JP6581912B2 - 新規なカルベン前駆体化合物及びそれらによるオレフィン系重合用触媒並びにオレフィン系共重合体の製造方法 - Google Patents

新規なカルベン前駆体化合物及びそれらによるオレフィン系重合用触媒並びにオレフィン系共重合体の製造方法 Download PDF

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本発明は、新規なカルベン前駆体化合物及びそれらによるオレフィン系重合用触媒並びにオレフィン系共重合体の製造方法に関し、特に、これらの新規な化合物を用いたオレフィン系重合用触媒を使用することにより、触媒活性が良好で、分子量が高くコモノマー含量も高い、エチレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合体の製造方法に係わるものである。
エチレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体は、極性基を有するエチレン系重合体などとして産業上非常に有用なポリマーである。
従来においては、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体は高圧ラジカル法を用いて製造されてきたが、高圧法以外で共重合体を得ることは工業的に困難であり、チーグラー触媒やメタロセン触媒を用いた場合には触媒失活を避けられなかった。また、エチレンとアリル基を有するモノマーの重合はビニルモノマーと比べて難しく、その重合体の製造方法は殆ど実用化されていない。
その後、メタロセン触媒においては有機希土類金属錯体系メタロセン触媒により、エチレンとメチルメタアクリレートとの共重合が可能となり、1990年代以降には、後周期遷移金属錯体触媒による、極性基含有コモノマー共重合が精力的に研究されており、例えば、Brookhartらにより報告された(α−ジイミン)パラジウム錯体や、Grubbsらにより報告された(サリチルアミジナート)ニッケル触媒、更には、いわゆるSHOP系触媒と呼ばれる(フォスファニルフェノラート)ニッケル触媒が知られている。これらの触媒では、連鎖移動の頻発を抑制するために重合温度は低めに設定されており、コポリマーの生産性は低く、分子量も低いのが一般的であった(例えば、非特許文献1を参照)。
2002年に、Pughらは、オルソメトキシフェニル基を有するホスフィンスルホナート配位子をパラジウム化合物と組み合わせて触媒成分として用いると、高温(80
℃)でも共重合可能なことを報告した(特許文献1及び非特許文献2を参照)。この技術は、コモノマーであるアクリル酸エステルを高含量で共重合できるメリットがあったが、その触媒活性は不十分であった。
このホスフィンスルホナート配位子はキレート性又は潜在的キレート性であると予想され、野崎らは、触媒活性成分として(ホスフィンスルホナート)パラジウム(メチル)ルチジン錯体を単離し、エチレンとアクリル酸エステルの共重合触媒としての有用性を報告している(例えば、特許文献2及び非特許文献3を参照)。また、−COH基を有するホスフィンカルボキシラート配位子の場合には、ニッケルと錯形成してキレート状金属錯体となることが報告されている(非特許文献4を参照)。
Goodallらは、ホスフィンスルホナート配位子のオルソメトキシフェニル基を改良して、ビフェニル基を有するホスフィンスルホナート配位子を開発した(例えば、特許文献3〜8及び非特許文献5を参照)。これをエチレンとアクリル酸エステルの共重合に用いることで、分子量(Mw)が十万以上のコポリマーを製造可能になったことが開示されているが、その触媒性能は不十分であった。
更に最近では新たに、N−ヘテロサイクリックカルベン(NHC)を配位子骨格中に含む単座又は二座キレート配位子を使用したパラジウム及びニッケル錯体が既にいくつか報告されている。代表的には、二座キレート配位子として、NHC−ピリジン(非特許文献6を参照)、NHC−スルホン酸(非特許文献7を参照)、NHC−エノレート(非特許文献8を参照)、NHC−フェノレート(非特許文献9を参照)、NHC−インデニル(非特許文献10を参照)、単座−NHC(非特許文献11を参照)などが開示されている。
これらの先行文献の内、α−オレフィンを重合することが知られているのは、NHC−ピリジン(エチレン)、NHC−エノレート(エチレン、プロピレン)、NHC−インデニル(スチレン)及び単座NHC(ノルボルネン)を有するパラジウム又はニッケル錯体である。
α−オレフィンをエチレン又はプロピレンに限定すると、NHC−ピリジンパラジウム錯体及びNHC−エノレートニッケル錯体においてのみ、重合結果が報告されている。NHC−ピリジンパラジウム錯体はエチレンオリゴマーしか重合できず、生成物の分子量が低い。NHC−エノレートニッケル錯体についても、オレフィン重合体の分子量は低い。また、全てのNHCを含有するα−オレフィン重合触媒において、共重合についての記載は見られない。
なお、オレフィンとアリルモノマーの共重合体としては、リンスルホン酸パラジウム錯体を使用したアリルモノマー共重合体が知られている程度である(特許文献9を参照)。
かかる技術状況からして、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合においては、分子量が高くコモノマー含量も高い共重合体の製造を可能とし、触媒活性も良好な新たな重合用触媒の開発が求められている。
特表2002−521534号公報 特開2007−046032号公報 特開2007−063280号公報 特開2007−077395号公報 特開2007−117991号公報 特開2008−214628号公報 特開2008−214629号公報 特開2008−214630号公報 特開2013−079347号公報
S.Mecking etal.,J.Am.Chem.Soc.,1998,120,888. E.Drent etal.,Chem.Commun.,2002,744. K.Nozaki etal.,Dalton TRANSACTIONS,2006,25. W.Keim,Stud.Surf.Sci.Catal.,1986,25,201. J.P.Claverie etal.,Macromolecular Rapid Communications,2007,28,2033−2038. Organometallics,2012,31,976 Organometallics,2011,30,4632 Chem.Commun.,2005,5693;Journalof Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry2007,45,3637 Organometallics,2004,23,3105 Journal of Organometallic Chemistry,2007,692,903 Journal of Organometallic Chemistry,2009,694,297
前述した背景技術の状況を踏まえて、本発明は、エチレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合の分野において、分子量とコモノマー含量が共に高い共重合体の製造を可能とする重合用触媒の開発を課題とするものであり、特に、共重合体の高分子量化を可能とする、N−ヘテロサイクリックカルベン (NHC)を配位子骨格中に含むキレート配位子の開発を、発明が解決すべき課題とするものである。
本発明者らは、上記した本発明の課題の解決を目指して、エチレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合体の高分子量化を可能とする、N−ヘテロサイクリックカルベン (NHC)を配位子骨格中に含むキレート配位子化合物を求めて、N−ヘテロサイクリックカルベンを種々探索した結果、特定の構造を有する新規なカルベン前駆体化合物が、上記の目的の重合用触媒の成分として格別に機能することを見い出し、本発明を創作するに至った。
その特定の構造を有するカルベン前駆体化合物は、本発明の基本の発明を構成する新規な化合物であり、カルベンを発生させる5員環構造に、環構造が連結したN−ヘテロサイクリックカルベン前駆体であって、環構造は、カルベンを発生させる5員環構造中の窒素原子を含むように連結している。
即ち、かかるN−ヘテロサイクリックカルベン前駆体は、下記一般式(1)又は(2)で表される新規なカルベン前駆体化合物である。
Figure 0006581912
一般式(1)及び一般式(2)において、Zは、OR、SR、SO、N=CR、CR=NR、N(R、P(R、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、SOM’、POM’、P(O)(ORM’、P(R(O)を表す。(ここで、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はホスホニウムを表し、yは0〜2の整数を表す)。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜40の炭化水素基である。Xは、炭素数3〜9の飽和又は不飽和な二価の炭化水素基を表し、Xが形成する環上に置換基を有していてもよい。Raは、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xから成る環の一部と縮環してもよい。Aは、カウンターアニオンを表し、任意の陰イオンを表す。E及びEは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。nは、0又は1の整数を表す。
上記の基本発明における付帯的発明及び実施態様発明として、基本発明のXが形成する環に更にXが形成する環が縮環したカルベン前駆体化合物(請求項2)、X及びXが形成する環が共に6員環であるカルベン前駆体化合物(請求項3)、Xが形成する環が6員環であり、Xがないカルベン前駆体化合物(請求項4)、一般式(1)〜(8)において、Zを更に特定するカルベン前駆体化合物(請求項5及び6)、カルベン前駆体化合物に錯体前駆体を反応させた金属錯体(請求項7及び8)、Mを特定する金属錯体(請求項9)、金属錯体を含むオレフィン重合用触媒成分(請求項10)、金属錯体及び助触媒からなるオレフィン重合用触媒(請求項11)、助触媒成分を特定するオレフィン重合用触媒(請求項12)、金属錯体又は重合用触媒の存在下の重合によるα−オレフィン重合体の製造方法(請求項13)、金属錯体又は重合用触媒の存在下の共重合によるα−オレフィン共重合体の製造方法(請求項14)が、提示される。
かかる請求項1〜13による本発明によって、特に請求項1に係るN−ヘテロサイクリックカルベン(NHC)を配位子骨格中に含むキレート配位子の開発により、本発明における発明の課題が解決され、後記する各実施例のデータ、及び実施例と比較例の対照により明らかにされているとおり、エチレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合の分野において、触媒活性が良好で、分子量とコモノマー含量が共に高い共重合体の製造を可能とする重合用触媒の開発がなされている。
以上においては、本発明が創作される経緯と、本発明の基本的な構成要素と特徴について概観的に記述したので、ここで本発明の全体を俯瞰すると、本発明は次の発明の単位群から構成されるものであって、[1]の発明を基本的発明とし、それ以下は、基本発明の付帯的発明又は実施態様化発明である。なお、発明群の全体をまとめて、「本発明」という。
[1]下記一般式(1)又は一般式(2)で表されることを特徴とする、カルベン前駆体化合物。
Figure 0006581912
一般式(1)及び一般式(2)において、Zは、OR、SR、SO、N=CR、CR=NR、N(R、P(R、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、SOM’、POM’、P(O)(ORM’、P(R(O)を表す。(ここで、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はホスホニウムを表し、yは0〜2の整数を表す)。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜40の炭化水素基である。Xは、炭素数3〜9の飽和又は不飽和な二価の炭化水素基を表し、Xが形成する環上に置換基を有していてもよい。Raは、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xから成る環の一部と縮環してもよい。Aは、カウンターアニオンを表し、任意の陰イオンを表す。E及びEは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。nは、0又は1の整数を表す。
[2]下記一般式(3)又は一般式(4)で表されることを特徴とする、[1]におけるカルベン前駆体化合物。
Figure 0006581912
一般式(3)又は一般式(4)において、Xは、炭素数2〜8の飽和又は不飽和な二価の炭化水素基を表し、Xは、炭素数3〜9の飽和又は不飽和な二価の炭化水素基を表す。Xが形成する環上に置換基を有していてもよい。A、Z、R、R、E及びEは、[1]に記載した通りである。
[3]下記一般式(5)又は一般式(6)で表されることを特徴とする、[1]又は[2]におけるカルベン前駆体化合物。
Figure 0006581912
一般式(5)又は一般式(6)において、R〜Rは、ハロゲン原子又はヘテロ原子含有基又はヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜40の炭化水素基を表す。A、Z、R、R、E及びEは、[1]に記載した通りである。
[4]下記一般式(7)又は一般式(8)で表されることを特徴とする、[1]におけるカルベン前駆体化合物。
Figure 0006581912
一般式(7)又は一般式(8)において、R10は、ハロゲン原子又はヘテロ原子含有基又はヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜40の炭化水素基を表す。A、Z、R、R、R、R、E及びEは、[1]又は[3]に記載した通りである。
[5]一般式(1)〜(8)において、前記Zが、OR、SR、SO、N=CR、CR=NR、N(R、P(R、P(O)(OR2−y(R、であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおけるカルベン前駆体化合物。
[6]一般式(1)〜(8)において、前記Zが、OR、SO、P(O)(OR2−y(Rであることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおけるカルベン前駆体化合物。
[7][1]〜[6]のいずれかにおける化合物と、周期表8〜10族の遷移金属化合物の錯体前駆体とを反応させて得られることを特徴とする金属錯体。
[8]下記一般式(9)又は一般式(10)で表されることを特徴とする、[7]における金属錯体。
Figure 0006581912
一般式(9)又は一般式(10)において、Mは、周期表の8〜10族に属する遷移金属を表す。L及びLは、Mに配位子したリガンドを表し、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水素原子、ヘテロ原子を含有する炭素数1〜20の炭化水素基を表す。L及びLは、互いに連結して環を形成してもよい。Z、R、R、X、n、Ra、E及びEは、[1]に記載した通りである。Aはカウンターカチオンを表し、任意の陽イオンを表す。
[9]前記Mは、周期表第10族に属する遷移金属であることを特徴とする、[8]における金属錯体。
[10][7]〜[9]のいずれかにおける金属錯体を含むことを特徴とする、オレフィン重合用触媒成分。
[11]下記の成分(A)及び(B)、更に必要に応じて(C)を含むことを特徴とする、オレフィン重合用触媒。
成分(A):[7]〜[9]のいずれかにおける金属錯体
成分(B):成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
成分(C):有機アルミニウム化合物
[12]前記成分(B)がアルミノキサンであることを特徴とする、[11]におけるオレフィン重合用触媒。
[13][7]〜[12]のいずれかにおける金属錯体又は重合用触媒の存在下に、α−オレフィンを重合又は共重合することを特徴とする、α−オレフィン重合体の製造方法。
[14][7]〜[12]のいずれかにおける金属錯体又は重合用触媒の存在下に、(a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーを共重合することを特徴とする、α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体又はα−オレフィン・アリルモノマー共重合体の製造方法。
本発明に係るN−ヘテロサイクリックカルベン前駆体化合物による重合用触媒を用いることにより、エチレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合の分野において、触媒活性が良好で、分子量とコモノマー含量が共に高い共重合体の製造を可能とする。
そして、この高性能の共重合触媒を用いて得られる、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステルの共重合体は、機械的かつ熱的な物性に優れ、有用な各種の成形体として応用可能である。
本発明は、特定の構造を有する新規なカルベン前駆体化合物、それらの金属錯体及びそれらの錯体を用いるオレフィン系重合用触媒並びにα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとのオレフィン系共重合体の製造方法に係るものである。
以下において、それらの新規な前駆体化合物、重合触媒、重合体の構成成分(モノマー成分)、及び重合方法などについて詳細に説明する。
1.新規なカルベン前駆体化合物
本発明の特定の構造を有する新規なカルベン前駆体化合物は、N−ヘテロサイクリックカルベン前駆体であり、下記の一般式(1)又は一般式(2)で示される。
Figure 0006581912
一般式(1)及び一般式(2)において、Zは、OR、SR、SO、N=CR、CR=NR、N(R、P(R、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、SOM’、POM’、P(O)(ORM’、P(R(O)を表す。(ここで、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、M’は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、4級アンモニウム又はホスホニウムを表し、yは0〜2の整数を表す)。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜40の炭化水素基である。Xは、炭素数3〜9の飽和又は不飽和な二価の炭化水素基を表し、Xが形成する環上に置換基を有していてもよい。Raは、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xから成る環の一部と縮環してもよい。Aは、カウンターアニオンを表し、任意の陰イオンを表す。E及びEは、それぞれ独立に、炭素原子又は窒素原子を表す。nは、0又は1の整数を表す。
本発明の一般式(1)又は一般式(2)で示される、N−ヘテロサイクリックカルベン前駆体は、代表例として、窒素原子を2個有する1,3ジアゾール環(5員環のイミダゾール)を有し、その5員環が他の環と縮環し、縮環が1個の窒素原子を包有して、縮環の炭素原子においてカルベンを形成している。即ち、カルベンを発生させる5員環構造に、環構造が連結したN−ヘテロサイクリックカルベン前駆体であり、環構造は、カルベンを発生させる5員環構造中の窒素原子を含むように連結している。
一般式(1)又は一般式(2)で示される、N−ヘテロサイクリックカルベン前駆体においては、5員環に縮環した環が更に縮環してもよく、それらの前駆体は下記の一般式(3)又は一般式(4)で示される。
Figure 0006581912
一般式(3)又は一般式(4)において、Xは、炭素数は2〜8の飽和又は不飽和な二価の炭化水素基を表し、Xは、炭素数3〜9の飽和又は不飽和な二価の炭化水素基を表す。Xが形成する環上に置換基を有していてもよい。A、Z、R、R、E及びEは、一般式(1)又は一般式(2)に記載した通りである。
かかる一般式(3)又は一般式(4)で示される前駆体化合物は、より具体的に下記の一般式(5)又は一般式(6)で示される前駆体化合物である。
Figure 0006581912
一般式(5)又は一般式(6)において、R〜Rは、ハロゲン原子又はヘテロ原子含有基又はヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜40の炭化水素基を表す。A、Z、R、R、E及びEは、一般式(1)又は一般式(2)などに記載した通りである。
かかる一般式(5)又は一般式(6)で示される前駆体化合物を、その合成法と共に具体的に下記に例示する。詳細な内容は実施例に記載されている。
Figure 0006581912
前駆体化合物(b)は、2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレートである。
Figure 0006581912
前駆体化合物(c)は、2−(2,6−ジベンズヒドリル−4−メチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレートである。
一般式(1)又は一般式(2)で示される、N−ヘテロサイクリックカルベン前駆体の他の例は、下記の一般式(7)又は一般式(8)で示される。
Figure 0006581912
一般式(7)又は一般式(8)において、R10は、ハロゲン原子又はヘテロ原子含有基又はヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜40の炭化水素基を表す。A、Z、R、R、R、R、E及びEは、一般式(1)又は一般式(2)などに記載した通りである。
ここで、本発明のカルベン前駆体化合物の代表例を例示すると以下のとおりである。
Figure 0006581912
一般式(1)〜(8)においては、Zは、OR、SR、SO、N=CR、CR=NR、N(R、P(R、CO、COM’、C(O)N(R、C(O)R、SO、SOR、OSO、P(O)(OR2−y(R、SOM’、POM’、P(O)(ORM’、P(R(O)を表す。
Zの具体例としては、OH、OCH、OCHCH、SH、SCH、SCHCH、SOH、SOCH、SOCHCH、N=CH、N=CHCH、N=CHCHCH、N=CH(Dip)、CH=NH、CH=NCH、CH=NCHCH、CH=N(Dip),C(CH)=N(Dip)、NH、N(CH、N(CHCH、PH、P(CH、P(CHCH、PPr、PPh、COH、COCH、COCHCH、COK、C(O)NH、C(O)N(CH、C(O)N(CHCH、C(O)H、C(O)CH、C(O)CHCH、SOH、SOCH、SOCHCH、SOH、SOCH、SOCHCH、OSOH、OSOCH、OSOCHCH、P(O)(OH)(CH)、P(O)(OCH)(CH)、SONa、SOK、PONa、PO、P(O)(OH)Na、P(O)(OCHK、P(Bu)(O)、P(Pr)(O),PPh(O)などが例示される。ここで、Dipは2,6−ジイソプロピルフェニル基、Phはフェニル基、Prはイソプロピル基、Buは、ターシャリーブチル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜40の炭化水素基である。ここで、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜40の炭化水素基の具体例としては、C(O)CH、C(O)CHCH、CHOCH、CHOCHCH、CHNH、CHCHNHなどが例示される。
炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜33の炭化水素基であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。好ましい具体例は、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基、t−ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、イソプロピル基、1−ジメチルプロピル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジベンズヒドリル−4−メチルフェニル基などである。
Raは、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基であり、CH、CHCH、C(O)CH、C(O)CHCH、CHOCH、CHOCHCH、CHNH、CHCHNHなどが例示される。
は、カウンターアニオンを表し、任意の陰イオンとして、COO、Cl、Brが例示される。先述したZの中には、脱離基が外れてマイナス一価に荷電する置換基があり、この場合は分子内で電気的に中性となるため、Aを必要としない。
一般式(5)〜(8)における、ハロゲン原子又はヘテロ原子含有基又はヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜40の炭化水素基の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、CH、CHCH、C(O)CH、C(O)CHCH、CHOCH、CHOCHCH、CHNH、CHCHNH、NOなどが例示される。
より具体的には、炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜30の炭化水素基であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。好ましい具体例は、1−プロピル基、1−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、1−ヘプチル基、1−オクチル基、1−ノニル基、1−デシル基、t−ブチル基、トリシクロヘキシルメチル基、1,1−ジメチル−2−フェニルエチル基、イソプロピル基、1−ジメチルプロピル基、フェニル基、ビフェニル基、アントラセニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基などである。
一般式(9)又は一般式(10)における、遷移金属のMとしては、Fe、Co、Ni、Pd、Ptが挙げられる。リガンドのL及びLとしては、ハロゲン原子、メチル基、フェニル基、ベンジル基、ピリジン、2,6−ルチジンなどが挙げられる。
2.金属錯体
本発明の金属錯体は、前記したカルベン前駆体化合物、即ち一般式(1)〜(8)で表されるN−ヘテロサイクリックカルベン前駆体から発生したカルベンを有する金属錯体である。
この金属錯体は、一般式(1)〜(8)のいずれかにおける化合物と、周期表8〜10族の遷移金属化合物の錯体前駆体とを反応させて得られることを特徴とする金属錯体である。
かかる金属錯体としては、下記一般式(9)又は一般式(10)で表されることを特徴とする。
Figure 0006581912
一般式(9)又は一般式(10)において、Mは、周期表の8〜10族に属する遷移金属を表す。L及びLは、Mに配位子したリガンドを表し、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水素原子、ヘテロ原子を含有する炭素数1〜20の炭化水素基を表す。L及びLは、互いに連結して環を形成してもよい。Z、R、R、X、n、Ra、E及びEは、一般式(1)又は一般式(2)などに記載した通りである。Aは、カウンターカチオンを表し、任意の陽イオンとして、K、Naが例示される。Mの価数及びZ、L及びLの種類によって、錯体全体としてマイナスに荷電することがあり、この場合カウンターカチオンAが必要になる。ここで、Mの価数とは、有機金属化学で用いられる形式酸化数(formal oxidation number)を意味する。
かかる一般式(9)又は一般式(10)で示される金属錯体を、その合成法と共に下記に例示する。詳細な内容は実施例に記載されている。
錯体合成反応は、α−オレフィンの重合又は共重合に使用する反応器中で行ってもよいし、該反応器とは別の容器中で行ってもよい。錯形成後に、金属錯体を単離抽出して触媒に用いてもよいし、単離せずに触媒に用いてもよい。
Figure 0006581912
この金属錯体は、2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレートと、クロロ(メチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムとから形成されている。
Figure 0006581912
この金属錯体は 2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレートと、Ni(cod)(codは1,5−シクロオクタジエンである)とから形成されている。
3.重合用触媒
本発明における重合用触媒、即ち、新規なカルベン前駆体化合物を用いたオレフィン系重合用触媒は、触媒活性が良好で、分子量が高くコモノマー含量も高い、エチレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合体の製造を可能となす触媒である。
この触媒は、前記した金属錯体を主要な触媒成分(A)とするものであり、成分(B)として、成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩を用い、必要に応じて成分(C)の有機アルミニウム化合物を使用する。
成分(B)の具体例としては、下記(B−1)〜(B−3)が挙げられる。
(B−1)アルミニウムオキシ化合物
(B−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸
(B−3)固体酸
(B−1)アルミニウムオキシ化合物においては、アルミニウムオキシ化合物がポストメタロセン錯体を活性化できることは周知であり、そのような化合物としては、具体的には次の各一般式(II)〜(IV)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006581912
上記の各一般式中において、Rは、水素原子又は炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数のRは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。一般式のうち、一番目及び二番目の式で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内及び各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
一般式の三番目で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式RB(OH)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式中、Rは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。
(B−2)の化合物は、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物又はルイス酸であり、このようなイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などの有機ホウ素化合物との錯化物が挙げられる。
また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。或いは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化合物が例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。
(B−3)の固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシアなどが挙げられる。
本発明の重合触媒は、一般式(1)〜(8)で表される新規なカルベン前駆体化合物と、8〜10族(後周期型;Fe、Co,Ni、Pdなど)の遷移金属化合物とを反応させて得られるα−オレフィン重合触媒である。
触媒組成物の合成は、一般に、8〜10族の遷移金属化合物と新規なカルベン前駆体化合物とを溶液又はスラリー中で接触して行うことができる。
遷移金属化合物として好ましくは、10族の遷移金属化合物であり、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、ビス(アリルパラジウムクロライド)、塩化パラジウム、臭化パラジウム、(シクロオクタジエン)パラジウム(メチル)クロライド、ジメチル(テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、(テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル(メチル)クロライド、ジメチル(テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル、(シクロオクタジエン)ニ
ッケル(メチル)クロライドなどを使用して合成する。
錯体形成反応は、α−オレフィンとの共重合に使用する反応器中で行ってもよいし、該反応器とは別の容器中で行ってもよい。錯体形成後に、金属錯体を単離抽出して触媒に用いてもよいし、単離せずに触媒に用いてもよい。更に、後述する多孔質担体の存在下に実施することも可能である。
また、本発明の触媒組成物は、一種類を単独で用いてもよいし、複数種の触媒組成物を併用してもよい。特に、分子量分布やコモノマー含量分布を広げる目的には、こうした複数種の触媒組成物の併用が有用である。
本発明の重合触媒は、単独で用いてもよく、また担体に担持して用いることもできる。使用可能な担体としては、本発明の主旨を損なわない限りにおいて、任意の担体を用いることができる。
一般に、無機酸化物やポリマー担体が好適に使用できる。具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThOなど又はこれらの混合物が挙げられ、SiO−Al、SiO−V、SiO−TiO、SiO−MgO、SiO−Crなどの混合酸化物も使用することができ、無機ケイ酸塩、ポリエチレン担体、ポリプロピレン担体、ポリスチレン担体、ポリアクリル酸担体、ポリメタクリル酸担体、ポリアクリル酸エステル担体、ポリエステル担体、ポリアミド担体、ポリイミド担体などが使用可能である。
これらの担体については、粒径、粒径分布、細孔容積、比表面積などに特に制限はなく、任意のものが使用可能である。
本発明のオレフィン重合用触媒は、重合槽の内外において、重合させるべきモノマーの存在下又は不存在下、上記の成分(A)及び(B)を接触させることにより調製することができる。
即ち、成分(A)及び(B)と必要に応じて成分(C)を重合槽に別々に導入してもよいし、成分(A)及び(B)を予め接触させた後に重合槽に導入してもよい。また、成分(A)及び(B)の混合物を成分(C)に含浸させた後に重合槽へ導入してもよい。
上記の各成分の接触は、窒素などの不活性ガス中において、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触温度は、−20℃から溶媒の沸点の範囲の温度、特に、室温から溶媒の沸点の範囲の温度が好ましい。この様にして調製された触媒は、調製後に洗浄せずに使用してもよく、また、洗浄した後に使用してもよい。更には、調製後に必要に応じて新たに成分を組み合わせて使用してもよい。
触媒成分は、重合槽内で、或は重合槽外でオレフィンの存在下で予備重合を行ってもよい。オレフィンとは炭素間二重結合を少なくとも1個含む炭化水素をいい、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチルブテン−1、スチレン、ジビニルベンゼンなどが例示されるが、特に種類に制限はなく、これらと他のオレフィンとの混合物を用いてもよい。好ましくは炭素数2又は3のオレフィンである。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
4.重合用モノマー
本発明において、共重合体の製造に用いられるモノマーとしては、以下に説明する、(a)α−オレフィン、(b)(メタ)アクリル酸エステル、(c)アリルモノマーが挙げられる。
それぞれの原料のモノマー成分は、単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。
本発明に用いられるモノマーの一つは、一般式CH=CH(R)で表される、(a)成分のα−オレフィンである。ここで、Rは、水素又は炭素数1〜20のアルキル基である。
なかでも、好ましい(a)成分として、Rが水素及び炭素数1〜10のRを有するα−オレフィンが挙げられる。更に好ましい(a)成分としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられ、特に好ましい(a)成分としては、エチレンが挙げられる。
本発明に用いられるモノマーの他の一つは、(b)成分の(メタ)アクリル酸エステルであり、一般式CH=C(R)CO(R´)で表される。ここで、Rは、水素又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、分岐、環、及び/又は不飽和結合を有していてもよい。R´は、炭素数1〜30のアルキル基である。更に、R´内の任意の位置にヘテロ原子を含有していてもよい。
好ましくは、炭素数1〜5のRを有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。より好ましくは、Rがメチル基であるメタクリル酸エステル、Rが水素であるアクリル酸エステルが挙げられる。
好ましい具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジルなどが挙げられる。特に好ましい具体例としては、アクリル酸メチルが挙げられる。
本発明における他の共重合モノマーとしてのアリルモノマーは、炭素数3のアリルモノマー(プロぺニルモノマー)、アリル基を有する、炭素数4以上のアリル系モノマーが例示される。好ましい具体例として、酢酸アリル、アリルアルコール、アリルアミン、N−アリルアニリン、N−t−ブトキシカルボニル−N−アリルアミン、N−ベンジルオキシカルボニル−N−アリルアミン、N−アリル−N−ベンジルアミン、塩化アリル、臭化アリル、アリルエーテル、ジアリルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、特に酢酸アリル、アリルアルコール、アリルエーテル、ジアリルエーテルが好ましく、酢酸アリル、アリルエーテルがより好ましい。
5.共重合反応
本発明における共重合反応は、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素溶媒や液化α−オレフィンなどの液体、また、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、安息香酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、ホルミルアミド、アセトニトリル、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなどのような極性溶媒の存在下或いは非存在下に行われる。また、ここで記載した液体化合物の混合物を溶媒として使用してもよい。なお、高い重合活性や高い分子量を得るうえでは、上述の炭化水素溶媒がより好ましい。
本発明における共重合に際して、公知の添加剤の存在下又は非存在下で共重合を行うことができる。添加剤としては、ラジカル重合禁止剤や、生成共重合体を安定化する作用を有する添加剤が好ましい。例えば、キノン誘導体やヒンダードフェノール誘導体などが好ましい添加剤の例として挙げられる。
具体的には、モノメチルエーテルハイドロキノンや、2,6−ジ−t−ブチル4−メチルフェノール(BHT)、トリメチルアルミニウムとBHTとの反応生成物、4価チタンのアルコキサイドとBHTとの反応生成物などが使用可能である。
また、添加剤として、無機及び又は有機フィラーを使用し、これらのフィラーの存在下で重合を行ってもよい。
本発明において、重合形式に特に制限はない。媒体中で少なくとも一部の生成重合体がスラリーとなるスラリー重合、液化したモノマー自身を媒体とするバルク重合、気化したモノマー中で行う気相重合、又は、高温高圧で液化したモノマーに生成重合体の少なくとも一部が溶解する高圧イオン重合などが好ましく用いられる。
また、重合様式としては、バッチ重合、セミバッチ重合、連続重合のいずれの様式でもよい。
未反応モノマーや媒体は、生成共重合体から分離し、リサイクルして使用してもよい。リサイクルの際、これらのモノマーや媒体は、精製して再使用してもよいし、精製せずに再使用してもよい。生成共重合体と未反応モノマー及び媒体との分離には、従来の公知の方法が使用できる。例えば、濾過、遠心分離、溶媒抽出、貧溶媒を使用した再沈などの方法が使用できる。
共重合温度、共重合圧力及び共重合時間に特に制限はないが、通常は、以下の範囲から生産性やプロセスの能力を考慮して、最適な設定を行うことができる。
即ち、共重合温度は、通常−20℃から290℃、好ましくは0℃から250℃、共重合圧力は、0.1MPaから100MPa、好ましくは、0.3MPaから90MPa、共重合時間は、0.1分から10時間、好ましくは、0.5分から7時間、更に好ましくは1分から6時間の範囲から選ぶことができる。
本発明において、共重合は、一般に不活性ガス雰囲気下で行われる。例えば、窒素、アルゴン雰囲気が使用でき、窒素雰囲気が好ましく使用される。なお、少量の酸素や空気の混入があってもよい。
共重合反応器への触媒とモノマーの供給に関しても特に制限はなく、目的に応じて様々な供給法をとることができる。例えばバッチ重合の場合、予め所定量のモノマーを共重合反応器に供給しておき、そこに触媒を供給する手法をとることが可能である。この場合、追加のモノマーや追加の触媒を共重合反応器に供給してもよい。また、連続重合の場合、所定量のモノマーと触媒を共重合反応器に連続的に、又は間歇的に供給し、共重合反応を連続的に行う手法をとることができる。
共重合体の組成の制御に関しては、複数のモノマーを反応器に供給し、その供給比率を変えることによって制御する方法を一般に用いることができる。その他、触媒の構造の違いによるモノマー反応性比の違いを利用して共重合組成を制御する方法や、モノマー反応性比の重合温度依存性を利用して共重合組成を制御する方法が挙げられる。
共重合体の分子量制御には、従来公知の方法を使用することができる。即ち、重合温度を制御して分子量を制御する方法、モノマー濃度を制御して分子量を制御する方法、連鎖移動剤を使用して分子量を制御する方法、遷移金属錯体中の配位子構造の制御により分子量を制御するなどが挙げられる。
以下において、本発明を実施例によって具体的に説明し、実施例のデータ、及び実施例と比較例の対照により、本発明の構成の合理性と有意性及び有用性並びに従来技術に対する卓越性を実証する。
[重合体の構造の解析方法]
実施例で得た(共)重合体の構造は、日本電子(株)製JNM−ECS400を用いた各種NMR解析により決定した。極性基を有するオレフィンに由来するモノマーユニットの含有率と共重合体末端構造は、溶媒として1,2,4−トリクロロベンゼン(0.55mL)及び緩和試薬としてCr(acac)(10mg)を用い、120℃において、逆ゲート付きデカップリング法を用いた13C−NMR(9.0マイクロ秒の90°パルス、スペクトル幅:31kHz、緩和時間:10秒、取り込み時間:10秒、FIDの積算回数5,000〜10,000回)、又は溶媒として1,1,2,2−テトラクロロエタン−dを使用した120℃におけるH−NMRによって決定した。ここでacacは、アセチルアセトネートを表す。
[数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)]
東ソー(株)製・TSKgel・GMHHR−H(S)HTカラム(7.8mmI.D.×30cmを2本直列)を備えた東ソー(株)製高温GPC装置、HLC−8121GPC/HTを用い、単分散ポリスチレンを分子量の標準物質とするサイズ排除クロマトグラフィー(溶媒:1,2−ジクロロベンゼン、温度:145℃)により算出した。
なお、以下の合成例で特に断りのない限り、操作は精製窒素雰囲気下で行い、溶媒は脱水・脱酸素したものを用いた。
[実施例化合物の合成]
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(化合物bの合成)
Figure 0006581912


2,6−ジイソプロピルアニリン(364.4mg,2mmol)とホルマリン(0.18mL,2.2mmol)を無水エタノール3mL中、室温化で混合した溶液Aを、先ず調製した。ここでは、2,6−ジイソプロピルフェニルをDipと表記している。氷冷無水エタノールに無水酢酸(0.17mL,2.4mmol)を滴下することで調整した塩酸エタノール溶液に、8−ヒドロキシ−2−キノリンカルボアルデヒド(34
6.4 mg,2.0mmol,化合物a)を溶解させた室温溶液に対して、溶液Aを滴下し、そのまま1日室温下で撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、高真空化で乾燥した。得られた固体を塩化メチレンに溶解し、1M塩酸で洗浄した。有機層をブラインで洗浄したのち、有機層に対し過剰の炭酸ナトリウムを加え撹拌し中和した。固形分をセライトろ過によって除去したのち、溶液を濃縮し、エーテルに対し滴下することで目的の化合物bが沈殿として得られた(収率80%).
HNMR(DMSO−d,δ,ppm):11.81(d,J=1.8Hz,1H)
,8.31(d,J=1.9Hz,1H),7.64(t,J=7.8Hz,1H),7
.47(d,J=7.7Hz,2H),7.45(d,J=9.5Hz,1H),7.
37(d,J=9.6Hz,1H),7.15(dd,J=7.4,8.4Hz,1H)
,6.57(dd,J=1.2,8.4Hz,1H),6.47(dd,J=1.1,7.3Hz,1H), 2.24(sept,J=6.9Hz,2H),1.14(d,J=6.6Hz,6H),1.13(d,J=6.6Hz,6H)
2−(2,6−ジベンズヒドリル−4−メチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(化合物cの合成)
Figure 0006581912
化合物bと同様の合成方法及びスケールで、2,6−ジイソプロピルアニリンを2,6−ベンズヒドリル−4−メチルアニリンに変更することで化合物cを得た(収率76
%)。ここでは、2,6−ベンズヒドリル−4−メチルフェニルをDipと表記している。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ10.83(s,1H),7.34(d
,1H),7.24−7.05(m,15H),6.96−6.86(m,8H),6.83(s,2H),6.63(d,1H),6.56(d,1H),5.18(s,2H),2.20(s,3H)
錯体1の合成
Figure 0006581912
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(166.3mg,0.48mmol,化合物b)とカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(100mg,0.50mmol)をテトラヒドロフラン10mL中で5分間撹拌した。このテトラヒドロフラン溶液に、クロロ(メチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(132.5mg,0.50mmol)を加えると、瞬時に暗褐色溶液に変化した。20分間撹拌した後に、溶液はセライトろ過し、ヘキサン中に滴下した。黄色の析出物をろ過により回収し、ヘキサンで洗浄した後に、減圧乾燥し、目的とする錯体1を得た(収率46%)。
H−NMR(400MHz,CDCl)7.41(t,1H),7.21(d,2H
),7.09−6.94(m,5H),6.76(d,1H),2.62(sept,2H),1.47(d,6H),1.09(d,6H),−0.34(s,3H)
錯体2の合成
Figure 0006581912
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(121mg,0.2mmol,化合物b)とナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(39mg,0.2mmol)にエーテル5.0mLを加え、室温で30分撹拌した。この溶液に、Ni(cod)(58mg,0.2mmol)を加えると瞬時に暗赤色に溶液の色が変化した。室温で1時間撹拌した後に、N−(2−ブロモフェニル)アセトアミド)(43mg,0.2mmol) を添加した。徐々に、オレンジ色の固体が析出した。昼夜で撹拌した後に、析出した固体をセライトでろ過した。セライト上の固体をエーテルで洗浄した後に、ジクロロメタンで抽出し、溶媒を除去して目的とする錯体2を得た(収率63%)。
錯体3の合成
Figure 0006581912
錯体2と同様の合成方法及びスケールで、化合物bを化合物cに変更することで、錯体3を合成した(収率28%)。
2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−7−(2,4,6−トリメチルフェニル)8−(メトキシメトキシ)キノリン(化合物e)の合成
Figure 0006581912
アルゴン雰囲気下、7−ブロモ−2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−8−(メトキシメトキシ)キノリン(3.40g、10mmol、化合物d)、2,4,6−トリメチルフェニルボロン酸(3.28g、20mmol、東京化成製)、Pd(dba)(516mg、0.5mmol)、Sphos(411g、1.0mmol、和光純薬製)、リン酸三カリウム(2.12g、10mmol、Aldrich製)を、トルエン(20mL)を溶媒として、105℃で18時間還流した。混合物を常温に冷却したのち、イオン交換水と酢酸エチルを用いて分液し、有機層を更に飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を濃縮したのちシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=92:8→34:66)にて精製し化合物eを黄色粉末として得た。収量は29%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.23(d,1H),7.63(m,
2H),7.29(d,1H),6.95(s,2H),5.98(s,1H),5
.27(s,2H),4.28−4.09(m,4H),2.96(s,3H),2.
32(s,3H),2.04(s,6H)
8−ヒドロキシ−7−(2,4,6−トリメチルフェニル)キノリン−2−カルボアルデヒド(化合物f)の合成
空気下、2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−7−(2,4,6−トリメチルフェニル)8−(メトキシメトキシ)キノリン(化合物e、2.9mmol)を4規定塩酸、エタノール、クロロホルム(各20mL)の混合溶媒で二日間加熱還流した。有機層を留去したのち塩化メチレンに再溶解させ、1規定塩酸、イオン交換水、飽和塩化ナトリウム溶液で順に洗浄した。得られた有機層は過剰の塩化メチレンを用いてシリカゲルを通すことで精製し、溶媒を留去することで化合物fを赤色粉末として得た。収率は87%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ10.23(s,1H),8.35(d
,1H),8.14(s,1H),8.07(d,1H),7.47(d,1H), 7
.43(d,1H),7.00(s,2H),2.36(s,3H),2.06(s, 6H)
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−8−(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(化合物gの合成)
空気下、2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成製、0.30mmol)、ホルマリン(関東化学製、50μL)をエタノール(1mL)中で混合し均一の溶液を得たのち、塩化アセチル(東京化成製)とエタノールから直前に調製した塩酸エタノール溶液(1.2mmol/L)を0.30mL加え撹拌する。続いて8−ヒドロキシ−7−(2,4,6−トリメチルフェニル)キノリン−2−カルボアルデヒド(化合物f、0
.30mmol)を粉末として加え、エタノール1mL、塩化メチレン1mLを追加し、室温で60時間撹拌する。揮発成分を留去したのち、得られた橙色固体を分取TLC(ヘキサン:酢酸エチル:塩化メチレン:メタノール=3:3:3:1)で精製することで化合物gを黄橙色粉末として得た。収率は71%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ11.93(s,1H),7.52(t
,1H),7.47(d,1H),7.30(d,2H),7.27−21(m, 2H),7.17(d,1H),6.92(s,2H),6.70(d,1H),2.32(sept,2H),2.28(s,3H),2.11(s,6H),1.18 (d,6H),1.14(d,6H)
錯体4の合成
アルゴン雰囲気下室温にて、2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−8−(2,4
,6−トリメチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(1
8.5mg、0.040mmol、化合物g)、水素化カリウム(12mg、0.3mmol)をTHF(2mL)中で二時間撹拌した。反応溶液を濾過したのちPdMeCl(lut)(10.6mg、0.040mmol)を加え更に一時間撹拌した。ここでlutは、2,6−ルチジンを表す。反応溶液を濾過・濃縮することで錯体4を黄色粉末として得た。収率は85%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.25−7.18(m,3H),7.
03(d,1H),7.00(s,1H),6.93(d,2H),6.87(s, 2H),6.80(d,1H),6.71(d,2H),6.51(s,1H),2.71(s,6H),2.47(sept,2H),2.25(s,3H),2.20 (s,6H),0.98(d,6H),0.95(d,6H),−0.41(s,3H)
8−ヒドロキシ−7,5−ジニトロキノリン−2−カルボアルデヒド(化合物h)の合成
Figure 0006581912
空気下、60%硝酸(120mL,関東化学製)と硫酸(30mL,関東化学製)の混合溶液を予め氷浴しておき、8−ヒドロキシキノリン−2−カルボアルデヒド(5.19g、化合物a)を粉末として10回程度に分け少しずつ加える。氷浴下2時間撹拌したのち、混合物を約1Lの氷に注ぐと黄色粉末が析出する。粉末を濾別し、氷水、ジエチルエーテルで洗浄したのちに加熱乾燥することで、化合物hを黄色粉末として得た。収量は51%であった。
H−NMR(400MHz,DMSO−d6):δ10.10(s,1H),9.31(d,1H),9.18(s,1H),8.13(d,1H)
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−6,8−ジニトロイミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(化合物iの合成)
空気下、2,6−ジイソプロピルアニリン(0.43mL、3.0mmol、東京化成製)、ホルマリン(0.37mL、4.5mmol、関東化学製)をエタノール(5mL)中で混合し均一の溶液を得たのち、塩化アセチル(東京化成製)とエタノールから直前に調製した塩酸エタノール溶液(1.2mmol/L)を3.0mL加え撹拌する。続いて8−ヒドロキシ−7,5−ジニトロキノリン−2−カルボアルデヒド(790mg、3.0mmol、化合物h)を粉末として加え、室温で48時間撹拌する。黄色沈殿をろ別し、冷エタノールで洗浄することで化合物iを黄色粉末として得た。収率は36%であった。
H−NMR(400MHz,DMSOd6):δ11.44(s,1H),9.00(s,1H),8.66(d,1H),8.58(d,1H),8.08(d,1H),7.64(t,1H),7.47(d,2H),2.21(sept,2H),1.09(m,12H)
錯体5の合成
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−6,8−ジニトロイミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(217mg、0.50mmol、化合物i)、カリウムビス(トリメチルシリルアミド)(120mg、0.60mmol、Aldrich製)をTHF(12mL)中で30分撹拌した。反応溶液にPdMeCl(cod)(132
.5mg、0.50mmol)を加え更に15分撹拌した。反応溶液を濾過・濃縮し、過剰量のヘキサンへ滴下することで錯体5を茶色粉末として得た。収率は14%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.76(d,1H),7.59(s,
1H),7.51−7.21(m,5H),2.42(sept,2H),1.10(m
,12H),0.06(s,3H)
2−(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(化合物jの合成)
Figure 0006581912
化合物bと同様の合成方法及びスケールで、2,6−ジイソプロピルアニリンを2,4,6−トリメチルフェニルアニリンに変更することで化合物jを得た(収率71%)。ここでは、2,4,6−トリメチルフェニルをMesと表記している。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ10.93(s,1H),7.92 (s,1H),7.62(d,1H),7.45−7.32(m,3H),7.05−6.96(m,3H),2.35(s,3H),2.02(s,6H)
錯体6(ボールド)の合成
2−(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾ[1,5−a]キノリニウム−9−オレート(151mg、0.50mmol、化合物j)、カリウムビス(トリメチルシリルアミド)(120mg、0.60mmol、Aldrich製)をTHF(12mL)中で30分撹拌した。反応溶液にPdMeCl(cod)(132.5mg、0.50mmol)を加え更に15分撹拌した。反応溶液をろ過・濃縮し、過剰量のヘキサンへ滴下することで錯体6ボールドを黄色粉末として得た。収率は75%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ7.07−6.99(m,3H),6.
96−6.90(m,4H),7.75(dd,1H),2.29(s,3H),2.1
9(s,6H),−0.32(s,3H)
2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジニウム−5−スルホナート一水和物(化合物v)の合成
Figure 0006581912
アルゴン雰囲気下、−78℃に冷却した2−ブロモ−6−(1,3−ジオキソラン−2−イル)ピリジン(1.56mL、10mmol、文献(Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 8475.)に従って合成)のジエチルエーテル(30mL)溶液に対し、ブチルリチウム(1.63M、6.1mL、ヘキサン溶液、関東化学製)を滴下し、15分撹拌した。続いて、−78℃に冷却した塩化スルフリル(1.0mL、和光純薬製)のジエチルエーテル溶液(30mL)に対しこの混合物をゆっくりと滴下した。滴下終了後、冷浴を外しそのまま一時間撹拌したのち、水酸化リチウム(753mg、Aldrich製)を加え常温で撹拌すると、徐々に固体が沈殿した。室温で12時間撹拌したのち、溶液を空気下にさらしジエチルエーテル層をデカンテーションした。
更にジエチルエーテルを加え撹拌、デカンテーションを二回繰り返したのち、過剰量のアセトンを用いて固体を洗浄し、アセトンを濃縮することで化合物tを含む吸湿性の混合物を得た。この混合物を3規定塩酸(20mL)とエタノール(20mL)の混合溶媒中、空気下で一時間加熱還流したのち、エタノールを留去し、水層を塩化メチレンで三回洗浄した。水層を濃縮することで化合物uを含む吸湿性の混合物(約0.90g)が得られた。この混合物に対し、更に2,6−ジイソプロピルアニリン(0.85mL、東京化成製)、ホルマリン(0.40mL、関東化学製、50μL)、塩化アセチル(東京化成製)とエタノールから直前に調製した塩酸メタノール溶液(5.0mL、1.0mmol/L)を加え、室温で60時間撹拌した。揮発成分を留去したのちイオン交換水(10mL)を加え塩化メチレンで3回抽出して得られた有機層を炭酸カリウムで乾燥・中和し、濃縮後に過剰量のジエチルエーテルに滴下することで、化合物vが薄茶色粉末として得られた。収率は21%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ9.75(s,1H),7.85(d,
1H),7.75(d,1H),7.66(s,1H),7.61(t,1H),7.
44(t,1H),7.38(d,1H),2.15(sept,2H),1.1−1.3(m,12H)
錯体7の合成
アルゴン雰囲気下、2−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジニウム−5−スルホナート一水和物(75.3mg、0.20mmol、化合物v)、水素化カリウム(24mg、0,60mmol)、炭酸カリウム(138mg、1.0mmol)をTHF(6mL)中で二時間撹拌する。混合物を濾過し溶液を濃縮し、茶色固体を得た。収率は86%であった。この中間体については同定を行わずそのまま次に用いた。
アルゴン雰囲気下、得られた茶色粉末(15.9mg、0.040mmol)とPdMeCl(cod)(10.6mg、0.040mmol)をTHF(4mL)中で15分撹拌したのち、混合物をろ過し、ヘキサンを用いて再沈殿を行うことで錯体7を得た。収率は82%であった。
H−NMR(400MHz,CDCl):δ8.18(d,1H),7.87(d,
1H),7.72(d,1H),7.62−7.20(m,4H),2.15(sept,1H),2.01(sept,1H),1.20−1.12(m,12H),0.
11(s,3H)
実施例1〜8;重合手順(エチレン)
アルゴン雰囲気下、錯体1〜7を任意の(表1中に記載)触媒量含む耐圧硝子工業(株)製50mLオートクレーブ中に、トルエン約20mL、コモノマー(表1中に記載)を加えた。エチレン(表1中に記載)を充填した後、オートクレーブを任意の(表1中に記載)温度で、任意の(表1中に記載)時間撹拌した。室温に冷却後、オートクレーブ中にメタノール(約20mL)を加えた。生じた共重合体をろ過によって回収し、メタノール、イオン交換水で洗浄した後に減圧下乾燥して、重合体を得た。重合活性(kg/mol/hr)は表1中に記載した。サイズ排除クロマトグラフィーにより、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)算出し、MwとMw/Mnを表1に記載した。共重合体中のコモノマー含有率は、H−NMR測定により、エチレン:コモノマーのモル比を決定し、コモノマー含量mol%という表記で表1に記載した。表中のMAは、メチルアクリレートを表す。
実施例9〜13;重合手順(プロピレン)
アルゴン雰囲気下、錯体1,4,6を任意の(表2中に記載)触媒量含む耐圧硝子工業(株)製50mLオートクレーブ中に、トルエン約20mL、コモノマー(表2中記載)を加えた。反応容器を氷浴しながらプロピレンガスを10分印加し、加圧前後で反応容器全体の重量差を計測することでプロピレンの充填量を算出した。オートクレーブを任意の(表2中に記載)温度で、任意の(表2中に記載)時間撹拌した。室温に冷却後、反応溶液を回収しオートクレーブ内を塩化メチレンでリンスしたものと合わせ減圧留去した。得られた固体を、メタノールを用いて繰り返しもみ洗いした後に減圧下乾燥して重合体を得た。重合活性(kg/mol/hr)は表2中に記載した。サイズ排除クロマトグラフ
ィーにより、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)を算出し、MwとMw/Mnを表2に記載した。共重合体中のコモノマー含有率は、H−NMR測定により、プロピレン:コモノマーのモル比を決定し、コモノマー含量mol%という表記で表2に記載した。表中AAcは、酢酸アリルを表す。
錯体8の合成
Figure 0006581912
10mLのバイアルに、2,6−ジベンズヒドリル−4−メチルアニリン(440mg、1.0mmol)とホルマリン(36−38%水溶液、122mg)とエタノール5.0mLとジクロロメタン1.5mLを加え、空気下で均一な溶液になるまで2時間撹拌した。得られた溶液に塩化水素エタノール溶液(1.25M,0.80mL,1.0mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後に、8−ヒドロキシキノリン−2−カルバルデヒド(173mg、1.0mmol)をバイアル中に加え、バイアルをキャップで蓋をした。混合物は24時間撹拌した。この混合物に水と炭酸ナトリムを加えた。混合物はジクロロメタンで抽出し、有機相は硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を除去した後に、粗生成物はシリカゲルカラムによって精製した。最初は展開液に酢酸エチル/ヘキサン(1/1)を使用し、副生成物を除去した。次に酢酸エチル/エタノール(1/2)展開液を用いて生成物Lbを黄色固体として得た(0.51g、84%)。
H−NMR(500MHz,DMSO−d)δ11.27(s,1H),7.31(d,J=9.5Hz,1H),7.25-7.06(m,15H),6.96-6.93(m,8H),6.88(s,2H),6.53(d,J=8.5Hz,1H),6.4
1(d,J=7.5Hz,1H),5.19(s,2H),2.24(s,3H);13C−NMR(126MHz,DMSO−d)δ164.23(1C),141.82(2C),141.60(2C),141.22(2C),140.15(1C),13
1.41(1C),129.46(2C),128.96(1C),128.87(4C),128.62(4C),128.58(1C),128.54(4C),128
.52(4C),127.84(1C),126.85(2C),126.80(2C),126.44(1C),120.77(1C),119.73(1C),114
.23(1C),112.32(1C),105.69(1C),50.94(2C),21.42(1C).
80mLシュレンクチューブに、Ni(COD)(1.57g、5.71mmol)を加え、ジエチルエーテル10mLに溶解した。この溶液を氷水で冷却し、トリエチルホスフィン(25mmol、1.0MのTHF溶液)を加えた。室温まで昇温し、2時間撹拌した。溶媒を取り除いた後、シュレンクチューブをグローブボックスに移送した。ヘキサン5mLを加え、セライトを通してろ過した。その後セライトをヘキサン5mLで洗浄した。ろ液にクロロベンゼン(1.10g、9.77mmol)を加え、室温で更に4時間撹拌した。その後、溶媒を減圧下で取り除き、ペンタン5mLを添加した。得られた混合物はセライトを通してろ過し、セライトはペンタン5mLで洗浄した。ろ液はその後−35℃で終夜保管し、結晶を得た。結晶は冷やしたペンタンで洗浄し、得られた結晶を2時間室温で減圧乾燥し、目的物NiPhCl(PEtをオレンジ固体として得た(2.00g、86%)。
H−NMR(500MHz,C)δ7.43(d,J=7.5Hz,2H)6.
97(t,J=7.3Hz,2H),6.80(t,J=7.0Hz,1H),1.32(m,12H),1.02(m,18H);13C−NMR(126MHz,C):155.31(t,J=54Hz,1C),137.54(t,J=6Hz,2C),126.79(t,J=4Hz,2C),121.33(t,J=4Hz,1C),14
.25(t,J=20Hz,6C),8.32(s,6C);31P−NMR(202MHz,C)δ11.1;Elemental analysis,Calcd for C1835ClNiP;C,53.05;H,8.66.found C,52.
81;H,8.57.
グローブボックス中で、10mLバイアルにLb(61mg、0.10mmol)と水素化カリウム(10mg、0.25mmol)をTHF3mL中で撹拌した。混合物は室温で終夜撹拌し、その間に溶液の色は黄色から暗赤色に変化した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはTHF3mLで洗浄した。ろ液に、NiPhCl(PEt(41mg、0.10mmol)を添加し、室温で12時間撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはTHF2mLで洗浄した。その後ろ液の溶媒を除去した。粗生成物はトルエン10mLで抽出し、再度セライトを通してろ過した。ろ液の溶媒を除去した後に、ヘキサン8mLを加え、生じた沈降物をろ過で回収し、ヘキサンで洗浄した後に室温で2時間減圧乾燥し、黄色固体として錯体8(40mg、47%)を得た。
H−NMR(500MHz,THF−d)δ1.32-1.18(m,15H),2.
18(s,3H),4.97(s,1H),6.07(s,2H),6.13-6.09(m,2H),6.21(t,J=7.5Hz,2H),6.56(d,J=7.5Hz,1H),6.69-6.66(m,6H),6.79(d,J=9.5Hz,1H
),6.82(d,J=8.0Hz,1H),6.92-6.93(m,6H),7.
03(t,J=8.0Hz,1H),7.08(d,J=7.5Hz,2H),7.
13-7.17(m,2H),7.22-7.25(m,8H);13C−NMR(126MHz,THF−d);δ8.57(s,3C),13.46(d,J=21Hz,3C),21.49(s,1C),53.67(s,2C),111.50(s,1C),114.11(s,1C),118.50(s,1C),119.83(s,1C),119.87(s,1C),125.41(s,1C),125.55(s,1C),125.83(d,J=1.3Hz,2C),126.21(d,J=1.3Hz,1C),126.44(s,1C),126.51(s,2C),126.78(s,2C),126.97(s,1C),128.48(s,8C),129.39(s,4C),129.72(s,2C),131.37(s,4C),136.87(s,1C),137.93(s,1C),138.48(d,J=3.8Hz,2C),14
1.34(s,2C),143.51(s,2C),145.44(s,2C),15
1.00(d,J=39.1Hz,1C),156.84(s,1C),165.04(d,J=102.1Hz,1C);31P−NMR(202MHz,THF−d)δ10.6;Elemental analysis,Calcd for C5653NiOP;C,78.24;H,6.21;N,3.26;found C,77.9
5;H,6.55;N,3.23.
錯体9の合成
Figure 0006581912
80mLシュレンクチューブに、p−トルイジン(420mg、3.9mmol)とビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)メタノール(3.2g、7.8mmol)の混合物を140℃まで加熱した。この混合物に、別の20mLシュレンクであらかじめ用意した塩化亜鉛(267mg、2.0mmol)と濃塩酸(0.33mL,3.9mmol、36.5%)の溶液を加えた。140℃で2時間撹拌した後に、水20mLと炭酸ナトリウムを加えた。得られた混合物はジクロロメタンで抽出し、有機相は硫酸ナトリウムで脱水した。ろ過した後に、揮発性成分を減圧で除去した。得られた粗生成物にエタノール30mLを添加し、生じた固体をろ過により回収した。更にエタノールで洗浄し、減圧下で乾燥し8cを白色固体として得た(3.14g、収率90%)。
H−NMR(400MHz,CDCl)δ7.23(t,J=1.8Hz,4H),6.93(d,J=1.6Hz,8H),6.44(s,2H),5.40(s,2H
),3.45(s,2H),2.05(s,3H),1.22(s,72H);13C−NMR(126MHz,CDCl)δ150.33(8C),142.42(4C),140.04(1C),130.34(2C),128.90(2C),126.39(1C),124.12(8C),119.88(4C),53.21(2C),34.
90(8C),31.60(24C),21.21(1C);Elementalanalysis,Calcd forC6593N C,87.87;H,10.55;N,1.58.found C,87.81;H,10.57;N,1.63.
Lcは、2,6−ジベンズヒドリル−4−メチルアニリンを8cに変更した以外は、Lbと同様の合成方法で得た(黄色固体、収率44%)。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ12.03(s,1H),7.28(t,J=7.5Hz,1H),7.22(s,2H),7.14(s,3H),7.04(d,J=7.5Hz,1H),6.82(s,2H),6.75(s,4H),6.
62(s,4H),6.49(d,J=7.0Hz,1H),6.42(d,J=9.5Hz,1H),5.63(s,1H),5.09(s,2H),2.27(s,3H),1.19(s,36H),1.08(s,36H);13C−NMR(126MHz,CDCl)δ164.91(1C),150.91(4C),150.65(4C),142.35(1C),141.57(2C),140.92(2C),139.81(1C),131.96(1C),130.10(2C),129.71(2C),129.30(2C),126.73(1C),126.47(1C),123.95(4C),123.15(4C),122.79(1C),120.54(1C),1
20.45(2C),120.29(2C),114.86(1C),111.06(1C),107.64(1C),53.16(2C),34.92(4C),34.76(4C),31.52(12C),31.51(12C).;HRMS−ESI(m/z)calcd for C7699O([M+H])1055.7757,found 1055.7736.
グローブボックス中で、15mLバイアルにLc(53mg、0.05mmol)と水素化カリウムとジエチルエーテル5.0mLを加え、室温で終夜撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはジエチルエーテル2mLで洗浄した。ろ液の溶媒を除去した。ろ液に、NiPhCl(PEt(20.5mg、0.05mmol)を添加し、室温で12時間撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはジエチルエーテル5mLで洗浄し、ろ液の溶媒を除去した。得られた粗生成物はヘキサン5mLに溶解し、溶媒を除去した。この作業は、残留したジエチルエーテルとトリエチルホスフィンを取り除く目的で2回繰り返した。得られた固体はペンタン3mLに溶解し、−35℃で保管した。得られた固体はろ過により回収し、冷やしたペンタンで洗浄した。得られた茶色固体は、室温で2時間減圧乾燥し、目的錯体9を得た(36mg、55%)。
H−NMR(500MHz,THF−d)δ7.33(d,J=6.5Hz,2H
),7.28-7.26(m,6H),6.80(d,J=8.0Hz,1H),6.7
7-6.74(m,3H),6.69(s,4H),6.52(d,J=7.0Hz,1H),6.19(d,J=9.5Hz,1H),5.89-5.84(m,3H),5.
80(s,2H),5.46(s,1H),2.10(s,3H),1.30(s,36H),1.24-1.18(m,15H),1.01(s,36H);13C−NMR(126MHz,THF−d)δ164.16(d,J=102 Hz,1C),1
56.96(d,J=3.8Hz,1C),151.38-150.98(dd,J=42.8,7.6Hz,1C),150.49(s,4C),150.22(s,4C),144.74(s,2C),142.98(s,2C),140.41(s,2C),139.12(d,J=5.0Hz,2C),136.53(d,J=15.1Hz,1C),129.57(s,2C),127.20(s,1C),126.23(s,1C),125.76(s,4C),125.63(m,3C),125.47(s,1C),125.34(d,J=2.5Hz,1C),124.66(s,1C),124.06(s,1C),123.17(s,4C),120.04(s,2C),120.01(s,2C),119.84(s,1C),119.10(d,J=2.5Hz,1C),114.38(s,1C),111.37(s,1C),55
.46(s,2C),35.33(s,4C),34.96(s,4C),31.70(s,12C),31.57(s,12C),21.62(s,1C),13.34(d,J=21.4Hz,3C),8.63(s,3C);31P−NMR(202MHz,THF−d)δ12.5;Elementalanalysis,Calcd forC88117NiOP C,80.77;H,9.01;N,2.14.found C,80.84;H,9.22;N,2.05.
実施例14と15
[重合手順]
50mLステンレス鋼オートクレーブを120℃乾燥機で3時間乾燥した後に、組み立てて、125℃で2時間減圧乾燥した。室温まで冷却後、アルゴン下で、オートクレーブに錯体8又は錯体9(10μmol、5.0mL、2.0mmol/Lトルエン溶液)とNi(COD)(20μmol、3.0mL、6.7mmol/Lトルエン溶液)を加えた。混合物は、5分間室温で撹拌した後に酢酸アリル(2.0mL,20mmol)を加えた。その後、オートクレーブはエチレン3.0MPaで充填し、60℃で15時間撹拌した。室温まで冷却後、エチレンをパージし、反応はエタノール20mLでクエンチし、100℃で2時間減圧乾燥し、目的とする重合物を得た。
化合物10aの合成
Figure 0006581912
アルゴン雰囲気下で、ディーン・スターク装置を接続した100mLの二口フラスコに、6−ブロモピコリンアルデヒド(4.00g、21.5mmol)とp−トルエンスルホン酸一水和物(0.205g、1.08mmol)を加えた。その後、シリンジでエチレングリコール(2.4mL、43.0mmol)とトルエン(50mL)を加え、2日還流し、溶媒を除去した。粗生成物はシリカゲルカラムで精製した:一度目は展開溶媒に酢酸エチル/ヘキサン=1/3を用い、二度目は酢酸エチル/ヘキサン=1/1を用いて生成物2を黄色固体として得た(4.682g、95%)。
アルゴン雰囲気下で、80mLシュレンクフラスコ中で、2(1.59g、6.91mmol)をTHF(20mL)に溶解させた。アセトン−ドライアイスバス中で、溶液にn−BuLi(5.4mL、8.29mmol)を滴下した。反応溶液は、黄色から暗赤色に変わった。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した。その後、t−BuPC(1.
7mL,8.98mmol)を滴下し、アセトン−ドライアイスバスを外した。混合物は室温で終夜撹拌した後に、水(2.0mL)をゆっくり加え、反応をクエンチした。その後、揮発成分を減圧下で除去し、メタノール(15mL)を加えて粗生成物を溶解した。H(1.4mL、13.8mmol)を混合物にゆっくりと加え、室温で1時間撹拌した。過剰なHをNaHSOでクエンチし、混合物はジクロロメタンで二回抽出し、有機相をNaSOで脱水した。揮発性成分を除去した後に、粗生成物はTHF(20mL)に溶解させた。HCl(1.0M,20mL)を加え、50℃で終夜撹拌した。混合物に水と炭酸ナトリウムを加えた。混合物は、ジクロロメタンで抽出し、有機相をNaSOで脱水した。溶媒を除去した後に、粗生成物は、シリカゲルカラムで精製した:一度目は、展開溶媒に酢酸エチル/ヘキサン=1/1を用い、二度目はジクロロメタン/メタノール=7/1を用い粗3−Bu(1.66g)を得た。
50mgのフラスコに、粗3−Bu(1.00g、3.74mmol)と2,6−ジイソプロピルアニリン(796mg、4.49mmol)とHCOOH(1滴)を加えた。メタノール(20mL)を加え、終夜還流した。減圧下で揮発成分を除去した後に、混合物はシリカゲルカラムで精製した:一度目は展開溶媒に、酢酸エチル/ヘキサン=1/2を用い、二度目は酢酸エチル/ヘキサン/メタノール=1:3:0.5を用いて、粗4a(1.15g)を得た。その後、アルゴン雰囲気下で、10mLのJ−ヤングフラスコに粗4a(1.15g、約2.69mmol)を加え、クロロメチルメチルエーテル(MOM−Cl、4.1mL,53.9mmol)を注入し、終夜還流した。揮発成分は減圧下で除去し、粗生成物はジクロロメタン(10mL)に溶解し、セライトを通してろ過した。セライトはジクロロメタン(5mL)で洗浄した。揮発成分は減圧下で除去し、ジクロロメタン(0.5mL)とジエチルエーテル(20mL)を加え、室温で終夜攪拌した。得られた白色固体をろ過で回収し、ジエチルエーテル(5mL)で洗浄した。白色固体は90℃で1時間減圧乾燥し、10aを得た(1.11g、2.34mmol)。
H−NMR(500MHz,THF−d)δ10.877(d,J=5.0Hz,1H),9.195(s,1H),8.822(d,J=9.0Hz,1H),8.002(t,J=7.5Hz,1H),7.621(m,2H),7.432(d,J=8.0Hz,2H),2.270(sept,J=6.5Hz,2H),1.406(s,9H),1.377(s,9H),1.220(d,J=7.0Hz,6H),1.143(d,J=7.0Hz,6H).31P−NMR(202MHz,THF−d)δ6
0.36.
化合物11bの合成
Figure 0006581912
50mLフラスコに、粗3−Bu(0.66g、1.22mmol)と2,6−ジベンズヒドリル−4−メチルアニリン(493mg、1.12mmol)とHCOOH(1滴)を加えた。メタノール(20mL)を加え、混合物を終夜還流した。揮発性成分を減圧下で除去した後に、混合物はシリカゲルカラムで精製した:一度目は、展開溶媒に酢酸エチル/ヘキサン=1/1を用い、二度目は、酢酸エチル/ヘキサン/エタノール=150:50:15を用い、粗4bを得た(1.02g)。その後、粗4b(1.02g、約1.48mmol)とMOM−Cl(2.2mL,29.6mmol)をJ−ヤングフラスコに加え、終夜還流した。揮発成分を減圧下で除去し、粗生成物はジクロロメタン(10mL)に溶解した。セライトを通してろ過し、セライトはジクロロメタン(5mL)で洗浄した。再度揮発成分を減圧下で除去し、ジクロロメタン(0.5mL)とジエチルエーテル(20mL)を加え、室温で終夜撹拌した。得られた白色固体を回収し、ジエチルエーテル(5mL)で洗浄した。白色固体は90℃で1時間減圧乾燥し、11bを得た(1.01g、1.37mmol)。
H−NMR(400MHz,DMSO−d)δ10.133(d,J=0.8Hz,1H),8.500(s,1H),8.058(d,J=10Hz,1H),7.674(t,J=7.4Hz,1H),7.368(t,J=8.4Hz,1H),7.239(m,12H),6.952(m,10H),5.088(s,2H),2.258(s
,3H),1.186(s,9H),1.149(s,9H).31P−NMR(162MHz,THF−d)δ61.11.
錯体10及び11の合成
Figure 0006581912
バイアルに10a(205mg、0.43mmol)とAgO(200mg、0.
86mmol)とアセトニトリル(6mL)を加えた。混合物は遮光して、室温で2日間撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはアセトニトリル(5mL)で洗浄した。ろ液に(COD)PdMeCl(120mg、0.45mmol)を加え、遮光して室温で終夜撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはアセトニトリル(3mL)で洗浄し、揮発成分を減圧下で除去した。得られた固体にTHF(3mL)とジエチルエーテル(5mL)を加え、混合物は0.5時間撹拌した。その後、混合物は−35℃で1時間冷却し、薄い黄色固体をろ過により回収した。回収した固体はジエチルエーテル(5mL)で洗浄し、1時間減圧乾燥し、10−Clを薄い黄色固体として得た(228mg、89%)。グローブボックス中で、バイアルに10−Cl(50mg、0
.084mmol)とNaBArf4(テトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホウ酸ナトリウム、74mg、0.084mmol)を加え、2,6−ルチジン(18mg、0.17mmol)とトルエン(5mL)を添加した。混合物は室温で2時間撹拌した。その後、バイアルはグローブボックスから取り出し、精製を空気下で行った。混合物はセライトを通してろ過し、セライトをジクロロメタン(5mL)で洗浄した。ろ液の揮発成分を減圧下で除去し、得られた粗生成物にジエチルエーテル(10mL)を加え、混合物はセライトを通してろ過し、セライトをジエチルエーテル(3mL)で洗浄した。その後、揮発成分を減圧下で除去し、80℃で1時間減圧乾燥し、黄色固体として錯体10を得た(119mg、92%)。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.703(s,8H),7.562(m
,2H),7.511(s,4H),7.466(m,1H),7.447(s,1H
),7.303(d,J=8Hz,2H),7.095(d,J=7.5Hz,2H),7.023(m,1H),6.860(t,J=8Hz,1H),2.993(s,6H),2.861(sept,J=6.8Hz,2H),1.366(d,J=7Hz,6H),1.219(s,9H),1.189(s,9H),0.990(d,J=6.5Hz,6H),0.268(s,3H).31P−NMR(202MHz,THF−d)δ62.64.
グローブボックス中で、バイアルに11b(100mg、0.14mmol)とAgO(63mg、0.27mmol)を加え、アセトニトリル(6mL)を添加した。混合物は遮光して室温で2日間撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはアセトニトリル(5mL)で洗浄した。ろ液に(COD)PdMeCl(36mg、0.14mmol)を加え、遮光して室温で終夜撹拌した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはアセトニトリル(3mL)で洗浄し、揮発成分を減圧下で除去した。得られた固体にTHF(3mL)とジエチルエーテル(5mL)を加え、混合物を0.5時間撹拌した。その後、混合物は−35℃で1時間冷却し、薄い黄色固体をろ過により回収した。回収した固体はジエチルエーテル(5mL)で洗浄し、1時間減圧乾燥し、11−Clを黄色固体として得た(54mg、47%)。グローブボックス中で、バイアルに11−Cl(54mg、0.063mmol)とNaBArf4(56mg、0.063mmol)を加え、2,6−ルチジン(14mg、0.13mmol)とトルエン(5mL)を添加した。混合物は室温で2時間撹拌した。その後、バイアルはグローブボックスから取り出し、空気下で精製した。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはジクロロメタン(5mL)で洗浄した。揮発成分は減圧下で除去し、粗生成物にトルエン(10mL)加えた。混合物はセライトを通してろ過し、セライトはトルエン(3mL)で洗浄し、ろ液の揮発成分を減圧下で除去した。生成物は80℃で1時間減圧乾燥し、黄色固体11を得た(94mg、83%)。
H−NMR(500MHz,CDCl)δ7.705(s,8H),7.617(t
,J=7.8Hz,1H),7.511(s,4H),7.289(m,5H),7.1
79−7.083(m,16H),6.909(m,1H),6.849(s,2H),6.737(m,2H),6.707(m,4H),3.133(s,6H),2.2
55(s,3H),1.291(s,9H),1.261(s,9H),0.084(s
,3H).31P−NMR(202MHz,THF−d)δ62.67.
実施例16〜19
[重合手順]
50mLステンレス鋼オートクレーブを120℃の乾燥機で3時間乾燥した後に、組み立てて、125℃で2時間減圧乾燥した。室温まで冷却後、アルゴン下で、オートクレーブに錯体10又は錯体11(2.5μmol、5.0mL、0.50mmol/Lトルエン溶液)とトルエン(5〜9mL)を加えた。その後、必要に応じてコモノマー(MA)を加えた。その後、オートクレーブはエチレン3.0MPaで充填し、表4に記載の温度・時間撹拌した。室温まで冷却後、エチレンをパージし、反応はエタノール20mLでクエンチし、重合物をろ過により回収した。重合物を100〜120℃で2時間減圧乾燥し、目的とする重合物を得た。共重合体中のコモノマー含有率は、H−NMR測定により、エチレン:コモノマーのモル比を決定し、コモノマー含量mol%という表記で表4に記載した。表中のMAは、メチルアクリレートを表す。
[比較例化合物の合成]
錯体12の合成
Figure 0006581912
N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール(0.21mg、0.93mmol)とクロロヨードメタン(8.19g、46.40mmol)を80℃で16時間撹拌した。撹拌終了後、揮発成分を減圧下で除去し、残渣をジクロロメタン/トルエンで再沈殿させ、化合物kを白色固体として得た。化合物kをアセトン10mLに溶解させ、ヨウ化ナトリウム(1.34g、8.94mmol)を加えて、80℃で5時間撹拌した。撹拌終了後、アセトンを減圧除去し、残渣をジクロロメタン/ヘキサンで再沈殿させ、化合物lを白色固体(0.24g、収率52%)として得た。
化合物l(0.22g、0.45mmol)と亜硫酸ナトリウム(0.56g、4.4
5mmol)をテトロヒドロフラン/水10mL中で、1時間室温にて撹拌した。撹拌終了後、溶媒を減圧除去し、残渣をメタノールで抽出し、抽出液に水を添加し、再沈殿によって化合物mを白色固体として得た(0.10g、収率67%)。
HNMR(DMSO−d,δ,ppm):9.54−9.56(m,1H),8.0
3−8.04(m,1H),8.00−8.02(m,1H),7.62(t,J=7
.8Hz,1H),7.45(d,J=7.8Hz,2H),5.05(s,2H),2.27(sept,J=6.9Hz,2H),1.14(d,J=6.9Hz,6H)1.12(d,J=6.9Hz,6H);13CNMR(DMSO−d,δ,ppm)145.1,138.6,131.4,130.5,124.4,124.2,124
.1,63.1,28.0,23.9,23.7
Figure 0006581912
化合物m(0.23g、0.70mmol)と酸化銀(I)をクロロホルム2.5mLに溶解させ、60℃で18時間遮光して撹拌した。撹拌終了後、反応溶液はセライトろ過し、ヘキサンを加えて再沈殿させ、化合物nを白色固体として得た(0.18g、60%)。
化合物n(0.29g、0.65mmol)と[(2,6−ルチジン)パラジウムメチルクロライド](0.17g、0.33mmol)をクロロホルム5mLに溶解させ、1時間室温にて撹拌した。撹拌終了後、反応溶液はセライトろ過し、ヘキサンを加えて再沈殿させ、錯体12を白色固体として得た(0.15g、42%)
HNMR(CDCl,δ,ppm):7.49(t,J=7.5z,1H),7.4
6(t,J=7.8Hz,1H),7.27−7.29(m,3H),7.02(d,J=7.5Hz,2H),6.91(d,J=1.8Hz,1H),5.40(s,2H)
,3.00(s,6H))2.90(sept,J=6.0Hz,2H),1.37(d
,J=6.0Hz,6H)1.08(d,J=5.9Hz,6H),−0.15(s,3H);13CNMR(CDCl,δ,ppm)171.3.1,159.0,145.
9,138.0,135.2,130.1,124.5,123.7,122.6 12
2.3,66.0,28.5,26.5,25.8,22.6、−13.2
(比較例1)
錯体12(5.5mg、0.01mmol)を重クロロホルム2.5mLに溶かしオー
トクレーブ中でエチレン3MPaを圧入し、80℃で15時間撹拌の後、揮発成分を除去したところ、ポリマーは得られなかった。
(比較例2)
錯体12(5.5mg、0.01mmol)を重クロロホルム2.5mLに溶かしオー
トクレーブ中でエチレン0.1MPaを圧入し、40℃で15時間撹拌の後、反応溶液を分析したところ、炭素数13までのオリゴマーしか得られず、ポリマーは得られなかった。
Figure 0006581912
Figure 0006581912
Figure 0006581912
Figure 0006581912
[実施例と比較例の結果の考察]
各実施例においては、本発明の錯体を用いることにより、概して、分子量が高くコモノマー含量も高い、エチレン及びプロピレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合体が得られている。なお、重合活性(触媒活性)も良好な実施例も見られる。一方、各比較例では本発明の錯体を用いていないので、ポリマーは得られていない。
したがって、エチレン及びプロピレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合の重合用触媒における、本発明の構成の有意性と合理性及び有用性並びに従来技術に対する卓越性が立証されている。
本発明に係る重合用触媒を用いることにより、概して、分子量が高くコモノマー含量も高い、エチレン及びプロピレンなどのα−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーとの共重合体を製造することが可能となった。
かくして、重合性能の高められた重合用触媒の実現により、α−オレフィンと(メタ)アクリル酸エステル及びアリルモノマーとの共重合反応が工業的に実施し得ることになり、ポリオレフィン共重合体の産業分野において格別に有用となる。

Claims (9)

  1. 下記一般式(5)〜(8)で表されることを特徴とする、カルベン前駆体化合物。
    Figure 0006581912


    Figure 0006581912
    一般式(5)〜(8)において、R〜R10は、ハロゲン原子又はヘテロ原子含有基又はヘテロ原子を含有していてもよい炭素数1〜40の炭化水素基を表す。Zは、、SR、SO、N=CR、CR=NR、N(R、P(R、P(O)(OR2−y(Rを表し、Zは、O、SO を表す。(ここで、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、yは0〜2の整数を表す)。R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜40の炭化水素基である。Aは、カウンターアニオンを表し、任意の陰イオンを表す。Eは窒素原子,Eは炭素原子を表す。
  2. 一般式(5)〜(8)において、前記Zが、SO、P(O)(OR2−y(Rを表し、Zが、O、SO を表すことを特徴とする、請求項1に記載のカルベン前駆体化合物。
  3. 請求項1又は2に記載の化合物と、周期表10族の遷移金属化合物の錯体前駆体とを反応させて得られることを特徴とする金属錯体。
  4. 下記一般式(11)〜(14)で表されることを特徴とする、請求項3に記載の金属錯体。
    Figure 0006581912
    一般式(11)〜(14)において、Mは、周期表の10族に属する遷移金属を表す。
    及びLは、Mに配位したリガンドを表し、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水素原子、ヘテロ原子を含有してもよい炭素数1〜20の炭化水素基を表す。L及びLは、互いに連結して環を形成してもよい。
    Z、R、R、R〜R10、E及びEは、請求項1に記載した通りである。
    はカウンターカチオンを表し、任意の陽イオンを表す。
  5. 請求項3又は4に記載の金属錯体を含むことを特徴とする、オレフィン重合用触媒成分。
  6. 下記の成分(A)及び(B)、更に必要に応じて(C)を含むことを特徴とする、オレフィン重合用触媒。
    成分(A):請求項3又は4に記載の金属錯体
    成分(B):成分(A)と反応してイオン対を形成する化合物又はイオン交換性層状珪酸塩
    成分(C):有機アルミニウム化合物
  7. 前記成分(B)がアルミノキサンであることを特徴とする、請求項6に記載のオレフィン重合用触媒。
  8. 請求項3〜7のいずれか1項に記載の金属錯体又は重合用触媒の存在下に、α−オレフィンを重合又は共重合することを特徴とする、α−オレフィン重合体の製造方法。
  9. 請求項3〜7のいずれか1項に記載の金属錯体又は重合用触媒の存在下に、(a)α−オレフィンと(b)(メタ)アクリル酸エステル又はアリルモノマーを共重合することを特徴とする、α−オレフィン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体又はα−オレフィン・アリルモノマー共重合体の製造方法。
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