JP4620479B2 - 亜鉛華含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Description
一方、ウェットマスターバッチは充填材の分散性が良好で、優れたゴム物性が得られることは一般に知られている(特許文献1〜3)。これらの特許文献には、ウェットマスターバッチの製造に用いるスラリー溶液に一般のゴム配合剤を添加できることが記載されているが、その分散方法については特に記載されていない。
すなわち、本発明は下記の構成からなる。
(A)(a)亜鉛華と、(b)カーボンブラック、シリカ、又は一般式(I)
nM1 ・xSiOy・zH2 O ・・・(I)
[式中、M1 は、アルミニウム,マグネシウム,チタン,カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表わされる無機充填材の少なくとも1種の充填材とを、同時に高せん断ミキサーを用いて分散することによりスラリー溶液を調製した後、
(B)該スラリー溶液とゴム溶液とを混合し、凝固することを特徴とするウェットマスターバッチの製造方法。
2.スラリー溶液の特性として、(i)スラリー溶液中の充填材の粒度分布は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつ(ii)スラリー溶液から乾燥回収した充填材の24M4DBP吸油量は、溶液中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上保持するものである前記1記載のマスターバッチの製造方法。
3.ゴム溶液が、天然ゴムラテックス又は合成ゴムラテックスである前記1又は2に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
4.スラリー溶液が、水分散溶液である前記1〜3のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
5.凝固後のウェットマスターバッチを乾燥させる工程で、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行う前記1〜4のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
6.連続混練機を用いて乾燥を行う前記5に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
7.連続混練機が多軸混練押出機である前記6記載のウェットマスターバッチの製造方法。
8.前記1〜7のいずれかに記載の方法により製造されたウェットマスターバッチ。
9.前記8に記載のウェットマスターバッチを用いたゴム組成物。
10.前記9に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
このスラリー溶液の調製工程(A工程)において、溶液中に分散さる充填材は、カーボンブラック、シリカ、及び一般式(I)
nM1 ・xSiOy・zH2 O ・・・(I)
[式中、M1,n,x,y,zの説明は前記]で表される無機充填材からなる群の中から選ばれた少なくとも一種のものである。
ここで、カーボンブラックとしては、通常ゴム工業に用いられるものが使用できる。例えば、SAF、HAF、ISAF、FEF、GPFなど種々のグレードのカーボンブラックを単独にまたは混合して使用することができる。
シリカは特に限定されないが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカが好ましい。
ここで、高せん断ミキサーとは、ローターとステーター部からなる高せん断ミキサーであって、高速で回転するローターと、固定されたステーターが狭いクリアランスで設置され、ローターの回転によって高いせん断速度を生み出す。
高せん断とは、せん断速度が2000/s以上、好ましくは4000/s以上であることを意味する。高せん断ミキサーは、市販品としては、例えば特殊機化工業社製ホモミクサー、独PUC社製コロイドミル、独キャビトロン社製キャビトロン、英シルバーソン社製ハイシアーミキサーなどが挙げられる。
さらに好ましくは、体積平均粒子径(mv)が20μm以下、かつ90体積%粒径(D90)が25μm以下である。粒度が大きすぎるとゴム中の充填材分散が悪化し、補強性、耐摩耗性が悪化することがある。
スラリー溶液において、前記充填材の濃度は1〜15質量%とするのが好ましく、特に2〜10質量%の範囲であることが好ましい。充填材の濃度が1質量%未満では必要とするスラリー容量が多くなりすぎ、また15質量%以上では、スラリー溶液の粘度が高くなりすぎて、作業上問題が生じる。なお、スラリー溶液としては水分散溶液であることが好ましい。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、界面活性剤や酵素で処理した脱蛋白ラテックス、前記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
合成ゴムラテックスとしては、例えばスチレン−ブタジエン重合体ゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴムなどのラテックスが含まれる。
前記スラリー溶液と前記ゴム溶液との混合は、例えば、ホモミキサー中に該スラリー溶液を入れ、攪拌しながら、ラテックスを滴下する方法や、逆にラテックスを攪拌しながら、これに該スラリー溶液を滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー流とラテックス流とを、激しい水力攪拌の条件下で混合する方法などを用いることもできる。
これにより、ゴムの場合は、加工性、補強性などをより向上することができる。この乾燥は、一般的な混練機を用いて行なうことができるが、工業的生産性の観点から、連続混練機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の多軸混練押出機を用いることがより好ましい。
また、このゴム組成物において、ゴム成分の全体に対して上記ウェットマスターバッチにおけるゴム成分を30質量%以上含むことが好ましい。上記ウェットマスターバッチに追加して用いられる他のゴム成分としては、通常の天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物などが挙げられる。
各実施例、比較例における各種測定は下記により行なった。
(1)スラリー溶液中の充填材の粒度分布測定(体積平均粒子径(mv)、90体積%粒径(D90))
レーザー回折型粒度分布計(MICROTRAC FRA型)を使用し、水溶媒(屈折率1.33)を用いて測定した。粒子屈折率(Particle refractive index)は全ての測定において1.57を用いた。また、充填材の再凝集を防ぐため、分散後直ちに測定を行った。
(2)充填材の24M4DBP吸油量
ISO 6894に準拠して測定した。
JIS K6251−1993に準拠し、23℃で測定した時の引張強さを求めた。値が大きいほど補強性が高い。
(4)ランボーン耐摩耗性試験
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率40%で摩耗量を測定し、その逆数を、比較例1のゴム組成物を100とする指数で表示した。値が大きいほど質量減少が少なく耐摩耗性は良好である。
実施例1
スラリー溶液の調製として、水中にカーボンブラック(N110)と亜鉛華を各々5質量%、0.3質量%の割合で入れ、シルバーソン社製ハイシアーミキサーにて微分散させてスラリー溶液を作成した。ここで得られたスラリー中のカーボンブラックの粒度分布は中心粒径mv=13.1μm、D90(90%粒径)=18.3μmであった。
次に、上記スラリー溶液3kgと10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合し、蟻酸にてpH4.5にコントロールして凝固し、洗浄後、2軸押出機((株)神戸製鋼所製KTX30)で乾燥して、ウェットマスターバッチAを得た。
上記ウェットマスターバッチA中、ゴム100質量部当たりのカーボンブラックの量は50質量部、亜鉛華の量は3質量部であった。
得られたウェットマスターバッチを、バンバリーミキサーを用いて第1表に示す配合に従って配合し、150℃で30分間加硫しゴム組成物(a)を得た。
バンバリーミキサーを用いて第1表に示す配合に従って配合し、150℃で30分間加硫しゴム組成物(b)を得た。
比較例2
スラリー溶液の調製として、実施例1において、亜鉛華を加えずに作成したこと以外は実施例1と同様の操作を行なってスラリー溶液を作成した。
次に、上記スラリー溶液3kgと10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを混合し、実施例1と同様の操作によりウェットマスターバッチBを作成した。
上記ウェットマスターバッチB中、ゴム100質量部当たりのカーボンブラックは、50質量部であった。
得られたウェットマスターバッチを、バンバリーミキサーを用いて第1表に示す配合に従って配合し、150℃で30分間加硫しゴム組成物(c)を得た。
更に、上記で得られた加硫ゴム組成物(a)〜(c)について、破壊強力とランボーン耐摩耗性を測定した。結果を第1表に示す。
老化防止剤6C:N−(1,3−ジメチルブチル)-N`-フェニル−p−フェニレンジアミン
加硫促進剤NS:N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
Claims (10)
- 亜鉛華を含有するウェットマスターバッチを製造する方法であって、
(A)(a)亜鉛華と、(b)カーボンブラック、シリカ、又は一般式(I)
nM1 ・xSiOy・zH2 O ・・・(I)
[式中、M1 は、アルミニウム,マグネシウム,チタン,カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表わされる無機充填材の少なくとも1種の充填材とを、同時に高せん断ミキサーを用いて分散することによりスラリー溶液を調製した後、
(B)該スラリー溶液とゴム溶液とを混合し、凝固することを特徴とする亜鉛華含有ウェットマスターバッチの製造方法。 - スラリー溶液の特性として、(i)スラリー溶液中の充填材の粒度分布は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつ(ii)スラリー溶液から乾燥回収した充填材の24M4DBP吸油量は、溶液中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上保持するものである請求項1記載のマスターバッチの製造方法。
- ゴム溶液が、天然ゴムラテックス又は合成ゴムラテックスである請求項1又は2に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
- スラリー溶液が、水分散溶液である請求項1〜3のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
- 凝固後のウェットマスターバッチを乾燥させる工程で、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行う請求項1〜4のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
- 連続混練機を用いて乾燥を行う請求項5に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
- 連続混練機が多軸混練押出機である請求項6記載のウェットマスターバッチの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の方法により製造されたウェットマスターバッチ。
- 請求項8に記載のウェットマスターバッチを用いたゴム組成物。
- 請求項9に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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