JP5607494B2 - 湿式不織布および繊維製品 - Google Patents

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本発明は、主体繊維とバインダー成分とを含み、かつ前記主体繊維がバインダー成分によって固着されてなる湿式不織布であって、嵩高で有ながら剛性が高く様々な形状にも成型する事が可能な湿式不織布及び該湿式不織布を用いてなる繊維製品に関するものである。
従来、フィルター材や壁紙などの用途において、短繊維とバインダー成分によって固着された湿式不織布が用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
しかしながら、かかる湿式不織布において、物性や形状の耐久性の点でまだ満足とはいえなかった。
特開2004−181341号公報 特開2007−330911号公報
本発明は、主体繊維とバインダー成分とを含み、かつ前記主体繊維がバインダー成分によって固着されてなる湿式不織布であって、嵩高でありながら剛性が高く様々な形状にも成型する事が可能な湿式不織布および該湿式不織布を用いてなる繊維製品を提供することにある。
本発明者は上記課題を達成するため鋭意検討した結果、繊維構造体を構成する主体繊維の単繊維横断面形状を特定の形状とすることによりバインダー成分による固着点が形成されやすくなり、その結果、湿式不織布の物性や形状などの耐久性が向上することを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「主体繊維とバインダー成分とを含み、かつ前記主体繊維がバインダー成分によって固着されてなる湿式不織布であって、前記主体繊維の単繊維横断面形状において、扁平度が2.0以下であり、かつ120度未満の開口角を有する開口部を12〜20個有することを特徴とする湿式不織布。」が提供される。
ただし、前記扁平度は下記式により定義する。
扁平度=(A/B
A:繊維軸と直交する断面における最長となる長さ
B:繊維軸と直交する断面において、Aの長さ方向と直交する方向の長さ
その際、前記主体繊維の単繊維横断面形状において、下記式により定義する繊維充填率が30〜80%の範囲内であることが好ましい。
繊維充填率(%)=(C/D)×100
C:繊維軸に直交する断面の面積
D:繊維軸に直交する最外周の面積
また、前記主体繊維が中空繊維であることが好ましい。また、前記主体繊維の単繊維径が10〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、前記主体繊維の繊維長が1〜25mmの範囲内であることが好ましい。また、前記バインダー成分が芯鞘型バインダー繊維であることが好ましい。
本発明の湿式不織布において、湿式不織布の密度が0.10g/cm以下であることが好ましい。また、湿式不織布の目付が10〜200g/mの範囲内であることが好ましい。また、湿式不織布の厚さが0.1〜10mmの範囲内であることが好ましい。
また、本発明によれば、前記の湿式不織布を用いてなる、車両資材、クッション材、吸音材、寝装具、家具、衣料、フィルター材、衛生資材、建築資材、土木資材、および農業資材からなる群より選択されるいずれかの繊維製品が提供される。
本発明によれば、主体繊維とバインダー成分とを含み、かつ前記主体繊維がバインダー成分によって固着されてなる湿式不織布であって、嵩高でありながら剛性が高く様々な形状にも成型する事が可能な湿式不織布および該湿式不織布を用いてなる繊維製品が提供される。
開口部を説明するための模式図である。
まず、本発明の湿式不織布に含まれる主体繊維の単繊維横断面形状において、扁平度が2.0以下(好ましくは1〜1.2)であることが肝要である。該扁平度が2.0よりも大きいと、繊維間に空隙ができにくいため、バインダー成分の流動性が低下しバインダー成分による固着点が形成されにくくなり好ましくない。さらには、該扁平度が2.0よりも大きいと、繊維の分散性が低下することにより湿式不織布の嵩性が低下するおそれがある。ただし、前記扁平度は下記式により定義する。
扁平度=(A/B
A:繊維軸と直交する断面における最長となる長さ
B:繊維軸と直交する断面において、Aの長さ方向と直交する方向の長さ
また、前記主体繊維の単繊維横断面形状において、120度未満の開口角を有する開口部を2個以上(好ましくは4〜30個、より好ましくは5〜25個、さらに好ましくは12〜20個)有することが肝要である。該開口部が2個未満の場合、バインダー成分の流動性が低下しバインダー成分による固着点が形成されにくくなり好ましくない。さらには、該開口部が2個未満の場合、繊維の分散性が低下することにより湿式不織布の嵩性が低下するおそれがある。ただし、本発明でいう開口部とは図1に示す箇所のことである。
特に、前記主体繊維の単繊維横断面形状において、下記式により定義する繊維充填率が30〜80%の範囲内であると、バインダー成分の流動性が向上しバインダー成分による固着点が形成されやすく好ましい。
繊維充填率(%)=(C/D)×100
C:繊維軸に直交する断面の面積
D:繊維軸に直交する最外周の面積
前記単繊維断面形状の具体例としては、十断面、H断面、T断面、Y断面、異型多フィン断面などが例示される。なかでも、単繊維断面形状内に中空部を有する中空繊維が好ましい。特に、単繊維断面形状内に中空部を有する異型多フィン断面が、バインダー成分の流動性が向上しバインダー成分による固着点が形成されやすく好ましい。
前記主体繊維において、単繊維径は、10〜50μm(より好ましくは20〜30μm)の範囲内であることが好ましい。該繊維径が10μm未満では固着点の形成が困難になるおそれがある。逆に、該繊維径が50μmよりも大きいと湿式不織布を製造する際の水への分散性の面で工程性が不安定になるおそれがある。
また、前記主体繊維において、繊維の形態は長繊維でもよいが繊維の分散性をあげることによりバインダー成分の流動性を向上させバインダー成分による固着点が形成されやすくする上で短繊維が好ましい。その際、繊維長としては1〜25mmの範囲内であることが好ましい。該繊維長が1mmよりも小さいと、水分散後、ワイヤーでの抄上げ時の繊維同士の絡みが小さくなり、繊維脱落や湿紙切れ等の懸念がある。逆に、該繊維長が25mmよりも大きいと、水分散が極めて難しく、均一な地合いを有する湿式不織布が得られないおそれがある。
また、前記主体繊維において、捲縮については、付与されていなくても断面形状によって嵩高の効果は発現出来るが、更なる嵩性を求める場合、捲縮が付与されている方が好ましい。その際、捲縮付与方法としては、熱収縮率の異なるポリマーをサイドバイサイド型に張り合わせた複合繊維を用いてスパイラル状捲縮を付与するか、または異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与するか、または捲縮数が3〜40個/2.54cm(好ましくは7〜15個/2.54cm)となるように通常の押し込みクリンパー方式による機械捲縮を付与するなどの種々の方法を用いればよいが、嵩高性、製造コスト等の面から機械捲縮を付与するのが最適である。
前記主体繊維を形成するポリマーの種類としては特に限定されず、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの通常の繊維形成性ポリマーなどでよい。なかでも、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ステレオコンプレックスポリ乳酸などのポリエステルや、第3成分を共重合させた共重合ポリエステルなどが好ましく例示される。かかるポリエステルとしては、マテリアルリサイクルまたはケミカルリサイクルされたポリエステルや、特開2009−091694号公報に記載された、バイオマスすなわち生物由来の物質を原材料として得られたモノマー成分を使用してなるポリエチレンテレフタレートであってもよい。さらには、特開2004−270097号公報や特開2004−211268号公報に記載されているような、特定のリン化合物およびチタン化合物を含む触媒を用いて得られたポリエステルでもよい。該ポリマー中には、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、微細孔形成剤、カチオン染料可染剤、着色防止剤、熱安定剤、蛍光増白剤、艶消し剤、着色剤、吸湿剤、無機微粒子が1種または2種以上含まれていてもよい。
また、前記主体繊維において、シリコーン樹脂、油剤、抗菌剤、防虫剤、撥水剤、吸湿剤、制電剤、難燃剤、マイナスイオン発生剤および消臭剤からなる群より選択される1種以上の剤が繊維表面に付着していると、これらの剤が脱落しにくいので、耐久性よくこれらの剤の機能を発現することができ好ましい。なお、前記油剤には、脂肪酸エステル、多価アルコールエステル、エーテルエステル、ポリエーテル、シリコーン、鉱物油などの平滑剤や帯電防止剤、界面活性剤、集束剤、防錆剤、防腐剤、酸化防止剤を加えてもよい。
本発明の繊維構造体において、前記主体繊維はバインダー成分によって固着されている。その際、バインダー成分としては、バインダー繊維でもよいし、非繊維系樹脂バインダー(例えば、粉末状のケミカルバインダー)でもよい。なかでも強固な固着点を得る上で、芯鞘型バインダー繊維が好ましい。
かかる芯鞘型バインダー繊維としては、前記主体繊維を形成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが熱融着成分としてその表面に配されたものが好ましい。
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、非弾性ポリエステル系ポリマー及びその共重合物、ポリオレフィン系ポリマー及びその共重合物、ポリビニルアルコール系ポリマー等を挙げることができる。
このうち、ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6,000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p’−ジフェニールメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート水素化ジフェニールメタンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコールアミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。
これらのポリマーのうちで、特に好ましいのはポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクタムあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合の有機ジイソシアネートとしてはp,p’−ビスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールを挙げることができる。
また、ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5,000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)クリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
特に、接着性や温度特性、強度の面からすれば、ポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常、30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても良く、同様にグリコール成分の一部(通常、30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分は、ブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
共重合ポリエステル系ポリマーとしては、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類と、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、パラキシレングリコールなどの脂肪族や脂環式ジオール類とを所定数含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を添加した共重合エステル等を挙げることができ、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとにおいてイソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを添加共重合させたポリエステル等が使用できる。
また、ポリオレフィン系ポリマーとしては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、さらにはそれらを変性した物等を挙げることができる。
前記芯鞘型バインダー繊維において、熱融着成分の相手側成分としては前記のようなポリエステルが好ましく例示される。その際、熱融着成分が、少なくとも1/2の表面積を占めるものが好ましい。重量割合は、熱融着成分とポリエステルが、複合比率で30/70〜70/30の範囲にあるのが適当である。芯鞘型バインダー繊維の形態としては、特に限定されないが、熱融着成分とポリエステルとが芯鞘型であることが重要である。この芯鞘型バインダー繊維では、ポリエステルが芯部となり、熱融着成分が鞘部となるが、この芯部は同心円状、若しくは、偏心状にあってもよい。主体繊維との接着性や、抄紙工程での工程性(分散性等)の観点から、芯にポリエステルを配し、鞘に低融点ポリエステルを配す事がより好ましい。
なお、上述のポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色材その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていても良い。
前記芯鞘型バインダー繊維において、単繊維径は、10〜50μm(より好ましくは20〜30μm)の範囲内であることが好ましい。該繊維径が10μm未満では固着点の形成が困難になるおそれがある。逆に、該繊維径が50μmよりも大きいと繊維構造体を製造する際のカード工程等の工程性が不安定になるおそれがある。
また、前記芯鞘型バインダー繊維において、繊維長としては1〜25mmの範囲内であることが好ましい。該繊維長が1mmよりも小さいと、水分散後、ワイヤーでの抄上げ時の繊維同士の絡みが小さくなり、繊維脱落や湿紙切れ等の懸念がある。逆に、該繊維長が25mmよりも大きいと、水分散が極めて難しく、均一な地合いを有する湿式不織布が得られないおそれがある。
また、前記芯鞘型バインダー繊維において捲縮については特に付与されていなくても問題ないが捲縮付与する場合の捲縮付与方法としては、熱収縮率の異なるポリマーをサイドバイサイド型に張り合わせた複合繊維を用いてスパイラル状捲縮を付与するか、または異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与するか、または捲縮数が3〜40個/2.54cm(好ましくは7〜15個/2.54cm)となるように通常の押し込みクリンパー方式による機械捲縮を付与するなどの種々の方法を用いればよいが、嵩高性、製造コスト等の面から機械捲縮を付与するのが最適である。
本発明の湿式不織布において、前記主体繊維はバインダー成分によって固着されている。ここで、前記主体繊維が繊維構造体の重量対比5重量%以上(より好ましくは10〜30重量%)含まれることが好ましい。主体繊維の含有率が5重量%未満の場合、嵩高の効果を発揮する事が出来ない恐れがある。湿式不織布に他の繊維も含ませる場合、かかる他の繊維としては、木材、非木材、合成等のパルプ、コットン等の天然繊維、レーヨン等の半合成繊維、他の断面形状を有するポリエステル繊維等の合成繊維が、水分散性等抄紙工程の通過性がよく好ましい。
本発明の湿式不織布は例えば、以下の製造方法により製造することができる。すなわち、前述のように、主体繊維と芯鞘型バインダー繊維とをパルパー内で水に分散、撹拌、混合し、ワイヤーパート(例えば、傾斜短網、円網、長網、或いはそれらのコンビネーション)により均一なウエブ(湿紙)を形成した後、熱処理(ヤンキードライヤー、多筒ドライヤー等のドラム接触型、エアスルードライヤー等の熱風サクション型)を施すことにより、主体繊維をバインダー成分によって固着する。
かくして得られた湿式不織布において、湿式不織布の密度が0.10g/cm以下(より好ましくは0.05〜0.08g/cm)であることが好ましい。また、湿式不織布の目付が10〜200g/m(より好ましくは50〜100g/m)の範囲内であることが好ましい。該目付が10g/mよりも小さいと、湿式不織布に占める繊維の構成本数が極めて少なくなり形態をおじするのが困難な恐れがある。逆に該目付けが200g/mを越えると、どうしても繊維が充填化しやすくなり、嵩高(低密度)な構造を得難くなるとともに、厚み方向に斑が生じる恐れがある。また、湿式不織布の厚さとしては0.1〜10mm(より好ましくは0.5〜5mm)の範囲内であることが好ましい。
なお、かかる湿式不織布には、撥水加工、防炎加工、難燃加工、マイナスイオン発生加工など公知の機能加工が付加されていてもさしつかえない。
かかる湿式不織布には、前記のような単繊維横断面形状を有する主体繊維が含まれるので、バインダー成分の流動性が向上しバインダー成分による固着点が形成されやすくなる。そしてその結果、湿式不織布の物性や形状などの耐久性が向上する。
次に、本発明の繊維製品は、前記の湿式不織布を用いてなる、車両資材、クッション材、吸音材、寝装具、家具、衣料、フィルター材、衛生資材、建築資材、土木資材、および農業資材からなる群より選択されるいずれかの繊維製品である。
かかる繊維製品には前記の湿式不織布が含まれるので、物性や形状などの耐久性に優れる。なお、前記繊維構造体を上記以外の繊維製品にも用いられることはいうまでもない。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)融点
Du Pont社製 熱示差分析計990型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)を融点とする。なお、n数5でその平均値を求めた。
(2)捲縮数
JIS L 1015 7.12に記載の方法により測定した。なお、n数5でその平均値を求めた。
(3)扁平度
主体繊維を20本抜き取り、SEM観察をした後、下記式により算出しその平均値を求めた。
扁平度=(A/B
A:繊維軸と直交する断面における最長となる長さ
B:繊維軸と直交する断面において、Aの長さ方向と直交する方向の長さ
(4)繊維充填率(%)=(C/D)×100
C:繊維軸に直交する断面の面積
D:繊維軸に直交する最外周の面積
(5)大気塵捕集効率(0.3μm)
風速5.3cm/secとなるように調整し、試料前後の大気塵をパーティクルカウンターでカウントし、その比によって捕集効率を算出した。
大気塵捕集効率(%)=(1−(試料通過後大気塵数/試料通過前大気塵数))×100
(6)厚み
JISL1096に準じて厚み(mm)を測定した。
(7)120度未満の開口角を有する開口部の個数
主体繊維を1本抜き取り、SEM観察をした後、120度未満の開口角を有する開口部の個数を数えた。
[参考例1〜5、実施例1、2、比較例1〜5]
固有粘度が0.85、融点225℃のポリトリメチレンテレフタレートを用いて、口金を適宜変更して、溶融紡糸、延伸することで、表1に示すような単繊維断面形状を有する、単繊維繊度3.3dtexの主体繊維(5mm、捲縮数9ケ/2.54cm)を得た。
一方、帝人ファイバー(株)製芯鞘型バインダー繊維(単繊維繊度1.7dtex、繊維長5mm、捲縮ナシ、単繊維断面形状:丸断面)を用意した。なお、この芯鞘型バインダー繊維は、融点が110℃の共重合ポリエステル(テレフタル酸とイソフタル酸とを60/40(モル%)で混合した酸成分と、エチレングリコールとジエチレングリコールとを85/15(モル%)で混合したジオール成分とからなる。)を鞘成分に配し、通常のポリエチレンテレフタレートを芯成分に配したものである。
次いで、前記主体繊維と芯鞘型バインダー繊維とを表2に示す混綿比率で試験用パルパーに投入し混合、撹拌した後、傾斜短網抄紙機を用いて抄紙後、ヤンキードライヤー(120℃×1分)で熱処理を施し、湿式不織布を得た。使用した主体繊維を表1、得られた湿式不織布の物性を表2に示す。
次いで、該湿式不織布を用いてフィルター材を得た。
Figure 0005607494
Figure 0005607494
本発明によれば、主体繊維とバインダー成分とを含み、かつ前記主体繊維がバインダー成分によって固着されてなる湿式不織布であって、物性や形状などの耐久性に優れた湿式不織布および該湿式不織布を用いてなる繊維製品が得られ、その工業的価値は極めて大である。
1〜16:120度未満の開口角を有する開口部

Claims (10)

  1. 主体繊維とバインダー成分とを含み、かつ前記主体繊維がバインダー成分によって固着されてなる湿式不織布であって、
    前記主体繊維の単繊維横断面形状において、扁平度が2.0以下であり、かつ120度未満の開口角を有する開口部を12〜20個有することを特徴とする湿式不織布。
    ただし、前記扁平度は下記式により定義する。
    扁平度=(A/B)
    A:繊維軸と直交する断面における最長となる長さ
    B:繊維軸と直交する断面において、Aの長さ方向と直交する方向の長さ
  2. 前記主体繊維の単繊維横断面形状において、下記式により定義する繊維充填率が10〜80%の範囲内である、請求項1に記載の湿式不織布。
    繊維充填率(%)=(C/D)×100
    C:繊維軸に直交する断面の面積
    D:繊維軸に直交する最外周の面積
  3. 前記主体繊維が中空繊維である、請求項1または請求項2に記載の湿式不織布。
  4. 前記主体繊維の単繊維径が10〜50μmの範囲内である、請求項1〜3のいずれかに記載の湿式不織布。
  5. 前記主体繊維の繊維長が1〜20mmの範囲内である、請求項1〜4のいずれかに記載の湿式不織布。
  6. 前記バインダー成分が芯鞘型バインダー繊維である、請求項1〜5のいずれかに記載の湿式不織布。
  7. 湿式不織布の密度が0.10g/cm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の湿式不織布。
  8. 湿式不織布の目付が10〜200g/mの範囲内である、請求項1〜7のいずれかに記載の湿式不織布。
  9. 湿式不織布の厚さが0.1〜10mmの範囲内である、請求項1〜8のいずれかに記載の湿式不織布。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載された湿式不織布を用いてなる、車両資材、クッション材、吸音材、寝装具、家具、衣料、フィルター材、衛生資材、建築資材、土木資材、および農業資材からなる群より選択されるいずれかの繊維製品。
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