JPH0634815A - 位相差フィルムの製造方法 - Google Patents

位相差フィルムの製造方法

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JPH0634815A
JPH0634815A JP18791792A JP18791792A JPH0634815A JP H0634815 A JPH0634815 A JP H0634815A JP 18791792 A JP18791792 A JP 18791792A JP 18791792 A JP18791792 A JP 18791792A JP H0634815 A JPH0634815 A JP H0634815A
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JP
Japan
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film
stretching
retardation
refractive index
polysulfone
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JP18791792A
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English (en)
Inventor
Hironori Tabata
博則 田畑
Hideshi Matsumoto
英志 松本
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 レターデーション値Reが全面で均一でかつ
視野角特性が優れた横一軸延伸ポリサルフォンフィルム
の製造方法を提供すること。 【構成】 横一軸延伸処理したポリサルフォンフィルム
(一軸延伸フィルムp)をその縦方向の断面形状が波形
となるように賦形すると共に、この波形形状を保った状
態で一軸延伸フィルムpの横方向両端部を把持した後、
熱収縮処理を施して一軸延伸フィルムpの縦方向の長さ
を熱収縮前における長さの1/a’1/2 倍以上(但し、
a’は横一軸延伸処理の際のズリを考慮した理論延伸倍
率である)に制御することを特徴とする。そして得られ
たフィルムは延伸直角方向の屈折率と厚み方向の屈折率
が近似して入射角によるレターデーション値Reが全面
で均一になるためその視野角特性の向上が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリサルフォン系フィ
ルムを横一軸延伸して位相差フィルムを製造する方法に
係り、特に、レターデーシヨンが全面で均一でかつ視野
角特性に優れた位相差フィルムが求められる製造方法の
改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】位相差フィルムとは、一軸延伸された高
分子フィルムの複屈折性(延伸に伴う分子配向により延
伸方向とそれに直交する方向の屈折率が異なるため生ず
る)を利用し、例えば、液晶表示装置の液晶によってそ
の偏光間に生じた位相差を解消させる(位相差補償とい
う)ものである。そして、上記位相差補償性能はレタデ
ーション値Re、すなわち延伸方向の屈折率とこれに直
交する方向の屈折率の差Δnとフィルムの厚みdとの積
で表される。
【0003】このような位相差フィルムは、例えば特開
平2−42406号公報に記載されており、ネックイン
率(延伸方向に直交する方向の収縮率)が10%以下と
なるように一軸延伸して製造される。
【0004】しかしながら、こうして製造された位相差
フィルムのレターデーション値Reは入射光の入射角が
増大すると変化するため、液晶表示装置の表示画面に色
ムラを生じたり、表示画面を正面から見た場合と横方向
から見た場合とによって白黒が反転したいわゆる色反転
現象が生じたりする。
【0005】他方、特開平2−191904号公報に
は、『縦一軸延伸法』によって位相差フィルムを製造す
る際、延伸方向と直交する方向の長さをその延伸前の長
さの比の1/a1/2 〜1/a1/3 に制御することにより
その視野角特性が改善されることが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、高分子フィ
ルムを延伸処理して位相差フィルムを製造する場合、い
くつかの重要品質の内で以下の3点に特に注意する必要
がある。
【0007】(1)上記レターデーションがフィルム全面
で同じであること。
【0008】(2)視野角特性が良好なこと。
【0009】(3)外観不良がないこと。
【0010】一方、高分子フィルムを用いて位相差フィ
ルムを製造する方法としては、フィルムを挟み込んだロ
ール間の回転速度の違いを利用してフィルム長手方向に
延伸を行う『縦一軸延伸法』と、機械的にフィルム横方
向に延伸する『横一軸延伸法』の2種類が知られてい
る。そして上記ポリサルフォン系フィルムを延伸する場
合、『縦一軸延伸法』ではフィルムがロールに巻き付い
たり、ロールとフィルムが擦れて傷がついたりするため
上記(3) の品質を満たすことができない。
【0011】そこで、外観不良が無いようにポリサルフ
ォン系フィルムの延伸処理法としては『横一軸延伸法』
が通常適用されている。また。(1) のレターデーション
に関しては延伸条件等の最適化により均一にすることが
可能である。
【0012】しかしながら、上記(2) の視野角特性に関
しては延伸条件で改善することができない。ここで、
『視野角特性が良好』とは、フィルム法線方向からみた
特性と斜め方向からみた特性の差が無い状態を指してい
るが、この視野角特性は樹脂内の屈折率異方性と密接な
関係がある。ここで、『屈折率異方性』とは、フィルム
の延伸方向、これと直交する方向(延伸直角方向)、フ
ィルムの厚み方向の3方向の屈折率がそれぞれ異なって
いる状態を指している。
【0013】そして、上記視野角特性を良好にするため
には、3方向の屈折率の内、延伸直角方向と厚み方向の
屈折率を等しくする方法が容易である。これは以下の理
由による。すなわち、面内(フィルム法線方向からみた
特性)のレターデーションは、延伸方向と延伸直角方向
の屈折率差から求められる。斜め方向からみる場合、こ
れに厚み方向の成分が加わる。この厚み方向の屈折率が
他の2方向に較べて著しく異なる場合、上記レターデー
ションは面内に較べ著しく大きくなるか小さくなる。こ
の斜め方向からみた場合のレターデーションの変化が視
野角の不良である。例えば、この様な位相差フィルムを
液晶ディスプレーに実装した場合、正面と斜めとで色が
反転する現象が起こってしまう。そこで、この斜め方向
からみたレターデーションの変化を極力抑えるために
は、見掛上厚み方向の屈折率が影響しないように延伸直
角方向と厚み方向の屈折率を等しくする方法がよい。
【0014】ところで、この屈折率は樹脂の内部応力に
一次的に比例している。ポリサルフォンフィルムはもと
もと1.633の固有屈折率を有しているが、この樹脂
を内から外に引っ張ると屈折率は大きくなり、外から内
に圧縮すると小さくなる。
【0015】屈折率の変化を延伸に当てはめて考える
と、図5(A)に示すように等方的だった屈折率が延伸
方向へ引っ張られるため大きくなる。他方、厚み方向に
は図5(B)に示すように圧縮されるため小さくなる。
また、延伸直角方向には変化せず規制されているため変
化は少ない。
【0016】これに対し『横一軸延伸法』においては延
伸方向と直交する方向(延伸直角方向)には力が作用し
難いため(フィルムを搬送させるためのロール間隔が一
定で規制されているため)、延伸直角方向の変化は少な
い(実際には圧縮力が残留するため僅かながら小さくな
る)。
【0017】また、延伸処理の際のフィルムの単位体積
を考えると、図6(A)に示すように延伸方向(この場
合x軸方向)にa倍に引っ張ると、他の2方向(y軸方
向とz軸方向)は普通1/a1/2 倍になる(すなわち延
伸前後のフィルムの体積は一定であるからである)。こ
の場合、屈折率は延伸直角方向と厚み方向共に同じ応力
がかかるため、図6(B)に示すように上記延伸直角方
向の屈折率(ny )と厚み方向の屈折率(nz )は等し
くなる。
【0018】この状態では視野角特性は良好である。
【0019】ところが、『横一軸延伸法』においては上
述したようにフィルムの長手方向が規制されているため
図7(A)に示すように長手方向(y軸方向)へは収縮
しない。このため、厚み方向は1/a倍に収縮し、図7
(B)に示すように延伸直角方向の屈折率(ny )と厚
み方向の屈折率(nz )が異なってしまい、その視野角
特性が低下する問題点があった。
【0020】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたものであって、その課題とするところは、ポリサル
フォン系フィルムを用いる横一軸延伸法においてレター
デーションが全面で均一でかつ視野角特性に優れた位相
差フィルムの製造方法を提供するすることにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、ポリサルフォン系フィルムを横一軸延伸処理
した後、このポリサルフォン系フィルムの縦方向を熱収
縮させて位相差フィルムを製造する方法を前提とし、横
一軸延伸処理されたポリサルフォン系フィルムをその縦
方向の断面形状が波形となるように賦形すると共に、こ
の波形形状を保った状態で上記ポリサルフォン系フィル
ムの横方向両端部を把持した後、熱収縮処理を施してポ
リサルフォン系フィルムの縦方向の長さを熱収縮前にお
ける長さの1/a’1/2 倍以上(但し、a’は上記横一
軸延伸処理の理論延伸倍率である)に制御することを特
徴とするものであり、また、請求項2に係る発明は請求
項1に係る位相差フィルムの製造方法を前提とし、製造
された位相差フィルムに対しその法線に平行な方向から
波長589.8 nmのナトリウムD線を入射した場合のレタ
ーデーションをRe0 とし、法線に対し40度の方向か
ら入射した場合のレターデーションをRe40としたと
き、下記式(1)を満たしていることを特徴とするもの
である。
【0022】 0.90 ≦ Re40/Re0 ≦ 1.10 (1) 請求項1〜2に係る発明によれば横一軸延伸法を適用し
た場合においても横一軸延伸処理したポリサルフォン系
フィルムの横方向両端部を把持してフィルムの延伸直角
方向への収縮処理が図れるため、延伸直角方向と厚み方
向の屈折率を揃えることが可能となる。すなわち、フィ
ルムの延伸直角方向の長さが熱収縮される前の延伸直角
方向の長さの1/a’1/2 倍以上となり、延伸直角方向
の屈折率が厚み方向の屈折率に近づいて入射角の相違に
よるレターデーションReの相違を小さいものとする。
【0023】ところで、一般に延伸されたフィルムを構
成するポリマー鎖は隣接するポリマー鎖と絡み合い、こ
の絡み合いによって生じる剪断力により配向状態を保持
する。そして、一旦延伸されたフィルムにおいては、ガ
ラス転移点以下の温度に加熱された場合であってもこの
剪断力により上記延伸状態が保持される。
【0024】しかし、ポリマーの種類によっては上記剪
断力が低いため延伸状態を保持できないものもある。こ
の樹脂間の滑りを便宜的に『ズリ』と呼んでいるが、ポ
リサルフォン系樹脂のズリ量は他の光学用樹脂に較べて
大きい。
【0025】前述した横一軸延伸後の収縮状態において
は延伸直角方向が1のまま厚み方向が1/a倍であり
(図7A参照)、単純な弾性回復であればそれぞれ1/
1/2になって安定するが、上記『ズリ』のため実際の
回復後は1/a1/2 より大きい。この応力緩和も加味し
た回復制御を行うことがポリサルフォン系フィルムの屈
折率制御上重要なポイントである。
【0026】この1/a1/2 より大きな予想回復量は1
/a’1/2 とおくことができる。すなわち、a倍に延伸
したフィルムを、上記『ズリ』分を相殺して見掛上a’
倍(a’<a)に延伸したフィルムとみなして扱うので
ある。
【0027】そして、延伸直角方向及び厚み方向を1/
a’1/2 に制御することで良好な視野角を得ることがで
きる。
【0028】このa’(a’:ズリを考慮した理論延伸
倍率)は実測から求めることができる。
【0029】以下、この点についてより具体的に説明
と、例えば固有屈折率1.633のポリサルフォンフィ
ルムを1.5倍に横一軸延伸すると、延伸方向の屈折率
は1.6357に増加する。
【0030】そして、この延伸状態を保持したまま(す
なわち延伸されたフィルムの四方を固定したまま)加熱
すると屈折率は1.6347に低下する。
【0031】ここで、延伸による長さの増加分と、屈折
率の増加分が比例すると仮定すると、横一軸延伸倍率を
a、屈折率をn、比例定数をkとして、下記式(2)が
成立する。
【0032】 n=k×(a−1)+1.633 (2) 但し、式中の(a−1)は、延伸による長さの増加分を
延伸前の長さで割ったものを意味している。
【0033】そして、a=1.5の場合、n=1.63
57であることからk=0.0054であり、上記
(2)は下記式(3)と書き直すことができる。
【0034】 n=0.0054(a−1)+1.633 (3) そして、延伸状態を保持したまま加熱した後のフィルム
の屈折率が1.6347であることから、これと同様の
屈折率を有する延伸フィルムの延伸倍率(理論延伸倍
率)をa’とすると、下記式(4)が成立する。
【0035】 1.6347=0.0054(a’−1)+1.633 (4) これを計算するとa’=1.315となり、加熱後のフ
ィルムは見掛け上1.5倍に延伸処理されたものであり
ながら、実質的には1.315倍に延伸されたフィルム
と同様の配向状態を有するに過ぎず、この理論延伸倍率
a’で延伸された横一軸延伸ポリサルフォンフィルムと
等価に取り扱うことができる。
【0036】このため、延伸直角方向(横一軸延伸され
たポリサルフォンフィルムの縦方向)の長さを熱収縮前
の長さの1/a’1/2 倍以上に制御した場合、この延伸
直角方向の屈折率と厚み方向の屈折率が等しくなり、入
射角の如何を問わずレターデーション値Reが一定で視
野角特性の優れたものとなる。
【0037】請求項1〜2に係る発明はこのような技術
的理由に基づいてなされている。
【0038】これ等発明において延伸状態を保持したま
ま加熱した後の屈折率によって特定される理論延伸倍率
a’は、上述した予備実験によって加熱前の屈折率nと
延伸倍率a、及び、加熱後の屈折率n’を測定して、下
記式(5)、及び(6)から算出することができる。
【0039】すなわち、 n =k×(a−1)+n0 (5) n’=k×(a’−1)+n0 (6) 但し、n0 は延伸前の固有屈折率、kは比例定数であ
る。
【0040】そして、式(5)及び(6)から a’=1+(a−1)×(n’−n0 )/(n−n0 ) (7) 尚、実験を繰り返してこの理論延伸倍率を求めた結果に
よると、 一般に、 1/a1/2 < 1.05/a1/2 < 1
/a’1/2 の関係が成り立つ。
【0041】また、1/a1/3 と1/a’1/2 は延伸条
件によって大小関係は異なる。特開平2−191904
号公報に記載されているように1/a1/3 以下という範
囲内に制御することは、横一軸延伸したポリサルフォン
フィルムを用いる限りは限られた延伸条件でしか対応す
ることができない。
【0042】次に、熱収縮させるポリサルフォンフィル
ムの収縮量は(1−1/a’1/2 )が適当であるが、不
具合により正確な収縮量が与えられなかったとする。例
えば、特開平2−191904号公報の記載のように1
−1/a1/2 〜1/a1/3 の範囲で延伸直角方向に弛ま
せて熱収縮処理をしてしまったとすると、弛ませ量が1
−1.05/a1/2 (正確には1−1/a’1/2 )より
大の場合、フィルムはズリによって収縮しきれなくな
り、表面には波状のしわが残り光学フィルムとしては使
用できない。
【0043】また、逆に(1−1/a’1/2 )より著し
く小さな弛ませ量で保持した場合には(例えば、ほとん
どネックイン量が0に近い場合)、熱収縮処理を加えて
も延伸直角方向に収縮しないため屈折率の変化が起きな
い。従って、延伸直角方向の屈折率を厚み方向の屈折率
に近付けることが困難なため、視野角特性の改善は期待
できなくなる。また、不用意にズリを起こさせてしまう
ため、フィルム面内の屈折率差が小さくなり所定のレタ
ーデーションを得ることが困難となる。
【0044】従って、1.05/a1/2 より大で、1/
a’1/2 以上で、かつ1/a’1/2より著しく大きくな
らないように制御することが不可欠である。
【0045】また、上述した特開平2−42406号公
報においてはネックイン率を10%以下、望ましくは0
%に抑えるように記載されているが、ネックインを束縛
して延伸を行うと上述したように延伸方向に対し直交す
る方向が1/a’1/2 倍になれないため、延伸直角方向
と厚み方向の屈折率が等しくならない。従って、視野角
特性の向上は期待できない。特に、a’>1.24のフ
ィルムにおいてはネックイン率が10%以下では絶対に
延伸直角方向と厚み方向の屈折率は等しくならず、視野
角特性の良い位相差フィルムは得られない。
【0046】請求項1〜2に係る発明においては上記1
/a’1/2 倍以上という範囲を実現するために、上述し
たように横一軸延伸処理(横延伸方向に対し直角方向で
ある縦の長さが延伸前の長さと等しい状態で延伸する処
理)されたポリサルフォン系フィルムをその縦方向の断
面形状が波形となるように賦形すると共に、この波形形
状を保った状態で上記ポリサルフォン系フィルムの横方
向両端部を把持した後、フィルムの横方向はそのままの
状態で保持しながら縦方向の熱収縮を起こさせているも
のである。
【0047】尚、上記横一軸延伸処理を行う方法として
は、横一軸テンター延伸法が好適である。
【0048】そして、請求項1〜2に係る発明において
その縦方向の縮小率は、上記波形が図4に示すように三
角形状の例においては収縮後のフィルムの長さ(波形の
軸に沿った直線距離出表される)をα、波形に沿ったフ
ィルムの長さをβとした場合、(β−α)/β×100
(%)で与えられ、波のピッチ、高さ、形状で所望の値
に制御可能である。また、波形形状については特に制約
はない。横一軸延伸処理したポリサルフォンフィルムを
適宜形状に賦形する方法は、フィルムに破れ、傷を与え
ない方法であれば以下なる方法も適用できる。また、波
形形状を保持する方法については、波形全体を把持して
もよいし部分的に把持してもよい。
【0049】また、請求項1〜2に係る発明において熱
処理を行う装置としては、横一軸延伸機を改造した装置
等が適用できる。
【0050】また、上記延伸処理において、延伸温度、
倍率、延伸速度、ヒートセット(延伸後の熱処理)温
度、ヒートセット時間等の諸条件は所望の位相差値にな
るように適宜設定される。
【0051】他方、請求項1〜2に係る発明における熱
処理は、横一軸延伸されたポリサルフォンフィルムを波
形に賦形する工程と、このフィルムの横方向両端部の波
形を保持するため把持する工程と、熱収縮工程とからな
り、加熱温度、加熱時間等の条件は適宜設定される。
【0052】
【作用】請求項1に係る発明によれば、横一軸延伸処理
されたポリサルフォン系フィルムをその縦方向の断面形
状が波形となるように賦形すると共に、この波形形状を
保った状態で上記ポリサルフォン系フィルムの横方向両
端部を把持した後、熱収縮処理を施してポリサルフォン
系フィルムの縦方向の長さを熱収縮前における長さの1
/a’1/2 倍以上(但し、a’は上記横一軸延伸処理の
理論延伸倍率である)に制御しているため、良好な外観
を有ししかも延伸直角方向と厚み方向の屈折率が略同等
の位相差フィルムを製造することができる。
【0053】また、請求項2に係る発明によれば、製造
された位相差フィルムに対しその法線に平行な方向から
波長589.8 nmのナトリウムD線を入射した場合のレタ
ーデーションをRe0 とし、法線に対し40度の方向か
ら入射した場合のレターデーションをRe40としたと
き、この製造された位相差フィルムが、 0.90 ≦ Re40/Re0 ≦ 1.10 (1) の(1)式を満たしており、延伸直角方向の屈折率と厚
み方向の屈折率が近似して入射角によるレターデーショ
ン値の変化が小さくなるためその視野角特性の向上が図
れる。
【0054】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て詳細に説明する。
【0055】[実施例1]幅430mm、100μmの
ポリサルフォンフィルム(Tg=190℃)をテンター
延伸機で、延伸温度190℃、延伸倍率1.5倍、ヒー
トセット温度170℃、ヒートセット時間30 secで横
一軸延伸した。理論延伸倍率a’を測定により求めると
1.386倍であった。
【0056】そして、理論縮小率=(1−1/
a’1/2 )×100 (%) とすると、この場合の理論縮小率は15.05%であっ
た。
【0057】次いで、得られた横一軸延伸フィルムpを
図1に示す波形状に賦形し(設定縮小率14%)、この
波形形状を保った状態でフィルムpの横方向両端部を把
持した後、190℃、2分間熱収縮処理を施して縦方向
の寸法を縮小させた。
【0058】得られた位相差フィルムの評価は、R値、
及び、(Re40/Re0 )について行った。
【0059】尚、R値は、測定波長と位相差値が等しい
ときの位相差値である。
【0060】また、(Re40/Re0 )は、フィルムを
延伸軸、及び、延伸軸と直交する軸(フィルム面内)を
軸とし、40度回転させたときのレターデーション値R
40(590nm)と、0度のときのレターデーション
値Re0 を測定し、その比をとったものである。
【0061】そして評価の結果、R値は580.9n
m、(Re40/Re0 )=1.09、0.92であり、 0.90 ≦ Re40/Re0 ≦ 1.10 (1) の特性を具備するものであった。
【0062】[実施例2]幅430mm、100μmの
ポリサルフォンフィルム(Tg=190℃)をテンター
延伸機で、延伸温度190℃、延伸倍率1.5倍、ヒー
トセット温度170℃、ヒートセット時間30 secで横
一軸延伸した。理論延伸倍率a’を測定により求めると
1.386倍であった。
【0063】そして、理論縮小率=(1−1/
a’1/2 )×100 (%) とすると、この場合の理論縮小率は15.05%であっ
た。
【0064】次いで、得られた横一軸延伸フィルムを図
2に示す波形状に賦形し(設定縮小率14%)、この波
形形状を保った状態でフィルムの横方向両端部を把持し
た後、190℃、2分間熱収縮処理を施して縦方向の寸
法を縮小させた。
【0065】そして、実施例1と同様に得られた位相差
フィルムについて、R値、及び、(Re40/Re0 )の
評価を行ったところ、R値は580.2nm、(Re40
/Re0 )=1.09、0.92であり、 0.90 ≦ Re40/Re0 ≦ 1.10 (1) の特性を具備するものであった。
【0066】[比較例1]幅430mm、100μmの
ポリサルフォンフィルム(Tg=190℃)をテンター
延伸機で、延伸温度195℃、延伸倍率1.35倍、ヒ
ートセット温度170℃で横一軸延伸した。
【0067】そして、得られた位相差フィルムについ
て、実施例1と同様、R値、及び、(Re40/Re0
の評価を行ったところ、R値は413.0nm、(Re
40/Re0 )=1.26、0.78であり、 0.90 ≦ Re40/Re0 ≦ 1.10 (1) の特性を具備するものではなかった。
【0068】[比較例2]幅430mm、100μmの
ポリサルフォンフィルム(Tg=190℃)をテンター
延伸機で、延伸温度190℃、延伸倍率1.5倍、ヒー
トセット温度170℃、ヒートセット時間30 secで横
一軸延伸した。理論延伸倍率a’を測定により求めると
1.386倍であった。
【0069】そして、理論縮小率=(1−1/
a’1/2 )×100 (%) とすると、この場合の理論縮小率は15.05%であっ
た。
【0070】次いで、得られた横一軸延伸フィルムを図
3に示す波形状に賦形し(設定縮小率20%)、この波
形形状を保った状態でフィルムの横方向両端部を把持し
た後、195℃、2分間熱収縮処理を施して縦方向の寸
法を縮小させた。
【0071】しかし、フィルム表面に波状のしわが残り
測定不能であった。
【0072】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、横一軸延
伸したポリサルフォン系フィルムについてその延伸方向
と直交する方向の屈折率と厚み方向の屈折率とを揃える
ことが可能となる。
【0073】また、請求項2に係る発明によれば、良好
な外観を有ししかも延伸直角方向と厚み方向の屈折率が
略同等の位相差フィルムを製造することが可能となる。
【0074】従って、製造された位相差フィルムにおけ
る入射角によるレターデーション値の変化が小さいため
その視野角特性を向上できる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るポリサルフォンフィルムの波形を
示す説明図。
【図2】他の実施例に係るポリサルフォンフィルムの波
形を示す説明図。
【図3】比較例2に係るポリサルフォンフィルムの波形
を示す説明図。
【図4】本発明に係るポリサルフォンフィルムの縮小率
を説明するための説明図。
【図5】(A)及び(B)は延伸処理によるフィルムの
変化を示す説明図。
【図6】(A)はフィルムをx軸方向へa倍に一軸延伸
した際の単位体積当りのy軸及びz軸方向の変化を示す
説明図、(B)はこの延伸に伴う各方向の屈折率の変化
を示す説明図。
【図7】(A)はフィルムをx軸方向へa倍に横一軸延
伸した際の単位体積当りのy軸及びz軸方向の変化を示
す説明図、(B)はこの延伸に伴う各方向の屈折率の変
化を示す説明図。
【符号の説明】
p 一軸延伸フィルム

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリサルフォン系フィルムを横一軸延伸処
    理した後、このポリサルフォン系フィルムの縦方向を熱
    収縮させて位相差フィルムを製造する方法において、 横一軸延伸処理されたポリサルフォン系フィルムをその
    縦方向の断面形状が波形となるように賦形すると共に、
    この波形形状を保った状態で上記ポリサルフォン系フィ
    ルムの横方向両端部を把持した後、熱収縮処理を施して
    ポリサルフォン系フィルムの縦方向の長さを熱収縮前に
    おける長さの1/a’1/2 倍以上(但し、a’は上記横
    一軸延伸処理の理論延伸倍率である)に制御することを
    特徴とする位相差フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】製造された位相差フィルムに対しその法線
    に平行な方向から波長589.8 nmのナトリウムD線を入
    射した場合のレターデーションをRe0 とし、法線に対
    し40度の方向から入射した場合のレターデーションを
    Re40としたとき、下記式(1)を満たしていることを
    特徴とする請求項1記載の位相差フィルムの製造方法。 0.90 ≦ Re40/Re0 ≦ 1.10 (1)
JP18791792A 1992-07-15 1992-07-15 位相差フィルムの製造方法 Pending JPH0634815A (ja)

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