JP5575459B2 - エチレン−α−オレフィン極性基含有ビニルモノマー三元共重合体 - Google Patents

エチレン−α−オレフィン極性基含有ビニルモノマー三元共重合体 Download PDF

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Description

本発明は、優れた物性を有する新規なエチレン系三元共重合体に関し、具体的には、実質的に線状な分子構造と、狭い分子量分布及び組成分布を有することにより、従来のメタロセン触媒によるポリエチレンと同等の優れた機械物性を有し、かつ分子鎖中に制御された濃度の極性基を有することにより、他の材料との接着性、印刷適性、フィラーとの相溶性等の物性が要求される様々な用途に最適化することが可能な、極めて優れた物性バランスを有するエチレン系三元重合体を提供するものである。
エチレン重合体及びエチレンとα−オレフィンの共重合体などのエチレン系重合体は、樹脂材料の中で物性や成形性などの諸性質に優れ、経済性や環境問題適合性なども高く、非常に汎用されかつ重要な産業資材である。
しかしながら、エチレン系重合体は極性基を持たないので、他の材料との接着性や印刷適性、或はフィラー等との相溶性の物性が要求される用途は限定されたものであった。
このような他の材料との接着性や印刷適性、或はフィラー等との相溶性の物性が要求される用途においては、高圧ラジカル法重合プロセスによって製造されたエチレンと極性基含有ビニルモノマーとの共重合体が、単体もしくは他の樹脂との組成物として用いられてきた。
しかし、高圧ラジカル重合による極性基含有エチレン系重合体は低弾性率の材料しか得られない上、機械物性にも劣り、単体で用いる場合はもちろんのこと、他の樹脂との組成物として用いる場合においても、特に高強度が要求される用途への応用範囲は限られたものとなっていた。
一方、特定の触媒を用いて製造されたエチレンと極性基含有モノマーの共重合体やエチレン系重合体に極性基含有モノマーをグラフトさせて製造したグラフト共重合体が知られているが、機械物性改良の度合いが不十分であった。
更に、エチレンとα−オレフィン及び極性基含有モノマーとの三元共重合体も知られており、例えば、特許文献1には特定のクロム系触媒を用いて製造されたアクリル酸エチル含量12.1〜35.5mol%のエチレン・1−オクテン・アクリル酸エチル三元共重合体が開示されているが、この重合体は機械物性と接着性のバランス改良の点でまだ十分でない上、ベタツキ成分の多さや、成形時のメヤニ発生、フィルムのブロッキングなどの課題を残していた。
また、特許文献2には、特定のバナジウム系触媒を用いて製造したプロピレン含量13.5〜18.5mol%、アクリル酸メチル含量8〜27.2mol%のエチレン・プロピレン・アクリル酸メチル三元共重合体が開示されているが、その強度は本発明者らが検討した限り材料としてポリエチレンに期待されるものに及ばないものであった。
このように、極性基を含有しないエチレン系(共)重合体に比べた場合、極性基を含有したエチレン系共重合体の機械物性の大幅な低下は避けられないものであった。
特開平01−282204号公報 特開2000−319332号公報
本発明は、エチレン系重合体は極性基を持たないので、他の材料との接着性や印刷適性、或はフィラー等との相溶性の物性が要求される用途は限定されたものであったところの、背景技術を鑑みて、機械強度と、他の材料との接着性や印刷適性及びフィラー等との相溶性の物性とを共に充分にバランス良く向上させ、更に、各種用途に適した優れた物性を呈示するエチレン系共重合体を開発することを、発明が解決すべき課題とするものである。
本願の発明者らは、上記の課題を解決して、機械強度と、他の材料との接着性や印刷適性及びフィラー等との相溶性の物性を共に充分にバランス良く向上させ、更に、各種用途に適した優れた物性を呈示するエチレン系共重合体を実現すべく、その各種構造や組成物等に関する勘案と実験による試行的な種々の考察を行った。
それらの過程の結果、特定範囲の極めて狭い分子量分布を持ち、特定範囲の融点を有するエチレン系三元共重合体は、機械物性と親水性、他材料との接着性、印刷適性、フィラー等との相溶性のバランスの点で飛躍的な向上を示すことを見出し、本発明を開発するに至った。
本発明における基本発明は、従来のメタロセン触媒によるポリエチレンを超える優れた機械物性を有し、かつ十分な親水性を持ち、他の材料との接着性、印刷適性、フィラー等との相溶性の物性が改善された、エチレン系三元重合体であり、具体的には、MFRが0.01〜100g/10min(190℃・21.18N)であり、要件(a)及び(b)を満たすことを特徴とする、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィン及び下記一般式(I)で示される極性基含有ビニルモノマーとの三元共重合体である。
(a)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが以下の関係を満たす。
1.5 ≦Mw/Mn ≦3
(b) 融点Tm(℃)とα−オレフィン含量[C](モル%)、極性基含有ビニルモノマー含量[X](モル%)が以下の関係を満たす。
60 ≦Tm ≦135−6.4×([C]+[X])
但し、Tmは示差走査熱量計(DSC)による測定から得られる融解曲線のピーク温度であり、融解ピークが複数検出される場合には、それらのうち最大であるピークの温度である。
式(I) :CH=C(R)CO(R) 但し、Rは、水素又は炭素数1〜10のアルキル基である。Rは、水素又は炭素数1〜10のアルキル基である。
更に、本発明は、上記の基本発明の実施の態様として、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G*=0.1MPaにおける位相角:δ(G*=0.1MPa)が40度以上75度以下である三元共重合体である。
本発明は、従来のメタロセン触媒によるポリエチレンを超える優れた機械物性を有し、かつ十分な親水性を持ち、他の材料との接着性、印刷適性、フィラー等との相溶性の物性が改善された、エチレン系三元重合体である。
1.本発明の三元共重合体の基本構成
本発明の目的を達成する共重合体は、下記要件(a)及び(b)を満たすことを特徴とする、エチレンと、炭素数3〜10のα−オレフィンと、下記一般式(I)で示される極性基含有ビニルモノマーとの三元共重合体である。
(a) 重量平均分子量をMw、数平均分子量をMnとした時、1.5 ≦ Mw/Mn ≦3.0である。
(b) 融点Tm(℃)とα−オレフィン含量[C](モル%)、及び極性基含有ビニルモノマー含量[X](モル%)が下記関係を満たす。
60 ≦ Tm ≦ 135−6.4×([C] + [X])
但し、Tmは示差走査熱量計(DSC)による測定から得られる融解曲線のピーク温度であり、融解ピークが複数検出される場合にはそれらのうち最大であるピークの温度である。
本発明の共重合体のMw/Mnは3.0以下であることが必要であり、Mw/Mnは好ましくは2.7以下、より好ましくは2.4以下である。Mw/Mnが3を超えると機械強度、特に衝撃強度が低下する。
また、本発明の共重合体のMw/Mnは1.5以上である。Mw/Mnが1.5未満の共重合体を製造することは困難である。
本発明の共重合体の融点Tm(℃)とα−オレフィン含量[C] (モル%)、極性基含有ビニルモノマー含量[X] (モル%)の関係は、
60≦Tm≦135−6.4×([C] + [X])である必要がある。
融点は共重合されるα−オレフィン及び/又は極性基含有ビニルモノマーの分子鎖内での配列の仕方により変化する。α−オレフィンや極性基含有ビニルモノマーが分子鎖の末端に多く存在すると同一の([C] + [X])でも融点は高くなる。一方、分子鎖の内部に均一に分布した場合には融点は低下する。
融点が60℃未満では、エチレン系共重合体として最低限必要な耐熱性が保持できず、また、融点が135−6.4×([C] + [X])を超えると結晶ラメラが厚くなるため、ラメラとラメラをつなぐタイ分子が少なくなり、結果として衝撃強度の低下をもたらす。
更に、本発明の目的を達成するには、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G*=0.1MPaにおける位相角δ(G*=0.1MPa)が40度以上であることが好ましい。δ(G*=0.1MPa)は分子量分布と長鎖分岐の両方の影響を受けるが、Mw/Mn≦3のものに限れば長鎖分岐の量の指標になり、長鎖分岐が多いほどδ(G*=0.1MPa)値は小さくなる。δ(G*=0.1MPa)値が40度を下回ると、長鎖分岐が多過ぎるため機械的強度が低下する。本発明の共重合体は、Mw/Mnが1.5以上であるので、長鎖分岐をもたない場合でもδ(G*=0.1MPa)値が75度を上回ることはない。
また、本発明の目的を達成するには、連続昇温溶出分別法(TREF)による積分溶出曲線において全体の10重量%が溶出する温度T10(℃)と、全体の90重量%が溶出する温度T90(℃)との差T90−T10(℃)と、重量平均溶出温度Tw(℃)が、下記の関係を満たすことが好ましい。
28−0.3×Tw ≦ T90−T10 ≦ 41−0.3×Tw
ここで、重量平均溶出温度とは、全ての成分の溶出温度の重量平均値であり、下記式で定義される。重量平均溶出温度は、共重合体のα−オレフィン及び極性基含有ビニルモノマー含有量の合計と相関がある。

また、T90−T10は組成分布の広さを示すパラメータであり、この値が大きいほど組成分布が広い。すなわち、異なる分子鎖間でのα−オレフィン及び/または極性基含有ビニルモノマー含有量の差が大きい。
T90−T10 ≦ 41−0.3×Twの関係を満たさない場合、組成分布が広いため、ベタツキやメヤニの原因となる低結晶成分が多くなり、成形体の物性や外観を損ねる結果となる。
また、28−0.3×Tw ≦ T90−T10を満たさない共重合体を製造することは困難である。
組成分布の広さを表すパラメータT90−T10が溶出平均温度Twの関数で表されるのは、以下の理由による。溶出平均温度Twは共重合体の平均エチレン連鎖長に関連し、Tw値が高いほど平均エチレン連鎖長は長い。Tw値が低くなる、すなわち平均エチレン連鎖長が短くなるということは、分子鎖中に結晶化を阻害する短鎖分岐等がより多く導入されたことを意味する。通常、ランダム共重合体においては、短鎖分岐は等間隔に導入されるわけではなく、その間隔は分布をもっており、短鎖分岐が多く導入されれば、その分布は広くなる。
その結果として、同じ触媒で重合した共重合体でも、Twに対してT90−T10をプロットすると、右肩上がりの関係が得られる。これは従来のメタロセン系触媒においても同様である。Twの係数0.3は、均一な活性点をもつメタロセン触媒で重合したエチレン−ヘキセン−1共重合体のTw対T90−T10プロットの傾きから得られた実験値である。また、上式の下限式の切片28は、エチレン単独重合体の平均溶出温度である約95℃を基準に、Tw=95℃のときT90−T10≒0となるように定めたものである。また、上限式の切片41は、本願実施例が全て含まれることを基準に定めたものである。
本発明の共重合体のMFRは0.01〜100であることが好ましい。より好ましくは0.02〜30、更に好ましくは0.05〜10である。MFRが0.01未満では成形性に劣り、100以上では強度が低下する。
なお、本発明の共重合体は1,2−挿入に基づく異種結合を含まないのが好ましい。
2.本発明のコモノマー
従来の極性基を含有しないメタロセン系のエチレン系共重合体の組成分布と分子量分布が共に狭いため、その機械物性は平均分子量及びコモノマー含有量でほぼ決まるものであった。
ところが、本願の共重合体は、従来のメタロセン系のエチレン系共重合体と同様に狭い組成分布及び分子量分布をもつにも関わらず、その機械物性は従来のメタロセン系のエチレン系共重合体の延長線上にはない。
具体的には、コモノマー含有量見合いでの弾性率及び降伏応力が異なるため、例えば同じ弾性率もしくは降伏応力の共重合体でも耐熱性に優れたものが得られる。その理由は明らかではないが、共重合体中の極性基部分及び、α−オレフィンに由来する短鎖分岐部分は共にポリエチレンの結晶部分から排斥されて、非晶部分に高濃度で偏在するが、極性の違いのため相溶性に乏しく、非晶部の自由体積を増大させているためではないかと推測される。
また、本発明の目的を達成するための付加的条件としては、α−オレフィンの一般式において側鎖置換基と、極性基含有ビニルモノマーの一般式で示されるCO(R)基に由来して生じる分岐構造以外の分岐量の総和が1/1,000C 以下であることが、好ましい。
本発明の極性基含有ビニルモノマーのうち、共重合体の末端に存在する極性基含有ビニルモノマーの量は、共重合体に含まれる全極性基含有ビニルモノマー量の20mol%以下が好ましく、より好ましくは5mol%以下、更に好ましくは1%mol以下であり、実質末端には存在しないことが好ましい。末端に存在する割合が20%を超えると共重合体の衝撃強度や伸び特性が不十分となる。
本発明のα−オレフィンは炭素数3〜10のα−オレフィンであり、一般式CH=CHR(以下、「(a)成分」と称することがある)で表される。
好ましい(a)成分としては、炭素数1〜6のRを有するα−オレフィンが挙げられる。
具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられ、より好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、更に好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンであり、特に好ましくは、1−ヘキセンである。なお、複数のα−オレフィンを使用してもよい。
本発明の極性基含有ビニルモノマーは、いわゆる(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステル化合物であり、一般式CH=C(R)CO(R)で表される(以下、「(b)成分」と称することがある)。ここで、Rは、水素又は炭素数1〜10のアルキル基である。Rは、水素又は炭素数1〜30のアルキル基である。更に、Rは任意の位置に水酸基、アルコキシ基又はエポキシ基を含有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。
好ましい(b)成分は、炭素数1〜5のRを有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸が挙げられる。より好ましい(b)成分としては、Rがメチル基であるメタクリル酸エステル又はRが水素であるアクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸が挙げられる。更に好ましい(b)成分としては、Rが水素であるアクリル酸エステルである。
本発明で好ましい具体的な(b)成分としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸などが挙げられる。
更に好ましい(b)成分としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、特に好ましい(b)成分としては、アクリル酸エチルである。なお、複数の極性基含有ビニルモノマーを併用してもよい。
本発明の共重合体を構成するコモノマーとして、その特徴に大きな影響を与えない限りその他オレフィンとして、以下のコモノマーを使用してもよい。
使用されるその他オレフィンとしては、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどの環状オレフィンモノマー、p−メチルスチレンなどのスチレン系モノマーなどを挙げることができ、これらの骨格に、水酸基、アルコキサイド基、カルボン酸基、エステル基、アルデヒド基を含有してもよい。
また、(3−ブテン)−1−オールなどの、(a)成分で規定されたモノマーに水酸基、カルボン酸基が付与されたモノマー、その他、α、ω−ジエン等のジエン誘導体、無水マレイン酸、酢酸ビニルなども使用可能である。
3.本発明の三元共重合体の製造
本発明の実質的に線状な分子構造と、狭い分子量分布及び組成分布を有するエチレン−α−オレフィン極性基含有ビニルモノマーから成る共重合体を製造する方法については、従来知られていなかった。
本発明者らは、以下の様な特定の構造を有するトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物と8〜10族の遷移金属化合物とを反応させて得られる成分を含むα−オレフィン重合用触媒を使用することで、初めて実質的に線状な分子構造と、狭い分子量分布及び組成分布を有するエチレン−α−オレフィン極性基含有ビニルモノマーから成る共重合体を製造することが出来ることを見出した。
(1)本発明の製造を可能にする触媒例
下記の一般式(1)で示されるトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物と8〜10族の遷移金属化合物とを反応させて得られる成分を含むα−オレフィン重合触媒を使用して、エチレン−α−オレフィン−(メタ)アクリル酸系オレフィンから成る共重合体を製造することが可能である。

・・・(1)

(一般式(1)中、Yは、リン又は砒素であり、Zは、−SOH又はCOHである。R〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、ヘテロ原子を有する炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、又は炭素数6〜30のアリールオキシ基を示し、R〜Rの少なくとも一つ、および、R〜Rのどちらか一方が、二級もしくは三級のアルキル基、或は、芳香環に直接結合している炭素とO又はNより選ばれる元素との単結合を含む置換基である。R〜R16は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、ヘテロ原子を有する炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は炭素数1〜30の炭化水素基で置換されたシリル基を示す。)

Yは、リン又は砒素であり、好ましくはリンである。また、Zは、−SOH又はCOHであり、好ましくは−SOHである。R〜Rとして好ましくは、R〜Rの少なくとも一つ、および、R〜Rのどちらか一方が、二級もしくは三級のアルキル基、或は、芳香環に直接結合している炭素とO又はNより選ばれる元素との単結合を含む置換基である。

〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、ヘテロ原子を有する炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、又は炭素数6〜30のアリールオキシ基を示し、R〜Rの少なくとも一つ、および、R〜Rのどちらか一方が、二級もしくは三級のアルキル基、或は、芳香環に直接結合している炭素とO又はNより選ばれる元素との単結合を含む置換基である。R〜Rは、中心の15族原子(リン又は砒素)からみてオルト位であり、即ち、本発明のトリアリールホスフィン化合物は分子中(オルト位に)少なくとも1つの立体的に嵩高い置換基を有していることが特徴の一つであり、この立体効果が触媒性能の向上に影響しているものと考えられる。
〜Rとして好ましい二級もしくは三級のアルキル基は、それぞれ独立に、炭素数3から30の炭化水素基であり、さらに好ましくは二級アルキル基である炭素数3から18の炭化水素基であり、更に好ましくは二級アルキル基である炭素数3から12の炭化水素基である。好ましい具体例は、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、イソプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、ターシャリーブチル基、イソブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−イソペンチル基、3−イソペンチル基、2−イソヘキシル基、3−イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−イソヘプチル基、3−イソヘプチル基、4−イソヘプチル基、2−プロピルヘプチル基、2−イソオクチル基、3−イソノニル基、1−アダマンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、エキソ−ノルボルニル基、エンド−ノルボニル基、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル基、2−アダマンチル基、ノピニル基、メンチル基、ネオメンチル基、及びネオペンチル基であり、特に好ましくは、イソプロピル基、シクロヘキシル基である。
また、二級もしくは三級のアルキル基であるR〜Rは、その部分構造にヘテロ原子を含有していてもよい。ここで、ヘテロ原子に起因する電子供与基の導入は、空間的に接近した中心金属の電子密度を高めることができ、触媒活性向上に有効である。ヘテロ原子とは、広義には炭素原子、水素原子、17、18族原子以外の非金属原子を指すが、好ましくは第二周期又は第三周期の非金属原子であり、更に好ましくは酸素原子又は窒素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
このヘテロ原子含有の二級又は三級アルキル基は、それぞれ独立に酸素原子を含有する炭素数4から30の二級アルキル基であり、さらに好ましくは酸素原子を含有する炭素数4〜15の二級アルキル基であり、特に好ましくは酸素原子を含有する炭素数4〜7の二級アルキル基である。好ましい具体例は、1−(メトキシメチル)エチル基、1−(エトキシメチル)エチル基、1−(フェノキシメチル)エチル基、1−(メトキシエチル)エチル基、1−(エトキシエチル)エチル基、1−(ジメチルアミノメチル)エチル基、1−(ジエチルアミノメチル)エチル基、ジ(メトキシメチル)メチル基、ジ(エトキシメチル)メチル基、ジ(フェノキシメチル)メチル基が挙げられる。特に好ましくは、1−(メトキシメチル)エチル基、1−(フェノキシメチル)エチル基である。
芳香環に直接結合している炭素と、O又はNより選ばれる元素との単結合を含む置換基としては、2個以上の炭素Cよりなる二級もしくは三級のアルキル基、1個の炭素Cと1個の酸素Oよりなるアルコキシアルキル基もしくは環状エーテル類、1個の炭素Cと1個の窒素Nよりなるピロリジン類もしくはピロール類、2個の酸素Oよりなるアセタール類、1個の酸素Oと1個の窒素Nよりなるモルホリン類もしくはオキサゾール類、2個の窒素Nよりなるイミダゾリジン類もしくはイミダゾール類が挙げられる。これら2個以上のC、O、Nを含む置換基は連結して環を形成しても良い。これらの中で、二級もしくは三級のアルキル基、アルコキシアルキル基、環状エーテル類が好ましく、特に好ましいのは後述の二級もしくは三級のアルキル基、またはテトラヒドロフリル基である。
〜Rが、二級もしくは三級のアルキル基、及び、芳香環に直接結合している炭素とO又はNより選ばれる元素との単結合を含む置換基で無い場合、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、ヘテロ原子を有する炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、又は炭素数6〜30のアリールオキシ基である。
〜Rとして好ましい炭素数1〜30の炭化水素基は、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましい具体例は、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、ノルマルブチル基、ノルマルヘキシル基であり、特に好ましくはメチル基である。
〜Rとして好ましいハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基は、さらに好ましくは一つのハロゲン原子で置換された炭素数1〜6のアルキル基である。置換するハロゲンとしては、好ましくはフッ素であり、好ましい具体例は、フルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、6−フルオロヘキシル基である。
〜Rとして好ましいヘテロ原子を有する炭素数1〜30の炭化水素基は、さらに好ましくは酸素原子を有する炭素数1〜4の炭化水素基であり、好ましい具体例は、メトキシメチル基、エトキシメチル基である。
〜Rとして好ましい炭素数1〜30のアルコキシ基は、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基であり、好ましい具体例は、メトキシ基、エトキシ基である。
〜Rとして好ましい炭素数6〜30のアリールオキシ基は、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、好ましい具体例は、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基である。
二級もしくは三級のアルキル基、及び、芳香環に直接結合している炭素とO又はNより選ばれる元素との単結合を含む置換基で無い、これらの置換基群の具体例のうち、さらに好ましくは水素原子又はメチル基であり、特に好ましくは水素原子である。
〜R16は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、ヘテロ原子を有する炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は炭素数1〜30の炭化水素基で置換されたシリル基である。これらの置換基は、錯体形成時に中心金属から比較的離れた部位の置換基であるため、リンスルホン酸配位子の錯形成に悪影響を与えない置換基であればよい。これらの置換基の立体的な影響に比べ、電子的効果は触媒性能に影響すると考えられ、電子供与性置換基が好ましい。これらの置換基は同一でも異なってもよい。
〜R16として好ましいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。
〜R16として好ましい炭素数1〜30の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられる。
ここで、アルキル基、シクロアルキル基の例は、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基、t−ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、イソプロピル基、1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、イソブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、2−プロピルヘプチル基、2−オクチル基、3−ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロプロピル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、エキソ−ノルボルニル基、エンド−ノルボニル基、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノピニル基、デカヒドロナフチル基、メンチル基、ネオメンチル基、ネオペンチル基、及び5−デシル基などである。これらの中で、好ましい置換基としては、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基である。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シンナミル基、スチリル基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基が挙げられ、これらのアリール基の芳香環に存在させうる置換基の例としては、アルキル基、アリール基、融合アリール基、フェニルシクロヘキシル基、フェニルブテニル基、トリル基、キシリル基、p−エチルフェニル基などである。これらの中で、好ましい置換基としては、フェニル基である。
〜R16として好ましいハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基は、前述の炭素数1〜30の炭化水素基にフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子で置換された置換基である。
〜R16として好ましいヘテロ原子を有する炭素数1〜30の炭化水素基に含まれていても良いヘテロ原子としては、さらに好ましくは、酸素原子、窒素原子が挙げられる。ヘテロ原子を有する炭素数1〜30の炭化水素基としては具体的には、OR17、CO17、COM’、C(O)N(R17、C(O)R17、SO17、SOR17、OSO17、P(O)(OR172−y(R18、CN、NHR17、N(R17、NO、SOM’、POM’、P(O)(OR17M’又はエポキシ基等のヘテロ原子を含有する置換基を有する炭化水素基が挙げられる。ここで、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はフォスフォニウムを表し、xは、0から3までの整数、yは、0から2までの整数を表す。R17は、水素又は炭素数1ないし20の炭化水素基を、R18は炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。前記のヘテロ原子含有置換基のうち好ましくは、OR17、N(R17であり、特に好ましくはOR17である。
〜R16として好ましい炭素数1〜30のアルコキシ基は、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基であり、好ましい具体例は、メトキシ基、エトキシ基である。
〜R16として好ましい炭素数6〜30のアリールオキシ基は、さらに好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、好ましい具体例は、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基である。
〜R16として好ましい炭素数1〜30の炭化水素基で置換されたシリル基は、さらに好ましくは炭素数3〜18のシリル基であり、好ましい具体例は、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルフェニルシリル基、トリフェニルシリル基である。
一般式(1)の配位子はキレート性又は潜在的キレート性であると予想される。なお、一般に、−SOH基を有する配位子はパラジウムと錯形成してキレート状の金属錯体となることが報告され(K.Nozaki etal.,Dalton TRANSACTIONS,2006,25.)、−COH基を有する配位子はニッケルと錯形成してキレート状金属錯体となることが報告されている(W.Keim,Stud.Surf.Sci.Catal.,1986,25,201.)。
一般式(1)で示されるトリアリールホスフィン化合物の合成は以下の経路により行われる。即ち、係る系統の化合物の合成経路は、いくつか知られているが、そのうちの具体例として、原料である三塩化リンに導入すべきアリール基のリチオ体(アリールリチウム塩)を適切なモル比で反応させる経路が挙げられる。反応後は、酸性条件で抽出した後、洗浄して目的物を得ることができる。トリアリールアルシン化合物の合成も同様になされる。
一般式(1)と反応させる8〜10族の遷移金属化合物遷移金属化合物は、好ましくは10族の遷移金属化合物であり、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アリルパラジウムクロライド)、塩化パラジウム、臭化パラジウム、(シクロオクタジエン)パラジウム(メチル)クロライド、ジメチル(テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、(テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル(メチル)クロライド、ジメチル(テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル、(シクロオクタジエン)ニッケル(メチル)クロライドなどを使用して合成する。
錯形成反応は、α−オレフィンとの共重合に使用する反応器中で行ってもよいし、該反応器とは別の容器中で行ってもよい。錯形成後に、金属錯体を単離抽出して触媒に用いてもよいし、単離せずに触媒に用いてもよい。更に、多孔質担体の存在下実施することも可能である。
上記一般式(1)で表されるトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物と、第8〜10族の遷移金属化合物を反応させてなる金属錯体は、下記一般式(2)として表すことができる。もちろん、この錯体を触媒成分として含む触媒を使用しても本発明のエチレン−α−オレフィン−(メタ)アクリル酸系オレフィンから成る共重合体を製造することが可能である。

・・・(2)

(一般式(2)中、Yは、リン又は砒素であり、Zは、−SO−又はCO−である。R〜Rは、各々独立して水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、ヘテロ原子を有する炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、又は炭素数6〜30のアリールオキシ基を示し、R〜Rの少なくとも一つ、および、R〜Rのどちらか一方が、二級もしくは三級のアルキル基、或は、芳香環に直接結合している炭素とO又はNより選ばれる元素との単結合を含む置換基である。R〜R16は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、ヘテロ原子を有する炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリールオキシ基、又は炭素数1〜30の炭化水素基で置換されたシリル基を示す。Mは、8〜10族の遷移金属からなる群より選択された金属原子を示し、Aは、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基を示す。Bは、Mに配位した任意のリガンドを示す。また、AとBは互いに結合して環を形成していてもよい。)
ここで、Y、Z、R〜R16は、前述の一般式(1)で表されるトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物における置換基と同様である。
Mは、第8〜10族の遷移金属を示すが、Fe,Co,Ni,Pd,Pt及びランタニドが好ましく、より好ましくは、Ni,Pdである。
Aは、水素原子、ハロゲン原子、ヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基またはヘテロ原子を含有していてもよい炭素数6〜30のアリール基を示す。ここで、ヘテロ原子としては好ましくは、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、ハロゲンが好ましく、更に好ましくは酸素原子である。
Aとして好ましいヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基は、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、好ましい具体例として、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、アシル基、アセトキシ基が挙げられる。また、Aとして好ましいヘテロ原子を含有していてもよい炭素数6〜30のアリール基は、さらに好ましくは炭素数6〜13のアリール基であり、好ましい具体例として、フェニル基、トリル基、キシリル基、フェナシル基、ペンタフルオロフェニル基が挙げられる。これらの置換基の具体例のうち、特に好ましい置換基は、水素原子、メチル基とフェニル基である。
Bは、Mに配位した任意のリガンドである。そのようなリガンドとは、配位結合可能な原子として酸素、窒素、リン、硫黄を有する炭素数1〜20の炭化水素化合物である。さらに好ましくは、ホスフィン類、ピリジン誘導体、ピペリジン誘導体、アルキルエーテル誘導体、アリールエーテル誘導体、アルキルアリールエーテル誘導体、ケトン類、環状エーテル類、アルキルニトリル誘導体、アリールニトリル誘導体、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、アミン類などを挙げられる。さらに好ましくは、ケトン類、環状エーテル類、ホスフィン類、ピリジン誘導体であり、好ましい具体例として、アセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、ルチジン、およびトリフェニルホスフィンを挙げることができる。特に好ましくは、ピリジンまたはルチジンである。
一般式(2)の金属錯体である触媒成分に、性能を損なわない限り、無機酸化物等の微粒子担体や有機アルミニウム等の有機金属化合物を使用して、エチレン−α−オレフィン−特定の極性基含有ビニルモノマーから成る共重合体を製造することが可能である。
一般式(1)で示されるトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物と8〜10族の遷移金属化合物とを反応させて得られる成分である、一般式(2)の金属錯体成分を含む触媒は、少量のエチレン、プロピレン等を使用して予備重合を行ってもよい。
(2)三元共重合体の製造法
本発明の共重合体の製造は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素溶媒や液化α−オレフィン等の液体、また、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、ホルミアミド、アセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のような極性溶媒の存在下或は非存在下に行われる。また、ここで記載した液体化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。なお、高い重合活性や高い分子量を得るうえでは、上述の炭化水素溶媒がより好ましい。
本発明における共重合に際して、公知の添加剤の存在下又は非存在下で共重合を行うことができる。添加剤としては、ラジカル重合禁止剤や、生成共重合体を安定化する作用を有する添加剤が好ましい。例えば、キノン誘導体やヒンダードフェノール誘導体等が好ましい添加剤の例として挙げられる。具体的には、モノメチルエーテルハイドロキノンや、2,6−ジ−t−ブチル4−メチルフェノール(BHT)、トリメチルアルミニウムとBHTとの反応生成物、4価チタンのアルコキサイドとBHTとの反応生成物などが使用可能である。また、添加剤として、無機及び又は有機フィラーを使用し、これらのフィラーの存在下で重合を行ってもよい。
本発明において、重合形式に特に制限はない。媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行う気相重合、又は、高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが好ましく用いられる。 また、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの形式でもよい。
未反応モノマーや媒体は、生成共重合体から分離し、リサイクルして使用してもよい。リサイクルの際、これらのモノマーや媒体は、精製して再使用してもよいし、精製せずに再使用してもよい。生成共重合体と未反応モノマー及び媒体との分離には、従来の公知の方法が使用できる。例えば、濾過、遠心分離、溶媒抽出、貧溶媒を使用した再沈などの方法が使用できる。
共重合温度、共重合圧力及び共重合時間に特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行うことができる。
即ち、共重合温度は、通常−20℃から300℃、好ましくは0℃から250℃、更に好ましくは50℃から100℃、共重合圧力は、0.1MPaから200MPa、好ましくは、0.3MPaから100MPa、更に好ましくは0.3MPaから5MPa、共重合時間は、0.1分から6時間、好ましくは、0.5分から5時間、更に好ましくは10分から4時間の範囲から選ぶことができる。
本発明において、共重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行われる。例えば、窒素、アルゴン雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。なお、少量の酸素や空気の混入があってもよい。
共重合反応器への触媒とモノマーの供給に関しても特に制限はなく、目的に応じてさまざまな供給法をとることができる。例えばバッチ重合の場合、予め所定量のモノマーを共重合反応器に供給しておき、そこに触媒を供給する手法をとることが可能である。この場合、追加のモノマーや追加の触媒を共重合反応器に供給してもよい。また、連続重合の場合、所定量のモノマーと触媒を共重合反応器に連続的に、又は間歇的に供給し、共重合反応を連続的に行う手法をとることができる。
共重合体の組成の制御に関しては、複数のモノマーを反応器に供給し、その供給比率を変えることによって制御する方法を一般に用いることができる。その他、触媒の構造の違いによるモノマー反応性比の違いを利用して共重合組成を制御する方法や、モノマー反応性比の重合温度依存性を利用して共重合組成を制御する方法が挙げられる。
共重合体の分子量制御には、従来公知の方法を使用することができる。即ち、重合温度を制御して分子量を制御する方法、モノマー濃度を制御して分子量を制御する方法、連鎖移動剤を使用して分子量を制御する方法、遷移金属錯体中の配位子構造の制御により分子量を制御するなどが挙げられる。
連鎖移動剤を使用する場合には、従来公知の連鎖移動剤を用いることができる。例えば、水素、メタルアルキルなどを使用することができる。また、(b)又は(c)成分自身が一種の連鎖移動剤となる場合には、(b)又は(c)成分の濃度や、(a)成分に対する比率を制御することによっても分子量調節が可能である。遷移金属錯体中の配位子構造を制御して分子量調節を行う場合には、金属Mの周りに嵩高い置換基を配置したり、金属Mにアリール基やヘテロ原子含有置換基等の電子供与性基が相互作用可能となるように配置したり、極性基含有モノマーのR中にヘテロ原子を導入することにより、一般に分子量が向上する傾向を利用することができる。
本発明の共重合体の分子量分布はの制御方法としては、前述した特定のトリアリールホスフィン化合物、特にR、Rのどちらか一方、および、R、Rのどちらか一方が、2級アルキル基である成分と、10族遷移金属化合物、特にPd化合物とを反応させて得られる成分を含むα−オレフィン重合触媒を使用することで、製造が可能である。
本触媒は、極性モノマー存在下であっても活性点の変質を受けにくく、均質な活性種を維持しているためと考えている。更に、重合中の温度やモノマー、コモノマー濃度の変化を小さくすることで、分子量分布が狭い共重合体の製造を可能にする。但し、この様な手法でMw/Mnをある程度小さくすることが可能であるが、Mw/Mnが1.5未満の共重合体を製造することは困難である。
本発明の共重合体の融点Tm(℃)とα−オレフィン含量[C] (モル%)、極性基含有ビニルモノマー含量[X] (モル%)の関係は60≦Tm≦135−6.4×([C] + [X])である必要がある。その為には、α−オレフィン及び極性基含有ビニルモノマーが均質な組成となるような共重合を進行させる必要がある。
その制御方法としては、コモノマーの含量は、エチレン、α−オレフィン、極性基含有ビニルモノマーの圧力及び濃度比を制御することで、融点Tm(℃)とα−オレフィン含量、極性基含有ビニルモノマー含量を変化させ、融点を制御することができる。エチレンの圧力に依存するが、例えば、エチレン圧が2MPaであれば、α−オレフィンと極性基含有ビニルモノマーは、0.01mol/L以上、9.0mol/L以下の範囲で所望のコモノマー含量の共重合体を製造し、融点を制御できる。
また、前述した特定のトリアリールホスフィン化合物、特にR、Rのどちらか一方、及び、R、Rのどちらか一方が、2級アルキル基である成分と、10族遷移金属化合物、特にPd化合物とを反応させて得られる成分を含むα−オレフィン重合触媒は、極性モノマー存在下であっても活性点の変質を受け難く、均質な活性種を維持し、更に、従来知られている触媒に対し、極性モノマーの共重合性に加え、従来共重合し難かった1−ヘキセンの共重合性が改良されており、上記の制御を行うためには、本触媒を選択することが重要である。
更に、本発明共重合体は、回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G*=0.1MPaにおける位相角δ(G*=0.1MPa)が40度以上であることが好ましい。
これらを制御するためには、前述した特定のトリアリールホスフィン化合物、特にR、Rのどちらか一方、及び、R、Rのどちらか一方が、2級アルキル基である成分と、10族遷移金属化合物、特にPd化合物とを反応させて得られる成分を含むα−オレフィン重合触媒を使用し、重合中のモノマー、コモノマー濃度や重合温度の変化を小さくすることが重要である。また、長鎖分岐の生成は重合溶媒にも依存し、上記した炭化水素溶媒を選択することが重要である。これは、溶媒に対する共重合体の溶解性が長鎖分岐の生成に影響すると考えており、コモノマー含量と溶媒種の選択でも制御することが可能である。ポリマーの溶解性が高い溶剤、コモノマー含量の高い共重合体は、位相角δ(G*=0.1MPa)が大きくなる傾向にあり、例えば、ポリマーの溶解性が低いヘキサン等を使うことで位相角δ(G*=0.1MPa)を小さくすることが可能である。
また、本発明の共重合体の特徴として、連続昇温溶出分別法(TREF)による積分溶出曲線において全体の10重量%が溶出する温度T10(℃)と、全体の90重量%が溶出する温度T90(℃)との差T90−T10(℃)と、重量平均溶出温度Tw(℃)が、下記の関係を満たすことが好ましい。
28-0.3×Tw ≦ T90−T10 ≦ 41-0.3×Tw
その制御方法としては、前述した特定のトリアリールホスフィン化合物、特にR、Rのどちらか一方、および、R、Rのどちらか一方が、2級アルキル基である成分と、10族遷移金属化合物、特にPd化合物とを反応させて得られる成分を含むα−オレフィン重合触媒は、極性モノマー存在下であっても活性点の変質を受けにくく、均質な活性種を維持し、分子鎖間で均質なポリマーの製造が可能となる。さらに、重合中の温度やモノマー、コモノマー濃度の変化を小さくすることで、組成分布が狭い共重合体の製造を可能にし、その結果上記の式の制御を可能にする。
本発明の共重合体のMFRの制御方法としては、重合温度を上げる/下げることで、MFRを上げる/下げることや前記した通常の分子量制御方法でも制御することが可能である。また、前述した特定のトリアリールホスフィン化合物、特にR、Rのどちらか一方、および、R、Rのどちらか一方が、2級アルキル基である成分と、10族遷移金属化合物、特にPd化合物とを反応させて得られる成分を含むα−オレフィン重合触媒の使用において、R〜Rの構造を制御することで、MFRを制御することができる。
本発明の目的を達成するための付加的条件として、α−オレフィンの一般式において側鎖置換基と極性基含有ビニルモノマーの一般式で示されるCO(R)基に由来して生じる分岐構造以外の分岐量の総和 1/1,000C以下であることが、好ましいが、その制御方法としては、前述した特定のトリアリールホスフィン化合物、特にR、Rのどちらか一方、及び、R、Rのどちらか一方が、2級アルキル基である成分と、10族遷移金属化合物、特にPd化合物とを反応させて得られる成分を含むα−オレフィン重合触媒の使用において、R〜Rの選択を制御することで、分岐量の総和を制御することができる。また、重合温度を上げる/下げることで、分岐量の総和を上げる/下げることも可能である。
本発明の極性基含有ビニルモノマーのうち、共重合体の末端に存在する極性基含有ビニルモノマーの量は共重合体に含まれる全極性基含有ビニルモノマー量の20mol%以下が好ましく、より好ましくは5mol%以下、更に好ましくは1mol%以下であり、実質末端には存在しないことが好ましい。
その制御方法としては、前述した特定のトリアリールホスフィン化合物、特にR、Rのどちらか一方、および、R、Rのどちらか一方が、2級アルキル基である成分と、10族遷移金属化合物、特にPd化合物とを反応させて得られる成分を含むα−オレフィン重合触媒の使用において、R〜Rの構造を選択することで、制御することが可能である。
本発明の共重合体は1,2-挿入に基づく異種結合を含まないのが好ましいが、その制御方法としては、前述した特定のトリアリールホスフィン化合物、特にR、Rのどちらか一方、及び、R、Rのどちらか一方が、2級アルキル基である成分と、10族遷移金属化合物、特にPd化合物とを反応させて得られる成分を含むα−オレフィン重合触媒の使用において、R〜Rの構造を選択することで、制御することが可能である。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[測定法]
(1)MFR
MFRは、JIS K-7210の表1-条件7に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
(2)DSCによる融点測定
セイコー電子製のDSC6200R型融点測定装置を使用し、サンプル5mgを180℃で3分間保持し、次いで10℃/分で0℃まで冷却し、0℃で10分間保持し、その後10℃/分で昇温することでサーモグラムを得、観測される吸熱ピークの最大値における温度を融点とした。
(3)NMRによるモノマー含量測定
[試料調製]
厚さ100μm程度のフィルム状に成形した試料約250mgを外径10mmの試料管に量りとり、オルト−ジクロロベンゼン1.84mlと重水素化ブロモベンゼン0.46mlを添加した。試料管上部を窒素置換した後、試料管の蓋をし130℃の高温槽で試料が均一になるまで加熱・溶解した。
[13C-NMR測定]
クライオプローブを装備したブルカー・バイオスピン社製AVANCEIII400 NMR測定装置を用いてゲート付きプロトンデカップリングによるNOE無しの条件で測定を行った。なお、励起パルスのフリップ角は90°とし、パルス間隔16.3秒、測定温度120℃、積算回数500回以上、スペクトル観測幅は24,038.5Hzとした。13C-NMRスペクトルの帰属は種々の文献を参考に行った。
[α−オレフィン含有量及び極性基含有ビニルモノマー量の決定]
得られた13C-NMRスペクトルからエチレン単位のモル数に比例する量TE、α-オレフィン単位のモル数に比例する量Tα-O 、極性基含有ビニルモノマー単位のモル数TFを求め、Tα-O/(TE+Tα-O+TF)×100より、α-オレフィン含有量(単位:モル%)を、TF/(TE+Tα-O+TF)×100より極性基含有ビニルモノマー含有量(単位:モル%)を求めた。
α−オレフィンがプロピレン及び1-ヘキセンの場合、極性基含有ビニルモノマー単位がアクリル酸メチル及びアクリル酸エチルの場合、Tα-O及びTFは以下のようにして求めた
[α−オレフィンがプロピレンの場合]
α−オレフィンがプロピレンの場合にはプロピレンが共重合して鎖中に挿入することにより生じる核磁気共鳴ピークのうち、37.6 ppm付近のαメチレン炭素に由来するピークの積分強度の1/2と33.2 ppm付近のメチン炭素由来のピークの積分強度との平均値をプロピレン単位のモル数に比例する量Tα-Oとして求めた。Tα-O = (I37.6/2 + I33.2)/2。ここで、例えばI37.6は37.6ppm付近に生じるα−メチレン炭素に由来するピークの積分強度である。
[α−オレフィンが1−-ヘキセンの場合]
プロピレンの場合同様、1−ヘキセンにより生じる特性ピークを用い、以下の式を用いてヘキセン単位のモル数に比例する量をTα-Oとして求めた。Tα-O = (I27.3/2 + I34.2 + I34.6/2 ) / 3。ここで、I27.3は1−ヘキセンの共重合により27.3ppm付近に生じるβメチレンの共鳴によるピークの積分強度、I34.2は1−ヘキセンの共重合により生じるブチル分岐の分岐末端から数えて4番目の炭素による共鳴ピークの積分強度、I34.6はαメチレンの共鳴によるピークの積分強度である。
[極性基含有ビニルモノマーがアクリル酸メチルの場合]
アクリル酸メチルが共重合したことにより生じる核磁気共鳴信号のうち、27.8 ppm 付近のβメチレン炭素積分強度の半分、32.8 ppm付近のαメチレン炭素の積分強度の半分、及び46.0 ppm付近のメチン炭素積分強度の平均値をとってアクリル酸メチル単位のモル数に比例する量(TF)とした。
TF = (I27.8/2+I32.8/2+I46.0)/3。
[極性基含有ビニルモノマーがアクリル酸エチルの場合]
アクリル酸メチルの場合と同様、アクリル酸エチルが共重合したことにより生じる核磁気共鳴信号のうち、27.8 ppm 付近のβメチレン炭素積分強度の半分、32.8 ppm付近のαメチレン炭素の積分強度の半分、及び46.0 ppm付近のメチン炭素積分強度の平均値をとってアクリル酸エチル単位のモル数に比例する量(TF)とした。TF = (I27.8/2+I32.8/2+I46.0)/3。なお、エチレン単位のモル数に比例する量TEは、30 ppm付近のγメチレンを含む主ピークの積分強度に上記各コモノマーにより生じる全てのαメチレン炭素ピークの積分強度の半分と全てのβメチレン炭素ピークの積分強度を加え合わせたものを1/2倍した値により求めた。TE = (I30+Iα/2+Iβ)/2。ここでI30は30ppm付近のγメチレンを含む主ピークの積分強度、Iαはコモノマーがプロピレンとアクリル酸メチルの場合にはI37.6+I32.8とし、1−ヘキセンとアクリル酸エチルの場合にはI34.6+I32.8とした。
[共重合したα−オレフィン及び極性基含有ビニルモノマーに由来して生じる分岐構造以外の分岐量の総和]
Macromolecules 32(5) 1620 (1999)を参考に13C-NMRスペクトル解析を行い、共重合したα−オレフィン及び極性基含有ビニルモノマーに由来して生じる分岐構造以外の分岐構造の特定を行うとともに、公知の方法により1,000炭素当たりのそれらの分岐の量とその総和を求めた。
(4)GPCによる分子量及び分子量分布測定
(測定条件)使用機種:ウォーターズ社製150C 検出器:FOXBORO社
製MIRAN1A・IR検出器(測定波長:3.42μm) 測定温度:140℃ 溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB) カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本) 流速:1.0mL/分 注入量:0.2mL
(試料の調製)試料はODCB(0.5mg/mLのBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)を含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させた。
(分子量の算出)標準ポリスチレン法により行い、保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の、(F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000)の銘柄である。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成した。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いた。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
(5)TREFによる組成分布測定
自社製の装置を使用し、以下の手順及び条件に従い測定を行った。
1)試料
20mLガラス瓶に試料20mg及びo−ジクロロベンゼン20mLを秤り採り、金属製スクリューキャップで蓋をした後、140℃に保温されたドライバスに入れ15分おきに手で撹拌しながら2時間溶解を行った。溶解終了後、不溶成分がないことを目視で確認した。
2)沈着
内径8mmφ、長さ120mmのステンレスカラムを隙間なく納められるように加工したアルミブロックに400Wのヒーター及び熱電対を取り付けた装置(自社製)を用いて沈着を行った。カラムには予めガラスビーズを充填し、該装置で140℃に保温しておく。そこに140℃の試料溶液を注入し、続いてカラムを納めたアルミブロックを4℃/hの速度で室温まで降温し、ガラスビーズ上に試料を沈着させた。
3)溶出
内径8mmφ、長さ120mmのステンレスカラム及びカラムに接続した外径1/16インチのステンレスチューブを隙間なく納められるように加工したアルミブロックにペルチェ素子、200Wのヒーター及び熱電対を取り付けた装置(自社製)を用いて溶出を行った。該装置に日立製L-6200型LC用ポンプ、保温リードパイプ、及び液体フローセルを取り付けたMIRAN 1A型赤外分光計を接続し、カラムを一定速度で昇温しながら溶媒を一定流量で流し、溶媒中の試料量を測定できるシステムを作成した。沈着が終了したカラムを該システムに納め、赤外分光計の測定波長を3.42μmに設定し、20℃でo−ジクロロベンゼンを流量1.0ML/minで30分程度流し、ベースラインを安定させた。続いて流量1.0mL/minでo−ジクロロベンゼンを流しつつ50℃/hの速度で130℃まで昇温し、その間の温度及び赤外分光計の出力をコンピュータで記録した。得られたクロマトグラムを処理し、溶出温度−溶出量曲線を得た。
なお、溶出開始温度が明らかに20℃を下回るものについては、溶出操作の前にo−ジクロロベンゼンを流さずに4℃/hの速度で0℃まで降温し、0℃でo−ジクロロベンゼンを流量1.0mL/minで30分程度流し、ベースラインを安定させた後に流量1.0mL/minでo−ジクロロベンゼンを流しつつ50℃/hの速度で130℃まで昇温し測定を行った。得られたデータから、重量平均溶出温度Twを下記式に従って計算した。

ここでTは溶出温度、I(T)は温度T(℃)における溶出量を表す。また、T90及びT10は、それぞれ全体に対する溶出量90重量%及び10重量%における溶出温度である。
(6)動的粘弾性測定によるδ(G*=0.1MPa)測定
試験に供する樹脂を160℃で直径25mm、厚み1mmの円形にプレス成形したものをサンプルとし、動的粘弾性特性の測定装置は、Rheometrics社製ARES型回転式レオメータ及び25mmφパラレルプレートを用い、窒素雰囲気下において以下の条件で動的粘弾性を測定した。
・温度:160℃ ・歪み量:10% ・測定角周波数範囲:1.0×10−2〜1.0×10 rad/s ・測定間隔:5点/decade
複素弾性率の絶対値G*(Pa)の常用対数logG*に対して位相角δをプロットし、logG*=5.0に相当する点のδ(度)の値をδ(G*=0.1MPa)とした。測定点の中にlogG*=5.0に相当する点がないときは、logG*=5.0前後の2点を用いて、logG*=5.0におけるδ値を線形補間で求めた。また、測定点がいずれもlogG*<5であるときは、logG*値が大きい方から3点の値を用いて2次曲線でlogG*=5.0におけるδ値を補外して求めた。
(7)引張試験による引張弾性率、引張降伏応力、引張破断呼び応力および引張破断呼びひずみ測定
各実施例のエチレン系共重合体をJIS K7151に記載の方法(冷却方法A)で厚さ1mmのシートを作成し、これを打抜いて作製したJIS K7162に記載の5B形小型試験片を用いて、引張速度10mm/分、温度23℃の条件下において引張試験を行ない、得られた応力−ひずみ曲線から、「成形加工, Vol.4, No.8, pp489-496(1992)」に記載された方法で引張弾性率、引張降伏応力、引張破断呼び応力及び引張破断呼びひずみを計算した。なお、引張降伏応力は、公称応力−ひずみ曲線に明確な極大点がある場合にはその極大点における真応力、ない場合は真応力−真ひずみ曲線における変曲点における真応力とした。また、ひずみの計算は、チャック間変位を用いて行った。
(8)引張衝撃強さ
各実施例のエチレン系共重合体をJIS K7151に記載の方法(冷却方法A)で厚さ1mmのシートを作成し、これを打抜いて作製したJIS K7160に記載の4形試験片を用いて、JIS K7160に記載の条件で測定を行った。
(9)濡れ性試験
JIS K7151に記載の方法(冷却方法A)で厚さ1mmのシートを作成し、これをビーカーに入れたエタノールに浸して1分間超音波洗浄をかけた後、ガーゼでエタノールを軽くふき取った。その表面に三菱鉛筆社製水性顔料サインペン「リブ」MyT-7を用いて約1cm角の文字を書き、10秒後の文字の形状で濡れ性を判定した。◎○×△の判断基準は下記の通りである。
◎:全くもしくは殆ど液はじきがなく、文字の輪郭が明瞭 ○:多少の液はじきはあるものの、文字の線は殆ど途切れがない △:液はじきがあり、所々に文字の線に途切れがある ×:液はじきが強く、いたる所で文字の線が途切れている
[製造例]
(1)エチレン−α−オレフィン−(メタ)アクリル酸系オレフィン共重合体の製造方法
(配位子の合成)
下記合成例で得られた配位子を用いた。なお、以下の合成例で特に断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
配位子(I)の合成
下記に示す配位子(I)は以下の方法で合成を実施した。無水ベンゼンスルホン酸(400mg,2.5mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,2mL,5mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−70℃まで冷却し、三塩化リン(340mg,2.5mmol)を加え、室温まで温度を上昇させながら2時間撹拌した(反応液A)。
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(1g,5mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,2mL,5mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら3時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Aに室温で滴下し、一晩撹拌した。反応後、水(20mL)を加え、エーテル抽出し(20mL×2)、1N塩酸(20mL×2)で洗浄した後、溶媒を留去した。メタノール(5mL)で洗浄し、白色の目的物を100mg得た。
1H NMR (CDCl3, ppm/): 8.35 (ddd, J = 0.8, 4.8, 7.6 Hz, 1 H), 7.74 (tt, J = 1.4,7.6 Hz, 1 H), 7.65 (t, J = 7.6 Hz, 2 H), 7.53 (t, J = 6.4 Hz, 2 H), 7.42 (ddt, J = 1.2, 2.8, 7.6 Hz, 1 H), 7.26 (ddt, J = 0.8, 4.8, 8.0 Hz, 2 H), 7.05 (dd, J = 0.8, 7.6 Hz, 1 H), 6.98 (dd, J = 0.8, 5.2 Hz, 2 H), 3.00 (m, 2 H), 1.15 (d, J = 6.8 Hz, 6 H), 1.09 (d, J = 6.0 Hz, 6 H). 31P NMR (CDCl3, ppm/): 9.5.
2.触媒の調製及び共重合体の製造
2−1(実施例−エチレン/1−ヘキセン/エチルアクリレート共重合)
充分に窒素置換した30mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ200マイクロモル秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(170mL)、1−ヘキセン(279mL)、エチルアクリレート(245mL)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒スラリーを全量添加し、エチレンを圧力3MPaで加圧して重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、圧力が3MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。180分後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却し、エタノール(1L)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られた固形ポリマーをエタノール(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にポリマーを回収した。
エチレン/1−ヘキセン/エチルアクリレート共重合が74g得られた。触媒活性は、1.2E+05g/mol/h、GPCによるMwは92,000、Mw/Mn:2.1、融点は、102.9℃、13CNMRによるモノマー組成は、エチレン含量が、96.3mol%、1−ヘキセン含量が、1.1mol%、エチルアクリレート含量が、2.6mol%であった。重合条件及び重合結果を表1,2に示す。
2−2.(実施例−2〜11:エチレン/1−ヘキセン/エチルアクリレート共重合)充分に窒素置換した30mLに、表1に示した所定量のパラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)を秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。
次に、内容積2.4Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、表10に示した所定量の精製トルエン(実施例11はトルエンの代わりにヘキサンを使用)、エチルアクリレート、1−ヘキセンをオートクレーブ内に導入した。
オートクレーブ内を所定温度に制御した後、窒素でオートクレーブ内の圧力を0.1MPaに昇圧し、更にエチレン分圧分を昇圧した(全圧=エチレン分圧+0.1)。
オートクレーブ内の温度が安定した後、先に調製した触媒スラリーを少量の窒素によりオートクレーブに圧入して重合を開始した。反応中は所定温度に保ち、圧力が所定圧力に保持されるように連続的にエチレンを供給した。

所定時間重合した後、エチレンをパージして、オートクレーブを室温まで冷却することで重合を停止した。生成したポリマーは反応溶液を1Lのアセトンに加えて洗浄した後、濾過により分離した。分離したポリマーは更にアセトン洗浄と濾過を2回繰り返し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にポリマーを回収した。それぞれの重合結果を表2示す。
2−3.(実施例−12:エチレン/プロピレン/メチルアクリレート共重合)充分に窒素置換した30mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ100マイクロモル秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(617mL)、メチルアクリレート(72mL,重合時の濃度が1mol/Lになるように調整)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒スラリーを全量添加し、予め別のオートクレーブを使用して80℃で調整していたエチレン/プロピレン混合ガス(ガス組成比:7/3)を圧力1.0MPaで加圧して重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、圧力が1.0MPaに保持されるように連続的に混合ガスを供給した。60分後、混合ガスをパージ、オートクレーブを室温まで冷却し、エタノール(1L)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られた固形ポリマーをエタノール(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にエチレン/プロピレン/エチルアクリレート共重合体を7.0g回収した。触媒活性は6.6E+04g/mol/hであった。得られた共重合体の分子量Mwは、65,000、Mw/Mnは1.9、融点は92.1℃、メチルアクリレート含量は3.7mol%、プロピレン含量は2.4mol%であった。重合結果を表3に示す。
2−4.(実施例−13:エチレン/プロピレン/メチルアクリレート共重合)充分に窒素置換した30mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ264マイクロモル秤量し、脱水トルエン(20mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。
次に、予め別の2Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブをエチレン/プロピレン混合ガス用バッファータンクとして準備した。このタンクに液化プロピレン(150mL)及びエチレン(2.5MPa)を20℃で装入した後、充分に混合されるまで撹拌し、50℃まで昇温した。
続いて、重合に使用する内容積2Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(500mL)、メチルアクリレート(37.5mL)、先に調製した触媒スラリー全量を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。20℃でオートクレーブ内に、プロピレン (100mL)を導入し、上記調整した混合ガスを導入して1.2MPaまで昇圧した後、70℃まで昇温し、全圧が2.0MPaになるように混合ガスを追加した。重合中は全圧を保つように適宜混合ガスを導入した。10分後にエタノール(25ml)を装入し、未反応ガスをパージすることで重合を停止した。回収したトルエン懸濁液にエタノール(1,000mL)を加えて一晩静置した後、その混合物を濾過した。沈殿物にアセトン(500mL)を加え、20℃で20分間撹拌した後、濾過を行った。この洗浄をもう2回実施した。洗浄後、70℃で3時間減圧乾燥を行い、エチレン−プロピレン−メチルアクリレート共重合体を23.2g(触媒活性は、5.3E+05(g/mol/h))を得た。得られた共重合体のDSCによる融点は、107.2℃、GPCによるMwは80,000、Mw/Mnは1.7、メチルアクリレート含量は1.0mol%、プロピレン含量は3.0mol%であった。重合結果を表3に示す。
2−5.(実施例−14:エチレン/プロピレン/メチルアクリレート共重合)充分に窒素置換した100mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ580マイクロモル秤量し、脱水トルエン(50mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。
次に、予め別の2Lの誘導撹拌式オートクレーブをエチレン/プロピレン混合ガス用バッファータンクとして準備した。このタンクに液化プロピレン(150mL)及びエチレン(2.5MPa)を20℃で装入した後、充分に混合されるまで撹拌し、50℃まで昇温した。
続いて、重合に使用する内容積2Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(500mL)、メチルアクリレート(37.5mL)、先に調製した触媒スラリー全量を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。20℃でオートクレーブ内に、プロピレン (100mL)を導入し、上記調整した混合ガスを導入して1.2MPaまで昇圧した後、55℃まで昇温し、全圧が2.0MPaになるように混合ガスを追加した。重合中は全圧を保つように適宜混合ガスを導入した。25分後にエタノール(25ml)を装入し、未反応ガスをパージすることで重合を停止した。回収したトルエン懸濁液にエタノール(1,000mL)を加えて一晩静置した後、その混合物を濾過した。沈殿物にアセトン(500mL)を加え、20℃で20分間撹拌した後、濾過を行った。この洗浄をもう2回実施した。洗浄後、70℃で3時間減圧乾燥を行い、エチレン−プロピレン−メチルアクリレート共重合体を19.6g(触媒活性は、8.1E+04(g/mol/h))を得た。得られた共重合体のDSCによる融点は、113.6℃、GPCによるMwは58,000、Mw/Mnは1.6、メチルアクリレート含量は0.6mol%、プロピレン含量は2.4mol%であった。重合結果を表3に示す。
2−6.(実施例−15:エチレン/プロピレン/メチルアクリレート共重合)充分に窒素置換した50mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ256マイクロモル秤量し、脱水トルエン(20mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。
次に、予め別の2Lの誘導撹拌機付きステンレス製オートクレーブをエチレン/プロピレン混合ガス用バッファータンクとして準備した。このタンクに液化プロピレン(150mL)及びエチレン(2.5MPa)を20℃で装入した後、充分に混合されるまで撹拌し、50℃まで昇温した。
続いて、重合に使用する内容積2Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(500mL)、メチルアクリレート(46.9mL)、先に調製した触媒スラリー全量を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。20℃でオートクレーブ内に、プロピレン (100mL)を導入し、上記調整した混合ガスを導入して1.2MPaまで昇圧した後、55℃まで昇温し、全圧が2.0MPaになるように混合ガスを追加した。重合中は全圧を保つように適宜混合ガスを導入した。30分後にエタノール(25ml)を装入し、未反応ガスをパージすることで重合を停止した。回収したトルエン懸濁液にエタノール(1,000mL)を加えて一晩静置した後、その混合物を濾過した。得られた沈殿物にトルエン(100mL)と35%塩酸(0.5mL)を加え、70℃で30分間撹拌し、再び濾過を行った。沈殿物にアセトン(500mL)を加え、20℃で20分間撹拌した後、濾過を行った。この洗浄をもう2回実施した。洗浄後、70℃で3時間減圧乾燥を行い、エチレン−プロピレン−メチルアクリレート共重合体を1.87g(触媒活性は、1.5E+04(g/mol/h))を得た。得られた共重合体のDSCによる融点は、120.1℃、GPCによるMwは55,000、Mw/Mnは1.9、メチルアクリレート含量は0.6mol%、プロピレン含量は1.0mol%であった。重合結果を表3に示す。


2−7.(参考例−1:エチレンホモ重合)充分に窒素置換した30mLフラスコに、パラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)を、それぞれ25マイクロモル秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(790mL)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒スラリーを全量添加し、80℃に昇温し、エチレン圧力3.0MPaで加圧して重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、圧力が3.0MPaに保持されるように連続的に混合ガスを供給した。60分後、エチレンガスをパージ、オートクレーブを室温まで冷却し、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られたポリマーをエタノール(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にエチレンホモ重合体を回収した。重合結果を表4に示す。
参考例−1のポリエチレンホモの13C−NMRを測定した結果、メチル、エチル等の短鎖分岐は確認されず、検出限界以下であり、短鎖分岐の非常に少ないポリエチレンであることを確認した。

2−8.(参考例−2、3:エチレン−エチルアクリレート共重合)充分に窒素置換した30mLフラスコに、表5に示す所定量のパラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、表5に示す所定量の精製トルエン、メチルアクリレートを精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒溶液を添加し、室温下、エチレン圧を3MPaとして重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、エチレンの分圧が3MPaに保持されるように連続的に所定時間エチレンを供給した。
重合終了後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却し、得られたポリマーがトルエン不溶の固体である場合には、濾過によりポリマーと溶媒を分離した。濾過では分離が不十分な場合には、エタノール(1L)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られた固形ポリマーをエタノール(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にポリマーを回収した。それぞれの重合結果を表5に示す。
13C−NMRにより確認した結果、前述したスペクトルの帰属よりエチルアクリレートが主鎖中に挿入しており、メチル、エチル等の短鎖分岐は確認できなかった。
2−9.(参考例−4、5:エチレン−1−ヘキセン共重合)
充分に窒素置換した30mLフラスコに、表6に示す所定量のパラジウムビスジベンジリデンアセトンとリンスルホン酸配位子(I)をそれぞれ秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌機付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、表6に示す所定量の精製トルエン、1−ヘキセンを精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒溶液を添加し、室温下、エチレン圧を3MPaとして重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、エチレンの分圧が3MPaに保持されるように連続的に所定時間エチレンを供給した。
重合終了後、エチレンをパージ、オートクレーブを室温まで冷却し、得られたポリマーがトルエン不溶の固体である場合には、濾過によりポリマーと溶媒を分離した。濾過では分離が不十分な場合には、エタノール(1L)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られた固形ポリマーをエタノール(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノールで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にポリマーを回収した。それぞれの重合結果を表6に示す。
2−10.(参考例−6:エチレン/プロピレン共重合)メチルアクリレートを使用せず、精製トルエンを700mL使用した以外は、実施例−12と同様に実施した。その結果、エチレン/プロピレン共重合体を36g回収した。触媒活性は4.3E+05g/mol/hであった。得られた共重合体の分子量Mwは、23,000、Mw/Mnは2.3、融点は90.2℃、プロピレン含量は16.9mol%であった。

2−11.(実施例16:エチレン/1−ヘキセン/メチルアクリレート共重合)
(ビスジベンジリデンアセトン)パラジウムとリンスルホン酸配位子(I)のスラリーを別々に用意し、超音波振動器にて処理した後、混合して室温で15分間撹拌することで、0.002mol/Lの触媒スラリーを調製した。内容積10mLの誘導撹拌付ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、所定量のヘキセン及びメチルアクリレートを導入した。80度に昇温後、エチレンで加圧して2MPaとした後、先に調製した触媒スラリーを所定量添加して、重合を開始した。尚、重合時の液総量は5mLになるように調製した。反応中は温度を一定に保ち、エチレンの分圧が2MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。60分後に、未反応のエチレンをパージ後、オートクレーブを室温まで冷却し、得られたポリマーを濾過により回収し、40℃で6時間減圧乾燥した。詳細な重合条件と重合結果を表7に示す。

2−12.比較例
比較のため、市販のメタロセンポリエチレン及び高圧法アクリル酸エチル共重合体の評価を上記実施例と同様の方法で行った。比較例1は日本ポリエチレン(株)製メタロセンLL「カーネル」KF370、比較例2は同KF373N、比較例3は同KF480、比較例4は日本ポリエチレン(株)製高圧法EEA「レクスパールEEA」A1100、比較例5は同A1200である。なお、比較例4及び5は、重合時のコモノマーはアクリル酸エチルのみであるが、副生が不可避であるメチル、エチル、ブチル及びアミル分岐を有するので、これら短鎖分岐の合計を主鎖炭素に対する短鎖分岐濃度[C]に換算して比較を行った。表8に纏めた。得られた試料の物性評価結果を表9に示す。

[各実施例と各比較例の結果の対照]
実施例3は、本発明の請求項1のTmの式を満たさない比較例5とほぼ同じ弾性率かつほぼ同じ分子量を有するものであるが、この2つを比較すると、濡れ性はほぼ同等であり、機械物性は、引張降伏応力、引張破断呼び応力、引張破断呼びひずみ、引張衝撃強度いずれも実施例3の方が比較例5よりも高い値を示し、優れている。
また、実施例7は、市販のメタロセンポリエチレンの比較例3とほぼ同じ弾性率でかつほぼ同じ分子量を有するものであるが、この2つを比較すると、機械物性は、引張降伏応力、引張破断呼び応力、引張破断呼びひずみ、いずれもほぼ同等であるものの、引張衝撃強度は比較例3の方がやや高い値を示し、優れているが、実施例7は濡れ性において比較例3よりも優れている。したがって、実施例7は機械物性と濡れ性のバランスにおいて優れているといえる。
その他、本願の請求項1の要件を満たす各実施例は、市販の従来製品に比して、
優れた機械物性を有し、かつバランスよく十分な親水性を持ち、他の材料との接着性、印刷適性、フィラー等との相溶性の物性が改善された、エチレン系三元重合体であることが理解できる。

Claims (3)

  1. MFRが0.01〜100g/10min(190℃・21.18N)であり、要件(a)及び(b)を満たすことを特徴とする、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィン及び下記一般式(I)で示される極性基含有ビニルモノマーとの三元共重合体。
    (a) 重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが以下の関係を満たす。
    1.5 ≦ Mw/Mn ≦3
    (b) 融点Tm(℃)とα−オレフィン含量[C](モル%)、極性基含有ビニルモノマー含量[X](モル%)が以下の関係を満たす。
    60 ≦Tm ≦ 135−6.4×([C]+ [X])
    但し、Tmは示差走査熱量計(DSC)による測定から得られる融解曲線のピーク温度であり、融解ピークが複数検出される場合には、それらのうち最大であるピークの温度である。
    式(I) :CH=C(R)CO(R) 但し、Rは、水素又は炭素数1〜10のアルキル基である。Rは、水素又は炭素数1〜10のアルキル基である。
  2. 回転式レオメータで測定した複素弾性率の絶対値G*=0.1MPaにおける位相角:δ(G*=0.1MPa)が40度以上75度以下であることを特徴とする、請求項1に記載の三元共重合体。
  3. α−オレフィンの炭素数が4〜8の何れかであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の三元共重合体。
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