JP5577047B2 - ゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Description
ゴムウェットマスターバッチへの老化防止剤の添加にあたっては、合成ゴムで通常行われているように、ラテックスに老化防止剤を混合する手法がとられている。この場合、老化防止剤をそのまま混合するとラテックスが沈殿したり、部分的に凝固してしまうため、一般には界面活性剤を加えエマルジョンにして用いる。
しかし、これら従来法によるエマルジョンの老化防止剤を加えたラテックスは、充填材のスラリー溶液と混合すると、界面活性剤が充填材の表面に吸着することにより、充填材の表面活性を下げてしまい、この現象により、充填材とゴムの相互作用が損なわれるため、ゴムの補強性、耐摩耗性の低下を招くという問題があった。また、老化防止剤の分散性は不十分であり、耐熱老化性の向上は困難であった。
[1] 充填材を分散させてなるスラリー(A)と、ゴムラテックス(B)とを混合して得られるゴムウェットマスターバッチであって、ゴムウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り老化防止剤(C)を0.05〜10質量部及び恒粘度剤(D)を0.001〜3.0質量部含有することを特徴とするゴムウェットマスターバッチ、
[2] 前記スラリーに含まれる充填材が、カーボンブラック、シリカ又は一般式(I)
nM1 ・xSiOy・zH2 O ・・・(I)
[式中、M1 は、アルミニウム,マグネシウム,チタン,カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表わされる無機充填材の少なくとも1種である上記[1]のゴムウェットマスターバッチ、
[3] (B)成分のゴムラテックスが、天然ゴム、合成ゴムの中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]のゴムウェットマスターバッチ、
[4] (C)成分の老化防止剤が、アミン系老化防止剤である上記[1]のゴムウェットマスターバッチ、
[5] (D)成分の恒粘度剤が、ヒドラジド化合物である上記[1]のゴムウェットマスターバッチ、
[6] (D)成分の恒粘度剤が、下記一般式 (II)
R−CONHNH2・・・(II)
[ただし、式中のRは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル基を示す。]で表される上記[5]のゴムウェットマスターバッチ、
[7] (D)成分の恒粘度剤が、プロピオン酸ヒドラジドである上記[6]ゴムウェットマスターバッチ、
[8] (D)成分の恒粘度剤が、硫酸ヒドロキシアミン、セミカリバジド、ジメドン(1,1−ジメチルシクロヘキサン−3,5−ジオン)の中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]のゴムウェットマスターバッチ、
[9] スラリー(A)、ゴムラテックス(B)、(A)及び(B)の混合物、混合物を凝固した物、凝固物を乾燥した物の少なくともいずれかひとつの中間生成物に対し、老化防止剤(C)及び恒粘度剤(D)を添加することを特徴とするゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[10] 前記凝固物のゴムウェットマスターバッチを乾燥する工程で、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行う上記[9]のゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[11] 連続混練機を用いて乾燥を行う上記[10]のゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[12] 連続混練機が多軸混練押出機である上記[11]のゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[13] 連続混練機が二軸混練押出機である上記[12]のゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[14] 機械的なせん断力をかけながら乾燥を行ったのち、インターナルミキサーを用いて混練をおこなう上記[10]〜[13]いずれかのゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[15] 上記[9]〜[14]いずれかの方法により製造されたゴムウェットマスターバッチ、
[16] 上記[1]〜[8]いずれかの又は[15]のゴムウェットマスターバッチを用いたゴム組成物、及び
[17] 請求項16に記載のゴム組成物を用いたタイヤ、
を提供するものである。
(1)(C)成分の老化防止剤、特にアミン系老化防止剤をマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り、0.05〜10質量部添加することによってマスターバッチ保管中の保管時間と共に粘度の低下を起こす経時的な粘度低下を抑制し経時的な粘度変化の小さいマスターバッチを得られる。
(2)前記(C)成分の老化防止剤と共に、(D)成分の恒粘度剤(ヒドラジド化合物)をマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り、0.001〜3.0質量部添加することによって(C)成分と(D)成分との相互作用によって、マスターバッチ保管中の初期粘度上昇を抑えることができ、その結果として混練作業が安定化すると共に破断強力、耐摩耗性及び低発熱性などが優れた配合ゴム、製品が得られる。
(3)前述の効果を得るためには、(C)成分と(D)成分の必要量がマスターバッチのゴム成分中に均一に分散する必要があり、凝固物のゴムウェットマスターバッチを多軸(2軸)混練押出機を用いてせん断力をかけて乾燥する工程において(C)成分及び(D)成分を添加して両成分をゴムウェットマスターバッチ中に分散し乾燥させた後、さらに、該ゴムウェットマスターバッチをバンバリーミキサーに代表されるインターナルミキサーを用いて混練をおこない(C)成分と(D)成分をより均一に分散させることによってマスターバッチの保管初期における粘度上昇を抑えることが可能となり、上述の優れた効果を奏することができるゴムウェットマスターバッチを得ることができる。
本発明によれば、このような効果を奏するゴムウェットマスターバッチを提供することができ、またその製造方法、並びにゴムウェットマスターバッチ、該マスターバッチを用いてなるゴム組成物及び該ゴム組成物を用いてなるタイヤを提供することができる。
[ゴムウェットマスターバッチ]
本発明のゴムウェットマスターバッチ(以下、単にゴムウェットマスターバッチと称することがある。)は、充填材を分散させてなるスラリー(A)と、ゴムラテックス(B)とを混合して得られるゴムウェットマスターバッチであって、ゴムウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り老化防止剤(C)を0.05〜3.0質量部及び恒粘度剤(D)を0.001〜3.0質量部含有することを特徴とする。
(スラリー(A))
充填材を分散させてなるスラリー(A)の溶液中に分散さる充填材は、カーボンブラック、シリカ、及び一般式(I)
nM1 ・xSiOy・zH2 O ・・・(I)
[式中、M1,n,x,y,zの説明は前記]で表される無機充填材からなる群の中から選ばれた少なくとも一種のものである。
<充填材>
充填材としては、まず、通常ゴム工業に用いられるカーボンブラックを使用することができる。例えば、SAF、HAF、ISAF、FEF、GPFなど種々のグレードのカーボンブラックを単独にまたは混合して使用することができる。
シリカは特に限定されないが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカが好ましい。
また、一般式(I)で表される無機充填材としては、M1 がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及びアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一種のものが好ましい。
高せん断ミキサーは、市販品としては、例えば特殊機化工業社製ホモミキサー、独PUC社製コロイドミル、独キャビトロン社製キャビトロン、英シルバーソン社製ハイシアーミキサーなどが挙げられる。
スラリー溶液において、前記充填材の濃度は1〜15質量%とするのが好ましく、特に2〜10質量%の範囲であることが好ましい。充填材の濃度が1質量%未満では必要とするスラリー容量が多くなりすぎ、また15質量%以上では、スラリー溶液の粘度が高くなりすぎて、作業上問題が生じる。
本発明においては、このスラリー(A)としては、水分散スラリーであることが、特に後述のゴムラテックス(B)として天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスを用いる場合に、混合性の観点から好ましい。
本発明におけるラテックス(B)は、ゴム成分を溶解又は分散させてなるものであって、ゴム成分として、天然ゴム及び/又は合成ゴムを用いることができる。当該ラテックス(B)としては、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックス、あるいは溶液重合による合成ジエン系ゴムの有機溶媒溶液などを挙げることができるが、これらの中で、得られるゴムウェットマスターバッチの性能や製造しやすさなどの観点から、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスが好適である。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、酵素処理やケン化処理などによって得られる脱蛋白ラテックス、化学変性ラテックス前記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
合成ゴムラテックスとしては、例えばスチレン−ブタジエン重合体ゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴムなどのラテックスを使用することができる。
これらのラテックスは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(C)成分の老化防止剤は、マスターバッチ保管中の保管時間と共に粘度の低下を起こす経時的な粘度低下を抑制するために、ウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り老化防止剤(C)を0.05〜10質量部添加する必要がある。0、05質量部未満では経時的な粘度低下を抑制する効果(恒粘度効果)が見られず、10質量部を超えるとゴム組成物の低発熱性や配合薬品の分散性を損なう可能性がある。老化防止剤の添加方法については後述する。
アミン系老化防止剤としては、例えば、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N′−フェニル−P−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−P−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、4,4′(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N′−(3メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル−P−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘブチル)−N′−フェニル−P−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミンとその誘導体、N,N′−ジフェニル−P−フェニレンジアミン、N,N′−ジアリル−P−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−P−フェニレンジアミン、等が挙げられる。
前記(C)成分の老化防止剤と共に、(D)成分の恒粘度剤(ヒドラジド化合物)をマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り、0.001〜3.0質量部添加することによって(C)成分と(D)成分との相互作用によって、マスターバッチ保管中の初期粘度上昇を抑えることができる。
0.001未満では恒粘度効果が見られず3.0質量部を超えると、ゴム組成物の発熱性や配合薬品の分散性を損なう可能性がある。恒粘度剤の添加方法については後述する。
(D)成分の恒粘度剤は、硫酸ヒドロキシアミン、セミカリバジド、ジメドン(1,1−ジメチルシクロヘキサン−3,5−ジオン)の他にヒドラジド化合物が好ましく、特に、下記一般式 (II)
R−CONHNH2・・・(II)
[ただし、式中のRは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル基を示す。]で表されるヒドラジド化合物がこのましい。
一般式(II)で表される炭素数1〜5のアルキル基の付いた脂肪族ヒドラジド化合物としては、例えば、酢酸ヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、酪酸ヒドラジド、カプロン酸ヒドラジドなどが挙げられる。
また、上記一般式(II)で表されるヒドラジド化合物において、炭素数3〜5のシクロアルキル基の付いた環式ヒドラジド化合物としては、例えば、シクロプロピルヒドラジドが挙げられる。このヒドラジド化合物は一種単独又は混合して使用してもよい。中でもプロピオン酸ヒドラジドが好ましい。
((a)工程)
本発明における(a)工程は、前記のスラリー(A)とゴムラテックス(B)とを混合する工程である。
充填材を分散させてなるスラリー(A)とゴムラテックス(B)との混合は、例えばホモミキサー中に該スラリー(A)を入れ、攪拌しながら、ゴムラテックス(B)を滴下する方法や、逆にゴムラテックス(B)を攪拌しながら、これに該スラリー(A)を滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー(A)流とゴムラテックス(B)流とを激しい水力攪拌の条件下で混合する方法などを用いることもできる。
このようにして、充填材を分散スラリー(A)とゴム成分を含むゴム液(B)との混合液が調製される。
本発明における(b)工程は、前記(a)工程で得られた混合液を、化学的及び/又は物理的に凝固処理し、形成された凝固物を取り出す工程である。
化学的凝固処理方法は、従来公知の方法、例えば蟻酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩を加えることによって行われる。
一方、物理的凝固処理方法としては、スチーム加熱や凍結など温度を変化させることによって凝固を促進させる方法や、強いせん断力を加えて凝固する方法が挙げられる。
これら化学的、物理的凝固法は、単独でも複数の方法を組み合わせて用いてもよい。
この凝固処理により形成された凝固物は、従来公知の固液分離手段を用いて、取り出され、充分に洗浄される。洗浄は、通常水洗法が採用される。
本発明における(c)工程は、前記(b)工程で取り出され、洗浄された凝固物を脱水及び乾燥処理する工程である。
脱水の手段としては、遠心脱水、圧搾脱水、単軸又は複軸スクリューを用いたスクイザなど、また乾燥の手段としては熱風乾燥機、減圧乾燥機、凍結乾燥機など公知の手段を用いることができる。
また、機械的なせん断力をかけながら、脱水乾燥処理する方法も好ましい方法である。この場合、工業的生産性の観点から、連続混練機又は連続多軸混練押出機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の連続多軸混練押出機を用いることが好ましく、特に連続二軸混練押出機を用いることが好ましい。
(b)工程は(a)工程で得られた混合液を、化学的及び/又は物理的に凝固処理し、形成された凝固物を取り出す工程であり凝固物に対しても(C)成分及び(D)成分を添加することができる。
さらに、(c)工程は、前記(b)工程で取り出され、洗浄された凝固物を脱水及び乾燥処理する工程である。この乾燥工程にも(C)成分及び(D)成分を添加することができる。これら両成分の添加は、(a)工程より(b)工程、(b)工程より(c)工程と後工程で添加するほうが薬品の分散、薬品を効率よく使用する観点からは好ましい。
さらに乾燥工程で添加し、連続二軸混練押出機を用いて機械的なせん断力をかけながら、乾燥することによって薬品がマスターバッチ中に均一分散し、ウェットマスターバッチ保管中の初期粘度の上昇や、長期にわたる粘度低下をさらに抑制し改善することができる。
また、連続二軸混練押出機の混練後にさらに、バンバリーミキサーに代表されるインターナルミキサーにて混練をすることによって薬品や充填材の分散がさらに改良される。どの工程で(C)成分や(D)成分を添加しても(a)〜(c)工程を経由して、最終の乾燥工程で連続二軸混練押出機によって混練される。その後、好ましくはバンバリーミキサーに代表されるインターナルミキサーにて混練される。このようにして、本発明のウェットマスターバッチを効率よく製造することができる。
本発明のゴム組成物は、前述した本発明のウェットマスターバッチを用いて得られたものである。
(他のゴム成分)
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分の全体に対して本発明のウェットマスターバッチにおけるゴム成分を30質量%以上含むことが好ましい。上記ウェットマスターバッチに追加して用いられる他のゴム成分としては、通常の天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体(EPDM)及びこれらの混合物などが挙げられる。
本発明のゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、プロセス油、亜鉛華、スコーチ防止剤、分散助剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品を添加することができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がより好ましい。
また、本発明のゴム組成物で使用できる軟化剤として用いるプロセス油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)が悪化するのを抑制することができる。
本発明のゴム組成物は、前述した本発明のウェットマスターバッチ、及び所望により用いられる他のゴム成分や各種配合成分を、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機を用いて混練りすることによって調製することができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業用品等の用途にも用いることができる。特にタイヤ用ゴムとして好適に使用され、例えばトレッドゴム、サイドゴム、プライコーティングゴム、ビードフイラーゴム、ベルトコーティングゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができる。
本発明はまた、前記本発明のゴム組成物を用いてなるタイヤをも提供する。
本発明のタイヤは、前記本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、ゴムウェットマスターバッチと共に必要に応じて、上記のように、他のゴム成分や各種薬品を含有させたゴム組成物が未加硫の段階で、例えばタイヤトレッドに加工され、タイヤ成型機上で通常の方法により貼り付け成型され、生タイヤが成型される。この生タイヤを加硫機中で加熱、加圧してタイヤが得られる。
このようにして得られた本発明のタイヤは、補強性、耐摩耗性及び低発熱性などに優れている。
各実施例、比較例における各種測定は下記の方法により行なった。
<未加硫ゴムの物性>
(1)ムーニー粘度の測定
JIS K 6300−1に準拠し、100℃で1分間予熱し、その後の4分値を測定した。
(2)放置安定性
ウェットマスターバッチを製造後、室温で3時間放置したもの、製造後50℃で30日間放置したもの、製造後50℃で180日間放置したものについてムーニー粘度を測定し、その値を比較した。
<ゴム組成物の加硫物性>
(3)破断強力(Mpa)
JIS K6251−1993に準拠し、23℃で測定した時の引張強さを求めた。値が大きいほど補強性が高い。
(4)低ロス性(反発弾性)
JIS K 6255:1996トリプソ式反発弾性試験法に準拠し、室温(25℃)にて測定し、比較例1の値を100として指数で表した。値が大きいほど反発弾性が大きく、良好である。
(5)耐摩耗性
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率40%で摩耗量を測定し、その逆数を、比較例1のゴム組成物を100とする指数で表示した。値が大きいほど質量減少が少なく耐摩耗性は良好である。
(6)未加硫ゴム組成物放置後の加硫物性(放置安定性)
ウェットマスターバッチを製造後室温で3日間放置したものを配合、加硫したものと、50℃で180日間放置ものを配合、加硫したものについて、ゴム組成物の破断強力、低ロス性(反発弾性)、耐摩耗性を評価した。
(1)スラリー液の調製
水中にカーボンブラック(N220)を5質量%の割合で入れ、シルバーソン社製ハイシアーミキサーにて微分散させてスラリー液を作製した。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
上記(1)で作製したスラリー液2.7kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてPH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、恒粘度剤[プロピオン酸ヒドラジド]を天然ゴム100質量部当り0.001質量部、老化防止剤[N−(1.3−ジメチルブチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン:老化防止剤6C]を天然ゴム100質量部当り0.05質量部になるようにベルトフィダーを用いて二軸連続混練機のベント口から投入することで、恒粘度剤及び老化防止剤を含有させ二軸連続混練機から押し出し後、室温で冷却し、引き続きバンバリーミキサーに投入し混練することでマスターバッチを製造した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当りのカーボンブラックの量は45質量部であった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が0.01質量部、老化防止剤6Cの量が0.1質量部となるように調製した以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が0.1質量部、老化防止剤6Cの量が1質量部となるように調製した以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が0.5質量部、老化防止剤6Cの量が3質量部となるように調製した以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が3質量部、老化防止剤6Cの量が10質量部となるように調製した以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製をおこなった。
(2)ゴムウエットマスターバッチの製造
上記(1)で作製したスラリー液2.7kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kg中に天然ゴム100質量部に対して恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が0.1質量部、老化防止剤6Cの量がが1質量部になるように調製して添加したものとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてPH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、二軸連続混練機から押し出し後、室温で冷却し、引き続きバンバリーミキサーに投入し混練することでマスターバッチを製造した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当りのカーボンブラックの量は45質量部、恒粘度剤が0.1質量部、老化防止剤が1質量部であった。
(1)スラリー液の調製
水中にカーボンブラック(N220)を5質量%の割合で入れ、天然ゴム100質量部に対して恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が0.1質量部、老化防止剤6Cの量が1質量部になるように調製して添加したのち、シルバーソン社製ハイシアーミキサーにて微分散させてスラリー液を作製した。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
上記(1)で作製したスラリー液2.7kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてPH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、二軸連続混練機から押し出し後、室温で冷却し、引き続きバンバリーミキサーに投入し混練することでマスターバッチを製造した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当りのカーボンブラックの量は45質量部、老化防止剤6Cの量は1.0質量部及び恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量は0.1質量部であった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
上記(1)で作製したスラリー液2.7kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてPH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。ウェット凝固物に天然ゴム100質量部に対して恒粘度剤が0.05質量部、老化防止剤が0.8質量部になるように調整して加えその後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、二軸連続混練機から押し出し後、室温で冷却し、引き続きバンバリーミキサーに投入し混練することでマスターバッチを製造した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当りのカーボンブラックの量は45質量部、老化防止剤6Cの量は0.8質量部及び恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量は0.05質量部であった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
ゴムウェットマスターバッチ中に老化防止剤6C及び恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドを添加しなかった以外は実施例5と同様に行いゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの老化防止剤6Cの量を0.5質量部となるように調整し恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドを添加しなかった以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量を0.1質量部となるように調製し老化防止剤6Cを添加しなかった以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの老化防止剤6Cの量を12質量部となるように調整し恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドを添加しなかった以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量を3.5質量部となるように調製し老化防止剤6Cの量を添加しなかった以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量を0.1質量部となるように調製し、老化防止剤6Cの量を0.01質量部となるように調製した以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
第1表−1及び第1表−2に記載の実施例1〜8及び比較例1〜6で得られたウェットマスターバッチを用い、放置安定性を評価した。評価結果を第1表−1及び第1表−2に示す。
実施例1〜8及び比較例1〜6で得られたウェットマスターバッチを用いバンバリーミキサーを使用し、第1表−1及び第1表−2に示す配合組成の各ゴム組成物を調製した。各ゴム組成物を150℃で30分間加硫して、試験用サンプルを作製し、耐熱老化試験前後における破壊強力及び低ロス性(低発熱性)耐摩耗性を求めた。その結果を第1表−1及び第1表−2に示す。
尚、表1の上欄のウェッとマスターバッチの項に記載の天然ゴム、カーボンブラック、恒粘度剤及び老化防止剤6Cの配合量(質量部)はウェットマスターバッチ由来の値である。
Claims (19)
- 充填材を分散させてなるスラリー(A)と、ゴムラテックス(B)、とを混合して得られるゴムウェットマスターバッチの製造方法であって、
スラリー(A)、ゴムラテックス(B)、(A)及び(B)の混合物、該混合物を凝固した凝固物、該凝固物を乾燥した物の少なくともいずれかひとつの中間生成物に対し、ゴムウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り老化防止剤(C)0.05〜10質量部及び恒粘度剤(D)0.001〜3.0質量部を添加することを特徴とするゴムウェットマスターバッチの製造方法。 - 前記スラリーに含まれる充填材が、カーボンブラック、シリカ又は一般式(I)
nM1・xSiOy・zH2O・・・(I)
[式中、M1 は、アルミニウム,マグネシウム,チタン,カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表わされる無機充填材の少なくとも1種である請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。 - (B)成分のゴムラテックスが、天然ゴム、合成ゴムの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- (C)成分の老化防止剤が、アミン系老化防止剤である請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- (D)成分の恒粘度剤が、ヒドラジド化合物である請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- (D)成分の恒粘度剤が、下記一般式(II)
R−CONHNH2・・・(II)
[ただし、式中のRは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル基を示す。]で表される請求項5に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。 - (D)成分の恒粘度剤が、プロピオン酸ヒドラジドである請求項6に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- (D)成分の恒粘度剤が、硫酸ヒドロキシアミン、セミカリバジド、ジメドン(1,1−ジメチルシクロヘキサン−3,5−ジオン)の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- 前記中間生成物が(A)及び(B)の混合物を凝固した凝固物であり、該凝固物を乾燥する工程で、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行う請求項1〜8のいずれかに記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- 連続混練機を用いて乾燥を行う請求項1〜9のいずれかに記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- 連続混練機が多軸混練押出機である請求項10記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- 連続混練機が二軸混練押出機である請求項11記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- 機械的なせん断力をかけながら乾燥を行ったのち、インターナルミキサーを用いて混練をおこなう請求項1〜12のいずれかに記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- 前記スラリー(A)及び前記ゴムラテックス(B)を混合した後、凝固させて得られた凝固物を二軸連続混練機により混練しながら、さらに、前記老化防止剤(C)と前記恒粘度剤(D)とを前記二軸連続混練機に投入し、前記二軸連続混練機から押し出し後、インターナルミキサーにより混練する請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- 前記スラリー(A)、前記ゴムラテックス(B)、前記老化防止剤(C)及び前記恒粘度剤(D)を混合した後、凝固させて得られた凝固物を二軸連続混練機により混練し、前記二軸連続混練機から押し出し後、インターナルミキサーにより混練する請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- 前記老化防止剤(C)及び前記恒粘度剤(D)を混合したスラリー(A)と前記ゴムラテックス(B)とを混合した後、凝固させて得られた凝固物を二軸連続混練機により混練し、前記二軸連続混練機から押し出し後、インターナルミキサーにより混練する請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- 前記スラリー(A)及び前記ゴムラテックス(B)を混合した後、凝固させて得られた凝固物と、前記老化防止剤(C)と、前記恒粘度剤(D)とを前記二軸連続混練機により混練し、前記二軸連続混練機から押し出し後、インターナルミキサーにより混練する請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
- 請求項1〜17いずれかに記載の製造方法により得られたゴムウェットマスターバッチを用いたゴム組成物。
- 請求項18に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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