましくは9〜11vol%である。共役ジエンの濃度が大きいほど、回収コストが低いというメリットがあり、小さいほど次工程で圧縮したときに重合などの副反応が起き難いというメリットがある。また、生成ガス中には未反応のモノオレフィンも含まれていてもよく、その濃度は、通常0〜7vol%、好ましくは、0〜4vol%、更に好ましくは0〜2vol%である。
[生成ガスの爆発範囲]
ところで、反応器1の入り口組成が爆発上限界以上である場合、反応器1出口の組成も通常は爆発上限界以上であり、爆発の恐れはない。しかし本発明では、生成ガス(工程(C)において、圧縮ガス、脱水ガスとなる。)を吸収溶媒と接触させてオレフィンや共役ジエンなどの炭化水素を吸収溶媒に吸収させる溶媒吸収工程(工程(D))を有するので、この工程でガス中の炭化水素の濃度が低下し、爆発範囲に入る可能性がある。これを回避するには、生成ガスを窒素などのイナートガスで希釈してから吸収溶媒と接触させることが考えられるが、反応器1出口またはクエンチ塔2出口の組成が限界酸素濃度以下になるように、反応器1入口条件や反応条件を調整した方が簡便である。例えば、クエンチ塔2の出口に酸素濃度計を設置し、これが8%以下になるように反応器1に供給するエアー流量を調整したり、反応温度を調整したりする方法があげられる。
なお、反応器1の入口と出口との流量差としては、原料ガスの反応器入口での流量、及び生成ガスの反応器出口での流量に依存するが、通常入口流量に対する出口の流量の比率が100〜110体積%、好ましくは、102〜107体積%、更に好ましくは103〜105体積%である。出口流量が増えるのは原料ガス中のオレフィンが酸化脱水素されて共役ジエンと水が生成する反応や副反応でCOやCOが生成する反応において化学量論的に分子数が増えるためである。出口流量の増加が少ないと反応が進行していないので好ましくなく、出口流量が増えすぎると副反応でCOやCOが増加しているため好ましくない。
[複合酸化物触媒]
次に、本発明で好適に用いられる酸化脱水素反応触媒について説明する。本発明で用いる酸化脱水素反応複合酸化物触媒は、モリブデン、ビスマス、及びコバルトを少なくとも含有する複合酸化物触媒であることが好ましい。そして、この中でも、下記一般式(1)で表される複合酸化物触媒であることがより好ましい。
MoBiCoNiFeSi (1)
なお、式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。
さらに、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=5〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。
また、この複合酸化物触媒は、この複合酸化物触媒を構成する各成分元素の供給源化合物を水系内で一体化して加熱する工程を経て製造する方法がよい。例えば、前記各成分元素の供給源化合物の全部を水系内で一体化して加熱してもよい。
その中でも、モリブデン化合物、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種とシリカとを含む原料化合物の水溶液若しくは水分散液、又はこれを乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体を製造する前工程と、この触媒前駆体、モリブデン化合物及びビスマス化合物を水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程とを有する方法で製造するのが好ましい。この方法を用いると、得られた複合酸化物触媒は、高い触媒活性を発揮するので、高収率でブタジエン等の共役ジエンを製造することができ、アセチレン類含有量の少ない反応生成ガスを得ることができる。なお、水性溶媒とは、水、又はメタノール、エタノール等の水と相溶性を有する有機溶媒、又はこれらの混合物をいう。
次に、本発明に好適な複合酸化物触媒の製造方法について説明する。
まず、この複合酸化物触媒の製造方法においては、前記前工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)の内の一部の原子比(a)相当のモリブデンであり、前記後工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)からaを差し引いた残りの原子比(a)相当のモリブデンであることが好ましい。そして、前記aが1<a/(c+d+e)<3を満足する値であることが好ましく、さらに、前記aが0<a/b<8を満足する値であることが好ましい。
前記成分元素の供給源化合物としては、成分元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、水酸化物、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、水素酸、アセチルアセトナート、アルコキシド等が挙げられ、その具体例としては、下記のようなものが挙げられる。
Moの供給源化合物としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸等が挙げられる。
Feの供給源化合物としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、酢酸第二鉄等が挙げられる。
Coの供給源化合物としては、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等が挙げられる。
Niの供給源化合物としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。
Siの供給源化合物としては、シリカ、粒状シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられる。
Biの供給源化合物としては、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が挙げられる。また、X成分(Mg,Ca,Zn,Ce,Smの1種又は2種以上)やY成分(Na,K,Rb,Cs,Tlの1種又は2種以上)を固溶させた、BiとX成分やY成分との複合炭酸塩化合物として供給することもできる。
例えば、Y成分としてNaを用いた場合、BiとNaとの複合炭酸塩化合物は、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの水溶液等に、硝酸ビスマス等の水溶性ビスマス化合物の水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
また、BiとX成分との複合炭酸塩化合物は、炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの水溶液等に、硝酸ビスマス及びX成分の硝酸塩等の水溶性化合物からなる水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
前記炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの代わりに、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムを用いると、Bi、Na及びX成分との複合炭酸塩化合物を製造することができる。
その他の成分元素の供給源化合物としては、下記のものが挙げられる。
Kの供給源化合物としては、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム等を挙げることができる。
Rbの供給源化合物としては、硝酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、塩化ルビジウム、炭酸ルビジウム、酢酸ルビジウム等を挙げることができる。
Csの供給源化合物としては、硝酸セシウム、硫酸セシウム、塩化セシウム、炭酸セシウム、酢酸セシウム等を挙げることができる。
Tlの供給源化合物としては、硝酸第一タリウム、塩化第一タリウム、炭酸タリウム、酢酸第一タリウム等を挙げることができる。
Bの供給源化合物としては、ホウ砂、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸等を挙げることができる。
Pの供給源化合物としては、リンモリブデン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、五酸化リン等を挙げることができる。
Asの供給源化合物としては、ジアルセノ十八モリブデン酸アンモニウム、ジアルセノ十八タングステン酸アンモニウム等を挙げることができる。
Wの供給源化合物としては、パラタングステン酸アンモニウム、三酸化タングステン、タングステン酸、リンタングステン酸等を挙げることができる。
Mgの供給源化合物としては、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
Caの供給源化合物としては、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。
Znの供給源化合物としては、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛等が挙げられる。
Ceの供給源化合物としては、硝酸セリウム、硫酸セリウム、塩化セリウム、炭酸セリウム、酢酸セリウム等が挙げられる。
Smの供給源化合物としては、硝酸サマリウム、硫酸サマリウム、塩化サマリウム、炭酸サマリウム、酢酸サマリウム等が挙げられる。
前工程において用いる原料化合物の水溶液又は水分散液は、触媒成分として少なくともモリブデン(全原子比aの内のa相当)、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくとも一方、及びシリカを含む水溶液、水スラリー又はケーキである。
この原料化合物の水溶液又は水分散液の調製は、供給源化合物の水性系での一体化により行われる。ここで各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化とは、各成分元素の供給源化合物の水溶液あるいは水分散液を一括に、あるいは段階的に混合及び/又は熟成処理を行うことをいう。即ち、(イ)前記の各供給源化合物を一括して混合する方法、(ロ)前記の各供給源化合物を一括して混合し、そして熟成処理する方法、(ハ)前記の各供給源化合物を段階的に混合する方法、(ニ)前記の各供給源化合物を段階的に混合・熟成処理を繰り返す方法、及び(イ)〜(ニ)を組み合わせる方法のいずれもが、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化という概念に含まれる。ここで、熟成とは、工業原料もしくは半製品を、一定時間、一定温度等の特定条件のもとに処理して、必要とする物理性、化学性の取得、上昇あるいは所定反応の進行等を図る操作をいい、一定時間とは、通常10分〜24時間の範囲であり、一定温度とは通常室温〜水溶液又は水分散液の沸点範囲をいう。
前記の一体化の具体的な方法としては、例えば、触媒成分から選ばれた酸性塩を混合して得られた溶液と、触媒成分から選ばれた塩基性塩を混合して得られた溶液とを混合する方法等が挙げられ、具体例としてモリブデン化合物の水溶液に、鉄化合物とニッケル化合物及び/又はコバルト化合物との混合物を加温下添加し、シリカを混合する方法等が挙げられる。
このようにして得られたシリカを含む原料化合物の水溶液又は水分散液を60〜90℃に加温し、熟成する。
この熟成とは、前記触媒前駆体用スラリーを所定温度で所定時間、撹拌することをいう。この熟成により、スラリーの粘度が上昇し、スラリー中の固体成分の沈降を緩和し、とりわけ次の乾燥工程での成分の不均一化を抑制するのに有効となり、得られる最終製品である複合酸化物触媒の原料転化率や選択率等の触媒活性がより良好となる。
前記熟成における温度は、60〜90℃が好ましく、70〜85℃がより好ましい。熟成温度が60℃未満では、熟成の効果が十分ではなく、良好な活性を得られない場合がある。一方、90℃を超えると、熟成時間中の水の蒸発が多く、工業的な実施には不利である。更に100℃を超えると、溶解槽に耐圧容器が必要となり、また、ハンドリングも複雑になり、経済性及び操作性の面で著しく不利となる。
前記熟成にかける時間は、2〜12時間がよく、3〜8時間が好ましい。熟成時間が2時間未満では、触媒の活性及び選択性が十分に発現しない場合がある。一方、12時間を超えても熟成効果が増大することはなく、工業的な実施には不利である。
前記撹拌方法としては、任意の方法を採用することができ、例えば、撹拌翼を有する撹拌機による方法や、ポンプによる外部循環による方法等が挙げられる。
熟成されたスラリーは、そのままで、又は乾燥した後、加熱処理を行う。乾燥する場合の乾燥方法及び得られる乾燥物の状態については特に限定はなく、例えば、通常のスプレードライヤー、スラリードライヤー、ドラムドライヤー等を用いて粉体状の乾燥物を得てもよいし、また、通常の箱型乾燥器、トンネル型焼成炉を用いてブロック状又はフレーク状の乾燥物を得てもよい。
前記の原料塩水溶液又はこれを乾燥して得た顆粒あるいはケーキ状のものは、空気中で200〜400℃、好ましくは250〜350℃の温度域で短時間の熱処理を行う。その際の炉の形式及びその方法については特に限定はなく、例えば、通常の箱型加熱炉、トンネル型加熱炉等を用いて乾燥物を固定した状態で加熱してもよいし、また、ロータリーキルン等を用いて乾燥物を流動させながら加熱してもよい。
加熱処理後に得られた触媒前駆体の灼熱減量は、0.5〜5重量%であることが好ましく、1〜3重量%であるのがより好ましい。灼熱減量をこの範囲とすることで、原料転化率や選択率が高い触媒を得ることができる。なお、灼熱減量は、次式により与えられる値である。
灼熱減量(%)=[(W−W)/W]×100
・W:触媒前駆体を150℃で3時間乾燥して付着水分を除いたものの重量(g)
・W:付着水分を除いた前記触媒前駆体を更に500℃で2時間熱処理した後の重量(g)
前記の後工程では、前記の前工程において得られる触媒前駆体とモリブデン化合物(全原子比aからa相当を差し引いた残りのa相当)とビスマス化合物の一体化を、水性溶媒下で行う。この際、アンモニア水を添加するのが好ましい。X、Y、Z成分の添加もこの後工程で行うのが好ましい。また、この発明のビスマス供給源化合物は、水に難溶性ないし不溶性のビスマスである。この化合物は、粉末の形態で使用することが好ましい。触媒製造原料としてのこれら化合物は粉末より大きな粒子のものであってもよいが、その熱拡散を行わせるべき加熱工程を考えれば小さい粒子である方が好ましい。従って、原料としてのこれらの化合物がこのように粒子の小さいものでなかった場合は、加熱工程前に粉砕を行うべきである。
次に、得られたスラリーを充分に撹拌した後、乾燥する。このようにして得られた乾燥品を、押出し成型、打錠成型、あるいは担持成型等の方法により任意の形状に賦形する。次に、このものを、好ましくは450〜650℃の温度条件にて1〜16時間程度の最終熱処理に付す。以上のようにして、高活性で、かつ目的とする酸化生成物を高い収率で与える複合酸化物触媒が得られる。
このようにして得られる複合酸化物触媒は、通常、反応活性を調整するためのイナートボールと共に反応塔に充填されて固定床が形成される。
イナートボールとしては、アルミナ、ジルコニア等のセラミックの球状体が用いられる。イナートボールは通常、複合酸化物触媒と同等の大きさであり、その粒径は2〜10mm程度である。
<工程(B)(クエンチ工程)>
次に、クエンチ工程である工程(B)について説明する。
図1において、反応器1からの反応生成ガスは、配管105よりクエンチ塔2に送給され、20〜99℃程度に冷却される。このクエンチ塔2には、配管106より冷却水が導入され、生成ガスと向流接触する。そして、この向流接触で生成ガスを冷却した水は、配管107より排出される。
なお、この冷却排水は、熱交換器(図示せず)で冷却されて再度クエンチ塔2において循環使用される。冷却水の温度は、反応生成ガスの冷却温度に依存するが、通常は、10〜90℃、好ましくは、20〜70℃、更に好ましくは30〜60℃である。
<工程(C)(脱水工程)>
次いで、脱水工程である工程(C)について説明する。
クエンチ塔2で冷却された生成ガスは、塔頂から流出され、次いで配管108より冷却器3を経て室温(10〜30℃程度)に冷却される。冷却により発生した凝縮水は配管109よりドレンポット4に分離される。水分離後のガスは更に配管110を経て圧縮機5で0.1〜0.5MPa程度に昇圧され、昇圧ガスは配管111を経て冷却器6で再度10〜30℃程度に冷却される。冷却により発生した凝縮水は配管112よりドレンポット7に分離される。水分離後の圧縮ガスは、通常、水分含有量0.5〜2vol%程度、露点として0〜20℃程度の湿潤ガスであり、必要に応じて、このガスは、脱水塔8A,8Bに導入されて脱水処理される。
図1において、脱水塔8A,8Bには、モレキュラーシーブ等の乾燥剤(水分吸着剤)が充填されており、これにより圧縮ガスの脱水と乾燥剤の加熱乾燥による再生とが交互に行われる。
即ち、圧縮ガスは、まず、配管113,113aを経て脱水塔8Aに導入されて脱水処理され、配管114a,114を経て溶媒吸収塔10に送給される。この間に、脱水塔8Bには、配管122、加熱器9、配管123,123a,123bを経て150〜250℃程度に加熱された窒素ガスが導入され、乾燥剤の加熱による水分の脱着が行われる。脱着した水分を含む窒素ガスは、配管124a,124b、124を経て冷却器13で室温まで冷却され、凝縮水が配管125よりドレンポット14に分離された後、配管126より排出される。
脱水塔8Aの乾燥剤が飽和に達したら、ガス流路を切り換え、脱水塔8Bで圧縮ガスの脱水処理を行い、脱水塔8A内の乾燥剤の再生を行う。
脱水工程における脱水塔内の乾燥剤の再生時間は、特に限定されないが、通常6〜48時間、好ましくは、12〜36時間、更に好ましくは18〜30時間である。
また、脱水塔8A,8Bでは、水以外にも圧縮ガスに含まれる高沸成分が吸着除去される。
なお、脱水塔8A,8Bによる脱水処理は必ずしも必要とされないが、このような脱水処理を行うことにより、後の溶媒吸収工程における水分による機器腐食や溶媒の分解を防止することができ、好ましい。脱水塔8A,8Bを設けない場合は、吸収溶媒中に水が蓄積する可能性があるので、吸収溶媒と水を蒸留やデカンテーションなどの公知の方法で分離することが望ましい。分離方法は溶媒の性質に応じて適切に選択すればよい。
通常、モレキュラーシーブ等の乾燥剤を用いる脱水処理により、ガス中の水分含有量を、通常は10〜10000volppm、好ましくは、20〜1000volppmであり、露点としては、−60〜80℃、好ましくは、−50〜20℃である。
<工程(D)(溶媒吸収工程)>
次に、溶媒吸収工程である工程(D)について説明する。
脱水塔8A,8Bからの脱水ガスは、必要に応じて冷却器(図示せず)で10〜30℃程度に冷却された後、溶媒吸収塔10に送給され、配管115からの溶媒(吸収溶媒)と向流接触される。これにより、脱水ガス中の共役ジエンや未反応の原料ガスが吸収溶媒に吸収される。吸収溶媒に吸収されなかった成分(offガス)は、溶媒吸収塔10の塔頂より配管117を経て排出され燃焼廃棄される。このとき。吸収溶媒として、トルエンのような比較的沸点の低い溶媒を用いると経済的に無視できない量の溶媒が配管117を経て揮散することがある。このような場合はより沸点の高い溶媒、例えばデカンを用いて沸点の低い溶媒を回収する工程を配管117の先に設けてもよい。
溶媒吸収塔10内の圧力は、特に限定されないが、通常、0.1〜2.0MPaG,好ましくは、0.2〜1.5MPaG、更に好ましくは0.25〜1.0MPaGである。この圧力が大きいほど、吸収効率が良くなるというメリットがある。
溶媒吸収塔10内の温度は、特に限定されないが、通常0〜50℃、好ましくは、10〜40℃、更に好ましくは20〜30℃である。この温度が大きいほど、酸素や窒素などが溶媒に吸収されにくいというメリットがあり、小さいほど共役ジエンなどの炭化水素の吸収効率が良くなるというメリットがある。
この溶媒吸収塔10で、共役ジエンや未反応の原料ガスを吸収溶媒に吸収した溶媒吸収液は、溶媒吸収塔10の塔底より抜き出され、配管116より脱気塔11に送給される。
この溶媒吸収塔10で、共役ジエンの回収に用いる吸収溶媒としては、C〜C10の飽和炭化水素やC〜Cの芳香族炭化水素、アミド化合物などが用いられる。例えばジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を用いることができる。吸収溶媒の使用量には特に制限はないが、多過ぎると不経済であり、少な過ぎると共役ジエンの回収効率が低下する。従って、得られる溶媒吸収液中の共役ジエン濃度が1〜20重量%、好ましくは3〜10重量%程度となるような量で溶媒を供給することが好ましい。
共役ジエンがブタジエンの場合、吸収溶媒の種類にもよるが、ブタン類とブタジエンでは吸収溶媒に対する溶解度が異なるので、吸収溶媒の種類やC4ガスと吸収溶媒の比率、吸収溶媒の温度、圧力を選ぶことにより、ブタジエンを吸収しながらブタン類の少なくとも一部を溶媒吸収塔の塔頂からパージすることが可能となる。本発明の原料としてBBSSを用い、本発明で得られた粗ブタジエンをブタジエン抽出プロセスに戻す場合は、原料BBSS中にブタンが蓄積していくのでブタンを抜くプロセスを設ける必要がある。溶媒吸収塔でブタンを分離すれば、新たに設備を設ける必要がないので経済的に有利となる。
この吸収溶媒は、重合禁止剤を含有する。この重合禁止剤の例としては、ハイドロキノン、ジ−n−ブチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸水素ナトリウム、p−t−ブチルカテコール等が挙げられ、2種以上を組み合わせても良い。
この重合禁止剤の量は、吸収溶媒中の濃度が1wtppm以上がよく、10wtppm以上がよい。一方、上限は、3000wtppmがよく、1000wtppmが好ましい。1wtppmより少ないと、吸収溶媒中の酸素濃度を十分に低減することができなくなる傾向があり、結果、吸収溶媒中の過酸化物濃度を所定濃度以下にすることが難しくなり、共役ジエン重合物の生成を抑制することが困難となるおそれがある。一方、3000wtppmより多くてもよいが、重合禁止剤の添加効果を発揮しにくくなり、3000wtppmくらいで十分である。
これらの重合禁止剤は、酸素と反応して消費されたり、溶媒の精製工程で失われるので、定期的に分析して補給するのが望ましい。
<工程(E)(脱気工程)>
次に、脱気工程である工程(E)について説明する。
溶媒吸収塔10で得られる共役ジエンの溶媒吸収液には、若干量の窒素、酸素も吸収されているため、次いでこの溶媒吸収液を脱気塔11に供給して、溶媒吸収液を脱気する際の温度、すなわち、塔底の温度が、50〜120℃程度、好ましくは80〜100℃となるように加熱することにより、液中に溶存する窒素や酸素をガス化して除去する。温度が低すぎると、酸素が十分に除去できず、温度が高すぎると、共役ジエンの酸化物が増加する傾向がある。
この際、ブテンやブタジエン、溶媒の一部もガス化するため、この脱気塔11の塔頂に設けたコンデンサーでこれらを液化して吸収液中に回収する。凝縮しなかったブテン、ブタジエンは窒素、酸素との混合ガスとして配管118より抜き出され、ブタジエンの回収率を高めるために圧縮機5の入口側へ循環され再度処理が行われる。一方、脱気処理液は配管119より溶媒分離塔12へ送給される。
また、脱気塔11からの缶出液、すなわち、脱気された溶媒吸収液を加熱する際の温度は、100℃以上200℃以下で、かつ、脱気塔の塔底より高い温度に加熱して、溶媒分離塔12に供する。なお、この加熱は溶媒分離塔12のリボイラーで実施してもよい。脱気塔11からの缶出液を、この温度条件にすることにより、ブタジエンの過酸化物を分解するという特徴を発揮することができる。なお、温度条件は、100℃以上がよく、120℃以上が好ましい。また、180℃以下がよく、160℃以下がより好ましい。
前記工程(D)で使用する吸収溶媒に所定量の特定の重合禁止剤を含有させ、かつ、本工程(E)で、脱気塔11の塔底温度を所定範囲とすると共に、脱気塔11からの缶出液、すなわち、脱気された溶媒吸収液に所定温度の加熱を行うので、吸収溶媒中の過酸化物濃度を100wtppm以下とすることができる。吸収溶媒中の過酸化物濃度を所定濃度以下とすることができるので、後述する工程(F)を経由して、吸収溶媒を循環使用した際、過酸化物濃度が増加するのを抑制でき、共役ジエンの重合の誘発を抑制することができる。
脱気塔11の留出コンデンサーでは、吸収溶媒中の重合禁止剤が蒸留分離されているので、重合禁止剤を含む溶媒を供給するのが望ましい。特に共役ジエンが液化するところで重合が進行しやすいので凝縮面に重合禁止剤を含む溶媒をスプレーするのがよい。
<工程(F)(溶媒分離工程)>
[溶媒分離]
次いで、溶媒分離工程である工程(F)について説明する。
溶媒分離塔12では、リボイラとコンデンサにより、溶媒吸収液から、共役ジエンの蒸留分離が行われ、塔頂より配管120を経て共役ジエン留分が抜き出される。分離された吸収溶媒を主成分とする残溶媒吸収液は、塔底より配管121を経て抜き出され、溶媒吸収塔10の吸収溶媒として循環使用される。
溶媒分離塔12の留出コンデンサー(図示せず)では、重合禁止剤が蒸留分離されているので、重合禁止剤を加えるのが望ましいが、重合禁止剤を添加した吸収溶媒をスプレーすると製品の共役ジエンに吸収溶媒が混入する。そこで重合禁止剤を添加した共役ジエンを供給するのが望ましい。
前記残溶媒吸収液は、循環使用するうち、不純物が蓄積する場合があり、一部を抜き出して蒸留やデカンテーション、沈降、吸着剤やイオン交換樹脂などとの接触処理などの公知の精製方法により不純物を除去することが望ましい。残溶媒吸収液のうち、精製された吸収溶媒はプロセスに戻して使用することが出来る。ロスした吸収溶媒はフレッシュな吸収溶媒または備蓄してあった吸収溶媒で補うのが望ましい。
ここで使用する溶媒分離塔の蒸留時の圧力は任意に設定することができるが、通常は、塔頂圧力を0.05〜2.0MPaGとすることが好ましい。より好ましくは塔頂圧力が0.1〜1.0MPaGであり、特に好ましくは0.15〜0.8MPaGの範囲である。この塔頂圧力が低すぎると、留出した共役ジエンを低温で凝縮するために多大なコストが必要となり、また高すぎると溶媒分離塔の塔底部の温度が高くなり、蒸気コストの増大となってしまう。
塔底温度は通常50〜200℃であり、好ましくは80〜180℃、より好ましくは100〜160℃である。塔底温度が低すぎると共役ジエンを塔頂から留出させるのが困難となる。また温度が高すぎると、溶媒も塔頂から留出してしまう。還流比は1〜10で差し支えなく、好ましくは2〜4である。
本発明では、脱気塔11の缶出液を100℃以上、かつ、脱気塔11の塔底より高い温度で加熱して、共役ジエンの過酸化物を分解するが、溶媒分離塔の缶出液をリボイラーで加熱するのが簡便である。加熱温度が低すぎると過酸化物の分解が進まない傾向がある。
蒸留塔としては充填塔、棚段塔のいずれもが使用できるが、多段蒸留が好ましい。共役ジエンと溶媒を分離するには、蒸留塔理論段を5段以上、特に10段〜20段とするのが好ましい。50段を越える蒸留塔は、蒸留塔建設の経済性、運転難易度、及び安全管理のためには好ましくない。また段数が小さすぎると分離が困難となる。
[粗共役ジエンの精製]
前記共役ジエンの分離工程で粗共役ジエンが得られるが、この粗共役ジエンが粗ブタジエンの場合、通常、ブタジエン純度40〜98vol%程度、好ましくは、60〜95vol%程度の粗ブタジエンが得られる。
また、本発明では、特に、図2に示すナフサ分解で得られたC4留分からのブタジエンの抽出分離プロセスから排出される、n−ブテンを含有するBBSSを接触酸化脱水素反応の原料ガスとする場合、或いは、この接触酸化脱水素反応によるブタジエンの製造プロセスに近接してこのブタジエンの抽出分離プロセスが設けられている場合、前記分離工程で得られた粗ブタジエンを、図2に示す抽出分離プロセスの第1抽出蒸留塔32の入口側に供給し、ナフサ分解で得られたC4留分とともに精製することが好ましい。接触酸化脱水素反応の原料に純粋な1−ブテンあるいは2−ブテンを使用してブテンを全てブタジエンに転換した場合は第1蒸留塔40の入口側に供給し、第2抽出蒸留塔37からの粗ブタジエンと共に、第1蒸留塔40で軽沸分を除去し、次いで第2蒸留塔41で重沸分を除去して精製しても良い。
[製造例1](複合酸化物触媒の調製)
パラモリブデン酸アンモニウム54gを純水250mlに70℃に加温して溶解させた。次に、硝酸第二鉄7.18g、硝酸コバルト31.8g及び硝酸ニッケル31.8gを純水60mlに70℃に加温して溶解させた。これらの溶液を、充分に撹拌しながら徐々に混合した。
次に、シリカ64gを加えて、充分に攪拌した。このスラリーを75℃に加温し、5時間熟成した。その後、このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃、1時間の熱処理に付した。
得られた触媒前駆体の粒状固体(灼熱減量:1.4重量%)を粉砕し、パラモリブデン酸アンモニウム40.1gを純水150mlにアンモニア水10mlを加え溶解した溶液に分散した。次に、純水40mlにホウ砂0.85g及び硝酸カリウム0.36gを25℃の加温下に溶解させて、上記スラリーに加えた。
次に、Naを0.45%固溶した次炭酸ビスマス58.1gを加えて、撹拌混合した。このスラリーを130℃、12時間加熱乾燥した後、得られた粒状固体を、小型成形機にて径5mm、高さ4mmの錠剤に打錠成型し、次に500℃、4時間の焼成を行って、触媒を得た。仕込み原料から計算される触媒は、次の原子比を有する複合酸化物であった。
Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si=12:5:2.5:2.5:0.4:0.35:0.2:0.08:24
また、調製の際のモリブデンの原子比a1とa2は、それぞれ6.9と5.1であった。
[実施例1](1,3−ブタジエンの製造)
図1に示すプロセスを用いて、1,3−ブタジエンの製造を行った。なお、実施例おけるガスの分析には、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製:GC−2014)を用いた。
内径27mm、長さ3500mmの反応管を113本備えた反応器1内の反応管に、反応管1本当たり、製造例1で製造された複合酸化物触媒1162mlとイナートボール(Tipton Corp.製)407mlとを充填した。
また、これらの反応管のうち、3本の反応管には、温度計が設置されており、反応器内温度を測定した。なお、用いた温度計は、多点式熱電対((株)岡崎製作所製)で反応管の入口から出口にかけて、触媒層の温度分布を測定した。
また、あらかじめ、反応器には空気(分子状酸素:21%)と窒素(純度:99.99%以上)の混合ガスを供給し、熱媒(ジベンジルトルエン)を流して昇温した。そして、反応器内温度が302℃になった後、ナフサ分解で副生するC4留分からのブタジエンの抽出分離プロセスから排出されたBBSSと、空気と窒素と水蒸気を下記の流量(反応器の反応管1本当たり)で供給して、原料ガスとして混合した後、予熱器で217℃に加熱した後、反応器1に供給した。反応器1内の反応管の周囲には、319℃の熱媒(ジベンジルトルエン)を流して反応管内部の温度を341〜352℃に調整した。
・BBSS:13.2容量部/hr
・空気 :77.3容量部/hr
・窒素 :28.5容量部/hr
・水蒸気 :22.4容量部/hr
なお、前記BBSSの組成は、下記の通りである。
・プロパン : 0.035mol%
・シクロプロパン : 0.057mol%
・プロピレン : 0.109mol%
・イソブタン : 4.784mol%
・n−ブタン :16.903mol%
・トランス−2−ブテン:16.903mol%
・1−ブテン :43.487mol%
・イソブテン : 2.264mol%
・2,2−ジメチルプロパン:0.197mol%
・シス−2−ブテン :12.950mol%
・イソペンタン : 0.044mol%
・n−ペンタン : 0.002mol%
・1,2−ブタジエン: 0.686mol%
・1,3−ブタジエン: 1.075mol%
・メチルアセチレン : 0.017mol%
・3−メチル−1−ブテン:0.057mol%
・2−ペンテン : 0.001mol%
・ビニルアセチレン : 0.006mol%
・エチルアセチレン : 0.282mol%
反応器1からの生成ガスは、クエンチ塔2で水と接触させて86℃に冷却した後、更に冷却器3で室温まで冷却した。
冷却器3の出口に設置したサンプリング口からサンプリングして上述のガスクロマトグラフィーで分析したところ、得られた生成ガスの組成は、下記の通りであった。ここで凝縮した水はドレンポット4で回収した。このガスを圧縮機5で3MPaまで加圧し、更に冷却器6で17℃程度に冷却して水分を凝縮させてドレンポット7に回収した。
・プロパン : 0.004mol%
・シクロプロパン : 0.005mol%
・プロピレン : 0.001mol%
・イソブタン : 0.487mol%
・n−ブタン : 1.948mol%
・トランス−2−ブテン:0.340mol%
・1−ブテン : 0.002mol%
・イソブテン : 0.000mol%
・2,2−ジメチルプロパン:0.021mol%
・シス−2−ブテン : 0.129mol%
・イソペンタン : 0.005mol%
・n−ペンタン : 0.000mol%
・1,2−ブタジエン: 0.000mol%
・1,3−ブタジエン: 7.109mol%
・メチルアセチレン : 0.000mol%
・3−メチル−1−ブテン:0.000mol%
・2−ペンテン : 0.000mol%
・ビニルアセチレン : 0.000mol%
・エチルアセチレン : 0.000mol%
・フラン : 0.112mol%
・O : 5.776mol%
・N :80.021mol%
・CO : 1.832mol%
・CO : 0.596mol%
圧縮ガスを、モレキュラーシーブ3A(ユニオン昭和(株)製)を充填した脱水塔8A又は8Bに供給した。
脱水処理ガスは、圧力0.2MpaG、温度16℃で溶媒吸収塔10の塔底付近へ供給した。塔頂からは、p−t−ブチルカテコール(TBC)を580ppm含有するトルエン600kg/hで供給し、両者を向流接触させてブタジエン等の炭化水素を吸収させた。
次いで、脱気塔11で酸素や窒素を分離し、更に溶媒分離塔12でトルエンから1,3−ブタジエンを分離して回収した。溶媒分離塔の塔底温度は135℃であった。
脱気塔と溶媒分離塔の缶出液をサンプリングして過酸化物を分析した結果、次の通りとなった。
・脱気塔缶出液中の過酸化物濃度…4ppm
・溶媒分離塔缶出液の過酸化物濃度…非検出(2ppm未満)
1 反応器
2 クエンチ塔
3,6,13 冷却器
4,7,14 ドレンポット
5 圧縮機
8A,8B 脱水塔
9 加熱器(熱交換器)
10 溶媒吸収塔
11 脱気塔
12 溶媒分離塔
31 蒸発塔
32 第1抽出蒸留塔
33 i−ブテン分離塔
34 予放散塔
35 第1放散塔
36 圧縮機
37 第2抽出蒸留塔
38 ブタジエン回収塔
39 第2放散塔
40 第1蒸留塔
42 第2蒸留塔
100〜126 配管

Claims (8)

  1. 炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと、分子状酸素含有ガスとを混合して得られる混合ガスを反応器に供給し、触媒の存在下、酸化脱水素反応により生成された共役ジエンを含む生成ガスを得、該生成ガスを吸収溶媒と接触させて溶媒吸収液を得た後、該溶媒吸収液を脱気し、次いで、蒸留分離により、前記溶媒吸収液から前記共役ジエンを分離回収する共役ジエンの製造方法において、
    前記吸収溶媒中に1〜3000wtppmの重合禁止剤が含有され、
    前記脱気により、前記溶媒吸収液中の酸素を除去し、
    記溶媒吸収液を加熱することにより、この溶媒吸収液中の過酸化物濃度を100wtppm以下とすることを特徴とする共役ジエンの製造方法。
  2. 前記触媒が、モリブデン、ビスマス、及びコバルトを少なくとも含有する複合酸化物触媒であることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエンの製造方法。
  3. 前記触媒が、下記一般式(1)で表される複合酸化物触媒であることを特徴とする請求項2に記載の共役ジエンの製造方法。
    MoBiCoNiFeSi (1)
    (式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=5〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
  4. 前記複合酸化物触媒が、この複合酸化物触媒を構成する各成分元素の供給源化合物を水系内で一体化して加熱する工程を経て製造される触媒であり、
    モリブデン化合物、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種とシリカとを含む原料化合物の水溶液若しくは水分散液、又はこれを乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体を製造する前工程と、この触媒前駆体、モリブデン化合物及びビスマス化合物を水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程とを有する方法で製造されたものであることを特徴とする請求項3に記載の共役ジエンの製造方法。
  5. 上記重合禁止剤は、ハイドロキノン、ジ−n−ブチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸水素ナトリウム、p−t−ブチルカテコールから選ばれる1つ又は複数の剤であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
  6. 前記溶媒吸収液を脱気する際の温度を50℃以上120℃以下とすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
  7. 前記脱気された溶媒吸収液を加熱する際の温度が、100℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
  8. 前記原料ガスが、エチレンの2量化により得られる1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン若しくはこれらの混合物を含有するガス、n−ブタンの脱水素若しくは酸化脱水素反応により生成するブテン留分を含むガス、又は重油留分を流動接触分解する際に得られる炭素原子数が4の炭化水素を多く含むガスであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
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