JP5652151B2 - 共役ジエンの製造方法 - Google Patents
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Description
この反応は例えば以下の反応式に従って進行し、水が副生する。
C4H8+1/2O2→C4H6+H2O
n−ブテンの接触酸化脱水素反応によるブタジエンの製造は、工業的にはナフサ分解で副生するC4留分(C4炭化水素混合物。以下、「BB」と称す場合がある。)からのブタジエンの抽出分離プロセスにおいて、抽出蒸留塔でブタジエンを分離して得られた、1−ブテンの他、2−ブテン、ブタン等を含む混合物(以下、この混合物を「BBSS]と称す場合がある。)中に含まれるブテンからブタジエンを製造する方法が提案されている。
一方、特許文献3には、ブテンの酸化脱水素反応によるブタジエンの製造触媒として、モリブデン、鉄、ニッケル又はコバルトの少なくとも一種及びシリカを含む複合酸化物触媒が記載されているが、具体的なブタジエンの製造方法は記載されていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、n−ブテン等のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応によりブタジエン等の共役ジエンを製造する方法において、反応中にコークのような炭素分が触媒上に蓄積するのを防止し、安定的に運転が継続できる工業的に有利なブタジエンの製造方法を提供することを目的とする。
コーキング進行を緩和し、より安全に運転ができ、更に高い収率で安定的にブタジエンの製造を行うことができることを見出した。
[1] 炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合し、混合ガスを得て、該混合ガスを触媒層を有する反応器に供給し、酸化脱水素反応を行うことにより、対応する共役ジエンを含む生成ガスを得る共役ジエンの製造方法において、該反応器の生成ガス出口に最も近い箇所に設けられる触媒層の温度と反応器内の最高温度との比が0.935以上であって、且つ、該反応器内の触媒量に対する混合ガスの流量の比が1500〜5000h-1であることを特徴とする共役ジエンの製造方法。
[2] 反応温度が339℃以上であることを特徴とする[1]に記載の共役ジエンの製造方法。
[3] 前記触媒層が、触媒と反応性の無い固形物の混合物により形成されることを特徴とする[1]又は[2]のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
[4] 前記反応器内に、希釈率が異なる触媒層が2層以上存在することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
[5] 前記触媒が、少なくともモリブデン、ビスマス、およびコバルトを含有する複合酸化物触媒であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
[6] 前記複合酸化物触媒が、下記一般式(1)で表される複合酸化物触媒であること
を特徴とする[5]に記載の共役ジエンの製造方法。
(式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10(但し、c=0を除く)、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=0〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
ない。
本発明の共役ジエンの製造方法は、ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン等のn−ブテン、イソブテン)、ペンテン、メチルブテン、ジメチルブテン等の炭素原子数4以上、好ましくは炭素原子数4〜6のモノオレフィンの接触酸化脱水素反応による対応する共役ジエンの製造に有効に適用することができる。この中でも、ブテン、更には、n−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)からのブタジエンの製造に最も好適に用いられる。
ブテン)を分離して得られるn−ブテン(1−ブテン及び/又は2−ブテン)を主成分とする留分(BBSS又はBBRR)やn−ブタンの脱水素又は酸化脱水素反応により生成するブテン留分を使用することもできる。また、エチレンの2量化により得られる高純度の1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン又はこれらの混合物を含有するガスを原料ガスとして使用しても差し支えない。尚、このエチレンはエタン脱水素、エタノール脱水、又はナフサ分解などの方法で得られるエチレンを使用することができる。更に、石油精製プラントなどで原油を蒸留した際に得られる重油留分を、流動層状態で粉末状の固体触媒を使って分解し、低沸点の炭化水素に変換する流動接触分解 (Fluid Catalytic Cracking)から得られる炭素原子数4の炭化水素類を多く含むガス(以下、FCC−
C4と略記することがある)をそのまま原料ガスとする、又は、FCC−C4からリンや砒素などの不純物を除去したものを原料ガスとして使用しても差し支えない。ここでいう、主成分とは、原料ガスに対して、通常40体積%以上、好ましくは60体積%以上、より好ましくは75体積%以上、特に好ましくは99体積%以上を示す。
る場合がある。このときの保持時間を発火遅れ時間という。反応器周りを設計するときは原料配管や生成ガス配管の滞留時間が発火遅れ時間以下になるように設計する必要がある。発火遅れ時間は温度や圧力、組成に依存するので一概には言えないが、混合ガス配管の滞留時間は1000秒以下、生成ガス配管の滞留時間は10秒以下もしくは生成ガスを10秒以内に350℃以下に冷却することが望ましい。
<混合ガス組成>
n−ブテン:C4留分合計に対して50〜100vol%
C4留分合計:5〜15vol%
O2:C4留分合計に対して40〜120vol/vol%
N2:C4留分合計に対して500〜1000vol/vol%
H2O:C4留分合計に対して90〜900vol/vol%
触媒層は、触媒と該触媒と反応性の無い固形物を含む層のみから構成されていても、触媒と該触媒と反応性の無い固形物とを含む層と触媒のみからなる層の複数の層から構成されていてもよい。触媒層が、触媒と該触媒と反応性の無い固形物を含む層を有することで、反応時の発熱による触媒層の急激な温度上昇を抑制できるため、好ましい。また、この際、触媒層の希釈率(触媒層中に含まれる反応性の無い固形物の割合で、具体的には下記式で示される希釈率(体積%))は、特に限定されないが、通常99vol%以下であり、好ましくは90vol%以下、更に好ましくは、80vol%以下である。この値が小さくなるほど、反応器の大きさを小さくすることができ、建設費や運転コストを抑えることができる。一方、通常10vol%以上であり、好ましくは、20vol%以上、更に好ましくは、30vol%以上である。この値が大きくなるほど、触媒層中でのホットスポットの発生を抑えることができる。
本発明で、反応器内に設けられる触媒層は、特に限定されないが、一層以上設けられていればよく、好ましくは、2〜5層である。触媒層の数が多くなるほど、触媒充填作業が煩雑になる傾向にあり、触媒層の数が少なくなるほど、容易という傾向にある。また、反応器内に触媒層が2層以上設ける場合は、各触媒層の希釈率は、反応条件や反応温度によ
って適宜決めることができるが、希釈率が異なる触媒層を設けることが好ましい。また、反応器の原料ガス入口側に最も近くに設けられる触媒層よりも、反応器の生成ガス出口側に向かって、希釈率が小さくなるように触媒層を配置することが更に好ましい。
本発明に用いられる反応性の無い固形物は、共役ジエン生成反応条件下で安定であり、触媒や炭素原子数4以上のモノオレフィン等の原料物質、又は共役ジエン等の生成物と反応性がない材質のものであれば、特に限定されない。一般的に、イナートボールとも呼ばれることがある。具体的には、アルミナ、ジルコニア等のセラミック材等が挙げられる。また、その形状は、特に限定されず、球状、円柱状、リング状、不定形のいずれでもよい。また、その大きさは、本発明で使用する触媒と同等の大きさであればよい。
本発明の反応器内の最高温度は、反応温度や反応器の生成ガス出口に最も近い箇所に設けられる触媒層の温度によって様々であるが、通常360℃以上であり、好ましくは365℃以上であり、更に好ましくは370℃以上である。この値が大きくなるほど、目的生成物である共役ジエンの収率が高くなる傾向にある。一方、通常420℃以下であり、好ましくは400℃以下である。この値が小さくなるほど、酸化脱水素反応を連続的に行っても、触媒活性の急激な低下を抑えることができる。なお、反応器内の最高温度とは、反応器内に設置された触媒層の中で最も高い温度であり、触媒層の反応器内の位置や触媒層の数に限定されない。
本発明の反応器の圧力は、特に限定されないが、通常、0MPaG以上、好ましくは、0.001MPa以上、更に好ましくは、0.01MPaG以上である。この値が大きくなるほど、反応器に反応ガスを多量に供給できるというメリットがある。一方、通常は0.5MPaG以下であり、好ましくは0.3MPaG以下、更に好ましくは、0.1MPaGである。この値が小さくなるほど、爆発範囲が狭くなる傾向にある。
一方で、触媒にコーキングされた物質を除去するには、触媒層の温度をできるだけ高くすることで、熱分解によりコーキングされた物質を除去する(以下、「デコーキング」と呼ぶことがある)ことができる。
けられる触媒層の温度、若しくは反応器の生成ガス出口に最も近い箇所に設けられる触媒層の温度と反応器内の最高温度との比であり、それぞれの因子を本発明の数値範囲内とすれば、反応器内の触媒のコーキング速度とデコーキング速度がほぼ同じとなり、原料ガス中に含まれる炭素原子数4以上のモノオレフィンの転化率、及び目的生成物である共役ジエンの選択率を下げることなく、触媒のコーキングを抑制することができる。
るためである。出口流量の増加が少ないと反応が進行していないので好ましくなく、出口流量が増えすぎると副反応でCOやCO2が増加しているため好ましくない。
本発明の脱水工程については、生成ガスに含まれる水分を除去できる工程であれば、特に限定されない。脱水工程は反応器の後段の工程であれば、どこで行ってもよいが、上述の冷却工程の後に脱水工程を行うことが好ましい。通常、反応器から排出される生成ガス中に含まれる水分量は、原料ガスの種類や分子状酸素含有ガスの量、更には、原料ガスと共に混合される水蒸気等により異なるが、通常は、4〜35vol%、好ましくは10〜30vol%の水分が含有されている。脱水工程では、生成ガス中の水分量をある一定の量まで低減するが、通常は、100volppm〜2.0vol%の水分含有量、好ましくは、200volppm〜1.0vol%の水分含有量である。また、露点として、0〜100℃、好ましくは、10〜80℃である。
この中でも、再生の容易さ、取り扱いの容易さという観点から、モレキュラーシーブ等の乾燥剤(水分吸着剤)が好ましく利用される。
脱水工程にモレキュラーシーブ等の乾燥剤を利用する場合は、水以外にも生成ガス中にに含まれる高沸点副生物が吸着除去される。ここで除去される高沸点副生物は、アントラキノン、フルオレノン、フタル酸などのことである。
吸収塔を用いる場合、通常は、吸収溶媒と生成ガスとを向流接触させることで、生成ガス中の共役ジエンと未反応の炭素原子数4以上のモノオレフィン並びに炭素原子数3以下の炭化水素化合物が溶媒に吸収される。炭素原子数3以下の炭化水素化合物としては、例えば、メタン、アセチレン、エチレン、エタン、メチルアセチレン、プロピレン、プロパン、又はアレンなどが挙げられる。
本発明の回収工程で使用させる吸収溶媒としては、特に限定されないが、C6〜C10の
飽和炭化水素やC6〜C8の芳香族炭化水素、アミド化合物などが用いられる。具体的には、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等を用いることができる。これらの中でも、好ましくは、無機ガスを溶解しにくいことからC6〜C8の芳香族炭化水素が好ましく、特にトルエンが好ましい。
回収工程で得られる生成ガスが吸収された溶媒(以下、「溶媒吸収液」と呼ぶことがある)中には、主として目的生成物である共役ジエンが含まれており、その共役ジエンの溶
媒吸収液中の濃度としては、通常は1〜20重量%であり、好ましくは3〜10重量%である。溶媒吸収液中の共役ジエンの濃度が高いほど、共役ジエンの重合あるいは揮発による消失分が多くなる傾向にあり、低いほど、同じ生産量での溶媒の循環必要量が増加する為に、運転に要するエネルギーコストが大きくなる傾向にある。
このようにして得られた共役ジエンの溶媒吸収液から粗共役ジエンの分離を行う分離工程を経て粗共役ジエンを得ることができる。分離工程としては、共役ジエンの溶媒吸収液から粗共役ジエンを分離できる工程であれば、特に限定されないが、通常、蒸留分離により粗共役ジエンを分離することができる。具体的には、例えば、リボイラーとコンデンサーにより共役ジエンの蒸留分離が行われ、塔頂付近より共役ジエン留分が抜き出される。分離された吸収溶媒は塔底から抜き出され、前段工程に溶媒を使用する回収工程を有する場合は、その回収工程で吸収溶媒として循環使用される。溶媒は循環使用するうち不純物が蓄積する場合があり、一部を抜き出して蒸留やデカンテーション、沈降、吸着剤やイオン交換樹脂などとの接触処理などの公知の精製方法により不純物を除去することが望ましい。
蒸留塔としては充填塔、棚段塔のいずれもが使用できるが、多段蒸留が好ましい。共役ジエンと溶媒を分離するには、蒸留塔理論段を5段以上、特に10段〜20段とするのが好ましい。50段を越える蒸留塔は、蒸留塔建設の経済性、運転難易度、及び安全管理のためには好ましくない。また段数が小さすぎると分離が困難となる。
蒸留塔としては充填塔、棚段塔のいずれもが使用できるが、多段蒸留が好ましい。共役ジエンとフランなどの不純物を分離するには、蒸留塔理論段を5段以上、特に10段〜2
0段とするのが好ましい。50段を越える蒸留塔は、蒸留塔建設の経済性、運転難易度、及び安全管理のためには好ましくない。また段数が小さすぎると分離が困難となる。このようにして得られる精製された共役ジエンは、純度が99.0〜99.9%の共役ジエンである。
以下に、本発明で好適に用いられる酸化脱水素反応触媒について説明する。本発明で用いる酸化脱水素反応の触媒は、炭素原子数4以上のモノオレフィンと酸素を原料として、対応する共役ジエンを生成することができる触媒であれば、特に限定されないが、固体触媒であって、少なくともモリブデン、ビスマス、及びコバルトを含有する複合酸化物触媒であることが好ましい。
MoaBibCocNidFeeXfYgZhSiiOj (1)
(式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=0〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
また、この複合酸化物触媒は、この複合酸化物触媒を構成する各成分元素の供給源化合物を水系内で一体化して加熱する工程を経て製造する方法であって、モリブデン化合物、鉄化合物、ニッケル化合物及びコバルト化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種とシリカとを含む原料化合物水溶液又はこれを乾燥して得た乾燥物を加熱処理して触媒前駆体を製造する前工程と、該触媒前駆体、モリブデン化合物及びビスマス化合物を水性溶媒とともに一体化し、乾燥、焼成する後工程とを有する方法で製造されたものであることが好ましく、このような方法で製造された複合酸化物触媒であれば、その高い触媒活性で高収率でブタジエン等の共役ジエンを製造することができ、アルデヒド類含有量の少ない反応生成ガスを得ることができる。
この複合酸化物触媒の製造方法においては、前記前工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)の内の一部の原子比(a1)相当のモリブデンであり、前記後
工程で用いられるモリブデンが、モリブデンの全原子比(a)からa1を差し引いた残り
の原子比(a2)相当のモリブデンであることが好ましい。また、前記a1が1<a1/(
c+d+e)<3を満足する値であることが好ましい。さらに、前記a2が0<a2/b<8を満足する値であることが好ましい。
Moの供給源化合物としては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸等が挙げられる。
挙げられる。
Coの供給源化合物としては、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等が挙げられる。
Niの供給源化合物としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル等が挙げられる。
Biの供給源化合物としては、塩化ビスマス、硝酸ビスマス、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス等が挙げられる。また、X成分(Mg,Ca,Zn,Ce,Smの1種又は2種以上)やY成分(Na,K,Rb,Cs,Tlの1種又は2種以上)を固溶させた、BiとX成分やY成分との複合炭酸塩化合物として供給することもできる。
また、BiとX成分との複合炭酸塩化合物は、炭酸アンモニウム又は重炭酸アンモニウムの水溶液等に、硝酸ビスマス及びX成分の硝酸塩等の水溶性化合物からなる水溶液を滴下混合し、得られた沈殿を水洗、乾燥することによって製造することができる。
その他の成分元素の供給源化合物としては、下記のものが挙げられる。
Kの供給源化合物としては、硝酸カリウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム等を挙げることができる。
Csの供給源化合物としては、硝酸セシウム、硫酸セシウム、塩化セシウム、炭酸セシウム、酢酸セシウム等を挙げることができる。
Tlの供給源化合物としては、硝酸第一タリウム、塩化第一タリウム、炭酸タリウム、酢酸第一タリウム等を挙げることができる。
Pの供給源化合物としては、リンモリブデン酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、五酸化リン等を挙げることができる。
Asの供給源化合物としては、ジアルセノ十八モリブデン酸アンモニウム、ジアルセノ十八タングステン酸アンモニウム等を挙げることができる。
Mgの供給源化合物としては、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
Caの供給源化合物としては、硝酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム等が挙げられる。
が挙げられる。
Ceの供給源化合物としては、硝酸セリウム、硫酸セリウム、塩化セリウム、炭酸セリウム、酢酸セリウム等が挙げられる。
Smの供給源化合物としては、硝酸サマリウム、硫酸サマリウム、塩化サマリウム、炭酸サマリウム、酢酸サマリウム等が挙げられる。
含む水溶液、水スラリー又はケーキである。
この原料化合物水溶液の調製は、供給源化合物の水性系での一体化により行われる。ここで各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化とは、各成分元素の供給源化合物の水溶液あるいは水分散液を一括に、あるいは段階的に混合及び/又は熟成処理を行うことをいう。即ち、(イ)上記の各供給源化合物を一括して混合する方法、(ロ)上記の各供給源化合物を一括して混合し、そして熟成処理する方法、(ハ)上記の各供給源化合物を段階的に混合する方法、(ニ)上記の各供給源化合物を段階的に混合・熟成処理を繰り返す方法、及び(イ)〜(ニ)を組み合わせる方法のいずれもが、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化という概念に含まれる。ここで、熟成とは、工業原料もしくは半製品を、一定時間、一定温度等の特定条件のもとに処理して、必要とする物理性、化学性の取得、上昇あるいは所定反応の進行等を図る操作をいい、一定時間とは、通常10分〜24時間の範囲であり、一定温度とは通常室温〜水溶液又は水分散液の沸点範囲をいう。
この熟成とは、上記触媒前駆体用スラリーを所定温度で所定時間、撹拌することをいう。この熟成により、スラリーの粘度が上昇し、スラリー中の固体成分の沈降を緩和し、とりわけ次の乾燥工程での成分の不均一化を抑制するのに有効となり、得られる最終製品である複合酸化物触媒の原料転化率や選択率等の触媒活性がより良好となる。
上記撹拌方法としては、任意の方法を採用することができ、例えば、撹拌翼を有する撹拌機による方法や、ポンプによる外部循環による方法等が挙げられる。
状の乾燥物を得てもよい。
灼熱減量(%)=[(W0−W1)/W0]×100
W0:触媒前駆体を150℃で3時間乾燥して付着水分を除いたものの重量(g)
W1:付着水分を除いた前記触媒前駆体を更に500℃で2時間熱処理した後の重
量(g)
前記の後工程では、上記の前工程において得られる触媒前駆体とモリブデン化合物(全原子比aからa1相当を差し引いた残りのa2相当)とビスマス化合物の一体化を、水性溶媒下で行う。この際、アンモニア水を添加するのが好ましい。X、Y、Z成分の添加もこの後工程で行うのが好ましい。また、この発明のビスマス供給源化合物は、水に難溶性ないし不溶性のビスマスである。この化合物は、粉末の形態で使用することが好ましい。触媒製造原料としてのこれら化合物は粉末より大きな粒子のものであってもよいが、その熱拡散を行わせるべき加熱工程を考えれば小さい粒子である方が好ましい。従って、原料としてのこれらの化合物がこのように粒子の小さいものでなかった場合は、加熱工程前に粉砕を行うべきである。
以下に、図面を参照して、本発明の共役ジエンの製造方法に関するプロセスの実施形態について、ブタジエンを製造する例を挙げて説明する。
図1は本発明プロセスの実施の態様の一つである。
図1において、1は反応器、2はクエンチ塔、3,6,13は冷却器(熱交換器)、4,7,14はドレンポット、8A,8Bは脱水塔、9は加熱器(熱交換器)、10は溶媒吸収塔、11は脱気塔、12は溶媒分離塔を示し、符号100〜126は配管を示す。
り触媒が充填された多管式の反応器1(酸化脱水素反応器)に供給する。反応器1からの
反応生成ガスは、配管105よりクエンチ塔2に送給され、20〜99℃程度に冷却される。クエンチ塔2には、配管106より冷却水が導入され、生成ガスと向流接触する。そして、この向流接触で生成ガスを冷却した水は、配管107より排出される。なお、この冷却排水は、熱交換器(図示せず)で冷却されて再度クエンチ塔2において循環使用される。クエンチ塔2で冷却された生成ガスは、塔頂から留出され、次いで配管108より冷
却器3を経て室温に冷却される。冷却により発生した凝縮水は配管109よりドレンポット4に分離される。水分離後のガスは更に配管110を経て圧縮機5で0.1〜0.5MPa程度に昇圧され、昇圧ガスは配管111を経て冷却器6で再度10〜30℃程度に冷却される。冷却により発生した凝縮水は配管112よりドレンポット7に分離される。水分離後の圧縮ガスは、モレキュラーシーブ等の乾燥剤が充填された脱水塔8A,8Bに導入され脱水処理される。脱水塔8A,8Bは圧縮ガスの脱水と乾燥剤の加熱乾燥による再生とが交互に行われる。即ち、圧縮ガスは、まず、配管113,113aを経て脱水塔8Aに導入されて脱水処理され、配管114a,114を経て溶媒吸収塔10に送給される。この間に、脱水塔8Bには、配管122、加熱器9、配管123,123a,123bを経て150〜250℃程度に加熱された窒素ガスが導入され、乾燥剤の加熱による水分の脱着が行われる。脱着した水分を含む窒素ガスは、配管124a,124b、124を経て冷却器13で室温まで冷却され、凝縮水が配管125よりドレンポット14に分離された後、配管126より排出される。
脱水工程における脱水塔内の乾燥剤の再生時間は、特に限定されないが、通常6〜48時間、好ましくは、12〜36時間、更に好ましくは18〜30時間である。
脱水塔8A,8Bからの脱水ガスは、必要に応じて冷却器(図示せず)で10〜30℃程度に冷却された後、溶媒吸収塔10に送給され、配管115からの溶媒(吸収溶媒)と向流接触される。これにより、脱水ガス中の共役ジエンや未反応の原料ガスが吸収溶媒に吸収される。吸収溶媒に吸収されなかった成分(offガス)は、溶媒吸収塔10の塔頂より配管117を経て排出され燃焼廃棄される。このとき、吸収溶媒として、トルエンのような比較的沸点の低い溶媒を用いると経済的に無視できない量の溶媒が配管117を経て揮散することがある。このような場合はより沸点の高い溶媒を用いて沸点の低い溶媒を回収する工程を配管117の先に設けてもよい。この溶媒吸収塔10で、ブタジエンや未反応の原料ガスを吸収溶媒に吸収した溶媒吸収液は、溶媒吸収塔10の塔底より抜き出され、配管116より脱気塔11に送給される。溶媒吸収塔10で得られるブタジエンの溶媒吸収液には、若干量の窒素、酸素も吸収されているため、次いでこの溶媒吸収液を脱気塔11に供給して加熱することにより、液中に溶存する窒素や酸素をガス化して除去する。この際、ブタジエンや原料ガス、溶媒の中には、その一部がガス化することがあるため、この脱気塔11の塔頂に設けたコンデンサ(図示せず)でこれを液化して溶媒吸収液中に回収する。凝縮しなかった原料ガス、ブタジエン等は窒素、酸素の混合ガスとして配管118より抜き出され、共役ジエンの回収率を高めるために圧縮機5の入口側へ循環され再度処理が行われる。一方、溶媒吸収液を脱気した脱気処理液は配管119より溶媒分離塔12へ送給される。
[製造例1:複合酸化物触媒の調製]
パラモリブデン酸アンモニウム54gを純水250mlに70℃に加温して溶解させた。次に、硝酸第二鉄7.18g、硝酸コバルト31.8g及び硝酸ニッケル31.8gを純水60mlに70℃に加温して溶解させた。これらの溶液を、充分に攪拌しながら徐々に混合した。
間熟成した。その後、このスラリーを加熱乾燥した後、空気雰囲気で300℃、1時間の熱処理に付した。
得られた触媒前駆体の粒状固体(灼熱減量:1.4重量%)を粉砕し、パラモリブデン酸アンモニウム40.1gを純水150mlにアンモニア水10mlを加え溶解した溶液に分散した。次に、純水40mlにホウ砂0.85g及び硝酸カリウム0.36gを25℃の加温下に溶解させて、上記スラリーを加えた。
Mo:Bi:Co:Ni:Fe:Na:B:K:Si=12:5:2.5:2.5:0.4:0.35:0.2:0.08:24
上記原子比から、製造例1で得られた複合酸化物触媒は、上記式(1)のa〜jは、それぞれ、a=12、b=5、c=2.5、d=2.5、e=0.4、f=0、g=0.35(Yがナトリウム)、g=0.08(Yがカリウム)、h=0.2、i=24、であった。
また、反応に使用する前の触媒の平均炭素濃度は、1.0wt%であった。なお、触媒の炭素濃度は、触媒粒子1個の重量に対して、触媒粒子に付着している炭素分の重量の割合を測定した(測定装置:LECO社製 炭素硫黄分析装置 型番CS600)ものであり、5個の触媒粒子について、触媒の炭素濃度を測定したものを平均した値である。
内径23.0mm、高さ500mmのステンレス製反応管に、予めイナートボール(1
粒あたりの大きさ:約0.065mm3)を23ml充填(充填層長:175mm)して
おき、そのイナートボールの充填層の上に、製造例1で製造された複合酸化物触媒12.1mlとイナートボール(1粒あたりの大きさ:約0.065mm3)4.0mlとを混合して充填し、第1の触媒層を形成した(以下、「触媒層1」とする)。この触媒層1の充填層長は45mmで、触媒希釈率は25%であった。次に、触媒層1の上に、製造例1で製造された複合酸化物触媒4.0mlとイナートボール(1粒あたりの大きさ:約0.0
65mm3)12.1mlと混合して充填し、第2の触媒層を形成した(以下、「触媒層2」とする)。この触媒層2の充填層長は40mmで、触媒希釈率は75%であった。尚、反応器へ充填した触媒量合計は16.1mlであった。
予め窒素を6.5L/hr、空気を13.6L/hr、及び水蒸気を7.7L/hrで予熱器に供給しておき、その後、原料ガスであるBBSSを2.8L/hrで供給し、予熱器内で混合して混合ガスとして345℃に昇温した。原料ガスに含まれる代表的な組成(mol%)を表1に示す。
反応管内の触媒層(触媒層1)出口温度は360℃で、圧力はゲージ圧で2kPaであ
った。また、反応管内の最高温度は、373℃であった。反応器出口からの生成ガスはフィルターを設置した冷却管にて冷却した後、水と接触させて更に冷却しガスクロマトグラフィー(GL Sciences社製 型番:GC4000)で分析した。
。測定した触媒粒子の中で炭素濃度が最大のものが、1.7wt%(反応前後での触媒粒子に付着した炭素濃度の増加量:0.7wt%)であった。結果を表1に示す。
実施例1において、製造例1で製造された複合酸化物触媒15.3mlを、イナートボールを混合せずに充填し触媒層(充填層長:40mm、触媒希釈率:0%)を形成し、窒素の供給量を8.9L/hr、空気の供給量を15.0L/hr、水蒸気の供給量を5.5L/hr、及び混合ガスの流量を32.2L/hrとし、予熱器内の混合ガスの温度を350℃、触媒層出口温度を380℃、及び反応管内の最高温度を395℃とした以外は全て実施例1と同様に酸化脱水素反応を行った。この際、触媒量15.3mlに対して、混合ガス流量は32.2L/hrであり、反応管内の触媒量と混合ガス流量の比は2098h-1であった。また、水蒸気/BBSSの比は1.96であった。
実施例1において、反応器内の触媒層を製造例1で製造された複合酸化物触媒16.1mlをイナートボール(チップトン製)16.1mlと混合して充填し触媒層(充填層長:90mm、触媒希釈率:50%)を形成し、予熱器内で混合して混合ガスとして339℃、触媒層出口温度を339℃、及び反応管内の最高温度を369℃とした以外は全て実施例1と同様に酸化脱水素反応を行った。この際、触媒量16.1mlに対して、混合ガス流量は30.6L/hrであり、反応管内の触媒量と混合ガス流量の比は1900h-1であった。また、水蒸気/BBSSの比は2.75であった。
実施例1において、反応管内の触媒層を製造例1で製造された複合酸化物触媒20.0mlを、イナートボールを混合せずに充填し触媒層(充填層長:57mm、触媒希釈率:0%)を形成し、窒素の供給量を7.8L/hr、空気の供給量を13.1L/hr、水蒸気の供給量を4.9L/hr、原料ガスであるBBSSの供給量を2.5L/hr、及び混合ガスの流量を28.3L/hrとし、予熱器内の混合ガスの温度を335℃、触媒層出口温度を355℃、及び反応管内の最高温度を387℃とした以外は全て実施例1と
同様に酸化脱水素反応を行った。この際、触媒量20.0mlに対して、混合ガス流量は28.3L/hrであり、反応管内の触媒量と混合ガス流量の比は1400h-1であった。また、水蒸気/BBSSの比は1.96であった。
比較例1において、反応管内の触媒層を製造例1で製造された複合酸化物触媒40.0mlをイナートボールを混合せずに充填し触媒層(充填層長:117mm、触媒希釈率:0%)を形成し、予熱器内の混合ガスの温度を323℃、触媒層出口温度を334℃、及び反応管内の最高温度を367℃とした以外は全て実施例1と同様に酸化脱水素反応を行った。この際、触媒量40.0mlに対して、混合ガス流量は28.3L/hrであり、反応管内の触媒量と混合ガス流量の比は700h-1であった。また、水蒸気/BBSSの比は1.96であった。
2 クエンチ塔
3,6,13 冷却器
4,7,14 ドレンポット
5 圧縮機
8A,8B 脱水塔
9 加熱器(熱交換器)
10 溶媒吸収塔
11 脱気塔
12 溶媒分離塔
100〜126 配管
Claims (6)
- 炭素原子数4以上のモノオレフィンを含む原料ガスと分子状酸素含有ガスとを混合し、混合ガスを得て、該混合ガスを触媒層を有する反応器に供給し、酸化脱水素反応を行うことにより、対応する共役ジエンを含む生成ガスを得る共役ジエンの製造方法において、該反応器の生成ガス出口に最も近い箇所に設けられる触媒層の温度と反応器内の最高温度との比が0.935以上であって、且つ、該反応器内の触媒量に対する混合ガスの流量の比が1500〜5000h-1であることを特徴とする共役ジエンの製造方法。
- 反応温度が339℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の共役ジエンの製造方法。
- 前記触媒層が、触媒と該触媒と反応性の無い固形物とを含む層を有することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
- 前記反応器内に、希釈率が異なる触媒層が2層以上存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法。
- 前記触媒が、少なくともモリブデン、ビスマス、およびコバルトを含有する複合酸化物触媒であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の共役ジエンの製造方法
。 - 前記複合酸化物触媒が、下記一般式(1)で表される複合酸化物触媒であることを特徴とする請求項5に記載の共役ジエンの製造方法。
MoaBibCocNidFeeXfYgZhSiiOj (1)
(式中、Xはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)及びサマリウム(Sm)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Yはナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)及びタリウム(Tl)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、Zはホウ素(B)、リン(P)、砒素(As)及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素である。また、a〜jはそれぞれの元素の原子比を表し、a=12のとき、b=0.5〜7、c=0〜10(但し、c=0を除く)、d=0〜10(但しc+d=1〜10)、e=0.05〜3、f=0〜2、g=0.04〜2、h=0〜3、i=0〜48の範囲にあり、またjは他の元素の酸化状態を満足させる数値である。)
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