JPH06160623A - 位相差板の製造方法 - Google Patents

位相差板の製造方法

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JPH06160623A
JPH06160623A JP30519292A JP30519292A JPH06160623A JP H06160623 A JPH06160623 A JP H06160623A JP 30519292 A JP30519292 A JP 30519292A JP 30519292 A JP30519292 A JP 30519292A JP H06160623 A JPH06160623 A JP H06160623A
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film
stretching
thermoplastic resin
resin film
shaping
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JP30519292A
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English (en)
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Hironori Tabata
博則 田畑
Hideshi Matsumoto
英志 松本
Akihisa Miura
明久 三浦
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フィルムの略全域に亘り均一でかつ優れた位
相差補償性能と視野角特性を有する位相差板を容易に製
造できる方法を提供すること。 【構成】 ポリサルフォンフィルムをテンター延伸機を
使用して横一軸延伸しかつ延伸されたこのフィルム1の
横方向両端部をその長さ方向の寸法を維持しながら賦形
して波形状の弛み部10を形成し、この波形形状を保持
しながらフィルム把持用針22を備えた把持手段2によ
り上記弛み部10を把持させた後、加熱処理を施してフ
ィルムの縦方向寸法を縮小させて位相差板を製造する。
そして、フィルムの横方向両端部をその波形形状を保っ
た状態で把持し加熱処理を施しているためフィルムの横
方向の部分収縮(ネックイン)が起こらず、かつ、上記
波形形状が平坦形状になるまで縦方向の均等な収縮が可
能となり縦方向の縮小率を一定に制御できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一軸延伸された熱可塑
性樹脂フィルムにて構成され、例えば液晶表示板等に好
適に用いられる位相差板に係り、特に、視野角特性に優
れた位相差板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】位相差板(フィルム)とは、延伸した高
分子フィルムの複屈折性(延伸による分子配向により延
伸方向とそれに直交する方向の屈折率が異なるために生
ずる)を利用し、例えば液晶表示板の液晶で生じた位相
差を解消させる(位相差補償という)ものである。
【0003】このような位相差板としてはセルロース系
樹脂(特開昭63−167363号公報参照)、塩化ビ
ニル系樹脂(特公昭45−34477号公報、特開昭5
6−125702号公報参照)、ポリカーボネート系樹
脂(特公昭41−12190号公報、特開昭56−13
0703号公報参照)、アクリロニトリル系樹脂(特開
昭56−130702号公報参照)、スチレン系樹脂
(特開昭56−125703号公報参照)、オレフィン
系樹脂(特開昭60−24502号公報参照)等が知ら
れており、また、一軸延伸方法としては、縦一軸延伸
(特開平2−191904号公報参照)、横一軸延伸
(特開平2−42406号公報参照)、同時二軸延伸
(特開平3−23405号公報参照)等が提案されてい
る。
【0004】そして、位相差板(フィルム)の上記位相
差補償性能はレターデーション値と呼ばれ、Δn×dで
表される。ここで、Δnは屈折率の異方性、dはフィル
ムの肉厚である。
【0005】ところで、入射光とフィルム面に対する法
線とのなす角が増大すると、上記レターデーション値は
変化し(延伸方向を軸に回転させた場合と延伸方向に垂
直な軸で回転させた場合とで増減は異なる)液晶表示の
着色が生じる。
【0006】位相差板のような光学異方体は3次元方向
の屈折率(nx,ny,nz)が一様でなく、屈折率楕
円体で表現される。そして、各方向の屈折率の関係は、
例えば、図12に示す一軸延伸フィルムpにおいて、x
を延伸軸、yをフィルム面内の延伸方向と直交する軸、
zをフィルムの法線方向とすると、固有屈折率が正のフ
ィルムではnx>ny≧nzの関係があり、固有屈折率
が負のフィルムではnx<ny≦nzの関係がある。ま
た完全一軸延伸フィルムではフィルム面内の延伸方向と
直交する方向yの屈折率nyとフィルムの法線方向zの
屈折率nzは等しく、ny=nzが成立する。
【0007】以下、一例としてxz面内でz軸からθ
(視角)傾斜した方向からみた複屈折[Δn
xz(θ)]、レターデーション値[Rxz(θ)]はそれ
ぞれ以下の式で表される(電子材料1991年2月号第
40頁参照)。
【0008】
【数1】 但し、式中dはフィルムの厚さ、nは平均屈折率であ
る。
【0009】そして、上記(1)(2)式に基づいて計
算した結果を図13に示す。
【0010】図13のグラフ図において、横軸は視角
θ、縦軸はxz面内で視角θにおけるレターデーション
値Rxz(θ)を視角0(法線方向zから見た場合)のレ
ターデーション値Rxz(0)で割った値Rxz(θ)/R
xz(0)を示し、レターデーションRの変化率は[1−
xz(θ)/Rxz(0)]の絶対値で表される。また、
図13中aはnz=nyの完全一軸延伸フィルムを示
し、bはnz<nyの完全一軸延伸フィルムを示してい
る。
【0011】ここで、視野角は、レターデーションRの
変化率、すなわち[1−Rxz(θ)/Rxz(0)]の絶
対値が小さい程広いのである。そして、図13より完全
一軸延伸(nz=ny)の方がレターデーション値の変
化が少なくかつ視野角が広くなり、他方、分子の配向に
二軸性が存在すると(nz<ny)上述のレターデーシ
ョン値の変化は大きくかつ視野角が非常に狭くなること
が確認できる。
【0012】また、θの代わりに、yz面内でz軸から
傾斜した視角φを用いた場合の計算結果を図14に示
す。図14中cはnz=nyの完全一軸延伸フィルムを
示し、dはnz<nyの完全一軸延伸フィルムを示して
いる。
【0013】そして、この結果からも分子の配向に二軸
性があるとレターデーション値の変化率、すなわち[1
−Ryz(φ)/Ryz(0)]の絶対値が大きく視野角が
狭くなり、他方、分子の一軸配向性が高い程レターデー
ション値の変化率、すなわち[1−Ryz(φ)/R
yz(0)]の絶対値が小さくかつ視野角が広くなる。ま
た、nz=nyの完全一軸延伸の場合が最も視野角が広
くなることが分かる。
【0014】従って、これ等図13及び図14の結果か
らいずれの方向から見る場合も分子の一軸配向性が高い
程レターデーション値の変化率が小さくかつ視野角が広
いことが分かる。
【0015】ところで、分子配向の一軸性を高めるため
には延伸方向と垂直な方向に発生する応力(縮小しよう
とする残留応力)をできるだけ小さくすることが必要で
ある。言い換えると、延伸方向と垂直な方向に延伸で生
じたと考えられる縮小量だけ延伸方向に垂直な方向に縮
小すれば良いのである。
【0016】特開平2−191904号公報にはこの縮
小率[ネックイン率(延伸前後の延伸方向と直交する方
向のフィルムの長さ変化率をいう)と以下称する。すな
わちネックイン率=(b−a)/b×100;ここでa
はアニール後の延伸方向と直交する方向の長さ、bは延
伸前のフィルムの延伸方向と直交する方向の長さであ
る]を検討し、このネックイン率を(1−1/延伸倍率
の平方根)×100(%)〜(1−1/延伸倍率の3乗
根)×100(%)にすることにより視野角特性に優れ
た位相差板が製造できることを開示している。そしてこ
の具体的な方法として、延伸ロール間距離をフィルム幅
の5倍以上に設定し幅方向の自由な収縮を許しながら縦
方向に延伸する方法(縦一軸自由幅延伸法)が開示され
ている。
【0017】また、特開平3−23405号公報には、
パンタグラフ式同時二軸テンター延伸機を適用し、フィ
ルムの幅方向両端部を部分的にテンタークリップで保持
して縦方向及び幅方向の両方向を同時に延伸し、0〜
(1−1/延伸倍率の平方根)のネックイン率を有する
位相差板を製造する方法が開示されている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平2−1
91904号公報に開示されている方法は上述したよう
に延伸ロール間距離をフィルム幅の5倍以上に設定して
いるため、ロール間の全域に亘り延伸中の加熱温度を均
一に制御することが困難な問題点があった。
【0019】また、この方法では間隔を開けて配置され
た延伸ロール間においてフィルムの幅方向の自由な収縮
を許しながらフィルム縦方向への延伸処理を施している
ため、延伸ロール近傍部位におけるフィルムの幅方向の
収縮量に較べて延伸ロール間中央部付近におけるフィル
ムの幅方向収縮量が大きくなり、この収縮率の差異に起
因してフィルムの幅方向両端部における延伸軸(延伸主
軸)の方向とフィルム中央部における延伸軸の方向とが
一致しなくなる欠点があった。従って、延伸処理された
フィルムの幅方向両端部と中央部とでその位相差補償性
能や視野角特性が相違するためフィルムの幅方向両端部
を不良品として大量に廃棄しなければならず、歩留まり
が悪いという問題点があった。
【0020】他方、特開平3−23405号公報に開示
されている方法においては、機構が複雑で高価なパンタ
グラフ式テンター延伸機を使用するため、得られる位相
差板も高価とならざるを得ないという問題があった。
【0021】本発明はこのような問題点に着目してなさ
れたもので、その課題とするところは、フィルムの略全
域に亘り均一でかつ優れた位相差補償性能と視野角特性
を有する位相差板を安価にかつ容易に製造できる方法を
提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、熱可塑性樹脂フィルムを横一軸延伸した後、
この熱可塑性樹脂フィルムの縦方向を熱収縮させて位相
差板を製造する方法を前提とし、横一軸延伸された熱可
塑性樹脂フィルムの横方向両端部をその長さ方向の寸法
を維持しながら賦形して上記両端部に波形状の弛み部を
形成し、かつ、この波形形状を保持しながら複数のフィ
ルム把持用針を備えた把持手段により上記弛み部を把持
させた後、加熱処理を施して上記熱可塑性樹脂フィルム
の縦方向を熱収縮させることを特徴とするものである。
【0023】視野角の広い位相差板を作成するためには
分子配向の一軸性を高める必要がある。そのためには、
延伸方向と垂直な方向に発生する応力(縮小しようとす
る応力)をできるだけ小さくする必要がある。言い換え
ると延伸方向と垂直方向に延伸で発生する縮小量だけ、
延伸時または延伸後に縮小してやればよい。そして、本
発明においては、熱可塑性樹脂フィルムを横一軸延伸し
た後にこのフィルムについて縦方向に弛んだ状態を作り
出し、その弛みを加熱収縮処理することにより実現して
いる。上記熱可塑性樹脂フィルムの縦方向に弛んだ状態
は、フィルムの横方向両端部をその長さ方向の寸法を維
持しながら賦形して波形状の弛み部を形成することによ
り実現し、賦形されたフィルムの上記弛み部を複数のフ
ィルム把持用針を備えた把持手段によりその波形形状を
保持しながら突き刺して把持することによりその状態を
保持している。
【0024】このような技術的手段において製品に折り
目、傷がはいると位相差板としては不適であるので上述
したように弛み部はフィルムの横方向両端部に設定する
ことを要する。また、賦形時にフィルムに寸法変化が生
ずると正確な弛みを作り出すことが困難となり、縮小量
の制御が不可能になって好ましくない。従って、上述し
たようにフィルムの長さ方向の寸法を維持しながら賦形
して波形状の弛み部を形成することを要する。
【0025】このような賦形方法としては、例えば、図
3に示すように賦形形状に対応した凹凸歯3aを備える
一対の賦形ロール31、32間に上記熱可塑性樹脂フィ
ルム1を通過させる方法が挙げられる。請求項2に係る
発明はこのような賦形方法を特定したものである。
【0026】すなわち、請求項2に係る発明は請求項1
に係る位相差板の製造方法を前提とし、横一軸延伸され
た熱可塑性樹脂フィルムを賦形形状に対応した凹凸歯を
備える一対の賦形ロール間へ挿通させて熱可塑性樹脂フ
ィルムの横方向両端部に上記弛み部を形成することを特
徴とするものである。
【0027】また、図4に示すように上記賦形形状に対
応した凹凸歯4aを備えた一対のエンドレスベルト4
1、42間に上記熱可塑性樹脂フィルム1を通過させて
賦形させる方法も例示できる。請求項3に係る発明はこ
のような賦形方法を特定したものである。
【0028】すなわち、請求項3に係る発明は請求項1
に係る位相差板の製造方法を前提とし、横一軸延伸され
た熱可塑性樹脂フィルムを賦形形状に対応した凹凸歯を
備える一対の賦形ベルト間へ挿通させて熱可塑性樹脂フ
ィルムの横方向両端部に上記弛み部を形成することを特
徴とするものである。
【0029】尚、賦形においては上記熱可塑性樹脂フィ
ルム1を加熱して賦形してもよく常温下で賦形してもよ
い。また、上記賦形ロール、賦形ベルトの材質について
も特に制約はない。
【0030】また、このように賦形された熱可塑性樹脂
フィルム1の弛み部10についてフィルム把持用針を突
き刺してこれを把持する把持手段2としては、上記賦形
形状を変えることなく縦方向の弛みを維持できかつ幅方
向の距離を拘束できるものなら任意であり、例えば、図
5に示すように、多数のフィルム把持用針22が打ち付
けられたプレート21等を例示できる。ここで、このプ
レート21のフィルム把持用針22を上記熱可塑性樹脂
フィルム1の弛み部10に突き刺した状態の側面図を図
1(A)に、正面図を図1(B)に示す。尚、上記フィ
ルム把持用針22の径、長さ、ピッチ、配列等は適宜選
択される。
【0031】また、本発明における加熱処理の温度、時
間は加熱処理後のレターデーション値をいかほどにする
かによって適宜選択される。
【0032】以下、波形状の上記弛み部10が図2に示
すように略正弦波形状の場合を例に上げてその作用を具
体的に説明と、収縮後のフィルムの長さ(波形の軸に沿
った直線距離で表される)をα、波形に沿ったフィルム
の長さをβとした場合、縦方向の縮小率は(β−α)/
β×100%、横方向の縮小率は0%となり、これ等の
縮小率はその部位によらず一定である。従って延伸軸も
その部位によらず一定方向に保たれる。
【0033】そして、上記弛み部10の形状としては上
述したように断面略正弦波形状を例示できるが、フィル
ムに折り目が発生することなく必要な弛みを付与できる
形状なら任意である。また、そのピッチ、波の高さも任
意であり、所望の縮小率に対応させて適宜設定可能であ
る。
【0034】また、このような技術的手段において上記
熱可塑性樹脂フィルムの横一軸方向への延伸は横一軸テ
ンター延伸機により可能である。また、その延伸温度、
延伸倍率、延伸速度、ヒートセット(延伸後の熱処理)
温度、ヒートセット時間等の諸条件は所望の位相差値に
応じて適宜設定することができ、上記特開平2−191
904号公報に開示された製造方法に較べてその制御が
極めて容易である。
【0035】また、特開平2−191904号に係る自
由幅延伸の問題であるネックインの不良部(軸ずれ)
は、延伸直交方向に拘束されていないため延伸軸(位相
差板の光学主軸)が中央と両端部で大きくずれて発生す
る。これに対し、本発明に係る製造方法においては延伸
直交方向にはフィルム把持用針で保持されており、拘束
力が働き不良部の発生が抑えられる。
【0036】実際の設備としては、布の幅出しに用いら
れる装置において賦形ロールをピンニング(フィルム把
持用針をフィルムに突き刺す)工程の前に設置したもの
が考えられ、上記特開平2−191904号公報に係る
ものと比較すると温度の制御が容易であり、かつ、特開
平3−23405号公報に係るものと比較すると案かで
簡単な装置となる。
【0037】次に、この技術的手段において適用される
熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、セルロース系
樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ア
クリロニトリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリスチレ
ン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、ポリサルフ
ォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルサル
フォン系樹脂等のフィルムが挙げられる。
【0038】また、これらフィルムの製造方法として
は、溶剤キャスト法、カレンダー法又は押出し法のいず
れによって製造してもよい。
【0039】
【作用】請求項1〜3に係る発明によれば、横一軸延伸
された熱可塑性樹脂フィルムの横方向両端部をその長さ
方向の寸法を維持しながら賦形して上記両端部に波形状
の弛み部を形成し、かつ、この波形形状を保持しながら
複数のフィルム把持用針を備えた把持手段により上記弛
み部を把持させた後、加熱処理を施して上記熱可塑性樹
脂フィルムの縦方向を熱収縮させている。
【0040】すなわち、本発明においては熱可塑性樹脂
フィルムを横一軸延伸した後にこのフィルムについて縦
方向に弛んだ状態を作り出し、その弛みを加熱収縮処理
することにより延伸方向と垂直方向に延伸で発生する縮
小量だけ延伸後に縮小して延伸直交方向の応力を小さく
し、フィルムの一軸性を高めている。そして、上記熱可
塑性樹脂フィルムの縦方向に弛んだ状態はフィルムの横
方向両端部をその長さ方向の寸法を維持しながら賦形し
て波形状の弛み部を形成することにより実現し、賦形さ
れたフィルムの上記弛み部を複数のフィルム把持用針を
備えた把持手段によりその波形形状を保持しながら突き
刺して把持することによりその状態を保持している。
【0041】この結果、延伸方向と垂直な方向の応力
(縮小しようとする応力)が小さくなり、位相差板の一
軸性が高まり視野角の広い位相差板の製造が可能とな
る。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
る。
【0043】[実施例1]幅430mm、厚さ100μ
m、ガラス転移点(Tg)190℃のポリサルフォンフ
ィルムをテンター延伸機を使用し、延伸温度190℃、
延伸倍率1.5倍、ヒートセット時間30sec の条件で
横一軸延伸し、耳をスリットして除去して長さ600m
mの横一軸延伸フィルムを製造した。
【0044】次いで、得られた横一軸延伸フィルム1の
両端から50mmの部位を図3に示す賦形ロール31、
32(材質;機械構造用炭素鋼S45C)により縦方向
断面が略正弦波形状となるよう(縮小率12.3%)に
賦形した。使用した賦形ロール31、32の凹凸歯3a
の形状を図6に示す。図6においてピッチ円直径do
89mm、この円のピッチは17.5mm、外径dは9
2mm、歯数zは16、圧力角θは30度、歯幅bは5
0mm、歯元の長さwfは10mm、歯末の長さwkは
7.486mmである。
【0045】こうして賦形された弛み部10に図7に示
す把持手段2のフィルム把持用針22を突き刺し、図1
(A)及び(B)に示すような状態で固定した後、19
0℃、4分間加熱処理を施して縦方向の寸法を縮小させ
た。得られた一軸延伸フィルムの評価は、視野角特性、
R値、端部不良率について行った。
【0046】視野角特性としては、フィルムの延伸軸及
び延伸軸と直交する軸(フィルム面内)を軸とし、45
度回転させた時のレターデーション値(590nm)と
0度の時のレターデーション値の差の絶対値を、0度の
時のレターデーション値(590nm)で除した値に1
00を掛けた値の大きい方を代用特性とした。
【0047】尚、この値が小さい方が視野角特性が優れ
ていると言える。
【0048】また、上記R値は、測定波長と位相差値が
等しい時の位相差値である。
【0049】次に、上記不良率は、偏光顕微鏡により光
学主軸と延伸方向(フィルムの幅方向)のずれを測定し
てこの軸ずれが1度を越える部位を端部不良部とし、フ
ィルムの左右両側の端部不良部の幅寸法のうち大きい方
を代表値として下記式により算出した。
【0050】端部不良率=[有効幅/延伸又はアニール
後の幅(弛み部を除く)]×100% この結果を表1に示す。
【0051】[実施例2]幅430mm、厚さ100μ
m、ガラス転移点(Tg)190℃のポリサルフォンフ
ィルムをテンター延伸機を使用し、延伸温度190℃、
延伸倍率1.4倍、ヒートセット時間30sec の条件で
横一軸延伸し、耳をスリットして除去して長さ560m
mの横一軸延伸フィルムを製造した。
【0052】次いで、得られた横一軸延伸フィルムの両
端から50mmの部位を図3に示す賦形ロール31、3
2(材質;機械構造用炭素鋼S45C)により縦方向断
面が略正弦波形状となるよう(縮小率10.3%)に賦
形した。使用した賦形ロール31、32の凹凸歯3aの
形状を図8に示す。図8においてピッチ円直径do は9
0mm、この円のピッチは18.8mm、外径dは92
mm、歯数zは15、圧力角θは30度、歯幅bは50
mm、歯元の長さwfは10mm、歯末の長さwkは
8.846mmである。
【0053】こうして賦形された弛み部10に図7に示
す把持手段2のフィルム把持用針12を突き刺し、図1
(A)及び(B)に示すような状態で固定した後、19
0℃、4分間加熱処理を施して縦方向の寸法を縮小させ
た。
【0054】得られた一軸延伸フィルムの視野角特性、
R値、端部不良率を表1に示す。
【0055】[実施例3]実施例2と同様に横一軸延伸
ポリサルフォンフィルムを製造した。
【0056】次いで、得られた横一軸延伸フィルムの両
端から50mmの部位を図9に示すエンドレスベルト4
1、42(材質;ベルト部はウレタンゴム、賦形部は機
械構造用炭素鋼S45C)により縦方向断面が略正弦波
形状(縮小率12.3%)となるように賦形した。使用
したエンドレスベルト41、42の凹凸歯4aの形状を
図10に示す。図9及び図10において、ピッチ円直径
o は89mm、この円のピッチは17.5mm、平行
部長さλは175mm、外形dは92mm、歯数zは3
6、圧力角θは30度、歯幅bは50mm、歯元の長さ
wfは10mm、歯末の長さwkは7.486mmであ
る。
【0057】こうして賦形された弛み部10に図7に示
す把持手段2のフィルム把持用針12を突き刺し、図1
(A)及び(B)に示すような状態で固定した後、19
0℃、4分間加熱処理を施して縦方向の寸法を縮小させ
た。
【0058】得られた一軸延伸フィルムの視野角特性、
R値、端部不良率を表1に示す。
【0059】[比較例1]幅430mm(初期テンター
クリップ間距離400mm)、厚さ100μm、ガラス
転移点(Tg)190℃のポリサルフォンフィルムをテ
ンター延伸機を使用し、延伸温度195℃、延伸倍率
1.35倍、ヒートセット温度170℃の条件で横一軸
延伸した。
【0060】得られた一軸延伸フィルムの視野角特性、
R値、端部不良率を表1に示す。
【0061】[比較例2]幅600mm、厚さ100μ
m、ガラス転移点(Tg)190℃のポリサルフォンフ
ィルムを、縦一軸延伸機を使用し、幅方向の自由な収縮
を許しながら、延伸温度200℃、延伸倍率1.5倍で
縦一軸延伸した。そのときの延伸間距離(図11参照)
は800mmであり、ネックイン率(延伸により収縮し
た幅/延伸前の幅×100%)は17.2%であった。
【0062】得られた一軸延伸フィルムの視野角特性、
R値、端部不良率を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】請求項1〜3に係る発明によれば、延伸
方向と垂直な方向の応力(縮小しようとする応力)が小
さくなり位相差板の一軸性が高まり視野角の広い位相差
板の製造が可能となる。
【0065】従って、フィルムの略全域にわたって均一
でかつ優れた位相差補償性能と視野角特性を有する位相
差板を容易に製造できる効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は実施例に係る熱可塑性樹脂フィルムの
弛み部にフィルム把持用針を突き刺した状態を示す側面
図、(B)はその正面図。
【図2】本発明に係る熱可塑性樹脂フィルムの縮小率を
説明するための説明図。
【図3】実施例に係る熱可塑性樹脂フィルムを賦形ロー
ルで賦形する工程を示す説明図。
【図4】本発明に係る賦形用のエンドレスベルトの構成
概念図。
【図5】本発明に係る把持手段の斜視図。
【図6】実施例に係る賦形ロールの凹凸歯の形状を示す
部分斜視図。
【図7】実施例に係る把持手段の斜視図。
【図8】実施例に係る賦形ロールの凹凸歯の形状を示す
部分斜視図。
【図9】実施例に係る熱可塑性樹脂フィルムを賦形用の
エンドレスベルトで賦形する工程を示す説明図。
【図10】実施例に係る賦形用のエンドレスベルトの凹
凸歯の形状を示す部分斜視図。
【図11】比較例に係る縦一軸延伸法を示す説明図。
【図12】一軸延伸フィルムの斜視図。
【図13】xz面内で視角θとRxz(θ)/Rxz(0)
との関係を示すグラフ図。
【図14】yz面内で視角φとRyz(φ)/Ryz(0)
との関係を示すグラフ図。
【符号の説明】
1 フィルム 2 把持手段 10 弛み部 21 プレート 22 フィルム把持用針 31 賦形ロール 32 賦形ロール 41 エンドレスベルト 42 エンドレスベルト
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年7月19日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】図13のグラフ図において、横軸は視角
θ、縦軸はxz面内で視角θにおけるレターデーション
値RXZ(θ)を視角0(法線方向zから見た場合)のレ
ターデーション値RXZ(0)で割った値RXZ(θ)/R
XZ(0)を示し、レターデーションRの変化率は[1−
XZ(θ)/RXZ(0)]の絶対値で表される。また、
図13中aはnz=nyの完全一軸延伸フィルムを示
し、bはnz<nyの一軸延伸フィルムを示している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】また、θの代わりに、yz面内でz軸から
傾斜した視角φを用いた場合の計算結果を図14に示
す。図14中cはnz=nyの完全一軸延伸フィルムを
示し、dはnz<nyの一軸延伸フィルムを示してい
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】実際の設備としては、布の幅出しに用いら
れる装置において賦形ロールをピンニング(フィルム把
持用針をフィルムに突き刺す)工程の前に設置したもの
が考えられ、上記特開平2−191904号公報に係る
ものと比較すると温度の制御が容易であり、かつ、特開
平3−23405号公報に係わるものと比較すると安価
で簡単な装置となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱可塑性樹脂フィルムを横一軸延伸した
    後、この熱可塑性樹脂フィルムの縦方向を熱収縮させて
    位相差板を製造する方法において、 横一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムの横方向両端部
    をその長さ方向の寸法を維持しながら賦形して上記両端
    部に波形状の弛み部を形成し、かつ、この波形形状を保
    持しながら複数のフィルム把持用針を備えた把持手段に
    より上記弛み部を把持させた後、加熱処理を施して上記
    熱可塑性樹脂フィルムの縦方向を熱収縮させることを特
    徴とする位相差板の製造方法。
  2. 【請求項2】横一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムを
    賦形形状に対応した凹凸歯を備える一対の賦形ロール間
    へ挿通させて熱可塑性樹脂フィルムの横方向両端部に上
    記弛み部を形成することを特徴とする請求項1記載の位
    相差板の製造方法。
  3. 【請求項3】横一軸延伸された熱可塑性樹脂フィルムを
    賦形形状に対応した凹凸歯を備える一対の賦形ベルト間
    へ挿通させて熱可塑性樹脂フィルムの横方向両端部に上
    記弛み部を形成することを特徴とする請求項1記載の位
    相差板の製造方法。
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