JP7238709B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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本発明は、シリコン単結晶の製造方法に関し、特に、チョクラルスキー法(CZ法)により育成されるシリコン単結晶中の酸素濃度の制御方法に関する。
半導体デバイスの基板材料となるシリコン単結晶の多くはCZ法により製造されている。CZ法では、石英ルツボ内に多結晶シリコン原料を充填し、チャンバー内で原料を加熱してシリコン融液を生成する。次いで、石英ルツボの上方から種結晶を降下させてシリコン融液に浸漬し、種結晶及び石英ルツボを回転させながら種結晶を徐々に上昇させることにより、種結晶の下方に大きな単結晶を成長させる。
CZ法によるシリコン単結晶の製造方法としてマルチ引き上げ法が知られている。マルチ引き上げ法では、シリコン単結晶を引き上げた後、同一の石英ルツボ内にシリコン原料をリチャージして融解し、得られたシリコン融液からシリコン単結晶の引き上げを行い、このような原料追加工程と結晶引き上げ工程を繰り返すことにより、一つの石英ルツボから複数本のシリコン単結晶を製造する。マルチ引き上げ法によれば、シリコン単結晶一本当たりの石英ルツボの原価コストを低減することが可能である。またチャンバーを解体して石英ルツボを交換する頻度を低減できるため、操業効率を向上させることが可能である。
CZ法では石英ルツボが酸素の供給源となるため、シリコン単結晶中には製造工程由来の酸素が不純物として含まれている。シリコン単結晶中の過剰な酸素は転位や酸素誘起欠陥の原因となり、またデバイス特性を劣化させる原因にもなる。一方、シリコン単結晶中の酸素は、重金属不純物を捕獲するゲッタリングサイトとして有効に作用し、ウェーハの反りを抑制する効果もあることから、製品用途に応じてシリコン単結晶中の酸素濃度を適切に制御する必要がある。
シリコン単結晶中の酸素濃度を制御する方法に関し、例えば特許文献1には、同一装置・同一操作条件下で引き上げを行った場合の操業時間と、シリコン単結晶の同一成長位置の酸素濃度との関係を、ルツボの回転数ごとにあらかじめ求めておき、シリコン単結晶の同一成長装置の所望の酸素濃度範囲と操業時間との関係からルツボの回転数を設定するとともに、当該回転数以外の条件は前記関係を求めたときと同一装置・同一操作条件下で引き上げを行う酸素制御方法が記載されている。
特許文献2には、マルチ引き上げ法において、1本目の単結晶の酸素濃度と、単結晶の酸素濃度と石英ルツボを収納する支持ルツボの合計使用時間との関係を表す濃度推定用情報と、支持ルツボの合計使用時間とに基づいて、2本目以降の単結晶の同じ成長位置における酸素濃度を推定する方法が記載されている。
特許文献3には、無欠陥結晶を育成するための引き上げ速度の調整方法であって、シリコン単結晶の直胴部の引き上げ条件にヒータ電力をフィードバックして結晶欠陥分布を制御するため、単結晶の絞り部でのヒータの消費電力と過去の消費電力の平均値との差から、単結晶の直胴部成長速度の補正量ΔVを算出し、直胴部成長速度Vに補正量ΔVを加える方法が記載されている。
特開平9-110578号公報 特開2017-088462号公報 特開2003-327494号公報
特許文献1に記載の酸素濃度の制御方法は、操業時間の経過に伴ってシリコン単結晶中の酸素濃度が低下することを前提とするため、操業時間の経過に伴ってシリコン単結晶中の酸素濃度が上昇する場合には酸素濃度を制御できないという問題がある。
特許文献2に記載の方法は、支持ルツボの劣化を考慮しながらルツボの回転数を制御するので、シリコン単結晶中の酸素濃度を適切に制御することが可能である。しかしながら、過去に実績がない結晶引き上げ条件下では、酸素濃度の変化を推定することが難しいという問題がある。
特許文献3には、結晶欠陥分布を制御して全面がニュートラル(N)領域のシリコン単結晶を製造する方法が開示されているが、単結晶中の酸素濃度を制御する方法は開示されていない。
したがって、本発明の目的は、操業時間の経過に伴うシリコン単結晶中の酸素濃度の変化に合わせて、酸素濃度制御パラメータを適切に制御することが可能なシリコン単結晶の製造方法を提供することにある。
本願発明者らは、シリコン単結晶中の酸素濃度のばらつきを小さくする方法について鋭意研究を重ねた結果、シリコン単結晶中の酸素濃度と当該シリコン単結晶の育成中にヒータが消費する電力との間には一定の相関があり、ヒータ電力に基づいてルツボ回転数等の酸素濃度制御パラメータを調整することで複数本のシリコン単結晶間の酸素濃度のばらつきを低減できることを見出した。
本発明はこのような技術的知見に基づくものであり、本発明によるシリコン単結晶の製造方法は、第1シリコン単結晶の引き上げ工程中にシリコン融液を加熱するヒータが消費した電力と前記シリコン融液から引き上げられた前記第1シリコン単結晶中の酸素濃度との関係から酸素濃度推定用情報を取得し、前記第1シリコン単結晶と同じ結晶引き上げ条件下で第2シリコン単結晶の引き上げを開始し、前記第2シリコン単結晶の引き上げ工程の特定期間中に取得したヒータ電力の実測値Pと、前記第1シリコン単結晶の引き上げ工程の前記特定期間と同一期間中に取得したヒータ電力の参照値Pとの電力差ΔP=P-Pを算出し、前記電力差ΔP及び前記酸素濃度推定用情報から前記第2シリコン単結晶の直胴部の酸素濃度を推定し、前記第2シリコン単結晶の直胴部の酸素濃度が前記第1シリコン単結晶の直胴部の酸素濃度に近づくように酸素濃度制御パラメータを制御しながら前記第2シリコン単結晶の直胴部を引き上げることを特徴とする。
本発明によれば、単結晶引き上げ装置の固体差や炉内部品の劣化等によって生じる時系列変動因子にも対応でき、酸素濃度が均一化された複数本のシリコン単結晶をより高精度且つ安定的に製造することができる。
本発明によるシリコン単結晶の製造方法は、前記第1シリコン単結晶を引き上げた際に前記ヒータ電力と前記第1シリコン単結晶中の酸素濃度との関係から求めた前記酸素濃度推定用情報に含まれる係数α及び定数βと前記電力差ΔPから、前記第2シリコン単結晶の酸素濃度の補正量ΔX=α・ΔP+βを算出し、前記酸素濃度の補正量ΔXに対応する酸素濃度制御パラメータの補正量ΔYを算出し、前記第1シリコン単結晶を引き上げた際の酸素濃度制御パラメータの第1の目標値Yに前記酸素濃度制御パラメータの補正量ΔYを加えて酸素濃度制御パラメータの第2の目標値Y=Y+ΔYを算出し、前記酸素濃度制御パラメータの第2の目標値Yを用いて前記第2シリコン単結晶の直胴部の引き上げを制御することが好ましい。これにより、複数本のシリコン単結晶間の酸素濃度のばらつきを低減することができる。
本発明において、前記酸素濃度制御パラメータは、前記シリコン融液を支持する石英ルツボの回転数、前記シリコン単結晶が引き上げられる引き上げ炉内に導入されるArガスの流量、及び前記引き上げ炉の炉内圧の少なくとも一つであることが好ましい。これらの酸素濃度制御パラメータのいずれかを補正することにより、シリコン単結晶中の酸素濃度を制御することができる。
本発明によるシリコン単結晶の製造方法は、前記酸素濃度の補正量ΔXが閾値ΔXTH以上である場合に前記酸素濃度制御パラメータとして前記石英ルツボの回転数を選択し、前記酸素濃度の補正量ΔXが前記閾値ΔXTHよりも小さい場合に前記酸素濃度制御パラメータとして前記Arガスの流量及び前記引き上げ炉の炉内圧の少なくとも一方を選択することが好ましい。このように、酸素濃度の補正量に応じて適切な酸素濃度制御パラメータを選択することにより、酸素濃度を精密に制御することができる。
本発明によるシリコン単結晶の製造方法は、前記シリコン融液に種結晶を着液させる着液工程と、前記種結晶の下端部に成長する前記シリコン単結晶の直径を細く絞るネッキング工程と、前記シリコン単結晶の直径を徐々に大きくしながら成長させるショルダー部育成工程と、前記シリコン単結晶の直径を一定に維持しながら成長させる直胴部育成工程と、前記シリコン単結晶の直径を徐々に小さくしながら成長させるテイル部育成工程とを有し、前記特定期間は、前記着液工程、前記ネッキング工程及び前記直胴部育成工程における前記直胴部の上端から下方に100mm以上200mm以下の部位の育成工程の少なくとも一つであることが好ましい。ヒータ電力が安定している期間中にヒータ電力を取得することにより、酸素濃度の推定精度を高めることができる。
本発明によるシリコン単結晶の製造方法は、同一の石英ルツボから複数本のシリコン単結晶を引き上げるマルチ引き上げ法により前記第1及び第2シリコン単結晶を引き上げることが好ましい。本発明によれば、マルチ引き上げ法で引き上げられる複数本のシリコン単結晶中の酸素濃度のばらつきを低減することができる。特に、先行のシリコン単結晶よりも後続のシリコン単結晶の酸素濃度が増加するような場合でも、酸素濃度を制御してそのばらつきを低減することができる。
本発明によれば、操業時間の経過に伴うシリコン単結晶中の酸素濃度の変化に合わせて、酸素濃度制御パラメータを適切に制御することが可能なシリコン単結晶の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態による単結晶引き上げ装置の構成を示す略断面図である。 図2は、マルチ引き上げ法によるシリコン単結晶の製造方法を示すフローチャートである。 図3は、個々のシリコン単結晶の引き上げ工程を示すフローチャートである。 図4は、シリコン単結晶インゴットの形状を示す略側面図である。 図5は、シリコン単結晶中の酸素濃度の制御方法を示す制御ブロック図である。 図6は、シリコン単結晶中の酸素濃度の制御方法を示すフローチャートである。 図7(a)及び(b)は、シリコン単結晶インゴットのサンプルNo.1,No.2の結晶引き上げ中におけるヒータ電力比率を示す棒グラフであって、(a)は着液時におけるヒータ電力比率、(b)は直胴部の上端よりも下方に200mmの位置におけるヒータ電力比率をそれぞれ示している。 図8は、シリコン単結晶インゴットのサンプルNo.1,No.2の直胴部の結晶長さ方向の酸素濃度分布を示すグラフである。 図9(a)及び(b)は、シリコン単結晶インゴットのサンプルNo.3,No.4の結晶引き上げ中におけるヒータ電力比率を示す棒グラフであって、(a)は着液時におけるヒータ電力比率、(b)は直胴部の上端よりも下方に200mmの位置におけるヒータ電力比率をそれぞれ示している。 図10は、シリコン単結晶インゴットのサンプルNo3,No.4の結晶引き上げ中のルツボ回転数(相対値)を示すグラフである。 図11は、シリコン単結晶インゴットのサンプルNo3,No.4の直胴部の結晶長さ方向の酸素濃度分布を示すグラフである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態による単結晶引き上げ装置の構成を示す略断面図である。
図1に示すように、単結晶引き上げ装置10は、引き上げ炉11と、引き上げ炉11内においてシリコン融液2を支持する石英ルツボ12と、石英ルツボ12を支持する黒鉛ルツボ13と、黒鉛ルツボ13を支持する回転シャフト14と、黒鉛ルツボ13の周囲に配置されたヒータ15と、石英ルツボ12の上方に配置された熱遮蔽体16と、石英ルツボ12の上方であって回転シャフト14と同軸上に配置された単結晶引き上げワイヤー17と、引き上げ炉11の上方に配置されたとワイヤー巻き取り機構18とを備えている。
引き上げ炉11は、メインチャンバー11aと、メインチャンバー11aの上部開口に連結された細長い円筒状のプルチャンバー11bとで構成されており、石英ルツボ12、黒鉛ルツボ13、ヒータ15及び熱遮蔽体16は、メインチャンバー11a内に設けられている。プルチャンバー11bにはArガス(パージガス)を導入するためのガス導入口11cが設けられており、メインチャンバー11aの底部にはArガスを排気するためのガス排気口11dが設けられており、メインチャンバー11a内には上方から下方に向かってArガスの流れが発生している。メインチャンバー11aの上部には観察窓11eが設けられており、シリコン単結晶1の育成状況を観察窓11eから観察可能である。
石英ルツボ12は、円筒状の側壁部と湾曲した底部とを有するシリカガラス製の容器である。黒鉛ルツボ13は、加熱によって軟化した石英ルツボ12の形状を維持するため、石英ルツボ12の外表面に密着して石英ルツボ12を包むように保持する。石英ルツボ12及び黒鉛ルツボ13はメインチャンバー11a内においてシリコン融液2を支持する二重構造のルツボを構成している。
黒鉛ルツボ13は鉛直方向に伸びる回転シャフト14の上端部に固定されており、回転シャフト14の下端部はメインチャンバー11aの底部中央を貫通してメインチャンバー11aの外側に設けられたシャフト駆動機構19に接続されている。黒鉛ルツボ13、回転シャフト14及びシャフト駆動機構19は、石英ルツボ12の回転機構及び昇降機構を構成している。
ヒータ15は、石英ルツボ12内に充填された多結晶シリコン原料を融解してシリコン融液2を生成すると共に、シリコン融液2の溶融状態を維持するために用いられる。ヒータ15はカーボン製の抵抗加熱ヒータであり、黒鉛ルツボ13の外側に同心円状に配置されている。ヒータ15の外側には断熱材11fがヒータ15を取り囲むように設けられており、これによりメインチャンバー11a内の保温性が高められている。
熱遮蔽体16は、シリコン融液2の温度変動を抑制して結晶成長界面近傍に適切なホットゾーンを形成すると共に、ヒータ15及び石英ルツボ12からの輻射熱によるシリコン単結晶1の高温化を防止するために設けられている。熱遮蔽体16は黒鉛製の略円筒状の部材であり、シリコン単結晶1の引き上げ経路を除いたシリコン融液2の上方の領域を覆うように設けられている。
熱遮蔽体16の下端の開口16aの直径はシリコン単結晶1の直径よりも大きく、これによりシリコン単結晶1の引き上げ経路が確保されている。また熱遮蔽体16の下端部の外径は石英ルツボ12の口径よりも小さく、熱遮蔽体16の下端部は石英ルツボ12の内側に位置するので、石英ルツボ12のリム上端を熱遮蔽体16の下端よりも上方まで上昇させても熱遮蔽体16が石英ルツボ12と干渉することはない。
石英ルツボ12の上方には、シリコン単結晶1の引き上げ軸である引き上げワイヤー17と、引き上げワイヤー17を巻き取るワイヤー巻き取り機構18が設けられている。ワイヤー巻き取り機構18は、プルチャンバー11bの上方に配置されており、引き上げワイヤー17はワイヤー巻き取り機構18からプルチャンバー11b内を通って下方に延びており、引き上げワイヤー17の先端部はメインチャンバー11aの内部空間まで達している。図1には育成途中のシリコン単結晶1が引き上げワイヤー17に吊設された状態が示されている。
シリコン単結晶1の引き上げ時には引き上げワイヤー17の先端に取り付けた種結晶をシリコン融液2に浸漬し、石英ルツボ12と種結晶をそれぞれ回転させながら引き上げワイヤー17を徐々に引き上げることにより、種結晶の下端に大きな単結晶を成長させる。単結晶が成長すると融液量が減少し、石英ルツボ内のシリコン融液2の液面レベルは低下するため、石英ルツボ12を上昇させて熱遮蔽体16の下端から融液面までの距離を一定に維持する制御が行われる。
メインチャンバー11aの内部を観察するための観察窓11eの外側にはカメラ20が設けられている。単結晶引き上げ工程中、カメラ20は観察窓11eから熱遮蔽体16の開口16aを通して見えるシリコン単結晶1とシリコン融液2との境界部の画像を撮影する。カメラ20が撮影した画像は画像処理部21に送られる。制御部22は、画像処理部21による画像解析結果に基づいて結晶引き上げ速度、ヒータ電力、ルツボ回転数等の結晶引き上げ条件を制御する。
マルチ引き上げ法は、一本目のシリコン単結晶の引き上げに使用した石英ルツボ12内にシリコン原料をリチャージして融解し、得られたシリコン融液2から二本目のシリコン単結晶の引き上げを行い、このような原料リチャージ工程と結晶引き上げ工程とを交互に繰り返すことにより、一つの石英ルツボ12から複数本のシリコン単結晶を製造する方法である。
図2は、マルチ引き上げ法によるシリコン単結晶の製造方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、マルチ引き上げ法は、石英ルツボ12内にシリコン原料を初期チャージした後(S11)、一本目のシリコン単結晶インゴットの引き上げ工程を実施する(S12)。その後、マルチ引き上げを終了する既定の引き上げ本数に到達するまでシリコン原料のリチャージ工程とシリコン単結晶インゴットの引き上げ工程とを交互に繰り返す(S13N、S14、S12)。そしてマルチ引き上げを終了する既定本数の結晶引き上げ工程が終了したときにマルチ引き上げ工程を終了する(S13Y)。
図3は、個々のシリコン単結晶の引き上げ工程を示すフローチャートである。また、図4は、シリコン単結晶インゴットの形状を示す略側面図である。
図3に示すように、シリコン単結晶の引き上げ工程(S12)は、石英ルツボ12内にチャージされたシリコン原料を融解してシリコン融液2を生成する原料融解工程S21と、シリコン融液2に種結晶を着液させた後、その状態を一定時間維持して種結晶をシリコン融液2に馴染ませる着液工程S22と、熱衝撃等によって種結晶中に発生した転位を排除するため結晶直径を細く絞るネッキング工程S23と、既定の結晶直径(例えば約300mm)の単結晶を得るために結晶直径を徐々に広げるショルダー部育成工程S24と、既定の結晶直径を維持する直胴部育成工程S25と、引き上げ終了のために結晶直径を細く絞り、単結晶を融液面から切り離すテイル部育成工程S26を有している。
以上により、結晶直径が細く絞られたネック部1aと、結晶直径が徐々に広げられたショルダー部1bと、結晶直径が一定に維持された直胴部1cと、結晶直径が徐々に絞られたテイル部1dとを有するシリコン単結晶インゴット1Iが完成する。
マルチ引き上げ法では、次の結晶引き上げ工程のために石英ルツボ内にシリコン融液2を少し多く残して結晶引き上げを終了させるため、1本目から(n-1)本目までのシリコン単結晶インゴット1Iは短く引き上げられることが多い。逆に、n本目(最後)のシリコン単結晶インゴット1Iの引き上げでは石英ルツボ12内にシリコン融液2をできるだけ残さないようにするので、長尺なシリコン単結晶インゴット1Iが引き上げられる。
通常、マルチ引き上げ法によって製造されるシリコン単結晶中の酸素濃度は、引き上げ本数が増加するほど低下する傾向がある。従来のシリコン単結晶の製造方法は、このようなマルチ引き上げ本数の増加に伴う酸素濃度の低下傾向に合わせて石英ルツボ12の回転数を増加させることにより、複数本のシリコン単結晶間の酸素濃度の均一化を図っていた。しかし、実際には、マルチ引き上げ本数が増加してもシリコン単結晶中の酸素濃度が低下せず、マルチ引き上げの2本目のシリコン単結晶中の酸素濃度が1本目よりも高くなる場合などもあり、従来の制御方法ではそのような場合に対応することができなかった。
そこで、本実施形態によるシリコン単結晶の製造方法は、シリコン単結晶中の酸素濃度と当該シリコン単結晶を引き上げた時のヒータの消費電力との関係に着目し、結晶引き上げ工程中のヒータ電力の変化に応じて石英ルツボ12の回転数等の酸素濃度パラメータを制御する。
通常、結晶引き上げ制御では、予め設定した結晶引き上げ速度プロファイルを目標値とする結晶引き上げ速度のPID制御を行う。また同時に、結晶直径が部位ごとに決められた所定の直径になるように、予め設定したヒータ電力プロファイルを目標値とするヒータ電力のPID制御も行う。着液工程S22以降のヒータ電力の制御では、結晶成長できるように固液界面近傍の熱分布を制御する必要があり、融液と単結晶との境界部の温度をシリコンの融点にする必要がある。そのような温度制御に必要なヒータ電力は、炉内の環境(炉内部品の保温性)により異なる。
このように結晶引き上げ速度及び結晶直径を優先した引き上げ制御を行ってヒータ電力を随時変化させることにより、所定の結晶引き上げ速度で引き上げながら所望の結晶直径を維持することができる。しかし、同じ引き上げ条件下で単結晶を引き上げた場合でも、引き上げバッチ間でヒータ電力に差が出る場合がある。ヒータ電力の差は、例えば石英ルツボや炉内部品の消耗等により炉内環境が変化し、所定の直径及び引き上げ速度で結晶成長するために必要な熱バランスが変化することが原因であると推定される。
ヒータ電力とシリコン単結晶中の酸素濃度との関係を調査した結果、ヒータ電力とシリコン単結晶中の酸素濃度との間には一定の相関があることが分かった。これはヒータ電力が動的に変化することにより、結晶成長に必要な固液界面近傍の熱バランスは維持される一方で、酸素の供給源となる石英ルツボの温度が変化するためと推定される。そのためヒータ電力と酸素濃度との関係から酸素濃度を予測し、酸素濃度が一定になるようにルツボ回転数等を制御することにより、複数本のシリコン単結晶間の酸素濃度のばらつきを低減することができる。次に、シリコン単結晶中の酸素濃度の制御方法について説明する。
図5は、シリコン単結晶中の酸素濃度の制御方法を示す制御ブロック図である。また図6は、シリコン単結晶中の酸素濃度の制御方法を示すフローチャートである。
図5及び図6示すように、シリコン単結晶中の酸素濃度の制御では、まずシリコン単結晶中の酸素濃度とヒータ電力との関係が予め把握できている結晶引き上げ条件(ベース条件)下でシリコン単結晶(第2シリコン単結晶)の引き上げを開始する(ステップS31)。
ヒータ電力Pとシリコン単結晶中の酸素濃度Xとの関係は、予め設定したベース条件下で所望の結晶品質及び酸素濃度を有するシリコン単結晶(第1シリコン単結晶)を実際に引き上げた時のヒータ電力Pの結晶長手方向における変化(経時変化)と、引き上げられたシリコン単結晶中の酸素濃度XをFT-IR法等により測定して得られる酸素濃度の結晶長手方向における変化(経時変化)との関係を一対一で対応させることにより求めることができる。
通常、CZ法により育成されるシリコン単結晶中の酸素濃度はヒータ電力が大きくなるほど高くなる。これは、ヒータ電力が大きくなるほど石英ルツボ12の溶損量が増加し、シリコン融液2への酸素の溶け込み量が増えるからである。すなわち、シリコン単結晶中の酸素濃度Xはヒータ電力Pに比例し、X=α・P+βの関係式が成り立つ。係数αや定数βは結晶引き上げ装置や結晶引き上げ条件ごとに異なる。通常、係数αはゼロよりも大きい値(α>0)であり、ヒータ電力が大きくなるほど単結晶中の酸素濃度は高くなる。
第2のシリコン単結晶の引き上げに用いる各種制御プロファイルは、第1のシリコン単結晶の引き上げに用いる各種制御プロファイルと同じである。各種制御プロファイルとしては、結晶引き上げ速度プロファイル、ヒータ電力プロファイル、ルツボ回転数プロファイル、Arガス流量プロファイル、炉内圧プロファイル等を挙げることができる。
次に、シリコン単結晶の引き上げ工程の特定期間中にヒータ電力の実測値Pを取得し、過去にベース条件下で同一品質(同一酸素濃度範囲)のシリコン単結晶を引き上げたときのヒータ電力の参照値Pとの電力差ΔP=P-Pを算出する(ステップS32)。
ヒータ電力Pを取得するタイミングは、ヒータ電力Pが大きく変化せず安定している期間(ヒータ電力安定期間)中であることが好ましく、着液工程S22、ネッキング工程S23、又は直胴部育成工程S25であることが好ましい。ショルダー部育成工程S24は、結晶直径を拡大するためにヒータ電力を大きく変化させているので、ヒータ電力Pを取得するタイミングとして好ましくない。
シリコン単結晶の直胴部1cは製品化対象部位であるため、直胴部育成工程S25中にヒータ電力Pを取得する場合には、直胴部1cの育成を開始してからできるだけ早いうちに取得する必要がある。一方、直胴部育成開始直後はヒータ電力の制御が不安定であるため、ヒータ電力Pの取得は直胴部1cの上端から下方に100mm以上200mm以下の成長位置で行うことが好ましい。
着液工程S22やネッキング工程S23でヒータ電力Pを取得する場合には、直胴部育成工程S25を開始する前に酸素濃度の制御条件を決定することができるので、直胴部育成開始直後から酸素濃度を制御ことができる。逆に、直胴部育成工程S25にヒータ電力Pを取得する場合には、着液工程S22やネッキング工程S23よりもさらに安定したヒータ電力Pに基づいて酸素濃度の制御条件を決定することができ、酸素濃度の推定精度を高めることができる。
次に、過去に同一装置・同一操業条件下で同一品質(同一酸素濃度範囲)のシリコン単結晶を引き上げたときのヒータ電力と酸素濃度との関係から算出した係数α及び定数βと電力差ΔP=P-Pから、酸素濃度の補正量ΔX=X-X=α・ΔP+βを算出する(ステップS33)。
次に、酸素濃度の補正量ΔXに対応する酸素濃度制御パラメータの補正量ΔYを求める(ステップS34)。ここで、シリコン単結晶中の酸素濃度を制御するための代表的な酸素濃度制御パラメータYは、ルツボ回転数である。ルツボ回転数を大きくすると石英ルツボ12とシリコン融液2との反応量が多くなるのでシリコン融液2中の酸素濃度が増加し、これにより単結晶中の酸素濃度も増加する。逆に、ルツボ回転数を小さくすると単結晶中の酸素濃度が低下する。このように、酸素濃度はルツボ回転数に比例関係するので、酸素濃度制御パラメータの補正量ΔY=c・ΔX+dとして求めることができる。通常、酸素濃度制御パラメータの補正量ΔYは、酸素濃度の補正量ΔXの算出ステップを経由することなく、電力差ΔP=P-Pから直接的に求めることができる。
酸素濃度制御パラメータYは、Arガス流量や炉内圧であってもよい。例えば、予め調べられている酸素濃度との関係を利用してArガス流量又は炉内圧を増加又は減少させることにより、酸素濃度を制御することができる。Arガス流量や炉内圧による制御はルツボ回転数よる制御よりも酸素濃度の制御可能幅が小さいため、酸素濃度の制御量が少ない時に使用することが好ましい。したがって、例えば酸素濃度の補正量ΔXが閾値ΔXTH以上である場合に酸素濃度制御パラメータとしてルツボ回転数を選択し、酸素濃度の補正量ΔXが閾値ΔXTHよりも小さい場合に酸素濃度制御パラメータとしてArガスの流量及び炉内圧の少なくとも一方を選択することが好ましい。
次に、酸素濃度制御パラメータの第1の目標値Yに酸素濃度制御パラメータの補正量ΔYを加えて酸素濃度制御パラメータの第2の目標値Y=Y+ΔYを算出する(ステップS35)。ここで、酸素濃度制御パラメータの第1の目標値Yは、結晶成長段階に対応させて予め設定した酸素濃度制御パラメータの標準プロファイルから求められる。ルツボ回転数、Arガス流量及び炉内圧については、予め設定したプロファイルの通りに動かす制御が行われる。したがって、例えばルツボ回転数を補正する場合には、ルツボ回転数の標準プロファイル(第1の目標値Y)にルツボ回転数の補正量(ΔY)を加えることにより、ルツボ回転数の補正済みプロファイル(第2の目標値Y)を算出し、この補正済みプロファイルの通りにルツボを回転させる。Arガス流量や炉内圧もルツボ回転数と同様に補正することができる。
その後、酸素濃度制御パラメータの補正後の目標値Yを用いてルツボ回転数等の酸素濃度制御パラメータを実際に制御しながらシリコン単結晶の直胴部1cを引き上げる(ステップS36)。
以上の制御についてより具体的に説明する。例えば、シード着液時におけるヒータ電力(実測値)Pがベース条件のヒータ電力(参照値)Pよりも高かった場合(P>P)、このままでは実際のシリコン単結晶中の酸素濃度が目標の酸素濃度レベルよりも高くなると判断し、酸素濃度が下がるように直胴部育成工程25でルツボ回転数を少し下げる。逆に、シード着液時におけるヒータ電力P(実測値)がベース条件のヒータ電力P(参照値)よりも低かった場合(P<P)、このままでは実際のシリコン単結晶中の酸素濃度が目標の酸素濃度レベルよりも低くなると判断し、酸素濃度が上がるように直胴部育成工程25でルツボ回転数を少し上げる。ルツボ回転数をどれくらい変化させるかは、電力差ΔP=P-Pに基づいて決定することができる。
マルチ引き上げにおいては、同じ引き上げ本数であっても操業時間の違いによって酸素濃度に違いが生じることがある。例えば、同じマルチ引き上げの2本目の単結晶であっても、シリコン単結晶を再融解して引き上げをやり直すなど、引き上げ時間(ヒータオンからの経過時間)が長くなった場合には、1本目よりも酸素濃度が増加する。しかし、本実施形態においては、引き上げ時間が長くなったことによる影響が反映されたヒータ電力の変化に基づいて石英ルツボ12の回転数等の酸素濃度制御パラメータを調整するので、操業時間を特に気にせずにヒータ電力だけを参照して酸素濃度を制御することができる。
マルチ引き上げが終了した後は、引き上げ炉11を解体清掃し、引き上げ炉11内に新しい石英ルツボ12を設置して、次のマルチ引き上げ工程を実施する。このとき、たとえ石英ルツボ12を交換したとしても、黒鉛ルツボ13等の炉内部品の消耗等の影響があるため、前回のマルチ引き上げ工程と同一品質のシリコン単結晶を引き上げることは難しい。しかし、本実施形態のようにヒータ電力に基づいて酸素濃度制御パラメータを制御する場合には、酸素濃度レベルを同等に維持することができる。
以上説明したように、本実施形態によるシリコン単結晶の製造方法は、マルチ引き上げの2本目のシリコン単結晶中の酸素濃度が1本目よりも低下する場合にはヒータ電力も低くなり、1本目よりも増加する場合にはヒータ電力も高くなることに着目し、ヒータ電力の変化に合わせてルツボ回転数等の酸素濃度制御パラメータを変化させるようにしたので、マルチ引き上げされる複数本のシリコン単結晶中の酸素濃度を目標の酸素濃度Xにそれぞれ近づけることができ、複数本のシリコン単結晶インゴット間の酸素濃度のばらつきを小さくすることができる。さらに、本実施形態においては、結晶引き上げ工程中のヒータ電力が比較的安定している期間におけるヒータ電力を参照して酸素濃度制御パラメータを補正するので、酸素濃度の推定精度を高めることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態においてはマルチ引き上げ法によって引き上げられる複数本のシリコン単結晶間の酸素濃度を均一化する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、通常のシングル引き上げ法によって引き上げられる複数本のシリコン単結晶間の酸素濃度を均一化する場合にも有効である。
(比較例)
ヒータ電力の実測値(P)と参照値(P)との電力差ΔPに基づいて結晶引き上げ条件の酸素濃度制御パラメータを調整しない従来の方法で直径300mmウェーハ用シリコン単結晶インゴットのサンプルNo.1,No.2を引き上げた。サンプルNo.1及びNo.2はマルチ引き上げの2本目のインゴットであり、同じ結晶引き上げ条件で引き上げた。サンプルNo.1の結晶引き上げ開始時までの経過時間は214時間であったが、サンプルNo.2の結晶引き上げ開始時までの経過時間は結晶有転位化による引き上げのやり直しによりサンプルNo.1よりも長くなり、経過時間は326時間であった。
サンプルNo.1,No2の結晶引き上げ中におけるヒータ電力を比較したところ、図7(a)に示すように、着液時におけるサンプルNo.2のヒータ電力はサンプルNo.1のヒータ電力よりも低くなった。また、図7(b)に示すように、直胴部の上端よりも下方に200mmの位置におけるサンプルNo.2のヒータ電力はサンプルNo.1のヒータ電力よりも低くなった。
次に、シリコン単結晶インゴットのサンプルNo.1,No.2の結晶長さ方向の酸素濃度分布を評価した。酸素濃度分布の評価では、シリコン単結晶インゴットの直胴部から切り出したウェーハの面内の酸素濃度をFT-IR法(ASTM F-121 1979)により測定した。その結果を図8に示す。
図8は、シリコン単結晶インゴットのサンプルNo.1,No.2の直胴部の結晶長さ方向の酸素濃度分布を示すグラフであり、横軸は結晶長さ方向の位置(相対値)、縦軸は酸素濃度(×1017atoms/cm)をそれぞれ示している。図8から明らかなように、結晶引き上げ時のヒータ電力が低かったサンプルNo.2の酸素濃度は、結晶引き上げ時のヒータ電力が高かったサンプルNo.1の酸素濃度よりも低くなった。
(実施例)
次に、ヒータ電力の実測値(P)と参照値(P)との電力差ΔPに基づいて結晶引き上げ条件の酸素濃度パラメータを調整する本発明の方法で直径300mmウェーハ用シリコン単結晶インゴットのサンプルNo.3,No.4を引き上げた。サンプルNo.3及びNo.4はマルチ引き上げの2本目のインゴットであり、同じ結晶引き上げ条件で引き上げた。サンプルNo.3の結晶引き上げ開始時までの経過時間は219時間であったが、サンプルNo.4の結晶引き上げ開始時までの経過時間は有転位化による引き上げのやり直しによりサンプルNo.3よりも長くなり、経過時間は357時間であった。
サンプルNo.3,No.4の結晶引き上げ中におけるヒータ電力を比較したところ、図9(a)に示すように、着液時におけるサンプルNo.4のヒータ電力はサンプルNo.3のヒータ電力よりも低くなった。また、図9(b)に示すように、直胴部の上端よりも下方に200mmの位置におけるサンプルNo.4のヒータ電力はサンプルNo.3のヒータ電力よりも低くなった。この結果を踏まえて、サンプルNo.4のその後の結晶引き上げでは、図10に示すようにサンプルNo.3よりもルツボ回転数を高くするプロファイル補正を行った。
次に、シリコン単結晶インゴットのサンプルNo.3,No.4の結晶長さ方向の酸素濃度分布を評価した。酸素濃度分布の評価では、シリコン単結晶インゴットの直胴部から切り出したウェーハの面内の酸素濃度をFT-IR法(ASTM F-121 1979)により測定した。その結果を図11に示す。
図11は、シリコン単結晶インゴットのサンプルNo.3,No.4の直胴部の結晶長さ方向の酸素濃度分布を示すグラフであり、横軸は結晶長さ方向の位置(相対値)、縦軸は酸素濃度Oi(×1017atoms/cm)をそれぞれ示している。図11から明らかなように、結晶引き上げ時のヒータ電力が低かったサンプルNo.4の酸素濃度は、結晶引き上げ時のヒータ電力が高かったサンプルNo.3の酸素濃度とほぼ同じになった。
以上の結果から、ヒータ電力に基づいてルツボ回転数を制御することにより、シリコン単結晶インゴット間の酸素濃度のばらつきを低減できることを確認できた。
1 シリコン単結晶
1I シリコン単結晶インゴット
1a ネック部
1b ショルダー部
1c 直胴部
1d テイル部
2 シリコン融液
10 単結晶引き上げ装置
11 引き上げ炉
11a メインチャンバー
11b プルチャンバー
11c ガス導入口
11d ガス排気口
11e 観察窓
11f 断熱材
12 石英ルツボ
13 黒鉛ルツボ
14 回転シャフト
15 ヒータ
16 熱遮蔽体
16a 熱遮蔽体の開口
17 引き上げワイヤー
18 ワイヤー巻き取り機構
19 シャフト駆動機構
20 カメラ
21 画像処理部
22 制御部
P,P,P ヒータ電力
,V 直胴部成長速度
X,X 酸素濃度
Y,Y,Y 酸素濃度制御パラメータ
α 係数
β 定数
ΔP 電力差
ΔX 酸素濃度補正量
ΔY 酸素濃度制御パラメータ補正量

Claims (5)

  1. チョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法であって、
    第1シリコン単結晶の引き上げ工程中にシリコン融液を加熱するヒータが消費した電力と前記シリコン融液から引き上げられた前記第1シリコン単結晶中の酸素濃度との関係から酸素濃度推定用情報を取得し、
    前記第1シリコン単結晶と同じ結晶引き上げ条件下で第2シリコン単結晶の引き上げを開始し、
    前記第1シリコン単結晶の引き上げ工程の特定期間中に取得したヒータ電力の実測値 と、前記第2シリコン単結晶の引き上げ工程の前記特定期間と同一期間中に取得したヒータ電力の参照値 との電力差ΔP=P-Pを算出し、
    前記電力差ΔP及び前記酸素濃度推定用情報から前記第2シリコン単結晶の直胴部の酸素濃度を推定し、
    前記第2シリコン単結晶の直胴部の酸素濃度が前記第1シリコン単結晶の直胴部の酸素濃度に近づくように酸素濃度制御パラメータを制御しながら前記第2シリコン単結晶の直胴部を引き上げ、
    前記酸素濃度制御パラメータは、前記シリコン融液を支持する石英ルツボの回転数、前記シリコン単結晶が引き上げられる引き上げ炉内に導入されるArガスの流量、及び前記引き上げ炉の炉内圧の少なくとも一つであることを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記第1シリコン単結晶を引き上げた際に前記ヒータ電力と前記第1シリコン単結晶中の酸素濃度との関係から求めた前記酸素濃度推定用情報に含まれる係数α及び定数βと前記電力差ΔPから、前記第2シリコン単結晶の酸素濃度の補正量ΔX=α・ΔP+βを算出し、
    前記酸素濃度の補正量ΔXに対応する酸素濃度制御パラメータの補正量ΔYを算出し、
    前記第1シリコン単結晶を引き上げた際の酸素濃度制御パラメータの第1の目標値Yに前記酸素濃度制御パラメータの補正量ΔYを加えて酸素濃度制御パラメータの第2の目標値Y=Y+ΔYを算出し、
    前記酸素濃度制御パラメータの第2の目標値Yを用いて前記第2シリコン単結晶の直胴部の引き上げを制御する、請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. 前記酸素濃度の補正量ΔXが閾値ΔXTH以上である場合に前記酸素濃度制御パラメータとして前記石英ルツボの回転数を選択し、
    前記酸素濃度の補正量ΔXが前記閾値ΔXTHよりも小さい場合に前記酸素濃度制御パラメータとして前記Arガスの流量及び前記引き上げ炉の炉内圧の少なくとも一方を選択する、請求項2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 前記シリコン融液に種結晶を着液させる着液工程と、
    前記種結晶の下端部に成長する前記シリコン単結晶の直径を細く絞るネッキング工程と、
    前記シリコン単結晶の直径を徐々に大きくしながら成長させるショルダー部育成工程と、
    前記シリコン単結晶の直径を一定に維持しながら成長させる直胴部育成工程と、
    前記シリコン単結晶の直径を徐々に小さくしながら成長させるテイル部育成工程とを有し、
    前記特定期間は、前記着液工程、前記ネッキング工程及び前記直胴部育成工程における前記直胴部の上端から下方に100mm以上200mm以下の部位の育成工程の少なくとも一つである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  5. 同一の石英ルツボから複数本のシリコン単結晶を引き上げるマルチ引き上げ法により前記第1及び第2シリコン単結晶を引き上げる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
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