JP4620481B2 - 老化防止剤含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ - Google Patents

老化防止剤含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP4620481B2
JP4620481B2 JP2005028801A JP2005028801A JP4620481B2 JP 4620481 B2 JP4620481 B2 JP 4620481B2 JP 2005028801 A JP2005028801 A JP 2005028801A JP 2005028801 A JP2005028801 A JP 2005028801A JP 4620481 B2 JP4620481 B2 JP 4620481B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wet masterbatch
producing
solution
rubber
slurry solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005028801A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006213842A (ja
Inventor
和明 染野
和宏 柳澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2005028801A priority Critical patent/JP4620481B2/ja
Publication of JP2006213842A publication Critical patent/JP2006213842A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4620481B2 publication Critical patent/JP4620481B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、老化防止剤含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法に関し、詳しくは、ゴムの耐熱老化性、補強性及び耐摩耗性が改良されたウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤに関する。
一般に、ウェットマスターバッチの保管中の劣化を防ぐため、老化防止剤を添加することは知られている(特許文献1,2など)。
ウェットマスターバッチへの老化防止剤の添加にあたっては、合成ゴムで通常行われているように、ラテックスに老化防止剤を混合する手法がとられている。この場合、老化防止剤をそのまま混合するとラテックスが沈殿したり、部分的に凝固してしまうため、一般には界面活性剤を加えエマルジョンにして用いる。
また、特許文献3には、ウェットマスターバッチのカーボンブラックスラリーにゴム添加剤(薬品)を混合することが記載されている。しかし、具体的な分散方法については記述がなく、実施例として開示されているのは予めラテックスにエマルジョンとして薬品を添加している例のみである(例えば、段落〔0055〕、〔0064〕及び〔0095〕)。
しかし、これら従来法によるエマルジョンの老化防止剤を加えたラテックスは、充填材のスラリー溶液と混合すると、界面活性剤が充填材の表面に吸着することにより、充填材の表面活性を下げてしまい、この現象により、充填材とゴムの相互作用が損なわれるため、ゴムの補強性、耐摩耗性の低下を招くという問題があった。また、老化防止剤の分散性は不十分であり、耐熱老化性の向上は困難であった。
特公昭54−10576号公報 特公昭51−43851号公報 特表2001−518401号公報
本発明は、かかる状況下で、ゴム中の老化防止剤の分散性を高め、耐熱老化性と共に、補強性(耐破壊性)及び耐摩耗性を向上させたウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、あらかじめ老化防止剤を特定充填材と共に、高せん断ミキサーにより分散させて得られたスラリー溶液をラテックスと混合することが有効なことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の構成からなる。
1.(A)(a)老化防止剤と、(b)カーボンブラック、シリカ、又は一般式(I)
nM1 ・xSiOy・zH2 O ・・・(I)
[式中、M1 は、アルミニウム,マグネシウム,チタン,カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]
で表わされる無機充填材の少なくとも1種とを、同時に高速せん断ミキサーを用いて分散溶媒中に分散させることによりスラリー溶液を調製した後、
(B)該スラリー溶液とゴム溶液とを混合し、凝固させることを特徴とする老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法。
2.スラリー溶液の特性として、(i)スラリー溶液中の充填材の粒度分布は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつ(ii)スラリー溶液から乾燥回収した充填材の24M4DBP吸油量は、溶液中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上保持するものである前記1記載のウェットマスターバッチの製造方法。
3.(a)成分と(b)成分との溶液中への分散は、界面活性剤を使用することなく、高速せん断ミキサーにより行なうものである前記1又は2に記載のウエットマスターバッチの製造方法。
4.ゴム溶液が、天然ゴムラテックス又は合成ゴムラテックスである前記1〜3のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
5.スラリー溶液が、水分散溶液である前記1〜4のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
6.凝固後のウェットマスターバッチを乾燥する工程で、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行う前記1〜5のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
7.連続混練機を用いて乾燥を行う前記6に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
8.連続混練機が多軸混練押出機である前記7記載のウェットマスターバッチの製造方法。
9.前記1〜8のいずれかに記載の方法により製造されたウェットマスターバッチ。
10.前記9に記載のウェットマスターバッチを用いたゴム組成物。
11.前記10に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
本発明によれば、老化防止剤を特定充填材とともに、界面活性剤を使用することなく、高せん断ミキサーを用いて分散して得たスラリー溶液を用いることにより、ゴムの耐熱老化性と共に、補強性及び耐摩耗性を向上させることができる。
本発明において、ウェットマスターバッチの製造は、老化防止剤と所定充填材とを含むスラリー溶液とゴム溶液とを混合、凝固することにより製造される。
このスラリー溶液の調製工程((A)工程)において、溶液中に分散さる充填材は、カーボンブラック、シリカ、及び一般式(I)
nM1 ・xSiOy・zH2 O ・・・(I)
[式中、M1,n,x,y,zの説明は前記]で表される無機充填材からなる群の中から選ばれた少なくとも一種のものである。
ここで、カーボンブラックとしては、通常ゴム工業に用いられるものが使用できる。例えば、SAF、HAF、ISAF、FEF、GPFなど種々のグレードのカーボンブラックを単独にまたは混合して使用することができる。
シリカは特に限定されないが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカが好ましい。
前記一般式(I)で表わされる無機充填材は、具体的には、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。
また、一般式(I)で表される無機充填材としては、M1 がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及びアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一種のものが好ましい。
本発明におけるスラリー溶液の調製に際しては、上記の所定充填材を老化防止剤と共に、分散溶媒中に混合し、高せん断ミキサーを用いて分散することが必要である。
また、この分散は、界面活性剤を使用することなく行なうことが好ましい。ここで、高せん断ミキサーとは、ローターとステーター部からなる高せん断ミキサーであって、高速で回転するローターと、固定されたステーターが狭いクリアランスで設置され、ローターの回転によって高いせん断速度を生み出す。
高せん断とは、せん断速度が2000/s以上、好ましくは4000/s以上であることを意味する。
高せん断ミキサーは、市販品としては、例えば特殊機化工業社製ホモミキサー、独PUC社製コロイドミル、独キャビトロン社製キャビトロン、英シルバーソン社製ハイシアーミキサーなどが挙げられる。
前記の高せん断ミキサーを用いて得られたスラリー溶液の特性としては、(i)スラリー溶液中の充填材の粒度分布は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつ(ii)スラリー溶液から乾燥回収した充填材の24M4DBP吸油量は、溶液中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上保持するものであることが好ましい。ここで、24M4DBP吸油量は、ISO 6894に準拠して測定される値である。
さらに好ましくは、体積平均粒子径(mv)が20μm以下、かつ90体積%粒径(D90)が25μm以下である。粒度が大きすぎるとゴム中の充填材分散が悪化し、補強性、耐摩耗性が悪化することがある。
他方、粒度を小さくするためにスラリーに過度のせん断力をかけると、充填材のストラクチャーが破壊され、補強性の低下を引き起こす。スラリー溶液から乾燥回収した充填材の24M4DBP吸油量が、スラリーに投入する前の充填材の24MDBP吸油量の93%以上であることが望ましい。さらに好ましくは96%以上である。
スラリー溶液において、前記充填材の濃度は1〜15質量%とするのが好ましく、特に2〜10質量%の範囲であることが好ましい。充填材の濃度が1質量%未満では必要とするスラリー容量が多くなりすぎ、また15質量%以上では、スラリー溶液の粘度が高くなりすぎて、作業上問題が生じる。
また、老化防止剤は、スラリー溶液中、0.05〜1質量%であることが好ましく、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。0.05質量%未満では物性改良効果が充分でなく、また1質量%を超えるとスラリー溶液内での老化防止剤の均一性が保てなくなる場合がある。
本発明で使用される老化防止剤としては、例えばアミン系、フェノール系、有機ホスファイト系あるいはチオエーテル系などの老化防止剤が挙げられる。
アミン系老化防止剤としては、例えば、N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N′−フェニル−P−フェニレンジアミン、N−フェニル−N′−イソプロピル−P−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、4,4′(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N′−(3メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル−P−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘブチル)−N′−フェニル−P−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミンとその誘導体、N,N′−ジフェニル−P−フェニレンジアミン、N,N′−ジアリル−P−フェニレンジアミン、N,N′−ジ−β−ナフチル−P−フェニレンジアミン、等が挙げられる。
フェノール系老化防止剤としては、例えばスチレン化フェノール、ミックスドブチルオクチルフェノール、2,6−ジ第三ブチル−P−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクトキシフェノール、ステアリル−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)チオグリコレート、ステアリル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)プロピオネート、ジステアリル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2′−メチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2′−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,5−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシド]グリコールエステル、4,4′−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、4,4′−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、2−第三ブチル−4−メチル−5−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニルアクリレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,6−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−β−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
有機ホスファイト系老化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、テトラ(C12-15混合アルキル)ビスフェノールAジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−第三ブチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルブタントリホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル・ビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
チオエーテル系の老化防止剤としては、ジラウリル−、ジミリスチル−、ジステアリル−チオジプロピオネート等のジアルキルチオジプロピオネート類、ペンタエリスリトールテトラ(ドデシルチオプロピオネート)あるいは4,4′−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)ビス(C12-15アルキルチオプロピオネート)等のアルキル(C=8〜18)チオプロピオン酸の1価ないし6価のアルコールあるいはフェノール類のエステルが挙げられる。
次に、(B)工程において、前記スラリー溶液と混合されるゴム溶液としては、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスが含まれ、また、溶液重合による合成ゴムの有機溶媒溶液も含まれる。この中で、天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスが好ましい。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、酵素で処理した脱蛋白ラテックス、前記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
合成ゴムラテックスとしては、例えばスチレン−ブタジエン重合体ゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴムなどのラテックスが含まれる。
前記スラリー溶液と前記ゴム溶液との混合は、例えば、ホモミキサー中に該スラリー溶液を入れ、攪拌しながら、ラテックスを滴下する方法や、逆にラテックスを攪拌しながら、これに該スラリー溶液を滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー流とラテックス流とを、激しい水力攪拌の条件下で混合する方法などを用いることもできる。
ウェットマスターバッチの凝固方法としては、通常と同様、蟻酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩の凝固剤を用いて行われる。また、本発明においては、凝固剤を添加せず、天然ゴムラテックスと前記スラリーとを混合することによって、凝固がなされる場合もある。
ウェットマスターバッチ製造の最終工程として、乾燥が通常行われる。本発明においては、真空乾燥機、エアドライヤー、ドラムドライヤー、バンドドライヤー等の通常の乾燥機を用いることができるが、さらに充填材の分散性を向上させるためには、機械的せん断力をかけながら乾燥を行なうことが好ましい。
これにより、ゴムの場合は、加工性、補強性などをより向上することができる。この乾燥は、一般的な混練機を用いて行なうことができるが、工業的生産性の観点から、連続混練機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の多軸混練押出機を用いることがより好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記の方法で得られたウェットマスターバッチを配合して得られる。該ゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、亜鉛華、スコーチ防止剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品を添加することができる。
また、このゴム組成物において、ゴム成分の全体に対して上記ウェットマスターバッチにおけるゴム成分を30質量%以上含むことが好ましい。上記ウェットマスターバッチに追加して用いられる他のゴム成分としては、通常の天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物などが挙げられる。
本発明のゴム組成物は、タイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業用品等の用途にも用いることができる。特にタイヤ用ゴムとして好適に使用され、例えばトレッドゴム、サイドゴム、プライコーティングゴム、ビードフイラーゴム、ベルトコーティングゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
各実施例、比較例における各種測定は下記により行なった。
(1)スラリー溶液中の充填材の粒度分布測定(体積平均粒子径(mv)、90体積%粒径(D90))
レーザー回折型粒度分布計(MICROTRAC FRA型)を使用し、水溶媒(屈折率1.33)を用いて測定した。粒子屈折率(Particle refractive index)は全ての測定において1.57を用いた。また、充填材の再凝集を防ぐため、分散後直ちに測定を行った。
(2)充填材の24M4DBP吸油量
ISO 6894に準拠して測定した。
(3)破壊強力試験
JIS K6251−1993に準拠し、23℃で測定した時の引張強さを求めた。値が大きいほど補強性が高い。
(4)ランボーン耐摩耗試験
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率40%で摩耗量を測定し、その逆数を、比較例1のゴム組成物(耐熱老化前)を100とする指数で表示した。値が大きいほど質量減少が少なく耐摩耗性は良好である。
(5)耐熱老化試験
ウェットマスターバッチを作成後、すぐに配合、加硫したものと、一ヶ月間40℃放置して配合、加硫したものについて、ゴム組成物の破壊強力及びランボーン耐摩耗性を評価した。
実施例1(ウェットマスターバッチAの製造)
(A)スラリー溶液の調製:水中にカーボンブラック(N110)と老化防止剤6C(N−(1,3−ジメチルブチル)-N`-フェニル−p−フェニレンジアミン)を各々5質量%、0.1質量%の割合で入れ、シルバーソン社製ハイシアーミキサーにて微分散させてスラリー溶液を作成した。ここで得られたスラリー中のカーボンブラックの粒度分布は中心粒径mv=13.7μm、D90(90%粒径)=19.2μmであった。
(B)ウェットマスターバッチの調製:上記スラリー溶液3kgと10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを攪拌しながら混合し、蟻酸にてpH4.5にコントロールして凝固し、洗浄、真空乾燥して、ウェットマスターバッチAを得た。
上記ウェットマスターバッチA中、ゴム100質量部当たりのカーボンブラックの量は50質量部、老化防止剤の量は1質量部であった。
比較例1(ウェットマスターバッチBの製造)
スラリー溶液の調製として、実施例1において、老化防止剤を加えずに作成したこと以外は実施例1と同様の操作を行なってスラリー溶液を作成した。
次に、上記スラリー溶液3kgと10質量%に希釈した天然ゴム濃縮ラテックス3kgとを混合し、実施例1と同様の操作によりウェットマスターバッチBを作成した。
上記ウェットマスターバッチB中、ゴム100質量部当たりのカーボンブラックの量は50質量部であった。
比較例2(ウェットマスターバッチCの製造)
(A)スラリー溶液の調製:比較例1と同様にして老化防止剤を添加せず作成した。
(B)老化防止剤含有ラテックスの調製:老化防止剤6Cの10gをベンゼン30gに溶解した液Iと、水60g、水酸化カリウム0.2g、オレイン酸2g混合した液IIを、激しく攪拌して混合して濃度10%のエマルジョン液を作成した。このエマルジョン液を天然ゴムラテックスに添加し、天然ゴム濃度10質量%、老化防止剤濃度0.1質量%のラテックスを作成した。
上記により得られたカーボンブラックスラリー溶液と老化防止剤含有ラテックスとを混合し、比較例1と同様の操作によりウェットマスターバッチCを作成した。
上記ウェットマスターバッチC中、ゴム100質量部当たりのカーボンブラックの量は50質量部、老化防止剤の量は1質量部であった。
実施例2及び比較例3、4
実施例1及び比較例1,2で得られた天然ゴムマスターバッチA〜Cを用い、バンバリーミキサーを用いて第1表に示す配合に従って配合し、150℃で30分加硫しゴム組成物を調製した。これらのゴム組成物について、耐熱老化試験前後においての破壊強力とランボーン摩耗を測定した。結果を第1表に示す。
Figure 0004620481
(注)
加硫促進剤NS:N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
上記の結果によれば、本発明による実施例2のゴム組成物は比較例3,4のゴム組成物と対比して、耐熱老化試験前における破壊強力及び耐摩耗性は優れている。また、耐熱老化試験後の結果から、実施例2のゴム組成物は耐熱老化製に優れていることがわかる。
ゴム中の老化防止剤の分散性を高め、耐熱老化性と共に、補強性(耐破壊性)及び耐摩耗性を向上させたウェットマスターバッチの使用により、特にタイヤ等の用途に有用である。


Claims (11)

  1. 老化防止剤を含有するウェットマスターバッチを製造する方法であって、
    (A)(a)老化防止剤と、(b)カーボンブラック、シリカ、又は一般式(I)
    nM1 ・xSiOy・zH2 O ・・・(I)
    [式中、M1 は、アルミニウム,マグネシウム,チタン,カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]
    で表わされる無機充填材の少なくとも1種とを、同時に高速せん断ミキサーを用いて分散溶媒中に分散させることによりスラリー溶液を調製した後、
    (B)該スラリー溶液とゴム溶液とを混合し、凝固させることを特徴とする老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法。
  2. スラリー溶液の特性として、(i)スラリー溶液中の充填材の粒度分布は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつ(ii)スラリー溶液から乾燥回収した充填材の24M4DBP吸油量は、溶液中に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上保持するものである請求項1記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  3. (a)成分と(b)成分との溶液中への分散は、界面活性剤を使用することなく、高速せん断ミキサーにより行なうものである請求項1又は2に記載のウエットマスターバッチの製造方法。
  4. ゴム溶液が、天然ゴムラテックス又は合成ゴムラテックスである請求項1〜3のいずれかに記載のウエットマスターバッチの製造方法。
  5. スラリー溶液が、水分散溶液である請求項1〜4のいずれかに記載のウエットマスターバッチの製造方法。
  6. 凝固後のウエットマスターバッチを乾燥する工程で、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行う請求項1〜5のいずれかに記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  7. 連続混練機を用いて乾燥を行う請求項6に記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  8. 連続混練機が多軸混練押出機である請求項7記載のウェットマスターバッチの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の方法により製造されたウェットマスターバッチ。
  10. 請求項9に記載のウェットマスターバッチを用いたゴム組成物。
  11. 請求項10に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
JP2005028801A 2005-02-04 2005-02-04 老化防止剤含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ Expired - Fee Related JP4620481B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005028801A JP4620481B2 (ja) 2005-02-04 2005-02-04 老化防止剤含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005028801A JP4620481B2 (ja) 2005-02-04 2005-02-04 老化防止剤含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006213842A JP2006213842A (ja) 2006-08-17
JP4620481B2 true JP4620481B2 (ja) 2011-01-26

Family

ID=36977331

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005028801A Expired - Fee Related JP4620481B2 (ja) 2005-02-04 2005-02-04 老化防止剤含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4620481B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5590817B2 (ja) * 2009-04-28 2014-09-17 株式会社ブリヂストン ゴム用薬品及びその製造方法、並びにそれを用いたマスターバッチ、ゴム組成物及びタイヤ
BRPI1014615A2 (pt) 2009-04-28 2019-09-24 Bridgestone Corp dispersão líquida de produto químico para borrachas,método para produzir a mesma, batelada de borracha úmida contendo produto químico para borrachas,composição de borracha e pneu".
JP5577047B2 (ja) * 2009-05-20 2014-08-20 株式会社ブリヂストン ゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP5405250B2 (ja) * 2009-09-17 2014-02-05 東洋ゴム工業株式会社 ゴム組成物及びその製造方法、並びに空気入りタイヤ
JP2013231155A (ja) * 2012-04-05 2013-11-14 Sumitomo Chemical Co Ltd ゴム用老化防止剤
JP6030411B2 (ja) * 2012-11-06 2016-11-24 東洋ゴム工業株式会社 ゴムウエットマスターバッチおよびその製造方法、ゴム組成物ならびに空気入りタイヤ
JP6122292B2 (ja) * 2012-12-21 2017-04-26 住友ゴム工業株式会社 高分子用オゾン劣化防止剤
JP6651333B2 (ja) * 2015-11-20 2020-02-19 株式会社ブリヂストン ウェットマスターバッチの製造方法及びタイヤの製造方法
JP6720047B2 (ja) * 2016-10-14 2020-07-08 Toyo Tire株式会社 タイヤ部材の製造方法
JP6912357B2 (ja) * 2017-11-13 2021-08-04 Toyo Tire株式会社 マスターバッチの製造方法、タイヤ用ゴム組成物の製造方法およびタイヤの製造方法
JP6979858B2 (ja) * 2017-11-13 2021-12-15 Toyo Tire株式会社 マスターバッチの製造方法、タイヤ用ゴム組成物の製造方法およびタイヤの製造方法
CN110343325B (zh) * 2019-08-13 2021-08-24 中广核高新核材科技(苏州)有限公司 基于mbz的抗氧剂母粒的制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60255946A (ja) * 1984-04-30 1985-12-17 アライド・コーポレーシヨン 新規なニツケル/インジウム合金およびこれをプリント配線板の製造に使用する方法
JP2002256109A (ja) * 2000-12-25 2002-09-11 Yokohama Rubber Co Ltd:The 充填剤含有ゴム組成物及びその製造方法
JP2004099625A (ja) * 2001-07-27 2004-04-02 Bridgestone Corp 天然ゴムマスターバッチ及びその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS60255946A (ja) * 1984-04-30 1985-12-17 アライド・コーポレーシヨン 新規なニツケル/インジウム合金およびこれをプリント配線板の製造に使用する方法
JP2002256109A (ja) * 2000-12-25 2002-09-11 Yokohama Rubber Co Ltd:The 充填剤含有ゴム組成物及びその製造方法
JP2004099625A (ja) * 2001-07-27 2004-04-02 Bridgestone Corp 天然ゴムマスターバッチ及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006213842A (ja) 2006-08-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4620481B2 (ja) 老化防止剤含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ
JP5129928B2 (ja) ゴムマスターバッチ及びその製造方法
JP2008201957A (ja) 老化防止剤含有ウェットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP4838967B2 (ja) 天然ゴムマスターバッチ及びその製造方法
JP4965822B2 (ja) ウエットマスターバッチゴム組成物及びタイヤ
JP5676588B2 (ja) ウエットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP5913978B2 (ja) ゴム組成物及び空気入りタイヤ
EP1283219B1 (en) Natural rubber master batch, production method thereof, and natural rubber composition
JP5577047B2 (ja) ゴムウェットマスターバッチ、その製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP2010065126A (ja) マスターバッチの製造方法及びマスターバッチ
JP5570152B2 (ja) タイヤ
JP2006213815A (ja) ゴム−充填材マスターバッチの製造方法
JP2010248423A (ja) ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ
WO2010125959A1 (ja) ゴム用薬品分散液、その製造方法、ゴム用薬品含有ゴムウェットマスターバッチ、ゴム組成物及びタイヤ
JP4582703B2 (ja) ゴム組成物およびタイヤ
EP3121224B1 (en) Rubber composition and tire obtained using same
JP4620479B2 (ja) 亜鉛華含有ウェットマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ
JP2007231153A (ja) 天然ゴムウェットマスターバッチの製造方法、天然ゴムウェットマスターバッチ及びそれを用いたゴム組成物
JPWO2005012396A1 (ja) ゴムマスターバッチ及びその製造方法
JP2006219593A (ja) 複数の充填材を含有するマスターバッチ及びその製造方法、並びにこれを用いたゴム組成物及びタイヤ
JP2009173698A (ja) ゴム組成物の製造方法、ゴム組成物およびそれを用いたタイヤ
JP5523852B2 (ja) ゴム組成物の混練方法
JP2008201958A (ja) 未造粒カーボンブラックを用いたウェットマスターバッチの製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
JP6106023B2 (ja) タイヤの製造方法
JP2008156548A (ja) 混合・熱処理ゴム、それを用いたゴム組成物及び空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080124

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101008

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101019

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101028

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131105

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4620481

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees