JP5580547B2 - タイヤに作用する上下力の推定方法 - Google Patents

タイヤに作用する上下力の推定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5580547B2
JP5580547B2 JP2009100178A JP2009100178A JP5580547B2 JP 5580547 B2 JP5580547 B2 JP 5580547B2 JP 2009100178 A JP2009100178 A JP 2009100178A JP 2009100178 A JP2009100178 A JP 2009100178A JP 5580547 B2 JP5580547 B2 JP 5580547B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tire
sensor
vertical force
strain
estimated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009100178A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010247695A (ja
Inventor
秀彦 日野
康弘 久保田
明宏 三好
五郎 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2009100178A priority Critical patent/JP5580547B2/ja
Publication of JP2010247695A publication Critical patent/JP2010247695A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5580547B2 publication Critical patent/JP5580547B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Description

本発明は、サイドウォール部におけるタイヤ歪を測定することにより、タイヤに作用する上下力を推定する推定方法に関する。
近年、タイヤの一方側のサイドウォール部に3個以上の歪センサを周方向の異なる位置に取り付け、所定のタイヤ回転位置Qにてタイヤ歪を同時に測定するとともに、これによって得た3個の同時のセンサ出力t〜tによって、タイヤに作用する前後力Fx、横力Fy、及び上下力Fz(以下、これらを総称して3分力という場合がある。)をそれぞれ推定する技術が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
ここで、各歪センサが計測するタイヤ歪εは、前後力Fxによる歪εxと、横力Fyによる歪εyと、上下力Fzによる歪εzとの和としてしか現れない。しかし、異なる周方向位置においては、前後力Fxとその歪εxとの関係、横力Fyとその歪εyとの関係、及び上下力Fzとその歪εzとの関係が、周方向の位置毎にそれぞれ異なって現れるという特性を有する。従ってこの特性を利用し、異なる周方向位置で同時に測定した3個のセンサ出力t〜tを用いることにより、そのとき作用した3分力Fx、Fy、Fzをそれぞれ分離させて推定することが可能となるのである。
具体的には、前記3個のセンサ出力t〜tから下記の3つの連立式(b)である行列式(c)を求め、その逆行列(d)を解くことにより3分力を分離している。なお係数A〜A、B〜B、C〜Cは、3分力Fx、Fy、Fzをそれぞれ違えた事前の荷重付加試験の実験データを回帰分析することにより求めた回帰係数である。
=A・Fx+B・Fy+C・Fz
=A・Fx+B・Fy+C・Fz
=A・Fx+B・Fy+C・Fz −−−(b)

┌t┐ ┌A┐ ┌Fx┐
│t│ = │A│・ │Fy│ −−−(c)
└t┘ └A┘ └Fz┘

┌Fx┐ ┌A┐−1 ┌t
│Fy│ = │A│ │t│ −−−(d)
└Fz┘ └A┘ └t
特開2005−126008号公報
しかしながら、前記推定方法では、少なくとも3個の歪センサが必要となる。又演算に対しても、3分力Fx、Fy、Fzを同時解法するロジックをプログラミングする必要があるため、プログラムの複雑化を招くという問題がある。
このような状況に鑑み、本発明者は、走行中のタイヤ歪εを測定することによって得られる歪センサのセンサ出力波形D1に着目して研究を行った。その結果、以下のことを見出し得た。即ち、図11(A)に例示するように、一定の上下力Fzが作用している場合(Fx=0、Fy=0)、センサ出力Vは周期的に変化し、そのセンサ出力波形D1は、上下力Fzの値毎に特定の波形を示している。従って、予め上下力Fz毎のセンサ出力波形D1が求まっておれば、逆に、回転角度βとセンサ出力Vとから、そのとき作用する上下力Fzを推定することは、一応可能である。しかし実際には、回転角度βによって、上下力Fzの変化に対するセンサ出力の変化の大きさが大幅に相違するため、回転角度βの僅かな違いによって、上下力Fzの推定値が大幅にバラ付いてしまう。従って、予め上下力Fz毎のセンサ出力波形D1が求まっているとしても、そこから実用に足る推定精度をうることは困難である。
これに対して、2つの歪センサ(便宜上、第1、第2の歪センサとして区別する)を、同一円周線上でかつタイヤ軸芯を挟んだ両側に対置させて取り付けた場合における、第1の歪センサによるセンサ出力波形D1と、第2の歪センサによるセンサ出力波形D2とを、図11(A)、(B)に例示する。センサ出力波形D2は、センサ出力波形D1の位相を180°ずらしたものと実質的に等しい。しかし、図12に示す如く、前記センサ出力波形D2におけるセンサ出力V2からセンサ出力波形D1におけるセンサ出力V1を引いた出力差ΔV(=V2−V1)の波形においては、上下力Fz毎の出力差ΔVの波形同士が平行に近づき、しかも回転角度βが90°近辺の領域Sa及び回転角度βが270°近辺の領域Sa以外の領域において比較的フラットとなる矩形波形状をなす。
このことは、前記回転角度βに関わらず出力差ΔVと上下力Fzとの関係が安定しており、回転角度βによる上下力Fzの推定値のバラ付きが少ないことを意味する。又タイヤ軸芯回りのモーメント(図13(A)に示す)、横力Fy(図13(B)に示す)がタイヤに作用した場合360°の全てのサイドウォール部で、一方向の歪(例えば引張歪)しか発生せず、従って、出力差ΔVを用いた場合には、タイヤ軸芯回りのモーメントによる歪の影響が打ち消されるとともに、横力Fyによる歪の影響が打ち消されることとなる。従って、出力差ΔVを用いることにより、タイヤ軸芯回りのモーメント、横力Fy、及び回転角度βの誤差等に影響されることがなくなり、実用に足る高い精度で上下力Fzを推定することが可能となる。なお図11、12における回転角度βは、図5に示す座標系に従っている。
本発明は、出力差ΔVを用いることで、実用に足る高い精度で上下力Fz推定することが可能となり、歪センサの設置数の削減を図り、かつ解析プログラムの複雑化を防ぎうるタイヤに作用する上下力の推定方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本願請求項1の発明は、タイヤのサイドウォール部におけるタイヤ歪を測定する歪センサのセンサ出力により、タイヤに作用する上下力を推定する推定方法であって、
タイヤの少なくとも一方側のサイドウォール部に取り付くとともにセンシングのゲインが最大となるゲイン最大線をタイヤ半径方向線に対して10〜80°の角度αで傾斜させた第1、第2の歪センサからなり、しかも該第1、第2の歪センサを、同一円周線上かつタイヤ軸芯を挟んだ両側に対置させた複数組(m組)のセンサ対と、
タイヤの回転角度位置を測定する角度センサとを用い、
所定のタイヤ回転角度位置Qiにおいて、各センサ対によってタイヤ歪を同時に測定し、各センサ対毎に、前記第1の歪センサによる第1のセンサ出力V1iと、前記第2の歪センサによる第2のセンサ出力V2iと差(V2i−V1i)である出力差ΔViをうる測定ステップ、
及び各センサ対毎の前記出力差ΔViの値に基づいて、前記タイヤ回転角度位置Qiにおいて作用した上下力Fzの推定値fiを求める演算ステップを含み、
前記演算ステップでは、各センサ対毎の出力差ΔViの値に基づいて、センサ対毎のm個の推定値fi1〜fimを求め、かつこの推定値fi1〜fimを平均することにより推定値平均を求める平均化ステップを有し、この推定値平均を前記上下力Fzの推定値とし、
前記平均化ステップでは、推定精度が低くなる低精度位相角度領域を予め設定し、前記タイヤ回転角度位置Qiにおいて前記低精度位相角度領域内に一方の歪センサが位置するセンサ対によって推定される推定値を除外して推定値平均を求めるとともに、
前記低精度位相角度領域は、タイヤ軸芯を通って接地面に向かって垂直に下した垂直線を原点(0°)とし、かつタイヤ回転方向をプラス(+)方向とするタイヤ軸芯廻りの座標系において、座標の角度が−15°〜+15°、及び+165°〜+195°の領域であることを特徴とするタイヤに作用する上下力の推定方法。
又請求項2の発明では、前記推定値fi1〜fimは、前記所定のタイヤ回転角度位置Qiにおいて事前に求めたセンサ対毎の出力差ΔViによる上下力Fzの推定式に基づき求められることを特徴としている。
又請求項3の発明では、前記推定式は、次式で示す出力差ΔViの2次方程式であることを特徴としている。
Fz=ai×(ΔVi) +bi×(ΔVi)+ci
本発明は、同一円周線上かつタイヤ軸芯を挟んだ両側に一対の歪センサを対置させるとともに、この一対の歪センサによってタイヤ歪を同時に測定した時のセンサ出力の差である出力差ΔVに基づいて、上下力をFzを推定している。
前述したごとく、タイヤ軸芯回りのモーメント、横力Fyがタイヤに作用した場合、360°の全てのサイドウォール部で、一方向の歪(例えば引張歪)しか発生しない。従って、出力差ΔViを用いた場合には、タイヤ軸芯回りのモーメントによる歪の影響、及び横力Fyによる歪の影響が、それぞれ打ち消されることとなる。しかも出力差ΔViの波形は矩形波形状をなし、かつ上下力Fz毎の出力差ΔVの波形同士は平行に近づく。そのため回転角度βによる上下力Fzの推定値のバラ付きも少なくなる。
このように、出力差ΔVを用いることで、1組のセンサ対から、実用に足る高い精度で上下力Fzのみを推定することが可能となり、歪センサの設置数の削減を図りうるとともに、解析プログラムの複雑化を防ぐことができる。
本発明のタイヤに作用する上下力の推定方法に用いる空気入りタイヤを示す断面図である。 (A)は歪センサの一実施例を示す平面図、(B)はそのゲイン最大線の向きを示す側面図である。 (A)は歪センサの他の例を示す平面図、(B)はそのゲイン最大線の向きを示す側面図である。 (A)は歪センサのさらに他の例を示す平面図、(B)はそのゲイン最大線の向きを示す側面図である。 歪センサの取り付け状態を説明する略図である。 タイヤ回転角度における推定式の相関の変化を示すグラフである。 歪センサの取り付け状態の他の例を説明する側面図である。 1つの歪センサからのセンサ出力の出力差を用いて上下力を推定した結果の一例を示すグラフである。 3組のセンサ対からのセンサ出力の出力差を用いて上下力を推定した結果の一例を示すグラフである。 本発明の上下力の推定方法を説明するフローチャートである。 (A)、(B)は、一定の上下力が作用している場合の、上下力毎のセンサ出力の波形を示すグラフである。 一定の上下力が作用している場合の、上下力毎の、センサ出力の出力差の波形を示すグラフである。 タイヤ軸芯回りのモーメント、及び横力が作用した時のタイヤ歪を説明する線図である。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。
図1は、本発明のタイヤに作用する上下力Fzの推定方法に用いる空気入りタイヤ1を示す断面図であり、図において、前記空気入りタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7とを具える。
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば70〜90°の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aから形成される。このカーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間に跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを一連に具える。又前記プライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間には、前記ビードコア5からタイヤ半径方向外方にのびる断面三角形状のビード補強用のビードエーペックスゴム8が配設される。
又前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜35゜の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成され、各ベルトコードがプライ間相互で交差することにより、ベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強している。なお該ベルト層7の半径方向外側には、本例では、高速走行性能および高速耐久性等を高める目的で、バンドコードを周方向に対して5度以下の角度で配列させたバンド層9を設けている。
又前記タイヤ1の少なくとも一方側のサイドウォール部3には、第1、第2の歪センサ10A、10Bからなるセンサ対30の複数組が取り付く。図5には一組のセンサ対30が代表して示される。又本例では、車軸に、タイヤの回転角度位置Qを測定する角度センサ(図示しない)を設けている。この角度センサとして、タイヤ軸芯廻りの回転角度を測定する例えばレゾルバ、エンコーダ等の角度センサが好適に採用しうるが、他に、例えば反射板をタイヤに貼り付け、光センサを用いて前記反射板の通過を検出する如く構成することもでき、又車両に配されるABS(アンチロックブレーキシステム)のパルス信号などから回転角度を測定しうる如く構成することもできる。しかしながら、この角度センサの検出精度によって、本願の演算ステップで用いる推定式の数が変わってくるため、角度センサは、その分解能が少なくとも10°以下、さらには5°以下、さらには1°以下のものを採用するのが好ましい。
ここで、前記センサ対30を取り付ける領域Y(図1に示す)は、タイヤ断面高さHの中間高さ位置Mを中心として、該タイヤ断面高さHの25%の距離Lを半径方向内外に隔てる領域範囲が好ましく、特には、前記距離Lをタイヤ断面高さHの20%、さらには15%とし、前記中間高さ位置Mにより近い領域範囲が好ましい。なお前記タイヤ断面高さHは、ビードベースラインBLからタイヤ赤道上のトレッド面までの半径方向高さを意味する。
次に、前記センサ対30をなす第1、第2の歪センサ10A、10Bは、図2〜4に示すように、磁石11と、この磁石11に間隔を有して向き合う磁気センサ素子12とを弾性材13を介して一体化したブロック状のモールド体20として形成される。なお図中の符号Kは、センシングのゲインが最大となるゲイン最大線をKを意味する。前記磁気センサ素子12としては、ホール素子、及びMR素子(磁気抵抗効果素子)、TMF−MI素子、TMF−FG素子、アモルファス歪センサ等が採用でき、特にコンパクトさ、感度、取り扱い易さ等の観点からホール素子が好適に採用できる。又前記歪センサ10A、10Bでは、サイドウォール部3の動きに追従して柔軟に弾性変形しうることが重要であり、そのために、前記弾性材13として各種のゴム弾性材料が採用される。特に、熱可塑性エラストマ(TPE)は、注型成形や射出成形等のプラスチック成形が可能であり、前記歪センサ10A、10Bを製造するという観点から好適に採用できる。
なお前記歪センサ10A、10Bとしては、図2(A)、(B)の如く、1つの磁石11と1つの磁気センサ素子12とで形成した1−1タイプ、又図3(A)、(B)の如く、1つの磁石11と複数(k個、例えば2個)の磁気センサ素子12とで形成した1−kタイプ、又図4(A)、(B)の如く、複数(k個、例えば2個)の磁石11と1つの磁気センサ素子12とで形成したk−1タイプのものが使用できる。なお図中の符号12sは磁気センサ素子12の受感部面12s、符号11sは磁石11の磁極面を示す。
又前記第1、第2の歪センサ10A、10Bは、図5に示すように、それぞれ前記ゲイン最大線Kが、タイヤ半径方向線に対して10〜80°の角度αで傾斜するように取り付けられる。これにより、種々な向きのタイヤ歪εを検出しうる。なお前記角度αは、好ましくは20〜70°、さらには30〜60°、さらには40〜50°の角度が望ましい。又第1、第2の歪センサ10A、10Bは、同一円周線上かつタイヤ軸芯jを挟んだ両側に対置させて取り付けられる。
次に、このタイヤ1を用いて、タイヤに作用する上下力Fzの推定方法を説明する。
前記推定方法は、図10にそのフローチャートを示すように、第1の歪センサ10Aによる第1のセンサ出力V1と、第2の歪センサ10Bによる第2のセンサ出力V2とから、その差(V2−V1)である出力差ΔVをうる測定ステップ、及びこの出力差ΔVに基づいて上下力Fzを推定する演算ステップとを含んで構成される。
具体的には、本例では、前記図5に示すように、タイヤ軸芯jを通って接地面に向かって垂直に下した垂直線を原点0(0°)とした座標系(ただしタイヤ回転方向をプラス(+)方向とする)を用い、例えば第1の歪センサ10Aの前記原点0からの位相角度θが+270°となる前記図5の回転状態を、タイヤ回転の基準位置Q0、即ちタイヤ回転角度β=0°の位置としている。そして、前記角度センサでは、この基準位置Q0からのタイヤ回転角度βを測定する。又前記タイヤ回転角度βが所定の値βになった状態、即ち第1の歪センサ10Aの基準位置Q0からの角度βが所定の値βになった状態を、所定のタイヤ回転角度位置Qと呼ぶ。
そして前記測定ステップでは、前記座標系に基づき、前記角度センサと第1、第2の歪センサ10A、10Bとを用いて、所定のタイヤ回転角度位置Qにおいてタイヤ歪を同時に測定する。これにより、前記第1の歪センサ10Aによる第1のセンサ出力V1と、前記第2の歪センサ10Bによる第2のセンサ出力V2とを求めるとともに、該第1のセンサ出力V1と第2のセンサ出力V2とから、その差(V2−V1)である出力差ΔVを求める。
次に、演算ステップでは、事前に求めた推定式を用い、前記所定のタイヤ回転角度位置Qにおける前記出力差ΔVに基づいて、上下力Fzの推定値fを演算して求める。
前記事前の推定式は、事前の上下荷重負荷試験によって求めることができる。具体的には、上下力Fzを違えた多くの上下荷重負荷試験を行い、上下荷重負荷条件毎に、タイヤ回転角度βと、そのときの第1、第2のセンサ出力V1、V2の差(V2−V1)である出力差ΔVとのデータを事前に求めるとともに、この出力差ΔVと、タイヤ回転角度βと、上下力Fzとのデータを回帰分析する。これにより出力差ΔVを説明変数、上下力Fzを目的変数とした、所定のタイヤ回転角度βi毎(即ち所定のタイヤ回転角度位置Qi毎)の回帰式
Fz(βi)=f(ΔVi)
を、前記事前の推定式として求めるのである。なお前記事前の推定式としては、次式の如く、説明変数である出力差ΔViの2次方程式である2次回帰式を用いる。なお係数ai、bi、ciは、2次回帰分析によって求まる。
Fz(βi)=ai×(ΔVi)2+bi×(ΔVi)+ci
又前記所定のタイヤ回転角度β(即ち所定のタイヤ回転角度位置Q)は、角度センサの分解能に応じて複数設定するのが好ましい。本例では、角度センサの分解能が例えば1°以下であり、所定のタイヤ回転角度βを1°、2°、3°・・・360°と1°刻みで360個設定するとともに、次式のように、前記事前の推定式も、タイヤ回転角度β毎に、Fz(1°)からFz(360°)まで1°刻みで360個作成している。これにより、1°刻みでタイヤに作用する上下力Fzを推定することができる。
Fz(1°)=a×(ΔV1°+b×(ΔV1°)+c
Fz(2°)=a×(ΔV2°+b×(ΔV2°)+c
Fz(3°)=a×(ΔV3°+b×(ΔV3°)+c


Fz(180°)=a180×(ΔV180°+b180×(ΔV180°)+c180


Fz(360°)=a360×(ΔV360°+b360×(ΔV360°)+c360
例えば、前記測定ステップによってタイヤ回転角度β=180°におけるセンサ出力Vの出力差ΔV180を求めたときには、推定式Fz(180°)を用いて、出力差ΔV180を代入することにより、前記タイヤ回転角度位置Q(β=180°)において作用した上下力Fzを推定することができる。
次に、前記図12の如く、前記出力差ΔVの波形では、タイヤ回転角度βiが90°近辺および270°近辺の位置、即ち歪センサ10A、10Bが接地中心とその対角の位置に来たとき、上下力Fzが変わっても出力差ΔVの値は変化しない。即ち前記推定式Fz(βi)が不定となって、上下力Fzを求めることができなくなり、図6に示すように、前記位置で推定式Fz(βi)の相関Rが著しく低下し、推定精度の低下を招く。そのため、前記推定式Fz(βi)による演算値(推定値fi)を補正して、上下力Fzを推定する。
正手段では、図7に示すように、サイドウォール部3に配される複数組(m組)のセンサ対30用い、各センサ対30から同時に推定したm個の推定値fi1〜fimを平均する平均化ステップを演算ステップに含ませる。
前記測定ステップでは、所定のタイヤ回転角度位置Qにおいて、各センサ対30によってタイヤ歪を同時に測定する。これによりセンサ対30毎に出力差ΔVを求める。
又前記演算ステップでは、このセンサ対30毎に出力差ΔVの値に基づいて、センサ対30毎のm個の推定値fi1〜fimを求めるとともに、この推定値fi1〜fimを平均することにより、推定値平均を求める平均化ステップを行う。
具体的には、本例では、3組のセンサ対30、30、30が配される場合が例示される。前記測定ステップでは、所定のタイヤ回転角度位置Qにおけるタイヤ歪εを、各センサ対30、30、30により同時に測定し、これにより所定のタイヤ回転角度位置Qにおける、センサ対30での出力差ΔVi1、センサ対30での出力差ΔVi2、およびセンサ対30での出力差ΔVi3をそれぞれ求める。
又前記演算ステップでは、このセンサ対30による出力差ΔVi1の値に基づいて推定値fi1を求め、かつセンサ対30による出力差ΔVi2の値に基づいて推定値fi2を求め、かつセンサ対30による出力差ΔVi3の値に基づいて推定値fi3を求める。そして、平均化ステップにおいて、前記推定値fi1、fi2、fi3を平均して推定値平均fN=Σ(fi1+fi2+fi3)/3を求め、この推定値平均fNを前記上下力Fzの推定値として採用するのである。
このように、複数組のセンサ対30から同時に推定したm個の推定値を平均化する場合、前記第1の補正手段に示す如き時間的遅れを招くことがなくなり、より推定精度を高めうる。又一組センサ対が前記不定角度領域Saに入った場合にも、残る他のセンサ対が、前記不定角度領域Sa外となる相関Rの高い領域範囲に位置するため、推定精度を大幅に高めることができる。
又前記補正手段にて推定精度をさらに高めるために、前記平均化ステップにおいて、低精度の推定値fiを除外する。即ち、不定角度領域Saを低精度位相角度領域Saとして予め設定するとともに、前記タイヤ回転角度位置Qiにおいて前記低精度位相角度領域Sa内に歪センサが位置する場合、この歪センサからなるセンサ対によって推定される推定値fiを除外して推定値平均fNを求めるのである。この場合、相関Rの高い高精度の推定値fiのみを用いて推定値平均fNを求めるため、上下力Fzの推定精度をさらに高めることができる。なお前記低精度位相角度領域Saとしては、前記座標系において、位相角度θが−15°〜+15°の範囲、及び位相角度θが+165°〜195°の範囲が挙げられる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明の作用効果を確認するため、乗用車用タイヤ(タイヤサイズ245/40R18)をリム(18×8JJ)、内圧(230kPa)、速度(10km/h)、上下力Fz=4000N(一定)の条件にて走行させた時の、前記上下力Fzの値を、サイドウォール部に取り付けた1組のセンサ対30によって推測するとともに、その推測結果を図8に示す。なお推測結果は、1°刻みでタイヤ歪εを測定するとともに、タイヤ回転角度βでの推定値fと、その直前の39個の過去の推定値f〜fとを平均することにより求めた推定値平均fNを用いている。
次に、同条件にて走行させた時の上下力Fzの値を、サイドウォール部に取り付けた3組のセンサ対30によって推測するとともに、その推測結果を図9に示す。なお前記推測結果は、1°刻みでタイヤ歪εを測定するとともに、各センサ対30から同時に推定した3個の推定値fi1、fi2、fi3を平均することにより求めた推定値平均fNを用いている。このとき平均化ステップでは、低精度位相角度領域Sa内に一方の歪センサ10が入った場合、その歪センサ10からなるセンサ対30によって推定される推定値fを除外して推定値平均を求めている。なお低精度位相角度領域Saは、前記座標系におけるθ=−15°〜+15°、及びθ=+165°〜195°の範囲としている。
本発明で推測した上下力の情報を利用することで、車両の安全性の向上や乗員の疲労軽減を図ることができる。例えば、乗員数や乗員の配置、荷物の積載位置などによって変化する車輪毎の荷重(上下力)を推測し、この情報を用いて通常ブレーキやABS作動時に車輪毎のブレーキ配分を最適化することで、車両の安全性を向上することができる。又電子制御サスペンションに上下力の情報を伝達することで、ショックアブソーバの減衰力を変化させ、その状況における最適な減衰力にすることで、乗り心地性が向上し、乗員の疲労を低減できる。
1 タイヤ
3 サイドウォール部
10、10A、10B 歪センサ
30 センサ対
K ゲイン最大線
Q タイヤの回転角度位置
所定のタイヤ回転角度位置
V センサ出力
Sa 低精度位相角度領域

Claims (3)

  1. タイヤのサイドウォール部におけるタイヤ歪を測定する歪センサのセンサ出力により、タイヤに作用する上下力を推定する推定方法であって、
    タイヤの少なくとも一方側のサイドウォール部に取り付くとともにセンシングのゲインが最大となるゲイン最大線をタイヤ半径方向線に対して10〜80°の角度αで傾斜させた第1、第2の歪センサからなり、しかも該第1、第2の歪センサを、同一円周線上かつタイヤ軸芯を挟んだ両側に対置させた複数組(m組)のセンサ対と、
    タイヤの回転角度位置を測定する角度センサとを用い、
    所定のタイヤ回転角度位置Qiにおいて、各センサ対によってタイヤ歪を同時に測定し、各センサ対毎に、前記第1の歪センサによる第1のセンサ出力V1iと、前記第2の歪センサによる第2のセンサ出力V2iと差(V2i−V1i)である出力差ΔViをうる測定ステップ、
    及び各センサ対毎の前記出力差ΔViの値に基づいて、前記タイヤ回転角度位置Qiにおいて作用した上下力Fzの推定値fiを求める演算ステップを含み、
    前記演算ステップでは、各センサ対毎の出力差ΔViの値に基づいて、センサ対毎のm個の推定値fi1〜fimを求め、かつこの推定値fi1〜fimを平均することにより推定値平均を求める平均化ステップを有し、この推定値平均を前記上下力Fzの推定値とし、
    前記平均化ステップでは、推定精度が低くなる低精度位相角度領域を予め設定し、前記タイヤ回転角度位置Qiにおいて前記低精度位相角度領域内に一方の歪センサが位置するセンサ対によって推定される推定値を除外して推定値平均を求めるとともに、
    前記低精度位相角度領域は、タイヤ軸芯を通って接地面に向かって垂直に下した垂直線を原点(0°)とし、かつタイヤ回転方向をプラス(+)方向とするタイヤ軸芯廻りの座標系において、座標の角度が−15°〜+15°、及び+165°〜+195°の領域であることを特徴とするタイヤに作用する上下力の推定方法。
  2. 前記推定値fi1〜fimは、前記所定のタイヤ回転角度位置Qiにおいて事前に求めたセンサ対毎の出力差ΔViによる上下力Fzの推定式に基づき求められることを特徴とする請求項1記載のタイヤに作用する上下力の推定方法。
  3. 前記推定式は、次式で示す出力差ΔViの2次方程式であることを特徴とする請求項記載のタイヤに作用する上下力の推定方法。
    Fz=ai×(ΔVi) +bi×(ΔVi)+ci
JP2009100178A 2009-04-16 2009-04-16 タイヤに作用する上下力の推定方法 Active JP5580547B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009100178A JP5580547B2 (ja) 2009-04-16 2009-04-16 タイヤに作用する上下力の推定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009100178A JP5580547B2 (ja) 2009-04-16 2009-04-16 タイヤに作用する上下力の推定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010247695A JP2010247695A (ja) 2010-11-04
JP5580547B2 true JP5580547B2 (ja) 2014-08-27

Family

ID=43310567

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009100178A Active JP5580547B2 (ja) 2009-04-16 2009-04-16 タイヤに作用する上下力の推定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5580547B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5695411B2 (ja) * 2010-12-20 2015-04-08 住友ゴム工業株式会社 タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ
JP5876667B2 (ja) * 2011-04-28 2016-03-02 住友ゴム工業株式会社 タイヤに作用する力の推定方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3255043B2 (ja) * 1996-02-29 2002-02-12 トヨタ自動車株式会社 車軸力検出装置
JP4928352B2 (ja) * 2007-05-29 2012-05-09 住友ゴム工業株式会社 タイヤに作用する前後力の検出方法
JP4276686B2 (ja) * 2007-08-21 2009-06-10 住友ゴム工業株式会社 タイヤ作用力の検出方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010247695A (ja) 2010-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5027549B2 (ja) 空気入りタイヤ、及びそれに作用する力の検出方法
JP4276686B2 (ja) タイヤ作用力の検出方法
JP4928352B2 (ja) タイヤに作用する前後力の検出方法
CN102358117B (zh) 充气轮胎
JP4914179B2 (ja) 空気入りタイヤ、及びそれに作用する力の検出方法
JP4377651B2 (ja) タイヤに作用する力の検出方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ
US10338094B2 (en) Pretreatment apparatus and method of wheel speed
JP2004538459A (ja) タイヤに加わる力の成分およびセルフアライニングトルクを求める方法
JP2010215178A (ja) タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ
JP5580547B2 (ja) タイヤに作用する上下力の推定方法
JP4939210B2 (ja) タイヤの前後力検出方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ
JP5876667B2 (ja) タイヤに作用する力の推定方法
JP5542037B2 (ja) タイヤに作用する力の推定方法
WO2019107297A1 (ja) タイヤ組み立て体及びタイヤ変形状態判定システム
JP4520783B2 (ja) タイヤに作用する前後力の検出方法
JP4653435B2 (ja) タイヤに作用する力の検出装置
JP5438360B2 (ja) タイヤに作用する上下力の推定方法
JP5695411B2 (ja) タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ
JP2012122813A (ja) タイヤに作用する力の推定方法
JP5199926B2 (ja) タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ
JP2009126460A (ja) タイヤの故障検出方法
JP2009208621A (ja) キャンバー角推定方法、及びキャンバー角監視システム
JP5149531B2 (ja) タイヤの空気圧低下検出方法
JP2009276288A (ja) タイヤに作用する前後力および上下力の推定方法
JP5395477B2 (ja) タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120207

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130308

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140701

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140711

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5580547

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250