JP3627664B2 - 4輪駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、前後輪の一方が内燃機関(エンジン)によって他方が電動機(モータ)によってそれぞれ駆動される4輪駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
前輪をエンジンで駆動すると共に、後輪を駆動するモータを作動させる車両の4輪駆動装置が知られている(例えば、特開2000−324612号公報)。この4輪駆動装置は、エンジンによって作動して発電を行う発電機を有し、この発電機によって発電される電力によって、モータを駆動する。
【0003】
この従来の4輪駆動装置によれば、発進性能を向上させるために発進時には4輪駆動とし、それ以外の場合には、例えばタイヤの路面上でのスリップ状態に基づいて、前輪のみで車両を駆動する2輪駆動と前後輪で車両を駆動する4輪駆動とを切り替える制御を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の4輪駆動装置では、発進時には常に4輪駆動となるような制御が行われていた。また、上述したように、後輪駆動用モータを駆動するための電力は、エンジンによって発電機を作動させることによって発生させている。そのため、例えば加速が要求される発進時などでは、後輪駆動のための発電機による発電がエンジンに対する負荷となって、4輪駆動とすることにより発進性能が損なわれるという問題があった。また、通常の走行時においても、加速が要求される場面においてすみやかに加速できないという問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、運転者の加速要求に基づいて、効率的に2輪駆動と4輪駆動とを切り替えることのできる4輪駆動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
一実施の形態を示す図1を参照して本発明を説明する。
(1)本発明による4輪駆動装置は、動力を発生する内燃機関2と、内燃機関2が発生する動力が伝達されて駆動する前後輪1L、1R、3L、3Rの一方と、内燃機関2が発生する動力に基づいて回転することで、電力を発電する発電機7と、発電機7によって発電された電力が直接供給されて、前後輪1L、1R、3L、3Rの他方を駆動する電動機4と、操作者の加速要求が予め定めた所定の要求値より大きいか否かを判定する加速要求判定装置8と、加速要求判定装置8による加速要求判定に基づいて、電動機4による前後輪1L、1R、3L、3Rの他方の駆動を行うか否かを制御する制御装置8とを備え、制御装置8は、加速要求判定装置8によって操作者の加速要求が予め定めた所定の要求値よりも大きいと判定されると、前後輪の一方の駆動を許可し、前後輪の他方の駆動を禁止することにより、上記目的を達成する。
(2)請求項2の発明は、請求項1の4輪駆動装置において、加速要求判定装置8は、スロットル開度が所定の開度より大きい場合に、操作者の加速要求が予め定めた所定の要求値よりも大きいと判定することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2の4輪駆動装置において、アクセル開度変化量が大きくなるほど、スロットル開度と比較する所定の開度を小さくすることを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項2の4輪駆動装置において、車速が高くなるほど、スロットル開度と比較する所定の開度を大きくすることを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの4輪駆動装置において、電動機4はクラッチ12を介して前後輪1L、1R、3L、3Rの他方と接続しており、制御装置8は、電動機4による前後輪1L、1R、3L、3Rの他方の駆動を行わない場合には、クラッチ12を非連結とする制御を行うことを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの4輪駆動装置において、加速要求判定装置8による操作者の加速要求を判定するための条件は、発進時と走行時とで異なることを特徴とする。
【0007】
なお、上記課題を解決するための手段の項では、本発明をわかりやすく説明するために実施の形態の図1と対応づけたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0008】
【発明の効果】
以上本発明によれば、次のような効果を奏する。
(1)請求項1〜5の発明によれば、4輪駆動制御中でも、運転者の加速要求が予め定めた所定の要求値よりも大きい場合に2輪駆動に切り替えるので、加速性能を確保しつつすみやかに車両を加速させることができるとともに、4輪駆動の加速時に比べて燃費向上を図ることができる
(2)請求項2の発明によれば、スロットル開度と所定の開度とを比較することにより、操作者の加速要求を的確に判断することができる。
(3)請求項3の発明によれば、アクセル開度変化量が大きくなるほど、スロットル開度と比較する所定の開度を小さくするので、アクセル開度変化量が大きい場合に、2輪駆動に切り換えやすくして、運転者の意図する加速性能を発揮させることができる
(4)請求項4の発明によれば、車速が高くなるほど、スロットル開度と比較する所定の開度を大きくするので、高車速時に、すぐに2輪駆動に切り替わってしまうのを防ぐことができる。
(5)請求項5の発明によれば、電動機はクラッチを介して前後輪の他方と接続しており、制御装置は、電動機による前後輪の他方の駆動を行わない場合には、クラッチを非連結とする制御を行うので、4輪駆動と2輪駆動の制御を的確に行うことができる。
(6)請求項6の発明によれば、発進時と走行時とにおいて、操作者の加速要求を判定するための条件を変えることにより、スロットル開度の小さい発進時での制御を精細に行うことができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による4輪駆動装置の実施の形態の構成を示す図、図2はその制御系の詳細を示す図である。図1に示す車両は、左右前輪1L、1Rが内燃機関であるエンジン2によって駆動され、左右後輪3L、3Rが電動機であるモータ4によって駆動される4輪駆動装置を搭載している。エンジン2による前輪駆動のみを行う制御を2輪駆動制御と呼び、モータ4による後輪駆動も同時に行う制御を4輪駆動制御と呼ぶ。
【0010】
以下、図1および図2を参照しながら本発明による4輪駆動装置の一実施の形態について説明する。エンジン2が発生する動力である出力トルクTeは、不図示のトランスミッションおよびディファレンスギア5を通じて左右前輪1L、1Rに伝達される。また、エンジン2の出力トルクTeの一部は、無端ベルト6を介して発電機7に伝達される。
【0011】
発電機7は、エンジン2の回転数Neにプーリ比を乗じた回転数Nhで回転する。発電機7は、モータコントローラ8によって調整される界磁電流Ifhに応じて、エンジン2に対する負荷となり、その負荷トルクに応じた電圧で発電する。発電機7が発電した電力は、電線9を介してモータ4に供給可能となっている。電線9の途中にはジャンクションボックス10が設けられている。上記モータ4の駆動トルクは、減速機11およびクラッチ12を介して後輪3L、3Rに伝達可能となっている。符号13はデファレンシャルギアを表している。
【0012】
エンジン回転数検出センサ21は、エンジン2の回転数を検出し、検出した信号をモータコントローラ8に出力する。エンジン2の出力トルクはエンジンコントローラ18によって制御される。エンジンコントローラ18には、エンジン回転数検出センサ21で検出したエンジン回転数Neの情報、スロットルセンサ29で検出したスロットルバルブ開度の情報、アクセルセンサ28で検出したアクセルペダルの踏み込み量の情報などが入力される。エンジンコントローラ18は、入力されたこれらの情報を基に、アクセルペダルの踏み込み量などに応じたエンジン出力となるように、スロットルバルブの開度等を調整制御する。
【0013】
4WD切り替えスイッチ31は、4WDと2WDとを切り替えることができるスイッチである。夏場など4輪駆動が不要なときは、4WD切り替えスイッチ31を2輪駆動側に操作しておけば4輪駆動にはならず、2輪駆動車として使用することができる。4WD切り替えスイッチ31を4輪駆動側に操作しておけば、4輪駆動制御時に2輪駆動制御を行う指令がない限り、4輪駆動車として使用することができる。
【0014】
図2に詳細に示すように、発電機7は、出力電圧Vを調整するための電圧調整器22(レギュレータ)を備えている。電圧調整器22は、モータコントローラ8から入力される発電機制御指令(界磁電流値)に応じて発電機7の界磁電流Ifhを調整し、エンジン2に対する発電機7の発電負荷トルクThおよび発電電力の電圧Vを制御する。電圧調整器22はまた、発電機7の出力電圧Vを検出してモータコントローラ8に出力する。
【0015】
ジャンクションボックス10内には電流センサ23が設けられている。電流センサ23は発電機7からモータ4に供給される電力の電機子電流Iaを検出し、検出した電機子電流信号をモータコントローラ8に出力する。また、電流センサ23の一方の端子電圧はモータコントローラ8に入力され、電線9を流れる電圧値(モータ4の電圧)がモータコントローラ8で検出される。リレー24は、モータコントローラ8からの指令によってモータ4に供給する電力(電流)の遮断および接続が可能となっている。
【0016】
モータ4を流れる界磁電流Ifmは、モータコントローラ8からの指令によって制御される。界磁電流Ifmの調整によってモータ4の駆動トルクTmが調整される。モータ用回転数センサ26は、モータ4の駆動軸の回転数Nmを検出し、検出したモータ4の回転数信号をモータコントローラ8に出力する。なお、サーミスタ25はモータ4の温度を測定するものである。
【0017】
各車輪1L、1R、3L、3Rには、車輪速センサ27FL、27FR、27RL、27RRが設けられている。各車輪速センサ27FL、27FR、27RL、27RRは、対応する各車輪1L、1R、3L、3Rの回転速度に応じたパルス信号を車輪速検出値としてモータコントローラ8に出力する。
クラッチ12は、油圧クラッチや電磁クラッチなどから構成され、モータコントローラ18からのクラッチ制御指令に応じたトルク伝達率でモータ4のトルクの後輪への伝達を制御する。後輪の駆動を行わない場合には、モーターコントローラ8からの指令によりクラッチ12を非連結とする。
【0018】
以下、図3、図4に示すフローチャートを参照しながら、本発明による4輪駆動装置の制御方法について説明する。以下で説明する制御は、モータコントローラ8内のCPUにおいて実行されるプログラムによって行われる。以下の説明では、4WD切り替えスイッチ31は4輪駆動側に操作されているものとする。従って、通常の走行状態、すなわち2輪駆動制御を行う指令がない限り、前後輪を駆動する4輪駆動制御となっている。
【0019】
ステップS1では、車速センサ30によって車速を検出し、ステップS2に進む。ステップS2では、ステップS1で検出された車速に基づいて、車両が発進状態か否かを判定する。発進状態、すなわち、停車状態から車速(>0)を検知して発進状態であると判定するとステップS3に進み、それ以外の場合はステップS9に進む。
【0020】
ステップS3では、スロットルセンサ29によりスロットル開度を検出し、ステップS4に進む。ステップS4では、アクセルセンサ28によりアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出し、ステップS5に進む。ステップS5では、ステップS4で検出したアクセル開度に基づいて、アクセル開度変化量ΔAPOを算出し、ステップS6に進む。ステップS6、S7では、運転者による車両発進時の加速要求を判定する。
【0021】
ステップS6では、ステップS5で算出したアクセル開度変化量ΔAPOが、所定値APO(V)以上であるか否かを判定する。所定値APO(V)以上であると判定するとステップS7に進み、所定値APO(V)より小さいと判定するとステップS9に進む。ステップS7では、ステップS3で算出したスロットル開度TVOが、所定値TVO(V)以上であるか否かを判定する。所定値TVO(V)以上であると判定するとステップS8に進み、所定値TVO(V)より小さいと判定するとステップS9に進む。ステップS8に進むのは、運転者が加速を要求しているときであり、2輪駆動制御を行うためにモータトルクTmと界磁電流Ifmの値をそれぞれ0にセットし、ステップS9に進む。なお、発進後は、これらのステップS2〜S8は実行されない。
【0022】
ステップS9では、前輪1L、1Rの加速スリップ量であるスリップ速度ΔVFを求める。具体的には、車輪速センサ27FL、27FRからの信号に基づいて演算した前輪(主駆動輪)1L、1Rの車速から、車輪速センサ27RL、27RRからの信号に基づいて演算した後輪(従駆動輪)3L、3Rの車速を減算して求める。スリップ速度ΔVFを求めるとステップS10に進む。
【0023】
ステップS10では、スリップ速度ΔVFがゼロより大きいか否かを判定する。スリップ速度ΔVFが0以下であると判定した場合は、前輪1L、1Rが加速スリップしていないと推定してステップS14に進む。ステップS14では、エンジン2に対する発電負荷トルクThを0にセットしてステップS15に進む。
【0024】
ステップS10で、スリップ速度ΔVFが0より大きいと判定した場合は、前輪1L、1Rが加速スリップしていると推定してステップS11に進む。ステップS11では、前輪1L、1Rの加速スリップを抑えるために必要な吸収トルクTΔVFを、式(1)に基づいて演算してステップS12に進む。
TΔVF=K1×ΔVF …(1)
ただし、K1は所定の係数である。
【0025】
ステップS12では、現在の発電機7の負荷トルクTGを式(2)に基づいて演算し、ステップS13に進む。
TG=K2×(V×Ia)/(K3×Nh) …(2)
ただし、
V:発電機7の電圧
Ia:発電機7の電機子電流
Nh:発電機7の回転数
K3:効率
K2:係数
【0026】
ステップS13では、式(3)に基づいて、余剰トルクすなわち、発電機7で発生させるべき目標発電負荷トルクThを算出し、ステップS15に進む。
Th=TG+TΔVF …(3)
【0027】
ステップS15では、ステップS13で算出した目標発電負荷トルクThが発電機7の最大負荷容量HQより大きいか否かを判定する。目標発電負荷トルクThが発電機の最大負荷容量HQ以下と判定した場合にはステップS20に進み、最大負荷容量HQより大きいと判定するとステップS16に進む。
【0028】
ステップS16では、目標となる発電負荷トルクThにおける最大負荷容量HQを越える超過トルクΔTbを式(4)より求め、ステップS17に進む。
ΔTb=Th−HQ …(4)
ステップS17では、エンジン回転数検出センサ21およびスロットルセンサ29からの信号に基づいて、現在のエンジントルクTeを演算してステップS18に進む。
【0029】
ステップS18では、式(5)のように、エンジントルクTeから超過トルクΔTbを減算してエンジントルク上限値TeMを算出し、ステップS19に進む。演算したエンジントルクTeMは、エンジンコントローラ18に出力する。
TeM=Te−ΔTb …(5)
ここで、エンジンコントローラ18は、運転者のアクセルペダルの操作に関係なく、入力されたエンジントルク上限値TeMをエンジントルクTeの上限値となるように、エンジントルクTeを制御する。これにより、車両の加速スリップを抑えることができる。
ステップS19では、目標発電負荷トルクThに最大負荷容量HQを代入してステップS20に進む。
【0030】
ステップS20では、モータ用回転数センサ26で検出したモータ4の回転数Nmに応じた目標モータ界磁電流Ifmを算出し、ステップS21に進む。
ここで、上記モータ4の回転数Nmに対する目標モータ界磁電流Ifmは、回転数Nmが所定回転数以下の場合には一定の所定電流値とし、モータ4が所定の回転数以上になった場合には、公知の弱め界磁制御方式によりモータ4の界磁電流Ifmを小さくする(図4ステップS20参照)。すなわち、モータ4が高速回転になるとモータ誘起電圧Eの上昇によりモータトルクが低下するので、上述したように、モータ4の回転数Nmが所定値以上になったらモータ4の界磁電流Ifmを小さくして誘起電圧Eを低下させる。これにより、モータ4を流れる電流を減少させて所望のモータトルクTmを得ることができる。
【0031】
この結果、モータ4が高速回転になってもモータ誘起電圧Eの上昇を抑えてモータトルクの低下を抑制するため、所望のモータトルクTmを得ることができる。また、モータ界磁電流Ifmを、モータ4の回転数が所定の回転数未満と所定の回転数以上の場合との2段階で制御することで、回転数のしきい値が一つである界磁電流制御に比べ制御の電子回路を安価にできる。
【0032】
ここで、所望のモータトルクTmに対し、モータ4の回転数Nmに応じて界磁電流Ifmを適宜調整することによりモータトルクTmを連続的に補正するモータトルクTm補正手段を備えてもよい。この結果、モータ4が高速回転になってもモータ4の誘起電圧Eの上昇を抑えてモータトルク効率の低下を抑制することができるので、所望のモータトルクTmを得ることができる。また、モータトルク特性をなめらかにすることができるので、上述したモータ界磁電流Ifmを1段階および2段階で制御する方式に比べ、安定して走行することができる。
【0033】
ステップS21では、目標モータ界磁電流Ifmおよびモータ4の回転数Nmに基づいてモータ4の誘起電圧Eを算出してステップS22に進む。ステップS22では、目標発電負荷トルクThに基づき、対応するモータトルクTmを算出して、ステップS23に進む。
【0034】
ステップS23では、ステップS9で算出したスリップ速度ΔVFが所定のしきい値VFSLIP以下であるか否かを判定する。VFSLIPより大きいと判定するとスリップする状態が続く可能性が高いので、4輪駆動制御の状態を維持するためにステップS26に進む。スリップ速度ΔVFがVFSLIP以下と判定するとステップS24に進む。
【0035】
ステップS24では、運転者の加速要求があるか否かを判定する。判定は、図5に示す判定マップを用いる。すなわち、ステップS3で検出したスロットル開度TVOとステップS5で検出したアクセル開度変化量ΔAPOを用いて、図5に示す判定マップにより運転者の加速要求を判定する。図5から分かるように、スロットル開度TVOが小さい時は4WD(4輪駆動)制御を行う領域が広く、スロットル開度TVOが大きくなるにつれて、運転者が加速を要求していると判定される領域、すなわち2WD(2輪駆動)制御を行う領域が広くなる。なお、スロットル開度TVOとアクセル開度変化量ΔAPOの代わりに、スロットル開度とスロットル開度変化量とに基づいて運転者の加速要求判断を行ってもよい。
【0036】
なお、図5の点線はステップS6、S7の加速要求判定しきい値を示す。発進時は発進後よりも加速要求判定しきい値を下げている。これにより、発進時は発進後に比べて加速時に2輪駆動に切り替えやすくなり、スムーズな発進加速をすることができる。
【0037】
また、図6に示す判定マップを用いて、運転者の加速要求判断を行うこともできる。この判定方式は、車速Vとスロットル開度TVOとに基づいて判定を行うものである。この場合も、スロットル開度の代わりにアクセル開度を用いることができる。さらに、図5と図6のマップを併用し、車速、スロットル開度およびアクセル開度変化量とに基づいて運転者の加速要求判断を行うこともこともできる。
【0038】
ステップS24で運転者が加速を要求していないと判定すると、4輪駆動制御を維持するためにステップS26に進む。加速を要求していると判定すると、加速性能を確保するためにステップS25に進み、2輪駆動とするための制御を行う。ステップS25では、モータトルクTmと界磁電流Ifmの値をそれぞれ0にセットし、ステップS26に進む。
【0039】
ステップS26では、モータトルクTmと目標モータ界磁電流Ifmを変数として、対応する目標電機子電流Iaを算出しステップS27に進む。
ステップS27では、式(6)に基づき、ステップS26で算出した目標電機子電流Ia、抵抗RおよびステップS21で算出したモータ誘起電圧Eから発電機7の目標電圧Vを算出する。
V=Ia×R+E …(6)
ただし、抵抗Rは、電線9の抵抗およびモータ4のコイルの抵抗である。
【0040】
このような処理手順による2輪/4輪駆動制御では、発進時に操作者が加速要求を指示していることが検出されると(ステップS1〜ステップS7)、2輪駆動を行うための制御を行う(ステップS8)。発進後は、2輪/4輪駆動制御のために必要である目標界磁電流Ifm、モータ誘起電圧E、モータトルクTmを算出する(ステップS9〜ステップS22)。各パラメーターを算出後、加速スリップしておらず(ステップS23)、運転者の加速要求がある場合(ステップS24)に2輪駆動制御を行い(ステップS25)、それ以外(ステップS23またはステップS24の判定がNO)の場合は4輪駆動制御とする。その後、発電機7の目標電圧Vを算出する(ステップS26〜ステップS27)。
【0041】
以上詳細に説明した通り、この実施の形態による4輪駆動装置では、走行中の車両の基本的な制御を4輪駆動制御とし、運転者が加速を要求する場合に、2輪駆動制御を行うようにしている。これにより、4輪駆動制御時に、発電機における発電がエンジンに対する負荷となることによる加速性能の低下を防ぐことができ、運転者の意図する加速性能を発揮することができる。特に、発進時と発進後の加速要求の判定レベルを異なるものとし、発進時は発進後に比べて判定レベルを下げて2輪駆動に切り替えやすくしたので、発進時にスムーズな発進加速が可能となり、より走行性能が向上する。
【0042】
本発明は上記実施の形態に何ら限定されない。すなわち、動力を発生する内燃機関と、内燃機関が発生する動力が伝達されて駆動する前後輪の一方と、内燃機関が発生する動力に基づいて回転することで、電力を発電する発電機と、発電機によって発電された電力が直接供給されて、前後輪の他方を駆動する電動機と、操作者の加速要求を検出する加速要求検出装置と、加速要求検出装置による加速要求に基づいて、電動機による前後輪の他方の駆動を行うか否かを制御する制御装置とを備える種々の4輪駆動装置に適用される。例えば、運転者の加速要求も上述した方式以外の他の方式で検出してもよいし、前輪をモータ、後輪をエンジンで駆動してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による4輪駆動装置の本実施の形態の構成を示す図
【図2】図2は、本発明による4輪駆動装置のシステム構成を示す図
【図3】図3は、本発明による4輪駆動装置の制御手順を示すフローチャート
【図4】図4は、図3の制御手順に引き続く制御手順を示すフローチャート
【図5】図5は、スロットル開度とアクセル開度変化量とに基づいて、運転者の加速要求を判定するための判定マップ
【図6】図6は、スロットル開度と車速とに基づいて、運転者の加速要求を判定するための判定マップ
【符号の説明】
1L,1R…前輪、2…エンジン、3L,3R…後輪、4…モータ、5…ディファレンスギア、6…ベルト、7…発電機、8…モータコントローラ、9…電線、10…ジャンクションボックス、11…減速機、12…クラッチ、13…デファレンシャル、18…エンジンコントローラ、21エンジン回転数検出センサ、22…電圧調整器、23電流センサ、24…リレー、25…サーミスタ、26…モータ用回転数センサ、27FL、27FR、27RL、27RR…車輪速センサ、28…アクセルセンサ、29…スロットルセンサ、30車速センサ、31…4WD切り替えスイッチ

Claims (6)

  1. 動力を発生する内燃機関と、
    前記内燃機関が発生する動力が伝達されて駆動する前後輪の一方と、
    前記内燃機関が発生する動力に基づいて回転することで、電力を発電する発電機と、
    前記発電機によって発電された電力が直接供給されて、前記前後輪の他方を駆動する電動機と、
    操作者の加速要求が予め定めた所定の要求値より大きいか否かを判定する加速要求判定装置と、
    前記加速要求判定装置による加速要求判定に基づいて、前記電動機による前記前後輪の他方の駆動を行うか否かを制御する制御装置とを備え
    前記制御装置は、前記加速要求判定装置によって操作者の加速要求が予め定めた所定の要求値よりも大きいと判定されると、前記前後輪の一方の駆動を許可し、前記前後輪の他方の駆動を禁止することを特徴とする4輪駆動装置。
  2. 請求項1に記載の4輪駆動装置において、
    前記加速要求判定装置は、スロットル開度が所定の開度より大きい場合に、操作者の加速要求が予め定めた所定の要求値よりも大きいと判定することを特徴とする4輪駆動装置。
  3. 請求項2に記載の4輪駆動装置において、
    アクセル開度変化量が大きくなるほど、スロットル開度と比較する前記所定の開度を小さくすることを特徴とする4輪駆動装置。
  4. 請求項2に記載の4輪駆動装置において、
    車速が高くなるほど、スロットル開度と比較する前記所定の開度を大きくすることを特徴とする4輪駆動装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の4輪駆動装置において、
    前記電動機はクラッチを介して前記前後輪の他方と接続しており、
    前記制御装置は、前記電動機による前記前後輪の他方の駆動を行わない場合には、前記クラッチを非連結とする制御を行うことを特徴とする4輪駆動装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の4輪駆動装置において、
    前記加速要求判定装置による前記操作者の加速要求を判定するための条件は、発進時と走行時とで異なることを特徴とする4輪駆動装置。
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