JP3891165B2 - 車両用駆動制御装置 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は上記問題に着目してなされたものであり、運転者の加速指示とは別の条件でエンジン出力が抑制されても発電機の出力低下を抑制できる車両用駆動制御装置を提供することを課題としている。
図1は、本発明における第1実施形態の概略構成図であり、前輪1FL・1FRを、エンジン2(内燃機関)で駆動する主駆動輪とし、後輪1RL・1RRを、電動モータ3(電動機)で駆動可能な補助駆動輪とする所謂スタンバイ型の4輪駆動車両である。
エンジン2の出力は、トルクコンバータを有する自動変速機4(変速機)、及びディファレンシャルギヤ5を順に介して前輪1FL・1FRに伝達されると共に、有段変速機6(変速機構)を介してジェネレータ7(発電機)にも伝達される。ジェネレータ7は、有段変速機6を介して伝達される動力によって発電を行い、発電した電力はパワーケーブル8を通じて電動モータ3へ直接供給される。電動モータ3の出力は、減速機9、クラッチ10、及びディファレンシャルギヤ11を順に介して後輪1RL・1RRに伝達される。
また、ジェネレータ7は、図2に示すように、発電電圧Vを調整するトランジスタ式のレギュレータ22を備えており、このレギュレータ22が4WDコントローラ18からの発電制御指令に応じて界磁電流Igを調整することによりジェネレータ7の発電電圧Vが制御される。
また、クラッチ10は、4WDコントローラ18からのクラッチ制御指令に応じて、締結状態と非締結状態の切換えを行う。
なお、4WDコントローラ20には、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ28、スロットルバルブ13のスロットル開度θを検出するスロットルセンサ29、及び各車輪速VwFL〜VwRRを検出する車輪速センサ30FL〜30RRの各検出信号も入力される。
先ず、4WD制御処理は、所定時間(例えば10msec)毎に実行され、図3に示すように、エンジン2に対するジェネレータ7の目標負荷トルクTg*を演算するステップS1の負荷トルク演算処理と、目標負荷トルクTg*を制限するステップS2の負荷トルク制限処理と、目標負荷トルクTg*に基づいてジェネレータ7の発電を制御し、且つ電動モータ3を駆動制御するステップS3のG/M制御処理と、を順次実行する。なお、4WDコントローラ18は、電動モータ3を駆動制御する際、メインリレー24へのリレー制御指令を出力して電動モータ3への電力供給をON状態に制御し、且つクラッチ10へのクラッチ制御指令を出力してクラッチ10を締結状態に制御しているものとする。
続くステップS11では、スリップ速度ΔVFが所定値(ここでは、0)より大きいか否かを判定する。この判定結果がΔVF≦0であるときには、前輪1FL・1FRが加速スリップしていないと判断し、ステップS12に移行してからエンジン2に対するジェネレータ7の目標負荷トルクTg*を0に設定して負荷トルク演算処理を終了する。
ステップS13では、スリップ速度ΔVFに基づき、前輪1L・1Rの加速スリップを抑えるために必要なジェネレータ7の負荷トルク増加分ΔTgを下記(1)式に従って算出する。ここで、K1は係数である。
ΔTg=K1・ΔVF ………(1)
Tg=K2・V・Ia/(K3・Ng) ………(2)
続くステップS15では、下記(3)式に従って、エンジン2に対するジェネレータ7の目標負荷トルクTg*を算出して負荷トルク演算処理を終了する。
Tg*=Tg+ΔTg ………(3)
ΔTg=Tg*−TgMAX ………(4)
続くステップS23では、図6に示すような制御マップを参照し、エンジン回転数Neをパラメータとしてスロットル開度θから現在のエンジントルクTeを算出する。
続くステップS24では、エンジントルクTeを超過トルクΔTg分だけ抑制する目標エンジントルクTe*を下記(5)式に従って算出する。
Te*=Te−ΔTg ………(5)
続くステップS25では、エンジントルクTeを目標エンジントルクTe*まで抑制させる出力抑制指令を、エンジンコントローラ14へ出力してから負荷トルク制限処理を終了する。
続くステップS33では、目標負荷トルクTg*に基づいて目標モータトルクTm*を算出する。
続くステップS34では、フローチャート内に示すような制御マップを参照し、目標モータトルクTm*をパラメータとして電動モータ3の目標界磁電流Im*から目標電機子電流Ia*を算出する。
続くステップS35では、フローチャート内に示すような制御マップを参照し、目標界磁電流Im*をパラメータとしてモータ回転数Nmから電動モータ3の誘起電圧Eを算出する。
V*=Ia*・R+E ………(6)
続くステップS37では、ジェネレータ7の発電電圧Vを目標電圧V*と一致させるためにジェネレータ7の界磁電流Igを調整する発電制御指令をレギュレータ22に出力してG/M制御処理を終了する。
ステップS42では、エンジン回転数Neが所定値Ne1より小さいか否かを判定する。この判定結果がNe≧Ne1であるときには、十分なジェネレータ回転数が得られると判断して所定のメインプログラムに復帰し、判定結果がNe<Ne1であるときには、十分なジェネレータ回転数が得られないと判断してステップS43に移行する。
また、前記ステップS40で有段変速機6がハイギヤ20にシフトされた状態にあると判定され移行するステップS44では、後輪車速VwRL及びVwRRから算出される自車速Vが0より大きいか否かを判定する。この判定結果がV=0であるときにはステップS45に移行し、ハイギヤ20からローギヤ19にシフトさせる変速制御指令を、シフト制御装置21に出力してから所定のメインプログラムに復帰する。一方、判定結果がV>0であるときには、ステップS46に移行する。
今、アクセルペダル16が大きく踏込まれたり、或いは降雨路、雪路、凍結路等のように路面の摩擦係数が低かったりして、エンジン2によって駆動される前輪1FL・1FRが加速スリップしたとする。
このとき、エンジン2に対するジェネレータ7の目標負荷トルクTg*が、前輪1FL・1FRのスリップ速度ΔVFに応じて算出され(ステップS13〜S15)、この目標負荷トルクTg*に基づいてジェネレータ7の発電が開始される(ステップS33〜S35)。こうして、加速スリップで損失する回転エネルギーを電気エネルギーに変換するときに、エンジン2の出力が抑制されることになり、前輪1FL・1FRの加速スリップを抑制することができる。
ところで、目標負荷トルクTg*に基づいて発電を行う際、目標負荷トルクTg*は、ジェネレータ7の容量で定まる最大負荷トルクTgMAXで制限される(ステップS21、S22)。このため、ジェネレータ7の負荷トルクだけでは、エンジン出力を十分に抑制して加速スリップを抑制することができないので、目標負荷トルクTg*を制限したΔTg分だけ、直接、エンジン出力を抑制する所謂トラクションコントロール(TCS:Traction Control System)によって前輪1FL・1FRの加速スリップを確実に抑制する(ステップS22〜S25)。
そこで、本実施形態では、図9に示すように、時点t1でエンジン出力の抑制に応じてエンジン回転数Neが低下し始め、その後の時点t2でエンジン回転数Neが所定値Ne1未満まで抑制されたら、有段変速機6の変速比を増速側に変更する、すなわち有段変速機6をローギヤ19からハイギヤ20へシフトする(ステップS43)。これにより、エンジン回転数Neが抑制されてもジェネレータ回転数Ngを増加させることができるので、ジェネレータ7の出力低下を確実に抑制することができる。その結果、前輪1FL・1FRの加速スリップを抑制しつつ、後輪1RL・1RRの駆動力低下を抑制することができ、4輪駆動としての安定を向上させることができる。
また、上記第1実施形態では、エンジン出力の抑制によりエンジン回転数Neが所定値Ne1未満となるときに、有段変速機6の変速比を増速側に変更しているが、これに限定されるものではない。例えば、エンジン出力の抑制が開始されて、エンジン回転数Neの低下量が所定値を超えたときに、有段変速機6の変速比を増速側に変更するようにしてもよい。
また、上記第1実施形態では、ジェネレータ7の負荷トルクだけでは車輪の加速スリップを抑制しきれないときに、トラクションコントロールを作動させているが、これに限定されるものではない。すなわち、車輪の加速スリップ度合が所定値を上回ったら、直ちにトラクションコントロールを作動させてもよく、これによれば、車輪が加速スリップしたときに、エンジン2に対するジェネレータ7の負荷トルクと、トラクションコントロールによるエンジン出力の抑制とにより、車輪の加速スリップを速やかに抑制することができる。
また、上記第1実施形態では、前輪1FL・1FRをエンジン2で駆動する主駆動輪とし、後輪1RL・1RRを電動モータ3で駆動可能な補助駆動輪としているが、これに限定されるものではなく、後輪1RL・1RRを主駆動輪とし、前輪1FL・1FRを補助駆動輪としてもよい。
次に、本発明の第2実施形態を図10〜図12に基づいて説明する。
この第2実施形態の概略構成図は、前述した第1実施形態において、エンジン2とジェネレータ7との間に介装された変速機構を無段変速機で構成したものである。
そこで、第2実施形態の概略構成図は、図10に示すように、前述した有段変速機6に換えてベルト式無段変速機31を用いることを除いては、図1と同様の構成を有するので、図1との対応部分には同一符号を付し、詳細説明はこれを省略する。
ステップS51では、前述した負荷トルク制限処理でエンジン出力の抑制が開始されたか否かを判定する。ここで、エンジン出力の抑制が開始されていないときには前記ステップS50に戻り、逆にエンジン出力の抑制が開始されたときにはステップS52に移行する。
ρ*=Ng*/Ne ………(7)
続くステップS53では、変速比ρを目標変速比ρ*に一致させる変速制御指令を、変速制御装置35に出力してから前記ステップS50に戻る。
次に、上記第2実施形態の動作や作用効果について説明する。
今、エンジン出力の抑制が開始され、図12に示すように、時点t3でエンジン回転数Neが低下し始めたとする。そこで、先ず目標ジェネレータ回転数Ng*を得るための目標変速比ρ*を算出し(ステップS52)、次いでベルト式無段変速機31の変速比ρを目標変速比ρ*に変更する(ステップS53)。
その他の作用効果については前述した第1実施形態と同様である。
なお、上記第2実施形態では、エンジン出力の抑制が開始されたら、直ちにベルト式無段変速機31の変速比ρを増速側に変更しているが、これに限定されるものでない。例えば、エンジン出力の抑制が開始されて、エンジン回転数Neが所定値未満となるときに、変速比ρを増速側に変更するようにしてもよい。
1RL・1RR 後輪
2 エンジン(内燃機関)
3 電動モータ(電動機)
4 自動変速機(変速機)
5 ディファレンシャルギヤ
6 有段変速機(変速機構)
7 ジェネレータ(発電機)
8 パワーケーブル
9 減速機
10 クラッチ
11 ディファレンシャルギヤ
12 吸気管路
13 スロットルバルブ
14 エンジンコントローラ
15 アクセルセンサ
16 アクセルペダル
17 スロットルモータ
18 4WDコントローラ
19 ローギヤ
20 ハイギヤ
21 シフト制御装置
22 レギュレータ
23 ジャンクションボックス
24 メインリレー
25 電流センサ
26 サーミスタ
27 モータ回転センサ
28 エンジン回転数センサ
29 スロットルセンサ
30FL〜30RR 車輪速センサ
31 ベルト式無段変速機
32 プライマリープーリ
33 セカンダリープーリ
34 スチールベルト
35 変速制御装置
Ig ジェネレータの界磁電流
V 発電電圧
Ng ジェネレータ回転数(Ng*は目標値)
Ia 電機子電流
Im 電動モータの界磁電流
E 電動モータの誘起電圧
Nm モータ回転数
Tg ジェネレータの負荷トルク(Tg*は目標値)
Te エンジントルク
Claims (7)
- 車輪を駆動する内燃機関と、該内燃機関から伝達される動力によって発電する発電機とを備えた車両用駆動制御装置において、
前記内燃機関から前記発電機への動力伝達経路に設けられた変速機構と、運転者の加速指示とは別の条件で前記内燃機関の出力が抑制されると判定したら、当該内燃機関の出力抑制量に基づいて、前記変速機構の変速比を増速側に変更する変速制御手段と、を備えることを特徴とする車両用駆動制御装置。 - 車輪を駆動する内燃機関と、該内燃機関から伝達される動力によって発電する発電機と、運転者の加速指示とは別の条件で前記内燃機関の出力を抑制する出力抑制手段と、を備えた車両用発駆動御装置において、
前記内燃機関から前記発電機への動力伝達経路に介装され設けられた変速機構と、前記出力抑制手段が前記内燃機関の出力を抑制すると判定したら、当該内燃機関の出力抑制量に基づいて、前記変速機構の変速比を、前記内燃機関の回転速度に対する前記発電機の回転速度が増速される側に変更する変速制御手段と、を備えることを特徴とする車両用駆動制御装置。 - 前記変速制御手段は、前記出力抑制手段によって抑制される前記内燃機関の出力抑制量に基づいて、前記変速機構の変速比を増速側に変更する量を設定することを特徴とする請求項2に記載の車両用駆動制御装置。
- 前記変速機構を、無段変速機で構成することを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用駆動制御装置。
- 前記出力抑制手段は、前記内燃機関で駆動する車輪の加速スリップ度合が所定値を上回るときに、前記内燃機関の出力を抑制することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載の車両用駆動制御装置。
- 前記内燃機関で駆動する車輪の加速スリップ度合が所定値を上回ったときに、当該加速スリップ度合に応じて、前記内燃機関に対する前記発電機の負荷トルクを制御する負荷トルク制御手段と、該負荷トルク制御手段によって制御される前記発電機の負荷トルクを制限する負荷トルク制限手段とを備え、
前記出力抑制手段は、前記負荷トルク制御手段によって制御される負荷トルクを前記負荷トルク制限手段が制限するときに、作動することを特徴とする請求項5に記載の車両用駆動制御装置。 - 前記発電機で発電された電力によって駆動され、前記内燃機関で駆動する車輪とは別の車輪を駆動可能な電動機を備えることを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の車両用駆動制御装置。
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