JP2004307541A - ゴムマスターバッチ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】空気不透過性及び機械特性を向上させたゴムマスターバッチを高い生産性で製造するための方法、並びに該方法で製造された空気不透過性及び機械特性に優れたゴムマスターバッチを提供する。
【解決手段】ゴム成分が分散又は溶解したゴム液と、層状粘土鉱物を溶媒に分散させたスラリー溶液とを混合し、機械的なせん断力をかけながら乾燥することを特徴とするゴムマスターバッチの製造方法、並びに該方法で製造されるゴムマスターバッチである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムマスターバッチ及びその製造方法、並びに該ゴムマスターバッチを含むゴム組成物、該ゴム組成物を用いたタイヤに関し、特に層状粘土鉱物を高度に分散させたゴムマスターバッチの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ゴム物品の空気不透過性、機械的性質等を改良するために、ゴム成分中に層状粘土鉱物を添加、混合したゴム−層状粘土鉱物複合体をゴム物品に用いる技術が知られている。ここで、かかるゴム−層状粘土鉱物複合体の製造方法においては、ゴム成分中に層状粘土鉱物を高度且つ均一に分散させ、配合された層状粘土鉱物のアルペクト比を向上させることが重要である。
【0003】
かかるゴム−層状粘土鉱物複合体の製造方法としては、水中で層状粘土鉱物とゴムラテックスとを混合する方法、有機溶媒中で有機化された層状粘土鉱物とゴム成分とを混合する方法等が知られており、該方法で得られたゴム−層状粘土鉱物複合体よりなるゴムマスターバッチは、高い空気不透過性と良好な機械特性を有することが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第5807629号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記米国特許第5807629号明細書に記載の方法では、ゴム成分と層状粘土鉱物とを通常の混練方法で混練するよりも層状粘土鉱物の分散性が向上するものの、該層状粘土鉱物がナノレベルで層間剥離していないため、層状粘土鉱物のアスペクト比が不充分であり、該方法で得られるゴムマスターバッチは、空気不透過性及び機械特性が不充分である。また、該方法は、水や有機溶媒の乾燥工程を必要とし、工程数が増加するため、生産性が悪い。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、空気不透過性及び機械特性を向上させたゴムマスターバッチを高い生産性で製造するための方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、かかる製造方法で得られるゴムマスターバッチを提供することにある。更に、本発明のその他の目的は、該ゴムマスターバッチを配合してなるゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ゴム成分が分散又は溶解したゴム液と、層状粘土鉱物を溶媒に分散させたスラリー溶液とを混合した後、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行うことによって、生産性が改善され、更に得られたゴムマスターバッチの空気不透過性及び機械特性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明のゴムマスターバッチの製造方法は、ゴム成分が分散又は溶解したゴム液と、層状粘土鉱物を溶媒に分散させたスラリー溶液とを混合し、機械的なせん断力をかけながら乾燥することを特徴とする。ここで、ゴム液とは、ゴム成分を溶媒に分散又は溶解させた液をさす。
【0009】
本発明のゴムマスターバッチの製造方法の好適例においては、前記ゴム液が前記ゴム成分を水に分散させたゴムラテックスであり、前記スラリー溶液の溶媒が水である。この場合、前記乾燥前に、固形化を行うのが特に好ましい。
【0010】
本発明のゴムマスターバッチの製造方法の他の好適例においては、前記ゴム液が前記ゴム成分を有機溶媒に溶解させた液であり、前記スラリー溶液の溶媒が有機溶媒であり、前記層状粘土鉱物が有機化された層状粘土鉱物である。ここで、該有機化された層状粘土鉱物は、4級オニウム塩での有機化により得られたものであるのが特に好ましい。
【0011】
本発明のゴムマスターバッチの製造方法の他の好適例においては、前記層状粘土鉱物は、モンモリロナイト及び/又はマイカである。
【0012】
本発明のゴムマスターバッチの製造方法の他の好適例においては、前記ゴム成分が、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムである。
【0013】
本発明のゴムマスターバッチの製造方法の他の好適例においては、前記層状粘土鉱物の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対し1〜100質量部であり、より好ましくは2〜70質量部である。
【0014】
一方、本発明のゴムマスターバッチは、上記の方法により製造されたものである。また、本発明のゴム組成物は、該ゴムマスターバッチを配合してなる。更に、本発明のタイヤは、該ゴム組成物を用いたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のゴムマスターバッチの製造方法は、ゴム成分が分散又は溶解したゴム液と、層状粘土鉱物を溶媒に分散させたスラリー溶液とを混合し、機械的なせん断力をかけながら乾燥することを特徴とする。本発明のゴムマスターバッチの製造方法では、機械的なせん断力をかけながら乾燥するため、層状粘土鉱物の分散性を向上させることができ、且つ混練と乾燥を同時に行うため生産性が高い。また、該製造方法で得られる本発明のゴムマスターバッチにおいては、層状粘土鉱物が良好に層間剥離してゴム成分中に高度に分散している。そのため、該ゴムマスターバッチを配合してなるゴム組成物は、空気不透過性及び機械特性に優れる。
【0016】
本発明のゴムマスターバッチの製造方法に用いるゴム液としては、ゴム成分の微粒子を水に分散させたゴムラテックス、ゴム成分を有機溶媒に溶解させた液が挙げられる。ここで、ゴム成分としては、天然ゴム(NR)の他;スチレン・ブタジエン共重合体ゴム(SBR),イソプレンゴム(IR),ブタジエンゴム(BR),ニトリルゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体)(NBR),水素化ニトリルゴム(H−NBR)、ブチルゴム(IIR)等の合成ジエン系ゴムが挙げられ、これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ゴム液中のゴム成分の濃度は、2〜50質量%が好ましく、5〜30質量%が特に好ましい。
【0017】
また、上記ゴム成分を溶解させる有機溶媒としては、芳香族、脂肪族、脂環式、ハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられ、これらの中でも、トルエン、シクロヘキサンが特に好ましい。
【0018】
本発明のゴムマスターバッチの製造方法に用いるスラリー溶液は、溶媒中に層状粘土鉱物を分散させてなる。該溶媒としては、水の他、芳香族、脂肪族、脂環式、ハロゲン化炭化水素溶媒等の有機溶媒が挙げられる。ここで、該溶媒としては、ゴム液がゴム成分を水に分散させたゴムラテックスである場合、水が好ましく、一方、ゴム液がゴム成分を有機溶媒に溶解させた液である場合、有機溶媒が好ましく、該有機溶媒の中でも、トルエン、シクロヘキサン等が特に好ましい。
【0019】
上記層状粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、バーミキュライト、ハロイサイト、及びマイカ等が挙げられる。これら層状粘土鉱物は、天然のものでも、合成されたものでもよい。また、これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これら層状粘土鉱物の中でも、ゴム成分の浸入により層間距離が拡大して、ゴムマトリックス中でナノオーダーで分散できる点で、モンモリロナイト及びマイカが好ましい。
【0020】
上記ゴム液がゴム成分を有機溶媒に溶解させた液であり、且つ上記スラリー溶液の溶媒が有機溶媒である場合、上記層状粘土鉱物は有機化された層状粘土鉱物であるのが好ましい。有機化された層状粘土鉱物は、有機溶剤に対する膨潤性に優れ、ゴム成分が浸入し易く、その結果、層状粘土鉱物がゴム成分中にナノオーダーの微粒子として分散され、極めて効果的にゴムマスターバッチの空気不透過性及び機械特性を向上させることができる。
【0021】
上記有機化された層状粘土鉱物としては、有機オニウム塩での有機化により得られたものが好ましく、4級オニウム塩での有機化により得られたものがより好ましい。ここで、有機オニウム塩としては、特にアンモニウム塩が好ましく、該有機オニウム塩を構成する有機オニウムイオンとしては、例えば、ヘキシルアンモニウムイオン,オクチルアンモニウムイオン,2−エチルヘキシルアンモニウムイオン,ドデシルアンモニウムイオン,オクタデシルアンモニウムイオン,ジオクチルジメチルアンモニウムイオン,トリオクチルアンモニウムイオン,ジステアリルジメチルアンモニウムイオン,トリメチルオクタデシルアンモニウムイオン,ジメチルオクタデシルアンモニウムイオン,メチルオクタデシルアンモニウムイオン,トリメチルドデシルアンモニウムイオン,ジメチルドデシルアンモニウムイオン,メチルドデシルアンモニウムイオン,トリメチルヘキサデシルアンモニウムイオン,ジメチルヘキサデシルアンモニウムイオン,メチルヘキサデシルアンモニウムイオン,ジメチル,水素化獣脂,2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、ジメチルジ水素化獣脂アンモニウムイオン,1−ヘキセニルアンモニウムイオン,1−ドデセニルアンモニウムイオン,9−オクタデセニルアンモニウムイオン(オレイルアンモニウムイオン),9,12−オクタデカジエニルアンモニウムイオン(リノールアンモニウムイオン),9,12,15−オクタデカトリエニルアンモニウムイオン(リノレイルアンモニウムイオン)等を挙げることができる。
【0022】
上記層状粘土鉱物の有機化は、例えば、有機オニウムイオンを含む水溶液中に層状粘土鉱物を浸漬した後、該層状粘土鉱物を水洗して過剰な有機オニウムイオンを除去することにより得られる。
【0023】
上記層状粘土鉱物の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対し1〜100質量部が好ましく、2〜70質量部が特に好ましい。層状粘土鉱物の配合量が1質量部未満では、ゴムマスターバッチの空気不透過性及び機械特性を向上させる効果が小さく、100質量部を超えると、硬さが増し、耐クラック性が悪化する。
【0024】
上記スラリー溶液の製造には、ローター・ステータータイプのハイシアーミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミル等が用いられる。例えば、コロイドミルに所定量の層状粘土鉱物と水を入れ、高速で一定時間撹拌することで、上記スラリー溶液を調製することができる。ここで、該スラリー溶液中の層状粘土鉱物の濃度は、1〜20質量%が好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。
【0025】
前記スラリー溶液と前記ゴム液との混合方法としては、例えば、ホモミキサー中に該スラリー溶液を入れ、撹拌しながら、ゴム液を滴下する方法や、逆にゴム液を撹拌しながら、これにスラリー溶液を滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー流とゴム液流とを、激しい撹拌の条件下で混合する方法等を用いることもできる。
【0026】
上記ゴム液がゴム成分を水に分散させたゴムラテックスであり、且つ上記スラリー溶液の溶媒が水である場合、後述する乾燥工程の前に固形化を行うのが好ましい。ここで、ゴムラテックスとスラリー溶液との混合液の固形化方法としては、凝固剤を加えて固形物を得る方法が挙げられる。但し、ゴムラテックスとスラリー溶液との混合により固形化がなされる場合もあり、この場合には凝固剤の添加は必要でない。ここで、凝固剤としては、特に限定されるものではないが、蟻酸、硫酸等の酸や、塩化ナトリウム等の塩が挙げられる。一方、上記ゴム液がゴム成分を有機溶媒に溶解させた液であり、上記スラリー溶液の溶媒が有機溶媒である場合、固形化工程は必要ない。
【0027】
本発明のゴムマスターバッチの製造方法では、上記層状粘土鉱物の分散性を向上させるために、上述したゴム液とスラリー溶液とを混合した後、機械的なせん断力をかけながら乾燥する。これにより、層状粘土鉱物の分散性に加え、加工性、補強性及び低燃費性に優れたゴムマスターバッチを得ることができる。この乾燥は、一般的な混練機を用いて行なうことができるが、工業的生産性の観点から、連続混練機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の二軸混練押出機を用いることがより好ましい。
【0028】
また、機械的なせん断力をかけながら乾燥を行う工程においては、乾燥工程前のマスターバッチ中の溶媒は10質量%以上であることが好ましい。マスターバッチ中の溶媒が10質量%未満であると、乾燥工程での層状粘土鉱物の分散の改良幅が小さくなってしまうことがある。
【0029】
本発明のマスターバッチには、更に所望に応じて、カーボンブラック、シリカ、下記式(I)で表される無機充填剤、界面活性剤、加硫剤、老化防止剤、着色剤、分散剤等を適宜加えることができる。
nM・xSiO・zHO ・・・ (I)
(式中、Mは、アルミニウム,マグネシウム,チタン,カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。)
【0030】
ここで、式(I)で表わされる無機充填剤としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al・HO)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)]、炭酸アルミニウム[Al(CO]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、タルク(3MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、チタン白(TiO)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO 、Al・3SiO・5HO等)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiO等)、ケイ酸カルシウム(Ca・SiO等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiO等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)・nHO]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が挙げられる。
【0031】
本発明のゴム組成物は、上記の方法により製造されたゴムマスターバッチを含む。また、該ゴム組成物には、上記ゴムマスターバッチの他、通常ゴム業界で用いられている各種薬品、例えば、プロセスオイル等の軟化剤、硫黄等の加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を、本発明の目的が損なわれない範囲で適宜配合することができる。上記ゴム組成物は、空気不透過性に特に優れるため、インナーライナー用ゴム組成物として好適である。
【0032】
本発明のタイヤは、上記ゴム組成物を用いたことを特徴とする。上記ゴム組成物は、空気不透過性に特に優れるため、該ゴム組成物をタイヤのインナーラーナーに用いたタイヤは、空気保持性が著しく高い。
【0033】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
表1及び2に示す配合処方のゴムマスターバッチを作製し、該ゴムマスターバッチに表1及び2に示す配合量の配合剤を加え、プラストミルで混練してゴム組成物を調製した。次に、該ゴム組成物を150℃で30分間加硫し、下記に示す方法で空気透過性及び300%伸長時の引張応力を測定した。
【0035】
なお、表1中、比較例3及び実施例1では、コロイドミルにより水中で層状粘土鉱物及びカーボンブラックを撹拌してスラリーを得、次に、該スラリーとゴムラテックスとを、ホモミキサー中で、ゴム成分100質量部に対して、モンモリロナイトが10質量部になるよう添加して撹拌しながら、ギ酸(凝固剤)をpH4.5になるまで加え凝固させて固形物を回収し、更に水洗して、水分が約40%になるまで脱水を行い、ウェットマスターバッチを得た。
【0036】
一方、表2中、比較例6、7及び9、並びに実施例2及び3では、コロイドミルによりトルエン中で有機化した層状粘土鉱物及びカーボンブラックを撹拌してスラリーを得、次に、該スラリーとゴム成分のトルエン溶液とを、ホモミキサー中で、ゴム成分100質量部に対して、有機化した層状粘土鉱物が10質量部になるよう添加して撹拌し混合物(ウェットマスターバッチ)を得た。
【0037】
また、表中、サンプル作製法Aは、ゴム成分又はゴム液と充填剤(カーボンブラック及び/又は層状粘土鉱物)とを神戸製鋼製二軸混練押出機(同方向回転スクリュー径:30mm、L/D=35、ベントホール3ヶ所)で二軸混練してゴムマスターバッチを作製する方法であり;サンプル作製法Bは、ウェットマスターバッチ(ゴムラテックスとスラリー溶液との混合物を凝固させて得た固形物、又はゴム液とスラリー溶液とからなる混合物)を真空乾燥の後、通常の方法で混練する方法であり;サンプル作製法Cは、前記ウェットマスターバッチを真空乾燥の後、上記二軸混練押出機で二軸混練する方法であり;サンプル作製法Dは、前記ウェットマスターバッチ作製の後、上記二軸混練押出機で二軸混練しつつ乾燥する方法(バレル温度:120℃、回転数:100rpm)である。
【0038】
<空気透過性>
空気透過試験機M−C1(東洋精機(株)製)を用いて60℃で各ゴム組成物の空気透過率を測定し、表1においては比較例1のゴム組成物の空気透過率を100とし、表2においては比較例4のゴム組成物の空気透過率を100として、それぞれ指数表示した。指数値が小さい程、空気透過率が小さく良好であることを示す。
【0039】
<300%伸長時の引張応力>
JIS K6251−1993に準拠し、23℃で300%伸長時の引張応力を測定し、表1においては比較例1のゴム組成物の引張応力を100とし、表2においては比較例4のゴム組成物の引張応力を100として、それぞれ指数表示した。指数値が大きい程、引張応力が大きく、弾性率が高いことを示す。
【0040】
なお、表中のゴム成分及び各配合剤の製造元及び製品名を以下に示す。
(1)SBR #1502:JSR製, #1502.
(2)SBR #1502ラテックス:JSR製, #1502, ゴム成分=22質量%.
(3)SBR T2000:旭化成製, タフデン2000R.
(4)カーボンブラック:旭カーボン製, NPG.
(5)モンモリロナイト:クニミネ工業製, クニピアF.
(6)有機化モンモリロナイト:ホージュン製, エスベンNX.
(7)有機化マイカ:コープケミカル製, MAE.
(8)オイル:出光興産製, ダイアナプロセスオイルNS−28.
(9)ステアリン酸:ACID CHEM製, PALMAC 1600.
(10)亜鉛華:MID WEST ZINC CO.製, 205P.
(11)老化防止剤:BAYER製, VULKANOX 4020/LG.
(12)加硫促進剤A:BAYER製, VULKACIT DM/MG.
(13)加硫促進剤B:BAYER製, VULKACIT D/EGC.
(14)加硫促進剤C:BAYER製, CURE−RITE BBTS.
(15)硫黄:鶴見化学工業製, 粉末硫黄.
【0041】
【表1】
Figure 2004307541
【0042】
【表2】
Figure 2004307541
【0043】
表1及び2より、ウェットマスターバッチを混練しながら乾燥して製造したゴムマスターバッチを含む実施例のゴム組成物は、層状粘土鉱物が良好に層間剥離しているため、層状粘土鉱物の分散性が高く、空気透過性が低く且つ弾性率が向上していた。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、空気不透過性及び機械特性に優れたゴムマスターバッチを高い生産性で製造する方法を提供することができる。また、該方法で得られるゴムマスターバッチを含むゴム組成物は空気不透過性に優れるため、タイヤのインナーライナー用ゴム組成物として好適であり、該ゴム組成物をインナーライナーに適用したタイヤは、空気保持性に優れる。

Claims (11)

  1. ゴム成分が分散又は溶解したゴム液と、層状粘土鉱物を溶媒に分散させたスラリー溶液とを混合し、機械的なせん断力をかけながら乾燥することを特徴とするゴムマスターバッチの製造方法。
  2. 前記ゴム液が前記ゴム成分を水に分散させたゴムラテックスであり、前記スラリー溶液の溶媒が水であることを特徴とする請求項1に記載のゴムマスターバッチの製造方法。
  3. 前記乾燥前に、固形化を行うことを特徴とする請求項2に記載のゴムマスターバッチの製造方法。
  4. 前記ゴム液が前記ゴム成分を有機溶媒に溶解させた液であり、前記スラリー溶液の溶媒が有機溶媒であり、前記層状粘土鉱物が有機化された層状粘土鉱物であることを特徴とする請求項1に記載のゴムマスターバッチの製造方法。
  5. 前記層状粘土鉱物がモンモリロナイト及び/又はマイカであることを特徴とする請求項1に記載のゴムマスターバッチの製造方法。
  6. 前記有機化された層状粘土鉱物が4級オニウム塩での有機化により得られたものであることを特徴とする請求項4に記載のゴムマスターバッチの製造方法。
  7. 前記ゴム成分が、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムであることを特徴とする請求項1に記載のゴムマスターバッチの製造方法。
  8. 前記層状粘土鉱物の配合量が、前記ゴム成分100質量部に対し1〜100質量部であることを特徴とする請求項1に記載のゴムマスターバッチの製造方法。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の方法により製造されたゴムマスターバッチ。
  10. 請求項9に記載のゴムマスターバッチを配合してなるゴム組成物。
  11. 請求項10に記載のゴム組成物を用いたタイヤ。
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