JP7082550B2 - シリコン単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はシリコン単結晶の製造方法に関し、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)用基板等で望まれている低炭素シリコン単結晶を、チョクラルスキー法(Czochralski法;CZ法)を用いて製造するシリコン単結晶の製造方法に関する。
高耐圧向けのIGBT用シリコン基板には、キャリアのライフタイムに影響する酸素析出物の少ない、FZ(Floating Zone)法を用いて製造されたシリコン単結晶が用いられている。しかしながら、このFZ法では、φ300mm以上の大口径のシリコン単結晶の育成が難しく、生産コストも嵩むという問題があった。
そのため、近年、量産性に優れ、低コストのCZ法を用いて製造されたシリコン単結晶の転換が望まれている。
一方、CZ法を用いてシリコン単結晶を製造する場合、石英ガラスルツボ(SiO)を使用するため高濃度の酸素がシリコン単結晶に取り込まれる。
その結果、CZ法を用いて製造されたシリコン単結晶では、酸素析出核の成長が進み、FZ法によるシリコン結晶と同等の結晶特性を有するシリコン単結晶を得ることができないという問題があった。
これを解決するため、CZ法のシリコン単結晶の製造方法において、酸素析出核の形成を促進する炭素の濃度を低減することにより、CZ法により製造されたシリコン単結晶を、IGBT用のシリコン基板に適用することが試みられている。
この酸素析出核の形成を促進する炭素の濃度を低減する技術として、例えば、特許文献1において、シリコン原料の溶融方法が提案されている。
具体的には、石英るつぼ内のシリコン融液を融点より高い温度に昇温して30分間以上保持した後に融点まで降温し、該融液中にシリコンの種結晶を浸漬し引き上げることによって結晶成長を開始する低炭素シリコン結晶成長方法が提案されている。
この低炭素濃度のシリコン結晶成長方法は、シリコン融液中の炭素と、石英、特に、石英るつぼ自体の酸素の反応を加速するためにヒータパワーを増大して、融液の温度を従来の成長工程における温度よりも上昇させて、石英るつぼの溶解を促進し、石英るつぼから融液中に溶出する酸素の量を増やし、2C+SiO→2CO+Si・・・(1)なる反応をより起こり易くし、シリコン融液中の炭素をCOの形で高温のシリコン融液から放出させて除去するものである。
より具体的に述べれば、
通常、石英るつぼ(SiO )は、その中のシリコン融液(Si)と反応してSiOを発生する。SiO+Si→2SiO・・・(2)
このSiOは、グラファイト製のヒータや断熱材とさらに反応することによってCOを発生する。SiO+C→CO+Si・・・(3)
そして、(2)と(3)の反応によって発生してシリコン融液中に取り込まれるCOの量と、(1)の反応によって発生し放出されるCOの量の平衡状態が保たれる。
しかしながら、前記特許文献1に記載されたシリコン単結晶の成長方法にあっては、この平衡を、ヒータパワーを増大することによって破り、(1)の反応によるCOの放出量が、シリコン融液へのCOの溶け込み量より優勢になるようにして、シリコン融液からCOを除去するものである。
特開平5-339093号公報
ところで、前記特許文献1に記載されたシリコン単結晶の成長方法にあっては、シリコン原料の融液を高温に保ち、COガスの蒸発を促進しても、シリコン単結晶の低炭素化は困難であった。
これは、シリコンの融液を高温に保つことによって、融液中のCOガスの蒸発は促進される一方、同時に融液からのSiOガスの蒸発量が増加する。また、融液を高温に保つことにより、石英るつぼの周囲に配置された、グラファイト製のヒータや断熱材等の部材が高温になるため、前記した蒸発したSiOガスと前記部材との反応も促進され、COガスが多量に発生する。
その結果、融液からのCOガスの蒸発量よりも、融液に取り込まれるCOガスが多くなり、低炭素濃度の融液にすることができず、結局、低炭素濃度のシリコン単結晶を製造することができないという課題があった。
本発明者らは、融液から蒸発するSiOガスの蒸発量を極力抑制することによって、低炭素濃度の融液にし、低炭素濃度のシリコン単結晶を製造することを鋭意研究した。
その結果、シリコン原料が特定量溶けた後、ヒータの出力を低出力とし、その低出力の状態で溶融を完了させることによって、融液から蒸発するSiOガスの蒸発量を抑制できることを知見した。
即ち、SiOガスの蒸発量が抑制されることにより、融液に取り込まれるCOガスも抑制でき、低炭素濃度の融液とすることができる。そして、低炭素濃度の融液からシリコン単結晶を引き上げることで、低炭素濃度のシリコン単結晶を製造することができることを想到するに至り本発明を完成した。
本発明は、上記状況のもとなされたものであり、CZ法において、融液から蒸発するSiOガスの蒸発量を極力抑制することによって、低炭素濃度のシリコン単結晶を製造する、シリコン単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた、本発明にかかるシリコン単結晶の製造方法は、チョクラルスキー法を用いたシリコン単結晶の製造方法において、ヒータにより、ルツボ内に収容したシリコン原料を加熱し溶融を行い、融液表面に浮遊するシリコン原料の量と、ヒータ出力の低下率と、溶融後に引き上げたシリコン単結晶の炭素濃度との関係を予め調べる第1工程と、シリコン単結晶の炭素濃度から浮遊するシリコン原料の量と、ヒータ出力の低下率を決定する第2工程と、ヒータにより、ルツボ内に収容したシリコン原料を加熱し溶融を行い、融液表面に浮遊するシリコン原料の量を測定する第3工程と、融液表面に浮遊するシリコン原料が特定量にとなったタイミングで、ヒータ出力を特定の低下率で出力を低下させ、前記低下させたヒータ出力で、シリコン原料の溶融を完了する第4工程と、第4工程の後、シリコン結晶育成を行う第5工程と、を含むことを特徴としている。
このように、本発明によれば、融液表面に、特定量のシリコン原料が浮遊する状態でヒータ出力を低下させ、このヒータ出力を維持して、全てのシリコン原料を溶融するため、従来の場合のように、ヒータ出力が高い状態で、全てのシリコン原料を溶融する場合に比べて、融液から蒸発するSiOガスの蒸発量を抑制することができる。
その結果、融液に取り込まれるCOガスを抑制でき、低炭素濃度の融液にすることができ、低炭素濃度のシリコン単結晶を製造することができる。
ここで、融液表面に浮遊するシリコン原料の量は、融液表面に浮遊するシリコン原料の面積により、特定されることが望ましい。
融液表面に浮遊するシリコン原料の量を体積で特定することも考えられるが、その体積を求めることは困難である。一方、シリコン原料の量を面積で特定する場合には、撮像カメラ等で容易に測定することができる。
また、融液表面に浮遊するシリコン原料が特定量にとなったタイミングは、シリコン原料が全て溶融した場合の融液表面の面積を基準として、その面積の15~35%が浮遊するシリコン原料となった時点であることが望ましい。
尚、ヒータ出力を低下するタイミングが、前記基準とした面積の15%未満が融液表面に浮遊するシリコン原料となる時点では、既に大量のSiOが蒸発した後のため、炭素濃度を十分に低下したシリコン結晶を得ることが難しい。一方、前記基準とした面積の35%超える時点では、サイクルタイムが悪化するため好ましくない。
また、前記ヒータ出力の低下率は、5~15%であることが望ましい。ここで、ヒータが複数存在する場合は、総出力に対する低下率となる。
尚、ヒータ出力の低下率が5%未満である場合、融液から蒸発するSiOガスの蒸発量を抑制できないため、好ましくない。一方、低下率が15%超える場合、サイクルタイムが悪化する、もしくは浮遊するシリコン原料が溶融しない虞があり、好ましくない。
また、前記ヒータ出力が130~170KWであることが望ましい。
このように、ヒータ出力を130~170KWの場合には、融液表面に浮遊するシリコン原料の表面積が、シリコン原料が全て溶融した場合の融液表面を基準とした表面積の15~35%となった時点で、前記ヒータ出力を5~15%低下させ、前記低下させたヒータ出力で、浮遊する全てのシリコン原料の溶融を完了するため、従来の場合のように、ヒータ出力が高い状態で、全てのシリコン原料を溶融する場合に比べて、融液から蒸発するSiOガスの蒸発量を抑制することができる。
その結果、融液に取り込まれるCOガスを抑制でき、低炭素濃度の融液にすることができ、低炭素濃度のシリコン単結晶を製造することができる。
本発明によれば、CZ法において、融液から蒸発するSiOガスの蒸発量を極力抑制することによって、低炭素濃度のシリコン単結晶を製造する、シリコン単結晶の製造方法を得ることができる。
図1は、本発明にかかるシリコン単結晶の製造方法を示すフローチャート図である。 図2は、シリコン原料の溶融過程を示す概念図である。 図3は、浮遊するシリコン原料の面積を測定するための装置を含むシリコン単結晶引き上げ装置の概略構成図である。
まず、本発明にかかるシリコン単結晶の製造方法に用いられる、浮遊するシリコン原料の面積を測定するための装置を含むシリコン単結晶引き上げ装置について、図3に基づいて説明する。
本発明に係わるシリコン単結晶の製造方法が適用されるシリコン単結晶引上装置10は、図3に示すように、シリコン融液M(以下、融液ともいう)に浮遊するシリコン原料の検出を行う撮像カメラ2(CCDカメラ)を備えている。また、撮像カメラ2(CCDカメラ)によって撮像された撮像データは、撮像処理部2aで処理された後、演算処理・制御部2bによって、シリコン融液M中に残存する固体の状態のシリコン原料の面積が算出されるように構成されている。
即ち、シリコン原料が全て溶融した場合の融液表面の面積は予め記憶部2cに記憶されているおり、シリコン原料が全て溶融した場合の融液表面の面積を基準とした、固体の状態のシリコン原料の面積の割合が算出されるように構成されている。
尚、撮像カメラ2(CCDカメラ)は、炉体11の斜め上方向(シリコン融液Mの液面から45度以上75度以下)から撮像するために、炉体11には監視窓11Aが設けられている。
また、シリコン単結晶引き上げ装置10は、一般的なシリコン単結晶引き上げ装置を用いることができる。
具体的に説明すると、シリコン単結晶引き上げ装置10は、炉体11と、炉体11内に配置され、シリコン原料(主に、ポリシリコン)を保持するルツボ1と、ルツボ1の外周囲に設けられ、ルツボ1を加熱し、ルツボ1内に保持されたシリコン原料を溶融してシリコン融液Mとするヒータ12と、シリコン融液Mの上方に配置され、CZ法によりシリコン融液Mから引上げたシリコン単結晶(図示せず)への輻射熱を遮断する円筒形状の熱遮蔽体13を備える。
尚、前記ヒータ12はヒータ制御部12aによってヒータ出力が制御可能に構成されている。
前記ルツボ1は、シリコン融液Mを保持する石英ルツボ1aと、石英ルツボ1aを収容するカーボンルツボ1bとを備える。ヒータ12の外周囲には第1保温部材14が設けられ、第1保温部材14の上部には、ヒータ12と一定の間隔を有して第2保温部材15が設けられている。熱遮蔽体13は上下方向に移動可能に構成され、撮像カメラ2によって融液を撮影する際には、移動手段(図示せず)により上方に移動し、またシリコン単結晶を引き上げる際には、シリコン融液の液面近傍に配置されるように構成されている。
また、熱遮蔽体13の上方には、熱遮蔽体13の内周側、熱遮蔽体13とシリコン融液Mとの間を通って、ルツボ1の下方に位置する排出口16から炉体11外に排出されるキャリアガスG1を供給するキャリアガス供給口17が設けられている。
前記ルツボ1の上方には、図示しないが、シリコン単結晶を育成するために用いられる種結晶を保持するシードチャックが取り付けられた引上用ワイヤ(図示せず)が設けられている。引上用ワイヤは、炉体外に設けられた回転昇降自在なワイヤ回転昇降機構に取り付けられている。
また、前記ルツボ1は、炉体11の底部を貫通し、炉体11外に設けられたルツボ回転昇降機構18によって回転昇降可能なルツボ回転軸19に取付けられている。
前記キャリアガス供給口17には、マスフローコントローラ20を介して、炉体11内にキャリアガスG1を供給するキャリアガス供給部21が接続されている。また、排出口16には、バタフライ弁22を介して、熱遮蔽体13の内周側、熱遮蔽体13とシリコン融液Mとの間を通ったキャリアガスG1を排出するキャリアガス排出部23が接続されている。
そして、マスフローコントローラ20を調整することで炉体11内に供給するキャリアガスG1の供給量を、バタフライ弁22を調整することで炉体11内から排出する排出ガス(キャリアガスG1及びシリコン融液Mから発生したSiOxガス等も含む)の排出量をそれぞれ制御する。
次に、本発明にかかるシリコン単結晶の製造方法について説明する。
図1、図3に示すように、チョクラルスキー法を用いたシリコン単結晶の製造方法において、ヒータ12により、ルツボ1内に収容したシリコン原料を加熱し溶融を行い、シリコン融液表面に浮遊するシリコン原料の量と、ヒータ12の出力の低下率と、溶融後に引き上げたシリコン単結晶の炭素濃度との関係を予め調べる第1工程S1と、シリコン単結晶の炭素濃度から浮遊するシリコン原料の量と、ヒータ12の出力の低下率を決定する第2工程S2とを含む、準備工程を備えている。
更に、図1、図3に示すように、本発明にかかるシリコン単結晶の製造方法は、前記準備工程後、シリコン原料を加熱し溶融し、シリコン単結晶の引き上げを行う実施工程を備えている。
この実施工程は、ヒータ12により、ルツボ1内に収容したシリコン原料を加熱し溶融を行い、シリコン融液表面に浮遊するシリコン原料の量を測定する第3工程S3と、シリコン融液表面に浮遊するシリコン原料が特定量にとなったタイミングで、ヒータ出力を特定の低下率で出力を低下させ、前記低下させたヒータ出力で、シリコン原料の溶融を完了する第4工程S4と、第4工程の後、シリコン結晶育成を行う第5工程S5と、を含んでいる。
更に、準備工程である第1工程S1、第2工程S2について詳しく説明する。
第1工程S1において、ルツボ1内の融液表面に浮遊するシリコン原料の量とヒータ12出力の低下率を種々変えて作成した、シリコン融液を用いてシリコン単結晶を引き上げ、得られたシリコン単結晶の炭素濃度を測定する。
この融液表面に浮遊するシリコン原料の量は、シリコン原料が全て溶融した場合の融液表面の面積を基準とした、固体の状態のシリコン原料の面積の割合を意味する。
具体的に説明すると、図2(a)に示しように、ルツボ1内にシリコン原料を収容し、ヒータ12の出力130~170KWでシリコン原料を加熱し溶融を行う。
このとき、ルツボ1内に収容されるシリコン原料PSの量に応じて、シリコン原料PSの融点より高い温度に昇温するように、ヒータ出力130~170KWの範囲内において調整される。尚、図2(b)の溶融終盤時、融液の温度は、融点~1450℃、浮遊する原料は1300℃~融点付近の温度となる。
そして、このシリコン原料PSの溶融状態を上方から撮像カメラ2で、シリコン原料PSが全て溶融した場合(図2(d))のシリコン融液Mの表面の面積を基準として、シリコン融液M中に残存する固体の状態のシリコン原料の面積の割合を測定する。
即ち、図2(d)のルツボ1の平面図に示す融液表面の面積を1として、残存する(浮遊する)固体の状態のシリコン原料PSの面積の割合を測定する。
この測定は、図3に示すように、シリコン原料PSの溶融状態を上方から撮像カメラ2で撮像し、撮像処理部2aで処理された後、演算処理・制御部2bによって残存する固体の状態のシリコン原料の面積が算出される。
また、演算処理・制御部2bでは、シリコン原料PSが全て溶融状態を上方から撮像カメラ2で撮像し、求められた融液Mの表面の面積を記憶部2cから呼び出し、シリコン原料PSが全て溶融した場合の融液表面の面積に対する、残存する固体の状態のシリコン原料の面積の割合を算出する。
尚、全て溶融した場合の融液表面の面積に対する、残存する固体の状態のシリコン原料の面積の割合を算出する方法については、一般的に知られている画像処理装置、方法を用いることができる。また、本発明では撮像カメラを用いているが、残存する固体の状態のシリコン原料はルツボの回転により表面中心部に円状にまとまる様に浮遊するため、結晶径を測定する機構でも代用可能である。
そして、測定の結果、浮遊するシリコン原料が特定の割合になった際、ヒータ12の出力を特定の低下率で低下させる。これにより、シリコン融液は降温し、融点近傍の温度になされる。このヒータ12の出力は、シリコン原料が全て溶融するまで維持される。
このヒータ出力の低下率は、融液の温度がシリコンの融点近傍の温度になされる必要がある。シリコンの融点以下の温度になる場合には、融液が凝固し、シリコン単結晶の引き上げを行うことができないためである。
そして、残存する(浮遊する)固体の状態のシリコン原料の面積の割合が、異なる割合において、ヒータ出力の低下率を種々変化させ、残存する固体の状態のシリコン原料を全て溶融した後、同一の引き上げ条件下で、シリコン単結晶を引き上げ、シリコン単結晶の炭素濃度を測定する。
尚、炭素濃度測定は、フォトルミネッセンス(PL)法を用いることにより、測定できる(S. Nakagawa, K. Kashima, M. Tajima, Proceedings of the Forum on the Science and Technology of Silicon Materials 2010 (2010) 326 参照)。
そして、第2工程において、第1の工程によって得られたシリコン単結晶の炭素濃度から、最も炭素濃度が低くなる、あるいは必要とする炭素濃度となる、浮遊するシリコン原料の量と、ヒータ出力の低下率を求め、決定する。
具体的には、融液表面に浮遊するシリコン原料の面積が、シリコン原料が全て溶融した場合の融液表面を基準として、15~35%となった時点(タイミング)で、ヒータ制御部12aによって、ヒータ出力の低下させるのが好ましい。即ち、15~35%の範囲内で選択するのが好ましい。
ヒータ出力を低下するタイミングが、融液表面に浮遊するシリコン原料の面積が、前記基準とした面積の15%未満となった時点では、既に大量のSiOが蒸発した後のため低出力の効果が得られず、炭素濃度を十分に低下した結晶を得ることが難しい。
一方、前記基準とした面積の35%超える時点では、サイクルタイムが悪化するため好ましくない。
また、ヒータ12の出力の低下率は5~15%であり、5~15%の範囲内で選択するのが好ましい。
ヒータ出力の低下率が5%未満である場合、ヒータの出力の下げ幅が小さく低出力の効果が得られず、炭素濃度を十分に低下した結晶を得ることが困難である。一方、低下率が15%超える場合、サイクルタイムが悪化する、もしくはシリコン原料が溶融しない虞があるため、好ましくない。
このヒータ出力は、シリコン原料が全て溶融するまで維持される。
即ち、過剰なSiOの蒸発を防ぐためには、可能な限り融点付近の温度を維持した状態で、シリコン原料の溶融を完了することが重要となる。そのため、ある程度シリコン原料が溶けた後、低出力で溶融を完了させることで、融液に取り込まれるCOガスを抑制し、低炭素濃度の融液に形成することができる。
次に、前記準備工程の後、実施工程として、図2に示すように、ルツボ内に収容したシリコン原料を加熱し溶融を行い、シリコン融液表面に浮遊するシリコン原料の量を測定する第3工程S3と、シリコン融液表面に浮遊するシリコン原料が特定量にとなったタイミングで、ヒータ出力を特定の低下率で出力を低下させ、前記低下させたヒータ出力で、シリコン原料の溶融を完了する第4工程S4と、第4工程の後、シリコン結晶育成を行い、シリコン単結晶を引上げる第5工程と、を備えている。
まず、第3工程において、図2(a)に示すように、ルツボ内にシリコン原料を収容し、ヒータ12の出力130~170KWでシリコン原料を加熱し溶融を行う。
このとき、準備工程S1で行ったヒータ出力と同一のヒータ出力で、シリコン原料を加熱し溶融を行う。尚、ルツボ、ヒータ等は準備工程で用いたものと同一の装置、同一部材を用い、シリコン原料も同量とした。即ち、実施工程と準備工程は同一の条件のもと行われる。
そして、図2(b)に示すように、ルツボ1内に収容したシリコン原料PSの溶融を行い、融液表面に浮遊するシリコン原料PSの量を測定する。
この測定は、準備工程と同様に、撮像カメラ2を用いて行い、シリコン融液の浮遊するシリコン原料PSの面積を測定する。
そして、シリコン原料が全て溶融した場合の融液の表面の面積を基準として、その面積の15~35%が浮遊するシリコン原料となった時点で、ヒータ出力を低出力に切り換える。
また、ヒータ出力を低出力に切り換えは、準備工程S2で決定した特定の低下率になされる。そして、図2(c)、図2(d)に示すように、前記低下させたヒータ出力で、シリコン原料の溶融を完了する。
前記ヒータ出力の低下率は、5~15%の範囲内の準備工程S2で決定した特定の低下率である。尚、ヒータを低出力にすることで、サイクルタイムの悪化も懸念されるが、融点に近い状態で溶融が完了することで、その後ネック開始温度までの調整時間が短縮されるため、大幅な時間ロスには繋がらない。
更に、前記シリコン原料を溶融した、融液を用いて、準備工程におけるシリコン単結晶の引上げと同一の条件で、シリコン単結晶の引上げを行う。
準備工程における引上げと同一の条件で、シリコン単結晶の引上げを行うことにより、準備工程におけるシリコン単結晶と同等の炭素濃度を有するシリコン単結晶を得ることができる。
(実施例1~実施例9)
シリコン単結晶引き上げ装置として、図3に示すような浮遊するシリコン原料の面積を測定するための装置を含むシリコン単結晶引き上げ装置を用いた。そして、ルツボ内(内径:Φ790mm)に収容したシリコン原料(350kgチャージ)を準備し、溶融終盤時において、シリコン原料が全て溶融した場合の融液表面の面積を基準として、融液表面に浮遊するシリコン原料の面積が15%となった時点で、ヒータ12の出力を5%低下させ、シリコン原料の溶融を行い、溶融後にシリコン単結晶を引き上げ、炭素濃度との関係を調べた(実施例1)。
同様に、表1に示すように、融液表面に浮遊するシリコン原料の面積とヒータ出力を種々変えて、融液表面に浮遊するシリコン原料の量と、ヒータ出力の低下率と、溶融後に引き上げたシリコン単結晶の炭素濃度との関係を調べた(実施例1~実施例9)。
この結果を表1に示す。
このときの、他のシリコン原料の溶融条件は、ヒータ総出力:170KW、Ar流量:100L/min、炉内圧:15torr、ルツボ位置はサイドヒーター上端よりもカーボンルツボ上端が100mm下となる配置とした。また、シリコン単結晶の引上げ条件としては、Ar流量:130L/min、炉内圧:40torr、引上げ速度:0.55mm/min、結晶回転:9rpm、ルツボ回転:0.5rpm、また輻射シールドと融液表面との距離は60mmとした。
ヒータ出力の低下率は、溶融工程におけるヒータ出力(170KW)に対する低下率(%)とした。このシリコン単結晶の炭素濃度は、固化率0.65時点における炭素濃度を評価した。この炭素濃度測定においては、フォトルミネッセンス(PL)法を用いた。
尚、従来のシリコン単結晶の炭素濃度2.1×1015atoms/cm(比較例5)に比べて炭素濃度の低減効果が大きい場合には「○」を付し、炭素濃度の低減効果が小さいもしくは効果があるもののサイクルタイムが悪化する場合には、「△」を付した。
Figure 0007082550000001
(比較例1~2、実施例10、11
表2に示すように、シリコン融液表面に浮遊するシリコン原料の量を10%、25%、45%、ヒータ出力の低下率を3%、10%、20%とした以外は、実施例1~9と同様とし、融液表面に浮遊するシリコン原料の量と、ヒータ出力の低下率と、溶融後に引き上げたシリコン単結晶の炭素濃度との関係を調べた(比較例1~2、実施例10、11)。この結果を表2に示す。
また、比較例3として、ルツボ内に収容したシリコン原料を準備し、ヒータ出力を低下させることなくシリコン原料の溶融を完了し、その後の結晶育成を行った。この結果を表2に示す。
Figure 0007082550000002
上記結果より、実施例10、11に示す上記のような条件では、炭素濃度を低くできるものの、結晶の溶融に少し時間がかかる。また比較例1、2に示す上記のような条件では、炭素濃度がやや高くなることが確認された。また、比較例3にあっては、得られた結晶の炭素濃度は、2.1×1015atoms/cmであり、炭素濃度が高いことが確認された。
そして、上記実施例1~9の結果から、ヒータ出力を低下するタイミングと、ヒータ出力の低下率を決定する。
例えば、製品用結晶において所望する炭素濃度が5.0×1014atoms/cmである場合、ヒータ出力を低下するタイミングを、シリコン原料が全て溶融した場合の融液表面を基準として、その表面積の25%が融液表面に浮遊するシリコン原料となる時点とし、その時点におけるヒータ出力の低下率を10%と決定する。
上記決定したヒータ出力を低下するタイミングとヒータ出力の低下率とに基づいて、またシリコン原料の溶融条件、シリコン単結晶の育成条件を、前記実施例1と同一にして、製品結晶用のシリコン原料の溶融を完了し、その後の結晶育成を行った。
その結果、得られた製品用結晶の炭素濃度は、4.6×1014atoms/cmであり、低炭素濃度のシリコン単結晶を得ることができた。
本発明によれば、原料の溶融状態に合わせてヒータ出力を制御することで、過剰なSiOガスの蒸発を抑制できるため、低炭素濃度のシリコン結晶を得ることができる。
1 ルツボ
2 撮像カメラ
12 ヒータ
PS シリコン原料
M 融液

Claims (5)

  1. チョクラルスキー法を用いたシリコン単結晶の製造方法において、
    ヒータにより、ルツボ内に収容したシリコン原料を加熱し溶融を行い、融液表面に浮遊するシリコン原料の量と、ヒータ出力の低下率と、溶融後に引き上げたシリコン単結晶の炭素濃度との関係を予め調べる第1工程と、
    シリコン単結晶の炭素濃度から浮遊するシリコン原料の量と、ヒータ出力の低下率を決定する第2工程と、
    前記第1の工程と同一条件で、ヒータにより、ルツボ内に収容したシリコン原料を加熱し溶融を行い、融液表面に浮遊するシリコン原料の量を測定する第3工程と、
    融液表面に浮遊するシリコン原料が特定量にとなったタイミングで、ヒータ出力を特定の低下率で出力を低下させ、前記低下させたヒータ出力で、シリコン原料の溶融を完了する第4工程と、
    第4工程の後、シリコン結晶育成を行う第5工程と、
    を含むことを特徴とするシリコン単結晶の製造方法。
  2. 融液表面に浮遊するシリコン原料の量は、融液表面に浮遊するシリコン原料の面積により、特定されることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  3. 融液表面に浮遊するシリコン原料が特定量にとなったタイミングは、シリコン原料が全て溶融した場合の融液表面の面積を基準として、その面積の15~35%が浮遊するシリコン原料となった時点であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の製造方法。
  4. 前記ヒータ出力の低下率は、5~15%であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
  5. 前記ヒータ出力が130~170KWであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のシリコン単結晶の製造方法。
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