JP5638784B2 - ダクト材およびダクト - Google Patents

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Description

本発明は、生産効率よく製造することができ、断熱性、吸音性および構造強度に優れ、さらにはリサイクル性にも優れたダクト材およびこれを用いたダクトに関する。
従来、車両や建築物に用いられるダクトとしては、金属製のものや、断熱性をアップするために、ガラス繊維、ロックウール及びポリエステル繊維による繊維構造体等と金属板を積層し、加圧加熱して成形したサンドイッチ構造のダクトなどが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
しかしながら、これらのダクトにおいて、剛性を向上するために金属板の厚みをアップする等の対応がされているが非常に重いものとなり、且つ価格も高価なものとなっている。また、この剛性をアップするために、板状の低結合材繊維層と高結合材繊維層とを積層したものでは、低結合材繊維層と高結合材繊維層をそれぞれに作製する必要があり、非常に生産効率が悪いものとなっている。また、ガラス繊維を使用したものでは、取り扱い時、ガラス繊維が手にささり作業性の悪さや、廃棄時、うまくリサイクルすることが難しく、おもに埋め立て地に廃棄する必要があった。
特開2005−246936号公報 特開平8−219371号公報 特開2008−31800号公報
本発明は、生産効率よく製造することができ、断熱性、吸音性および構造強度に優れ、さらにはリサイクル性にも優れたダクト材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を達成するため鋭意検討した結果、非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とを用いて、繊維が厚さ方向に配列しかつ熱固着点を有する繊維構造体を得た後、該繊維構造体でダクトを構成すると、生産効率よく製造することができ、断熱性、吸音性および構造強度に優れ、さらにはリサイクル性にも優れたダクト材が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「ダクトを構成するためのダクト材であって、該ダクト材が、下記の要件(1)を満足しかつ厚さが1.0mm以上の繊維構造体を含むことを特徴とするダクト材。」が提供される。
(1)非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿され、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および/または該熱接着性複合短繊維と上記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在し、かつ上記熱接着性複合短繊維と上記非弾性捲縮短繊維が繊維構造体の厚さ方向に配列してなる繊維構造体。
その際、上記非弾性捲縮短繊維がポリエステル系繊維からなることが好ましい。また、上記熱接着性複合短繊維の熱融着成分が共重合ポリエステルからなることが好ましい。また、上記繊維構造体の厚さが1.0〜30mmの範囲内にあることが好ましい。また、上記繊維構造体の密度が0.05〜0.5g/cmの範囲内にあることが好ましい。また、上記繊維構造体が厚さ方向に圧縮成形されたものであることが好ましい。また、上記繊維構造体に繊維クロスが積層されてなることが好ましい。また、上記繊維構造体または繊維クロスに金属板が積層されてなることが好ましい。その際、上記金属板が金属箔であることが好ましい。また、上記金属箔に孔があけられていることが好ましい。また、上記金属板が繊維構造体の厚さ方向に積層され圧縮成形されていることが好ましい。
次に、本発明によれば、上記のダクト材を用いてなるダクトが提供される。その際、ダクトが、車両または建築物で使用される、空調用ダクト、集塵用ダクトまたは排気用ダクトであることが好ましい。
本発明によれば、生産効率よく製造することができ、断熱性、吸音性および構造強度に優れ、さらにはリサイクル性にも優れたダクト材およびダクトが得られる。
本発明で使用する熱処理機の一例を示す側面図である。 B/Aの測定方法を説明するための模式図である。 本発明のダクト材の一例を模式的に示す図である。 本発明のダクト材を組み立てたダクトの一例を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明で使用する非弾性捲縮短繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリピバロラクトン、ポリ乳酸(PLA)またはこれらの共重合体からなる短繊維ないしそれら短繊維の混綿体、または上記ポリマー成分のうちの2種類以上からなる複合短繊維等を挙げることができる。これらの短繊維のうち、繊維形成性等の観点からポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートからなる短繊維が特に好ましい。
この場合の捲縮付与方法としては、熱収縮率の異なるポリマーをサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維を用いてスパイラル状捲縮を付与、異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与、捲縮数が3〜40個/2.54cm(好ましくは7〜15個/2.54cm)となるように通常の押し込みクリンパー方式による機械捲縮を付与など、種々の方法を用いればよいが、嵩高性、製造コスト等の面から機械捲縮を付与するのが最適である。
ここで、上記非弾性捲縮短繊維において、単繊維径が20〜200μmの範囲内であることが好ましい。上記単繊維径が20μmよりも小さいと充分な剛性が得られないおそれがある。逆に、上記単繊維径が200μmよりも大きいと充分な吸音特性が得られないおそれがある。
上記非弾性捲縮短繊維の単繊維横断面形状は、通常の丸断面でもよいし、三角、四角、扁平などの異型断面であってもよい。なお、単繊維横断面形状が異型の場合、上記単繊維径は丸断面に換算した値を使用するものとする。さらに、丸中空断面の場合は外径寸法を測定するものとする。
また、上記非弾性捲縮短繊維の繊維長としては30〜100mmの範囲内であることが好ましい。上記繊維長が30mmよりも小さいと充分な剛性が得られないおそれがある。逆に、上記繊維長が100mmよりも大きいと工程安定性が損われるおそれがある。
次に、熱接着性複合短繊維の熱融着成分は、上記の非弾性捲縮短繊維を構成するポリマー成分より、40℃以上低い融点を有することが必要である。この温度が40℃未満では接着が不十分となる上、腰のない取り扱いにくい繊維構造体となり、本発明の目的が達せられない。
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、非弾性ポリエステル系ポリマー及びその共重合物、ポリオレフィン系ポリマー及びその共重合物、ポリビニルアルコ−ル系ポリマー等を挙げることができ、ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6,000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p’−ジフェニールメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート水素化ジフェニールメタンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコールアミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。
これらのポリマーのうちで、特に好ましいのはポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクタムあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合の有機ジイソシアネートとしてはp,p’−ビスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールを挙げることができる。
また、ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5,000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)クリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
特に、接着性や温度特性、強度の面からすればポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常、30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても良く、同様にグリコール成分の一部(通常、30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分はブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
共重合ポリエステル系ポリマーとしては、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類と、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、パラキシレングリコールなどの脂肪族や脂環式ジオール類とを所定数含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を添加した共重合ポリエステル等を挙げることができ、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとにおいてイソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを添加共重合させたポリエステル等が使用できる。
また、ポリオレフィンポリマーとしては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。
上記の熱融着成分の中でも、共重合ポリエステル系ポリマーが特に好ましい。なお、上述のポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分岐剤、艶消し剤、着色剤、その他各種の改良剤等も必要に応じて配合されていても良い。
熱接着性複合短繊維において、熱融着成分の相手側成分としては、上記のような非弾性のポリエステルが好ましく例示される。その際、熱融着成分が、少なくとも1/2の表面積を占めるものが好ましい。重量割合は、熱融着成分と非弾性ポリエステルが、複合比率で30/70〜70/30の範囲にあるのが適当である。熱接着性複合短繊維の形態としては、特に限定されないが、熱融着成分と非弾性ポリエステルとが、サイドバイサイド、芯鞘型であるのが好ましく、より好ましくは芯鞘型である。この芯鞘型の熱接着性複合短繊維では、非弾性ポリエステルが芯部となり、熱可塑性エラストマーが鞘部となるが、この芯部は同心円状、若しくは、偏心状にあってもよい。
かかる熱接着性複合短繊維において、単繊維径としては20〜50μmの範囲内であることが好ましい。かかる熱接着性複合短繊維Aは、繊維長が3〜100mm(より好ましくは30〜100mm)に裁断されていることが好ましい。
本発明において、上記非弾性捲縮短繊維と上記の熱接着性複合短繊維を混綿させ、加熱処理することにより、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点及び該熱接着性複合短繊維と該非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在してなる繊維構造体が形成される。
この際、非弾性捲縮短繊維と熱接着複合短繊維との重量比率は90/10〜30/70である必要がある。熱接着複合短繊維の比率がこの範囲より少ない場合は、固着点が極端に少なくなり、繊維構造体の腰がなく、成型性が不良となる。一方、熱接着複合短繊維の比率がこの範囲より多い場合は、接着点が多くなり過ぎ、熱処理工程での取扱い性、成型性などが低下する。
さらに、本発明においては、繊維構造体を構成する繊維が厚さ方向に配列していることが肝要である。ここで、「厚さ方向に配列している」とは、繊維構造体の厚さ方向に対して平行に配列されている繊維の総本数を(B)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている繊維の総本数を(A)とするとき、B/Aが1.5以上であることである。
このような繊維構造体を製造する方法には特に限定はなく、従来公知の方法を任意に採用すれば良いが、例えば非弾性捲縮短繊維と熱接着性複合短繊維とを混綿し、ローラーカードにより均一なウェッブとして紡出した後、図1に示すような熱処理機を用いて、ウェッブをアコーディオン状に折りたたみながら加熱処理し、熱融着による固着点を形成させる方法などが好ましく例示される。例えば、特表2002−516932号公報に示された装置(市販のものでは、例えばStruto社製のStruto設備など)などを使用するとよい。
なお、図1において、符号1はウエブ、符号2はコンベア、符号3はヒータ、符号4は繊維構造体である。
かくして得られた繊維構造体は、圧縮成形(プレス加工)されていることが好ましい。構成繊維が繊維構造体の厚さ方向に配列されているため、プレス加工した場合、繊維自体の剛性により反発性が非常に高いため、表層側より密度がアップすることとなり、あたかもダンボール構造のような形状となるため、剛性がアップすることとなる。また、表層側の密度がアップするため、後記する繊維クロス、金属箔との接着性も向上することとなる。
なお、圧縮成形(プレス成形)の温度条件としては、加熱温度が110〜220℃、好ましくは130〜200℃である。
また、図3に示すように、上記繊維構造体4に、繊維クロス6および/または金属板5(好ましくは繊維クロス6および金属板5)が積層されていることが好ましい。繊維構造体4と金属板5との間に繊維クロス6を配置することで、繊維構造体がアコーディオン状に折畳まれているため長さ方向に対する垂直の引裂き強力を向上させることができる。
その際、繊維クロス6の繊維素材としては、天然繊維、合成繊維、無機繊維等を使用できるが、リサイクル性の点でポリエステル繊維が好ましい。さらに強度面より長繊維が望ましい。また、繊維クロスとしては、織編物が使用でき、目開き(隣り合う経または緯糸間の空隙の幅)としては0.1〜10mm、目付けとしては10〜200g/mの範囲が好ましい。なお、かかる繊維クロスは、金属箔に合成樹脂や接着フィルム等により接着されていることが望ましいが、繊維構造体に接着されていてもなんらさしつかえない。
また、金属板5としては金属箔を使用するのが好ましい。金属箔としてはアルミニウム箔(好ましくは厚さが10〜100μm)が好ましい。なお、金属箔は、熱を反射するため断熱性をアップするとともに対炎性を向上に寄与している。また、対炎性に問題ない範囲で小さな穴を開けることで通気性がアップし吸音性を向上させることも可能である。穴の大きさは、0.5mm〜2.0mmであり、間隔としては、1mm〜10mmが好ましい。なお、方法としては、初めにアルミニウム箔に穴を開けたものを使用しても良いし、複合化した後でアルミニウム箔に穴を開けても良い。例えば、ニードル設備を使用すれば可能である。
上記繊維クロスおよび/または金属板は、圧縮行程で繊維構造体と一体で圧縮することが好ましい。成形と同時に、ダクト材を構成する繊維構造体と金属板とが一体的に接合されるため、接着性だけでなく、作業工程も簡略化される。
その際、プレスの方法としては、カレンダーロールまたは、加熱された成型金型で熱プレスする方法や、一定の間隙を持たせた熱カレンダーローラーまたは、熱ベルト方式で処理する方法や、所定形状を持つモールドに所定量のウェッブを詰め込んで圧縮・加熱成型(熱プレス)する方法などが例示される。このように繊維構造体を厚み方向にプレスすることにより、一度にダクトが得られる。
この際の熱プレス条件は、上記と同様である。
また、繊維構造体に金属板を積層することにより、金属板側からの入射音に対する吸音性能が飛躍的に向上する。これは、通常の繊維集合体部分による吸音効果とは別に、金属板が特定周波数領域で共振するという「膜吸音」という効果が新たに発生するためである。なお、金属板は、片面以外に裏面や繊維構造体の内層に設置することも可能である。
繊維構造体と金属板とを貼り合せる方法としては、単に繊維構造体とシート状物を加熱プレスする方法や、または、接着層を設ける方法等がある。接着層としては、粉体又はシート状、ネット状等で、熱により初めて溶融接着されるホットメルトタイプの樹脂や低融点樹脂繊維からなる不織布が好ましい。なお、低融点樹脂または低融点樹脂繊維の組成としては、ウレタン系、アクリル系等の樹脂でもよいが、リサイクル性の点より繊維構造体と同じ、ポリエステル系の接着剤または接着シートが好ましい。
かくして得られたダクト材において、ダクト材の厚さとしては、1.0mm以上であることが肝要であり、1.0〜30mm(より好ましくは0.8〜25mm)の範囲内にあることが好ましい。上記厚さが1.0mmよりも小さいと十分な吸音特性が得られず好ましくない。逆に、上記厚さが30mmよりも大きいとダクト材が重くなるため、軽量性が損われるおそれがある。
かかるダクト材の平均密度としては、0.05〜0.5g/cmの範囲内にあることが好ましい。上記平均密度が0.05g/cmよりも小さいと、十分な剛性が得られないおそれがある。逆に、上記平均密度が0.5g/cmよりもおおきくても、ダクト材が板状となりその後の成型性が困難になるだけでなく音が反射するようになり、十分な吸音特性が得られないおそれがある。なお、かかる密度は、上記のようにダクト材を圧縮成形することにより得られる。
本発明のダクト材には、撥水加工、防炎加工、難燃加工、マイナスイオン発生加工など公知の機能加工が付加されていてもさしつかえない。
本発明のダクト材は、生産効率よく製造することができ、断熱性、吸音性および構造強度に優れ、さらにはリサイクル性にも優れる。
次に、本発明のダクトは、例えば図4に示すように、上記のダクト材9を用いて構成されたダクトである。その際、上記金属板が外気側に位置するように構成することが好ましい。また、ダクトの製造方法としては、平板状のダクト材を裁断し、3枚以上のダクト材を接着剤やアルミ接着テープ等を使用し3次元の形状を作成できる。または、ダクト材にナイフ等で切れ目をいれたり、凹部を作り底を基点に折り曲げたりすることで作成できる。なお、折り曲げ部は接着剤やアルミ接着テープ等で固定することも強度の点でよい。
かかるダクトは、上記のダクト材9を用いているので、車両または建築物で使用される、空調用ダクト、集塵用ダクトまたは排気用ダクトとして好適に用いられる。
なお、図5において、符号10は、ダクトの通風孔である。
次に、本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
(1)融点
Du Pont社製 熱示差分析計990型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークをもとめた。融解温度が明確に観測されない場合には、微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)を融点とする。なお、n数5でその平均値を求めた。
(2)捲縮数
JIS L 1015 7.12に記載の方法により測定した。なお、n数5でその平均値を求めた。
(3)B/A
プレス前の繊維構造体を厚さ方向に切断し、その断面において、厚さ方向に対して平行に配列されている繊維(図2において0°≦θ≦45°)の総本数を(B)とし、繊維構造体の厚さ方向に対して垂直に配列されている繊維(図2において45°<θ≦90°)の総本数を(A)としてB/Aを算出した。なお、本数の測定は、任意の10ヶ所について各々30本の繊維を透過型光学顕微鏡で観察し、その数を数えた。
なお、図2において、Fは非弾性捲縮短繊維または熱接着性複合短繊維、Dは繊維構造体の厚さ方向、Dは非弾性捲縮短繊維または熱接着性複合短繊維の配列方向、符号4は繊維構造体である。
(4)吸音特性(吸音率)
シート状物が音源側に位置するよう試料を配し、吸音率を、JIS−A1405による垂直入射吸音率であって、Bruel&Kjar社製マルチチャンネル分析システム3550型(ソフトウェア:BZ5087型2チャンネル分析ソフトウェア)による2マイクロフォン法で測定した。吸音率は、1,000Hz時で比較した。
(5)ダクト材の厚さ(cm)
JIS K6400により測定した。
(6)ダクト材の平均密度(g/cm
下記式により密度(g/cm)を求めた。
平均密度(g/cm)=ダクト材の単位面積当り質量(g/cm)/ダクト材の厚さ(cm)
(7)剛性(曲げ強さ)
JIS K7203に準拠して50mm(幅)×150mm(長さ)のサイズの試験片を用い、スパン100mmにて、10mm/分の曲げ速度で最大の曲げ強さを測定し剛性(N/5cm)とした。
(8)単繊維径(μm)
電子顕微鏡で350倍に拡大し、n数10で単繊維径を測定し、その平均値を算出した。
(9)熱伝導率(W/m・K)
熱伝導率(W/m・K)は、JIS−A−1412にて測定した。
(10)目付(g/m2
JIS L−1096により、単位面積あたり質量(g/m2)を測定した。
[実施例1]
熱接着性成分の共重合ポリエステルとしてテレフタル酸とイソフタル酸とを60/40(モル%)で混合した酸成分と、エチレングリコールとジエチレングリコールとを85/15(モル%)で混合したジオール成分とから共重合ポリエステルを得た。上記共重合ポリエステルの軟化点は110℃であったので、110℃をもって融点とした。ペレットを減圧乾燥した後、鞘部に用いた。一方、ガラス転位点67℃、融点256℃のポリエチレンテレフタレートを減圧乾燥後、芯部とし、芯鞘型複合溶融紡糸装置に供給し、体積比50/50の複合比率で、紡糸温度290℃、吐出量650g/分で、紡糸孔数450の紡糸口金から溶融紡出した。油剤を付与し、900m/分で引き取って未延伸芯鞘型複合繊維を得た。
この未延伸繊維を集束し、11万dtex(10万デニール)のトウにして、まず72℃の温水中で2.5倍に延伸した後、80℃の温水中で更に1.15倍に延伸し油剤を付与した後、35℃まで自然に冷却された押し込み式クリンパーで捲縮を付与し、繊維長51mmに切断して単糸繊度2.2dtexの熱接着性複合短繊維を得た。このときの捲縮数は11個/25mmであった。
この熱接着性複合短繊維30%(重量)と、非弾性捲縮短繊維として常法により得られた単繊維の太さが6.6dtex、繊維長が64mm、捲縮数が8ケ/210cmの中実丸断面ポリエチレンテレフタレート短繊維(ポリエチレンテレフタレートの融点256℃)70%(重量)とをカードにより混綿し、ローラーカードとストルート設備を使用し熱処理した繊維構造体を作製した。得られた繊維構造体の品質は、表1のとおりである。
一方、繊維クロスとして、ポリエチレンテレフタレート長繊維を用いて目付100g/m2の平組織織物を製織した。また、金属板として厚さが50μmのアルミニウム箔(孔なし)を用意した。次いで、上記繊維クロスとアルミニウム箔とをオレフィン系接着剤で貼り合わせてシート物を得た。
次いで、上記シート状物を、シート状物の繊維クロス側表面が上記繊維構造体に接触するように繊維構造体の上に配置した後、190℃に加熱された金属製平板の間にはさみ、熱プレスした後、室温にて冷却しダクト材を得た。
評価結果を表1に示す。なお、非弾性捲縮短繊維の単繊維径が24.8μm、熱接着性複合短繊維の単繊維径が14.8μmであった。
次いで、該ダクト材を用いて図5に模式的に示すようなダクトを組み立てた。その際、アルミニウム箔が外気側に位置するよう構成した。また、ダクトの組み立てはダクト材を長方形に裁断し、端部を接着剤で貼り合せ筒状になるように組み立てた。
[実施例2]
実施例1において、アルミニウム箔として、直径1mmの丸穴を1cm間隔であけたアルミニウム箔を用いること以外は、実施例1と同様にした。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
すでに市販されている、グラスウールのフェノール樹脂成形品にアルミニウム箔を貼り合せたものについて評価した。評価結果を表1に示す。
本発明によれば、生産効率よく製造することができ、断熱性、吸音性および構造強度に優れ、さらにはリサイクル性にも優れたダクト材およびダクトが得られ、その工業的価値は極めて大である。
F :非弾性捲縮短繊維または熱接着性複合短繊維
:繊維構造体の厚さ方向
:非弾性捲縮短繊維または熱接着性複合短繊維の配列方向
1 :ウエブ
2 :コンベア
3 :ヒータ
4 :繊維構造体
5 :金属板
6 :繊維クロス
9 :ダクト材
10:通風孔

Claims (12)

  1. ダクトを構成するためのダクト材であって、該ダクト材が、下記の要件(1)を満足しかつ厚さが1.0mm以上の繊維構造体を含み、かつ該繊維構造体に金属板が積層されていることを特徴とするダクト材。
    (1)非弾性捲縮短繊維と、該非弾性捲縮短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とが重量比率で90/10〜30/70となるように混綿され、該熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点および/または該熱接着性複合短繊維と上記非弾性捲縮短繊維とが交差した状態で熱融着された固着点とが散在し、かつ上記熱接着性複合短繊維と上記非弾性捲縮短繊維が繊維構造体の厚さ方向に配列してなる繊維構造体。
  2. 上記非弾性捲縮短繊維がポリエステル系繊維からなる、請求項1に記載のダクト材。
  3. 上記熱接着性複合短繊維の熱融着成分が共重合ポリエステルからなる、請求項1または請求項2に記載のダクト材。
  4. 上記繊維構造体の厚さが1.0〜30mmの範囲内にある、請求項1〜3のいずれかに記載のダクト材。
  5. 上記繊維構造体の密度が0.05〜0.5g/cmの範囲内にある、請求項1〜4のいずれかに記載のダクト材。
  6. 上記繊維構造体が厚さ方向に圧縮成形されたものである、請求項1〜5のいずれかに記載のダクト材。
  7. 上記繊維構造体に繊維クロスが積層されてなる、請求項1〜6のいずれかに記載のダクト材。
  8. 上記金属板が金属箔である、請求項1〜7いずれかに記載のダクト材。
  9. 上記金属箔に孔があけられている、請求項8に記載のダクト材。
  10. 上記金属板が繊維構造体の厚さ方向に積層され圧縮成形されてなる、請求項1〜9のいずれかに記載のダクト材。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のダクト材を用いてなるダクト。
  12. ダクトが、車両または建築物で使用される、空調用ダクト、集塵用ダクトまたは排気用ダクトである、請求項11に記載のダクト。
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