JP2005215021A - 吸遮音多層繊維構造体および吸遮音製品 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な吸音特性と遮音特性(透過損失)とを有し、比較的安価に製造することが可能な吸遮音多層繊維構造体、およびかかる吸遮音多層繊維構造体を用いてなる吸遮音製品を提供する。
【解決手段】互いに密度を異にする2層の繊維構造体が積層一体化されてなり、全体厚みが5〜100mmの多層繊維構造体であって、高密度側繊維構造体の密度aが0.06g/cm以上であり、かつ高密度側繊維構造体の密度aと低密度側繊維構造体の密度bとの比a/bが1.5〜10であり、少なくとも低密度側繊維構造体を構成する繊維の平均単糸繊度が3.3dtex以下である吸遮音多層繊維構造体を得て、必要に応じて低密度側繊維構造体を音源側に配して吸遮音製品とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、互いに密度を異にする2層の繊維構造体が積層一体化されてなる多層繊維構造体であって、車輌、住宅、道路などの騒音低減用防音材料として使用できる、良好な吸音特性と遮音特性(透過損失)とを有する吸遮音多層繊維構造体に関するものである。
従来、車輌、住宅、高速道路および建築現場などの防音材料として、吸音特性や遮音特性を有する各種材料が提案されている。かかる吸音特性と遮音特性とは異なる性質であり、非特許文献1によれば、吸音特性とは材料に入射する音のエネルギーを熱エネルギーにして消失する性質であり、一方遮音特性とは空気伝播音を反射することにより伝播音を遮断し透過音を少なくする性質である。
前記吸音特性を有する材料としては、例えば、高融点熱可塑性繊維と低融点熱可塑性繊維とから構成され低融点熱可塑性繊維の一部を熱融着させた吸音材(例えば、特許文献1参照)や、互いに密度差を有する繊維構造体を積層した多層吸音材(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。また、本発明者は、先に特願2003−025808号において、互いに密度を異にする2層の繊維構造体が積層一体化させかつこれら繊維構造体の密度と厚みを特定の範囲とすることにより優れた吸音性を有する多層吸音構造体を提案した。
一方、遮音特性を有する材料としては、例えば、ポリウレタンフォームと熱可塑性樹脂からなる遮音表皮とカーペットの積層体からなる遮音材(例えば、特許文献3参照)や、互いに通気性を異にする2層の不織布を積層させた遮音材(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
しかしながら、吸音特性と遮音特性とを兼備した吸遮音材料はこれまであまり提案されておらず、その提案が望まれていた。
書名:繊維便覧259頁、796頁 編者:(社)繊維学会 発行所:丸善(株) 発行年月日:平成6年3月25日 特開平7−3599号公報 特開平11−131356号公報 特許第3273222号公報 特許第3342817号公報
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、良好な吸音特性と遮音特性(透過損失)とを有し、比較的安価に製造することが可能な吸遮音多層繊維構造体、およびかかる吸遮音多層繊維構造体を用いてなる吸遮音製品を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、互いに密度を異にする2層の繊維構造体で多層吸音構造体を構成し、その際、低密度側繊維構造体を構成する繊維の単糸繊度を小さくすることにより吸音特性が向上し、一方高密度側繊維構造体の密度を大きくすることにより遮音特性が向上することを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「互いに密度を異にする2層の繊維構造体が積層一体化されてなり、全体厚みが5〜100mmの多層繊維構造体であって、高密度側繊維構造体の密度aが0.06g/cm以上であり、かつ高密度側繊維構造体の密度aと低密度側繊維構造体の密度bとの比a/bが1.5〜10であり、少なくとも低密度側繊維構造体を構成する繊維の平均単糸繊度が3.3dtex以下であることを特徴とする吸遮音多層繊維構造体。」が提供される。
ここで、低密度側繊維構造体と高密度側繊維構造体とがともに、ポリエステル系短繊維からなる主体繊維と、熱融着成分と繊維形成性熱可塑性ポリマー成分とからなり少なくとも熱融着成分が繊維表面に露出している熱接着性複合短繊維とから形成されていることが好ましい。その際、主体繊維と熱接着性複合短繊維との混合比率としては、重量比で90:10〜50:50であることが好ましい。
また、本発明の吸遮音多層繊維構造体を用いて吸遮音製品を得る際、低密度側繊維構造体が音源側に位置するよう配することにより、特に優れた吸遮音効果が得られ好ましい。
本発明によれば、良好な吸音特性と遮音特性(透過損失)とを有し、比較的安価に製造することができる吸遮音多層繊維構造体、およびかかる吸遮音多層繊維構造体を用いてなる吸遮音製品が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明の吸遮音多層繊維構造体は、互いに密度を異にする2層の繊維構造体が積層一体化されてなるものであり、全体厚みが5〜100mmである。該全体厚みが5mmよりも小さいと十分な吸遮音効果が得られず好ましくない。逆に該全体厚みが100mmよりも大きいとコストアップとなり好ましくない。高密度側繊維構造体の厚みAと低密度側繊維構造体の厚みBとの比A/Bについては特に限定されないが、吸音特性と遮音特性とのバランスをとる上で、A/Bが0.1〜10(より好ましくは0.5〜2)の範囲内であることが好ましい。
本発明の吸遮音多層繊維構造体を構成する高密度側繊維構造体および低密度側繊維構造体において、各繊維構造体の形状は特に限定されないが、厚みを有する平面状繊維構造体であることが好ましい。さらには、本発明の目的が損なわれない範囲であれば、高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体の他に、織編物、不織布、厚みを有する平面状繊維構造体など他の層がさらに積層されていてもよい。
本発明の吸遮音多層繊維構造体において、高密度側繊維構造体の密度aが0.06g/cm以上(好ましくは0.1〜0.5g/cm)であり、かつ高密度側繊維構造体の密度aと低密度側繊維構造体の密度bとの比a/bが1.5〜10(好ましくは1.7〜7)である必要がある。高密度側繊維構造体は主として遮音特性に寄与する層であり、一方低密度側繊維構造体は主として吸音特性に寄与する層である。このため、前記高密度側繊維構造体の密度aが0.06g/cmよりも小さいと、十分な遮音特性が得られず好ましくない。また、a/bが1.5よりも小さい場合、低密度側繊維構造体の密度が高くなり音波が反射するようになって吸音特性が低下するため好ましくない。逆に、該a/bが10より大きい場合も低密度側繊維構造体の密度が低くなりすぎ十分な吸音特性が得られないだけでなく、層間の密度差が大きすぎる為、接着が不十分となり層間剥離の問題になる可能性があり好ましくない。
次に、前記低密度側繊維構造体を構成する繊維の平均単糸繊度が3.3dtex以下(より好ましくは0.6〜2.0dtex)であることが必要である。該平均単糸繊度が、3.3dtexよりも大きいと、十分な吸音性が得られず好ましくない。該平均単糸繊度が小さい程優れた吸音性が得られるが、平均単糸繊度が0.6dtexよりも小さくなると取扱い性が低下する恐れがある。
高密度側繊維構造体を形成する繊維の繊度は特に限定されないが、平均単糸繊度としては0.5〜10dtexの範囲であることが好ましい。該平均単糸繊度が0.5dtexよりも小さいと、繊維構造体を製造する際の工程性が悪くなる恐れがある。逆に、該平均単糸繊度が10dtexを超えると繊維構造体の通気性が高くなり遮音性が損なわれるおそれがある。
前記低密度側繊維構造体および高密度側繊維構造体を形成する繊維としては、特に限定されず、ポリエステル系繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、芳香族ポリアミド繊維、耐炎火繊維など公知の繊維が使用される。なかでも、取扱い性、リサイクル性、性能面、価格面のバランスからポリエステル系繊維が最も好ましく例示される。
かかるポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリピバロラクトンやこれらの共重合体からなる繊維、または上記ポリマー成分の群より選択された2種類以上からなる複合繊維をあげることができる。なかでも、繊維形成性の点で、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレートを1成分とする複合繊維などが特に好ましく例示される。
なお、繊維を構成するポリマーには、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分枝剤、艶消し剤、着色剤、その他各種改良剤等が必要に応じて配合されていてもよい。
そして、これらの繊維の形態としては、長繊維であってもよいし、短繊維であってもよい。さらには、捲縮を付与された短繊維であってもよい。
この場合の捲縮付与方法としては、1)熱収縮率の異なるポリマーをサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維を用いてスパイラル状に捲縮を付与、2)異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与、3)押し込み捲縮法によるジグザグ状捲縮を付与など、種々の方法を用いることができる。
本発明において、前記の繊維を適宜用いて高密度側繊維構造体および低密度側繊維構造体を形成することができる。
その際、1種類の繊維で高密度側繊維構造体および/または低密度側繊維構造体を形成してもよいし、複数種類の繊維で高密度側繊維構造体および/または低密度側繊維構造体を形成してもよい。
さらには、高密度側繊維構造体を形成する繊維の種類と低密度側繊維構造体を形成する繊維の種類を同一としてもよいし、異ならせてもよい。
なかでも、高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体がともに、ポリエステル系短繊維からなる主体繊維と、該ポリエステル系短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とから形成されていることが好ましい。特に、前記の主体繊維と熱接着性複合短繊維を混綿させ、加熱処理することにより、熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点及び該熱接着性複合短繊維と主体繊維とが交差した状態で熱融着された固着点が散在してなる繊維構造体が好適に例示される。
その際、高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体において、ともに、主体繊維と熱接着性複合短繊維との混合比率が重量比で90:10〜50:50であることが好ましい。熱接着性複合短繊維の比率がこの範囲より小さい場合は、固着点が極端に少なくなり、繊維構造体の腰がなく、また成形しても十分な吸音性や剛性が得られない恐れがある。逆に、熱接着性複合短繊維の比率がこの範囲よりも大きい場合は、固着点が多くなりすぎ、熱処理工程での取扱い性などが低下する恐れがある。
これらの繊維で、高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体を形成することにより、吸遮音性だけでなく、腰のある取扱い性に優れた吸遮音音構造体が得られる。
ここで、前記主体繊維となるポリエステル系短繊維としては、吸音性の点で前記の捲縮が付与されていることが好ましく、特に、嵩高性、製造コスト等の面から異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与されたものが最適である。
他方の熱接着性複合短繊維としては、熱融着成分と繊維形成性熱可塑性ポリマー成分とからなり、少なくとも前者が繊維表面に露出しているものを使用することができる。重量割合としては、前者と後者が30/70〜70/30の範囲が適当である。該熱接着性複合短繊維の複合形態としては、サイドバイサイド型、芯鞘型のいずれであってもよいが、好ましいのは後者である。この芯鞘型においては繊維形成性熱可塑性ポリマー成分が芯部となるが、該芯部は同心円状あるいは偏心状であってもよい。特に偏心状のものにあっては、スパイラル捲縮が発現するので好ましい。なお、該複合短繊維の断面形状としては、中空、中実、異型いずれでもよい。
熱接着性複合短繊維の熱融着成分は、前記のポリエステル系短繊維を構成するポリマー成分より、40℃以上低い融点を有することが好ましい。この温度差が40℃未満では接着が不十分となって、腰のない、取扱い難い吸遮音構造体となるおそれがある。
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、非弾性ポリエステル系ポリマー及びその共重合物、ポリオレフィン系ポリマー及びその共重合物、ポリビニルアルコール系ポリマー等を挙げることができる。
前記ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p’−ジフェニールメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート水素化ジフェニールメタンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコールアミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。
これらのポリマーのうちで、特に好ましいのはポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクタムあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合の有機ジイソシアネートとしてはp,p’−ビスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールを挙げることができる。
また、ポリエステル系エラストマーとしては熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)グリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
特に、接着性や温度特性、強度の面からすればポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。
この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても良く、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分はブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
共重合ポリエステル系ポリマーとしては、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類と、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、パラキシレングリコールなどの脂肪族や脂環式ジオール類とを所定数含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を添加した共重合エステル等を挙げることができ、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとにイソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを添加共重合させたポリエステルが好ましい。
また、ポリオレフィンポリマーとしては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。
上記の熱融着成分の相手方成分である繊維形成性熱可塑性ポリマー成分としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルや、ポリオレフィンポリマーなどが例示される。
本発明の吸遮音多層繊維構造体は、少なくとも前記高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体とを従来公知の方法により積層一体化することにより得られる。例えば、まず、主体繊維と熱接着性複合短繊維とを混綿し、ローラーカードにより均一なウエッブとして紡出し、さらに熱風循環型熱処理機を用いて加熱処理することで熱融着による固着点を形成させて繊維構造体を得る。そして、密度の異なる繊維構造体を2種以上用いて、必要に応じて熱接着性シートを介して積層した後、再度熱処理することにより吸遮音多層繊維構造体が得られる。また、前記のウエッブを積層した後、一度に熱処理することによっても吸遮音多層繊維構造体が得られる。
本発明の吸遮音多層繊維構造体を吸遮音製品として使用する際、低密度側繊維構造体を音源側に配することが好ましい。低密度側繊維構造体を音源側に配すると、音源から発せられた音波が、低密度側繊維構造体により吸音され続いて高密度側繊維構造体により遮音されるため優れた吸遮音効果が得られる。
なお、本発明の吸遮音多層繊維構造体において、通常の染色加工や起毛加工が施されていてもよい。さらには、撥水加工、防炎加工、難燃加工、マイナスイオン発生加工など公知の機能加工が付加されていてもさしつかえない。
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<厚み>JISL1096に準じて厚み(mm)を測定した。なお、n数5でその平均値を算出した。
<密度>JISL1097に準じて密度(g/cm)を測定した。なお、n数5でその平均値を算出した。
<吸音特性>JISA1405に基づき、管内法による建築材料の垂直入射吸音率を1/3オクターブ中心周波数1000Hz、2000Hzで測定した。なお、n数5でその平均値を算出した。
<遮音特性>JISA1416に基づき、実験室における音響透過損失を1/3オクターブ中心周波数1000Hz、2000Hzで測定した。なお、n数5でその平均値を算出した。
[実施例1]
単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mmの通常のポリエチレンテレフタレート短繊維(主体繊維、融点256℃、捲縮数:12ケ/2.54cm)と、ポリエチレンテレフタレート(融点256℃)を芯部に、テレフタル酸とイソフタル酸とを60/40(モル%)で混合した酸成分と、エチレングリコールとジエチレングリコールとを85/15(モル%)で混合したジオール成分とからなる共重合ポリエチレンテレフタレート(軟化点110℃)を鞘部に、鞘/芯の重量比で50/50になるように常法により紡糸して得られた芯鞘型熱接着性複合短繊維(単糸繊度4.4dtex、繊維長51mm)とを(主体繊維/熱接着性複合短繊維)70/30の重量比率で混綿し、ローラーカードにより均一なウエッブを得た。次いで、該ウエッブを熱風循環式乾燥機を用いて160℃、10分熱処理し、低密度側繊維構造体(目付け1000g/m、厚み20mm、密度0.05g/cm、平均単糸繊度2.5dtex)を得た。
一方、前記主体繊維の単繊維繊度を3.3dtexに変更し、さらに目付けと密度を変更し、それ以外は低密度側繊維構造体と同様にして高密度側繊維構造体(目付け1200g/m、厚み10mm、密度0.12g/cm、平均単糸繊度3.6dtex)を得た。
かかる高密度側繊維構造体と低密度側繊維構造体を、熱接着シート(日東紡社製スパンファブ、目付け30g/m、厚み0.8mm)を介して積層し、再度熱処理(160℃、5分)することにより、吸遮音多層繊維構造体を得た。
該吸遮音多層繊維構造体について、低密度側繊維構造体を音源側に配して吸音特性と遮音特性を評価したところ、吸音特性と遮音特性ともに優れていた。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、低密度側繊維構造体の主体繊維の繊度を2.2dtexに変更することにより、低密度側繊維構造体の平均単糸繊度を2.8dtexに変更する以外は、実施例1と同様にして吸遮音多層繊維構造体を得た。
得られた吸遮音多層繊維構造体について、実施例1と同様にして吸音特性と遮音特性を評価したところ、吸音特性と遮音特性ともに優れていた。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、高密度側繊維構造体の性量を目付け2000g/m、厚み10mm、密度0.20g/cmに変更する以外は、実施例1と同様にして吸遮音多層繊維構造体を得た。
得られた吸遮音多層繊維構造体について、実施例1と同様にして吸音特性と遮音特性を評価したところ、吸音特性と遮音特性ともに優れていた。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた低密度側繊維構造体と同じ原綿構成で単層繊維構造体(目付け2100g/m、厚み30mm、密度0.07g/cm、平均単糸繊度2.5dtex)を得た。
得られた単層繊維構造体について、実施例1と同様にして吸音特性と遮音特性を測定したところ、吸音特性には優れていたが遮音特性では不十分であった。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、高密度側繊維構造体の性量を目付け500g/m、厚み10mm、密度0.05g/cmに変更する以外は、実施例1と同様にして吸遮音多層繊維構造体を得た。
得られた単層繊維構造体について、実施例1と同様にして吸音特性と遮音特性を測定したところ、吸音特性には優れていたが遮音特性では不十分であった。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、低密度側繊維構造体の主体繊維の繊度を6.6dtexに変更することにより、低密度側繊維構造体の平均単糸繊度を5.9dtexに変更する以外は、実施例1と同様にして吸遮音多層繊維構造体を得た。
得られた単層繊維構造体について、実施例1と同様にして吸音特性と遮音特性を測定したところ、吸音特性で不十分であり遮音特性ではやや不十分であった。評価結果を表1に示す。
Figure 2005215021
本発明によれば、良好な吸音特性と遮音特性(透過損失)とを有し、比較的安価に製造することが可能な吸遮音多層繊維構造体および吸遮音製品が得られる。かかる吸遮音多層繊維構造体は、車輌や住宅あるいは高速道路などの騒音低減用防音材料の用途に好適であり、優れた防音効果が得られる。

Claims (4)

  1. 互いに密度を異にする2層の繊維構造体が積層一体化されてなり、全体厚みが5〜100mmの多層繊維構造体であって、高密度側繊維構造体の密度aが0.06g/cm以上であり、かつ高密度側繊維構造体の密度aと低密度側繊維構造体の密度bとの比a/bが1.5〜10であり、少なくとも低密度側繊維構造体を構成する繊維の平均単糸繊度が3.3dtex以下であることを特徴とする吸遮音多層繊維構造体。
  2. 低密度側繊維構造体と高密度側繊維構造体とがともに、ポリエステル系短繊維からなる主体繊維と、熱融着成分と繊維形成性熱可塑性ポリマー成分とからなり少なくとも熱融着成分が繊維表面に露出している熱接着性複合短繊維とから形成されてなる請求項1に記載の吸遮音多層繊維構造体。
  3. 低密度側繊維構造体と高密度側繊維構造体において、主体繊維と熱接着性複合短繊維との混合比率が重量比で90:10〜50:50である請求項2に記載の吸遮音多層繊維構造体。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の吸遮音多層繊維構造体を用いてなり、低密度側繊維構造体が音源側に配されてなる吸遮音製品。
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