JP5595318B2 - 単結晶引上装置及び単結晶引き上げ方法 - Google Patents
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具体的には、炉内圧力を単結晶の成長(引上経過時間)に合わせて予め設定された圧力値に変化させ、結晶中のドーパント不純物が高濃度とならないようにし、結晶の乱れを抑制することにより結晶の収率を向上させている。
即ち、結晶の引上速度を同一設定としても、その育成速度がそれぞれ異なる場合があり、結果的に単位時間あたりの蒸発量が変化し、炉内圧力のシーケンシャル制御を行っても、結晶長さ方向の抵抗率分布が大きくばらつくという課題があった。
この単結晶引上装置1は、円筒形状のメインチャンバ2aの上にプルチャンバ2bを重ねて形成された炉体2と、炉体2内に設けられたルツボ3と、ルツボ3に装填された半導体原料(原料ポリシリコン)Mを溶融するヒータ4と、育成される単結晶Cを引上げる引上げ機構5とを有している。尚、ルツボ3は、二重構造であり、内側が石英ガラスルツボ、外側が黒鉛ルツボで構成されている。
また、引上げ機構5は、モータ駆動される巻取り機構5aと、この巻取り機構5aに巻き上げられる引上げワイヤ5bを有し、このワイヤ5bの先端に種結晶Pが取り付けられている。
前記ガス導入口18には、バルブ25を介してArガス供給源26が接続されている。
一方、前記ガス排出口19は、ガス流量を調整するためのバルブ20を介して真空ポンプ21(排気手段)に繋がれている。前記真空ポンプ21はインバータ回路を有し、ポンプを駆動するモータの回転数がコンピュータ8の演算制御装置8b(制御手段)によって制御される構成となっている。
したがって、バルブ20が開かれた状態で真空ポンプ21が駆動されることによって、ガス導入口18からガス排出口19に向かうArガスGの流れ(即ち、炉体2内を上方から下方に向かう所定流量のガス流)が形成される。
更に炉体2の外側には、育成される単結晶Cに向けてCCDカメラ等からなる撮像装置23が設置され、演算制御装置8bは、この撮像装置23により撮像された画像に基づき、単結晶Cの直径を測定するようになされている。
また、ルツボ3の高さを制御する昇降装置11と、昇降装置11を制御する昇降装置制御部11aと、成長結晶の引上げ速度と回転数を制御するワイヤリール回転装置制御部12とを備えている。これら各制御部9、10a、11a、12はコンピュータ8の演算制御装置8bに接続されている。
この単結晶育成プログラムPは、単結晶育成の各工程を予め設定された操業条件で単に引き上げるのではなく、実際の育成速度に応じて炉内雰囲気の排気速度(圧力)を調整し、シリコン溶融液Mからのドーパント蒸発速度を制御するためのプログラム構成となされている。
また、式(1)において、mは抵抗率傾きであり、Keff−1<m<0の範囲で予め設定された設計値である。Keffは実効偏析係数である。
式(5)は、結晶中のドーパント濃度CS(atoms/cm3)を求める式であって、CL0(atoms/cm3)はシリコン溶融液中の初期ドーパント濃度、Keffは実効偏析係数、E(cm/sec)はドーパント不純物の蒸発速度、Aは自由表面積(cm2)、R(sec/cm 3 )は結晶単位体積が固化する時間、gは固化率である。
即ち、ドーパント不純物の蒸発速度Eが、式(1)を満足することにより、抵抗率のばらつきを抑制することができる。
この式(2)は、予備の引上試験、或いは実操業における測定データから求められる。
尚、炉内の排気速度は、真空ポンプ21のインバータ回路による供給電力の周波数F(Hz)により制御されるため、式(3)は前記周波数Fと炉内圧力PRとの相関式となる。
この式(3)は、予め操業条件に従い炉体2内にArガスGを流し、炉内圧を圧力センサ14が検出することによって求められる。
先ず、バルブ20、25が開かれ、演算制御装置8bの指令により真空ポンプ21が駆動される。これにより、炉体2内には、ガス導入口18からガス排出口19に向けて(即ち上方から下方に向けて)、ArガスGのガス流が形成され、所定の雰囲気が形成される(図2のステップS1)。
さらに、演算制御装置8bの指令によりモータ制御部10aと昇降装置制御部11aとが作動し、ルツボ3が所定の高さ位置において所定の回転数で回転動作される(図2のステップS3)。
即ち、クラウン部が形成され(図2のステップS5)、続けて直胴部の形成工程に移行する(図2のステップS6)。
また、演算制御装置8bは、結晶径算出手段として機能し、撮像装置23が撮像した画像から単結晶Cの直径を測定すると共に、前記計測時間における結晶径平均値を算出する(図2のステップS9)。
そして、演算制御装置8bは、蒸発速度算出手段として機能し、前記式(1)に、前記算出された、結晶単位体積が固化する時間R、結晶の自由表面積A、実効偏析係数Keffを代入することによって、ドーパント不純物の必要蒸発速度Eを算出する(図2のステップS10)。
更に、演算制御装置8bは、排気速度算出手段として機能し、前記式(3)に前記算出された必要な圧力値を代入し、必要な排気速度を算出する(図2のステップS12)。
必要な排気速度が得られると、演算制御装置8bは、その排気速度で炉体2内の排気を行うよう真空ポンプ21を制御する(図2のステップS13)。
直胴部の育成が完了すると、単結晶育成プログラムPに従い、テール工程(図2のステップS15)が行われ、育成された単結晶Cは最後に炉体2内の上部まで引上げられる。
このとき制御されるドーパント不純物の蒸発速度は、ドーパント濃度CSと固化率gとの関係(抵抗率傾き)を一定に保持するために必要な値であるため、結晶長さ方向のドーパント濃度、即ち抵抗率分布を均一にすることができる。
また、その場合、前記開効率をX(%)としたとき、前記開効率は、下記式(4)により算出すればよい。
実施例1として、直径22インチの石英ルツボに140gのSi原料を溶融し、700gの赤燐をドーピングし、本発明の実施形態に沿って初期抵抗率1.2(mΩcm)、直胴部径200mmの単結晶育成を行った。
より具体的な実験条件として、炉内圧力を300(Torr)〜500(Torr)の範囲、引上速度を0.8(mm/min)〜0.3(mm/min)の範囲、不活性ガス(Ar)のガス流量を150(l/min)〜50(l/min)の範囲で制御した。
そして、引き上げられた複数の単結晶のうち、3本の単結晶について、その成長軸方向の抵抗率分布を測定し、12本の単結晶を標本として選び、無転位化率を測定した。
尚、抵抗率の目標値を1.2(mΩcm)とし、抵抗率許容範囲を1.2±0.1(mΩcm)とした。
〔比較例1〕
比較例1として、従来のシーケンシャル制御による単結晶育成を行った。その他の諸条件は実施例1と同一とした。
実施例1では、図3に示すように、いずれの単結晶も成長軸方向に沿った抵抗率は、設計値からのばらつきが小さく、狙い値である1.2±0.1(mΩcm)の範囲内に収まった。
一方、比較例1では、図4に示すように、3本中2本の単結晶について、その抵抗値は、設計値からのばらつきが大きく生じた。
実施例1では、図5に示すように、平均固化率(無転位化率)は、0.843となった。一方、比較例1では、図6に示すように、平均固化率(無転位化率)は、0.7929となり、実施例1によれば無転位化率が向上することを確認した。
2 炉体
3 ルツボ
8b 演算制御装置(制御手段)
14 圧力センサ
21 真空ポンプ(排気手段)
C 単結晶
M シリコン溶融液
Claims (8)
- ルツボ内のシリコン溶融液にドーパント不純物を添加し、前記ルツボからチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上装置であって、
前記ルツボを収容する炉体内に導入された不活性ガスを所定の排気速度で排気する排気手段と、前記排気手段の排気速度を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、
単結晶の直胴部の育成工程において、所定の計測期間に育成された直胴部の結晶径平均値を算出する結晶径算出手段と、
前記所定の計測期間における引上速度平均値を算出する引上速度算出手段と、
前記結晶径算出手段が算出した結晶径平均値と、前記引上速度算出手段が算出した引上速度平均値とから、前記シリコン溶融液中のドーパント不純物の必要蒸発速度を算出する蒸発速度算出手段と、
前記蒸発速度算出手段が算出したドーパント不純物の必要蒸発速度から、炉体内の必要な圧力を算出する炉内圧力算出手段と、
前記炉内圧力算出手段が算出した炉体内の必要な圧力から、炉体内から排気する不活性ガスの排気速度を算出する排気速度算出手段と、を有し、
前記排気手段に、前記排気速度算出手段が算出した排気速度に従って排気させる単結晶引上装置であって、
前記シリコン溶融液中のドーパント不純物の蒸発速度をE(cm/sec)、抵抗率傾きをm、実効偏析係数をK eff 、結晶の自由表面積をA(cm 2 )、結晶単位体積が固化する時間をR(sec/cm 3 )、炉内圧力をPR(Torr)としたとき、
前記蒸発速度算出手段により、前記ドーパント不純物の必要蒸発速度は、下記式(1)によって算出され、前記炉内圧力算出手段により、前記炉体内の必要な圧力は、下記式(2)により算出されることを特徴とする単結晶引上装置。
- 前記制御手段は、
単結晶の直胴部の育成工程において、前記計測期間を複数回設定すると共に、各計測期間において排気速度が算出される度に、その排気速度に従って、前記排気手段により排気させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された単結晶引上装置。 - ルツボを収容する炉体内に導入された不活性ガスを、所定の排気速度で排気すると共に、ルツボ内のシリコン溶融液にドーパント不純物を添加し、前記ルツボからチョクラルスキー法によりシリコン単結晶を引き上げる単結晶引上方法であって、
単結晶の直胴部の育成工程において、所定の計測期間に育成された直胴部の結晶径平均値を算出するステップと、
前記所定の計測期間における引上速度平均値を算出するステップと、
前記結晶径算出手段が算出した結晶径平均値と、前記引上速度算出手段が算出した引上速度平均値とから、前記シリコン溶融液中のドーパント不純物の必要蒸発速度を算出するステップと、
前記蒸発速度算出手段が算出したドーパント不純物の必要蒸発速度から、炉体内の必要な圧力を算出するステップと、
前記炉内圧力算出手段が算出した炉体内の必要な圧力から、炉体内から排気する不活性ガスの排気速度を算出するステップと、
前記算出された排気速度に従って炉体内の排気を行うステップと、を含む単結晶引上方法であって、
前記シリコン溶融液中のドーパント不純物の蒸発速度をE(cm/sec)、抵抗率傾きをm、実効偏析係数をK eff 、結晶の自由表面積をA(cm 2 )、結晶単位体積が固化する時間をR(sec/cm 3 )、炉内圧力をPR(Torr)としたとき、
前記ドーパント不純物の必要蒸発速度は、下記式(1)によって算出され、前記炉体内の必要な圧力は、下記式(2)により算出されることを特徴とする単結晶引上方法。
- 単結晶の直胴部の育成工程において、前記計測期間を複数回設定すると共に、各計測期間において排気速度が算出される度に、その排気速度に従って炉体内の排気を行うことを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載された単結晶引上方法。
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