JP5292059B2 - α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法ならびにα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体 - Google Patents

α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法ならびにα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体 Download PDF

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本発明は、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体の新規な製造方法および、新規なα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体に関する。
エチレンと極性基含有ビニルモノマーである酢酸ビニルや(メタ)アクリル酸エステルとを高温高圧のラジカル重合で共重合する方法はよく知られている。しかしながら、この方法では、多数の分岐生成により結晶性の低い共重合体となるため、得られた共重合体の強度が低いという欠点がある。
また、Brookhartらは、α−ジイミン配位子を用いたパラジウム錯体を触媒として、エチレンとアクリル酸エステルの共重合体が製造できることを報告している。しかしながら、得られた共重合体は分岐構造に富むものであり、分岐は、メチル基、エチル基をはじめ、種々の炭素数であって、かつ、分岐の数も非常に多く、結果として、得られた共重合体は結晶性の低いものであった(例えば、非特許文献1参照。)。
リンと酸素を配位原子として有するリガンドを用いたニッケル触媒で、いわゆるSHOP系触媒と呼ばれる触媒を用いると、極性溶媒中でエチレン重合が可能であり、分岐の少ない直鎖状重合体が得られることが知られている。SHOP系触媒のこうした極性基耐性に期待し、SHOP系触媒を用いたエチレンと極性モノマーの共重合が試みられている。しかしながら、エチレンとの共重合が進行するのは、極性モノマー中の極性基がオレフィンから離れている場合に限られることが報告されており、極性基がオレフィンに直接結合している(メタ)アクリル酸エステルとα−オレフィンとの共重合例は報告されていない(例えば、非特許文献2および特許文献1参照。)。なお、例外的に、GibsonらはSHOP系のニッケル錯体を用いてエチレンとメタクリル酸メチルの共重合を行っているが(例えば、非特許文献8参照。)、触媒構成成分として、ビスシクロオクタジエンニッケル(Ni(COD))がフォスフィンスカベンジャーとして必要であり、かつ、メタクリル酸メチルは重合体の末端のみに存在し、末端以外の主鎖中には取り込まれていない。
一方、同様のSHOP系のニッケル(0価)キレート錯体とアルミノキサンの組み合わせからなる触媒で、エチレンと不飽和カルボン酸エステルの共重合を行う方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2の実施例においては、エチレンとアクリル酸メチルの共重合例が記載されているが、非晶性重合体が副生するため、該非晶性重合体をアセトン抽出にて除去する必要があった。また、得られた共重合体については、アクリル酸メチル含量に関する記載があるのみで、その他、構造に関する記載はない。
Pughら(例えば、非特許文献5参照。)、野崎ら(例えば、非特許文献6参照。)、Goodallら(例えば、特許文献3参照。)は、ホスフィノスルホン酸配位子を有するパラジウム錯体を触媒として用いることにより、エチレンとアクリル酸メチルの共重合体が得られることを報告している。しかしながら、これらの公知文献で用いられている触媒は、希少な資源であり、かつ、高価なパラジウムを用いているため、工業的な応用には問題が大きい。
S.Mecking et al.,J.Am.Chem.Soc.,1998,120,888. S.D.Ittel et al.,Chem.Rev.,2000,100,1169. P.Braunstein et al.,J.Organomet.Chem.,1989,367,117. S.E.Bauaoud et al.,Inorg.Chem., 1986,25,3765. E.Drent et al.,Chem.Commun.,2002,744. T.Kochi et al.,Dalton Trans.,2006,25. U.Klabunde et al.,J.Polym.Sci.:Part A:Polym.Chem.,1987,25,1989. V.C.Gibson,Chem.Commun.,2001,1964. 米国特許第4,698,403号明細書 特開昭64−14217号公報 米国特許出願公開第2007/0049712号明細書
かかる状況において、本発明が解決しようとする課題は、分岐が少なく結晶性を有する新規なα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、および、非晶質重合体の副生がきわめて少なく、かつ、工業的に有利な新規なα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究した結果、特定の遷移金属錯体の存在下にα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合を行うことにより、上記課題が解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記一般式(A)および/または(B)で表される金属錯体の存在下、(a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステルを有機アルミニウム化合物の非存在下で共重合することを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法が提供される。
Figure 0005292059
(式(A)、(B)において、Mは、ニッケル(II)またはパラジウム(II)を表す。Xは、酸素または硫黄を表す。Eは、リン、砒素またはアンチモンを表す。Rは、それぞれ独立に、水素または炭素数1ないし20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。 は、それぞれ独立に、炭素数1ないし20のヘテロ原子を含有している炭化水素基を表す。およびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはフォスフォニウムを表し、xは、0から3までの整数、yは、0から2までの整数を表す。なお、RとRが互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。Rは、水素または炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。Lは、Mに弱く配位したリガンドを表す。また、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。)
また、本発明の第2の発明によれば、下記一般式(C)で表される金属錯体の存在下、(a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステルを有機アルミニウム化合物の非存在下で共重合することを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法が提供される。
Figure 0005292059
(式(C)において、Mは、ニッケル(II)またはパラジウム(II)を表す。 は、酸素または硫黄を表す。 は、リン、砒素またはアンチモンを表す。 は、Mに弱く配位したリガンドを表す。 は、それぞれ独立に、水素または炭素数1ないし20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。また、R とL が互いに結合して環を形成してもよい。は、それぞれ独立に、水素または炭素数1ないし20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表し、各R に含有されるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基は0又は1個である。10、R11、R12、R13は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。R は、水素または炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。 は、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはフォスフォニウムを表し、は、0から3までの整数、は、0から2までの整数を表す。なお、R10〜R13から適宜選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。)
また、本発明の第3の発明によれば、(a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステルの共重合体であって、主鎖末端がエチル基、ビニル基、および(b)成分として共重合に用いた(メタ)アクリル酸エステル由来の一般式(D)で表される基からなり、かつ、一般式(D)における炭素−炭素二重結合が、Z体とE体の2種の幾何異性体構造からなることを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が提供される。
−CH=C(R)CO(R) ・・・(D)
(式(D)において、Rは水素またはメチル基であ。Rは炭素数1〜30の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。さらに、R内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。)
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、主鎖のメチル分岐数が主鎖炭素1000個あたり2個未満であり、かつ、炭素数2以上の炭化水素基の分岐を持たないことを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が提供される。
本発明により、工業的に容易に入手可能な(メタ)アクリル酸エステルとα−オレフィンとの共重合体が製造可能となり、得られた共重合体は分岐が少なく結晶性が高い。また、コモノマーとして用いられる(メタ)アクリル酸エステルは、共重合体の末端のみならず、末端以外の主鎖中にも取り込まれる。したがって、本発明においては、(メタ)アクリル酸エステルの含量を上げることが可能となる。このため、該共重合体は機械的・熱的物性に優れ、有用な成形体として応用可能である。また、該共重合体の製造工程において、非晶質重合体の副生量がきわめて少ないため、こうした副生物を目的とする共重合体から除去する工程が不要である。さらに、本発明においては、希少かつ高価なパラジウムの代わりに、ニッケルを金属中心とした触媒を使用することができる。
本発明は、特定の金属錯体の存在下、(a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステルとを共重合するα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法およびそれから得られるα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体である。以下、重合体の構成、触媒成分、製造方法等について詳細に説明する。
1.重合体の構成モノマー
(a)α−オレフィン
本発明における成分(a)は、一般式CH=CHRで表されるα−オレフィンである。ここで、Rは、水素または炭素数1〜20の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。なかでも、好ましい(a)成分として、Rは水素または炭素数1〜10の炭化水素基であるα−オレフィンが挙げられる。
さらに好ましい(a)成分としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキセン、スチレンが挙げられる。なお、単独の(a)成分を使用してもよいし、複数の(a)成分を併用してもよい。
(b)(メタ)アクリル酸エステル
本発明における成分(b)は、一般式CH=C(R)CO(R)で表される(メタ)アクリル酸エステルである。ここで、Rは、水素または炭素数1〜10の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。Rは、炭素数1〜30の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。さらに、R内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。
好ましい(b)成分として、Rは水素または炭素数1〜5の炭化水素基である(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。より好ましい(b)成分としては、Rがメチル基であるメタクリル酸エステルまたはRが水素であるアクリル酸エステルが挙げられる。
さらに好ましい(b)成分としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイド、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロエチル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジメチルアミド等が挙げられる。なお、単独の(b)成分を使用してもよいし、複数の(b)成分を併用してもよい。
2.触媒(金属錯体)
本発明に用いられる金属錯体は、下記一般式(A)および/または(B)で表される遷移金属錯体である。
Figure 0005292059
一般式(A)および(B)において、Mは、ニッケル(II)、パラジウム(II)、白金(II)、コバルト(II)、銅(I)またはロジウム(III)を表す。Xは、酸素または硫黄を表す。Eは、リン、砒素またはアンチモンを表す。
また、一般式(A)および(B)において、RおよびRは、それぞれ独立に、水素または炭素数1ないし20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。RおよびRの具体例としては、水素、アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、ベンジル基、アリール基、例えば、フェニル基、トルイル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2−フェニルフェニル基、2,6−ジフェニルフェニル基、2−メトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基などを例示することができる。
およびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。ここで、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、 4級アンモニウムまたはフォスフォニウムを表し、xは、0から3までの整数、yは、0から2までの整数を表す。なお、RとRが互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。
は、水素または炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。
は、Mに弱く配位したリガンドを表す。ここで、Mに弱く配位したリガンドとは、Mと配位結合形成可能であり、LをMから取り除く化合物(スカベンジャー)を使用することなしに、(a)成分と(b)成分の共重合が進行可能な化合物を表す。そのような特徴を有するリガンドLは、配位結合可能な原子として酸素、窒素、硫黄を有する炭素数1〜20の炭化水素化合物である。また、Lとして、炭素−炭素不飽和結合を有し、ヘテロ原子を有していてもよい炭化水素化合物も使用することができる。
好ましいLとしては、ピリジン誘導体、ピペリジン誘導体、アルキルエーテル誘導体、アリールエーテル誘導体、アルキルアリールエーテル誘導体、環状エーテル類、アルキルニトリル誘導体、アリールニトリル誘導体、アルコール類、アミド類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、アミン類、環状不飽和炭化水素類などを挙げることができる。さらに好ましいLとしては、ピリジン誘導体、環状エーテル類、脂肪族エステル類、芳香族エステル類、環状オレフィン類であり、特に好ましいLとして、ピリジン、ルチジン、ピコリン、RCO (RおよびRの定義は前記の通り)を挙げることができる。なお、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。そのような例として、シクロオクタ−1−エニル基を挙げることができる。
なお、いわゆるSHOP系金属錯体には、本発明におけるLの代わりに、金属Mに強く配位したリガンドを用いても錯体を合成することができる。このような強く配位したリガンドとしては、フォスフィンがよく知られており、なかでも、トリメチルフォスフィンやトリフェニルフォスフィンよく知られている。しかしながら、このように強く配位したリガンドをSHOP系金属錯体の一構成成分として用いた場合には、該リガンドをMから取り除くスカベンジャーを併用することが、オレフィンの重合能発現のために必須であることが知られている(非特許文献7)。
このような目的のために用いられるスカベンジャーとしては、Ni(COD)(COD:シクロオクタジエン)、B(C、アルミノキサン類、ロジウム錯体などが知られている。
一般式(A)で示される遷移金属錯体は公知であり、前述の特許文献1および該特許文献1に記載されている参考文献の記載にしたがって合成することができる。また、一般式(B)で示される遷移金属錯体も公知であり、前述の非特許文献3や非特許文献4に記載の方法を用いて合成することができる。これらの金属錯体は、単離したものを用いてもよいし、担体に担持して用いてもよい。さらに、一般式(A)または(B)の遷移金属錯体の合成に用いられる原料を接触・反応させ、反応生成物を単離することなく使用してもよい。こうした接触・反応をα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルの共重合に使用する反応器中で、これらのモノマーの存在下または非存在下で行ってもよいし、該反応器とは別の容器中で行ってもよい。また、一般式(A)および/または(B)で示される遷移金属錯体は、単独の錯体を用いてもよいし、複数種の錯体を併用してもよい。特に、分子量分布やコモノマー含量分布を広げる目的には、こうした複数種の錯体の併用が有用である。
本発明で使用可能な錯体は、一般式(A)および/または(B)で示される構造であって、EとXが脂肪族炭化水素基で結合された構造を有するものである。これらのうち、一般式(A)で示される構造を有する錯体が好ましく用いられる。また、一般式(A)で示される構造のうち、EとXが芳香族炭化水素基で結合された構造を有する錯体(C)も好適に使用可能である。特に、錯体(C)は、リガンドと遷移金属を含有する前駆体とを何らかの媒体中で接触させることにより容易に得られるため、in situで錯体を形成する必要性がある場合、特に好ましく用いられる。
Figure 0005292059
一般式(C)において、M、X、E、L、RおよびRは、一般式(A)および(B)と同義である。R10、R11、R12、R13は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。R、R、M’、xおよびyは、一般式(A)および(B)と同義である。なお、R10〜R13から適宜選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。
以下、本発明で使用可能な錯体を例示するが、本発明に使用可能な錯体は、下記例示に限定されるものではない。
なお、下記例示において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を、Cyはシクロヘキシル基を、tBuはターシャリーブチル基を示す。なお、以下の例示では、Mとしてニッケルの場合を示したが、前記したパラジウム、白金、コバルト、銅、ロジウム等の金属も使用可能である。
Figure 0005292059
使用可能な担体としては、本発明の主旨をそこなわない限りにおいて、任意の担体を用いることができる。一般に、無機酸化物やポリマー担体が好適に使用できる。具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等またはこれらの混合物が挙げられ、SiO−Al、SiO−V、SiO−TiO、SiO−MgO、SiO−Cr等の混合酸化物も使用することができ、無機ケイ酸塩、ポリエチレン担体、ポリプロピレン担体、ポリスチレン担体、ポリアクリル酸担体、ポリメタクリル酸担体、ポリアクリル酸エステル担体、ポリエステル担体、ポリアミド担体、ポリイミド担体などが使用可能である。これらの担体については、粒径、粒径分布、細孔容積、比表面積などに特に制限はなく、任意のものが使用可能である。
上記無機ケイ酸塩としては、粘土、粘土鉱物、ゼオライト、珪藻土等が使用可能である。これらは、合成品を用いてもよいし、天然に産出する鉱物を用いてもよい。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられる。
これら具体例のうち好ましくは、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロサイト、ハロサイト等のハロサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられ、特に好ましくはモンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライトが挙げられる。
これらの担体は、そのまま用いてもよいが、塩酸、硝酸、硫酸等による酸処理および/または、LiCl、NaCl、KCl、CaCl、MgCl、LiSO、MgSO、ZnSO、Ti(SO、Zr(SO、Al(SO等の塩類処理を行ってもよい。該処理において、対応する酸と塩基を混合して反応系内で塩を生成させて処理を行ってもよい。また粉砕や造粒等の形状制御や乾燥処理を行ってもよい。
3.共重合反応
本発明における共重合反応は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素溶媒や液化α−オレフィン等の液体、また、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、ホルミアミド、アセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のような極性溶媒の存在下あるいは非存在下に行われる。また、ここで記載した液体化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。なお、高い重合活や高い分子量を得るうえでは、上述の炭化水素溶媒がより好ましい。
本発明における共重合に際して、公知の添加剤の存在下または非存在下で共重合を行うことができる。添加剤としては、(b)成分のラジカル重合禁止剤や、生成共重合体を安定化する作用を有する添加剤が好ましい。例えば、キノン誘導体やヒンダードフェノール誘導体などが好ましい添加剤の例として挙げられる。具体的には、モノメチルエーテルハイドロキノンや、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、トリメチルアルミニウムとBHTとの反応生成物、4価チタンのアルコキサイドとBHTとの反応生成物などが使用可能である。また、添加剤として、無機およびまたは有機フィラーを使用し、これらのフィラーの存在下で重合を行っても良い。さらに、本発明のLを添加剤として用いてもよい。
本発明において、重合形式に特に制限はない。媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行う気相重合、または、高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが好ましく用いられる。また、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの形式でもよい。また、リビング重合であってもよいし、連鎖移動を併発しながら重合を行ってもよい。さらに、いわゆるchain transfer agent(CSA)を併用し、chain shuttlingや、coordinative chain transfer polymerization(CCTP)を行ってもよい。
未反応モノマーや媒体は、生成共重合体から分離し、リサイクルして使用してもよい。リサイクルの際、これらのモノマーや媒体は、精製して再使用してもよいし、精製せずに再使用してもよい。生成共重合体と未反応モノマーおよび媒体との分離には、従来公知の方法が使用できる。例えば、濾過、遠心分離、溶媒抽出、貧溶媒を使用した再沈などの方法が使用できる。
共重合温度、共重合圧力および共重合時間に特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行うことができる。
すなわち、共重合温度は、通常−20℃から290℃、好ましくは0℃から250℃、共重合圧力は、0.1MPaから100MPa、好ましくは、0.3MPaから90MPa、共重合時間は、0.1分から10時間、好ましくは、0.5分から7時間、さらに好ましくは1分から6時間の範囲から選ぶことができる。
本発明において、共重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行われる。例えば、窒素、アルゴン、二酸化炭素雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。なお、少量の酸素や空気の混入があってもよい。
共重合反応器への触媒とモノマーの供給に関しても特に制限はなく、目的に応じてさまざまな供給法をとることができる。たとえばバッチ重合の場合、あらかじめ所定量のモノマーを共重合反応器に供給しておき、そこに触媒を供給する手法をとることが可能である。この場合、追加のモノマーや追加の触媒を共重合反応器に供給してもよい。また、連続重合の場合、所定量のモノマーと触媒を共重合反応器に連続的に、または間歇的に供給し、共重合反応を連続的に行う手法をとることができる。
共重合体の組成の制御に関しては、複数のモノマーを反応器に供給し、その供給比率を変えることによって制御する方法を一般に用いることができる。その他、触媒の構造の違いによるモノマー反応性比の違いを利用して共重合組成を制御する方法や、モノマー反応性比の重合温度依存性を利用して共重合組成を制御する方法が挙げられる。
共重合体の分子量制御には、従来公知の方法を使用することができる。すなわち、重合温度を制御して分子量を制御する方法、モノマー濃度を制御して分子量を制御する方法、連鎖移動剤を使用して分子量を制御する方法、遷移金属錯体中のリガンド構造の制御により分子量を制御する等が挙げられる。連鎖移動剤を使用する場合には、従来公知の連鎖移動剤を用いることができる。例えば、水素、メタルアルキルなどを使用することができる。また、(b)成分自身が一種の連鎖移動剤となる場合には、(b)成分の(a)成分に対する比率や、(b)成分の濃度を制御することによっても分子量調節が可能である。遷移金属錯体中のリガンド構造を制御して分子量調節を行う場合には、金属Mのまわりにかさだかい置換基を配置したり、金属Mにアリール基やヘテロ原子含有置換基などの電子供与性基が相互作用可能となるように配置したり、前記したRおよび/またはR中にヘテロ原子を導入することにより、一般に分子量が向上する傾向を利用することができる。
4.α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の特徴
本発明においては、従来知られていなかった新規な構造を有するα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が得られる。このような新規な構造は、α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の13C−NMRスペクトルや、必要に応じてH−NMRスペクトルを解析することによって知ることができる。
本発明において、13C−NMRの測定は、以下のようにして行う。
試料約400(mg)を外径10(mm)のNMR試料管に量り取り、o−ジクロロベンゼン(2.5ml)を加え、130℃に加熱する。試料が溶解した後、重ベンゼン(0.5ml)を加え、溶液が均一になるまで加熱する。Varian社製Inova500分光計を使用し、130℃でFIDの取り込み時間のみHを照射し、NOEのない13C−NMRスペクトルを測定する。パルス繰り返し時間は16.3秒、フリップ角は90°
、積算回数は1,800〜2,600回とする。
なお、通常のNOEのある13C−NMRの測定を別途行い、NOEなしで十分なシグナル強度が得られていることを確認することが望ましい。また、必要に応じて、α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の末端基分析のため、H−NMRスペクトルの測定も行うことが好ましい。
化学シフトの基準については以下のようにする。
すなわち、13C−NMRスペクトルにおいては、重ベンゼンのシグナルを128.0ppmとし、H−NMRスペクトルにおいては、o−ジクロロベンゼンの低周波数側のシグナルを6.90ppmとする。
以下、本発明で得られるα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体のうち、一例としてエチレン・アクリル酸エステル共重合体における部分構造とその13C−NMRスペクトルの帰属結果(部分構造中の炭素とそのケミカルシフト)を示す。
Figure 0005292059
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本発明で得られるα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の特徴のひとつとして、主鎖のメチル分岐数が主鎖炭素1000個あたり2個未満であり、かつ、炭素数2以上の炭化水素基の分岐を持たず、かつ、末端以外の主鎖中に(b)成分が共重合されていることが挙げられる。
ここで、主鎖のメチル分岐とは、上述の部分構造(II)における炭素番号13番で示される構造である。
本発明においては、主鎖の分岐構造(ただし(b)成分にもとづく分岐は除く)は、かかるメチル分岐のみであり、炭素数2以上の炭化水素基の分岐を持たない。また、メチル分岐は存在するものの、その数は主鎖炭素1000個あたり2個未満ときわめて少ない。このように、本発明のα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、炭素数2以上の比較的長い分岐がなく、かつ、メチル分岐の数がきわめて少ないため、結晶性が高く、機械的ならびに熱的物性が優れている。本発明のα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体においては、主鎖のメチル分岐数が主鎖炭素1000個あたり2個未満であるが、好ましくは主鎖炭素1000個あたり1.5個未満、より好ましくは主鎖炭素1000個あたり1.3個未満、さらに好ましくは主鎖炭素1000個あたり1.2個未満、最も好ましくは主鎖炭素1000個あたり1.0個未満である。
上述のように、本発明のα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体においては、末端以外の主鎖中に(b)成分が共重合されている。末端以外の主鎖中に(b)成分が共重合されているとは、例えば、α−オレフィンがエチレンで、(b)成分がアクリル酸t−ブチルやアクリル酸n−ブチルの場合、上述の部分構造(III)または部分構造(VI)によって示される構造を指す。前記したように、前述も非特許文献8においては、いわゆるSHOP系のニッケル錯体を用いて、エチレンとメタクリル酸メチルの共重合が記載されているが、ここで得られた共重合体には、末端以外の主鎖中に共重合されたメタクリル酸メチルは存在せず、メタクリル酸メチルは主鎖末端のみに存在する点で、本発明と大きく異なる。(b)成分が主鎖末端にしか存在しない場合には、共重合体中における(b)成分の含量は、必然的にきわめて低い値になる。したがって、このような場合においては、極性基にもとづく(b)成分の効果、たとえば、塗装性、印刷性、帯電防止性、無機フィラー分散性、他樹脂との接着性、他樹脂との相溶化能などが、不十分となる。これに対して、本発明においては、主鎖末端のみならず、末端以外の主鎖中に(b)成分が共重合されることから、共重合体中における(b)成分の含量を大きくすることができ、物性上有利である。
本発明で得られるα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の別の特徴のひとつとして、主鎖末端がエチル基、ビニル基、および(b)成分として共重合に用いた(メタ)アクリル酸エステル由来の下記一般式(D)で表される基からなり、かつ、一般式(D)における炭素−炭素二重結合が、Z体とE体の2種の幾何異性体構造からなることが挙げられる。
−CH=C(R)CO(R) …(D)
(ここで、Rは水素または炭素数1〜10の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。Rは炭素数1〜30の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。さらに、R内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。)
以下、本特徴を、α−オレフィンがエチレンで、(b)成分がアクリル酸t−ブチルの場合を例にとって説明する。すなわち、本発明で得られるエチレン・アクリル酸t−ブチル共重合体の主鎖末端は、エチル基、ビニル基、および、アクリル酸t−ブチル由来の−CH=CHCOtBu(tBuは、t−ブチル基を表す)からなる。これらのうち、エチル末端は、部分構造(I)における炭素番号1および2の構造で示される。また、ビニル末端は、部分構造(I)における炭素番号7および8の構造で示される。また、アクリル酸t−ブチル由来の−CH=CHCOtBu末端は、部分構造(IV)または部分構造(V)によって示される構造を指し、部分構造(IV)および(V)の両者、すなわち、E体とZ体の2種の幾何異性体構造が存在する。なお、部分構造(I)において、エチル末端とビニル末端を連結する主鎖部分は、−[CHCH−で示されているが、これは、ポリエチレン主鎖構造を代表的に示したものであり、該連結部分において、部分構造(II)、(III)、(VI)のような構造が含まれていてもよい。
前記した非特許文献5においては、パラジウム錯体によって得られたエチレン・アクリル酸メチル共重合体の構造が示されているが、該共重合体の主鎖末端は、エチル基、ビニル基に加え、アクリル酸メチル由来の−CH=CHCOCH基およびCHCH(COCH)CH−基であり、−CH=CHCOCH基はZ体のみでE体はなく、また本発明では存在しないCHCH(COCH)CH−基からなる末端が存在し、本発明で得られる共重合体とは明らかに構造が異なる。また、このように末端の構造が異なるという事実は、本発明の重合触媒と非特許文献5で示された重合触媒において、両者は異なる重合機構を有しているということを意味する。
本発明の共重合体は、共重合体の極性基にもとづく効果により、良好な塗装性、印刷性、帯電防止性、無機フィラー分散性、他樹脂との接着性、他樹脂との相溶化能などが発現する。こうした性質を利用して、本発明の共重合体は、さまざまな用途に使用することができる。例えば、フィルム、シート、接着性樹脂、バインダー、相溶化剤などとして使用可能である。
以下に本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた評価方法及び使用触媒は以下の通りである。
なお、以下の合成例で、特に断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
1.評価方法
(1)Tc、ΔHc、Tm、ΔHm:以下のDSC測定により求めた。
PerkinElmer社製PYRIS Diamond DSC示差走査熱量測定装置を使用して、試料(約5mg)を210℃で5分間融解後、10℃/minの速度で−20℃まで降温し、−20℃で5分保持した後に、10℃/minの速度で210℃まで昇温することにより融解曲線を得た。降温段階における主発熱ピークのピークトップ温度を結晶化温度Tcとし、該ピークのピーク面積をΔHcとした。また、融解曲線を得るために行った最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点Tmとし、該ピークのピーク面積をΔHmとした。
(2)重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、分子量分布Mw/Mn:以下のGPC測定により求めた。
はじめに、試料約20(mg)をポリマーラボラトリー社製高温GPC用前処理装置PL−SP 260VS用のバイアル瓶に採取し、安定剤としてBHTを含有するo−ジクロロベンゼン(BHT濃度=0.5g/L)を加え、ポリマー濃度が0.1(重量%)になるように調整した。ポリマーを上記高温GPC用前処理装置PL−SP 260VS中で135℃に加熱して溶解させ、グラスフィルターにて濾過して試料を調製した。なお、本発明におけるGPC測定において、グラスフィルターに捕捉されたポリマーはなかった。次に、カラムとして、東ソー社製TSKgel GMH−HT(30cm×4本)およびRI検出器を装着したウォーターズ社製GPCV2000を使用してGPC測定を行った。測定条件としては、試料溶液注入量:524.5(μl)、カラム温度:135℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン、流量:1.0(ml/min)を採用した。分子量の算出は以下のように行った。すなわち、標準試料として市販の単分散のポリスチレンを使用し、該ポリスチレン標準試料およびエチレン系重合体の粘度式から、保持時間と分子量に関する校正曲線を作成し、該校正曲線に基づいて分子量の算出を行った。なお、粘度式としては、[η]=K・Mαを使用し、ポリスチレンに対しては、K=1.38E−4、α=0.70を使用し、エチレン系重合体に対しては、K=4.77E−4、α=0.70を使用した。
2.金属錯体
下記合成例で得られたニッケル錯体1〜4およびリガンドB−7、B−8、B−10を用いた。
(合成例1)ニッケル錯体1の合成
1.237g(4.0mmol)のアシルトリフェニルフォスフォラニルメタレンと1.10g(4.0mmol)のビス−1,5−シクロオクタジエンニッケル(0)(以下、Ni(COD)と称する)の混合物に、室温で40mlのトルエンを加え、黄色懸濁液を得た。この懸濁液に、注射器を用いて0.86g(8.0mmol)の2,6−ルチジンを加えた。得られた混合物を室温で攪拌した後、攪拌しながら60℃まで昇温し、60℃で3.5時間反応させ、暗褐色の溶液を得た。得られた溶液をカニューラにて濾過し、得られた暗黄色の濾液を減圧下に濃縮し、元の容積の1/4にした。この濃縮溶液に、液が濁りを生じるまでn−ヘキサン(約3ml)を滴下した。次いで、この濁りが生じた液を65℃まで昇温し、透明な溶液を得た。得られた透明な溶液を室温まで2〜3時間かけてゆっくり冷却し、室温付近で黄色微結晶を析出させた。得られた結晶を、母液中で一晩保持した。その後、上澄みをカニューラで濾別し、残った固体を3mlのn−ヘキサンで2回洗浄し、最後に固体を6×10−3mbarで減圧下1時間乾燥し、1.17gの下記構造式で表される黄色結晶を得た(収率:60.4%)。
H−NMR(C,δppm):7.67(m,5H),7.37(d,2H),7.2−7.0(m,4H),6.77(m,4H),6.56(d,1H),6.50(t,1H),6.15(d,1H),4.20(s,1H),3.49(s,6H),2.06(s,3H);31P−NMR(C,δppm):21.78 (s).
Figure 0005292059
(合成例2)ニッケル錯体2の合成
1.522g(4.0mmol)の(ベンゾイルメタレン)トリフェニルフォスフォランと1.10g(4.0mmol)のNi(COD)の混合物に、室温で100mlの
トルエンを加え、懸濁液を得た。この懸濁液に、注射器を用いて9.5g(120mmol)のピリジンを加えた。得られた混合物を室温で攪拌した後、攪拌しながら45℃までゆっくり昇温し、透明な黄色溶液を得た。加熱のためのオイルバスをはずし、得られた溶液を室温で18時間攪拌した。得られた反応混合物をカニューラで濾過し、残った固体を5mlのトルエンで2回洗浄した。得られた固体を減圧下に乾燥し、粘着性のある黄色粉末を得た。この粉末を20 mlのトルエンに懸濁させ、40℃まで加温し、さらに20mlのn−ヘキサンを添加した。さらに55℃まで加温し、結晶を析出させた。その後室温に戻して18時間引き続き結晶を析出させた。上澄みをカニューラで除去し、残った固体を10mlのn−ヘキサンで2回洗浄した。得られた固体を6×10−3mbarで減圧下5時間乾燥し、1.51gの下記構造式で表される黄褐色結晶を得た(収率:72.8%)。
H−NMR(C,δppm):8.60(d,2H),8.13(d,2H),7.75(m,4H),7.52(d,2H),7.21(m,9H),7.06(d,3H),6.93(m,1H),6.33(m,2H),5.11(s,1H);31P−NMR(C,δppm):24.08(s).
Figure 0005292059
(合成例3)ニッケル錯体3の合成
13.9ml(120mmol)の2,6−ルチジン中に、1.522g(4.0mmol)の(ベンゾイルメタレン)トリフェニルフォスフォランと1.10g(4.0mmol)のNi(COD)を懸濁させ、さらに室温で100mlのトルエンを加えた。この懸濁液を室温で攪拌した後、攪拌しながら45℃までゆっくり昇温し、すべての固体を溶解させ、透明な黄色溶液を得た。ここで得られた溶液を室温で18時間攪拌した。得られた暗色の懸濁液に乾燥したセライトを加え、攪拌した後10分間静置し、セライトを沈降させた。次いで、カニューラを用いてセライトと濾液を濾別した。濾別したセライトについては、3mlのトルエンを用いて2回抽出を行い、得られた抽出液と先に得られた濾液をあわせ、それを減圧乾燥し、粘着性のある黄色粉末を得た。得られた粉末を50mlのトルエンに溶解させ、少量の不溶成分をカニューラで濾別した。透明な濾液を減圧下に容量が25mlになるまで濃縮したところ、黄色沈殿が生成し始めた。沈殿が生成したフラスコを遮光し室温で24時間放置した。上澄みをカニューラで除去し、残った固体を恒量になるまで減圧乾燥し、0.88gの下記構造式で表される目標生成物を得た(収率:40.3%)。
H−NMR(C,δppm):7.82(d,2H),7.69(m,4H),7.39(d,2H),7.25−6.95(m,9H),6,79(m,3H),6.55(m,1H),6.21(d,2H),5.03(s,1H),3.48(s,6H);31P−NMR(C,δppm):19.63ppm(約2%のダイマー{[PhP−CH=C(Ph)−O−]NiPh)}が存在し、このダイマーにもとづく31P−NMRのシグナルが、17.35ppmに観測される)
Figure 0005292059
(合成例4)ニッケル錯体4の合成
0.965g(2.0mmol)のPhP=C(SONa)C(=O)Phと0.550g(2.0mmol)のビス−1,5−シクロオクタジエンニッケル(0)(以下、Ni(COD)と称する)の固体混合物に、−60°
Cで40mlのテトラヒドロフラン(以下THFと称する)を加え、黄色懸濁液を得た。得られた懸濁液を攪拌しながら、注射器を用いて2.45mlのピリジン(乾燥させて水分を除去したもの)を加えた。懸濁液は暗黄色となり、約10分間で茶色になった。室温で引き続き20時間攪拌した後、約1.5gの乾燥セライトを加えた。攪拌後数分間静置し、カニューラ濾過にて濾液を得た。残渣に対して5mlの乾燥THFで抽出操作を行い、カニューラ濾過にて濾液を得た。この操作をもう一度繰り返した。得られた濾液を集め、減圧下に濃縮し黄褐色の固体を得た。得られた固体を乾燥n−ヘキサン(5ml)で洗浄し、カニューラにてn−ヘキサンを除去した。この操作をもう一度繰り返した。最後に固体を減圧下、恒量になるまで乾燥し、0.95gの下記構造式で表される黄褐色固体を得た(収率:76.6%)。
H−NMR(CDCl,δppm):8.59(broad s,2H),7.80−6.80(broad m,21H),6.59(broad s,2H);31P−NMR(CDCl,δppm):37.2(broad s).
Figure 0005292059
(合成例5)リガンドB−7の合成
(1)中間体B−7_5の合成
Figure 0005292059
上記のスキームにしたがって、中間体B−7_5を合成した。ここで、MOMはメトキシメチル基を表す(以下同様)。
2,4−ジ−t−ブチルフェノール(10g,48.5mmol)をTHF(100ml)に溶解させた。この溶液を、別途調整した水素化ナトリウム(2.91g,1.5eq,ミネラルオイル中に60%濃度で分散したもの)のTFH(200ml)溶液に0℃で攪拌しながら滴下した。室温まで徐々に昇温し、室温で2時間反応させた。次いで、クロロメトキシメタン(7.76g)を0℃で滴下し、室温に昇温した後、室温で3時間反応させた。曇った白色溶液に対し、水および酢酸エチルを用いて抽出操作を行った。有機層をKOH水溶液(1M,150ml)、次いで水(150ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。無機塩を濾別した後、減圧下に濃縮し、淡黄色のオイルを得た。得られたオイルを、石油エーテル/酢酸エチル(40/1)を溶媒としてカラムで精製し、目的とする中間体B−7_5を10.5g得た。
(2)中間体B−7_6の合成
Figure 0005292059
上記のスキームにしたがって、中間体B−7_6を合成した。
0.75g(3.0mmol)の中間体B−7_5をTHF(30ml)に溶解し、ここに、n−ブチルリチウム(2.5M,1.2ml,3.0mmol)をアルゴン雰囲気下、0℃で滴下した。室温まで徐々に昇温し、室温で3時間反応を行った。次いで、この反応混合物に、ビス(2−メトキシフェニル)クロロフォスフィン(700mg,2.50mmol)を15mlのTHFに溶解させた溶液を0℃で滴下した。徐々に室温まで昇温し、室温で終夜攪拌を行った。攪拌終了後、脱気した飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)を加え、有機層を分離した後ジエチルエーテルで抽出し、食塩水(10ml)で洗浄した後、硫酸ナトリウム上で乾燥し、中間体B−7_6を得た。
同様の操作を繰り返し、最終的に中間体B−7_6を8g得た。
(3)中間体B−7_HClの合成
Figure 0005292059
上記のスキームにしたがって、中間体B−7_HClを合成した。
合成例5(2)で得られた中間体B−7_6(8g)をジエチルエーテル(500ml)に溶解させ、−78℃で塩化水素ガスを25分間バブリングさせた。その後、室温まで昇温し、室温で終夜攪拌を行った。攪拌終了後、溶媒を留去し、B−7_HClを得た。
(4)リガンドB−7の合成
Figure 0005292059
上記のスキームにしたがって、リガンドB−7を合成した。
合成例5(3)で得られた中間体B−7_HClのうち、7.3gをジエチルエーテル(500ml)に溶解し、−78℃でアンモニアガスを30分間バブリングさせた。次いで室温まで徐々に昇温し、室温で終夜攪拌を行った。攪拌終了後、溶媒を留去し、粗B−7を得た。ここで得られた粗B−7をジエチルエーテル(10ml)に分散させた後、100mlのn−ヘキサンを加えて懸濁洗浄を行った。固体成分を除去した後、溶媒を減圧下に除去し、目的とするリガンドB−7を得た。収量:5.2g。
H−NMR(MeOD,δppm):7.38−6.69(m,10H),3.70(s,6H),1.43(s,9H),1.10(s,9H);31P−NMR(MeOD,δppm):48.2(s).
(合成例6)リガンドB−8の合成
(1)中間体B−8_6の合成
Figure 0005292059
上記のスキームにしたがって、中間体B−8_6を合成した。
乾燥THF(35ml)に懸濁させた金属マグネシウム(432mg,18mmol)に、1,2−ジブロモエタンを3滴加え、5分間攪拌した。次に、1−ブロモ−2−メトキシメチルベンゼン(3.0g,15mmol)を加え、室温で終夜攪拌した。固体成分を濾別し、得られた溶液を、別途三塩化リンを25mlの乾燥THFに溶解させた溶液に、−78℃で15分かけて滴下した。得られた混合物を室温までゆっくり昇温し、室温で終夜攪拌し、B−8_3のTHF溶液を得た。
次に、合成例5(1)と同様の操作で得られたB−7_5(2.0g,8.0mmol)を30mlの乾燥THFに溶解させ、ここに、n−ブチルリチウム(2.5 M,3.2ml,8.0mmol)をアルゴン雰囲気下、−50℃で15分間かけて滴下した。同温度で30分間攪拌した後、室温まで徐々に昇温し、室温で2時間反応を行った。ここに、上記で得られたB−8_3のTHF溶液を0℃で15分間かけて滴下し、滴下終了後、室温まで徐々に昇温し、室温で終夜攪拌を行った。攪拌終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出操作を行った後、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。無機塩を濾別した後、減圧下に濃縮し、石油エーテル/酢酸エチル(20/1)を溶媒として、得られた残渣をシリカゲルカラムで精製し、目的とするB−8_6を得た(収量:1.1g)。
同様の操作を繰り返し、最終的にB−8_6を7.2g得た。
(2)中間体B−8_HClの合成
Figure 0005292059
上記のスキームにしたがって、中間体B−8_HClを合成した。
合成例6(1)で得られたB−8_6(7.2g)を200mlのジエチルエーテルに溶解させ、−78℃で塩化水素ガスを10分間バブリングさせた。その後、反応混合物を室温までゆっくり昇温し、室温で3時間攪拌した。攪拌終了後、溶媒を減圧下に留去し、粗B−8_HClを得た。
(3)リガンドB−8の合成
Figure 0005292059
上記のスキームにしたがって、リガンドB−8を合成した。
合成例6(2)で得られた粗B−8_HClを200mlのジエチルエーテルに溶解させ、−78℃でアンモニアガスを30分間バブリングさせた。その後、反応混合物を室温までゆっくり昇温し、室温で終夜攪拌した。攪拌終了後、溶媒を減圧下に除去し、粗B−8を得た。ここで得られた粗B−8をジエチルエーテル(10ml)に分散させた後、100 mlのn−ヘキサンを加えて懸濁洗浄を行った。固体成分を除去した後、溶媒を減圧下に除去し、目的とするリガンドB−8を得た。収量:5.5g。
H−NMR(MeOD,δppm):7.50−6.65(m,10H),4.53(d,2H),4.51(d,2H),3.20(s,6H),1.41(s,9H),1.08(s,9H);31P−NMR(MeOD,δppm):47.6(s).
(合成例7)リガンドB−10の合成
(1)中間体B−10_3の合成
Figure 0005292059
上記のスキームにしたがって、中間体B−10_3を合成した。
室温、アルゴン雰囲気下、1−ブロモ−2−ジメチルアミノメチルベンゼン(25g,117mmol)と金属マグネシウム(3.4g,140mmol)を、乾燥THF(150ml)に加え、1,2−ジブロモエタンを数滴加えた。その後引き続き1.5時間攪拌した。金属マグネシウムは大部分溶解し、固体残渣を濾過により分離し濾液を得た。別途、三塩化リン(8.0g,58.5mmol)を乾燥THF(100ml)に溶解させた溶液を準備し、先に得られた濾液を−78℃でゆっくり加え、得られた混合液を−30℃で2時間攪拌した。中間体B−10_3の白色スラリーが得られ、特に精製することなく次の反応に使用した。
(2)中間体B−10_6の合成
アルゴン雰囲気下、合成例5(1)と同様の操作で得られたB−7_5(14.6g,58.5mmol)を乾燥THF(150ml)に溶解させ、n−ブチルリチウム(26.9ml,2.5M,n−ヘキサン溶液)を−50℃で滴下した。混合物を同温度で0.5時間攪拌し、その後、室温まで徐々に昇温し、さらに室温で2時間攪拌した。得られた反応混合物を、合成例7(1)で得られたB−10_3のスラリーに、−78℃でゆっくり加えた。その後室温まで徐々に昇温し、室温で終夜攪拌した。攪拌終了後、水(100ml)を加えた後、酢酸エチル(200ml×3)で抽出操作を行った。有機層を集め硫酸ナトリウム上で乾燥し、無機塩を濾別した後、減圧下に濃縮し、残渣をカラムにて精製し、B−10_6(8g)を得た。同様の操作を行い、最終的にB−10_6を11.5g得た。
(3)中間体B−10_7の合成
合成例7(2)で得られた中間体B−10_6(11.5g)を酢酸エチル(50ml)に溶解させ、飽和塩化水素酢酸エチル溶液(150ml)を−20℃で加えた。得られた反応混合物を−20℃で1時間攪拌し、その後徐々に室温まで昇温し、室温でさらに1.5時間攪拌した。その後、減圧下に溶媒および揮発分を除去し、中間体B−10_7を灰色がかった白色固体として得た。収量:11.6g。
(4)リガンドB−10の合成
合成例7(3)で得られた中間体B−10_7(11.6g)を水(100ml)に溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(150ml)を加え、室温で1.5時間攪拌した。その後、酢酸エチル(200ml×3)で抽出操作を行い、無機塩を濾別した後、減圧下に溶媒を留去して濃縮し、残渣をメタノール(10ml×5)で洗浄し、目的とするリガンドB−10を6.8g得た。
H−NMR(MeOD,δppm):7.40−6.80(m,10H),3.81(m,2H),3.31(m,2H),2.15(d,12H),1.40(s,9H),1.11(s,9H);31P−NMR(MeOD,δppm):45.30(s).
(実施例1〜5)
(1)エチレンとアクリル酸エステルの共重合
合成例2で得られた錯体をトルエンに溶解させ、濃度を16μmol/mlに調整した。次に、破裂板式触媒フィーダーを備えた内容積2リッターの誘導攪拌式オートクレーブ内を精製窒素で置換し、該触媒フィーダー内に上記記載の錯体トルエン溶液を5ml仕込んだ。次いで、所定量の精製トルエンおよびコモノマーを精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。攪拌しながら、オートクレーブを重合温度まで昇温した後、精製エチレンで破裂板を割って触媒をフィードし、ただちにオートクレーブ内圧を所定圧力に調整して重合を開始した。引き続き攪拌しながらオートクレーブ内圧を所定圧力に保持しながら1時間重合を行った。重合終了後、オートクレーブを室温まで冷却し、エタノール(25ml)をオートクレーブ内に導入した。得られたポリマーがトルエン不溶の固体である場合には、濾過によりポリマーと溶媒を分離した。濾過では分離が不十分な場合には、以下のようにしてポリマーを回収した。エタノール(1,000ml)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過し、得られた固形ポリマーをエタノール(200ml)に分散させ、ここに1N−塩酸(100ml)を加えて20分攪拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノール(200ml)に分散させて5分攪拌し、再び濾過を行った。この操作をさらに2回行い、最終的にポリマーを回収した。上記いずれかの手法で溶媒から分離したポリマーは、60℃で3時間減圧乾燥した。
仕込んだコモノマーの種類と量については、表1に記載した。なお、コモノマーは、Aldrich社製のAldrich Inhibitor Removerを充填したカラムを用いて、精製窒素雰囲気下、室温で精製した後に使用した。また、重合に用いたトルエン量、重合温度、重合中のオートクレーブ内圧についても、表1に記載した。表1において、tBAはアクリル酸tブチルを、nBAはアクリル酸nブチルを示す。また、活性Vpは、共重合に用いた錯体1molあたり、重合時間1時間あたりの共重合体収量(kg)を表す。
Figure 0005292059
(2)エチレン・アクリル酸エステル共重合体の分析
実施例1〜4で得られたエチレン・アクリル酸tブチル共重合体の13C−NMRスペクトル分析結果を表2に示す。なお、表2において、各部分構造の量は、主鎖炭素1000個あたりの数である。また、Et末端はエチル末端、Vy末端はビニル末端、Me分岐はメチル分岐、主鎖tBAは、末端以外の主鎖に共重合されているアクリル酸tブチルを、末端tBAは主鎖末端に存在するアクリル酸tブチル由来の末端基を示す。E体、Z体は、それぞれ前記した部分構造(IV)および(V)に対応する。
Figure 0005292059
また、実施例5で得られたエチレン・アクリル酸nブチル共重合体の13C−NMRスペクトル分析結果を表3に示す。なお、表3において、各部分構造の量は主鎖炭素1000個あたりの数である。また、Et末端はエチル末端、Vy末端はビニル末端、Me分岐はメチル分岐、主鎖nBAは、末端以外の主鎖に共重合されているアクリル酸nブチルを、末端nBAは主鎖末端に存在するアクリル酸nブチル由来の末端基を示す。E体、Z体は、それぞれ前記した部分構造(V)および(IV)に対応する。
Figure 0005292059
実施例1〜5で得られたポリマーのDSCによる分析結果、ならびに、13C−NMRスペクトルの解析から得られた共重合体中のコモノマー含量(アクリル酸エステル含量)を表4に示す。なお、実施例1〜5で用いられたコモノマーは、表1に前記した通りである。
Figure 0005292059
実施例1〜5で得られたポリマーのGPCによる分析結果を表5に示す。
Figure 0005292059
(比較例1)
実施例1において、重合系にトリイソブチルアルミニウム(TIBA)を、TIBA/Ni=3(m.r.)で共存させた以外は、実施例1と同様にしてエチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。重合活性はほとんどなく、生成ポリマーは痕跡量であった。
(比較例2)
実施例1において、重合系にメチルアルミノキサン(MAO)を、Al/Ni=100(m.r.)となるように共存させた以外は、実施例1と同様にしてエチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。重合活性はまったく発現せず、ポリマーは得られなかった。
(実施例6)
実施例1を繰り返して、エチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。得られたポリマーを改良型ソックスレー抽出器を用いて、沸騰アセトンにて抽出を行った。沸騰アセトン抽出成分は、0.5重量%であった。なお、該沸騰アセトン抽出分をIRで分析したところ、ポリエチレン由来のシグナルが観測された。
(実施例7〜10)
錯体として、合成例1または3で得られた錯体1または錯体3を用いた以外は、実施例1と同様にして、エチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。なお、採用した重合条件については、表6に示す。表6において、tBAはアクリル酸tブチルを、nBAはアクリル酸nブチルを、MAはアクリル酸メチルを示す。また、活性Vpは、共重合に用いた錯体1molあたり、重合時間1時間あたりの共重合体収量(kg)を表す。
実施例7〜10において、得られた共重合体をIRにて測定したところ、コモノマーとして用いたアクリル酸エステルのカルボニル基由来のシグナルが明瞭に観測された。実施例8〜10について、DSC測定を行った結果を表7に示す。なお、表7において、n/aは未測定であることを示す。また、実施例8で得られた共重合体について、GPC測定を行ったところ、Mw=1600、Mn=1100,Mw/Mn=1.5であった。
Figure 0005292059
Figure 0005292059
(比較例3)
錯体として、合成例2で得られた錯体2を使用し、トルエン仕込み量=490ml、内圧=3(MPa)、重合温度=80(℃)の条件で、エチレンと酢酸ビニルの共重合を試みた。酢酸ビニルの仕込み量は4.5mlであった。その他の条件については、実施例1と同様にして重合を行った。重合活性=7(kg/mol/h)で重合体が得られたが、得られた重合体をIRにて分析したところ、コモノマーとして用いた酢酸ビニル由来のカルボニル基にもとづくシグナルは痕跡程度にしか観測されなかった。
(比較例4)
錯体として、合成例2で得られた錯体2を使用し、トルエン仕込み量=490ml、内圧=3(MPa)、重合温度=80(℃)の条件で、エチレンとビニルエチルエーテルの共重合を試みた。ビニルエチルエーテルの仕込み量は5mlであった。その他の条件については、実施例1と同様にして重合を行った。重合活性=273(kg/mol/h)で重合体が得られたが、得られた重合体をIRにて分析したところ、コモノマーとして用いたビニルエチルエーテル由来のエーテル基にもとづくシグナルは痕跡程度にしか観測されなかった。
(実施例11〜14)
錯体として、合成例4で得られた錯体4を用いた以外は、実施例1と同様にして、エチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。なお、採用した重合条件については、表8に示す。表8において、tBAはアクリル酸tブチルを、nBAはアクリル酸nブチル示す。また、活性Vpは、共重合に用いた錯体1molあたり、重合時間1時間あたりの共重合体収量(kg)を表す。
実施例11〜14において、得られた共重合体をIRにて測定したところ、コモノマーとして用いたアクリル酸エステルのカルボニル基由来のシグナルが720〜730cm−1および1720〜1730cm−1付近に明瞭に観測された。また、実施例11〜14についてDSC測定を行った結果を表9に示す。表9において、n/aは未測定であることを示す。表8においては、主要ピークのTmおよびTcを示したが、実施例11では、他に124.7℃、120.6℃にTmピークが観測された。同様に、実施例12では、他に110.8℃のTmピークおよび106.6℃のTcピーク、実施例15では、他に110.1℃のTmピークが観測された。
Figure 0005292059
Figure 0005292059
実施例11で得られた共重合体を13C−NMRで分析したところ、コモノマーであるtBAの含量は0.8mol%であった。内訳は、主鎖中に存在しているものが0.46mol%であり、末端に存在しているものが0.36mol%であった。なお、tBA由来の末端構造は、前記した部分構造(IV)で示されるものであった。該共重合体には、主鎖1000カーボン中0.6個のメチル分岐があったが、他の炭化水素分岐はなかった。
実施例11および12で得られた共重合体についてGPC測定を行ったところ、実施例11についてはMw=3370、Mn=2100、Mw/Mn=1.6、実施例12についてはMw=51500、Mn=2500、Mw/Mn=20.6であった。
(実施例15〜29)
B−7を用いたエチレンとアクリル酸エステルの共重合
(1)B−7錯体の形成
以下の操作は、すべて高純度アルゴン雰囲気下で行った。
初めに4mlのスクリューキャップ付きバイアル瓶に、合成例5で得られたB−7(10.7mg)を秤り取った。次に、Ni(COD)(20mg)を8mlのバイアル瓶に秤り取り、トルエン(7.22ml)に溶解させ、10mMのNi(COD)トルエン溶液を調製した。得られた溶液は、黄色透明であった。ここで得られたNi(COD)トルエン溶液(2.36ml)をB−7を有するバイアル瓶に加え、スクリューキャップで密閉した後、30秒間振って攪拌し、溶液を得た。その後、溶液の色が次第に暗黄色から赤色に変化し、沈殿は見られなかった。室温で3時間静置した後、得られた溶液0.5mlを2mlのバイアル瓶に分取し、トルエン(1.5ml)で希釈し、(B−7)(COD)Ni錯体の2.5mM溶液を得た。
(2)エチレンとアクリル酸エステルの共重合
内容積約10mlの攪拌翼ならびに内筒付きオートクレーブに、乾燥トルエン(4.2 ml)および所定量のアクリル酸エステルを仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを所定温度に昇温した後、エチレンをオートクレーブに供給し、温度と圧力が所定の条件になるように調整した。調整終了後、上記(1)で得られた錯体溶液を所定量供給し、共重合を開始させた。所定時間重合させた後、一酸化炭素を吹き込んだ。未反応ガスを除去した後、内筒を取り出し、減圧下に溶媒および未反応コモノマーを除去し、恒量になるまで乾燥を行った。
共重合条件については、表10に記載した。なお、コモノマーは、Aldrich社製のAldrich Inhibitor Removerを充填したカラムを用いて、高純度アルゴン雰囲気下、室温で精製した後に使用した。表10において、tBAはアクリル酸tブチルを示す。また、活性Vpは、共重合に用いた錯体1molあたり、重合時間1時間あたりの共重合体収量(kg)を表す。得られた共重合体のDSC測定結果およびGPC測定結果については、それぞれ表11、表12に示した。
Figure 0005292059
Figure 0005292059
Figure 0005292059
(比較例5〜10)
B−7を用いたエチレンの重合
実施例15〜29で得られた(B−7)(COD)Ni錯体溶液を用い、コモノマーを用いなかった以外は、実施例15〜29と同様にして、エチレンの重合を行った。結果は表17〜19に示した。
(実施例30〜35)
B−8を用いたエチレンとアクリル酸エステルの共重合
(1)B−8錯体の形成
合成例6で得られたB−8(11.4 mg)を用いた以外は、実施例15〜29と同様にして、(B−8)(COD)Ni錯体の2.5mM溶液を得た。
(2)エチレンとアクリル酸エステルの共重合
上記(B−8)(COD)Ni錯体溶液を用いた以外は、実施例15〜29と同様にして、エチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。重合条件および活性については表13に、得られた共重合体のDSC測定結果およびGPC測定結果については、それぞれ表14〜15に示した。
Figure 0005292059
Figure 0005292059
Figure 0005292059
(比較例11〜12)
B−8を用いたエチレンの重合
実施例30〜35で得られた(B−8)(COD)Ni錯体溶液を用い、コモノマーを用いなかった以外は、実施例15〜29と同様にして、エチレンの重合を行った。結果は表17〜19に示した。
(実施例36〜47)
B−10を用いたエチレンとアクリル酸エステルの共重合
(1)B−10錯体の形成
合成例7で得られたB−10(13.1mg)を用いた以外は、実施例15〜29と同様にして、(B−10)(COD)Ni錯体の2.5mM溶液を得た。
(2)エチレンとアクリル酸エステルの共重合
上記(B−10)(COD)Ni錯体溶液を用いた以外は、実施例15〜29と同様にして、エチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。重合条件および活性については表16に示した。
(比較例13〜16)
B−10を用いたエチレンの重合
実施例36〜47で得られた(B−10)(COD)Ni錯体溶液を用い、コモノマーを用いなかった以外は、実施例15〜29と同様にして、エチレンの重合を行った。結果は表17〜19に示した。
Figure 0005292059
Figure 0005292059
Figure 0005292059
Figure 0005292059
本発明のα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、機械的・熱的物性に優れ、有用な成形体として応用可能である。また、該共重合体の製造工程において、非晶質重合体の副生量がきわめて少ないため、こうした副生物を目的とする共重合体から除去する工程が不要であり、さらに、希少かつ高価なパラジウムの代わりに、ニッケルを金属中心とした触媒を使用することができ、工業的にきわめて有用である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(A)および/または(B)で表される金属錯体の存在下、(a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステルを有機アルミニウム化合物の非存在下で共重合することを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法。
    Figure 0005292059
    (式(A)、(B)において、Mは、ニッケル(II)またはパラジウム(II)を表す。Xは、酸素または硫黄を表す。Eは、リン、砒素またはアンチモンを表す。Rは、それぞれ独立に、水素または炭素数1ないし20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。Rは、それぞれ独立に、炭素数1ないし20のヘテロ原子を含有している炭化水素基を表す。RおよびRは、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはフォスフォニウムを表し、xは、0から3までの整数、yは、0から2までの整数を表す。なお、RとRが互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。Rは、水素または炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。Lは、Mに弱く配位したリガンドを表す。また、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。)
  2. 下記一般式(C)で表される金属錯体の存在下、(a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステルを有機アルミニウム化合物の非存在下で共重合することを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法。
    Figure 0005292059
    (式(C)において、Mは、ニッケル(II)またはパラジウム(II)を表す。Xは、酸素または硫黄を表す。Eは、リン、砒素またはアンチモンを表す。Lは、Mに弱く配位したリガンドを表す。Rは、それぞれ独立に、水素または炭素数1ないし20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表す。また、RとLが互いに結合して環を形成してもよい。Rは、それぞれ独立に、水素または炭素数1ないし20のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基を表し、各Rに含有されるヘテロ原子またはヘテロ原子含有基は0又は1個である。R10、R11、R12、R13は、それぞれ独立に、水素、ハロゲン、炭素数1ないし30のヘテロ原子を含有していてもよい炭化水素基、OR、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SR、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、CN、NHR、N(R、Si(OR3−x(R、OSi(OR3−x(R、NO、SOM’、POM’、P(O)(ORM’またはエポキシ含有基を表す。Rは、水素または炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。Rは、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウムまたはフォスフォニウムを表し、xは、0から3までの整数、yは、0から2までの整数を表す。なお、R10〜R13から適宜選択された複数の基が互いに連結し、脂環式環、芳香族環、または酸素、窒素、硫黄から選ばれるヘテロ原子を含有する複素環を形成してもよい。この時、環員数は5〜8であり、該環上に置換基を有していても、有していなくてもよい。)
  3. (a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステルの共重合体であって、主鎖末端がエチル基、ビニル基、および(b)成分として共重合に用いた(メタ)アクリル酸エステル由来の一般式(D)で表される基からなり、かつ、一般式(D)における炭素−炭素二重結合が、Z体とE体の2種の幾何異性体構造からなることを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体。
    −CH=C(R)CO(R) ・・・(D)
    (式(D)において、Rは水素またはメチル基であ。Rは炭素数1〜30の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。さらに、R内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。)
  4. α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、主鎖のメチル分岐数が主鎖炭素1000個あたり2個未満であり、かつ、炭素数2以上の炭化水素基の分岐を持たないことを特徴とする、請求項3に記載のα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体。
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