JP2013209350A - 金属錯体およびそれを用いたα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法 - Google Patents

金属錯体およびそれを用いたα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分子量の比較的高い重合体の製造用の高活性触媒成分となる金属錯体、およびそれを用いた分岐が少なく結晶性を有するα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法の提供。
【解決手段】式(A)で表される金属錯体。
Figure 2013209350

[式中、Mは、周期律表の9族〜11族に属する遷移金属で、、Rは、水素原子または炭化水素基を表し、Lは、Mに配位したリガンドを表す。Xは、酸素または硫黄を表し、。Eは、リン、砒素またはアンチモンを表す。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜40のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表し、R10〜R は、炭素数1〜30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基などを表す。]
【選択図】なし

Description

本発明は、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体の製造に有用な金属錯体およびそれを用いたα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法に関する。
エチレンと極性基含有ビニルモノマーである酢酸ビニルや(メタ)アクリル酸エステルとを高温高圧のラジカル重合で共重合する方法はよく知られている。しかしながら、この方法では、多数の分岐生成により結晶性の低い共重合体となるため、得られた共重合体の強度が低いという欠点がある。
また、Brookhartらは、α−ジイミン配位子を用いたパラジウム錯体を触媒として、エチレンとアクリル酸エステルの共重合体が製造できることを報告している。
しかしながら、得られた共重合体は、分岐構造に富むものであり、分岐は、メチル基、エチル基をはじめ、種々の炭素数であって、かつ、分岐の数も非常に多く、結果として、得られた共重合体は、結晶性の低いものであった(例えば、非特許文献1参照。)。
リンと酸素を配位原子として有するリガンドを用いたニッケル触媒で、いわゆるSHOP系触媒と呼ばれる触媒を用いると、極性溶媒中でエチレン重合が可能であり、分岐の少ない直鎖状重合体が得られることが知られている。SHOP系触媒のこうした極性基耐性に期待し、SHOP系触媒を用いたエチレンと極性モノマーの共重合が試みられている。
しかしながら、エチレンとの共重合が進行するのは、極性モノマー中の極性基がオレフィンから離れている場合に限られることが報告されており、極性基がオレフィンに直接結合している(メタ)アクリル酸エステルとα−オレフィンとの共重合例は、報告されていない(例えば、非特許文献2および特許文献1参照。)。
なお、例外的に、Gibsonらは、SHOP系のニッケル錯体を用いて、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合を行っているが(例えば、非特許文献8参照。)、触媒構成成分として、ビスシクロオクタジエンニッケル(Ni(COD))がフォスフィンスカベンジャーとして必要であり、かつ、メタクリル酸メチルは、重合体の末端のみに存在し、末端以外の主鎖中には取り込まれていない。
一方、同様のSHOP系のニッケル(0価)キレート錯体とアルミノキサンの組み合わせからなる触媒で、エチレンと不飽和カルボン酸エステルの共重合を行う方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。該特許文献2の実施例においては、エチレンとアクリル酸メチルの共重合例が記載されているが、非晶性重合体が副生するため、該非晶性重合体をアセトン抽出にて、除去する必要があった。また、得られた共重合体については、アクリル酸メチル含量に関する記載があるのみで、その他、構造に関する記載はない。
また、Pughら(例えば、非特許文献5参照。)、野崎ら(例えば、非特許文献6参照。)、Goodallら(例えば、特許文献3参照。)は、ホスフィノスルホン酸配位子を有するパラジウム錯体を触媒として用いることにより、エチレンとアクリル酸メチルの共重合体が得られることを報告している。
しかしながら、これらの公知文献で用いられている触媒は、希少な資源であり、かつ、高価なパラジウムを用いているため、工業的な応用には問題が大きい。
上述のように、オレフィンとアクリル酸エステルを共重合する有用な遷移金属触媒技術の開発が求められているが、一般に、シングルサイト触媒でオレフィンを重合する場合、従来のチーグラーナッタ触媒に比較して、分子量が上がりにくい傾向がある。
このため、オレフィン重合体やオレフィン・アクリル酸エステル共重合体の分子量を向上させ、また、活性も比較的高い触媒に係る技術についても、開発が求められている。
米国特許第4,698,403号明細書 特開昭64−14217号公報 米国特許出願公開第2007/0049712号明細書
S.Mecking et al.,J.Am.Chem.Soc.,1998,120,888. S.D.Ittel et al.,Chem.Rev.,2000,100,1169. P.Braunstein et al.,J.Organomet.Chem.,1989,367,117. S.E.Bauaoud et al.,Inorg.Chem.,1986,25,3765. E.Drent et al.,Chem.Commun.,2002,744. T.Kochi et al.,Dalton Trans.,2006,25. U.Klabunde et al.,J.Polym.Sci.:Part A:Polym.Chem.,1987,25,1989. V.C.Gibson,Chem.Commun.,2001,1964.
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、分岐が少なく結晶性を有するα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、特に分子量の比較的高い重合体の製造用の高活性触媒成分およびそれを用いたα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、アリール基を母核とするリガンドであって、該アリール基に結合したリン、砒素またはアンチモン(本発明ではEと記載)上の2個の置換基R、Rの両方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有し、また、R及びRのうち少なくとも一方は、2種以上のヘテロ原子含有基を含有する炭化水素基であり、かつ置換基R11がハロゲン原子、CFやCNなどの電子求引性の置換基であるような特定の構造を有する遷移金属錯体を触媒成分に用いて、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合を行うと、格段に高い重合活性で分子量の高い重合体を得ることができることを見出し、これらの知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記一般式(A)で表される金属錯体が提供される。
Figure 2013209350
[式中、Mは、周期律表の9族、10族または11族に属する遷移金属を表す。Rは、水素原子または炭素数1〜20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。Lは、Mに配位したリガンドを表す。また、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。Xは、酸素または硫黄を表す。Eは、リン、砒素またはアンチモンを表す。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜40のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基であって、R及びRの両方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有し、R及びRのうち少なくとも一方は、2種以上のヘテロ原子含有基を含有する炭化水素基を表す。R10、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表し、R11は、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヘテロ原子を一つ以上含有する炭化水素基、CO、COM’、C(O)N(R、SO、SOR、CN、NO、SOM’、POM’またはP(O)(ORM’を表す(ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはフォスフォニウムを表し、xは0〜3の整数を表し、yは0〜2の整数を表す。)。また、R、R、R10、R12またはR13から適宜選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。]
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、一般式(A)中、R及びRは、2位と6位がヘテロ原子含有基で置換された芳香族炭化水素基であることを特徴とする金属錯体が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記ヘテロ原子含有基が酸素含有基であることを特徴とする金属錯体が提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記酸素含有基がアルコキシ基またはアリールオキシ基であることを特徴とする金属錯体が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1又は2の発明において、一般式(A)中、R11は、母核であるアリール基に対して、電子求引性の置換基であることを特徴とする金属錯体が提供される。
さらに、本発明の第6の発明によれば、第5の発明において、一般式(A)中、R11は、フッ素原子、パーフルオロメチル基、パーフルオロフェニル基またはCNであることを特徴とする金属錯体が提供される。
一方、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係る金属錯体の存在下、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合することを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法が提供される。
本発明の金属錯体を用いた重合用触媒は、高活性であり、また、本発明の金属錯体を重合用触媒として用いることにより、工業的に容易に、(メタ)アクリル酸エステルとα−オレフィンとの共重合体が製造可能となり、かつ、得られた共重合体の分子量も高い。一般にポリマーの物性において分子量は、支配的要因の一つであり、分子量を上げることによって、ポリマー鎖間の相互作用が強まるため、本発明で得られた共重合体は、機械的・熱的物性に優れ、有用な成形体として応用可能である。さらに、本発明においては、希少かつ高価なパラジウムの代わりに、ニッケルを金属中心とした触媒を使用することができる。このように、本発明は、かかるα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造法を提供するものであり、工業的な観点から、非常に有用である。
本発明は、後述する一般式(B)又は(C)で表される化合物と、ニッケル、パラジウム、コバルト、銅またはロジウム等の周期律表の9族、10族または11族に属する遷移金属を含む遷移金属錯体(D)とを接触させることにより得られる反応生成物、すなわち、一般式(A)で表される金属錯体(以下、金属錯体(A)と称することもある。)、並びにそれを触媒成分とし、その触媒成分の存在下に行うα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合するα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法である。
以下、共重合体の構成モノマー、触媒成分、製造方法等について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「重合」という用語は、1種類のモノマーの単独重合と複数種のモノマーの共重合を総称するものであり、特に両者を区別する必要がない場合には、総称して単に「重合」と記載する。
1.共重合体の構成モノマー
(a)α−オレフィン
本発明における成分(a)は、一般式:CH=CHRで表されるα−オレフィンである。ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。Rの炭素数が20より大きいと、十分な重合活性が発現しない傾向がある。このため、なかでも、好ましい(a)成分としては、Rが水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であるα−オレフィンが挙げられる。
さらに好ましい(a)成分としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキセン、スチレンが挙げられる。なお、単独の(a)成分を使用してもよいし、複数の(a)成分を併用してもよい。
(b)(メタ)アクリル酸エステル
本発明における成分(b)は、一般式:CH=C(R)CO(R)で表される(メタ)アクリル酸エステルである。ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。Rは、炭素数1〜30の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。さらに、R内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。
の炭素数が11以上であると、十分な重合活性が発現しない傾向がある。したがって、Rは、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基であるが、好ましい(b)成分としては、Rが水素原子または炭素数1〜5の炭化水素基である(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。より好ましい(b)成分としては、Rがメチル基であるメタクリル酸エステルまたはRが水素原子であるアクリル酸エステルが挙げられる。同様に、Rの炭素数が30を超えると、重合活性が低下する傾向がある。よって、Rの炭素数は1〜30であるが、Rは、好ましくは炭素数1〜12であり、さらに好ましくは炭素数1〜8である。
また、R内に含まれていても良いヘテロ原子としては、酸素、硫黄、セレン、リン、窒素、ケイ素、フッ素、ホウ素等が挙げられる。これらのヘテロ原子のうち、酸素、ケイ素、フッ素が好ましく、酸素が更に好ましい。また、Rは、ヘテロ原子を含まないものも好ましい。
さらに好ましい(b)成分としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイド、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。なお、単独の(b)成分を使用してもよいし、複数の(b)成分を併用してもよい。
2.金属錯体
本発明の反応生成物、すなわち金属錯体は、下記一般式(A)で表される。
Figure 2013209350
[式中、Mは、周期律表の9族、10族または11族に属する遷移金属を表す。Rは、水素原子または炭素数1〜20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。Lは、Mに配位したリガンドを表す。また、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。Xは、酸素または硫黄を表す。Eは、リン、砒素またはアンチモンを表す。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜40のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基であって、R及びRの両方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有し、R及びRのうち少なくとも一方は、2種以上のヘテロ原子含有基を含有する炭化水素基を表す。R10、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表し、R11は、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヘテロ原子を一つ以上含有する炭化水素基、CO、COM’、C(O)N(R、SO、SOR、CN、NO、SOM’、POM’またはP(O)(ORM’を表す(ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはフォスフォニウムを表し、xは0〜3の整数を表し、yは0〜2の整数を表す。)。また、R、R、R10、R12またはR13から適宜選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。]
本発明において、Mは、周期律表の9族、10族または11族に属する遷移金属であるが、好ましくは、10族のニッケル、パラジウム、白金、9族のコバルト、ロジウムおよび11族の銅であり、さらに好ましくは、10族のニッケル、パラジウム、白金であり、最も好ましくは、10族のニッケルまたはパラジウムである。
Mの価数については、2価が好ましい。ここでMの価数とは、有機金属化学で用いられる形式酸化数(formal oxidation number)を意味する。すなわち、ある元素が関与する結合中の電子対を電気陰性度の大きい元素に割り当てたとき、その元素の原子上に残る電荷の数を指す。例えば、本発明の一般式(A)において、Eがリン、Xが酸素、Mがニッケル、Rがフェニル基、Lがピリジンであり、ニッケルがリン、酸素、フェニル基の炭素、ピリジンの窒素と結合を形成している場合、ニッケルの形式酸化数、すなわちニッケルの価数は2価となる。なぜならば、上述の定義に基づき、これらの結合において、電子対は、ニッケルよりも電気陰性度の大きいリン、酸素、炭素、窒素に割り当てられ、電荷は、リンが0、酸素が−1、フェニル基が−1、ピリジンが0で、錯体は、全体として電気的に中性であるため、ニッケル上に残る電荷は+2となるからである。
2価の遷移金属としては、例えば、ニッケル(II)、パラジウム(II)、白金(II)、コバルト(II)が好ましく、2価以外では、銅(I)またはロジウム(III)も好ましい。
本発明においてRは、水素原子または炭素数1〜20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。本発明における重合または共重合反応は、MとRの結合に本発明における(a)成分または(b)成分が挿入することによって、開始されると考えられる。したがって、Rの炭素数が過度に多いと、この開始反応が阻害される傾向にある。このため、好ましいRとしては、炭素数1〜16、さらに好ましくは炭素数1〜10である。
の具体的な例としては、ヒドリド基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、p−メチルフェニル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基等を挙げることができる。
本発明において、Lは、Mに配位したリガンドを表す。本発明におけるリガンドLは、配位結合可能な原子として、酸素、窒素、硫黄を有する炭素数1〜20の炭化水素化合物である。また、Lとして、遷移金属に配位可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭化水素化合物(ヘテロ原子を含有していてもよい)も使用することができる。好ましくは、Lの炭素数は、1〜16であり、さらに好ましくは1〜10である。また一般式(A)中のMと配位結合するLとしては、電荷を持たない化合物が好ましい。
は、Mと配位結合を形成するが、本発明においては、(a)成分の重合や(a)成分と(b)成分の共重合を進行させるために、LをMから取り除く化合物(スカベンジャー)を使用する必要がない。
なお、いわゆるSHOP系金属錯体においては、本発明におけるLの代わりに、フォスフィン、たとえば、トリメチルフォスフィンやトリフェニルフォスフィンを用いても、本発明と類似の錯体を合成することができる。しかしながら、こうしたリガンドを用いた場合には、該リガンドをMから取り除くスカベンジャーを併用することが、オレフィンの重合能発現のために必須であることが知られている(例えば、前記非特許文献7参照。)。このような目的のために用いられるスカベンジャーとしては、Ni(COD)(COD:シクロオクタジエン)、B(C、アルミノキサン類、ロジウム錯体などが知られている。
本発明における好ましいLとしては、ピリジン類、ピペリジン類、アルキルエーテル類、アリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類、環状エーテル類、アルキルニトリル誘導体、アリールニトリル誘導体、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、アミン類、環状不飽和炭化水素類などを挙げることができる。さらに好ましいLとしては、ピリジン類、環状エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、環状オレフィン類などが挙げられ、特に好ましいLとして、ピリジン、ルチジン(ジメチルピリジン)、ピコリン(メチルピリジン)、RCO(RおよびRの定義は、前記の通り)を挙げることができる。
なお、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。そのような例として、シクロオクタ−1−エニル基を挙げることができ、これも本発明における好ましい様態である。
本発明において、Xは、酸素または硫黄を表す。これらのうち、酸素が好ましい。また、本発明において、Eは、リン、砒素またはアンチモンを表す。これらのうち、リンが好ましい。
本発明において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜40のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基であって、R及びRの両方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有し、R及びRのうち少なくとも一方は、2種以上のヘテロ原子含有基を含有する炭化水素基を表す。本発明において、種とは、化学的性質の異なる置換基群を指す場合と、化学的構造が異なる置換基を示す場合とを含むものとする。たとえば、化学的性質の異なる置換基群を指す場合とは、アルコキシ基とアリーロキシ基との組み合わせなど、また、化学的構造が異なる置換基を示す場合とは、アルコキシ基のうちで、メトキシ基とエトキシ基との組み合わせなどが該当する。
とRは、金属Mの近傍にあって、立体的および/または電子的に、Mに相互作用を及ぼす。こうした効果を及ぼすためには、RとRは、かさ高い方が好ましい。R、Rの好ましい炭素数は、6〜40、さらに好ましくは8〜40である。
、Rにおいて、ヘテロ原子含有基中に含まれるヘテロ原子としては、酸素、窒素、リン、硫黄、セレン、ケイ素、フッ素、ホウ素などが挙げられる。これらのヘテロ原子のうち、酸素、硫黄、窒素、リン、ケイ素が好ましい。また、これらのヘテロ原子を含むヘテロ原子含有基としては、酸素含有基として、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アロイル基、カルボキシレート基などが挙げられ、窒素含有基としては、アミノ基、イミノ基、アミド基などが挙げられ、硫黄含有基としては、チオアルコキシ基やチオアリーロキシ基などが挙げられ、リン含有置換基としては、フォスファノ基などが挙げられ、ケイ素含有基としては、トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基などが挙げられる。これらのヘテロ原子含有基のうち、もっとも好ましいのは、アミノ基、アルコキシ基、またはアリーロキシ基である。
前記したヘテロ原子含有基としては、電子供与性で、かつ遷移金属に配位可能なものが好ましい。こうしたヘテロ原子含有基の具体的な例としては、以下のようなものが挙げられる。
すなわち、酸素含有基として、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、アセチル基、ベンゾイル基、アセトキシ基、エチルカルボキシレート基、t−ブチルカルボキシレート基、フェニルカルボキシレート基などを挙げることができる。また、窒素含有基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などを挙げることができる。また、硫黄含有基としては、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオ−n−プロポキシ基、チオイソプロポキシ基、チオ−n−ブトキシ基、チオ−t−ブトキシ基、チオフェノキシ基、p−メチルチオフェノキシ基、p−メトキシチオフェノキシ基などを挙げることができる。さらに、リン含有置換基としては、ジメチルフォスフィノ基、ジエチルフォスフィノ基、ジ−n−プロピルフォスフィノ基、シクロヘキシルフォスフィノ基などを挙げることができる。
及びRの両方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有し、R及びRのうち少なくとも一方は、2種以上のヘテロ原子含有基を含有する炭化水素基を表す。
本発明において、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜40のヘテロ原子を含有する炭化水素基であるが、より具体的には、ヘテロ原子を含有する分岐鎖状炭化水素基、ヘテロ原子を含有する脂肪環式炭化水素基、ヘテロ原子を含有するアリール基が挙げられる。前記したように、RおよびRは、かさ高い方が好ましい。したがって、これらのうち、ヘテロ原子を含有する脂環式炭化水素基、または、ヘテロ原子を含有するアリール基が好ましく、ヘテロ原子を含有するアリール基がもっとも好ましい。こうしたアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスラセニル基などを挙げることができる。
本発明のRおよびRにおいて、これらアリール基の芳香族骨格に前記したヘテロ原子含有基が結合する場合、結合様式としては、ヘテロ原子含有基が芳香族骨格に直接結合してもよいし、メチレン基のようなスペーサーを介して、芳香族骨格に結合してもよい。なお、メチレン基を介してヘテロ原子含有基が芳香族骨格に結合する場合、メチレン基の数は、1個が好ましい。また、置換位置としては、RおよびR中の芳香族骨格のうち、Eに結合した炭素に対してオルト位が好ましい。このようにすることによって、RおよびR中のヘテロ原子がMと相互作用を持つように空間的配置をとることができる。
好ましいRおよびRの具体的な例示として、1種のヘテロ原子含有基を2個以上含有する炭化水素基として、2,6−ジメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジメトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジメトキシフェニル基、1,3−ジメトキシ−2−ナフチル基、2,6−ジエトキシフェニル基、2,4,6−トリエトキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジエトキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジエトキシフェニル基、1,3−ジエトキシ−2−ナフチル基、2,6−ジフェノキシフェニル基、2,4,6−トリフェノキシフェニル基、4−メチル−2,6−ジフェノキシフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジフェノキシフェニル基、1,3−ジフェノキシ−2−ナフチル基、2,6−ジメトキシメチルフェニル基、2,4,6−トリメトキシメチルフェニル基、4−メチル−2,6−ジメトキシメチルフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジメトキシメチルフェニル基、1,3−ジメトキシメチル−2−ナフチル基、2,6−ジフェノキシメチルフェニル基、2,4,6−トリフェノキシメチルフェニル基、4−メチル−2,6−ジフェノキシメチルフェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジフェノキシメチルフェニル基、1,3−ジフェノキシメチル−2−ナフチル基、2,6−ジ(2−メトキシエチル)フェニル基、2,4,6−トリ(2−メトキシエチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(2−メトキシエチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(2−メトキシエチル)フェニル基、1,3−ジ(2−メトキエチル)−2−ナフチル基、2,6−ジ(2−フェノキシエチル)フェニル基、2,4,6−トリ(2−フェノキシエチル)フェニル基、4−メチル−2,6−ジ(2−フェノキシエチル)フェニル基、4−t−ブチル−2,6−ジ(2−フェノキシエチル)フェニル基、1,3−ジ(2−フェノキシエチル)−2−ナフチル基などを挙げることができる。また、2種以上のヘテロ原子含有基を含有する炭化水素基として、2−メトキシ−6−フェノキシフェニル基、4−t−ブチル−2−メトキシ−6−フェノキシフェニル基、1−メトキシ−3−フェノキシ−2−ナフチル基、3−メトキシ−1−フェノキシ−2−ナフチル基、2−エトキシ−6−フェノキシフェニル基、4−t−ブチル−2−エトキシ−6−フェノキシフェニル基、1−エトキシ−3−フェノキシ−2−ナフチル基、3−エトキシ−1−フェノキシ−2−ナフチル基などを挙げることができる。
10、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表し、R11は、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヘテロ原子を一つ以上含有する炭化水素基、CO、COM’、C(O)N(R、SO、SOR、CN、NO、SOM’、POM’またはP(O)(ORM’を表す(ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはフォスフォニウムを表し、xは0〜3の整数を表し、yは0〜2の整数を表す。)。
また、R、R、R10、R12またはR13から適宜選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。
これらのうち、R11については、母核であるアリール基に対して電子求引性の置換基である方が、高活性の重合触媒を与える傾向にあり、好ましい。R11の例を具体的に挙げると、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基であり、ハロゲン原子として、フッ素、塩素、臭素、沃素、ヘテロ原子含有炭化水素基として、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロフェニル基、パーフルオロナフチル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、シアノフェニル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、あるいはそれらの異性体、などを挙げることができる。
これらのうち、特に好ましいR11として、フッ素、パーフルオロメチル基、パーフルオロフェニル基、CNが挙げられる。
13については、母核であるアリール基に対して電子求引性の置換基で、かつ、かさ高い置換基である方が、高活性の重合触媒を与える傾向にあり、好ましい。R13の例を具体的に挙げると、ハロゲン原子として、フッ素、塩素、臭素、沃素を挙げることができ、ヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基として、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロフェニル基、パーフルオロナフチル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、シアノフェニル基、アンスラセニル基、ピリジル基、ピロリル基、カルバゾリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、あるいはそれらの異性体などを挙げることができる。
これらのうち、特に好ましいR13として、パーフルオロイソプロピル基、パーフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロフェニル基、9−カルバゾリル基が挙げられる。
、R、R11、R13は、前述した通りであるが、R、R、R11、R13の組み合わせにおいて、特に好ましいものを表1に示す。
Figure 2013209350
以下、本発明の金属錯体(A)を下記に例示するが、下記例示に限定されるものではない。なお、下記例示において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を示す。
Figure 2013209350
なお、リガンドの構造や錯体形成条件によっては、一般式(A)で示した錯体の立体異性体が形成されることもある。さらに、Mが4以外の配位数をとることも、ありうる。これも一種の異性体である。本発明の錯体は、こうした異性体であってもよく、また、こうした異性体の混合物であってもよい。以下、Mが配位数5をとる場合について、一例を示した。
Figure 2013209350
3.金属錯体の製造方法
本発明の金属錯体は、下記一般式(B)および/または(C)で表される化合物と、9族、10族または11族の遷移金属を含む遷移金属錯体(D)とを、接触させることにより得ることができる。
Figure 2013209350
[式(B)又は(C)中、Zは、水素原子または脱離基を表し、mは、Zの価数を表す。X、E、R、R、R10、R11、R12及びR13は、前記した通りである。]
Zは、水素原子または脱離基であるが、具体的には、水素原子、RSO基(ここでRは、前記したとおりである)、CFSO基などを挙げることができる。
一般式(C)は、アニオンの形で表されているが、そのカウンターカチオンは、本発明の遷移金属錯体(D)との反応を阻害しない限りにおいて、任意のものを用いることができる。
カウンターカチオンとしては、具体的には、アンモニウム、4級アンモニウムまたはフォスフォニウム、周期律表1族〜14族の金属イオンを挙げることができる。これらのうち好ましくは、NH 、R (ここでRは、前記したとおりであり、4つのRは、同じでも異なっていてもよい)、R (ここでRは、前記したとおりであり、4つのRは、同じでも異なっていてもよい)、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Al3+であり、さらに好ましくは、R (ここでRは、前記したとおりであり、4つのRは、同じでも異なっていてもよい)、Li、Na、Kである。
一般式(B)、(C)で示される物質については、公知の合成法に基づいて合成することができる。一般式(A)で表される金属錯体は、前記一般式(B)または(C)で表される化合物と、本発明に係る金属Mを含む遷移金属錯体成分(D)との反応生成物に含まれる。
本発明で用いられる遷移金属錯体成分(D)については、一般式(B)または(C)で示される化合物と反応して、重合能を有する錯体を形成可能なものが使用される。これらは、プリカーサー(前駆体)とも呼ばれることがある。
例えば、ニッケルを含む遷移金属錯体(D)としては、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、一般式:(CHCRCHNiで表される錯体(ここでRは、前記した通りである。)、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル(II)、一般式:Ni(CHSiR で表される錯体(ここでR、Lは、本明細書に記載した通りである。)、一般式:NiR で表される錯体(ここでR、Lは、本明細書に記載した通りである。)等を使用することができる。
また、9族、10族または11族の遷移金属を含む遷移金属錯体(D)については、一般式:MR (ここで、Mは、9族、10族または11族の遷移金属であり、RおよびLは、本明細書に記載した通りであり、pおよびqは、Mの価数を満たす0以上の整数である。)を使用することができる。
これらの遷移金属のうち、好ましく用いられるものは、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、一般式:(CHCRCHNiで表される錯体(ここでRは、本明細書に記載した通りである。)、一般式:Ni(CHSiR で表される錯体(ここでR、Lは、本明細書に記載した通りである。)、一般式:NiR で表される錯体(ここでR、Lは、本明細書に記載した通りである。)、Pd(dba)、Pd(dba)、Pd(dba)(ここで、dbaは、ジベンジリデンアセトンを表す。)、Pd(OCOCH、(1,5−シクロオクタジエン)Pd(メチル)(クロリド)である。
特に好ましくは、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)、(CHCHCHNi、(CHCMeCHNi、Ni(CHSiMe(Py)(以下Pyは、ピリジンを表す。)、Ni(CHSiMe(Lut)(以下Lutは、2,6−ルチジンを表す。)、NiPh(Py)、Ni(Ph)(Lut)2,Pd(dba)、Pd(dba)、Pd(dba)(ここで、dbaは、ジベンジリデンアセトンを表す。)、Pd(OCOCH、(1,5−シクロオクタジエン)Pd(メチル)(クロリド)である。
本発明の反応生成物は、前述の一般式(B)または(C)で表される化合物と前述の遷移金属錯体(D)とを、例えば(B)+(C):(D)=1:99〜99:1(モル比)を、0〜100℃のトルエン等の有機溶媒中で、減圧〜加圧下で1〜86400秒間接触させることにより、得ることができる。(D)として、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(Ni(COD))のトルエン溶液を用いる場合には、溶液の色が黄色から、例えば赤色に変化することにより、反応生成物の生成が確認できる。
本反応後、(D)を構成している成分であって、(D)の遷移金属以外の成分は、(B)成分のZを除いた部分や(C)成分によって置換されて、本発明の一般式(A)で表される金属錯体が生成する。この置換反応は、定量的に進行するほうが好ましいが、場合によっては完全に進行しなくてもよい。反応終了後、一般式(A)で表される錯体以外に、(B)、(C)、(D)由来の他の成分が共存するが、本発明の重合反応または共重合反応を行う際に、これらの他の成分は、除去してもよいし、除去しなくてもよい。一般的には、これらの他の成分は、除去した方が、高活性が得られるので好ましい。
なお、反応を行う際に、本発明に係るLを共存させてもよい。本発明に係るMとして、ニッケルやパラジウムを用いた場合には、ルイス塩基性のLを系内に共存させることによって、精製した錯体(A)の安定性が増す場合があり、このような場合には、Lが本発明の重合反応または共重合反応を阻害しない限りにおいて、Lを共存させることが好ましい。
本発明において、反応をα−オレフィンの重合やα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合に使用する反応器とは別の容器で、予め行ったうえで、得られた錯体(A)をα−オレフィンの重合やα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合に供してもよいし、反応をこれらのモノマーの存在下に行ってもよい。また、反応を、α−オレフィンの重合やα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合に使用する反応器の中で行ってもよい。この際に、これらのモノマーは、存在していてもよいし、存在していなくてもよい。また、一般式(B)〜(C)で示される成分については、それぞれ単独の成分を用いてもよいし、それぞれ複数種の成分を併用してもよい。特に、分子量分布やコモノマー含量分布を広げる目的には、こうした複数種の併用が有用である。
以下、本発明で使用可能な(B)を例示するが、下記例示に限定されるものではない。なお、下記例示において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を示す。
Figure 2013209350
4.重合反応
本発明において、一般式(A)で表される金属錯体を、重合または共重合の触媒成分として使用することができる。前記したように、一般式(A)で表される金属錯体は、一般式(B)または(C)と遷移金属錯体成分(D)との反応によって、形成させることができる。一般式(A)で表される金属錯体を触媒成分に用いる場合、単離したものを用いてもよいし、担体に担持したものを用いてもよい。こうした担持をα−オレフィンの重合やα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合に使用する反応器中で、これらのモノマーの存在下または非存在下で行ってもよいし、該反応器とは別の容器中で行ってもよい。
使用可能な担体としては、本発明の主旨をそこなわない限りにおいて、任意の担体を用いることができる。一般に、無機酸化物やポリマー担体が好適に使用できる。具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO−Al、SiO−V、SiO−TiO、SiO−MgO、SiO−Cr等の混合酸化物も使用することができ、無機ケイ酸塩、ポリエチレン担体、ポリプロピレン担体、ポリスチレン担体、ポリアクリル酸担体、ポリメタクリル酸担体、ポリアクリル酸エステル担体、ポリエステル担体、ポリアミド担体、ポリイミド担体などが使用可能である。これらの担体については、粒径、粒径分布、細孔容積、比表面積などに特に制限はなく、任意のものが使用可能である。
無機ケイ酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土等が使用可能である。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられる。
これら具体例のうち好ましくは、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロサイト、ハロサイト等のハロサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ソーコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、特に好ましくはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられる。
これらの担体は、そのまま用いてもよいが、塩酸、硝酸、硫酸等による酸処理および/または、LiCl、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、LiSO、MgSO、ZnSO、Ti(SO、Zr(SO、Al(SO等の塩類処理を行ってもよい。該処理において、対応する酸と塩基を混合して反応系内で塩を生成させて処理を行ってもよい。また、粉砕や造粒等の形状制御や乾燥処理を行ってもよい。
本発明における重合反応は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素溶媒や液化α−オレフィン等の液体、また、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、ホルミアミド、アセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のような極性溶媒の存在下あるいは非存在下に行われる。また、ここで記載した液体化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。さらに、イオン液体も、溶媒として使用可能である。なお、高い重合活性や高い分子量を得るうえでは、上述の炭化水素溶媒やイオン液体がより好ましい。
本発明では、公知の添加剤の存在下または非存在下で重合反応を行うことができる。添加剤としては、ラジカル重合を禁止する重合禁止剤や、生成共重合体を安定化する作用を有する添加剤が好ましい。例えば、キノン誘導体やヒンダードフェノール誘導体などが好ましい添加剤の例として挙げられる。
具体的には、モノメチルエーテルハイドロキノンや、2,6−ジ−t−ブチル4−メチルフェノール(BHT)、トリメチルアルミニウムとBHTとの反応生成物、4価チタンのアルコキサイドとBHTとの反応生成物などが使用可能である。
また、添加剤として、無機およびまたは有機フィラーを使用し、これらのフィラーの存在下で、重合を行っても良い。さらに、本発明に係るLやイオン液体を添加剤として用いてもよい。
本発明における好ましい添加剤として、ルイス塩基が挙げられる。適切なルイス塩基を選択することにより、活性、分子量、アクリル酸エステルの共重合性を改良することができる。ルイス塩基の量としては、重合系内に存在する触媒成分中の遷移金属Mに対して、0.0001当量〜1000当量、好ましくは0.1当量〜100当量、さらに好ましくは0.3当量〜30当量である。ルイス塩基を重合系に添加する方法については、特に制限はなく、任意の手法を用いることができる。例えば、本発明の触媒成分と混合して添加してもよいし、モノマーと混合して添加してもよいし、触媒成分やモノマーとは独立に重合系に添加してもよい。また、複数のルイス塩基を併用してもよい。また、本発明に係るLと同じルイス塩基を用いてもよいし、異なっていてもよい。
ルイス塩基としては、芳香族アミン類、脂肪族アミン類、アルキルエーテル類、アリールエーテル類、アルキルアリールエーテル類、環状エーテル類、アルキルニトリル類、アリールニトリル類、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、フォスフェート類、フォスファイト類、チオフェン類、チアンスレン類、チアゾール類、オキサゾール類、モルフォリン類、環状不飽和炭化水素類などを挙げることができる。
これらのうち、特に好ましいルイス塩基は、芳香族アミン類、脂肪族アミン類、環状エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類であり、なかでも好ましいルイス塩基は、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピペリジン誘導体、イミダゾール誘導体、アニリン誘導体、ピペリジン誘導体、トリアジン誘導体、ピロール誘導体、フラン誘導体である。
具体的なルイス塩基化合物としては、ピリジン、ペンタフルオロピリジン、2,6−ルチジン、2,4−ルチジン、3,5−ルチジン、ピリミジン、N、N−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール、2,2′−ビピリジン、アニリン、ピペリジン、1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ピリジル)−s−トリアジン、キノリン、8−メチルキノリン、フェナジン、1,10−フェナンスロリン、N−メチルピロール、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−ウンデカ−7−エン、1,4−ジアザビシクロ−[2,2,2]−オクタン、トリエチルアミン、ベンゾニトリル、ピコリン、トリフェニルアミン、N−メチル−2−ピロリドン、4−メチルモルフォリン、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、フラン、2,5−ジメチルフラン、ジベンゾフラン、キサンテン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、ジベンゾチオフェン、チアンスレン、トリフェニルフォスフォニウムシクロペンタジエニド、トリフェニルフォスファイト、トリフェニルフォスフェート、トリピロリジノフォスフィン、トリス(ピロリジノ)ボランなどを挙げることができる。
本発明において、重合形式に特に制限はない。媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行う気相重合、または、高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが好ましく用いられる。また、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの形式でもよい。また、リビング重合であってもよいし、連鎖移動を併発しながら重合を行ってもよい。さらに、いわゆるchain transfer agent(CSA)を併用し、chain shuttlingや、coordinative chain transfer polymerization(CCTP)を行ってもよい。
未反応モノマーや媒体は、生成共重合体から分離し、リサイクルして使用してもよい。リサイクルの際、これらのモノマーや媒体は、精製して再使用してもよいし、精製せずに再使用してもよい。生成共重合体と未反応モノマーおよび媒体との分離には、従来公知の方法が使用できる。例えば、濾過、遠心分離、溶媒抽出、貧溶媒を使用した再沈などの方法が使用できる。
重合温度、重合圧力および重合時間に、特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行うことができる。すなわち、重合温度は、通常−20℃〜290℃、好ましくは0℃〜250℃、共重合圧力は、0.1MPa〜300MPa、好ましくは0.3MPa〜200MPa、重合時間は、0.1分〜10時間、好ましくは0.5分〜7時間、さらに好ましくは1分〜6時間の範囲から選ぶことができる。
本発明において、重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行われる。例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。なお、少量の酸素や空気の混入があってもよい。
重合反応器への触媒とモノマーの供給に関しても、特に制限はなく、目的に応じて、さまざまな供給法をとることができる。たとえばバッチ重合の場合、あらかじめ所定量のモノマーを重合反応器に供給しておき、そこに触媒を供給する手法をとることが可能である。この場合、追加のモノマーや追加の触媒を重合反応器に供給してもよい。また、連続重合の場合、所定量のモノマーと触媒を重合反応器に連続的に、または間歇的に供給し、重合反応を連続的に行う手法をとることができる。
共重合体の組成の制御に関しては、複数のモノマーを反応器に供給し、その供給比率を変えることによって制御する方法を一般に用いることができる。その他、触媒の構造の違いによるモノマー反応性比の違いを利用して共重合組成を制御する方法や、モノマー反応性比の重合温度依存性を利用して共重合組成を制御する方法が挙げられる。
重合体の分子量制御には、従来公知の方法を使用することができる。すなわち、重合温度を制御して分子量を制御する方法、モノマー濃度を制御して分子量を制御する方法、連鎖移動剤を使用して分子量を制御する方法、遷移金属錯体中のリガンド構造の制御により分子量を制御する等が挙げられる。連鎖移動剤を使用する場合には、従来公知の連鎖移動剤を用いることができる。例えば、水素、メタルアルキルなどを使用することができる。
また、(b)成分自身が一種の連鎖移動剤となる場合には、(b)成分の(a)成分に対する比率や、(b)成分の濃度を制御することによっても、分子量調節が可能である。遷移金属錯体中のリガンド構造を制御して分子量調節を行う場合には、前記したR中のヘテロ原子含有基の種類、数、配置を制御したり、金属Mのまわりに、かさ高い置換基を配置したり、前記したR10〜R13中にヘテロ原子を導入したりすることによって、一般に分子量が向上する傾向を利用することができる。なお、金属Mに対して、アリール基やヘテロ原子含有置換基などの電子供与性基が相互作用可能となるように電子供与性基を配置することが好ましい。こうした電子供与性基が金属Mと相互作用可能であるかどうかは、一般に、分子模型や分子軌道計算で電子供与性基と金属Mとの距離を測定することによって判断できる。
本発明の共重合体は、共重合体の極性基にもとづく効果により、良好な塗装性、印刷性、帯電防止性、無機フィラー分散性、他樹脂との接着性、他樹脂との相溶化能などが発現する。こうした性質を利用して、本発明の共重合体は、さまざまな用途に使用することができる。例えば、フィルム、シート、接着性樹脂、バインダー、相溶化剤、ワックスなどとして使用可能である。
以下の実施例および比較例において、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた評価方法は、以下の通りである。また、接触生成物に用いるリガンドおよび比較例で用いる錯体の製造法を合成例に示す。
以下の合成例で、とくに断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
1.評価法
(1)Tm、Tc:
以下のDSC測定により求めた。
Perkin Elmer社製PYRIS Diamond DSC示差走査熱量測定装置を使用して、試料(約5mg)を210°
Cで5分間融解後、10°
C/分の速度で−20°
Cまで降温し、−20°
Cで5分保持した後に、10°
C/分の速度で210°
Cまで昇温することにより融解曲線を得た。降温段階における主発熱ピークのピークトップ温度を結晶化温度Tcとした。また、融解曲線を得るために行った最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点Tmとした。
(2)重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnおよび分子量分布Mw/Mn:
以下のGPC測定により求めた。
はじめに、試料約20(mg)をポリマーラボラトリー社製高温GPC用前処理装置PL−SP260VS用のバイアル瓶に採取し、安定剤としてBHTを含有するo−ジクロロベンゼン(BHT濃度=0.5g/L)を加え、ポリマー濃度が0.1(重量%)になるように調整した。ポリマーを上記高温GPC用前処理装置PL−SP260VS中で135℃に加熱して溶解させ、グラスフィルターにて濾過して試料を調製した。
なお、本発明におけるGPC測定において、グラスフィルターに捕捉されたポリマーはなかった。
次に、カラムとして、東ソー社製TSKgel GMH−HT(30cm×4本)およびRI検出器を装着したウォーターズ社製GPCV2000を使用してGPC測定を行った。測定条件としては、試料溶液注入量:524.5(μl)、カラム温度:135℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン、流量:1.0(ml/min)を採用した。分子量の算出は、以下のように行った。すなわち、標準試料として市販の単分散のポリスチレンを使用し、該ポリスチレン標準試料およびエチレン系重合体の粘度式から、保持時間と分子量に関する校正曲線を作成し、該校正曲線に基づいて分子量の算出を行った。
なお、粘度式としては、[η]=K×Mαを使用し、ポリスチレンに対しては、K=1.38E−4、α=0.70を使用し、エチレン系重合体に対しては、K=4.77E−4、α=0.70を使用した。
2.リガンド合成
[合成例1]:(リガンドB−168の合成)
下記のスキームにしたがって、リガンドB−168を合成した。
Figure 2013209350
(i)化合物1(7.86g,30.0mmol)のTHF溶液(30.0mL)に、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,12.0mL,30.0mmol)を0℃にて加え、室温にて2時間攪拌し、化合物2を含む溶液を得た。
(ii)化合物3(50.0g,0.250mol)のTHF溶液(100mL)に、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,100mL,0.250mol)を0℃にて加え、室温にて2時間攪拌した。これに、ヨウ素(63.5g,0.250mol)を0℃で分割して添加した後、室温にて2時間攪拌した。飽和亜硫酸ナトリウム水溶液(100mL)を加えて反応を停止させ、溶媒を減圧下で除去した。酢酸エチルを加えて抽出し、有機層は硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。粗成生物は石油エーテルを展開液としてシリカゲルカラムにて精製し、白色固体として化合物4を得た。
(iii)化合物4(9.78g,30.0mmol)のTHF溶液(30.0mL)にイソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液(2.0M,15.0mL,30.0mmol)を−30℃にて加え、室温で2時間攪拌した。その後、三塩化リン(6.5.0mL,75.0mmol)を−78℃にて加え、室温で1時間攪拌した。溶媒および過剰の三塩化リンを減圧下にて除去した後、THF(30mL)を加え、化合物5を含む溶液を得た。これに前段の化合物2のTHF溶液を−78℃にて加え、室温にて1時間攪拌し、化合物6を含む溶液を得た。
(iv)化合物7(6.18g,30.0mmol)のTHF溶液(30mL)を0℃に冷却し、アルゴン雰囲気下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,15.0mL,30.0mmol)を滴下し、室温にて2時間攪拌した。これに前段の化合物6の溶液を−78℃にて滴下し、室温にて16時間攪拌した。氷水(100mL)を加えて反応を停止させ、有機溶媒を減圧下にて除去した後、酢酸エチル(300mL)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1)で精製し、化合物8を得た。
(v)化合物8(10.0g,14.4mmol)のTHF溶液(40mL)を0℃に冷却した後、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,5.80mL,14.5mmol)をアルゴン雰囲気下で滴下し、室温で2時間攪拌した。次に、ヘキサフルオロベンゼン(6.70g,36.0mmol)を0℃にて滴下し、室温にて14時間攪拌した。氷水(100ml)を加えて反応を停止させ、THFを減圧下にて除去した。酢酸エチル(300ml)で抽出し、有機層を飽和食塩水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下にて濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=80/1)で精製し、化合物9を得た。
(iv)化合物9(4.20g,4.87mmol)を酢酸エチル(30mL)に溶解させ、塩酸の酢酸エチル溶液(4.00M,20.0mL)を0℃にて加え、徐々に室温まで昇温した後、3時間攪拌した。溶媒を減圧下にて除去し、残渣を飽和重曹水溶液にて中和し、酢酸エチル(300mL)で抽出した。油相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧乾燥すると化合物B−168が得られた(2.50g,3.6mmol,75%収率)。
HNMR(CDCl,δ,ppm):7.90(dd,J=9.6Hz,1.8Hz,1H),7.67(s,1H),7.28−7.13(m,9H),7.03−6.98(m,3H),6.68−6.56(m,9H),6.46(dd,J=8.4Hz,3.6Hz,1H),3.64(s,3H);31PNMR(CDCl,δ,ppm)−61.0(s).
[合成例2]:(リガンドB−169の合成)
下記のスキームにしたがって、リガンドB−169を合成した。
Figure 2013209350
(i)化合物4(1.63g,5.00mmol)のTHF溶液(10mL)に、イソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液(2.0M,2.5mL,5.0mmol)を−30℃にて加え、15℃で1時間攪拌した。その後、三塩化リン(2.1mL,15.0mmol)を−78℃にて加え、−78℃で1時間攪拌した。溶媒および過剰の三塩化リンを減圧下にて除去した後、濃縮残渣にTHF(15mL)を加え、化合物5を含む溶液を得た。
(ii)化合物1(1.31g,5.00mmol)のTHF溶液(10mL)に、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,2.0mL,5.0mmol)を0℃にて加え、15℃で2時間攪拌し、化合物2を含む溶液を得た。化合物5のTHF溶液に化合物2の溶液を−78℃にてゆっくりと加え、15℃で1時間攪拌し、化合物6を含む溶液を得た。
(iii)n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,2.0mL,5.0mmol)にTHF(10mL)加え、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(0.71g,5.0mmol)を−78℃にて滴下し、−78℃で1時間攪拌することで2,2,6,6−リチウムテトラメチルピペリジド溶液を調製した。ここに、化合物7(1.10g,6.7mmol)を−78℃にて加え、−78℃で1時間攪拌した。さらに、ここに化合物6のTHF溶液を−78℃にて加え、15℃で16時間攪拌した。氷水(100mL)を加え反応を停止させ、溶媒を減圧下で除去した。酢酸エチル(300mL)で抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。濃縮残渣は石油エーテル/酢酸エチル(50/1)を展開液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物8を白色固体として得た。
(iv)n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,2.0mL,5.0mmol)にTHF(5mL)加え、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(0.70g,5.0mmol)のTHF溶液(10mL)を−78℃にて滴下し、−78℃で1時間攪拌することで2,2,6,6−リチウムテトラメチルピペリジド溶液を調製した。ここに、化合物8(3.27g,5.0mmol)のTHF溶液を−78℃にて加え、−78℃で1時間攪拌した。次に、ヘキサフルオロベンゼン(2.78g,15.0mmol)を−78℃にて滴下し、15℃で16時間攪拌した。氷水(10mL)を加えて反応を停止させ、有機溶媒を減圧下にて除去した。その後、酢酸エチル(300mL)で抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下にて濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=50/1)で精製した。分取HPLCを使用し、化合物9を得た。
(v)化合物9(2.40g,2.93mmol)を酢酸エチル(15ml)に溶解させ、塩酸の酢酸エチル溶液(4.00M,5.00mL)を0℃にて加え、徐々に15℃まで昇温した後、3時間攪拌した。溶媒を減圧下にて除去し、残渣を飽和重曹水溶液にて中和し、酢酸エチル(30mL)で抽出した。油相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、減圧乾燥すると化合物B−169が得られた(1.70g,2.2mmol,76%収率)。
HNMR(CDCl,δ,ppm):7.84−7.82(m,3H),7.28−7.14(m,9H),7.06−6.99(m,3H),6.67−6.57(m,9H),6.47(dd,J=8.4Hz,3.6Hz,1H),3.65(s,3H);31PNMR(CDCl,δ,ppm)−61.4(s).
[合成例3]:(リガンドB−179の合成)
下記のスキームにしたがって、リガンドB−179を合成した。
Figure 2013209350
(i)化合物3(3.26g,10.0mmol)のTHF溶液(15mL)に、イソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液(2.00M,5.00mL,10.0mmol)を−30℃にて滴下し、20℃で2時間攪拌した。その後、三塩化リン(4.20mL,30.0mmol)を−78℃にて加え、−78℃で1時間攪拌した。溶媒および過剰の三塩化リンを減圧下にて除去した後、THF(15mL)を加え、化合物4を含む溶液を得た。
(ii)化合物1(2.62g,10.0mmol)のTHF溶液(15mL)を0℃に冷却し、アルゴン雰囲気下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,4.00mL,10.0mmol)を滴下し、30℃にて2時間攪拌し、化合物2を含む溶液を得た。化合物4の溶液に化合物2の溶液を−78℃にて滴下し、30℃にて1時間攪拌し、化合物5を含む溶液を得た。
(iii)化合物6(28.5g,100mmol)、カルバゾール(16.7g,100mmol)、ヨウ化銅(I)(1.91g,10.0mmol)、リン酸三カリウム(65.4g,300mmol)と1,2−シクロヘキサンジアミン(1.14g,10.0mmol)をジオキサン(50mL)中で110℃、24時間還流した。溶媒は減圧下で除去した。残渣に水を加え、酢酸エチル(350mL)で抽出した。有機相は硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製しで精製し、さらに再結晶(酢酸エチル/石油エーテル=3/1)により白色固体として化合物7を得た。
(iv)化合物7(3.71g,10.0mmol)のTHF溶液(15mL)にn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.50M,4.00mL,10.0mmol)を0℃にて滴下し、30℃で2時間攪拌した。ここに、化合物5の溶液を−78℃にて加え、30℃で16時間攪拌した。氷水(100mL)を加えて反応を停止させ、有機溶媒を減圧下で除去した後、酢酸エチル(300mL)で抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮した。濃縮残渣は石油エーテル/酢酸エチル(50/1)を展開液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として化合物8を得た。
(v)化合物8(0.50g,0.58mmol)を酢酸エチル(10mL)に溶解させ、塩酸の酢酸エチル溶液(4.00M,5.00mL)を0℃にて加えて、徐々に15℃まで昇温した後に1時間攪拌した。減圧下にて溶媒を除去し、飽和重曹水溶液を加えて中和し、酢酸エチル(50mL)を加え、水相を分離した。油相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下にて濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)にて精製し、化合物B−179(0.300g,0.36mmol,62%収率)を得た。
HNMR(CDCl,δ,ppm):8.12−8.10(m,2H),7.98(d,J=6.8Hz,1H),7.48(s,1H),7.38−7.15(m,13H),7.07−6.98(m,5H),6.79−6.68(m,7),6.57(dt,J=8.0Hz,2.5Hz,1H),6.44(dd,J=8.4Hz,3.0Hz,1H),3.67(s,3H);31PNMR(CDCl,δ,ppm)−59.4(s).
[合成例4]:(リガンドB−187の合成)
下記のスキームにしたがって、リガンドB−187を合成した。
Figure 2013209350
(i)化合物3(4.89g,15.0mmol)のTHF溶液(30mL)に、イソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液(2.00M,7.50mL,15.0mmol)を−30℃にて滴下し、20℃で1時間攪拌した。その後、三塩化リン(3.9mL,45.0mmol)を−78℃にて加え、−78℃で1時間攪拌した。溶媒および過剰の三塩化リンを減圧下にて除去した後、THF(30mL)を加え、化合物4を含む溶液を得た。
(ii)化合物1(3.93g,15.0mmol)のTHF溶液(20mL)を0℃に冷却し、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.50M,6.00mL,15.0mmol)を滴下し、20℃にて2時間攪拌し、化合物2を含む溶液を得た。化合物4の溶液に化合物2の溶液を−78℃にて滴下し、20℃にて1時間攪拌し、化合物5を含む溶液を得た。
(iii)化合物6(5.73g,15.0mmol)のTHF溶液(30mL)にn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.50M,6.00mL,15.0mmol)を0℃にて滴下し、20℃で2時間攪拌した。ここに、化合物5の溶液を−78℃にて加え、20℃で16時間攪拌した。氷水(20mL)を加えて反応を停止させ、有機溶媒を減圧下で除去した後、酢酸エチル(100mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して濃縮した。濃縮残渣は石油エーテル/酢酸エチル(50/1)を展開液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、白色固体として化合物7を得た。
(iv)化合物7(0.200g,0.247mmol)を酢酸エチル(20mL)に溶解させ、塩酸の酢酸エチル溶液(4M,20mL)を0℃にて加えて、徐々に25℃まで昇温した後に1時間攪拌した。減圧下にて溶媒を除去し、飽和重曹水溶液を加えて中和し、酢酸エチル(50mL)を加え、水層を分離した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下にて濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)にて精製し、化合物B−187(0.100g,0.120mmol,49%収率)を得た。
HNMR(CDCl,δ,ppm):8.52(s,1H),8.12−8.02(m,3H),7.52−7.39(m,4H),7.34−7.16(m,10H),7.09−7.03(m,3H),6.79−6.72(m,7H),6.60−6.54(m,3H),6.45(dd,J=8.4Hz,3.2Hz,1H),3.66(s,3H);31PNMR(CDCl,δ,ppm)−60.1(s).
上記で合成した化合物B−168、B−169、B−179、B−187の化学式を以下に示す。
Figure 2013209350
[合成例5]:2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファノ−6−ペンタフルオロフェニルフェノール配位子(B−27DM)の合成
(1)2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファノフェニルメトキシメチルエーテル((B−27DM−5)の合成
フェニルメトキシメチルエーテル(B−27DM−4,2.87g,20.8mmol)を脱水THF(20mL)に溶解させ、n−ブチルリチウム(8.3mL,20.8mmol)のn−ヘキサン溶液に、0℃で滴下した。得られた混合物を0℃で30分攪拌した後、室温まで昇温し、室温で2時間攪拌した。この反応溶液に、合成例7(2)と同様に得られた化合物(B−14−4)のTHF溶液(20.8mmol,150mL)を0℃で添加し、さらに室温で終夜攪拌を行った。反応液を水でクエンチし、減圧下にTHFを除去した。得られた混合物からジクロロメタンで抽出操作を行い、有機層を飽和食塩水で洗浄した。さらに、有機層に硫酸ナトリウムを加えて脱水し、硫酸ナトリウムを濾別した後、減圧下に溶媒を除去して濃縮した。
得られた粗生成物を、ジクロロメタンを展開液としてシリカゲルカラムで精製し、ジクロロメタンを除去して、2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファノフェニルメトキシメチルエーテル(B−27DM−5)の白色固体を得た。
(2)2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファノ−6−ペンタフルオロフェニルフェニルメトキシメチルエーテル(B−27DM−6)の合成
上記で得られた化合物(B−27DM−5,3.2g,7.2mmol)を脱水THF(50mL)に溶解させた。この溶液に、n−ブチルリチウム(2.9mL,7.2mmol)を0℃で滴下した。得られた反応溶液を攪拌しながら昇温し、室温で2時間攪拌した。
次いで溶液を−78℃に冷却し、ヘキサフルオロベンゼン(4.2mL,36mmol)をゆっくり加えた。溶液を攪拌しながら室温まで昇温し、室温で終夜攪拌を行った。水を加えて反応をクエンチし、減圧下に溶媒を除去した。固体残渣に対してジクロロメタンで抽出操作を行い、有機層を飽和食塩水で洗浄した。
次いで有機層を硫酸ナトリウムで脱水させ、硫酸ナトリウムを濾別した後、減圧下に溶媒を除去して濃縮した。粗生成物を、石油エーテル/酢酸エチル(7/1,v/v)の混合溶液を展開液として、シリカゲルカラムで精製することで、2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファノ−6−ペンタフルオロフェニルフェニルメトキシメチルエーテル(B−27DM−6)を得た(1.2g,2.0mmol,28%収率)。同様な操作を行い、化合物(B−27DM−6)を6.7g得た。
(3)2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファノ−6−ペンタフルオロフェニルフェノールの塩酸塩(B−27DMHCl)の合成
上記で得られた化合物(B−27DM−6,5.5g,9.0mmol)を、塩化水素の酢酸エチル溶液(4M,100mL)に0℃で加えた。得られた混合物を徐々に室温まで昇温し、引き続き室温で1.5時間攪拌を行った。減圧下に酢酸エチルを除去したところ、2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファノ−6−ペンタフルオロフェニルフェノールの塩酸塩(B−27DMHCl)が白色固体として得られた。
(4)2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファノ−6−ペンタフルオロフェニルフェノール配位子(B−27DM)の合成
塩酸塩(B−27DMHCl,5.0g,7.7mmol)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(200mL)および酢酸エチル(100mL)の混合物を室温、アルゴン雰囲気下で2時間攪拌した。得られた反応混合物より、酢酸エチルで目的化合物を抽出し、有機層を食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで脱水した後、硫酸ナトリウムを濾別し、減圧下に溶媒を除去した。
粗生成物を石油エーテルと酢酸エチルの混合溶媒で洗浄し、目的とする2−ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスファノ−6−ペンタフルオロフェニルフェノール配位子(B−27DM)を白色固体として得た(2.8g,5.0mmol,60%収率)。
HNMR(CDCl,δ,ppm):7.72(dq,J=7.6,1.5Hz,1H),7.25(br(s),1H),7.21(t,J=8.3Hz,2H),7.09(d,J=6.8Hz,1H),6.87(dt,J=7.6,1.0Hz,1H),6.48(dd,J=8.3,3.0Hz,4H),3.36(s,12H);31PNMR(CDCl,δ,ppm):−59.1(s).
[合成例6]:(リガンドB−30の合成)
下記のスキームにしたがって、リガンドB−30を合成した。
Figure 2013209350
(i)化合物1(5.20g,20.0mmol)のTHF溶液に、イソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液(2.0M,10.0mL,20.0mmol)を−50℃にて滴下し、室温で1時間攪拌した。その後、三塩化リン(1.37g,10.0mmol)を−78℃にて加え、室温になるまで攪拌し、化合物3を含む溶液を得た。
(ii)化合物4(3.14g,10.0mmol)のTHF溶液(100mL)を0℃に冷却し、アルゴン雰囲気下でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.5M,4.00mL,10.0mmol)を滴下し、0℃にて1時間、室温で1時間攪拌し、化合物5を含む溶液を得た。化合物5の溶液に化合物3の溶液を−30℃にて滴下し、室温にて終夜攪拌した。水を加えて反応を停止させ、有機溶媒を減圧下で除去した後、酢酸エチルを加え、水そう相を分離した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下にて濃縮した。濃縮残渣は石油エーテル/酢酸エチル(10/1)を展開液としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物6を得た。
(iii)塩化水素で15分バブリングした酢酸エチル(50mL)に、化合物6(1.34g,2.17mmol)を−78℃にて加えて、徐々に室温まで昇温した後に1.5時間攪拌した。減圧下にて溶媒を除去し、飽和重曹水溶液を加えて中和し、酢酸エチル(50mL)を加え、水相を分離した。油相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下にて濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)にて精製し、化合物B−30(0.9g,0.36mmol,72%収率)を得た。
HNMR(CDCl,δ,ppm):8.37(s,1H),7.92(d,J=8.4Hz,2H),7.65(d,J=8.0Hz,3H),7.33(t,J=7.4Hz,2H),7.22−7.05(m,4H),6.91−6.89(m,1H),6.41−6.35(m,5H),3.51(s,12H);31PNMR(CDCl,δ,ppm)−60.1(s).
上記で合成した化合物B−30の化学式を以下に示す。
Figure 2013209350
[合成例7]:(リガンドB−125の合成)
下記のスキームにしたがって、リガンドB−125を合成した。
Figure 2013209350
(i)化合物1(2.64g,10.0mmol)のTHF溶液(20mL)に、イソプロピルマグネシウムクロライドのTHF溶液(2.00M,5.00mL,10.0mmol)を−30℃にて滴下し、室温で1時間攪拌した。その後、三塩化リン(0.67mL,5.0mmol)を−78℃にて加え、室温で2時間攪拌した。溶媒および過剰の三塩化リンを減圧下にて除去した後、THF(15mL)を加え、化合物2を含む溶液を得た。
(ii)化合物3(4.3g,20mmol)、カルバゾール(5.01g,30mmol)、ヨウ化銅(I)(0.19g,1.0mmol)、リン酸三カリウム(12.75g,60.0mmol)と1,2−シクロヘキサンジアミン(0.23g,2.0mmol)をジオキサン(50mL)中で110℃、24時間還流した。反応溶液はジクロロメタン(120mL)に懸濁させ、水(250mL)で洗浄した。水相はジクロロメタン(100mL)で二度抽出し、有機相は硫酸ナトリウムで乾燥した。粗生成物は、フラッシュクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)で精製し、化合物4を得た。
(iii)化合物4(1.5g,5.0mmol)のTHF溶液(25mL)を0℃に冷却し、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.0M,5.00mL,10.0mmol)を滴下し、室温で2時間攪拌した。ここに、化合物2の溶液を−78℃にて滴下し、室温にて16時間攪拌した。水(10mL)を加えて反応を停止させ、有機溶媒を減圧下で除去した後、酢酸エチル(20mL)を加え、水相を分離した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下にて濃縮した。濃縮残渣は、分取用薄層クロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5/1)で精製し、化合物5を得た。
(iv)塩酸の酢酸エチル溶液(1.00M,200mL)に、化合物5(6.7g,10.1mmol)を0℃にて加えて、室温まで昇温した後に1.5時間攪拌した。減圧下にて溶媒を除去し、飽和重曹水溶液を加えて中和し、酢酸エチル(80mL)を加え、水相を分離した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムにて乾燥し、減圧下にて濃縮した。再結晶(石油エーテル/酢酸エチル=10/1)により、化合物B−125(4.2g,7.5mmol,74%収率)を得た。
HNMR(CDCl,δ,ppm):8.02(d,J=7.6Hz,2H),7.60−7.55(m,1H),7.27−7.11(m,7H),7.05(d,J=8.0Hz,2H),6.86(dt,J=7.8Hz,1.2Hz,1H),6.75(s,1H),6.40(dd,J=8.4Hz,2.8Hz,4H),3.47(s,12H);31PNMR(CDCl,δ,ppm)−60.1(s).
上記で合成した化合物B−125の化学式を以下に示す。
Figure 2013209350
[実施例1]
リガンドB−168を用いるエチレン・アクリル酸エステルの共重合
(1)錯体の形成
以下の操作は、すべて高純度アルゴン雰囲気下で行った。以下、ビス−1,5−シクロオクタジエンニッケル(0)をNi(COD)と称する。
初めに4mlのスクリューキャップ付きバイアル瓶に、合成例1で得られたB−168(35mg)を秤り取った。
次に、Ni(COD)(28mg)を20mlのバイアル瓶に秤り取り、トルエン(10ml)に溶解させ、10mMのNi(COD)トルエン溶液を調製した。得られた溶液は、黄色透明であった。ここで得られたNi(COD)トルエン溶液(5.0ml)を、B−168を有するバイアル瓶に加え、スクリューキャップで密閉した後、30秒間振って攪拌し、溶液を得た。その後、溶液の色が次第に暗黄色から赤色に変化し、沈殿は見られなかった。室温で3時間静置した後、得られた溶液0.5mlを2mlのバイアル瓶に分取し、トルエン(1.5ml)で希釈し、B−168とNi(COD)の反応生成物の2.5mM溶液を得た。ここで、反応生成物の濃度は、B−168とNi(COD)が1対1で反応してニッケル錯体を形成しているとして計算した。
(2)エチレン・アクリル酸エステルの共重合
内容積2Lの誘導攪拌式オートクレーブに、乾燥トルエン(1L)およびコノモノマーとして所定量のアクリル酸エステルを導入した。攪拌しながらオートクレーブを所定温度に昇温した後、エチレンをオートクレーブに供給し、温度と圧力が所定の条件になるように調整した。調整終了後、上記(1)で得られた反応生成物を所定量供給し、共重合を開始させた。所定時間重合させた後、エタノールを投入して反応を停止させた。未反応ガスを除去した後、オートクレーブを開放し、濾過、溶媒洗浄、加熱乾燥を行い、共重合体を得た。
共重合に用いたコモノマーの種類と量については、表2に記載した。なお、コモノマーは、Aldrich社製のAldrichInhibitorRemoverを充填したカラムを用いて、高純度アルゴン雰囲気下、室温で精製した後に使用した。また、重合に用いたトルエン量、重合温度、重合中のオートクレーブ内圧についても、表2に記載した。
表2において、tBAはアクリル酸tブチルを示す。また、活性Vpは、重合に用いた錯体1molあたり、重合時間1時間あたりの共重合体収量(kg)を表す。なお、Vpは、B−168とNi(COD)が1対1で反応してニッケル錯体を形成しているとして計算した。得られた重合体に関するGPCおよびDSC測定結果についても、表2に記載した。
[実施例2]
リガンドB−169を用いるエチレン・アクリル酸エステルの共重合
(1)錯体の形成
リガンドとして合成例2で得られたB−169(30mg)を用いた以外は、実施例1と同様にして、錯体の形成を行った。
(2)エチレン・アクリル酸エステルの共重合
錯体として上記(1)で得られた化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、エチレン・アクリル酸エステルの共重合を行った。結果を表2に示す。
[実施例3]
リガンドB−179を用いるエチレン・アクリル酸エステルの共重合
(1)錯体の形成
リガンドとして合成例3で得られたB−179(33mg)を用いた以外は、実施例1と同様にして錯体の形成を行った。
(2)エチレン・アクリル酸エステルの共重合
錯体として上記(1)で得られた化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、エチレン・アクリル酸エステルの共重合を行った。結果を表2に示す。
[実施例4]
リガンドB−187を用いるエチレン・アクリル酸エステルの共重合
(1)錯体の形成
リガンドとして合成例4で得られたB−187(33mg)を用いた以外は、実施例1と同様にして錯体の形成を行った。
(2)エチレン・アクリル酸エステルの共重合
錯体として上記(1)で得られた化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、エチレン・アクリル酸エステルの共重合を行った。結果を表2に示す。
[比較例1]
B−27DMを用いるエチレン・アクリル酸エステルの共重合
(1)錯体の形成
リガンドとして合成例5で得られたB−27DM(28mg)を使用した以外は、実施例1と同様にして錯体の形成を行った。
(2)エチレン・アクリル酸エステルの共重合
錯体として上記(1)で得られた化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、エチレン・アクリル酸エステルの共重合を行った。結果を表3に示す。
[比較例2]
B−30を用いるエチレン・アクリル酸エステルの共重合
(1)錯体の形成
リガンドとして合成例6で得られたB−30(24mg)を使用した以外は、実施例1と同様にして、錯体の形成を行った。
(2)エチレン・アクリル酸エステルの共重合
錯体として上記(1)で得られた化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、エチレン・アクリル酸エステルの共重合を行った。結果を表3に示す。
[比較例3]
B−125を用いるエチレン・アクリル酸エステルの共重合
(1)錯体の形成
リガンドとして合成例7で得られたB−125(24mg)を使用した以外は、実施例1と同様にして、錯体の形成を行った。
(2)エチレン・アクリル酸エステルの共重合およびエチレンのホモ重合
錯体として上記(1)で得られた化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、エチレン・アクリル酸エステルの共重合を行った。結果を表3に示す。
Figure 2013209350
Figure 2013209350
表2、3により、本発明の一般式(A)で表される金属錯体は、一般式(A)におけるRとRがヘテロ原子含有基を2個以上含有し、そのうち少なくとも一方には2種以上のヘテロ原子含有基を含有し、かつ、R11が母核であるアリール基に対して、電子求引性の置換基を有することにより、高活性で、比較的分子量の高い重合体が得られていることがわかる。例えば、リガンドB−168とNi(COD)との反応生成物のニッケル錯体を用いた実施例1と、リガンドB−27DMとNi(COD)との反応生成物のニッケル錯体を用いた比較例1との対比から、リガンドB−27DM(R11が水素基)でのRとRが同一で、R11が無置換である比較例1に比べて、実施例1は、リガンドB−168(R11がCF基)でのRとRがヘテロ原子含有基を2個以上含有し、そのうち少なくとも一方には2種以上のヘテロ原子含有基を含有し、かつ、R11が母核であるアリール基に対して、電子求引性の置換基を有することにより、高活性で、Mwが高い重合体が得られていることがわかる。
本発明の金属錯体からなる重合触媒は、希少かつ高価なパラジウムの代わりに、ニッケルを金属中心とした触媒であって、本発明の金属錯体からなる重合触媒を用いることにより、高活性で、工業的に容易に、α−オレフィン重合体や、(メタ)アクリル酸エステルとα−オレフィンとの共重合体が製造可能となり、かつ、本発明で得られる重合体や共重合体は、機械的・熱的物性に優れ、有用な成形体として応用可能であるため、産業上にきわめて有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(A)で表される金属錯体。
    Figure 2013209350
    [式中、Mは、周期律表の9族、10族または11族に属する遷移金属を表す。Rは、水素原子または炭素数1〜20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。Lは、Mに配位したリガンドを表す。また、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。Xは、酸素または硫黄を表す。Eは、リン、砒素またはアンチモンを表す。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜40のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基であって、R及びRの両方は、ヘテロ原子含有基を2個以上含有し、R及びRのうち少なくとも一方は、2種以上のヘテロ原子含有基を含有する炭化水素基を表す。R10、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表し、R11は、ハロゲン原子、炭素数1〜30のヘテロ原子を一つ以上含有する炭化水素基、CO、COM’、C(O)N(R、SO、SOR、CN、NO、SOM’、POM’またはP(O)(ORM’を表す(ここで、Rは、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはフォスフォニウムを表し、xは0〜3の整数を表し、yは0〜2の整数を表す。)。また、R、R、R10、R12またはR13から適宜選択される複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環または酸素、窒素もしくは硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよく、このとき、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。]
  2. 一般式(A)中、R及びRは、2位と6位がヘテロ原子含有基で置換された芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載の金属錯体。
  3. 前記ヘテロ原子含有基が酸素含有基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属錯体。
  4. 前記酸素含有基がアルコキシ基またはアリールオキシ基であることを特徴とする請求項3に記載の金属錯体。
  5. 一般式(A)中、R11は、母核であるアリール基に対して、電子求引性の置換基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属錯体。
  6. 一般式(A)中、R11は、フッ素原子、パーフルオロメチル基、パーフルオロフェニル基またはCNであることを特徴とする請求項5に記載の金属錯体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属錯体の存在下、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとを共重合することを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法。
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