JP5292059B2 - α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法ならびにα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体 - Google Patents
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Description
S.Mecking et al.,J.Am.Chem.Soc.,1998,120,888. S.D.Ittel et al.,Chem.Rev.,2000,100,1169. P.Braunstein et al.,J.Organomet.Chem.,1989,367,117. S.E.Bauaoud et al.,Inorg.Chem., 1986,25,3765. E.Drent et al.,Chem.Commun.,2002,744. T.Kochi et al.,Dalton Trans.,2006,25. U.Klabunde et al.,J.Polym.Sci.:Part A:Polym.Chem.,1987,25,1989. V.C.Gibson,Chem.Commun.,2001,1964.
−CH=C(R8)CO2(R9) ・・・(D)
(式(D)において、R8は水素またはメチル基である。R9は炭素数1〜30の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。さらに、R9内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。)
(a)α−オレフィン
本発明における成分(a)は、一般式CH2=CHR7で表されるα−オレフィンである。ここで、R7は、水素または炭素数1〜20の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。なかでも、好ましい(a)成分として、R7は水素または炭素数1〜10の炭化水素基であるα−オレフィンが挙げられる。
本発明における成分(b)は、一般式CH2=C(R8)CO2(R9)で表される(メタ)アクリル酸エステルである。ここで、R8は、水素または炭素数1〜10の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。R9は、炭素数1〜30の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。さらに、R9内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。
好ましい(b)成分として、R8は水素または炭素数1〜5の炭化水素基である(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。より好ましい(b)成分としては、R8がメチル基であるメタクリル酸エステルまたはR8が水素であるアクリル酸エステルが挙げられる。
本発明に用いられる金属錯体は、下記一般式(A)および/または(B)で表される遷移金属錯体である。
R1は、水素または炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。R2は、炭素数1ないし20の炭化水素基を表す。
このような目的のために用いられるスカベンジャーとしては、Ni(COD)2(COD:シクロオクタジエン)、B(C6F5)3、アルミノキサン類、ロジウム錯体などが知られている。
なお、下記例示において、Meはメチル基を、Phはフェニル基を、Cyはシクロヘキシル基を、tBuはターシャリーブチル基を示す。なお、以下の例示では、Mとしてニッケルの場合を示したが、前記したパラジウム、白金、コバルト、銅、ロジウム等の金属も使用可能である。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、アロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メタハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母鉱物、アタパルジャイト、セピオライト、パイゴルスカイト、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイロフィライト、リョクデイ石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
人工合成物としては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイト、合成テニオライト等が挙げられる。
本発明における共重合反応は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素溶媒や液化α−オレフィン等の液体、また、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、ホルミアミド、アセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール等のような極性溶媒の存在下あるいは非存在下に行われる。また、ここで記載した液体化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。なお、高い重合活や高い分子量を得るうえでは、上述の炭化水素溶媒がより好ましい。
すなわち、共重合温度は、通常−20℃から290℃、好ましくは0℃から250℃、共重合圧力は、0.1MPaから100MPa、好ましくは、0.3MPaから90MPa、共重合時間は、0.1分から10時間、好ましくは、0.5分から7時間、さらに好ましくは1分から6時間の範囲から選ぶことができる。
本発明においては、従来知られていなかった新規な構造を有するα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が得られる。このような新規な構造は、α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の13C−NMRスペクトルや、必要に応じて1H−NMRスペクトルを解析することによって知ることができる。
試料約400(mg)を外径10(mm)のNMR試料管に量り取り、o−ジクロロベンゼン(2.5ml)を加え、130℃に加熱する。試料が溶解した後、重ベンゼン(0.5ml)を加え、溶液が均一になるまで加熱する。Varian社製Inova500分光計を使用し、130℃でFIDの取り込み時間のみ1Hを照射し、NOEのない13C−NMRスペクトルを測定する。パルス繰り返し時間は16.3秒、フリップ角は90°
、積算回数は1,800〜2,600回とする。
なお、通常のNOEのある13C−NMRの測定を別途行い、NOEなしで十分なシグナル強度が得られていることを確認することが望ましい。また、必要に応じて、α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の末端基分析のため、1H−NMRスペクトルの測定も行うことが好ましい。
すなわち、13C−NMRスペクトルにおいては、重ベンゼンのシグナルを128.0ppmとし、1H−NMRスペクトルにおいては、o−ジクロロベンゼンの低周波数側のシグナルを6.90ppmとする。
ここで、主鎖のメチル分岐とは、上述の部分構造(II)における炭素番号13番で示される構造である。
−CH=C(R8)CO2(R9) …(D)
(ここで、R8は水素または炭素数1〜10の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。R9は炭素数1〜30の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。さらに、R9内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。)
なお、以下の合成例で、特に断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
(1)Tc、ΔHc、Tm、ΔHm:以下のDSC測定により求めた。
PerkinElmer社製PYRIS Diamond DSC示差走査熱量測定装置を使用して、試料(約5mg)を210℃で5分間融解後、10℃/minの速度で−20℃まで降温し、−20℃で5分保持した後に、10℃/minの速度で210℃まで昇温することにより融解曲線を得た。降温段階における主発熱ピークのピークトップ温度を結晶化温度Tcとし、該ピークのピーク面積をΔHcとした。また、融解曲線を得るために行った最後の昇温段階における主吸熱ピークのピークトップ温度を融点Tmとし、該ピークのピーク面積をΔHmとした。
(2)重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、分子量分布Mw/Mn:以下のGPC測定により求めた。
はじめに、試料約20(mg)をポリマーラボラトリー社製高温GPC用前処理装置PL−SP 260VS用のバイアル瓶に採取し、安定剤としてBHTを含有するo−ジクロロベンゼン(BHT濃度=0.5g/L)を加え、ポリマー濃度が0.1(重量%)になるように調整した。ポリマーを上記高温GPC用前処理装置PL−SP 260VS中で135℃に加熱して溶解させ、グラスフィルターにて濾過して試料を調製した。なお、本発明におけるGPC測定において、グラスフィルターに捕捉されたポリマーはなかった。次に、カラムとして、東ソー社製TSKgel GMH−HT(30cm×4本)およびRI検出器を装着したウォーターズ社製GPCV2000を使用してGPC測定を行った。測定条件としては、試料溶液注入量:524.5(μl)、カラム温度:135℃、溶媒:o−ジクロロベンゼン、流量:1.0(ml/min)を採用した。分子量の算出は以下のように行った。すなわち、標準試料として市販の単分散のポリスチレンを使用し、該ポリスチレン標準試料およびエチレン系重合体の粘度式から、保持時間と分子量に関する校正曲線を作成し、該校正曲線に基づいて分子量の算出を行った。なお、粘度式としては、[η]=K・Mαを使用し、ポリスチレンに対しては、K=1.38E−4、α=0.70を使用し、エチレン系重合体に対しては、K=4.77E−4、α=0.70を使用した。
下記合成例で得られたニッケル錯体1〜4およびリガンドB−7、B−8、B−10を用いた。
1.237g(4.0mmol)のアシルトリフェニルフォスフォラニルメタレンと1.10g(4.0mmol)のビス−1,5−シクロオクタジエンニッケル(0)(以下、Ni(COD)2と称する)の混合物に、室温で40mlのトルエンを加え、黄色懸濁液を得た。この懸濁液に、注射器を用いて0.86g(8.0mmol)の2,6−ルチジンを加えた。得られた混合物を室温で攪拌した後、攪拌しながら60℃まで昇温し、60℃で3.5時間反応させ、暗褐色の溶液を得た。得られた溶液をカニューラにて濾過し、得られた暗黄色の濾液を減圧下に濃縮し、元の容積の1/4にした。この濃縮溶液に、液が濁りを生じるまでn−ヘキサン(約3ml)を滴下した。次いで、この濁りが生じた液を65℃まで昇温し、透明な溶液を得た。得られた透明な溶液を室温まで2〜3時間かけてゆっくり冷却し、室温付近で黄色微結晶を析出させた。得られた結晶を、母液中で一晩保持した。その後、上澄みをカニューラで濾別し、残った固体を3mlのn−ヘキサンで2回洗浄し、最後に固体を6×10−3mbarで減圧下1時間乾燥し、1.17gの下記構造式で表される黄色結晶を得た(収率:60.4%)。
1H−NMR(C6D6,δppm):7.67(m,5H),7.37(d,2H),7.2−7.0(m,4H),6.77(m,4H),6.56(d,1H),6.50(t,1H),6.15(d,1H),4.20(s,1H),3.49(s,6H),2.06(s,3H);31P−NMR(C6D6,δppm):21.78 (s).
1.522g(4.0mmol)の(ベンゾイルメタレン)トリフェニルフォスフォランと1.10g(4.0mmol)のNi(COD)2の混合物に、室温で100mlの
トルエンを加え、懸濁液を得た。この懸濁液に、注射器を用いて9.5g(120mmol)のピリジンを加えた。得られた混合物を室温で攪拌した後、攪拌しながら45℃までゆっくり昇温し、透明な黄色溶液を得た。加熱のためのオイルバスをはずし、得られた溶液を室温で18時間攪拌した。得られた反応混合物をカニューラで濾過し、残った固体を5mlのトルエンで2回洗浄した。得られた固体を減圧下に乾燥し、粘着性のある黄色粉末を得た。この粉末を20 mlのトルエンに懸濁させ、40℃まで加温し、さらに20mlのn−ヘキサンを添加した。さらに55℃まで加温し、結晶を析出させた。その後室温に戻して18時間引き続き結晶を析出させた。上澄みをカニューラで除去し、残った固体を10mlのn−ヘキサンで2回洗浄した。得られた固体を6×10−3mbarで減圧下5時間乾燥し、1.51gの下記構造式で表される黄褐色結晶を得た(収率:72.8%)。
1H−NMR(C6D6,δppm):8.60(d,2H),8.13(d,2H),7.75(m,4H),7.52(d,2H),7.21(m,9H),7.06(d,3H),6.93(m,1H),6.33(m,2H),5.11(s,1H);31P−NMR(C6D6,δppm):24.08(s).
13.9ml(120mmol)の2,6−ルチジン中に、1.522g(4.0mmol)の(ベンゾイルメタレン)トリフェニルフォスフォランと1.10g(4.0mmol)のNi(COD)2を懸濁させ、さらに室温で100mlのトルエンを加えた。この懸濁液を室温で攪拌した後、攪拌しながら45℃までゆっくり昇温し、すべての固体を溶解させ、透明な黄色溶液を得た。ここで得られた溶液を室温で18時間攪拌した。得られた暗色の懸濁液に乾燥したセライトを加え、攪拌した後10分間静置し、セライトを沈降させた。次いで、カニューラを用いてセライトと濾液を濾別した。濾別したセライトについては、3mlのトルエンを用いて2回抽出を行い、得られた抽出液と先に得られた濾液をあわせ、それを減圧乾燥し、粘着性のある黄色粉末を得た。得られた粉末を50mlのトルエンに溶解させ、少量の不溶成分をカニューラで濾別した。透明な濾液を減圧下に容量が25mlになるまで濃縮したところ、黄色沈殿が生成し始めた。沈殿が生成したフラスコを遮光し室温で24時間放置した。上澄みをカニューラで除去し、残った固体を恒量になるまで減圧乾燥し、0.88gの下記構造式で表される目標生成物を得た(収率:40.3%)。
1H−NMR(C6D6,δppm):7.82(d,2H),7.69(m,4H),7.39(d,2H),7.25−6.95(m,9H),6,79(m,3H),6.55(m,1H),6.21(d,2H),5.03(s,1H),3.48(s,6H);31P−NMR(C6D6,δppm):19.63ppm(約2%のダイマー{[Ph2P−CH=C(Ph)−O−]NiPh)}2が存在し、このダイマーにもとづく31P−NMRのシグナルが、17.35ppmに観測される)
0.965g(2.0mmol)のPh3P=C(SO3Na)C(=O)Phと0.550g(2.0mmol)のビス−1,5−シクロオクタジエンニッケル(0)(以下、Ni(COD)2と称する)の固体混合物に、−60°
Cで40mlのテトラヒドロフラン(以下THFと称する)を加え、黄色懸濁液を得た。得られた懸濁液を攪拌しながら、注射器を用いて2.45mlのピリジン(乾燥させて水分を除去したもの)を加えた。懸濁液は暗黄色となり、約10分間で茶色になった。室温で引き続き20時間攪拌した後、約1.5gの乾燥セライトを加えた。攪拌後数分間静置し、カニューラ濾過にて濾液を得た。残渣に対して5mlの乾燥THFで抽出操作を行い、カニューラ濾過にて濾液を得た。この操作をもう一度繰り返した。得られた濾液を集め、減圧下に濃縮し黄褐色の固体を得た。得られた固体を乾燥n−ヘキサン(5ml)で洗浄し、カニューラにてn−ヘキサンを除去した。この操作をもう一度繰り返した。最後に固体を減圧下、恒量になるまで乾燥し、0.95gの下記構造式で表される黄褐色固体を得た(収率:76.6%)。
1H−NMR(CD2Cl2,δppm):8.59(broad s,2H),7.80−6.80(broad m,21H),6.59(broad s,2H);31P−NMR(CD2Cl2,δppm):37.2(broad s).
(1)中間体B−7_5の合成
2,4−ジ−t−ブチルフェノール(10g,48.5mmol)をTHF(100ml)に溶解させた。この溶液を、別途調整した水素化ナトリウム(2.91g,1.5eq,ミネラルオイル中に60%濃度で分散したもの)のTFH(200ml)溶液に0℃で攪拌しながら滴下した。室温まで徐々に昇温し、室温で2時間反応させた。次いで、クロロメトキシメタン(7.76g)を0℃で滴下し、室温に昇温した後、室温で3時間反応させた。曇った白色溶液に対し、水および酢酸エチルを用いて抽出操作を行った。有機層をKOH水溶液(1M,150ml)、次いで水(150ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。無機塩を濾別した後、減圧下に濃縮し、淡黄色のオイルを得た。得られたオイルを、石油エーテル/酢酸エチル(40/1)を溶媒としてカラムで精製し、目的とする中間体B−7_5を10.5g得た。
(2)中間体B−7_6の合成
0.75g(3.0mmol)の中間体B−7_5をTHF(30ml)に溶解し、ここに、n−ブチルリチウム(2.5M,1.2ml,3.0mmol)をアルゴン雰囲気下、0℃で滴下した。室温まで徐々に昇温し、室温で3時間反応を行った。次いで、この反応混合物に、ビス(2−メトキシフェニル)クロロフォスフィン(700mg,2.50mmol)を15mlのTHFに溶解させた溶液を0℃で滴下した。徐々に室温まで昇温し、室温で終夜攪拌を行った。攪拌終了後、脱気した飽和塩化アンモニウム水溶液(10ml)を加え、有機層を分離した後ジエチルエーテルで抽出し、食塩水(10ml)で洗浄した後、硫酸ナトリウム上で乾燥し、中間体B−7_6を得た。
同様の操作を繰り返し、最終的に中間体B−7_6を8g得た。
(3)中間体B−7_HClの合成
合成例5(2)で得られた中間体B−7_6(8g)をジエチルエーテル(500ml)に溶解させ、−78℃で塩化水素ガスを25分間バブリングさせた。その後、室温まで昇温し、室温で終夜攪拌を行った。攪拌終了後、溶媒を留去し、B−7_HClを得た。
(4)リガンドB−7の合成
合成例5(3)で得られた中間体B−7_HClのうち、7.3gをジエチルエーテル(500ml)に溶解し、−78℃でアンモニアガスを30分間バブリングさせた。次いで室温まで徐々に昇温し、室温で終夜攪拌を行った。攪拌終了後、溶媒を留去し、粗B−7を得た。ここで得られた粗B−7をジエチルエーテル(10ml)に分散させた後、100mlのn−ヘキサンを加えて懸濁洗浄を行った。固体成分を除去した後、溶媒を減圧下に除去し、目的とするリガンドB−7を得た。収量:5.2g。
1H−NMR(MeOD,δppm):7.38−6.69(m,10H),3.70(s,6H),1.43(s,9H),1.10(s,9H);31P−NMR(MeOD,δppm):48.2(s).
(1)中間体B−8_6の合成
乾燥THF(35ml)に懸濁させた金属マグネシウム(432mg,18mmol)に、1,2−ジブロモエタンを3滴加え、5分間攪拌した。次に、1−ブロモ−2−メトキシメチルベンゼン(3.0g,15mmol)を加え、室温で終夜攪拌した。固体成分を濾別し、得られた溶液を、別途三塩化リンを25mlの乾燥THFに溶解させた溶液に、−78℃で15分かけて滴下した。得られた混合物を室温までゆっくり昇温し、室温で終夜攪拌し、B−8_3のTHF溶液を得た。
次に、合成例5(1)と同様の操作で得られたB−7_5(2.0g,8.0mmol)を30mlの乾燥THFに溶解させ、ここに、n−ブチルリチウム(2.5 M,3.2ml,8.0mmol)をアルゴン雰囲気下、−50℃で15分間かけて滴下した。同温度で30分間攪拌した後、室温まで徐々に昇温し、室温で2時間反応を行った。ここに、上記で得られたB−8_3のTHF溶液を0℃で15分間かけて滴下し、滴下終了後、室温まで徐々に昇温し、室温で終夜攪拌を行った。攪拌終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出操作を行った後、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥した。無機塩を濾別した後、減圧下に濃縮し、石油エーテル/酢酸エチル(20/1)を溶媒として、得られた残渣をシリカゲルカラムで精製し、目的とするB−8_6を得た(収量:1.1g)。
同様の操作を繰り返し、最終的にB−8_6を7.2g得た。
(2)中間体B−8_HClの合成
合成例6(1)で得られたB−8_6(7.2g)を200mlのジエチルエーテルに溶解させ、−78℃で塩化水素ガスを10分間バブリングさせた。その後、反応混合物を室温までゆっくり昇温し、室温で3時間攪拌した。攪拌終了後、溶媒を減圧下に留去し、粗B−8_HClを得た。
(3)リガンドB−8の合成
合成例6(2)で得られた粗B−8_HClを200mlのジエチルエーテルに溶解させ、−78℃でアンモニアガスを30分間バブリングさせた。その後、反応混合物を室温までゆっくり昇温し、室温で終夜攪拌した。攪拌終了後、溶媒を減圧下に除去し、粗B−8を得た。ここで得られた粗B−8をジエチルエーテル(10ml)に分散させた後、100 mlのn−ヘキサンを加えて懸濁洗浄を行った。固体成分を除去した後、溶媒を減圧下に除去し、目的とするリガンドB−8を得た。収量:5.5g。
1H−NMR(MeOD,δppm):7.50−6.65(m,10H),4.53(d,2H),4.51(d,2H),3.20(s,6H),1.41(s,9H),1.08(s,9H);31P−NMR(MeOD,δppm):47.6(s).
(1)中間体B−10_3の合成
室温、アルゴン雰囲気下、1−ブロモ−2−ジメチルアミノメチルベンゼン(25g,117mmol)と金属マグネシウム(3.4g,140mmol)を、乾燥THF(150ml)に加え、1,2−ジブロモエタンを数滴加えた。その後引き続き1.5時間攪拌した。金属マグネシウムは大部分溶解し、固体残渣を濾過により分離し濾液を得た。別途、三塩化リン(8.0g,58.5mmol)を乾燥THF(100ml)に溶解させた溶液を準備し、先に得られた濾液を−78℃でゆっくり加え、得られた混合液を−30℃で2時間攪拌した。中間体B−10_3の白色スラリーが得られ、特に精製することなく次の反応に使用した。
(2)中間体B−10_6の合成
アルゴン雰囲気下、合成例5(1)と同様の操作で得られたB−7_5(14.6g,58.5mmol)を乾燥THF(150ml)に溶解させ、n−ブチルリチウム(26.9ml,2.5M,n−ヘキサン溶液)を−50℃で滴下した。混合物を同温度で0.5時間攪拌し、その後、室温まで徐々に昇温し、さらに室温で2時間攪拌した。得られた反応混合物を、合成例7(1)で得られたB−10_3のスラリーに、−78℃でゆっくり加えた。その後室温まで徐々に昇温し、室温で終夜攪拌した。攪拌終了後、水(100ml)を加えた後、酢酸エチル(200ml×3)で抽出操作を行った。有機層を集め硫酸ナトリウム上で乾燥し、無機塩を濾別した後、減圧下に濃縮し、残渣をカラムにて精製し、B−10_6(8g)を得た。同様の操作を行い、最終的にB−10_6を11.5g得た。
(3)中間体B−10_7の合成
合成例7(2)で得られた中間体B−10_6(11.5g)を酢酸エチル(50ml)に溶解させ、飽和塩化水素酢酸エチル溶液(150ml)を−20℃で加えた。得られた反応混合物を−20℃で1時間攪拌し、その後徐々に室温まで昇温し、室温でさらに1.5時間攪拌した。その後、減圧下に溶媒および揮発分を除去し、中間体B−10_7を灰色がかった白色固体として得た。収量:11.6g。
(4)リガンドB−10の合成
合成例7(3)で得られた中間体B−10_7(11.6g)を水(100ml)に溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(150ml)を加え、室温で1.5時間攪拌した。その後、酢酸エチル(200ml×3)で抽出操作を行い、無機塩を濾別した後、減圧下に溶媒を留去して濃縮し、残渣をメタノール(10ml×5)で洗浄し、目的とするリガンドB−10を6.8g得た。
1H−NMR(MeOD,δppm):7.40−6.80(m,10H),3.81(m,2H),3.31(m,2H),2.15(d,12H),1.40(s,9H),1.11(s,9H);31P−NMR(MeOD,δppm):45.30(s).
(1)エチレンとアクリル酸エステルの共重合
合成例2で得られた錯体をトルエンに溶解させ、濃度を16μmol/mlに調整した。次に、破裂板式触媒フィーダーを備えた内容積2リッターの誘導攪拌式オートクレーブ内を精製窒素で置換し、該触媒フィーダー内に上記記載の錯体トルエン溶液を5ml仕込んだ。次いで、所定量の精製トルエンおよびコモノマーを精製窒素雰囲気下にオートクレーブ内に導入した。攪拌しながら、オートクレーブを重合温度まで昇温した後、精製エチレンで破裂板を割って触媒をフィードし、ただちにオートクレーブ内圧を所定圧力に調整して重合を開始した。引き続き攪拌しながらオートクレーブ内圧を所定圧力に保持しながら1時間重合を行った。重合終了後、オートクレーブを室温まで冷却し、エタノール(25ml)をオートクレーブ内に導入した。得られたポリマーがトルエン不溶の固体である場合には、濾過によりポリマーと溶媒を分離した。濾過では分離が不十分な場合には、以下のようにしてポリマーを回収した。エタノール(1,000ml)を用いてポリマーを再沈させ、沈殿したポリマーを濾過し、得られた固形ポリマーをエタノール(200ml)に分散させ、ここに1N−塩酸(100ml)を加えて20分攪拌し、ポリマーを濾過した。得られた固形ポリマーをエタノール(200ml)に分散させて5分攪拌し、再び濾過を行った。この操作をさらに2回行い、最終的にポリマーを回収した。上記いずれかの手法で溶媒から分離したポリマーは、60℃で3時間減圧乾燥した。
仕込んだコモノマーの種類と量については、表1に記載した。なお、コモノマーは、Aldrich社製のAldrich Inhibitor Removerを充填したカラムを用いて、精製窒素雰囲気下、室温で精製した後に使用した。また、重合に用いたトルエン量、重合温度、重合中のオートクレーブ内圧についても、表1に記載した。表1において、tBAはアクリル酸tブチルを、nBAはアクリル酸nブチルを示す。また、活性Vpは、共重合に用いた錯体1molあたり、重合時間1時間あたりの共重合体収量(kg)を表す。
実施例1〜4で得られたエチレン・アクリル酸tブチル共重合体の13C−NMRスペクトル分析結果を表2に示す。なお、表2において、各部分構造の量は、主鎖炭素1000個あたりの数である。また、Et末端はエチル末端、Vy末端はビニル末端、Me分岐はメチル分岐、主鎖tBAは、末端以外の主鎖に共重合されているアクリル酸tブチルを、末端tBAは主鎖末端に存在するアクリル酸tブチル由来の末端基を示す。E体、Z体は、それぞれ前記した部分構造(IV)および(V)に対応する。
実施例1において、重合系にトリイソブチルアルミニウム(TIBA)を、TIBA/Ni=3(m.r.)で共存させた以外は、実施例1と同様にしてエチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。重合活性はほとんどなく、生成ポリマーは痕跡量であった。
実施例1において、重合系にメチルアルミノキサン(MAO)を、Al/Ni=100(m.r.)となるように共存させた以外は、実施例1と同様にしてエチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。重合活性はまったく発現せず、ポリマーは得られなかった。
実施例1を繰り返して、エチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。得られたポリマーを改良型ソックスレー抽出器を用いて、沸騰アセトンにて抽出を行った。沸騰アセトン抽出成分は、0.5重量%であった。なお、該沸騰アセトン抽出分をIRで分析したところ、ポリエチレン由来のシグナルが観測された。
錯体として、合成例1または3で得られた錯体1または錯体3を用いた以外は、実施例1と同様にして、エチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。なお、採用した重合条件については、表6に示す。表6において、tBAはアクリル酸tブチルを、nBAはアクリル酸nブチルを、MAはアクリル酸メチルを示す。また、活性Vpは、共重合に用いた錯体1molあたり、重合時間1時間あたりの共重合体収量(kg)を表す。
実施例7〜10において、得られた共重合体をIRにて測定したところ、コモノマーとして用いたアクリル酸エステルのカルボニル基由来のシグナルが明瞭に観測された。実施例8〜10について、DSC測定を行った結果を表7に示す。なお、表7において、n/aは未測定であることを示す。また、実施例8で得られた共重合体について、GPC測定を行ったところ、Mw=1600、Mn=1100,Mw/Mn=1.5であった。
錯体として、合成例2で得られた錯体2を使用し、トルエン仕込み量=490ml、内圧=3(MPa)、重合温度=80(℃)の条件で、エチレンと酢酸ビニルの共重合を試みた。酢酸ビニルの仕込み量は4.5mlであった。その他の条件については、実施例1と同様にして重合を行った。重合活性=7(kg/mol/h)で重合体が得られたが、得られた重合体をIRにて分析したところ、コモノマーとして用いた酢酸ビニル由来のカルボニル基にもとづくシグナルは痕跡程度にしか観測されなかった。
錯体として、合成例2で得られた錯体2を使用し、トルエン仕込み量=490ml、内圧=3(MPa)、重合温度=80(℃)の条件で、エチレンとビニルエチルエーテルの共重合を試みた。ビニルエチルエーテルの仕込み量は5mlであった。その他の条件については、実施例1と同様にして重合を行った。重合活性=273(kg/mol/h)で重合体が得られたが、得られた重合体をIRにて分析したところ、コモノマーとして用いたビニルエチルエーテル由来のエーテル基にもとづくシグナルは痕跡程度にしか観測されなかった。
錯体として、合成例4で得られた錯体4を用いた以外は、実施例1と同様にして、エチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。なお、採用した重合条件については、表8に示す。表8において、tBAはアクリル酸tブチルを、nBAはアクリル酸nブチル示す。また、活性Vpは、共重合に用いた錯体1molあたり、重合時間1時間あたりの共重合体収量(kg)を表す。
実施例11および12で得られた共重合体についてGPC測定を行ったところ、実施例11についてはMw=3370、Mn=2100、Mw/Mn=1.6、実施例12についてはMw=51500、Mn=2500、Mw/Mn=20.6であった。
B−7を用いたエチレンとアクリル酸エステルの共重合
(1)B−7錯体の形成
以下の操作は、すべて高純度アルゴン雰囲気下で行った。
初めに4mlのスクリューキャップ付きバイアル瓶に、合成例5で得られたB−7(10.7mg)を秤り取った。次に、Ni(COD)2(20mg)を8mlのバイアル瓶に秤り取り、トルエン(7.22ml)に溶解させ、10mMのNi(COD)2トルエン溶液を調製した。得られた溶液は、黄色透明であった。ここで得られたNi(COD)2トルエン溶液(2.36ml)をB−7を有するバイアル瓶に加え、スクリューキャップで密閉した後、30秒間振って攪拌し、溶液を得た。その後、溶液の色が次第に暗黄色から赤色に変化し、沈殿は見られなかった。室温で3時間静置した後、得られた溶液0.5mlを2mlのバイアル瓶に分取し、トルエン(1.5ml)で希釈し、(B−7)(COD)Ni錯体の2.5mM溶液を得た。
(2)エチレンとアクリル酸エステルの共重合
内容積約10mlの攪拌翼ならびに内筒付きオートクレーブに、乾燥トルエン(4.2 ml)および所定量のアクリル酸エステルを仕込んだ。攪拌しながらオートクレーブを所定温度に昇温した後、エチレンをオートクレーブに供給し、温度と圧力が所定の条件になるように調整した。調整終了後、上記(1)で得られた錯体溶液を所定量供給し、共重合を開始させた。所定時間重合させた後、一酸化炭素を吹き込んだ。未反応ガスを除去した後、内筒を取り出し、減圧下に溶媒および未反応コモノマーを除去し、恒量になるまで乾燥を行った。
共重合条件については、表10に記載した。なお、コモノマーは、Aldrich社製のAldrich Inhibitor Removerを充填したカラムを用いて、高純度アルゴン雰囲気下、室温で精製した後に使用した。表10において、tBAはアクリル酸tブチルを示す。また、活性Vpは、共重合に用いた錯体1molあたり、重合時間1時間あたりの共重合体収量(kg)を表す。得られた共重合体のDSC測定結果およびGPC測定結果については、それぞれ表11、表12に示した。
B−7を用いたエチレンの重合
実施例15〜29で得られた(B−7)(COD)Ni錯体溶液を用い、コモノマーを用いなかった以外は、実施例15〜29と同様にして、エチレンの重合を行った。結果は表17〜19に示した。
B−8を用いたエチレンとアクリル酸エステルの共重合
(1)B−8錯体の形成
合成例6で得られたB−8(11.4 mg)を用いた以外は、実施例15〜29と同様にして、(B−8)(COD)Ni錯体の2.5mM溶液を得た。
(2)エチレンとアクリル酸エステルの共重合
上記(B−8)(COD)Ni錯体溶液を用いた以外は、実施例15〜29と同様にして、エチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。重合条件および活性については表13に、得られた共重合体のDSC測定結果およびGPC測定結果については、それぞれ表14〜15に示した。
B−8を用いたエチレンの重合
実施例30〜35で得られた(B−8)(COD)Ni錯体溶液を用い、コモノマーを用いなかった以外は、実施例15〜29と同様にして、エチレンの重合を行った。結果は表17〜19に示した。
B−10を用いたエチレンとアクリル酸エステルの共重合
(1)B−10錯体の形成
合成例7で得られたB−10(13.1mg)を用いた以外は、実施例15〜29と同様にして、(B−10)(COD)Ni錯体の2.5mM溶液を得た。
(2)エチレンとアクリル酸エステルの共重合
上記(B−10)(COD)Ni錯体溶液を用いた以外は、実施例15〜29と同様にして、エチレンとアクリル酸エステルの共重合を行った。重合条件および活性については表16に示した。
B−10を用いたエチレンの重合
実施例36〜47で得られた(B−10)(COD)Ni錯体溶液を用い、コモノマーを用いなかった以外は、実施例15〜29と同様にして、エチレンの重合を行った。結果は表17〜19に示した。
Claims (4)
- 下記一般式(A)および/または(B)で表される金属錯体の存在下、(a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステルを有機アルミニウム化合物の非存在下で共重合することを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法。
- 下記一般式(C)で表される金属錯体の存在下、(a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステルを有機アルミニウム化合物の非存在下で共重合することを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体の製造方法。
- (a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステルの共重合体であって、主鎖末端がエチル基、ビニル基、および(b)成分として共重合に用いた(メタ)アクリル酸エステル由来の一般式(D)で表される基からなり、かつ、一般式(D)における炭素−炭素二重結合が、Z体とE体の2種の幾何異性体構造からなることを特徴とするα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体。
−CH=C(R8)CO2(R9) ・・・(D)
(式(D)において、R8は水素またはメチル基である。R9は炭素数1〜30の炭化水素基であり、分岐、環、および/または不飽和結合を有していてもよい。さらに、R9内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。) - α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、主鎖のメチル分岐数が主鎖炭素1000個あたり2個未満であり、かつ、炭素数2以上の炭化水素基の分岐を持たないことを特徴とする、請求項3に記載のα−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体。
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