JP5557926B2 - プレス金型およびプレス加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プレス金型およびプレス加工方法に関する。
自動車のパネル等の製造では、ワークに絞り成形およびトリム加工を行うプレス金型が用いられる(たとえば特許文献1)。特許文献1のプレス金型の下型は、上型のダイ(成形上型)に対向するパンチ(成形下型)を備えている。パンチの周囲には、ワークを支持するブランクホルダとして受け部材および押え部材が設けられている。受け部材は、パンチの側面に対して摺動可能に配置され、押え部材は、受け部材の側面に対して摺動可能に配置されている。
日本国特開2004−314147号公報
受け部材および押え部材は、上型のトリム部(押さえ枠)に対向して配置され、受け部材は、受け部材用クッション部(シリンダロッドおよび油圧シリンダ)によりトリム部に向けて付勢され、押え部材は、押え部材用クッション部(シリンダロッドおよび付勢手段)によりトリム部に向けて付勢されている。トリム下刃(下刃)はパンチの受け部材側端部に設けられ、トリム上刃(上刃)はトリム部のダイ側端部に設けられている。
上記プレス金型では、初期状態において、押え部材の上面にワークが載置される。次いで、プレスラムにより上型を下方へ移動させると、ワークが上型のトリム部および押え部材により狭持され、上型をさらに下降させると、トリム部および押え部材がワークを狭持した状態で下降し、ワークがダイによってパンチおよび受け部材に向けて押圧されることにより、ワークに絞り成形が行われる。
続いて、上型を下方へ移動させると、トリム部が、受け部材および押え部材を下方に押圧する。これにより、トリム部がダイに対して相対的に下降し、トリム上刃およびトリム下刃が露出し、それら刃によりワークが切断され、トリム加工が行われる。
しかしながら、受け部材および押え部材を別々のクッション部で支持しているため、次のような問題が生じる虞がある。すなわち、絞り成形中、受け部材と押え部材とでワークに加えられる荷重が異なる虞がある。また、絞り成形中、ワークに皺等が発生した場合、受け部材を付勢しているシリンダが後退し、パンチと受け部材との上面間に段差が生じ、ワークの材料流入抵抗が増大する虞がある。このため、絞り成形品の品質が低下する虞がある。さらに、絞り成形中、トリム下刃の刃先が露出するため、ワークの材料流入時、その刃先がワークにより削られて磨耗する虞がある。また、この場合、ワークもトリム下刃の刃先で削られ、成形品に傷が付く等する結果、製品外観に悪影響を与える虞がある。
また、トリム加工後、受け部材および押え部材を上昇させて初期位置に戻しても、成形品はパンチ上に残るため、成形品の取出しが困難となる。
本発明の実施形態は、成形品の品質の向上を図ることができるプレス金型およびプレス加工方法、に関する。
本発明の実施形態によれば、プレス金型100、100Aは、ワークWを支持する下型101と、下型101に対向して配置される上型102と、を備えてもよい。
下型101は、絞り成形用パンチ120と、絞り成形用パンチ120の側面に沿って移動可能に配置されるブランクホルダ130と、ブランクホルダ130を上型102に向けて付勢するクッション部140と、を有してもよい。
上型102は、絞り成形用パンチ120に対向して配置される絞り成形用ダイ160と、絞り成形用ダイ160の側面に沿って移動可能に配置されるトリム部180と、を有してもよい。
ブランクホルダ130は、絞り成形用ダイ160の端部162に対向して配置される第1ホルダ部131と、トリム部180に対向して配置されるとともにクッション部140により付勢される第2ホルダ部132と、を備えてもよい。
第2ホルダ部132は、第1ホルダ部131の下面の第1パート131Aを支持する絞り成形用支持部133を有してもよい。
絞り成形用パンチ120は、第1ホルダ部131の下面の第2パート131Bを支持するトリム加工用支持部123を有してもよい。
第1ホルダ部131は、外側縁部にトリム下刃191を有してもよい。
トリム部180は、内側縁部にトリム上刃192を有してもよい。
また、本発明の実施形態によれば、プレス加工方法は、上型102を下型101に向けて移動させることにより、下型101の第1ホルダ部131の上面と上型102の絞り成形用ダイ160の端部162の下面との間および下型132の第2ホルダ部132の上面と上型102のトリム部180の下面との間で、ワークWを狭持しながら、下型101の絞り成形用パンチ120を絞り成形用ダイ160の凹部161に挿入してワークWに絞り成形を行う工程と、絞り成形後、上型102を下型101に向けて移動させることにより、トリム部180を絞り成形用ダイ160に対して相対的に下型101に向けて移動させ、第2ホルダ部132をトリム部180とともに移動させ、第1ホルダ部131のトリム下刃191とトリム部180のトリム上刃192とによってワークWにトリム加工を行う工程と、からなってもよい。
絞り成形時、第1ホルダ部131の下面の第1パート131Aを第2ホルダ部132の絞り成形用支持部133により支持した状態で、絞り成形用ダイ160により第1ホルダ部131を絞り成形用パンチ120のトリム加工用支持部123に向けて移動させ、絞り成形の完了時に第1ホルダ部131の下面の第2パート131Bをトリム加工用支持部123に当接させてもよい。
トリム加工時、下面の第2パート131Bをトリム加工用支持部123により支持し、下面の第1パート131Aを絞り成形用支持部133から離間させてもよい。
図1は、第1実施形態に係るプレス金型の概略構成を表す側断面図である。 図2は、図1に示すプレス金型の動作状態を表す側断面図である。 図3は、図2に示す工程に続くプレス金型の動作状態を表す側断面図である。 図4は。図3に示す工程に続くプレス金型の動作状態を表す側断面図である。 図5は、図4に示す工程に続くプレス金型の動作状態を表す側断面図である。 図6は、図5に示す工程に続くプレス金型の動作状態を表す側断面図である。 図7(A)は、図1のA−A線矢視方向断面図であり、図1に示すプレス金型の構成の一部を表す。図7(B)は、図1に示すプレス金型の構成の一部の変形例を表す、図1のA−A線矢視方向断面図に対応する図である。 図8は、第2実施形態に係るプレス金型の概略構成を表す側断面図である。 図9は、図8に示すプレス金型の動作状態を表す側断面図である。
以下、実施形態を図面を参照しながら説明する。なお、実施形態は発明の例示であって、発明を限定するものではなく、実施形態に記述される全ての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(1)第1実施形態のプレス金型の構成
図1は、第1実施形態のプレス金型100の概略構成を表す側断面図である。プレス金型100は、ワークを支持する下型101と、下型101に対向して配置される上型102とを備えている。
下型101は、下型支持部110、パンチ120(絞り成形用パンチ)、ブランクホルダ130、および、クッション部140を備えている。パンチ120は、下型支持部110上に固定されている。パンチ120は、たとえば幅狭部121および幅広部122を有している。幅狭部121は、ダイ160(絞り成形用ダイ)の凹部161に挿入される先端部を有する。幅広部122は、幅狭部121の下端部に形成されるとともに幅狭部121よりも幅が広い。幅狭部121と幅広部122との側面の境界部には、トリム加工時にブランクホルダ130の第1ホルダ部131を支持するトリム加工用支持部123が形成されている。トリム加工用支持部123は、たとえば平坦な段部である。
ブランクホルダ130は、パンチ120の側面に沿って移動可能に設けられている。ブランクホルダ130は、第1ホルダ部131および第2ホルダ部132を有している。第1ホルダ部131は、パンチ120の幅狭部121の側面に沿って摺動可能に配置されている。第1ホルダ部131の下面内側(下面の第2パート131B)は、初期状態においてパンチ120のトリム加工用支持部123の上面と所定間隔をおいて配置され、トリム加工時にトリム加工用支持部123の上面に当接する。第1ホルダ部131の上面の外側縁部には、トリム下刃191が設けられている。
第2ホルダ部132の下部は、パンチ120の幅広部122の側面に沿って摺動可能に配置されている。第2ホルダ部132の中央部には孔部132Aが形成され、孔部132Aの内部にパンチ120が配置されている。孔部132Aの上部には、絞り成形時に第1ホルダ部131の下面外側(下面の第1パート131A)を支持する絞り成形用支持部133が形成されている。絞り成形用支持部133は、たとえば孔部132Aの上部に形成された段部である。第2ホルダ部132における孔部132Aの外側の端部132Bの上面は、トリム加工でワークWから切断されたスクラップが載置される。
図7(A)および図7(B)は、図1のA−A線矢視方向断面図であり、図7(A)は、図1に示すプレス金型の構成の一部を表し、図7(B)は、図1に示すプレス金型の構成の一部の変形例を表す図である。図7(A)および図7(B)では、パンチ120の幅狭部121および第1ホルダ部131のみを図示している。第1実施形態では、たとえば第1ホルダ部131の領域を、図7(A)に示すように外側と内側とで分け、絞り成形時に第2ホルダ部132に支持される下面の第1パート131Aとして下面外側を用い、トリム加工時にパンチ120に支持される下面の第2パート131B(下面における第1パート131A以外の部分)として下面内側を用いたが、これに限定されるものではなく種々の変形が可能である。
たとえば第1ホルダ部131の領域を、図7(B)に示すようにパンチ120と摺動する面の水平方向に沿って分けて、絞り成形時に第2ホルダ部132に支持される下面の第1パート131Aと、トリム加工時にパンチ120に支持される下面の第2パート131Bとを交互に設けてもよい。この場合、下面の第1パート131Aおよび下面の第2パート131Bの領域に応じて、第2ホルダ部132の絞り成形用支持部133およびパンチ120のトリム加工用支持部123の形状を設定する。なお、図7(A)および図7(B)に示す態様では、ブランクホルダ130はパンチ120の一対の側面部を挟むようにして設けたが、これに限定されるものではなく、パンチ120の側面部の全周を囲むようにして設けてもよい。
クッション部140は、たとえばブランクホルダ130の第2ホルダ部132をトリム部180に向かって付勢している。クッション部140は、たとえば流体シリンダおよびシリンダロッドからなる。流体シリンダ(図示略)は、下型支持部110の下面側に設けられ、シリンダロッドは、下型支持部110の孔部を貫通して、第2ホルダ部132の下端部に固定されている。シリンダロッドは、流体シリンダ内で摺動可能に支持され、たとえば流体シリンダ内の油圧を受ける。ブランクホルダ130は、クッション部140のシリンダロッドの伸縮により昇降することができる。
上型102は、上型支持部150、ダイ160、クッション部170、および、トリム部180を備えている。ダイ160は、クッション部170を介して上型支持部150に支持されている。ダイ160の上面は、上型支持部150の下面から所定の間隔をおいて配置されている。ダイ160の下面中央部に、パンチ120の先端部が挿入される凹部161が形成されている。ダイ160の下面における凹部161の外側の端部162は、ブランクホルダ130の第1ホルダ部131に対向している。
クッション部170は、ダイ160を支持している。クッション部170は、たとえば流体シリンダおよびシリンダロッドからなる。流体シリンダ(図示略)は、上型支持部150の上面側に設けられ、シリンダロッドは、上型支持部150の孔部を貫通して、ダイ160の上面に固定されている。シリンダロッドは、流体シリンダ内で摺動可能に支持され、たとえば流体シリンダ内の油圧を受ける。
トリム部180は、ダイ160の外側に配置され、上型支持部150に固定されている。トリム部180は、ダイ160の側面に沿って摺動可能であり、クッション部170のシリンダロッドの伸縮によりダイ160に対して相対的に昇降することができる。トリム部180の下面は、第2ホルダ部132の上面に対向している。トリム部180の下面の内側縁部にトリム上刃192が設けられている。
(2)第1実施形態の動作
プレス金型100を用いたプレス加工方法についておもに図2〜6を参照して説明する。図2〜6は、プレス金型100の動作状態を表す側断面図である。
まず、図1に示すように上型102を上死点に位置させてプレス金型100を初期状態に設定した後、図2に示すように、ワークWを下型101上に載置する。
プレス金型100の初期状態では、図1,2に示すように、下型101において、ブランクホルダ130の第2ホルダ部132は、クッション部140により上方に付勢されて最も上側に位置し、第1ホルダ部131の下面外側(下面の第1パート131A)は、第2ホルダ部132の絞り成形用支持部133に支持され、第1ホルダ部131の下面内側(下面の第2パート131B)は、パンチ120のトリム加工用支持部123の上面とは離間している。この場合、たとえば第1ホルダ部131の上面、第2ホルダ部132の端部132Bの上面、および、パンチ120の上面は同一面を構成しており、トリム下刃191は露出していない。クッション部140による上方への付勢力は、たとえば絞り成形による圧力よりも小さく設定されている。
一方、上型102において、ダイ160は、最も下側に位置し、ダイ160の端部162の下面およびトリム部180の下面は、同一面を構成しており、トリム上刃192は露出していない。クッション部170による下方への付勢力は、たとえば絞り成形による圧力よりも大きく設定されている。
次いで、上型102を下方へ移動させると、図3に示すように、下型101のブランクホルダ130と、上型のダイ160の端部162およびトリム部180とにより、ワークWが狭持される。続いて、上型102を下方へ移動させると、下型101のクッション部140が縮み始め、ブランクホルダ130が上型102とともに下降し、ワークWがダイ160の凹部161によりパンチ120に向かって押圧され、絞り成形が行われる。これにより、ワークWの中央部に絞り形状部Waが形成される。
絞り成形では、ワークWがダイ160の凹部161に流入し、図4に示す成形下死点において、パンチ120の先端部がダイ160の凹部161に完全に挿入されることによりワークWの絞り形状部Waの上面の形状がダイ160の凹部161に対応する形状をなすとともに、第1ホルダ部131の下面内側がパンチ120のトリム加工用支持部123の上面に当接する。
このような絞り成形の開始から完了までの間、第1ホルダ部131は、第2ホルダ部132の絞り成形用支持部133に支持されているから、第1ホルダ部131の上面および第2ホルダ部132の上面は、初期状態が維持され、同一面を構成している。一方、クッション部170による下方への付勢力は、絞り成形による圧力よりも大きく設定されているから、ダイ160の端部162の下面およびトリム部180の下面は、初期状態が維持され、同一面を構成している。このように絞り成形の開始から完了までの間、トリム下刃191およびトリム上刃192は露出しない。
次いで、上型102を下方へ移動させると、下型101のクッション部140がさらに縮む。この場合、図5に示すように、下型101では、第1ホルダ部131の下面内側がパンチ120のトリム加工用支持部123の上面に当接しており、トリム加工用支持部123が、第2ホルダ部132の絞り成形用支持部133の代わりに第1ホルダ部131を支持している。これにより、上型102では、第1ホルダ部131を押圧するダイ160は下降しないのに対して、上型102のクッション部170が縮み始め、トリム部180が第2ホルダ部132とともに下降し、第2ホルダ部132は下型支持部110に当接する。
この場合、下型101では、第1ホルダ部131が第2ホルダ部132に対して相対的に上昇し、第1ホルダ部131のトリム下刃191が露出し、上型102では、トリム部180がダイ160に対して相対的に下降し、トリム部180のトリム上刃192が露出するから、トリム下刃191およびトリム上刃192によりワークW(成形品)のフランジ部Wbの外側端部が切断され、トリム加工が行われる。
トリム加工の完了後、上型102を上方に移動させると、下型101のクッション部140が伸び、ブランクホルダ130では、第2ホルダ部132がクッション部140により付勢されて上昇し、第1ホルダ部131が第2ホルダ部132の絞り成形用支持部133により支持されて上昇することにより、図6に示すように、プレス金型100は初期状態に戻る。この場合、ワークWでは、フランジ部Wbが第1ホルダ部131に支持されて上昇し、絞り形状部Waはパンチ120の先端部から離間する。また、ワークWから切断されたスクラップSは第2ホルダ部132に支持されて上昇することにより、スクラップSはパンチ120の先端部から離間する。続いて、ワークW(成形品)およびスクラップSをプレス金型100から取り出す。
以上のように第1実施形態では、初期状態において、絞り成形用支持部133が第1ホルダ部131の下面外側(下面の第1パート131A)を支持し、トリム加工用支持部123は、第1ホルダ部131の下面内側(下面の第2パート131B)に対して、上型102に向かう方向とは反対側の方向に離間しているから、初期状態から絞り成形までの間、第1ホルダ部131を第2ホルダ部132の絞り成形用支持部133により支持した状態で、パンチ120のトリム加工用支持部123に向けて移動させることができる。
ここで第1実施形態では、クッション部140が第2ホルダ部132を支持し、第2ホルダ部132の絞り成形用支持部133が第1ホルダ部131を支持することができるから、第1ホルダ部131および第2ホルダ部132には同一のクッション部140からの荷重を加えることができ、第1ホルダ部131および第2ホルダ部132は一体的に移動することができる。また、第1ホルダ部131および第2ホルダ部132からワークWに加えられる荷重を均一とする、または、その荷重を均一に近づけることができる。さらに、第1ホルダ部131の上面および第2ホルダ部132の上面との間で段差の発生を抑制することができる。したがって、絞り成形品の品質の向上を図ることができる。
特に、絞り成形中、トリム下刃191の刃先の露出を抑制することができるから、ワークWの材料流入時、その刃先の磨耗を抑制することができる。また、成形品に傷が付く等の不具合の発生を抑制することができる結果、製品外観が良好となる。
また、トリム加工の完了後、上型102を下型101とは反対方向に移動させることにより、プレス金型100は初期状態に戻ることができ、この場合、ワークWの絞り形状部WaおよびスクラップSがパンチ120の先端部から離間することができるから、ワークWおよびスクラップSの取出しが容易となる。
(3)第2実施形態
本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。たとえば、図8,9に示す第2実施形態のプレス金型100Aを用いれば、ワークWのフランジ部Wbの幅を狭く設定することができる。図8は、プレス金型100Aのの概略構成を表す側断面図である。図9は、プレス金型100Aによるトリム加工の状態を表す側断面図である。
第1ホルダ部131は、図8に示すように、幅狭部134および幅広部135を有している。幅広部135には、第2ホルダ部132に向かって水平方向に突出する突出部135Aが形成され、幅広部135は、幅狭部134よりも広い幅を有する。第2ホルダ部132の上面の内側端部には、幅広部135の突出部135Aの外部への離脱を防止する離脱防止部132Cが形成されている。離脱防止部132Cは、たとえば絞り成形用支持部133に対向するとともに絞り成形用支持部133と同じ幅を有する。絞り成形用支持部133と離脱防止部132Cとの間には凹部132Dが形成されている。
凹部132Dには、第1ホルダ部131の幅広部135の突出部135Aが配置されている。この場合、突出部135Aの側面は凹部132D内の側面に摺動可能であり、幅狭部134の外側側面は、離脱防止部132Cの側面に摺動可能である。第1ホルダ部131の幅広部135が第2ホルダ部132の絞り成形用支持部133により支持される初期状態では、幅広部135の上面と離脱防止部132Cの下面との間に所定間隔の隙間が形成されている。隙間の大きさGは、たとえば図4における第2ホルダ部132の下面と下型支持部110の上面との間隔に等しく設定されている。
プレス金型100Aでは、ワークWを下型101上に載置して、上型102を下方へ移動させると、図2〜4に示すプレス金型100と同様な絞り加工が行われる。絞り加工後のトリム加工では、図9に示すように、第1ホルダ部131の幅広部135の下面内側(下面の第2パート131B)がパンチ120のトリム加工用支持部123に支持されており、クッション部140が縮むと、第2ホルダ部132が下降し、第1ホルダ部131は、第2ホルダ部132に対して相対的に上昇する。この場合、幅広部135の突出部135Aの側面が凹部132D内の側面に摺動し、第2ホルダ部132が下型支持部110に当接した時、幅広部135の突出部135Aの上面は、離脱防止部132Cの下面に当接する。
上記態様では、ワークWのフランジ部Wbの幅を狭く設定する場合、第1ホルダ部131の下面外側(下面の第1パート131A)の幅および第2ホルダ部132の絞り成形用支持部133の幅を狭くする必要がないから、第2ホルダ部132を通じた第1ホルダ部131からワークWへの荷重を、第1実施形態と同様に効果的に加えることができる。したがって、ワークWのフランジ部Wbの幅を狭く設定する場合でも、第1ホルダ部131および第2ホルダ部132は一体的に移動することができるとともに、第1ホルダ部131および第2ホルダ部132からワークWに加えられる荷重を均一とすることができる。
上記の実施形態によれば、プレス金型100、100Aは、ワークWを支持する下型101と、下型101に対向して配置される上型102と、を備えてもよい。
下型101は、絞り成形用パンチ120と、絞り成形用パンチ120の側面に沿って移動可能に配置されるブランクホルダ130と、ブランクホルダ130を上型102に向けて付勢するクッション部140と、を有してもよい。
上型102は、絞り成形用パンチ120に対向して配置される絞り成形用ダイ160と、絞り成形用ダイ160の側面に沿って移動可能に配置されるトリム部180と、を有してもよい。
ブランクホルダ130は、絞り成形用ダイ160の端部162に対向して配置される第1ホルダ部131と、トリム部180に対向して配置されるとともにクッション部140により付勢される第2ホルダ部132と、を備えてもよい。
第2ホルダ部132は、第1ホルダ部131の下面の第1パート131Aを支持する絞り成形用支持部133を有してもよい。
絞り成形用パンチ120は、第1ホルダ部131の下面の第2パート131Bを支持するトリム加工用支持部123を有してもよい。
第1ホルダ部131は、外側縁部にトリム下刃191を有してもよい。
トリム部180は、内側縁部にトリム上刃192を有してもよい。
実施形態のプレス金型では、初期状態において上型の下型への移動を開始すると、第1ホルダ部の上面と絞り成形用ダイの端部の下面との間および第2ホルダ部の上面とトリム部の下面との間でワークが狭持され、下型では、ブランクホルダの第2ホルダ部を付勢するクッション部が縮み、ブランクホルダ(第1ホルダ部および第2ホルダ部)が上型の絞り成形用ダイおよびトリム部とともに下降することができるから、ワークが絞り成形用ダイの凹部により絞り成形用パンチに向かって押圧され、ワークが絞り成形用ダイの凹部に流入して絞り成形が行われる。この場合、初期状態では、絞り成形用支持部が第1ホルダ部の下面の第1パートを支持し、トリム加工用支持部は、第1ホルダ部の下面の第2パートに対して、上型に向かう方向とは反対側の方向に離間することができるから、初期状態から絞り成形までの間、第1ホルダ部の下面の第1パートを第2ホルダ部の絞り成形用支持部により支持した状態で、第1ホルダ部を絞り成形用パンチのトリム加工用支持部に向けて移動させることができる。
実施形態のプレス金型では、クッション部が第2ホルダ部を支持し、第2ホルダ部の絞り成形用支持部が第1ホルダ部を支持することができるから、第1ホルダ部および第2ホルダ部には同一のクッション部からの荷重を加えることができ、第1ホルダ部および第2ホルダ部は一体的に移動することができる。また、第1ホルダ部および第2ホルダ部からワークに加えられる荷重を均一にする、または、その荷重を均一に近づけることができる。さらに、第1ホルダ部の上面および第2ホルダ部の上面との間での段差の発生を抑制することができる。したがって、絞り成形品の品質の向上を図ることができる。
特に、絞り成形中、トリム下刃の刃先の露出を抑制することができるから、ワークの材料流入時、その刃先の磨耗を抑制することができる。また、ワーク(成形品)に傷が付く等の不具合の発生を抑制することができる結果、製品外観が良好となる。
実施形態のプレス金型は、種々の構成を用いることができる。たとえば、第1ホルダ部は、絞り成形用ダイに対向する幅狭部と、幅狭部における絞り成形用ダイ側とは反対側の端部に形成されるとともに、第2ホルダ部に向かって突出する突出部が形成された幅広部を有し、第2ホルダ部の上面の内側端部には、幅広部の外部への離脱を防止する離脱防止部が形成され、絞り成形用支持部と離脱防止部との間に凹部が形成され、凹部内には幅広部の突出部が第2ホルダ部の移動方向とは反対側の方向に摺動可能に配置される構成を用いることができる。なお、内側とはプレス金型の内部側、外側とはプレス金型の外部側をいう。この態様では、ワークのフランジ部の幅を狭く設定する場合、第1ホルダ部の下面外側(下面の第1パート)の幅および第2ホルダ部の絞り成形用支持部の幅を狭くする必要がない。したがって、ワークのフランジ部の幅を狭く設定する場合でも、第1ホルダ部および第2ホルダ部からワークに加えられる荷重を均一または略均一とすることができる。
また、上記の実施形態によれば、プレス加工方法は、上型102を下型101に向けて移動させることにより、下型101の第1ホルダ部131の上面と上型102の絞り成形用ダイ160の端部162の下面との間および下型132の第2ホルダ部132の上面と上型102のトリム部180の下面との間で、ワークWを狭持しながら、下型101の絞り成形用パンチ120を絞り成形用ダイ160の凹部161に挿入してワークWに絞り成形を行う工程と、絞り成形後、上型102を下型101に向けて移動させることにより、トリム部180を絞り成形用ダイ160に対して相対的に下型101に向けて移動させ、第2ホルダ部132をトリム部180とともに移動させ、第1ホルダ部131のトリム下刃191とトリム部180のトリム上刃192とによってワークWにトリム加工を行う工程と、からなってもよい。
絞り成形時、第1ホルダ部131の下面の第1パート131Aを第2ホルダ部132の絞り成形用支持部133により支持した状態で、絞り成形用ダイ160により第1ホルダ部131を絞り成形用パンチ120のトリム加工用支持部123に向けて移動させ、絞り成形の完了時に第1ホルダ部131の下面の第2パート131Bをトリム加工用支持部123に当接させてもよい。
トリム加工時、下面の第2パート131Bをトリム加工用支持部123により支持し、下面の第1パート131Aを絞り成形用支持部133から離間させてもよい。
実施形態プレス加工方法では、成形品の品質の向上を図ることができる等の効果を得ることができる。
実施形態のプレス加工方法は、種々の構成を用いることができる。たとえばトリム加工後、上型を下型に向かう方向とは反対側の方向に移動させることにより、ブランクホルダを初期状態に戻し、ワークを取り出すことができる。この態様では、トリム加工の完了後、プレス金型を初期状態に戻すと、ワーク(成形品)のフランジ部が第1ホルダ部に支持されてパンチに対して相対的に上昇することができるから、ワークの絞り形状部がパンチの先端部から離間することができ、その結果、ワークの取出しが容易となる。また、ワークから切断されたスクラップは第2ホルダ部に支持されてパンチに対して相対的に上昇することができるから、スクラップの取出しが容易となる。
実施形態のプレス金型あるいはプレス加工方法によれば、成形品の品質の向上を図ることができる等の効果を得ることができる。
100,100A…プレス金型、101…下型、102…上型、120…パンチ(絞り成形用パンチ)、130…ブランクホルダ、131…第1ホルダ部、131A…下面の第1パート、131B…下面の第2パート、132…第2ホルダ部、133…絞り成形用支持部、140…クッション部、160…絞り成形用ダイ、161…凹部、162…端部、180…トリム部、191…トリム下刃、192…トリム上刃

Claims (3)

  1. ワーク(W)を支持する下型(101)と、
    前記下型(101)に対向して配置される上型(102)と、
    を備え、
    前記下型(101)は、
    絞り成形用パンチ(120)と、
    前記絞り成形用パンチ(120)の側面に沿って移動可能に配置されるブランクホルダ(130)と、
    前記ブランクホルダ(130)を前記上型(102)に向けて付勢するクッション部(140)と、
    を備え、
    前記上型(102)は、
    前記絞り成形用パンチ(120)に対向して配置される絞り成形用ダイ(160)と、
    前記絞り成形用ダイ(160)の側面に沿って移動可能に配置されるトリム部(180)と、
    を備え、
    前記ブランクホルダ(130)は、
    前記絞り成形用ダイ(160)の端部(162)に対向して配置される第1ホルダ部(131)と、
    前記トリム部(180)に対向して配置されるとともに前記クッション部(140)により付勢される第2ホルダ部(132)と、
    を備え、
    前記第2ホルダ部(132)は、前記第1ホルダ部(131)の下面の第1パート(131A)を支持する絞り成形用支持部(133)を有し、
    前記絞り成形用パンチ(120)は、前記第1ホルダ部(131)の下面の第2パート(131B)を支持するトリム加工用支持部(123)を有し、
    前記第1ホルダ部(131)は、外側縁部にトリム下刃(191)を有し、
    前記トリム部(180)は、内側縁部にトリム上刃(192)を有する、
    プレス金型(100、100A)。
  2. 上型(102)を下型(101)に向けて移動させることにより、前記下型(101)の第1ホルダ部(131)の上面と前記上型(102)の絞り成形用ダイ(160)の端部(162)の下面との間および前記下型(132)の第2ホルダ部(132)の上面と前記上型(102)のトリム部(180)の下面との間で、ワーク(W)を狭持しながら、前記下型(101)の絞り成形用パンチ(120)を前記絞り成形用ダイ(160)の凹部(161)に挿入して前記ワーク(W)に絞り成形を行い、
    前記絞り成形後、前記上型(102)を前記下型(101)に向けて移動させることにより、前記トリム部(180)を前記絞り成形用ダイ(160)に対して相対的に下型(101)に向けて移動させ、前記第2ホルダ部(132)を前記トリム部(180)とともに移動させ、前記第1ホルダ部(131)のトリム下刃(191)と前記トリム部(180)のトリム上刃(192)とによって前記ワーク(W)にトリム加工を行い、
    前記絞り成形時、前記第1ホルダ部(131)の下面の第1パート(131A)を前記第2ホルダ部(132)の絞り成形用支持部(133)により支持した状態で、前記絞り成形用ダイ(160)により前記第1ホルダ部(131)を前記絞り成形用パンチ(120)のトリム加工用支持部(123)に向けて移動させ、前記絞り成形の完了時に前記第1ホルダ部(131)の下面の第2パート(131B)を前記トリム加工用支持部(123)に当接させ、
    前記トリム加工時、前記下面の第2パート(131B)を前記トリム加工用支持部(123)により支持し、前記下面の第1パート(131A)を前記絞り成形用支持部(133)から離間させる、
    プレス加工方法。
  3. 前記トリム加工後、前記上型(102)を前記下型(101)に向かう方向とは反対側の方向に移動させることにより、前記ブランクホルダ(130)を初期状態に戻し、前記ワーク(W)を取り出す、
    請求項2に記載のプレス加工方法。
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