JP5945449B2 - 新規なトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物及びそれらによるオレフィン系重合触媒並びにオレフィン系共重合体の製法 - Google Patents
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Description
このホスフィンスルホナート配位子はキレート性又は潜在的キレート性であると予想され、野崎らは、触媒活性成分として(ホスフィンスルホナート)パラジウム(メチル)ルチジン錯体を単離し、エチレンとアクリル酸エステルの共重合触媒としての有用性を報告している(例えば、特許文献2及び非特許文献3を参照)。また、−CO2H基を有するホスフィンカルボキシラート配位子の場合には、ニッケルと錯形成してキレート状金属錯体となることが報告されている(非特許文献4を参照)。
Goodallらは、ホスフィンスルホナート配位子のオルソメトキシフェニル基を改良して、ビフェニル基を有するホスフィンスルホナート配位子を開発した(例えば、特許文献3〜8及び非特許文献5を参照)。これをエチレンとアクリル酸エステルの共重合に用いることで、分子量(Mw)が十万以上のコポリマーを製造可能になったことが開示されている。
かかる技術状況からして、エチレンと極性基含有ビニルモノマーとの共重合においては、分子量とコモノマー含量が共に高い共重合体の製造を可能とし、触媒活性も高い重合触媒の開発が求められていた。
R1〜R12は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、又は炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選ばれた置換基を示す。
R13及びR14は、炭素原子、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子の、いずれかを介して芳香環と結合している、炭素数1〜20の置換基を示す。)
本発明の第三の発明として、一般式(1)において、R1、R2の少なくとも一つ、及び、R3、R4の少なくとも一つは二級もしくは三級のアルキル基であることを特徴とする、新規なトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物である。
R1〜R12は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、又は炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選ばれた置換基を示す。
R13及びR14は、炭素原子、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子の、いずれかを介して芳香環と結合している、炭素数1〜20の置換基を示す。
Mは、8〜10族の遷移金属からなる群より選択された金属原子を示し、Aは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、アリーロキシ基で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、又は炭素数1〜30のアリールオキシ基からなる群より選ばれた置換基を示す。
Bは、Mに配位した任意のリガンドを示す。また、AとBは互いに結合して環を形成していてもよい。)
本発明の第七の発明としては、一般式(2)において、R1、R2の少なくとも一つ、及び、R3、R4の少なくとも一つは二級もしくは三級のアルキル基であることを特徴とする、新規な金属錯体である。
本発明の第十の発明としては、第四又は第八の発明の、α−オレフィン重合触媒の存在下に、α−オレフィンと、(メタ)アクリル酸系オレフィンとを共重合することを特徴とする、α−オレフィン・(メタ)アクリル酸系オレフィン共重合体の製造方法である。
なお、かかる顕著な効果は、後述する本発明の各実施例のデータ及び各実施例と各比較例との対照により、実証されている。
そして、この高性能の共重合触媒を用いて得られる、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸又はエステルの共重合体は、機械的かつ熱的な物性に優れ、有用な各種の成形体として応用可能である。
以下において、それらの新規化合物、重合触媒、重合体の構成成分(モノマー成分)、及び重合方法などについて詳細に説明する。
本発明の重合触媒において、特定の金属元素に対する配位子となる新規なトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物は、下記の一般式(1)で示される。
R1〜R12は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、又は炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選ばれた置換基を示す。これらの置換基は同一でも異なってもよい。
R13及びR14は、炭素原子、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子の、いずれかを介して芳香環と結合している、炭素数1〜20の置換基を示す。)
好ましい具体例は、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基、t−ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、イソプロピル基、1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、イソブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、2−プロピルヘプチル基、2−オクチル基、3−ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、エキソ−ノルボルニル基、エンド−ノルボニル基、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノピニル基、デカヒドロナフチル基、メンチル基、ネオメンチル基、ネオペンチル基、5−デシル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基、トリル基、キシリル基、及びp−エチルフェニル基などが挙げられる。
これらの中で、更に好ましい置換基としては、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基であり、特に好ましくは、イソプロピル基である。
これらのアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基であり、好ましい具体例は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、1−プロポキシ基、1−ブトキシ基、及びt−ブトキシ基などである。これらの中で、更に好ましい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、又はイソプロポキシ基であり、特に好ましくは、メトキシ基である。
最も好ましくは、炭素数1〜20のアルキル基であり、R1、R2の少なくとも一つ、及び、R3、R4の少なくとも一つは、二級もしくは三級のアルキル基である。
R5〜R12である炭素数1〜20の炭化水素基としては、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基が挙げられる。
ここで、アルキル基、シクロアルキル基の例は、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基、t−ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、イソプロピル基、1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、イソブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、2−プロピルヘプチル基、2−オクチル基、3−ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、エキソ−ノルボルニル基、エンド−ノルボニル基、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノピニル基、デカヒドロナフチル基、メンチル基、ネオメンチル基、ネオペンチル基、及び5−デシル基などである。
これらの中で、好ましい置換基としては、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基である。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シンナミル基、スチリル基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基が挙げられ、これらのアリール基の芳香環に存在させうる置換基の例としては、アルキル基、アリール基、融合アリール基、フェニルシクロヘキシル基、フェニルブテニル基、トリル基、キシリル基、p−エチルフェニル基などである。これらの中で、好ましい置換基としては、フェニル基である。
これらのアルコキシ基は、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基であり、好ましい具体例は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、1−プロポキシ基、1−ブトキシ基、及びt−ブトキシ基などである。これらの中で、更に好ましい置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、又はイソプロポキシ基であり、特に好ましくは、メトキシ基である。
なお、本発明のR13及びR14は、芳香環の置換基として、−SO3H又は−CO2Hに対して特異な位置(メタ位とパラ位)に存在する電子供与性基である場合に、本発明の効果、特にコポリマーの分子量の向上を顕著に顕現できる。
R13及びR14として好ましくは、炭素数1〜20の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、炭素数2〜20の置換アミノ基、又は炭素数3〜20のシリル基からなる群より選ばれた置換基である。
ここで、アルキル基、シクロアルキル基の例は、メチル基、エチル基、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基、t−ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、イソプロピル基、1−ジメチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−フェニル−2−プロピル基、イソブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、2−ヘキシル基、3−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、4−ヘプチル基、2−プロピルヘプチル基、2−オクチル基、3−ノニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、エキソ−ノルボルニル基、エンド−ノルボニル基、2−ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ノピニル基、デカヒドロナフチル基、メンチル基、ネオメンチル基、ネオペンチル基、及び5−デシル基などが挙げられる。
これらの中で、好ましい置換基としては、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基である。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基、シンナミル基、スチリル基が挙げられ、好ましくは、アリル基、シクロヘキセニル基である。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フルオレニル基が挙げられ、これらのアリール基の芳香環に存在させうる置換基の例としては、アルキル基、アリール基、融合アリール基、フェニルシクロヘキシル基、フェニルブテニル基、トリル基、キシリル基、p−エチルフェニル基が挙げられる。これらの中で、好ましい置換基としては、フェニル基である。
具体的には、1−(メトキシメチル)エチル基、1−(エトキシメチル)エチル基、1−(フェノキシメチル)エチル基、1−(メトキシエチル)エチル基、1−(エトキシエチル)エチル基、ジ(メトキシメチル)メチル基、ジ(エトキシメチル)メチル基、ジ(フェノキシメチル)メチル基が挙げられる。特に好ましくは、1−(メトキシメチル)エチル基、1−(エトキシメチル)エチル基である。
第一の発明としての、新規なトリアリールホスフィン化合物の合成は、具体的には以下の経路により行われる。
まず、原料である三塩化リンと、二当量のアリール基のリチオ体(アリールリチウム塩)を−78℃で反応させる。生成したジ(アリール)ホスフィンクロライドは、精製してから次の反応に用いても、そのまま用いてもよい。次に、ジ(アリール)ホスフィンクロライドのテトラヒドロフラン溶液に、ベンゼンスルホン酸誘導体のリチオ体(アリールリチウム塩)を−78℃でゆっくりと滴下した後、室温で12〜24時間反応させる。反応後は、酸性条件で抽出した後、洗浄することにより目的物を得ることができる。トリアリールホスフィン化合物の合成経路は、上記記載の経路以外にもいくつか知られており、他の経路でも合成可能である。また、トリアリールアルシン化合物の合成も同様になされる。
具体的な合成条件は、実施例における配位子の各合成例として、詳細に記述されている。
本発明の重合触媒は、一般式(1)で表される新規なトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物と、8〜10族(後周期型;Fe、Co,Ni、Pdなど)の遷移金属化合物とを反応させて得られるα−オレフィン重合触媒である。
触媒組成物の合成は、一般に、8〜10族の遷移金属化合物と新規なトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物(以下、配位子と称すことがある。)とを溶液又はスラリー中で接触して行うことができる。
遷移金属化合物として好ましくは、10族の遷移金属化合物であり、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アリルパラジウムクロライド)、塩化パラジウム、臭化パラジウム、(シクロオクタジエン)パラジウム(メチル)クロライド、ジメチル(テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、(テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル(メチル)クロライド、ジメチル(テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル、(シクロオクタジエン)ニッケル(メチル)クロライドなどを使用して合成する。
また、本発明の触媒組成物は、一種類を単独で用いてもよいし、複数種の触媒組成物を併用してもよい。特に、分子量分布やコモノマー含量分布を広げる目的には、こうした複数種の触媒組成物の併用が有用である。
(一般式(2)中、Yは、リン又は砒素であり、Zは、−SO3−又は−CO2−である。
R1〜R12は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜20の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数2〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、又は炭素数1〜20の炭化水素基で置換されたシリル基からなる群より選ばれた置換基を示す。
R13及びR14は、炭素原子、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子の、いずれかを介して芳香環と結合している、炭素数1〜20の置換基を示す。
Mは、8〜10族の遷移金属からなる群より選択された金属原子を示し、Aは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、アルコキシ基で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、アリーロキシ基で置換された炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜30のアルコキシ基、又は炭素数1〜30のアリールオキシ基からなる群より選ばれた置換基を示す。
Bは、Mに配位した任意のリガンドを示す。また、AとBは互いに結合して環を形成していてもよい。)
Aとして好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30の炭化水素基であり、特に好ましくは、水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基が挙げられる。
好ましい具体例は、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、アリル基であり、特に好ましい置換基としては、水素原子、メチル基とフェニル基である。
Bは、Mに配位した任意のリガンドである。また、AとBは互いに結合して環を形成していてもよい。具体的なリガンドとしては、アリル誘導体、ホスフィン類、ピリジン誘導体、ピペリジン誘導体、アルキルエーテル誘導体、アリールエーテル誘導体、アルキルアリールエーテル誘導体、ケトン類、環状エーテル類、アルキルニトリル誘導体、アリールニトリル誘導体、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、アミン類などを挙げることができ、好ましくは、アリル誘導体、ホスフィン類、ケトン類、環状エーテル類、ピリジン誘導体であり、特に好ましくは、ヒドロキシアリル、シロキシアリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、ルチジン、トリフェニルホスフィンである。
本発明の重合触媒は、単独で用いてもよく、また担体に担持して用いることもできる。使用可能な担体としては、本発明の主旨を損なわない限りにおいて、任意の担体を用いることができる。
一般に、無機酸化物やポリマー担体が好適に使用できる。具体的には、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2など又はこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al2O3、SiO2−V2O5、SiO2−TiO2、SiO2−MgO、SiO2−Cr2O3などの混合酸化物も使用することができ、無機ケイ酸塩、ポリエチレン担体、ポリプロピレン担体、ポリスチレン担体、ポリアクリル酸担体、ポリメタクリル酸担体、ポリアクリル酸エステル担体、ポリエステル担体、ポリアミド担体、ポリイミド担体などが使用可能である。
これらの担体については、粒径、粒径分布、細孔容積、比表面積などに特に制限はなく、任意のものが使用可能である。
本発明において、共重合体の製造に用いられるモノマ−としては、以下に説明する、(a)α−オレフィン、(b)極性基含有モノマーが挙げられる。
それぞれの原料のモノマー成分は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
本発明に用いられるモノマ−の一つは、一般式CH2=CH(R15)で表されるα−オレフィン(以下、「(a)成分」と称することがある。)である。ここで、R15は、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。
なかでも、好ましい(a)成分として、R15が水素及び炭素数1〜10のR15を有するα−オレフィンが挙げられる。更に好ましい(a)成分としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられ、特に好ましい(a)成分としては、エチレンが挙げられる。
(5−2−1)(メタ)アクリル酸又はエステル
本発明に用いられる(b)成分の一つは、一般式CH2=C(R16)CO2(R17)で表される、(メタ)アクリル酸、又は(メタ)アクリル酸エステルである。ここで、R16は、水素又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、分岐、環、及び/又は不飽和結合を有していてもよい。R17は、水素又は炭素数1〜30のアルキル基である。更に、R17内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。
本発明に用いてもよい(b)成分の一つは、スチレンの骨格に、水酸基、アルコキサイド基、カルボン酸基、エステル基、アルデヒド基を含有するモノマーである。好ましい具体例としては、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレンが挙げられる。特に好ましい具体例としては、メトキシスチレンが挙げられる。
本発明に用いてもよい(b)成分の一つは、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどの環状オレフィンの骨格に、水酸基、アルコキサイド基、カルボン酸基、エステル基、アルデヒド基を含有するモノマーである。
使用するジエノフィルは例えば、ジエチルアゾジカルボキシレート、アルデヒド、マレイン酸無水物、ジヒドロフラン、ビニルピリジン、アルキルアクリレート又は上記の置換オレフィンである(T.L.Gilchrist,”Heterocyclic Chemistry”,1985,4.3.3章を参照)。
本発明における共重合反応は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素溶媒や液化α−オレフィンなどの液体、また、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、ホルミルアミド、アセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどのような極性溶媒の存在下或いは非存在下に行われる。また、ここで記載した液体化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。なお、高い重合活性や高い分子量を得るうえでは、上述の炭化水素溶媒がより好ましい。
具体的には、モノメチルエーテルハイドロキノンや、2,6−ジ−t−ブチル4−メチルフェノール(BHT)、トリメチルアルミニウムとBHTとの反応生成物、4価チタンのアルコキサイドとBHTとの反応生成物などが使用可能である。
また、添加剤として、無機及び又は有機フィラーを使用し、これらのフィラーの存在下で重合を行ってもよい。
また、重合様式としては、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの様式でもよい。
即ち、共重合温度は、通常−20℃から290℃、好ましくは0℃から250℃、共重合圧力は、0.1MPaから100MPa、好ましくは、0.3MPaから90MPa、共重合時間は、0.1分から10時間、好ましくは、0.5分から7時間、更に好ましくは1分から6時間の範囲から選ぶことができる。
本発明において、共重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行われる。例えば、窒素、アルゴン雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。なお、少量の酸素や空気の混入があってもよい。
共重合体の分子量制御には、従来公知の方法を使用することができる。即ち、重合温度を制御して分子量を制御する方法、モノマー濃度を制御して分子量を制御する方法、連鎖移動剤を使用して分子量を制御する方法、遷移金属錯体中の配位子構造の制御により分子量を制御するなどが挙げられる。
連鎖移動剤を使用する場合には、従来公知の連鎖移動剤を用いることができる。例えば、水素、メタルアルキルなどを使用することができる。また、(b)成分自身が一種の連鎖移動剤となる場合には、(b)成分の濃度や、(a)成分に対する比率を制御することによっても分子量調節が可能である。
遷移金属錯体中の配位子構造を制御して分子量調節を行う場合には、金属Mの周りに嵩高い置換基を配置したり、金属Mにアリール基やヘテロ原子含有置換基などの電子供与性基が相互作用可能となるように配置したり、前記したR16〜R17中にヘテロ原子を導入することにより、一般に分子量が向上する傾向を利用することができる。
(1)分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Q値)
(測定条件)使用機種:ウォーターズ社製150C 検出器:FOXBORO社
製MIRAN1A・IR検出器(測定波長:3.42μm) 測定温度:140℃
溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB) カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本) 流速:1.0mL/分 注入量:0.2mL
(試料の調製)試料はODCB(0.5mg/mLのBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)を含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させた。
(分子量の算出)標準ポリスチレン法により行い、保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行った。使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の銘柄であり、F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000、である。各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成した。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いた。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは以下の数値を用いた。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
セイコーインスツルメンツ社製DSC6200示差走査熱量測定装置を使用して、シート状にしたサンプル片を5mgアルミパンに詰め、室温から一旦200℃まで昇温速度100℃/分で昇温し、5分間保持した後に、10℃/分で20℃まで降温して結晶化させた後に、10℃/分で200℃まで昇温することにより融解曲線を得た。
融解曲線を得るために行った最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点Tmとし、該ピークのピーク面積をΔHmとした。
コモノマー含量の定量は、約0.5mmのプレス板を作製し、島津製作所FTIR−8300型を用いて、赤外吸収スペクトルにより行った。
コモノマー含量は、3,450cm−1付近のカルボニル基の倍音吸収と、4,250cm−1付近のオレフィン吸収の赤外吸収強度比をもとに算出した。なお、算出に当たっては、13C・NMR測定により作成した検量線を使用した。
下記合成例で得られたトリアリールホスフィン化合物を配位子として用いた。なお、以下の合成例で特に断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(1.79g,9.0mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,3.6mL,9.0mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら2時間撹拌した。反応液を、三塩化リン(0.4g,4.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液に−78℃で滴下し、そのままの温度で2時間撹拌した(反応液A1)。
1−ブロモ−2−スルホン酸イソプロピルエステル−5−メトキシベンゼン(1.39g,4.5mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、t−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M,5.6mL,9.0mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、2時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液A1に−78℃で滴下し、室温で24時間撹拌した。水(20mL)を加えた後、減圧下で溶媒を留去した。生成物を塩化メチレンで抽出し(300mL×3)、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ペンタン/酢酸エチル=50/1)により精製し、白色の生成物A2を0.3g得た。
積算により得た生成物A2(4.2g)、水酸化ナトリウム(1.7g,42.8mmol)、メタノール(40mL)、テトラヒドロフラン(40mL)、水(5mL)の溶液を一晩還流した。反応液を減圧下で濃縮した後、塩酸を加えて酸性にした(PH2)。塩化メチレンで抽出し(300mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去することにより、白色の生成物A3を3.5g得た。
生成物A3(1.0g,2.0mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,2.4mL,6.0mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌した。この反応液に、トリメチルシリルクロライド(1.3g,12.0mmol)を0℃で滴下し、室温で16時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(20mL)を加えた後、塩化メチレンで抽出し(50mL×2)、硫酸ナトリウムにより乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=200/1)により精製し、白色の目的物を得た(収量0.4g)。
1H・NMR(CDCl3,ppm):7.63(t,J=7.6Hz,2H),7.53(dd,J=6.0,7.2Hz,2H),7.29(m,2H),7.01 (dd,J=8.4,14.8Hz,3H),6.81(dd,J=2.0,8.8Hz,1H),3.83(s,3H),3.1(br,2H),1.25(br, 12H),0.51(s,9H).31P・NMR(CDCl3,ppm):−9.7.
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(1.98g,10.0mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,4.0mL,10.0mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液に、三塩化リン(0.43mL,5.0mmol)を−78℃加え、室温で1時間撹拌した(反応液B1)。
1−ブロモ−2−スルホン酸イソプロピルエステル−4,5−ジメトキシベンゼン(2.03g,6.0mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)溶液に、t−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M,7.5mL,12.0mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、1時間撹拌した。この溶液に、先ほどの反応液B1を−78℃で滴下し、室温で12時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出し(100mL×3)、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ペンタン/酢酸エチル=50/1〜塩化メチレン/メタノール=10/1)により精製し、白色の生成物B2を0.4g得た。
積算により得た生成物B2(8.5g)と、水酸化ナトリウム(1N,40.0mL,40.0mmol)、メタノール(70mL)、テトラヒドロフラン(70mL)の溶液を3時間還流した。反応液を減圧下で濃縮した後、塩酸を加えて酸性にした(PH2)。塩化メチレンで抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。酢酸エチルを用いて再結晶化することにより、白色の生成物B3を5.0g得た。
生成物B3(1.0g)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,3.3mL,8.24mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌した。この反応液に、トリメチルシリルクロライド(1.33g,12.2mmol)を0℃で滴下し、室温で16時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(30mL)を加えた後、塩化メチレンで抽出し(50mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=100/1)により精製し、白色の目的物を得た(収量0.5g)。
1H・NMR(CDCl3,ppm):7.65(t,J=7.6Hz,2H),7.54(dd,J=5.6,7.6Hz,2H),7.31(dd,J=6.8,7.2Hz,2H),7.09(br,2H),6.42(d,J=15.2Hz,1H),3.87(s,3H),3.47(s,3H),3.09(br,2H),1.18(br,12H),0.53(s,9H).31P・NMR(CDCl3,ppm):−10.0.
1−ブロモ−2−シクロヘキシルベンゼン(1.98g,4.20mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,1.7mL,4.20mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液に、三塩化リン(0.18mL,2.1mmol)を−78℃加え、室温で1時間撹拌した(反応液C1)。
1−ブロモ−2−スルホン酸イソプロピルエステル−4,5−ジメトキシベンゼン(0.71g,2.10mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液に、t−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M,2.6mL,4.2mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、そのままの温度で1時間撹拌した。この溶液に、先ほどの反応液C1を−78℃で滴下し、室温で12時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出し(100mL×3)、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去し、黄色粘性物質C2を0.44g得た。
積算により得たC2(18.0g)と、水酸化ナトリウム(1N,70.0mL,70.0mmol)、メタノール(300mL)、テトラヒドロフラン(300mL)の溶液を3時間還流した。反応液を減圧下で濃縮した後、塩酸(1.0M,100mL)を加えて酸性にした。塩化メチレンで抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。酢酸エチルを用いて洗浄することにより、白色の生成物C3を6.0g得た。
生成物C3(11.0g)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,50.8mL,127mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌した。この反応液に、トリメチルシリルクロライド(21.4mL,168mmol)を0℃で滴下し、室温で16時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、塩化メチレンで抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した。濃縮して再結晶化することにより、白色の目的物を2.5g得た。
1H・NMR(CDCl3,ppm):7.64(t,J=7.6Hz,2H),7.50(dd,J=5.2,7.6Hz,2H),7.31(br,4H),6.44(d,J=15.2Hz,1H),3.87(s,3H),3.50(s,3H),3.0−2.5(br,2H),2.0−1.1(br,20H),0.55(s,9H).31P・NMR(CDCl3,ppm):−8.4.
1−ブロモ−2−シクロヘキシルベンゼン(1.98g,4.20mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,1.7mL,4.20mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液に、三塩化リン(0.18mL,2.1mmol)を−78℃加え、室温で1時間撹拌した(反応液D1)。
1−ブロモ−2−スルホン酸イソプロピルエステル−4,5−ジメトキシベンゼン(0.71g,2.10mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液に、t−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M,2.6mL,4.2mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、そのままの温度で1時間撹拌した。この溶液に、先ほどの反応液D1を−78℃で滴下し、室温で12時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出し(100mL×3)、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去し、黄色粘性物質D2を0.44g得た。
積算により得たD2(18.0g)と、水酸化ナトリウム(1N,70.0mL,70.0mmol)、メタノール(300mL)、テトラヒドロフラン(300mL)の溶液を3時間還流した。反応液を減圧下で濃縮した後、塩酸(1.0M,100mL)を加えて酸性にした。塩化メチレンで抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。酢酸エチルを用いて洗浄することにより、白色の生成物D3を6.0g得た。
生成物D3(11.0g)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,50.8mL,127mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温で2時間撹拌した。この反応液に、トリメチルシリルクロライド(21.4mL,168mmol)を0℃で滴下し、室温で16時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、塩化メチレンで抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した。塩化メチレンと酢酸エチルの混合溶媒で再結晶化することにより、白色の目的物を1.2g得た。
1H・NMR(CDCl3,ppm):7.63(dd.J=7,6,8.0Hz, 2H),7.49(dd.J=5.6,7.6Hz,2H),7.30(m,2H), 7.15(br,2H),6.71(d.J=14.8Hz,1H),6.14(s, 1H),3.85(s,3H),2.9−2.5(br,2H),1.8−1.1(br,20H),0.57(s,9H).31P・NMR(CDCl3,ppm):−7.
8.
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(1.43g,7.20mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,3.2mL,7.92mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液に、三塩化リン(0.32mL,3.26mmol)を−78℃で加え、室温で2時間撹拌した(反応液E1)。
1−フェニル−3−スルホン酸イソプロピルエステル−ベンゼン(1.00g,3.60mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,1.60mL,3.96mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、2時間撹拌した。この溶液に、先ほどの反応液E1を−78℃で滴下し、室温で12時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出し(100mL×3)、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去することにより、白色の生成物E2を得た。
生成物E2と、水酸化ナトリウム水溶液(1.20g,29.40mmol/4mL)、メタノール(16mL)、テトラヒドロフラン(24mL)の溶液を16時間還流した(LCMS、66%)。反応液を減圧下で濃縮した後、塩酸を加えて酸性にした(PH4)。塩化メチレンで抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ペンタン=2/1)により精製することにより、白色の生成物E3を1.2g得た(収率33%)。
生成物E3(2.0g)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,6.4mL,15.9mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、室温で3時間撹拌した。この反応液に、トリメチルシリルクロライド(1.73g,15.9mmol)を−78℃で滴下し、室温で3時間撹拌した(LCMS、63%)。氷水(40mL)を加えた後、溶媒を留去した。塩化メチレンで抽出し(50mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した。酢酸エチルで再結晶化することにより、白色の目的物を得た(1.0g、収率45%)。
1H・NMR(CDCl3,ppm):9.93(d,J=580.4Hz,1H), 7.67(t,J=7.6Hz,2H),7.57(dd,J=5.6,7.2Hz,2H),7.4−7.2(m,8H),7.09(m,3H),3.10(m,2H),1.3−1.1(m,12H),0.14(s,9H).31P・NMR(CDCl3,ppm):−7.6.
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(2.85g,14.4mmol)のジエチルエーテル(30mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,15.
1mL,6.05mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液に、三塩化リン(0.60mL,6.86mmol)を−78℃で加え、室温で2時間撹拌した(反応液F1)。
1−イソプロピル−3−スルホン酸イソプロピルエステル−ベンゼン(1.66g,6.86mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,2.91mL,7.27mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、3時間撹拌した。この溶液に、先ほどの反応液F1を−78℃で滴下し、室温で12時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出し(100mL×3)、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去することにより、白色の生成物F2を得た。
生成物F2(22.9mmol)と、水酸化ナトリウム水溶液(3.66g,91.6mmol/10mL)、メタノール(40mL)、テトラヒドロフラン(60mL)の溶液を16時間還流した。反応液を減圧下で濃縮した後、塩酸を加えて酸性にした(PH4)。塩化メチレンで抽出し(50mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。酢酸エチルで再結晶化することにより、白色の生成物F3を7.0g得た(収率66%)。
生成物F3(7.0g)のテトラヒドロフラン(80mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,18.0mL,45.0mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、室温で4時間撹拌した。この反応液に、トリメチルシリルクロライド(6.52g,60.0mmol)を−78℃で滴下し、室温で16時間撹拌した(LCMS、83%)。氷水(20mL)を加えた後、溶媒を留去した。酢酸エチルで抽出し(150mL×3)、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムにより乾燥した。酢酸エチル/ペンタン混合溶媒で再結晶化することにより、白色の目的物を得た(4.0g、収率49%)。
1H・NMR(CDCl3,ppm):9.74(d,J=577.6Hz,1H), 7.65(t,J=7.6Hz,2H),7.53(t,J=7.6Hz,2H), 7.53(dd,J=7.2,6.0Hz,2H),7.30(m,3H),7.13(m,2H),6.98(dd,J=8.0,6.0Hz,1H),3.51 (m,1H),1.22(d,J=6.4Hz,12H),1.03(br,6H),0.57(s,9H).31P・NMR(CDCl3,ppm):−9.0.
1−ブロモ−2−シクロヘキシルベンゼン(7.20g,30.1mmol)のジエチルエーテル(70mL)溶液に、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,13.2mL,33.1mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液に、三塩化リン(1.20mL,14.3mmol)を−78℃で加え、室温で2時間撹拌した(反応液G1)。
1−フェニル−3−スルホン酸イソプロピルエステル−ベンゼン(5.00g,18.1mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,8.00mL,19.9mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、2時間撹拌した。この溶液に、先ほどの反応液G1を−78℃で滴下し、室温で12時間撹拌した(LCMS、76%)。飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出し(150mL×3)、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去することにより、白色の生成物G2を得た(9.0g)。
生成物G2(16.0mmol)と、水酸化ナトリウム水溶液(2.60g,65.0mmol/10mL)、メタノール(30mL)、テトラヒドロフラン(40mL)の溶液を16時間還流した(LCMS、66%)。反応液を減圧下で濃縮した後、塩酸を加えて酸性にした(PH4)。塩化メチレンで抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。酢酸エチルで再結晶化することにより、白色の生成物G3を6.2g得た(収率66%)。
生成物G3(2.0g)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,5.50mL,13.7mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、室温で3時間撹拌した。この反応液に、トリメチルシリルクロライド(1.50g,13.9mmol)を−78℃で滴下し、室温で3時間撹拌した。氷水(40mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出し(60mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した。酢酸エチル/ペンタン混合溶媒(1/20)で再結晶化することにより、白色の目的物を得た(0.4g、収率18%)。
1H・NMR(CDCl3,ppm):9.81(d,J=579.0Hz,1H),7.65(t,J=7.6Hz,2H),7.53(dd,J=6.8,6.0Hz,2H),7.4−7.1(m,11H),2.76(br,2H),1.7−1.1(m,18H),0.87(br,2H),0.17(s,9H).31P・NMR(CDCl3,ppm):−6.9.
1−ブロモ−2−シクロヘキシルベンゼン(2.00g,8.37mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液に、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,3.40mL,8.37mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液に、三塩化リン(0.36mL,4.20mmol)を−78℃で加え、室温で2時間撹拌した(反応液H1)。
1−イソプロピル−3−スルホン酸イソプロピルエステル−ベンゼン(1.02g,4.20mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液に、n−ブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,1.78mL,4.50mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、3時間撹拌した。この溶液に、先ほどの反応液H1を−78℃で滴下し、室温で12時間撹拌した(LCMS、16%)。飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出し(150mL×3)、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去することにより、白色の生成物H2を得た。
生成物H2(17.0mmol)と、水酸化ナトリウム水溶液(2.70g,67.5mmol/8mL)、メタノール(30mL)、テトラヒドロフラン(40mL)の溶液を16時間還流した(LCMS、79%)。反応液を減圧下で濃縮した後、塩酸を加えて酸性にした(PH4)。塩化メチレンで抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。酢酸エチルで再結晶化することにより、白色の生成物H3を5.4g得た(収率66%)。
生成物H3(3.00g)のテトラヒドロフラン(30mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,8.70mL,21.9mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、室温で3時間撹拌した。この反応液に、トリメチルシリルクロライド(2.70g,24.8mmol)を−78℃で滴下し、室温で16時間撹拌した。氷水(50mL)を加えた後、塩酸を加えて酸性にした(PH4)。反応液を減圧下で濃縮した後、塩化メチレンで抽出し(30mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した。酢酸エチルで再結晶化することにより、白色の目的物を得た(1.5g、収率44%)。
1H・NMR(CDCl3,ppm):9.62(d,J=585.2Hz,1H), 7.62(t,J=7.6Hz,2H),7.48(dd,J=7.6,5.6Hz,2H),7.4−6.9(m,6H),3.52(m,1H),2.68(br,2H),1.7−1.2(br,26H),0.59(s,9H).31P・NMR (CDCl3,ppm):−8.1.
無水ベンゼンスルホン酸(400mg,2.5mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,2mL,5mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−70℃まで冷却し、三塩化リン(340mg,2.5mmol)を加え、室温まで温度を上昇させながら2時間撹拌した(反応液I)。
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(1g,5mmol)のジエチルエーテル(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,2mL,5mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら3時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Iに室温で滴下し、一晩撹拌した。反応後、水(20mL)を加え、エーテル抽出し(20mL×2)、1N塩酸(20mL×2)で洗浄した後、溶媒を留去した。メタノール(5mL)で洗浄し、白色の目的物を100mg得た。
1H・NMR(CDCl3,ppm):8.35(ddd,J=0.8,4.8,7.6Hz,1H),7.74(tt,J=1.4,7.6Hz,1H),7.65(t,J=7.6Hz,2H),7.53(t,J=6.4Hz,2H),7.42(ddt,J=1.2,2.8,7.6Hz,1H),7.26(ddt,J=0.8,4.8,8.0Hz,2H),7.05(dd,J=0.8,7.6Hz,1H),6.98(dd,J=0.8,5.2Hz,2H),3.00(m,2H),1.15(d,J=6.8Hz,6H),1.09(d,J=6.0Hz,6H).31P・NMR(CDCl3,ppm):9.5.
[ジ(2−イソプロピルフェニル)](2−スルホニルフェニル)ホスフィン(8.0g,18.8mmol)の無水テトラヒドロフラン(80mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.6M,18mL,47mmol)を0℃で滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液は茶色に変化した。反応液を0℃に冷却し、トリメチルシリルクロライド(20g,27.6mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応後、水(50mL)を加えた後、減圧下で濃縮し、塩化メチレンで抽出した(100mL×3)。硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去後に、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=40/1)により精製し、白色の目的物を3.5g得た。
1H・NMR(CDCl3,ppm):8.05(d,J=7.6Hz,1H),7.67(d,J=7.6Hz,2H),7.56(dd,J=5.6,7.6Hz, 2H),7.40(ddd,J=2.8,7.6,7.6Hz,1H),7.20 (dd,J=7.6,7.6Hz,2H),7.10(dd,J=7.6,14.8Hz,1H),7.01(d,J=7.6,14.4Hz,2H),3.11(m,2H),1.
20(b,R13及びR14H),0.49(s,9H).31P・NMR (CDCl3,ppm):−23.7.
1−ブロモ−2−イソプロピルベンゼン(1.98g,10.0mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,4.0mL,10.0mmol)を−30℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液に、三塩化リン(0.43mL,5.0mmol)を−78℃加え、室温で1時間撹拌した(反応液K1)。
1−ブロモ−2−スルホン酸イソプロピルエステル−4,5−ジメトキシベンゼン(2.03g,6.0mmol)のテトラヒドロフラン(15mL)溶液に、t−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M,7.5mL,12.0mmol)を−78℃でゆっくりと滴下し、1時間撹拌した。この溶液に、先ほどの反応液K1を−78℃で滴下し、室温で12時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加えた後、酢酸エチルで抽出し(100mL×3)、塩化ナトリウム水溶液にて洗浄した。硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ペンタン/酢酸エチル=50/1〜塩化メチレン/メタノール=10/1)により精製し、白色の生成物K2を0.4g得た。
積算により得た生成物K2(8.5g)と、水酸化ナトリウム(1N,40.0mL,40.0mmol)、メタノール(70mL)、テトラヒドロフラン(70mL)の溶液を3時間還流した。反応液を減圧下で濃縮した後、塩酸を加えて酸性にした(PH2)。塩化メチレンで抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。酢酸エチルを用いて再結晶化することにより、白色の目的物を5.0g得た。
1H・NMR(CDCl3,ppm):7.65(t,J=7.6Hz,2H),7.91(d,J=4.8Hz,1H),7.71(t,J=7.6Hz,2H),7.
59(dd,J=6.0,7.2Hz,2H),7.33(dt,J=1.2,7.6Hz,2H),7.04(dd,J=7.6,15.2Hz,2H),6.31 (d,J=14.4Hz,1H),4.03(s,3H),3.53(s,3H),3.05(br,2H),1.20(br,12H).31P・NMR(CDCl3,ppm):−10.2.
無水ベンゼンスルホン酸(2g,12.6mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,10mL,25.3mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら1時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(1.0mL,12.6mmol)を加え、2時間撹拌した(反応液L)。
1−ブロモ−2−シクロヘキシルベンゼン(6g,25.3mmol)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液に、tブチルリチウムヘキサン溶液(1.6M,31.6mL,50.6mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、1時間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Lに−78℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。LC−MS純度50%・水(200mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレン抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール=50/1)により精製し、白色の目的物を1.0g得た。
1H・NMR(CDCl3,ppm):7.86(m,1H),7.30(dt,J=1.2,7.6Hz,1H),7.24−7.15(m,5H),6.96(m,2H),6.83(m,1H),6.57(m,2H),3.21(br,2H),1.5
5(br,8H),1.31(br,4H),1.14(br,8H).31P・NMR(CDCl3,ppm):−28.7.
無水ベンゼンスルホン酸(5.2g,32.9mmol)のテトラヒドロフラン(60mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,25mL,62mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら20時間撹拌した。この反応液に、ビス(2−メトキシフェニル)メトキシホスフィン(9.1g,32.9mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液を滴下し、16時間撹拌した。塩化アンモニウム(3.4g,62mmol)を加えた後、溶媒を留去し、水(100mL)を加えた。MTBE(40mL×2)で洗浄した後、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。塩化メチレンで抽出し(60mL×2)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、−35℃で再結晶化し、白色の目的物を3.7g得た。
1H・NMR(C2D2Cl4,ppm):6.7−8.2(m,12H),3.79(s
,6H).31P・NMR(C2D2Cl4,ppm):−9.8.
無水ベンゼンスルホン酸(0.74g,4.7mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液に、ノルマルブチルリチウムヘキサン溶液(2.5M,3.8mL,9.4mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、室温まで温度を上昇させながら2時間撹拌した。反応液を−78℃まで冷却し、三塩化リン(0.41mL,4.7mmol)を加え、室温で2時間撹拌した(反応液N)。
1−ブロモ−2−(2´,6´−ジメトキシフェニル)ベンゼン(2.8g,9.4mmol)のテトラヒドロフラン(25mL)溶液に、t−ブチルリチウムヘキサン溶液(1.5M,12.5mL,18.8mmol)を0℃でゆっくりと滴下し、30分間撹拌した。この溶液を、先ほどの反応液Nに−50℃で滴下し、室温で一晩撹拌した。溶媒を留去した後、水(200mL)を加え、塩酸を加えて酸性にした(PH<3)。MTBE抽出し(100mL×3)、硫酸ナトリウムにより乾燥した後、溶媒を留去した。THF(5mL)で洗浄し、白色の目的物を得た。0.5g。
1H・NMR(CDCl3,ppm):8.08(m,1H),7.61(m,3H), 7.42−7.12(m,10H),6.68−6.22(br,4H),3.84−3.31(br,9H),2.96(br,3H).31P・NMR(CDCl3,ppm):−2.4.
3−1.(実施例1)(比較例1)
充分に窒素置換した30mLフラスコに、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムとホスフィンスルホナート配位子をそれぞれ100マイクロモル秤量し、脱水トルエン(10mL)を加えた後、これを超音波振動機にて10分間処理することで、触媒スラリーを調製した。次に、内容積1Lの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン(618mL)、メチルアクリレート(72mL,重合時の濃度が1mol/Lになるように調整)を精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。先に調製した触媒溶液を添加し、室温下、エチレン圧を3MPaとして重合を開始した。反応中は温度を80℃に保ち、エチレンの分圧が3MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。
重合終了後、エチレンをパージし、オートクレーブを室温まで冷却し、濾過によりポリマーと溶媒を分離した。更に、アセトン(1L)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過した。更に、得られた固形ポリマーをアセトン(1L)に分散させ、ここに1N−塩酸(20ml)を加えて60分撹拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーを少量のアセトンで洗浄し、60℃で3時間減圧乾燥することで、最終的にポリマーを回収した。それぞれの重合結果を表1に示す。
(ビスジベンジリデンアセトン)パラジウムとホスフィンスルホナート配位子のスラリーを別々に用意し、超音波振動器にて処理した後、混合して室温で15分間撹拌することで、0.0025〜0.002mol/Lの触媒スラリーを調製した。内容積10mLの誘導撹拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製トルエン、所定量のコモノマーを導入した。昇温後、エチレンで加圧して2MPaとした後、先に調製した触媒スラリーを所定量添加して、重合を開始した。なお、重合時の液総量は5mLになるように調製した。反応中は温度を一定に保ち、エチレンの分圧が2MPaに保持されるように連続的にエチレンを供給した。60分後に、未反応のエチレンをパージ後、オートクレーブを室温まで冷却し、得られたポリマーを濾過により回収し、40℃で6時間減圧乾燥した。重合結果を表2に示す。
実施例1及び2では、比較例1及び2に対して、トリアリールホスフィン化合物のR13及びR14に特定の置換基を有する、本発明によるホスフィンスルホナート配位子(I〜VIII)を用いることで、トリアリールホスフィン化合物のR13及びR14に特定の置換基を有しない比較例に対して、コポリマーの分子量が向上することを明らかにした。
また、本実施例により、R13及びR14への特定の置換基導入が、触媒活性の向上に有用であることも理解され、更に、各実施例では、各比較例に比して、触媒活性とコモノマー含量及び分子量がバランスよく良好な数値を示している。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で表されるトリアリールホスフィン又はトリアリールアルシン化合物。
(一般式(1)中、Yは、リン又は砒素であり、Zは、−SO3H又は−CO2Hである。
R1〜R12は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、又は炭素数1〜20のアルキル基、アリール基で置換されたシリル基からなる群より選ばれた置換基を示す。R1、R2の少なくとも一つ、及び、R3、R4の少なくとも一つは、二級もしくは三級のアルキル基である。
R13は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、又は炭素数3〜20のシリル基からなる群より選ばれた置換基であり、R14は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数3〜20のシリル基からなる群より選ばれた置換基である。) - 下記一般式(2)で表されることを特徴とする金属錯体。
(一般式(2)中、Yは、リン又は砒素であり、Zは、−SO3−又は−CO2−である。
R1〜R12は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、又は炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基で置換されたシリル基からなる群より選ばれた置換基を示す。R1、R2の少なくとも一つ、及び、R3、R4の少なくとも一つは、二級もしくは三級のアルキル基である。
R13は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリーロキシ基、又は炭素数3〜20のシリル基からなる群より選ばれた置換基であり、R14は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数3〜20のシリル基からなる群より選ばれた置換基である。
Mは、Ni又はPdからなる群より選択された金属原子を示し、Aは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基又はアリール基、アリル基、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜30のアルキル基又はアリール基、アルコキシ基で置換された炭素数1〜30のアルキル基又はアリール基、アリーロキシ基で置換された炭素数1〜30のアルキル基又はアリール基、炭素数1〜30のアルコキシ基、又は炭素数1〜30のアリールオキシ基からなる群より選ばれた置換基を示す。
Bは、Mに配位した、アリル化合物、ホスフィン化合物、ピリジン化合物、ピペリジン化合物、アルキルエーテル化合物、アリールエーテル化合物、アルキルアリールエーテル化合物、ケトン化合物、環状エーテル化合物、アルキルニトリル化合物、アリールニトリル化合物、アルコール化合物、アミド化合物、脂肪族エステル化合物、芳香族エステル化合物、アミン化合物を示す。また、AとBは互いに結合して環を形成していてもよい。) - 請求項2に記載の金属錯体を含むα−オレフィン重合触媒。
- 請求項3に記載のα−オレフィン重合触媒の存在下に、α−オレフィンと、極性基含有コモノマーとを共重合することを特徴とする、オレフィン共重合体の製造方法。
- 請求項3に記載のα−オレフィン重合触媒の存在下に、α−オレフィンと、(メタ)アクリル酸又はエステルとを共重合することを特徴とする、オレフィン系共重合体の製造方法。
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