JP2018509456A - 酸化的脱水素化によりn−ブテン類から1,3−ブタジエンを製造するための方法 - Google Patents

酸化的脱水素化によりn−ブテン類から1,3−ブタジエンを製造するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、以下の工程:A)n−ブテン類を含む出発ガス流a1を準備する工程、B)n−ブテン類を含む出発ガス流a1と、酸素含有ガスと、酸素含有循環ガス流a2とを少なくとも1つの酸化的脱水素化帯域に供給して、n−ブテン類を酸化的脱水素化してブタジエンにし、ここで、ブタジエン、未反応のn−ブテン類、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、高沸点副成分、場合によって炭素酸化物および場合によって不活性ガスを含む生成物ガス流bを得る工程、Ca)生成物ガス流bを冷却し、場合によって少なくとも部分的に高沸点副成分および水蒸気を分離し、ここで、生成物ガス流b’を得る工程、Cb)生成物ガス流b’を少なくとも1つの圧縮段階および冷却段階で圧縮および冷却し、ここで、少なくとも1つの水性凝縮液流c1と、ブタジエン、n−ブテン類、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、場合によって炭素酸化物および場合によって不活性ガスを含むガス流c2とを得る工程、Da)ブタジエンおよびn−ブテン類を含むC4−炭化水素を、吸収剤流A1である芳香族炭化水素溶媒に吸収塔K1で吸収させて、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、場合によって炭素酸化物、芳香族炭化水素溶媒および場合によって不活性ガスを含む非凝縮性ガス成分および低沸点ガス成分をガス流d2としてガス流c2から分離し、ここで、C4−炭化水素で負荷された吸収剤流A1’およびガス流d2を得て、続いて、負荷された吸収剤流A1’からC4−炭化水素を脱着し、ここで、C4−生成物ガス流d1を得る工程、Db)ガス流d2を循環ガス流a2として酸化的脱水素化帯域に少なくとも部分的に返送する工程を含むn−ブテン類からブタジエンを製造するための方法において、循環ガス流a2中の芳香族炭化水素溶媒の含有率を、分離段階Da)を離れるガス流d2と、少なくとも部分的に循環される、芳香族炭化水素溶媒A1のための液状の吸収剤流A2とをさらなる塔K2で接触させることによって1体積%未満に制限し、かつ塔K2における液状の吸収剤流A2の含水率を最大80質量%に制限することを特徴とする前記方法に関する。

Description

本発明は、酸化的脱水素化(ODH)によりn−ブテン類から1,3−ブタジエンを製造するための方法に関する。
ブタジエン(1,3−ブタジエン)は、重要な基礎化学物質であり、例えば合成ゴム(ブタジエンホモポリマー、スチレン・ブタジエンゴムもしくはニトリルゴム)の製造に、または熱可塑性ターポリマー(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンコポリマー)の製造に使用される。ブタジエンは、さらにスルホラン、クロロプレンおよび1,4−ヘキサメチレンジアミン(1,4−ジクロロブテンおよびアジピン酸ジニトリル経由)に変えられる。ブタジエンの二量化により、さらにビニルシクロヘキサンを生じさせることができ、これを脱水素化してスチレンにすることができる。
ブタジエンは、飽和炭化水素の熱分解(スチームクラッキング)によって製造することができ、ここで、通常、原材料としてナフサが出発点となる。ナフサのスチームクラッキングでは、メタン、エタン、エテン、アセチレン、プロパン、プロペン、プロピン、アレン、ブタン類、ブテン類、ブタジエン、ブチン類、メチルアレン、C5−炭化水素および高級炭化水素からの炭化水素混合物が生じる。
ブタジエンは、分子状酸素の存在下でのn−ブテン類(1−ブテンおよび/または2−ブテン)の酸化的脱水素化により得ることもできる。n−ブテン類を酸化的脱水素化(オキシ脱水素化、ODH)してブタジエンにするための出発ガス流としては、n−ブテン類を含む任意のあらゆる混合物が利用されてよい。例えば、主成分としてn−ブテン類(1−ブテンおよび/または2−ブテン)を含み、かつナフサクラッカーのC4−留分から、ブタジエンおよびイソブテンを分離することによって得られた留分を使用することができる。さらに、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンまたはそれらの混合物を含み、かつエチレンの二量化によって得られた混合ガスが出発ガス流として使用されてもよい。さらに、出発ガス流として、流動接触分解(Fluid Catalytic Cracking、FCC)により得られたn−ブテン類を含む混合ガスが使用されてよい。
n−ブテン類および分子状酸素の他に、反応混合ガスは、一般的に不活性成分を含む。ここで、不活性成分とは、ODHの反応条件下に90%未満が変換されるものを意味する。不活性成分は、例えば水蒸気および窒素であるが、例えばアルカン、例えばメタンでもある。ここで、不活性成分の分子状酸素に対するモル量比は、一般的に、特に爆発の危険を防ぐために、空気中に存在しているよりも高い。このことは、例えば、空気が酸素含有ガスとして使用され、分子状窒素で希釈されることによって行うことができる。しかし、大量の濃縮窒素の準備は、費用がかかり、経済的観点から不都合である。さらに、このことは、分子状酸素を減少させた空気(希薄空気)が酸素含有ガスとして使用されることによって行うことができる。さらに、このことは、空気が希薄空気で希釈されることによって行うことができる。
ブテン類を酸化的脱水素化してブタジエンにするための方法は、基本的に公知である。
例えば米国特許出願公開第2012/0130137号明細書(US2012/0130137A1)は、モリブデン、ビスマスおよび一般的に他の金属の酸化物を含む触媒を使用するその種の方法を記載している。酸化的脱水素化のためのそのような触媒の持続的な活性には、過剰な還元およびそれに伴う触媒の性能損失を避けるために、ガス雰囲気中の臨界最小酸素分圧が不可欠である。このため、一般的に、オキシ脱水素化反応器(ODH反応器)において化学量論的な酸素投入量、または完全な酸素の転化率で操作することも不可能である。例えば、米国特許出願公開第2012/0130137号明細書(US2012/0130137)には、出発ガス中の2.5体積%から8体積%までの酸素含有率が記載されている。反応混合ガス中のN2/O2−比は、酸素含有ガスである空気が窒素ガスで希釈されることによって所望の値に調節される。
そのような触媒系のための酸素過剰量の必要性は、一般的に公知であり、そのような触媒を使用する際の方法条件に反映されている。代表的には、Jungらの比較的新しい論文(Catal.Surv.Asia 2009、13、78〜93;DOI 10.1007/s10563−009−9069−5およびApplied Catalysis A:General 2007、317、244〜249;DOI 10.1016/j.apcata.2006.10.021)が挙げられる。
しかし、酸素過剰下で操作されるそのような方法の後処理部においてODH反応器段階後にブタジエンの他に酸素が存在していることは、リスクがある。とりわけ液相では、有機過酸化物の形成および蓄積がチェックされるべきである。これらのリスクについては、例えばD.S.Alexander(Industrial and Engineering Chemistry 1959、51、733〜738)によって議論された。
Mitsubishi社の特開2011−006381号公報(JP2011-006381A)では、共役アルカジエンの製造方法の後処理部における過酸化物形成のリスクについて言及されている。解決のためには、重合抑止剤をプロセスガスのための吸収溶液に添加して、吸収溶液の加熱により100質量ppmの最大過酸化物含有量に調節することが記載されている。しかし、前接続された方法工程における過酸化物の回避または制御については記載されていない。とりわけ、ODH反応器排出物の水急冷による冷却工程が決定的に重要であると捉えられる。形成された有機過酸化物は、ほとんど水に溶けないため、急冷の水性パージ流で排出される代わりに、析出して、固体または液状の形態で装置内に蓄積することがある。同時に、水急冷の温度はそれほど高くないため、形成された過酸化物の充分に高く連続的な分解が前提となりうる。
接触酸化的脱水素化では、高沸点副成分、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、ベンズアルデヒド、安息香酸、エチルベンゼン、スチレン、フルオレノン、アントラキノンなどを形成されることがある。そのような析出物は、反応器内または反応器の後方の後処理の領域で閉塞および圧力損失の増加をもたらすことがあり、したがって、制御された運転を妨げることがある。前述の高沸点副成分の析出物は、熱交換器の機能を損なわせるか、または可動部を有する装置、例えば圧縮機に損傷させることもある。水蒸気揮発性の化合物、例えばフルオレノンは、水で操作される急冷装置を通り抜けて、その後方でガス排出配管内で沈殿することがある。したがって、基本的に、固体の析出物が後接続された装置部分、例えば圧縮機に到達して、そこで害をもたらす危険もある。
米国特許出願公開第2012/0130137号明細書(US2012/0130137A1)では、高沸点副生成物の問題も指摘されている。とりわけ、無水フタル酸、アントラキノンおよびフルオレノンが挙げられ、これらは、一般的に生成物ガス中に0.001体積%から0.10体積%までの濃度で存在しているとされる。米国特許出願公開第2012/0130137号明細書(US2012/0130137A1)の段落[0124]から[0126]まででは、高温の反応器排出ガスを、直接、冷却液と接触させること(急冷塔)によって、通常、まず5℃から100℃までに冷却することが推奨されている。冷却液として、水またはアルカリ水溶液が挙げられている。生成物ガスからの高沸点物によるか、または生成物ガスからの高沸点副生成物の重合生成物による、急冷内の閉塞の問題が明確に言及されており、したがって、高沸点副生成物が、可能な限り少量で、反応部から冷却部(急冷)に同伴されるのが有利であるとされている。
韓国公開特許第2013−0036467号公報(KR2013-0036467)および韓国公開特許第2013−0036468号公報(KR2013-0036468)では、同様に、高温の反応器排出ガスを、冷媒との接触によって直接冷却することが推奨されている。冷媒としては、副成分をより良く冷却するために、水に可溶性の有機冷媒が使用される。
特開2011−001341号公報(JP2011-001341A)には、アルケンを酸化的脱水素化して共役アルカジエンにするための方法のための、2段階冷却が記載されている。ここで、酸化的脱水素化の生成物排出ガスは、まず300℃から221℃の間の温度に調節され、その後、99℃から21℃の間の温度にさらに冷却される。段落[0066]以降には、300℃から221℃の間の温度の調節のために好ましくは熱交換器が使用されるが、ここで、高沸点物の一部もこの熱交換器内で生成物ガスから沈殿する可能性があることが記載されている。したがって、特開2011−001341号公報(JP2011-001341A)には、熱交換器からの析出物を、有機または水性の溶媒で適宜洗い落とすことが記載されている。溶媒としては、例えば芳香族炭化水素、例えばトルエンまたはキシレンまたはアルカリ性水性溶媒、例えば水酸化ナトリウムの水溶液が記載されている。熱交換器の浄化のために方法を過度に頻繁に中断するのを避けるため、特開2011−001341号公報(JP2011-001341A)には、並列に配置された2つの熱交換器を有する構成が記載されており、熱交換器はそれぞれ交互に運転または洗浄される(いわゆるA/B運転方式)。
特開2010−90083号公報(JP2010-90083A)には、n−ブテン類を酸化的脱水素化してブタジエンにするための方法が記載されており、ここで、酸化的脱水素化の生成物ガスは冷却されて、脱水される。C4−炭化水素を含む出発ガス流から、続いて、ブタジエンと未反応のブテン類とブタンが溶媒に吸収される。溶媒によって吸収されなかった残留ガスは、続いて燃焼によって処理される。低い沸点を有する溶媒、例えばトルエンが吸収剤として使用される場合、これは、溶媒損失を回避するために、残留ガス流から、高い沸点を有する溶媒、例えばデカンでの吸収によって回収される。
溶媒によって吸収されなかった、C4−炭化水素がほぼ除去された残留ガスは、循環ガスとしてオキシ脱水素化に返送されてもよい。
特開2012−072086号公報(JP2012-072086A)には、酸素含有ガスとして、炭化水素、例えばブタジエン、n−ブテン、n−ブタンおよびイソブタンが、生成物混合ガスから分離されているガスが、オキシ脱水素化に返送されてよいことが記載されている。この文献は、そのような返送ガス流の取得方法、およびその中に含まれている不純物の種類について記述していない。
特開2012−240963号公報(JP2012-240963)は、ブタジエン製造のための方法を記載しており、この方法では、C4−炭化水素を含む脱水素化の生成物ガス流は、第一の吸収段階でC4−炭化水素のための第一の吸収剤と接触される。C4−炭化水素が除去されたガス流は、続いて第二の吸収段階で、ガス流中の蒸気状の第一の吸収剤の含有量を低下させるために、第二の液状の吸収剤と接触される。ここで、第二の吸収剤は、第一の吸収剤よりも高い沸点を有するものである。第一の吸収剤は、例えばトルエンであり、第二の吸収剤は、より高い沸点を有する他の炭化水素である。再生のために、第一の吸収剤および第二の吸収剤を互いに分離しなければならないことは不都合である。
本発明の課題は、公知の方法の上述の欠点を除去する方法を提供することである。とりわけ、ODHに後接続された装置内の高沸点の有機副成分による析出物が回避される方法が提供されることが望ましい。さらに、有機過酸化物の起こりうる蓄積が回避される方法が提供されることが望ましい。さらに、本発明の課題は、溶解、乳化または懸濁された形態の有機化合物を含む廃水の高い負荷を回避すること、ならびに有機化合物で負荷された廃水の発生を減らすことである。これらの課題は、ODHに返送される循環ガス中の微量の有機溶媒によって触媒活性が大きく損なわれることなく、解決されることが望ましい。
本課題は、以下の工程:
A)n−ブテン類を含む出発ガス流a1を準備する工程、
B)n−ブテン類を含む出発ガス流a1と、酸素含有ガスと、酸素含有循環ガス流a2とを少なくとも1つの酸化的脱水素化帯域に供給して、n−ブテン類を酸化的脱水素化してブタジエンにし、ここで、ブタジエン、未反応のn−ブテン類、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、高沸点副成分、場合によって炭素酸化物および場合によって不活性ガスを含む生成物ガス流bを得る工程、
Ca)生成物ガス流bを冷却し、場合によって少なくとも部分的に高沸点副成分および水蒸気を分離し、ここで、生成物ガス流b’を得る工程、
Cb)生成物ガス流b’を少なくとも1つの圧縮段階および冷却段階で圧縮および冷却し、ここで、少なくとも1つの水性凝縮液流c1と、ブタジエン、n−ブテン類、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、場合によって炭素酸化物および場合によって不活性ガスを含むガス流c2とを得る工程、
Da)ブタジエンおよびn−ブテン類を含むC4−炭化水素を、吸収剤流A1である芳香族炭化水素溶媒に吸収塔K1内で吸収させて、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、場合によって炭素酸化物、芳香族炭化水素溶媒、および場合によって不活性ガスを含む非凝縮性ガス成分および低沸点ガス成分をガス流d2としてガス流c2から分離し、ここで、C4−炭化水素で負荷された吸収剤流A1’およびガス流d2を得て、続いて負荷された吸収剤流A1’からC4−炭化水素を脱着し、ここで、C4−生成物ガス流d1を得る工程、
Db)ガス流d2を循環ガス流a2として前記酸化的脱水素化帯域に少なくとも部分的に返送する工程
を含むn−ブテン類からブタジエンを製造するための方法において、循環ガス流a2中の芳香族炭化水素溶媒の含有率を、分離段階Da)を離れるガス流d2と、少なくとも部分的に循環される、芳香族炭化水素溶媒A1のための液状の吸収剤流A2とをさらなる塔K2内で接触させることによって1体積%未満に制限し、かつさらなる塔K2における液状の吸収剤流A2の含水率を最大80質量%に制限することを特徴とする方法によって解決される。
芳香族炭化水素溶媒および他のガス成分の体積割合の測定は、ガスクロマトグラフィーで行われる。ここで、芳香族炭化水素溶媒、例えばメシチレンの較正は、外部標準物質を用いて行われる。そのためには、ガス化可能な溶媒、例えばm−キシレンが、例えばメシチレンとともに特定のモル比で、溶媒、例えばアセトンに溶解される。両方の物質および溶媒が、理想気体として挙動すると仮定して、モル割合が体積割合に換算される。
ガス化可能な溶媒の既知の体積割合を有するガス試料が、試料ループによってGCに供給される。定義された体積を有する試料ループは、一定の圧力および一定の温度で操作されて、比較物質および例えばメシチレンの面積から外部係数(externer Faktor)を求めることができる。次にこれをメシチレンとの比較に使うことができる。
さらなる成分は、同様の方法で、個々に、または混合物として較正される。ここで、すべての成分は、理想気体として扱われる。このことは、同様にODHプロセスにおけるガス流の分析に当てはまる。
オキシ脱水素化の反応混合ガス中の芳香族炭化水素溶媒の増加した量は、触媒活性を損なわせることが判明した。反応混合ガス中の芳香族炭化水素溶媒の量は、循環ガス中の芳香族炭化水素溶媒の割合、ならびに反応混合ガスでの循環ガスの割合に左右される。
さらなる塔K2が設けられることにより、循環ガス流a2中の芳香族炭化水素溶媒の含有率は、吸収段階Da)の後でガス流d2)中で蒸気状または微細な液滴の形態で含まれている吸収剤A1が、吸収剤流A2中に吸収されることによって1体積%未満に制限される。ここで、A2は、A1とは異なる吸収剤を含むか、または同一の吸収剤を含んでいてもよい。流A2は、ガス流d2より低い温度を有していてよい。流A2に含まれる吸収剤と流A1に含まれる吸収剤が同じである場合、流A2の温度は、むしろ流d2の温度を下回っており、したがって、流d2中の芳香族炭化水素の含有率は低下する。
塔K2におけるこのさらなる吸収剤流A2の含水率が、最大80質量%、好ましくは最大50質量%に制限されることによって、有機過酸化物(まず第一にブタジエンペルオキシド)のための吸収剤A2の溶解度が、有機過酸化物の別個の相が形成されうる程度にまで下がることが回避される。過酸化物相の形成は、安全技術上、憂慮すべきことであり、絶対に回避されることが望ましい。
さらなる吸収剤流A2の含水率は、最大80質量%に、好ましくは最大50質量%に制限される。
冷却段階Ca)の冷媒の選択は、制限されない。しかしながら、冷却段階Ca)では、好ましくは有機溶媒が使用される。これらの溶媒は、一般的に、水またはアルカリ性水溶液よりも、ODH反応器に後接続される設備部品内で析出物および閉塞をもたらしうる高沸点副生成物に対してきわめてはるかに高い溶解力を有している。冷媒として使用される好ましい有機溶媒は、芳香族炭化水素であり、特に好ましいのは、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、モノエチルベンゼン、ジエチルベンゼンおよびトリエチルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、ならびにモノイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、またはその混合物である。好ましいのは、1013.25hPaで120℃超の沸点を有する芳香族炭化水素またはその混合物である。殊に好ましいのは、メシチレンである。
分離段階Da)で使用される吸収剤は、芳香族炭化水素溶媒である。好ましいのは、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、モノエチルベンゼン、ジエチルベンゼンおよびトリエチルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、ならびにモノイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、またはその混合物である。好ましいのは、1013.25hPaで120℃超の沸点を有する芳香族炭化水素である。特に好ましいのは、メシチレンである。とりわけ、冷却段階Ca)で有機溶媒が使用される場合、分離段階Da)では、先行する冷却段階Ca)と同じ芳香族炭化水素溶媒が使用される。
ガス流c2からのブタジエンおよびn−ブテン類を含むC4−炭化水素を芳香族炭化水素溶媒A1中に吸収させることによって、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、場合によって炭素酸化物および場合によって不活性ガスを含む非凝縮性ガス成分および低沸点ガス成分がガス流d2として得られる。このガス流d2の少なくとも一部が、循環ガス流a2として酸化的脱水素化(工程B))に返送される。本発明によれば、循環ガス流a2中の芳香族炭化水素溶媒の含有率は、1体積%未満である。
本発明によれば、循環ガス流a2中の芳香族炭化水素溶媒A1の含有率は、分離段階Da)を離れるガス流d2が、さらなる塔K2内で芳香族炭化水素溶媒A1のための液状の吸収剤A2と接触されることによって1体積%未満に制限される。このさらなる塔K2で使用される吸収剤A2は、分離段階Da)の吸収塔K1からの芳香族炭化水素溶媒A1と混和性である必要があり、選択的に同じ溶媒であってもよい。さらなる塔K2で使用される吸収剤A2が塔K1で使用される吸収剤A1と同じ溶媒である場合、このさらなる塔K2内の圧力は、分離段階Da)の吸収塔K1内よりも高いか、またはこのさらなる塔K2に供給される吸収剤流A2は、この塔に入るガス流d2よりも冷たく、それによって、ガス流d2に含まれる芳香族炭化水素溶媒A1は、少なくとも部分的にガス流d2から分離される。
さらに本発明によれば、さらなる塔K2内の吸収剤A2の含水率は、最大80質量%に、好ましくは最大50質量%に制限される。このことは、
(i)水を含む吸収剤A2の一部がさらなる塔K2から連続的に取り除かれて、水を含まないか、もしくは水をあまり多く含まない新しい吸収剤A2に置き換えられる;または
(ii)水を含む吸収剤が、相分離器において吸収剤相と水相とに分離され、水相が分離されて、吸収剤相が再びさらなる塔K2に送り込まれる;相分離器は、別個の相分離器であるか、もしくはさらなる塔K2の塔底部に組み入れられてよい;または
(iii)水を含む吸収剤の一部が吸収塔K1に導入される
ことによって行うことができる。
本発明の1つの実施形態では、吸収工程Da)で使用される吸収塔K1、または吸収工程Da)の後に使用されるさらなる塔K2は、1つまたは複数の装置、例えばデミスターまたは液滴分離器を有しており、これらは、吸収塔K1またはさらなる塔K2からの液状成分のガス流d2へのエントレインメントを減らすものである。ガス流d2中の液状成分の割合を減らすあらゆる装置が好適である。一般的に、デミスターまたは液滴分離器とは、ガス、蒸気またはミスト、一般的にエアロゾルから微細な液滴を分離するための装置であると理解される。塔においては、液体エントレインメントは、デミスターまたは液滴分離器によって減少させることができる。デミスターまたは液滴分離器は、例えば、ワイヤーメッシュ充填物、傾斜板分離器または内部表面積が大きい不規則充填物の床からなるものであってよい。一般的に、材料としては、鋼鉄、クロムニッケル鋼、アルミニウム、銅、ニッケル、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンなどが利用される。分離効率は、液滴直径が小さくなるほど低下する。デミスターは、凝集分離器とみなすことができる。デミスターは、なかでも米国特許第3,890,123号明細書(US3,890,123)および米国特許第4,141,706号明細書(US4,141,706)およびその中で引用された文献に記載されているものである。デミスターまたは液滴分離器は、1つの吸収塔もしくは複数の吸収塔内に存在していてもよいか、またはこれらの吸収塔に後接続されていてもよい。
好ましくは、循環ガス流a2中の芳香族炭化水素溶媒の含有率は、0.5体積%未満、特に好ましくは0.2体積%未満、とりわけ0.1体積%未満である。
好ましくは、本発明による方法は、以下のさらなる方法工程を含む:
E)C4−生成物流d1を、ブタジエンのための選択溶媒を使用する抽出蒸留により、ブタジエンおよび選択溶媒を含む物質流e1と、n−ブテン類を含む物質流e2とに分別する工程、
F)ブタジエンおよび選択溶媒を含む物質流e2を蒸留して、選択溶媒を含む物質流f1と、ブタジエンを含む物質流f2とにする工程。
以下の実施形態は、本発明による方法の好ましい、もしくは特に好ましい変法である:
段階Ca)には、少なくとも1つの冷却段階が前接続されていてよく、この冷却段階で、生成物ガス流bは、熱交換器内での間接冷却により冷却される。
段階Ca)は、段階Ca1)からCan)までの多段階で、好ましくは2つの段階Ca1)およびCa2)の2段階で実施されてよい。ここで、特に好ましくは冷媒の少なくとも一部は、第二の段階Ca2)を通過した後、冷媒として第一の段階Ca1)に供給される。
段階Cb)は、一般的に少なくとも1つの圧縮段階Cba)および少なくとも1つの冷却段階Cbb)を含む。好ましくは、少なくとも1つの冷却段階Cbb)では、圧縮段階Cba)で圧縮されたガスが、冷媒と接触される。特に好ましくは、冷却段階Ca)で有機溶媒が使用される場合、冷却段階Cbb)の冷媒は、段階Ca)で冷媒として使用されるのと同じ有機溶媒を含む。とりわけ好ましい変法では、この冷媒の少なくとも一部は、少なくとも1つの冷却段階Cbb)の通過後に、段階Ca)の冷媒として供給される。代替的に、冷却段階Cbb)は、熱交換器からなってよい。
好ましくは、段階Cb)は、複数の圧縮段階Cba1)からCban)まで、および冷却段階Cbb1)からCbbn)までを含み、例えば4つの圧縮段階Cba1)からCba4)まで、および4つの冷却段階Cbb1)からCbb4)までを含む。
好ましくは、工程Da)は、工程Daa)からDac)までを含む:
Daa)ブタジエンおよびn−ブテン類を含むC4−炭化水素を、吸収剤である芳香族炭化水素溶媒中に吸収させ、ここで、C4−炭化水素で負荷された吸収剤流とガス流d2とを得る工程、
Dab)工程Daa)からのC4−炭化水素で負荷された吸収剤流から、非凝縮性ガス流を使用するストリッピングにより酸素を除去する工程、および
Dac)負荷された吸収剤流からC4−炭化水素を脱着し、ここで、実質的にC4−炭化水素からなり、酸素を100ppm未満含むC4−生成物ガス流d1を得る工程。
本発明による方法の実施形態は、以下に詳細に記載される。
出発ガス流a1としては、純粋なn−ブテン類(1−ブテンおよび/またはシス−2−ブテンおよび/またはトランス−2−ブテン)も、ブテン類を含む混合ガスも使用されてよい。そのような混合ガスは、例えばn−ブタンの非酸化的脱水素化によって得ることができる。主成分としてn−ブテン類を含み、かつナフサクラッキングのC4−留分から、ブタジエンおよびイソブテンの分離により得られた留分が使用されてもよい。さらに、純粋な1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンまたはその混合物を含み、かつエチレンの二量化により得られた混合ガスも、出発ガス流として使用されてよい。さらに、出発ガス流として、流動接触分解(Fluid Catalytic Cracking、FCC)により得られたn−ブテン類を含む混合ガスが使用されてよい。
本発明による方法の1つの実施形態では、n−ブテン類を含む出発ガス流は、n−ブタンの非酸化的脱水素化により得られる。非酸化的接触脱水素化を、形成されたn−ブテン類の酸化的脱水素化と組み合わせることにより、使用されるn−ブタンを基準として高い収率のブタジエンを得ることができる。n−ブタンの非酸化的接触脱水素化では、ブタジエン、1−ブテン、2−ブテンおよび未反応のn−ブタンの他に副成分を含む混合ガスが得られる。通常の副成分は、水素、水蒸気、窒素、COおよびCO2、メタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペンである。第一の脱水素化帯域を離れる混合ガスの組成は、脱水素化の操作方法によって大きく変化してよい。例えば、酸素およびさらなる水素を供給して脱水素化を実施する場合、生成物混合ガスは、比較的高い含有率の水蒸気および炭素酸化物を有している。酸素を供給しない操作方法の場合、非酸化的脱水素化の生成物混合ガスは、比較的高い含有率の水素を有している。
工程B)では、n−ブテン類を含む出発ガス流a1、酸素含有ガス、酸素含有循環ガス流a2および場合によってさらなる成分を含む反応混合ガスが、少なくとも1つの脱水素化帯域(ODH反応器)に供給されて、混合ガス中に含まれるブテン類が、オキシ脱水素化触媒の存在下で酸化的脱水素化されてブタジエンにされる。
オキシ脱水素化に好適な触媒は、一般的に、Mo−Bi−Oを含む多金属酸化物系をベースとしており、この系は、一般的に、さらに鉄を含む。一般的に、触媒系は、さらに他のさらなる成分、例えばカリウム、セシウム、マグネシウム、ジルコニウム、クロム、ニッケル、コバルト、カドミウム、錫、鉛、ゲルマニウム、ランタン、マンガン、タングステン、リン、セリウム、アルミニウムまたはケイ素を含む。鉄含有フェライトも触媒として提案された。
好ましい実施形態では、多金属酸化物は、コバルトおよび/またはニッケルを含む。別の好ましい実施形態では、多金属酸化物は、クロムを含む。別の好ましい実施形態では、多金属酸化物は、マンガンを含む。
Mo−Bi−Fe−Oを含む多金属酸化物の例は、Mo−Bi−Fe−Cr−Oを含む多金属酸化物またはMo−Bi−Fe−Zr−Oを含む多金属酸化物である。好ましい系は、例えば米国特許第4,547,615号明細書(US4,547,615)(Mo12BiFe0.1Ni8ZrCr30.2xおよびMo12BiFe0.1Ni8AlCr30.2x)、米国特許第4,424,141号明細書(US4,424,141)(Mo12BiFe3Co4.5Ni2.50.50.1x+SiO2)、独国特許出願公開第2530959号明細書(DE-A2530959)(Mo12BiFe3Co4.5Ni2.5Cr0.50.1x、Mo13.75BiFe3Co4.5Ni2.5Ge0.50.8x、Mo12BiFe3Co4.5Ni2.5Mn0.50.1xおよびMo12BiFe3Co4.5Ni2.5La0.50.1x)、米国特許第3,911,039号明細書(US3,911,039)(Mo12BiFe3Co4.5Ni2.5Sn0.50.1x)、独国特許出願公開第2530959号明細書(DE-A2530959)および独国特許出願公開第2447825号明細書(DE-A2447825)(Mo12BiFe3Co4.5Ni2.50.50.1x)に記載されている。
好適な多金属酸化物およびそれらの製造は、さらに米国特許第4,423,281号明細書(US4,423,281)(Mo12BiNi8Pb0.5Cr30.2xおよびMo12BibNi7Al3Cr0.50.5x)、米国特許第4,336,409号明細書(US4,336,409)(Mo12BiNi6Cd2Cr30.5x)、独国特許出願公開第2600128号明細書(DE-A2600128)(Mo12BiNi0.5Cr30.5Mg7.50.1x+SiO2)および独国特許出願公開第2440329号明細書(DE-A2440329)(Mo12BiCo4.5Ni2.5Cr30.50.1x)に記載されている。
特に好ましい、モリブデンおよび少なくとも1つの他の金属を含む触媒活性な多金属酸化物は、一般式(Ia)を有するものである:
Mo12BiaFebCocNidCre1 f2 gy (Ia)
[式中、
1=Si、Mnおよび/またはAl、
2=Li、Na、K、Csおよび/またはRb、
0.2≦a≦1、
0.5≦b≦10、
0≦c≦10、
0≦d≦10、
2≦c+d≦10
0≦e≦2、
0≦f≦10
0≦g≦0.5
y=電荷的中性の前提条件下で、(Ia)中の酸素とは異なる元素の価数および頻度により定められる数]。
好ましいのは、触媒活性な酸化物材料が、2つの金属CoおよびNiのうちCoのみを有する触媒(d=0)である。好ましくは、X1はSiおよび/またはMnであり、X2は、好ましくは、K、Naおよび/またはCsであり、特に好ましくは、X2=Kである。
分子状酸素を含むガスは、一般的に10体積%超、好ましくは15体積%超、より好ましくは20体積%超の分子状酸素を含む。好ましくは、このガスは、空気である。分子状酸素の含有率の上限は、一般的に50体積%以下、好ましくは30体積%以下、さらにより好ましくは25体積%以下である。さらに、分子状酸素を含むガス中に、任意の不活性ガスが含まれていてよい。考えられる不活性ガスとして、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、CO、CO2および水を挙げることができる。不活性ガスの量は、窒素の場合、一般的に90体積%以下、好ましくは85体積%以下、さらにより好ましくは80体積%以下である。窒素とは異なる成分の場合、不活性ガスの量は、一般的に10体積%以下、好ましくは1体積%以下である。
酸化的脱水素化をn−ブテン類の完全転化において実施するためには、分子状酸素:n−ブテン類の比率が少なくとも0.5である混合ガスが好ましい。酸素:n−ブテン類の比率が0.55から10までで操作するのが好ましい。この値に調節するために、出発ガス流は、酸素または少なくとも1つの酸素含有ガス、例えば空気、および場合によってさらなる不活性ガスまたは水蒸気と混合されてよい。得られた酸素含有混合ガスは、次に、オキシ脱水素化に供給される。
さらに、反応混合ガス中に、不活性ガス、例えば窒素、さらに水(水蒸気として)がともに含まれていてもよい。窒素は、酸素濃度の調節のため、および爆発性混合ガスの形成の阻止のために利用されてよく、同じことが水蒸気の場合にも当てはまる。水蒸気は、さらに、触媒のコーキングの制御のために、および反応熱の排出のために利用される。
オキシ脱水素化の反応温度は、一般的に、反応管の周りにある熱交換媒体によって制御される。そのような液状の熱交換媒体としては、例えば塩、例えば硝酸カリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウムおよび/または硝酸ナトリウムの溶融物、ならびに金属、例えばナトリウム、水銀および種々の金属の合金の溶融物が考慮される。しかし、イオン液体または熱媒油も使用可能である。熱交換媒体の温度は、220℃から490℃の間、好ましくは300℃から450℃の間、特に好ましくは350℃から420℃の間である。
進行する反応が発熱であるため、反応中の反応器内部の特定区間の温度は、熱交換媒体の温度よりも高い可能性があり、いわゆるホットスポットが生じる。ホットスポットの位置および程度は、反応条件によって定められるが、触媒層の希釈比によってか、または混合ガスの流量によって制御することもできる。ホットスポットの温度と熱交換媒体の温度との差は、一般的に1℃から150℃の間、好ましくは10℃から100℃の間、特に好ましくは20℃から80℃の間である。触媒床の端部の温度は、一般的に、熱交換媒体の温度を0℃から100℃の間、好ましくは0.1℃から50℃の間、特に好ましくは1℃から25℃の間上回っている。
オキシ脱水素化は、先行技術から公知のあらゆる固定床反応器、例えば箱形炉、固定床管型反応器または多管式反応器、またはプレート式熱交換器反応器内で実施されてよい。多管式反応器が好ましい。
好ましくは、酸化的脱水素化は、固定床管型反応器または固定床多管式反応器内で実施される。反応管は、(多管式反応器の他の構成要素と同様に)、一般的に鋼製である。反応管の壁厚は、一般的に1mmから3mmまでである。その内径は、一般的に(一様に)10mmから50mmまでか、または15mmから40mmまでか、しばしば20mmから30mmまでである。多管式反応器内に収納される反応管の数は、一般的に、少なくとも1000個、または3000個、または5000個に達し、好ましくは少なくとも10000個に達する。しばしば、多管式反応器内に収納される反応管の数は、15000個から30000個まで、または40000個まで、または50000個までである。反応管の長さは、通常の場合、数メートルに及び、一般的に、反応管の長さは、1mから8mまで、しばしば2mから7mまで、多くの場合2.5mから6mまでの範囲である。
さらに、ODH反応器に組み込まれている触媒層は、個々の層からなるか、または2つ以上の層からなっていてよい。これらの層は、触媒のみからなるか、または出発ガス流もしくは反応の生成物ガスの成分と反応しない材料で希釈されていてよい。さらに、触媒層は、中実材触媒(Vollmaterialkatalysator)または担持されたシェル型触媒からなってよい。
酸化的脱水素化を離れる生成物ガス流は、ブタジエンの他に、一般的にさらに未反応の1−ブテンおよび2−ブテン、酸素ならびに水蒸気を含む。副成分として、生成物ガス流は、さらに、一般的に一酸化炭素、二酸化炭素、不活性ガス(主に窒素)、低沸点炭化水素、例えばメタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン、ブタンおよびイソブタン、場合によって水素ならびに場合によって酸素含有炭化水素、いわゆる酸素化物を含む。酸素化物は、例えばホルムアルデヒド、フラン、酢酸、無水マレイン酸、ギ酸、メタクロレイン、メタクリル酸、クロトンアルデヒド、クロトン酸、プロピオン酸、アクリル酸、メチルビニルケトン、スチレン、ベンズアルデヒド、安息香酸、無水フタル酸、フルオレノン、アントラキノンおよびブチルアルデヒドであってよい。
反応器出口での生成物ガス流は、触媒床の端部の温度に近い温度であることを特徴としている。その場合、生成物ガス流は、150℃から400℃まで、好ましくは160℃から300℃まで、特に好ましくは170℃から250℃までの温度になる。所望の範囲内の温度を保つために、生成物ガス流が流れる配管を断熱するか、または熱交換器を使用することが可能である。この熱交換器系は、この系によって生成物ガスの温度を所望のレベルで保つことができる限りは任意である。熱交換器の例としては、スパイラル式熱交換器、プレート式熱交換器、二重管式熱交換器、多管式熱交換器、ボイラー・コイル式熱交換器(Kessel−Spiralwaermetauscher)、ボイラー・ジャケット式熱交換器(Kessel−Mantelwaermetauscher)、液液接触熱交換器、空気熱交換器、直接接触式熱交換器ならびにフィンチューブ熱交換器を挙げることができる。生成物ガスの温度が所望の温度に調節される間、生成物ガス中に含まれている高沸点副生成物の一部が沈殿することがあるため、したがって、熱交換器系は、好ましくは2つ以上の熱交換器を有していることが望ましい。設けられる2つ以上の熱交換器が並列に配置されており、得られた生成物ガスを熱交換器で分散冷却することが可能である場合、熱交換器内に析出される高沸点副生成物の量が減少し、その結果、熱交換器の運転期間を延長することができる。上述の手法の代替案として、設けられる2つ以上の熱交換器は、並列に配置されていてよい。生成物ガスは、1つまたは複数の、ただしすべてではない、熱交換器に供給され、これらの熱交換器は、ある程度の運転期間の後、別の熱交換器と交代される。この手法の場合、冷却を継続することができ、反応熱の一部を回収することができ、それと平行して、熱交換器のうちの1つに析出した高沸点副生成物を除去することができる。上述の有機溶媒としては、高沸点副生成物を溶解することができる溶媒が使用されてよい。例えば、芳香族炭化水素溶媒、例えばトルエンおよびキシレン、ならびにアルカリ性水性溶媒、例えば水酸化ナトリウムの水溶液である。
続いて、生成物ガス流から、冷却および圧縮によって高沸点副成分および水の大部分が分離される。この段階は、以下において急冷とも呼ばれる。この急冷は、1つの段階からのみなるか、または複数の段階からなってよい。冷却は、冷媒、好ましくは有機溶媒との接触により行われてよい。冷却媒体としては、有機溶媒、好ましくは芳香族炭化水素、特に好ましくはトルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、モノエチルベンゼン、ジエチルベンゼンおよびトリエチルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、ならびにモノイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、またはそれらの混合物が使用される。さらに、1013.25hPaで120℃超の沸点を有する芳香族炭化水素またはそれらの混合物が好ましい。
2段階の急冷、すなわち、段階Ca)が2つの冷却段階Ca1)およびCa2)を含み、それらの段階において生成物ガス流bが有機溶媒と接触されるのが好ましい。
一般的に、生成物ガスは、急冷の前の熱交換器の存在および温度レベルに応じて、100℃から440℃までの温度を有している。生成物ガスは、第一の急冷段階で冷却媒体と接触される。ここで、冷却媒体は、生成物ガスとの可能な限り効率的な混合を達成するためにノズルを通して導入されてよい。同じ目的のために、急冷段階において、内部構造体、例えば生成物ガスおよび冷却媒体がともに通過するさらなるノズルが導入されていてよい。急冷への冷媒入口は、冷媒入口の領域での析出物による閉塞が最小限に抑えられるように設計されている。
一般的に、生成物ガスは、第一の急冷段階において、5℃から180℃まで、好ましくは30℃から130℃まで、さらにより好ましくは60℃から110℃までに冷却される。入口での冷却媒体の温度は、一般的に25℃から200℃まで、好ましくは40℃から120℃まで、とりわけ好ましくは50℃から90℃までであってよい。第一の急冷段階における圧力は、特に制限されないが、一般的に0.01bar(ゲージ圧)から4bar(ゲージ圧)まで、好ましくは0.1bar(ゲージ圧)から2bar(ゲージ圧)まで、特に好ましくは0.2bar(ゲージ圧)から1bar(ゲージ圧)までである。大量の高沸点副生成物が生成物ガス中に存在している場合、高沸点副生成物は重合し、高沸点副生成物によってこの方法区間で引き起こされる固形物の析出を容易にもたらす。一般的に、急冷段階は、冷却塔として構成されている。冷却塔で使用される冷却媒体は、しばしば循環されて使用される。冷却媒体の循環流量(単位時間当たりのリットル)は、ブタジエンの質量流量(単位時間当たりのグラム)を基準として、一般的に0.0001l/gから5l/gまで、好ましくは0.001l/gから1l/gまで、特に好ましくは0.002l/gから0.2l/gまでであってよい。
底部の冷却媒体の温度は、一般的に27℃から210℃まで、好ましくは45℃から130℃まで、とりわけ好ましくは55℃から95℃までであってよい。冷却媒体の副成分による負荷は、時間の経過とともに増加するため、負荷された冷却媒体の一部は、循環からパージ流として取り除かれ、循環量は、負荷されていない冷却媒体の添加により一定に保つことができる。流出量と添加量の比は、生成物ガスの蒸気負荷および第一の急冷段階の端部での生成物ガス温度に依存する。
生成物ガスの温度、圧力および含水率に応じて、第一の急冷段階において水の凝縮が起こることがある。この場合、さらに水溶性の副成分を含みうる、さらなる水相が形成しうる。これは、その後、急冷段階の底部で取り除くことができる。第一の急冷段階で水相が形成されない運転が好ましい。
冷却された、場合によって副成分が減少した生成物ガス流は、ここで、第二の急冷段階に供給されてよい。この急冷段階では、生成物ガス流は、ここで、再び冷却媒体と接触されてよい。
冷媒の選択は、特に制限されていない。冷却媒体として、好ましくは有機溶媒、好ましくは芳香族炭化水素、特に好ましくはトルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、モノエチルベンゼン、ジエチルベンゼンおよびトリエチルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、ならびにモノイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、またはそれらの混合物が使用される。さらに、1013.25hPaで120℃超の沸点を有する芳香族炭化水素、またはそれらの混合物が好ましい。
一般的に、生成物ガスは、第二の急冷段階のガス出口までに、5℃から100℃までに、好ましくは15℃から85℃までに、さらにより好ましくは30℃から70℃までに冷却される。冷媒は、生成物ガスに対して向流で供給されてよい。この場合、冷媒入口での冷却媒体の温度は、5℃から100℃まで、好ましくは15℃から85℃まで、とりわけ好ましくは30℃から70℃までであってよい。第二の急冷段階における圧力は、特に制限されないが、一般的に0.01bar(ゲージ圧)から4bar(ゲージ圧)まで、好ましくは0.1bar(ゲージ圧)から2bar(ゲージ圧)まで、特に好ましくは0.2bar(ゲージ圧)から1bar(ゲージ圧)までである。第二の急冷段階は、好ましくは冷却塔として構成されている。冷却塔で使用される冷却媒体は、しばしば循環されて使用される。冷却媒体の循環流量(単位時間当たりのリットル)は、ブタジエンの質量流量(単位時間当たりのグラム)を基準として、一般的に、0.0001l/gから5l/gまで、好ましくは0.3001l/gから1l/gまで、特に好ましくは0.002l/gから0.2l/gまでであってよい。
生成物ガスの温度、圧力および含水率に応じて、第二の急冷段階において水の凝縮が起こることがある。この場合、さらに水溶性の副成分を含みうるさらなる水相が形成しうる。これは、その後、急冷段階の底部で取り除くことができる。底部の冷却媒体の温度は、一般的に20℃から210℃まで、好ましくは35℃から120℃まで、とりわけ好ましくは45℃から85℃までであってよい。冷却媒体の副成分による負荷は、時間の経過とともに増加するため、負荷された冷却媒体の一部は、循環からパージ流として取り除かれ、循環量は、負荷されていない冷却媒体の添加により一定に保つことができる。
生成物ガスと冷却媒体の可能な限り良好な接触を達成するために、内部構造体が第二の急冷段階に存在していてよい。そのような内部構造体としては、例えばバブルキャップトレイ、遠心トレイおよび/またはシーブトレイ、規則充填物、例えば100m2/m3から1000m2/m3までの比表面積を有するシートメタル充填物、例えばMellapak(登録商標)250Yを備える塔、および不規則充填塔が挙げられる。
2つの急冷段階の冷媒循環路は、互いに分離されていても、互いに接続されていてもよい。例えば、前記流が、前記流に供給されるか、または前記流に置き換えられてよい。循環流の所望の温度は、好適な熱交換器によって調節することができる。
つまり、本発明の好ましい実施形態では、冷却段階Ca)は2段階で実施され、ここで、第二の段階Ca2)の副成分で負荷された冷媒は、第一の段階Ca1)に導入される。第二の段階Ca2)から取り出された冷媒は、第一の段階Ca1)から取り出された冷媒より少ない副成分を含んでいる。
急冷からオフガス管路への液状成分のエントレインメントを最小限に抑えるために、好適な構造上の対策、例えばデミスターの取り付けが講じられてよい。さらに、急冷において生成物ガスから分離されない高沸点物質は、他の構造上の対策、例えばさらなるガス洗浄作業によって生成物ガスから除去することができる。
n−ブタン、1−ブテン、2−ブテン類、ブタジエン、酸素、水素、水蒸気、少量のメタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン、イソブタン、炭素酸化物、不活性ガス、および急冷で使用される冷媒の一部を含むガス流が得られる。さらに、急冷において定量的に分離されなかった微量の高沸点成分が、このガス流中に残留していることがある。そのような高沸点成分には、例えばメチルビニルケトン、メチルエチルケトン、クロトンアルデヒド、アクリル酸、プロピオン酸、無水マレイン酸、エチルベンゼン、スチレン、フラノン、安息香酸、ベンズアルデヒド、フルオレノンおよびアントラキノンが含まれる。さらに、このガス流は、ホルムアルデヒド、メタクロレインおよび/またはフランを含んでよい。
続いて、高沸点副成分が減少した冷却工程Ca)からのガス流b’が、工程Cb)において、少なくとも1つの圧縮段階Cba)で、および好ましくは少なくとも1つの冷却段階Cbb)で冷却される。
急冷からの生成物ガス流は、少なくとも1つの圧縮段階で圧縮され、続いて、冷却装置でさらに冷却され、ここで、水を含む少なくとも1つの凝縮液流が生じる。急冷で、水とは異なる冷媒が使用される場合、さらに、急冷で使用される冷媒は、凝縮されて、場合によって別個の相を形成することがある。ブタジエン、1−ブテン、2−ブテン類、酸素、水蒸気、場合によって低沸点炭化水素、例えばメタン、エタン、エテン、プロパンおよびプロペン、ブタンおよびイソブタン、場合によって炭素酸化物および場合によって不活性ガスを含むガス流が残留する。さらに、この生成物ガス流は、依然として微量の高沸点成分を含んでいることがある。
ガス流の圧縮および冷却は、1段階または多段階(n段階)で行われてよい。一般的に、総じて1.0bar(絶対圧)から4.0bar(絶対圧)の範囲の圧力から3.5(絶対圧)から20bar(絶対圧)までの範囲の圧力に圧縮される。それぞれの圧縮段階後に冷却段階が行われ、この冷却段階では、ガス流は、15℃から60℃までの範囲の温度に冷却される。冷却は、好ましくは冷媒である有機溶媒との接触により行われる。代替的に、熱交換器が使用されてもよい。したがって、凝縮液流は、多段階の圧縮で複数の流を含んでいてもよい。凝縮液流は、大部分が水(水相)と場合によって急冷で使用される冷媒(有機相)とからなる。両方の流(水相および有機相)は、その他に副成分、例えば低沸点物、C4−炭化水素、酸素化物および炭素酸化物をわずかに含んでいてよい。
前記流を冷却するため、および/またはさらなる副成分を前記流から除去するために、凝縮された急冷冷媒は、熱交換器内で冷却され、冷媒として前記装置に返送されてよい。この冷却媒体の副成分による負荷は、時間の経過とともに増加するため、負荷された冷却媒体の一部は、循環から取り除かれ、冷却媒体の循環量は、負荷されていない冷媒の添加により一定に保つことができる。
したがって、冷却媒体として添加される冷媒は、同じく、好ましくは急冷冷媒として使用される芳香族炭化水素溶媒からなる。
凝縮液流は、急冷の循環流に返送されてよい。それによって、凝縮液流中に吸収されたC4−成分は、再びガス流に導入されて、それによって収率を高めることができる。好適な圧縮機は、例えばターボ圧縮機、回転ピストン式圧縮機、および往復ピストン式圧縮機である。圧縮機は、例えば電動機、エキスパンダまたはガスタービンまたは蒸気タービンで動かすことができる。1つの圧縮機段当たりの一般的な圧縮比率(出口圧:入口圧)は、構造様式に応じて1.5から3.0の間である。圧縮されたガスの冷却は、有機溶媒でパージされた熱交換器または有機溶媒での急冷段階を使用して行われ、これらは、例えば多管式熱交換器、スパイラル式熱交換器またはプレート式熱交換器の形態をとるものであってよい。ここで、冷媒として、熱交換器内では冷却水または熱媒油が使用される。さらに、送風機を用いる空気冷却器が使用されるのが好ましい。
ブタジエン、n−ブテン類、酸素、低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン)、水蒸気、場合によって炭素酸化物ならびに場合によって不活性ガス、および場合によって微量の副成分を含むガス流c2は、流出流としてさらなる後処理に供給される。
工程Da)では、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン)、炭素酸化物および不活性ガスを含む非凝縮性ガス成分および低沸点ガス成分が、吸収塔K1において高沸点吸収剤A1である芳香族炭化水素溶媒中へのC4−炭化水素の吸収、およびそれに続くC4−炭化水素の脱着により、プロセスガス流c2から分離される。好ましくは、工程Da)は、工程Daa)からDac)までを含む:
Daa)ブタジエンおよびn−ブテン類を含むC4−炭化水素を吸収剤A1である芳香族炭化水素溶媒中に吸収させ、ここで、C4−炭化水素で負荷された吸収剤流A1’およびガス流d2を得る工程、
Dab)工程Daa)からのC4−炭化水素で負荷された吸収剤流A1’から、非凝縮性ガス流を使用するストリッピングにより酸素を除去する工程、および
Dac)負荷された吸収剤流A1’からC4−炭化水素を脱着し、ここで、実質的にC4−炭化水素からなるC4−生成物ガス流d1を得る工程。
そのためには、吸収段階において、ガス流c2は、吸収剤A1と接触されて、C4−炭化水素は吸収剤A1中に吸収され、ここで、C4−炭化水素で負荷された吸収剤A1’と、少なくとも部分的に、循環ガス流として酸化的脱水素化に返送されるその他のガス成分を含むガス流d2が得られる。脱着段階では、C4−炭化水素は、負荷された吸収剤A1’から再び放出される。
吸収剤A1としては、有機溶媒、好ましくは芳香族炭化水素、特に好ましくはトルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、モノエチルベンゼン、ジエチルベンゼンおよびトリエチルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、ならびにモノイソプロイルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、またはそれらの混合物が使用される。さらに、1013.25hPaで120℃超の沸点を有する芳香族炭化水素またはその混合物が好ましい。とりわけ、冷却段階Ca)で有機溶媒が使用される場合、分離段階Da)では、先行する冷却段階Ca)と同じ芳香族炭化水素溶媒が使用される。好ましい吸収剤は、少なくとも1000ppm(活性酸素mg/溶媒kg)の有機過酸化物に対する溶解力を有している溶媒である。好ましい実施形態では、吸収剤A1としてメシチレンが使用される。
吸収段階は、それぞれ任意の、当業者に公知の好適な吸収塔で実施されてよい。吸収は、生成物ガス流を吸収剤に単に通すことにより行うことができる。しかし、吸収を、塔内で、または回転吸収器(Rotationsabsorber)内で行うこともできる。ここで、並流、向流または十字流で操作されてよい。好ましくは、吸収は向流で実施される。好適な吸収塔は、例えばバブルキャップトレイ、遠心トレイおよび/またはシーブトレイを備える棚段塔、規則充填物、例えば100m2/m3から1000m2/m3までの比表面積を有するシートメタル充填物、例えばMellapak(登録商標)250Yを備える塔、および不規則充填塔である。しかし、かん液塔(Rieseltuerme)および噴霧塔、グラファイトブロック吸収器、表面吸収器、例えば厚膜吸収器および薄膜吸収器、ならびに回転塔、ディスクスクラバー、クロススプレースクラバー(Kreuzschleierwaescher)および回転スクラバーも考慮される。
好ましくは、吸収塔K1は、バブルキャップトレイ、遠心トレイおよび/もしくはシーブトレイを備える棚段塔、または規則充填物を備える塔もしくは不規則充填塔であり、特に好ましくは規則充填物を備える塔である。それらは、一般的に10から40までの理論段を有している。吸収塔K1は、一般的に5barから15barまで、好ましくは8barから12barまでの圧力で運転される。塔K1に導入される吸収剤A1の温度は、一般的に5℃から50℃まで、好ましくは20℃から40℃までである。
1つの実施形態では、吸収塔K1は、下部領域に、ブタジエン、n−ブテン類および低沸点ガス成分および非凝縮性ガス成分を含むガス流c2が供給される。吸収塔の上部領域には、吸収剤が送り込まれる。
吸収塔K1の頂部でガス流d2が取り除かれ、このガス流は、実質的に水蒸気、酸素、低沸点炭化水素(メタン、エタン、エテン、プロパン、プロペン)、芳香族炭化水素溶媒、場合によってC4−炭化水素(ブタン、ブテン類、ブタジエン)、場合によって不活性ガス、および場合によって炭素酸化物を含む。この物質流は、本発明によれば、さらなる塔K2において、芳香族炭化水素溶媒のための液状の吸収剤A2と接触され、続いて、少なくとも部分的に、循環ガス流a2としてODH反応器に供給される。それによって、例えばODH反応器の入口流は、所望のC4−炭化水素含有率に調節することができる。一般的に、場合によってパージガス流の分離後、少なくとも30体積%、好ましくは少なくとも50体積%のガス流d2が循環ガス流a2として酸化的脱水素化帯域に返送される。パージガス流は、熱または触媒による後燃焼(Nachverbrennung)に供されてよい。とりわけ、パージガス流は、発電所で熱利用されてよい。
一般的に、返送流は、酸化的脱水素化B)に供給されるすべての物質流の合計を基準として10体積%から70体積%まで、好ましくは30体積%から60体積%までである。
本発明によれば、循環ガス流a2中の芳香族炭化水素溶媒の含有率は、分離段階Da)を離れるガス流d2が、さらなる塔K2において芳香族炭化水素溶媒のための液状の吸収剤A2と接触されることによって、1体積%未満に制限され、ここで、さらなる塔K2における吸収剤A2の含水率は、最大50質量%に制限される。これは、
(i)水を含む吸収剤A2の一部をさらなる塔K2から連続的に取り除いて、水を含まないか、もしくは水をあまり多く含まない新しい吸収剤A2に置き換える;または
(ii)水を含む吸収剤を相分離器において吸収剤相と水相とに分別し、水相を分離して、吸収剤相を再びさらなる塔に送り込む;相分離器は、別個の相分離器であるか、もしくはさらなる塔の塔底部に組み込まれていてよい、または
(iii)水を含む吸収剤流A2の一部を塔K2から吸収塔K1に導入する
ことによって行うことができる。
好適な吸収剤は、有機溶媒、好ましくは芳香族炭化水素、特に好ましくはトルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、モノエチルベンゼン、ジエチルベンゼンおよびトリエチルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、ならびにモノイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼンのあらゆる考えられる構造異性体、またはそれらの混合物である。好ましい吸収剤は、少なくとも1000ppm(活性酸素mg/溶媒kg)の有機過酸化物に対する溶解力を有する溶媒である。特に好ましい実施形態では、吸収剤A2としてメシチレンが使用される。とりわけ、さらなる塔K2では、吸収剤A2として、吸収塔K1でも吸収剤A1として使用されるのと同じ芳香族炭化水素溶媒が使用される。
さらなる吸収塔K2としては、例えばバブルキャップトレイ、遠心トレイおよび/またはシーブトレイを有する棚段塔、規則充填物、例えば100m2/m3から1000m2/m3までの比表面積を有するシートメタル充填物、例えばMellapak(登録商標)250Yを備える塔、および不規則充填塔が好適である。これらは、一般的に、1から15の理論段を有している。さらなる塔K2は、一般的に、5barから15barまでの圧力、好ましくは8barから12barまでの圧力で運転される。塔K2に導入される吸収剤A2の温度は、一般的に、0℃から30℃まで、好ましくは5℃から15℃までである。
塔K1および塔K2が同じ圧力で運転される場合、塔K2に送り込まれる吸収剤A2の温度は、一般的に、塔K1に送り込まれる吸収剤A1の温度よりも1℃から50℃まで、好ましくは20℃から30℃まで低い。
第一の変法(i)では、水を含む吸収剤A2の一部はさらなる塔K2から連続的に取り除かれて、水を含まないか、または水をあまり多く含まない新しい吸収剤A2に置き換えられる。一般的に、取り除かれ、再び塔K2に送り込まれない、水を含む吸収剤流A2の一部は、吸収剤A2の全体流の0.1%から10%までである。取り除かれた流は、選択的に、塔K1または溶媒再生に運ばれる。
第二の変法(ii)では、水を含む吸収剤は相分離器において吸収剤相と水相とに分別され、水相が分離されて、吸収剤相は再びさらなる塔K2に送り込まれる。相分離器は、別個の相分離器であるか、またはさらなる塔K2の塔底部に組み込まれていてよい。
第三の変法(iii)では、水を含む吸収剤の一部は、塔K2から吸収塔K1に導入される。2つの別個の塔である場合、塔K2からの底部流出物の一部は、塔K1に導入される。しかし、オーバーフローによって、塔K2からの流の一部が塔K1に流出してよい一方、流の残分は取り除かれて、再び、塔K2の頂部に導入され、ここで、塔K2および塔K1は、ただ1つの組み合わされた塔の塔区間である。1つの実施形態では、この組み合わされた塔は、塔区間K1とK2との間にチムニートレイ(Kaminboden)を含む。一般的に、吸収塔K1に導入されて、再び塔K2に送り込まれない、水を含む吸収剤A2の一部は、吸収剤流A2の全体流の0.1%から10%までである。
吸収塔K1の底部では、さらなる塔K3において、ガスによるパージングにより、吸収剤中に溶解した酸素の残分が排出されうる。残留する酸素の割合は、好ましくは小さいため、脱着塔を離れる、ブタン、ブテン類ならびにブタジエンを含む流d1は、酸素をわずかに最大100ppmしか含まない。
工程Dab)における酸素のストリッピング除去は、当業者に公知の任意のあらゆる好適な塔で実施されてよい。ストリッピングは、非凝縮性ガス、好ましく不活性ガス、例えば窒素を、負荷された吸収溶液に単に通すことによって行うことができる。ともにストリッピング除去されたC4−炭化水素は、吸収塔の上部で洗浄されて、ガス流をこの吸収塔に返送することによって、吸収溶液に戻される。これは、ストリッピング塔の配管によっても、ストリッピング塔を吸収塔の下部に直接取り付けることによっても行うことができる。ストリッピング塔部および吸収塔部における圧力が、本発明によれば同じであるため、この直接連結を行うことができる。好適なストリッピング塔は、例えばバルブキャップトレイ、遠心トレイおよび/またはシーブトレイを備える棚段塔、規則充填物、例えば100m2/m3から1000m2/m3までの比表面積を有するシートメタル充填物、例えばMellapak(登録商標)250Yを備える塔、および不規則充填塔である。しかし、かん液塔および噴霧塔、ならびに回転塔、ディスクスクラバー、クロススプレースクラバーおよび回転スクラバーも考慮される。好適なガスは、例えば窒素またはメタンである。
4−炭化水素で負荷された吸収剤流A1’は、水を含む。この水は、デカンター内で流として吸収剤A1’から分離されるため、吸収剤中に溶解した水しか含んでいない流が得られる。
4−炭化水素で負荷された、水がほとんど除去された吸収剤流A1’は、熱交換器内で加熱され、続いて、脱着塔に運ばれてよい。1つの方法変法では、脱着工程Dc)は、負荷された吸収剤の放圧および/または加熱により実施される。好ましい方法変法は、脱着塔の底部でリボイラ−を利用することである。
脱着段階で再生された吸収剤A1は、熱交換器内で冷却されて、吸収段階に返送されてよい。プロスセスガス流中に存在している低沸点物、例えばエタンまたはプロパンならびに高沸性成分、例えばベンズアルデヒド、無水マレイン酸および無水フタル酸は、循環流中に蓄積することがある。蓄積を制限するために、パージ流が取り除かれてよい。このパージ流は、先行技術による蒸留塔内で、低沸点物と、再生された吸収剤と、高沸点物とに分別することができる。
実質的にn−ブタン、n−ブテン類およびブタジエンからなるC4−生成物ガス流d1は、一般的に20体積%から80体積%までのブタジエン、0体積%から80体積%までのn−ブタン、0体積%から10体積%までの1−ブテン、および0体積%から50体積%までの2−ブテン類を含み、ここで、総量は、100体積%である。さらに、少量のイソブタンが含まれていてよい。
脱着塔の、凝縮された、主にC4−炭化水素を含む頂部排出物の一部は、塔の分離性能を高めるために、塔頂部に返送される。
凝縮器を離れる液状もしくはガス状のC4−生成物流は、続いて、ブタジエンのための選択溶媒を使用する工程E)の抽出蒸留により、ブタジエンおよび選択溶媒を含む物質流と、n−ブテン類を含む物質流とに分別することができる。
抽出蒸留は、例えば「Erdoel und Kohle−Erdgas−Petrochemie」、34(8)巻、343〜346ページ、または「Ullmanns Enzyklopaedie der Technischen Chemie」、9巻、第4版 1975、1〜18ページに記載の通りに実施されてよい。そのために、C4−生成物ガス流は、抽出剤、好ましくはN−メチルピロリドン(NMP)/水混合物と、抽出帯域で接触される。抽出帯域は、一般的に、棚段、不規則充填物または規則充填物を内部構造体として含む洗浄塔の形態で構成されている。この洗浄塔は、一般的に30から70までの理論分離段を有し、それによって充分に良好な分離作用が達成される。好ましくは、洗浄塔は、塔頂部に逆洗帯域を有している。この逆洗帯域は、気相中に含まれる抽出剤を、液状の炭化水素還流を使用して回収するために用いられ、そのために、塔頂留分は、あらかじめ凝縮される。抽出帯域の供給流中の抽出剤対C4−生成物ガス流の質量比は、一般的に10:1から20:1までである。抽出蒸留は、好ましくは100℃から250℃までの範囲の底部温度、とりわけ110℃から210℃までの範囲の温度、10℃から100℃までの範囲の頂部温度、とりわけ20℃から70℃までの範囲の頂部温度、および1barから15barまでの範囲の圧力、とりわけ3barから8barまでの範囲の圧力で運転される。抽出蒸留塔は、好ましくは5から70までの理論分離段を有している。
好適な抽出剤は、ブチロラクトン、ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリル、ケトン、例えばアセトン、フルフラール、N−アルキル置換低級脂肪族酸アミド、例えばジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、N−ホルミルモルホリン、N−アルキル置換環状酸アミド(ラクタム)、例えばN−アルキルピロリドン、とりわけN−メチルピロリドン(NMP)である。一般的に、アルキル置換低級脂肪族酸アミドまたはN−アルキル置換環状酸アミドが使用される。特に有利であるのは、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、フルフラールであり、とりわけNMPである。
しかし、これらの抽出剤同士の混合物、例えばNMPとアセトニトリルの混合物、これらの抽出剤と助溶媒および/またはtert−ブチルエーテル、例えばメチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、プロピル−tert−ブチルエーテル、n−ブチル−tert−ブチルエーテルまたはイソブチル−tert−ブチルエーテルとの混合物が使用されてもよい。特に好適であるのは、NMPであり、好ましくは水溶液として、好ましくは0質量%から20質量%までの水を含む、特に好ましくは7質量%から10質量%までの水を含む、とりわけ8.3質量%の水を含む水溶液としてのNMPである。
抽出蒸留塔の頂部生成物流は、実質的にブタンおよびブテン類および少量のブタジエンを含んでおり、ガス状または液状で取り除かれる。一般的に、実質的にn−ブタンおよび2−ブテンからなる流は、100体積%までのn−ブタン、0体積%から50体積%までの2−ブテン、0体積%から3体積%までの他の成分、例えばイソブタン、イソブテン、プロパン、プロペンおよびC5 +−炭化水素を含む。
実質的にn−ブタンおよび2−ブテンからなる流は、すべてまたは部分的にODH反応器のC4−供給物に供給されてよい。この返送流のブテン異性体は、実質的に2−ブテン類からなり、2−ブテン類は、一般的に酸化的脱水素化してブタジエンになるのが1−ブテンより遅いため、この返送流は、ODH反応器に供給される前に、接触異性化されうる。それによって、異性体分布は、熱力学的平衡で存在している異性体分布に相応して調節されうる。
工程F)では、ブタジエンおよび選択溶媒を含む物質流は、実質的に選択溶媒からなる物質流と、ブタジエンを含む物質流とに蒸留分離される。
抽出蒸留塔の底部で得られる物質流は、一般的に抽出剤、水、ブタジエンおよび少ない割合のブテン類およびブタンを含み、蒸留塔に供給される。この蒸留塔内で、ブタジエンは、頂部を介してか、または側方排出物として得ることができる。蒸留塔の底部では、抽出剤および場合によって水を含む物質流が生じ、ここで、抽出剤および水を含む物質流の組成は、抽出に添加されるものの組成に相当する。抽出剤および水を含む物質流は、好ましくは抽出蒸留に返送される。
ブタジエンが、側方排出部を介して得られる場合、そのようにして取り除かれた抽出溶液は脱着帯域に運ばれ、ここで、ブタジエンは、抽出溶液から再度脱着されて逆洗される。脱着帯域は、例えば洗浄塔の形態で構成されていてよく、2から30まで、好ましくは5から20までの理論段を有し、場合によって例えば4の理論段を備える逆洗帯域を有している。この逆洗帯域は、気相中に含まれる抽出剤を、液状の炭化水素還流を使用して回収するために用いられ、そのために、頂部留分は、あらかじめ凝縮される。内部構造体として、規則充填物、棚段または不規則充填物が設けられている。蒸留は、好ましくは100℃から300℃までの範囲、とりわけ150℃から200℃までの範囲の底部温度、および0℃から70℃までの範囲、とりわけ10℃から50℃までの範囲の頂部温度で実施される。蒸留塔内の圧力は、ここでは、好ましくは1barから10barまでの範囲である。一般的に、脱着帯域では、抽出帯域と比べて減少した圧力および/または高められた温度が優勢である。
塔頂で得られた有価生成物流は、一般的に90体積%から100体積%までのブタジエン、0体積%から10体積%までの2−ブテン、0体積%から10体積%までのn−ブタンおよびイソブタンを含む。ブタジエンをさらに精製するために、先行技術によるさらなる蒸留が実施されてよい。
実施例
本発明による方法の1つの変法は、図1に示されている。
圧縮機を離れるプロセス混合ガスは、64℃および流1として第1表に示される組成を有するものであり、60段を有する吸収塔22の第30段目でこの吸収塔に入る。塔の頂部圧力は、10bar(絶対圧)である。塔は、バブルキャップトレイを含む。吸収塔では、プロセスガス流は、主に水で飽和されたメシチレンからなる上部で供給された負荷されていない吸収剤流10に対して向流で流れる。ここで、吸収剤は、好ましくはC4−炭化水素および少ない割合の非凝縮性ガスを吸収する。吸収剤流10の質量対プロセスガス流1の質量の比は、2.2:1である。非凝縮性ガスは、吸収塔を主に流3として塔の頂部を介して、35℃の温度および第1表に記載の組成で離れる。ここで、オフガス流3中のメシチレン濃度をさらに下げるために、このオフガス流は、さらなる吸収塔25に運ばれて、流17との接触でさらに冷却される。次に、結果として生じるオフガス流20は、わずか80モルppmのメシチレンを有しているにすぎない。本発明によれば、凝縮された水が回路17から排出されることが重要である。このことは、排出部18または吸収塔22への返送21によって可能である。回路17中で、吸収塔22の回路におけるのと同じ吸収剤が使用され、吸収剤と水からなる回路17の一部が流21として吸収塔22に導入されることが特に有利であることが判明した。この排出物流21および回路17に流19として供給される新しい吸収剤によって、42.3モル%の最大水濃度を維持することができる。したがって、回路17は、高い過酸化物溶解挙動を有する有機吸収剤を充分に多く有している。
窒素流2によって、C4−炭化水素で負荷された吸収剤流から酸素が脱着される。充分に酸素が除去された、C4−炭化水素で負荷された吸収剤流4は、熱交換器28内で加熱されて、流7として脱着塔26に導入される。そこで、C4−炭化水素は、ストリッピング蒸気流6によって吸収剤流から除去されて、塔26を流13として離れる。この流は、凝縮器29内で部分的に凝縮されて、ここで、ガス流15が残留する。凝縮液の一部は、流16として脱着塔26に返送される一方、流14は、C4−生成物流である。
吸収剤および水は、脱着塔26を流8として離れ、熱交換器27内で冷却され、ここで、流9が生じ、この流9は、相分離器24内で吸収剤流10(吸収塔に返送される)と、水性流26とに分けられる。吸収剤流から、さらに部分流5が溶媒再生のために取り除かれてよい。水性流(この水性流から部分流30が取り除かれてよい)は、蒸気発生器26内で気化されて流6にされる。さらに清水流11が蒸気発生器26に加えられてよい。
Figure 2018509456
Figure 2018509456
1 O2、N2、C4、CO、CO2、H2Oを含むプロセスガス流、
2 ストリッピング媒体、非凝縮性ガス(例えば窒素、メタンまたは同様のガス)、
3 O2、N2、CO、CO2を含むオフガス流、
4 C4−炭化水素で負荷された吸収溶液(冷)、
5 負荷されていない吸収溶液の排出物、
6 負荷されていない水(気化された)、
7 C4−炭化水素で負荷された吸収溶液(加熱された)、
8 H2Oを含む、負荷されていない吸収溶液(加熱された)、
9 H2Oを含む、負荷されていない吸収溶液(冷)、
10 負荷されていない吸収溶液、
11 清水、
12 新しい吸収剤、
13 C4−流、ガス状、
14 抽出蒸留のための凝縮されたC4−流、
15 さらに不活性ガスを含む、抽出蒸留のためのガス状のC4−流、
16 C4−流、液状の還流、
17 吸収塔25を回る回路、
18 回路17からの排出物、
19 新しい吸収剤、
20 塔22からの流3よりもわずかな吸収剤を含むガス流、
21 塔25からの水および吸収剤を含む液体流、
22 ストリッピング塔が真下に取り付けられた吸収塔、
23 脱着塔、
24 吸収剤液体10と水6とを分離するためのデカンター、
25 ガス流3中の吸収剤濃度を下げるための吸収塔、
26 蒸気発生器、
27 熱交換器、
28 熱交換器、
29 凝縮器、
30 水排出物

Claims (14)

  1. 以下の工程:
    A)n−ブテン類を含む出発ガス流a1を準備する工程、
    B)n−ブテン類を含む出発ガス流a1と、酸素含有ガスと、酸素含有循環ガス流a2とを少なくとも1つの酸化的脱水素化帯域に供給して、n−ブテン類を酸化的脱水素化してブタジエンにし、ここで、ブタジエン、未反応のn−ブテン類、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、高沸点副成分、場合によって炭素酸化物および場合によって不活性ガスを含む生成物ガス流bを得る工程、
    Ca)生成物ガス流bを冷却し、場合によって少なくとも部分的に高沸点副成分および水蒸気を分離し、ここで、生成物ガス流b’を得る工程、
    Cb)生成物ガス流b’を少なくとも1つの圧縮段階および冷却段階で圧縮および冷却し、ここで、少なくとも1つの水性凝縮液流c1と、ブタジエン、n−ブテン類、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、場合によって炭素酸化物および場合によって不活性ガスを含むガス流c2とを得る工程、
    Da)ブタジエンおよびn−ブテン類を含むC4−炭化水素を、吸収剤流A1である芳香族炭化水素溶媒中に吸収塔K1で吸収させて、水蒸気、酸素、低沸点炭化水素、場合によって炭素酸化物、芳香族炭化水素溶媒および場合によって不活性ガスを含む非凝縮性ガス成分および低沸点ガス成分をガス流d2としてガス流c2から分離し、ここで、C4−炭化水素で負荷された吸収剤流A1’およびガス流d2を得て、続いて、負荷された吸収剤流A1’からC4−炭化水素を脱着し、ここで、C4−生成物ガス流d1を得る工程、
    Db)ガス流d2を循環ガス流a2として前記酸化的脱水素化帯域に少なくとも部分的に返送する工程
    を含むn−ブテン類からブタジエンを製造するための方法において、循環ガス流a2中の芳香族炭化水素溶媒の含有率を、分離段階Da)を離れるガス流d2と、少なくとも部分的に循環される、芳香族炭化水素溶媒A1のための液状の吸収剤流A2とをさらなる塔K2で接触させることによって1体積%未満に制限し、かつ塔K2における液状の吸収剤流A2の含水率を最大80質量%に制限することを特徴とする、前記方法。
  2. さらなる塔K2における吸収剤流A2の含水率を、水を含む吸収剤流A2の部分流をさらなる塔K2から連続的に取り除き、水を含まないか、または水をあまり多く含まない新しい吸収剤A2に置き換えることによって最大80質量%に制限することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. さらなる塔K2における吸収剤流A2の含水率を、水を含む吸収剤A2を相分離器において吸収剤相と水相とに分別し、水相を分離して、吸収剤相を再びさらなる塔K2に送り込むことによって最大80質量%に制限することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 相分離器は、さらなる塔K2の塔底部に組み込まれていることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
  5. さらなる塔K2における吸収剤流A2の含水率を、水を含む吸収剤A2の部分流を塔K2から吸収塔K1に導入することによって最大80質量%に制限することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 工程Da)で吸収剤A1として使用される芳香族炭化水素溶媒は、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、モノエチルベンゼン、ジエチルベンゼンおよびトリエチルベンゼン、ならびにモノイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルベンゼンおよびトリイソプロピルベンゼン、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 芳香族炭化水素溶媒は、メシチレンであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 吸収剤A1およびA2として、同一の芳香族炭化水素溶媒が使用されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. 循環ガス流a2の割合は、酸化的脱水素化帯域に供給されるすべてのガス流の合計を基準として10体積%から70体積%までであることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. 工程Da)は、以下の工程Daa)からDac)まで:
    Daa)ブタジエンおよびn−ブテン類を含むC4−炭化水素を、吸収剤である芳香族炭化水素溶媒中に吸収させ、ここで、C4−炭化水素で負荷された吸収剤流とガス流d2とを得る工程、
    Dab)工程Daa)からのC4−炭化水素で負荷された吸収剤流から、非凝縮性ガス流を使用するストリッピングにより酸素を除去する工程、
    Dac)負荷された吸収剤流からC4−炭化水素を脱着し、ここで、実質的にC4−炭化水素からなるC4−生成物ガス流d1を得る工程
    を含むことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
  11. さらなる工程:
    E)C4−生成物流d1を、ブタジエンのための選択溶媒を使用する抽出蒸留により、ブタジエンおよび選択溶媒を含む物質流e1と、n−ブテン類を含む物質流e2とに分別する工程、
    F)ブタジエンおよび選択溶媒を含む物質流e2を蒸留して、選択溶媒を含む物質流f1と、ブタジエンを含む物質流f2とにする工程
    を含むことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
  12. 2つの塔K1およびK2は、組み合わされた塔の塔区間K1およびK2として構成されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
  13. 組み合わされた塔は、塔区間K1とK2との間にチムニートレイを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 塔K2における液状の吸収剤流の含水率を、最大50質量%に制限することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
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