JP7036217B2 - シリコン単結晶の育成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)によるシリコン単結晶の育成方法に関し、特に、OSF(Oxidation Induced Stacking Fault:酸化誘起積層欠陥)や、COP(Crystal Originated Particle)などの赤外線散乱体欠陥や、LD(Interstitial-type Large Dislocation)などの転位クラスタといった点欠陥が発生しない無欠陥結晶を育成する方法に関する。
半導体デバイスの基板材料となるシリコン単結晶の多くはCZ法により製造されている。CZ法では、減圧下の不活性ガス雰囲気に維持されたチャンバ内において、石英ルツボに貯溜されたシリコンの原料融液に種結晶を浸漬し、浸漬した種結晶を徐々に引き上げる。これにより、種結晶の下端に連なってシリコン単結晶が育成される。
図1は、ボロンコフ理論に基づいて各種の欠陥が発生する状況を説明する模式図である。同図に示すように、ボロンコフ理論では、引き上げ速度をV(mm/min)、インゴット(シリコン単結晶)の固液界面近傍における引き上げ軸方向の温度勾配をG(℃/mm)としたとき、それらの比であるV/Gを横軸にとり、空孔型点欠陥の濃度と格子間シリコン型点欠陥の濃度を同一の縦軸にとって、V/Gと点欠陥濃度との関係を模式的に表現している。そして、空孔型点欠陥の発生する領域と格子間シリコン型点欠陥の発生する領域の境界が存在し、その境界がV/Gによって決定されることを説明している。以下では、「引き上げ軸方向の温度勾配」を単に「温度勾配」と記すことがある。
空孔型点欠陥は、結晶格子を構成すべきシリコン原子が欠けた空孔を根源とするものであり、この空孔型点欠陥の凝集体の代表格がCOPである。格子間シリコン型点欠陥は、結晶格子間にシリコン原子が入り込んだ格子間シリコンを根源とするものであり、この格子間シリコン型点欠陥の凝集体の代表格がLDである。
図1に示すように、V/Gが臨界点を上回ると、空孔型点欠陥が優勢な単結晶が育成される。その反面、V/Gが臨界点を下回ると、格子間シリコン型点欠陥が優勢な単結晶が育成される。このため、V/Gが臨界点より小さい(V/G)1を下回る範囲では、単結晶内で格子間シリコン型点欠陥が支配的であって、格子間シリコン点欠陥の凝集体が存在する領域[I]が出現し、LDが発生する。V/Gが臨界点より大きい(V/G)2を上回る範囲では、単結晶内で空孔型点欠陥が支配的であって、空孔型点欠陥の凝集体が存在する領域[V]が出現し、COPが発生する。
V/Gが臨界点~(V/G)1の範囲では単結晶内で格子間シリコン型点欠陥が凝集体として存在しない無欠陥領域[PI]が、臨界点~(V/G)2の範囲では単結晶内で空孔型点欠陥が凝集体としては存在しない無欠陥領域[PV]が出現し、OSFを含めCOPおよびLDのいずれの欠陥も発生しない。ここで、無欠陥領域[PI]と[PV]を合わせて無欠陥領域[P]と呼ぶ。無欠陥領域[PV]に隣接する領域[V](V/Gが(V/G)2~(V/G)3の範囲)には、OSF核を形成するOSF領域が存在する。
図2は、単結晶育成時の引き上げ速度と欠陥分布との関係を示す模式図である。同図に示す欠陥分布は、引き上げ速度Vを徐々に低下させながらシリコン単結晶を育成し、育成した単結晶を中心軸(引き上げ軸)に沿って切断して板状試片とし、その表面にCuを付着させ、熱処理を施した後、その板状試片をX線トポグラフ法により観察した結果を示している。
図2に示すように、引き上げ速度を高速にして育成を行った場合、単結晶の引き上げ軸方向と直交する面内全域にわたり、空孔型点欠陥の凝集体(COP)が存在する領域[V]が発生する。引き上げ速度を低下させていくと、単結晶の外周部からOSF領域がリング状に出現する。このOSF領域は、引き上げ速度の低下に伴ってその径が次第に縮小し、引き上げ速度がV1になると消滅する。これに伴い、OSF領域に代わって無欠陥領域[P](領域[PV])が出現し、単結晶の面内全域が無欠陥領域[P]で占められる。そして、引き上げ速度がV2までに低下すると、格子間シリコン型点欠陥の凝集体(LD)が存在する領域[I]が出現し、ついには無欠陥領域[P](領域[PI])に代わって単結晶の面内全域が領域[I]で占められる。
昨今、半導体デバイスの微細化の発展により、シリコンウェーハに要求される品質がますます高まっている。このため、シリコンウェーハの素材であるシリコン単結晶の製造においては、OSFやCOPやLDなどの各種の点欠陥を排除し、面内全域にわたって無欠陥領域[P]が分布する無欠陥結晶を育成する技術が強く望まれている。
この要求に応えるには、シリコン単結晶を引き上げる際、前記図1および図2に示すように、ホットゾーン内でV/Gが、面内全域にわたり、格子間シリコン型点欠陥の凝集体が発生しない第1臨界点(V/G)1以上であって、空孔型点欠陥の凝集体が発生しない第2臨界点(V/G)2以下に確保されるように管理を行う必要がある。実操業では、引き上げ速度の狙いをV1とV2の間(例えば両者の中央値)に設定し、仮に育成中に引き上げ速度を変更したとしてもV1~V2の範囲(「引き上げ速度マージン」又は「PvPiマージン」という)に収まるように管理する。
また、温度勾配Gは、固液界面近傍のホットゾーンの寸法に依存することから、単結晶育成に先立ち、予めそのホットゾーンを適正に設計しておく。一般に、ホットゾーンは、育成中の単結晶を囲繞するように配置された水冷体と、この水冷体の外周面および下端面を包囲するように配置された熱遮蔽体とから構成される。ここで、ホットゾーンを設計するにあたっての管理指標としては、単結晶の中心部の温度勾配Gcと、単結晶の外周部の温度勾配Geが用いられる。そして、無欠陥結晶を育成するために、例えば特許文献1に開示された技術では、単結晶中心部の温度勾配Gcと単結晶外周部の温度勾配Geとの差ΔG(=Ge-Gc)が0.5℃/mm以内となるようにしている。
ところで、近年、無欠陥結晶の育成で狙うべきV/G、すなわち臨界V/Gが、単結晶育成時に単結晶中に作用する応力によって変動することが分かってきている。このため、前記特許文献1に開示された技術では、その応力の効果をまったく考慮していないことから、完全な無欠陥結晶が得られない状況が少なからず起こる。
この点、例えば特許文献2には、直径が300mm以上の単結晶を育成の対象とし、単結晶中の応力の効果を考慮して、単結晶中心部の温度勾配Gcと単結晶外周部の温度勾配Geとの比(以下、「温度勾配比」ともいう)Gc/Geを1.8よりも大きくする技術が開示されている。しかし、特許文献2に開示される技術では、単結晶中の応力の効果を考慮しているといえども、必ずしも完全な無欠陥結晶が得られるとは限らない。これは、温度勾配比Gc/Geの管理範囲が十分でないことによると考えられる。
特開平11-79889号公報 特許第4819833号公報
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、単結晶育成時に単結晶中に作用する応力の効果を考慮し、無欠陥結晶を精度良く育成することができるシリコン単結晶の育成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、単結晶育成時に単結晶中に作用する応力に着目し、この応力を加味した数値解析を行って鋭意検討を重ねた。その結果、下記の知見を得た。
図3は、単結晶中に作用する応力σmeanと臨界V/Gの関係を示す図である。ホットゾーンの条件を種々変更した総合伝熱解析により、臨界V/Gと平均応力σmeanとの関係を調査した結果、図3に示すように、(臨界V/G)=0.17+0.0013×σmeanであることが見出された。
単結晶の固液界面近傍における応力の分布には規則性があり、その面内応力の分布は、単結晶中心部に限定した応力または温度勾配により把握することができる。その結果、単結晶中の応力の効果を加味して、単結晶中心部の温度勾配または単結晶中心部の応力を定めることにより、無欠陥結晶を育成するのに最適な面内温度勾配の分布、さらにはその最適な温度勾配比Gc/Geを把握することが可能となる。そして、その最適な温度勾配比Gc/Geを管理指標として用いることにより、ホットゾーンの適正な寸法設計が行えるようになり、しかも、その最適な温度勾配比Gc/Geを基準とした管理範囲を設定することにより、無欠陥結晶を精度良く育成することが可能になる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成させたものであり、チャンバ内に配置したルツボ内の原料融液から直径が300mm以上の単結晶を引き上げるCZ法によるシリコン単結晶の育成方法であって、育成中の単結晶を囲繞する水冷体を配置するとともに、この水冷体の外周面および下端面を包囲する熱遮蔽体を配置した単結晶育成装置を用い、前記原料融液の液面と前記原料融液の上方に配置された前記熱遮蔽体との間のギャップを変化させながら前記単結晶を引き上げるギャップ可変制御を含み、前記単結晶の中心部の固液界面近傍における引き上げ軸方向の温度勾配をGc、前記単結晶の外周部の固液界面近傍における引き上げ軸方向の温度勾配をGe、A=0.1769×Gc+0.5462とするとき、0.9×A≦Gc/Ge≦1.1×Aを満足する条件で前記単結晶の引き上げを行うことを特徴とする。
従来の知見では、無欠陥結晶を取得できる引き上げ速度マージンを広げるためには結晶内温度勾配の面内分布をとにかく均一にしたほうがよいと考えられていた。しかしながら、本願発明者らの新たな知見によれば、結晶内の応力状態に応じた結晶内温度勾配の面内分布にしなければ引き上げ速度マージンを広げることができないことが明らかとなった。本発明によれば、単結晶中の応力の効果を考慮して温度勾配比Gc/Geの管理範囲を適正に設定するので、単結晶のトップからボトムまで無欠陥結晶を精度良く育成することが可能になる。さらに、本発明によって製造された単結晶を用いることにより、直径が300mm又は450mmの高品質なウエーハを効率よく製造することが可能となる。なお、ウェーハの直径が300mmの場合、単結晶(直胴部)の直径を301mm以上340mm以下にすることが好ましく、ウェーハの直径が450mmの場合、単結晶(直胴部)の直径を451mm以上510mm以下にすることが好ましい。
本発明において、前記ギャップ可変制御は、前記単結晶の引き上げに伴って変化する前記ギャップを一定の距離に維持するために必要なルツボ上昇速度の定量値と、前記ギャップの目標値の変化分から求められる前記ルツボ上昇速度の変動値と、前記ギャップの前記目標値と実際の計測値との差分から求められる前記ルツボ上昇速度の補正値との合計値を用いて前記ルツボ上昇速度を制御することが好ましい。この制御では、ルツボ上昇速度の補正値の役割がギャップの目標値と計測値の乖離をなくすための補正だけに特化したものとなるため、ルツボ上昇速度振幅量が大きくなることを防止することができる。したがって、シリコン単結晶のトップからボトムまでの結晶熱履歴の安定化を実現して、結晶欠陥の面内分布の変化を抑えることができ、高品質なシリコン単結晶の製造歩留まりを高めることができる。
本発明において、前記ギャップの目標値の変化分は、前記単結晶の引き上げに伴って変化する結晶長とギャップの目標値との関係を規定したギャッププロファイルから求めることが好ましい。これにより、ルツボ上昇速度の変動値を容易かつ正確に求めることができ、ルツボ上昇速度の安定性をさらに向上させることができる。
本発明において、前記補正値は、前記ギャッププロファイルから求められる前記ギャップの目標値と前記ギャップの計測値との差分から求めることが好ましい。これにより、ルツボ上昇速度の補正値を容易かつ正確に求めることができ、ルツボ上昇速度の安定性をさらに向上させることができる。
本発明による単結晶の製造方法は、前記単結晶の引き上げに伴う前記単結晶の体積の増加分から前記融液の体積の減少分を求め、前記融液の体積の減少分及び前記ルツボの内径から前記定量値を求めることが好ましい。これにより、ルツボ上昇速度の定量値を簡単かつ正確に求めることができる。
本発明において、前記ギャッププロファイルは、前記ギャップを一定の距離に維持する少なくとも一つのギャップ一定制御区間と、前記ギャップを徐々に変化させる少なくとも一つのギャップ可変制御区間とを含むことが好ましい。この場合、前記ギャップ可変制御区間は、前記単結晶のボディ部育成工程の後半であって前記ギャップ一定制御区間の後に設けられていてもよく、前記単結晶のボディ部育成工程の前半であって前記ギャップ一定制御区間の前に設けられていてもよい。さらに、前記ギャッププロファイルは、前記ギャップを徐々に変化させる第1及び第2のギャップ可変制御区間を含み、前記第1のギャップ可変制御区間は、前記単結晶のボディ部育成工程の前半であって前記ギャップ一定制御区間の前に設けられており、前記第2のギャップ可変制御区間は、前記単結晶のボディ部育成工程の後半であって前記ギャップ一定制御区間の後に設けられていることが好ましい。これにより、単結晶のトップからボトムまで結晶欠陥の面内分布をほぼ一定にすることができ、これにより高品質な単結晶の製造歩留まりを高めることができる。なお、ボディ部育成工程の前半とは、単結晶のボディ部の全長を2等分して前記ボディ部の前半部分の単結晶を製造する工程を意味し、ボディ部育成工程の後半とは、前記ボディ部の後半部分の単結晶を製造する工程を意味する。
本発明による単結晶の製造方法は、カメラで撮影した前記融液の液面に映る前記熱遮蔽体の鏡像の位置から前記ギャップの計測値を算出することが好ましい。これにより、ギャップの計測値を安価な構成により簡単かつ正確に求めることができる。
本発明のシリコン単結晶の育成方法によれば、単結晶中の応力の効果を考慮し、温度勾配比Gc/Geの管理範囲を適正に設定しているので、無欠陥結晶を精度良く育成することが可能になる。
図1は、ボロンコフ理論に基づいて各種の欠陥が発生する状況を説明する模式図である。 図2は、単結晶育成時の引き上げ速度と欠陥分布との関係を示す模式図である。 図3は、単結晶中心部の応力σmeanと臨界V/Gの関係を示す図である。 図4は、単結晶中心部の温度勾配Gcごとに最適な面内温度勾配G(r)の分布状況を例示する図である。 図5は、単結晶中心部の温度勾配Gcに応じた最適な温度勾配比Gc/Geの分布状況を例示する図である。 図6は、単結晶中心部の応力σmean_cごとに最適な面内温度勾配G(r)の分布状況を例示する図である。 図7は、単結晶中心部の応力σmean_cに応じた最適な温度勾配比Gc/Geの分布状況を例示する図である。 図8は、本発明のシリコン単結晶の育成方法を適用できる単結晶育成装置の構成を模式的に示す図である。 図9は、熱遮蔽体10と原料融液9の液面との間のギャップHと温度勾配比Gc/Geとの関係を示すグラフである。 図10は、シリコン単結晶の製造工程を示すフローチャートである。 図11は、シリコン単結晶インゴットの形状を示す略断面図である。 図12は、結晶引き上げ工程中のギャッププロファイルと結晶欠陥分布との関係を説明するための模式図であって、特に従来のギャップ一定制御の場合を示している。 図13は、結晶引き上げ工程中のギャッププロファイルと結晶欠陥分布との関係を説明するための模式図であって、特に本発明のギャップ可変制御の場合を示している。 図14は、ルツボ上昇速度の算出方法について説明するためのギャップ可変制御機能のブロック図である。
以下に、本発明のシリコン単結晶の育成方法について、その実施形態を詳述する。
1.応力効果を導入した臨界V/Gの式
無欠陥結晶を育成するときに狙う引き上げ速度(以下、「臨界引き上げ速度」ともいう)をVcri(単位:mm/min)とし、単結晶の固液界面近傍における引き上げ軸方向の温度勾配をG(単位:℃/mm)としたとき、その比である臨界Vcri/Gは、単結晶育成時に単結晶中に作用する応力の効果を導入すれば、下記の(1)式で定義することができる。ここでいう単結晶の固液界面近傍とは、単結晶の温度が融点から1350℃までの範囲のことをいう。
cri/G=(V/G)σmean=0+α×σmean ・・・(1)
同式中、(V/G)σmean=0は、結晶中の平均応力がゼロであるときの臨界V/Gを示す定数である。αは応力係数であり、σmeanは単結晶中の平均応力(単位:MPa)である。例えば、直径が310mmの単結晶を育成対象とする場合、(V/G)σmean=0は0.17であり、αは0.0013である。ここで、平均応力σmeanは、育成時に単結晶の体積変化を及ぼす成分の応力に相当し、数値解析により把握できるものであり、単結晶中の微小部分における径方向に沿った面、円周方向に沿った面、および引き上げ軸方向と直交する面の3面それぞれに作用する応力の垂直成分σrr、σθθ、およびσzzを抽出し、これらを合計して3で割ったものである。ここで、平均応力σmeanの正は引張り応力を、負は圧縮応力を意味する。
(V/G)σmean=0は定数であるので、上記(1)式は、(V/G)σmean=0をξと置き換えて下記の(2)式となる。
cri/G=ξ+α×σmean ・・・(2)
上記(2)式は、一次元での臨界Vcri/Gと平均応力(σmean)の関係を表しているが、無欠陥結晶を育成するためには、単結晶の引き上げ軸方向と直交する面内で考える必要がある。
2.応力効果を導入した臨界V/Gの式の単結晶面内分布への拡張
単結晶の中心から半径r(単位:mm)の位置において、臨界引き上げ速度Vcri(単位:mm/min)と、半径rの位置での温度勾配G(r)(単位:℃/mm)との比である臨界Vcri/G(r)は、応力効果を導入すれば、上記(2)式に準じて、下記の(3)式で定義することができる。
cri/G(r)=ξ+α×σmean(r) ・・・(3)
同式中、σmean(r)は、単結晶の中心から半径rの位置の固液界面近傍での平均応力(単位:MPa)であり、単結晶の固液界面近傍の面内での平均応力の分布を示す。同式から、半径rの位置での温度勾配G(r)は、下記の(4)式で表すことができる。
G(r)=Vcri/(ξ+α×σmean(r)) ・・・(4)
ここで、温度勾配G(r)は、単結晶の引き上げ軸方向と直交する面内での温度勾配の分布を示すので、無欠陥結晶を育成するために、その最適な面内温度勾配G(r)の分布を求めたいが、面内での平均応力σmean(r)の分布の予測が難しいことが問題となる。また、その面内平均応力σmean(r)の分布が条件によって異なるのも問題である。
そこで、面内平均応力σmean(r)の予測方法を検討した。
2-1.単結晶中心部の温度勾配と平均応力(応力)の関係
単結晶中心部の温度勾配G(0)(=Gc)と単結晶中心部の平均応力σmean(0)(=σmean_c)の関係を検討した。この検討は、以下のように行った。直径が310mmの単結晶を育成する場合を前提にし、まずホットゾーンの条件を種々変更した総合伝熱解析により、各ホットゾーン条件での単結晶表面の輻射熱を算出し、次いで算出された各ホットゾーン条件での輻射熱と、種々変更した固液界面形状を境界条件として、各境界条件での単結晶内の温度を再計算した。ここで、ホットゾーンの条件変更としては、単結晶を包囲する熱遮蔽体の下端と石英ルツボ内の原料融液の液面とのギャップ(以下、「液面ギャップ」ともいう)を変更した。また、固液界面形状の条件変更としては、原料融液の液面から固液界面の中心部までの引き上げ軸方向の高さ(以下、「界面高さ」ともいう)を変更した。そして、各条件について、再計算によって得られた単結晶内温度の分布に基づき、応力(平均応力)の計算を実施した。
その解析結果から、単結晶中心部の平均応力σmean(0)(=σmean_c)は、界面高さにかかわることなく、単結晶中心部の温度勾配G(0)(=Gc)に比例し、両者の間に下記の(5)式の関係があることが分かった。
σmean(0)=-15.879×G(0)+38.57 ・・・(5)
2-2.面内平均応力の標準化
引き続き、上記の数値解析により、面内平均応力σmean(r)の分布を標準化することを検討した。ここでは、下記の(6)式で示すとおり、半径rの位置での平均応力σmean(r)と、単結晶中心部の平均応力σmean(0)(=σmean_c)との比n(r)を標準化応力比とした。
n(r)=σmean(r)/σmean_c ・・・(6)
その結果、標準化応力比n(r)は、液面Gapと界面高さが異なっても、半径rの位置に応じてほぼ同じ傾向であり、下記の(7)式で表すことができることが分かった。
n(r)=0.000000524×r3-0.000134×r2+0.00173×r+0.986 ・・・(7)
ただし、単結晶の中心部(r=0)では、σmean(r)=σmean_cであるので、n(0)は上記(6)式より1である。単結晶の外周部(r=e(eは、例えば直径が310mmの単結晶を対象とする場合、155mmである))では、σmean(r)=0であるので、n(e)は上記(6)式より0である。
そうすると、上記(6)式および上記(5)式から、面内平均応力σmean(r)は、下記の(8)式で表すことができる。
σmean(r)=n(r)×σmean_c
=n(r)×(-15.879×G(0)+38.57) ・・・(8)
同式より、面内平均応力σmean(r)の分布は、単結晶中心部の平均応力σmean(0)(=σmean_c)が分かれば把握することができ、いいかえれば、単結晶中心部の温度勾配G(0)(=Gc)が分かれば把握することができるといえる。
3.最適な面内温度勾配G(r)の分布の導出
直径が310mmの単結晶を育成対象とする場合、面内温度勾配G(r)は、上記(4)式に上記(8)式を代入して、下記の(9)式で表すことができる。
G(r)=Vcri/(ξ+α×n(r)×(-15.879×G(0)+38.57)) ・・・(9)
ここで、温度勾配G(r)の分布を標準化することを検討し、半径rの位置での温度勾配G(r)と、単結晶中心部の温度勾配G(0)との比(G(r)/G(0))を標準化温度勾配比とすると、上記(9)式より、下記の(10)式が導かれる。
G(r)/G(0)=[Vcri/(ξ+α×n(r)×(-15.879×G(0)+38.57))]/[Vcri/(ξ+α×n(0)×(-15.879×G(0)+38.57))]
=(ξ+α×n(0)×(-15.879×G(0)+38.57))/(ξ+α×n(r)×(-15.879×G(0)+38.57)) ・・・(10)
同式から、面内温度勾配G(r)は、下記の(11)式で表すことができる。
G(r)=[(ξ+α×n(0)×(-15.879×G(0)+38.57))/(ξ+α×n(r)×(-15.879×G(0)+38.57))]×G(0) ・・・(11)
上記(10)式、(11)式中、n(0)は、上述のとおりに1である。n(r)は上記(7)式より表されるものである。ただし、上述のとおり、単結晶の外周部(r=e)におけるn(r)、すなわちn(e)は0である。
このため、単結晶中心部の温度勾配G(0)(=Gc)を定めることにより、上記(11)式を用いて、最適な面内温度勾配G(r)の分布を把握することができるといえる。
また、直径が310mmの単結晶を育成対象とする場合、面内温度勾配G(r)は、上記(4)式で表すことができ、その標準化温度勾配比(G(r)/G(0))として、同(4)式より、下記の(12)式が導かれる。
G(r)/G(0)=[Vcri/(ξ+α×n(r)×σmean(0))]/[Vcri/(ξ+α×n(0)×σmean(0))]
=(ξ+α×n(0)×σmean(0))/(ξ+α×n(r)×σmean(0)) ・・・(12)
同式から、面内温度勾配G(r)は、下記の(13)式で表すことができる。
G(r)=[(ξ+α×n(0)×σmean(0))/(ξ+α×n(r)×σmean(0))]×G(0) ・・・(13)
上記(12)式、(13)式中、n(0)は、上述のとおりに1である。n(r)は上記(7)式より表されるものである。ただし、上述のとおり、単結晶の外周部(r=e)におけるn(r)、すなわちn(e)は0である。
このため、単結晶中心部の平均応力、すなわち応力σmean(0)(=σmean_c)を定めることにより、上記(13)式を用いて、最適な面内温度勾配G(r)の分布を把握することができるといえる。
4.単結晶の中心部の温度勾配Gcと外周部の温度勾配Geとの比Gc/Geの最適範囲
直径が310mmの単結晶を育成対象とする場合、上記(11)式により、単結晶中心部の温度勾配Gcごとに、単結晶中心からの半径rの位置に応じた最適な温度勾配G(r)を算出すると、その面内温度勾配G(r)の分布状況は、例えば図4に示すようになる。
図4は、単結晶中心部の温度勾配Gcごとに最適な面内温度勾配G(r)の分布状況を例示する図である。同図から、単結晶中心部の温度勾配G(0)(=Gc)を定めることにより、最適な面内温度勾配G(r)の分布を把握できることがわかる。
ここで、無欠陥結晶を育成するための主たる管理指標としては、単結晶の中心部の温度勾配Gcと単結晶の外周部の温度勾配Geとの比Gc/Geがある。上記(11)式による算出結果から、単結晶中心部の温度勾配G(0)(=Gc)に応じて最適な温度勾配比Gc/Geを算出すると、その温度勾配比Gc/Geの分布状況は、例えば図5に示すようになる。
図5は、単結晶中心部の温度勾配Gcに応じた最適な温度勾配比Gc/Geの分布状況を例示する図である。同図は、直径が310mmの単結晶を育成対象とする場合、すなわちr=e=155mmの場合を示している。同図から、単結晶中心部の温度勾配Gcと最適な温度勾配比Gc/Ge(=G(0)/G(150))との間には相関があり、下記の(14)式で表される一次式の関係が成り立つことが明らかとなった。
c/Ge=0.1769×Gc+0.5462 ・・・(14)
このため、単結晶中心部の温度勾配G(0)(=Gc)を定めることにより、上記(14)式を用いて、最適な温度勾配比Gc/Geを把握することができる。そして、同(14)式の関係が成り立つので、下記の(a)式を満足するGc/Geの条件で単結晶の引き上げを行えば、無欠陥結晶を精度良く育成することが可能になる。
0.9×A≦Gc/Ge≦1.1×A ・・・(a)
上記(a)式中、Aは0.1769×Gc+0.5462である。
温度勾配比Gc/Geは、「0.9×A」未満であるか、または「1.1×A」を超えると、無欠陥結晶の育成が不安定になる。より好ましくは、温度勾配比Gc/Geは、「0.95×A」以上、「1.05×A」以下である。
また、直径が310mmの単結晶を育成対象とする場合、上記(13)式により、単結晶中心部の応力σmean_cごとに、単結晶中心からの半径rの位置に応じた最適な温度勾配G(r)を算出すると、その面内温度勾配G(r)の分布状況は、例えば図6に示すようになる。
図6は、単結晶中心部の応力σmean_cごとに最適な面内温度勾配G(r)の分布状況を例示する図である。同図から、単結晶中心部の応力σmean(0)(=σmean_c)を定めることにより、最適な面内温度勾配G(r)の分布を把握できることがわかる。
ここで、無欠陥結晶を育成するための主たる管理指標としては、温度勾配比Gc/Geがある。上記(13)式による算出結果から、単結晶中心部の応力σmean_(0)(=σmean_c)に応じて最適な温度勾配比Gc/Geを算出すると、その温度勾配比Gc/Geの分布状況は、例えば図7に示すようになる。
図7は、単結晶中心部の応力σmean_cに応じた最適な温度勾配比Gc/Geの分布状況を例示する図である。同図は、直径が310mmの単結晶を育成対象とする場合、すなわちr=e=155mmの場合を示している。同図から、単結晶中心部の応力σmean_cと最適な温度勾配比Gc/Ge(=G(0)/G(150))との間には相関があり、下記の(15)式で表される一次式の関係が成り立つことが明らかとなった。
c/Ge=-0.0111×σmean_c+0.976 ・・・(15)
このため、単結晶中心部の応力σmean_(0)(=σ mean_c を定めることにより、上記(15)式を用いて、最適な温度勾配比Gc/Geを把握することができる。そして、同(15)式の関係が成り立つので、下記の(b)式を満足するGc/Geの条件で単結晶の引き上げを行えば、無欠陥結晶を精度良く育成することが可能になる。
0.9×B≦Gc/Ge≦1.1×B ・・・(b)
上記(b)式中、Bは-0.0111×σmean_c+0.976である。
温度勾配比Gc/Geは、「0.9×B」未満であるか、または「1.1×B」を超えると、無欠陥結晶の育成が不安定になる。より好ましくは、温度勾配比Gc/Geは、「0.95×B」以上、「1.05×B」以下である。
ただし、上記(a)式、(b)式において、単結晶中心部の温度勾配Gcは、直径が310mmの単結晶を育成対象とする場合、2.0~4.0℃/mmの範囲内とする。この範囲を外れると、OSFやCOPやLDなどの各種の点欠陥が発生するからである。より好ましい単結晶中心部の温度勾配Gcの範囲は、2.5~3.5℃/mmである。
以上のとおり、単結晶の固液界面近傍における応力σmean(r)の分布には規則性があり、その面内応力σmean(r)の分布は、単結晶中心部に限定した応力σmean_cまたは温度勾配Gcにより把握することができる。その結果、点欠陥の発生に影響を及ぼす応力の効果を加味して、単結晶中心部の温度勾配Gcまたは単結晶中心部の応力σmean_cを定めることにより、無欠陥結晶を育成するのに最適な面内温度勾配G(r)の分布、さらにはその最適な温度勾配比Gc/Geを把握することが可能となる。そして、その最適な温度勾配比Gc/Geを管理指標として用いることにより、ホットゾーンの適正な寸法設計が行えるようになり、しかも、その最適な温度勾配比Gc/Geを基準とした管理範囲を設定することにより、無欠陥結晶を精度良く育成することが可能になる。
5.シリコン単結晶の育成
図8は、本発明のシリコン単結晶の育成方法を適用できる単結晶育成装置の構成を模式的に示す図である。同図に示すように、単結晶育成装置は、その外郭をチャンバ1で構成され、その中心部にルツボ2が配置されている。ルツボ2は、内側の石英ルツボ2aと、外側の黒鉛ルツボ2bとから構成される二重構造であり、回転および昇降が可能な支持軸3の上端部に固定されている。支持軸3の回転および昇降動作はルツボ駆動機構14によって制御される。
ルツボ2の外側には、ルツボ2を囲繞する抵抗加熱式のヒータ4が配設され、その外側には、チャンバ1の内面に沿って断熱材5が配設されている。ルツボ2の上方には、支持軸3と同軸上で逆方向または同一方向に所定の速度で回転するワイヤなどの引き上げ軸6が配されている。この引き上げ軸6の下端には種結晶7が取り付けられている。引き上げ軸6の動作は結晶引き上げ機構15によって制御される。
チャンバ1内には、ルツボ2内の原料融液9の上方で育成中のシリコン単結晶8を囲繞する円筒状の水冷体11が配置されている。水冷体11は、例えば、銅などの熱伝導性の良好な金属からなり、内部に流通される冷却水により強制的に冷却される。この水冷体11は、育成中の単結晶8の冷却を促進し、単結晶中心部および単結晶外周部の引き上げ軸方向の温度勾配を制御する役割を担う。
さらに、水冷体11の外周面および下端面を包囲するように、筒状の熱遮蔽体10が配置されている。熱遮蔽体10は、育成中の単結晶8に対して、ルツボ2内の原料融液9やヒータ4やルツボ2の側壁からの高温の輻射熱を遮断するとともに、結晶成長界面である固液界面の近傍に対しては、低温の水冷体11への熱の拡散を抑制し、単結晶中心部および単結晶外周部の温度勾配を水冷体11とともに制御する役割を担う。
チャンバ1の上部には、Arガスなどの不活性ガスをチャンバ1内に導入するガス導入口12が設けられている。チャンバ1の下部には、図示しない真空ポンプの駆動によりチャンバ1内の気体を吸引して排出する排気口13が設けられている。ガス導入口12からチャンバ1内に導入された不活性ガスは、育成中の単結晶8と水冷体11との間を下降し、熱遮蔽体10の下端と原料融液9の液面とのギャップ(液面ギャップ)を経た後、熱遮蔽体10の外側、さらにルツボ2の外側に向けて流れ、その後にルツボ2の外側を下降し、排気口13から排出される。
チャンバ1の外側にはカメラ16が設けられており、カメラ16はチャンバ1に設けられた覗き窓を通じて固液界面近傍を撮影する。カメラ16の撮影画像は画像処理部17で処理され、結晶直径、液面位置等が求められる。制御部18は画像処理結果に基づいてヒータ4、ルツボ駆動機構14および結晶引き上げ機構15を制御する。
このような育成装置を用いたシリコン単結晶8の育成の際、チャンバ1内を減圧下の不活性ガス雰囲気に維持した状態で、ルツボ2に充填した多結晶シリコンなどの固形原料をヒータ4の加熱により溶融させ、原料融液9を形成する。ルツボ2内に原料融液9が形成されると、引き上げ軸6を下降させて種結晶7を原料融液9に浸漬し、ルツボ2および引き上げ軸6を所定の方向に回転させながら、引き上げ軸6を徐々に引き上げ、これにより種結晶7に連なった単結晶8を育成する。
直径が310mmの単結晶の育成に際しては、無欠陥結晶を育成するために、単結晶の固液界面近傍にて、温度勾配比Gc/Geが上記(a)式または(b)式の条件を満足するように、単結晶の引き上げ速度及びギャップ(ルツボ2の高さ)を調整し、単結晶の引き上げを行う。また、単結晶の育成に先立ち、上記(14)式または(15)式で求まる最適な温度勾配比Gc/Geに適合するように、ホットゾーン(熱遮蔽体および水冷体)の寸法形状を設計し、このホットゾーンを用いる。これにより、無欠陥結晶を精度良く育成することができる。
図9は、熱遮蔽体10と原料融液9の液面との間のギャップHと温度勾配比Gc/Geとの関係を示すグラフであり、横軸はギャップH、縦軸はGc/Geを示している。同図において、三角形のプロット点は、特定の構造のホットゾーンを用いて直径が310mmのシリコン単結晶を育成する総合伝熱シミュレーションによって求めた、ギャップHの値と温度勾配比Gc/Geとの関係を示しており、さらに(a)式のGc/Geの下限である0.9A及び上限である1.1Aを2本の直線で示している。この2本の直線に挟まれた領域が、(a)式で規定する範囲、すなわち、無欠陥結晶が得られる範囲である。
図9に示すように、ギャップHがおよそ58~70mmの範囲で、Gc/Geが(a)式を満たすことが分かる。このように、ギャップHを調整することで、温度勾配比Gc/Geを0.9A~1.1Aの範囲内に設定することができる。
図10は、シリコン単結晶8の製造工程を示すフローチャートである。また、図11は、シリコン単結晶インゴットの形状を示す略断面図である。
図10に示すように、本実施形態によるシリコン単結晶8の製造工程は、ルツボ2内のシリコン原料をヒータ4で加熱して融解することにより原料融液9を生成する原料融解工程S11と、引き上げ軸6の先端部に取り付けられた種結晶を降下させて原料融液9に着液させる着液工程S12と、原料融液9との接触状態を維持しながら種結晶を徐々に引き上げて単結晶を育成する結晶引き上げ工程(S13~S16)を有している。
結晶引き上げ工程では、無転位化のために結晶直径が細く絞られたネック部8aを形成するネッキング工程S13と、結晶成長と共に結晶直径が徐々に増加したショルダー部8bを形成するショルダー部育成工程S14と、結晶直径が一定に維持されたボディ部8cを形成するボディ部育成工程S15と、結晶成長と共に結晶直径が徐々に減少したテール部8dを形成するテール部育成工程S16とが順に実施される。
その後、シリコン単結晶8を融液面から切り離して冷却を促進させる冷却工程S17が実施される。以上により、図11に示すようなネック部8a、ショルダー部8b、ボディ部8c及びテール部8dを有するシリコン単結晶インゴット8Iが完成する。
上記のように、シリコン単結晶8に含まれる結晶欠陥の種類や分布は、結晶引き上げ速度Vと温度勾配Gとの比V/Gに依存し、結晶を取り巻く炉内熱環境、すなわち、ホットゾーンの影響を強く受ける。そのため、結晶引き上げ工程の進行に伴ってホットゾーンが変化した場合には、たとえギャップを一定の距離に維持したとしても c /G e を0.9A~1.1Aの範囲内に収めることができず、所望の引き上げ速度マージンを確保することができない場合がある。
例えば、図8に示すボディ部育成工程S15の中盤では、シリコン融液の上方の空間に十分な長さの単結晶インゴットが存在しているのに対し、ボディ部育成工程S15の開始時にはそのような単結晶インゴットが存在しないため、たとえ熱遮蔽体10が設けられていたとしても空間内の熱分布は多少異なるものとなる。またボディ部育成工程S15の終盤では、ルツボ内の原料融液9の減少に伴うシリコン融液の固化を防止するためヒータ4の出力を増加させるため、これにより、結晶周囲の熱分布も変化する。このようにホットゾーンが変化している場合には、ギャップを一定の距離に維持したとしても結晶中の熱履歴が変化するため、結晶欠陥の面内分布を一定に維持することができない。
そこで本実施形態では、インゴットのトップからボトムまでギャップを常に一定の距離に維持するのではなく、結晶成長段階に合わせてギャップを変化させる。すなわち、温度勾配比Gc/Geが上記(a)式または(b)式を満足するようにギャップを変化させる。このようにギャップを変化させることにより、インゴットのトップからボトムまで結晶欠陥の面内分布を狙い通りに制御することができ、引き上げ速度マージンの低下を抑制して無欠陥結晶の製造歩留まりを向上させることができる。ギャップをどのように変化させれば引き上げ速度マージンの低下を抑制できるかは、ホットゾーンによって異なる。したがって、結晶のトップからボトムまで温度勾配比Gc/Geを0.9A~1.1Aの範囲内に収めて結晶欠陥の面内分布を一定にするためには、結晶引き上げ工程の進行に伴ってホットゾーンがどのように変化するかを考慮しながら、結晶成長段階に合わせたギャッププロファイルを適宜設定する必要がある。
図12及び図13は、結晶引き上げ工程中のギャッププロファイルと結晶欠陥分布との関係を説明するための模式図であって、図12は従来のギャップ一定制御の場合、図13は本発明のギャップ可変制御の場合をそれぞれ示している。
図12に示すように、結晶引き上げ工程中ギャップを常に一定の距離に維持するギャップ一定制御では、ホットゾーンが変化することにより温度勾配比Gc/Geが変化するため、結晶欠陥の面内分布を一定に維持することができない。すなわち、シリコン単結晶インゴット8Iのトップ(Top)、中央(Mid)、ボトム(Bot)において、結晶欠陥の面内分布が異なることにより、インゴット8Iの中央ではGc/Geを適正化して所望の引き上げ速度マージンを確保することができるが、インゴット8Iのトップとボトムでは所望の引き上げ速度マージンを確保することができない。
これに対し、本発明では、図13に示すように、結晶引き上げ工程の進行に合わせてギャップが段階的に狭くなるようにギャッププロファイルを設定する。特に本実施形態によるギャッププロファイルは、結晶引き上げ工程の開始時からギャップを一定に維持する第1のギャップ一定制御区間S1、ボディ部育成工程の前半に設けられギャップを徐々に低下させる第1のギャップ可変制御区間S2、ギャップを一定に維持する第2のギャップ一定制御区間S3、ボディ部育成工程の後半に設けられギャップを徐々に低下させる第2のギャップ可変制御区間S4、結晶引き上げ工程の終了までギャップを一定に維持する第3のギャップ一定制御区間S5がこの順で設けられている。このようなギャッププロファイルはホットゾーンの変化に合わせて設定され、これにより図示のようにインゴット8Iのトップからボトムまで結晶欠陥の面内分布を一定に維持して無欠陥結晶の製造歩留まりを高めることが可能となる。
なお上記のギャッププロファイルは一例であって、結晶引き上げ工程の進行に合わせてギャップが段階的に狭くなるプロファイルに限定されない。したがって、例えば第1のギャップ可変制御区間S2でギャップを徐々に低下させ、第2のギャップ可変制御区間S4でギャップを徐々に増加させることも可能である。
単結晶8の外周部の温度勾配は中心部の温度勾配よりもギャップの変化の影響を受けやすい。ギャップが広い場合、ヒータ4からの輻射熱がギャップを通って単結晶8に伝わりやすくなるので、単結晶8の外周部の温度勾配Geは相対的に小さくなり、温度勾配比Gc/Geは大きくなる。逆に、ギャップが狭い場合、ヒータ4からの輻射熱が熱遮蔽体10によって遮られて単結晶8に伝わりにくくなるので、単結晶8の外周部の温度勾配Geは相対的に大きくなり、温度勾配比Gc/Geは小さくなる。したがって、ギャップを調整することにより、温度勾配比Gc/Geを容易に調整することができる。
ギャップ可変制御を行う場合、単にルツボ上昇速度を補正してギャップを可変するだけでは、ルツボ上昇速度が大きく振動する現象が起こる場合がある。このような振動現象は、ギャップ可変制御によりインゴット8Iのトップからボトムまで結晶欠陥の面内分布を一定に維持して無欠陥結晶の製造歩留まりを高めるという目的の障害となるおそれがある。そこで本発明では、このような振動現象を防止し、高品質な結晶を製造できるようにする。
次に、図14の機能ブロック図を参照しながら、本発明のギャップ可変制御におけるルツボ上昇速度の算出方法について説明する。
図14に示すように、ギャップ可変制御機能はルツボ上昇速度算出部30を有している。ルツボ上昇速度算出部30は、シリコン単結晶8の引き上げに伴って変化する液面位置及びギャップを一定に制御するために必要なルツボ上昇速度の定量値Vfを算出する定量値算出部31と、ギャップの目標値の変化分からルツボ上昇速度の変動値Vaを算出する変動値算出部32と、ギャップの目標値とギャップの計測値との差分からルツボ上昇速度の補正値Vadjを算出する補正値算出部33とを有し、ルツボ駆動機構14は、液面上昇速度VMを出力すると共に、定量値Vf、変動値Va及び補正値Vadjの合計値を用いてルツボの位置を制御する。また結晶引き上げ機構15は、結晶長ΔLS(結晶引き上げ速度VS)を出力する。画像処理部17は、カメラ16の撮影画像から原料融液9の液面と熱遮蔽体10との間のギャップ及び結晶直径を計測する。
ギャップ可変制御では、以下に示す(16)式を用いて算出したルツボ上昇速度VCに基づいてルツボ上昇速度を制御周期ごとに制御する。
C=Vf+Va+Vadj ・・・(16)
ここで、Vfはギャップを一定に維持するために必要なルツボ上昇速度の定量値であり、ギャップ一定制御に用いられるルツボ上昇速度である。またVaはギャップ目標値の変化分から求められるルツボ上昇速度の変動値であり、Vadjはギャップの現在の目標値と実際の計測値との差分から求められるルツボ上昇速度の補正値である。
ルツボ上昇速度の定量値Vfは、次の(17)式から求められる。
f =((PS×DS 2)÷(PL×DC 2))×(VS-VM)+VM ・・・(17)
S :シリコン固体比重(= 2.33 × 10-3
L :シリコン融液比重(= 2.53 × 10-3
S :現在の結晶直径
C :現在の石英ルツボの内径
S :現在の結晶引き上げ速度
M :前回のルツボの上昇速度(液面上昇速度)
また液面上昇速度VMは、次の(18)式のようになる。
M=-((PS×DS 2×ΔLS)÷(PL×DC 2-PS×DS 2))+((PL×DC 2×ΔLC)÷(PL×DC 2-PS×DS 2)) ・・・(18)
ΔLS :1制御周期当たりの結晶移動量
ΔLC :1制御周期当たりのルツボ移動量
このように、ルツボ上昇速度の定量値Vfの算出では、結晶引き上げ機構15からの1制御周期当たりの結晶移動量(結晶長)ΔLSを取得し、結晶直径DSと結晶移動量ΔL S から結晶体積の増加分を求め、結晶体積の増加分及びルツボ内径DCから融液体積の減少分を算出し、さらに融液体積の減少分及びルツボ内径DCからルツボ上昇速度の定量値Vfを算出する。結晶直径DSは、カメラ16の撮影画像中に写る単結晶を画像処理部17が処理することにより求められる。ルツボ内径DCは石英ルツボ2aの設計寸法から求められる固定値である。
液面上昇速度VMが現在の結晶引き上げ速度VSと釣り合っているとき、ルツボ上昇速度の定量値Vfは液面上昇速度VMと等しくなるので、ギャップは一定の距離に維持される。また液面上昇速度VMが現在の結晶引き上げ速度VSよりも大きければルツボ上昇速度の定量値Vfが液面上昇速度VMよりも小さくなり、逆に液面上昇速度VMが現在の結晶引き上げ速度VSよりも小さければルツボ上昇速度の定量値Vfが液面上昇速度VMよりも大きくなるので、ギャップを一定に保つことができる。
ルツボ上昇速度の変動値Vaは、次の(19)式のようになる。
a=(Hpf_i-Hpf_i+1)÷T ・・・(19)
ここで、Hpf_iは現在(i回目)のギャップ目標値(mm)、Hpf_i+1は1制御周期後(i+1回目)のギャップ目標値(mm)である。このギャップ目標値は例えば結晶長に応じて設定され、1制御周期後の結晶長は現行の結晶引き上げ速度VSに制御周期T(min)を乗じて得られる結晶長の増分から求めることができる。制御周期Tは特に限定されないが、例えば2分に設定することができる。このように、ルツボ上昇速度の変動値Vaは、現在のギャップ目標値Hpf_iと1制御周期後のギャップ目標値Hpf_i+1との差分から求められるものである。ギャップの目標値が変化せず一定(Hpf_i+1=Hpf_i)の場合、Va=0となる。例えば、ギャップを50mmから51mmにする場合、ギャップを1mm増加させる必要があるが、このようなギャップの目標値の変化分はギャッププロファイルから知ることができるので、ギャップを1mm増加させるために必要なルツボ上昇速度の変動値Vaを定量値Vfに加算する。
ルツボ上昇速度の補正値Vadjは、次の(20)式のようになる。
adj=(Hpf_i-Hi)÷T×k ・・・(20)
ここで、Hiは現在のギャップ計測値(mm)であり、好ましくは最新の単一値でなく移動平均値である。またkはゲインであり、0.001以上0.1以下であることが好ましい。kを例えば0.05に設定した場合、ギャップ計測値のバラツキがルツボ上昇速度に与える影響が1/20に抑えられる。ギャップ計測値がギャップ目標値と等しい場合、ルツボ上昇補正速度Vadj=0である。
上記のように、ルツボ上昇速度の定量値Vfの算出には石英ルツボ2aの内径DCの正確な値が必要である。しかし石英ルツボ2aはシリコンの融点付近では軟化し、引き上げ中に変形することがあるため、ギャップの値は目標値から乖離する。その他にもさまざまな要因でギャップの値は目標値から乖離する。そこで本実施形態においては、融液面に映り込んだ熱遮蔽体10の鏡像の位置からギャップを実際に測定し、原料融液9の減少量から算出したルツボ上昇速度からギャップの制御誤差を算出し、この制御誤差を解消する石英ルツボ2aの上昇速度の補正値Vadjを定量値Vfに加算することにより、ギャップを高精度に制御する。
以上のように、ルツボ上昇速度VCは、ギャップを一定に維持するために必要なルツボ上昇速度の定量値Vfと、ギャップ目標値の変化分から求められるルツボ上昇速度の変動値Vaと、ギャップの目標値と実際の計測値との差分から求められるルツボ上昇速度の補正値Vadjとの合計値からなり、ギャッププロファイルから求めることができるギャップ目標値の変化分については定量値に準じた値としてギャップ計測値とは無関係にルツボ上昇速度に予め含めておくことで、ルツボ上昇速度の補正値Vadjの変動をできるだけ小さくすることができる。すなわち、ルツボ上昇速度の補正値Vadjが担う役割が、ギャップの目標値と計測値の乖離をなくすための補正だけに特化したものとなるため、ルツボ上昇速度振幅量が大きくなることを防止することができ、ルツボ上昇速度の安定した制御が可能となる。
以上説明したように、本実施形態によるシリコン単結晶の育成方法は、原料融液の液面と熱遮蔽体との間のギャップを変化させながら単結晶を引き上げるギャップ可変制御を含み、単結晶の中心部の固液界面近傍における温度勾配をGc、単結晶の外周部の固液界面近傍における温度勾配Geとし、A=0.1769×Gc+0.5462とするとき、温度勾配比Gc/Geが0.9×A≦Gc/Ge≦1.1×Aを満足する条件でギャップを変化させながら単結晶を引き上げるので、単結晶育成時に単結晶中に作用する応力を考慮しながら、無欠陥結晶を精度よく育成することができる。
また、本実施形態によるシリコン単結晶の育成方法は、結晶長に応じてギャップ目標値が変化するギャッププロファイルを用意し、結晶育成中にギャップ計測値が前記ギャッププロファイルに従うようにルツボ上昇速度VCを制御するので、ルツボ上昇速度振幅量が大きくなることを防止することができ、その結果シリコン単結晶のトップからボトムまで結晶欠陥の面内分布の変化が少ない高品質なシリコン単結晶を歩留良く製造することができる。
また、本実施形態においては、ギャップを一定に維持するために必要なルツボ上昇速度の定量値Vfと、ギャップの目標値の変化分からギャップを変化させるために必要なルツボ上昇速度の変動値Vaと、ギャップの目標値と計測値との差分を補正するために必要なルツボ上昇速度の補正値Vadjとの合計値をルツボ上昇速度VCとして用いるので、ギャップ可変制御によって生じるルツボ上昇速度の制御の不安定さを改善することができ、これにより結晶取得率を向上させることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態においては、ルツボ上昇速度の補正値として、ギャップ目標値Hpf_iとギャップ計測値Hiとの差分(Hpf_i - Hi)に制御周期の逆数1/T及びゲインkを乗じた値を用いているが、本発明はこのような値に限定されるものではなく、種々の計算方法によって計算した補正値を用いることができる。
また上記実施形態においてはシリコン単結晶の育成方法を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、CZ法により引き上げられる種々の単結晶を対象とすることができる。
本発明のシリコン単結晶の育成方法は、OSFやCOPやLDなどの各種の点欠陥が発生しない無欠陥結晶を育成するのに極めて有用である。
1:チャンバ、 2:ルツボ、 2a:石英ルツボ、 2b:黒鉛ルツボ、 3:支持軸、 4:ヒータ、 5:断熱材、 6:引き上げ軸、 7:種結晶、 8:シリコン単結晶、 8I:シリコン単結晶インゴット、 8a:ネック部、 8b:ショルダー部、 8c:ボディ部、 8d:テール部、 9:原料融液、 10:熱遮蔽体、 11:水冷体、 12:ガス導入口、 13:排気口、 14:ルツボ駆動機構、 15:結晶引き上げ機構、 16:カメラ、 17:画像処理部、 18:制御部、 30:ルツボ上昇速度算出部、 31:定量値算出部、 32:変動値算出部、 33:補正値算出部

Claims (9)

  1. チャンバ内に配置したルツボ内の原料融液から直径が300mm以上の単結晶を引き上げるチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の育成方法であって、
    育成中の単結晶を囲繞する水冷体を配置するとともに、この水冷体の外周面および下端面を包囲する熱遮蔽体を配置した単結晶育成装置を用い、
    前記原料融液の液面と前記原料融液の上方に配置された前記熱遮蔽体との間のギャップを変化させながら前記単結晶を引き上げるギャップ可変制御を含み、
    前記単結晶の中心部の固液界面近傍における引き上げ軸方向の温度勾配をGc、前記単結晶の外周部の固液界面近傍における引き上げ軸方向の温度勾配をGe、A=0.1769×Gc+0.5462とするとき、0.9×A≦Gc/Ge≦1.1×Aを満足する条件で前記単結晶の引き上げを行い、
    前記ギャップ可変制御は、
    前記単結晶の引き上げに伴って変化する前記ギャップを一定の距離に維持するために必要なルツボ上昇速度の定量値と、
    前記ギャップの目標値の変化分から求められる前記ルツボ上昇速度の変動値と、
    前記ギャップの前記目標値と実際の計測値との差分から求められる前記ルツボ上昇速度の補正値との合計値を用いて前記ルツボ上昇速度を制御することを特徴とするシリコン単結晶の育成方法。
  2. 前記単結晶の引き上げに伴う前記単結晶の体積の増加分から前記原料融液の体積の減少分を求め、前記原料融液の体積の減少分及び前記ルツボの内径から前記定量値を求める、請求項1に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  3. 前記ギャップの目標値の変化分は、前記単結晶の引き上げに伴って変化する結晶長とギャップの目標値との関係を規定したギャッププロファイルから求める、請求項1又は2に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  4. 前記補正値は、前記ギャッププロファイルから求められる前記ギャップの目標値と前記ギャップの計測値との差分から求める、請求項3に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  5. 前記ギャッププロファイルは、前記ギャップを一定の距離に維持する少なくとも一つのギャップ一定制御区間と、前記ギャップを徐々に変化させる少なくとも一つのギャップ可変制御区間とを含む、請求項3又は4に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  6. 前記ギャップ可変制御区間は、前記単結晶のボディ部育成工程の後半であって前記ギャップ一定制御区間の後に設けられている、請求項5に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  7. 前記ギャップ可変制御区間は、前記単結晶のボディ部育成工程の前半であって前記ギャップ一定制御区間の前に設けられている、請求項5に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  8. 前記ギャッププロファイルは、前記ギャップを徐々に変化させる第1及び第2のギャップ可変制御区間を含み、
    前記第1のギャップ可変制御区間は、前記単結晶のボディ部育成工程の前半であって前記ギャップ一定制御区間の前に設けられており、
    前記第2のギャップ可変制御区間は、前記単結晶のボディ部育成工程の後半であって前記ギャップ一定制御区間の後に設けられている、請求項5に記載のシリコン単結晶の育成方法。
  9. カメラで撮影した前記原料融液の液面に映る前記熱遮蔽体の鏡像の位置から前記ギャップの計測値を算出する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の育成方法。
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