この発明の一の局面による車両は、駆動力発生手段と、駆動力発生手段を運転者が制御するための第1スイッチと、駆動力発生手段から駆動力が伝達される第1駆動力伝達手段と、第1駆動力伝達手段からの駆動力を駆動輪に伝達する第2駆動力伝達手段とを含み、駆動力発生手段で発生された駆動力を駆動輪に伝達するベルト式無段変速機と、ベルト式無段変速機の変速比を制御するとともに、運転者により第1スイッチがオフされることにより駆動力発生手段に対して停止が指示された後、第1駆動力伝達手段の回転速度に基づいて、第1駆動力伝達手段の回転速度が第1駆動力伝達手段の略停止状態に対応する0または正の数である所定の値よりも大きい場合にベルト式無段変速機の変速比をロー側に向かって継続して制御するとともに、第1駆動力伝達手段の回転速度が上記0または正の数である所定の値以下になったときに車速にかかわらずベルト式無段変速機の制御を停止するか、または、第2駆動力伝達手段の回転速度に基づいて、第2駆動力伝達手段の回転速度が第2駆動力伝達手段の略停止状態に対応する上記0または正の数である所定の値よりも大きい場合にベルト式無段変速機の変速比をロー側に向かって継続して制御するとともに、第2駆動力伝達手段の回転速度が上記0または正の数である所定の値以下になったときに車速にかかわらずベルト式無段変速機の制御を停止する変速制御手段とを備える。
この一の局面による車両では、上記のように、第1スイッチがオフされることにより駆動力発生手段に対して停止が指示された後、無段変速機の変速比を継続して制御する変速制御手段を設ける。これにより、走行中に運転者が第1スイッチをオフすることにより駆動力発生手段に対して停止が指示された後にも、変速制御手段により無段変速機の変速比を継続して制御することができるので、走行中(停止前)に無段変速機の変速比をローに近づけることができる。これにより、次回の始動操作時に、ローまたはローに近い状態で駆動力発生手段を始動させることができるので、駆動力発生手段で発生した駆動力を大きなトルクに変換して駆動輪に伝達することができる。その結果、スムーズな発進が可能となる。また、走行中に第1スイッチがオフされることにより駆動力発生手段に対して停止が指示された後にも、走行中(停止前)に無段変速機をローに近づけることができるので、停止後の次回の始動操作時に、無段変速機の変速比をローに戻す必要がない。これにより、始動操作後スタートするまでの時間を短縮することができる。また、駆動力発生手段に対して停止が指示された後無段変速機の変速比を継続して制御することによって、変速制御手段によりロー側への変速制御を行いながら、惰性走行することができる。これにより、駆動力発生手段に停止が指示された後にも、エンジンブレーキが効きやすい状態で走行することができるので、操作性を向上させることができる。また、無段変速機は、駆動力発生手段から駆動力が伝達される第1駆動力伝達手段と、第1駆動力伝達手段からの駆動力を駆動輪に伝達する第2駆動力伝達手段とを含み、変速制御手段は、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転を検出して無段変速機の変速比を継続して制御する。このように構成すれば、駆動力発生手段に対して停止が指示された後にも、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転速度がたとえば所定の値以下になるまで無段変速機の変速比を制御することができるので、無段変速機の変速比を容易にローに近づけることができる。また、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転速度がたとえば所定の値以下になった場合には、無段変速機の変速比の制御は行われないので、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の回転の停止後に、無段変速機の変速比が変更されるのを抑制することができる。ベルト式無段変速機を用いる場合には、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の回転の停止後に無段変速機の変速比が変更されなくなるので、ベルト部材のテンションを適切に保つことができる。これにより、ベルト部材が弛んだ状態で再始動した場合にベルト部材にダメージを与えるという不都合が発生するのを抑制することができる。また、変速制御手段は、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転速度が所定の値以下になったときに、無段変速機の制御を停止する。このように構成すれば、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段のいずれか一方の回転速度が所定の回転速度以下になった場合には、無段変速機の変速比の制御は行われないので、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の回転の停止後に、無段変速機の変速比が制御されるのを容易に抑制することができる。また、無段変速機は、電気的に制御されるベルト式無段変速機である。このように電気的に制御されるベルト式無段変速機を用いれば、無段変速機の変速比を容易に制御することができる。また、たとえば、第1駆動力伝達手段のみが電気的に制御されるベルト式無段変速機を用いる場合には、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の回転の停止後に、無段変速機の変速比が制御されることに起因して第2駆動力伝達手段のシーブが停止した状態で第1駆動力伝達手段のシーブのみがロー側に移動することによりベルト部材が弛むという不都合が発生しやすい。この場合において、上記した第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転を検出して無段変速機の変速比の制御を行う構成を用いることにより、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転速度が所定の値以下になった場合に無段変速機の変速比の制御を行わないようにすることによって、ベルト部材の弛みを抑制することが有効である。
上記一の局面による車両において、好ましくは、変速制御手段は、変速比が所定のロー側の値になった場合に、無段変速機の目標変速比を所定のロー側の値に設定することにより変速比を継続して制御する。このように構成すれば、第1スイッチがオフされた後に変速比が所定のロー側の値になった後、道路が下り坂になった場合にも、車速が大きくなることに起因して変速比がロー側からトップ側に変動することがない。これにより、エンジンブレーキを効かせた状態で下り坂を走行することができる。その結果、運転者の操作性をより向上させることができる。
上記無段変速機が第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段を含む車両において、好ましくは、第2駆動力伝達手段と駆動輪との間、または、駆動力発生手段と第1駆動力伝達手段との間のいずれか一方に配置されたクラッチをさらに備える。クラッチが、たとえば、遠心クラッチである場合において、第2駆動力伝達手段と駆動輪との間に遠心クラッチが配置される場合、遠心クラッチは所定の回転速度以下になると駆動力を伝達しなくなるので、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の回転が停止する一方、車両は走行しつづけることになる。この場合、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の回転の停止後車速が所定の値以下になるまで変速比の制御を継続すると、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の停止後にも、無段変速機の変速比が制御されることになるので、上記のように第2駆動力伝達手段のシーブが停止した状態で第1駆動力伝達手段のシーブのみがロー側に移動することによってベルト部材が弛む。したがって、特に、遠心クラッチを備える場合には、上記した第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転を検出して無段変速機の変速比の制御を行う構成を用いることにより、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転速度が所定の値以下になった場合に無段変速機の変速比の制御を行わないようにすることによって、ベルト部材が弛むのを抑制することが有効である。また、クラッチが、たとえば、遠心クラッチである場合において、駆動力発生手段と第1駆動力伝達手段との間に遠心クラッチが配置される場合、遠心クラッチは所定の回転速度以下になると駆動力発生手段の駆動力を第1駆動力伝達手段に伝達しなくなるので、遠心クラッチが所定の回転速度以下になると駆動力発生手段の回転を検出することにより第1駆動力伝達手段の回転速度を検出することができなくなる。したがって、特に、遠心クラッチを備える場合には、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転を直接的に検出して無段変速機の変速比の制御を行う構成を用いることにより、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転速度が所定の値以下になった場合に無段変速機の変速比の制御を行わないようにすることによって、ベルト部材が弛むのを抑制することが有効である。
上記第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転速度、駆動力発生手段の回転速度、または、第1駆動力伝達手段の回転速度が所定の値以下になった場合に無段変速機の制御を停止する車両において、所定の値は、0である。このように構成すれば、第1駆動力伝達手段、第2駆動力伝達手段、または、駆動力発生手段の回転速度が0になるまで無段変速機の変速比をローに近づけることができるので、無段変速機の変速比をよりローに近づけることができる。
上記ベルト式無段変速機を備える車両において、好ましくは、ベルト式無段変速機のベルト部材は、エラストマにより形成されている。このようなエラストマからなるベルト部材は、弛みが発生した場合、ダメージを受けやすい。したがって、上記した第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転を検出して無段変速機の変速比を制御する構成を用いることにより、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転速度が所定の値以下になった場合に無段変速機の変速比の制御を行わないようにする。これにより、ベルト部材のテンションを適切に保つことができるので、ベルト部材の弛みに起因するベルト部材へのダメージを抑制することができる。
上記無段変速機が第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段を含む車両において、好ましくは、無段変速機は、駆動力発生手段から駆動力が伝達される第1駆動力伝達手段と、第1駆動力伝達手段からの駆動力を駆動輪に伝達する第2駆動力伝達手段とを含み、変速制御手段は、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段のいずれか一方のみを電気的に制御することにより無段変速機の変速比を制御する。たとえば、第1駆動力伝達手段のみが電気的に制御されるベルト式無段変速機を用いる場合に、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の回転の停止後に、無段変速機の変速比が制御されることに起因して第2駆動力伝達手段のシーブが停止した状態で第1駆動力伝達手段側のシーブのみがロー側に移動することによりベルト部材が弛むという不都合が発生しやすい。しかし、上記した第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転を検出して無段変速機の変速比の制御を行う構成を用いることにより、第1駆動力伝達手段および第2駆動力伝達手段の少なくとも一方の回転速度が所定の値以下になった場合に無段変速機の変速比の制御を行わないようにすることによって、ベルト部材の弛みを抑制することが特に有効である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1参考例)
図1は、本発明の第1参考例による自動二輪車の全体構造を示した側面図である。図2は、図1に示した第1参考例による自動二輪車の無段変速機の変速制御を説明するための図である。図3〜図5は、図1に示した第1参考例による自動二輪車の無段変速機および遠心クラッチの構造を説明するための図である。図1〜図5を参照して、本発明の第1参考例による自動二輪車の構造について説明する。なお、第1参考例では、本発明の車両の一例として、スクータ型の自動二輪車について説明する。
この第1参考例によるスクータ型の自動二輪車1は、図1に示すように、エンジン2から後輪3に駆動力を伝達する機構として、電気的に制御されるVベルト式の無段変速機4を備えている。なお、内燃機関から構成されるエンジン2は、本発明の「駆動力発生手段」の一例であり、後輪3は、本発明の「駆動輪」の一例である。また、無段変速機4は、図2に示すように、エンジン2によって回転されるプライマリ軸5と、プライマリ軸5に連結されるプライマリシーブ6と、遠心クラッチ7および減速機構8を介して後輪3に動力を出力するセカンダリ軸9と、セカンダリ軸9に連結されるセカンダリシーブ10と、プライマリシーブ6とセカンダリシーブ10との間に架け渡されたゴムや樹脂などのエラストマからなるVベルト11とを含んでいる。なお、プライマリシーブ6は、本発明の「第1駆動力伝達手段」の一例であり、セカンダリシーブ10は、本発明の「第2駆動力伝達手段」の一例である。また、Vベルト11は、本発明の「ベルト部材」の一例である。
また、図2および図3に示すように、プライマリシーブ6は、固定シーブ6aと可動シーブ6bとを有しており、セカンダリシーブ10は、固定シーブ10aと可動シーブ10bとを有している。また、プライマリシーブ6の固定シーブ6aと可動シーブ6bとの間、および、セカンダリシーブ10の固定シーブ10aと可動シーブ10bとの間には、それぞれ、Vベルト11が巻かれるV溝6cおよび10cが形成されている。また、可動シーブ6bは、プライマリ軸5の軸方向に移動可能に形成されており、可動シーブ10bは、セカンダリ軸9の軸方向に移動可能に形成されている。また、セカンダリシーブ10の可動シーブ10bは、圧縮コイルバネ10dにより固定シーブ10a側に付勢されている。
また、図2に示すように、エンジン2の駆動力は、プライマリシーブ6によってVベルト11の回転力に変換されるとともに、Vベルト11の回転力はセカンダリシーブ10を介して遠心クラッチ7に伝達される。この遠心クラッチ7は、図4に示すように、クラッチドラム7aと、クラッチドラム7aの内周面と対向するように配置された3つのクラッチ片7bと、3つのクラッチ片7bをそれぞれ連結する3つのクラッチスプリング7cとを有している。このクラッチドラム7aは、減速機構8(図2参照)を介して後輪3に接続されている。また、3つのクラッチ片7b(図4参照)は、セカンダリシーブ10(図2参照)に接続されている。また、クラッチ片7bは、図4に示すように、セカンダリシーブ10(図2参照)の回転速度が大きくなるに従ってクラッチスプリング7cの付勢力に抗して遠心力によりクラッチドラム7aの内周面に近づく。そして、セカンダリシーブ10の回転速度が所定の値以上になると、図5に示すように、クラッチ片7bは、クラッチドラム7aの内周面に接するとともに、セカンダリシーブ10(図2参照)から後輪3に駆動力が伝達される。
また、無段変速機4には、図2に示すように、プライマリシーブ6の可動シーブ6bの位置を電気的に移動させるためのシーブ位置移動装置12と、可動シーブ6bの位置を検出するためのシーブ位置検出装置13とが設けられている。このシーブ位置移動装置12によって、無段変速機4は、プライマリシーブ6の可動シーブ6bをプライマリ軸5の軸方向に移動することによりプライマリシーブ6のV溝6cの幅を調整するように構成されている。すなわち、無段変速機4では、プライマリシーブ6のみが電気的に制御されるように構成されている。これにより、Vベルト11のプライマリシーブ6およびセカンダリシーブ10に対する巻き径が変化するので、プライマリシーブ6およびセカンダリシーブ10間で変速比が無段階的に調節される。
また、無段変速機4には、セカンダリシーブ10の回転を検出するセカンダリシーブ回転速度センサ14が設けられている。また、後輪3の近傍には、後輪3の回転速度を検出する後輪回転速度センサ15が設けられている。セカンダリシーブ回転速度センサ14により検出されるセカンダリシーブ10の回転速度と、後輪回転速度センサ15により検出される後輪3の回転速度とを比較することにより、セカンダリ軸9と遠心クラッチ7とが接続されているかどうかを確認することが可能となる。また、エンジン2の近傍には、エンジン2の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ16が設けられている。
また、自動二輪車1には、図2に示すように、無段変速機4の変速比を制御するための変速制御装置17が設けられている。なお、変速制御装置17は、本発明の「変速制御手段」の一例である。この変速制御装置17は、CPUやメモリなどを含むマイクロコンピュータによって構成されている。また、変速制御装置17には、セカンダリシーブ回転速度センサ14から出力されるセカンダリシーブ回転速度信号、後輪回転速度センサ15から出力される後輪回転速度信号、スロットル開度センサ(図示せず)から出力されるスロットル開度信号、シーブ位置検出装置13から出力されるシーブ位置信号、エンジン回転速度センサ16から出力されるエンジン回転速度信号、および、車両全般の電源系のオン/オフを行うメインスイッチ18のメインスイッチ信号が入力される。なお、メインスイッチ18は、本発明の「第1スイッチ」の一例である。また、変速制御装置17は、上記した各信号に基づいて無段変速機4の制御を行う。また、変速制御装置17には、自己保持回路17aが設けられている。この自己保持回路17aは、走行中に運転者がメインスイッチ18を切った場合にも、変速制御装置17への電力供給を維持するために設けられている。
また、変速制御装置17には、図2に示すように、車載電源19から電力供給ライン20を介して電力が供給されている。この電力供給ライン20は、メインスイッチ18とは独立して車載電源19から変速制御装置17に電力を供給可能である。なお、車載電源19は、本発明の「電力供給手段」の一例である。
ここで、第1参考例では、電力供給ライン20に、自己保持機能を持つリレー回路21が設けられている。このリレー回路21は、車載電源19から変速制御装置17への電力供給を制御するリレースイッチ22と、リレースイッチ22のオン/オフを制御するスイッチ制御素子23とを備えている。なお、リレースイッチ22は、本発明の「第2スイッチ」の一例である。また、車載電源19とスイッチ制御素子23との間には、メインスイッチ18を介して車載電源19からスイッチ制御素子23に電圧を印加することが可能なスイッチライン24が設けられている。
また、第1参考例では、スイッチ制御素子23と自己保持回路17aとの間には、メインスイッチ18がオフされた後も、スイッチ制御素子23に電圧を印加してリレースイッチ22を閉状態(オン状態)に保つためのスイッチライン25が設けられている。また、変速制御装置17の自己保持回路17aは、車載電源19から電力供給ライン20を介して電力が供給された場合に、スイッチライン25を介してスイッチ制御素子23に電圧を印加するように構成されている。すなわち、第1参考例では、メインスイッチ18を介したスイッチライン24および自己保持回路17aを介したスイッチライン25の二系統のラインからスイッチ制御素子23に電圧を印加することが可能である。なお、スイッチライン25には、自己保持回路17aへの電流の逆流を防止するとともに、メインスイッチ18のオン/オフ時などにスイッチライン25を介して自己保持回路17aに逆電流が流れるのを防止するためのダイオード26が設けられている。また、メインスイッチ18とスイッチ制御素子23との間のスイッチライン24の部分には、メインスイッチ18がオフされている場合に、スイッチライン25からメインスイッチ18(メインスイッチ信号線)側に電流が流れるのを防止するためのダイオード27が設けられている。
また、スイッチ制御素子23は、スイッチライン24およびスイッチライン25のいずれか一方から電圧が印加されている場合に、リレースイッチ22を閉状態(オン状態)に維持するように構成されている。また、スイッチ制御素子23は、スイッチライン24およびスイッチライン25のいずれからも電圧が印加されない場合に、リレースイッチ22を開状態(オフ状態)にするように構成されている。
また、メインスイッチ18およびリレー回路21の間のスイッチライン24の部分と、エンジン2との間には、スイッチライン28が設けられている。このスイッチライン28には、点火プラグを点火制御するための点火制御回路31と、緊急時に点火制御回路31への電力供給を停止してエンジン2を停止するためのスイッチ29とが設けられている。これにより、メインスイッチ18がオン状態の場合にも、スイッチ29を切ることにより、エンジン2を停止することが可能になる。また、メインスイッチ18およびリレー回路21の間のスイッチライン24の部分には、ヘッドライトなどを灯火するための灯火系制御回路32と、計器類を制御するためのメータ/表示器制御回路33とが接続されている。これにより、メインスイッチ18がオン状態の時のみ、車載電源19からスイッチライン24を介して灯火系制御回路32およびメータ/表示器制御回路33に電力が供給されるように構成されている。
図6は、図1に示した第1参考例による自動二輪車の車速が0km/hよりも大である状態(走行状態)でメインスイッチがオフされた場合のリレースイッチの状態およびスイッチラインの電圧を示したタイミングチャートであり、図7は、図1に示した第1参考例による自動二輪車の車速が0km/hの状態(停止している状態)でメインスイッチがオフされた場合のリレースイッチの状態およびスイッチラインの電圧を示したタイミングチャートである。なお、図6および図7のタイミングチャートにおいて、メインスイッチ18およびリレースイッチ22については、Hレベルの状態がオン状態を示すとともに、Lレベルの状態がオフ状態を示している。また、スイッチライン24の電圧およびスイッチライン25の電圧については、Hレベルの状態がスイッチ制御素子23に電圧を印加している状態を示すとともに、Lレベルの状態がスイッチ制御素子23に電圧を印加していない状態を示している。
まず、図2および図6を参照して、車速が0km/hよりも大きい状態(走行状態)でメインスイッチ18がオフされる場合について説明する。図6に示すように、エンジン始動時に、時刻t0においてメインスイッチ18がオンされると、メインスイッチ信号(図2参照)が変速制御装置17に供給されるとともに、スイッチライン24を介して車載電源19からスイッチ制御素子23に電圧が印加される。これにより、リレースイッチ22がオン状態となるので、変速制御装置17に電力が供給される。そして、変速制御装置17への電力が供給されると、ほぼ同時刻t1にスイッチライン25を介して自己保持回路17aからスイッチ制御素子23へ電圧が印加される。その後、自動二輪車1の走行中に、時刻t2においてメインスイッチ18がオフに切り替えられると、スイッチライン24を介したスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止されるとともに、変速制御装置17へのメインスイッチ信号の供給が停止される。このメインスイッチ18のオフ時点では、自己保持回路17aからのスイッチライン25を介したスイッチ制御素子23への電圧の印加は継続されているので、スイッチ制御素子23は、リレースイッチ22を閉状態(オン状態)に保持している。そして、後輪回転速度信号またはセカンダリシーブ回転速度信号に基づいて車速が算出される。この場合、メインスイッチ18を切ったとしても、走行中であるので、車速は0km/hよりも大きい。そして、この場合に、第1参考例では、自己保持回路17aからスイッチ制御素子23に電圧が継続して印加される。その後、車速が0km/hとなった時点(時刻t3)で、自己保持回路17aからスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止される。これにより、リレースイッチ22は開状態(オフ状態)になるので、車載電源19から変速制御装置17への電力供給ライン20を介した電力の供給が停止されるとともに、変速制御装置17の無段変速機4の制御が停止される。
次に、図2および図7を参照して、車速が0km/hの状態(停止している状態)で、メインスイッチ18がオフされる場合について説明する。図7に示すように、エンジン始動時に、時刻t4においてメインスイッチ18がオンされると、メインスイッチ信号(図2参照)が変速制御装置17に供給されるとともに、スイッチライン24を介して車載電源19からスイッチ制御素子23に電圧が印加される。これにより、リレースイッチ22がオン状態となるので、変速制御装置17に電力が供給される。そして、変速制御装置17への電力が供給されると、ほぼ同時刻t5にスイッチライン25を介して自己保持回路17aからスイッチ制御素子23へ電圧が印加される。その後、自動二輪車1が走行を終えた後停止状態で、時刻t6においてメインスイッチ18がオフに切り替えられると、スイッチライン24を介したスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止されるとともに、変速制御装置17へのメインスイッチ信号の供給が停止される。このメインスイッチ18のオフ時点(時刻t6)では、自己保持回路17aからのスイッチライン25を介したスイッチ制御素子23への電圧の印加は継続されているので、スイッチ制御素子23は、リレースイッチ22を閉状態(オン状態)に保持している。そして、後輪回転速度信号またはセカンダリシーブ回転速度信号に基づいて車速が算出される。この場合、車速は0km/hであるので、時刻t6とほぼ同時刻t7において自己保持回路17aからスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止される。これにより、リレースイッチ22は開状態(オフ状態)になるので、車載電源19から変速制御装置17への電力供給ライン20を介した電力の供給が停止されるとともに、変速制御装置17の無段変速機4の制御が停止される。
図8は、図1に示した第1参考例による自動二輪車の変速制御装置の無段変速機の制御方法を説明するための図であり、図9は、図1に示した第1参考例による自動二輪車の変速制御装置の3次元制御マップを示した図である。図10は、図1に示した第1参考例によるメインスイッチがオフされた場合の変速制御装置の処理フローを示した図である。次に、図2および図8〜図10を参照して、本発明の第1参考例による変速制御装置17の動作を詳細に説明する。
なお、以下の説明において、メインスイッチ18がオフになった時点で、点火制御回路31への電力の供給が停止されてエンジン2は停止される。また、エンジン2の燃焼が停止された直後から所定の時間は、惰性でエンジン2のクランク軸およびプライマリ軸5が回転するので、プライマリシーブ6およびセカンダリシーブ10が回転する。これにより、車速が所定の値以下となるまでは、Vベルト11をプライマリシーブ6およびセカンダリシーブ10に密着させた状態で変速比を変化させることが可能である。
図10に示したステップS1において、メインスイッチ18がオフされると、メインスイッチ信号(図2参照)が変速制御装置17に供給されなくなる。そして、ステップS2において、車速が0km/hであるか否かが判断される。ステップS2において、車速が0km/h(停止状態)であると判断された場合には、ステップS6において、スイッチライン25を介した自己保持回路17aからスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止されることによりリレースイッチ22が閉状態(オン状態)から開状態(オフ状態)になることによって、リレー回路21が切断されて処理が終了される。これにより、車載電源19から変速制御装置17への電力供給が遮断されて変速制御装置17の変速制御が停止される。また、ステップS2において、車速が0km/hではない(走行状態)と判断された場合には、ステップS3において、マップ制御を行う。車速は低下していくので、変速比がローに変化する。具体的には、まず、後輪回転速度センサ15により出力される後輪回転速度信号に基づいて、車速が算出される。この算出された車速とスロットル開度信号とから、図9に示す3次元制御マップに基づいて目標エンジン回転速度が算出される。ここで、3次元制御マップとは、予め、エンジン回転速度と、車速と、スロットル開度とから作製されるものである。この3次元制御マップは、図9に示すように、横軸に車速(V)、奥行きの軸にスロットル開度(θ)、縦軸にエンジン回転速度(rpm)を示したもので、この3次元制御マップにより車速とスロットル開度とから目標エンジン回転速度を算出することが可能になる。そして、図8に示すように、この目標エンジン回転速度と、エンジン回転速度センサ16(図2参照)から得られる実際のエンジン回転速度とから変速比を算出する。そして、その算出された変速比に基づいて変速比の制御を行うとともに、無段変速機4を駆動する。具体的には、算出された変速比に基づいて、シーブ位置移動装置12の移動量を決定する。そして、その決定された移動量に基づいて、プライマリシーブ6の可動シーブ6bの目標位置を決定し、シーブ位置移動装置12を用いてプライマリシーブ6の可動シーブ6bを移動させるとともに、変速比をローに近づける。
その後、ステップS4において、シーブ位置がローになっているか否かが判断される。ステップS4においてシーブ位置がローになっていないと判断された場合には、ステップS2に戻り、車速が0km/hになるまで3次元制御マップによる変速比制御を続ける。一方、ステップS4においてシーブ位置がローになっていると判断された場合には、ステップS5に進む。ステップS5においては、車速が0km/hになったか否かが判断され、車速が0km/hになっていないと判断された場合は、ステップS6において、シーブ目標値をローに設定し、変速制御を継続する。そして、ステップS4およびステップS5の判断が繰り返される。この場合、変速制御装置17は、車速が0km/hになるまで、変速比がローに保持される。その後、車速が0km/hになると、ステップS5において車速が0km/hであると判断され、ステップS7において、リレー回路21が切断されて処理が終了される。
第1参考例では、上記のように、メインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後、無段変速機4の変速比を継続して制御する変速制御装置17を設ける。これにより、走行中に運転者がメインスイッチ18をオフすることによりエンジン2に対して停止が指示された後にも、変速制御装置17の自己保持回路17aにより無段変速機4の変速比を継続して制御することができるので、走行中(停止前)に無段変速機4の変速比をローに近づけることができる。これにより、次回の始動操作時に、ローまたはローに近い状態でエンジン2を始動させることができるので、エンジン2の負荷が小さくなり、スムーズな発進を行うことができる。また、走行中にメインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後にも、走行中(停止前)に無段変速機4をローに近づけることができるので、停止後の次回の始動操作時に、無段変速機4の変速比をローに戻す必要がない。これにより、始動操作後発進するまでの時間を短縮することができる。また、エンジン2に対して停止が指示された後無段変速機4の変速比制御を継続することによって、走行中にメインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後にも、変速制御装置17によりロー側への変速制御を行いながら、惰性走行することができる。これにより、エンジン2に停止が指示された後にも、エンジンブレーキが効きやすい状態で走行することができるので、操作性を向上させることができる。
また、第1参考例では、メインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後、車速が0km/hよりも大きい場合に、変速制御用の3次元制御マップに基づいて、無段変速機4の変速比がローとなるように無段変速機4をマップ制御する。これにより、走行中にメインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後にも、容易に、3次元制御マップを用いて無段変速機4の変速比をローに近づけることができる。
また、第1参考例では、メインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後、変速比がローになった場合、車速が0km/hになるまで、ローの変速比を保持する。メインスイッチ18をオフにした後、変速比制御を継続すると、道路が下り坂になった場合に、車速が大きくなることに起因して変速比がローからトップ側に変動することがある。第1参考例では、変速比をローに設定するので、変速比がトップ側に変動した場合に比べてエンジンブレーキをより効かせることができる。これにより、車速が大きくなるのをより抑制することができるので、運転者の操作性をより向上させることができる。
また、第1参考例では、変速制御装置17を、車速が0km/hになった場合に、リレースイッチ22をオフ状態にするように構成することによって、自動二輪車1が停止するまで無段変速機4の変速比をローに近づけることができるので、無段変速機4の変速比をよりローに近づけることができる。また、車速が0km/hになった場合に、リレースイッチ22をオフ状態にするように構成することによって、車載電源19から変速制御装置17への電力の供給が遮断されるので、車速が0km/hになった場合に、容易に、変速制御装置17による変速比の制御を停止することができる。
(第2参考例)
図11は、本発明の第2参考例によるメインスイッチがオフされた場合の変速制御装置の処理フローを示した図である。この第2参考例では、上記第1参考例と異なり、メインスイッチ18がオフされた場合に、マップ制御を行わずに、目標変速比をローに設定する例について説明する。なお、この第2参考例のその他の構成は、上記第1参考例と同様である。以下、図2および図11を参照して、本発明の第2参考例による変速制御装置17の動作について説明する。
図11に示したステップS11において、メインスイッチ18がオフされると、メインスイッチ信号(図2参照)が変速制御装置17に供給されなくなる。そして、ステップS12において、車速が0km/hであるか否かが判断される。ステップS12において、車速が0km/h(停止状態)であると判断された場合には、ステップS16において、スイッチライン25を介した自己保持回路17aからスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止されることによりリレースイッチ22が閉状態(オン状態)から開状態(オフ状態)になることによって、リレー回路21が切断されて処理が終了される。これにより、車載電源19から変速制御装置17への電力供給が遮断されて変速制御装置17の変速制御が停止される。また、ステップS12において、車速が0km/hではない(走行状態)と判断された場合には、ステップS13において、目標変速比(シーブ目標値)をローに固定的に設定する。これにより、シーブ位置移動装置12を用いてプライマリシーブ6の可動シーブ6bが直ちにローの位置に移動される。
その後、ステップS14において、シーブ位置がローになっているか否かが判断される。ステップS14においてシーブ位置がローになっていないと判断された場合には、ステップS12に戻り、ステップS14においてシーブ位置がローになっていると判断された場合には、ステップS15に進む。ステップS15においては、車速が0km/hになったか否かが判断され、車速が0km/hになっていないと判断された場合は、ステップS13に戻り、ステップS14およびステップS15の判断が繰り返される。この場合、変速制御装置17は、車速が0km/hになるまで、変速比がローに保持される。その後、車速が0km/hになると、ステップS15において車速が0km/hであると判断され、ステップS16において、リレー回路21が切断されて処理が終了される。
第2参考例では、上記のように、メインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後、車速が0km/hよりも大きい場合に、無段変速機4の目標変速比(シーブ目標値)をローに設定することにより、マップ制御を用いる場合に比べて、無段変速機4の変速比をより早くローに近づけることができる。
なお、第2参考例のその他の効果は、上記第1参考例と同様である。すなわち、この第2参考例においても、上記第1参考例と同様、メインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後、無段変速機4の変速比を継続して制御する変速制御装置17を設ける。これにより、走行中に運転者がメインスイッチ18をオフした場合に、変速比を適切に設定できる。
(第1実施形態)
図12は、本発明の第1実施形態によるメインスイッチがオフされた場合の変速制御装置の処理フローを示した図である。この第1実施形態では、上記第1および第2参考例で説明した車速に基づいて変速比を制御する場合と異なり、エンジン回転速度から検出されるプライマリシーブ6の回転速度に基づいて変速比を制御する場合について説明する。なお、第1実施形態のその他の構成は上記第1参考例と同様である。
以下、図2および図12を参照して、本発明の第1実施形態による変速制御装置17の動作について説明する。
図12に示したステップS21において、メインスイッチ18(図2参照)がオフされると、メインスイッチ信号が変速制御装置17に供給されなくなる。そして、ステップS22において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmであるか否かが判断される。なお、この第1実施形態では、プライマリシーブ6の回転速度は、エンジン回転速度センサ16からのエンジン回転速度信号に基づいて検出される。すなわち、第1実施形態では、エンジン回転速度を検出することにより間接的にプライマリシーブ6の回転速度を検出している。ステップS22において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmであると判断された場合には、ステップS25において、スイッチライン25を介した自己保持回路17aからスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止されることによりリレースイッチ22が閉状態(オン状態)から開状態(オフ状態)になることによって、リレー回路21が切断されて処理が終了される。これにより、車載電源19から変速制御装置17への電力供給が遮断されて変速制御装置17の変速制御が停止される。また、ステップS22において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmではないと判断された場合には、ステップS23において、上記した第1参考例と同様のマップ制御により、変速比をローに変化させる。
その後、ステップS24において、シーブ位置がローになっているか否かが判断される。ステップS24においてシーブ位置がローになっていないと判断された場合には、ステップS22に戻り、ステップS24においてシーブ位置がローになっていると判断された場合には、ステップS25に進む。ステップS25において、リレー回路21が切断されて処理が終了される。
第1実施形態では、上記のように、エンジン回転速度により間接的に検出されるプライマリシーブ6の回転が停止した場合に、無段変速機4の変速比の制御は行われないように構成することによって、プライマリシーブ6の回転の停止後には、無段変速機4の変速比の制御は行われないので、プライマリシーブ6の回転の停止後に、無段変速機4の変速比が制御されるのを抑制することができる。これにより、プライマリシーブ6およびセカンダリシーブ10の回転の停止後に無段変速機4の変速比が制御されることに起因して、セカンダリシーブ10が停止した状態でプライマリシーブ6のシーブのみがロー側に移動することによりVベルト11が弛むという不都合が発生するのを抑制することができる。その結果、Vベルト11の弛んだ状態で再始動した場合にVベルト11にダメージを与えるという不都合が発生するのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、セカンダリシーブ10と後輪3との間に遠心クラッチ7を設けている。このように遠心クラッチ7を備える場合には、遠心クラッチ7が所定の回転速度以下になると駆動力を伝達する機能が無くなるので、プライマリシーブ6およびセカンダリシーブ10の回転が停止する一方、自動二輪車1は走行しつづけることになる。この場合、プライマリシーブ6およびセカンダリシーブ10の回転の停止後車速が所定の値以下になるまで変速比の制御を継続すると、プライマリシーブ6およびセカンダリシーブ10の停止後にも、無段変速機4の変速比が制御されることになるので、上記のようにセカンダリシーブ10が停止した状態でプライマリシーブ6のみがロー側に移動することによってVベルト11が弛む。したがって、特に、遠心クラッチ7を備える場合には、この第1実施形態のように、プライマリシーブ6の回転をエンジン回転速度から間接的に検出して無段変速機4の変速比の制御を行う構成を用いることにより、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになった場合に無段変速機4の変速比の制御を行わないようにすることによって、Vベルト11が弛むのを抑制することが有効である。また、第1実施形態のようにセカンダリシーブ10と後輪3との間に遠心クラッチ7が配置される場合は、遠心クラッチ7が所定の回転速度以下になるとセカンダリシーブ10の駆動力を後輪3に伝達する機能が無くなるので、遠心クラッチ7が所定の回転速度以下になると後輪3の回転を検出することによりセカンダリシーブ10(無段変速機4)の回転速度を検出することができなくなる。この場合、上記のようにエンジン2の回転を検出することによりプライマリシーブ6の回転を間接的に検出して無段変速機4の回転速度を検出することが有効である。
また、第1実施形態では、上記第1および第2参考例と同様、ベルト式無段変速機4のVベルト11は、ゴムや樹脂などのエラストマにより形成されている。このようなエラストマからなるVベルト11は、弛みが発生した場合ダメージを受けやすい。したがって、上記第1実施形態のように、エンジン回転速度によりプライマリシーブ6の回転速度を間接的に検出して無段変速機4の変速比を制御する構成を用いることにより、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになった場合に無段変速機4の変速比の制御を行わないようにする。これにより、Vベルト11のテンションを適切に保つことができるので、Vベルト11の弛みに起因するVベルト11へのダメージを抑制することができる。
なお、第1実施形態のその他の効果は、上記第1参考例と同様である。すなわち、この第1実施形態においても、上記第1参考例と同様、メインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後、無段変速機4の変速比を継続して制御する変速制御装置17を設ける。これにより、走行中に運転者がメインスイッチ18をオフした場合に、変速比を適切に設定できる。
(第2実施形態)
図13は、本発明の第2実施形態による自動二輪車の無段変速機の変速制御を説明するための図である。この第2実施形態では、上記第1参考例と異なり、遠心クラッチ37がエンジン2とプライマリシーブ6との間に配置されている。また、この第2実施形態では、変速制御装置17が、プライマリシーブ回転速度信号から検出されるプライマリシーブ6の回転速度に基づいて変速比を制御する構成となっている。なお、第2実施形態のその他の構成は上記第1参考例と同様である。
この第2実施形態では、図13に示すように、遠心クラッチ37は、エンジン2とプライマリシーブ6との間に配置されている。また、遠心クラッチ37は、エンジン2の回転速度が所定の値以上になるとプライマリシーブ6に駆動力を伝達するように構成されている。なお、この第2実施形態では、セカンダリシーブ10と減速機構8との間には、遠心クラッチが配置されていない。このため、セカンダリシーブ10は、減速機構8に直接接続されている。また、無段変速機4には、プライマリシーブ6の回転を検出するプライマリシーブ回転速度センサ34が設けられている。また、変速制御装置17には、プライマリシーブ回転速度センサ34から出力されるプライマリシーブ回転速度信号が入力される。このプライマリシーブ回転速度センサ34により検出されるプライマリシーブ6の回転速度と、エンジン回転速度センサ16により検出されるエンジン2の回転速度とを比較することにより、プライマリ軸5と遠心クラッチ37とが接続されているかどうかを確認することが可能となる。
なお、この第2実施形態では、セカンダリシーブ10の回転を検出するセカンダリシーブ回転速度センサは、設けられていない。
また、第2実施形態では、変速制御装置17は、プライマリシーブ回転速度センサ34からのプライマリシーブ回転速度信号に基づいてプライマリシーブ6の回転速度を検出するように構成されている。
図14は、本発明の第2実施形態によるメインスイッチがオフされた場合の変速制御装置の処理フローを示した図である。次に、図13および図14を参照して、本発明の第2実施形態による変速制御装置17の動作について説明する。
図14に示したステップS31において、メインスイッチ18(図13参照)がオフされると、メインスイッチ信号が変速制御装置17に供給されなくなる。そして、ステップS32において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmであるか否かが判断される。なお、この第2実施形態では、プライマリシーブ6の回転速度は、プライマリシーブ回転速度センサ34からのプライマリシーブ回転速度信号に基づいて検出される。ステップS32において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmであると判断された場合には、ステップS35に進む。ステップS35において、スイッチライン25を介した自己保持回路17aからスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止されることによりリレースイッチ22が閉状態(オン状態)から開状態(オフ状態)になる。これにより、リレー回路21が切断されて処理が終了される。これにより、車載電源19から変速制御装置17への電力供給が遮断されて変速制御装置17の変速制御が停止される。また、ステップS32において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmではないと判断された場合には、ステップS33において、上記した第1参考例と同様のマップ制御により変速比をローに変化させる。
その後、ステップS34において、シーブ位置がローになっているか否かが判断される。ステップS34においてシーブ位置がローになっていないと判断された場合には、ステップS32に戻り、ステップS34においてシーブ位置がローになっていると判断された場合には、ステップS35に進む。ステップS35において、リレー回路21が切断されて処理が終了される。
第2実施形態では、上記のように、プライマリシーブ回転速度センサ34により直接検出されるプライマリシーブ6の回転が停止した場合に、無段変速機4の変速比の制御は行われないようにする。これにより、プライマリシーブ6の回転の停止後には、無段変速機4の変速比の変更は行われないので、プライマリシーブ6の回転の停止後に、無段変速機4の変速比が変更されるのを抑制することができる。これにより、プライマリシーブ6およびセカンダリシーブ10の回転の停止後に無段変速機4の変速比が変更されるのを抑制することができるので、Vベルト11のテンションを適切に保つことができる。その結果、Vベルト11が弛んだ状態で再始動した場合にVベルト11にダメージを与えるという不都合が発生するのを抑制することができる。また、第2実施形態のようにエンジン2とプライマリシーブ6との間に遠心クラッチ37が配置される場合は、遠心クラッチ37が所定の回転速度以下になるとエンジン2の駆動力をプライマリシーブ6に伝達する機能が無くなるので、遠心クラッチ37が所定の回転速度以下になるとエンジン2の回転を検出することによりプライマリシーブ6の回転速度を検出することができなくなる。この場合、上記のようにプライマリシーブ6の回転を直接的に検出して無段変速機4の回転速度を検出することが有効である。
また、第2実施形態では、上記第1実施形態と同様、ベルト式無段変速機4のVベルト11は、ゴムや樹脂などのエラストマにより形成されているので、金属からなるベルト部材に比べてダメージを受けやすい。この場合に、上記第2実施形態のように、プライマリシーブ回転速度センサ34によりプライマリシーブ6の回転速度を直接検出して無段変速機4の変速比を制御する構成を用いることにより、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになった場合に無段変速機4の変速比の制御を行わないようにすることによって、Vベルト11の弛みを抑制することが特に有効である。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1参考例と同様である。すなわち、この第2実施形態においても、上記第1参考例と同様、メインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後、無段変速機4の変速比を継続して制御する変速制御装置17を設ける。これにより、走行中に運転者がメインスイッチ18をオフした場合に、変速比を適切に設定できる。
(第3実施形態)
図15は、本発明の第3実施形態によるメインスイッチがオフされた場合の変速制御装置の処理フローを示した図である。この第3実施形態では、上記第1および第2実施形態の構成において、メインスイッチ18がオフされた場合に、マップ制御を行わずに、目標変速比をローに設定するように構成した例について説明する。なお、この第3実施形態のその他の構成は、上記第1および第2実施形態と同様である。以下、図2、図13および図15を参照して、本発明の第3実施形態による変速制御装置17の動作について説明する。
図15に示したステップS41において、メインスイッチ18がオフされると、メインスイッチ信号(図2および図13参照)が変速制御装置17に供給されなくなる。そして、ステップS42において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmであるか否かが判断される。ステップS42において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpm(停止状態)であると判断された場合には、ステップS45において、スイッチライン25を介した自己保持回路17aからスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止されることによりリレースイッチ22が閉状態(オン状態)から開状態(オフ状態)になることによって、リレー回路21が切断されて処理が終了される。これにより、車載電源19から変速制御装置17への電力供給が遮断されて変速制御装置17の変速制御が停止される。また、ステップS42において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmではない(走行状態)と判断された場合には、ステップS43において、目標変速比(シーブ目標値)をローに固定的に設定する。これにより、シーブ位置移動装置12を用いてプライマリシーブ6の可動シーブ6bが直ちにローの位置に移動される。
その後、ステップS44において、シーブ位置がローになっているか否かが判断される。ステップS44においてシーブ位置がローになっていないと判断された場合には、ステップS42に戻り、ステップS44においてシーブ位置がローになっていると判断された場合には、ステップS45に進む。ステップS45において、リレー回路21が切断されて処理が終了される。
第3実施形態では、上記のように、メインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmよりも大きい場合に、無段変速機4の目標変速比(シーブ目標値)をローに設定することによりマップ制御を用いる場合に比べて、無段変速機4の変速比をより早くローに近づけることができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態および第2実施形態と同様である。
(第4実施形態)
図16は、本発明の第4実施形態によるメインスイッチがオフされた場合の変速制御装置の処理フローを示した図である。この第4実施形態では、上記第1実施形態と異なり、マップ制御によりシーブ位置がローになった場合、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになるまでシーブ目標値をローに設定する場合について説明する。なお、第4実施形態のその他の構成は上記第1実施形態と同様である。
以下、図2および図16を参照して、本発明の第4実施形態による変速制御装置17の動作について説明する。
図16に示したステップS51において、メインスイッチ18(図2参照)がオフされると、メインスイッチ信号が変速制御装置17に供給されなくなる。そして、ステップS52において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmであるか否かが判断される。ステップS52において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmであると判断された場合には、ステップS57において、スイッチライン25を介した自己保持回路17aからスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止されることによりリレースイッチ22が閉状態(オン状態)から開状態(オフ状態)になることによって、リレー回路21が切断されて処理が終了される。これにより、車載電源19から変速制御装置17への電力供給が遮断されて変速制御装置17の変速制御が停止される。また、ステップS52において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmではないと判断された場合には、ステップS53において、上記した第1参考例と同様のマップ制御により、変速比をローに変化させる。
その後、ステップS54において、シーブ位置がローになっているか否かが判断される。ステップS54においてシーブ位置がローになっていないと判断された場合には、ステップS52に戻り、ステップS54においてシーブ位置がローになっていると判断された場合には、ステップS55に進む。ステップS55においては、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになったか否かが判断され、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになっていないと判断された場合は、ステップS56において、シーブ目標値をローに設定し、変速制御を継続する。そして、ステップS54およびステップS55の判断が繰り返される。この場合、変速制御装置17は、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになるまで変速比がローに保持される。その後、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになると、ステップS55において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmであると判断され、ステップS57において、リレー回路21が切断されて処理が終了される。
ここで、メインスイッチ18をオフにした後、変速比制御を継続すると、道路が下り坂になった場合に、車速が大きくなることに起因して変速比がローからトップ側に変動することがある。第4実施形態では、上記のように、メインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後、変速比がローになった場合、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになるまで、ローの変速比を保持する。このように第4実施形態では、変速比をローに保持するので、変速比がトップ側に変動した場合に比べてエンジンブレーキをより効かせることができる。これにより、車速が大きくなるのをより抑制することができるので、運転者の操作性をより向上させることができる。
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第5実施形態)
図17は、本発明の第5実施形態によるメインスイッチがオフされた場合の変速制御装置の処理フローを示した図である。この第5実施形態では、上記第2実施形態(図14参照)と異なり、マップ制御によりシーブ位置がローになった場合、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになるまでシーブ目標値をローに設定する場合について説明する。なお、第5実施形態のその他の構成は上記第2実施形態と同様である。
以下、図13および図17を参照して、本発明の第5実施形態による変速制御装置17の動作について説明する。
図17に示したステップS61において、メインスイッチ18(図13参照)がオフされると、メインスイッチ信号が変速制御装置17に供給されなくなる。そして、ステップS62において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmであるか否かが判断される。ステップS62において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmであると判断された場合には、ステップS67において、スイッチライン25を介した自己保持回路17aからスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止されることによりリレースイッチ22が閉状態(オン状態)から開状態(オフ状態)になることによって、リレー回路21が切断されて処理が終了される。これにより、車載電源19から変速制御装置17への電力供給が遮断されて変速制御装置17の変速制御が停止される。また、ステップS62において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmではないと判断された場合には、ステップS63において、上記した第1参考例と同様のマップ制御により、変速比をローに変化させる。
その後、ステップS64において、シーブ位置がローになっているか否かが判断される。ステップS64においてシーブ位置がローになっていないと判断された場合には、ステップS62に戻り、ステップS64においてシーブ位置がローになっていると判断された場合には、ステップS65に進む。ステップS65においては、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになったか否かが判断され、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになっていないと判断された場合は、ステップS66において、シーブ目標値をローに設定し、変速制御を継続する。そして、ステップS64およびステップS65の判断が繰り返される。この場合、変速制御装置17は、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになるまで変速比がローに保持される。その後、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになると、ステップS65においてプライマリシーブ6の回転速度が0rpmであると判断され、ステップS67において、リレー回路21が切断されて処理が終了される。
ここで、メインスイッチ18をオフにした後、変速比制御を継続すると、道路が下り坂になった場合に、車速が大きくなることに起因して変速比がローからトップ側に変動することがある。第5実施形態では、上記のように、メインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後、変速比がローになった場合、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになるまで、ローの変速比を保持する。このように第5実施形態では、変速比をローに保持するので、変速比がトップ側に変動した場合に比べてエンジンブレーキをより効かせることができる。これにより、車速が大きくなるのをより抑制することができるので、運転者の操作性をより向上させることができる。
なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第6実施形態)
図18は、本発明の第6実施形態によるメインスイッチがオフされた場合の変速制御装置の処理フローを示した図である。この第6実施形態では、上記第4および第5実施形態と異なり、メインスイッチ18がオフされた場合に、マップ制御を行わずに、目標変速比をローに設定するように構成した例について説明する。なお、この第6実施形態のその他の構成は、上記第4および第5実施形態と同様である。以下、図2、図13および図18を参照して、本発明の第6実施形態による変速制御装置17の動作について説明する。
図18に示したステップS71において、メインスイッチ18がオフされると、メインスイッチ信号(図2および図13参照)が変速制御装置17に供給されなくなる。そして、ステップS72において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmであるか否かが判断される。ステップS72において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpm(停止状態)であると判断された場合には、ステップS76において、スイッチライン25を介した自己保持回路17aからスイッチ制御素子23への電圧の印加が停止されることによりリレースイッチ22が閉状態(オン状態)から開状態(オフ状態)になることによって、リレー回路21が切断されて処理が終了される。これにより、車載電源19から変速制御装置17への電力供給が遮断されて変速制御装置17の変速制御が停止される。また、ステップS72において、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmではない(走行状態)と判断された場合には、ステップS73において、目標変速比(シーブ目標値)をローに固定的に設定する。これにより、シーブ位置移動装置12を用いてプライマリシーブ6の可動シーブ6bが直ちにローの位置に移動される。
その後、ステップS74において、シーブ位置がローになっているか否かが判断される。ステップS74においてシーブ位置がローになっていないと判断された場合には、ステップS72に戻り、ステップS74においてシーブ位置がローになっていると判断された場合には、ステップS75に進む。ステップS75においては、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになったか否かが判断され、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになっていないと判断された場合は、ステップS73に戻り、ステップS74およびステップS75の判断が繰り返される。この場合、変速制御装置17は、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになるまで、変速比がローに保持される。その後、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmになると、ステップS75においてプライマリシーブ6の回転速度が0rpmであると判断され、ステップS76において、リレー回路21が切断されて処理が終了される。
第6実施形態では、上記のように、メインスイッチ18がオフされることによりエンジン2に対して停止が指示された後、プライマリシーブ6の回転速度が0rpmよりも大きい場合に、無段変速機4の目標変速比(シーブ目標値)をローに設定する。これにより、マップ制御を用いる場合に比べて、無段変速機4の変速比をより早くローに近づけることができる。
なお、第6実施形態のその他の効果は、上記第4実施形態および第5実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明の車両の一例としてスクータ型の自動二輪車を示したが、本発明はこれに限らず、無段変速機を備えた車両であれば、スクータ型の自動二輪車以外の車両にも適用可能である。
また、上記実施形態では、変速制御装置による変速制御を中断する際の車速およびプライマリシーブの回転速度の所定の値を0に設定した場合について説明したが、本発明はこれに限らず、変速制御装置による変速制御を中断する際の車速およびプライマリシーブの回転速度の所定の値を0以外の値にしてもよい。
また、上記第1実施形態〜第6実施形態では、エンジン回転速度センサまたはプライマリシーブ回転速度センサによりプライマリシーブの回転速度を検出してプライマリシーブ回転速度が0rpmになったときに変速制御を停止するようにしたが、本発明はこれに限らず、セカンダリシーブ回転速度センサまたは後輪回転速度センサによりセカンダリシーブ回転速度を検出してセカンダリシーブ回転速度が0rpmになったときに変速制御を停止するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、自動二輪車にベルト式の無段変速機を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、自動二輪車にトロイダル式の無段変速機を設けてもよいし、トロイダル式以外の無段変速機を設けてもよい。
また、上記実施形態では、駆動力発生手段に内燃機関から構成されるエンジンを用いた例 を示したが、本発明は、これに限らず、駆動力発生手段に電気モータを用いてもよい。
また、上記第1実施形態〜第3実施形態では、シーブ位置がローになっていると判断された場合に、リレー回路が切断されて処理が終了される例について示したが、本発明はこれに限らず、シーブ位置がローになっていると判断された場合に、プライマリシーブ回転速度またはエンジン回転速度が0rpmになった後、リレー回路が切断されて処理が終了されるようにしてもよい。