JP2014168012A - 光電変換装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた光透過性と導電性を両立させた透光性導電膜により、短波長光だけではなく長波長光においても分光感度を向上させたうえで高いFFを実現することで、変換効率が高い光電変換装置とその製造方法を得ること。
【解決手段】光電変換装置は、透光性基板(1)上に少なくともZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<1)からなる透光性膜(2)、透光性導電膜(3)、半導体光電変換層(4)、および裏面電極層(5)をこの順で積層し、透光性導電膜は酸化インジウム、酸化錫、または酸化チタンを主成分とすることを特徴としている。
【選択図】図1
【解決手段】光電変換装置は、透光性基板(1)上に少なくともZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<1)からなる透光性膜(2)、透光性導電膜(3)、半導体光電変換層(4)、および裏面電極層(5)をこの順で積層し、透光性導電膜は酸化インジウム、酸化錫、または酸化チタンを主成分とすることを特徴としている。
【選択図】図1
Description
本発明は、光電変換装置およびその製造方法に関する。
従来、薄膜光電変換装置として、基板の光入射面の反対側に、マグネシウムをドープした酸化亜鉛(Zn1-xMgxO、0<x<1、略称ZMO)とドーピング不純物とを含む透光性導電膜を用いた技術が開示されている(特許文献1)。ZMOは酸化亜鉛(ZnO)と比較して短波長光の透過率が向上するため、特許文献1の光電変換装置は、ZnOから成る透光性導電膜を用いた場合と比較して、300nm〜400nmの短波長光の分光感度が向上し、光電変換効率が改善するとしている。
特許文献1のドーピング不純物を含むZMOから成る透光性導電膜を用いた光電変換装置によれば、ZnOから成る透光性導電膜を有する光電変換装置と比較して、短波長光の光透過性向上により300nm〜400nmの優れた分光感度を得やすい。しかしながら、Mgをドープすることにより膜中におけるキャリアの移動度が低下し、導電率が低下するため、光電変換装置のフィルファクタ(FF)は低下するという問題があった。また、ドーピング不純物濃度を高めることによりZMOの導電率を改善することも可能であるが、ZMO中のキャリア濃度が高くなるため、自由キャリア吸収により近赤外域である長波長光の分光感度が低下するという課題も確認した。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、優れた光電変換性能を有する光電変換装置およびそれを容易に製造することができる方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の光電変換装置は、基板上に、第1の電極、1組以上のpin構造を有する半導体光電変換層、第2の電極を順次積層して形成され、前記第1及び第2の電極のうち、受光面側に位置する電極が、少なくともZn1-xMgxOを主成分とする透光性膜と透光性導電膜との積層体で構成され、前記Zn1-xMgxOのxは、下式(1)を満たすことを特徴とする。
(式1) 0.03≦x<1
(式1) 0.03≦x<1
本発明によれば、受光面側にZMOと透光性導電膜の積層構造を用いることにより、優れた光透過性と導電性を両立することができるため、短波長光だけではなく長波長光においても分光感度を向上させたうえで、高いFFを実現することが可能となる。従って、光電変換効率を向上させることができるという効果を奏する。
以下に、本発明にかかる光電変換装置及びその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、本発明に係る光電変換装置の実施の形態1の概略構成を示す断面図である。図1において、この光電変換装置では、絶縁性を有する透光性基板1上に、ZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<1)を主成分とする透光性膜2、透光性導電膜3、薄膜半導体層である半導体光電変換層4、裏面電極層5がこの順で積層されている。なお、透光性基板1としては、ガラスや透光性樹脂、プラスチック、石英などの種々の絶縁性を有する透光性基板が用いられる。
図1は、本発明に係る光電変換装置の実施の形態1の概略構成を示す断面図である。図1において、この光電変換装置では、絶縁性を有する透光性基板1上に、ZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<1)を主成分とする透光性膜2、透光性導電膜3、薄膜半導体層である半導体光電変換層4、裏面電極層5がこの順で積層されている。なお、透光性基板1としては、ガラスや透光性樹脂、プラスチック、石英などの種々の絶縁性を有する透光性基板が用いられる。
図2−1〜図2−5は、同光電変換装置の製造工程を示す工程断面図であり、図3はそのフローチャートを示す図である。本実施の形態では、透光性基板1上に、ZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<0.6)を主成分とする透光性膜2、透光性導電膜3、少なくとも1組のpin構造を有する半導体光電変換層4、および裏面電極層5を順に積層する。ここで透光性膜を成膜する工程では、スパッタリング法により六方晶を形成し、その後エッチングによりテクスチャーを形成する(製造方法については実施例1で詳述する)。
まず、透光性基板1を用意する(図2−1)。そして、透光性基板1上に、ZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<0.6)を主成分とする透光性膜2を成膜し(図2−2,図3:ステップS1)、その後エッチングによりテクスチャーを形成する(図2−3,図3:ステップS2)。ここで透光性膜2を成膜する工程では、スパッタリング法により六方晶を形成し、その後エッチングによりテクスチャーを形成する。
そしてさらに、透光性導電膜3を形成する(図2−4,図3:ステップS3)。この後、1組のpin構造を有する半導体光電変換層4を積層する(図2−5,図3:ステップS4,5,6)。
最後に、裏面電極層5を積層する(図3:ステップS7)(製造方法については実施例1で詳述する)。
上記構成によれば、透光性膜2として、ZnMgOを用いることにより、ZnOを用いた場合よりも短波長光の分光感度が向上する。Zn1-xMgxOの値は0.03≦x<0.6とするのが望ましい。つまり、Mgが3at.%以上でワイドギャップ化の効果を得ることができる。また、60at.%以上になるとテクスチャエッチングにおける加工性が低下するため、60at.%に満たないように組成を選択するのが望ましい。
実施の形態2.
図4は、本発明に係る光電変換装置の実施の形態2の概略構成を示す断面図である。図4において、この光電変換装置では、絶縁性を有する透光性基板1上に、ZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<1)を主成分とする透光性膜2S、透光性導電膜3、薄膜半導体層である半導体光電変換層4、裏面電極層5がこの順で積層されている。なお、透光性膜2SをCVD法によりテクスチャー表面をもつように形成した点以外の構成については、前記実施の形態1と同様であり、ここでは説明を省略する。
図4は、本発明に係る光電変換装置の実施の形態2の概略構成を示す断面図である。図4において、この光電変換装置では、絶縁性を有する透光性基板1上に、ZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<1)を主成分とする透光性膜2S、透光性導電膜3、薄膜半導体層である半導体光電変換層4、裏面電極層5がこの順で積層されている。なお、透光性膜2SをCVD法によりテクスチャー表面をもつように形成した点以外の構成については、前記実施の形態1と同様であり、ここでは説明を省略する。
図5−1〜図5−4は、同光電変換装置の製造工程を示す工程断面図であり、図3はそのフローチャートを示す図である。本実施の形態では、透光性基板1上に、テクスチャー構造の表面を有し、ZMOを主成分とする透光性膜2S、透光性導電膜3、少なくとも1組のpin構造を有する半導体光電変換層4、および裏面電極層5を順に積層する。ここで透光性膜2Sを成膜する工程はCVD法により、テクスチャーを有する透光性膜2Sを形成する(製造方法については実施例2で詳述する)。
まず、透光性基板1を用意する(図5−1)。そして、透光性基板1上に、ZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<0.6)を主成分とする透光性膜2Sを成膜する(図5−2,図6:ステップS1S)。このとき、平坦面である透光性基板1上に、CVD法によりテクスチャーを有する透光性膜2Sを成膜する。
そしてさらに、透光性導電膜3を形成する(図5−3,図6:ステップS3)。この後、1組のpin構造を有する半導体光電変換層4を積層する(図5−4,図6:ステップS4,5,6)。
最後に、裏面電極層5を積層する(図6:ステップS7)(製造方法については実施例2で詳述する)。
上記構成によれば、実施の形態1と同様分光感度の向上が実現される。Mgが3at.%以上でワイドギャップ化の効果を得ることができる。また、この例ではテクスチャー形成のためのエッチングは不要であるため、ZMO膜の加工性は不要であるため、xの値は0.60以上であってもよい。
実施の形態3.
図7は、本発明に係る光電変換装置の実施の形態3の概略構成を示す断面図である。図7において、この光電変換装置では、表面に凹凸部GTを有するガラス基板からなる透光性基板1上に、ZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<1)を主成分とする透光性膜2T、透光性導電膜3、薄膜半導体層である半導体光電変換層4、裏面電極層5がこの順で積層されている。なお、構成については透光性基板1の表面状態と、透光性膜2TをCVD法により形成した点以外については、前記実施の形態1と同様であり、ここでは説明を省略する。
図7は、本発明に係る光電変換装置の実施の形態3の概略構成を示す断面図である。図7において、この光電変換装置では、表面に凹凸部GTを有するガラス基板からなる透光性基板1上に、ZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<1)を主成分とする透光性膜2T、透光性導電膜3、薄膜半導体層である半導体光電変換層4、裏面電極層5がこの順で積層されている。なお、構成については透光性基板1の表面状態と、透光性膜2TをCVD法により形成した点以外については、前記実施の形態1と同様であり、ここでは説明を省略する。
図8−1〜図8−5は、同光電変換装置の製造工程を示す工程断面図であり、図9はそのフローチャートを示す図である。本実施の形態では、まず、ガラス基板からなる透光性基板1表面に凹凸部GTを形成し、テクスチャー構造を形成する。このテクスチャー構造の透光性基板1表面に、凹凸を反映して、ZMOを主成分とする透光性膜2T、透光性導電膜3、少なくとも1組のpin構造を有する半導体光電変換層4、および裏面電極層5を順に積層する。ここで透光性膜2Tを成膜する工程は、CVD法を用い、成膜条件を調整して、表面にテクスチャーを有する透光性膜2Tを形成する(製造方法については実施例3で詳述する)。
まず、透光性基板1としてガラス基板を用意する(図8−1)。そして、このガラス基板に研磨剤を混合した水を吹き付けるウオータブラスト法により粗面化し、さらにフッ酸水溶液を用いたエッチング処理により凹凸部GTを有する透光性基板1を得る(図8−2、図9:ステップS0)。そしてこの透光性基板1上に、ZMO膜(Zn1-xMgxO 0.03≦x<0.6)を主成分とする透光性膜2Tを成膜する(図8−3,図9:ステップS1)。このとき、テクスチャー構造を有する透光性基板1の表面状態に従った形状をなすように、CVD法によりテクスチャーを有する透光性膜2Tを成膜する。
そしてさらに、透光性導電膜3を形成する(図8−4,図9:ステップS3)。この後、1組のpin構造を有する半導体光電変換層4を積層する(図8−5,図9:ステップS4,5,6)。
最後に、裏面電極層5を積層する(図9:ステップS7)(製造方法については実施例3で詳述する)。
上記構成によれば、実施の形態1と同様分光感度の向上が実現される。Mgが3at.%以上でワイドギャップ化の効果を得ることができる。また、この例では透光性膜2Tは、下地の透光性基板1表面の凹凸部GTを反映して表面に凹凸を有しているため、テクスチャー形成のためのエッチングは不要である。したがって、xの値は0.60以上であってもよい。再度、より表面粗さを拡大するようなエッチングを行う場合には、xの値は0.60未満にするのが望ましい。
なお、本実施の形態3において、凹凸部GTを有する透光性基板1を得る方法としては、溶融状態のガラスに型押しをする方法、あるいはガラス形成時に表面に凹凸部を形成する方法など、種々の方法を適用することも可能である。
実施の形態1,2,3において、透光性膜2は、入射した光を散乱させるためにも用いられるため、高い光散乱性と光透過性が求められる。電気伝導のためには後述の透光性導電膜3が形成されるため、透光性膜2の導電性は低くても良い。透光性膜2は、ZMOを主成分とする透光性材料によって構成される。このZMOは、ドーピング不純物としてAl、Ga、B、P、Sb、F、Inから選択される1以上の元素を含んでいても良い。ドーピング不純物を含有させることにより、最適な光散乱構造を形成するための成膜温度が低温側へシフトする傾向がある。
透光性膜2としてのZMOは、スパッタリング法、有機金属化学気相成長(MOCVD)法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法、パルスレーザー堆積(PLD)法等、種々の方法により作製することができる。例えばスパッタリング法、有機金属化学気相成長は大面積化が可能である。また、スパッタリング法を用いてGaドープZn1-xMgxOを作製する場合、GaドープZMOターゲットを用いて作製することもできるが、複数のターゲットを用いた同時スパッタリング法によっても作製可能である。2つ以上のターゲットを用いた同時スパッタリング法の方が、1つのターゲットを用いたスパッタリング法よりも結晶性の高いZMOが作製できる。同時スパッタリング法では、Gaドープ酸化亜鉛(ZnO)ターゲットと酸化マグネシウム(MgO)ターゲットを用い、各ターゲットに印加する電力を制御することにより所望のZn:Mg組成比を有するGaドープZn1-xMgxO膜を成膜する。成膜チャンバにはAr、O2、N2、H2の少なくとも1種のガスが導入され、成膜チャンバ内の圧力は0.1Pa〜10Pa程度、基板温度は室温〜500℃程度に保持される。
また、MOCVD法によりZMOを作製する場合は、Znの原料としてジエチル亜鉛(DEZ)またはジメチル亜鉛、Mgの原料としてMeCp2MgまたはEtCp2Mg、酸化反応原料として水(H2O)が主に用いられる。これらの原料は、Ar、H2、He、N2の少なくとも1種のガスによるバブリングにより気化され、圧力が5Pa〜500Pa程度、基板温度が50℃〜300℃程度に保持された成膜チャンバ内に導入される。Zn原料とMg原料の流量比を調整することにより、Zn:Mg組成比を制御することができる。このとき、ドーピングガスとしてジボラン(B2H6)またはトリメチルボロン(B(CH3)3)を添加しても良いが必須ではない。ZMOの堆積膜厚は、0.5μm〜5μm程度が好ましい。膜厚が0.5μmよりも薄い場合、後述する表面テクスチャー構造の凹凸が小さくなり、光散乱効果が低くなる。膜厚が5μmよりも厚い場合、ZMOによる光吸収量が多くなり、光電変換装置の光電変換効率が低下する。
透光性膜2は、表面に凹凸部を有する表面テクスチャー構造を有する。この表面テクスチャー構造は、入射した太陽光を散乱させ、半導体光電変換層4での光利用効率を高める機能を有する。スパッタリング法によりZMOを堆積した場合、堆積後のZMO膜の表面は略平坦であるが、酸またはアルカリ溶液によるウェットエッチングや、ドライエッチング、ブラスト、またはこれらの組み合わせによって凹凸形状を形成することができる。
また、MOCVD法では製膜条件に依存するが製膜のみによって自己組織的に表面テクスチャー構造が形成される場合がある。このような場合にも、ZMO製膜後に酸またはアルカリ溶液を用いたウェットエッチング、ドライエッチング、ブラスト、またはこれらの組み合わせによる後処理により凹凸構造を変形しても良い。凹凸構造を変形し、最適化することによって、光散乱効果の向上、および(または)半導体光電変換層形成のための形状最適化が可能となる。
透光性膜2の凹凸形成後の膜厚は、0.2μm〜5μm程度が良い。光電変換効率の観点から、表面テクスチャー構造の二乗平均粗さ(RMS)は30nm〜300nm程度に最適化されることが好ましい。RMSが30nmよりも小さい場合は光散乱効果が低くなり、300nmよりも大きい場合はその上に積層される半導体光電変換層に膜構造欠陥が入りやすくなるため、結果として高い光電変換効率は得られにくくなる。光散乱効果の指標として知られる波長800nmにおけるヘイズ率((拡散透過率/全光線透過率)×100[%])は10%以上、望ましくは40%以上が、光利用効率を高める点で好ましい。
ZMOのMg濃度は、X線光電子分光分析法(X-ray photoelectron spectroscopy: XPS)により評価することができる。ZMOのMg濃度は3at.%〜60at.%程度、好ましくは5at.%〜30at.%が良い。ZMOのMg濃度を5at.%〜30at.%とすることで、ワイドギャップ化の効果とテクスチャー構造の加工性とを両立させることが可能となり、より望ましい。Mg濃度が3at.%よりも低い場合は短波長光の分光感度改善効果が小さく、Mg濃度が60at.%よりも高い場合は表面テクスチャー構造の形成が困難になる。表面テクスチャー構造の加工性の低下は、後述の結晶構造の変化に起因すると考えている。
ZMOの結晶構造は、Mg濃度が低い場合にはZnO(002)に近い六方晶となるが、Mg濃度が高くなるとMgO(111)に近い立方晶へと次第に変化する。ZnOの結晶構造はX線回折法(X-ray diffraction: XRD)により評価することができ、六方晶のZMOでは2θ=34.4度付近に、立方晶のZMOでは2θ=36.8度付近にピークが現れる。これらのピーク強度を規格化し、比較することによって、結晶配向性を評価することができる。Mg濃度を変化させて作製したZMOの結晶配向性を評価した結果、Mg濃度がおおよそ40at.%以下のときには六方晶であり、40at.%〜60at.%のときには六方晶と立方晶との混晶であり、60at.%以上のときには立方晶であることがわかった。上述の表面テクスチャー構造の加工性が低下するときのMg濃度は、ZMOの結晶構造の変化点に対応していることがわかった。このことから、表面テクスチャー構造を形成するためには、六方晶のZMOが優先配向している必要があると考えられる。また、ここでいう表面テクスチャー構造の加工性とは、平坦なZMOから高いヘイズ率を有するクレーター状の凹凸構造へと変化させることを指す。つまり、MOCVD法により自己組織的に形成した凹凸構造を滑らかな形状へとエッチングする場合のように、急峻な凹凸構造を緩やかな凹凸構造へと変化させるような場合には加工性の影響をほとんど受けないため、必ずしも六方晶結晶構造である必要はない。
透光性導電膜3は、透光性膜2から入射した光を半導体光電変換層4へ透過させるとともに、基板の面に水平な方向の電気伝導、p層との電気的接合を担う。透光性導電膜3はZMOによる短波長光の透過率向上効果を損なわないよう、ZMOよりも高い透光性を有する透光性導電膜(TCO)である必要がある。つまり、透光性導電膜3は、光学的バンドギャップがZn1-xMgxOよりも広くすることで、Zn1-xMgxOで高めた短波長の透過光を吸収しないようにすることができる。また、透光性導電膜3は、光電変換装置の受光面側の電極として、高い導電性も併せ持つ材料でなければならない。これらの観点から、透光性導電膜3は酸化インジウム(In2O3)または酸化錫(SnO2)のいずれかを主成分とするTCOにより構成される。つまり、酸化インジウムと酸化錫は、ZnMgOよりもバンドギャップが広く、低抵抗化が可能。また、ZnMgOよりも仕事関数が高いためp層とのコンタクト抵抗を低減するという効果を得ることができる。
透光性導電膜3は、真空蒸着法、スパッタリング法、原子層堆積法、CVD法、低圧CVD法、MOCVD法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法、印刷法、塗布法等により形成される。ドーピング不純物として、H、Sn、Ti、Mo、Si、Ce、W、Zr、F、Sb、Ta等、各TCOに対するドーピング不純物として公知の元素から選択される1以上の元素を含む。
透光性導電膜3のシート抵抗は20Ω/□以下であれば良く、好ましくは10Ω/□以下が良い。高い導電性を有するTCOは高いキャリア移動度および(または)高いキャリア濃度を有している必要があるが、キャリア濃度が高い場合には長波長光において自由キャリア吸収による光吸収が生じる。そのため、高い透光性と導電率の両立の観点では高い移動度を有することが好ましく、透光性導電膜3のキャリア濃度は5×1020cm-3以下、好ましくは1×1020cm-3以下が良い。また、p型半導体層との接触抵抗を低減させるためには高い仕事関数を有する必要があるため、透光性導電膜3の仕事関数は上記ZMOの仕事関数よりも高いおおよそ4.1eV以上、好ましくは4.6eV以上が良い。
また、透光性導電膜3は1層に限定されることなく、2層以上に積層されたTCOにより構成されても良い。例えば、上記のIn2O3またはSnO2を主材料とするTCOと、酸化チタン(TiO2)、酸化ニッケル(NiO)、または酸化モリブデン(MoO3)のいずれかを主材料とするTCOとをこの順に積層しても良い。このようにTCOを積層することにより、In2O3またはSnO2がp型半導体と直接接合するよりも接合抵抗を低減することができる。また、1層目がIn2O3の場合には、TiO2、NiO、MoO3だけではなく、SnO2を積層することによっても同様の効果が得られる。TiO2、NiO、MoO3、SnO2には、不純物がドーピングされていても良く、Nb、Ta、V、N、Li、Hのいずれかを1以上含んでいても良い。また、TiO2、NiO、MoO3の膜厚は、0.5〜50nm程度が好ましい。このように、透光性導電膜は2種以上のTCOの積層構造を有し、半導体光電変換層のp型半導体層と接するTCOは、酸化チタン、酸化ニッケル、または酸化モリブデンのいずれかを主成分とする。そしてIn2O3またはSnO2よりも高い仕事関数を有するTCOを積層することにより、p型半導体層との接触抵抗をさらに低減することができる。
半導体光電変換層4は、pin接合を有するシリコン系薄膜半導体層からなり、透光性基板1の主面に略平行なp型微結晶シリコン層4aなどのp型半導体層、i型微結晶シリコン層4bなどのi型半導体層4bおよびn型微結晶シリコン層4cなどのn型半導体層4cが順次積層されたpin半導体接合を含んでいる。ここで、シリコン系薄膜半導体層は、シリコン半導体、または炭素、ゲルマニウム、酸素またはその他の元素の少なくとも1つが添加された薄膜から構成することができる。この半導体光電変換層4は、プラズマCVD法または熱CVD法等を用いて堆積形成される。
また、半導体光電変換層4における各層の接合特性を改善するため、p型微結晶シリコン層4aとi型微結晶シリコン層4bとの間、i型微結晶シリコン層4bとn型微結晶シリコン層4cとの間に、各接合層のバンドギャップの中間、または同等の大きさのバンドギャップを有する非単結晶シリコン(Si)層、非単結晶炭化シリコン(SixC1-x)層、非単結晶酸化シリコン(SixO1-x)層、非単結晶シリコンゲルマニウム(SixGe1-x)層等の半導体層を介在させてもよい。すなわち、p型半導体層とi型半導体層との間には、p型半導体層とi型半導体層のバンドギャップの中間の大きさのバンドギャップを有する非単結晶Si層、非単結晶SixC1-x層、非単結晶SixO1-x層、非単結晶SixGe1-x層等の半導体層を介在させてもよい。同様に、i型半導体層4bとn型半導体層4cとの間には、i型半導体層とn型半導体層のバンドギャップの中間、または同等の大きさのバンドギャップを有する非単結晶Si層、非単結晶SixC1-x層、非単結晶SixO1-x層、非単結晶SixGe1−x層等の半導体層を介在させても良い。
裏面電極層5は、高反射率および導電性を有する、Ag、Al、Au、Cu、Ni、Rh、Pt、Pr、Ti、Cr、Mo等から選択した少なくとも1以上の元素または合金からなる層により構成される。裏面電極層5は、スパッタリング法、真空蒸着法、印刷法、塗布法等により形成される。なお、これらの裏面電極層5の高反射率および導電性材料としての具体的材料は特に限定されるものではなく、周知の材料から適宜選択して用いることができる。
また、裏面電極層5はZnO、SnO2、In2O3、TiO2のうちの少なくとも1つを主材料とするTCOと、前述の高反射率および導電性を有する層との積層構造であっても良い。その場合、TCOは半導体光電変換層4と接するように配置される。TCO層は真空蒸着法、スパッタリング法、原子層堆積法、CVD法、低圧CVD法、MOCVD法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法、印刷法、塗布法等により形成される。これらのTCOにはドーピング不純物としてH、Sn、Ti、Mo、Si、Ce、W、Zr、F、Sb、Nb、Ta等から選択した少なくとも1以上の元素を添加していても良い。また、このTCO層のシート抵抗が20Ω/□以下である場合、TCO上に積層される層は高反射率を有していれば良く、導電性がなくても良い。例えば、高反射率と導電性を有する層の代わりにTiO2、ZnO、SiO2等の微粒子を主材料とする白色塗料等を形成することにより、高反射率だけではなく光散乱効果も得られ、半導体光電変換層4の光吸収率を高めることができる。
以上の実施の形態で述べたように、本発明の光電変換装置では、ZMOと透光性導電膜の積層構造を用いることにより、優れた光透過性と導電性を両立することができるため、短波長光だけではなく長波長光においても分光感度を向上させたうえで、高いFFを実現することが可能となり、結果として光電変換効率を向上させることができる。
ここでは、本発明の実施の形態を1つの半導体光電変換層を有する光電変換装置を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り任意の形態とすることができる。
つまり、本発明は、例えば1つの半導体光電変換層から成る光電変換装置に限定されることもなく、半導体光電変換層が2つ以上積層されたタンデム型の光電変換装置にも適用できる。
また、本発明はSi系光電変換層を有する光電変換装置に限定されるものではなく、p型半導体層と接する透光性導電膜として各種材料から成る光電変換層を有する光電変換装置に適用することができる。例えば、色素増感太陽電池や有機薄膜太陽電池といった有機系太陽電池のp型膜と接する透光性導電膜としても適用することができる。
加えて、基板を透光性基板で構成した光電変換装置に限定されるものではなく、金属基板などの遮光性基板を用い、基板と対向する面側を受光面とする光電変換装置においても適用可能である。この場合は、基板、半導体光電変換層、透光性膜、透光性導電膜、(パッシベーション膜)の順に配される。
以下、実施例について説明する。
実施例1
本発明の実施例1として、透光性電極をドーピング不純物を含むZMOからなる透光性膜と、ドーピング不純物を含むIn2O3からなる透光性導電膜との積層膜で構成した光電変換装置を作製した。この例では透光性膜は、成膜後、テクスチャエッチングにより凹凸形成がなされる。
本発明の実施例1として、透光性電極をドーピング不純物を含むZMOからなる透光性膜と、ドーピング不純物を含むIn2O3からなる透光性導電膜との積層膜で構成した光電変換装置を作製した。この例では透光性膜は、成膜後、テクスチャエッチングにより凹凸形成がなされる。
まず、図2-1に示すように、透光性基板1として、厚さ0.7mm、100mm×100mmのガラス基板を用意する。
そして、図2-2に示すように、この透光性基板1上に、透光性膜2として、AlをドープしたZnOとMgOとの同時スパッタリング法により膜厚1μmのZMO膜を成膜した(図3:ステップS1)。ZMOのキャリア濃度は1×1020cm-3、Znに対するMgの組成比は15at.%であった。このとき、透光性膜2は主として六方晶を構成している。
次に、図2-3に示すように、0.5%に希釈された塩酸を用いて、透光性膜2としてのZMOのエッチング処理を60秒間実施することにより、受光面と反対側の面に凹凸部Tを有するテクスチャー構造を有する透光性膜2を形成した(図3:ステップS2)。スパッタリング法によって形成され、エッチングによりテクスチャー形成のなされたこの透光性膜2のシート抵抗は50Ω/□、波長800nmにおけるヘイズ率は45%であった。
次に、図2−4に示すように、透光性膜2上に透光性導電膜3を積層した(図3:ステップS3)。透光性導電膜3として、成膜チャンバ内にArとO2とH2を導入し、In2O3ターゲットをスパッタリングすることにより、膜厚200nmのHドープIn2O3を堆積した。このIn2O3:Hは、スパッタリング成膜で作製したTCOの中で最も移動度が高く、透光性と導電性の両立が可能である。
次に、図2−5に示すように、半導体光電変換層4として、膜厚20nmのp型微結晶シリコン層4a、膜厚2μmのi型(真性の)微結晶シリコン層4b、膜厚30nmのn型微結晶シリコン層4cをプラズマCVD法により積層した(図3:ステップS4,5,6)。
次に、裏面電極層5として、不純物としてAl原子を2×1021cm−3程度ドープしたZnO膜をスパッタリング法により膜厚100nm成膜した後、膜厚500nmの銀をスパッタリング法で堆積し、裏面電極層5を形成した(図3:ステップS7)。このようにして、図1に示したような光電変換装置が形成される。
このように作製した光電変換セルのセル特性を評価した結果、変換効率(η)は8.6%、短絡電流密度(Jsc)は24.2mA/cm2、開放端電圧(Voc)は0.50V、フィルファクター(FF)は0.71であった。
実施例2
本発明の実施例2として、透光性電極を、ドーピング不純物を含むZMOからなる透光性膜と、ドーピング不純物を含むIn2O3からなる透光性導電膜との積層膜で構成した光電変換装置を作製した。実施例1では透光性膜2を、スパッタリング法により成膜して平滑な表面を持つようにし、エッチング処理により、凹凸形状を形成してテクスチャー構造を得た。これに対し本実施例では、図4に示すように、テクスチャー構造を有する透光性膜2SをCVD法により形成するものである。
本発明の実施例2として、透光性電極を、ドーピング不純物を含むZMOからなる透光性膜と、ドーピング不純物を含むIn2O3からなる透光性導電膜との積層膜で構成した光電変換装置を作製した。実施例1では透光性膜2を、スパッタリング法により成膜して平滑な表面を持つようにし、エッチング処理により、凹凸形状を形成してテクスチャー構造を得た。これに対し本実施例では、図4に示すように、テクスチャー構造を有する透光性膜2SをCVD法により形成するものである。
まず、図5−1に示すように、透光性基板1として、厚さ0.7mm、100mm×100mmのガラス基板を用意する。
そして、図5−2に示すように、この透光性基板1上に、透光性膜2SとしてCVD法により膜厚1μmのZMO膜を成膜した(図6:ステップS1S)。このとき、透光性膜2Sの表面には自己組織的に凹凸部Tが形成されている。
次に、この後の工程は実施例1と同様である。図5−3に示すように、透光性膜2S上に透光性導電膜3を積層した(図6:ステップS3)。透光性導電膜3として、成膜チャンバ内にArとO2とH2を導入し、In2O3ターゲットをスパッタリングすることにより、膜厚200nmのHドープIn2O3を堆積した。
次に、図5−4に示すように、半導体光電変換層4として、膜厚20nmのp型微結晶シリコン層4a、膜厚2μmのi型(真性の)微結晶シリコン層4b、膜厚30nmのn型微結晶シリコン層4cをプラズマCVD法により積層した(図6:ステップS4,5,6)。
次に、裏面電極層5として、不純物としてAl原子を2×1021cm−3程度ドープしたZnO膜をスパッタリング法により膜厚100nm成膜した後、膜厚500nmの銀をスパッタリング法で堆積し、裏面電極層5を形成した(図3:ステップS7)。このようにして、図4に示したような光電変換装置が形成される。
このように作製した光電変換セルのセル特性を評価した結果、変換効率(η)は8.9%、短絡電流密度(Jsc)は24.6mA/cm2、開放端電圧(Voc)は0.50V、フィルファクター(FF)は0.72であった。
実施例3
本発明の実施例3として、透光性電極を、ドーピング不純物を含むZMOからなる透光性膜2Tと、ドーピング不純物を含むIn2O3からなる透光性導電膜3との積層膜で構成した光電変換装置を作製した。実施例1、2では透光性基板1の表面は平滑な形状としたが、本実施例では、図7に示すように、透光性基板1表面に凹凸部GTを有するテクスチャー構造とした。透光性膜2TはCVD法によって成膜するが、下地の透光性基板1表面の凹凸部GTを反映するような成膜条件で成膜することで、表面に凹凸部Tを有するテクスチャー構造の透光性膜2Tを得るものである。
本発明の実施例3として、透光性電極を、ドーピング不純物を含むZMOからなる透光性膜2Tと、ドーピング不純物を含むIn2O3からなる透光性導電膜3との積層膜で構成した光電変換装置を作製した。実施例1、2では透光性基板1の表面は平滑な形状としたが、本実施例では、図7に示すように、透光性基板1表面に凹凸部GTを有するテクスチャー構造とした。透光性膜2TはCVD法によって成膜するが、下地の透光性基板1表面の凹凸部GTを反映するような成膜条件で成膜することで、表面に凹凸部Tを有するテクスチャー構造の透光性膜2Tを得るものである。
まず、図8−1に示すように、透光性基板1として、厚さ1.1mm、100mm×100mmのコーニング♯7959からなるガラス基板を用意する。
そして、このガラス基板に研磨剤としてアルミナ粉末を混合した水を吹き付けるウオータブラスト法により粗面化し、さらにフッ酸水溶液を用いたエッチング処理により凹凸部GTを有する透光性基板1を得る(図8−2、図9:ステップS0)。ガラス基板を用意する。
そして、図8−3に示すように、この透光性基板1上に、透光性膜2TとしてCVD法により膜厚1μmのZMO膜を成膜した(図9:ステップS1)。このとき、透光性膜2Tの表面には凹凸部Tが形成されている。
次に、この後の工程は実施例1、2と同様である。図8−4に示すように、透光性膜2T上に透光性導電膜3を積層した(図9:ステップS3)。透光性導電膜3として、成膜チャンバ内にArとO2とH2を導入し、In2O3ターゲットをスパッタリングすることにより、膜厚200nmのHドープIn2O3を堆積した。
次に、図8−5に示すように、半導体光電変換層4として、膜厚20nmのp型微結晶シリコン層4a、膜厚2μmのi型(真性の)微結晶シリコン層4b、膜厚30nmのn型微結晶シリコン層4cをプラズマCVD法により積層した(図9:ステップS4,5,6)。
次に、裏面電極層5として、不純物としてAl原子を2×1021cm−3程度ドープしたZnO膜をスパッタリング法により膜厚100nm成膜した後、膜厚500nmの銀をスパッタリング法で堆積し、裏面電極層5を形成した(図9:ステップS7)。このようにして、図7に示したような光電変換装置が形成される。
このように作製した光電変換セルのセル特性を評価した結果、変換効率(η)は8.5%、短絡電流密度(Jsc)は23.8mA/cm2、開放端電圧(Voc)は0.51V、フィルファクター(FF)は0.70であった。
比較例1
比較例1の光電変換装置は、実施例1の光電変換装置と比較して、透光性導電膜3が存在しないという点のみが異なる。つまり、比較例1の光電変換装置は、透光性膜2である表面に凹凸構造を有するZMO上に半導体光電変換層4を形成した。
比較例1の光電変換装置は、実施例1の光電変換装置と比較して、透光性導電膜3が存在しないという点のみが異なる。つまり、比較例1の光電変換装置は、透光性膜2である表面に凹凸構造を有するZMO上に半導体光電変換層4を形成した。
作製した光電変換セルのセル特性を評価した結果、変換効率(η)は5.1%、短絡電流密度(Jsc)は21.4mA/cm2、開放端電圧(Voc)は0.45V、フィルファクター(FF)は0.53であった。実施例1の透光性導電膜3が存在する場合と比較して、特にFFの低下が顕著であった。FFの低下は、Rsの増大に起因するものであった。
比較例2
比較例2として、AlドープZnOにより透光性膜2を作製した光電変換装置について述べる。比較例2の光電変換装置は、実施例1の光電変換装置と比較して、透光性膜2がMgを含まないAlドープZnOであるという点のみが異なる。
比較例2として、AlドープZnOにより透光性膜2を作製した光電変換装置について述べる。比較例2の光電変換装置は、実施例1の光電変換装置と比較して、透光性膜2がMgを含まないAlドープZnOであるという点のみが異なる。
AlドープZnOの透光性膜2は、Arを導入した成膜チャンバ内でAl2O3を含有するZnOターゲットをスパッタリングすることにより膜厚1μmのAlドープZnOを形成した後、0.5%に希釈された塩酸を用いて60秒間エッチング処理をおこなうことにより、受光面と反対側の面に凹凸構造を形成した。作製したAlドープZnOのキャリア濃度は5×1020cm-3、シート抵抗は8Ω/□、波長800nmにおけるヘイズ率は43%であった。
作製した光電変換セルのセル特性を評価した結果、ηは7.6%、Jscは23.4mA/cm2、Vocは0.48V、FFは0.69であった。実施例1の透光性膜2としてZMOを用いた場合と比較して、特にJscは0.8mA/cm2低かった。実施例1の光電変換セルの方が、比較例2の光電変換セルと比較して、300nm〜400nmの短波長光と、700nm〜1100nmの長波長光の分光感度が高いことがわかった。
以上のように、本発明にかかる光電変換装置及びその製造方法は、特に、薄膜太陽電池に適している。
1 透光性基板、T,GT 凹凸部、2,2S,2T 透光性膜(ZMO層)、3 透光性導電膜、4 半導体光電変換層、4a p型微結晶シリコン層、4b i型微結晶シリコン層、4c n型微結晶シリコン層、5 裏面電極層。
Claims (11)
- 基板上に、第1の電極、1組以上のpin構造を有する半導体光電変換層、第2の電極を順次積層して形成され、
前記第1及び第2の電極のうち、受光面側に位置する電極が、少なくともZn1-xMgxOを主成分とする透光性膜と透光性導電膜との積層体で構成され、
前記Zn1-xMgxOのxは、下式(1)を満たすことを特徴とする光電変換装置。
(式1) 0.03≦x<1 - 前記Zn1-xMgxOのxは、下式(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
(式2) x≦0.60 - 前記Zn1-xMgxOのxは、下式(3)を満たすことを特徴とする請求項2に記載の光電変換装置。
(式3) 0.05≦x≦0.30 - 前記透光性導電膜は、光学的バンドギャップが前記Zn1-xMgxOよりも広いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換装置。
- 前記透光性導電膜は、仕事関数が前記Zn1-xMgxOよりも高いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
- 前記透光性導電膜は、酸化インジウムまたは酸化錫のいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換装置。
- 前記透光性導電膜は、ドーピング不純物として水素を含む酸化インジウム(In2O3:H)であることを特徴とする請求項6に記載の光電変換装置。
- 前記透光性導電膜は2種以上のTCOの積層構造を有し、半導体光電変換層のp型半導体層と接するTCOは、酸化チタン、酸化ニッケル、または酸化モリブデンのいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換装置。
- 基板上に、第1の電極を形成する工程と、
少なくとも1組のpin構造を有する半導体光電変換層を形成する工程と、
第2の電極を順に積層する工程とを含み、
前記第1及び第2の電極のうち、受光面側に位置する電極を形成する工程が、
Zn1-xMgxO(0.3≦x<1)を主成分とする透光性膜を形成する工程と、
透光性導電膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする、
光電変換装置の製造方法。 - 前記透光性膜を形成する工程は、
前記Zn1-xMgxO(0.3≦x<0.6)を主成分とする透光性膜を形成する工程と、
前記透光性膜をエッチングによりテクスチャー加工する工程とを含むことを特徴とする請求項9に記載の光電変換装置の製造方法。 - 前記透光性膜を形成する工程は、材料の異なる2つ以上のターゲットを用いた同時スパッタリング工程を含むことを特徴とする請求項9または10に記載の光電変換装置の製造方法。
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