JP5602251B2 - 透明電極基板およびその製造方法、光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュール - Google Patents

透明電極基板およびその製造方法、光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュール Download PDF

Info

Publication number
JP5602251B2
JP5602251B2 JP2012554621A JP2012554621A JP5602251B2 JP 5602251 B2 JP5602251 B2 JP 5602251B2 JP 2012554621 A JP2012554621 A JP 2012554621A JP 2012554621 A JP2012554621 A JP 2012554621A JP 5602251 B2 JP5602251 B2 JP 5602251B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thin film
zinc oxide
transparent electrode
photoelectric conversion
aluminum
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012554621A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2012101876A1 (ja
Inventor
勝俊 菅原
博文 小西
弘也 山林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2012554621A priority Critical patent/JP5602251B2/ja
Publication of JPWO2012101876A1 publication Critical patent/JPWO2012101876A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5602251B2 publication Critical patent/JP5602251B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L31/00Semiconductor devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation and specially adapted either for the conversion of the energy of such radiation into electrical energy or for the control of electrical energy by such radiation; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof
    • H01L31/02Details
    • H01L31/0224Electrodes
    • H01L31/022466Electrodes made of transparent conductive layers, e.g. TCO, ITO layers
    • H01L31/022483Electrodes made of transparent conductive layers, e.g. TCO, ITO layers composed of zinc oxide [ZnO]
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L31/00Semiconductor devices sensitive to infrared radiation, light, electromagnetic radiation of shorter wavelength or corpuscular radiation and specially adapted either for the conversion of the energy of such radiation into electrical energy or for the control of electrical energy by such radiation; Processes or apparatus specially adapted for the manufacture or treatment thereof or of parts thereof; Details thereof
    • H01L31/02Details
    • H01L31/0236Special surface textures
    • H01L31/02366Special surface textures of the substrate or of a layer on the substrate, e.g. textured ITO/glass substrate or superstrate, textured polymer layer on glass substrate
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Description

本発明は、透明電極基板およびその製造方法、光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュールに関する。
光電変換装置において、透明電極は重要な要素の1つである。透明電極には高い光透過性と導電性が求められる。主に、光透過性は短絡電流密度(Jsc)に、導電性はフィルファクター(FF)に影響を及ぼす。特に、受光面側の電極として透明電極のみを使用する場合、光電変換層内で発生した電流は横方向の電流経路を持つため、導電性を向上させることが重要である。また、透明電極表面に凹凸を設けて光を散乱させて光路長を延ばすことで、Jscが増加し、光電変換効率がさらに向上することが知られている。しかし、表面凹凸の形成は局所的な膜厚減少を伴うため、電極全体としての導電性は低下する。高キャリア濃度化により導電性の向上を図ることができるが、これにより自由キャリア吸収が増加し近赤外波長域の光透過率が低下するため、近赤外波長の光に対する光電変換性能の低下が避けられない。すなわち、光電変換装置のための透明電極に求められる性能として、表面凹凸の形成により光散乱効果を向上させた上で、光透過性と導電性を両立させることが重要である。
特許文献1には、基板の光入射面の反対側に、凹凸形状を有する均一にドーピングされた透明導電膜を具備しており、その凹凸により入射した光が散乱されるため、光閉じ込め効果が向上し、光電変換装置が高効率化されることが述べられている。これに対して、特許文献2には、ガラス基板上に基板との界面付近でドーパント濃度が高く、表面付近で低い濃度分布を有する酸化亜鉛薄膜を形成する透明電極の製造方法が述べられている。
特許第3801342号公報 特開2001−189114号公報
しかしながら、光散乱効果を高めるために電極表面に径の大きい凹凸を形成する場合は、凹凸の凹部で厚さが局所的に薄くなるため、この部分の電気抵抗が増加する。また、酸化亜鉛系薄膜の厚さ方向での結晶性は、基板に近い部分では成長初期であることから低くなり、表面に近い部分では成長が進むことで高くなる。エッチングにより表面凹凸を形成した場合は、基板に近い結晶性の低い部分が残るため、膜全体としてのキャリアの移動度の低下が避けられない。
以上の理由から、電極表面に凹凸を形成することで電気抵抗は増加する。これに対して、導電率の低下分を補うために膜全体のドープ量を増やし、キャリア濃度を増加させる方法が考えられる。しかし、透明電極表面に形成される凹凸の大きさもドープされる不純物濃度に依存する。前述のとおり導電率と近赤外波長域での透過率の間には、キャリア濃度の増加が透過率の低下を招くという関係がある。さらに、形成される凹凸が大きいほど光散乱効果は向上するが、導電率向上のためにドープ濃度を増やすことで、形成される凹凸の径が小さくなり光散乱効果は低下する。すなわち、導電率の面から見たドープ濃度の最適値と凹凸形成の面から見た最適値は異なる。このため、単に透明導電膜全体のキャリア濃度を増加させる方法では、この問題を解決することは困難である。
特許文献1の透明電極の製造方法では、光の散乱効果が増大し、光電変換装置の光電変換効率が向上するものの、凹凸形成によって厚さの薄くなった部分では電気抵抗が増加するため、電極全体としての電気抵抗が増加する。特許文献2の製造方法では、透明電極に反射防止などの効果を備えることができるが、表面凹凸の形成により光の散乱効果を向上させることや、導電率のみに着目し近赤外波長での透過率を保持することが考慮されていないため、光電変換装置に用いるという点で特許文献1の方法を超えるものではない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、光散乱効果を向上させるための表面凹凸を備え、導電性および光透過性に優れた透明電極基板およびその製造方法、光電変換効率に優れた光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュールを得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる透明電極基板は、透光性絶縁基板上に酸化亜鉛を主成分としてドーパント元素を少なくとも1種類以上含む酸化亜鉛系薄膜からなる透明電極が形成された透明電極基板であって、前記酸化亜鉛系薄膜は、表面に凹凸形状を備え、前記透光性絶縁基板側から表面側に向かって連続的に減少する前記ドーパント元素の濃度勾配を有し、前記酸化亜鉛系薄膜における前記ドーパント元素の濃度は、前記透光性絶縁基板から厚み50nmの領域では1.5原子%以上3原子%以下であり、表面から厚み300nmの領域では0.2原子%以上1原子%以下であること、を特徴とする。
本発明によれば、高い光散乱効果を有しつつ、導電性および光透過性に優れた透明電極が得られ、この透明電極を用いることにより光電変換装置の光電変換効率を向上させることができる、という効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる透明電極の製造方法および光電変換装置の製造方法を模式的に示す断面図である。 図2は、酸化亜鉛薄膜中にドープされたアルミニウムの濃度とエッチングにより形成される表面凹凸の径との関係を示す特性図である。 図3は、酸化亜鉛薄膜中にドープされたアルミニウムの濃度と導電率との関係を示す特性図である。 図4は、酸化亜鉛薄膜中にドープされたアルミニウムの濃度と近赤外波長の光の透過率との関係を示す特性図である。 図5は、透光性絶縁基板からの距離と、膜中のアルミニウム濃度との関係を示す特性図である。 図6は、本発明の実施の形態2にかかる透明電極の製造方法および光電変換装置の製造方法を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明の実施の形態3にかかる透明電極の製造方法および光電変換装置の製造方法を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明にかかる透明電極基板およびその製造方法、光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュールの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる透明電極の製造方法および光電変換装置の製造方法を模式的に示す断面図である。ここでは、ドーパントを含む材料からなるドーパント含有薄膜として、アルミニウム(Al)薄膜を例にとって説明する。まず、図1(a)に示すように透光性絶縁基板1上にアルミニウム薄膜2、酸化亜鉛(ZnO)系薄膜3を順次積層する。透光性絶縁基板1は、ガラスや透明樹脂、プラスチック、石英などの種々の透光性を有する絶縁基板が用いられる。
酸化亜鉛系薄膜3には、たとえば酸化亜鉛膜が用いられる。酸化亜鉛は、透明電極材料として一般に用いられている透明導電性酸化物(TCO:Transparent Conductive Oxide)の1つである。なお、酸化亜鉛系薄膜3は、酸化亜鉛をその組成の主な成分とし、酸化亜鉛に対するドーパントであるアルミニウム、ガリウム(Ga)、ホウ素(B)、窒素(N)、リン(P)、フッ素(F)等の不純物元素を少なくとも1種類以上含む。このとき、後のエッチングによる表面凹凸形成工程を考慮すると、酸化亜鉛系薄膜3の製膜時には、熱拡散後に酸化亜鉛系薄膜3の表面から厚み300nmの領域でのアルミニウム濃度(含有率)が凹凸形成に適する値である0.2原子%以上1原子%以下となるよう調整された濃度のアルミニウムをドープしておくことが望ましい。図2は、酸化亜鉛膜中にドープされたアルミニウム濃度(原子%)とエッチングにより酸化亜鉛膜表面に形成される凹凸の径(μm)との関係を示す特性図である。エッチングによる凹凸サイズは、エッチングの条件や酸化亜鉛系薄膜3の製膜条件によって多少変化するものの、0.2原子%以上1原子%以下のアルミニウム濃度(含有率)で、図2に示すように凹凸サイズが大きくなる傾向がある。従って、熱拡散後の酸化亜鉛系薄膜の表面近傍でのアルミニウム濃度をこの範囲内とすることで光散乱効果が向上し、光電変換装置におけるJscを増加させることができる。熱拡散後に酸化亜鉛系薄膜の表面から厚み300nmの領域でのアルミニウム濃度(含有率)が0.2原子%未満の場合および1原子%より大である場合には、表面凹凸のサイズが小さくなり、光散乱効果が充分に得られない虞がある。酸化亜鉛系薄膜3は、スパッタリング法や電子ビーム堆積法、原子層堆積法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、ゾルゲル法、印刷法、スプレー法をはじめとした種々の製膜方法により製膜することができる。
アルミニウム薄膜2は、酸化亜鉛系薄膜3にドーパントを提供する材料膜である。ここでは酸化亜鉛系薄膜3に提供するドーパントを含む材料からなる薄膜の一例としてアルミニウム薄膜2を用いているが、アルミニウム薄膜2の代わりに、前述の酸化亜鉛に対するドーパントとなる元素から選択した少なくとも1種類以上の元素を含む材料によって構成されている薄膜を用いてもよい。アルミニウム薄膜2は、スパッタリング法や蒸着法をはじめとした種々の製膜方法により製膜することができる。また、ドーパントを提供する材料は、屈折率の変調による反射防止効果の点からも選定する必要がある。例として挙げたアルミニウムは、アルミニウムの酸化物(Al)の屈折率が1.8であり、ガラス(SiO)の1.45と、酸化亜鉛の2.0との間の値を有している。このため、ガラス上にアルミニウム薄膜2、酸化亜鉛系薄膜3の順で積層することで後述する熱拡散後のこれらの膜中の屈折率が連続的に変化し、反射防止効果を向上させることができる。
酸化亜鉛系薄膜3に提供するドーパントを含む材料からなる薄膜としてアルミニウム薄膜2以外の材料膜を用いる場合であっても、熱拡散後に酸化亜鉛系薄膜3が十分な透過率と導電率を備え、その屈折率がガラスと酸化亜鉛系薄膜3との間の値を有する材料であることが好ましい。
次に、アルミニウム薄膜2のアルミニウムを酸化亜鉛系薄膜3中に熱拡散させて、アルミニウム薄膜2と酸化亜鉛系薄膜3とを図1(b)に示すように厚さ方向における連続的なアルミニウム濃度勾配を有する酸化亜鉛系薄膜4(以下、単に酸化亜鉛系薄膜4と呼ぶ場合がある)に変質させる。ここで、酸化亜鉛系薄膜4におけるアルミニウム濃度勾配は、透光性絶縁基板1側から表面側に向かって連続的に減少する。すなわち、透光性絶縁基板1に近いほど、アルミニウム濃度が高くなる。アルミニウム濃度に連続的な勾配を設けることにより酸化亜鉛系薄膜4における厚さ方向での導電率を変調し、酸化亜鉛系薄膜4における主となる電流経路を酸化亜鉛系薄膜4と透光性絶縁基板1との界面近傍(基板側界面近傍)とすることで、表面凹凸を形成した後にも酸化亜鉛系薄膜4における高い透光性と導電率を実現することができる。たとえば、酸化亜鉛系薄膜4において、透光性絶縁基板1と酸化亜鉛系薄膜との界面から厚み50nmまで領域でのアルミニウム濃度(含有率)は、導電性と近赤外波長域での透過率の点から、1.5原子%以上3原子%以下とすることが好ましい。酸化亜鉛系薄膜4において、透光性絶縁基板1近傍でのアルミニウム濃度をこの範囲内とすることで電極全体の導電性を向上させ、光電変換装置におけるFFを増加させることができる。図3は、酸化亜鉛膜中にドープされたアルミニウム濃度(原子%)と酸化亜鉛膜の導電率(S/cm)との関係を示す特性図である。酸化亜鉛系薄膜4において、透光性絶縁基板1と酸化亜鉛系薄膜4との界面から厚み50nmまでの領域でのアルミニウム濃度が1.5原子%未満の場合は、十分な導電性が得られない。また、酸化亜鉛系薄膜4において、透光性絶縁基板1と酸化亜鉛系薄膜4との界面から厚み50nmまでの領域でのアルミニウム濃度が3原子%より大の場合は、導電性が飽和する。また、図4は、酸化亜鉛膜中にドープされたアルミニウム濃度(原子%)と近赤外波長の光の透過率(%)との関係示す特性図である。図4では、波長が1100nmの光の透過率を示している。酸化亜鉛膜中にドープされたアルミニウム濃度が3原子%より大の場合は、近赤外波長域での光透過率が十分に得られない。
ここで、ドーパントが厚さ方向において均一にドーピングされる従来の透明電極の製造方法により形成された酸化亜鉛系薄膜(均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜)であっても、膜中のアルミニウム濃度は膜中の平均のアルミニウム濃度に対して±5%程度の分布を持つと考えられる。一方、熱拡散によりアルミニウムを酸化亜鉛系薄膜3に拡散させて形成される実施の形態1の酸化亜鉛系薄膜4におけるアルミニウム濃度分布は、透光性絶縁基板1近傍で高く、膜の表面に近づくにつれて低くなる。このため、酸化亜鉛系薄膜4におけるアルミニウム濃度分布は、均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜のアルミニウム濃度分布とは大きく異なる。図5は、透光性絶縁基板1からの距離と、膜中のアルミニウム濃度(原子%)との関係を示す特性図である。図5においては、酸化亜鉛系薄膜4における厚さ方向のアルミニウム濃度分布について、実施の形態1の場合(図中の実線A)、酸化亜鉛系薄膜4をノンドープ酸化亜鉛薄膜に変更した場合は(図中の破線B)、酸化亜鉛系薄膜3をノンドープ酸化亜鉛薄膜に変更し電極表面までドーパントを拡散させた場合(図中の一点鎖線C)、アルミニウム薄膜2の膜厚を増加させた場合(図中の点線D)を、それぞれ示している。ノンドープ酸化亜鉛薄膜を使用した場合は(図中の破線B)、表面近傍でのアルミニウム濃度が低いため、表面凹凸の径が小さくなり、十分な光散乱効果が得られない。酸化亜鉛系薄膜3をノンドープ酸化亜鉛薄膜に変更し酸化亜鉛薄膜表面までドーパントを拡散させた場合は(図中の一点鎖線C)、表面凹凸は十分な大きさが得られるものの、基板近傍でのドープ量が減少し、凹凸形成後の電極全体の導電性が低下する。そして、導電性、表面凹凸の径ともに十分な値を得るためにアルミニウム薄膜2の膜厚を増加させた場合(図中の点線D)には、電極全領域でのアルミニウム濃度が高くなるため近赤外波長域の透過率が大幅に低下する。
すなわち、酸化亜鉛系薄膜において、凹凸形成によって光散乱効果を向上させつつ、導電率と透過率についても十分な値を得るためには、酸化亜鉛系薄膜の製膜時点で凹凸形成に適した濃度のアルミニウムをドープし、拡散により基板近傍にのみアルミニウムを拡散させて導電率を上げる必要がある(図中の実線A)。たとえば、酸化亜鉛系薄膜4中において好ましいアルミニウム濃度は、凹凸形成の点からは酸化亜鉛系薄膜4の表面から厚み300nmの領域で0.2原子%〜1原子%の範囲であり、導電性と透過性の両立の点からは透光性絶縁基板1と酸化亜鉛系薄膜との界面から厚み50nmの領域で1.5原子%〜3原子%の範囲である。
この熱拡散は、アルミニウム薄膜2および酸化亜鉛系薄膜3の積層後の熱処理や、酸化亜鉛系薄膜3の製膜に伴う加熱により実施される。熱処理温度は、使用する透光性絶縁基板1の耐熱性を考慮しつつ、たとえば300℃〜600℃の範囲から選択することが好ましい。熱処理温度が300℃よりも低い場合は、アルミニウムの拡散が不十分になる虞がある。
また、熱処理は真空中か、もしくは0体積%〜10体積%の範囲で酸素を含む雰囲気で行ってもよい。熱拡散の進行は温度と時間によって律速され、温度が上昇するほど増速される。すなわち、酸化亜鉛系薄膜4の厚さ方向におけるアルミニウム濃度に勾配を設けるためには、アルミニウム薄膜の厚さ、熱拡散温度、時間を適切に選択する必要がある。さらに、熱処理を行うことで酸化亜鉛系薄膜4の結晶性の低い部分において結晶化が促進されるため移動度が向上し、結果として導電率のさらなる向上を図ることができる。
また、アルミニウム薄膜2の厚さは、前述のとおり拡散後の透光性絶縁基板1近傍でのアルミニウム濃度が導電率と近赤外波長透過率を両立させることのできる濃度となるよう選ぶ必要がある。たとえば、アルミニウム薄膜2の厚さは、酸化亜鉛系薄膜3の厚さの0.1%から20%の範囲が好ましい。アルミニウム薄膜2の厚さが酸化亜鉛系薄膜3の厚さの0.1%より薄い場合は、酸化亜鉛系薄膜3に拡散されるアルミニウム量が不十分となり、酸化亜鉛系薄膜4の導電性が不十分となる虞がある。アルミニウム薄膜2の厚さが酸化亜鉛系薄膜3の厚さの20%より厚い場合は、酸化亜鉛系薄膜3に拡散されるアルミニウム量が過剰となるか、あるいは拡散不足により、酸化亜鉛系薄膜4の光透過率が低下する虞がある。
次に、酸化亜鉛系薄膜4の表面に対してエッチングを行い、図1(c)に示すように表面凹凸および厚さ方向における連続的なアルミニウム濃度勾配を有する酸化亜鉛系薄膜5(以下、単に酸化亜鉛系薄膜5と呼ぶ場合がある)を形成する。酸化亜鉛系薄膜5は、透明導電性膜であり、光電変換装置における透明電極として使用される。このエッチングは、塩酸をはじめとする種々の薬液によるものや、メタンガスなどを用いた反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法等により実現することができる。
このとき、従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜では透光性絶縁基板1の表面が露出するような長時間のエッチングを行った場合でも、厚さ方向におけるアルミニウム濃度に勾配を有する酸化亜鉛系薄膜4ではアルミニウム濃度の高い部分はエッチングによって形成される凹凸の径(サイズ)が小さくなるため、凹凸の深さも小さくなり比較的膜が残りやすい。このため、本実施の形態にかかる酸化亜鉛系薄膜4では、長時間のエッチングを行った場合でも従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べて膜の連続性を保持しやすい。
また、アルミニウム薄膜2、酸化亜鉛系薄膜3の順に積層して熱拡散を行った場合は、酸化亜鉛系薄膜5中におけるアルミニウム濃度が高い透光性絶縁基板1に近い領域を中心に電流が流れる。このため、酸化亜鉛系薄膜5は、エッチングによる表面凹凸が形成されていても高い導電率を保持することができる。
酸化亜鉛系薄膜5では高い透光性絶縁基板1に近い領域を中心に電流が流れるため、表面凹凸の形成で厚さが薄くなった凹部で局所的に面内方向の電気抵抗が増加する現象が生じにくい。また、酸化亜鉛系薄膜5では、従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べて、電流の流れる領域の導電率が高いため、厚さを薄くすることができ、長波長側の光吸収を低減することができる。
また、酸化亜鉛系薄膜5では表面凹凸を有するため、高い光散乱効果が得られる。さらに、エッチングにより酸化亜鉛系薄膜に形成される表面凹凸の形状は、酸化亜鉛系薄膜中のアルミニウム濃度と製膜時の温度によって変化するため、厚さ方向にアルミニウム濃度勾配を設けた酸化亜鉛系薄膜4のエッチングでは、エッチング速度が変調され、表面の凹凸形状は従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べてより複雑なものになる。このため、酸化亜鉛系薄膜5での光散乱効果がより向上する。
次に、上述した方法により作製された酸化亜鉛系薄膜5を用いて光電変換装置を作製する。すなわち、図1(d)に示すように上記の酸化亜鉛系薄膜5上に光電変換層11、裏面透明導電層12、裏面電極層13を順次形成し、光電変換装置を形成する。
光電変換層11は、たとえばpin接合を有するシリコン(Si)系薄膜半導体層からなり、透光性絶縁基板1の面方向に平行なp型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層が酸化亜鉛系薄膜5上に順次積層されたpin半導体接合を含んでいる。ここで、シリコン系薄膜半導体層は、シリコン半導体、または炭素(C)、ゲルマニウム(Ge)、酸素(O)またはその他の元素の少なくとも1つが添加された薄膜から構成することができる。この光電変換層11は、プラズマCVD法または熱CVD法等を用いて堆積形成される。
また、光電変換層11における各層の接合特性を改善するために、p型半導体層とi型半導体層との間、i型半導体層とn型半導体層との間に、各接合層のバンドギャップの中間、または同等の大きさのバンドギャップを有する半導体層を介在させてもよい。すなわち、p型半導体層とi型半導体層との間には、p型半導体層とi型半導体層のバンドギャップの中間の大きさのバンドギャップを有する非単結晶シリコン(Si)層、非単結晶炭化シリコン(Si1−x)層、非単結晶酸化シリコン(Si1−x)層、非単結晶シリコンゲルマニウム(SiGe1−x)層等の半導体層を介在させてもよい。同様に、i型半導体層とn型半導体層との間についても、i型半導体層とn型半導体層のバンドギャップの中間、または同等の大きさのバンドギャップを有する種々の半導体層を介在させてもよい。
裏面透明導電層12は、たとえば酸化亜鉛、酸化インジウム錫(ITO)、酸化錫(SnO)、酸化インジウム(In)のうち、少なくとも1種を含むTCOによって構成される。また、裏面透明導電層12は、これらのTCOにアルミニウム、ガリウム、ホウ素等から選択した少なくとも1種類以上の元素を添加した透明導電性酸化物によって構成されていてもよい。裏面透明導電層12は、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、原子層堆積法、CVD法、低圧CVD法、MOCVD法、ゾルゲル法、印刷法、塗布法等により形成される。
裏面電極層13は、高い反射率および導電性を有する、銀(Ag)、アルミニウム、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)、パラジウム(Pr)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)等から選択した少なくとも1種類以上の元素または合金からなる層により構成される。なお、これらの裏面電極層13の高反射率および導電性材料としての具体的材料は特に限定されるものではなく、周知の材料から適宜選択して用いることができる。
上述したように、実施の形態1にかかる透明電極の製造方法においては、酸化亜鉛系薄膜3にドーパントを提供するドーパントであるアルミニウム原子を含む材料であるアルミニウム薄膜2と、酸化亜鉛系薄膜3とをこの順で積層した後、アルミニウム原子を酸化亜鉛系薄膜3中へ熱拡散させる。この熱拡散により、厚さ方向においてアルミニウム原子の連続的な濃度勾配を有する構造の酸化亜鉛系薄膜4が形成される。このとき、酸化亜鉛系薄膜4においてアルミニウム濃度の高い透光性絶縁基板1近傍は、導電率が高くなる。そして、この酸化亜鉛系薄膜4の表面をエッチングすることにより酸化亜鉛系薄膜4に表面凹凸を形成して、表面凹凸および厚さ方向におけるアルミニウム濃度勾配を有する酸化亜鉛系薄膜5を形成する。このとき、酸化亜鉛系薄膜4の表面近傍のアルミニウム濃度を適切に選ぶことで、エッチングにより形成される表面凹凸の形状を大きくし、高い光散乱効果を得ることができる。
実施の形態1にかかる透明電極の製造方法においては、このように導電率が高い領域を透光性絶縁基板1の近傍に局在化させることで、表面凹凸の形成後においても導電率の高い領域を保持することができ、高い導電性を実現できる。
また、酸化亜鉛系薄膜5では、従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べて、電流の流れる領域の導電率が高い。これにより、実施の形態1にかかる透明電極の製造方法においては、酸化亜鉛系薄膜5の厚さを薄くすることができ、酸化亜鉛系薄膜5における長波長側の光吸収を低減することができ、高い光透過性を実現できる。
また、実施の形態1にかかる透明電極の製造方法においては、酸化亜鉛系薄膜4において、表面近傍でのアルミニウム濃度は光散乱効果を高める表面凹凸形成に適した値を、透光性絶縁基板1近傍でのアルミニウム濃度は高い導電性を保つために適した値をそれぞれ選ぶことができる。すなわち、酸化亜鉛系薄膜4におけるアルミニウムのドープ濃度が影響を与える導電率と表面凹凸の大きさを、透光性絶縁基板1近傍と表面近傍とのドーピング濃度を変調することで独立に扱うことができる。また、酸化亜鉛系薄膜5の表面の凹凸形状は従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べてより複雑なものになるため、酸化亜鉛系薄膜5での光散乱効果が均一ドーピング酸化亜鉛薄膜に比べてより向上する効果や、アルミニウム濃度勾配により形成される屈折率変調による反射防止効果も得られる。
そして、実施の形態1にかかる透明電極の製造方法で用いる熱拡散は、酸化亜鉛系薄膜の製膜中にドーパント濃度を連続的に変化させる方法や、異なるドーパント濃度の薄膜を積層する方法よりも容易に前述の効果を得ることができる。
したがって、実施の形態1にかかる透明電極の製造方法によれば、特許文献1等の従来の透明電極に比べて高い光散乱効果を有しつつ、高い導電性および光透過性を有する透明電極を容易に実現できる。
また、実施の形態1にかかる光電変換装置の製造方法によれば、実施の形態1にかかる透明電極の製造方法により作製した高い導電性と光透過性とを備える酸化亜鉛系薄膜5を透明電極に用いて光電変換装置を作製するため、光電変換効率に優れた光電変換装置を実現することができる。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2にかかる透明電極の製造方法および光電変換装置の製造方法を模式的に示す断面図である。実施の形態2にかかる透明電極の製造方法は、実施の形態1にかかる透明電極の製造方法と比較して、熱拡散工程の前後双方の時点においてエッチング工程を行う点が異なる。以下において、実施の形態1と同じ部材については同じ符号を付す。
エッチングにより酸化亜鉛系薄膜の表面に形成される表面凹凸の形状は、図2に示した酸化亜鉛系薄膜中のアルミニウム濃度、および酸化亜鉛系薄膜の製膜時の温度や熱処理などの膜の熱履歴によって変化することが報告されている。実施の形態2では、このような現象を利用して表面凹凸の形状に分布を設けることで、実施の形態1と比較してより高い光散乱効果を得る。
まず、図6(a)に示すように透光性絶縁基板1上にアルミニウム薄膜2、酸化亜鉛(ZnO)系薄膜3を順次積層する。なお、透光性絶縁基板1、アルミニウム薄膜2、酸化亜鉛系薄膜3は、実施の形態1において述べた各種材料から選択することができる。このとき、酸化亜鉛系薄膜3にドープされるアルミニウム濃度はエッチングにより形成される表面凹凸の径が最大となる濃度よりも低くしておくことが好ましい。また、製膜中における酸化亜鉛系薄膜3へのアルミニウムの熱拡散を抑えるため、酸化亜鉛系薄膜3の製膜は400℃より低い温度で行うことが好ましい。
次に、酸化亜鉛系薄膜3の表面に対してエッチングを行い、図6(b)に示すように表面凹凸を有する酸化亜鉛系薄膜6を形成する。このとき形成される表面凹凸は、酸化亜鉛系薄膜3の表面近傍でのアルミニウム濃度が低く、製膜温度も低いことから、0.2μm程度の径を有する比較的小さいものが形成されやすい。このエッチングは、実施の形態1において述べた各種方法から選択することができる。
次に、アルミニウム薄膜2のアルミニウムを酸化亜鉛系薄膜6中に熱拡散させて、アルミニウム薄膜2と酸化亜鉛系薄膜6とを図6(c)に示すように表面凹凸および厚さ方向のアルミニウム濃度に連続的な勾配を備える酸化亜鉛系薄膜5に変質させる。ここで、酸化亜鉛系薄膜5におけるアルミニウム濃度勾配は、透光性絶縁基板1側から表面側に向かって連続的に減少する。すなわち、透光性絶縁基板1に近いほど、アルミニウム濃度が高くなる。
そして、酸化亜鉛系薄膜5の表面に対して追加エッチングを行い、図6(d)に示すように酸化亜鉛系薄膜5の表面に追加の表面凹凸を形成する。これにより、酸化亜鉛系薄膜5の表面の表面凹凸の形状に分布が形成された、表面凹凸分布および厚さ方向における連続的なアルミニウム濃度勾配を有する酸化亜鉛系薄膜7(以下、単に酸化亜鉛系薄膜7と呼ぶ場合がある)を形成する。酸化亜鉛系薄膜7は、透明導電性膜であり、光電変換装置における透明電極として使用される。
この追加エッチングは、実施の形態1において述べた各種方法から選択することができる。追加エッチングによって形成される表面凹凸は、前回のエッチングの時点に比べて酸化亜鉛系薄膜5の表面近傍でのアルミニウム濃度が高く、熱履歴も高い状態で行われるため、径が1μmを越える比較的大きいものが形成されやすい。
このとき、従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜では透光性絶縁基板1の表面が露出するような長時間のエッチングを行った場合でも、厚さ方向におけるアルミニウム濃度に勾配を有する酸化亜鉛系薄膜5ではアルミニウム濃度の高い部分はエッチング速度が遅くなり比較的残りやすい。このため、従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べて膜の連続性を保持しやすい。
また、アルミニウム薄膜2、酸化亜鉛系薄膜3の順に積層し、エッチングにより酸化亜鉛系薄膜6を形成した後に熱拡散を行った場合は、酸化亜鉛系薄膜7中におけるアルミニウム濃度が高い透光性絶縁基板1に近い領域を中心に電流が流れる。このため、酸化亜鉛系薄膜7は、追加エッチングによる表面凹凸が形成されていても高い導電率を保持することができる。
酸化亜鉛系薄膜7では高い透光性絶縁基板1に近い領域を中心に電流が流れるため、表面凹凸の形成で厚さが薄くなった凹部で局所的に面内方向の電気抵抗が増加する現象が生じにくい。また、酸化亜鉛系薄膜5では、従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べて、電流の流れる領域の導電率が高いため、厚さを薄くすることができ、長波長側の光吸収を低減することができる。
また、酸化亜鉛系薄膜7では表面凹凸を有するため、高い光散乱効果が得られる。さらに、厚さ方向にアルミニウム濃度勾配を設けた酸化亜鉛系薄膜5のエッチングでは、エッチング速度が変調され、表面の凹凸形状は従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べてより複雑なものになる。このため、酸化亜鉛系薄膜7での光散乱効果がより向上する。
次に、上述した方法により作製された酸化亜鉛系薄膜7を用いて光電変換装置を作製する。すなわち、図6(e)に示すように上記の酸化亜鉛系薄膜7上に光電変換層11、裏面透明導電層12、裏面電極層13を順次形成し、光電変換装置を形成する。光電変換層11、裏面透明導電層12、裏面電極層13は、実施の形態1に述べた各種材料から選択することができる。
上述したように、実施の形態2にかかる透明電極の製造方法においては、酸化亜鉛系薄膜3にドーパントを提供するドーパントであるアルミニウム原子を含む材料であるアルミニウム薄膜2と、酸化亜鉛系薄膜3とをこの順で積層した後、酸化亜鉛系薄膜3の表面をエッチングすることにより表面凹凸を有する酸化亜鉛系薄膜6を形成する。そして、アルミニウム原子を酸化亜鉛系薄膜6中へ熱拡散させる。この熱拡散により、表面凹凸を有するとともに厚さ方向においてアルミニウム原子の連続的な濃度勾配を有する構造の酸化亜鉛系薄膜5が形成される。このとき、酸化亜鉛系薄膜5においてアルミニウム濃度の高い透光性絶縁基板1近傍は、導電率が高くなる。そして、この酸化亜鉛系薄膜5の表面を追加エッチングすることにより酸化亜鉛系薄膜5に追加の表面凹凸を形成して、表面凹凸の形状に分布を有し、厚さ方向におけるアルミニウム濃度勾配を有する酸化亜鉛系薄膜7を形成する。
実施の形態2にかかる透明電極の製造方法においては、このように導電率が高い領域を透光性絶縁基板1の近傍に局在化させることで、表面凹凸の形成後においても導電率の高い領域を保持することができ、高い導電性を実現できる。
また、酸化亜鉛系薄膜7では、従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べて、電流の流れる領域の導電率が高い。これにより、実施の形態2にかかる透明電極の製造方法においては、酸化亜鉛系薄膜7の厚さを薄くすることができ、酸化亜鉛系薄膜7における長波長側の光吸収を低減することができ、高い光透過性を実現できる。
そして、実施の形態2にかかる透明電極の製造方法においては、酸化亜鉛系薄膜7の表面凹凸の形状に分布を形成することができるため、従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べて、より高い光散乱効果が得られる。
そして、実施の形態2にかかる透明電極の製造方法で用いる熱拡散は、酸化亜鉛系薄膜の製膜中にドーパント濃度を連続的に変化させるよりも容易に酸化亜鉛系薄膜中での連続的なドーパント濃度勾配を実現することができる。
したがって、実施の形態2にかかる透明電極の製造方法によれば、特許文献1等の従来の透明電極に比べて高い導電性、高い光透過性およびより高い光散乱効果を有する透明電極を容易に実現できる。
また、実施の形態2にかかる光電変換装置の製造方法によれば、実施の形態2にかかる透明電極の製造方法により作製した高い導電性と光透過性とを備える酸化亜鉛系薄膜7を透明電極に用いて光電変換装置を作製するため、より光電変換効率に優れた光電変換装置を実現することができる。
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3にかかる透明電極の製造方法および光電変換装置の製造方法を模式的に示す断面図である。実施の形態3にかかる透明電極の製造方法は、実施の形態1にかかる透明電極の製造方法と比較して、酸化亜鉛系薄膜の形成にMOCVD法を用いることによりエッチングの工程を省略していることが異なる。以下において、実施の形態1と同じ部材については同じ符号を付す。
まず、図7(a)に示すように透光性絶縁基板1上にアルミニウム薄膜2を形成した後、MOCVD法により、表面凹凸を設けた酸化亜鉛系薄膜6を積層する。なお、透光性絶縁基板1、アルミニウム薄膜2、酸化亜鉛系薄膜6は、実施の形態1に述べた各種材料から選択することができる。MOCVD法による酸化亜鉛系薄膜6の形成では、堆積温度や材料供給量などの製膜条件を適切に選ぶことにより、実施の形態1や実施の形態2のようなエッチング工程を実施することなく、表面凹凸を設けることができる。これにより、表面凹凸を形成するためのエッチング工程は不要となる。
次に、アルミニウム薄膜2のアルミニウムを酸化亜鉛系薄膜6中に熱拡散させて、アルミニウム薄膜2と酸化亜鉛系薄膜6とを図7(b)に示すように表面凹凸および厚さ方向のアルミニウム濃度に連続的な勾配を備える酸化亜鉛系薄膜5に変質させる。これにより、表面凹凸および厚さ方向におけるアルミニウム濃度勾配を有する酸化亜鉛系薄膜5を形成する。ここで、酸化亜鉛系薄膜5におけるアルミニウム濃度勾配は、透光性絶縁基板1側から表面側に向かって連続的に減少する。すなわち、透光性絶縁基板1に近いほど、アルミニウム濃度が高くなる。酸化亜鉛系薄膜5は、透明導電性膜であり、光電変換装置における透明電極として使用される。
このように、アルミニウム薄膜2、酸化亜鉛系薄膜6の順に積層して熱拡散を行った場合は、酸化亜鉛系薄膜5中におけるアルミニウム濃度が高い透光性絶縁基板1に近い領域を中心に電流が流れる。このため、酸化亜鉛系薄膜6は、表面凹凸が形成されていても高い導電率を保持することができる。
酸化亜鉛系薄膜5では高い透光性絶縁基板1に近い領域を中心に電流が流れるため、表面凹凸の形成で厚さが薄くなった凹部で局所的に面内方向の電気抵抗が増加する現象が生じにくい。また、酸化亜鉛系薄膜5では、従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べて、電流の流れる領域の導電率が高いため、厚さを薄くすることができ、長波長側の光吸収を低減することができる。さらに、酸化亜鉛系薄膜5は表面凹凸を有するため、高い光散乱効果が得られる。なお、実施の形態2のように、追加エッチングを行って表面凹凸分布を設けてもよい。
次に、上述した方法により作製された酸化亜鉛系薄膜5を用いて光電変換装置を作製する。すなわち、図7(c)に示すように上記の酸化亜鉛系薄膜5上に光電変換層11、裏面透明導電層12、裏面電極層13を順次形成し、光電変換装置を形成する。光電変換層11、裏面透明導電層12、裏面電極層13は、実施の形態1に述べた各種材料から選択することができる。
上述したように、実施の形態3にかかる透明電極の製造方法においては、酸化亜鉛系薄膜3にドーパントを提供するドーパントであるアルミニウム原子を含む材料であるアルミニウム薄膜2と、MOCVD法により表面凹凸を設けた酸化亜鉛系薄膜6とをこの順で積層した後、アルミニウム原子を酸化亜鉛系薄膜6中へ熱拡散させる。この熱拡散により、厚さ方向においてアルミニウム原子の連続的な濃度勾配を有する構造の酸化亜鉛系薄膜5が形成される。このとき、酸化亜鉛系薄膜5においてアルミニウム濃度の高い透光性絶縁基板1近傍は、導電率が高くなる。
実施の形態3にかかる透明電極の製造方法においては、このように導電率が高い領域を透光性絶縁基板1の近傍に局在化させることで、表面凹凸の形成後においても導電率の高い領域を保持することができ、高い導電性を実現できる。
また、酸化亜鉛系薄膜5では、従来の均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜に比べて、電流の流れる領域の導電率が高い。これにより、実施の形態3にかかる透明電極の製造方法においては、酸化亜鉛系薄膜5の厚さを薄くすることができ、酸化亜鉛系薄膜5における長波長側の光吸収を低減することができ、高い光透過性を実現できる。
また、酸化亜鉛系薄膜5は、表面凹凸を有するため高い光散乱効果を実現できる。
また、実施の形態3にかかる透明電極の製造方法においては、エッチング工程を実施することなく、MOCVD法により表面凹凸を有する酸化亜鉛系薄膜6を形成することができる。これにより、表面凹凸を形成するためのエッチング工程を省略でき、工程数の削減が可能である。また、従来のMOCVD法により形成した均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜と比較して導電性や透過率に優れるだけでなく、ドーパントが熱拡散により酸化亜鉛系薄膜5に供給されるためドーパントとして用いられる取り扱いの危険なMO材料や特殊材料ガスの使用量を削減でき、安全性の向上を図ることができる。
そして、実施の形態3にかかる透明電極の製造方法で用いる熱拡散は、酸化亜鉛系薄膜の製膜中にドーパント濃度を連続的に変化させるよりも容易に酸化亜鉛系薄膜中での連続的なドーパント濃度勾配を実現することができる。
したがって、実施の形態3にかかる透明電極の製造方法によれば、特許文献1等の従来の透明電極に比べて高い導電性、高い光透過性および高い光散乱効果を有する透明電極をより容易に実現できる。
なお、MOCVD法による酸化亜鉛系薄膜6の形成時の加熱によってアルミニウム薄膜2のアルミニウムを酸化亜鉛系薄膜6中に熱拡散させてもよい。この場合、熱処理工程も不要となり、工程数の更なる削減が可能である。
また、実施の形態3にかかる光電変換装置の製造方法によれば、実施の形態1にかかる透明電極の製造方法により作製した高い導電性と光透過性とを備える酸化亜鉛系薄膜5を透明電極に用いて光電変換装置を作製するため、光電変換効率に優れた光電変換装置を実現することができる。
実施例
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はその趣旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1.
実施例1では、実施の形態1で述べた透明電極の製造方法および光電変換装置の製造方法により透明電極および光電変換セルを作製した。まず、透光性絶縁基板として厚さ5mmのガラス基板を準備し、その上に高周波(RF:Radio Frequency)スパッタリング法によりアルミニウム薄膜、1×1021cm−3のアルミニウム原子をドープしたベース酸化亜鉛薄膜をこの順に積層して、図1(a)に示した構造体を形成した。このとき、アルミニウム薄膜の厚さは50nmとし、ベース酸化亜鉛薄膜の厚さは1μmとした。高周波スパッタリング法によるそれぞれの薄膜の製膜の際の基板温度は200℃とした。
次に、この1体積%の酸素を添加した圧力100Paの窒素雰囲気中において500℃、1時間の条件でアルミニウム薄膜およびベース酸化亜鉛薄膜の熱処理を行い、アルミニウムをベース酸化亜鉛薄膜中に熱拡散させた。これにより、アルミニウム薄膜とベース酸化亜鉛薄膜とを図1(b)に示した構造に変化させて厚さ方向のアルミニウム濃度に連続的な勾配を備える酸化亜鉛薄膜を形成した。次に、濃度が0.5体積%に希釈された塩酸により酸化亜鉛薄膜の表面のエッチングを行って図1(c)に示した構造を形成し、表面凹凸および厚さ方向におけるアルミニウム濃度勾配を有する実施例1の酸化亜鉛薄膜を得た。
次に、実施例1の酸化亜鉛薄膜のシート抵抗(Ω/□)および波長1100nmの光の透過率(%)を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0005602251
次に、実施例1の酸化亜鉛薄膜を透明電極として使用し、この上に半導体光電変換層、裏面透明導電層、裏面電極層を順次形成し、光電変換セルを作製した。まず、半導体光電変換層として、厚さ20nmのp型微結晶Si膜、厚さ3μmのi型微結晶Si膜、厚さ30nmのn型微結晶Si膜をプラズマCVD法により積層した。次に、裏面透明導電層として、不純物としてアルミニウム原子を2×1021cm−3程度ドープした酸化亜鉛薄膜をスパッタリング法により厚さ100nmで成膜した。次に、裏面電極層として厚さ500nmの銀をスパッタリング法で堆積することにより、図1(d)に示した構造を有する実施例1の光電変換セルを作製した。
次に、実施例1の光電変換セルの特性として、光電変換効率(η)、短絡電流密度(Jsc)、開放端電圧(V)、フィルファクター(FF)を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 0005602251
実施例2.
実施例2では、実施の形態2で述べた透明電極の製造方法および光電変換装置の製造方法により透明電極および光電変換セルを作製した。まず、透光性絶縁基板として厚さ5mmのガラス基板を準備し、その上に高周波スパッタリング法によりアルミニウム薄膜、1×1021cm−3のアルミニウム原子をドープしたベース酸化亜鉛薄膜をこの順に積層して、図6(a)に示した構造を形成した。このとき、アルミニウム薄膜の厚さは50nmとし、ベース酸化亜鉛薄膜の厚さは1μmとした。高周波スパッタリング法によるそれぞれの薄膜の製膜の際の基板温度は200℃とした。
次に、濃度が0.5体積%に希釈された塩酸によりベース酸化亜鉛薄膜の表面のエッチングを行って図6(b)に示した表面凹凸を備えた酸化亜鉛薄膜を形成した。次に、1体積%の酸素を添加した圧力100Paの窒素雰囲気中において500℃、1時間の条件でアルミニウム薄膜および表面凹凸を備えた酸化亜鉛薄膜の熱処理を行い、アルミニウム原子を、表面凹凸を備えた酸化亜鉛薄膜中に熱拡散させた。これにより、アルミニウム薄膜と表面凹凸を備えた酸化亜鉛薄膜とを図6(c)に示した構造に変化させて、表面凹凸および厚さ方向におけるアルミニウム濃度勾配を備える酸化亜鉛薄膜を形成した。次に、濃度が0.5体積%に希釈された塩酸によりこの酸化亜鉛薄膜の表面の追加エッチングを行って図6(d)に示した構造を形成し、表面凹凸の形状に分布を有し、厚さ方向におけるアルミニウム濃度勾配を有する実施例2の酸化亜鉛薄膜を得た。
次に、実施例2の酸化亜鉛薄膜を透明電極として使用し、実施例1と同様にして図6(e)に示した構造を有する実施例2の光電変換セルを作製した。そして、実施例2の光電変換セルの特性として、光電変換効率(η)、短絡電流密度(Jsc)、開放端電圧(V)、フィルファクター(FF)を評価した。その結果を表2に示す。
実施例3.
実施例3では、実施の形態3で述べた透明電極の製造方法および光電変換装置の製造方法により透明電極および光電変換セルを作製した。まず、透光性絶縁基板として厚さ5mmのガラス基板を準備し、その上に高周波(RF:Radio Frequency)スパッタリング法によりアルミニウム薄膜を形成した後、MOCVD法により、1×1021cm−3のアルミニウム原子をドープした表面凹凸を有する酸化亜鉛薄膜を積層して、図7(a)に示した構造を形成した。このとき、アルミニウム薄膜の厚さは50nm、表面凹凸を有する酸化亜鉛薄膜の平均厚さは1.5μmとした。アルミニウム薄膜の製膜の際の基板温度は200℃、表面凹凸を有する酸化亜鉛薄膜の成膜の際の基板温度も200℃とした。
次に、1体積%の酸素を添加した圧力100Paの窒素雰囲気中において500℃、1時間の条件でアルミニウム薄膜および表面凹凸を有する酸化亜鉛薄膜の熱処理を行い、アルミニウムを表面凹凸を有する酸化亜鉛薄膜中に熱拡散させた。これにより、アルミニウム薄膜と表面凹凸を有する酸化亜鉛薄膜とを図7(b)に示した構造に変化させて、表面凹凸および厚さ方向におけるアルミニウム濃度勾配を有する実施例3の酸化亜鉛薄膜を得た。
次に、実施例3の酸化亜鉛薄膜を透明電極として使用し、実施例1と同様にして図7(c)に示した構造を有する実施例3の光電変換セルを作製した。そして、実施例3の光電変換セルの特性として、光電変換効率(η)、短絡電流密度(Jsc)、開放端電圧(V)、フィルファクター(FF)を評価した。その結果を表2に示す。
比較例
比較例では、従来の透明電極の製造方法および光電変換装置の製造方法により透明電極および光電変換セルを作製した。比較例の透明電極の製造方法では、アルミニウムが酸化亜鉛薄膜の製膜時に膜中に均一にドーピングされる点のみが実施例1〜実施例3と異なる。また、比較例の光電変換装置の製造方法では、透明電極として比較例1の酸化亜鉛薄膜を使用する点のみが実施例1〜実施例3と異なる。
まず、透光性絶縁基板として厚さ5mmのガラス基板を準備し、その上に不純物としてアルミニウム原子を2×1021cm−3程度ドープした酸化亜鉛薄膜(均一ドーピング酸化亜鉛薄膜)をスパッタリング法により厚さ1μmで成膜した。
次に、濃度が0.5体積%に希釈された塩酸により均一ドーピング酸化亜鉛系薄膜の表面のエッチングを行って、表面凹凸を有する比較例1の均一ドーピング酸化亜鉛薄膜を得た。
また、アルミニウム原子を8×1021cm−3程度ドープした酸化亜鉛薄膜(均一ドーピング酸化亜鉛薄膜)をスパッタリング法により厚さ1μmで成膜したこと以外は比較例1と同様にして比較例2の均一ドーピング酸化亜鉛薄膜を得た。
次に、比較例1および比較例2の均一ドーピング酸化亜鉛薄膜のシート抵抗(Ω/□)および波長1100nmの光の透過率(%)を測定した。その結果を表1に示す。
次に、比較例1の均一ドーピング酸化亜鉛薄膜を透明電極として使用し、実施例1と同様にして比較例1の光電変換セルを作製した。そして、比較例1の光電変換セルの特性として、光電変換効率(η)、短絡電流密度(Jsc)、開放端電圧(V)、フィルファクター(FF)を評価した。その結果を表2に示す。
表1に示すように実施例1の酸化亜鉛薄膜のシート抵抗は5Ω/□、波長1100nmの光の透過率は81%であった。また、表1に示すように比較例1の均一ドーピング酸化亜鉛薄膜のシート抵抗は8Ω/□、透過率は83%であった。また、比較例2の均一ドーピング酸化亜鉛薄膜のシート抵抗は4Ω/□、透過率は64%であった。
このことから、実施例1の酸化亜鉛薄膜は、従来の製造方法により製作された比較例1の均一ドーピング酸化亜鉛薄膜に比べて低いシート抵抗と、ほぼ変わらない光透過率を示した。これにより、実施例1の酸化亜鉛薄膜においては、高い導電性と高い光透過性とが実現されていることが分かる。なお、比較例1の均一ドーピング酸化亜鉛薄膜は、実施例1の酸化亜鉛薄膜に比べて低いシート抵抗を示すが、透過率が大幅に減少している。
また、表2に示すように実施例1の光電変換セルの光電変換効率(η)は8.0%、短絡電流密度(Jsc)は21.0mA/cm、開放端電圧(Voc)は0.50V、フィルファクター(FF)は0.75であった。また、表2に示すように比較例1の光電変換セルの光電変換効率(η)は6.7%、短絡電流密度(Jsc)は18.3mA/cm、開放端電圧(Voc)は0.51V、フィルファクター(FF)は0.72であった。
このことから、実施例1の酸化亜鉛薄膜を透明電極として使用した実施例1の光電変換セルは、比較例1の均一ドーピング酸化亜鉛薄膜を透明電極として使用した比較例1の光電変換セルと比較して、フィルファクター(FF)が増大したことにより、光電変換効率(η)が向上したことがわかる。
また、表2に示すように実施例2の光電変換セルの光電変換効率(η)は7.8%、短絡電流密度(Jsc)は21.7mA/cm、開放端電圧(Voc)は0.50V、フィルファクター(FF)は0.72であった。このことから、実施例2の酸化亜鉛薄膜を透明電極として使用した実施例2の光電変換セルは、比較例1の均一ドーピング酸化亜鉛薄膜を透明電極として使用した比較例1の光電変換セルと比較して、短絡電流密度(Jsc)が増大したことにより、光電変換効率(η)が向上したことがわかる。
また、表2に示すように実施例3の光電変換セルの光電変換効率(η)は8.0%、短絡電流密度(Jsc)は21.5mA/cm、開放端電圧(Voc)は0.50V、フィルファクター(FF)は0.74であった。このことから、実施例3の酸化亜鉛薄膜を透明電極として使用した実施例3の光電変換セルは、比較例1の均一ドーピング酸化亜鉛薄膜を透明電極として使用した比較例1の光電変換セルと比較して、短絡電流密度(Jsc)が増大したことにより、光電変換効率(η)が向上したことがわかる。
なお、上記の実施の形態で説明した構成を有する光電変換装置を透光性絶縁基板上に複数形成し、隣接する光電変換装置同士を電気的に直列または並列に接続することにより、光電変換効率に優れた光電変換モジュールが実現できる。この場合は、隣接する光電変換装置の一方の透明電極と他方の裏面電極層とを電気的に接続すればよい。
以上のように、本発明にかかる透明電極基板は、光電変換効率に優れた光電変換装置の実現に有用である。
1 透光性絶縁基板
2 アルミニウム薄膜
3 酸化亜鉛系薄膜
4 厚さ方向における連続的なアルミニウム濃度勾配を有する酸化亜鉛系薄膜
5 表面凹凸および厚さ方向におけるアルミニウム濃度勾配を有する酸化亜鉛系薄膜
6 表面凹凸を有する酸化亜鉛系薄膜
7 表面凹凸分布および厚さ方向における連続的なアルミニウム濃度勾配を有する酸化亜鉛系薄膜
11 光電変換層
12 裏面透明導電層
13 裏面電極層

Claims (10)

  1. 透光性絶縁基板上に酸化亜鉛を主成分としてドーパント元素を少なくとも1種類以上含む酸化亜鉛系薄膜からなる透明電極が形成された透明電極基板であって、
    前記酸化亜鉛系薄膜は、表面に凹凸形状を備え、前記透光性絶縁基板側から表面側に向かって連続的に減少する前記ドーパント元素の濃度勾配を有し、
    前記酸化亜鉛系薄膜における前記ドーパント元素の濃度は、前記透光性絶縁基板から厚み50nmの領域では1.5原子%以上3原子%以下であり、表面から厚み300nmの領域では0.2原子%以上1原子%以下であること、
    を特徴とする透明電極基板。
  2. 前記凹凸形状は、形状の異なる凹凸形状が混在していること、
    を特徴とする請求項1に記載の透明電極基板。
  3. 請求項1または2に記載の透明電極基板と、
    前記透明電極基板の前記透明電極上に形成された光電変換層と、
    前記光電変換層上に形成された裏面電極層と、
    を備えることを特徴とする光電変換装置。
  4. 透光性絶縁基板上に酸化亜鉛を主成分とする酸化亜鉛系薄膜からなる透明電極を形成する透明電極基板の製造方法であって、
    前記透光性絶縁基板上に、前記酸化亜鉛系薄膜に対するドーパント元素を少なくとも1種類以上含むドーパント含有薄膜を形成する第1工程と、
    前記ドーパント含有薄膜上に、前記酸化亜鉛系薄膜に対するドーパント元素を少なくとも1種類以上含むベース酸化亜鉛系薄膜を形成する第2工程と、
    前記ドーパント含有薄膜から前記ベース酸化亜鉛系薄膜に対してドーパント元素を拡散させることにより、前記透光性絶縁基板側から表面側に向かって前記ドーパント元素の濃度が連続的に減少し、前記透光性絶縁基板から厚み50nmの領域では1.5原子%以上3原子%以下、表面から厚み300nmの領域では0.2原子%以上1原子%以下のドーパント元素の濃度勾配を有する前記酸化亜鉛系薄膜を形成する第3工程と、
    前記ドーパント元素が拡散された前記酸化亜鉛系薄膜の表面に凹凸形状を形成する第4工程と、
    を含むことを特徴とする透明電極基板の製造方法。
  5. 前記第3工程では、熱拡散により前記ドーパント元素を拡散させること、
    を特徴とする請求項4に記載の透明電極基板の製造方法。
  6. 前記第2工程と前記第3工程との間に、前記ベース酸化亜鉛系薄膜の表面に凹凸形状を形成する第5工程を有し、
    前記第4工程では、前記第5工程で形成した凹凸形状と異なる形状の凹凸形状を部分的に形成すること、
    を特徴とする請求項4または5に記載の透明電極基板の製造方法。
  7. 前記ドーパント含有薄膜は、前記ベース酸化亜鉛系薄膜の膜厚の0.1%〜20%の膜厚を有するアルミニウム薄膜であること、
    を特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の透明電極基板の製造方法。
  8. 前記第4工程で前記凹凸形状を形成する代わりに、前記第2工程で前記ベース酸化亜鉛系薄膜として表面に凹凸形状を有する酸化亜鉛系薄膜を形成すること、
    を特徴とする請求項4または5に記載の透明電極基板の製造方法。
  9. 透光性絶縁基板上に透明電極と光電変換層と裏面電極層とをこの順で備える光電変換装置の製造方法であって、
    請求項4〜請求項8のいずれか1つに記載の透明電極基板の製造方法により前記透光性絶縁基板上に前記透明電極を形成する工程と、
    前記透明電極上に前記光電変換層と前記裏面電極層とをこの順で形成する工程と、
    を含むことを特徴とする光電変換装置の製造方法。
  10. 請求項3に記載の光電変換装置の少なくとも2つ以上が電気的に接続されてなること、
    を特徴とする光電変換モジュール。
JP2012554621A 2011-01-26 2011-10-17 透明電極基板およびその製造方法、光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュール Expired - Fee Related JP5602251B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012554621A JP5602251B2 (ja) 2011-01-26 2011-10-17 透明電極基板およびその製造方法、光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュール

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011014481 2011-01-26
JP2011014481 2011-01-26
JP2012554621A JP5602251B2 (ja) 2011-01-26 2011-10-17 透明電極基板およびその製造方法、光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュール
PCT/JP2011/073844 WO2012101876A1 (ja) 2011-01-26 2011-10-17 透明電極基板およびその製造方法、光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュール

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2012101876A1 JPWO2012101876A1 (ja) 2014-06-30
JP5602251B2 true JP5602251B2 (ja) 2014-10-08

Family

ID=46580463

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012554621A Expired - Fee Related JP5602251B2 (ja) 2011-01-26 2011-10-17 透明電極基板およびその製造方法、光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュール

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP5602251B2 (ja)
CN (1) CN103339688B (ja)
WO (1) WO2012101876A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103794665A (zh) * 2014-03-04 2014-05-14 南开大学 一种高反射高绒度复合结构背电极及其制备方法
CN104037244B (zh) * 2014-06-17 2016-01-13 辽宁工业大学 一种晶硅太阳能电池钝化材料Al2O3浓度梯度掺杂ZnO薄膜及制备方法
EP3231266B1 (en) * 2014-12-09 2020-10-14 Intel Corporation Microelectronic substrates having copper alloy conductive route structures
CN106531835B (zh) * 2016-10-31 2018-03-30 新奥光伏能源有限公司 一种硅异质结太阳能电池及太阳能电池组件
EP3722268A4 (en) 2018-01-15 2021-02-17 Sony Corporation FUNCTIONAL ELEMENT, PROCESS FOR THE PRODUCTION OF FUNCTIONAL ELEMENT AND ELECTRONIC DEVICE
CN112736148B (zh) * 2020-12-03 2023-07-14 圣晖莱南京能源科技有限公司 一种具有高光电转换效率的柔性cigs薄膜电池

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0843841A (ja) * 1994-07-27 1996-02-16 Toppan Printing Co Ltd 透明導電膜の形成方法
JPH0843840A (ja) * 1994-07-27 1996-02-16 Toppan Printing Co Ltd 表示装置用電極板
WO2009116467A1 (ja) * 2008-03-18 2009-09-24 株式会社カネカ 透明導電酸化物層およびこれを用いた光電変換装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4017281B2 (ja) * 1999-03-23 2007-12-05 三洋電機株式会社 太陽電池及びその製造方法
JP2003347572A (ja) * 2002-01-28 2003-12-05 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd タンデム型薄膜光電変換装置とその製造方法
JP2007234996A (ja) * 2006-03-02 2007-09-13 Kaneka Corp 薄膜太陽電池の製造方法、及び、薄膜太陽電池。
KR20100059410A (ko) * 2008-11-26 2010-06-04 삼성전자주식회사 태양 전지 및 이의 제조 방법

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0843841A (ja) * 1994-07-27 1996-02-16 Toppan Printing Co Ltd 透明導電膜の形成方法
JPH0843840A (ja) * 1994-07-27 1996-02-16 Toppan Printing Co Ltd 表示装置用電極板
WO2009116467A1 (ja) * 2008-03-18 2009-09-24 株式会社カネカ 透明導電酸化物層およびこれを用いた光電変換装置

Also Published As

Publication number Publication date
CN103339688B (zh) 2015-12-02
WO2012101876A1 (ja) 2012-08-02
CN103339688A (zh) 2013-10-02
JPWO2012101876A1 (ja) 2014-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5762552B2 (ja) 光電変換装置とその製造方法
JP4928337B2 (ja) 光電変換装置の製造方法
WO2012020682A1 (ja) 結晶シリコン系太陽電池
JP5602251B2 (ja) 透明電極基板およびその製造方法、光電変換装置およびその製造方法、光電変換モジュール
CN103107228B (zh) 光电转换装置
JP5824681B2 (ja) 光起電力装置
JP2008270562A (ja) 多接合型太陽電池
JP6109107B2 (ja) 太陽電池およびその製造方法
JP4904311B2 (ja) 薄膜光電変換装置用透明導電膜付き基板の製造方法
JP5400322B2 (ja) シリコン系薄膜太陽電池およびその製造方法
JP5180574B2 (ja) 多接合型シリコン系薄膜光電変換装置
JP2009117463A (ja) 薄膜光電変換装置
JP2012244065A (ja) 薄膜光電変換装置およびその製造方法、薄膜光電変換モジュール
JP2011077454A (ja) 結晶シリコン系太陽電池とその製造方法
WO2010087312A1 (ja) 薄膜光電変換装置およびその製造方法
JPWO2006049003A1 (ja) 薄膜光電変換装置の製造方法
JP2014168012A (ja) 光電変換装置およびその製造方法
JP5022246B2 (ja) 多接合型シリコン系薄膜光電変換装置
JP5409675B2 (ja) 薄膜太陽電池およびその製造方法
JP2011014635A (ja) 光電変換素子及びその製造方法
JP2005244071A (ja) 太陽電池およびその製造方法
JP2010283162A (ja) 太陽電池及びその製造方法
JP2010080672A (ja) 光電変換装置及び光電変換装置の製造方法
JP5307280B2 (ja) 薄膜光電変換素子
JP6226858B2 (ja) 薄膜太陽電池及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140430

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140624

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140722

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140819

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5602251

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees