JP6767063B2 - 絞り成形装置 - Google Patents

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Description

本発明は、パネル状部品を絞り成形する絞り成形装置に関する。
一般的に、例えば自動車用ドアは、図1〜図3に示すインナーパネル1と、図示しないアウターパネルとを接合することによって構成されている。図1はインナーパネル1を車両側方から見た場合を示しており、図2はインナーパネル1の斜視図であり、図3はインナーパネル1を図1の矢印A方向から見た場合を示している。インナーパネル1は、パネル本体10と、パネル本体10の周縁部に設けられ、アウターパネルにヘミング加工によって接合される接合部11と、窓ガラスを支持するサッシュ部12とで構成されている。パネル本体10は、図3に示すように、上下方向中央部分が上下両端部よりも車室外方へ張り出すような形状とされるとともに、上面部10a、下面部10b及び車両前後方向の端面部10cがそれぞれ車室内外方向に向けて延びる形状とされている。このため、通常、インナーパネル1をプレス成形により得る工程では、板状ワーク(材料)の周縁部をブランクホルダーと呼ばれる保持部材によって予め保持した後、プレス成形金型によってドロー成形(絞り成形ともいう)して中央部分を張り出させるようにする。
また、パネル本体10の上面部10a及び下面部10bの車室内外方向の寸法は、端面部10cの車室内外方向の寸法よりも短くなっているので、パネル本体10の上面部10a及び下面部10bを成形する部分での絞りは浅く、パネル本体10の端面部10cを成形する部分では絞りが深くなる。このように部位によって絞り深さが異なる製品をプレス加工する場合、全周を一様の絞り深さで絞り加工する従来の一般的な絞り加工方法では材料の無駄が多くなりがちであった。
すなわち、図3に示すように、インナーパネル1の車室内側成型面は車室内外方向に湾曲した製品形状を有しているため、通常、その形状に沿うようにダイフェースD1を設定する。このようなダイフェースD1を有する絞り成形装置では、全周を一様の絞り深さで絞り加工するため、必要な絞り高さの浅いサッシュ部12付近では絞り高さHの分だけ材料が余分に必要となり、使用する材料の外形寸法(サイズ)が大きくなるため、歩留まりが悪化して製造コストが増大するという問題がある。
この問題を解決するため、サッシュ部12付近の絞り高さHが低くなるようにダイフェースD2を設定する方法があるが、ダイフェースD2は、ダイフェースD1に比べてきつく湾曲するので、湾曲面の内側に向かって成形したときに全体として材料が収縮する方向に変形する度合いが大きくなる。このため、材料を均一に引き伸ばすように金型の設計を行うことが困難となり、材料に局部的にシワが発生しやすくなる。
そこで、例えば特許文献1に開示されているように、板状ワークの絞り深さの浅い部分用のブランクホルダーと、深い部分用のブランクホルダーとを設け、各々異なったストロークで単一のワークを絞り成形することが考えられる。この場合、絞り深さが変化する境界部分でワレやシワが発生しないように、パンチにおける前記境界部分にシル状の余肉部を形成しており、このシル状余肉部により、ブランクホルダーの作動の違いによるワークへの不都合な応力を分散・緩和させている。
特開2017−1040号公報
特許文献1のように、板状ワークの絞り深さの浅い部分用のブランクホルダーと、深い部分用のブランクホルダーとを別々に作動させるようにすることで、単一のワークにおいて絞り深さの浅い部分と深い部分とを成形することが可能になるが、ブランクホルダーの作動の違いに起因してワークに不都合な応力が発生する懸念があるので、パンチにはシル状余肉部を形成する必要がある。
ところが、シル状余肉部を形成するため金型形状が複雑になり、金型の製作費が高くなることや、余肉部分はトリミングされる部分なので材料の無駄が発生し、歩留まり悪化要因となるという問題があった。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、絞り深さの異なるパネル状部品を絞り成形する絞り成形装置において、金型形状の複雑化を回避しながらワークのワレやシワの発生を抑制し、しかも歩留まりをより一層向上させることにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、板状ワークを絞り成形することにより、外周部に相対的に絞り深さの深い第1側面と絞り深さの浅い第2側面とが周方向に連続して形成されるとともに、前記第1側面と前記第2側面との境界部分が所定形状の曲面で構成されているパネル状部品を成形する金型を備え、前記金型は、前記板状ワークを厚み方向に挟むように配置される第1金型及び第2金型を有し、該第1金型及び該第2金型の一方が他方に対して接離する方向に駆動され、前記第1金型には、前記第1側面を成形するための第1成形面と、前記第2側面を成形するための第2成形面とが当該第1金型の周方向に連続するように設けられ、前記第1成形面と前記第2成形面との境界部分が前記曲面を成形する曲面成形面とされ、前記第1金型の外周における前記第1成形面に対応する部分には、前記第2金型と共にワークを厚み方向に挟持するブランクホルダーが配置され、前記第1金型の外周における前記第2成形面に対応する部分には、前記第2金型と共にワークを厚み方向に挟持するパッドが配置され、前記ブランクホルダーと前記パッドとに異なる動作を行わせるように構成された絞り成形装置において、前記ブランクホルダーは、前記第1金型の外周における前記第1成形面側から前記第2成形面側に周り込むように形成されており、前記ブランクホルダーの前記ワークへの接触面における内縁部は、前記曲面成形面に沿う形状とされていることを特徴とする。
この構成によれば、板状ワークが第1金型と第2金型とで厚み方向にプレスされることにより、外周部に相対的に絞り深さの深い第1側面と絞り深さの浅い第2側面とが周方向に連続して形成されるとともに、第1側面と第2側面との境界部分が所定形状の曲面で構成されているパネル状部品を成形することができる。
このパネル状部品の成形工程において、第1金型の外周に配置されているブランクホルダーと第2金型とで板状ワークが挟持され、また第1金型の外周に配置されているパッドと第2金型とで板状ワークが挟持される。ブランクホルダーは、相対的に絞り深さの深い第1側面に対応するように配置され、パッドは、相対的に絞り深さの浅い第2側面に対応するように配置されており、絞り成形中にはブランクホルダー及びパッドが、従来例のように各々異なる動作を行うので、単一の板状ワークに、絞り深さの深い第1側面と絞り深さの浅い第2側面とを形成できる。
ブランクホルダーの接触面はワークに接触しており、ワークを挟持する部分となるので、絞り成形中には、ブランクホルダーの接触面がワークを引っ張るように力を作用させることになる。このブランクホルダーのワークへの接触面における内縁部が第1金型の曲面成形面に沿う形状とされていることで、絞り成形中に、第1金型の曲面成形面に沿うようにワークを引っ張ることができる。これにより、従来例のようなシル状余肉部を金型に形成することなく、絞り深さが変化する境界部分でワレやシワが発生しないようにすることができる。シル状余肉部が不要になることで、金型形状の複雑化が回避されるとともに、ワークの余肉部分が減少して材料の無駄が少なくなる。
第2の発明は、前記ブランクホルダー及び前記パッドには、前記ワークに圧接して該ワークの絞り成形時の流れを抑制するビードがそれぞれ形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、絞り成形中のワークの流れが抑制されるので、パネル状部品の成形精度が向上する。
第3の発明は、前記ブランクホルダーの前記ワークへの接触面における内縁部は、前記曲面成形面と略相似形状とされていることを特徴とする。
本発明によれば、絞り深さの異なるパネル状部品を絞り成形する場合に、金型形状の複雑化を回避しながらワークのワレやシワの発生を抑制し、しかも歩留まりをより一層向上させることができる。
車両側方から見たインナーパネルの概略形状を示す図である。 インナーパネルの斜視図である。 図1の矢印A方向から見たインナーパネルの概略形状とダイフェースとの関係を示す図である。 下型の平面図である。 図4のB部を上方から見た斜視図である。 図4におけるVI−VI線に対応する絞り成形装置の断面図であり、上型が上死点付近にある状態を示している。 上型が下降し、上型とブランクホルダーがワークを挟持し始めた状態を示す図6相当図である。 上型が下死点付近にある状態を示す図6相当図である。 図4におけるIX−IX線に対応する絞り成形装置の断面図であり、上型が上死点付近にある状態を示している。 上型が下降し、上型とブランクホルダーがワークを挟持し始めた状態を示す図9相当図である。 上型が下死点付近にある状態を示す図9相当図である。 本発明の実施形態に係る絞り成形装置によりインナーパネルを成形した場合の下死点付近でのシミュレーション結果画像である。 比較例1に係り、前側ブランクホルダーが下辺側へ周り込んでいない絞り成形装置によりインナーパネルを成形した場合の図12と同じタイミングでのシミュレーション結果画像である。 比較例2に係り、下辺側パッドが前側ブランクホルダー側まで直線状に延びた形状の絞り成形装置によりインナーパネルを成形した場合の図12と同じタイミングでのシミュレーション結果画像である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1〜図3は、自動車用ドアのインナーパネル1を示すものであり、このインナーパネル1は、本発明の実施形態に係る絞り成形装置20(後述する)で成形されたパネル状部品である。インナーパネル1は、スチールを始め種々の金属を材料とすることが出来るが、例えばアルミニウム合金等の金属製板材(図6等に板状ワークW)を絞り成形することによって得られたものであり、図示しないアウターパネルと接合されて自動車用ドア(図示せず)となる。ワークWは「材料」ともいう。
(インナーパネル1の構成)
インナーパネル1は、パネル本体10と、パネル本体10の周縁部に設けられ、アウターパネルにヘミング加工によって接合される接合部11と、窓ガラスを支持するサッシュ部12とで構成されている。パネル本体10は、図3に示すように、上下方向中央部分が上下両端部よりも車室外方へ張り出すような形状とされている。サッシュ部12の上縁部には、車室外方へ向けて延びる上面部10aが設けられている。パネル本体10の下縁部には、車室外方へ向けて延びる下面部10bが設けられている。また、パネル本体10の車両前後方向の両縁部には、それぞれ車室外方へ向けて延びる端面部10cが設けられている。上面部10a、端面部10c及び下面部10bは、インナーパネル1の周方向に連続している。上面部10a、端面部10c及び下面部10bは、絞り成形によって得られる部分である。
図3に示すように、パネル本体10中央部の車両前後方向の縁部から端面部10cの先端部までの寸法L1は、パネル本体10の下縁部から下面部10bの先端部までの寸法L2よりも長く設定されている。従って、端面部10cは相対的に絞り深さの深い側面(第1側面)となり、下面部10bは相対的に絞り深さの浅い側面(第2側面)となる。また、図1に示すように、前側の端面部10cと下面部10bとの境界部分、即ちコーナー部分は所定形状の曲面10eで構成され、また、後側の端面部10cと下面部10bとの境界部分、即ちコーナー部分も所定形状の曲面10eで構成されている。前側の曲面10eと後側の曲面10eとの形状は互いに相違していてもよい。つまり、インナーパネル1の外周部には、相対的に絞り深さの深い端面部10cと絞り深さの浅い下面部10bとが周方向に連続して形成されるとともに、端面部10cと下面部10bとの境界部分が所定形状の曲面10eで構成されている。
(絞り成形装置20の全体構成)
図6や図9に示すように、絞り成形装置20は、インナーパネル1を成形するための下型30及び上型40と、下型30及び上型40の一方を他方に対して接離する方向に駆動する型駆動装置50とを備えている。上型40は下型30の上方に配置されている。この実施形態では、下型30が固定され、上型40が型駆動装置50によって上下方向に駆動されて下型30に対して接離する。上型40の上死点付近を図6及び図9にそれぞれ示し、上型40の下死点付近を図8及び図11にそれぞれ示している。型駆動装置50は、例えば流体圧シリンダ等の動力発生装置で構成することができ、図示しない制御装置等によって制御される。
(下型30の構成)
図4は下型30の平面図である。この実施形態の説明では、説明の便宜を図るために、インナーパネル1の各方向を基準として下型30を説明する。即ち、下型30の「前側」とは、インナーパネル1の車両前側が配置される側であり、下型30の「後側」とは、インナーパネル1の車両後側が配置される側である。また、下型30の「上辺側」とは、インナーパネル1の車両上側(ルーフ側)が配置される側であり、下型30の「下辺側」とは、インナーパネル1の車両下側(フロア側)が配置される側である。
図4、図6及び図9に示すように、下型30は、パンチ(第1金型)31と、パンチ31の前側に設けられる前側ブランクホルダー32と、パンチ31の後側に設けられる後側ブランクホルダー33と、パンチ31の下辺側に設けられる下型下辺側パッド34と、パンチ31の上辺側に設けられる下型上辺側パッド35と、前側及び後側クッションピン36、37(図6に示す)と、下型下辺部ガススプリング38及び下型上辺部ガススプリング39(図9に示す)とを備えている。
パンチ31は、ワークWに対して下方から製品形状を転写するための部材であり、下型ホルダー(図示せず)に組み付けられ、当該下型ホルダーを介してボルスター(図示せず)に固定されている。パンチ31の上面が成形面31aとなっている。図9に示すように、パンチ31の上辺側には、下型上辺側パッド35を、水平方向への移動を規制しながら上下方向のみに移動可能に案内するための上辺側案内部材30aが設けられ、またパンチ31の下辺側には、下型下辺側パッド34を、水平方向への移動を規制しながら上下方向のみに移動可能に案内するための下辺側案内部材30bが設けられている。
パンチ31の上面は、ワークWを絞り成形することができるように上方へ膨出するように形成されている。すなわち、図5に示すように、パンチ31には、パネル本体10の前側の端面部10cを成形するための第1成形面31bと、パネル本体10の下面部10bを成形するための第2成形面31cとが当該パンチ31の周縁部において周方向に連続するように設けられている。また、パンチ31の周縁部において第1成形面31bと第2成形面31cとの境界部分は、パネル本体10の曲面10eを成形するための曲面成形面31dとされている。さらに、図4に示すように、パンチ31には、パネル本体10の後側の端面部10cを成形するための成形面31e、パネル本体10の上面部10aを成形するための成形面31fも当該パンチ31の周縁部に設けられている。
図5に示すように、前側ブランクホルダー32は、パンチ31の外周における第1成形面31bに対応する部分に配置されており、上型40と共にワークを厚み方向に挟持するための部材である。また、下型下辺側パッド34は、パンチ31の外周における第2成形面31cに対応する部分に配置されており、上型下辺側パッド44と共にワークを厚み方向に挟持するための部材である。
図4に示すように、後側ブランクホルダー33は、パンチ31の成形面31eに対応する部分に配置されており、上型40と共にワークを厚み方向に挟持するための部材である。下型上辺側パッド35は、パンチ31の外周における成形面31fに対応する部分に配置されており、上型上辺側パッド45と共にワークWを厚み方向に挟持するための部材である。
図4にブランクホルダーを含む下型を示すが、解り易くするためその周囲の金型構造は省略している。図4に示す平面視において、前側ブランクホルダー32とパンチ31の第1成形面31bとの間、下型下辺側パッド34とパンチ31の第2成形面31cとの間、後側ブランクホルダー33とパンチ31の成形面31eとの間、及び下型上辺側パッド35とパンチ31の成形面31fとの間には、それぞれ所定のクリアランスが設けられている。また、前側ブランクホルダー32と下型下辺側パッド34との間、前側ブランクホルダー32と下型上辺側パッド35との間、後側ブランクホルダー33と下型下辺側パッド34との間、後側ブランクホルダー33と下型上辺側パッド35との間にも、それぞれ所定のクリアランスが設けられている。これら各部のクリアランスを維持しながら互いに上下方向に相対移動するように、前側ブランクホルダー32、後側ブランクホルダー33、下型下辺側パッド34、下型上辺側パッド35及びガイドなどの金型内部構造(周知の構造のため図示せず)が配置・構成されている。
また本実施例では前側ブランクホルダー32と後側ブランクホルダー33とは、図4には図示しない周辺部分で一体として形成されており、同一の作動を行うよう構成される。
前側ブランクホルダー32は、図5に示すように、パンチ31の外周における第1成形面31b側から第2成形面31c側に周り込むように形成されている。前側ブランクホルダー32の上面はワークWへの接触面32aとされている。この前側ブランクホルダー32の接触面32aには、ワークWに圧接して該ワークWの絞り成形時の流れを抑制するビード32bが形成されている。このビード32bは凹状ビードで構成されており、前側ブランクホルダー32の上辺側から下辺側に亘って連続して延びている。
前側ブランクホルダー32の接触面32aのワークW内方の縁部を内縁部32cとする。この内縁部32cにおける曲面成形面31dと対応する部分は、該曲面成形面31dに沿う形状とされている。具体的には、接触面32aにおける内縁部32cは、曲面成形面31dと略相似形状とされている。
下型下辺側パッド34の上面はワークWへの接触面34aとされている。下型下辺側パッド34の接触面34aには、ワークWに圧接して該ワークWの絞り成形時の流れを抑制するビード34bが形成されている。このビード34bは凹状ビードで構成されており、下型下辺側パッド34の前側から後側に亘って連続して延びている。
図6に示すように、後側ブランクホルダー33の上面はワークWへの接触面33aとされている。後側ブランクホルダー33の接触面33aには、ワークWに圧接して該ワークWの絞り成形時の流れを抑制するビード33bが形成されている。このビード33bは凹状ビードで構成されており、後側ブランクホルダー33の上辺側から下辺側に亘って連続して延びている。
図9に示すように、下型上辺側パッド35の上面はワークWへの接触面35aとされている。下型上辺側パッド35の接触面35aには、ワークWに圧接して該ワークWの絞り成形時の流れを抑制するビード35bが形成されている。このビード35bは凹状ビードで構成されており、下型上辺側パッド35の前側から後側に亘って連続して延びている。
図6に示すように、前側ブランクホルダー32は、前側クッションピン36によって下方から支持されている。前側クッションピン36は、ワークWが載置された前側ブランクホルダー32を図6に示す上昇端位置で保持し、上方へ常時付勢力を作用させるための部材であり、従来から周知である。前側ブランクホルダー32に対して上型40から下向きの力が作用すると、図8に示すように前側クッションピン36が下方へ移動して前側ブランクホルダー32が下降端位置になる。
また、後側ブランクホルダー33は、前側ブランクホルダー32と同様に後側クッションピン37によって下方から支持されている。後側クッションピン37は前側クッションピン36と同様に構成されている。
図9に示すように、下型下辺側パッド34は、下型下辺部ガススプリング38によって下方から支持されている。下型下辺部ガススプリング38はワークWが載置された下型下辺側パッド34を図9に示す上昇端位置で保持し、上方へ常時付勢力を作用させるための部材であり、従来から周知である。下型下辺側パッド34に対して上型下辺側パッド44から下向きの力が作用すると、図11に示すように下型下辺部ガススプリング38が縮んで下型下辺側パッド34が下降端位置になる。
また、下型上辺側パッド35は、下型下辺側パッド34と同様に下型上辺部ガススプリング39によって下方から支持されている。下型上辺部ガススプリング39は下型下辺部ガススプリング38と同様に構成されている。
このように、下型下辺側パッド34及び下型上辺側パッド35は、前述のように一体として構成された前側ブランクホルダー32及び後側ブランクホルダー33とは別部材で構成されていて、互いに異なる支持装置で支持されているので、別々に作動可能になる。つまり、この実施形態の絞り成形装置20は、前側ブランクホルダー32及び後側ブランクホルダー33と、下型下辺側パッド34及び下型上辺側パッド35とを連動させることなく、異なる動作を行わせるように構成されている。これは、前側ブランクホルダー32及び後側ブランクホルダー33が絞り深さの深い部分に対応するように配置される一方、下型下辺側パッド34及び下型上辺側パッド35が絞り深さの浅い部分に対応するように配置されていることによる。動作の詳細については後述する。
(上型40の構成)
図9に示すように、上型40は、ダイ(第2金型)41と、ダイ41の下辺側に設けられる上型下辺側パッド44と、ダイ41の上辺側に設けられる上型上辺側パッド45と、上型下辺部ガススプリング48及び上型上辺部ガススプリング49とを備えている。
ダイ41は、ワークWに対して上方から製品形状を転写するための部材であり、パンチ31と対向するように配置されて上型ホルダー(図示せず)に組み付けられ、当該上型ホルダーを介してスライド(図示せず)に固定される。これにより、ダイ41及びパンチ31は、ワークWを厚み方向に挟むように配置される。ダイ41は、型駆動装置50によってパンチ31に対して接離する方向に駆動される。ダイ41の下面が成形面41aとなっている。
図9に示すように、ダイ41の上辺側には、上型上辺側パッド45を、水平方向への移動を規制しながら上下方向のみに移動可能に案内するための上辺側案内部材41bが設けられ、またダイ41の下辺側には、上型下辺側パッド44を上下方向に案内するための下辺側案内部材41cが設けられている。
図6に示すように、ダイ41の成形面41aの前側に位置する上型ワーク把持部56は、前側ブランクホルダー32の接触面32aと対向するように形成されており、ワークWへの接触面とされている。これにより、図7に示すように、ダイ41の上型ワーク把持部56と前側ブランクホルダー32の接触面32aとでワークWを厚み方向に挟持することが可能になる。
ダイ41の上型ワーク把持部56には、ワークWに圧接して該ワークWの絞り成形時の流れを抑制する凸状のビード41dが形成されている。ダイ41のビード41dと、前側ブランクホルダー32のビード32bとは上下方向に対向するように配置されており、図7に示すように、ワークWを挟持した状態で、ダイ41のビード41dと、前側ブランクホルダー32のビード32bとがワークWの同じ部分に圧接してワークWを変形させる。これにより、ワークWの絞り成形時の流れが抑制される。
また、図6に示すように、ダイ41の成形面41aの後側に位置する上型ワーク把持部57は、後側ブランクホルダー33の接触面33aと対向するように形成されており、ワークWへの接触面とされている。これにより、図7に示すように、ダイ41の上型ワーク把持部57と後側ブランクホルダー33の接触面33aとでワークWを厚み方向に挟持することが可能になる。
ダイ41の上型ワーク把持部57には、ワークWに圧接して該ワークWの絞り成形時の流れを抑制する凸状のビード41eが形成されている。ダイ41のビード41eと、後側ブランクホルダー33のビード33bとは上下方向に対向するように配置されており、図7に示すように、ワークWを挟持した状態で、ダイ41のビード41eと、後側ブランクホルダー33のビード33bとがワークWの同じ部分に圧接してワークWを変形させる。これにより、ワークWの絞り成形時の流れが抑制される。
図9に示すように、上型上辺側パッド45は、下型上辺側パッド35と対向するように配置されている。上型上辺側パッド45の下面は、ワークWへの接触面45aとされている。図10に示すように、上型上辺側パッド45の接触面45aと下型上辺側パッド35の接触面35aとでワークWを厚み方向に挟持することが可能になる。
上型上辺側パッド45の接触面45aには、ワークWに圧接して該ワークWの絞り成形時の流れを抑制する凸状のビード45bが形成されている。上型上辺側パッド45のビード45bと、下型上辺側パッド35のビード35bとは上下方向に対向するように配置されており、図10に示すように、ワークWを挟持した状態で、上型上辺側パッド45のビード45bと、下型上辺側パッド35のビード35bとがワークWの同じ部分に圧接してワークWを変形させる。これにより、ワークWの絞り成形時の流れが抑制される。
また、図9に示すように、上型下辺側パッド44は、下型下辺側パッド34と対向するように配置されている。上型下辺側パッド44の下面は、ワークWへの接触面44aとされている。図10に示すように、上型下辺側パッド44の接触面44aと下型下辺側パッド34の接触面34aとでワークWを厚み方向に挟持することが可能になる。
上型下辺側パッド44の接触面44aには、ワークWに圧接して該ワークWの絞り成形時の流れを抑制する凸状のビード44bが形成されている。上型下辺側パッド44のビード44bと、下型下辺側パッド34のビード34bとは上下方向に対向するように配置されており、図10に示すように、ワークWを挟持した状態で、上型下辺側パッド44のビード44bと、下型下辺側パッド34のビード34bとがワークWの同じ部分に圧接してワークWを変形させる。これにより、ワークWの絞り成形時の流れが抑制される。
上記ビード32b、33b、34b、35b、41e、41d、44b、45bの幅、深さ(凹状ビードの場合)、高さ(凸状ビードの場合)、クリアランス等の諸元を調整することで適正なワークWの流入量にすることができる。またブランクホルダー・パッド上にビードをどのような経路で配置するかについても直線的な経路に限定されず、流入量など考慮しながら調整することが出来る。通常、この調整作業は成形シミュレーションや現場での調整作業等、当業者に周知の方法で行われる。
図9に示すように、上型下辺側パッド44は、上型下辺部ガススプリング48によって上方から支持されている。上型下辺部ガススプリング48は上型下辺側パッド44を図9に示す下位置で保持し、上型下辺側パッド44に対して下型30から上向きの力が作用すると、図11に示すように上型下辺部ガススプリング48が縮んで上型下辺側パッド44が上位置になる。
また、上型上辺側パッド45は、上型下辺側パッド44と同様に上型上辺部ガススプリング49によって上方から支持されている。上型上辺部ガススプリング49は上型下辺部ガススプリング48と同様に構成されている。
(各部材の位置関係及びガススプリングの付勢力の設定)
上型下辺部ガススプリング48及び上型上辺部ガススプリング49は縮んでいない状態(図6及び図9に示す)では、ダイ41の上型ワーク把持部56(前側ブランクホルダー32の接触面32aと対向する部分)、ダイ41の上型ワーク把持部57(後側ブランクホルダー33の接触面33aと対向する部分)、上型下辺側パッド44の接触面44a及び上型上辺側パッド45の接触面45aが略同一高さとなるように、各部材の高さが設定されている。
下型下辺部ガススプリング38と上型下辺部ガススプリング48とにより、また下型上辺部ガススプリング39と上型上辺部ガススプリング49とにより、ワークWに対して厚み方向に所定の挟持力を発生させることができるようになっている。
また、上型下辺部ガススプリング48の付勢力は、下型下辺部ガススプリング38の付勢力よりも強く、また上型上辺部ガススプリング49の付勢力は、下型上辺部ガススプリング39の付勢力よりも強く設定されている。
また、後述するように、前記ガススプリングの強弱関係、それらのストローク量、前側及び後側クッションピン36、37のストローク量等によって、絞り加工時におけるブランクホルダー32、33、下型下辺側パッド34、下型上辺側パッド35、上型下辺側パッド44及び上型上辺側パッド45の動きのタイミングや移動量をコントロールすることができる。これは製品の形状に応じて設定すればよい。
(絞り成形装置20の動作)
次に、上記のように構成された絞り成形装置20の動作について説明する。まず、図6及び図9に示すように、上型40を型駆動装置50によって略上死点位置まで上昇させておく。その後、所定の形状にブランク加工されたワークWを例えばロボット等によって搬送し、前側ブランクホルダー32の接触面32a、後側ブランクホルダー33の接触面33a、下型下辺側パッド34の接触面34a及び下型上辺側パッド35の接触面35aに載置する。このとき、ダイ41の上型ワーク把持部56、上型ワーク把持部57、上型下辺側パッド44の接触面44a及び上型上辺側パッド45の接触面45aが略同一高さになっている。
ワークWを接触面32a、33a、34a、35aに載置した後、上型40が型駆動装置50によって下降し、ダイ41の上型ワーク把持部56、上型ワーク把持部57、上型下辺側パッド44の接触面44a及び上型上辺側パッド45の接触面45aが略同一高さを保ったまま、下降していく。
図7及び図10に示す位置まで上型40が下降すると、ダイ41の上型ワーク把持部56、上型ワーク把持部57、上型下辺側パッド44の接触面44a及び上型上辺側パッド45の接触面45aがワークWの上面に当接した状態になる。これにより、ワークWが上型40と下型30とで厚み方向に挟持される。更に上型40が下降することでワークWがパンチ31の成形面31aに押し付けられて該ワークWの全周で絞り加工が開始される。
下型下辺側パッド34及び下型上辺側パッド35は、下型下辺部ガススプリング38及び下型上辺部ガススプリング39でそれぞれ付勢され、また上型下辺側パッド44及び上型上辺側パッド45は、上型下辺部ガススプリング48及び上型上辺部ガススプリング49でそれぞれ付勢されている。上述したように、上型下辺部ガススプリング48及び上型上辺部ガススプリング49の付勢力が、下型下辺部ガススプリング38及び下型上辺部ガススプリング39の付勢力よりも強く設定されているので、絞り成形の第1段階では、下型下辺部ガススプリング38及び下型上辺部ガススプリング39が縮み、上型下辺部ガススプリング48及び上型上辺部ガススプリング49が縮まずに保たれる。つまり、下型下辺部ガススプリング38及び下型上辺部ガススプリング39の有効ストロークが終了するまでは、下型下辺部ガススプリング38及び下型上辺部ガススプリング39が縮むことで上型40の下降が可能になり、上型下辺部ガススプリング48及び上型上辺部ガススプリング49は縮まない。この実施形態では、下型下辺部ガススプリング38の有効ストローク量は約75mm、下型上辺部ガススプリング39の有効ストローク量は約35mmに設定されている。また、後述する前側及び後側クッションピン36、37の有効ストローク量は約135mmに設定されている。ストローク量は一例である。
これにより、絞り成形の第1段階では、前側ブランクホルダー32、後側ブランクホルダー33、下型下辺側パッド34、下型上辺側パッド35、上型下辺側パッド44及び上型上辺側パッド45は、ワークWを挟持した状態で、下型下辺部ガススプリング38及び下型上辺部ガススプリング39の有効ストロークと同じだけパンチ31と共に下降し、ワークWの全周で絞り加工が始まる。
下型下辺部ガススプリング38及び下型上辺部ガススプリング39の有効ストロークが終了すると、絞り成形の第2段階に移行し、上型下辺部ガススプリング48及び上型上辺部ガススプリング49がそれぞれ縮み始める。上型下辺部ガススプリング48及び上型上辺部ガススプリング49がそれぞれ縮むことで上型40の下降動作を阻害することはなく、下型下辺側パッド34、下型上辺側パッド35、上型下辺側パッド44及び上型上辺側パッド45は、ワークWを挟持した状態で静止状態を継続する。以上のようにして、相対的に絞り深さが浅い側(インナーパネル1の上面部10a及び下面部10b)の絞り成形が行われる。
一方、相対的に絞り深さが深い側(インナーパネル1の前側及び後側の端面部10c)の絞り成形は以下のようにして行われる。下型下辺側パッド34、下型上辺側パッド35、上型下辺側パッド44及び上型上辺側パッド45が静止状態に移行してその静止状態を継続している間もダイ41は下降する。このダイ41の下降によって前側ブランクホルダー32及び後側ブランクホルダー33が下方へ押されて前側及び後側クッションピン36、37が縮むので、前側ブランクホルダー32及び後側ブランクホルダー33はワークWを挟持した状態で下降する。前側及び後側クッションピン36、37が約135mmストロークするまで絞り加工が継続して行われる。
このように、下型下辺側パッド34、下型上辺側パッド35、上型下辺側パッド44及び上型上辺側パッド45と、前側ブランクホルダー32及び後側ブランクホルダー33とは異なる動きをする。この動きにより、インナーパネル1の絞り深さが深い前側及び後側の端面部10cでは約135mm、インナーパネル1の絞り深さが浅い下面部10bでは約75mm、上面部10aでは約35mmの絞り加工が行われる。
この後、上型40が上昇動作を行うが、このとき前側ブランクホルダー32及び後側ブランクホルダー33と、下型下辺側パッド34及び下型上辺側パッド35との上昇動作を下降時と同様に行わせると、下死点から各々60mm、100mmまでは上型下辺側パッド44及び上型上辺側パッド45がワークWを押さえる一方、他の部位では前側ブランクホルダー32及び後側ブランクホルダー33によりワークWが押し上げられる状態となり、製品としてのインナーパネル1に損傷を生ずるおそれがある。したがって、上型40の上昇に当たっては、上型下辺側パッド44及び上型上辺側パッド45をダイ41と同期して上昇動作させるためのロック機構(図示せず)が必要になる。このロック機構は、従来から周知の構造であるため説明は省略する。
上型40が上死点付近まで上昇した時点で、例えばロボット等によってインナーパネル1を取り出す。その後、次のワークWの投入を行い、1サイクルが終了し、次のサイクルに移行する。以上が本実施形態に係る絞り成形装置20の1サイクルの全動作であり、このサイクルを繰り返すことにより、インナーパネル1が連続的に自動生産される。
(前側ブランクホルダー32の作用)
本実施形態では、図5に示すように、前側ブランクホルダー32が、パンチ31の外周における第1成形面31b側から第2成形面31c側に周り込むように形成されていて、接触面32aにおける内縁部32cがパンチ31の曲面成形面31dに沿う形状とされていることが特徴となっている。以下、この特徴構成による作用について説明する。
まず、図6及び図9に示すように、上型40が上死点付近にあるときには、前側ブランクホルダー32及び下型下辺側パッド34は、接触面32a、34aが略同じ高さになるように待機している。ワークWが接触面32a、34aに載置されて上型40が下降を開始してダイ41の上型ワーク把持部56と、上型下辺側パッド44の接触面44aとがワークWの上面に当接すると、ガススプリング38、39や前側及び後側クッションピン36、37等の付勢力によってワークWの周辺部が厚み方向に挟持されることになる。更に上型40が下降することで、上述したようにワークWに所定の張力が作用しながら、前側ブランクホルダー32及び下型下辺側パッド34が共に下降し、ワークWに絞り加工が行われる。下型下辺部ガススプリング38の有効ストローク75mmが終了すると、下型下辺側パッド34の下降が停止し、その状態のまま、前側ブランクホルダー32は更に絞り加工を約60mm継続する。
この際、前側ブランクホルダー32の接触面32aにおける内縁部32cは、パンチ31の曲面成形面31dに沿うように延びているので、前記ブランクホルダー32が発生する張力が前記曲面成形面31dに均一に作用し、かつ下型下辺側パッド34の下降が停止した後は前記ランクホルダー32側から材料が適度にかつ均一に流入しながら、前側ブランクホルダー32による絞り加工が行われる。これによりインナーパネル1のコーナー部分での材料のワレが抑制される。
また、従来例のようなシル状余肉部を金型に形成することなく、絞り深さが変化する境界部分でワレやシワが発生しないようにすることができる。シル状余肉部が不要になることで、金型形状の複雑化が回避されるとともに、ワークWの余肉部分が減少して材料の無駄が少なくなる。
また、製品形状に合わせてダイフェースを設定して絞り深さが均一になるよう金型を設計する場合、製品形状によっては、背景技術の欄で説明したように、絞り加工の際、材料が収縮する方向に変形する場合があるため、成形時のシワの発生などを考慮すると製品形状に合わせたダイフェースの設定には限界がある。しかし、この実施形態では、絞り成形工程後半のダイフェースの作動を成形部位により変化させることができるので、絞り深さに合わせた前側ブランクホルダー32、後側ブランクホルダー33、下型下辺側パッド34及び下型上辺側パッド35とすることができ、歩留まりを向上することができる。
また、絞り深さの浅い部分では材料の流入が少ないため、下型下辺側パッド34及び下型上辺側パッド35と、上型下辺側パッド44及び上型上辺側パッド45で挟持される材料を少なくすることができる。この部分近くに前側ブランクホルダー32を、下型下辺側パッド34と水平方向に所定のクリアランスS(図5にのみ示す)を設けて配置することで、前側ブランクホルダー32と下型下辺側パッド34との異なる動作により材料に加わる不都合な力を最小限にすることができる。
ここで図5に示すように前側ブランクホルダー32に隣接した下型下辺側パッド34の片部には所定のR形状が形成されている。これにより下型下辺側パッド34が停止後、前側ブランクホルダー32が作動を続ける際のこの片部でのワレの発生が効果的に防止できる。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る絞り成形装置20によれば、前側ブランクホルダー32を、パンチ31の外周における絞り深さの深い第1成形面31bから絞り深さの浅い第2成形面31cに周り込むように形成し、前側ブランクホルダー32のワークWへの接触面32aにおける内縁部32cは、パンチ31の曲面成形面31dに沿う形状としている。これにより、絞り成形中に、パンチ31の曲面成形面31dに沿うようにワークWを引っ張ることができるので、絞り深さの異なる部分を絞り成形する場合に、金型形状の複雑化を回避しながらワークWのワレやシワの発生を抑制し、しかも歩留まりをより一層向上させることができる。
(成形シミュレーション結果)
図12は、本発明の実施形態に係る絞り成形装置20によりインナーパネル1を成形した場合のシミュレーション結果画像であり、絞り成形工程の下死点付近のパネル本体10の下面部10b及び前側の端面部10cの境界部分10eを示している。この画像から明らかなように、絞り成形中のパネル本体10の境界部分10eとその周辺部にはシワが殆ど見られない。
一方、図13に示す比較例1は、前側ブランクホルダーが下辺側へ周り込んでいない絞り成形装置によりインナーパネルを成形した場合と同じタイミングでのシミュレーション結果画像である。この比較例1の構成では図13の矢印D方向に金型のシル状の余肉部が直線状に延びており、このため、前側ブランクホルダーが絞り成形中のパネル本体10の下面部10b及び前側の端面部10cの境界部分の材料を適度に引っ張ることができず、当該境界部分にはシワが発生している。
また、図14に示す比較例2は、下辺側パッドが前側ブランクホルダー側まで直線状に延びた形状の絞り成形装置によりインナーパネルを成形した場合である。この比較例2の下辺側パッドは、図14の矢印E方向に直線状に延びており、このため下辺側パッドが停止した後、前側ブランクホルダーが絞り成形を継続する際に、境界部分10eの材料を適度に引っ張ることができず、当該境界部分にはシワが発生している。
(その他の実施形態)
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
上記実施形態では、インナーパネル1を生産する場合に本発明を適用した場合について説明しているが、製品はインナーパネル1に限られるものではなく、絞り深さの異なる面を持つ各種パネル状部品を生産する場合に本発明を適用することができる。
また、本発明は、2つの側面でのみ絞り深さの浅いパネル状部品に適用可能なだけではなく、1つの側面または3つの側面で絞り深さの浅いパネル状部品に適用することも可能である。
以上説明したように、本発明に係る絞り成形装置は、例えば自動車用ドアのインナーパネルのようなパネル状部品を成形する場合に使用することができる。
1 インナーパネル(パネル状部品)
10b 下面部(第2側面)
10c 端面部(第1側面)
10e 曲面
20 絞り成形装置
30 下型
31 パンチ(第1金型)
31b 第1成形面
31c 第2成形面
31d 曲面成形面
32 前側ブランクホルダー
32a 接触面
32b ビード
32c 内縁部
34 下型下辺側パッド
34b ビード
40 上型
41 ダイ(第2金型)

Claims (3)

  1. 板状ワークを絞り成形することにより、外周部に相対的に絞り深さの深い第1側面と絞り深さの浅い第2側面とが周方向に連続して形成されるとともに、前記第1側面と前記第2側面との境界部分が所定形状の曲面で構成されているパネル状部品を成形する金型を備え、
    前記金型は、前記板状ワークを厚み方向に挟むように配置される第1金型及び第2金型を有し、該第1金型及び該第2金型の一方が他方に対して接離する方向に駆動され、
    前記第1金型には、前記第1側面を成形するための第1成形面と、前記第2側面を成形するための第2成形面とが当該第1金型の周方向に連続するように設けられ、前記第1成形面と前記第2成形面との境界部分が前記曲面を成形する曲面成形面とされ、
    前記第1金型の外周における前記第1成形面に対応する部分には、前記第2金型と共にワークを厚み方向に挟持するブランクホルダーが配置され、
    前記第1金型の外周における前記第2成形面に対応する部分には、前記第2金型と共にワークを厚み方向に挟持するパッドが配置され、
    前記ブランクホルダーと前記パッドとに異なるストロークで動作させるように構成された絞り成形装置において、
    前記ブランクホルダーは、前記第1金型の外周における前記第1成形面側から前記第2成形面側に周り込むように形成されており、
    前記ブランクホルダーの前記ワークへの接触面における内縁部は、前記曲面成形面に沿う形状とされていることを特徴とする絞り成形装置。
  2. 請求項1に記載の絞り成形装置において、
    前記ブランクホルダー及び前記パッドには、前記ワークに圧接して該ワークの絞り成形時の流れを抑制するビードがそれぞれ形成されていることを特徴とする絞り成形装置。
  3. 請求項1または2に記載の絞り成形装置において、
    前記ブランクホルダーの前記ワークへの接触面における内縁部は、前記曲面成形面と略相似形状とされていることを特徴とする絞り成形装置。
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