JP4043343B2 - 吸音構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車輌や住宅あるいは道路などの騒音低減用として好適に利用することができる吸音構造体に関する。さらに詳しくは、軽量性と形態安定性を損なわず、低周波から高周波にかけて広くかつ良好な吸音特性を有する吸音構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車輌や住宅あるいは高速道路などの吸音、遮音材として、ガラスウール、ウレタンフォーム、ポリエステル繊維、さらには高融点熱可塑性繊維と低融点熱可塑性繊維を用いたもの(例えば、特許文献1参照)など各種繊維を用いた吸音材が多数提案されている。
【0003】
かかる吸音材に要求される特性としては、吸音性、軽量性、形態安定性などがあげられる。特に吸音性においては、低周波から高周波にかけて広くかつ良好な吸音特性が求められている。
【0004】
そして、かかる吸音材の吸音性を高める方法としては、従来、繊維径を細くしたり、目付けを大きくするなどの方法が採用されてきた。
【0005】
しかるに、単に繊維径を細くするだけでは、低周波から高周波にかけて広くかつ良好な吸音特性は十分には得られず、形態安定性も損なわれるという問題があった。他方、単に目付けを大きくするだけでは、軽量性が損なわれるという問題があった。
【0006】
このため、繊維構造体を高通気表皮材で包みこんだもの(例えば、特許文献2参照)や、極細繊維を含む不織布で吸音材を構成することにより吸音性を向上させる方法(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。
【0007】
これらの方法により、軽量性と形態安定性を損なうことなく800Hz以上の中高周波領域での吸音性は得られるものの、低周波領域での吸音性の点ではまだ十分とは言えず、その改善が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−3599号公報
【特許文献2】
特開2000−305574号公報
【特許文献3】
特開2002−161464号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の問題を解消するためになされたものであり、その課題は、軽量性と形態安定性を損なわず、低周波から高周波にかけて広くかつ良好な吸音特性を有する吸音構造体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、特定の目付けと通気度を有する細繊度繊維使いの不織布と、特定の密度、厚み、特定繊度を有する繊維構造体とを積層し、かつ不織布からなる層を音源側に配することにより、所望の吸音構造体が得られることを見出した。そして、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明に到達した。
【0011】
かくして、本発明によれば「その目付けが10〜300g/m2、通気度が1.5〜10cc/cm2/sec、構成繊維の平均繊度が0.1〜2dtexである不織布と、その密度が0.01〜0.10g/cm3、厚みが5〜100mm、構成繊維の平均繊度が0.5〜10dtexである繊維構造体とが積層してなる吸音構造体であって、前記不織布からなる層が音源側に配されてなり、かつ前記繊維構造体が、ポリエステル系短繊維からなる主体繊維と、ポリウレタン系エラストマーまたはポリエステル系エラストマーからなる熱融着成分と繊維形成性熱可塑性ポリマーとからなり少なくとも熱融着成分が繊維表面に露出している熱接着性複合短繊維とから形成され熱融着による固着点を有する繊維構造体であることを特徴とする吸音構造体。」が提供される。
【0012】
その際、不織布からなる層の目付けや通気度を前記の範囲内とするために、不織布を構成する繊維に、樹脂がその繊維重量に対して5〜50重量%となるよう付着させることが、通気性を制御する上で好ましい。
【0014】
そして、その際、主体繊維と熱接着性複合短繊維との混合比率が重量比で90:10〜50:50であることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の吸音構造体は、不織布と繊維構造体とが積層してなる2層構造を有している。
【0016】
まず、前記の不織布は、その平均繊度が0.1〜2dtex(より好ましくは0.6〜1.7dtex)である繊維で形成される。該平均繊度が、2dtexよりも大きいと、吸音構造体の吸音性、特に低周波領域で十分な吸音性が得られず好ましくない。逆に、該平均繊度が0.1dtexよりも小さいと、該繊維の製造が困難となるだけでなく、取り扱い性も低下する恐れがあり好ましくない。
【0017】
なお、前記の平均繊度とは、不織布を構成する繊維が1種類であれば、その単糸繊度であり、不織布を構成する繊維が多種類であれば、それら単糸繊度の加重平均である。
【0018】
そして、かかる繊維の種類は特に限定されず、ポリエステル系繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、芳香族ポリアミド繊維、耐炎火繊維など公知の繊維が使用される。なかでも、取り扱い作業性、リサイクル性、性能面、価格面のバランスからポリエステル系繊維やポリオレフィン系繊維が好ましく例示される。
【0019】
ここで、ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどからなる繊維があげられる。
【0020】
また、ポリオレフィン系繊維としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなる繊維があげられる。
【0021】
そして、これらの繊維を構成するポリマーには、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分枝剤、艶消し剤、着色剤、その他各種改良剤等が必要に応じて配合されていてもよい。
【0022】
また、不織布を形成するこれらの繊維は、長繊維であってもよいし、短繊維であってもよい。さらに、繊維の断面形状も丸、三角、扁平など公知のものを使用することができる。
【0023】
次に、該不織布はその目付けが10〜300g/m2(好ましくは50〜200g/m2)である必要がある。該目付けが10g/m2よりも小さいと、通気度が大きくなり後記範囲の通気度が得られない恐れがあり好ましくない。逆に、該目付けが300g/m2よりも大きいと、吸音構造体全体としての重量がアップしてしまうため好ましくない。
【0024】
さらに、該不織布の通気度が1.5〜10cc/cm2/sec(好ましくは2〜8cc/cm2/sec)である必要がある。該通気度が1.5cc/cm2/secよりも小さくなると、膜型吸音材のように低周波領域でのみ吸音し、中周波領域や高周波領域での吸音性が低下するため好ましくない。逆に、該通気度が10cc/cm2/secよりも大きくなると、不織布層による吸音効果が低下し、低周波領域で十分な吸音性が得られず好ましくない。
【0025】
前記のような特定の目付けおよび通気度を得る方法として、不織布を形成する繊維に樹脂を付着させる方法が好適である。かかる方法は特に通気度を制御する上で極めて好適である。また、繊維に樹脂を付着させることにより、不織布表面の毛羽を押えることも可能となり、さらには、不織布の剛性がアップし、吸音構造体の形態安定性が向上するといった効果も得られる。
【0026】
かかる樹脂としては、公知の樹脂を使用することができ、例えば、アクリル酸エステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂アクリル樹脂などが例示される。
【0027】
その際、樹脂の付着量としては、繊維重量に対して5〜50重量%の範囲が適当である。
【0028】
なお、本発明において、800〜1600Hzの領域を中周波領域といい、該領域未満を低周波領域、該領域より大の領域を高周波領域という。
【0029】
上記の不織布を製造する方法は特に限定されることはなく、長繊維から不織布を直接製造するスパンボンド法やメルトブロー法、或いは短繊維を均一に分散させた後、繊維同士の絡合により不織布を形成するニードルパンチ法やウオーターニードル法など公知の方法を使用することができる。
【0030】
次に、本発明の吸音構造体を構成する繊維構造体は、その平均繊度が0.5〜10dtex(好ましくは2〜8dtex)である繊維で形成される。該平均繊度が10dtexよりも大きいと、本発明の主目的である満足な吸音性が得られず好ましくない。逆に、該平均繊度が0.5dtexよりも小さいと、繊維構造体の製造が困難となるだけでなく、吸音構造体全体としての形態安定性が低下するため好ましくない。
【0031】
なお、該平均繊度とは、繊維構造体を構成する繊維が1種類であれば、その単糸繊度であり、繊維構造体を構成する繊維が多種類であれば、それら単糸繊度の加重平均である。
【0032】
前記繊維構造を構成する繊維の種類としては、特に限定されず、ポリエステル系繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、芳香族ポリアミド繊維、耐炎火繊維など公知の繊維が使用される。なかでも、取り扱い作業性、リサイクル性、性能面、価格面のバランスからポリエステル系繊維が好ましく例示される。
【0033】
ここで、ポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリピバロラクトンやこれらの共重合体からなる繊維、または上記ポリマー成分の群より選択された2種類以上からなる複合繊維をあげることができる。なかでも、繊維形成性の点で、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンテレフタレートを1成分とする複合繊維などが特に好ましく例示される。
【0034】
なお、かかる繊維を構成するポリマーには、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分枝剤、艶消し剤、着色剤、その他各種改良剤等が必要に応じて配合されていてもよい。
【0035】
そして、これらの繊維の形態としては、長繊維であってもよいし、短繊維であってもよい。さらには、捲縮を付与された短繊維であってもよい。
【0036】
この場合の捲縮付与方法としては、▲1▼熱収縮率の異なるポリマーをサイドバイサイド型に貼り合わせた複合繊維を用いてスパイラル状に捲縮を付与、▲2▼異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与、▲3▼押し込み捲縮法によるジグザグ状捲縮を付与など、種々の方法を用いることができる。
【0037】
その際、1種類の繊維で繊維構造体を形成してもよいし、複数種類の繊維で繊維構造体を形成してもよい。
【0038】
なかでも、繊維構造体が、ポリエステル系短繊維からなる主体繊維と、該ポリエステル系短繊維を構成するポリマーよりも40℃以上低い融点を有するポリマーが熱融着成分としてその表面に配された熱接着性複合短繊維とから形成されていることが好ましい。
【0039】
これらの繊維で、繊維構造体を形成することにより、吸音性だけでなく、腰のある形態安定性に優れた吸音構造体が得られる。
【0040】
ここで、前記ポリエステル系短繊維としては、吸音性の点で前記の捲縮が付与されていることが好ましく、特に、嵩高性、製造コスト等の面から異方冷却によりスパイラル状捲縮を付与されたものが最適である。
【0041】
他方、前記熱接着性複合短繊維としては、熱融着成分と繊維形成性熱可塑性ポリマーとからなり、少なくとも前者が繊維表面に露出しているものを使用することができる。重量割合としては、前者と後者が30/70〜70/30の範囲が適当である。該熱接着性複合短繊維の複合形態としては、サイド・バイ・サイド型、芯鞘型のいずれであってもよいが、好ましいのは後者である。この芯鞘型においては繊維形成性熱可塑性ポリマーが芯部となるが、該芯部は同心円状あるいは偏心状であってもよい。特に偏心状のものにあっては、スパイラル捲縮が発現するので好ましい。なお、該複合短繊維の断面形状としては、中空、中実、異型いずれでもよい。
【0042】
熱接着性複合短繊維の熱融着成分は、前記のポリエステル系短繊維を構成するポリマー成分より、40℃以上低い融点を有することが好ましい。この温度差が40℃未満では接着が不十分となって、腰のない、取り扱い難い吸音構造体となる恐れがある。
【0043】
ここで、熱融着成分として配されるポリマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、非弾性ポリエステル系ポリマー及びその共重合物、ポリオレフィン系ポリマー及びその共重合物、ポリビニルアルコール系ポリマー等を挙げることができる。
【0044】
前記ポリウレタン系エラストマーとしては、分子量が500〜6000程度の低融点ポリオール、例えばジヒドロキシポリエーテル、ジヒドロキシポリエステル、ジヒドロキシポリカーボネート、ジヒドロキシポリエステルアミド等と、分子量500以下の有機ジイソシアネート、例えばp,p’−ジフェニールメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート水素化ジフェニールメタンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、ヘキサメチレンジイソシアネート等と、分子量500以下の鎖伸長剤、例えばグリコールアミノアルコールあるいはトリオールとの反応により得られるポリマーである。
【0045】
これらのポリマーのうちで、特に好ましいのはポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、またはポリ−ε−カプロラクタムあるいはポリブチレンアジペートを用いたポリウレタンである。この場合の有機ジイソシアネートとしてはp,p’−ビスヒドロキシエトキシベンゼンおよび1,4−ブタンジオールを挙げることができる。
【0046】
また、ポリエステル系エラストマーとしては熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステル共重合体、より具体的にはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも1種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、デカメチレングリコール等の脂肪族ジオールあるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンメタノール等の脂環式ジオール、またはこれらのエステル形成性誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも1種、および平均分子量が約400〜5000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−ポリプロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体等のポリ(アルキレンオキサイド)グリコールのうち少なくとも1種から構成される三元共重合体を挙げることができる。
【0047】
特に、接着性や温度特性、強度の面からすればポリブチレン系テレフタレートをハード成分とし、ポリオキシブチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルエステルが好ましい。
【0048】
この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。むろん、この酸成分の一部(通常30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されていても良く、同様にグリコール成分の一部(通常30モル%以下)はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分で置換されていても良い。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル部分はブチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってよい。
【0049】
共重合ポリエステル系ポリマーとしては、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類および/またはヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂環式ジカルボン酸類と、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、パラキシレングリコールなどの脂肪族や脂環式ジオール類とを所定数含有し、所望に応じてパラヒドロキシ安息香酸などのオキシ酸類を添加した共重合エステル等を挙げることができ、例えばテレフタル酸とエチレングリコールとにイソフタル酸および1,6−ヘキサンジオールを添加共重合させたポリエステルが好ましい。
【0050】
また、ポリオレフィンポリマーとしては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげることができる。
【0051】
上記の熱融着成分の相手方成分である繊維形成性熱可塑性ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルや、ポリオレフィンポリマーなどが例示される。
【0052】
本発明の吸音構造体を構成する繊維構造体は、例えば、前記の主体繊維と熱接着性複合短繊維を混綿させ、加熱処理することにより、熱接着性複合短繊維同士が交差した状態で熱融着された固着点及び該熱接着性複合短繊維と主体繊維とが交差した状態で熱融着された固着点が散在してなる繊維構造体が形成される。
【0053】
この際、主体繊維と熱接着性複合短繊維との混合比率が重量比で90:10〜50:50であることが好ましい。熱接着性複合短繊維の比率がこの範囲より小さい場合は、固着点が極端に少なくなり、繊維構造体の腰がなく、また成形しても十分な吸音性や剛性が得られない恐れがある。逆に、熱接着性複合短繊維の比率がこの範囲よりも大きい場合は、固着点が多くなりすぎ、熱処理工程での取り扱い性などが低下する恐れがある。
【0054】
このようにして得られた繊維構造体において、その密度が0.01〜0.10g/cm3(好ましく0.02〜0.08g/cm3)の範囲である必要がある。該密度が0.10g/cm3より大きいと、硬くボード状となり、十分な吸音性が得られず好ましくない。逆に、該密度が0.01g/cm3より小さいと、フワフワな状態となり、取り扱い性が低下するため好ましくない。
【0055】
なお、本発明において、密度はJISL1097に準じて測定したかさ高性(g/cm3)によって測定した値を用いるものとする。
【0056】
さらに、該繊維構造体において、その厚みが5〜100mm(好ましくは10〜60mm)の範囲である必要がある。該厚みが100mmより大きいと、繊維構造体の製造が困難になるだけでなく、重量アップやコストアップを招く恐れがあり好ましくない。逆に、該厚みが5mmよりも小さいと、吸音性が低下するため好ましくない。
【0057】
なお、本発明において、厚みはJISL1096に準じて測定した厚み(mm)を用いるものとする。
【0058】
前記繊維構造体の形態としては、特に限定されず、立体織物、立体編物、不織布、前述の熱固着点を有する繊維構造体などが例示される。なかでも、前述の熱固着点を有する繊維構造体が特に好ましく例示される。
【0059】
本発明の吸音構造体は、前記の不織布と繊維構造体が積層され、2層構造を有するものである。
【0060】
この際、不織布と繊維構造体との接着方法は、特に限定されず、公知の方法を使用することができる。例えば、不織布と繊維構造体とを熱接着シートを介して積層した後熱接着させる方法、不織布と繊維構造体とをニードルパンチ機を用いて繊維同士を絡合させる方法、繊維構造体中に熱接着性複合短繊維を含ませて該熱接着性複合短繊維と不織布とを熱接着させる方法、不織布と繊維構造体とを液状バインダーや粉末バインダーにより接着させる方法などがあげられる。なかでも、取り扱い性等の点で、熱接着シートを用いる方法が好適である。
【0061】
かくして得られる吸音構造体は、不織布からなる層が音源側に配される。その結果、特定の目付けと通気度を有する細繊維使いの不織布の吸音効果と、特定の密度、厚み、繊度を有する繊維構造体の吸音効果により、軽量性と形態安定性を損なわず、低周波から高周波にかけて広くかつ良好な吸音性が得られる。
【0062】
なお、本発明の吸音構造体において、染色加工や起毛加工が施されていてもよい。さらには、撥水加工、防炎加工、難燃加工、マイナスイオン加工など公知の機能加工が付加されていてもさしつかえない。
【0063】
【実施例】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<厚み>JISL1096に準じて厚み(mm)を測定した。
<密度>JISL1097に準じて密度(g/cm3)を測定した。
<吸音性>JISA1405に基づき、管内法による建築材料の垂直入射吸音率を測定した。なお、1/3オクターブ中心周波数400Hz、1000Hz、5000Hzで測定した。
<目付け>JISL1096に準じて目付け(g/m2)を測定した。
【0064】
[実施例1]
まず、ポリエチレンテレフタレートからなる長繊維(単糸繊度1.7dtex)を用いてスパンボンド法で不織布(目付け100g/m2)を得た。
【0065】
次に、該不織布に常法の含浸法により、アクリル酸エステル樹脂を付着させることにより、不織布の目付けを180g/m2、通気度を5.5cc/cm2/secとした。
【0066】
一方、融点が150℃の熱可塑性ポリエーテルエステル系エラストマーを鞘成分に配し、ポリブチレンテレフタレートを芯成分に配した、単糸繊度3.3dtex、繊維長51mmの芯鞘型熱接着性複合短繊維(芯成分:鞘成分が重量比で60:40)と、異方冷却により立体捲縮を付与した単繊維繊度3.3dtex、繊維長51mmのポリエチレンテレフタレート短繊維(主体繊維、融点256℃)とを、重量比で30:70となるように、混綿し、ローラーカードにより均一なウエッブを得た。次いで、該ウエッブを熱風循環式乾燥機を用いて200℃、20分熱処理することにより、熱融着による固着点を形成させて、繊維構造体を得た(目付け1000g/m2、厚み20mm、密度0.05g/cm3)。
【0067】
そして、前記の不織布と繊維構造体とを、熱接着シート(日東紡社製、スパンファブ、目付け30g/m2、厚み0.8mm)を介して積層し、再度熱処理(180℃、5分)することにより、吸音構造体を得た。
【0068】
そして、不織布層を音源側に配して、吸音性を測定した。吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0069】
[実施例2]
ポリプロピレンからなる長繊維(単糸繊度0.5dtex)を用いてメルトブロー法で不織布(目付け50g/m2)を得た。
【0070】
次に、該不織布に常法の含浸法により、実施例1で使用したのと同じアクリル酸エステル樹脂を付着させることにより、不織布の目付けを80g/m2、通気度を3.2cc/cm2/secに変更した。これ以外は実施例1と同様にして吸音構造体を得た。
【0071】
そして、実施例1と同様にして吸音性を測定した。該吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0072】
[実施例3]
ポリエチレンテレフタレートからなる原綿(単糸繊度1.7dtex、繊維長51mm)を用いてニードルパンチ法で不織布(目付け120g/m2)を得た。
【0073】
次に、該不織布に常法の含浸法により、実施例1で使用したのと同じアクリル酸エステル樹脂を付着させることにより、不織布の目付けを150g/m2、通気度を8.7cc/cm2/secに変更した。これ以外は実施例1と同様にして吸音構造体を得た。
【0074】
そして、実施例1と同様にして吸音性を測定した。該吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0075】
[比較例1]
実施例1において、不織布に付着させるアクリル酸エステル樹脂の付着量を変更することにより、不織布の目付けを350g/m2、通気度を1.2cc/cm2/secとした。これ以外は実施例1と同様にして吸音構造体を得た。
【0076】
そして、実施例1と同様にして吸音性を測定した。該吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0077】
[比較例2]
実施例1において、繊維構造体を構成するポリエチレンテレフタレート短繊維の単糸繊度を16dtexに変更する以外は実施例1と同様にして、吸音構造体を得た。
【0078】
そして、実施例1と同様にして吸音性を測定した。該吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0079】
[比較例3]
実施例1において、不織布は用いず、繊維構造体のみを用い、これ以外は実施例1と同様にして、吸音構造体を得た。
【0080】
そして、実施例1と同様にして吸音性を測定した。該吸音構造体の物性及び吸音性を表1に示す。
【0081】
【表1】
Figure 0004043343
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、軽量性と形態安定性を損なわず、低周波から高周波にかけて広くかつ良好な吸音特性を有する吸音構造体が得られる。かかる吸音構造体は、車輌や住宅あるいは高速道路などの用途に好適であり、優れた騒音軽減効果が得られる。

Claims (3)

  1. その目付けが10〜300g/m2、通気度が1.5〜10cc/cm2/sec、構成繊維の平均繊度が0.1〜2dtexである不織布と、その密度が0.01〜0.10g/cm3、厚みが5〜100mm、構成繊維の平均繊度が0.5〜10dtexである繊維構造体とが積層してなる吸音構造体であって、前記不織布からなる層が音源側に配されてなり、かつ前記繊維構造体が、ポリエステル系短繊維からなる主体繊維と、ポリウレタン系エラストマーまたはポリエステル系エラストマーからなる熱融着成分と繊維形成性熱可塑性ポリマーとからなり少なくとも熱融着成分が繊維表面に露出している熱接着性複合短繊維とから形成され熱融着による固着点を有する繊維構造体であることを特徴とする吸音構造体。
  2. 不織布を構成する繊維に、樹脂がその繊維重量に対して5〜50重量%付着してなる請求項1に記載の吸音構造体。
  3. 主体繊維と熱接着性複合短繊維との混合比率が重量比で90:10〜50:50である請求項1または請求項2に記載の吸音構造体。
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