JP5563437B2 - ポリマーフィルムを伸張する方法および装置 - Google Patents

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Description

一般に、本発明は、ポリマーフィルムを伸張する方法および装置、ならびにこれらの方法および装置によって得られたフィルムに関する。本発明は、また、調整可能なまたはゾーン規定された伸張領域を使用して、ポリマーフィルムを伸張する方法および装置に関する。
ポリマーフィルムを伸張するためのさまざまな理由がある。伸張は、所望の機械特性、光学特性、および他のフィルム特性を、高めるか生じさせることができる。たとえば、ポリマーフィルムを伸張して、光学特性の一軸またはほぼ一軸の配向の所望の程度をもたらすことができる。一般に、複屈折ポリマーの完全一軸配向は、3つの直交する方向のうちの2つの屈折率が同じである(たとえば、図4に示されているようなフィルムの幅(W)および厚さ(T)方向)フィルム(またはフィルムの層)をもたらす。第3の方向(たとえば、フィルムの長さ(L)方向に沿った)の屈折率は、他の2つの方向の屈折率と異なる。典型的には、完全一軸配向は必要でなく、ポリマーフィルムの最終用途を含むさまざまな要因によって、最適な条件からのある程度のそれを可能にすることができる。
光学用途において、一軸配向フィルムは、さまざまな異なった視野角にわたるより均一な性能などの有用な光学特性をもたらすことができる。他の用途も、ポリマーフィルムの一軸またはほぼ一軸の配向から利益を得ることができる。たとえば、一軸配向フィルムは、配向方向に沿って、より容易にフィブリル化または引裂される。
一般に、本発明は、ポリマーフィルムを伸張するための方法および装置に関する。一実施形態は、フィルムを伸張するための装置である。この装置は、フィルムの対向する端部を保持するための複数の把持要素と、複数の把持要素が移動する対向するトラックと、少なくとも1つのトラック形状制御器とを含む。対向するトラックは、トラックが一般に広がって、把持要素によって保持されたフィルムを伸張する主伸張領域を規定する。主伸張領域の対向するトラックの各々は、主伸張領域を通ってトラックの長さを延在する少なくとも1つの連続レールを含む。トラック形状制御器は、主伸張領域内の連続レールの少なくとも1つに結合され、かつ、連続レールに力を加えて、主伸張領域のトラックの形状を修正することができる。
別の実施形態は、この装置を使用してフィルムを伸張する方法である。この方法において、トラック形状制御器の少なくとも1つを活性化して、連続レールの少なくとも1つに力を加えて、トラックの少なくとも1つの形状を修正する。把持要素を使用して、フィルムの対向する端部を把持する。フィルムを、対向するトラックに沿って主伸張領域に搬送する。次に、主伸張領域内でフィルムを伸張する。
さらに別の実施形態は、フィルムを伸張するための装置である。この装置は、フィルムの対向する端部を保持するための複数の把持要素と、複数の把持要素が移動する対向するトラックとを含む。対向するトラックは、トラックが一般に広がって、把持要素によって保持されたフィルムを伸張する主伸張領域を規定する。主伸張領域は、(i)トラックに基いた機械方向延伸比(MDDR)および横断方向延伸比(TDDR)が、次の関係:
MDDR<(TDDR)-1/2
を有し、かつTDDRが少なくとも0.5だけ増加されるように構成され配列された最初の伸張ゾーンと、(ii)MDDRが(TDDR)-1/2にほぼ等しく、かつTDDRが少なくとも0.5だけ増加されるように構成され配列された後の伸張ゾーンとを含む。別の実施形態は、この装置を使用して、フィルムを伸張する方法である。
本発明のさらに別の実施形態は、フィルムを伸張するための方法である。この方法は、フィルムを伸張領域内に搬送する工程を含む。次に、フィルムの対向する端縁を、一般に末広がりの経路に沿って搬送することによって、フィルムを伸張して、フィルムの横断寸法を4倍より大きく増加させる。一般に末広がりの経路は、伸張の間、次の関係:
MDDR<(TDDR)-1/2
を有する、経路に基いた機械方向延伸比(MDDR)および横断方向延伸比(TDDR)をもたらすように構成され配列される。経路は、必要であれば、共面であることができる。
本発明の別の実施形態は、フィルムを伸張するための方法である。この方法は、フィルムを伸張領域内に搬送する工程を含む。次に、フィルムの対向する端縁を、一般に末広がりの共面経路に沿って搬送することによって、フィルムを伸張して、フィルムの横断寸法を少なくとも2.5倍だけ増加させる。一般に末広がりの経路は、伸張の間、次の関係:
MDDR<(TDDR)-1/2
1/(MDDR×TDDR1/2)<2
を有する、経路に基いた機械方向延伸比(MDDR)および横断方向延伸比(TDDR)をもたらすように構成され配列される。
本発明のさらに別の実施形態は、フィルムを伸張するための方法である。この方法は、フィルムを伸張領域内に搬送する工程を含む。次に、フィルムの対向する端縁を、一般に末広がりの共面経路に沿って搬送することによって、フィルムを伸張して、フィルムの横断寸法を少なくとも4.6倍だけ増加させる。一般に末広がりの経路は、伸張の間、次の関係:
0.9*MDDR<(TDDR)-1/2
1/(MDDR×TDDR1/2)<2
を有する、経路に基いた機械方向延伸比(MDDR)および横断方向延伸比(TDDR)をもたらすように構成され配列される。
本発明の一実施形態は、フィルムを伸張するための方法である。この方法は、フィルムを伸張領域内に搬送する工程を含む。次に、フィルムの対向する端縁を、一般に末広がりの経路に沿って搬送することによって、フィルムを伸張する。一般に末広がりの経路は、(i)一般に末広がりの経路が、
±(x)/(x1)=(1/4)(x1/x0)(y/x12+1
に対応する関数形を有する最初の伸張ゾーンと、
(ii)一般に末広がりの経路が、
±(x)/(x2)=(1/4)(x2/x0)((y−A)/x22+1
に対応する関数形を有する後の伸張ゾーンとを含むように構成され配列され、x2およびx1は異なり、Aはy軸オフセットである。
本発明の上記した要約は、本発明の各々の開示された実施形態またはあらゆる実現を説明することが意図されていない。図面および次の詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
本発明は、添付の図面と関連して、本発明のさまざまな実施形態の次の詳細な説明を考慮して、より完全に理解されるであろう。
本発明は、さまざまな修正および代替形態が可能であるが、その特定のものが、図面に例として示されており、詳細に説明される。しかし、本発明を、説明される特定の実施形態に限定しないことが意図されることが理解されるべきである。それどころか、本発明の精神および範囲内である修正、均等物、および代替をすべて網羅することが意図される。
フィルムを伸張するために使用される先行技術のテンター装置の概略上面図である。 伸張プロセス前および後の両方の、図1に示された先行技術のプロセスにおけるフィルムの一部の斜視図である。 本発明の一態様による工程を示すブロック図である。 伸張プロセス前および後の両方の、一軸伸張プロセスにおけるフィルムの一部の斜視図である。 本発明による伸張プロセスの一実施形態および伸張装置の一実施形態の概略図である。 本発明による伸張装置の一部の概略上面図である。 図6の装置の端面図である。 本発明による伸張装置の前処理領域の一実施形態を示す、伸張装置のトラックの一部の概略図である。 本発明による伸張装置の主伸張領域のための調整可能なトラックの一実施形態の概略図である。 本発明による伸張装置のための取出しシステムの一実施形態の概略図である。 本発明による伸張装置のための取出しシステムの別の実施形態の概略図である。 本発明による伸張装置のための取出しシステムの第3の実施形態の概略図である。 本発明による伸張装置のための取出しシステムの第4の実施形態の概略図である。 本発明による伸張装置のための取出しシステムの第5の実施形態の概略図である。 本発明による伸張装置の主伸張領域のためのトラックの別の実施形態の概略図である。 本発明による伸張装置のためのトラックおよびトラック形状制御ユニットの一実施形態の概略側断面図である。 たとえば、図1に示されたような従来の伸張装置に使用するための、本発明による取出しシステムの一実施形態の概略図である。 本発明による伸張装置の主伸張領域のための適切な境界軌道の例のグラフである。 異なった放物線状構成を有する異なった伸張領域の使用を示す、本発明による伸張装置の主伸張領域のための適切な境界軌道の例のグラフである。 適切な放物線状境界軌道または実質的に放物線状の境界軌道への線形近似である境界軌道を含む、本発明による伸張装置の主伸張領域のための適切な境界軌道の例のグラフである。 図16の一実施形態のトラックおよびトラック形状制御ユニットの一部の概略図である。 図16の一実施形態のトラックおよびトラック形状制御ユニットの別の部分の概略図である。
本発明は、ポリマーフィルムを伸張するための方法および装置、ならびにこれらの方法および装置を用いて製造されたフィルムに適用できると考えられる。さらに、本発明は、調整可能なまたはゾーン規定された伸張領域を含む、ポリマーフィルムを伸張するための方法および装置に関する。ポリマーフィルムは、必要であれば、一軸配向またはほぼ一軸の配向を達成するために、これらの方法および装置を用いて伸張することができる。これらの方法および装置は、また、他の配向条件を達成するために用いることができる。
本発明は、一般に、いくつかの異なったポリマーフィルム、材料、およびプロセスに適用できる。本発明は、ポリマー光学フィルムの製造に特に適していると考えられる。本方法および装置は、必要であれば、従来の方法および装置を用いて製造された光学フィルムと比較して、向上した光学性能、向上した光学特性、制御された態様または方向における破壊または引裂への増加した傾向、高められた寸法安定性、より良好な処理性、より容易な製造性、およびより低いコストから選択される1つ以上の特性を有する光学フィルムまたは他のフィルムを製造するために用いることができる。
さまざまな光学フィルムを、本発明によって伸張または延伸することができる。フィルムは、単層または多層フィルムであることができる。適切なフィルムが、たとえば、米国特許第5,699,188号明細書、米国特許第5,825,543号明細書、米国特許第5,882,574号明細書、米国特許第5,965,247号明細書、および米国特許第6,096,375号明細書、ならびに国際公開第95/17303号パンフレット、国際公開第96/19347号パンフレット、国際公開第99/36812号パンフレット、および国際公開第99/36248号パンフレット(これらの各々の内容全体を引用によりここに加入する)に開示されている。ここで説明される装置および方法は、米国特許出願第10/156,347号明細書および米国特許出願第10/156,348号明細書ならびに米国仮特許出願第60/294,490号明細書に記載された装置および方法の改良、追加、または変更を含み、これらの出願のすべてを引用によりここに加入する。
本発明によって製造されたフィルムは、たとえば、偏光子、反射偏光子、二色性偏光子、整列された反射/二色性偏光子、吸収偏光子、およびリターダ(z軸リターダを含む)を含む、非常にさまざまな製品に有用であろう。ポリマーフィルムは、モノリシックまたは多層ポリマーフィルムであることができる。ポリマーフィルムは、また、米国特許第5,783,120号明細書、米国特許第5,825,543号明細書、米国特許第5,867,316号明細書、米国特許第6,057,961号明細書、米国特許第6,111,696号明細書、および米国特許第6,179,948号明細書、ならびに米国特許出願第09/871,130号明細書および米国特許出願第09/686,460号明細書に記載されたような、拡散体または拡散反射偏光子などの、光学効果を形成する混和しないブレンドの層を含んでもよく、これらの特許および特許出願のすべてを引用によりここに援用する。これらのポリマーフィルムは、延伸前または後に提供されるコーティングまたは付加的な層を含むことができる。いくつかの適切なコーティングおよび層の例が、引用によりここに援用する米国特許第6,368,699号明細書に記載されている。いくつかの実施形態において、ポリマーフィルムは、溶融押出可能な配向染料、ワイヤグリッド偏光要素などの付加的な偏光要素を含む。有用な構造の一例が、フィルム上に形成される、たとえば、フィルムを伸張する前または後にフィルム上にコーティングされるポリビニルアルコール(PVA)層を備えたフィルムである。PVAは、たとえばヨウ素染色方法、酸脱水方法、または染料埋込み方法によって、後処理して二色性偏光層を形成することができる。基材は、それ自体、光学反射能を有するまたは有さない、モノリシックなフィルムまたは多層構造であってもよい。この構造での使用に適したPVAフィルムの例を、米国特許第6,113,811号明細書に見出すことができ、これを引用によりここに加入する。
本発明の特定のフィルムの1つの用途は、たとえば前面投射および背面投射システム用の偏光ビームスプリッタなどの、装置の構成要素として、または、ディスプレイ(たとえば、液晶ディスプレイ)もしくはマイクロディスプレイに使用される輝度向上フィルムとしてである。本発明による、以下で説明される伸張機を、長さ配向機とともに使用して、鏡を製造してもよいことにも留意されたい。
一般に、プロセスは、機械方向(MD)、横断方向(TD)、および法線方向(ND)に対応する3つの相互に直交する軸に関して説明することができるフィルムを伸張することを含む。これらの軸は、図4に示されているように、フィルムの幅、長さ、および厚さに対応する。伸張プロセスは、フィルムの領域20を、最初の構成24から最終の構成26に伸張する。機械方向は、フィルムが、伸張装置、たとえば図5に示されているような装置を通って移動する一般的な方向である。横断方向は、フィルムの平面内の第2の軸であり、機械方向に直交する。法線方向は、MDおよびTDの両方に直交し、ポリマーフィルムの厚さ寸法に一般に対応する。
図3は、本発明によるプロセスのブロック図である。工程30において、フィルムは、フィルムを伸張するための装置に供給または提供される。プロセスは、任意に、前処理(プレコンディショニング)工程32を含む。フィルムは、工程34で伸張される。フィルムは、任意に、工程36で後処理(ポストコンディショニング)される。フィルムは、工程38で伸張装置から取外される。
図5は、本発明の伸張装置および方法の一実施形態を示す。図3で示されたプロセスを、伸張装置(最小で図3の工程34を行う)のほかに、1つ以上の付加的な装置を使用して行うことができることが認められるであろう。これらの1つ以上の付加的な装置は、伸張装置によって行われているような、図3に示され、図5に示された非伸張機能(たとえば、工程30、32、36、および38によって表された機能)の1つ以上を行う。
図5に示された実施形態において、装置は、フィルム40が伸張装置に導入される領域30を含む。フィルムは、任意の望ましい方法によって提供することができる。たとえば、フィルムを、ロールまたは他の形態で製造することができ、次に、伸張装置に提供することができる。別の例として、伸張装置を、押出機(たとえば、フィルムが押出によって生成され、押出後に伸張する準備ができている場合)またはコータ(たとえば、フィルムがコーティングによって生成されるか、1つ以上のコーティングされた層を受けた後に伸張する準備ができている場合)またはラミネータ(たとえば、フィルムが積層によって生成されるか、1つ以上の積層された層を受けた後に伸張する準備ができている場合)からフィルムを受けるように構成することができる。
一般に、フィルム40は、領域30で、フィルムの対向する端縁を保持し、かつフィルムを所定の経路を規定する対向するトラック64に沿って搬送するように構成され配列された1つ以上の把持部材に提供される。把持部材70(図7を参照のこと)は、典型的には、フィルムをフィルムの端縁でまたは端縁の近くで保持する。フィルムの、把持部材によって保持された部分は、しばしば、伸張後の使用に適しておらず、そのため、把持部材の位置は、典型的には、プロセスによって生成される廃棄材料の量を制御しながら伸張することを可能にするように、フィルム上の十分な把持をもたらすように選択される。
適切な把持部材の一例としては、フィルムを対向する表面の間に順次把持し、次にトラックの周りを移動する一連のクリップが挙げられる。把持部材は、トラックに沿った溝またはチャネル内に入るか載ることができる。別の例は、フィルムを、対向するベルトもしくはトレッド、または一連のベルトもしくはトレッドの間に保持し、かつフィルムをトラックに沿って送るベルトシステムである。必要であれば、ベルトおよびトレッドは、可撓性かつ連続または半連続フィルム搬送機構を提供することができる。さまざまな対立する多数のベルト方法が、たとえば、米国特許第5,517,737号明細書または欧州特許出願No.0236171 A1号明細書(これらの各々の内容全体を引用によりここに加入する)に記載されている。ベルトの張力は、任意に、所望のレベルの把持を得るように調整可能である。
ベルトまたはクリップは、任意の材料から製造することができる。たとえば、ベルトは、複合構造であることができる。適切なベルトの一例は、高い張力を支持するための鋼などの金属から製造された内側の層と、良好な把持をもたらすためのエラストマーの外側の層とを含む。他のベルトを使用することができる。いくつかの実施形態において、ベルトは、良好な把持をもたらすために不連続トレッドを含む。
フィルムを伸張機を通って把持し搬送する他の方法が知られており、用いてもよい。いくつかの実施形態において、伸張装置の異なった部分が、異なったタイプの把持部材を使用することができる。
クリップなどの把持部材を、たとえば、把持部材が鎖に結合された状態で鎖をトラックに沿って回転させるローラ62によって、トラックに沿って送ることができる。ローラは、フィルムが伸張装置を通って搬送されるときフィルムの速度および方向を制御するドライバ機構に連結される。ローラを使用して、ベルトタイプ把持部材を回転させ、かつベルトタイプ把持部材の速度を制御することもできる。ベルトおよびローラは、任意に、ベルトとローラとの間のすべりを低減または防止するために噛合い歯を含む。
図6および図7は、把持部材およびトラックの一実施形態を示す。この実施形態の把持部材70は、一連のテンタークリップである。これらのクリップは、セグメント化によって全体的な可撓性をもたらすことができる。別々のクリップは、典型的には、密に詰められ、鎖などの可撓性構造に取付けられる。可撓性構造は、トラック64に沿ってまたはトラック64に沿ってチャネル内に乗る。戦略的に配置されたカムおよびカム表面は、所望の点でテンタークリップを開閉する。クリップおよび鎖アセンブリは、任意に、ホイールまたはベアリングなどの上に乗る。一例として、把持部材は、2対の内側および外側のレールの間でロールする頂部ベアリングおよび底部ベアリング上に取付けられたテンタークリップである。これらのレールは、少なくとも部分的に、トラックを形成する。
把持部材の端縁は、フィルムの伸張される部分の境界端縁を規定する。トラックに沿った把持部材の運動は、少なくとも部分的にフィルムの運動および延伸の原因である境界軌道(boundary trajectory)をもたらす。他の影響(たとえば、ダウンウェブ張力および巻取り装置)が、運動および延伸の他の部分を説明してもよい。境界軌道は、典型的には、把持部材が移動するトラックまたはレールからより容易に識別される。たとえば、たとえばテンタークリップなどの把持部材の中心の有効端縁を、トラックまたはレールの表面と同じ経路をたどるように整列させることができる。次に、この表面は、境界軌道と一致する。実際には、把持部材の有効端縁は、把持部材の下からのわずかなフィルムすべりまたは流出によって幾分不明瞭にされることがあるが、これらのそれを小さくすることができる。
さらに、テンタークリップなどの把持部材の場合、端縁面の長さが、実際の境界軌道に影響を及ぼすことができる。より小さいクリップが、一般に、境界軌道へのより良好な近似、およびより小さい伸張変動をもたらす。少なくともいくつかの実施形態において、クリップ面端縁の長さは、対向する境界軌道またはトラックの間の最初の距離全体の2分の1以下であり、4分の1以下であることができる。
2つの対向するトラックは、任意に、2つの別個のまたは分離可能なプラットフォーム上に配置されるか、そうでなければ、対向するトラック間の距離が調整可能であることを可能にするように構成される。これは、以下で説明されるように、異なったサイズのフィルムを装置によって伸張すべき場合、または主伸張領域の伸張構成を変えたいという要望がある場合、特に有用であることができる。対向するトラック間の分離または変化は、手動で、機械的に(たとえば、コンピュータまたは他の装置を使用して、トラック間の分離距離を変更することができるドライバを制御する)、または両方によって行うことができる。
フィルムが、対向するトラック上に取付けられた2組の対向する把持部材によって保持されるので、2つの対向する境界軌道がある。少なくともいくつかの実施形態において、これらの軌道は、延伸するフィルムのMD中心線を中心とする鏡像である。他の実施形態において、対向するトラックは鏡像でない。そのような非鏡像配列は、フィルムを横切って1つ以上の光学特性または物理特性の変化(たとえば、主軸の勾配または回転)をもたらす際に有用であることができる。
図5を参照すると、装置は、任意に、オーブン54、または伸張に備えてフィルムを加熱するための他の装置もしくは配列によって典型的には囲まれた前処理領域32を含む。前処理領域は、予熱ゾーン42、熱浸漬ゾーン44、または両方を含むことができる。少なくともいくつかの実施形態において、図8の境界軌道によって示されるように、把持部材とフィルムとの間の接触を設定するために発生する小量のフィルム伸張があってもよい。少なくともいくつかの場合、実際には少しも伸張がないことがあるが、対向するトラックの間の分離の増加は、フィルムが加熱されるときのフィルムの熱膨張を少なくとも部分的に説明してもよい。
図8は、供給領域30’、ならびにその後の前処理領域32’および主伸張領域34’を示す。前処理領域32’内で(または任意に供給領域30’で)、把持部材セットゾーン31’が提供され、把持部材(たとえば、テンタークリップ)をフィルム上にセットするためにトラックがわずかに広がる。フィルムは、任意に、このゾーン内で加熱される。この最初のTD伸張は、典型的には最終TD伸張の5%以下であり、一般に最終TD伸張の2%未満であり、しばしば最終TD伸張の1%未満である。いくつかの実施形態において、この最初の伸張が発生するゾーンの後に、トラックが実質的に平行であり、フィルムが高温で加熱または維持されるゾーン33’が続く。
図5を参照すると、フィルムは、主伸張領域34で伸張される。典型的には、主伸張領域34内で、フィルムは、フィルムのポリマーのガラス転移より高い加熱環境で加熱または維持される。ポリエステルの場合、温度範囲は、典型的には80℃から1600℃である。適切な加熱要素の例としては、対流加熱要素および放射加熱要素が挙げられるが、他の加熱要素も使用することができる。いくつかの実施形態において、フィルムを加熱するために使用される加熱要素を、熱の可変量をもたらすように個別にまたはグループで制御することができる。そのような制御を、加熱要素の温度、または加熱要素からフィルムに送られる空気の方向もしくは速度の可変性を含むさまざまなプロセスによって維持することができる。必要であれば、加熱要素の制御を用いて、フィルムの領域を可変に加熱して、フィルムを横切る伸張の均一性を向上させるかそうでなければ変更することができる。たとえば、均一な加熱下で他の領域ほど伸張しないフィルムの領域をさらに加熱して、より容易な伸張を可能にすることができる。
主伸張領域34内で、把持部材は、一般に末広がりのトラックに従い、ポリマーフィルムを所望の量だけ伸張する。主伸張領域および装置の他の領域のトラックは、さまざまな構造および材料を使用して形成することができる。主伸張領域の外側で、トラックは、典型的には、実質的に線形である。対向する線形トラックは、平行であることができるか、先細または末広がりであるように配列することができる。主伸張領域内で、トラックは、以下で説明されるように、一般に末広がりであり、一般に曲線である。
伸張装置のすべての領域において、トラックを、任意にともに結合された一連の線形または曲線セグメントを使用して形成することができる。トラックは、個別の領域の2つ以上(またはさらにはすべて)が分離されることを可能にする(たとえば、メンテナンスまたは構成のため)セグメントを使用して作ることができる。代替として、または特定の領域もしくは領域のグループにおいて、トラックを1つの連続構造として形成することができる。トラックは、伸張機の1つ以上の隣接した領域にまたがる連続構造を含むことができる。トラックは、連続構造および個別のセグメントの任意の組合せであることができる。
少なくともいくつかの実施形態において、主伸張領域のトラックは、前の領域のトラックに結合されるが、前の領域のトラックから分離可能である。次の後処理または取外し領域のトラック140、141は、典型的には、たとえば図5に示されているように、主伸張領域のトラックから分離される。
主伸張領域のトラックは曲線であるが、少なくともいくつかの実施形態において、線形トラックセグメントを使用することができる。これらのセグメントは、所望の曲線トラック構成への線形近似を生じるように互いに対して整列される(たとえば、個別の線形セグメントを、軸を中心として枢動することによって)。一般に、線形セグメントが短いほど、曲線近似を良好にすることができる。いくつかの実施形態において、線形セグメントの1つ以上、好ましくはすべての位置が、調整可能(軸を中心として枢動可能)であり、そのため、必要であれば、トラックの形状を調整することができる。調整は手動であることができるか、または、調整は、機械的に、好ましくはドライバに結合されたコンピュータもしくは他の装置の制御下で行うことができる。曲線セグメントを、線形セグメントの代わりにまたは線形セグメントに加えて使用することができることが理解されるであろう。
連続トラックも、各領域を通って使用することができる。特に、連続曲線トラックを、主伸張領域を通って使用することができる。連続曲線トラックは、典型的には、把持部材が走るトラックを規定する少なくとも1つの連続レールを含む。一実施形態において、曲線トラックは、2対の内側および外側のレールを含み、テンタークリップが4つのレールの間でロールする頂部ベアリングおよび底部ベアリング上に取付けられている。
いくつかの実施形態において、連続トラックは調整可能である。調整可能な連続トラックを作る1つの方法は、1つ以上のトラック形状制御ユニットの使用を含む。これらのトラック形状制御ユニットは、連続レールなどの連続トラックの一部に結合され、かつ、必要に応じてトラックに力を加えてトラックを曲げるように構成されている。図9は、トラック形状制御ユニット65がトラック64に結合されたそのような配列の一実施形態を概略的に示す。一般に、トラック形状制御ユニットは、トラック形状制御ユニットが加えることができるある範囲の力を有するが、いくつかの実施形態を、オンまたはオフである制御ユニットに限定してもよい。トラック形状制御ユニットは、典型的には、フィルムの中心の方に力を加えることができるか、フィルムの中心から離れて力を加えることができるか、好ましくは両方であることができる。トラック形状制御ユニットは、調整可能な連続トラック上の特定の点に結合することができるか、または、トラック形状制御ユニットは、トラックと制御ユニットとの間の結合を依然として維持しながら、トラックが制御ユニットに沿って横方向に摺動することができるように構成することができる。この配列は、制御ユニットが活性化されるときトラックがより自由に調整されることを可能にするので、より大きい範囲の運動を促進することができる。一般に、トラック形状制御ユニットは、トラックが、ある範囲の形状、たとえば図9の形状67および69を通って移動することを可能にする。典型的には、トラック形状制御ユニットおよびトラックは、運動の線(または他の幾何学的形状)に沿って移動することができる。2つ以上のトラック形状制御ユニットが使用される場合、トラック形状制御ユニットは、同じまたは同様の運動の線および運動の範囲を有することができるか、または、個別のトラック形状制御ユニットの運動の線および範囲は異なることができる。
適切なトラック形状制御ユニットおよびトラックの一例が、図16に示されている。この実施形態のトラックは、4つのレール400を含み、テンタークリップ(図示せず)が、4つのレールの間でロールするベアリング(図示せず)上に取付けられている。トラック形状制御ユニットは、ドライバ(図示せず)に結合されたベース402と、頂部および底部の内側の接触部材404と、頂部および底部の外側の接触部材406とを含む。内側および外側の接触部材404、406は、ベース402に結合され、それにより、ベースを移動させることは、接触部材が、それぞれレールの内面および外面に力を加えることを可能にする。好ましくは、内側および外側の接触部材は、図21(レール400および内側の接触部材406のみを示す)に示されているように、上または下から見たとき、内側の接触部材406レール400の間の接触の小さい領域のみをもたらす形状を有する。そのような形状の例としては、円形および卵形、ならびにダイヤモンド、六角形、または他の同様の形状が挙げられ、内側の接触部材406とレールとの間の接触は、これらの形状の頂点で行われる。外側の接触部材404は、図22(レール400、および外側の接触部材404の、レールと接触する部分のみを示す)に示されているように、外側の接触部材の部分が、上または下から見たとき、レール400と接触する点に来るように同様に形成することができる。そのような形状の使用は、トラック形状制御ユニットが、必要であれば力を加えてトラック形状を修正することを可能にし、一方、トラックが、制御ユニットに固定されるのではなく、制御ユニットを通って横方向に摺動することを可能にする。この構成は、また、トラックが、制御ユニット内でその瞬間勾配を調整することを可能にすることができる。これらの理由の1つまたは両方のため、トラックは、より大きい範囲の形状調整を有することができる。他の実施形態において、より少ないもしくはより多い接触部材があることができるか、または、内側の接触部材のみもしくは外側の接触部材のみがあってもよい。
図9に戻ると、いくつかの実施形態において、トラックの1つ以上の点73が固定されている。固定点は、主伸張領域の開始もしくは開始の近く(図9に示されているような)または終わりもしくは終わりの近くを含む、トラックに沿ったどこでもあることができる。固定点73は、図15に示されているような、トラックに沿った他の点に位置決めすることもできる。
図15にさらに示されているように、トラックは、異なった伸張特徴を有するか異なった数式で説明することができる、主伸張領域内のゾーン81、83、85を提供するように構成することができる。いくつかの実施形態において、トラックは、これらの異なったゾーンを規定する形状を有する。他の実施形態において、トラックは、たとえば上で説明されたトラック形状制御ユニットを使用して、簡単な単機能配列を越えるさまざまな形状87、89を提供するように調整することができる。これは、主伸張領域の異なった部分が所望の機能を達成することを可能にするので、有利であることができる。たとえば、最初の伸張ゾーンが、特定の形状(たとえば、以下で説明されるようにU>1およびF>1の超一軸(super−uniaxial)形状)を有し、その後、異なった形状(たとえば、一軸形状)を備えた1つ以上の後のゾーンが続いてもよい。任意に、1つの形状から別の形状に移行する中間ゾーンを提供することができる。いくつかの実施形態において、個別のゾーンを、トラックの固定された点73によって分離または規定することができる。
いくつかの実施形態において、トラックは、トラックの曲げおよび成形を促進するようにトラックの長さに沿って不均一な断面形状を有する。たとえば、トラックに使用される1つ以上のレールが、異なった断面形状を有することができる。例として、上述された4レール構造において、レールの各々またはレールのサブセットが、トラックの長さに沿って、変えられた断面を有する。断面は、たとえば、トラック(または1つ以上の連続レールなどのトラックの構成要素)の高さもしくは厚さまたは両方を変更することによって変えることができる。例として、一実施形態において、トラックまたはトラックの1つ以上のレールの厚さは、トラックの長さに沿って機械方向に減少または増加する。これらの変化を用いて、特定のトラック形状、またはトラック形状調整可能性の変化を支持することができる。たとえば、上述されたように、トラックは、各ゾーンが異なったトラック形状を有するいくつかの異なったゾーンを有してもよい。トラックまたはトラックの構成要素の断面変化は、特定のレール形状を達成または促進するように各ゾーン内で変わることができ、ゾーン間で変わることができる。例として、比較的厚い断面形状を備えたゾーンを、2つの他のゾーンの間に配置して、隔離するか、2つのゾーンの間の移行空間を提供することができる。
トラックまたはレール断面の変化の例として、弧長(arclength)sを用いて、トラック、またはレールなどのトラックの一部の厚さプロファイルの設計において、トラックに沿った位置を表すことができる。弧長sは、延伸の開始において0と定義し、延伸の他端においてLと定義し、延伸の始まりおよび終わりにおける対応する厚さは、それぞれ、h(0)およびh(L)と示す。この特定の実施形態のトラックまたはトラック構成要素(たとえば、レール)は、位置L’における厚さh(L’)が、位置L”における厚さh(L”)より大きいように、s=0とs=Lとの間、L’からL”までビームの一部にわたってテーパを有する。このように、L’またはL”が、より高い弧長座標にあってもよい(すなわち、L’>L”またはL’<L”)。有用な厚さプロファイルの一例が、L’からL”までレールにわたる弧長sの関数としての厚さh(s)の関数によって与えられるテーパであり、下記式:
h(s)=(h(L’)−h(L”))(1−(s−L’)/(L”−L’))α+h(L”)
(ここで、αは、テーパの正の割合であり、L’からL”まで減少する厚さをもたらす)で提供される。L’がL”より小さい場合、これは、弧長とともに減少する厚さをもたらす。L’がL”より大きい場合、これは、弧長とともに増加する厚さをもたらす。トラックは、任意に、各々がそれ自体の局所的なL’、L”、およびテーパの割合を有するセクションに割当てることができる。トラックまたはトラック構成要素の最大厚さは、トラック上のその点において望まれる可撓性の量による。ビーム理論を用いると、テーパを有する直線ビームの場合、3分の1のαの値が、一端における荷重に応じて放物線状に曲がるビームを提供することを示すことができる。ビームが、湾曲した平衡構成で始まるか、いくつかの制御点によって荷重をかけられる場合、他のテーパがより望ましいであろう。さまざまな他の形状を横切る変化について、所与のトラックまたはトラック構成要素内の増加する厚さおよび減少する厚さの両方、またはこれらのセクションのいずれかにわたるテーパの数値計算された形を有することが有用であろう。トラックまたはトラック構成要素に沿った任意の点における最小厚さは、延伸力を支持するためのトラックの必要な強度の量による。最大厚さは、必要な可撓性のレベルの関数であることができる。たとえば、トラックまたはトラック構成要素の永久的な降伏、および繰返し可能な調整能力の損失を回避するために、トラック調整のレベルを、トラックまたはトラック構成要素の弾性範囲内に維持することが、典型的には有益である。
対向するトラックによって規定された経路は、MD、TD、およびND方向のフィルムの伸張に影響を及ぼす。伸張(または延伸)変化は、1組の延伸比、すなわち、機械方向延伸比(MDDR)、横断方向延伸比(TDDR)、および法線方向延伸比(NDDR)として説明することができる。フィルムに対して定められるとき、特定の延伸比は、一般に、所望の方向(たとえば、TD、MD、またはND)のフィルムの現在のサイズ(たとえば、長さ、幅、または厚さ)とその同じ方向のフィルムの最初のサイズ(たとえば、長さ、幅、または厚さ)との比と定義する。これらの延伸比を、延伸されるときのポリマーフィルムの観察によって定めることができるが、特に明記しない限り、MDDR、TDDR、およびNDDRへの言及は、ポリマーフィルムを伸張するために使用されるトラックによって定められた延伸比を指す。
伸張プロセスの任意の所与の点において、TDDRは、境界軌道の現在の分離距離Lと、伸張の開始における境界軌道の最初の分離距離L0との比に対応する。換言すれば、TDDR=L/L0である。いくつかの場合(図2および図4のように)、TDDRは符号λで表される。伸張プロセスの任意の所与の点において、MDDRは、広がり角θ、すなわち、MDと、境界軌道、たとえばトラックまたはレールの瞬間タンジェントとの間の正の挟角のコサインである。当然、cot(θ)が、その点におけるトラックの瞬間勾配(すなわち、最初の導関数)に等しいことになる。TDDRおよびMDDRが定められると、ポリマーフィルムの密度が伸張プロセスの間一定であれば、NDDR=1/(TDDR*MDDR)である。しかし、フィルムの密度がρf(ρf=ρ/ρ0であり、ρは、伸張プロセスの現在の点における密度であり、ρ0は、伸張の開始における最初の密度である)のファクタだけ変わると、期待されるようなNDDR=ρf/(TDDR*MDDR)である。材料の密度の変化は、たとえば、伸張または他の処理条件によって引起される、結晶化または部分結晶化などの相変化によるものを含む、さまざまな理由で発生することができる。
完全一軸延伸の条件は、図2に示されているように、横断方向の寸法の増加とともに、それぞれ、λ、(λ)-1/2、および(λ)-1/2の、TDDR、MDDR、およびNDDRをもたらす(材料の一定の密度を想定すると)。換言すれば、延伸の間の均一な密度を想定すると、一軸配向されたフィルムは、延伸全体にわたってMDDR=(TDDR)-1/2のものである。一軸特徴の程度の有用な尺度Uを、次のように定義することができる。
Figure 0005563437
完全一軸延伸の場合、Uは、延伸全体にわたって1である。Uが1未満である場合、延伸条件は「一軸未満(subuniaxial)」と考えられる。Uが1より大きい場合、延伸条件は「超一軸」と考えられる。従来のテンターにおいて、図1および図2に示されているようにポリマーフィルムがトラック2に沿って線形に伸張されて、フィルムの領域4を伸張された領域6に伸張し、かつ、広がり角が比較的小さい(たとえば、約3°以下)場合、MDDRは約1であり、Uは約0である。フィルムが二軸延伸され、MDDRが1より大きい場合、Uは負になる。いくつかの実施形態において、Uは、1より大きい値を有することができる。1より大きいUの状態は、過剰の緩和のさまざまなレベルを表す。これらの過剰に緩和された状態は、境界端縁からのMD圧縮を生じる。MD圧縮のレベルがジオメトリおよび材料剛性に十分である場合、フィルムは座屈するかしわが寄る。
期待されるように、Uを密度の変化について補正して、次の式に従ってUfを与えることができる。
Figure 0005563437
好ましくは、フィルムは、図5に示されているような平面で延伸される(すなわち、境界軌道およびトラックは共面である)が、非共面伸張軌道も受入れられる。面内境界軌道の設計は、面内制約が変数の数を低減するので、簡単にされる。完全一軸配向の結果は、面内MD中心線から離れて広がる1対の鏡対称の面内放物線軌道である。放物線は、最初にTDを「x」方向と定義し、MDを「y」方向と定義することによって描いてもよい。対向する境界放物線の間のMD中心線を、y座標軸としてもよい。座標原点は、主伸張領域の始まりであるように選択してもよく、放物線軌道間の中心トレースの最初の中心点に対応する。左側および右側の境界放物線は、それぞれ、マイナスおよびプラスx0で開始する(y=0)ように選択される。本発明のこの実施形態を具現する正のy値の右側の境界放物線軌道は、
x/x0=(1/4)(y/x02+1
である。左側の境界放物線軌道は、上記式の左側にマイナス1を乗じることによって得られる。以下の説明において、右側の境界軌道を定める説明および方法を提示する。次に、フィルムの中心線に対して右側の境界軌道の鏡像をとることによって、左側の境界軌道を得ることができる。
共面放物線軌道は、理想的な条件下で一軸配向をもたらすことができる。しかし、たとえば、ポリマーフィルムの不均一な厚さ、伸張の間のポリマーフィルムの不均一な加熱、および、たとえば装置のダウンウェブ領域からの付加的な張力(たとえば、機械方向張力)の付与を含む他の要因が、一軸配向を達成する能力に影響を及ぼすことがある。さらに、多くの場合、完全一軸配向を達成することは必要でない。代わりに、延伸全体にわたってまたは延伸の特定の部分の間に維持される最小もしくはしきい値U値または平均U値を定義することができる。たとえば、受入れられる最小/しきい値または平均U値は、望まれるように、または特定の用途に必要とされるように、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、または0.95であることができる。
受入れられるほぼ一軸の用途の例として、液晶ディスプレイ用途に使用される反射偏光子のオフ角特徴は、TDが主一軸延伸方向である場合、MD屈折率とND屈折率との差によって強く影響される。0.08のMDとNDとの屈折率差が、いくつかの用途において受入れられる。0.04の差が、他の用途において受入れられる。より厳しい用途において、0.02以下の差が好ましい。たとえば、0.85の一軸特徴の程度は、多くの場合、一軸横断延伸フィルムについて、633nmにおいて、0.02以下の、ポリエチレンナフタレート(PEN)またはPENのコポリマーを含有するポリエステル系のMD方向とND方向との間の屈折率差をもたらすのに十分である。ポリエチレンテレフタレート(PET)などのいくつかのポリエステル系の場合、0.80またはさらには0.75のより低いU値が、非実質的に一軸延伸されたフィルムのより低い固有の屈折率差のために受入れられるであろう。
一軸未満の延伸の場合、真に一軸の特徴の最終の程度を用いて、下記式:
Δnyz=Δnyz(U=0)×(1−U)
(ここで、Δnyzは、値UについてのMD方向(すなわち、y方向)の屈折率とND方向(すなわち、z方向)の屈折率との間の差であり、Δnyz(U=0)は、延伸全体にわたってMDDRが1で維持される以外は同一に延伸されたフィルムの、その屈折率差である)によってy(MD)方向とz(ND)方向との間の屈折率適合のレベルを推定することができる。この関係は、さまざまな光学フィルムに使用されるポリエステル系(PEN、PET、およびPENまたはPETのコポリマーを含む)について妥当に予測的であることがわかっている。これらのポリエステル系において、Δnyz(U=0)は、典型的には、2つの面内方向MD(y軸)およびTD(x軸)の間の屈折差である差Δnxy(U=0)の約2分の1以上である。Δnxy(U=0)の典型的な値は、633nmにおいて約0.26までである。Δnyz(U=0)の典型的な値は、633nmにおいて0.15までである。たとえば、90/10coPEN、すなわち、約90%のPEN状繰返し単位と10%のPET状繰返し単位とを含むコポリエステルは、約0.14の高い伸びにおいて633nmにおいて典型的な値を有する。実際のフィルム延伸比によって測定されるようなUの値が、0.75、0.88、および0.97であり、対応するΔnyzの値が、633nmにおいて、0.02、0.01、および0.003である、この90/10coPENを含むフィルムが、本発明の方法によって製造されている。
ほぼまたは実質的に一軸の特徴である、受入れられる放物線軌道の1組を、次の方法によって定めることができる。この説明される方法は、「右側の」境界軌道を直接定め、「左側の」境界軌道を鏡像とする。最初に、対向する境界軌道の間で測定されたTDDRと、TDDRの選択された範囲にわたるそれらの境界軌道の負でない広がり角のコサインと定義されたMDDRとの間の瞬間関数関係を定義することによって、条件を設定する。次に、問題のジオメトリを、放物線軌道の説明において説明されたように定義する。x1を、境界軌道間の最初の半分の距離と定義し、比(x/x1)を瞬間TDDRとして識別し、ここで、xは、境界軌道上の点の現在のx位置である。次に、TDDRとMDDRとの間の瞬間関数関係を、TDDRと広がり角との間の関係に変換する。Uの特定の値が選択されると、上記式は、MDDRとTDDRとの間の特定の関係をもたらし、これは、次に、アルゴリズムに用いて、Uが1に近づく限定的な場合として放物線軌道も含む境界軌道のより広いクラスを特定することができる。次に、境界軌道を、次の微分方程式:
d(x/x1)/d(y/x1)=tan(θ)
(ここで、tan(θ)は、広がり角θのタンジェントであり、yは、所与のx座標に対応する右側の境界軌道上の対向する点の現在の位置のy座標である)を満たすように制約する。次に、たとえば、1から最大の所望の値までTDDRの履歴に沿って1/tan(θ)を積分することによって、微分方程式を解いて、解析的にまたは数値的に、右側の境界軌道の完全な座標セット{(x,y)}を得てもよい。
受入れられる軌道の別の例として、放物線軌道をより小さいまたはより大きい最初の有効ウェブTD長さで用いる面内軌道のクラスを説明することができる。x1が、主伸張領域への入口において2つの対向する境界軌道の間の分離距離の半分である場合(すなわち、対向する境界軌道の間の最初の半分の距離である、最初のフィルムTD寸法マイナスグリッパによって保持された縁)、このクラスの軌道は、次の式:
±(x)/(x1)=(1/4)(x1/x0)(y/x12+1
(ここで、x1/x0をスケールされた入口分離と定義する)によって説明される。上記式が、完全に一軸の延伸をもたらした放物線状トラックを説明した場合、量x0は、必要な2つの対向するトラックの間の分離距離の半分に対応する。スケールされた入口分離x1/x0は、一軸条件からの軌道のそれの表示である。一実施形態において、主伸張ゾーンの2つの対向するトラックの間の距離は、上述されたように調整可能であり、1と異なったUおよびFの値を提供するための軌道の操作を考慮する。たとえば、トラック形状制御ユニットを使用して、または所望の軌道を有する固定された形状を選択することによって軌道の形状を操作することを含む、これらの軌道を形成する他の方法も用いることができる。
超一軸延伸の場合、しわ寄りの激しさを、オーバフィードの概念を用いて定量化することができる。オーバフィードFは、一軸MDDR((TDDR)-1/2に等しい)を実際のMDDRで割ったものと定義することができる。実際のMDDRが一軸MDDRより小さい場合、オーバフィードFは1未満であり、MDDRは不十分に緩和され、1未満のUをもたらす。Fが1より大きい場合、延伸は超一軸であり、MDDRは一軸のケースに対して過剰に緩和される。余分なゆるみの少なくとも一部を、しわとして対処することができ、というのは、圧縮座屈しきい値は、典型的には、薄いコンプライアントフィルムの場合低いからである。Fが1より大きい場合、オーバフィードは、MDに沿ったしわの実際のフィルム外形長さと面内外形長さまたは空間との比に少なくともほぼ対応する。
一定の密度の場合のTDDRとMDDRとの間の関係のため、Fは、次のように記載することができる。
F=1/(MDDR×TDDR1/2
典型的には、Fは、設計目的には無関係の密度とする。プロセスの間のいつでもFの大きい値が、大きいしわを引起すことがあり、これは、フィルムの他の部分に折り重なり、くっつき、欠陥を引起すことがある。少なくともいくつかの実施形態において、オーバフィードFは、激しいしわ寄りまたは折り重なりを回避または低減するために、延伸の間2以下のままである。いくつかの実施形態において、オーバフィードは、延伸の過程の全体にわたって1.5以下である。いくつかのフィルムの場合、1.2またはさらには1.1のFの最大値が、延伸全体にわたって可能にされる。
少なくともいくつかの実施形態、特に延伸全体を通してU>1の実施形態の場合、現在のTDDRがあれば、オーバフィードの定義の再整理が、最小MDDRに関する相対限界をもたらし、
MDDR>1/(Fmax×TDDR1/2
ここで、Fmaxは、1より大きい任意の好ましいレベルで選択することができる。たとえば、Fは、上述されたように、2、1.5、1.2、または1.1であるように選択することができる。
オーバフィードが1未満である場合、真に一軸の延伸に望ましいより効果的に大きい、MDに沿った面内空間があり、MDDRは、不十分に緩和してもよく、MD張力を引起してもよい。結果は、1未満のU値であることができる。U、F、MDDR、およびTDDRの間の関係を用いると、TDDRとともに変わる、UとFとの間の対応する相互関係がある。2の臨界延伸比において、最小U値は、約0.9の最小オーバフィードに対応する。延伸全体についてU>1である境界軌道を含む、少なくともいくつかの境界軌道の場合、MDDRは、延伸の最終部分の間、特定のレベルより低いままであるように選択することができ、たとえば、
MDDR<1/(Fmin×TDDR1/2
ここで、Fminは、2の延伸比の後の延伸の最終部分について0.9以上である。
一例として、伸張全体にわたってMDDR<(TDDR)-1/2(すなわち、U>1)である軌道を用いることができ、Fmaxは2であり、フィルムは、4のTDDRに伸張される。軌道が共面である場合、フィルムは、少なくとも2.4、しばしば少なくとも5.3のTDDRに伸張される。Fmaxが1.5である場合、フィルムは、少なくとも6.8のTDDRに伸張される。軌道が共面である場合、フィルムは、少なくとも2.1、しばしば少なくとも4.7のTDDRに伸張される。Fmaxが1.2である場合、フィルムは、共面軌道を用いて、少なくとも1.8、しばしば少なくとも4.0のTDDRに伸張される。共面または非共面境界軌道について、Fに制限がない場合、フィルムは、4より大きく、しばしば少なくとも6.8のTDDRに伸張される。
別の例において、伸張全体にわたって(Fmin*(MDDR)<(TDDR)-1/2である共面軌道を用いることができ、Fmaxは2であり、Fminは0.9であり、フィルムは、少なくとも4.6、しばしば少なくとも6.8のTDDRに伸張される。Fmaxが1.5である場合、フィルムは、少なくとも4.2、しばしば少なくとも6.1のTDDRに伸張される。Fmaxが1.2である場合、フィルムは、少なくとも3.7、しばしば少なくとも5.4のTDDRに伸張される。Fに制限がない場合、フィルムは、少なくとも8.4のTDDRに伸張される。伸張全体にわたって(Fmin*(MDDR)<(TDDR)-1/2である境界軌道も用いることができ、Fmaxは1.5であり、Fminは0.9であり、フィルムは、少なくとも6.8のTDDRに伸張される。
他の有用な軌道を、Fmaxを用いて定義することができる。有用な軌道としては、TDDRが少なくとも5であり、Uが、2.5のTDDRを達成した後、伸張の最終部分にわたって少なくとも0.85であり、Fmaxが、伸張の間2である共面軌道が挙げられる。有用な軌道としては、また、TDDRが少なくとも6であり、Uが、2.5のTDDRを達成した後、伸張の最終部分にわたって少なくとも0.7であり、Fmaxが、伸張の間2である共面軌道が挙げられる。
さらに他の有用な共面軌道としては、延伸の最終部分の間MDDR<TDDR-1/2<(Fmax*(MDDR)であり、TDDRが臨界値TDDR’より大きいものが挙げられる。次のものは、軌道のために達成すべきである最小延伸比をもたらす。TDDR’が2以下である場合、Fmax=2について、最小延伸は3.5であり、Fmax=1.5について、最小延伸は3.2であり、Fmax=2について、最小延伸は2.7である。TDDR’が4以下である場合、Fmax=2について、最小延伸は5.8であり、Fmax=1.5について、最小延伸は5.3であり、Fmax=1.2について、最小延伸は4.8である。TDDR’が5以下である場合、Fmax=2について、最小延伸は7であり、Fmax=1.5について、最小延伸は6.4であり、Fmax=1.2について、最小延伸は5.8である。
一般に、オーバフィードが、折り重なり欠陥を防止するために延伸全体にわたって臨界最大レベルより低いままであり、一方、真に一軸の特徴の所望のレベルをその結果として生じる特性とともに可能にするために臨界最小レベルより高いままであるように、曲線トラックおよび線形トラックを用いて、さまざまな受入れられる軌道を構成することができる。
さまざまな一軸未満の軌道および超一軸軌道を、放物線形状を用いて形成してもよい。図18は、臨界TDDR後の異なったレベルの最小Uを示し、かつ最終の所望のTDDRまでの異なった最大オーバフィードを示す例を示す。曲線は、x1、すなわちトラックの最初の分離距離の半分だけスケールされたような座標xおよびyによって表される。したがって、スケールされたx座標、量(x/x1)は、TDDRに等しい。曲線300は、x1/x0の値が1.0の理想的なケースである。曲線302は、Uが、2.5の延伸比より高くで0.70より大きいままである、x1/x0の値が0.653の放物線のケースである。曲線304は、Uが、2.5の延伸比後0.85より高いままである、x1/x0の値が0.822の放物線のケースである。曲線306、308、および310は、オーバフィードのさまざまなレベルを示す。オーバフィード、TDDR、およびスケールされた入口幅は、下記式:
1/x0=(F2(TDDR)−1)/(TDDR−1)
によって関連づけられる。当然、直接、オーバフィードが、ここで説明された放物線軌道の増加するTDDRとともに増加することになる。曲線306は、オーバフィードが、6.5の最終延伸比まで、1.2より低いままである、x1/x0の値が1.52の放物線のケースである。曲線308は、オーバフィードが、6.5の最終延伸比まで、1.5より低いままである、x1/x0の値が2.477の放物線のケースである。曲線310は、オーバフィードが、6.5の最終延伸比まで、2より低いままである、x1/x0の値が4.545の放物線のケースである。オーバフィードのレベルは、これらの場合、最終延伸比の関数である。たとえば、4.545ではなくわずか4.333のx1/x0の値を用いることは、オーバフィードを2未満に保ちながら、10の最終TDDRに延伸することを可能にする。
放物線軌道について、ある関係が、固定されたスケールされた入口幅について任意の所与のTDDRにおけるMDDRの直接計算を可能にする。
MDDR=(TDDR(x1/x0)+(1−x1/x0))-1/2
1つの観察は、MDDRとTDDRとの間の関係が、y位置の陽関数ではないことである。これは、y/x1において垂直にシフトされた放物線軌道のセクションを含む複合混成曲線の構成を可能にする。図19は、1つの方法を示す。延伸の最初の部分についての放物線軌道が選択され、曲線320であり、最終部分について放物線軌道が選択され、曲線322である。最初の曲線320は、4.5の延伸比において最大オーバフィードが2.0である超一軸延伸をもたらすように選択される。曲線320は、4.857のスケールされた入口幅を有する。最終曲線322は、4.5の延伸比において最小Uが0.9である一軸未満の延伸であるように選択される。曲線322は、0.868のスケールされた入口幅を有する。実際のトラック形状またはレール形状は、4.5のTDDRまで曲線320に従い、次に、曲線322の垂直にシフトされたものである曲線324に続く。換言すれば、軌道は、下記式:
±(x)/(x1)=(1/4)(x1/x0)(y/x12+1
に対応する関数形を有するトラックで最初の伸張ゾーンを有することができ、次に、下記式:
±(x)/(x2)=(1/4)(x2/x0)((y−A)/x22+1
に対応する関数形を有するトラックで後の伸張ゾーンを有することができ、ここで、x1およびx2は異なり、Aは、軌道の結合を可能にする垂直シフトに対応する。任意の数の放物線状セグメントをこのように組合せてもよい。
放物線軌道、およびそれらの複合混成を用いて、関連軌道の構成を導くことができる。一実施形態は、線形セグメントを使用して軌道を作ることを伴う。これらの線形近似は、臨界延伸比TDDR*より大きい選択されたTDDR’において、最大オーバフィードおよび最小オーバフィード(または最小U)の放物線軌道(または複合混成)の範囲内で構成することができる。1.5、2、および2.5の値の例で、歪みにより誘起された結晶性の開始に関連するか、1.2またはさらには1.1のより低い値で弾性歪み降伏に関連づけてもよいTDDR*の値を選択することができる。TDDR*の範囲は、一般に1.05から3になる。TDDR*より低いレールまたはトラックの部分は、最小オーバフィードまたはUに関するいかなる特定の制約を有さなくてもよく、制約放物線軌道の範囲外になってもよい。図20において、曲線340が、6.5の値でここで示された、選択された延伸比TDDR’における、最小オーバフィードの制約放物線軌道であるように選択される。例示のため、最小オーバフィード制約放物線軌道は、1のスケールされた入口幅で、理想的な曲線として選択されている。オーバフィード、TDDR、およびスケールされた入口幅の間の関係を用いて、曲線342が、6.5のTDDR値においてFの最大値が2.0である、最大オーバフィードの制約放物線軌道として識別される。曲線342は、ここで垂直にシフトされて、曲線344を形成し、それにより、2つの制約放物線軌道は、6.5の選択されたTDDR’において交わる。曲線342および344が延伸特徴に対して完全に等しいことに注意すべきである。曲線344は、2.489の、y/x1の後の空間的値まで、単に伸張を遅らせるだけである。線形セグメントまたは非放物線状曲線セグメントの近似は、TDDR*より高くでこれらの制約軌道の間にある傾向がある。
増加するTDDRとともに増加する広がり角を有する放物線軌道と異なり、線形軌道は、固定された広がり角を有する。したがって、オーバフィードは、線形セグメントに沿って、増加するTDDRとともに減少する。選択されたTDDRにおける所望の最小オーバフィードに等しい広がり角を有する線を選択することによって、簡単な線形近似を構成することができる。オーバフィードが、可能にされる最大値に等しくなるまで、線セグメントをTDDRの後方に外挿してもよい。その後の線形セグメントが、同様に開始される。この手順は、必要なだけまたは望まれるだけ繰返される。最大オーバフィードが減少するにつれて、近似に必要なセグメントの数が増加する。TDDRがTDDR*より低く降下した場合、最大オーバフィードに関する制約が維持される限り、任意の数の方法を用いて、トラックまたはレールを完成させてもよい。図20において、曲線346が、2の最大オーバフィードによって制約された線形近似である。この大きい最大オーバフィードのため、それは、2つの線形セクションのみを含む。最終線形セグメントは、6.5の選択されたTDDRから1.65のより低いTDDRまでずっと後方に延びる。この場合、TDDR*は2とする。2のTDDRより低くでUに関する制約がなければ、トラックを仕上げる1つの方法は、1.65におけるTDDRから、y/x10点における1のTDDRに戻って第2の線形セグメントを外挿することである。これが、制約がTDDR*より低くで効果的でないので、第2のセグメントがより低い制約放物線を横切ることを引起すことに留意されたい。
図20において、曲線348が、1.5の、最大オーバフィードのより厳しい値を用いた結果である。ここで、最大オーバフィードの制約放物線軌道は示されていない。3つの線形セグメントが必要である。第1のセグメントは、6.5のTDDRから2.9のTDDRまで後方に延びる。第2のセグメントは、この2.9のTDDR値における最小オーバフィードの制約放物線軌道に等しい広がり角を想定し、後方に1.3のTDDRまで延びる。この第2のセグメントは、TDDR*より低くで終わる。最終セグメントは、曲線346について用いられた方法と異なった方法を用いて、曲線348のトラック形状またはレール形状を完成させる。ここで、前のセグメントと同じ手順を最後のセグメントについて用い、より高いy/x1値で伸張の開始の遅延をもたらす。トラックを完成させる第3の方法は、オーバフィードを1の最初のTDDRにおいて最大に設定することである。
本発明の要件に合う一般的な非線形軌道および非放物線軌道を、制約放物線軌道を用いて構成することができる。最大オーバフィード制約放物線軌道は、TDDRの関数としての、最小勾配の曲線、すなわち最大広がり角である。最小オーバフィード制約放物線軌道は、TDDRの関数としての、最大勾配の曲線、すなわち最小広がり角である。一般に、曲線は、制約境界の間にある勾配の任意の関数を用いて、選択されたTDDR’から後方に外挿することができる。これらの制約の間にある勾配の関数を定義するための簡単な方法は、包絡線内の既知の曲線の簡単な線形組合せをとることである。図20の曲線350は、この簡単な方法を示す。この例において、350は、それぞれ0.7および0.3の線形重量で、最大オーバフィード制約放物線軌道、曲線344と、それへの線形近似、曲線346との線形組合せによって、形成される。一般に、簡単な線形組合せでない関数も用いることができる。
本発明のさまざまな非放物線軌道を説明するための上述の方法を、トラックの異なったセクションにわたって適用することができ、たとえば、6.5までのTDDRについての図20の例を、6.5を超えるTDDRについての別のセクションと、TDDRのそのより高い範囲にわたって異なった要件ならびにしたがって異なった最大制約軌道および最小制約軌道で、組合せてもよい。この場合、より低い延伸の前のセクションTDDR’が、TDDR*の役割を果たす。一般に、TDDR’は、所望の延伸の範囲にわたって選択してもよい。さまざまなセクションを用いて、降伏、歪みにより誘起された結晶化、ネッキング、または他の延伸不均一性の開始、歪み硬化の開始などの、延伸のさまざまな現象を説明するか、フィルム内のさまざまな特性の発生を説明してもよい。典型的なブレークポイントは、TDDR*のもの、ポリエステルの歪み硬化のための3から7の範囲、および4から10以上の範囲内の典型的な最終延伸値を含む。
選択されたTDDR’からより低いTDDRに後方に外挿する方法における、本発明の境界軌道を定めるための手順を、選択されたTDDR”からより高いTDDRに前方に外挿する類似の方法に用いてもよい。再び、2つの制約軌道が形成され、最も低い選択されたTDDR”において結合される。TDDR”の好都合な値は、1の最初のTDDRである。この方法において、最小オーバフィードまたはUの制約軌道は、最大オーバフィード曲線より高くにある。図19は、混成曲線324が、最小オーバフィード制約、曲線322と、最大オーバフィード制約、曲線320との間にある、この方法の例を実際に示す。
さらに別のクラスの境界軌道を定義することができ、いくつかの実施形態において、残留しわを抑制するのに有用であろう。剪断がない状態での一軸条件が、0の主MD応力をもたらすので、有限歪み分析を用いて、主MD応力が、これらの条件下で実際にわずかな圧縮になることが予想される。有限歪み分析およびネオフック(Neo−Hookean)弾性固体構成方程式を用いて、圧縮応力を防止するための適切な基準が、任意に、下記式:
((TDDR)(MDDR))-4+((TDDR)(MDDR))2−(TDDR)-2−(MDDR)-2−sin2(θ)((TDDR)(MDDR))-2=0
(ここで、MDDRは、広がり角のコサインである)によって与えられてもよいことが発見される。次に、本発明のこの任意の方法は、このクラスの境界軌道を特定する。
上で示されたように、フィルムは、面外境界軌道、すなわち、1つのユークリッド平面内にない境界軌道を用いて、平面外に延伸してもよい。本発明のこの好ましい実施形態の関係要件を満たす、無数であるが特定の境界軌道があり、そのため、実質的に一軸の延伸履歴を、面外境界軌道を用いて維持してもよい。境界は、対称的であってもよく、中心平面、たとえば、境界軌道間の最初の中心点、フィルム移動の最初の方向、および未伸張フィルム表面に対する最初の法線を含む平面を通る鏡像を形成してもよい。この実施形態において、フィルムが、境界軌道に沿って、等しい速度で、同様の最初の位置、すなわち互いにかつ最初の中心点と共線的な、から移動するとき、フィルムを、境界軌道の間に、2つの対向する境界軌道の間の最短距離の線セグメントのセットによって形成された円筒形空間マニホルドに沿って延伸してもよい。したがって、中心平面上のこの理想的なマニホルドのトレースは、理想的な延伸のためのフィルム中心の経路をたどる。このマニホルドに沿った境界軌道から中心平面上のこの中心トレースまでの距離と、境界軌道の開始から最初の中心点までの元の距離との比が、境界軌道にまたがるフィルムを横切る瞬間公称TDDR、すなわち、境界軌道上の現在の対向する点の間の半分の距離と、境界軌道上の対向する点の最初の位置の間の半分の距離との比である。2つの対向する点が、一定のかつ同一の速度で、対向する境界軌道に沿って移動するとき、中心トレース上の対応する中心点は、中心トレースの弧、すなわち曲線MDに沿って測定されるような速度を変える。特に、中心トレースは、中心トレースの単位タンジェントに対する境界軌道の単位タンジェントの射影に比例して変わる。
上述された軌道のクラスは、例示的なものであり、限定的なものと解釈されるべきではない。多数の軌道クラスが、本発明の範囲内にあると考えられる。上で示されたように、主伸張領域は、異なった伸張条件で2つ以上の異なったゾーンを含むことができる。たとえば、第1のクラスの軌道からの1つの軌道を、最初の伸張ゾーンのために選択することができ、同じ第1のクラスの軌道または異なったクラスの軌道からの別の軌道を、その後の伸張ゾーンの各々のために選択することができる。
本発明は、約0.7、より好ましくは約0.75、さらに好ましくは約0.8、さらに好ましくは約0.85のUの最小値を含むほぼ一軸の境界軌道をすべて網羅する。最小Uの制約を、好ましくは約2.5、さらに好ましくは約2.0、より好ましくは約1.5の臨界TDDRによって定義された延伸の最終部分にわたって適用してもよい。いくつかの実施形態において、臨界TDDRは4または5であることができる。臨界TDDRより高くで、特定の材料、たとえば、配向可能な複屈折ポリエステルを含む特定のモノリシックなフィルムおよび多層フィルムが、歪みにより誘起された結晶性などの構造の発生のため、それらの弾性またはスナップバック能力を失い始めることがある。臨界TDDRは、歪みにより誘起された結晶化の開始のための臨界TDDRなど、さまざまな材料およびプロセス(たとえば温度および歪み速度)特定事象と一致してもよい。そのような臨界TDDRより高くでのUの最小値は、最終フィルム内にセットされた非一軸特徴の量に関連することができる。
Uが伸張期間の終わりに一軸未満である場合、さまざまな境界軌道が利用可能である。特に、有用な境界軌道としては、TDDRが少なくとも5であり、Uが、2.5のTDDRを達成した後、伸張の最終部分にわたって少なくとも0.7であり、Uが、伸張の終わりに1未満である共面軌道が挙げられる。他の有用な軌道としては、TDDRが少なくとも7であり、Uが、2.5のTDDRを達成した後、伸張の最終部分にわたって少なくとも0.7であり、Uが、伸張の終わりに1未満である共面軌道および非共面軌道が挙げられる。有用な軌道としては、また、TDDRが少なくとも6.5であり、Uが、2.5のTDDRを達成した後、伸張の最終部分にわたって少なくとも0.8であり、Uが、伸張の終わりに1未満である共面軌道および非共面軌道が挙げられる。有用な軌道としては、TDDRが少なくとも6であり、Uが、2.5のTDDRを達成した後、伸張の最終部分にわたって少なくとも0.9であり、Uが、伸張の終わりに1未満である共面軌道および非共面軌道が挙げられる。
有用な軌道としては、また、TDDRが少なくとも7であり、Uが、2.5のTDDRを達成した後、伸張の最終部分にわたって少なくとも0.85である共面軌道および非共面軌道が挙げられる。
いくつかの実施形態において、しわ寄りを抑制するために、小さいレベルのMD張力が伸張プロセスに導入される。一般に、必然的ではないが、そのようなMD張力の量は、減少するUとともに増加する。
いくつかの実施形態において、延伸が進むにつれて、張力を増加させることが有用である。たとえば、延伸のより早くでのUのより小さい値が、より非一軸の特徴を最終フィルム内にセットする傾向があるであろう。したがって、さまざまな軌道クラスの属性を複合軌道に組合せることが有利であろう。たとえば、一軸放物線軌道が、延伸のより早い部分において好ましく、一方、延伸のより後の部分が、異なった軌道上で細まってもよい。別の配列において、Uを、TDDRでの非増加関数としてもよい。さらに別の配列において、オーバフィードFが、たとえば、1.5、2、または2.5の臨界延伸比の後、TDDRでの非増加関数であってもよい。
一軸放物線軌道は、フィルムの均一な空間的延伸を想定する。フィルムの良好な空間的均一性は、多くのポリマー系で、延伸の開始時および延伸の間の温度分布の注意深い制御と合せて、最初の未延伸フィルムまたはウェブのクロスウェブおよびダウンウェブキャリパ(厚さ)分布の注意深い制御で、達成することができる。たとえば、ほとんどの場合、最初、および最初に均一なキャリパのフィルムの延伸の間の、フィルムを横切る均一な温度分布が、十分なはずである。多くのポリマー系が、不均一性に特に敏感であり、キャリパおよび温度均一性が不十分な場合、不均一に延伸する。たとえば、ポリプロピレンは、一軸延伸下で「線延伸(line draw)」の傾向がある。特定のポリエステル、特にポリエチレンナフタレートも、非常に敏感である。
不均一なフィルム伸張は、たとえば、不均一なフィルム厚さまたは他の特性、不均一な加熱などを含むさまざまな理由で発生することがある。これらの場合の多くにおいて、把持部材に近いフィルムの部分が、中心より速く延伸する。これは、最終の均一なMDDRを達成する能力を制限することがあるフィルムのMD張力を生じる。この問題の1つの補償が、放物線状または他の一軸軌道を修正して、より低いMDDRを提示することである。換言すれば、延伸の一部またはすべてについてMDDR<(TDDR)-1/2である。
一実施形態において、延伸のすべてについて、より大きい広がり角に対応するMDDR<(TDDR)-1/2の、修正された放物線状または他の一軸軌道が選択される。少なくともいくつかの場合、1未満のU値がこの用途に受入れられるので、この条件を緩和することができる。そのような場合、(0.9)MDDR<(TDDR)-1/2の修正された放物線状または他の一軸軌道が選択される。
別の実施形態において、最初の伸張ゾーンについてMDDR<(TDDR)-1/2であり、TDDRが少なくとも0.5または1だけ増加された、修正された放物線状または他の一軸軌道が選択される。次に、異なった軌道が、延伸の残りについて維持される。たとえば、後の伸張ゾーン(伸張領域34内)が、MDDRが(TDDR)-1/2に等しいまたはほぼ等しい(±5%以内、好ましくは±3%以内)放物線状または他の一軸軌道を有する。例として、最初の伸張ゾーンが、所望の値までのTDDRレベルを達成することができる。この所望の値は、典型的には4または5以下である。次に、後の伸張ゾーンが、TDDRを最初の伸張ゾーンの所望の値から(または介在する伸張ゾーンがある場合はより高い値から)増加させることができる。一般に、後の伸張ゾーンは、TDDR値を0.5または1以上だけ増加させるように選択される。
再び、少なくともいくつかの場合、1未満のU値がこの用途に受入れられるので、MDDRおよびTDDRの関係を緩和することができる。そのような場合、(0.9)MDDR<(TDDR)-1/2の、最初の伸張ゾーンの修正された放物線状または他の一軸軌道が選択される。
図5を参照すると、装置は、典型的には、後処理領域36を含む。たとえば、フィルムをゾーン48でセットし、ゾーン50で急冷してもよい。いくつかの実施形態において、急冷は伸張装置の外側で行われる。典型的には、フィルムは、フィルムの少なくとも1つの構成要素、たとえば、多層フィルムの1層タイプが、ガラス転移より低い温度に達するとセットされる。フィルムは、すべての構成要素がそれらのガラス転移より低い温度レベルに達すると急冷される。図5に示された実施形態において、主伸張領域34からフィルムを取外すために取出しシステムが使用される。示された実施形態において、この取出しシステムは、フィルムが主伸張領域を通って搬送されたトラックと無関係である(すなわち、直接連結されていない)。取出しシステムは、たとえばベルトまたはテンタークリップの対向するセットなどの把持部材とともに、トラック140、141などの任意のフィルム搬送構造を使用することができる。
図10に示されているようないくつかの実施形態において、(適切な取出しシステムの他の実施形態に使用することができる平行なトラック140、141と比較して)角度をつけられたトラック140’、141’を使用して、TD収縮制御を行うことができる。たとえば、取出しシステムのトラックを、後処理領域の少なくとも一部を通って徐々に細まる経路(約5°以下の角度θを作る)に従うように位置決めして、冷却でのフィルムのTD収縮を考慮することができる。この構成のトラックは、TD収縮の制御を可能にして、収縮の均一性を増加させる。他の実施形態において、2つの対向するトラックは、典型的には約3°以下の角度で末広がりであることができるが、より広い角度をいくつかの実施形態で用いることができる。これは、たとえばフィルムを横切る、屈折率の主軸の変化などの特性不均一性を低減するために、主伸張領域のフィルムのMD張力を増加させるのに有用であることができる。
いくつかの実施形態において、取出しシステムの位置は、図11に示されているように、取出しシステムがフィルムを把持する、伸張装置に沿った位置を変えるように調整可能であることができる。この調整可能性は、フィルムが曝される伸張の量を制御するための1つの方法を提供する。延伸のより早くに取出しシステムのトラック140’、141’によって受けられたフィルム(図11の点線で示された)は、一般に、延伸のより後に位置決めされた取出しシステムのトラック140、141によって受けられたフィルム(図11の実線で示された)より小さいTDDRを有する。取出しシステムは、また、任意に、取出しシステムの対向するトラックの間の距離の調整を可能にするように構成することができる。さらに、取出しシステムは、また、任意に、取出しシステムの長さの調整を可能にするように構成することができる。
可能な取出しシステムの別の例は、分離されたトラック140、141、142、143を備えた、少なくとも2つの異なった領域を含む。これらの領域は、図12に示されているような、対向するトラックの2つの別個のセット140、141および142、143を使用して形成することができる。図12に示された一実施形態において、第1の領域は、TD収縮制御をもたらすように先細角で配置されたトラック140、141を含むことができ、第2の領域のトラック142、143は、平行であることができる。他の実施形態において、2つの異なった領域の対向するトラックは、上述されたようにTD収縮制御をもたらすように2つの異なった先細角でセットすることができるか、または、第1の領域は平行なトラックを有することができ、第2の領域は、TD収縮制御をもたらすように先細角で配置されたトラックを有する。あるいは、またはさらに、2つの異なったトラックを、2つの異なった取出し速度でセットして、主伸張領域を取出し領域から切り離すことができ、それは、張力を加えて、しわを除去する。
一実施形態において、図12に示された取出しシステム、トラック142’、143’は、フィルムを受ける前、対向するトラック140、141内に入れられる。フィルムが対向するトラック140、141によって最初に受けられると、トラック142、143は、図12に示された位置に移動する。他の実施形態において、対向するトラック140、141、142、143は、フィルムが少しもない状態で、図12に示されているように位置決めされる(すなわち、入れられない)。
取出しシステムの別の例が、図13に示されている。この例において、取出しシステムのトラック140、141は、フィルムが主伸張領域のトラック64を通って搬送されるとき、フィルムの中心線に対して角度をつけられる。2つの対向する搬送機構の角度は、同じ、たとえば角度βであることができるか、または、角度は、異なることができ、一方のトラックについてβ+εと説明することができ、他方のトラックについてβ−εと説明することができる。角度εは、TD収縮制御などをもたらすように、上述された先細角または広がり角に対応する。いくつかの実施形態において、主伸張ゾーンのトラック64は、また、角度φで配置することができ、トラック140、141は、図13に示されているようにφ+β+εおよびφ+β−εで角度をつけられる。角度をつけられた取出しシステム、主伸張ゾーン、または両方が、屈折率軸または引裂軸などの、フィルムの特性の主軸または軸が、フィルムに対して角度をつけられたフィルムを提供するのに有用であることができる。いくつかの実施形態において、取出しシステムが主伸張ゾーンに対して作る角度は、手動で、またはコンピュータ制御ドライバもしくは他の制御機構を使用して機械的に、または両方で調整可能である。
角度をつけられた取出しシステムを使用するいくつかの実施形態において、2つの対向するトラックは、図13に示されているように、同じまたは実質的に同様のTDDRを有するフィルムを受けるように位置決めされる(ここで、点線は、同じTDDRにおけるフィルムを示す)。他の実施形態において、2つの対向するトラック140、141は、図14に示されているように、TDDRが2つの対向するトラックについて異なるように、フィルムを受けるように位置決めされる(図14の点線は、同じTDDRにおけるフィルムを示す)。この後者の構成は、フィルムのTD寸法にわたって変わる特性を有するフィルムを提供することができる。
典型的には、主伸張領域を通って把持部材によって保持されたフィルムの部分が除去される。横断伸張の終わりに、延伸履歴の実質的にすべてにわたって実質的に一軸の延伸を維持するために(図5に示されているように)、急速に広がる端縁部分56は、好ましくは、スリッティング点58において、伸張されたフィルム48から切断される。カットを58で行うことができ、ばりまたは使用できない部分56を捨てることができる。
連続把持機構からの縁の解放は、連続的に行うことができるが、テンタークリップなどの別々の把持機構からの解放は、好ましくは、任意の所与のクリップ下の材料がすべて一度に解放されるように行われるべきである。この別々の解放機構は、上流の延伸ウェブによって感じられてもよい、応力のより大きい混乱を引起してもよい。隔離取出し装置の作用を助けるために、装置の連続縁分離機構、たとえば、加熱された延伸されたフィルムの中心部分からの縁の「ホット」スリッティングを用いることが好ましい。
スリッティング位置は、好ましくは、「把持線(gripline)」に十分近く、たとえば、取出しシステムの把持部材による第1の有効接触の隔離取出し点に配置されて、その点の上流の応力混乱を最小にするか低減する。フィルムが取出しシステムによって把持される前にフィルムがスリットされる場合、たとえばTDに沿ったフィルム「スナップバック(snapback)」によって、不安定な取出しが生じることがある。したがって、フィルムは、好ましくは、把持線においてまたは把持線の下流でスリットされる。スリッティングは、破壊プロセスであり、したがって、典型的には、空間的位置の、小さいが自然の変化を有する。したがって、把持線のわずかに下流でスリットして、スリッティングのいかなる一時的な変化も把持線の上流で発生することを防止することが好ましいであろう。フィルムが把持線から実質的に下流でスリットされる場合、取出しと境界軌道との間のフィルムは、TDに沿って伸張し続ける。フィルムのこの部分のみが現在延伸しているので、それは、現在、境界軌道に対して増幅された延伸比で延伸し、上流に伝播することがあるさらなる応力混乱、たとえば、上流に伝播する機械方向張力の望ましくないレベルを生じる。
スリッティングは、好ましくは、可変最終横断延伸方向比に対応するのに必要な取出し位置の変化、または取出しシステムの位置の調整とともに変わることができるように、可動かつ再位置決め可能である。このタイプのスリッティングシステムの利点は、単に取出しスリッティング点58を移動させることによって、延伸プロファイルを維持しながら、延伸比を調整することができることである。
ヒートレザー、ホットワイヤ、レーザ、強度のIR放射線の集束ビーム、または加熱空気の集中ジェットを含むさまざまなスリッティング技術を用いることができる。加熱空気ジェットの場合、空気は、たとえば、ジェット下の熱軟化、溶融、および制御された破壊によって、フィルムに穴をブローするのに、ジェット中で十分に熱くてもよい。あるいは、加熱ジェットは、単に、フィルムの集中セクションを十分に軟化させて、依然として広がる境界軌道によって強いられるさらなる延伸を局所化してもよく、したがって、続けられたフィルムの伸びの作用によって、この加熱ラインに沿って下流の最終的な破壊を引起してもよい。集中ジェット方法は、いくつかの場合、特に、漂遊温度流が延伸プロセスの均一性を混乱させないようにするために、制御された態様で、たとえば真空排気によって、排気空気を積極的に除去することができる場合、好ましいであろう。たとえば、ジェットノズルの周りの同軸排気リングを使用することができる。あるいは、たとえばフィルムの他方の側の、ジェットの下の排気を用いることができる。排気を下流でさらに相殺または補足して、延伸ゾーン内への上流の漂遊流をさらに低減してもよい。
取出しシステムの別の属性は、フィルムを、出力速度と適合するように取外すことができるような速度およびまたはMD張力制御の方法である。この取出しシステムは、また、フィルムのいかなる残留しわも引き伸ばすために使用することができる。しわは、始動の間、延伸フィルムの最終解放部分の出力速度より高い取出し速度の一時的な増加によって最初に引き伸ばすことができるか、または、しわは、たとえば延伸の最終部分の超一軸延伸の場合、連続操作の間、出力フィルムMD速度より高い一定の速度によって引き伸ばすことができる。取出しの速度は、また、境界軌道に沿って把持線において、フィルムのMD速度より高く設定することができる。これを用いて、フィルムの特性を変更することができる。取出しのこの過速度は、また、Uの最終値を低減することができ、それにより、フィルムの最終的な最終用途に関連して、この考慮によって制限される。
プロセスは、また、領域38の取外し部分を含む。任意に、ローラ65を使用してフィルムを前進させてもよいが、これをなくしてもよい。好ましくは、ローラ65は使用されず、というのは、それは、伸張されたフィルム52に接触することになり、伸張されたフィルムを損傷する可能性が付随するからである。別のカット60を行ってもよく、未使用の部分61を捨ててもよい。取出しシステムを出るフィルムは、典型的には、後の使用のためにロール上に巻かれる。あるいは、取出し後、直接加工が行われてもよい。
上述されたMDおよびTD収縮制御の原理は、また、図1に示された従来のテンター構成を含む他の伸張装置に適用することができる。図17は、主伸張領域からのトラック64(図1に示された線形末広がりトラックなど)が、後処理領域の一部の中にまたは後処理領域の一部を通って続く実施形態を示した。次に、フィルムは、必要であれば、隔離された取出しシステム140、141によって任意に捕えられる。トラック64の連続を用いて、フィルムを冷却し、フィルムの収縮を考慮することができる。いくつかの実施形態において、連続トラック164は、後処理領域の少なくとも一部を通って徐々に細まる経路(約5°以下の角度θを作る)に従い、冷却でのフィルムのTD収縮を考慮する。この構成のトラックは、TD収縮の制御を可能にして、収縮の均一性を増加させる。いくつかの実施形態において、トラック264は、後処理領域の少なくとも一部を通ってより積極的に細まる経路(少なくとも15°、典型的には20°および30°の範囲内の角度φを作る)に従い、冷却でのフィルムのMD収縮制御をもたらす。図17に示されているようないくつかの実施形態において、後処理領域は、徐々に細まるトラック164およびより積極的に細まるトラック264の両方を含む。他の実施形態において、1組のトラック164およびトラック264のみが使用される。
本発明は、上述された特定の実施例に限定されるとみなされるべきでないが、むしろ、特許請求の範囲に適切に述べられたような本発明の態様をすべて網羅するように理解されるべきである。本発明が適用できるさまざまな修正、均等なプロセス、および多数の構造は、本明細書を検討すると、本発明の技術分野の当業者には容易に明らかとなるであろう。

Claims (2)

  1. フィルムを伸張するための装置であって、
    フィルムの対向する端部を保持するための複数の把持要素と、
    前記複数の把持要素がそれにそって移動する対向するトラックであって、前記対向するトラックが、前記トラックが一般に広がって、前記把持要素によって保持されたフィルムを伸張する主伸張領域を規定し、前記主伸張領域の前記対向するトラックの各々が、前記主伸張領域を通って前記トラックの長さを延在する少なくとも1つの連続レールを含み、そして前記トラックが、主伸張領域において、一般に曲線のセグメントと一般に線形のセグメントとを含む、対向するトラックと、
    前記主伸張領域内の前記連続レールの少なくとも1つに結合された少なくとも1つのトラック形状制御器であって、前記トラック形状制御器が、前記連続レールに力を加えて、前記主伸張領域の前記トラックの形状を修正することができる、トラック形状制御器と
    を含み、かつ
    前記トラックは、一般に前記主伸張領域において曲線である装置。
  2. フィルムを伸張するための方法であって、
    複数の把持要素と、
    前記複数の把持要素が移動する対向するトラックであって、前記対向するトラックが、前記トラックが一般に広がって、前記把持要素によって保持されたフィルムを伸張する主伸張領域を規定し、前記主伸張領域の前記対向するトラックの各々が、前記主伸張領域を通って前記トラックの長さを延在する少なくとも1つの連続レールを含み、そして前記トラックが、主伸張領域において、一般に曲線のセグメントと一般に線形のセグメントとを含む、対向するトラックと、
    前記主伸張領域内の前記連続レールの少なくとも1つに結合された少なくとも1つのトラック形状制御器とを含む伸張機を提供する工程と、
    前記トラック形状制御器の少なくとも1つを活性化して、前記連続レールの少なくとも1つに力を加えて、前記トラックの少なくとも1つの形状を修正する工程と、
    前記把持要素を使用して、フィルムの対向する端部を把持する工程と、
    前記フィルムを、前記対向するトラックに沿って前記主伸張領域に搬送する工程と、
    前記主伸張領域内の前記フィルムを伸張する工程と
    を含む方法。
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