JP2018043904A - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】石英製の坩堝の製造上の個体差又は使用時間に拘わらずシリコン単結晶インゴットの酸素濃度を許容範囲に維持し得るシリコン単結晶の製造方法を提供する。【解決手段】チャンバ11内に回転及び昇降可能に設けられた石英製の坩堝21にシリコン原材料を投入し、前記坩堝21の周囲に設置されたヒータ25により前記シリコン原材料を融解し、垂下した種結晶Sをシリコン融液Mに浸漬し、前記種結晶Sを引上げてシリコン単結晶Cを製造するシリコン単結晶の製造方法において、前記坩堝21の底部のコーナー部の厚さt1又は中心軸上の厚さt2と、製造されたシリコン単結晶Cの酸素濃度Oiとの相関関係を取得し、目標酸素濃度と前記相関関係とにより選定された坩堝を用いてシリコン単結晶Cを製造する。【選択図】 図1

Description

本発明は、シリコン単結晶の製造方法に関するものである。
水平磁場印加チョクラルスキー法(HMCZ法)においては、坩堝内のシリコン融液の表面層の直下に水平方向の対流が発生する。この対流と石英製の坩堝との接触面は、ヒータの近くに位置するため、接触面の温度が高くなり、石英製の坩堝からシリコン融液内に酸素が溶出するという問題がある。このため、坩堝の接触面の厚さを他の部位より厚くすることにより、接触面の温度を下げることが提案されている(特許文献1)。
特開平5−221780号公報
ところで、本発明者らが探究したところ、石英製の坩堝の製造上の個体差(いわゆる製造誤差)又は長時間使用により坩堝の底部(コーナー部又は底面部)の厚さがばらつき、これによって、引上げたシリコン単結晶インゴットの酸素濃度が1回の製造分(1バッチ)毎にばらつくことが判明した。そのため、製品の歩留まりが低いという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、石英製の坩堝の製造上の個体差又は使用時間に拘わらずシリコン単結晶インゴットの酸素濃度を許容範囲に維持し得るシリコン単結晶の製造方法を提供することである。
本発明は、石英製の坩堝の底部のコーナー部又は中心軸上の厚さと、製造されたシリコン単結晶の酸素濃度との相関関係を用いて、目標酸素濃度に応じた坩堝を用いることによって上記課題を解決する。なお、坩堝の底部のコーナー部の厚さとしては、当該コーナー部の最大厚さを採用することができる。
本発明者らは、石英製の坩堝の底部のコーナー部又は中心軸上の厚さと、製造されたシリコン単結晶の酸素濃度との間に相関関係があること、具体的には石英製の坩堝の底部のコーナー部又は中心軸上の厚さが厚いほどシリコン単結晶の酸素濃度が小さくなり、石英製の坩堝の底部のコーナー部又は中心軸上の厚さが薄いほどシリコン単結晶の酸素濃度が大きくなることを見出した。本発明によれば、目標酸素濃度に応じた底部のコーナー部又は中心軸上の厚さを有する石英製の坩堝が用いられるので、石英製の坩堝の製造上の個体差又は使用時間に拘わらずシリコン単結晶インゴットの酸素濃度を許容範囲に維持することができる。
本発明のシリコン単結晶の製造方法が適用される製造装置の一例を示す断面図である。 図1に示す製造装置の坩堝にシリコン原材料をチャージして融解させた状態を示す断面図である。 図2Aに示す状態からギャップHを維持しつつ坩堝を上昇させながら単結晶を引き上げている状態を示す断面図である。 石英製の坩堝の底部のコーナー部の最大厚さと、これを用いて製造されたシリコン単結晶の酸素濃度との関係の一例を示すグラフである。 石英製の坩堝の底部のコーナー部の厚さとシリコン単結晶の酸素濃度との相関関係を利用して目標酸素濃度別に選定する坩堝の一例を示すグラフである。 ある特定の製造条件にてシリコン単結晶を製造した場合の結晶固化率に対するシリコン単結晶の酸素濃度分布の一例を示す図である。 ある特定の製造条件にて、坩堝の底部のコーナー部が厚肉のものを選別してシリコン単結晶を製造した場合の結晶固化率に対するシリコン単結晶の酸素濃度分布(実施例1)と、同条件にて坩堝を選別しないでシリコン単結晶を製造した場合の結晶固化率に対するシリコン単結晶の酸素濃度分布(比較例1)を示すグラフである。 ある特定の製造条件にて、坩堝の底部のコーナー部が薄肉のものを選別してシリコン単結晶を製造した場合の結晶固化率に対するシリコン単結晶の酸素濃度分布(実施例2)と、同条件にて坩堝を選別しないでシリコン単結晶を製造した場合の結晶固化率に対するシリコン単結晶の酸素濃度分布(比較例2)を示すグラフである。 図4B及び図4Cに示す実施例1,2及び比較例1,2並びに坩堝の底部の中心軸上の厚さを基準にして図4B及び図4Cと同様の実験を行った場合の、シリコン単結晶の酸素濃度の1回の製造分の間のばらつきの標準偏差(多項式曲線からの乖離量で算出)を示すグラフである。 底部が厚い坩堝(実施例4)と底部がそれより薄い坩堝(実施例5)を用いて、直径300mmのウェーハ用であって、酸素濃度が11×1017atoms/cm3(実施例5)および10.5×1017atoms/cm3以下(実施例4)のシリコン単結晶を製造する場合に、アルゴンガスの流量(中段グラフ)及び坩堝の単位時間当たりの回転数(下段グラフ)を二通り(実施例4,5)に制御したときの、シリコン単結晶の固化率(原料の仕込み重量に対する結晶重量の比率(%))に対するシリコン単結晶の酸素濃度(上段グラフ)を測定したグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態であるチョクラルスキー法によるシリコン単結晶の製造方法が適用される製造装置の一例を示す断面図、図2Aは、図1に示す製造装置の坩堝にシリコン原材料をチャージして融解させ、育成を開始した状態を示す断面図、図2Bは、図2Aに示す状態からギャップHを維持しつつ坩堝を上昇させながら単結晶を引き上げている状態を示す断面図である。本実施形態の製造方法が適用されるシリコン単結晶の製造装置1(以下、単に製造装置1ともいう)は、円筒状の第1チャンバ11と、同じく円筒状の第2チャンバ12とを備え、これらは気密に接続されている。
第1チャンバ11の内部には、シリコン融液Mを収容する石英製の坩堝21と、この石英製の坩堝21を保護する黒鉛製の坩堝22とが、支持軸23で支持されるとともに、駆動機構24によって回転及び昇降が可能とされている。また、石英製の坩堝21と黒鉛製の坩堝22とを取り囲むように、環状のヒータ25と、同じく環状の、断熱材からなる保温筒26が配置されている。環状のヒータ25からの放射熱は、黒鉛製の坩堝22の側部だけでなく底部にも廻り込み、石英製の坩堝21の側部と底部を加熱する。なお、石英製の坩堝21と黒鉛製の坩堝22が、上昇位置にある場合には、下降位置にある場合に比べて、ヒータ25から坩堝21,22の底部へ廻り込む熱量は多くなるものと考えられる。坩堝21の下方にヒータを追加してもよい。
第1チャンバ11の内部であって、石英製の坩堝21の上部には、円筒状の熱遮蔽部材27が設けられている。熱遮蔽部材27は、モリブデン、タングステンなどの耐火金属、カーボン又は黒鉛製外殻の内部に黒鉛製フェルトを充填したものからなり、シリコン融液Mからシリコン単結晶Cへの放射を遮断するとともに、第1チャンバ11内を流れるガスを整流する。熱遮蔽部材27は、保温筒26にブラケット28を用いて固定されている。この熱遮蔽部材27の下端に、シリコン融液Mの表面と対向するように遮熱部を設け、シリコン融液Mの表面からの輻射をカットするとともにシリコン融液Mの表面を保温するようにしてもよい。
第1チャンバ11の上部に接続された第2チャンバ12は、育成したシリコン単結晶Cを収容し、これを取り出すためのチャンバである。第2チャンバ12の上部には、シリコン単結晶をワイヤ31で回転させながら引上げる引上げ機構32が設けられている。引上げ機構32から垂下されたワイヤ31の下端のチャックには種結晶Sが装着される。第1チャンバ11の上部に設けられたガス導入口13から、アルゴンガス等の不活性ガスが導入される。この不活性ガスは、引上げ中のシリコン単結晶Cと熱遮蔽部材27との間を通過した後、熱遮蔽部材27の下端とシリコン融液Mの融液面との間を通過し、さらに石英製の坩堝21の上端へ立ち上がった後、ガス排出口14から排出される。
第1チャンバ11(非磁気シールド材からなる)の外側には、第1チャンバ11を取り囲むように、石英製の坩堝21内の融液Mに磁場を与える磁場発生装置41が配置されている。磁場発生装置41は、石英製の坩堝21に向けて、水平磁場を生じさせるものであり、電磁コイルで構成されている。磁場発生装置41は、坩堝21内の融液Mに生じた熱対流を制御することで、結晶成長を安定化させ、結晶成長方向における不純物分布のミクロなバラツキを抑制する。特に大口径のシリコン単結晶を製造する場合にはその効果が大きい。なお、必要に応じて縦磁場もしくはカスプ磁場を発生させる磁場発生装置としてもよいし、必要に応じて磁場発生装置41を用いなくてもよい。
本実施形態の製造装置1を用いて、CZ法によりシリコン単結晶を育成するには、まず、石英製の坩堝21内に、多結晶シリコンや必要に応じてドーパントからなるシリコン原材料を充填し、ガス導入口13から不活性ガスを導入しガス排出口14から排出しながら、ヒータ25を作動させて坩堝21内でシリコン原材料を融解し、シリコン融液Mとする。続いて、磁場発生装置41を作動させて坩堝21への水平磁場の印加を開始しつつ、シリコン融液Mの温度を引き上げ開始温度となるように調温する。シリコン融液Mの温度と磁場強度が安定したら、駆動機構24によって坩堝21を所定速度で回転させ、ワイヤ31に装着された種結晶Sをシリコン融液Mに浸漬する。そして、図2Aに示すように、ワイヤ31も所定速度で回転させながら静かに引上げて種絞りを形成した後、所望の直径まで拡径し、略円柱形状の直胴部を有するシリコン単結晶Cを成長させる(図2B参照)。
シリコン単結晶Cの引き上げにともない坩堝21の液面が下がり、磁場発生装置41から坩堝21へ水平磁場の印加を含めてホットゾーンの条件が変動する。なおホットゾーンとは、単結晶の育成中にヒータ25からの熱によって高温となる領域をいい、ホットゾーンの条件とは、第1チャンバ11、坩堝21,22、支持軸23、ヒータ25、保温筒26、熱遮蔽部材27、シリコン融液M、シリコン単結晶Cなどの材質、形状、配置又はこれらに起因する各種熱特性をいう。この液面の変動を抑制するため、シリコン単結晶Cの引き上げ中における融液Mの液面の鉛直方向の高さは、駆動機構24によって一定となるように制御される。この駆動機構24の制御は、例えば、坩堝21の位置、CCDカメラなどで測定したシリコン融液Mの液面の位置、シリコン単結晶Cの引上げ長さの情報に応じて実行され、これにより坩堝21の上下方向の位置が駆動機構24によって移動する。
ホットゾーンの条件の一つとして、熱遮蔽部材27の下端と坩堝21の液面との高さ方向のギャップHがあり、製造すべきシリコン単結晶の目標直径、目標酸素濃度その他の製品仕様に応じて、このギャップHも所定値に設定され、引上げ中においてギャップHが所定値を維持するように、坩堝21の駆動機構24その他の製造条件が自動制御される。また、シリコンウェーハの直径に応じたシリコン単結晶の目標直径が設定され、実際に引き上げられる結晶Cの直径を光学的に検出しながら、引上げ速度その他の条件にフィードバックされる。
さて、本発明者らは、石英製の坩堝21の底部のコーナー部の厚さt1(図2A参照)と、これを用いて製造されたシリコン単結晶の酸素濃度(ASTM F−121(1979)に規格された FT−IR法(フーリエ変換赤外分光光度法)による測定値。以下同じ。)との関係を検証したところ、図3Aに示すように強い相関関係があることを見出した。同図の結果は本発明者らが検証した一例であって、仕様が異なる製造装置(いわゆるシリコン単結晶引上げ炉)を用いても同様の強い相関関係があることを確認した。石英製の坩堝21の肉厚(コーナー部や底面部の厚さ)の製造上の個体差、いわゆる製造誤差は、±1mm前後生じる。多数の坩堝21の底部のコーナー部及び中心軸上の厚さを測定し、実測された厚さに応じて酸素濃度(インゴットの平均値)を分析すると図3Aに示すように負の一次的相関関係があることが確認された。同図は、坩堝の底部のコーナー部の最大厚さと酸素濃度との関係を示す。ちなみに、石英製の坩堝21は、その製造上の都合により、坩堝21の底部のうち、コーナーのR部が最も厚く、ここから坩堝21の中心軸に向かって厚さが漸減し、中心軸上が最も薄くなること、及び底部の中心軸上の厚さのばらつきも±1mm前後生じることも確認されている。
図4Aは、ある特定の製造条件(同一の製造装置を用いて、同一仕様のシリコン単結晶を製造する条件など)にて複数のシリコン単結晶を製造した場合のシリコン単結晶の結晶固化率に対する酸素濃度分布の一例を示す図であり、図中の■は複数のシリコン単結晶から切り出された複数のサンプルごとの酸素濃度を示し、曲線はこれらを多項式化したものを示す。この多項式で表された曲線(以下、多項式曲線と称す)は、シリコン単結晶の結晶固化率に対する酸素濃度の平均値の分布である。すなわち、同一の製造条件でシリコン単結晶を製造した場合であっても、結晶固化率に対する酸素濃度分布はシリコン単結晶ごとに同じ分布とならず異なる分布となるが、この多項式曲線は、結晶固化率に対する平均的な酸素濃度分布を示すものである。従って、多項式曲線からの乖離量により、酸素濃度の1回の製造分の間のばらつきを把握することができる。なお、結晶固化率(%)は、引上げ中の結晶重量/原料の仕込み重量の百分率で定義される。
図4Bは、図4Aに示す製造条件、つまり、図4Aと同型の製造装置を用いて、同一仕様のシリコン単結晶を製造する条件(坩堝回転数及びアルゴン流量等の製造条件は同じ)にて、石英製の坩堝21の底部のコーナー部の厚さt1が厚肉のものを選別してシリコン単結晶を製造した場合のシリコン単結晶の結晶固化率に対する酸素濃度分布(+印,実施例1)と、同条件にて石英製の坩堝21を選別しないで(無作為で用いて)シリコン単結晶を製造した場合のシリコン単結晶の結晶固化率に対する酸素濃度分布(■印,比較例1)を示すグラフである。実施例1で用いた石英製の坩堝21のコーナー部の厚さt1は、設計値±1mmのうちの+1mm付近のものを選択したものである。これに対して、図4Cは、図4Aに示す製造条件、つまり、図4Aと同型の製造装置を用いて、同一仕様のシリコン単結晶を製造する条件(坩堝回転数及びアルゴン流量等の製造条件は同じ)にて、石英製の坩堝21の底部のコーナー部の厚さt1が薄肉のものを選別してシリコン単結晶を製造した場合のシリコン単結晶の結晶固化率に対する酸素濃度分布(+印,実施例2)と、同条件にて石英製の坩堝21を選別しないで(無作為で用いて)シリコン単結晶を製造した場合のシリコン単結晶の結晶固化率に対する酸素濃度分布(■印,比較例2)を示すグラフである。実施例2で用いた石英製の坩堝21のコーナー部の厚さt1は、設計値±1mmのうちの−1mm付近のものを選択したものである。
図4Bの厚肉の坩堝21を用いた実施例1(+印)の分布を観察すると、無作為に坩堝を用いた比較例1(■印)の分布に比べて、全体的に低酸素濃度化し、また複数のサンプルのばらつきも小さくなっているのが理解される。図4Dの左側の2つの棒グラフは、図4B及び図4Cに示す実施例1,2及び比較例1,2の、多項式曲線からの乖離量(標準偏差)を示すグラフである。すなわち、図4Dの左側の2つの棒グラフは、図4B及び図4Cの各プロットに対して、これらのプロットの多項式曲線(平均値)を求め、その乖離量から標準偏差を求めたものである。実際、実施例1と比較例1における、多項式曲線との乖離量を算出すると、図4Dに示すように乖離量(標準偏差,×1017atoms/cm3)が、0.35から0.25に改善されている。
図4Cの薄肉の坩堝21を用いた実施例2(+印)の分布を観察すると、無作為に坩堝を用いた比較例2(■印)の分布に比べて、全体的に高酸素濃度化し、また複数のサンプルのばらつきも小さくなっているのが理解される。実際、多項式曲線との乖離量を算出すると、図4Dに示すように乖離量(標準偏差,×1017atoms/cm3)が、0.51から0.32に改善されている。
図4Dに示す実施例3のグラフは、実施例1及び2と同じ製造条件にて、石英製の坩堝21のコーナー部の厚さt1に代えて中心軸上の厚さt2(図2A参照)を基準にし、この厚さt2が厚肉の坩堝21又は薄肉の坩堝21を用いてシリコン単結晶を製造した場合のシリコン単結晶の結晶固化率に対する酸素濃度分布の多項式曲線からの乖離量を示し、同じく比較例3のグラフは、坩堝21の底部の中心軸上の厚さt2を選別しないで(無作為に用いて)シリコン単結晶を製造した場合のシリコン単結晶の結晶固化率に対する酸素濃度分布の多項式曲線からの乖離量を示す。実際、乖離量(標準偏差,×1017atoms/cm3)が、0.41から0.25に改善されている。また、実施例1及び2のように石英製の坩堝21のコーナー部の厚さt1以外にも中心軸上の厚さt2を用いても、図3Aと同様の相関関係があることが確認されている。
したがって、本実施形態においては、製造装置毎又は製造条件毎に、坩堝21の底部のコーナー部の厚さt1又は中心軸上の厚さt2と、製造されたシリコン単結晶Cの酸素濃度[Oi]との相関関係を取得しておき、製造するシリコン単結晶の目標酸素濃度と前記相関関係とにより、適切な坩堝21を選定し、この坩堝21を用いてシリコン単結晶Cを製造する。例えば、図3Bに示すように、相対的に高酸素濃度のシリコン単結晶Cを製造する場合には、坩堝21の底部のコーナー部の厚さt1又は中心軸上の厚さt2が相対的に薄いもの(高[Oi]用)を用い、相対的に中酸素濃度のシリコン単結晶Cを製造する場合には、坩堝21の底部のコーナー部の厚さt1又は中心軸上の厚さt2が相対的に中位のもの(中[Oi]用)を用い、相対的に低酸素濃度のシリコン単結晶Cを製造する場合には、坩堝21の底部のコーナー部の厚さt1又は中心軸上の厚さt2が相対的に厚いもの(低[Oi]用)を用いる。
本実施形態において、石英製の坩堝21の底部のコーナー部又は中心軸上の具体的な厚さt1、t2は特に限定されないが、一例を挙げれば、製造するシリコン単結晶の目標直径が320mm、目標酸素濃度が相対的に小さい10.5×1017atoms/cm3以下である場合は、石英製の坩堝21の底部の中心軸上の厚さt2が、14.5mm〜29mmのものを用いることが望ましいことが本発明者らにより確認されている。これに対して、製造するシリコン単結晶の目標直径が320mm、目標酸素濃度が相対的に大きい11×1017atoms/cm3である場合は、石英製の坩堝21の底部の厚さt1が、例えば12〜14.5mmのものを用いることが望ましいことが本発明者らにより確認されている。
このように目標酸素濃度の相対的な大きさに応じてシリコン融液Mを受容する石英製の坩堝21の底部の厚さt1,t2を選定する理由を説明する。シリコン単結晶Cの酸素濃度は、シリコン融液Mと接触している石英製の坩堝21の内面から当該シリコン融液Mに酸素が溶け込み、融液Mの対流に乗って酸素がシリコン単結晶Cの固液界面に運ばれ、シリコン単結晶Cに取り込まれることにより定まる。そして、石英製の坩堝21の内面の温度が高いほど酸素の融液Mへの溶出速度が大きく、内面の温度が低いほど融液Mへの溶出速度が小さい。ここで、石英製の坩堝21の底部の厚さt1又はt2を厚くすれば、ヒータ25からの熱放射による坩堝21の底部の内面の温度は、相対的に低くなる。坩堝21の内面の温度が低くなるほどシリコン融液Mへ溶出する酸素量が減少する結果、シリコン融液Mの酸素濃度が低下するので、シリコン単結晶インゴットCの酸素濃度も低くなる。逆に、石英製の坩堝21の底部の厚さt1又はt2を薄くすれば、ヒータ25の熱放射による坩堝21の底部の内面の温度は、相対的に高くなる。坩堝21の内面の温度が高くなるほどシリコン融液Mへ溶出する酸素量が増加する結果、シリコン融液Mの酸素濃度が増加するので、シリコン単結晶インゴットCの酸素濃度も高くなる。
図5は、石英製の坩堝21の底部の中心軸上の厚さt2が厚い坩堝(実施例4)と、同厚さt2がそれより薄い坩堝(実施例5)を用いて、目標直径が320mm、目標酸素濃度が11×1017atoms/cm3(実施例5)および10.5×1017atoms/cm3以下(実施例4)のシリコン単結晶を製造した場合に、アルゴンガスの流量(中段グラフ)及び坩堝の単位時間当たりの回転数(下段グラフ)を制御したときの、シリコン単結晶の結晶固化率に対する酸素濃度を測定したグラフ(上段グラフ)である。なお、中段グラフの縦軸のアルゴン流量は、ある基準値を1とした場合の相対値で示し、下段グラフの縦軸の坩堝回転数は、ある基準値を1とした場合の相対値で示す。
シリコン単結晶を製造する場合の製造条件プログラムを用いて自動制御すると、上段グラフの実施例5(薄肉坩堝)に示すように結晶直胴部のトップ部からミドル部に相当する結晶固化率が2〜40%の酸素濃度は10.5×1017atoms/cm3以下にならない。これに対して、中段グラフに示すように、結晶直胴部のトップ部からミドル部に相当する結晶固化率が2〜40%の間においてアルゴンガスの流量を実施例4(厚肉坩堝)のように減少又は増加させると、上段グラフの実施例4に示すように酸素濃度は10.5×1017atoms/cm3以下になる。したがって、この引上げ位置においてアルゴンガスの流量を減少又は増加させる制御を実行すれば、実施例4(厚肉坩堝)において酸素濃度を10.5×1017atoms/cm3以下にすることができる。
また、下段グラフに示すように、結晶直胴部のトップ部、ミドル部及びボトム部に相当する結晶固化率が12.5〜98%の間において坩堝21の単位時間当たりの回転数を実施例4のように増加(12.5〜74%)又は減少(74〜98%)させると、上段グラフの実施例4に示すように酸素濃度は、ボトム部を除き10.5×1017atoms/cm3以下になる。
このように、本実施形態では、基本的な酸素濃度の増加又は減少は、石英製の坩堝21の底部の厚さt1,t2を厚くする又は薄くすることで対応し、部位による酸素濃度の変動は、その結晶固化率(引上げ長さに相関する)に応じて、第1チャンバ11内に導入する不活性ガスの流量(流量を増加させると酸素濃度が大きくなり、流量を減少させると酸素濃度が小さくなる)又は石英製の坩堝21の単位時間当たりの回転数(回転数を大きくすると酸素濃度が大きくなり、回転数を小さくすると酸素濃度が小さくなる)で調整する。これにより、坩堝21の底部の厚さt1,t2を目標酸素濃度に応じて選定するだけで、シリコン単結晶インゴットの酸素濃度を許容範囲に維持することができる。その結果、石英製の坩堝21に製造上の個体差又は使用時間差があってもこれらを有効に活用することができる。換言すれば、石英製の坩堝21の底部の厚さt1又はt2を管理して使用することにより、製造されるシリコン単結晶Cの1回の製造分の間のばらつきを小さくすることができる。これに加えて、石英製の坩堝21の底部の厚さt1,t2を、例えば厚い・中位・薄いの3段階に選別し、それぞれを低酸素濃度・中酸素濃度・高酸素濃度のシリコン単結晶の製造に用いれば、複雑な制御を実行しなくても容易に低酸素濃度・中酸素濃度・高酸素濃度のシリコン単結晶を得ることができる。
なお、石英製の坩堝21は、長時間の使用によって坩堝材料が溶出し底部の厚さt1,t2が減少するので、使用時間又は底部の厚さt1,t2に応じて、シリコン単結晶を製造する場合の製造条件プログラムによる自動制御の設定値を変更してもよい。
1…シリコン単結晶の製造装置
11…第1チャンバ
12…第2チャンバ
13…ガス導入口
14…ガス排出口
21…石英製の坩堝
22…黒鉛製の坩堝
23…支持軸
24…駆動機構
25…ヒータ
26…保温筒
27…熱遮蔽部材
28…ブラケット
31…ワイヤ
32…引上げ機構
41…磁場発生装置
M…シリコン融液
C…シリコン単結晶
S…種結晶

Claims (5)

  1. チャンバ内に回転及び昇降可能に設けられた石英製の坩堝にシリコン原材料を投入し、
    前記坩堝の周囲に設置されたヒータにより前記シリコン原材料を融解し、
    垂下した種結晶をシリコン融液に浸漬し、
    前記種結晶を引上げてシリコン単結晶を製造するシリコン単結晶の製造方法において、
    前記坩堝の底部のコーナー部又は中心軸上の厚さと、製造されたシリコン単結晶の酸素濃度との相関関係を取得し、
    目標酸素濃度と前記相関関係とにより選定された坩堝を用いるシリコン単結晶の製造方法。
  2. 前記坩堝の底部のコーナー部又は中心軸上の厚さを測定し、
    当該測定結果と、前記目標酸素濃度と、前記相関関係とから、用いる坩堝を選定する請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. 前記シリコン単結晶の結晶固化率に応じて、前記坩堝の単位時間当たりの回転数を増加又は減少させる請求項1又は2に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 前記シリコン単結晶の結晶固化率に応じて、前記チャンバ内に導入する不活性ガスの流量を増加又は減少させる請求項1〜3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  5. 目標酸素濃度が大きいほど前記坩堝の底部のコーナー部又は中心軸上の厚さが薄いものを用い、
    目標酸素濃度が小さいほど前記坩堝の底部のコーナー部又は中心軸上の厚さが厚いものを用いる請求項1〜4のいずれか一項に記載のシリコン単結晶の製造方法。
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