JP5549439B2 - 表示素子用の保護膜、絶縁膜又はスペーサーとしての硬化物形成用の感放射線性樹脂組成物、硬化物及びその形成方法 - Google Patents
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Description
表示素子用の保護膜、絶縁膜又はスペーサーとしての硬化物形成に用いられる感放射線性樹脂組成物であって、
(A)カルボキシル基を有する重合体、
(B)重合性不飽和化合物、
(C)感放射線性重合開始剤及び
(D)感熱色素
を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物である。
式(2)中、R1及びR2は式(1)と同義である。R7は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子である。nは0〜4の整数である。但し、nが2以上の場合、複数のR7は同一であっても異なっていてもよい。
式(3)中、R1及びR2は式(1)と同義である。R8は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基である。nは0〜4の整数である。但し、nが2以上の場合、複数のR8は同一であっても異なっていてもよい。
式(4)中、R1及びR2は式(1)と同義である。R1a、R2a、R1b及びR2bはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基又はナフチル基である。但し、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基及びナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基で置換されていてもよい。R1a及びR2a、並びにR1b及びR2bはモルホリノ基を形成してもよい。
式(5)中、R1、R2、R1a及びR2aは式(4)と同義である。R7は式(2)と同義である。mは0〜5の整数である。mが2以上の場合、複数のR7は同一であっても異なっていてもよい。
式(6)中、R1、R2、R1a及びR2aは式(4)と同義である。R9は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基又はナフチル基である。但し、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基及びナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよい。)
(1)当該組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)塗膜の少なくとも一部を露光する工程、
(3)露光後の塗膜を現像する工程及び
(4)現像後の塗膜を加熱する工程
を有する。
当該組成物は表示素子用の保護膜、絶縁膜又はスペーサーとしての硬化物形成用の感放射線性樹脂組成物であって、(A)重合体、(B)重合性不飽和化合物、(C)重合開始剤及び(D)感熱色素を含有する。また、当該組成物は好適な成分として(E)酸発生剤をさらに含有してもよい。さらに、当該組成物は発明の効果を損なわない限りその他の任意成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
(A)重合体は、後述する現像工程において用いられる現像液、好ましくはアルカリ現像液に対する可溶性を有するアルカリ可溶性樹脂である。このような(A)重合体としては、カルボキシル基及びカルボン酸無水物基からなる群より選択される少なくとも一種を有する。さらに、(A)重合体はエポキシ基又は(メタ)アクリロイル基をさらに有することがより好ましい。
[A1](a1)化合物及び1分子中に少なくとも1つの水酸基を有する不飽和化合物(以下、「(a2−1)化合物」と称することがある)を含む単量体の共重合体(以下、「(α)共重合体」と称することがある)に、不飽和イソシアネート化合物を反応させて得られる重合体(以下、「[A1]重合体」と称することがある);
[A2](a1)化合物及びエポキシ基を有する不飽和化合物(以下、「(a2−2)化合物」と称することがある)を含む単量体の共重合体(以下、「[A2]共重合体」と称することがある);
[A3](a1)化合物と(a1)化合物、(a2−1)化合物及び(a2−2)化合物以外の不飽和化合物(以下、「(a2−3)化合物」と称することがある)とからなる単量体の共重合体(以下、「[A3]共重合体」と称することがある)等が挙げられる。
当該組成物に含有される(B)重合性不飽和化合物は、後述する(C)重合開始剤の存在下において放射線を照射することにより重合する不飽和化合物である。このような重合性不飽和単量体としては、例えば、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルが、重合性が良好であり、得られるスペーサー等の強度が向上する点からも好ましい。
アロニックスM−101、同M−111、同M−114、同M−5300(以上、東亞合成社);
KAYARAD TC−110S、同TC−120S(以上、日本化薬社);
ビスコート158、同2311(以上、大阪有機化学工業社)等が挙げられる。
アロニックスM−210、同M−240、同M−6200(以上、東亞合成社);
KAYARAD HDDA、同 HX−220、同 R−604(以上、日本化薬社);
ビスコート260、同312、同335HP(以上、大阪有機化学工業社);
ライトアクリレート1,9−NDA(共栄社化学社)等が挙げられる。
アロニックスM−309、同M−400、同M−405、同M−450、同M−7100、同M−8030、同M−8060、同TO−1450(以上、東亞合成社);
KAYARAD TMPTA、同DPHA、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同DPCA−120、同DPEA−12(以上、日本化薬社);
ビスコート295、同300、同360、同GPT、同3PA、同400(以上、大阪有機化学工業社);
多官能ウレタンアクリレート系化合物を含有する市販品としては、ニューフロンティアR−1150(第一工業製薬社)、KAYARAD DPHA−40H(日本化薬社)等が挙げられる。
当該組成物に含有される(C)重合開始剤は、放射線に感応して(B)重合性不飽和化合物の重合を開始しうる活性種を生じる成分である。このような(C)重合開始剤としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、ベンゾフェノン化合物等が挙げられる。
2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾイミダゾール等の芳香族チオール化合物;
3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸エチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル等の脂肪族モノチオール化合物;
3,6−ジオキサ−1,8−オクタンジチオール、ペンタエリストールテトラ(メルカプトアセテート)、ペンタエリストールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)等の2官能以上の脂肪族チオール化合物等が挙げられる。これらのチオール化合物のうち、2−メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
当該組成物に含有される(D)感熱色素は感熱色素化合物の一種であり、その化合物自身は無色であるが、加熱とともに電子受容性物質と接することによりで、構造の一部が変化し、吸収波長が変化することで着色する。電子受容性物質としては、通常フェノール性化合物、有機酸等が挙げられ顕色剤とも言われる。本発明においては、このような顕色剤を積極的に加える必要がなく、カルボキシル基を含む(A)重合体が感熱色素に作用することで着色する。(D)感熱色素としては、上記式(1)〜(6)で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
式(2)中、R1及びR2は式(1)と同義である。R7は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子である。nは0〜4の整数である。但し、nが2以上の場合、複数のR7は同一であっても異なっていてもよい。
式(3)中、R1及びR2は式(1)と同義である。R8は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基である。nは0〜4の整数である。但し、nが2以上の場合、複数のR8は同一であっても異なっていてもよい。
式(4)中、R1及びR2は式(1)と同義である。R1a、R2a、R1b及びR2bはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基又はナフチル基である。但し、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基及びナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基で置換されていてもよい。R1a及びR2a、並びにR1b及びR2bはモルホリノ基を形成してもよい。
式(5)中、R1、R2、R1a及びR2aは式(4)と同義である。R7は式(2)と同義である。mは0〜5の整数である。mが2以上の場合、複数のR7は同一であっても異なっていてもよい。
式(6)中、R1、R2、R1a及びR2aは式(4)と同義である。R9は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基又はナフチル基である。但し、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基及びナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよい。)
当該組成物は好適な成分として(E)酸発生剤を含有できる。(E)酸発生剤は、加熱により酸を発生する化合物であり、(D)感熱色素の中央に位置するラクトン環の開環等を促進することが可能となる。(E)酸発生剤を使用しなくても、硬化膜の着色をすることが可能であるが、(E)酸発生剤を加えることによって着色化を促進できる。なお、(E)酸発生剤は、当該組成物の塗膜形成工程における比較的低温(例えば70〜120℃)のプレベーク時には酸性活性物質を放出せず、現像後の加熱工程における比較的高温(例えば120〜250℃)のポストベーク時に酸性活性物質を放出する性質を有するものが好ましい。
当該組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解されて溶液状態で用いられる。溶媒としては、例えばアルコール、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネート、ケトン、エステル等が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等;
エチレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、例えばエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等;
ジエチレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等;
ジエチレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等;
ジプロピレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えばジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えばプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル等;
プロピレングリコールアルキルエーテルアセテートとしては、例えばプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等;
プロピレングリコールアルキルエーテルプロピオネートとしては、例えばプロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールプロピルエーテルプロピオネート等;
ケトンとしては、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、メチルイソアミルケトン等;
エステルとしては、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−エトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸ブチル、2−ブトキシプロピオン酸メチル、2−ブトキシプロピオン酸エチル、2−ブトキシプロピオン酸プロピル、2−ブトキシプロピオン酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸プロピル、3−エトキシプロピオン酸ブチル、3−プロポキシプロピオン酸メチル等がそれぞれ挙げられる。
当該組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で界面活性剤、密着助剤等のその他の任意成分を含有できる。
界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が挙げられる。上記フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖及び側鎖の少なくともいずれかの部位にフルオロアルキル基及び/又はフルオロアルキレン基を有する化合物が好ましく、例えば1,1,2,2−テトラフロロ−n−オクチル(1,1,2,2−テトラフロロ−n−プロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロ−n−オクチル(n−ヘキシル)エーテル、ヘキサエチレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロ−n−ペンチル)エーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロ−n−ブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロ−n−ペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロ−n−ブチル)エーテル、パーフロロ−n−ドデカンスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロ−n−デカン、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロ−n−ドデカンや、フロロアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、フロロアルキル燐酸ナトリウム、フロロアルキルカルボン酸ナトリウム、ジグリセリンテトラキス(フロロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フロロアルキルアンモニウムヨージド、フロロアルキルベタイン、他のフロロアルキルポリオキシエチレンエーテル、パーフロロアルキルポリオキシエタノール、パーフロロアルキルアルコキシレート、カルボン酸フロロアルキルエステル等が挙げられる。
密着助剤は、形成されたスペーサーと基板との接着性を向上させるために使用する成分である。密着助剤としては、カルボキシル基、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、エポキシ基等の反応性官能基を有する官能性シランカップリング剤が好ましく、例えばトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらの密着助剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
当該組成物は、上記の(A)重合体、(B)重合性不飽和化合物、(C)重合開始剤、(D)感熱色素並びに好適な(E)酸発生剤、必要に応じてその他の任意成分を所定の割合でそれぞれ均一に混合することによって調製される。当該組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解されて溶液状態で用いられる。かかる組成物溶液は、孔径0.5μm程度のミリポアフィルタ等を用いて濾過した後、使用に供することもできる。
本発明には、当該組成物から形成される表示素子用保護膜、絶縁膜又はスペーサーとしての硬化物も好適に含まれる。
表示素子用保護膜、絶縁膜又はスペーサーとしての硬化物の形成方法は、
(1)当該組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)塗膜の少なくとも一部を露光する工程、
(3)露光後の塗膜を現像する工程及び
(4)現像後の塗膜を加熱する工程
を有する。以下、各工程について詳述する。
透明基板の片面に透明導電膜を形成し、この透明導電膜の上に当該組成物の被膜を形成する。透明基板としては、例えばガラス基板、樹脂基板等が挙げられる。より具体的には、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックからなる樹脂基板が挙げられる。透明基板の一面に設けられる透明導電膜としては、例えば酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社の登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜等が挙げられる。
次いで、形成された塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、塗膜の一部にのみ照射する方法としては、例えば所定のパターンを有するフォトマスクを介して照射する方法等が挙げられる。照射に使用される放射線としては、可視光線、紫外線、遠紫外線等が挙げられる。このうち波長が250〜550nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。放射線照射量(露光量)は、照射される放射線の波長365nmにおける強度を照度計(OAI model 356、Optical Associates Inc.社)により測定した値として、好ましくは100〜5,000J/m2、より好ましくは200〜3,000J/m2である。当該組成物は、従来知られている組成物と比較して放射線感度が高く、上記放射線照射量が850J/m2以下であっても所望の膜厚、良好な形状、優れた密着性及び高い硬度の表示素子用の保護膜、絶縁膜又はスペーサーとしての硬化物が得られる。
次に、放射線照射後の塗膜を現像することにより、不要な部分(非露光部分)を除去して、所望のパターンを形成する。現像に使用される現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の無機アルカリ性化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等の有機アルカリ性化合物の水溶液が使用できる。上記アルカリ性化合物の水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒及び界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を適当量添加して使用してもよい。
次いで、得られたパターン状塗膜をホットプレート、オーブン等の適当な加熱装置により、例えば100℃〜250℃で、例えばホットプレート上では5分〜30分、オーブン中では25分〜180分加熱することにより所望のパターンを有する硬化物が得られる。
測定装置:GPC−101(昭和電工社)、分離カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803及びGPC−KF−804を結合
カラム温度:40℃
溶出溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業社)
流速:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
[合成例1]
冷却管と撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)6質量部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)3部、3−メトキシプロピオン酸メチル250質量部を仕込み、引き続いてメタクリル酸14質量部、メタクリル酸グリシジル40質量部、スチレン6質量部及びメタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル35質量部を仕込んで、窒素置換したのち、さらに1,3−ブタジエン5質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を4時間保持して重合することにより、固形分濃度28.1%の共重合体溶液を得た。これを(A2―1)共重合体とする。得られた(A2―1)共重合体とのMwは10,500であった。
冷却管、撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート250質量部を仕込み、引き続いてメタクリル酸18質量部、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル25質量部、スチレン5質量部、メタクリル酸2―ヒドロキシエチルエステル30質量部、メタクリル酸ベンジル22質量部を仕込んで、窒素置換したのち、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、固形分濃度28.8%の(α−1)共重合体溶液を得た。得られた(α−1)共重合体のMwは13,000であった。
冷却管と撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)6質量部、3−メトキシプロピオン酸メチル250質量部を仕込み、引き続いてメタクリル酸14質量部、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル20質量部、スチレン5質量部及びメタクリル酸ベンジル56質量部を仕込んで、窒素置換したのち、さらに1,3−ブタジエン5質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、固形分濃度27.9%の(A)重合体溶液を得た。これを(A3―1)共重合体とする。得られた(A3―1)共重合体のMwは11,400であった。
冷却管と撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)6質量部と3−メトキシプロピオン酸メチル250質量部を仕込み、引き続いてスチレン5質量部、メタクリル酸14質量部、メタクリル酸ベンジル33質量部及びメタクリル酸n−ブチル23質量部、3−(メタアクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン20質量部を仕込んで、窒素置換した後、さらに1,3−ブタジエン5質量部を仕込み、緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を4時間保持して重合することにより、固形分濃度27.9重量%の(A)重合体溶液を得た。これを(A2―2)共重合体とする。得られた(A2―2)共重合体のMwは11,200であった。
[実施例1]
(A)重合体として上記合成例1で得た(A2−1)共重合体の溶液を(A2−1)共重合体に換算して100質量部(固形分)に相当する量、(B)重合性不飽和化合物としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬社)150質量部、(C)重合開始剤としてエタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社、イルガキュアOXE02)2質量部、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(イルガキュア379、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)10質量部、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール2質量部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン1質量部、(D)感熱色素として2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)アミノフルオラン3質量部、溶媒として3−メトキシプロピオン酸メチル500質量部、密着助剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5質量部、界面活性としてフタージェントFTX−218(ネオス社)0.2質量部を加え、固形分濃度が23.5質量%になるように溶解した後、孔径0.5μmのミリポアフィルタでろ過することにより、当該組成物を調製した。調製後の当該組成物の粘度は、4.0(mPa・s)であった。
(A)〜(E)成分として、表1に記載のとおりの種類、量を使用した他は、実施例1と同様に操作して当該組成物の溶液を調製した。
(B−1):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬社)
(B−2):多官能アクリレート系化合物(KAYARAD DPHA−40H、日本化薬社)
(B−3):コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
(B−4):ω―カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート(アロニックス M−5300、東亞合成社)
(C−1):エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)
(C−2):2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(イルガキュア379、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)
(C−3):2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
(C−4):2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(イルガキュア907、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)
(C−5):4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
(D−1):2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)フルオラン(S−205、山田化学工業社)
(D−2):2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−トリルアミノ)フルオラン(ETAC、山田化学工業社)
(D−3):2−N,N−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン(GREEN−DCF、保土谷化学工業社)
(D−4):2−N−ベンジル−N−メチルアミノ−6−(N−エチル−N−トリルアミノ)フルオラン
(D−5):1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン(Orange−DCF、保土谷化学工業社)
(D−6):2−ブロモ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン(Vermilion−DCF、保土谷化学工業社)
(D−7):6−ジメチルアミノ−ベンゾ[a]−フルオラン(Red−DCF、保土ヶ谷化学工業社)
(D−8):3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(CVL、保土谷化学工業社)
(D−9):3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10−ベンゾイル−フェノチアジン(B.L.M.B、保土谷化学工業社)
(D−10):3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4’−ニトロ)−アニリノラクタム(Pink−DCF、保土谷化学工業社)
(E−1):トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート
(E−2):ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート
実施例1〜20及び比較例1で調製した組成物及びその組成物から得られる硬化物について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
550mm×650mmのクロム成膜ガラス上に、調製した組成物溶液を、スリットダイコーター(TR632105−CL、東京応化工業社)を用いて塗布した。0.5Torrまで減圧乾燥した後、ホットプレート上で100℃にて2分間プレベークして塗膜を形成し、さらに2,000J/m2の露光量で紫外線を露光することにより、クロム成膜ガラスの上面からの膜厚が4μmの膜を形成した。クロム成膜ガラス上の塗膜の膜厚を、針接触式測定機(KLA Tencor社 AS200)を用いて測定した。ユニフォミティとして、9つの測定点における膜厚から計算した。9つの測定点とは基板の短軸方向をX、長軸方向をYとすると、(X[mm]、Y[mm])が、(275、20)、(275、30)、(275、60)、(275、100)、(275、325)、(275、550)、(275、590)、(275、620)、(275、630)である。ユニフォミティの計算式としては、下記式で表される。下記式のFT(X、Y)maxは9つの測定点における膜厚中の最大値、FT(X、Y)minは9つの測定点における膜厚中の最小値、FT(X、Y)avg.は9つの測定点における膜厚中の平均値である。ユニフォミティが2%以下の場合は、膜厚均一性は良好と判断できる。
(ユニフォミティの計算式)
ユニフォミティ(%)={FT(X、Y)max − FT(X、Y)min}×100/{2×FT(X、Y)avg.}
95mm×95mmの無アルカリガラス基板上にスピンコート法を用いて、当該組成物を塗布したのち、90℃のホットプレート上で3分間プレベークして、膜厚3.5μmの被膜を形成した。次いで、得られた被膜に、開口部として直径12μmの円状パターンが形成されたフォトマスクを介して、365nmにおける強度が250W/m2の紫外線で、露光時間を変量して露光した。その後、水酸化カリウム0.05%水溶液により、25℃で60秒間現像したのち、純水で1分間洗浄し、さらに230℃のオーブン中で30分間ポストベークすることにより、スペーサーを形成した。このとき、ポストベーク後の残膜率(ポストベーク後の膜厚×100/露光後膜厚)が90%以上になる最小の露光量を感度とした。この時の露光量が850J/m2以下の時、感度が良好と言える。結果を表1に示す。
露光量を上記感度の評価で決定した感度に相当する露光量とした他は、感度の評価と同様にして基板上にスペーサーを形成した。得られたスペーサーについて、UV光照射装置(USHIO社 UVX−02516S1JS01、ランプ;UVL−4001M3−N1)を用い、500kJ/m2のUV光を照射し、照射前後の残膜率(UV光照射後の膜厚×100/UV光照射前の膜厚)を求めることにより評価した。残膜率が97%以上で耐光性に優れるといえる。
露光量を感度の評価で決定した感度に相当する露光量とした他は、感度の評価と同様にして基板上にスペーサーを形成した。スペーサーを形成した基板上に、液晶配向剤AL3046(JSR社)を液晶配向膜塗布用印刷機により塗布したのち、180℃で1時間乾燥して、膜厚0.05μmの液晶配向剤の塗膜を形成した。次いで、この塗膜に対して、ポリアミド製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒の条件で、ラビング処理を行った。このとき、パターンの削れや剥がれの有無を確認し、パターンの削れや剥がれが確認できなかったものをラビング耐性A、パターンの削れや剥がれが確認できたものをラビング耐性Bとした。
上記感度の評価と同様にして、残膜率が90%以上になる露光量で基板上に丸状残しパターンを形成した。このパターンを微小圧縮試験機(フィッシャースコープH100C、フィッシャーインストルメンツ社)で50μm角状の平面圧子を用い、40mNの荷重により圧縮試験を行い、荷重に対する圧縮変位量の変化を測定した。この時、40mNの荷重時の変位量と40mNの荷重を取り除いた時の変位量から回復率(%)を算出した。この時、回復率が90%以上でさらに40mNの荷重時の変位が0.15μm以上の時、高い回復率と柔軟性を兼ね備えた圧縮性能を有するスペーサーと言える。
が分かった。
Claims (6)
- 表示素子用の保護膜、絶縁膜又はスペーサーとしての硬化物形成に用いられる感放射線性樹脂組成物であって、
(A)カルボキシル基を有する重合体、
(B)重合性不飽和化合物、
(C)感放射線性重合開始剤及び
(D)加熱により着色する感熱色素
を含有し、
(D)感熱色素の含有量が(A)重合体、(B)重合性不飽和化合物、(C)感放射線性重合開始剤及び(D)感熱色素の総量に対して0.5質量%以上5質量%以下であることを特徴とする感放射線性樹脂組成物。 - (D)感熱色素が下記式(1)〜(6)で示される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
式(2)中、R1及びR2は式(1)と同義である。R7は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子である。nは0〜4の整数である。但し、nが2以上の場合、複数のR7は同一であっても異なっていてもよい。
式(3)中、R1及びR2は式(1)と同義である。R8は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基である。nは0〜4の整数である。但し、nが2以上の場合、複数のR8は同一であっても異なっていてもよい。
式(4)中、R1及びR2は式(1)と同義である。R1a、R2a、R1b及びR2bはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基又はナフチル基である。但し、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基及びナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はトリフルオロメチル基で置換されていてもよい。R1a及びR2a、並びにR1b及びR2bはモルホリノ基を形成してもよい。
式(5)中、R1、R2、R1a及びR2aは式(4)と同義である。R7は式(2)と同義である。mは0〜5の整数である。mが2以上の場合、複数のR7は同一であっても異なっていてもよい。
式(6)中、R1、R2、R1a及びR2aは式(4)と同義である。R9は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基又はナフチル基である。但し、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基及びナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子又はニトロ基で置換されていてもよい。) - (A)重合体が、エポキシ基又は(メタ)アクリロイル基をさらに有する請求項1又は請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
- (E)感熱性酸発生剤をさらに含有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物から形成される表示素子用保護膜、絶縁膜又はスペーサーとしての硬化物。
- (1)請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)塗膜の少なくとも一部を露光する工程、
(3)露光後の塗膜を現像する工程及び
(4)現像後の塗膜を加熱する工程
を有する表示素子用保護膜、絶縁膜又はスペーサーとしての硬化物形成方法。
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