JP2008201957A - 老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物及びタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】界面活性剤を用いることなく、老化防止剤を均質に分散させることにより、ゴムの耐熱老化性、補強性、耐摩耗性などの改良を図ることができ、かつ放置安定性の良好なウェットマスターバッチを効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】(a)ゴム成分を含むゴム液を凝固処理させる工程、(b)前記(a)工程で形成された凝固物を取り出す工程、及び(c)前記(b)工程で取り出された凝固物を乾燥させる工程を有し、前記(c)乾燥工程において、機械的せん断力をかけながら、凝固物に老化防止剤を混合する、老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】(a)ゴム成分を含むゴム液を凝固処理させる工程、(b)前記(a)工程で形成された凝固物を取り出す工程、及び(c)前記(b)工程で取り出された凝固物を乾燥させる工程を有し、前記(c)乾燥工程において、機械的せん断力をかけながら、凝固物に老化防止剤を混合する、老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、その方法で得られた老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、並びに該マスターバッチを用いてなるゴム組成物及びタイヤに関する。さらに詳しくは、本発明は、界面活性剤を用いることなく、老化防止剤を均質に分散させることにより、ゴムの耐熱老化性、補強性、耐摩耗性などの改良を図ることができ、かつ放置安定性の良好なウェットマスターバッチを効率よく製造する方法、その方法で得られた老化防止剤含有ウェットマスターバッチ、並びに前記マスターバッチを用いてなるゴム組成物及びタイヤに関するものである。
一般に、ウェットマスターバッチの保管中の劣化を防ぐため、老化防止剤を添加することは知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
ウェットマスターバッチへの老化防止剤の添加にあたっては、合成ゴムで通常行われているように、ラテックスに老化防止剤を混合する手法がとられている。この場合、老化防止剤をそのまま混合するとラテックスが沈殿したり、部分的に凝固してしまうため、一般には界面活性剤を加えエマルジョンにして用いる。
また、特許文献3には、ウェットマスターバッチのカーボンブラックスラリーにゴム添加剤(薬品)を混合することが記載されている。しかし、具体的な分散方法については記述がなく、実施例として開示されているのは予めラテックスにエマルジョンとして薬品を添加している例のみである(例えば、段落〔0055〕、〔0064〕及び〔0095〕)。
しかし、これら従来法によるエマルジョンに老化防止剤を加えたラテックスは、充填材のスラリー溶液と混合すると、界面活性剤が充填材の表面に吸着することにより、充填材の表面活性を下げてしまい、この現象により、充填材とゴムの相互作用が損なわれるため、ゴムの補強性、耐摩耗性の低下を招くという問題があった。また、老化防止剤の分散性は不十分であり、耐熱老化性の向上は困難であった。
一方、特許文献4には、カーボンブラックスラリー作製時に高せん断力をかけることで、界面活性剤を使用せずにカーボンブラックスラリー中に老化防止剤を分散させ、その後、ラテックスと凝固する方法が記載されている。しかし、この方法においては、老化防止剤が、充分にウェットマスターバッチ中に取り込まれにくく、その結果、該マスターバッチを放置しておくと、ムーニー粘度が低下するおそれがあり、必ずしも充分に満足し得る方法とはいえなかった。
ウェットマスターバッチへの老化防止剤の添加にあたっては、合成ゴムで通常行われているように、ラテックスに老化防止剤を混合する手法がとられている。この場合、老化防止剤をそのまま混合するとラテックスが沈殿したり、部分的に凝固してしまうため、一般には界面活性剤を加えエマルジョンにして用いる。
また、特許文献3には、ウェットマスターバッチのカーボンブラックスラリーにゴム添加剤(薬品)を混合することが記載されている。しかし、具体的な分散方法については記述がなく、実施例として開示されているのは予めラテックスにエマルジョンとして薬品を添加している例のみである(例えば、段落〔0055〕、〔0064〕及び〔0095〕)。
しかし、これら従来法によるエマルジョンに老化防止剤を加えたラテックスは、充填材のスラリー溶液と混合すると、界面活性剤が充填材の表面に吸着することにより、充填材の表面活性を下げてしまい、この現象により、充填材とゴムの相互作用が損なわれるため、ゴムの補強性、耐摩耗性の低下を招くという問題があった。また、老化防止剤の分散性は不十分であり、耐熱老化性の向上は困難であった。
一方、特許文献4には、カーボンブラックスラリー作製時に高せん断力をかけることで、界面活性剤を使用せずにカーボンブラックスラリー中に老化防止剤を分散させ、その後、ラテックスと凝固する方法が記載されている。しかし、この方法においては、老化防止剤が、充分にウェットマスターバッチ中に取り込まれにくく、その結果、該マスターバッチを放置しておくと、ムーニー粘度が低下するおそれがあり、必ずしも充分に満足し得る方法とはいえなかった。
本発明は、このような状況下で、界面活性剤を用いることなく、老化防止剤を均質に分散させることにより、ゴムの耐熱老化性、補強性、耐摩耗性などの改良を図ることができ、かつ放置安定性の良好なウェットマスターバッチを効率よく製造する方法、並びにこの方法で得られたマスターバッチを用いてなるゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ゴム成分を含むゴム液を凝固処理する工程、形成した凝固物を取り出す工程及び取り出した凝固物を乾燥させる工程を有し、かつ前記乾燥工程において、機械的せん断力をかけながら、該凝固物に老化防止剤を混合させる、ウェットマスターバッチの製造方法により、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)ゴム成分と老化防止剤を含有するウェットマスターバッチを製造する方法であって、(a)前記ゴム成分を含むゴム液を凝固処理する工程、(b)前記(a)工程で形成された凝固物を取り出す工程、及び(c)前記(b)工程で取り出された凝固物を乾燥させる工程を有し、前記(c)乾燥工程において、機械的せん断力をかけながら、凝固物に老化防止剤を混合することを特徴とする老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(2)(a)工程におけるゴム液が、カーボンブラック、シリカ及び一般式(I)
nM・xSiOy・zH2O ・・・(I)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種の充填材を、高速せん断ミキサーを用いて分散溶媒中に分散させてなるスラリー液を含む上記(1)に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
すなわち、本発明は、
(1)ゴム成分と老化防止剤を含有するウェットマスターバッチを製造する方法であって、(a)前記ゴム成分を含むゴム液を凝固処理する工程、(b)前記(a)工程で形成された凝固物を取り出す工程、及び(c)前記(b)工程で取り出された凝固物を乾燥させる工程を有し、前記(c)乾燥工程において、機械的せん断力をかけながら、凝固物に老化防止剤を混合することを特徴とする老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(2)(a)工程におけるゴム液が、カーボンブラック、シリカ及び一般式(I)
nM・xSiOy・zH2O ・・・(I)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種の充填材を、高速せん断ミキサーを用いて分散溶媒中に分散させてなるスラリー液を含む上記(1)に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(3)スラリー液中の充填材の粒度分布が、体積平均粒径(mV)25μm以下で、90体積%粒径(D90)30μm以下であり、かつスラリー液から回収した乾燥充填材の24M4DBP吸油量が、分散溶媒に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上を保持する上記(2)に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(4)(a)工程におけるゴム液が、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(5)スラリー液が、水分散スラリー液である上記(2)〜(4)のいずれかに記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(6)(c)乾燥工程における老化防止剤の混合に際し、連続混練機を用いる上記(1)〜(5)のいずれかに記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(7)連続混練機が、多軸混練押出機である上記(6)に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(8)多軸混練押出機が、二軸混練押出機である上記(7)に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の方法で得られたことを特徴とする老化防止剤含有ウェットマスターバッチ、
(10)上記(9)に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチを用いてなるゴム組成物、及び
(11)上記(10)に記載のゴム組成物を用いてなるタイヤ、
を提供するものである。
(4)(a)工程におけるゴム液が、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(5)スラリー液が、水分散スラリー液である上記(2)〜(4)のいずれかに記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(6)(c)乾燥工程における老化防止剤の混合に際し、連続混練機を用いる上記(1)〜(5)のいずれかに記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(7)連続混練機が、多軸混練押出機である上記(6)に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(8)多軸混練押出機が、二軸混練押出機である上記(7)に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の方法で得られたことを特徴とする老化防止剤含有ウェットマスターバッチ、
(10)上記(9)に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチを用いてなるゴム組成物、及び
(11)上記(10)に記載のゴム組成物を用いてなるタイヤ、
を提供するものである。
本発明の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法は、以下に示す効果を奏する。
(1)ゴム成分と老化防止剤を含有するウェットマスターバッチを製造するに際し、ゴム成分を含むゴム液を凝固させ、この凝固物の乾燥工程において、機械的せん断力をかけながら、該凝固物に老化防止剤を混合することにより、界面活性剤を用いることなしに、老化防止剤を均質に分散させた放置安定性の良好なウェットマスターバッチを容易に得ることができる。
(2)上記(1)のゴム液が、特にカーボンブラックやシリカや他の無機充填材を高速せん断ミキサーを用いて分散溶媒中に分散させてなるスラリー液、好ましくは水分散スラリー液を含む場合、得られた充填材と老化防止剤を含有するウェットマスターバッチは、界面活性剤混入による悪影響を排除し得るため、ゴムの耐熱老化性、補強性、耐摩耗性などの改良効果を発揮することができる。
(3)上記(2)において用いたスラリー液中の充填材が特定の粒度分布を有し、かつスラリー液から回収した乾燥充填材の24M4DBP吸油量が特定の値を有する場合、上記(2)の効果が、より良好に発揮される。
(4)ゴム成分を含むゴム液が、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスの場合、上記(1)〜(3)の効果はより一層良好に発揮される。
(5)乾燥工程における老化防止剤の混合に際し、連続混練機、好ましくは多軸混練押出機、より好ましくは二軸混練押出機を用いることで、より一層均質に分散した老化防止剤を含有するウェットマスターバッチを生産性よく製造することができる。
本発明によれば、このような効果を奏する老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法を提供することができ、またこの方法で得られた老化防止剤含有ウェットマスターバッチ、該マスターバッチを用いてなるゴム組成物及び該ゴム組成物を用いてなるタイヤを提供することができる。
(1)ゴム成分と老化防止剤を含有するウェットマスターバッチを製造するに際し、ゴム成分を含むゴム液を凝固させ、この凝固物の乾燥工程において、機械的せん断力をかけながら、該凝固物に老化防止剤を混合することにより、界面活性剤を用いることなしに、老化防止剤を均質に分散させた放置安定性の良好なウェットマスターバッチを容易に得ることができる。
(2)上記(1)のゴム液が、特にカーボンブラックやシリカや他の無機充填材を高速せん断ミキサーを用いて分散溶媒中に分散させてなるスラリー液、好ましくは水分散スラリー液を含む場合、得られた充填材と老化防止剤を含有するウェットマスターバッチは、界面活性剤混入による悪影響を排除し得るため、ゴムの耐熱老化性、補強性、耐摩耗性などの改良効果を発揮することができる。
(3)上記(2)において用いたスラリー液中の充填材が特定の粒度分布を有し、かつスラリー液から回収した乾燥充填材の24M4DBP吸油量が特定の値を有する場合、上記(2)の効果が、より良好に発揮される。
(4)ゴム成分を含むゴム液が、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスの場合、上記(1)〜(3)の効果はより一層良好に発揮される。
(5)乾燥工程における老化防止剤の混合に際し、連続混練機、好ましくは多軸混練押出機、より好ましくは二軸混練押出機を用いることで、より一層均質に分散した老化防止剤を含有するウェットマスターバッチを生産性よく製造することができる。
本発明によれば、このような効果を奏する老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法を提供することができ、またこの方法で得られた老化防止剤含有ウェットマスターバッチ、該マスターバッチを用いてなるゴム組成物及び該ゴム組成物を用いてなるタイヤを提供することができる。
まず、本発明の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法について説明する。
本発明の老化防止剤含有ウェットマスターバッチ(以下、単にウェットマスターバッチと称することがある。)の製造方法は、ゴム成分と老化防止剤を含有するウェットマスターバッチを製造する方法であって、(a)前記ゴム成分を含むゴム液を凝固処理する工程、(b)前記(a)工程で形成された凝固物を取り出す工程、及び(c)前記(b)工程で取り出された凝固物を乾燥させる工程を有し、前記(c)乾燥工程において、機械的せん断力をかけながら、凝固物に老化防止剤を混合することを特徴とする。
[(a)工程]
この工程は、ゴム成分を含むゴム液を凝固処理する工程である。
当該(a)工程において用いられるゴム液としては、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックス、あるいは溶液重合による合成ゴムの有機溶媒溶液などを挙げることができるが、これらの中で、得られるウェットマスターバッチの性能や製造しやすさなどの観点から、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスが好適である。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、酵素で処理した脱蛋白ラテックス、前記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
合成ゴムラテックスとしては、例えばスチレン−ブタジエン重合体ゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴムなどのラテックスを使用することができる。
本発明の老化防止剤含有ウェットマスターバッチ(以下、単にウェットマスターバッチと称することがある。)の製造方法は、ゴム成分と老化防止剤を含有するウェットマスターバッチを製造する方法であって、(a)前記ゴム成分を含むゴム液を凝固処理する工程、(b)前記(a)工程で形成された凝固物を取り出す工程、及び(c)前記(b)工程で取り出された凝固物を乾燥させる工程を有し、前記(c)乾燥工程において、機械的せん断力をかけながら、凝固物に老化防止剤を混合することを特徴とする。
[(a)工程]
この工程は、ゴム成分を含むゴム液を凝固処理する工程である。
当該(a)工程において用いられるゴム液としては、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックス、あるいは溶液重合による合成ゴムの有機溶媒溶液などを挙げることができるが、これらの中で、得られるウェットマスターバッチの性能や製造しやすさなどの観点から、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスが好適である。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、酵素で処理した脱蛋白ラテックス、前記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
合成ゴムラテックスとしては、例えばスチレン−ブタジエン重合体ゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴムなどのラテックスを使用することができる。
本発明のウェットマスターバッチの製造方法においては、前記ゴム液は、カーボンブラック、シリカ及び一般式(I)
nM・xSiOy・zH2O ・・・(I)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種の充填材を、高速せん断ミキサーを用いて分散溶媒中に分散させてなるスラリー液を含むことができる。
ここで、カーボンブラックとしては、通常ゴム工業に用いられるものが使用できる。例えば、SAF、HAF、ISAF、FEF、GPFなど種々のグレードのカーボンブラックを単独に又は混合して使用することができる。
シリカは特に限定されないが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカが好ましい。これらは単独に又は混合して使用することができる。
nM・xSiOy・zH2O ・・・(I)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種の充填材を、高速せん断ミキサーを用いて分散溶媒中に分散させてなるスラリー液を含むことができる。
ここで、カーボンブラックとしては、通常ゴム工業に用いられるものが使用できる。例えば、SAF、HAF、ISAF、FEF、GPFなど種々のグレードのカーボンブラックを単独に又は混合して使用することができる。
シリカは特に限定されないが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカが好ましい。これらは単独に又は混合して使用することができる。
前記一般式(I)で表わされる無機充填材は、具体的には、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al2O3)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al2O3・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO3)2]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO3)2]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。
また、一般式(I)で表される無機充填材としては、Mがアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及びアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一種のものが好ましい。
また、一般式(I)で表される無機充填材としては、Mがアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及びアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一種のものが好ましい。
本発明において、スラリー液の調製に用いられる高速せん断ミキサーとは、ローターとステーター部からなる高速せん断ミキサーであって、高速で回転するローターと、固定されたステーターが狭いクリアランスで設置され、ローターの回転によって高いせん断速度を生み出す。
高速せん断とは、せん断速度が2000/s以上、好ましくは4000/s以上であることを意味する。
高速せん断ミキサーは、市販品としては、例えば特殊機化工業社製ホモミキサー、独PUC社製コロイドミル、独キャビトロン社製キャビトロン、英シルバーソン社製ハイシアーミキサーなどが挙げられる。
高速せん断とは、せん断速度が2000/s以上、好ましくは4000/s以上であることを意味する。
高速せん断ミキサーは、市販品としては、例えば特殊機化工業社製ホモミキサー、独PUC社製コロイドミル、独キャビトロン社製キャビトロン、英シルバーソン社製ハイシアーミキサーなどが挙げられる。
前記の高速せん断ミキサーを用いて得られたスラリー液の特性としては、(i)スラリー液中の充填材の粒度分布は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつ(ii)スラリー液から回収した乾燥充填材の24M4DBP吸油量は、分散溶媒に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上保持することが好ましい。ここで、24M4DBP吸油量は、ISO 6894に準拠して測定される値である。
さらに好ましくは、体積平均粒子径(mv)が20μm以下、かつ90体積%粒径(D90)が25μm以下である。粒度が大きすぎるとゴム中の充填材分散が悪化し、補強性、耐摩耗性が悪化することがある。
さらに好ましくは、体積平均粒子径(mv)が20μm以下、かつ90体積%粒径(D90)が25μm以下である。粒度が大きすぎるとゴム中の充填材分散が悪化し、補強性、耐摩耗性が悪化することがある。
他方、粒度を小さくするためにスラリーに過度のせん断力をかけると、充填材のストラクチャーが破壊され、補強性の低下を引き起こす。スラリー液から回収乾燥した充填材の24M4DBP吸油量が、分散溶媒に分散させる前の充填材の24M4DBP吸油量の93%以上であることが望ましい。さらに好ましくは96%以上である。
スラリー液において、前記充填材の濃度は1〜15質量%とするのが好ましく、特に2〜10質量%の範囲であることが好ましい。充填材の濃度が1質量%未満では必要とするスラリー容量が多くなりすぎ、また15質量%以上では、スラリー液の粘度が高くなりすぎて、作業上問題が生じる。
本発明においては、このスラリー液としては、水分散スラリー液であることが、特にゴム液として天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスを用いる場合に、混合性の観点から好ましい。
スラリー液において、前記充填材の濃度は1〜15質量%とするのが好ましく、特に2〜10質量%の範囲であることが好ましい。充填材の濃度が1質量%未満では必要とするスラリー容量が多くなりすぎ、また15質量%以上では、スラリー液の粘度が高くなりすぎて、作業上問題が生じる。
本発明においては、このスラリー液としては、水分散スラリー液であることが、特にゴム液として天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスを用いる場合に、混合性の観点から好ましい。
このスラリー液と前記ゴム液との混合は、例えば、ホモミキサー中に該スラリー液を入れ、攪拌しながら、ラテックスを滴下する方法や、逆にラテックスを攪拌しながら、これに該スラリー液を滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー流とラテックス流とを、激しい水力攪拌の条件下で混合する方法などを用いることもできる。
当該(a)工程においては、ゴム液、好ましくは前記のようにして得られたスラリー液を含むゴム液を凝固処理して、凝固物を形成させる。この凝固方法としては、従来公知の方法、例えば蟻酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩の凝固剤を用いて行われる。
当該(a)工程においては、ゴム液、好ましくは前記のようにして得られたスラリー液を含むゴム液を凝固処理して、凝固物を形成させる。この凝固方法としては、従来公知の方法、例えば蟻酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩の凝固剤を用いて行われる。
[(b)工程及び(c)工程]
(b)工程は、前記(a)工程で形成された凝固物を、従来公知の固液分離手段を用いて取り出し、充分に洗浄する工程である。洗浄は、通常水洗法が採用される。
(c)工程は、前記(b)工程で取り出され、充分に洗浄された凝固物を乾燥させる工程である。
本発明においては、当該(c)乾燥工程において、機械的せん断力を掛けながら、前記凝固物に老化防止剤を混合させる。
本発明で使用される老化防止剤としては、例えばアミン系、フェノール系、有機ホスファイト系あるいはチオエーテル系などの老化防止剤が挙げられる。
アミン系老化防止剤としては、例えば、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、4,4′−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N′−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミンとその誘導体、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジアリル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、等が挙げられる。
(b)工程は、前記(a)工程で形成された凝固物を、従来公知の固液分離手段を用いて取り出し、充分に洗浄する工程である。洗浄は、通常水洗法が採用される。
(c)工程は、前記(b)工程で取り出され、充分に洗浄された凝固物を乾燥させる工程である。
本発明においては、当該(c)乾燥工程において、機械的せん断力を掛けながら、前記凝固物に老化防止剤を混合させる。
本発明で使用される老化防止剤としては、例えばアミン系、フェノール系、有機ホスファイト系あるいはチオエーテル系などの老化防止剤が挙げられる。
アミン系老化防止剤としては、例えば、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、4,4′−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N′−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘブチル)−N′−フェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミンとその誘導体、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジアリル−p−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、等が挙げられる。
フェノール系老化防止剤としては、例えばスチレン化フェノール、ミックスドブチルオクチルフェノール、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクトキシフェノール、ステアリル−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)チオグリコレート、ステアリル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2′−メチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステル、4,4′−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、4,4′−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、2−第三ブチル−4−メチル−5−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニルアクリレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,6−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
有機ホスファイト系老化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、テトラ(C12-15混合アルキル)ビスフェノールAジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルブタントリホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル・ビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
チオエーテル系の老化防止剤としては、ジラウリル−、ジミリスチル−、ジステアリル−チオジプロピオネート等のジアルキルチオジプロピオネート類、ペンタエリスリトールテトラ(ドデシルチオプロピオネート)あるいは4,4′−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)ビス(C12-15アルキルチオプロピオネート)等のアルキル(C=8〜18)チオプロピオン酸の1価ないし6価のアルコールあるいはフェノール類のエステルが挙げられる。
これらの老化防止剤は、一種を単独で用いてもよく二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの老化防止剤は、一種を単独で用いてもよく二種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該(c)工程においては、凝固物への前記老化防止剤の混合、該混合物の乾燥は機械的せん断力をかけながら実施するため、工業的生産性の観点から、連続混練機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の多軸混練押出機を用いることがより好ましく、特に二軸混練押出機を用いることが好ましい。
本発明はまた、前記本発明の方法で得られた老化防止剤含有ウェットマスターバッチをも提供する。
本発明はまた、前記本発明の方法で得られた老化防止剤含有ウェットマスターバッチをも提供する。
本発明のゴム組成物は、前記本発明の方法で得られた老化防止剤含有ウェットマスターバッチを配合することにより得られる。該ゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、亜鉛華、スコーチ防止剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品を添加することができる。
また、このゴム組成物において、ゴム成分の全体に対して上記ウェットマスターバッチにおけるゴム成分を30質量%以上含むことが好ましい。上記ウェットマスターバッチに追加して用いられる他のゴム成分としては、通常の天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物などが挙げられる。
また、このゴム組成物において、ゴム成分の全体に対して上記ウェットマスターバッチにおけるゴム成分を30質量%以上含むことが好ましい。上記ウェットマスターバッチに追加して用いられる他のゴム成分としては、通常の天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物などが挙げられる。
本発明のゴム組成物は、タイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業用品等の用途にも用いることができる。特にタイヤ用ゴムとして好適に使用され、例えばトレッドゴム、サイドゴム、プライコーティングゴム、ビードフイラーゴム、ベルトコーティングゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができる。
本発明はまた、前記本発明のゴム組成物を用いてなるタイヤをも提供する。
本発明のタイヤは、前記本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、ウェットマスターバッチと共に必要に応じて、上記のように各種薬品を含有させたゴム組成物が未加硫の段階で、例えばタイヤトレッドに加工され、タイヤ成型機上で通常の方法により貼り付け成型され、生タイヤが成型される。この生タイヤを加硫機中で加熱、加圧してタイヤが得られる。
このようにして得られた本発明のタイヤは、耐熱老化性、補強性、耐摩耗性などに優れている。
本発明はまた、前記本発明のゴム組成物を用いてなるタイヤをも提供する。
本発明のタイヤは、前記本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、ウェットマスターバッチと共に必要に応じて、上記のように各種薬品を含有させたゴム組成物が未加硫の段階で、例えばタイヤトレッドに加工され、タイヤ成型機上で通常の方法により貼り付け成型され、生タイヤが成型される。この生タイヤを加硫機中で加熱、加圧してタイヤが得られる。
このようにして得られた本発明のタイヤは、耐熱老化性、補強性、耐摩耗性などに優れている。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
各実施例、比較例における各種測定は下記の方法により行なった。
(1)スラリー液中の充填材の粒度分布測定(体積平均粒径(mv)、90体積%粒径(D90))
レーザー回折型粒度分布計(MICROTRAC FRA型)を使用し、水溶媒(屈折率1.33)を用いて測定した。粒子屈折率(Particle refractive index)は全ての測定において1.57を用いた。また、充填材の再凝集を防ぐため、分散後直ちに測定を行った。
(2)充填材の24M4DBP吸油量
ISO 6894に準拠して測定した。
(3)破壊強力試験
JIS K6251−1993に準拠し、23℃で測定した時の引張強さを求めた。値が大きいほど補強性が高い。
(4)ムーニー粘度
JIS K 6300−1に準拠し、100℃で1分間予熱し、その後の4分値を測定した。
(5)ランボーン耐摩耗試験
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率40%で摩耗量を測定し、その逆数を、比較例4のゴム組成物(耐熱老化前)を100とする指数で表示した。値が大きいほど質量減少が少なく耐摩耗性は良好である。
(6)耐熱老化試験
ウェットマスターバッチを作製後、すぐに配合、加硫したものと、一ヶ月間40℃にて放置して配合、加硫したものについて、ゴム組成物の破壊強力及びランボーン耐摩耗性を評価した。
(7)放置安定性
ウェットマスターバッチを作製後、すぐにムーニー粘度を測定したものと、1ヶ月間放置してからムーニー粘度を測定したものについて、その値を比較した。
各実施例、比較例における各種測定は下記の方法により行なった。
(1)スラリー液中の充填材の粒度分布測定(体積平均粒径(mv)、90体積%粒径(D90))
レーザー回折型粒度分布計(MICROTRAC FRA型)を使用し、水溶媒(屈折率1.33)を用いて測定した。粒子屈折率(Particle refractive index)は全ての測定において1.57を用いた。また、充填材の再凝集を防ぐため、分散後直ちに測定を行った。
(2)充填材の24M4DBP吸油量
ISO 6894に準拠して測定した。
(3)破壊強力試験
JIS K6251−1993に準拠し、23℃で測定した時の引張強さを求めた。値が大きいほど補強性が高い。
(4)ムーニー粘度
JIS K 6300−1に準拠し、100℃で1分間予熱し、その後の4分値を測定した。
(5)ランボーン耐摩耗試験
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率40%で摩耗量を測定し、その逆数を、比較例4のゴム組成物(耐熱老化前)を100とする指数で表示した。値が大きいほど質量減少が少なく耐摩耗性は良好である。
(6)耐熱老化試験
ウェットマスターバッチを作製後、すぐに配合、加硫したものと、一ヶ月間40℃にて放置して配合、加硫したものについて、ゴム組成物の破壊強力及びランボーン耐摩耗性を評価した。
(7)放置安定性
ウェットマスターバッチを作製後、すぐにムーニー粘度を測定したものと、1ヶ月間放置してからムーニー粘度を測定したものについて、その値を比較した。
実施例1
(1)スラリー液の調製
水中にカーボンブラック(N110)を5質量%の割合で入れ、シルバーソン社製ハイシアーミキサーにて微分散させてスラリー液を作製した。ここで得られたスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=13.7μm、D90(90体積%粒径)=19.2μmであった。
また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は98mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は94mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は96%であった。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したフラリー液3kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてPH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、老化防止剤6C[N−(1.3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]をベルトフィダーを用いて1分間に0.2gずつ上記二軸連続混練機のベント口から投入することで、老化防止剤含有マスターバッチを作製した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当りのカーボンブラックの量は50質量部、老化防止剤6Cの量は1質量部であった。
(1)スラリー液の調製
水中にカーボンブラック(N110)を5質量%の割合で入れ、シルバーソン社製ハイシアーミキサーにて微分散させてスラリー液を作製した。ここで得られたスラリー液のカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=13.7μm、D90(90体積%粒径)=19.2μmであった。
また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は98mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は94mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は96%であった。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したフラリー液3kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてPH4.5に調整して凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつ量り取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、老化防止剤6C[N−(1.3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]をベルトフィダーを用いて1分間に0.2gずつ上記二軸連続混練機のベント口から投入することで、老化防止剤含有マスターバッチを作製した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当りのカーボンブラックの量は50質量部、老化防止剤6Cの量は1質量部であった。
比較例1
(1)スラリー液の調製
実施例1(1)と同様にして作製した。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したスラリー液3kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてpH4.5に調整して、凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつはかり取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、ウェットマスターバッチを作製した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当たり、カーボンブラックの量は、50質量部であった(老化防止剤無含有)。
(1)スラリー液の調製
実施例1(1)と同様にして作製した。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で作製したスラリー液3kgと、10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合したのち、これを蟻酸にてpH4.5に調整して、凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、計量カップに60g(固形分30g)ずつはかり取ったウェット凝固物を1分間隔で、神戸製鋼社製二軸連続混練機「KTX−30」に投入し、ウェットマスターバッチを作製した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当たり、カーボンブラックの量は、50質量部であった(老化防止剤無含有)。
比較例2
(1)スラリー液の調製
実施例1(1)と同様にして作製した。
(2)老化防止剤含有ラテックスの調製
老化防止剤6C10gをベンゼン30gに溶解した液Iと、水60g、水酸化カリウム0.2g、オレイン酸2gを混合した液IIを、激しく攪拌して混合し、濃度10質量%のエマルジョン液を作製した。このエマルジョン液を天然ゴムラテックスに添加し、天然ゴム濃度10質量%、老化防止剤6C濃度0.1質量%のラテックスを作製した。
上記(1)により得られたカーボンブラックスラリー液と老化防止剤含有ラテックスとを混合し、比較例1(2)と同様の操作により老化防止剤含有ウェットマスターバッチを作製した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当たり、カーボンブラックの量は50質量部、老化防止剤6Cの量は1質量部であった。
(1)スラリー液の調製
実施例1(1)と同様にして作製した。
(2)老化防止剤含有ラテックスの調製
老化防止剤6C10gをベンゼン30gに溶解した液Iと、水60g、水酸化カリウム0.2g、オレイン酸2gを混合した液IIを、激しく攪拌して混合し、濃度10質量%のエマルジョン液を作製した。このエマルジョン液を天然ゴムラテックスに添加し、天然ゴム濃度10質量%、老化防止剤6C濃度0.1質量%のラテックスを作製した。
上記(1)により得られたカーボンブラックスラリー液と老化防止剤含有ラテックスとを混合し、比較例1(2)と同様の操作により老化防止剤含有ウェットマスターバッチを作製した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当たり、カーボンブラックの量は50質量部、老化防止剤6Cの量は1質量部であった。
比較例3
(1)スラリー液の調製
水中にカーボンブラック(N110)(前出)と老化防止剤6Cを、それぞれ5質量%、0.1質量%の割合で入れ、実施例1(1)と同様にしてスラリー液を調製した。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で得たスラリー液3kgと10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合し、蟻酸にてpH4.5に調整して、凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、比較例1(2)と同様の操作により、老化防止剤含有ウェットマスターバッチを作製した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当たり、カーボンブラックの量は50質量部、老化防止剤6Cの量は1質量部であった。
前記実施例1及び比較例1〜3で作製したウェットマスターバッチについて、放置安定性を調べた。その結果を表1に示す。
(1)スラリー液の調製
水中にカーボンブラック(N110)(前出)と老化防止剤6Cを、それぞれ5質量%、0.1質量%の割合で入れ、実施例1(1)と同様にしてスラリー液を調製した。
(2)ウェットマスターバッチの調製
上記(1)で得たスラリー液3kgと10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合し、蟻酸にてpH4.5に調整して、凝固させた。この凝固物をろ取し、充分に洗浄してウェット凝固物900gを得た。その後、比較例1(2)と同様の操作により、老化防止剤含有ウェットマスターバッチを作製した。
このマスターバッチにおいては、天然ゴム100質量部当たり、カーボンブラックの量は50質量部、老化防止剤6Cの量は1質量部であった。
前記実施例1及び比較例1〜3で作製したウェットマスターバッチについて、放置安定性を調べた。その結果を表1に示す。
実施例2及び比較例4〜6
実施例1及び比較例1〜3で得られたウェットマスターバッチを用い、バンバリーミキサーを使用し、表2に示す配合組成の各ゴム組成物を調製した。
各ゴム組成物を150℃で30分間加硫して、試験用サンプルを作製し、耐熱老化試験前後における破壊強力及びランボーン耐摩耗性を求めた。その結果を表2に示す。
尚、表2の配合組成の欄のウェッとマスターバッチの項に記載の天然ゴム、カーボンブラック及び老化防止剤6Cの配合量(質量部)はウェットマスターバッチ由来の値である。
実施例1及び比較例1〜3で得られたウェットマスターバッチを用い、バンバリーミキサーを使用し、表2に示す配合組成の各ゴム組成物を調製した。
各ゴム組成物を150℃で30分間加硫して、試験用サンプルを作製し、耐熱老化試験前後における破壊強力及びランボーン耐摩耗性を求めた。その結果を表2に示す。
尚、表2の配合組成の欄のウェッとマスターバッチの項に記載の天然ゴム、カーボンブラック及び老化防止剤6Cの配合量(質量部)はウェットマスターバッチ由来の値である。
本発明の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法は、界面活性剤を用いることなく、老化防止剤を均質に分散させることにより、ゴムの耐熱老化性、補強性、耐摩耗性などの改良を図ることができ、かつ放置安定性の良好なウェットマスターバッチを効率よく製造することができる。
Claims (11)
- ゴム成分と老化防止剤を含有するウェットマスターバッチを製造する方法であって、(a)前記ゴム成分を含むゴム液を凝固処理する工程、(b)前記(a)工程で形成された凝固物を取り出す工程、及び(c)前記(b)工程で取り出された凝固物を乾燥させる工程を有し、前記(c)乾燥工程において、機械的せん断力をかけながら、凝固物に老化防止剤を混合することを特徴とする老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法。
- (a)工程におけるゴム液が、カーボンブラック、シリカ及び一般式(I)
nM・xSiOy・zH2O・・・・・・・・(I)
[式中,Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物または水酸化物、それらの水和物、及び前記金属野炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y、及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種の充填材を、高速せん断ミキサーを用いて分散溶媒中に分散させてなるスラリー溶液を含む請求項1に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法。 - スラリー液中の充填材の粒度分布が、体積平均粒径(mv)25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつスラリー液から回収した乾燥充填材の24M4DBP吸油量が、分散溶媒に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上を保持する請求項2に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法。
- (a)工程におけるゴム液が、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスである請求項1〜3のいずれかに記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法。
- スラリー液が、水分散スラリー液である請求項2〜4のいずれかに記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法。
- (c)乾燥工程における老化防止剤の混合に際し、連続混練機を用いる請求項1〜5のいずれかに記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法。
- 連続混練機が、多軸混練押出機である請求項6に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法。
- 多軸混練押出機が二軸混練押出機である請求項7に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の方法で得られたことを特徴とする老化防止剤含有ウェットマスターバッチ。
- 請求項9に記載の老化防止剤含有ウェットマスターバッチを用いてなるゴム組成物。
- 請求項10に記載のゴム組成物を用いてなるタイヤ。
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