JP2009126460A - タイヤの故障検出方法 - Google Patents
タイヤの故障検出方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009126460A JP2009126460A JP2007306159A JP2007306159A JP2009126460A JP 2009126460 A JP2009126460 A JP 2009126460A JP 2007306159 A JP2007306159 A JP 2007306159A JP 2007306159 A JP2007306159 A JP 2007306159A JP 2009126460 A JP2009126460 A JP 2009126460A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- tire
- distortion
- distortion waveform
- waveform
- failure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】走行中のタイヤからも、タイヤ故障を、構成簡易にかつ早急に検出する。
【解決手段】サイドウォール部3の歪を測定する歪センサ10の歪出力により、走行中のタイヤ1の故障を検出するタイヤの故障検出方法である。前記歪センサ10によりサイドウォール部3の歪を測定し、走行時のサイドウォール部3の歪みの歪波形である測定歪波形Jをうる測定ステップ、及び予め記憶させた正常タイヤの走行時のサイドウォール部3の歪みの歪波形である基準歪波形Joと、前記測定歪波形Jとを比較し、タイヤが故障か否かを判定するタイヤの故障判定ステップを含む。
【選択図】図7
【解決手段】サイドウォール部3の歪を測定する歪センサ10の歪出力により、走行中のタイヤ1の故障を検出するタイヤの故障検出方法である。前記歪センサ10によりサイドウォール部3の歪を測定し、走行時のサイドウォール部3の歪みの歪波形である測定歪波形Jをうる測定ステップ、及び予め記憶させた正常タイヤの走行時のサイドウォール部3の歪みの歪波形である基準歪波形Joと、前記測定歪波形Jとを比較し、タイヤが故障か否かを判定するタイヤの故障判定ステップを含む。
【選択図】図7
Description
本発明は、サイドウォール部の歪を測定する歪センサの歪出力により、タイヤの故障を検出するタイヤの故障検出方法に関する。
空気入りタイヤでは、例えば、低圧下での長時間の走行、長期間に亘る過酷な使用条件での走行、大きな衝撃力の負荷などを含む何らかの原因により、カーカスコードやベルトコードなどのタイヤコードの破断損傷、タイヤコードとタイヤゴムとの間の剥離、タイヤゴム間の剥離など、タイヤ内部でタイヤ構造部材が損傷する所謂タイヤ故障が発生する可能性がある。
そしてこのようなタイヤ故障は、従来、ドライバーが運転中に、振動やハンドル操作の違和感などを感じることにより検知されていた。
従って、熟練したドライバーでは、軽微なうちにタイヤ故障に気付き、安全を確保した状態で停止し、タイヤ交換などの対応が可能である。しかしながら一般のドライバーでは、車両が大きく振動を始めた後や、ふらつきなどの危険な車両挙動が発生した後にタイヤ故障に気付く場合が多く、最悪の場合、事故に発展する恐れがある。そこで近年、走行中においてタイヤ故障を早急に検出しうる検出方法の出現が強く望まれていた。
なお本出願人は、下記の特許文献1において、サイドウォール部に3つ以上の歪センサを設け、このサイドウォール部における所定の3つの測定位置の歪を、前記歪センサを用いて同時に測定し、その3つの歪出力によって、タイヤに作用する前後力Fx、横力Fy、及び上下荷重Fzの3並進方向力をそれぞれ推定する技術を提案している。
そして、この技術についてさらに研究を進めた結果、制動力、駆動力、横力が実質的に作用しない一定速度の直進走行状態においては、歪センサによるサイドウォール部の歪波形は、実質的に変化しない、即ち、タイヤに固有の歪波形を持ちうることを見出し得た。この固有の歪波形は、一定速度であるならば走行速度自体にも実質的に影響されない。
又タイヤ故障が発生した場合には、この故障に原因してサイドウォール部の歪波形に変化が生じることも見出すことができ、さらには、前記タイヤに固有の歪波形と、走行中のタイヤのサイドウォール部の歪波形とを比較することにより、タイヤ故障の有無を検出しうることを究明し得た。
本発明は、歪センサにより測定されたサイドウォール部の歪波形と、基準歪波形であるタイヤに固有のサイドウォール部の歪波形とを比較することを基本として、走行中のタイヤからも、タイヤ故障を、構成簡易にかつ早急に検出しうるタイヤの故障検出方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、タイヤに取り付けられサイドウォール部の歪を測定する歪センサの歪出力により、走行中のタイヤの故障を検出するタイヤの故障検出方法であって、
前記歪センサによりサイドウォール部の歪を測定し、その歪出力から走行時のサイドウォール部の歪みの歪波形である測定歪波形をうる測定ステップ、
及び、予め記憶させた正常タイヤの走行時のサイドウォール部の歪みの歪波形である基準歪波形と、前記測定ステップによる測定歪波形とを比較し、タイヤが故障か否かを判定するタイヤの故障判定ステップを含むことを特徴としている。
前記歪センサによりサイドウォール部の歪を測定し、その歪出力から走行時のサイドウォール部の歪みの歪波形である測定歪波形をうる測定ステップ、
及び、予め記憶させた正常タイヤの走行時のサイドウォール部の歪みの歪波形である基準歪波形と、前記測定ステップによる測定歪波形とを比較し、タイヤが故障か否かを判定するタイヤの故障判定ステップを含むことを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記故障判定ステップは、
(1)前記測定歪波形の振幅の中心が、前記基準歪波形の振幅の中心に対して、基準変位値を超えて伸び側に変位した場合:
(2)前記測定歪波形と、前記基準歪波形との相関が、基準値から外れた場合:
(3)前記測定歪波形と基準歪波形とを周波数分析し、測定歪波形の周波数分析曲線が、基準歪波形の周波数分析曲線が有するピーク点以外の周波数位置でピーク点を有する場合:
(4)前記測定歪波形と基準歪波形とを周波数分析し、測定歪波形の周波数分析曲線が有するピーク点の周波数位置と、基準歪波形の周波数分析曲線が有するピーク点の周波数位置とが実質的に一致するが、該一致する周波数位置におけるピーク点のゲインの差が基準ゲイン値を上回った場合:
の何れか一つの場合に、タイヤが故障と判定することを特徴としている。
(1)前記測定歪波形の振幅の中心が、前記基準歪波形の振幅の中心に対して、基準変位値を超えて伸び側に変位した場合:
(2)前記測定歪波形と、前記基準歪波形との相関が、基準値から外れた場合:
(3)前記測定歪波形と基準歪波形とを周波数分析し、測定歪波形の周波数分析曲線が、基準歪波形の周波数分析曲線が有するピーク点以外の周波数位置でピーク点を有する場合:
(4)前記測定歪波形と基準歪波形とを周波数分析し、測定歪波形の周波数分析曲線が有するピーク点の周波数位置と、基準歪波形の周波数分析曲線が有するピーク点の周波数位置とが実質的に一致するが、該一致する周波数位置におけるピーク点のゲインの差が基準ゲイン値を上回った場合:
の何れか一つの場合に、タイヤが故障と判定することを特徴としている。
又請求項3の発明では、複数個の歪センサが周方向に隔設されるとともに、前記故障判定ステップは、少なくとも1個の歪センサによる測定歪波形が、前記(1)〜(4)の何れか一つの場合に相当する時、タイヤが故障と判定することを特徴としている。
又請求項4の発明では、前記歪センサは、磁石と、この磁石に向き合う磁気センサ素子とを弾性材を介して一体化したセンサ素子ユニットからなることを特徴としている。
本発明は叙上の如く、歪センサにより測定されたサイドウォール部の歪波形と、タイヤに固有のサイドウォール部の歪波形である基準歪波形とを比較することで、走行中のタイヤからも、タイヤ故障を、構成簡易にかつ早急に検出することができる。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は、本発明のタイヤの故障検出方法に用いる空気入りタイヤを示す断面図である。
図1において、空気入りタイヤ1は、本例では、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7とを具える。
図1において、空気入りタイヤ1は、本例では、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、トレッド部2の内方かつ前記カーカス6の半径方向外側に配されるベルト層7とを具える。
前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して例えば70〜90°の角度で配列した1枚以上、本例では1枚のカーカスプライ6Aから形成される。このカーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間に跨るプライ本体部6aの両側に、前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bを一連に具える。又前記プライ本体部6aとプライ折返し部6bとの間には、前記ビードコア5からタイヤ半径方向外方にのびる断面三角形状のビード補強用のビードエーペックスゴム8を配設している。
前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば10〜35゜の角度で配列した2枚以上、本例では2枚のベルトプライ7A、7Bから形成され、各ベルトコードがプライ間相互で交差することにより、ベルト剛性を高め、トレッド部2の略全巾をタガ効果を有して強固に補強している。なお該ベルト層7の半径方向外側には、本例では、高速走行性能および高速耐久性等を高める目的で、バンドコードを周方向に対して5度以下の角度で配列させたバンド層9を設けている。
そして本実施形態のタイヤ1では、前記サイドウォール部3の領域Zに、その歪を検出する少なくとも1個以上、好ましくは6個以上、さらには7個以上の歪センサ10が設けられる。該歪センサ10が複数個設けられる場合、タイヤ軸心を中心とした同一円周線i上に等間隔を隔てて配置することが、故障の検出精度を高める上で好ましい。本例では図2の如く、8個の歪センサ10を配置した場合を例示している。
又前記サイドウォール部3の領域Zは、タイヤ断面高さHの中間高さ位置Mを中心として、該タイヤ断面高さHの25%の距離Lを半径方向内外に隔てる領域範囲であって、好ましくは前記距離Lをタイヤ断面高さHの20%、さらには15%とし、中間高さ位置Mにより近い領域範囲に前記歪センサ10を設けることが望ましい。なお前記タイヤ断面高さHは、ビードベースラインBLからタイヤ赤道上のトレッド面までの半径方向高さを意味する。
次に、前記歪センサ10は、図3〜5に示すように、磁石11と、この磁石11に間隔を有して向き合う磁気センサ素子12とを弾性材13を介して一体化したブロック状のセンサ素子ユニット20が好適に採用しうる。前記磁気センサ素子12としては、ホール素子、及びMR素子(磁気抵抗効果素子)、TMF−MI素子、TMF−FG素子、アモルファスセンサ等が採用でき、特にコンパクトさ、感度、取り扱い易さ等の観点からホール素子が好適に採用できる。又前記センサ素子ユニット20ではサイドウォール部3の動きに追従して柔軟に弾性変形しうることが重要であり、そのために、前記弾性材13として各種のゴム弾性材料が採用される。特に、熱可塑性エラストマ(TPE)は、注型成形や射出成形等のプラスチック成形が可能であり、前記センサ素子ユニット20を製造するという観点から好適に採用できる。
なお前記センサ素子ユニット20としては、図3(A)、(B)の如く、1つの磁石11と1つの磁気センサ素子12とで形成した1−1タイプ、又図4(A)、(B)の如く、1つの磁石11と複数(n個、例えば2個)の磁気センサ素子12とで形成した1−nタイプ、又図5(A)、(B)の如く、複数(n個、例えば2個)の磁石11と1つの磁気センサ素子12とで形成したn−1タイプのものが使用できる。なお図中の符号12sは磁気センサ素子12の受感部面12s、符号11sは磁石11の磁極面を示し、又符号Nは、センサ素子ユニット20のゲインが最大となるゲイン最大線を示している。なおセンサ素子ユニット20としては他に、抵抗線歪みゲージや、ピエゾ素子を用いたものなども採用可能である。
又前記センサ素子ユニット20は、図6に1−1タイプのものを代表して示すように、前記ゲイン最大線Nを、タイヤ半径方向線に対して、10〜80°の角度θで傾斜する向きで取り付けられる。これにより、測定精度を高めうる。なお前記角度θは、好ましくは20〜70°、さらには30〜60°、さらには40〜50°の角度が好ましい。
なお各センサ素子ユニット20には、測定された歪の歪出力を、車両に設ける車両制御システムの電子制御装置(ECU)に発信する発信手段が内蔵されている。この発信手段は、送受信回路、制御回路、メモリー等をチップ化した半導体と、アンテナとから構成され、前記電子制御装置(ECU)からの質問電波を受信したとき、これを電気エネルギーとして使用しメモリー内の歪出力データを応答電波として発信しうる。
次に、タイヤの故障検出方法を説明する。このタイヤの故障検出方法では、
(a) 前記歪センサ10によりサイドウォール部3の歪を測定し、その歪出力から走行時のサイドウォール部3の歪みの歪波形である測定歪波形J(図7、8に示す)をうる測定ステップと、
(b) 予め記憶させた正常タイヤの走行時のサイドウォール部3の歪みの歪波形である基準歪波形Jo(図7、8に示す)と、前記測定ステップによる測定歪波形Jとを比較し、タイヤが故障か否かを判定するタイヤの故障判定ステップとを含む。
(a) 前記歪センサ10によりサイドウォール部3の歪を測定し、その歪出力から走行時のサイドウォール部3の歪みの歪波形である測定歪波形J(図7、8に示す)をうる測定ステップと、
(b) 予め記憶させた正常タイヤの走行時のサイドウォール部3の歪みの歪波形である基準歪波形Jo(図7、8に示す)と、前記測定ステップによる測定歪波形Jとを比較し、タイヤが故障か否かを判定するタイヤの故障判定ステップとを含む。
前記測定ステップでは、各歪センサ10により、走行中のタイヤ1のサイドウォール部3の歪を連続的に測定し、歪センサ10毎に測定歪波形Jをうる。
ここで、本発明者の研究の結果、サイドウォール部3の歪波形は、制動力、駆動力、横力が実質的に作用していない走行状態、即ち一定速度の直進走行状態(以下基準走行状態という場合がある)においては、実質的に変化せず、しかもこの歪波形は、走行速度が一定であるならば、走行速度自体にも実質的に影響されないことが判明した。即ち、故障が発生していない正常なタイヤにおいては、前記基準走行状態において1つの歪センサ10から測定されるサイドウォール部3の歪波形は、常に同じ波形形状を示す。言い換えると、この波形形状は、前記正常なタイヤにおけるそのタイヤに固有の歪波形であって、故障か否かの判定基準となる基準歪波形Joとなりうる。
なお前記基準歪波形Joは、歪センサ10の性能、歪センサ10の取付位置、歪センサ10の取付状態(取付角度やセンサの埋設状態など)によって相違する。従って、前記タイヤ1の走行テストを事前に行い、前記基準走行状態にて走行した時のサイドウォール部3の歪波形を、歪センサ10毎に測定することで、歪センサ10毎の基準歪波形Joを得ることができる。このような基準歪波形Joは、前記車両の電子制御装置(ECU)に、予め記憶させておく。
なお、本例の如く、同性能の歪センサ10を、同一円周線i上に等間隔を隔てて配し、かつ各歪センサ10の取付状態を同じとした場合には、歪センサ10毎の基準歪波形Joを共通化することができる。
次に、前記故障判定ステップでは、基準歪波形Joと、前記測定歪波形Jとを比較し、タイヤが故障か否かを判定する。これはタイヤに故障が発生した場合、この故障に原因してサイドウォール部の歪波形に変化が生じるからであり、前記測定歪波形Jが予め設定した許容範囲を超えて変化した時、故障の判定を行う。
詳しくは、前記故障判定ステップでは、
(1)前記測定歪波形Jの振幅の中心Jiが、前記基準歪波形Joの振幅の中心Joiに対して、基準変位値を超えて伸び側に変位した場合(図7に示す):
(2)前記測定歪波形Jと、前記基準歪波形Joとの相関が基準値から外れた場合(図8に示す):
(3)前記測定歪波形Jと基準歪波形Joとを周波数分析し、測定歪波形Jの周波数分析曲線Yjが、基準歪波形Joの周波数分析曲線Yjoが有するピーク点以外の周波数位置でピーク点を有する場合(図10に示す):
(4)前記測定歪波形Jと基準歪波形Joとを周波数分析し、測定歪波形Jの周波数分析曲線Yjが有するピーク点の周波数位置と、基準歪波形Joの周波数分析曲線Yjoが有するピーク点の周波数位置とが実質的に一致するが、該一致する周波数位置におけるピーク点のゲインの差δ1が基準ゲイン値を上回った場合(図11に示す):
の何れか一つの場合に、故障の判定を行う。
(1)前記測定歪波形Jの振幅の中心Jiが、前記基準歪波形Joの振幅の中心Joiに対して、基準変位値を超えて伸び側に変位した場合(図7に示す):
(2)前記測定歪波形Jと、前記基準歪波形Joとの相関が基準値から外れた場合(図8に示す):
(3)前記測定歪波形Jと基準歪波形Joとを周波数分析し、測定歪波形Jの周波数分析曲線Yjが、基準歪波形Joの周波数分析曲線Yjoが有するピーク点以外の周波数位置でピーク点を有する場合(図10に示す):
(4)前記測定歪波形Jと基準歪波形Joとを周波数分析し、測定歪波形Jの周波数分析曲線Yjが有するピーク点の周波数位置と、基準歪波形Joの周波数分析曲線Yjoが有するピーク点の周波数位置とが実質的に一致するが、該一致する周波数位置におけるピーク点のゲインの差δ1が基準ゲイン値を上回った場合(図11に示す):
の何れか一つの場合に、故障の判定を行う。
これらは何れも、故障における歪波形の変化の特徴的パターンであって、これによって故障を判定しうる。
例えば故障が発生し、タイヤの剛性や強度が低下する時には、サイドウォール部3の歪みは伸び側(伸張側)に増大する。従って、図7に示すように、前記測定歪波形Jの波形形状と、基準歪波形Joの波形形状とがほぼ同じ場合にも、前記測定歪波形Jの振幅中心Jiが、基準歪波形Joの振幅中心Joiよりも伸び側に変位し、かつその変位量δ2が、予め設定した基準変位値を超えた時には、故障発生と推測される。
又タイヤの剛性や強度への影響が少ない故障では、振幅中心の変位が小さいものの、図8に示すように、歪みが小刻みに変動するケースがあり、このときには、前記測定歪波形Jと基準歪波形Joとの相関に基づいて判定する。
具体的には、図9(A)に例示する如く、前記基準歪波形Joのセンサ出力qを例えばX軸とし、かつ測定歪波形Jのセンサ出力rをY軸とした散布図を求める。詳しくは、例えば0°→360°の回転角度θの順序にて、前記基準歪波形Joのセンサ出力qと、測定歪波形Jのセンサ出力rとを並べて対応させた表Aを図9(B)に例示する如く作成するとともに、そのときのセンサ出力qをX座標、センサ出力rをY座標とする点(q、r)を順次プロットすることで前記散布図が得られる。
そして、この散布図の傾きaに相当する散布図の回帰係数aを求め、この回帰係数aが予め設定した基準値から外れている場合、タイヤが故障と判定する。ここで、測定歪波形Jが基準歪波形Joに完全一致している場合には、散布図はy=xの直線で示され、このときの傾きaは、a=1となる。そして、測定歪波形Jが基準歪波形Joから外れるに従い、前記散布図の傾きa(回帰係数a)は、1.0から外れる。従って、例えば前記基準値を1.0±0.3とし、前記散布図の傾きa(回帰係数a)が、0.7≦a≦1.3の範囲内の時、タイヤが正常、逆にこれから外れたとき、タイヤが故障したと判定する。
又タイヤに故障が発生した場合、タイヤの振動特性が変化する。そのため、例えば図10に示すように、前記測定歪波形Jと基準歪波形Joとを周波数分析し、測定歪波形Jの周波数分析曲線Yjと、基準歪波形Joの周波数分析曲線Yjoとを比較したとき、前記周波数分析曲線Yjoが有するピーク点Po1、Po2、Po3・・・以外の周波数位置で、周波数分析曲線Yjにピーク点Paが表れる場合がある。係る場合にも故障発生の恐れがあり、従って故障発生と推測される。
又図11に示すように、測定歪波形Jの周波数分析曲線Yjと、基準歪波形Joの周波数分析曲線Yjoとを比較したとき、測定歪波形Jの周波数分析曲線Yjが有するピーク点P1、P2、P3・・・の周波数位置と、基準歪波形Joの周波数分析曲線Yjoが有するピーク点Po1、Po2、Po3・・・の周波数位置とが実質的に一致する時にも、振動特性の変化によって、この一致する周波数位置におけるピーク点のゲインの差δ1が大きくなる場合があり、係る場合にも故障発生の恐れがある。従って、このゲインの差δ1が予め設定した基準ゲイン値を上回った場合にも故障発生と推測される。なおゲインの差δ1が複数の周波数位置にて生じる場合、最大のゲイン差δ1max を基準ゲイン値と比較する。
又本例の如く、複数の歪センサ10を取り付けている場合、全ての歪センサ10に対して、前記故障判定ステップが行われる。そして、複数の歪センサ10のうちで少なくとも1個の歪センサ10に対して、タイヤの故障と判定された場合には、例えば警報ランプ、警報ブザー等の異常警報手段を作動させ、ドライバーにタイヤ故障を報知する。
これは、一般に、故障箇所に近い歪センサ10ほど、その故障による測定歪波形Jへの影響を強く受けやすいからであり、少なくとも1個の歪センサ10による故障判定によってタイヤ故障を報知した場合、ドライバーによるより迅速な対応が可能となるという利点がある。
しかし係る場合には、一つの歪センサ10の誤動作(故障を含む)によって、タイヤ故障が報知される危険性を有する。従って、信頼性を高めるため、少なくとも2個の歪センサ10が故障と判定された場合に、ドライバーにタイヤ故障を報知ことが好ましい。
ここで、故障判定ステップにおいて、基準歪波形Joと比較する測定歪波形Jは、前記基準走行状態において測定された歪波形であることが必要であり、測定時の走行状態が基準走行状態(一定速度の直進走行状態)であるかどうかは、例えば速度センサや横加速度センサなどの他のセンサにより検知しうる。しかし、前記歪センサ10を3つ以上取り付ける場合には、前述の特許文献1の技術を用いて、タイヤに作用する前後力、横力を推定することが可能であり、そこからで基準走行状態であるかどうかを検知しうる。この場合、特許文献1の技術を用いた車両制御システムに、本願のタイヤの故障検出機能を組み入れうるため、コストの上昇を最低限に抑えかつ構成をより簡易化しうる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
本発明の効果を確認するため、表1に示す仕様にて、歪センサをサイドウォール部の領域に設けた空気入りタイヤ(サイズ225/55R17)を試作した。各タイヤとも、歪センサとして、磁石とホール素子とをゴム弾性材で一体化したセンサ素子ユニットを使用し、かつゲイン最大線の角度θを45°として、同一円周線上に等間隔を隔てて配置している。
そして、この歪センサにより測定したサイドウォール部の歪の歪出力により、測定歪波形をサンプリングするとともに、このサンプリング時の走行状態が基準走行状態であるかどうかを、前記歪出力を用いて前述の特許文献1の技術から算出される前後力、横力から確認した。そして前記サンプリングした基準走行状態と、予め記憶させた基準歪波形とを比較することでタイヤの故障を判定した。
実験の結果、歪センサの個数が3個未満では、基準走行状態か否かが確認できず、タイヤの故障の判定が困難であった。なお基準走行状態か否かが確認できれば、歪センサの個数が1個でもタイヤの故障の判定は可能である。又歪センサの個数が3個以上で増加するに従い、基準走行状態か否かの確認精度が高まるとともに、タイヤの故障判定精度も向上しうるのが確認できた。
1 タイヤ
3 サイドウォール部
10 歪センサ
11 磁石
12 磁気センサ素子
20 センサ素子ユニット
J 測定歪波形
Jo 基準歪波形
Ji、Joi 振幅の中心
P ピーク点
Yj、Yjo 周波数分析曲線
3 サイドウォール部
10 歪センサ
11 磁石
12 磁気センサ素子
20 センサ素子ユニット
J 測定歪波形
Jo 基準歪波形
Ji、Joi 振幅の中心
P ピーク点
Yj、Yjo 周波数分析曲線
Claims (4)
- タイヤに取り付けられサイドウォール部の歪を測定する歪センサの歪出力により、走行中のタイヤの故障を検出するタイヤの故障検出方法であって、
前記歪センサによりサイドウォール部の歪を測定し、その歪出力から走行時のサイドウォール部の歪みの歪波形である測定歪波形をうる測定ステップ、
及び、予め記憶させた正常タイヤの走行時のサイドウォール部の歪みの歪波形である基準歪波形と、前記測定ステップによる測定歪波形とを比較し、タイヤが故障か否かを判定するタイヤの故障判定ステップを含むことを特徴とするタイヤの故障検出方法。 - 前記故障判定ステップは、
(1)前記測定歪波形の振幅の中心が、前記基準歪波形の振幅の中心に対して、基準変位値を超えて伸び側に変位した場合:
(2)前記測定歪波形と、前記基準歪波形との相関が、基準値から外れた場合:
(3)前記測定歪波形と基準歪波形とを周波数分析し、測定歪波形の周波数分析曲線が、基準歪波形の周波数分析曲線が有するピーク点以外の周波数位置でピーク点を有する場合:
(4)前記測定歪波形と基準歪波形とを周波数分析し、測定歪波形の周波数分析曲線が有するピーク点の周波数位置と、基準歪波形の周波数分析曲線が有するピーク点の周波数位置とが実質的に一致するが、該一致する周波数位置におけるピーク点のゲインの差が基準ゲイン値を上回った場合:
の何れか一つの場合に、タイヤが故障と判定することを特徴とする請求項1記載のタイヤの故障検出方法。 - 複数個の歪センサが周方向に隔設されるとともに、
前記故障判定ステップは、少なくとも1個の歪センサによる測定歪波形が、前記(1)〜(4)の何れか一つの場合に相当する時、タイヤが故障と判定することを特徴とする請求項2記載のタイヤの故障検出方法。 - 前記歪センサは、磁石と、この磁石に向き合う磁気センサ素子とを弾性材を介して一体化したセンサ素子ユニットからなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のタイヤの故障検出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007306159A JP2009126460A (ja) | 2007-11-27 | 2007-11-27 | タイヤの故障検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007306159A JP2009126460A (ja) | 2007-11-27 | 2007-11-27 | タイヤの故障検出方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009126460A true JP2009126460A (ja) | 2009-06-11 |
Family
ID=40817790
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007306159A Pending JP2009126460A (ja) | 2007-11-27 | 2007-11-27 | タイヤの故障検出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009126460A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012131284A (ja) * | 2010-12-20 | 2012-07-12 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ |
JP2012232645A (ja) * | 2011-04-28 | 2012-11-29 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ |
WO2018030000A1 (ja) * | 2016-08-12 | 2018-02-15 | 株式会社デンソー | タイヤマウントセンサ、ダイアグ履歴記憶装置およびダイアグ報知装置 |
JP2018028530A (ja) * | 2016-08-12 | 2018-02-22 | 株式会社デンソー | タイヤマウントセンサ、ダイアグ履歴記憶装置およびダイアグ報知装置 |
-
2007
- 2007-11-27 JP JP2007306159A patent/JP2009126460A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012131284A (ja) * | 2010-12-20 | 2012-07-12 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ |
JP2012232645A (ja) * | 2011-04-28 | 2012-11-29 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ |
WO2018030000A1 (ja) * | 2016-08-12 | 2018-02-15 | 株式会社デンソー | タイヤマウントセンサ、ダイアグ履歴記憶装置およびダイアグ報知装置 |
JP2018028530A (ja) * | 2016-08-12 | 2018-02-22 | 株式会社デンソー | タイヤマウントセンサ、ダイアグ履歴記憶装置およびダイアグ報知装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1978345B1 (en) | Method for estimating magnitude of force acting on rolling tire | |
JP4928352B2 (ja) | タイヤに作用する前後力の検出方法 | |
JP5027549B2 (ja) | 空気入りタイヤ、及びそれに作用する力の検出方法 | |
US7249498B2 (en) | System and method for determining tire force | |
US7236892B2 (en) | Vehicle wheel state monitoring device and method | |
JP4276686B2 (ja) | タイヤ作用力の検出方法 | |
US20050204806A1 (en) | Method and system for monitoring the behaviour of a tyre during the running of a motor vehicle | |
JP4914179B2 (ja) | 空気入りタイヤ、及びそれに作用する力の検出方法 | |
JP2005126008A (ja) | タイヤに作用する力の検出方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ | |
JP2009126460A (ja) | タイヤの故障検出方法 | |
JP2010215178A (ja) | タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ | |
CN111405992B (zh) | 轮胎组装体和轮胎变形状态判定系统 | |
JP6027305B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5330676B2 (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP5302729B2 (ja) | 空気入りタイヤ、及びそれに用いる歪センサ | |
JP5542037B2 (ja) | タイヤに作用する力の推定方法 | |
JP5199926B2 (ja) | タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ | |
JP5580547B2 (ja) | タイヤに作用する上下力の推定方法 | |
JP5149531B2 (ja) | タイヤの空気圧低下検出方法 | |
JP2012250592A (ja) | 空気入りタイヤ | |
JP2009208621A (ja) | キャンバー角推定方法、及びキャンバー角監視システム | |
JP5438360B2 (ja) | タイヤに作用する上下力の推定方法 | |
JP2009276288A (ja) | タイヤに作用する前後力および上下力の推定方法 | |
JP5395477B2 (ja) | タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ | |
JP2012131284A (ja) | タイヤに作用する力の推定方法、及びそれに用いる空気入りタイヤ |