JP5577047B2 - ゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

ゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP5577047B2
JP5577047B2 JP2009122017A JP2009122017A JP5577047B2 JP 5577047 B2 JP5577047 B2 JP 5577047B2 JP 2009122017 A JP2009122017 A JP 2009122017A JP 2009122017 A JP2009122017 A JP 2009122017A JP 5577047 B2 JP5577047 B2 JP 5577047B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
wet masterbatch
rubber wet
producing
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009122017A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010270200A (ja
Inventor
史晃 西浦
敦 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2009122017A priority Critical patent/JP5577047B2/ja
Publication of JP2010270200A publication Critical patent/JP2010270200A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5577047B2 publication Critical patent/JP5577047B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Description

本発明は、ゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、並びに該マスターバッチを用いてなるゴム組成物及びタイヤに関する。さらに詳しくは、本発明は、特定の老化防止剤及び特定の恒粘度剤をゴムウェットマスターバッチに含有させることによって保管した際の粘度の上昇や低下を防ぐと共にゴム組成物として用いた場合に破壊強力や耐摩耗性、低発熱性などの物性の向上、維持を図ることができるゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、並びに前記ゴムウェットマスターバッチを用いてなるゴム組成物及びタイヤに関するものである。
ゴムウェットマスターバッチの粘度は経時的に変化し、配合後のゴム性能に影響を及ぼす。経時的な粘度変化としては、(1)経時的な粘度低下と(2)初期粘度上昇があり、(1)経時的粘度低下に対しては、ゴムウェットマスターバッチの保管中の劣化を防ぐため、老化防止剤を添加すること有効である(特許文献1〜3など)。
ゴムウェットマスターバッチへの老化防止剤の添加にあたっては、合成ゴムで通常行われているように、ラテックスに老化防止剤を混合する手法がとられている。この場合、老化防止剤をそのまま混合するとラテックスが沈殿したり、部分的に凝固してしまうため、一般には界面活性剤を加えエマルジョンにして用いる。
しかし、これら従来法によるエマルジョンの老化防止剤を加えたラテックスは、充填材のスラリー溶液と混合すると、界面活性剤が充填材の表面に吸着することにより、充填材の表面活性を下げてしまい、この現象により、充填材とゴムの相互作用が損なわれるため、ゴムの補強性、耐摩耗性の低下を招くという問題があった。また、老化防止剤の分散性は不十分であり、耐熱老化性の向上は困難であった。
一方、(2)初期粘度上昇は、ゴムウェットマスターバッチを混練する場合、配合剤、充填材、ゴム成分の分散性が低下し、混練トルクが極端に上昇し混練機に対する付加が増えるという問題があると共に、ゴム物性が大幅に低下する。
特公昭51−43851号公報 特公昭54−10576号公報 特開2008−201957号公報
本発明は、このような状況下になされたもので、ゴムウェットマスターバッチ保管中の(1)経時的な粘度低下、(2)初期粘度上昇を共に改善したゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、並びに前記ゴムウェットマスターバッチを用いてなるゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の老化防止剤をゴムウェットマスターバッチのゴム成分100質量部当り、特定量及び特定の恒粘度剤をゴムウェットマスターバッチのゴム成分100質量部当り、特定量含有することにより上記課題を解決し、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1] 充填材を分散させてなるスラリー(A)と、ゴムラテックス(B)とを混合して得られるゴムウェットマスターバッチであって、ゴムウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り老化防止剤(C)を0.05〜10質量部及び恒粘度剤(D)を0.001〜3.0質量部含有することを特徴とするゴムウェットマスターバッチ、
[2] 前記スラリーに含まれる充填材が、カーボンブラック、シリカ又は一般式(I)
nM1 ・xSiOy・zH2 O ・・・(I)
[式中、M1 は、アルミニウム,マグネシウム,チタン,カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表わされる無機充填材の少なくとも1種である上記[1]のゴムウェットマスターバッチ、
[3] (B)成分のゴムラテックスが、天然ゴム、合成ゴムの中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]のゴムウェットマスターバッチ、
[4] (C)成分の老化防止剤が、アミン系老化防止剤である上記[1]のゴムウェットマスターバッチ、
[5] (D)成分の恒粘度剤が、ヒドラジド化合物である上記[1]のゴムウェットマスターバッチ、
[6] (D)成分の恒粘度剤が、下記一般式 (II)
R−CONHNH2・・・(II)
[ただし、式中のRは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル基を示す。]で表される上記[5]のゴムウェットマスターバッチ、
[7] (D)成分の恒粘度剤が、プロピオン酸ヒドラジドである上記[6]ゴムウェットマスターバッチ、
[8] (D)成分の恒粘度剤が、硫酸ヒドロキシアミン、セミカリバジド、ジメドン(1,1−ジメチルシクロヘキサン−3,5−ジオン)の中から選ばれる少なくとも1種である上記[1]のゴムウェットマスターバッチ、
[9] スラリー(A)、ゴムラテックス(B)、(A)及び(B)の混合物、混合物を凝固した物、凝固物を乾燥した物の少なくともいずれかひとつの中間生成物に対し、老化防止剤(C)及び恒粘度剤(D)を添加することを特徴とするゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[10] 前記凝固物のゴムウェットマスターバッチを乾燥する工程で、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行う上記[9]のゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[11] 連続混練機を用いて乾燥を行う上記[10]のゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[12] 連続混練機が多軸混練押出機である上記[11]のゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[13] 連続混練機が二軸混練押出機である上記[12]のゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[14] 機械的なせん断力をかけながら乾燥を行ったのち、インターナルミキサーを用いて混練をおこなう上記[10]〜[13]いずれかのゴムウェットマスターバッチの製造方法、
[15] 上記[9]〜[14]いずれかの方法により製造されたゴムウェットマスターバッチ、
[16] 上記[1]〜[8]いずれかの又は[15]のゴムウェットマスターバッチを用いたゴム組成物、及び
[17] 請求項16に記載のゴム組成物を用いたタイヤ、
を提供するものである。
本発明のゴムウェットマスターバッチは、マスターバッチ中のゴム成分100質量部当り、特定量の(C)成分の老化防止剤(アミン系)及び(D)成分の恒粘度剤(ヒドラジド化合物)含有せしめることによって以下効果を奏する。
(1)(C)成分の老化防止剤、特にアミン系老化防止剤をマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り、0.05〜10質量部添加することによってマスターバッチ保管中の保管時間と共に粘度の低下を起こす経時的な粘度低下を抑制し経時的な粘度変化の小さいマスターバッチを得られる。
(2)前記(C)成分の老化防止剤と共に、(D)成分の恒粘度剤(ヒドラジド化合物)をマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り、0.001〜3.0質量部添加することによって(C)成分と(D)成分との相互作用によって、マスターバッチ保管中の初期粘度上昇を抑えることができ、その結果として混練作業が安定化すると共に破断強力、耐摩耗性及び低発熱性などが優れた配合ゴム、製品が得られる。
(3)前述の効果を得るためには、(C)成分と(D)成分の必要量がマスターバッチのゴム成分中に均一に分散する必要があり、凝固物のゴムウェットマスターバッチを多軸(2軸)混練押出機を用いてせん断力をかけて乾燥する工程において(C)成分及び(D)成分を添加して両成分をゴムウェットマスターバッチ中に分散し乾燥させた後、さらに、該ゴムウェットマスターバッチをバンバリーミキサーに代表されるインターナルミキサーを用いて混練をおこない(C)成分と(D)成分をより均一に分散させることによってマスターバッチの保管初期における粘度上昇を抑えることが可能となり、上述の優れた効果を奏することができるゴムウェットマスターバッチを得ることができる。
本発明によれば、このような効果を奏するゴムウェットマスターバッチを提供することができ、またその製造方法、並びにゴムウェットマスターバッチ、該マスターバッチを用いてなるゴム組成物及び該ゴム組成物を用いてなるタイヤを提供することができる。
まず、本発明のゴムウェットマスターバッチについて説明する。
[ゴムウェットマスターバッチ]
本発明のゴムウェットマスターバッチ(以下、単にゴムウェットマスターバッチと称することがある。)は、充填材を分散させてなるスラリー(A)と、ゴムラテックス(B)とを混合して得られるゴムウェットマスターバッチであって、ゴムウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り老化防止剤(C)を0.05〜3.0質量部及び恒粘度剤(D)を0.001〜3.0質量部含有することを特徴とする。
(スラリー(A))
充填材を分散させてなるスラリー(A)の溶液中に分散さる充填材は、カーボンブラック、シリカ、及び一般式(I)
nM1 ・xSiOy・zH2 O ・・・(I)
[式中、M1,n,x,y,zの説明は前記]で表される無機充填材からなる群の中から選ばれた少なくとも一種のものである。
<充填材>
充填材としては、まず、通常ゴム工業に用いられるカーボンブラックを使用することができる。例えば、SAF、HAF、ISAF、FEF、GPFなど種々のグレードのカーボンブラックを単独にまたは混合して使用することができる。
シリカは特に限定されないが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカが好ましい。
前記一般式(I)で表わされる無機充填材は、具体的には、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。
また、一般式(I)で表される無機充填材としては、M1 がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及びアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一種のものが好ましい。
本発明におけるスラリー溶液の調製に際しては、上記の所定充填材を分散溶媒中に混合し、高せん断ミキサーを用いて分散することが必要である。ここで、高せん断ミキサーとは、ローターとステーター部からなる高せん断ミキサーであって、高速で回転するローターと、固定されたステーターが狭いクリアランスで設置され、ローターの回転によって高いせん断速度を生み出す。高せん断とは、せん断速度が2000/s以上、好ましくは4000/s以上であることを意味する。
高せん断ミキサーは、市販品としては、例えば特殊機化工業社製ホモミキサー、独PUC社製コロイドミル、独キャビトロン社製キャビトロン、英シルバーソン社製ハイシアーミキサーなどが挙げられる。
スラリー溶液において、前記充填材の濃度は1〜15質量%とするのが好ましく、特に2〜10質量%の範囲であることが好ましい。充填材の濃度が1質量%未満では必要とするスラリー容量が多くなりすぎ、また15質量%以上では、スラリー溶液の粘度が高くなりすぎて、作業上問題が生じる。
本発明においては、このスラリー(A)としては、水分散スラリーであることが、特に後述のゴムラテックス(B)として天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスを用いる場合に、混合性の観点から好ましい。
(ゴムラテックス(B))
本発明におけるラテックス(B)は、ゴム成分を溶解又は分散させてなるものであって、ゴム成分として、天然ゴム及び/又は合成ゴムを用いることができる。当該ラテックス(B)としては、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックス、あるいは溶液重合による合成ジエン系ゴムの有機溶媒溶液などを挙げることができるが、これらの中で、得られるゴムウェットマスターバッチの性能や製造しやすさなどの観点から、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスが好適である。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、酵素処理やケン化処理などによって得られる脱蛋白ラテックス、化学変性ラテックス前記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
合成ゴムラテックスとしては、例えばスチレン−ブタジエン重合体ゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴムなどのラテックスを使用することができる。
これらのラテックスは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(老化防止剤(C))
(C)成分の老化防止剤は、マスターバッチ保管中の保管時間と共に粘度の低下を起こす経時的な粘度低下を抑制するために、ウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り老化防止剤(C)を0.05〜10質量部添加する必要がある。0、05質量部未満では経時的な粘度低下を抑制する効果(恒粘度効果)が見られず、10質量部を超えるとゴム組成物の低発熱性や配合薬品の分散性を損なう可能性がある。老化防止剤の添加方法については後述する。
本発明で使用される老化防止剤としては、例えばアミン系、フェノール系、有機ホスファイト系あるいはチオエーテル系などの老化防止剤が挙げられる。中でも添加する老化防止剤としてはアミン系老化防止剤が好ましい。
アミン系老化防止剤としては、例えば、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N′−フェニル−P−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−P−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、4,4′(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N′−(3メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル−P−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘブチル)−N′−フェニル−P−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミンとその誘導体、N,N′−ジフェニル−P−フェニレンジアミン、N,N′−ジアリル−P−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−P−フェニレンジアミン、等が挙げられる。
(恒粘度剤(D))
前記(C)成分の老化防止剤と共に、(D)成分の恒粘度剤(ヒドラジド化合物)をマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り、0.001〜3.0質量部添加することによって(C)成分と(D)成分との相互作用によって、マスターバッチ保管中の初期粘度上昇を抑えることができる。
0.001未満では恒粘度効果が見られず3.0質量部を超えると、ゴム組成物の発熱性や配合薬品の分散性を損なう可能性がある。恒粘度剤の添加方法については後述する。
(D)成分の恒粘度剤は、硫酸ヒドロキシアミン、セミカリバジド、ジメドン(1,1−ジメチルシクロヘキサン−3,5−ジオン)の他にヒドラジド化合物が好ましく、特に、下記一般式 (II)
R−CONHNH2・・・(II)
[ただし、式中のRは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル基を示す。]で表されるヒドラジド化合物がこのましい。
一般式(II)で表される炭素数1〜5のアルキル基の付いた脂肪族ヒドラジド化合物としては、例えば、酢酸ヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、酪酸ヒドラジド、カプロン酸ヒドラジドなどが挙げられる。
また、上記一般式(II)で表されるヒドラジド化合物において、炭素数3〜5のシクロアルキル基の付いた環式ヒドラジド化合物としては、例えば、シクロプロピルヒドラジドが挙げられる。このヒドラジド化合物は一種単独又は混合して使用してもよい。中でもプロピオン酸ヒドラジドが好ましい。
次に、本発明におけるウェットマスターバッチの製造方法について述べる。
((a)工程)
本発明における(a)工程は、前記のスラリー(A)とゴムラテックス(B)とを混合する工程である。
充填材を分散させてなるスラリー(A)とゴムラテックス(B)との混合は、例えばホモミキサー中に該スラリー(A)を入れ、攪拌しながら、ゴムラテックス(B)を滴下する方法や、逆にゴムラテックス(B)を攪拌しながら、これに該スラリー(A)を滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー(A)流とゴムラテックス(B)流とを激しい水力攪拌の条件下で混合する方法などを用いることもできる。
このようにして、充填材を分散スラリー(A)とゴム成分を含むゴム液(B)との混合液が調製される。
((b)工程)
本発明における(b)工程は、前記(a)工程で得られた混合液を、化学的及び/又は物理的に凝固処理し、形成された凝固物を取り出す工程である。
化学的凝固処理方法は、従来公知の方法、例えば蟻酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩を加えることによって行われる。
一方、物理的凝固処理方法としては、スチーム加熱や凍結など温度を変化させることによって凝固を促進させる方法や、強いせん断力を加えて凝固する方法が挙げられる。
これら化学的、物理的凝固法は、単独でも複数の方法を組み合わせて用いてもよい。
この凝固処理により形成された凝固物は、従来公知の固液分離手段を用いて、取り出され、充分に洗浄される。洗浄は、通常水洗法が採用される。
((c)工程)
本発明における(c)工程は、前記(b)工程で取り出され、洗浄された凝固物を脱水及び乾燥処理する工程である。
脱水の手段としては、遠心脱水、圧搾脱水、単軸又は複軸スクリューを用いたスクイザなど、また乾燥の手段としては熱風乾燥機、減圧乾燥機、凍結乾燥機など公知の手段を用いることができる。
また、機械的なせん断力をかけながら、脱水乾燥処理する方法も好ましい方法である。この場合、工業的生産性の観点から、連続混練機又は連続多軸混練押出機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の連続多軸混練押出機を用いることが好ましく、特に連続二軸混練押出機を用いることが好ましい。
ここで、(C)成分の老化防止剤及び(D)成分の恒粘度剤のウェットマスターバッチへの添加方法について説明する。上述のようにウェットマスターバッチは(a)〜(c)の三つの製造工程より構成され、(a)工程はスラリー(A)とゴムラテックス(B)とを混合する工程であり、(C)成分及び(D)成分ともにスラリー(A)、ゴムラテックス(B)及び(A)成分と(B)成分いずれにも添加することができる。
(b)工程は(a)工程で得られた混合液を、化学的及び/又は物理的に凝固処理し、形成された凝固物を取り出す工程であり凝固物に対しても(C)成分及び(D)成分を添加することができる。
さらに、(c)工程は、前記(b)工程で取り出され、洗浄された凝固物を脱水及び乾燥処理する工程である。この乾燥工程にも(C)成分及び(D)成分を添加することができる。これら両成分の添加は、(a)工程より(b)工程、(b)工程より(c)工程と後工程で添加するほうが薬品の分散、薬品を効率よく使用する観点からは好ましい。
さらに乾燥工程で添加し、連続二軸混練押出機を用いて機械的なせん断力をかけながら、乾燥することによって薬品がマスターバッチ中に均一分散し、ウェットマスターバッチ保管中の初期粘度の上昇や、長期にわたる粘度低下をさらに抑制し改善することができる。
また、連続二軸混練押出機の混練後にさらに、バンバリーミキサーに代表されるインターナルミキサーにて混練をすることによって薬品や充填材の分散がさらに改良される。どの工程で(C)成分や(D)成分を添加しても(a)〜(c)工程を経由して、最終の乾燥工程で連続二軸混練押出機によって混練される。その後、好ましくはバンバリーミキサーに代表されるインターナルミキサーにて混練される。このようにして、本発明のウェットマスターバッチを効率よく製造することができる。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、前述した本発明のウェットマスターバッチを用いて得られたものである。
(他のゴム成分)
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分の全体に対して本発明のウェットマスターバッチにおけるゴム成分を30質量%以上含むことが好ましい。上記ウェットマスターバッチに追加して用いられる他のゴム成分としては、通常の天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体(EPDM)及びこれらの混合物などが挙げられる。
(配合成分)
本発明のゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、プロセス油、亜鉛華、スコーチ防止剤、分散助剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品を添加することができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がより好ましい。
本発明のゴム組成物で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
また、本発明のゴム組成物で使用できる軟化剤として用いるプロセス油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)が悪化するのを抑制することができる。
更に、本発明のゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜6.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5.0質量部である。
(ゴム組成物の調製、用途)
本発明のゴム組成物は、前述した本発明のウェットマスターバッチ、及び所望により用いられる他のゴム成分や各種配合成分を、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機を用いて混練りすることによって調製することができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業用品等の用途にも用いることができる。特にタイヤ用ゴムとして好適に使用され、例えばトレッドゴム、サイドゴム、プライコーティングゴム、ビードフイラーゴム、ベルトコーティングゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができる。
本発明はまた、前記本発明のゴム組成物を用いてなるタイヤをも提供する。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、前記本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、ゴムウェットマスターバッチと共に必要に応じて、上記のように、他のゴム成分や各種薬品を含有させたゴム組成物が未加硫の段階で、例えばタイヤトレッドに加工され、タイヤ成型機上で通常の方法により貼り付け成型され、生タイヤが成型される。この生タイヤを加硫機中で加熱、加圧してタイヤが得られる。
このようにして得られた本発明のタイヤは、補強性、耐摩耗性及び低発熱性などに優れている。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
各実施例、比較例における各種測定は下記の方法により行なった。
<未加硫ゴムの物性>
(1)ムーニー粘度の測定
JIS K 6300−1に準拠し、100℃で1分間予熱し、その後の4分値を測定した。
(2)放置安定性
ウェットマスターバッチを製造後、室温で3時間放置したもの、製造後50℃で30日間放置したもの、製造後50℃で180日間放置したものについてムーニー粘度を測定し、その値を比較した。
<ゴム組成物の加硫物性>
(3)破断強力(Mpa)
JIS K6251−1993に準拠し、23℃で測定した時の引張強さを求めた。値が大きいほど補強性が高い。
(4)低ロス性(反発弾性)
JIS K 6255:1996トリプソ式反発弾性試験法に準拠し、室温(25℃)にて測定し、比較例1の値を100として指数で表した。値が大きいほど反発弾性が大きく、良好である。
(5)耐摩耗性
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率40%で摩耗量を測定し、その逆数を、比較例1のゴム組成物を100とする指数で表示した。値が大きいほど質量減少が少なく耐摩耗性は良好である。
(6)未加硫ゴム組成物放置後の加硫物性(放置安定性)
ウェットマスターバッチを製造後室温で3日間放置したものを配合、加硫したものと、50℃で180日間放置ものを配合、加硫したものについて、ゴム組成物の破断強力、低ロス性(反発弾性)、耐摩耗性を評価した。
実施例1
(1)スラリー液の調製
水中にカーボンブラック(N220)を5質量%の割合で入れ、シルバーソン社製ハイシアーミキサーにて微分散させてスラリー液を作製した。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
上記(1)で作製したスラリー液2.7kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてPH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、恒粘度剤[プロピオン酸ヒドラジド]を天然ゴム100質量部当り0.001質量部、老化防止剤[N−(1.3−ジメチルブチル)−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン:老化防止剤6C]を天然ゴム100質量部当り0.05質量部になるようにベルトフィダーを用いて二軸連続混練機のベント口から投入することで、恒粘度剤及び老化防止剤を含有させ二軸連続混練機から押し出し後、室温で冷却し、引き続きバンバリーミキサーに投入し混練することでマスターバッチを製造した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当りのカーボンブラックの量は45質量部であった。
実施例2
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が0.01質量部、老化防止剤6Cの量が0.1質量部となるように調製した以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
実施例3
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が0.1質量部、老化防止剤6Cの量が1質量部となるように調製した以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
実施例4
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が0.5質量部、老化防止剤6Cの量が3質量部となるように調製した以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
実施例5
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が3質量部、老化防止剤6Cの量が10質量部となるように調製した以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
実施例6
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製をおこなった。
(2)ゴムウエットマスターバッチの製造
上記(1)で作製したスラリー液2.7kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kg中に天然ゴム100質量部に対して恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が0.1質量部、老化防止剤6Cの量がが1質量部になるように調製して添加したものとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてPH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、二軸連続混練機から押し出し後、室温で冷却し、引き続きバンバリーミキサーに投入し混練することでマスターバッチを製造した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当りのカーボンブラックの量は45質量部、恒粘度剤が0.1質量部、老化防止剤が1質量部であった。
実施例7
(1)スラリー液の調製
水中にカーボンブラック(N220)を5質量%の割合で入れ、天然ゴム100質量部に対して恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量が0.1質量部、老化防止剤6Cの量が1質量部になるように調製して添加したのち、シルバーソン社製ハイシアーミキサーにて微分散させてスラリー液を作製した。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
上記(1)で作製したスラリー液2.7kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてPH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、二軸連続混練機から押し出し後、室温で冷却し、引き続きバンバリーミキサーに投入し混練することでマスターバッチを製造した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当りのカーボンブラックの量は45質量部、老化防止剤6Cの量は1.0質量部及び恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量は0.1質量部であった。
実施例8
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
上記(1)で作製したスラリー液2.7kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてPH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。ウェット凝固物に天然ゴム100質量部に対して恒粘度剤が0.05質量部、老化防止剤が0.8質量部になるように調整して加えその後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、二軸連続混練機から押し出し後、室温で冷却し、引き続きバンバリーミキサーに投入し混練することでマスターバッチを製造した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当りのカーボンブラックの量は45質量部、老化防止剤6Cの量は0.8質量部及び恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量は0.05質量部であった。
比較例1
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
ゴムウェットマスターバッチ中に老化防止剤6C及び恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドを添加しなかった以外は実施例5と同様に行いゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
比較例2
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの老化防止剤6Cの量を0.5質量部となるように調整し恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドを添加しなかった以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
比較例3
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量を0.1質量部となるように調製し老化防止剤6Cを添加しなかった以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
比較例4
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの老化防止剤6Cの量を12質量部となるように調整し恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドを添加しなかった以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
比較例5
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量を3.5質量部となるように調製し老化防止剤6Cの量を添加しなかった以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
比較例6
(1)スラリー液の調製
実施例1と同様の調製を行った。
(2)ゴムウェットマスターバッチの製造
天然ゴム100質量部当りの恒粘度剤プロピオン酸ヒドラジドの量を0.1質量部となるように調製し、老化防止剤6Cの量を0.01質量部となるように調製した以外は実施例1と同様にゴムウェットマスターバッチの製造をおこなった。
Figure 0005577047
Figure 0005577047
実施例1〜8及び比較例1〜6
第1表−1及び第1表−2に記載の実施例1〜8及び比較例1〜6で得られたウェットマスターバッチを用い、放置安定性を評価した。評価結果を第1表−1及び第1表−2に示す。
実施例9〜16及び比較例7〜12
実施例1〜8及び比較例1〜6で得られたウェットマスターバッチを用いバンバリーミキサーを使用し、第1表−1及び第1表−2に示す配合組成の各ゴム組成物を調製した。各ゴム組成物を150℃で30分間加硫して、試験用サンプルを作製し、耐熱老化試験前後における破壊強力及び低ロス性(低発熱性)耐摩耗性を求めた。その結果を第1表−1及び第1表−2に示す。
尚、表1の上欄のウェッとマスターバッチの項に記載の天然ゴム、カーボンブラック、恒粘度剤及び老化防止剤6Cの配合量(質量部)はウェットマスターバッチ由来の値である。
本発明によれば、ウェットマスターバッチ保管中の経時的な粘度低下、並びに初期粘度上昇を共に改善したゴムウェットマスターバッチを提供することができ、またその製造方法、並びにゴムウェットマスターバッチ、該マスターバッチを用いてなるゴム組成物及び該ゴム組成物を用いてなるタイヤを提供することができる。

Claims (19)

  1. 充填材を分散させてなるスラリー(A)と、ゴムラテックス(B)、とを混合して得られるゴムウェットマスターバッチの製造方法であって、
    スラリー(A)、ゴムラテックス(B)、(A)及び(B)の混合物、該混合物を凝固した凝固物、該凝固物を乾燥した物の少なくともいずれかひとつの中間生成物に対し、ゴムウェットマスターバッチ中のゴム成分100質量部当り老化防止剤(C)0.05〜10質量部及び恒粘度剤(D)0.001〜3.0質量部を添加することを特徴とするゴムウェットマスターバッチの製造方法。
  2. 前記スラリーに含まれる充填材が、カーボンブラック、シリカ又は一般式(I)
    nM1・xSiOy・zH2O・・・(I)
    [式中、M1 は、アルミニウム,マグネシウム,チタン,カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表わされる無機充填材の少なくとも1種である請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法
  3. (B)成分のゴムラテックスが、天然ゴム、合成ゴムの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法
  4. (C)成分の老化防止剤が、アミン系老化防止剤である請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法
  5. (D)成分の恒粘度剤が、ヒドラジド化合物である請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法
  6. (D)成分の恒粘度剤が、下記一般式(II)
    R−CONHNH2・・・(II)
    [ただし、式中のRは、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数3〜5のシクロアルキル基を示す。]で表される請求項5に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法
  7. (D)成分の恒粘度剤が、プロピオン酸ヒドラジドである請求項6に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法
  8. (D)成分の恒粘度剤が、硫酸ヒドロキシアミン、セミカリバジド、ジメドン(1,1−ジメチルシクロヘキサン−3,5−ジオン)の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法
  9. 前記中間生成物が(A)及び(B)の混合物を凝固した凝固物であり、該凝固物を乾燥する工程で、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行う請求項1〜8のいずれかに記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
  10. 連続混練機を用いて乾燥を行う請求項1〜9のいずれかに記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
  11. 連続混練機が多軸混練押出機である請求項10記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
  12. 連続混練機が二軸混練押出機である請求項11記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
  13. 機械的なせん断力をかけながら乾燥を行ったのち、インターナルミキサーを用いて混練をおこなう請求項1〜12のいずれかに記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
  14. 前記スラリー(A)及び前記ゴムラテックス(B)を混合した後、凝固させて得られた凝固物を二軸連続混練機により混練しながら、さらに、前記老化防止剤(C)と前記恒粘度剤(D)とを前記二軸連続混練機に投入し、前記二軸連続混練機から押し出し後、インターナルミキサーにより混練する請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
  15. 前記スラリー(A)、前記ゴムラテックス(B)、前記老化防止剤(C)及び前記恒粘度剤(D)を混合した後、凝固させて得られた凝固物を二軸連続混練機により混練し、前記二軸連続混練機から押し出し後、インターナルミキサーにより混練する請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
  16. 前記老化防止剤(C)及び前記恒粘度剤(D)を混合したスラリー(A)と前記ゴムラテックス(B)とを混合した後、凝固させて得られた凝固物を二軸連続混練機により混練し、前記二軸連続混練機から押し出し後、インターナルミキサーにより混練する請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
  17. 前記スラリー(A)及び前記ゴムラテックス(B)を混合した後、凝固させて得られた凝固物と、前記老化防止剤(C)と、前記恒粘度剤(D)とを前記二軸連続混練機により混練し、前記二軸連続混練機から押し出し後、インターナルミキサーにより混練する請求項1に記載のゴムウェットマスターバッチの製造方法。
  18. 請求項1〜17いずれかに記載の製造方法により得られたゴムウェットマスターバッチを用いたゴム組成物。
  19. 請求項18に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
JP2009122017A 2009-05-20 2009-05-20 ゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤ Expired - Fee Related JP5577047B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009122017A JP5577047B2 (ja) 2009-05-20 2009-05-20 ゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009122017A JP5577047B2 (ja) 2009-05-20 2009-05-20 ゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010270200A JP2010270200A (ja) 2010-12-02
JP5577047B2 true JP5577047B2 (ja) 2014-08-20

Family

ID=43418487

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009122017A Expired - Fee Related JP5577047B2 (ja) 2009-05-20 2009-05-20 ゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5577047B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI451587B (zh) 2010-01-08 2014-09-01 Mitsuboshi Diamond Ind Co Ltd 薄膜太陽電池用溝加工工具
FR2969165B1 (fr) * 2010-12-21 2014-06-06 Michelin Soc Tech Composition a base de caoutchouc naturel et de noir de carbone comprenant un hydrazide, un hydrazone ou une poly-amine
JP6030411B2 (ja) * 2012-11-06 2016-11-24 東洋ゴム工業株式会社 ゴムウエットマスターバッチおよびその製造方法、ゴム組成物ならびに空気入りタイヤ
CN103524793B (zh) * 2013-09-26 2014-09-10 朝阳好优达橡塑助剂有限公司 白炭黑高活性分散剂组合物及其制备方法
JP6215005B2 (ja) 2013-11-08 2017-10-18 東洋ゴム工業株式会社 ゴム組成物の製造方法
JP6293602B2 (ja) 2014-07-17 2018-03-14 東洋ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ及びその製造方法
WO2016148299A1 (ja) 2015-03-19 2016-09-22 株式会社ブリヂストン 混合物の製造方法
JP6480268B2 (ja) * 2015-05-28 2019-03-06 株式会社ブリヂストン ウエットマスターバッチの製造方法
JP6899215B2 (ja) 2016-12-27 2021-07-07 Toyo Tire株式会社 マスターバッチの製造方法およびタイヤの製造方法
WO2019129999A1 (fr) * 2017-12-28 2019-07-04 Compagnie Generale Des Etablissements Michelin Procede et installation pour la preparation de melange caoutchouteux en phase liquide
US11466160B2 (en) 2018-08-10 2022-10-11 Toyo Tire Corporation Method for producing surface-treated carbon black, method for producing rubber wet masterbatch, and method for producing rubber composition
JP7156852B2 (ja) * 2018-08-10 2022-10-19 Toyo Tire株式会社 ゴムウエットマスターバッチの製造方法、およびゴム組成物の製造方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3698699B2 (ja) * 2000-11-07 2005-09-21 株式会社ブリヂストン ラテックスからの天然ゴム及びそれを含む組成物
JP4620481B2 (ja) * 2005-02-04 2011-01-26 株式会社ブリヂストン 老化防止剤含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ
JP2006328109A (ja) * 2005-05-23 2006-12-07 Yokohama Rubber Co Ltd:The ゴム/澱粉マスターバッチの製造方法及びそれを配合したゴム組成物
JP2008201957A (ja) * 2007-02-21 2008-09-04 Bridgestone Corp 老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物及びタイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010270200A (ja) 2010-12-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5577047B2 (ja) ゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP5646454B2 (ja) ゴムウェットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP4965822B2 (ja) ウエットマスターバッチゴム組成物及びタイヤ
JP5913978B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP5129928B2 (ja) ゴムマスターバッチ及びその製造方法
JP5676588B2 (ja) ウエットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP4620481B2 (ja) 老化防止剤含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ
JP2006213815A (ja) ゴム−充填材マスターバッチの製造方法
JP2010065126A (ja) マスターバッチの製造方法及びマスターバッチ
JP2008201957A (ja) 老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP2010248423A (ja) ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ
WO2010125959A1 (ja) ゴム用薬品分散液、その製造方法、ゴム用薬品含有ゴムウェットマスターバッチ、ゴム組成物及びタイヤ
JP4620479B2 (ja) 亜鉛華含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ
JP2016175980A (ja) ゴムウェットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物及びタイヤ用部材
JP6706050B2 (ja) ゴムウエットマスターバッチおよびゴム組成物の製造方法
JP2006219593A (ja) 複数の充填材を含有するマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ
JP7066398B2 (ja) タイヤ用ゴム組成物の製造方法
JP2019104860A (ja) 空気入りタイヤ用ゴム部材の製造方法および空気入りタイヤの製造方法
JP6767233B2 (ja) タイヤ部材の製造方法
JP2010254926A (ja) ゴム用薬品及びその製造方法、並びにそれを用いたマスターバッチ、ゴム組成物及びタイヤ
WO2019123870A1 (ja) マスターバッチの製造方法、ゴム組成物の製造方法およびタイヤの製造方法
JP5868205B2 (ja) ウェットマスターバッチの製造方法
JP2008201958A (ja) 未造粒カーボンブラックを用いたウェットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP6106023B2 (ja) タイヤの製造方法
JP2008156548A (ja) 混合・熱処理ゴム、それを用いたゴム組成物及び空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120419

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130501

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140311

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140430

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140701

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140707

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5577047

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees