JP6581912B2 - 新規なカルベン前駆体化合物及びそれらによるオレフィン系重合用触媒並びにオレフィン系共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
従来においては、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体は高圧ラジカル法を用いて製造されてきたが、高圧法以外で共重合体を得ることは工業的に困難であり、チーグラー触媒やメタロセン触媒を用いた場合には触媒失活を避けられなかった。また、エチレンとアリル基を有するモノマーの重合はビニルモノマーと比べて難しく、その重合体の製造方法は殆ど実用化されていない。
℃)でも共重合可能なことを報告した(特許文献1及び非特許文献2を参照)。この技術は、コモノマーであるアクリル酸エステルを高含量で共重合できるメリットがあったが、その触媒活性は不十分であった。
このホスフィンスルホナート配位子はキレート性又は潜在的キレート性であると予想され、野崎らは、触媒活性成分として(ホスフィンスルホナート)パラジウム(メチル)ルチジン錯体を単離し、エチレンとアクリル酸エステルの共重合触媒としての有用性を報告している(例えば、特許文献2及び非特許文献3を参照)。また、−CO2H基を有するホスフィンカルボキシラート配位子の場合には、ニッケルと錯形成してキレート状金属錯体となることが報告されている(非特許文献4を参照)。
Goodallらは、ホスフィンスルホナート配位子のオルソメトキシフェニル基を改良して、ビフェニル基を有するホスフィンスルホナート配位子を開発した(例えば、特許文献3〜8及び非特許文献5を参照)。これをエチレンとアクリル酸エステルの共重合に用いることで、分子量(Mw)が十万以上のコポリマーを製造可能になったことが開示されているが、その触媒性能は不十分であった。
α−オレフィンをエチレン又はプロピレンに限定すると、NHC−ピリジンパラジウム錯体及びNHC−エノレートニッケル錯体においてのみ、重合結果が報告されている。NHC−ピリジンパラジウム錯体はエチレンオリゴマーしか重合できず、生成物の分子量が低い。NHC−エノレートニッケル錯体についても、オレフィン重合体の分子量は低い。また、全てのNHCを含有するα−オレフィン重合触媒において、共重合についての記載は見られない。
即ち、かかるN−ヘテロサイクリックカルベン前駆体は、下記一般式(1)又は(2)で表される新規なカルベン前駆体化合物である。
[6]一般式(1)〜(8)において、前記Zが、OR3、SO3R3、P(O)(OR3)2−y(R4)yであることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおけるカルベン前駆体化合物。
成分(A):[7]〜[9]のいずれかにおける金属錯体
成分(B):成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
成分(C):有機アルミニウム化合物
そして、この高性能の共重合触媒を用いて得られる、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体は、機械的かつ熱的な物性に優れ、有用な各種の成形体として応用可能である。
以下において、それらの新規な前駆体化合物、重合触媒、重合体の構成成分(モノマー成分)、及び重合方法などについて詳細に説明する。
本発明の特定の構造を有する新規なカルベン前駆体化合物は、N−ヘテロサイクリックカルベン前駆体であり、下記の一般式(1)又は一般式(2)で示される。
炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜33の炭化水素基であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。好ましい具体例は、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基、t−ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、イソプロピル基、1−ジメチルプロピル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジベンズヒドリル−4−メチルフェニル基などである。
A−は、カウンターアニオンを表し、任意の陰イオンとして、COO−、Cl−、Br−が例示される。先述したZの中には、脱離基が外れてマイナス一価に荷電する置換基があり、この場合は分子内で電気的に中性となるため、A−を必要としない。
より具体的には、炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜30の炭化水素基であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。好ましい具体例は、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基、t−ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、イソプロピル基、1−ジメチルプロピル基、フェニル基、ビフェニル基、アントラセニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基などである。
一般式(9)又は一般式(10)における、遷移金属のM1としては、Fe、Co、Ni、Pd、Ptが挙げられる。リガンドのL1及びL2としては、ハロゲン原子、メチル基、フェニル基、ベンジル基、ピリジン、2,6−ルチジンなどが挙げられる。
本発明の金属錯体は、前記したカルベン前駆体化合物、即ち一般式(1)〜(8)で表されるN−ヘテロサイクリックカルベン前駆体から発生したカルベンを有する金属錯体である。
この金属錯体は、一般式(1)〜(8)のいずれかにおける化合物と、周期表8〜10族の遷移金属化合物の錯体前駆体とを反応させて得られることを特徴とする金属錯体である。
錯体合成反応は、α−オレフィンの重合又は共重合に使用する反応器中で行ってもよいし、該反応器とは別の容器中で行ってもよい。錯形成後に、金属錯体を単離抽出して触媒に用いてもよいし、単離せずに触媒に用いてもよい。
本発明における重合用触媒、即ち、新規なカルベン前駆体化合物を用いたオレフィン系重合用触媒は、触媒活性が良好で、分子量が高くコモノマー含量も高い、エチレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合体の製造を可能となす触媒である。
この触媒は、前記した金属錯体を主要な触媒成分(A)とするものであり、成分(B)として、成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩を用い、必要に応じて成分(C)の有機アルミニウム化合物を使用する。
(B−1)アルミニウムオキシ化合物
(B−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸
(B−3)固体酸
一般式の三番目で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式RbB(OH)2で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式中、Rbは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。
また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。或いは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化合物が例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。
触媒組成物の合成は、一般に、8〜10族の遷移金属化合物と新規なカルベン前駆体化合物とを溶液又はスラリー中で接触して行うことができる。
遷移金属化合物として好ましくは、10族の遷移金属化合物であり、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アリルパラジウムクロライド)、塩化パラジウム、臭化パラジウム、(シクロオクタジエン)パラジウム(メチル)クロライド、ジメチル(テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、(テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル(メチル)クロライド、ジメチル(テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル、(シクロオクタジエン)ニ
ッケル(メチル)クロライドなどを使用して合成する。
また、本発明の触媒組成物は、一種類を単独で用いてもよいし、複数種の触媒組成物を併用してもよい。特に、分子量分布やコモノマー含量分布を広げる目的には、こうした複数種の触媒組成物の併用が有用である。
一般に、無機酸化物やポリマー担体が好適に使用できる。具体的には、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2など又はこれらの混合物が挙げられ、SiO2−Al2O3、SiO2−V2O5、SiO2−TiO2、SiO2−MgO、SiO2−Cr2O3などの混合酸化物も使用することができ、無機ケイ酸塩、ポリエチレン担体、ポリプロピレン担体、ポリスチレン担体、ポリアクリル酸担体、ポリメタクリル酸担体、ポリアクリル酸エステル担体、ポリエステル担体、ポリアミド担体、ポリイミド担体などが使用可能である。
これらの担体については、粒径、粒径分布、細孔容積、比表面積などに特に制限はなく、任意のものが使用可能である。
即ち、成分(A)及び(B)と必要に応じて成分(C)を重合槽に別々に導入してもよいし、成分(A)及び(B)を予め接触させた後に重合槽に導入してもよい。また、成分(A)及び(B)の混合物を成分(C)に含浸させた後に重合槽へ導入してもよい。
上記の各成分の接触は、窒素などの不活性ガス中において、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触温度は、−20℃から溶媒の沸点の範囲の温度、特に、室温から溶媒の沸点の範囲の温度が好ましい。この様にして調製された触媒は、調製後に洗浄せずに使用してもよく、また、洗浄した後に使用してもよい。更には、調製後に必要に応じて新たに成分を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、共重合体の製造に用いられるモノマーとしては、以下に説明する、(a)α−オレフィン、(b)(メタ)アクリル酸エステル、(c)アリルモノマーが挙げられる。
それぞれの原料のモノマー成分は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
なかでも、好ましい(a)成分として、Rが水素及び炭素数1〜10のRを有するα−オレフィンが挙げられる。更に好ましい(a)成分としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられ、特に好ましい(a)成分としては、エチレンが挙げられる。
本発明における共重合反応は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素溶媒や液化α−オレフィンなどの液体、また、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、ホルミルアミド、アセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどのような極性溶媒の存在下或いは非存在下に行われる。また、ここで記載した液体化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。なお、高い重合活性や高い分子量を得るうえでは、上述の炭化水素溶媒がより好ましい。
具体的には、モノメチルエーテルハイドロキノンや、2,6−ジ−t−ブチル4−メチルフェノール(BHT)、トリメチルアルミニウムとBHTとの反応生成物、4価チタンのアルコキサイドとBHTとの反応生成物などが使用可能である。
また、添加剤として、無機及び又は有機フィラーを使用し、これらのフィラーの存在下で重合を行ってもよい。
また、重合様式としては、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの様式でもよい。
即ち、共重合温度は、通常−20℃から290℃、好ましくは0℃から250℃、共重合圧力は、0.1MPaから100MPa、好ましくは、0.3MPaから90MPa、共重合時間は、0.1分から10時間、好ましくは、0.5分から7時間、更に好ましくは1分から6時間の範囲から選ぶことができる。
本発明において、共重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行われる。例えば、窒素、アルゴン雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。なお、少量の酸素や空気の混入があってもよい。
共重合体の分子量制御には、従来公知の方法を使用することができる。即ち、重合温度を制御して分子量を制御する方法、モノマー濃度を制御して分子量を制御する方法、連鎖移動剤を使用して分子量を制御する方法、遷移金属錯体中の配位子構造の制御により分子量を制御するなどが挙げられる。
実施例で得た(共)重合体の構造は、日本電子(株)製JNM−ECS400を用いた各種NMR解析により決定した。極性基を有するオレフィンに由来するモノマーユニットの含有率と共重合体末端構造は、溶媒として1,2,4−トリクロロベンゼン(0.55mL)及び緩和試薬としてCr(acac)3(10mg)を用い、120℃において、逆ゲート付きデカップリング法を用いた13C−NMR(9.0マイクロ秒の90°パルス、スペクトル幅:31kHz、緩和時間:10秒、取り込み時間:10秒、FIDの積算回数5,000〜10,000回)、又は溶媒として1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2を使用した120℃における1H−NMRによって決定した。ここでacacは、アセチルアセトネートを表す。
東ソー(株)製・TSKgel・GMHHR−H(S)HTカラム(7.8mmI.D.×30cmを2本直列)を備えた東ソー(株)製高温GPC装置、HLC−8121GPC/HTを用い、単分散ポリスチレンを分子量の標準物質とするサイズ排除クロマトグラフィー(溶媒:1,2−ジクロロベンゼン、温度:145℃)により算出した。
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(化合物bの合成)
6.4 mg,2.0mmol,化合物a)を溶解させた室温溶液に対して、溶液Aを滴下し、そのまま1日室温下で撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、高真空化で乾燥した。得られた固体を塩化メチレンに溶解し、1M塩酸で洗浄した。有機層をブラインで洗浄したのち、有機層に対し過剰の炭酸ナトリウムを加え撹拌し中和した。固形分をセライトろ過によって除去したのち、溶液を濃縮し、エーテルに対し滴下することで目的の化合物bが沈殿として得られた(収率80%).
1HNMR(DMSO−d6,δ,ppm):11.81(d,J=1.8Hz,1H)
,8.31(d,J=1.9Hz,1H),7.64(t,J=7.8Hz,1H),7
.47(d,J=7.7Hz,2H),7.45(d,J=9.5Hz,1H),7.
37(d,J=9.6Hz,1H),7.15(dd,J=7.4,8.4Hz,1H)
,6.57(dd,J=1.2,8.4Hz,1H),6.47(dd,J=1.1,7.3Hz,1H), 2.24(sept,J=6.9Hz,2H),1.14(d,J=6.6Hz,6H),1.13(d,J=6.6Hz,6H)
%)。ここでは、2,6−ベンズヒドリル−4−メチルフェニルをDip*と表記している。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ10.83(s,1H),7.34(d
,1H),7.24−7.05(m,15H),6.96−6.86(m,8H),6.83(s,2H),6.63(d,1H),6.56(d,1H),5.18(s,2H),2.20(s,3H)
1H−NMR(400MHz,CDCl3)7.41(t,1H),7.21(d,2H
),7.09−6.94(m,5H),6.76(d,1H),2.62(sept,2H),1.47(d,6H),1.09(d,6H),−0.34(s,3H)
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ8.23(d,1H),7.63(m,
2H),7.29(d,1H),6.95(s,2H),5.98(s,1H),5
.27(s,2H),4.28−4.09(m,4H),2.96(s,3H),2.
32(s,3H),2.04(s,6H)
空気下、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−7−(2,4,6−トリメチルフェニル)8−(メトキシメトキシ)キノリン(化合物e、2.9mmol)を4規定塩酸、エタノール、クロロホルム(各20mL)の混合溶媒で二日間加熱還流した。有機層を留去したのち塩化メチレンに再溶解させ、1規定塩酸、イオン交換水、飽和塩化ナトリウム溶液で順に洗浄した。得られた有機層は過剰の塩化メチレンを用いてシリカゲルを通すことで精製し、溶媒を留去することで化合物fを赤色粉末として得た。収率は87%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ10.23(s,1H),8.35(d
,1H),8.14(s,1H),8.07(d,1H),7.47(d,1H), 7
.43(d,1H),7.00(s,2H),2.36(s,3H),2.06(s, 6H)
空気下、2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成製、0.30mmol)、ホルマリン(関東化学製、50μL)をエタノール(1mL)中で混合し均一の溶液を得たのち、塩化アセチル(東京化成製)とエタノールから直前に調製した塩酸エタノール溶液(1.2mmol/L)を0.30mL加え撹拌する。続いて8−ヒドロキシ−7−(2,4,6−トリメチルフェニル)キノリン−2−カルボアルデヒド(化合物f、0
.30mmol)を粉末として加え、エタノール1mL、塩化メチレン1mLを追加し、室温で60時間撹拌する。揮発成分を留去したのち、得られた橙色固体を分取TLC(ヘキサン:酢酸エチル:塩化メチレン:メタノール=3:3:3:1)で精製することで化合物gを黄橙色粉末として得た。収率は71%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ11.93(s,1H),7.52(t
,1H),7.47(d,1H),7.30(d,2H),7.27−21(m, 2H),7.17(d,1H),6.92(s,2H),6.70(d,1H),2.32(sept,2H),2.28(s,3H),2.11(s,6H),1.18 (d,6H),1.14(d,6H)
アルゴン雰囲気下室温にて、2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−8−(2,4
,6−トリメチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(1
8.5mg、0.040mmol、化合物g)、水素化カリウム(12mg、0.3mmol)をTHF(2mL)中で二時間撹拌した。反応溶液を濾過したのちPdMeCl(lut)(10.6mg、0.040mmol)を加え更に一時間撹拌した。ここでlutは、2,6−ルチジンを表す。反応溶液を濾過・濃縮することで錯体4を黄色粉末として得た。収率は85%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.25−7.18(m,3H),7.
03(d,1H),7.00(s,1H),6.93(d,2H),6.87(s, 2H),6.80(d,1H),6.71(d,2H),6.51(s,1H),2.71(s,6H),2.47(sept,2H),2.25(s,3H),2.20 (s,6H),0.98(d,6H),0.95(d,6H),−0.41(s,3H)
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ10.10(s,1H),9.31(d,1H),9.18(s,1H),8.13(d,1H)
空気下、2,6−ジイソプロピルアニリン(0.43mL、3.0mmol、東京化成製)、ホルマリン(0.37mL、4.5mmol、関東化学製)をエタノール(5mL)中で混合し均一の溶液を得たのち、塩化アセチル(東京化成製)とエタノールから直前に調製した塩酸エタノール溶液(1.2mmol/L)を3.0mL加え撹拌する。続いて8−ヒドロキシ−7,5−ジニトロキノリン−2−カルボアルデヒド(790mg、3.0mmol、化合物h)を粉末として加え、室温で48時間撹拌する。黄色沈殿をろ別し、冷エタノールで洗浄することで化合物iを黄色粉末として得た。収率は36%であった。
1H−NMR(400MHz,DMSOd6):δ11.44(s,1H),9.00(s,1H),8.66(d,1H),8.58(d,1H),8.08(d,1H),7.64(t,1H),7.47(d,2H),2.21(sept,2H),1.09(m,12H)
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−6,8−ジニトロイミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(217mg、0.50mmol、化合物i)、カリウムビス(トリメチルシリルアミド)(120mg、0.60mmol、Aldrich製)をTHF(12mL)中で30分撹拌した。反応溶液にPdMeCl(cod)(132
.5mg、0.50mmol)を加え更に15分撹拌した。反応溶液を濾過・濃縮し、過剰量のヘキサンへ滴下することで錯体5を茶色粉末として得た。収率は14%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.76(d,1H),7.59(s,
1H),7.51−7.21(m,5H),2.42(sept,2H),1.10(m
,12H),0.06(s,3H)
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ10.93(s,1H),7.92 (s,1H),7.62(d,1H),7.45−7.32(m,3H),7.05−6.96(m,3H),2.35(s,3H),2.02(s,6H)
2−(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(151mg、0.50mmol、化合物j)、カリウムビス(トリメチルシリルアミド)(120mg、0.60mmol、Aldrich製)をTHF(12mL)中で30分撹拌した。反応溶液にPdMeCl(cod)(132.5mg、0.50mmol)を加え更に15分撹拌した。反応溶液をろ過・濃縮し、過剰量のヘキサンへ滴下することで錯体6ボールドを黄色粉末として得た。収率は75%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ7.07−6.99(m,3H),6.
96−6.90(m,4H),7.75(dd,1H),2.29(s,3H),2.1
9(s,6H),−0.32(s,3H)
更にジエチルエーテルを加え撹拌、デカンテーションを二回繰り返したのち、過剰量のアセトンを用いて固体を洗浄し、アセトンを濃縮することで化合物tを含む吸湿性の混合物を得た。この混合物を3規定塩酸(20mL)とエタノール(20mL)の混合溶媒中、空気下で一時間加熱還流したのち、エタノールを留去し、水層を塩化メチレンで三回洗浄した。水層を濃縮することで化合物uを含む吸湿性の混合物(約0.90g)が得られた。この混合物に対し、更に2,6−ジイソプロピルアニリン(0.85mL、東京化成製)、ホルマリン(0.40mL、関東化学製、50μL)、塩化アセチル(東京化成製)とエタノールから直前に調製した塩酸メタノール溶液(5.0mL、1.0mmol/L)を加え、室温で60時間撹拌した。揮発成分を留去したのちイオン交換水(10mL)を加え塩化メチレンで3回抽出して得られた有機層を炭酸カリウムで乾燥・中和し、濃縮後に過剰量のジエチルエーテルに滴下することで、化合物vが薄茶色粉末として得られた。収率は21%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ9.75(s,1H),7.85(d,
1H),7.75(d,1H),7.66(s,1H),7.61(t,1H),7.
44(t,1H),7.38(d,1H),2.15(sept,2H),1.1−1.3(m,12H)
アルゴン雰囲気下、2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジニウム−5−スルホナート一水和物(75.3mg、0.20mmol、化合物v)、水素化カリウム(24mg、0,60mmol)、炭酸カリウム(138mg、1.0mmol)をTHF(6mL)中で二時間撹拌する。混合物を濾過し溶液を濃縮し、茶色固体を得た。収率は86%であった。この中間体については同定を行わずそのまま次に用いた。
アルゴン雰囲気下、得られた茶色粉末(15.9mg、0.040mmol)とPdMeCl(cod)(10.6mg、0.040mmol)をTHF(4mL)中で15分撹拌したのち、混合物をろ過し、ヘキサンを用いて再沈殿を行うことで錯体7を得た。収率は82%であった。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ8.18(d,1H),7.87(d,
1H),7.72(d,1H),7.62−7.20(m,4H),2.15(sept,1H),2.01(sept,1H),1.20−1.12(m,12H),0.
11(s,3H)
アルゴン雰囲気下、錯体1〜7を任意の(表1中に記載)触媒量含む耐圧硝子工業(株)製50mLオートクレーブ中に、トルエン約20mL、コモノマー(表1中に記載)を加えた。エチレン(表1中に記載)を充填した後、オートクレーブを任意の(表1中に記載)温度で、任意の(表1中に記載)時間撹拌した。室温に冷却後、オートクレーブ中にメタノール(約20mL)を加えた。生じた共重合体をろ過によって回収し、メタノール、イオン交換水で洗浄した後に減圧下乾燥して、重合体を得た。重合活性(kg/mol/hr)は表1中に記載した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)算出し、MwとMw/Mnを表1に記載した。共重合体中のコモノマー含有率は、1H−NMR測定により、エチレン:コモノマーのモル比を決定し、コモノマー含量mol%という表記で表1に記載した。表中のMAは、メチルアクリレートを表す。
アルゴン雰囲気下、錯体1,4,6を任意の(表2中に記載)触媒量含む耐圧硝子工業(株)製50mLオートクレーブ中に、トルエン約20mL、コモノマー(表2中記載)を加えた。反応容器を氷浴しながらプロピレンガスを10分印加し、加圧前後で反応容器全体の重量差を計測することでプロピレンの充填量を算出した。オートクレーブを任意の(表2中に記載)温度で、任意の(表2中に記載)時間撹拌した。室温に冷却後、反応溶液を回収しオートクレーブ内を塩化メチレンでリンスしたものと合わせ減圧留去した。得られた固体を、メタノールを用いて繰り返しもみ洗いした後に減圧下乾燥して重合体を得た。重合活性(kg/mol/hr)は表2中に記載した。サイズ排除クロマトグラフ
ィーにより、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、MwとMw/Mnを表2に記載した。共重合体中のコモノマー含有率は、1H−NMR測定により、プロピレン:コモノマーのモル比を決定し、コモノマー含量mol%という表記で表2に記載した。表中AAcは、酢酸アリルを表す。
1(d,J=7.5Hz,1H),5.19(s,2H),2.24(s,3H);13C−NMR(126MHz,DMSO−d6)δ164.23(1C),141.82(2C),141.60(2C),141.22(2C),140.15(1C),13
1.41(1C),129.46(2C),128.96(1C),128.87(4C),128.62(4C),128.58(1C),128.54(4C),128
.52(4C),127.84(1C),126.85(2C),126.80(2C),126.44(1C),120.77(1C),119.73(1C),114
.23(1C),112.32(1C),105.69(1C),50.94(2C),21.42(1C).
97(t,J=7.3Hz,2H),6.80(t,J=7.0Hz,1H),1.32(m,12H),1.02(m,18H);13C−NMR(126MHz,C6D6):155.31(t,J=54Hz,1C),137.54(t,J=6Hz,2C),126.79(t,J=4Hz,2C),121.33(t,J=4Hz,1C),14
.25(t,J=20Hz,6C),8.32(s,6C);31P−NMR(202MHz,C6D6)δ11.1;Elemental analysis,Calcd for C18H35ClNiP2;C,53.05;H,8.66.found C,52.
81;H,8.57.
18(s,3H),4.97(s,1H),6.07(s,2H),6.13-6.09(m,2H),6.21(t,J=7.5Hz,2H),6.56(d,J=7.5Hz,1H),6.69-6.66(m,6H),6.79(d,J=9.5Hz,1H
),6.82(d,J=8.0Hz,1H),6.92-6.93(m,6H),7.
03(t,J=8.0Hz,1H),7.08(d,J=7.5Hz,2H),7.
13-7.17(m,2H),7.22-7.25(m,8H);13C−NMR(126MHz,THF−d8);δ8.57(s,3C),13.46(d,J=21Hz,3C),21.49(s,1C),53.67(s,2C),111.50(s,1C),114.11(s,1C),118.50(s,1C),119.83(s,1C),119.87(s,1C),125.41(s,1C),125.55(s,1C),125.83(d,J=1.3Hz,2C),126.21(d,J=1.3Hz,1C),126.44(s,1C),126.51(s,2C),126.78(s,2C),126.97(s,1C),128.48(s,8C),129.39(s,4C),129.72(s,2C),131.37(s,4C),136.87(s,1C),137.93(s,1C),138.48(d,J=3.8Hz,2C),14
1.34(s,2C),143.51(s,2C),145.44(s,2C),15
1.00(d,J=39.1Hz,1C),156.84(s,1C),165.04(d,J=102.1Hz,1C);31P−NMR(202MHz,THF−d8)δ10.6;Elemental analysis,Calcd for C56H53N2NiOP;C,78.24;H,6.21;N,3.26;found C,77.9
5;H,6.55;N,3.23.
),3.45(s,2H),2.05(s,3H),1.22(s,72H);13C−NMR(126MHz,CDCl3)δ150.33(8C),142.42(4C),140.04(1C),130.34(2C),128.90(2C),126.39(1C),124.12(8C),119.88(4C),53.21(2C),34.
90(8C),31.60(24C),21.21(1C);Elementalanalysis,Calcd forC65H93N C,87.87;H,10.55;N,1.58.found C,87.81;H,10.57;N,1.63.
62(s,4H),6.49(d,J=7.0Hz,1H),6.42(d,J=9.5Hz,1H),5.63(s,1H),5.09(s,2H),2.27(s,3H),1.19(s,36H),1.08(s,36H);13C−NMR(126MHz,CDCl3)δ164.91(1C),150.91(4C),150.65(4C),142.35(1C),141.57(2C),140.92(2C),139.81(1C),131.96(1C),130.10(2C),129.71(2C),129.30(2C),126.73(1C),126.47(1C),123.95(4C),123.15(4C),122.79(1C),120.54(1C),1
20.45(2C),120.29(2C),114.86(1C),111.06(1C),107.64(1C),53.16(2C),34.92(4C),34.76(4C),31.52(12C),31.51(12C).;HRMS−ESI(m/z)calcd for C76H99N2O([M+H]+)1055.7757,found 1055.7736.
),7.28-7.26(m,6H),6.80(d,J=8.0Hz,1H),6.7
7-6.74(m,3H),6.69(s,4H),6.52(d,J=7.0Hz,1H),6.19(d,J=9.5Hz,1H),5.89-5.84(m,3H),5.
80(s,2H),5.46(s,1H),2.10(s,3H),1.30(s,36H),1.24-1.18(m,15H),1.01(s,36H);13C−NMR(126MHz,THF−d8)δ164.16(d,J=102 Hz,1C),1
56.96(d,J=3.8Hz,1C),151.38-150.98(dd,J=42.8,7.6Hz,1C),150.49(s,4C),150.22(s,4C),144.74(s,2C),142.98(s,2C),140.41(s,2C),139.12(d,J=5.0Hz,2C),136.53(d,J=15.1Hz,1C),129.57(s,2C),127.20(s,1C),126.23(s,1C),125.76(s,4C),125.63(m,3C),125.47(s,1C),125.34(d,J=2.5Hz,1C),124.66(s,1C),124.06(s,1C),123.17(s,4C),120.04(s,2C),120.01(s,2C),119.84(s,1C),119.10(d,J=2.5Hz,1C),114.38(s,1C),111.37(s,1C),55
.46(s,2C),35.33(s,4C),34.96(s,4C),31.70(s,12C),31.57(s,12C),21.62(s,1C),13.34(d,J=21.4Hz,3C),8.63(s,3C);31P−NMR(202MHz,THF−d8)δ12.5;Elementalanalysis,Calcd forC88H117N2NiOP C,80.77;H,9.01;N,2.14.found C,80.84;H,9.22;N,2.05.
[重合手順]
50mLステンレス鋼オートクレーブを120℃乾燥機で3時間乾燥した後に、組み立てて、125℃で2時間減圧乾燥した。室温まで冷却後、アルゴン下で、オートクレーブに錯体8又は錯体9(10μmol、5.0mL、2.0mmol/Lトルエン溶液)とNi(COD)2(20μmol、3.0mL、6.7mmol/Lトルエン溶液)を加えた。混合物は、5分間室温で撹拌した後に酢酸アリル(2.0mL,20mmol)を加えた。その後、オートクレーブはエチレン3.0MPaで充填し、60℃で15時間撹拌した。室温まで冷却後、エチレンをパージし、反応はエタノール20mLでクエンチし、100℃で2時間減圧乾燥し、目的とする重合物を得た。
アルゴン雰囲気下で、80mLシュレンクフラスコ中で、2(1.59g、6.91mmol)をTHF(20mL)に溶解させた。アセトン−ドライアイスバス中で、溶液にn−BuLi(5.4mL、8.29mmol)を滴下した。反応溶液は、黄色から暗赤色に変わった。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した。その後、t−Bu2PC(1.
7mL,8.98mmol)を滴下し、アセトン−ドライアイスバスを外した。混合物は室温で終夜撹拌した後に、水(2.0mL)をゆっくり加え、反応をクエンチした。その後、揮発成分を減圧下で除去し、メタノール(15mL)を加えて粗生成物を溶解した。H2O2(1.4mL、13.8mmol)を混合物にゆっくりと加え、室温で1時間撹拌した。過剰なH2O2をNaHSO3でクエンチし、混合物はジクロロメタンで二回抽出し、有機相をNa2SO4で脱水した。揮発性成分を除去した後に、粗生成物はTHF(20mL)に溶解させた。HCl(1.0M,20mL)を加え、50℃で終夜撹拌した。混合物に水と炭酸ナトリウムを加えた。混合物は、ジクロロメタンで抽出し、有機相をNa2SO4で脱水した。溶媒を除去した後に、粗生成物は、シリカゲルカラムで精製した:一度目は、展開溶媒に酢酸エチル/ヘキサン=1/1を用い、二度目はジクロロメタン/メタノール=7/1を用い粗3−Bu(1.66g)を得た。
0.36.
,3H),1.186(s,9H),1.149(s,9H).31P−NMR(162MHz,THF−d8)δ61.11.
86mmol)とアセトニトリル(6mL)を加えた。混合物は遮光して、室温で2日間撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはアセトニトリル(5mL)で洗浄した。ろ液に(COD)PdMeCl(120mg、0.45mmol)を加え、遮光して室温で終夜撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはアセトニトリル(3mL)で洗浄し、揮発成分を減圧下で除去した。得られた固体にTHF(3mL)とジエチルエーテル(5mL)を加え、混合物は0.5時間撹拌した。その後、混合物は−35℃で1時間冷却し、薄い黄色固体をろ過により回収した。回収した固体はジエチルエーテル(5mL)で洗浄し、1時間減圧乾燥し、10−Clを薄い黄色固体として得た(228mg、89%)。グローブボックス中で、バイアルに10−Cl(50mg、0
.084mmol)とNaBArf4(テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、74mg、0.084mmol)を加え、2,6−ルチジン(18mg、0.17mmol)とトルエン(5mL)を添加した。混合物は室温で2時間撹拌した。その後、バイアルはグローブボックスから取り出し、精製を空気下で行った。混合物はセライトを通してろ過し、セライトをジクロロメタン(5mL)で洗浄した。ろ液の揮発成分を減圧下で除去し、得られた粗生成物にジエチルエーテル(10mL)を加え、混合物はセライトを通してろ過し、セライトをジエチルエーテル(3mL)で洗浄した。その後、揮発成分を減圧下で除去し、80℃で1時間減圧乾燥し、黄色固体として錯体10を得た(119mg、92%)。
,2H),7.511(s,4H),7.466(m,1H),7.447(s,1H
),7.303(d,J=8Hz,2H),7.095(d,J=7.5Hz,2H),7.023(m,1H),6.860(t,J=8Hz,1H),2.993(s,6H),2.861(sept,J=6.8Hz,2H),1.366(d,J=7Hz,6H),1.219(s,9H),1.189(s,9H),0.990(d,J=6.5Hz,6H),0.268(s,3H).31P−NMR(202MHz,THF−d8)δ62.64.
,J=7.8Hz,1H),7.511(s,4H),7.289(m,5H),7.1
79−7.083(m,16H),6.909(m,1H),6.849(s,2H),6.737(m,2H),6.707(m,4H),3.133(s,6H),2.2
55(s,3H),1.291(s,9H),1.261(s,9H),0.084(s
,3H).31P−NMR(202MHz,THF−d8)δ62.67.
[重合手順]
50mLステンレス鋼オートクレーブを120℃の乾燥機で3時間乾燥した後に、組み立てて、125℃で2時間減圧乾燥した。室温まで冷却後、アルゴン下で、オートクレーブに錯体10又は錯体11(2.5μmol、5.0mL、0.50mmol/Lトルエン溶液)とトルエン(5〜9mL)を加えた。その後、必要に応じてコモノマー(MA)を加えた。その後、オートクレーブはエチレン3.0MPaで充填し、表4に記載の温度・時間撹拌した。室温まで冷却後、エチレンをパージし、反応はエタノール20mLでクエンチし、重合物をろ過により回収した。重合物を100〜120℃で2時間減圧乾燥し、目的とする重合物を得た。共重合体中のコモノマー含有率は、1H−NMR測定により、エチレン:コモノマーのモル比を決定し、コモノマー含量mol%という表記で表4に記載した。表中のMAは、メチルアクリレートを表す。
錯体12の合成
化合物l(0.22g、0.45mmol)と亜硫酸ナトリウム(0.56g、4.4
5mmol)をテトロヒドロフラン/水10mL中で、1時間室温にて撹拌した。撹拌終了後、溶媒を減圧除去し、残渣をメタノールで抽出し、抽出液に水を添加し、再沈殿によって化合物mを白色固体として得た(0.10g、収率67%)。
3−8.04(m,1H),8.00−8.02(m,1H),7.62(t,J=7
.8Hz,1H),7.45(d,J=7.8Hz,2H),5.05(s,2H),2.27(sept,J=6.9Hz,2H),1.14(d,J=6.9Hz,6H)1.12(d,J=6.9Hz,6H);13CNMR(DMSO−d6,δ,ppm)145.1,138.6,131.4,130.5,124.4,124.2,124
.1,63.1,28.0,23.9,23.7
化合物n(0.29g、0.65mmol)と[(2,6−ルチジン)パラジウムメチルクロライド]2(0.17g、0.33mmol)をクロロホルム5mLに溶解させ、1時間室温にて撹拌した。撹拌終了後、反応溶液はセライトろ過し、ヘキサンを加えて再沈殿させ、錯体12を白色固体として得た(0.15g、42%)
6(t,J=7.8Hz,1H),7.27−7.29(m,3H),7.02(d,J=7.5Hz,2H),6.91(d,J=1.8Hz,1H),5.40(s,2H)
,3.00(s,6H))2.90(sept,J=6.0Hz,2H),1.37(d
,J=6.0Hz,6H)1.08(d,J=5.9Hz,6H),−0.15(s,3H);13CNMR(CDCl3,δ,ppm)171.3.1,159.0,145.
9,138.0,135.2,130.1,124.5,123.7,122.6 12
2.3,66.0,28.5,26.5,25.8,22.6、−13.2
錯体12(5.5mg、0.01mmol)を重クロロホルム2.5mLに溶かしオー
トクレーブ中でエチレン3MPaを圧入し、80℃で15時間撹拌の後、揮発成分を除去したところ、ポリマーは得られなかった。
錯体12(5.5mg、0.01mmol)を重クロロホルム2.5mLに溶かしオー
トクレーブ中でエチレン0.1MPaを圧入し、40℃で15時間撹拌の後、反応溶液を分析したところ、炭素数13までのオリゴマーしか得られず、ポリマーは得られなかった。
各実施例においては、本発明の錯体を用いることにより、概して、分子量が高くコモノマー含量も高い、エチレン及びプロピレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合体が得られている。なお、重合活性(触媒活性)も良好な実施例も見られる。一方、各比較例では本発明の錯体を用いていないので、ポリマーは得られていない。
したがって、エチレン及びプロピレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合の重合用触媒における、本発明の構成の有意性と合理性及び有用性並びに従来技術に対する卓越性が立証されている。
かくして、重合性能の高められた重合用触媒の実現により、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル及びアリルモノマーとの共重合反応が工業的に実施し得ることになり、ポリオレフィン共重合体の産業分野において格別に有用となる。
Claims (9)
- 下記一般式(5)〜(8)で表されることを特徴とする、カルベン前駆体化合物。
一般式(5)〜(8)において、R5〜R10は、ハロゲン原子又はヘテロ原子含有基又はヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜40の炭化水素基を表す。Zは、、SR3、SO3R3、N=CR3R4、CR3=NR4、N(R3)2、P(R3)2、P(O)(OR3)2−y(R4)yを表し、Z−は、O−、SO3 −を表す。(ここで、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、yは0〜2の整数を表す)。R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜40の炭化水素基である。A−は、カウンターアニオンを表し、任意の陰イオンを表す。E1は窒素原子,E2は炭素原子を表す。 - 一般式(5)〜(8)において、前記Zが、SO3R3、P(O)(OR3)2−y(R4)yを表し、Z−が、O−、SO3 −を表すことを特徴とする、請求項1に記載のカルベン前駆体化合物。
- 請求項1又は2に記載の化合物と、周期表10族の遷移金属化合物の錯体前駆体とを反応させて得られることを特徴とする金属錯体。
- 請求項3又は4に記載の金属錯体を含むことを特徴とする、オレフィン重合用触媒成分。
- 下記の成分(A)及び(B)、更に必要に応じて(C)を含むことを特徴とする、オレフィン重合用触媒。
成分(A):請求項3又は4に記載の金属錯体
成分(B):成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
成分(C):有機アルミニウム化合物 - 前記成分(B)がアルミノキサンであることを特徴とする、請求項6に記載のオレフィン重合用触媒。
- 請求項3〜7のいずれか1項に記載の金属錯体又は重合用触媒の存在下に、α−オレフィンを重合又は共重合することを特徴とする、α−オレフィン重合体の製造方法。
- 請求項3〜7のいずれか1項に記載の金属錯体又は重合用触媒の存在下に、(a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーを共重合することを特徴とする、α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体又はα−オレフィン・アリルモノマー共重合体の製造方法。
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