JP2012250592A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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【課題】歪センサがセンサ取付け穴から離脱するのを抑制しつつ、測定精度を向上しうる。
【解決手段】カーカス6と、このカーカス6の外側に配されかつ外面3sがサイドウォール表面をなすサイドウォールゴム3Gとを有し、しかもサイドウォールゴム3Gの外面3sで開口する有底のセンサ取付け穴11が凹設されたタイヤ本体10、及び、センサ取付け穴11に挿入されかつサイドウォール部3の歪に対応する信号を出力してタイヤに作用する力を検出するための歪センサ12を具えた空気入りタイヤ1である。歪センサ12は、センサ取付け穴11と実質的に同一形状を有することにより、該センサ取付け穴11から圧縮力を受けることなく取付けられる。歪センサ12とセンサ取付け穴11との間には、該センサ取付け穴11の第一歪測定方向S1への引張変形により、該歪センサ12を引張って伸長させる少なくとも一つの第一係合部41が設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、歪センサがセンサ取付け穴から離脱するのを抑制しつつ、測定精度を向上しうる空気入りタイヤに関する。
近年、タイヤの少なくとも一方側のサイドウォール部に3個以上の複数の歪センサをタイヤ周方向の異なる位置に取り付け、所定のタイヤ回転角度位置にてタイヤ歪を同時に測定することによって、タイヤに作用する前後力、横力、及び上下力をそれぞれ推定する技術が、例えば特許文献1などで提案されている。
この特許文献1では、前記歪センサの取付方法として、以下の2点が開示されている。
(1)タイヤを加硫成形する前に、歪センサを、サイドウォール部の内部に埋め込み、又はサイドウォール部の内面又は外面に貼り付け、その後の加硫による加硫接着によって取り付ける
(2)加硫後のサイドウォール部の内面又は外面に、歪センサを、接着剤による接着によって取り付ける
前記(1)の方法の場合には、加硫熱及び加硫圧力によって、歪センサが故障するおそれがあるとともに、加硫時のゴム流動によって取付位置が変動するなど正確に取り付けることが難しいという問題があった。また、前記(2)の方法の場合には、接着剤の弾性率が歪センサに伝わり正確に測定できないという問題があった。このため、いずれの方法においても、測定精度が大きく低下するという問題があった。
これらの問題を解消するために、例えば、図8(a)に示されるように、サイドウォールゴムcの外面で開口する有底のセンサ取付け穴aを凹設しかつ、このセンサ取付け穴aの穴断面を、歪センサbの断面形状より小さくして、接着剤を用いることなくセンサ取付け穴aから圧縮力を受けた状態で歪センサbを取り付けることも考えられる。
特開2005−126008号公報
しかしながら、上記のような歪センサbは、センサ取付け穴aから大きな圧縮力を受けるため、センサ取付け穴aから押し出される向きの力fを受ける。
この力fは、図8(b)に示されるように、歪センサbの取付状態を不安定にし、歪出力の大きさ(ゲイン)をバラツキやすくするとともに、歪センサbをセンサ取付け穴aから離脱(飛び出し)しやすくするため、測定精度を十分に向上できないという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、歪センサを、センサ取付け穴と実質的に同一形状して、該センサ取付け穴から圧縮力を受けることなく取付るとともに、歪センサとセンサ取付け穴との間に、該センサ取付け穴の歪測定方向への引張変形により、該歪センサを引張って伸長させる少なくとも一つの第一係合部を設けることを基本として、歪センサがセンサ取付け穴から離脱するのを抑制しつつ、測定精度を向上しうる空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスの外側に配されかつ外面がサイドウォール表面をなすサイドウォールゴムとを有し、しかも前記サイドウォールゴムの外面で開口する有底のセンサ取付け穴が凹設されたタイヤ本体、及び、前記センサ取付け穴に挿入されかつ前記サイドウォール部の歪に対応する信号を出力してタイヤに作用する力を検出するための歪センサを具えた空気入りタイヤであって、前記歪センサは、前記センサ取付け穴と実質的に同一形状を有することにより、該センサ取付け穴から圧縮力を受けることなく取付けられ、前記歪センサと前記センサ取付け穴との間には、該センサ取付け穴の第一歪測定方向への引張変形により、該歪センサを引張って伸長させる少なくとも一つの第一係合部が設けられることを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、前記センサ取付け穴は、底部と、該底部の両端からサイドウォールゴムの外面にのびる一対の側壁部とを有するとともに、前記歪センサは、前記底部に装着される背面と、開口に露出する前面と、前記背面から該前面にのびる側面とを有し、前記第一係合部は、正面視において、前記センサ取付け穴の前記側壁部、又は前記歪センサの前記側面の一方に凹設される係合溝部と、前記センサ取付け穴の前記側壁部、又は前記歪センサの前記側面の他方に設けられかつ係合溝部に抜け止め保持される係合突起とからなる請求項1に記載の空気入りタイヤである。
また、請求項3記載の発明は、前記係合溝部は、蟻溝状をなす請求項2に記載の空気入りタイヤである。
また、請求項4記載の発明は、前記歪センサと前記センサ取付け穴との間には、正面視において第一歪測定方向と直角に交わる第二歪測定方向への該センサ取付け穴の引張変形により、前記歪センサを引張って伸長させる少なくとも一つの第二係合部が設けられる請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤである。
また、請求項5記載の発明は、前記センサ取付け穴は、底部と、該底部の両端からサイドウォールゴムの外面にのびる一対の側壁部とを有するとともに、前記歪センサは、前記底部に装着される背面と、開口に露出する前面と、前記背面から該前面にのびる側面とを有し、前記第二係合部は、正面視において、前記センサ取付け穴の前記側壁部、又は前記歪センサの前記側面の一方に凹設される係合溝部と、前記センサ取付け穴の前記側壁部、又は前記歪センサの前記側面の他方に設けられかつ係合溝部に抜け止め保持される係合突起とからなる請求項4に記載の空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスの外側に配されかつ外面がサイドウォール表面をなすサイドウォールゴムとを有し、しかもサイドウォールゴムの外面で開口する有底のセンサ取付け穴が凹設されたタイヤ本体、及び、センサ取付け穴に挿入されかつ前記サイドウォール部の歪に対応する信号を出力してタイヤに作用する力を検出するための歪センサを具える。
この歪センサは、センサ取付け穴と実質的に同一形状を有することにより、該センサ取付け穴から実質的な圧縮力を受けることなく取付けられるので、従来のような、歪センサがセンサ取付け穴からの離脱(飛び出し)するのを効果的に抑制しうる。
また、歪センサとセンサ取付け穴との間には、該センサ取付け穴の歪測定方向への引張変形により、該歪センサを引張って伸長させる少なくとも一つの第一係合部が設けられる。このような第一係合部は、従来のように接着剤を用いることなく、歪センサをセンサ取付け穴に安定して取付けることができるので、測定精度を向上しうる。さらに、歪センサは、第一係合部を介してセンサ取付け穴の引張変形に追従して伸長することができるので、圧縮歪のみならず、引張歪も測定できる。従って、歪センサは、例えば、タイヤにかかる上下力と横力とを正確に区別でき、測定精度を向上しうる。
本実施形態の空気入りタイヤを示す断面図である。 図1の側面図である。 センサ取付け穴及び歪センサを示す斜視図である。 歪センサの内部を示す斜視図である。 (a)は第一歪測定方向S1へ伸長した歪センサ、(b)は第二歪測定方向S2へ伸長した歪センサを示す正面図である。 (a)、(b)は他の実施形態のセンサ取付け穴及び歪センサを示す正面図である。 (a)、(b)はさらに他の実施形態のセンサ取付け穴及び歪センサを示す正面図である。 (a)、(b)は従来の歪センサ及びセンサ取付け穴を示す断面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある)1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6を有するタイヤ本体10と、該カーカス6の外側に配されかつサイドウォールゴム3Gの外面3sで開口する有底のセンサ取付け穴11に挿入されかつサイドウォール部3の歪に対応する信号を出力する歪センサ12とを具え、乗用車用のラジアルタイヤとして構成される。
前記タイヤ本体10は、前記カーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたベルト層7と、該カーカス6の外側に配されかつ外面3sがサイドウォール表面をなすサイドウォールゴム3Gとを有する。
前記カーカス6は、少なくとも1枚以上、本実施形態では1枚のカーカスプライ6Aにより構成される。このカーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至る本体部6aと、この本体部6aからのびてビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返された折返し部6bとを含む。また、本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびかつ硬質ゴムからなるビードエーペックス8が配され、ビード部4が適宜補強される。
前記カーカスプライ6Aは、タイヤ赤道Cに対して例えば75〜90度の角度で配列されたカーカスコードを有する。このカーカスコードとしては、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどの有機繊維コードが好適に採用される。
前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ赤道Cに対して例えば10〜40度の小角度で傾けて配列した少なくとも2枚、本実施形態ではタイヤ半径方向に内、外2枚のベルトプライ7A、7Bを、ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わせて構成される。本実施形態のベルトコードには、スチールコードが採用されるが、アラミド、レーヨン等の高弾性の有機繊維コードも必要に応じて用いることができる。
前記サイドウォールゴム3Gは、そのゴム硬度が、例えば48〜53度の軟質のゴムからなり、カーカス6を外傷から被覆保護する。なお、ゴム硬度は、JIS−K6253に準拠し、23℃の環境下におけるデュロメータータイプAによる硬さとする。
図1、図2に示されるように、前記センサ取付け穴11は、少なくとも一方のサイドウォールゴム3Gの外面3sに、少なくとも1個以上、本実施形態では6個凹設される。なお、このセンサ取付け穴11が複数個凹設される場合には、測定制御の簡便性等の観点より、タイヤ軸心を中心とした同一円周線i上に等間隔を隔てて凹設されるのが好ましい。また、センサ取付け穴11は、その幅中心線11cのタイヤ半径方向線に対する角度θが、例えば30〜60度、本実施形態では45度に設定される。
図3に示されるように、センサ取付け穴11は、サイドウォールゴム3Gの外面3sと略平行にのびる底部16と、該底部16の周縁から該外面3sにのびる側壁部17とを有する。
この側壁部17は、第一歪測定方向S1の両側に配される一対の第一側壁部17a、17aと、第一側壁部17a、17a間を継いでのびる一対の第二側壁部17b、17bとを含む。
本実施形態の第一側壁部17aは、第二側壁部17bから第二歪測定方向S2(正面視において第一歪測定方向S1と直角に交わる方向)の内側にのびかつ互いに交わることなく終端する主面21、21、該主面21よりも第一歪測定方向S1の外側で第二歪測定方向S2にのびる凹面22、及び該凹面22と主面21との間をのびる側面23、23を有する。この第一側壁部17aは、側面23、23間の第二歪測定方向S2の長さL5が主面21から凹面22に向かって漸増するとともに、凹面22と側面23とが挟む入隅角度α3が鋭角をなしている。
また、前記第二側壁部17bは、第一側壁部17aから第一歪測定方向S1の内側にのびかつ互いに交わることなく終端する主面24、24、該主面24よりも第二歪測定方向S2の内側で第一歪測定方向S1にのびる凸面25、及び該凸面25と主面24との間をのびる側面26、26を有する。この第二側壁部17bは、側面26、26間の第一歪測定方向S1の長さL8が主面24から凸面25に向かって漸増するとともに、凸面25と側面とが挟む出隅角度α6が鋭角をなしている。
また、前記センサ取付け穴11は、歪センサ12を装着する前の自由状態において、第一側壁部17aの主面21、21間の第一歪測定方向S1の長さL1が、例えば8〜11mm程度、かつ第二側壁部17bの主面24、24間の第二歪測定方向S2の長さL2が5〜8mm程度、穴深さD1が3〜7mm程度に設定される。
なお、前記「自由状態」とは、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において、歪センサ12を装着する前の状態とする。
また、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" とする。
さらに「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とするが、タイヤが乗用車用である場合には一律に180kPaとする。
次に、前記歪センサ12は、図4、及び図5に示されるように、ゴム弾性材からなるゴム基体13と、該ゴム基体13に埋設され磁石14と、該ゴム基体13に埋設されかつ磁石14と間隔を有して向き合う磁気センサ素子15と、測定された歪出力を電気信号に変換して、車両に設ける車両制御システムの電子制御装置(ECU)に発信する発信手段(図示省略)とを含んで構成される。
本実施形態の歪センサ12は、1つの磁石14と1つの磁気センサ素子15とで形成した1−1タイプが例示されるが、例えば、1つの磁石14と複数(n個、例えば2個)の磁気センサ素子15とで形成した1−nタイプや複数(n個、例えば2個)の磁石14と1つの磁気センサ素子15とで形成したn−1タイプ等のものも採用できる。
前記ゴム基体13をなすゴム弾性材は、既加硫のゴムであり、例えば、生のゴム基体内に磁石14と磁気センサ素子15とを埋設したものを、金型にて加硫成形することにより形成される。また、ゴム弾性材は、例えば、サイドウォールゴム3G(図1に示す)と同等か、サイドウォールゴム3Gよりも軟質のゴムからなり、該サイドウォールゴム3Gのゴム硬度との差が、例えば0〜5度に設定される。
また、磁石14には、例えば、高い磁束密度が得られる希土類磁石が好適に採用でき、とりわけ、加硫時の熱の影響を受けにくいサマリウムコバルト磁石(所謂サマコバ磁石)が望ましい。図中の符号14sは、磁石14の磁極面を示している。
前記磁気センサ素子15には、加硫時の熱に耐えうるものが採用され、例えば、ホール素子、及びMR素子(磁気抵抗効果素子)、TMF−MI素子、TMF−FG素子、アモルファスセンサ等が採用でき、特にコンパクトさ、感度、取り扱い易さ等の観点からホール素子が好適に採用できる。符号15sは磁気センサ素子15の受感部面している。
前記発信手段は、送受信回路、制御回路、メモリー等をチップ化した半導体と、アンテナとから構成され、前記電子制御装置(ECU)からの質問電波を受信したとき、これを電気エネルギーとして使用しメモリー内の歪出力データを応答電波として発信しうる。
このような歪センサ12は、図5(a)に示される第一歪測定方向S1への伸長かつ第二歪測定方向S2への圧縮と、図5(b)に示される第一歪測定方向S1への圧縮かつ第二歪測定方向S2への伸長とにより、磁石14と磁気センサ素子15とが第一歪測定方向S1に変位して歪出力の大きさ(ゲイン)を変化させることにより、サイドウォール部3の歪が測定される。
図中において、符号Gmは、歪センサ12の歪出力の大きさ(ゲイン)が最大となるゲイン最大線を示している。このゲイン最大線Gmは、歪センサ12の平面視において、該歪センサ12の幅中心線12cと一致して設けられるのが望ましい。これにより、歪センサ12は、センサ取付け穴11に挿入された状態において、ゲイン最大線Gmを、センサ取付け穴11の歪測定方向への変形が正確に伝わりやすい幅中心線11c(図2)に一致させることができ、測定精度を向上しうる。
また、歪センサ12(ゴム基体13)は、図3に示されるように、センサ取付け穴11の底部16に装着される背面18と、センサ取付け穴11の開口に露出する前面19と、背面18から前面19にのびる側面20とを有してブロック状に形成される。
前記側面20は、センサ取付け穴11の第一側壁部17aに装着される第一側面20aと、該センサ取付け穴11の第二側壁部17bに装着される第二側面20bとを含む。
本実施形態の第一側面20aは、第二側面20bから第二歪測定方向S2の内側にのびかつ互いに交わることなく終端する主面31、31、該主面31よりも第一歪測定方向S1の外側で第二歪測定方向S2にのびる凸面32、及び該凸面32と主面31との間をのびる側面33、33を有する。この第一側面20aは、側面33、33間の第二歪測定方向S2の長さL6が主面31から凸面32に向かって漸増するとともに、凸面32と側面33とが挟む出隅角度α4が鋭角をなしている。
また、第二側面20bは、第一側面20aから第一歪測定方向S1の内側にのびかつ互いに交わることなく終端する主面34、34、該主面34よりも第二歪測定方向S2の内側で第一歪測定方向S1にのびる凹面35、及び該凹面35と主面31との間をのびる側面36、36を有する。この第二側面20bは、側面36、36間の第一歪測定方向S1の長さL7が主面34から凹面35に向かって漸増するとともに、凹面35と側面36とが挟む入隅角度α5が鋭角をなしている。
この歪センサ12は、センサ取付け穴11に挿入される前の挿入前状態において、第一側面20aの主面31、31間の第一歪測定方向S1の長さL3、第二側面20bの主面34、34間の第二歪測定方向S2の長さL4、背面18から前面19までの高さH1が、センサ取付け穴11の長さL1、L2、及び穴深さD1とそれぞれ同一範囲内に設定される。
さらに、歪センサ12は、前記長さL6、L7、出隅角度α4、及び入隅角度α5が、センサ取付け穴11の長さL5、L8、入隅角度α3、及び出隅角度α6とそれぞれ同一範囲内に設定される。これにより、歪センサ12は、センサ取付け穴11と実質的に同一形状を有する。
なお、「実質的に同一形状」には、歪センサ12の体積V1とセンサ取付け穴11の体積V2との比(V1/V2)が100〜120%の範囲のものを許容するものとする。
このように、歪センサ12は、センサ取付け穴11と実質的に同一形状を有することにより、該センサ取付け穴11にサイドウォールゴム3Gの外面3s側から差し込むことで、センサ取付け穴11から圧縮力を受けることなく取付けられる。従って、従来のように、歪センサ12がセンサ取付け穴11から離脱(飛び出し)するのが抑制される。
本実施形態のタイヤ1は、歪センサ12とセンサ取付け穴11との間に、第一歪測定方向S1で係合する一対の第一係合部41と、第二歪測定方向S2で係合する一対の第二係合部42とを含む。
前記第一係合部41は、センサ取付け穴11の第一側壁部17aで第一歪測定方向S1の外側に凹設される第一係合溝部41aと、歪センサ12の第一側面20aで第一歪測定方向S1の外側に凸設される第一係合突起41bとからなる。
前記第一係合溝部41aは、センサ取付け穴11の第一側壁部17aの凹面22と側面23とによって形成され、蟻溝状をなしている。また、第一係合突起41bは、歪センサ12の第一側面20aの凸面32と側面33とによって形成され、蟻継ぎ状をなしている。
このような第一係合部41は、歪センサ12が、センサ取付け穴11に挿入されることによって第一係合溝部41aに摩擦力によって保持されるので、歪センサ12がセンサ取付け穴11から離脱(飛び出し)するのを効果的に抑制しうる。
また、第一係合部41は、歪センサ12を確実に係止することができるので、歪みの測定値に大きな影響を与える接着剤等を用いることなく取付できるとともに、歪センサ12の不安定な取付状態に起因する歪出力の大きさ(ゲイン)のバラツキを抑制でき、測定精度を向上しうる。
さらに、第一係合部41は、センサ取付け穴11の第一歪測定方向S1への引張変形により、歪センサ12を引張って伸長させることができるので、圧縮歪のみならず引張歪も精度よく測定できる。従って、歪センサ12は、タイヤにかかる上下力と横力とを正確に区別でき、測定精度をさらに向上しうる。
なお、前記第一係合溝部41aの最大長さL5m及び第一係合突起41bの最大長さL6mが小さいと、第一係合突起41bの剛性が過度小さくなり、歪センサ12を安定して係止することができず、歪センサ12が離脱しやすくなるとともに、測定精度が低下するおそれがある。逆に、前記最大長さL5m、L6mが過度に大きくても、第一係合溝部41aの剛性が過度に小さくなり、歪センサ12を安定して係止できないおそれがある。このような観点より、前記最大長さL5m、L6mは、好ましくはセンサ取付け穴11の長さL2の40%以上、さらに好ましくは50%以上が望ましく、また、好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下が望ましい。
同様に、第一係合溝部41aの前記入隅角度α3、及び第一係合突起41bの前記出隅角度α4は、好ましくは30度以上、さらに好ましくは40度以上が望ましく、また、好ましくは70度以下、さらに好ましくは60度以下が望ましい。
次に、本実施形態の第二係合部42は、歪センサ12の第二側面20bで第二歪測定方向S2の内側に凹設される第二係合溝部42aと、センサ取付け穴11の第二側壁部17bで第二歪測定方向S2の内側に凸設される第二係合突起42bとからなる。
前記第二係合溝部42aは、歪センサ12の第二側面20bの凹面35と側面36とによって形成され、蟻溝状をなしている。また、第二係合溝部42aは、センサ取付け穴11の第二側壁部17bの凸面25と側面26とによって形成され、蟻継ぎ状をなしている。
このような第二係合部42も、歪センサ12がセンサ取付け穴11に挿入されることによって、第二係合突起42bが第二係合溝部42aに抜け止め保持されるので、前記第一係合部41とともに、歪センサ12がセンサ取付け穴11から離脱(飛び出し)するのを効果的に抑制しうる。
しかも、本実施形態では、センサ取付け穴11及び歪センサ12のそれぞれに、係合溝部(第一係合溝部41a又は第二係合溝部42a)と係合突起(第一係合突起41b又は第二係合突起42b)とがバランスよく配されるので、歪センサ12をさらに安定して取り付けでき、歪出力の大きさ(ゲイン)のバラツキを抑制して、測定精度を向上しうる。
さらに、第二係合部42は、センサ取付け穴11の第二歪測定方向S2への引張変形により、歪センサ12を引張って伸長させることができるので、第一係合部41との相乗効果により、圧縮歪及び引張歪をさらに精度よく測定させることができ、測定精度を向上しうる。
なお、前記第二係合溝部42aの最大長さL7m及び第二係合突起42bの最大長さL8mは、第一係合部41と同様の観点より、好ましくはセンサ取付け穴11の長さL1の40%以上、さらに好ましくは50%以上が望ましく、また、好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下が望ましい。
さらに、同様に、第二係合溝部42aの前記入隅角度α5、及び第二係合突起32の出隅角度α6は、好ましくは30度以上、さらに好ましくは40度以上が望ましく、また、好ましくは70度以下、さらに好ましくは60度以下が望ましい。
本実施形態では、センサ取付け穴11及び歪センサ12のそれぞれに、係合溝部(第一係合溝部41a又は第二係合溝部42a)と係合突起(第一係合突起41b又は第二係合突起42b)とが配されるものが例示されたが、例えば、図6(a)に示されるように、センサ取付け穴11に係合溝部41a、42aのみが形成されるとともに、歪センサ12に係合突起41b、42bのみが配されるものでもよい。また、図6(b)に示されるように、センサ取付け穴11に係合突起41b、42bのみが配されるとともに、歪センサ12に係合溝部41a、41aのみが配されるものでもよい。このような第一係合部41及び第二係合部42は、穴の形状によるひっかかりによって、穴の伸縮とセンサーの伸縮とを、より確実に同期させうる点で好ましい。
さらに、図7(a)に示されるように、係合溝部41a、42a及び係合突起41b、42bが湾曲するものや、図7(b)に示されるようなT字状に形成されるものでもよい。このような第一係合部41及び第二係合部42は、係合溝部41a、42aと係合突起41b、42bとの接触面積をより増大させることができるので、歪センサ12をより安定して取付けうる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示す基本構造をなし、表1に示すセンサ取付け穴及び歪センサを有するタイヤが製造され、それらの性能が評価された。なお、共通仕様は以下のとおりである。
タイヤサイズ:245/40 R18
リムサイズ:18×8J
サイドウォールゴムのゴム硬度:63度
センサ取付け穴:
長さL1:9.7mm
長さL2:6.5mm
穴深さD1:5mm
幅中心線の角度θ:45度
タイヤ1本当たりの個数:6個
歪センサ:
長さL3:9.7mm
長さL4:6.5mm
高さH1:5mm
ゴム弾性材のゴム硬度:63度
磁石:サマリウムコバルト磁石
磁気センサ素子:ホール素子
テスト方法は、次のとおりである。
<歪センサの耐離脱性>
各供試タイヤを上記リムにリム組みし、内圧200kPa充填して、縦荷重5kN、速度50km/hで直径1.7mのドラム試験機上を走行させ、少なくとも一つの歪センサが離脱するまでの距離を計測し、比較例1を100とする指数により表示している。数値が大きいほど、離脱しにくく良好である。
テストの結果を表1に示す。
<歪の測定精度>
各供試タイヤを上記リムにリム組みし、上記内圧を充填して、縦荷重5kN、速度50km/hで直径1.7mのドラム試験機上を走行させ、スリップ角を増減(0〜2度)させたときの歪の測定値をもとに、タイヤにかかる上下力と横力とを区別できるかを確認した。評価は次の通りである。
◎:上下力と横力とをはっきり区別できる。
○:上下力と横力とを区別できる。
△:上下力と横力とをやや区別しにくい。
×:上下力と横力とを区別できない。
<歪みの測定値のバラツキ>
各供試タイヤを上記リムにリム組みし、上記内圧を充填して、前後力Fx(±2500N)、横力Fy(±2500N)、及び上下力Fz(2500〜7500N)をそれぞれ異ならせた100個の条件においてドラム試験機上を5km走行させた。各条件における走行後に、タイヤを無負荷状態にした時の歪センサから出力された測定値(歪出力)を確認し、それらの最大値と最小値との差を比較例1を100とする指数で表示している。数値が小さいほど測定値のバラツキが小さく良好である。
Figure 2012250592
テストの結果、実施例のタイヤは、歪センサを安定して保持しつつ、測定精度を向上しうることが確認できた。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
10 タイヤ本体
11 センサ取付け穴
12 歪センサ
41 第一係合部

Claims (5)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るカーカスと、このカーカスの外側に配されかつ外面がサイドウォール表面をなすサイドウォールゴムとを有し、しかも前記サイドウォールゴムの外面で開口する有底のセンサ取付け穴が凹設されたタイヤ本体、及び、
    前記センサ取付け穴に挿入されかつ前記サイドウォール部の歪に対応する信号を出力してタイヤに作用する力を検出するための歪センサを具えた空気入りタイヤであって、
    前記歪センサは、前記センサ取付け穴と実質的に同一形状を有することにより、該センサ取付け穴から圧縮力を受けることなく取付けられ、
    前記歪センサと前記センサ取付け穴との間には、該センサ取付け穴の第一歪測定方向への引張変形により、該歪センサを引張って伸長させる少なくとも一つの第一係合部が設けられることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記センサ取付け穴は、底部と、該底部の両端からサイドウォールゴムの外面にのびる一対の側壁部とを有するとともに、
    前記歪センサは、前記底部に装着される背面と、開口に露出する前面と、前記背面から該前面にのびる側面とを有し、
    前記第一係合部は、正面視において、前記センサ取付け穴の前記側壁部、又は前記歪センサの前記側面の一方に凹設される係合溝部と、
    前記センサ取付け穴の前記側壁部、又は前記歪センサの前記側面の他方に設けられかつ係合溝部に抜け止め保持される係合突起とからなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記係合溝部は、蟻溝状をなす請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記歪センサと前記センサ取付け穴との間には、正面視において第一歪測定方向と直角に交わる第二歪測定方向への該センサ取付け穴の引張変形により、前記歪センサを引張って伸長させる少なくとも一つの第二係合部が設けられる請求項1乃至3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記センサ取付け穴は、底部と、該底部の両端からサイドウォールゴムの外面にのびる一対の側壁部とを有するとともに、
    前記歪センサは、前記底部に装着される背面と、開口に露出する前面と、前記背面から該前面にのびる側面とを有し、
    前記第二係合部は、正面視において、前記センサ取付け穴の前記側壁部、又は前記歪センサの前記側面の一方に凹設される係合溝部と、
    前記センサ取付け穴の前記側壁部、又は前記歪センサの前記側面の他方に設けられかつ係合溝部に抜け止め保持される係合突起とからなる請求項4に記載の空気入りタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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