JP2004239936A - 多層吸音構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的安価に製造し得る、優れた吸音性を有する多層吸音構造体を提供すること。
【解決手段】互いに密度を異にする2層の繊維構造体からなり、その平均密度が0.02〜0.2g/cm、全体の厚みが5〜100mmの範囲にあって、高密度側繊維構造体の密度を(a)、厚みを(A)とし、他方、低密度側繊維構造体の密度を(b)、厚みを(B)とするとき、a/bが1.5〜10、かつA/Bが0.05〜20の範囲にあり、高密度側繊維構造体が音源側に配されてなることを特徴とする多層吸音構造体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低周波から高周波にかけて広くかつ良好な吸音特性を有する吸音構造体に関する。さらに詳しくは、車輌や住宅あるいは道路などの騒音低減用として好適に利用することができる多層吸音構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車輌や住宅あるいは高速道路などの吸音、遮音材として、ガラスウール、ウレタンフォーム、ポリエステル繊維などの各種繊維を用いた吸音材が多数提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、かかる吸音材として多層構造を有する吸音材も提案されている。例えば、吸音材を多層構造とし、かつ各層を構成する繊維の繊度と目付けを特定することにより剛性を付与した吸音材(例えば、特許文献2参照)や、密度差を有する繊維成形材をサンドイッチ型に配することにより耐へたり性を付与した吸音材(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
【0004】
しかるに、これらの多層吸音材は剛性や耐へたり性のなどの特性を有するものの、吸音性の点でまだ満足とは言えず、より優れた吸音性を有するものが望まれていた。
【0005】
特に、近年では住宅事情や交通事情の点で騒音問題がクローズアップされており、比較的安価に製造し得る、優れた吸音性を有する吸音材の提案が強く望まれている。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−3599号公報
【特許文献2】
特開2001−207365号公報
【特許文献3】
特開平11−131356号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の問題を解消するためになされたものであり、その課題は、比較的安価に製造し得る、優れた吸音性を有する多層吸音構造体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、互いに密度を異にする2層の繊維構造体で多層吸音構造体を構成し、高密度側繊維構造体を騒音発生源側(表層側)に配することにより、所望の優れた吸音性を有する多層吸音構造体が得られることを見出した。そして、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明に到達した。
【0009】
かくして、本発明によれば、「互いに密度を異にする2層の繊維構造体が積層してなり、その平均密度が0.02〜0.2g/cm、全体の厚みが5〜100mmの範囲であって、高密度側繊維構造体の密度を(a)、厚みを(A)とし、他方、低密度側繊維構造体の密度を(b)、厚みを(B)とするとき、a/bが1.5〜10、かつA/Bが0.05〜20の範囲にあり、高密度側繊維構造体が音源側に配されてなることを特徴とする多層吸音構造体」が提供される。
【0010】
その際、高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体が、ともに、ポリエステル系短繊維からなる主体繊維と、熱融着成分と繊維形成性熱可塑性ポリマーとからなり、少なくとも熱融着成分が繊維表面に露出している熱接着性複合短繊維とから形成されていることが好ましい。
【0011】
そして、高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体において、ともに、主体繊維と熱接着性複合短繊維との混合比率としては、重量比で90:10〜50:50であることが好ましい。
【0012】
また、優れた吸音性を得る上で、高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体において、ともに、繊維構造体を構成する繊維の平均繊度が0.5〜10dtexの範囲であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本発明の多層吸音構造体は、互いに密度を異にする2層の繊維構造体で構成される。
【0014】
これらの繊維構造体を形成する繊維としては、特に限定されず、ポリエステル系繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、芳香族ポリアミド繊維、耐炎火繊維など公知の繊維が使用される。なかでも、取り扱い作業性、リサイクル性、性能面、価格面のバランスからポリエステル系繊維が最も好ましく例示される。
【0015】
かかるポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリピバロラクトンやこれらの共重合体からなる繊維、または上記ポリマー成分の群より選択された2種類以上からなる複合繊維をあげることができる。なかでも、繊維形成性の点で、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレートを1成分とする複合繊維などが特に好ましく例示される。
【0016】
なお、かかる繊維を構成するポリマーには、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分枝剤、艶消し剤、着色剤、その他各種改良剤等が必要に応じて配合されていてもよい。
【0017】
そして、これらの繊維の形態としては、長繊維であってもよいし、短繊維であってもよい。さらには、捲縮を付与された短繊維であってもよい。
【0018】
この場合の捲縮付与方法としては、▲1▼熱収縮率の異なるポリマーをサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維を用いてスパイラル状に捲縮を付与、▲2▼異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与、▲3▼押し込み捲縮法によるジグザグ状捲縮を付与など、種々の方法を用いることができる。
【0019】
繊維構造体を形成する繊維の平均繊度としては0.5〜10dtexの範囲であることが好ましい。該平均繊度が0.5dtexよりも小さいと、繊維構造体を製造する際の工程性が悪くなる恐れがある。逆に、該平均繊度が10dtexを超えると本発明の主目的である満足な吸音性が得られない恐れがある。
【0020】
本発明において、前記の繊維を適宜用いて高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体を形成することができる。
【0021】
その際、1種類の繊維で高密度側繊維構造体及び/又は低密度側繊維構造体を形成してもよいし、複数種類の繊維で高密度側繊維構造体及び/又は低密度側繊維構造体を形成してもよい。
【0022】
さらには、高密度側繊維構造体を形成する繊維の種類と低密度側繊維構造体を形成する繊維の種類を同一としてもよいし、異ならせてもよい。
【0023】
なかでも、高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体が、ともに、ポリエステル系短繊維からなる主体繊維と、該ポリエステル系短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とから形成されていることが好ましい。
【0024】
これらの繊維で、高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体を形成することにより、吸音性だけでなく、腰のある取り扱い性に優れた吸音構造体が得られる。
【0025】
ここで、前記主体繊維となるポリエステル系短繊維としては、吸音性の点で前記の捲縮が付与されていることが好ましく、特に、嵩高性、製造コスト等の面から異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与されたものが最適である。
【0026】
他方、前記熱接着性複合短繊維としては、熱融着成分と繊維形成性熱可塑性ポリマーとからなり、少なくとも前者が繊維表面に露出しているものを使用することができる。重量割合としては、前者と後者が30/70〜70/30の範囲が適当である。該熱接着性複合短繊維の複合形態としては、サイド・バイ・サイド型、芯鞘型のいずれであってもよいが、好ましいのは後者である。この芯鞘型においては繊維形成性熱可塑性ポリマーが芯部となるが、該芯部は同心円状あるいは偏心状であってもよい。特に偏心状のものにあっては、スパイラル捲縮が発現するので好ましい。なお、該複合短繊維の断面形状としては、中空、中実、異型いずれでもよい。
【0027】
熱接着性複合短繊維の熱融着成分は、前記のポリエステル系短繊維を構成するポリマー成分より、40℃以上低い融点を有することが好ましい。この温度差が40℃未満では接着が不十分となって、腰のない、取り扱い難い吸音構造体となる恐れがある。
【0028】
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、非弾性ポリエステル系ポリマー及びその共重合物、ポリオレフィン系ポリマー及びその共重合物、ポリビニルアルコール系ポリマー等を挙げることができる。
【0029】
前記ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p’−ジフェニールメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート水素化ジフェニールメタンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコールアミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。
【0030】
これらのポリマーのうちで、特に好ましいのはポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクタムあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合の有機ジイソシアネートとしてはp,p’−ビスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールを挙げることができる。
【0031】
また、ポリエステル系エラストマーとしては熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)グリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
【0032】
特に、接着性や温度特性、強度の面からすればポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。
【0033】
この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても良く、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分はブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
【0034】
共重合ポリエステル系ポリマーとしては、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類と、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、パラキシレングリコールなどの脂肪族や脂環式ジオール類とを所定数含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を添加した共重合エステル等を挙げることができ、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとにイソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを添加共重合させたポリエステルが好ましい。
【0035】
また、ポリオレフィンポリマーとしては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。
【0036】
上記の熱融着成分の相手方成分である繊維形成性熱可塑性ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルや、ポリオレフィンポリマーなどが例示される。
【0037】
本発明の多層吸音構造体を構成する高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体は、例えば、前記の主体繊維と熱接着性複合短繊維を混綿させ、加熱処理することにより、熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点及び該熱接着性複合短繊維と主体繊維とが交差した状態で熱融着された固着点が散在してなる繊維構造体が形成される。
【0038】
この際、高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体において、ともに、主体繊維と熱接着性複合短繊維との混合比率が重量比で90:10〜50:50であることが好ましい。熱接着性複合短繊維の比率がこの範囲より小さい場合は、接着点が極端に少なくなり、繊維構造体の腰がなく、また成形しても十分な吸音性や剛性が得られない恐れがある。逆に、熱接着性複合短繊維の比率がこの範囲よりも大きい場合は、接着点が多くなりすぎ、熱処理工程での取り扱い性などが低下する恐れがある。
【0039】
本発明の多層吸音構造体は、前記の繊維構造体を従来公知の方法により2層積層することにより得られる。例えば、まず、主体繊維と熱接着性複合短繊維とを混綿し、ローラーカードにより均一なウエッブとして紡出し、さらに熱風循環型熱処理機を用いて加熱処理することで熱融着による接着点を形成させて繊維構造体を得る。そして、かかる繊維構造体を必要に応じて熱接着性シートを介して積層した後、再度熱処理することにより、多層吸音構造体が得られる。また、前記のウエッブを積層した後、一度に熱処理することによっても多層吸音構造体が得られる。
【0040】
この際、音源側(表層側)に位置する繊維構造体の密度及び厚みを、他の層を構成する繊維構造体の密度及び厚みに対して、一定の範囲内とすることが肝要である。
【0041】
すなわち、高密度側繊維構造体を音源側(表層側)に、低密度側繊維構造体を裏層側に配し、かつ、高密度側繊維構造体の密度を(a)、厚みを(A)とし、他方、低密度側繊維構造体の密度を(b)、厚みを(B)とするとき、a/bが1.5〜10(好ましくは1.7〜7)、A/Bが0.05〜20(好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜2)の範囲内とすることにより、優れた吸音性を有する多層吸音構造体を得ることができるのである。
【0042】
ここで、a/bが1.5よりも小さい場合は、十分な吸音効果が得られず好ましくない。逆に、a/bが10よりも大きいと、コスト高となる恐れがあり好ましくない。
【0043】
また、A/Bが0.05よりも小さい場合、またはA/Bが20よりも大きい場合、一方の層の厚みが小さくなりすぎ、多層構造による吸音効果が得られず好ましくない。
【0044】
ここで、本発明において高密度側繊維構造体を音源側に配することが肝要であり、逆に低密度側繊維構造体を音源側に配すると十分な吸音効果が得られず好ましくない。この理由は、高密度側繊維構造体を音源側に配し、低密度側繊維構造体を他層側に配することにより、音源から発せられた音波が、高密度側繊維構造体を経由して吸音構造体に入った後、多層吸音構造体が取り付けられた固体面と高密度側繊維構造体との間に閉じ込められ、その結果、優れた吸音効果が得られるためである。
【0045】
かくして得られる多層吸音構造体の平均密度は、0.02〜0.2g/cm(好ましくは0.05〜0.1g/cm)の範囲にある必要がある。該平均密度が0.02g/cm未満では、多層吸音構造体が柔かくなりすぎて取り扱いが難しくなるため好ましくない。逆に、該平均密度が0.2g/cmを越えると、板状となり、音波が反射するようになり吸音効果が低下するだけでなく、その後の成形が困難になるため好ましくない。なお、本発明において、密度はJISL1097に準じて測定したかさ高性(g/cm)によって測定した値を用いるものとする。また、多層吸音構造体の平均密度(g/cm)とは、高密度側繊維構造体の密度と低密度側繊維構造体の密度を加重平均した値である。
【0046】
さらに、本発明の多層吸音構造体は、全体の厚みが5〜100mmの範囲にある必要がある。該厚みが5mmより小さいと、厚みが薄すぎるため十分な吸音効果が得られず好ましくない。逆に、該厚みが100mmよりも大きいと製造が困難となったり、コスト高となるため好ましくない。なお、本発明において、厚みはJISL1096に準じて測定した厚み(mm)を用いるものとする。
【0047】
本発明の多層吸音構造体において、染色加工や起毛加工が施されていてもよい。さらには、撥水加工、防炎加工、難燃加工、マイナスイオン加工など公知の機能加工が付加されていてもさしつかえない。
【0048】
【実施例】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<厚み>JISL1096に準じて厚み(mm)を測定した。
<密度>JISL1097に準じて密度(g/cm)を測定した。
<吸音性>JISA1405に基づき、管内法による建築材料の垂直入射吸音率を測定した。なお、1/3オクターブ中心周波数400Hz、1000Hz、5000Hzで測定した。
<目付け>JISL1096に準じて目付け(g/m)を測定した。
【0049】
[実施例1]
まず、異方冷却により立体捲縮を付与した単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(主体繊維、融点256℃)と、ポリエチレンテレフタレート(融点256℃)を芯部に、テレフタル酸とイソフタル酸とを60/40(モル%)で混合した酸成分と、エチレングリコールとジエチレングリコールとを85/15(モル%)で混合したジオール成分とからなる共重合ポリエチレンテレフタレート(軟化点110℃)を鞘部に、鞘/芯の重量比で50/50になるように常法により紡糸して得られた芯鞘型熱接着性複合短繊維(単糸繊度4.4dtex、繊維長51mm)とを70/30の重量比率で混綿しローラーカードにより均一なウエッブを得た。次いで、該ウエッブを熱風循環式乾燥機を用いて160℃、10分熱処理し、高密度側繊維構造体を得た(目付け1000g/m、厚み10mm、密度0.10g/cm)。
【0050】
他方、目付けと密度を変更し、それ以外は高密度側繊維構造体と同様にして低密度側繊維構造体(目付け500g/m、厚み10mm、密度0.05g/cm)を得た。
【0051】
かかる高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体を、熱接着シート(日東紡社製スパンファブ、目付け30g/m、厚み0.8mm)を介して積層し、再度熱処理(160℃、5分)することにより、多層吸音構造体を得た。
【0052】
そして、高密度側繊維構造体を音源側に配して(低密度側繊維構造体を裏面側に配して)、吸音性を測定した。多層吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0053】
[実施例2]
実施例1において、低密度側繊維構造体の主体繊維の繊度を6.6dtexに変更する以外は、実施例1と同様にして多層吸音構造体を得た。
【0054】
そして、実施例1と同様にして吸音性を測定した。多層吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0055】
[実施例3]
実施例1において、高密度側繊維構造体の性量を目付け1000g/m、厚み5mm、密度0.20g/cmに変更し、かつ低密度側繊維構造体の性量を目付け1800g/m、厚み60mm、密度0.03g/cmに変更する以外は、実施例1と同様にして多層吸音構造体を得た。
【0056】
そして、実施例1と同様にして吸音性を測定した。多層吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0057】
[実施例4]
実施例1において、高密度側繊維構造体の性量を目付け2500g/m、厚み50mm、密度0.05g/cmに変更し、かつ低密度側繊維構造体の性量を目付け90g/m、厚み3mm、密度0.03g/cmに変更する以外は、実施例1と同様にして多層吸音構造体を得た。
【0058】
そして、実施例1と同様にして吸音性を測定した。多層吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0059】
[実施例5]
実施例1において、高密度側繊維構造体の性量を目付け150g/m、厚み3mm、密度0.05g/cmに変更し、かつ低密度側繊維構造体の性量を目付け150g/m、厚み50mm、密度0.03g/cmに変更する以外は、実施例1と同様にして多層吸音構造体を得た。
【0060】
そして、実施例1と同様にして吸音性を測定した。多層吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0061】
[比較例1]
実施例1で用いた繊維構造体と同じ原綿構成で、実施例1と同様にして繊維構造体(目付け1500g/m、厚み20mm、密度0.075g/cm)を得て、該繊維構造体を単層吸音構造体とした。単層吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0062】
[比較例2]
実施例1において、高密度側繊維構造体の目付け、密度を各々600g/m、0.060g/cmに変更する以外は、実施例1と同様にして多層吸音構造体を得た。
【0063】
そして、実施例1と同様にして吸音性を測定した。多層吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0064】
[比較例3]
実施例1で得られた多層吸音構造体を用いて、実施例1とは逆に低密度側繊維構造体を音源側に配して吸音性を測定した。多層吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0065】
【表1】
Figure 2004239936
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、比較的安価に製造し得る、優れた吸音性を有する多層吸音構造体が得られる。かかる多層吸音構造体は、車輌や住宅あるいは高速道路などの用途に好適であり、優れた騒音軽減効果を有するものである。

Claims (4)

  1. 互いに密度を異にする2層の繊維構造体が積層してなり、その平均密度が0.02〜0.2g/cm、全体の厚みが5〜100mmの範囲であって、高密度側繊維構造体の密度を(a)、厚みを(A)とし、他方、低密度側繊維構造体の密度を(b)、厚みを(B)とするとき、a/bが1.5〜10、かつA/Bが0.05〜20の範囲にあり、高密度側繊維構造体が音源側に配されてなることを特徴とする多層吸音構造体。
  2. 高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体が、ともに、ポリエステル系短繊維からなる主体繊維と、熱融着成分と繊維形成性熱可塑性ポリマーとからなり少なくとも熱融着成分が繊維表面に露出している熱接着性複合短繊維とから形成されてなる請求項1に記載の多層吸音構造体。
  3. 高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体において、ともに、主体繊維と熱接着性複合短繊維との混合比率が重量比で90:10〜50:50である請求項2に記載の多層吸音構造体。
  4. 高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体において、ともに、繊維構造体を構成する繊維の平均繊度が0.5〜10dtexの範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の多層吸音構造体。
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