JP5533035B2 - 非水電解質組成物、および非水電解質電池 - Google Patents

非水電解質組成物、および非水電解質電池 Download PDF

Info

Publication number
JP5533035B2
JP5533035B2 JP2010044802A JP2010044802A JP5533035B2 JP 5533035 B2 JP5533035 B2 JP 5533035B2 JP 2010044802 A JP2010044802 A JP 2010044802A JP 2010044802 A JP2010044802 A JP 2010044802A JP 5533035 B2 JP5533035 B2 JP 5533035B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heteropolyacid
negative electrode
electrolyte
compound
element group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010044802A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011181353A (ja
Inventor
悠美子 鳥水
春夫 渡辺
文将 山本
昌紀 町田
裕貴 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2010044802A priority Critical patent/JP5533035B2/ja
Priority to CN201110044048.9A priority patent/CN102195087B/zh
Priority to CN201610282461.1A priority patent/CN106410261B/zh
Priority to US13/033,113 priority patent/US9343775B2/en
Publication of JP2011181353A publication Critical patent/JP2011181353A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5533035B2 publication Critical patent/JP5533035B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/052Li-accumulators
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/052Li-accumulators
    • H01M10/0525Rocking-chair batteries, i.e. batteries with lithium insertion or intercalation in both electrodes; Lithium-ion batteries
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/056Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/056Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes
    • H01M10/0561Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes the electrolyte being constituted of inorganic materials only
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/056Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes
    • H01M10/0564Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes the electrolyte being constituted of organic materials only
    • H01M10/0566Liquid materials
    • H01M10/0567Liquid materials characterised by the additives
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M10/00Secondary cells; Manufacture thereof
    • H01M10/05Accumulators with non-aqueous electrolyte
    • H01M10/056Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes
    • H01M10/0564Accumulators with non-aqueous electrolyte characterised by the materials used as electrolytes, e.g. mixed inorganic/organic electrolytes the electrolyte being constituted of organic materials only
    • H01M10/0566Liquid materials
    • H01M10/0568Liquid materials characterised by the solutes
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

この発明は、非水電解質組成物、および非水電解質電池に関する。詳しくは、特定のセラミックス粉を非水電解質に含む非水電解質電池に関する。
携帯型電子機器の電源として、電池が重要な位置を占めてきている。そして、機器の小型軽量化実現のために、電池にも軽量化が求められており、さらには機器内の収納スペースを効率的に使うことが可能な電池が求められている。このような要求に対しては、エネルギー密度、出力密度の大きいリチウム二次電池が最も適格である。上記のような高い性能を有するリチウム二次電池であるが、機器の高性能化に伴いさらなる高性能化が求められている。しかし、リチウム金属を負極に使用するリチウム二次電池では、充電時に負極の表面に樹枝状のリチウム(デンドライト)が析出し、充放電サイクルによってこれが成長する。デンドライトの成長は、二次電池の充放電サイクル特性を劣化させ、素子膨れを発生させる。
そこで、例えば、特許文献1に示されているように、コークスなどの炭素質材料を負極とし、アルカリ金属イオンをドーピング、脱ドーピングすることにより充放電を繰り返す二次電池が提案されている。これによって、上述したような充放電の繰り返しにおける負極の劣化を抑制することができる。しかし、この二次電池でも長期間充放電を繰り返した場合には素子膨れを発生するため、更なる素子膨れの抑制が望まれるようになっている。
特開昭62−90863号公報
したがって、この発明の目的は、素子膨れを抑制することができる非水電解質組成物、および非水電解質電池を提供することにある。
上述の課題を解決するために、第1の発明は、
正極と、負極と、電解質と
を備え、
電解質が、非水溶媒と、電解質塩と、マトリックス高分子と、セラミックス粉とを含み、
ヘテロポリ酸を、充電時に電解質中に含まれる態様で含み、
へテロポリ酸が、下記の元素群(a)から選ばれるポリ原子を有し、該ポリ原子の一部が下記の元素群(b)から選ばれる少なくとも何れかの元素で置換されたものである非水電解質電池である。
元素群(a):Mo、W、Nb、V
元素群(b):Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、Re、Tl、Pb
第2の発明は、
正極と、負極と、電解質と
を備え、
電解質が、非水溶媒と、電解質塩と、マトリックス高分子と、セラミックス粉とを含み、
ヘテロポリ酸を、充電時に電解質中に含まれる態様で含み、
ヘテロポリ酸が、下記の元素群(c)から選ばれるヘテロ原子を有するもの、または下記の元素群(c)から選ばれるヘテロ原子を有し、該へテロ原子の一部が下記の元素群(d)から選ばれる少なくとも何れかの元素で置換されたものである非水電解質電池である。
元素群(c):B、Al、Si、P、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、As
元素群(d):H、Be、B、C、Na、Al、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Rh、Sn、Sb、Te、I、Re、Pt、Bi、Ce、Th、U、Np
第3の発明は、
電解質塩と、非水溶媒と、マトリックス高分子と、セラミックス粉と、ヘテロポリ酸を含み、
へテロポリ酸が、下記の元素群(a)から選ばれるポリ原子を有し、該ポリ原子の一部が下記の元素群(b)から選ばれる少なくとも何れかの元素で置換されたものである非水電解質組成物である。
元素群(a):Mo、W、Nb、V
元素群(b):Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、Re、Tl、Pb
第4の発明は、
電解質塩と、非水溶媒と、マトリックス高分子と、セラミックス粉と、ヘテロポリ酸とを含み、
ヘテロポリ酸が、下記の元素群(c)から選ばれるヘテロ原子を有するもの、または下記の元素群(c)から選ばれるヘテロ原子を有し、該へテロ原子の一部が下記の元素群(d)から選ばれる少なくとも何れかの元素で置換されたものである非水電解質組成物。
元素群(c):B、Al、Si、P、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、As
元素群(d):H、Be、B、C、Na、Al、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Rh、Sn、Sb、Te、I、Re、Pt、Bi、Ce、Th、U、Np
この発明では、ポリ酸電池内に含ませているので、充放電を繰り返すことでポリ酸含む皮膜が負極表面上に形成され、これにより、充放電の繰り返しによる電池膨れが抑制されると推測される。更に、セラミックス粉を電解質に添加することで、負極表面がセラミックス粉によって均一に覆われ、これにより、より安定なポリ酸含む皮膜が形成され、充放電の繰り返しによる素子膨れがより抑制されると推測される。
以上説明したように、この発明によれば、ポリ酸電池内に含ませると共に、セラミックス粉を電解質に添加させているので、電池膨れを抑制することができる。
図1は、この発明の第2の実施形態による非水電解質電池の構成例を示す分解斜視図である。 図2は、図1における巻回電極体のI−I線に沿った断面図である。 図3は、この発明の第3の実施形態による非水電解質電池の構成の一例を示す分解斜視図である。 図4は、図3に示した電池素子の外観の一例を示す斜視図である。 図5は、図3に示した電池素子の構成の一例を示す断面図である。 図6は、正極の構成の一例を示す平面図である。 図7は、負極の構成の一例を示す平面図である。 図8は、セパレータの構成の一例を示す平面図である。 図9は、第4の実施形態による非水電解質二次電池に用いられる電池素子の構成の一例を示す断面図である。 図10は、負極表面に形成されたゲル状被膜を示すSEM写真である。 図11は、負極被膜が形成された非水電解質電池の負極表面の飛行時間型二次イオン質量分析法による二次イオンスペクトルの一例を示す図である。 図12は、負極被膜が形成された非水電解質電池の負極表面のX線吸収微細構造解析によるスペクトルをフーリエ変換して得られるW−O結合の動径構造関数の一例を示す図である。
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施形態(セラミックス粉を含む非水電解質組成物の例)
2.第2の実施形態(セラミックス粉を含む非水電解質組成物を用いた非水電解質電池の第1の例)
3.第3の実施形態(非水電解質電池の第2の例)
4.第4の実施形態(非水電解質電池の第3の例)
5.第5の実施形態(ポリ酸および/またはポリ酸化合物を用いた非水電解質電池の例)
<1.第1の実施形態>
[非水電解質の構成]
以下、この発明の第1の実施形態による非水電解質について説明する。
第1の実施形態による非水電解質組成物は、電解質塩と、非水溶媒と、マトリックス高分子と、所定のセラミックス粉と、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物とを含有するものであり、リチウムイオン非水電解質二次電池の非水電解質として好適に用いられる。
ここで、所定のセラミックス粉は、その平均粒径が0.1μm〜2.5μmで、BET比表面積が0.5〜11m2/gのものである。
(セラミックス粉)
セラミックス粉としては、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、炭化ケイ素(SiC)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)を単独または混合して用いることが好ましい。ゼオライトとしては、MAlSi26(MはLi、Na、K等のアルカリ金属、又はMg、Ca等のアルカリ土類金属)等で表されるモレキュラーシーブが好ましく用いられる。
上記のセラミックス種が良好であるのは、これらのセラミックスは電池内で安定して存在でき、電池反応に悪影響を与えることがなく、また且つ体積熱容量が大きく良好だからである。
また、セラミックス粉は、平均粒径が0.1〜2.5μmである必要がある。平均粒径が0.1μm未満では、セラミックス粉が凝集することがある。一方、平均粒径が2.5μmを超えると、ラミネートフィルムを外装とする電池において、外観不良を生じることがある。
更に、BET比表面積が0.5m2/g未満では、分散後の沈殿が早くなる傾向にあり、電池容量や外観に悪影響を及ぼすことがあり、11m2/gを超えると、サイクル特性等の電池特性が低下する。
なお、上述のセラミックス粉としては、その粒度分布がガウス分布であるものが好ましく、これにより、極端に大きな粒子、小さな粒子が大量に入ることが無いので、生産性、電池特性が安定するという利点が得られる。
また、この発明の非水電解質においては、上記のセラミックス粉と下記のマトリックス高分子との含有比率を、質量比で1/1以上5/1以下とすることが好ましい。
この比率が1/1未満では、セラミックス粉を含有させた効果が少なく、5/1を超えると、サイクル特性等の電池特性が十分とならないことがある。
なお、この発明の非水電解質を用いて作製された非水電解質二次電池では、上述のセラミックス粉は、正負極間の単位面積当たり、即ち対向する正極と負極で挟まれる非水電解質部分において、単位面積の正極及び負極で規定される面積当たり、0.6〜3.5mg/cm2の割合で存在することが好ましい。0.6mg/cm2未満では、セラミックス粉を含有させた効果が少なく、3.5mg/cm2を超えると、サイクル特性等の電池特性が十分でないことがある。
(マトリックス高分子)
この発明の非水電解質は、マトリックス高分子を含有するが、このマトリックス高分子に電解質塩、非水溶媒やセラミックス分が含浸ないしは保持される。
このような高分子化合物の膨潤やゲル化ないしは非流動化により、得られる電池で非水電解質の漏液が起こるのを効果的に抑制することができる。
なお、このようなマトリックス高分子としては、次の化学式(1)〜(3)で表されるポリビニルホルマール…(1)、ポリアクリル酸エステル…(2)、及びポリフッ化ビニリデン…(3)などを例示することができる。
但し、(1)式中のNは重合度を示し、好ましくはN=100〜10000である。Nが100未満では、ゲル化が十分でなく、10000を超えると、粘度が大きく容量が低下することがある。
但し、(2)式中のRは、Cn2n-1m(nは1〜8の整数、mは0〜4の整数を示す。)を示し、Nは重合度を示し、好ましくはN=100〜10000である。Nが100未満では、ゲル化が困難であり、10000を超えると、流動性が減少することがある。
但し、(3)式中のNは重合度を示し、好ましくはN=100〜10000である。Nが100未満では、ゲル化が十分でなく、10000を超えると、粘度が大きく容量が低下することがある。
なお、ポリフッ化ビニリデンがマトリックス高分子に含まれる場合、当該マトリックス高分子としては、重量平均分子量が550000以上のものが好ましい。重量平均分子量が550000未満の場合、サイクル特性が十分でないことがある。
なお、上述のマトリックス高分子の含有量は、0.1〜5質量%とすることが好ましい。0.1質量%未満では、ゲル化が困難であり、セラミックス粉を均一に保持し難く、5質量%を超えると、エネルギー密度の減少等、電池特性に影響を及ぼす可能性がある。
(非水溶媒)
この発明の非水電解質に用いる非水溶媒としては、各種の高誘電率溶媒や低粘度溶媒を挙げることができる。
高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネート等を好適に用いることができるが、これに限定されるものではなく、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4‐フルオロ‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン(フルオロエチレンカーボネート)、4‐クロロ‐1,3‐ジオキソラン‐2‐オン(クロロエチレンカーボネート)、トリフルオロメチルエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステルを用いることもできる。
また、高誘電率溶媒として、環状炭酸エステルの代わりに又はこれと併用して、γ‐ブチロラクトンやγ‐バレロラクトンなどのラクトン、N‐メチルピロリドンなどのラクタム、N‐メチルオキサゾリジノンなどの環状カルバミン酸エステル、テトラメチレンスルホンなどのスルホン化合物等も使用可能である。
一方、低粘度溶媒としては、エチルメチルカーボネートとジエチルカーボネート等を好適に使用することができるが、これ以外にも、ジメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル及びトリメチル酢酸エチル等の鎖状カルボン酸エステル、N,N‐ジメチルアセトアミド等の鎖状アミド、N,N‐ジエチルカルバミン酸メチル及びN,N‐ジエチルカルバミン酸エチル等の鎖状カルバミン酸エステル、並びに1,2‐ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン及び1,3‐ジオキソラン等のエーテルを用いることができる。
なお、この発明の非水電解質において、上述の高誘電率溶媒及び低粘度溶媒は、その1種を単独で又は2種以上を任意に混合して用いることができる。
また、上述の非水溶媒の含有量は、70〜90質量%とすることが好ましい。70質量%未満では、粘度が上昇し過ぎることがあり、90質量%を超えると、十分な伝導度が得られないことがある。
(電解質塩)
この発明の非水電解質に用いる電解質塩としては、上述の非水溶媒に溶解ないしは分散してイオンを生ずるものであればよく、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)などのリチウム塩を好適に使用することができるが、これに限定されないことは言うまでもない。
即ち、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6)、六フッ化アンチモン酸リチウム(LiSbF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、四塩化アルミニウム酸リチウム(LiAlCl4)等の無機リチウム塩や、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(CF3SO22)、リチウムビス(ペンタフルオロエタンスルホン)メチド(LiC(C25SO22)、リチウムトリス(トリフルオロメタンスルホン)メチド(LiC(CF3SO23)等のパーフルオロアルカンスルホン酸誘導体のリチウム塩なども使用可能であり、これらを1種単独で又は2種以上を組み合せて使用することも可能である。
なお、このような電解質塩の濃度は、リチウム塩の場合、0.6〜2.0mol/kgとすることが好ましい。
0.6mol/kg未満では、高い電池容量を得ることができない場合があり、2.0mol/kgを超えると、電解液の粘度が過度に高くなり低温特性等の良好な電池特性を得られない場合がある。
この発明の非水電解質は、上述のようなセラミックス粉末、マトリックス高分子、非水溶媒及び電解質塩を必須成分とするが、これ以外にも他の成分を加えることが可能である。
具体的には、例えば多重結合を有する炭酸エステルと組み合せることが可能であり、これにより、繰り返し充放電時の放電容量維持率を更に向上させることができる。
多重結合を有する炭酸エステルとしては、典型的には、炭素‐炭素多重結合を有する炭酸エステル(更に典型的には、炭素‐炭素多重結合(例えば、炭素‐炭素二重結合や三重結合など。)の炭化水素基を有する炭酸エステルを挙げることができる。)の一例であるビニレンカーボネートを好適に用いることができるがこれに限定されるものでないことは言うまでもない。即ち、ビニルエチレンカーボネートなどを用いることもできる。
そして、この発明の非水電解質においては、上述の多重結合を有する炭酸エステルの含有量は、0.05〜5質量%とすることが好ましく、0.1〜3質量%とすることがより好ましく、0.2〜2質量%とすることが更に好ましい。0.05質量%未満では効果がなく、5質量%を超えると放電容量が低下することがある。
(ヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸化合物)
ヘテロポリ酸とは、2種以上のオキソ酸の縮合物である。このヘテロポリ酸、ヘテロポリ酸化合物は、そのヘテロポリ酸イオンが、ケギン構造、アンダーソン構造、またはドーソン構造などの、電池の溶媒に溶解しやすいものが好ましい。
へテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は、元素群(a)から選ばれるポリ原子を有するもの、または
元素群(a)から選ばれるポリ原子を有し、ポリ原子の一部が元素群(b)から選ばれる少なくとも何れかの元素で置換されたものである。
元素群(a):Mo、W、Nb、V
元素群(b):Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、Re、Tl、Pbである。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物が、元素群(c)から選ばれるヘテロ原子を有するもの、または
元素群(c)から選ばれるヘテロ原子を有し、へテロ原子の一部が元素群(d)から選ばれる少なくとも何れかの元素で置換されたものである。
元素群(c):B、Al、Si、P、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、As
元素群(d):H、Be、B、C、Na、Al、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Rh、Sn、Sb、Te、I、Re、Pt、Bi、Ce、Th、U、Np
具体的にヘテロポリ酸としては、例えば、リンタングステン酸、ケイタングステン酸などのようなヘテロポリタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸などのようなヘテロポリモリブデン酸が挙げられる。ヘテロポリ酸化合物としては、例えば、ケイタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸アンモニウムなどのようなヘテロポリタングステン酸化合物が挙げられる。また、ヘテロポリ酸化合物としては、リンモリブデン酸ナトリウム、リンモリブデン酸アンモニウムなどのようなヘテロポリモリブデン酸化合物が挙げられる。これらのヘテロポリ酸およびヘテロポリ酸化合物は、2種類以上混合して用いてもよい。これらのヘテロポリ酸やヘテロポリ酸化合物は、溶媒に溶解しやすく、また電池中において安定しており、他の材料と反応するなどの悪影響を及ぼしにくい。
(充電によるヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物の挙動)
ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を含む電解液を用いた非水電解質電池では、初回充電あるいは予備充電により、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する皮膜が負極に形成される。
すなわち、充電あるいは予備充電により、電解液中のヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は電解し、これによりヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が負極の表面に析出して無機皮膜を形成する。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物の添加量に応じて、充電または予備充電により、電解液中のヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は、電解し、これによりヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が正極の表面に析出して無機皮膜を形成する。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物が溶解した電解液は、負極活物質層に含浸していることから、充電または予備充電により、負極活物質層内で、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が析出していてもよい。これにより、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が負極活物質粒子間に存在していてもよい。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物が溶解した電解液は、正極活物質層に含浸していることから、充電または予備充電により、正極活物質層内で、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が析出していてもよい。これにより、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が正極活物質粒子間に存在していてもよい。
ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物は、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物が電解により生成する、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物より、溶解性の乏しいポリ酸および/またはポリ酸化合物や、ポリ酸および/またはポリ酸化合物の還元物などを含む。
負極34の少なくとも一部表面に、1種以上のポリ元素を含むポリ酸および/またはポリ酸化合物を含む被膜が形成されている。具体的には、負極34の表面に析出するポリ酸および/またはポリ酸化合物は、非晶質である。この非晶質なポリ酸および/またはポリ酸化合物が、例えば非水電解質を吸収してゲル状の負極34の皮膜として負極表面に存在する。負極34に析出する、ポリ酸および/またはポリ酸化合物を含む析出物は、予備充電時または充電時において、例えば3次元網目構造状に成長して析出する。また、析出したポリ酸および/またはポリ酸化合物は、その少なくとも一部が還元されていてもよい。
ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する無機皮膜の有無は、充電あるいは予備充電後の非水電解質電池を分解して正極を取り出すことで確認できる。例えば、正極集電体上に析出した析出物の組成を確認し、ポリ酸および/またはポリ酸化合物が析出していれば、同様に正極活物質層上にもポリ酸および/またはポリ酸化合物が析出していることが容易に推測でき、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する無機皮膜が形成されていることが確認できる。
ポリ酸および/またはポリ酸化合物の有無は、例えばX線光電子分光(XPS)分析または飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF−SIMS)により確認することができる。この場合、電池を解体後に、ジメチルカーボネートで洗浄を行う。これは表面に存在する、揮発性の低い溶媒成分と電解質塩を除去するためである。サンプリングは可能な限り、不活性雰囲気下で行うことが望ましい。
ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物の含有量は、負極活物質100質量部に対して、0.01質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。0.01質量部以上であると、優れた素子膨れ抑制効果を得ることができる。一方、5.0質量部以下であると、低温特性の低下を抑制することができる。ここで、ヘテロポリ酸の含有量は、ヘテロポリ酸が有する結合水の重量を除いた値とする。また、同様に、ヘテロポリ酸化合物の重量は、ヘテロポリ酸化合物が有する結合水の重量を除いた値とする。
負極表面に形成された、一種以上のポリ酸元素よりなる非晶質のポリ酸および/またはポリ酸化合物を含むこの発明のゲル状の被膜は、例えば図10に示すように、SEM(Scanning Electron Microscope;走査型電子顕微鏡)で確認することができる。なお、図10は、充電後の負極表面のSEM像であり、電解液を洗浄し、乾燥して撮影したものである。
また、非晶質のポリ酸および/またはポリ酸化合物の析出は、負極表面に形成された被膜のX線吸収微細構造(X-ray absorption fine structure;XAFS)解析による構造解析と、飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF−SIMS)による分子の化学情報とを基に確認することができる。
図11に、ケイタングステン酸を電池系内に添加し、充電することにより、この発明の負極被膜が形成された非水電解質電池の負極表面の飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF−SIMS)による二次イオンスペクトルの一例を示す。図11より、タングステン(W)と酸素(O)とを構成元素とする分子が存在することが分かる。
また、図12に、ケイタングステン酸を電池系内に添加し、充電することにより、この発明の負極被膜が形成された非水電解質電池の負極表面のX線吸収微細構造(XAFS)解析によるスペクトルをフーリエ変換して得られるW−O結合の動径構造関数の一例を示す。また、図12では、負極被膜の解析結果と共に、この発明で用いることができるポリ酸であるタングステン酸(WO3、WO2)およびヘテロポリ酸であるケイタングステン酸(H4(SiW1240)・26H2O)のW−O結合の動径構造関数の一例を示す。
図12より、負極表面の析出物のピークL1と、ケイタングステン酸(H4(SiW1240)・26H2O)、二酸化タングステン(WO2)および三酸化タングステン(WO3)のそれぞれのピークL2、L3およびL4とは異なった位置にピークを有し、異なる構造であることが分かる。典型的なタングステン酸化物の三酸化タングステン(WO3)、二酸化タングステン(WO2)、ならびに、この発明の出発物質であるけいタングステン酸(H4(SiW1240)・26H2O)においては、前記動径構造関数より、1.0〜2.0Åの範囲内において、主要ピークが存在し、また、2.0〜4.0Åの範囲においてもピークを確認することができる
これに対して、この発明における正極、負極に析出したタングステン酸を主体とするポリ酸のW−O結合距離の分布は、1.0〜2.0Åの範囲内においてピークが確認されるものの、この範囲外では、ピークL1と同等の明確なピークが見られない。すなわち、3.0Åを超える範囲において、実質的にピークが観測されない。このような状況において、負極表面の析出物が非晶質であることが確認される。
<2.第2の実施形態>
次に、上述の非水電解質組成物を用いた非水電解質電池の例について説明する。
[電池の構成]
図1は、この発明の第2の実施形態による非水電解質電池の分解斜視構成を表しており、図2は、図1に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面を拡大して示している。
この非水電解質電池は、主に、フィルム状の外装部材40の内部に、正極リード31および負極リード32が取り付けられた巻回電極体30が収納されたものである。このフィルム状の外装部材40を用いた電池構造は、ラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード31および負極リード32は、例えば、外装部材40の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード31は、例えば、アルミニウムなどの金属材料によって構成されており、負極リード32は、例えば、銅、ニッケルまたはステンレスなどの金属材料によって構成されている。これらの金属材料は、例えば、薄板状または網目状になっている。
外装部材40は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムがこの順に貼り合わされたアルミラミネートフィルムによって構成されている。この外装部材40は、例えば、ポリエチレンフィルムが巻回電極体30と対向するように、2枚の矩形型のアルミラミネートフィルムの外縁部同士が融着または接着剤によって互いに接着された構造を有している。
外装部材40と正極リード31および負極リード32との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。この密着フィルム41は、正極リード31および負極リード32に対して密着性を有する材料によって構成されている。このような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンまたは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
なお、外装部材40は、上記したアルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムによって構成されていてもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムまたは金属フィルムによって構成されていてもよい。
図2は、図1に示した巻回電極体30のI−I線に沿った断面構成を表している。この巻回電極体30は、セパレータ35および電解質36を介して正極33と負極34とが積層および巻回されたものであり、その最外周部は、保護テープ37によって保護されている。
(正極)
正極33は、例えば、一対の面を有する正極集電体33Aの両面に正極活物質層33Bが設けられたものである。ただし、正極活物質層33Bは、正極集電体33Aの片面だけに設けられていてもよい。
正極集電体33Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルまたはステンレスなどの金属材料によって構成されている。
正極活物質層33Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
(正極材料)
リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムまたはこれらの固溶体{Li(NixCoyMnz)O2(x、yおよびzの値は0<x<1、0<y<1、0≦z<1、x+y+z=1である。)、Li(NixCoyAlz)O2(x、yおよびzの値は0<x<1、0<y<1、0≦z<1、x+y+z=1である。)など}、マンガンスピネル(LiMn24)またはこれらの固溶体{Li(Mn2-vNiv)O4(vの値はv<2である。)}などのリチウム複合酸化物、またはリン酸鉄リチウム(LiFePO4)、リン酸マンガンリチウム(LiMPO4)などのオリビン構造を有するリン酸化合物が好ましい。高いエネルギー密度を得ることができるからである。具体的には、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiFePO4などが例示される。遷移金属元素は1種類のみの使用だけでなく、2種類以上の使用も可能である。LiNi0.5Co0.52、LiNi0.5Co0.3Mn0.22、LiFe0.5Mn0.5PO4がその例として挙げられる。またこれら材料は2種類以上を混合して使用することも可能である。
中でも、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、高容量化の点から、ニッケルの含有量が高い、LiNix1-x2(Mは2族〜15族から選ばれた少なくとも1種の元素(ただしNiを除く)である。xは0.5≦x≦1.0である。)で表されるリチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムまたはこれらの固溶体に対して、被覆処理を行った正極材料を正極活物質として用いてもよい。すなわち、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムまたはこれらの固溶体の粒子表面の少なくとも一部を、リン酸リチウム(Li3PO4)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)などのリン酸化合物で被覆した正極材料を、正極活物質として用いてもよい。この正極材料を用いると、高温保存時の膨れをより抑制することができる。この正極材料を用いると、リン酸リチウムが、電解液とリチウムニッケル複合酸化物との接触を抑制し、リチウムイオンのみを伝導するからである。被服処理は、例えばリン酸化合物とコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムまたはこれらの固溶体とをボールミリング装置で混合するなどにより行う。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料としては、例えば、酸化チタン、酸化バナジウム、または二酸化マンガンなどの酸化物、二硫化鉄、二硫化チタンまたは硫化モリブデンなどの二硫化物、硫黄、ポリアニリンまたはポリチオフェンなどの導電性高分子も挙げられる。
勿論、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料は、例示したもの以外のものであってもよい。
結着剤としては、例えば、スチレンブタジエン系ゴム、フッ素系ゴムまたはエチレンプロピレンジエンなどの合成ゴムや、ポリフッ化ビニリデンなどの高分子材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
導電剤としては、例えば、黒鉛、カーボンブラックなどの炭素材料が挙げられる。これらは単独でもよいし、複数種が混合されてもよい。
(負極)
負極34は、例えば、一対の面を有する負極集電体34Aの両面に負極活物質層34Bが設けられたものである。ただし、負極活物質層34Bは、負極集電体34Aの片面だけに設けられていてもよい。
負極集電体34Aは、例えば、銅、ニッケルまたはステンレスなどの金属材料によって構成されている。
負極活物質層34Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素材料が挙げられる。この炭素材料とは、例えば、易黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.37nm以上の難黒鉛化性炭素や、(002)面の面間隔が0.34nm以下の黒鉛などである。より具体的には、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素繊維、有機高分子化合物焼成体、活性炭またはカーボンブラック類などがある。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスまたは石油コークスなどが含まれる。有機高分子化合物焼成体とは、フェノール樹脂やフラン樹脂などを適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。炭素材料は、リチウムの吸蔵および放出に伴う結晶構造の変化が非常に少ないため、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られ、さらに導電剤としても機能するので好ましい。なお、炭素材料の形状は、繊維状、球状、粒状または鱗片状のいずれでもよい。
上述の炭素材料の他、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能であると共に金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を構成元素として有する材料が挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。このような負極材料は、金属元素または半金属元素の単体でも合金でも化合物でもよく、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものでもよい。なお、この発明における「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含まれる。また、「合金」は、非金属元素を含んでいてもよい。この組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物、またはそれらの2種以上が共存するものがある。
上記した金属元素または半金属元素としては、例えば、リチウムと合金を形成することが可能な金属元素または半金属元素が挙げられる。具体的には、マグネシウム(Mg)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、パラジウム(Pd)または白金(Pt)などである。中でも、ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種が好ましく、ケイ素がより好ましい。リチウムを吸蔵および放出する能力が大きいため、高いエネルギー密度が得られるからである。
ケイ素およびスズのうちの少なくとも1種を有する負極材料としては、例えば、ケイ素の単体、合金または化合物や、スズの単体、合金または化合物や、それらの1種または2種以上の相を少なくとも一部に有する材料が挙げられる。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。スズの合金としては、例えば、スズ(Sn)以外の第2の構成元素として、ケイ素(Si)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロム(Cr)からなる群のうちの少なくとも1種を含むものが挙げられる。
スズの化合物またはケイ素の化合物としては、例えば、酸素(O)または炭素(C)を含むものが挙げられ、スズ(Sn)またはケイ素(Si)に加えて、上記した第2の構成元素を含んでいてもよい。
特に、ケイ素(Si)およびスズ(Sn)のうちの少なくとも1種を含む負極材料としては、例えば、スズ(Sn)を第1の構成元素とし、そのスズ(Sn)に加えて第2の構成元素と第3の構成元素とを含むものが好ましい。勿論、この負極材料を上記した負極材料と共に用いてもよい。第2の構成元素は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、インジウム(In)、セリウム(Ce)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、ビスマス(Bi)およびケイ素(Si)からなる群のうちの少なくとも1種である。第3の構成元素は、ホウ素(B)、炭素(C)、アルミニウム(Al)およびリン(P)からなる群のうちの少なくとも1種である。第2の元素および第3の元素を含むことにより、サイクル特性が向上するからである。
中でも、スズ(Sn)、コバルト(Co)および炭素(C)を構成元素として含み、炭素(C)の含有量が9.9質量%以上29.7質量%以下の範囲内、スズ(Sn)およびコバルト(Co)の合計に対するコバルト(Co)の割合(Co/(Sn+Co))が30質量%以上70質量%以下の範囲内であるCoSnC含有材料が好ましい。このような組成範囲において、高いエネルギー密度が得られると共に優れたサイクル特性が得られるからである。
このSnCoC含有材料は、必要に応じて、さらに他の構成元素を含んでいてもよい。他の構成元素としては、例えば、ケイ素(Si)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、インジウム(In)、ニオブ(Nb)、ゲルマニウム(Ge)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)またはビスマス(Bi)などが好ましく、それらの2種以上を含んでいてもよい。容量特性またはサイクル特性がさらに向上するからである。
なお、SnCoC含有材料は、スズ(Sn)、コバルト(Co)および炭素(C)を含む相を有しており、この相は結晶性の低いまたは非晶質な構造を有していることが好ましい。また、SnCoC含有材料では、構成元素である炭素の少なくとも一部が、他の構成元素である金属元素あるいは半金属元素と結合していることが好ましい。サイクル特性の低下は、スズ(Sn)などが凝集あるいは結晶化することによるものであると考えられるが、炭素が他の元素と結合することにより、そのような凝集または結晶化が抑制されるからである。
元素の結合状態を調べる測定方法としては、例えば、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)が挙げられる。このXPSでは、金原子の4f軌道(Au4f)のピークが84.0eVに得られるようにエネルギー較正された装置において、グラファイトであれば、炭素の1s軌道(C1s)のピークは284.5eVに現れる。また、表面汚染炭素であれば、284.8eVに現れる。これに対して、炭素元素の電荷密度が高くなる場合、例えば、炭素が金属元素または半金属元素と結合している場合には、C1sのピークは284.5eVよりも低い領域に現れる。すなわち、SnCoC含有材料について得られるC1sの合成波のピークが284.5eVよりも低い領域に現れる場合には、SnCoC含有材料に含まれる炭素(C)の少なくとも一部が他の構成元素である金属元素または半金属元素と結合している。
なお、XPSでは、例えば、スペクトルのエネルギー軸の補正に、C1sのピークを用いる。通常、表面には表面汚染炭素が存在しているので、表面汚染炭素のC1sのピークを284.8eVとし、これをエネルギー基準とする。XPSにおいて、C1sのピークの波形は、表面汚染炭素のピークとSnCoC含有材料中の炭素のピークとを含んだ形として得られるので、例えば、市販のソフトウエアを用いて解析することにより、表面汚染炭素のピークと、SnCoC含有材料中の炭素のピークとを分離する。波形の解析では、最低束縛エネルギー側に存在する主ピークの位置をエネルギー基準(284.8eV)とする。
また、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、リチウムを吸蔵および放出することが可能な金属酸化物または高分子化合物なども挙げられる。金属酸化物とは、例えば、酸化鉄、酸化ルテニウムまたは酸化モリブデンなどであり、高分子化合物とは、例えば、ポリアセチレン、ポリアニリンまたはポリピロールなどである。
さらに、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、チタンのようにリチウムと複合酸化物を形成する元素を含む材料でもよい。
勿論、負極活物質として金属リチウムを用いて、金属リチウムを析出溶解させてもよい。リチウム以外のマグネシウムやアルミニウムを析出溶解させることも可能である。
負極活物質層34Bは、例えば、気相法、液相法、溶射法、焼成法、または塗布のいずれにより形成してもよく、それらの2以上を組み合わせてもよい。なお、気相法としては、例えば、物理堆積法または化学堆積法、具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition)法またはプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。液相法としては、電気鍍金または無電解鍍金などの公知の手法を用いることができる。焼成法とは、例えば、粒子状の負極活物質を結着剤などと混合して溶剤に分散させることにより塗布したのち、結着剤などの融点よりも高い温度で熱処理する方法である。焼成法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼成法、反応焼成法またはホットプレス焼成法が挙げられる。
負極活物質として金属リチウムを用いる場合には、負極活物質層34Bは、組み立て時から既に有するようにしてもよいが、組み立て時には存在せず、充電時に析出したリチウム金属により構成されるようにしてもよい。また、負極活物質層34Bを集電体としても利用することにより、負極集電体34Aを省略するようにしてもよい。
(セパレータ)
セパレータ35は、正極33と負極34とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながらリチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ35は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜や、セラミックからなる多孔質膜などによって構成されており、これらの2種以上の多孔質膜が積層されたものであってもよい。
(電解質)
電解質は、上述した第1の実施形態による非水電解質組成物である。
[電池の製造方法]
次に、上述の構成を有する非水電解質電池の製造方法について説明する。
(正極の製造)
まず、正極33を作製する。例えば、正極材料と、結着剤と、導電剤とを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードまたはバーコータなどによって正極集電体33Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機などによって塗膜を圧縮成型して正極活物質層33Bを形成する。この場合には、圧縮成型を複数回に渡って繰り返してもよい。
(負極の製造)
次に、負極34を作製する。例えば、負極材料と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを混合して負極合剤としたのち、これを有機溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードまたはバーコータなどによって負極集電体34Aの両面に負極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機などによって塗膜を圧縮成型して負極活物質層34Bを形成する。
続いて、電解液と、高分子化合物と、溶剤と、セラミック粉とを含む前駆溶液を調製して正極33および負極34に塗布したのち、溶剤を揮発させてゲル状の電解質36を形成する。ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は、電解液の調製の際に添加する。続いて、正極集電体33Aに正極リード31を取り付けると共に、負極集電体34Aに負極リード32を取り付ける。
続いて、電解質36が形成された正極33と負極34とをセパレータ35を介して積層させてから長手方向に巻回し、その最外周部に保護テープ37を接着させて巻回電極体30を作製する。最後に、例えば、2枚のフィルム状の外装部材40の間に巻回電極体30を挟み込んだのち、その外装部材40の外縁部同士を熱融着などで接着させて巻回電極体30を封入する。この際、正極リード31および負極リード32と外装部材40との間に、密着フィルム41を挿入する。これにより、図3および図4に示す非水電解質電池が完成する。
この非水電解質電池は、例えば、充電および放電が可能な非水電解質二次電池である。例えば、充電を行うと、正極33からリチウムイオンが放出され電解質36を介して負極34に吸蔵される。放電を行うと、負極34からリチウムイオンが放出され電解質36を介して、正極33に吸蔵される。あるいは、例えば、充電を行うと、電解質36中のリチウムイオンが電子を受け取り負極34に金属リチウムとして析出する。放電を行うと、負極34の金属リチウムが電子を放出し、リチウムイオンとなって、電解質36中に溶解する。あるいは、例えば充電を行うと、正極33からリチウムイオンが放出され電解質36を介して、負極34に吸蔵され、充電途中に金属リチウムが析出する。放電を行うと、負極34において、析出した金属リチウムが電子を放出し、リチウムイオンとなって、電解質中に溶解し、放電途中で負極34に吸蔵されたリチウムイオンが放出され、これらのリチウムイオンが電解質36を介して、正極33に吸蔵される。
(変形例)
上述の非水電解質電池の構成例では、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を予め電解液に添加する例について説明したが、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を電解液以外の他の電池構成要素に添加するようにしてもよい。
以下に説明する第1の変形例〜第3の変形例では、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を予め電解液以外の他の電池構成要素に添加した非水電解質電池の構成例について説明する。なお、以下では、上述した非水電解電池の構成例(予め電解液にヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を添加した例)と異なる点を中心に説明し、上述した非水電解質電池の構成例と同様の点は説明を適宜省略する。
(第1の変形例:ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を正極活物質層に添加する例)
第1の変形例は、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を予め電解液に添加しないで、正極活物質層に添加すること以外は、上述の非水電解質電池の構成例と同様である。
(正極33の製造方法)
第1の変形例では、以下のように正極33を作製する。まず、正極材料と、結着剤と、導電剤とを混合する、また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物をN−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤に溶解して溶液を調製する。次に、この溶液と、上記の正極材料、結着剤および導電剤の混合物とを混合して、正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードまたはバーコータなどによって正極集電体33Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機などによって塗膜を圧縮成型して正極活物質層33Bを形成する。
(正極活物質層33B)
第1の変形例では、充放電前において、正極活物質層33Bは、正極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上と、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物とを含んでいる。なお、正極活物質層33Bは、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
(充電によるヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物の挙動)
電解液は正極活物質層33Bに含浸しており、これにより正極活物質層33Bに含まれるヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は、電解液に溶出する。そして、初回充電あるいは予備充電により、電解液に溶出したヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する皮膜が負極34に形成される。
すなわち、初回充電あるいは予備充電により、電解液に溶出したヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は電解し、これによりヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が負極34の表面に析出して無機皮膜を形成する。
また、初回充電あるいは予備充電により、電解液に溶出したヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は電解し、これによりヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が正極33の表面に析出して無機皮膜を形成する。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物が溶出した電解液は、負極活物質層34Bに含浸していることから、充電あるいは予備充電により、負極活物質層34B内で、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が析出していてもよい。これにより、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が負極活物質粒子間に存在していてもよい。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物が溶出した電解液は、正極活物質層33Bに含浸していることから、充電あるいは予備充電により、正極活物質層33B内で、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が析出していてもよい。これにより、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が正極活物質粒子間に存在していてもよい。
(第2の変形例:ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を負極活物質層に添加する例)
第2の変形例は、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を予め電解液に添加しないで、負極活物質層34Bに添加すること以外は、上述の非水電解質電池の構成例と同様である。
(負極34の製造方法)
第2の変形例では、負極34を以下のように作製する。まず、負極材料と、結着剤と、必要に応じて導電剤とを混合する。また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を溶解して溶液を調製する。次に、この溶液と、上記の混合物とを混合して負極合剤としたのち、これをN−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードまたはバーコータなどによって負極集電体34Aの両面に負極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機などによって塗膜を圧縮成型して負極活物質層34Bを形成する。
(負極活物質層34B)
第2の変形例では、充放電前において、負極活物質層34Bは、負極活物質として、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のいずれか1種または2種以上と、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物とを含んでいる。なお、必要に応じて、結着剤や導電剤などの他の材料を含んでいてもよい。
(充電による、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物の挙動)
電解液は負極活物質層34Bに含浸しており、これにより負極活物質層34Bに含まれるヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は電解液に溶出する。そして、初回充電あるいは予備充電により、電解液に溶出したヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する皮膜が負極34に形成される。
すなわち、初回充電あるいは予備充電により、電解液に溶出したヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は電解し、これによりヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が負極34の表面に析出して無機皮膜を形成する。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物の添加量に応じて、初回充電あるいは予備充電により、電解液に溶出したヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は電解し、これによりヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が正極33の表面に析出して無機皮膜を形成する。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物が溶出した電解液は、負極活物質層34Bに含浸していることから、充電あるいは予備充電により、負極活物質層34B内で、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が析出していてもよい。これにより、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が負極活物質粒子間に存在していてもよい。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物が溶出した電解液は、正極活物質層33Bに含浸していることから、充電あるいは予備充電により、正極活物質層33B内で、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が析出していてもよい。これにより、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が正極活物質粒子間に存在していてもよい。
(第3の変形例)
第3の変形例は、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を予め電解液に添加しないで、セパレータ35に、予めヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を添加したこと以外は、上述の非水電解質電池の構成例と同様である。
第3の変形例では、セパレータ35に、予めヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を添加している。例えば、セパレータ35に、予めヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を、以下のように添加している。
セパレータ35を、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を炭酸ジメチルなどの極性有機溶媒に溶解した溶液に浸して含浸させた後、真空雰囲気で乾燥させる。これにより、セパレータ35の表面や孔内にヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物が析出する。
(充電による、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物の挙動)
電解液はセパレータ35に含浸しており、これによりセパレータに添加したヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は電解液に溶出する。そして、初回充電あるいは予備充電により、電解液に溶出したヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する皮膜とが負極34に形成される。
すなわち、初回充電あるいは予備充電により、電解液に溶出したヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は電解し、これによりヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が負極34の表面に析出して無機皮膜を形成する。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物の添加量に応じて、初回充電あるいは予備充電により、電解液に溶出したヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物は電解し、これによりヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が正極33の表面に析出して無機皮膜を形成する。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物が溶出した電解液は、負極活物質層34Bに含浸していることから、充電あるいは予備充電により、負極活物質層34B内で、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が析出していてもよい。これにより、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が負極活物質粒子間に存在していてもよい。
また、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物が溶出した電解液は、正極活物質層33Bに含浸していることから、充電あるいは予備充電により、正極活物質層33B内で、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が析出していてもよい。これにより、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物に由来する化合物が正極活物質粒子間に存在していてもよい。
<効果>
この発明の第2の実施形態によれば、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物を電池内に含ませると共に、セラミックス粉を電解質に添加させているので、高温サイクルの特性劣化とサイクルによる電池の素子膨れを抑制することができる。
<3.第3の実施形態>
(非水電解質電池の構成)
図3は、この発明の第3の実施形態による非水電解質電池の構成の一例を示す分解斜視図である。図3に示すように、この非水電解質電池は、正極リード73および負極リード74が取り付けられた電池素子71をフィルム状の外装部材72の内部に収容したものであり、小型化、軽量化および薄型化が可能となっている。
正極リード73および負極リード74は、それぞれ外装部材72の内部から外部に向かい例えば同一方向に導出されている。
図4は、電池素子71の外観の一例を示す斜視図である。図5は、電池素子71の構成の一例を示す断面図である。図4および図5に示すように、この電池素子71は、正極81と負極82とをセパレータ83を介して積層した積層電極体であり、電池素子71には、第1の実施形態による電解液が含浸されている。
正極81は、例えば、一対の面を有する正極集電体81Aの両面に正極活物質層81Bが設けられた構造を有している。正極81は、図6に示すように、矩形状の電極部分と、その電極部分の一辺から延在された集電体露出部分81Cとを有する。この集電体露出部分81Cには正極活物質層81Bが設けられず、正極集電体81Aが露出した状態となっている。集電体露出部81Cは、正極リード73と電気的に接続される。なお、図示はしないが、正極集電体81Aの片面のみに正極活物質層81Bが存在する領域を設けるようにしてもよい。
負極82は、例えば、一対の面を有する負極集電体82Aの両面に負極活物質層82Bが設けられた構造を有している。負極82は、図7に示すように、矩形状の電極部分と、その電極部分の一辺から延在された集電体露出部分82Cとを有する。この集電体露出部分82Cには負極活物質層82Bが設けられず、負極集電体82Aが露出した状態となっている。集電体露出部82Cは、負極リード74と電気的に接続される。なお、図示はしないが、負極集電体82Aの片面のみに負極活物質層82Bが存在する領域を設けるようにしてもよい。
セパレータ83は、図8に示すように、矩形状などの形状を有する。
正極集電体81A、正極活物質層81B、負極集電体82A、負極活物質層82B、セパレータ83を構成する材料は、それぞれ、上述の第2の実施形態における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23と同様である。
(非水電解質電池の製造方法)
上述のように構成された非水電解質電池は、例えば以下のようにして製造することができる。
(正極の作製)
正極81は以下のようにして作製する。まず、例えば、正極活物質と、バインダと、導電助剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチルピロリドンなどの有機溶剤に分散させてペースト状の正極合剤スラリーを作製する。次に、これを正極集電体81Aの両面に塗布、乾燥後、プレスすることにより正極活物質層81Bを形成する。その後、これを図6に示す形状などに切断し、正極81を得る。
(負極の作製)
負極82は以下のようにして作製する。まず、例えば、負極活物質と、バインダと、導電助剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチルピロリドンなどの有機溶剤に分散させてペースト状の負極合剤スラリーを作製する。次に、これを負極集電体82Aの両面に塗布、乾燥後、プレスすることにより負極活物質層82Bを形成する。その後、これを図7に示す形状などに切断し、負極82を得る。
(電池素子の作製)
電池素子71を以下のようにして作製する。まず、ポリプロピレン製微多孔フィルムなどを図8に示す形状に切断し、セパレータ83を作製する。次に、上述のようにして得られた複数枚の負極82、正極81およびセパレータ83を、例えば、図5に示すように、負極82、セパレータ83、正極81、・・・、正極81、セパレータ83、負極82の順で積層して電池素子71を作製する。
次に、正極81の集電体露出部82Cを正極リード73に溶接する。同様にして、負極82の集電体露出部82Cを負極リード74に溶接する。次に、電解液を電池素子71に含浸させた後、外装部材72の間に電池素子71を挟み込み、外装部材72の外縁部同士を熱溶着などにより密着させて封入する。その際、正極リード73、負極リード74が熱融着部を介して外装部材72の外部に出るようにし、これらを正負極端子とする。以上により、目的とする非水電解質電池が得られる。
<効果>
第3の実施形態は、第2の実施形態と同様の効果を有する。
<4.第4の実施形態>
次に、この発明の第4の実施形態について説明する。この第5の実施形態による非水電解質電池は、第3の実施形態の非水電解質電池において、電解液の代わりに、ゲル状の電解質層を用いるものである。なお、上述の第3の実施形態と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
(非水電解質電池の構造)
図9は、第4の実施形態による非水電解質二次電池に用いられる電池素子の構成の一例を示す断面図である。電池素子85は、正極81と負極82とをセパレータ83および電解質層84を介して積層したものである。
電解質層84は、第1の実施形態による電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル状の電解質層84は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液を防止することができるので好ましい。高分子化合物の構成は、第2の実施形態による非水電解質電池と同様である。
(非水電解質電池の製造方法)
上述のように構成された非水電解質電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、正極81および負極82のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させて電解質層84を形成する。その後の工程は、電解質層84が形成された正極81および負極82を用いる以外のことは上述の第4の実施形態と同様にして、非水電解質電池を得ることができる。
<効果>
この発明の第4の実施形態は、第3の実施形態と同様の効果を有する。
<5.第5の実施形態>
第5の実施形態は、ポリ酸および/またはポリ酸化合物が電解液に予め添加されている。これにより、充放電前において、電解液は溶媒に溶解したポリ酸および/またはポリ酸化合物を含む。
[ポリ酸、ポリ酸化合物]
ポリ酸とは、1種または2種以上のオキソ酸の縮合物である。このポリ酸、ポリ酸化合物は、そのポリ酸イオンが、ケギン構造、アンダーソン構造、またはドーソン構造等の、電池の溶媒に溶解しやすいものが好ましい。ポリ酸および/またはポリ酸化合物としては、例えば、1種のポリ原子を有するイソポリ酸および/またはイソポリ酸化合物、2種以上のポリ原子を有しヘテロ原子を有さないポリ酸および/またはポリ酸化合物などのヘテロ原子有さず、1種または2種以上のポリ原子を有するポリ酸および/またはポリ酸化合物などが挙げられる。
この発明のポリ酸および/またはポリ酸化合物は、ヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸化合物と同様に、元素群(a)から選ばれるポリ原子を有するもの、または元素群(a)から選ばれるポリ原子を有し、ポリ原子の一部が元素群(b)から選ばれる少なくとも何れかの元素で置換されたものである。
元素群(a):Mo、W、Nb、V
元素群(b):Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、Re、Tl、Pbである。
この発明に用いるポリ酸としては、例えば、タングステン酸(VI)、モリブデン酸(VI)等が挙げられる。具体的には、無水タングステン酸および無水モリブデン酸、ならびにその水和物が挙げられる。水和物の例としては、タングステン酸一水和物(WO3・H2O)であるオルトタングステン酸(H2WO4)、モリブデン酸二水和物(H4MoO5,H2MoO4・H2O、MoO3・2H2O)から、モリブデン酸一水和物(MoO3・H2O)であるオルトモリブデン酸(H2MoO4)を用いることができる。また、上記水和物のイソポリ酸であるメタタングステン酸、パラタングステン酸等より水素含量が少なく究極的に0である無水タングステン酸(WO3)、メタモリブデン酸、パラモリブデン酸等より水素含量が少なく究極的に零である無水モリブデン酸(MoO3)等を用いることもできる。
(充電によるポリ酸および/またはポリ酸化合物の挙動)
ポリ酸および/またはポリ酸化合物を含む電解液を用いた非水電解質電池では、初回充電あるいは予備充電により、ポリ酸および/またはポリ酸化合物に由来する皮膜が負極34に形成される。
すなわち、充電あるいは予備充電により、電解液中のポリ酸および/またはポリ酸化合物は電解し、これによりポリ酸および/またはポリ酸化合物に由来する化合物が負極34の表面に析出して無機皮膜を形成する。
また、ポリ酸および/またはポリ酸化合物の添加量に応じて、充電または予備充電により、電解液中のポリ酸および/またはポリ酸化合物は、電解し、これによりポリ酸および/またはポリ酸化合物に由来する化合物が正極の表面に析出して無機皮膜を形成する。
また、ポリ酸および/またはポリ酸化合物が溶解した電解液は、負極活物質層に含浸していることから、充電または予備充電により、負極活物質層内で、ポリ酸および/またはポリ酸化合物に由来する化合物が析出していてもよい。これにより、ポリ酸および/またはポリ酸化合物に由来する化合物が負極活物質粒子間に存在していてもよい。
また、ポリ酸および/またはポリ酸化合物が溶解した電解液は、正極活物質層に含浸していることから、充電または予備充電により、正極活物質層内で、ポリ酸および/またはポリ酸化合物に由来する化合物が析出していてもよい。これにより、ポリ酸および/またはポリ酸化合物に由来する化合物が正極活物質粒子間に存在していてもよい。
ポリ酸および/またはポリ酸化合物に由来する化合物は、電解液に添加したポリ酸および/またはポリ酸化合物が電解により生成する、電解液に添加したポリ酸および/またはポリ酸化合物より、溶解性の乏しいポリ酸および/またはポリ酸化合物や、ポリ酸および/またはポリ酸化合物の還元物などを含む。
ポリ酸および/またはポリ酸化合物に由来する無機皮膜の有無は、充電あるいは予備充電後の非水電解質電池を分解して正極を取り出すことで確認できる。例えば、正極集電体33A上に析出した析出物の組成を確認し、ポリ酸および/またはポリ酸化合物が析出していれば、同様に正極活物質層上にもポリ酸および/またはポリ酸化合物が析出していることが容易に推測でき、ポリ酸および/またはポリ酸化合物に由来する無機皮膜が形成されていることが確認できる。
ポリ酸および/またはポリ酸化合物の有無は、例えばX線光電子分光(XPS)分析または飛行時間型二次イオン質量分析法(ToF−SIMS)により確認することができる。この場合、電池を解体後に、ジメチルカーボネートで洗浄を行う。これは表面に存在する、揮発性の低い溶媒成分と電解質塩を除去するためである。サンプリングは可能な限り、不活性雰囲気下で行うことが望ましい。
上記以外は第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
(変形例)
上述の非水電解質電池の構成例では、ポリ酸および/またはポリ酸化合物を予め電解液に添加する例について説明したが、ポリ酸および/またはポリ酸化合物を電解液以外の他の電池構成要素に添加するようにしてもよい。
以下に説明する第1の変形例〜第3の変形例では、ポリ酸および/またはポリ酸化合物を予め電解液以外の他の電池構成要素に添加した非水電解質電池の構成例について説明する。なお、以下では、上述した非水電解電池の構成例(予め電解液にポリ酸および/またはポリ酸化合物を添加した例)と異なる点を中心に説明し、上述した非水電解質電池の構成例と同様の点は説明を適宜省略する。
(第1の変形例)
第1の変形例は、ポリ酸および/またはポリ酸化合物を予め電解液に添加しないで、正極活物質層に添加すること以外は、第1の実施形態と同様である。
(第2の変形例)
第2の変形例は、ポリ酸および/またはポリ酸化合物を予め電解液に添加しないで、負極活物質層34Bに添加すること以外は、第1の実施形態と同様である。
(第3の変形例)
第3の変形例は、ポリ酸および/またはポリ酸化合物を予め電解液に添加しないで、セパレータ35に、予めポリ酸および/またはポリ酸化合物を添加したこと以外は、第1の実施形態と同様である。
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
負極を次のようにして作製した。粉砕した人造黒鉛粉末90重量部と、結着剤としてPVDF10重量部とをN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とし、厚さ10μmの帯状銅箔の両面に均一に塗布して乾燥させた。次に、ロールプレス機で圧縮成形した後、45mm×650mmに切り出し、その銅箔の一端にニッケル製の負極リードを取り付けた。
正極を次のようにして作製した。コバルト酸リチウム(LiCoO2)91重量部、導電剤として黒鉛6重量部、結着剤としてPVDF10重量部とをN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とし、厚さ12μmの帯状アルミニウム箔に均一に塗布して乾燥させた。次に、ロールプレス機で圧縮成形した後、43mm×700mmに切り出して正極とし、そのアルミニウム箔の一端にアルミニウム製の正極リードを取り付けた。
ゲル状電解質を次のように作製した。エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)をEC:PC=1:1の重量比で混合して混合溶媒を調製した後、この混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.08kmol/kgの割合で溶解して非水電解液を調製した。次に、ヘテロポリ酸としてケイタングステン酸(H4SiW1240)を非水電解液に対して添加して溶解させた。なお、ヘテロポリ酸としてのケイタングステン酸の添加量は、負極活物質100質量部に対して0.01質量部とした。次に、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)が6.9%の割合で共重合されたポリフッ化ビニリデン10質量部と、ケイタングステン酸を溶解した非水電解液90質量部とを混合した。次に、この溶液に対して、セラミック粉として酸化アルミニウム(AL23)を添加した後、撹拌、溶解させてゾル状の電解質溶液を得た。セラミック粉としてのAL23の添加量は、組み立て後の電池素子において正負極間の単位面積当たりに1.5mg/cm2の割合で存在するように調整した。次に、得られたゾル状の電解質溶液を正極および負極の両面に均一に塗布した。次に、塗布した溶液を乾燥させて溶剤を除去して、正極および負極の両面にゲル電解質層を形成した。
次に、両面にゲル電解質層が形成された帯状の正極と、両面にゲル電解質層が形成された帯状の負極とを、セパレータを介して積層し、長手方向に巻回することにより扁平型の電池素子を得た。
(実施例2)
ケイタングステン酸(H4SiW1240)の添加量を0.05質量%とする以外は実施例1と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例3)
ケイタングステン酸(H4SiW1240)の添加量を0.10質量%とする以外は実施例1と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例4)
ケイタングステン酸(H4SiW1240)の添加量を0.50質量%とする以外は実施例1と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例5)
ケイタングステン酸(H4SiW1240)の添加量を1.00質量%とする以外は実施例1と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例6)
ケイタングステン酸(H4SiW1240)の添加量を1.50質量%とする以外は実施例1と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例7)
ケイタングステン酸(H4SiW1240)の添加量を2.00質量%とする以外は実施例1と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例8)
ケイタングステン酸(H4SiW1240)の添加量を3.00質量%とする以外は実施例1と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例9)
ケイタングステン酸(H4SiW1240)の添加量を5.00質量%とする以外は実施例1と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例10)
ケイタングステン酸(H4SiW1240)の添加量を7.00質量%とする以外は実施例1と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例11)
セラミック粉として酸化ジルコニウム(ZrO2)を用いる以外は実施例3と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例12)
セラミック粉として酸化ジルコニウム(ZrO2)を用いる以外は実施例4と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例13)
セラミック粉として酸化ジルコニウム(ZrO2)を用いる以外は実施例5と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例14)
セラミック粉として酸化ジルコニウム(ZrO2)を用いる以外は実施例9と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例15〜18)
セラミック粉として酸化チタン(TiO2)を用いる以外は実施例11〜14と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例19〜22)
セラミック粉として酸化マグネシウム(MgO)を用いる以外は実施例11〜14と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例23〜26)
ヘテロポリ酸としてリンモリブデン酸(H3PMo1240)を用いる以外は実施例11〜14と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(実施例27〜30)
ヘテロポリ酸としてケイモリブデン酸(H4SiMo1240)を用いる以外は実施例11〜14と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(比較例1)
セラミック粉およびヘテロポリ酸を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(比較例2〜11)
セラミック粉を添加しないこと以外は実施例1〜10と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(比較例12)
ヘテロポリ酸を添加しないこと以外は実施例1と同様にして、扁平型の電池素子を得た。
(膨れ評価)
上述のようにして得られた実施例1〜30、比較例1〜12の扁平型の電池素子について、素子膨れを以下のようにして評価した。まず、サイクル試験前の電池素子の厚さを測定した。次に、1Cで4.2Vまで充電した後、1Cまたは2Cで2.5Vまで放電するサイクルを60℃の雰囲気下で1000サイクルさせた後、電池素子の厚さを測定した。次に、上述のようにして求めたサイクル試験前後の電池素子の厚さから、1000サイクル後の電池素子の膨れ量を求めた。その結果を表1に示す。なお、1Cは、理論容量を1時間で放出できる電流値である。
(低温特性)
上述のようにして得られた実施例1〜30、比較例1〜12の扁平型の電池素子について、低温特性を以下のようにして評価した。1Cで4.2Vまで充電した後、1Cで2.5Vまで放電したときの23℃での放電容量を100とし、同試験を−20℃で行ったときの容量維持率を求めることで、低温特性を評価した。その結果を表1に示す。
(負極表面の評価)
上述のようにして得られた実施例5の扁平型の電池素子について、負極表面の状態を以下のようにして評価した。まず、1Cで4.2Vまで充電した後、1Cで2.5Vまで放電するサイクルを60℃の雰囲気下で1000サイクルさせた後、電池素子を分解して、負極を取り出した。次に、この負極表面を観察したところ、負極表面に非晶質のゲル状の被膜が形成されていた。この負極を洗浄し、乾燥させたところ、図10に示したような構造が確認された。
上述のようにして得られた比較例1の扁平型の電池素子について、上述の実施例5と同様の評価を行ったところ、負極表面に非晶質のゲル状の被膜が形成されていないことがわかった。
以上により、電池素子の膨れ抑制効果の発現には、負極に生成されたゲル状の被膜が関係していることがわかった。
表1は、実施例1〜30、比較例1〜12の扁平型の電池素子の構成、および評価結果を示す。
表1から以下のことがわかる。
セラミックス粉をゲル電解質に含んでいる実施例1〜10、比較例2〜11の電池素子では、セラミックス粉をゲル電解質に含んでいない比較例1の電池素子に比べて素子膨れ量が小さい。
セラミックス粉、およびヘテロポリ酸をゲル電解質に含んでいる実施例1〜10の電池素子では、素子膨れ量が更に小さい。また、実施例1〜10の電池素子では、ヘテロポリ酸の含有量を増加させるに従って素子膨れ量が減少する傾向がある。具体的には、ヘテロポリ酸の含有量が0.01質量部である実施例1の電池素子では、素子膨れが0.6mmであり、ヘテロポリ酸の含有量が0.05〜7.00質量部の間である実施例2〜実施例10の電池素子では、素子膨れは0.3mm以下である。しかし、ヘテロポリ酸の含有量が7.00%以上となる実施例10では、低温特性が低下する傾向がある。
実施例11〜22の評価結果から、酸化アルミニウム(AL23)以外のセラミック粉を用いた場合にも、酸化アルミニウム(AL23)を用いた場合とほぼ同様の素子膨れ抑制効果があることがわかる。
実施例23〜30の評価結果から、ケイタングステン酸(H4SiW1240)以外のヘテロポリ酸を用いた場合にも、ケイタングステン酸(H4SiW1240)を用いた場合とほぼ同様の素子膨れ抑制効果があることがわかる。
実施例1〜10、比較例1〜12の評価結果から、セラミック粉とヘテロポリ酸とを組み合わせて用いることで、相乗効果が発現していることがわかる。このようは相乗効果は以下のようにして発現するものと推測される。すなわち、ヘテロポリ酸化合物は、充放電を繰り返すことで負極表面上に皮膜を形成し、サイクルによる素子膨れを抑制することができると考えられる。セラミックス粉をゲル電解質層に添加した場合には、負極表面がセラミックス粉によって均一に覆われるため、より安定なポリ酸またはポリ酸化合物を含む皮膜が形成され、サイクルによる素子膨れがより抑制されると考えられる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた構成、方法、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、形状、材料および数値などを用いてもよい。
また、上述の実施形態の各構成は、この発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
また、上述の実施形態では、巻回構造を有する電池に対してこの発明を適用した例について説明したが、電池の構造はこれに限定されるものではなく、正極および負極を折り畳んだ構造、または積み重ねた構造を有する電池などに対してもこの発明は適用可能である。
また、上述の実施形態では、円筒型または扁平型を有する電池に対してこの発明を適用した例について説明したが、電池の形状はこれに限定されるものではなく、コイン型、ボタン型、または角型などの電池に対してもこの発明は適用可能である。
11・・・電池缶
12,13・・・絶縁板
14・・・電池蓋
15A・・・ディスク板
15・・・安全弁機構
16・・・熱感抵抗素子
17・・・ガスケット
20・・・巻回電極体
21・・・正極
21A・・・正極集電体
21B・・・正極活物質層
22・・・負極
22A・・・負極集電体
22B・・・負極活物質層
23・・・セパレータ
24・・・センターピン
25・・・正極リード
26・・・負極リード
27・・・ガスケット
30・・・巻回電極体
31・・・正極リード
32・・・負極リード
33・・・正極
33A・・・正極集電体
33B・・・正極活物質層
34・・・負極
34A・・・負極集電体
34B・・・負極活物質層
35・・・セパレータ
36・・・電解質
37・・・保護テープ
40・・・外装部材
41・・・密着フィルム

Claims (11)

  1. 正極と、負極と、電解質と
    を備え、
    上記電解質が、非水溶媒と、電解質塩と、マトリックス高分子と、セラミックス粉とを含み、
    ヘテロポリ酸を、充電時に上記電解質中に含まれる態様で含み、
    上記へテロポリ酸が、下記の元素群(a)から選ばれるポリ原子を有し、該ポリ原子の一部が下記の元素群(b)から選ばれる少なくとも何れかの元素で置換されたものである非水電解質電池。
    元素群(a):Mo、W、Nb、V
    元素群(b):Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、Re、Tl、Pb
  2. 正極と、負極と、電解質と
    を備え、
    上記電解質が、非水溶媒と、電解質塩と、マトリックス高分子と、セラミックス粉とを含み、
    ヘテロポリ酸を、充電時に上記電解質中に含まれる態様で含み、
    上記ヘテロポリ酸が、下記の元素群(c)から選ばれるヘテロ原子を有するもの、または下記の元素群(c)から選ばれるヘテロ原子を有し、該へテロ原子の一部が下記の元素群(d)から選ばれる少なくとも何れかの元素で置換されたものである非水電解質電池。
    元素群(c):B、Al、Si、P、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、As
    元素群(d):H、Be、B、C、Na、Al、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Rh、Sn、Sb、Te、I、Re、Pt、Bi、Ce、Th、U、Np
  3. 上記へテロポリ酸が、リンモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイモリブデン酸およびケイタングステン酸の少なくとも一種からなる請求項1または2記載の非水電解質電池。
  4. 上記ヘテロポリ酸の濃度が、上記負極に含まれる負極活物質100質量部に対して、0.01質量部以上5.0質量部以下である請求項1から3のいずれかに記載の非水電解質電池。
  5. 正負極両極表面それぞれの少なくとも一部にへテロポリ酸に由来する被膜が析出している請求項1から4のいずれかに記載の非水電解質電池。
  6. 上記セラミックス粉が、Al23、ZrO2、TiO2、およびMgO2のうち少なくとも1種類以上を含んでいる請求項1から5のいずれかに記載の非水電解質電池。
  7. 正負極間の単位面積当たりの上記セラミックス粉量が、0.6mg/cm2以上3.5mg/cm2以下ある請求項1から6のいずれかに記載の非水電解質電池。
  8. 上記電解質が、上記ヘテロポリ酸を含んでいる請求項1から7のいずれかに記載の非水電解質電池。
  9. 上記負極の少なくとも一部の表面に、上記ポリ原子をポリ元素として含む非晶質のポリ酸を含むゲル状の被膜が形成されている請求項1から8のいずれかに非水電解質電池。
  10. 電解質塩と、非水溶媒と、マトリックス高分子と、セラミックス粉と、ヘテロポリ酸とを含み、
    上記へテロポリ酸が、下記の元素群(a)から選ばれるポリ原子を有し、該ポリ原子の一部が下記の元素群(b)から選ばれる少なくとも何れかの元素で置換されたものである非水電解質組成物。
    元素群(a):Mo、W、Nb、V
    元素群(b):Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Tc、Rh、Cd、In、Sn、Ta、Re、Tl、Pb
  11. 電解質塩と、非水溶媒と、マトリックス高分子と、セラミックス粉と、ヘテロポリ酸とを含み、
    上記ヘテロポリ酸が、下記の元素群(c)から選ばれるヘテロ原子を有するもの、または下記の元素群(c)から選ばれるヘテロ原子を有し、該へテロ原子の一部が下記の元素群(d)から選ばれる少なくとも何れかの元素で置換されたものである非水電解質組成物。
    元素群(c):B、Al、Si、P、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、As
    元素群(d):H、Be、B、C、Na、Al、Si、P、S、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Zr、Rh、Sn、Sb、Te、I、Re、Pt、Bi、Ce、Th、U、Np
JP2010044802A 2010-03-02 2010-03-02 非水電解質組成物、および非水電解質電池 Active JP5533035B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010044802A JP5533035B2 (ja) 2010-03-02 2010-03-02 非水電解質組成物、および非水電解質電池
CN201110044048.9A CN102195087B (zh) 2010-03-02 2011-02-23 非水电解质组合物以及非水电解质电池
CN201610282461.1A CN106410261B (zh) 2010-03-02 2011-02-23 非水电解质电池
US13/033,113 US9343775B2 (en) 2010-03-02 2011-02-23 Nonaqueous electrolyte composition and nonaqueous electrolyte battery

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010044802A JP5533035B2 (ja) 2010-03-02 2010-03-02 非水電解質組成物、および非水電解質電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011181353A JP2011181353A (ja) 2011-09-15
JP5533035B2 true JP5533035B2 (ja) 2014-06-25

Family

ID=44531630

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010044802A Active JP5533035B2 (ja) 2010-03-02 2010-03-02 非水電解質組成物、および非水電解質電池

Country Status (3)

Country Link
US (1) US9343775B2 (ja)
JP (1) JP5533035B2 (ja)
CN (2) CN102195087B (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5625389B2 (ja) * 2010-03-02 2014-11-19 ソニー株式会社 非水電解質電池
US9325041B2 (en) * 2012-03-22 2016-04-26 The Boeing Company Redox polymer energy storage system
JP6303412B2 (ja) * 2013-03-19 2018-04-04 株式会社村田製作所 電池、電解質層、電池パック、電子機器、電動車両、蓄電装置および電力システム
KR102067764B1 (ko) * 2013-05-29 2020-01-20 삼성전자주식회사 리튬 전지용 양극 및 이를 이용한 리튬 전지
JP6357981B2 (ja) * 2013-09-30 2018-07-18 株式会社Gsユアサ リチウムイオン二次電池
CN107645014A (zh) * 2014-01-02 2018-01-30 苏州宝时得电动工具有限公司 电池
JP6600991B2 (ja) * 2015-05-29 2019-11-06 住友金属鉱山株式会社 非水系電解質二次電池用電解液、および該電解液を用いた非水系電解質二次電池
TWI604650B (zh) 2016-07-12 2017-11-01 財團法人工業技術研究院 膠態電解質與其前驅組合物及電池
CN106410278B (zh) * 2016-11-28 2018-11-02 贺晨旭 一种用于锂电池电解液的硫酰基改性无机物添加剂及改性方法
CN108199080A (zh) * 2017-12-29 2018-06-22 清华大学深圳研究生院 锂离子电池的电解质及其制备方法、锂离子电池
CN108199083A (zh) * 2018-01-09 2018-06-22 清华大学深圳研究生院 钠离子电池的电解质及其制备方法、钠离子电池
CN111786019B (zh) * 2019-04-04 2021-10-01 中南大学 一种稳定金属锂沉积的电解液及其在锂金属电池中的应用
CN112072164B (zh) * 2020-08-28 2023-05-12 蜂巢能源科技有限公司 固态锂电池及其制备方法

Family Cites Families (37)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4102931A (en) * 1977-05-17 1978-07-25 Pennwalt Corporation Manufacture of tertiary mercaptans using zeolite catalysts
JPS5960818A (ja) 1982-09-29 1984-04-06 帝人株式会社 電極材料
JPS6290863A (ja) 1985-05-10 1987-04-25 Asahi Chem Ind Co Ltd 二次電池
US4633372A (en) * 1985-08-26 1986-12-30 The Standard Oil Company Polyoxometalate-modified carbon electrodes and uses therefor in capacitors
US4630176A (en) * 1985-11-22 1986-12-16 The Standard Oil Company Polyoxometalate-modified carbon electrodes and uses therefor
JPH01200572A (ja) * 1987-10-14 1989-08-11 Toyota Central Res & Dev Lab Inc リチウム二次電池用電解液
JPH07118316B2 (ja) * 1988-04-12 1995-12-18 日立マクセル株式会社 有機電解液電池の製造方法
JPH06140052A (ja) 1992-09-08 1994-05-20 Sumitomo Seika Chem Co Ltd ゲル状電解質
US5731105A (en) * 1993-09-07 1998-03-24 E.C.R. - Electro-Chemical Research Ltd. Battery electrochemical cell with a non-liquid electrolyte
JP3347555B2 (ja) * 1994-12-01 2002-11-20 キヤノン株式会社 リチウム二次電池の負極の作製方法
US5501922A (en) * 1995-04-07 1996-03-26 Motorola, Inc. Polyoxometalate carbon electrodes and energy storage device made thereof
JPH10255842A (ja) 1997-03-13 1998-09-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd リチウム・ポリマ二次電池
ID20037A (id) * 1997-03-13 1998-09-17 Matsushita Electric Ind Co Ltd Baterai sekunder litium
US6059943A (en) * 1997-07-30 2000-05-09 Lynntech, Inc. Composite membrane suitable for use in electrochemical devices
JP4081895B2 (ja) * 1998-11-26 2008-04-30 ソニー株式会社 リチウムイオン二次電池用のゲル状電解質及びゲル状電解質リチウムイオン二次電池
EP2418713A1 (en) * 2000-03-31 2012-02-15 Sony Corporation Separator, gelated electrolyte, non-aqueous electrolyte, electrode and non-aqueous electrolyte cell empolying the same
JP2001283917A (ja) 2000-03-31 2001-10-12 Sony Corp ゲル状電解質及び非水電解質電池
JP2002289188A (ja) 2001-03-22 2002-10-04 Yusaku Takita 非水電解質二次電池用電極活物質、それを含む電極及び電池
JP4381054B2 (ja) * 2002-11-13 2009-12-09 日東電工株式会社 電池用セパレータのための部分架橋接着剤担持多孔質フィルムとその利用
JP4174586B2 (ja) 2003-01-08 2008-11-05 独立行政法人産業技術総合研究所 高パワー型二次電池
JP4516285B2 (ja) * 2003-05-14 2010-08-04 ニッポン高度紙工業株式会社 固体電解質及び該固体電解質を使用した電気化学システム
DE10347569A1 (de) * 2003-10-14 2005-06-02 Degussa Ag Keramische, flexible Membran mit verbesserter Haftung der Keramik auf dem Trägervlies
EP1685618B1 (en) * 2003-11-06 2009-09-30 Renault s.a.s. Ion-conducting composite membranes
EP1713728A2 (en) * 2004-01-20 2006-10-25 Boundless Corp. Highly microporous polymers and methods for producing and using the same
CN1950970B (zh) * 2004-05-10 2010-05-05 株式会社日本触媒 用于电解液的材料、含离子材料的组合物及其用途
JP5066334B2 (ja) * 2005-11-11 2012-11-07 株式会社日本触媒 イオン性化合物
JP2007188777A (ja) * 2006-01-13 2007-07-26 Sony Corp セパレータおよび非水電解質電池
KR20080110817A (ko) * 2006-03-17 2008-12-19 산요덴키가부시키가이샤 비수전해질 전지 및 그 제조 방법
US7398829B2 (en) * 2006-09-18 2008-07-15 Schlumberger Technology Corporation Methods of limiting leak off and damage in hydraulic fractures
JP4466673B2 (ja) * 2007-03-29 2010-05-26 Tdk株式会社 リチウムイオン2次電池用正極の製造方法
JP4748136B2 (ja) * 2007-10-03 2011-08-17 ソニー株式会社 耐熱絶縁層付きセパレータ及び非水電解質二次電池
JP2009107990A (ja) 2007-10-31 2009-05-21 Nippon Shokubai Co Ltd イオン性化合物および電解液材料
KR100978609B1 (ko) * 2007-11-27 2010-08-27 한양대학교 산학협력단 불소가스를 이용한 직접불소화법에 의해 표면처리된수소이온전도성 고분자막, 이를 포함하는 막-전극 어셈블리및 연료전지
CN101621139A (zh) * 2008-01-31 2010-01-06 索尼株式会社 非水电解液电池和非水电解液组合物
JP4655118B2 (ja) * 2008-01-31 2011-03-23 ソニー株式会社 非水電解液電池および非水電解液組成物
JP2009193745A (ja) * 2008-02-13 2009-08-27 Sony Corp 正極活物質の製造方法
US8158301B2 (en) * 2008-05-29 2012-04-17 General Electric Company Polyelectrolyte membranes and methods for making

Also Published As

Publication number Publication date
CN102195087A (zh) 2011-09-21
CN102195087B (zh) 2016-06-01
US20110217600A1 (en) 2011-09-08
US9343775B2 (en) 2016-05-17
JP2011181353A (ja) 2011-09-15
CN106410261A (zh) 2017-02-15
CN106410261B (zh) 2019-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5533035B2 (ja) 非水電解質組成物、および非水電解質電池
JP5589751B2 (ja) 非水電解質電池および非水電解質
JP5601058B2 (ja) 非水電解質電池および非水電解質
JP6193184B2 (ja) 非水電解質二次電池用負極活物質、非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法、非水電解質二次電池、電池パック及び車
JP4666155B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5177361B2 (ja) 二次電池用負極および二次電池
JP5463957B2 (ja) 非水電解液および電池
KR20090049988A (ko) 리튬이온 2차전지용 정극, 그 제조 방법 및 리튬이온 2차전지
JP2010073367A (ja) 非水電解質および非水電解質電池
JP2012023033A (ja) 非水電解質および非水電解質電池
JP6607188B2 (ja) 正極及びそれを用いた二次電池
JP2012023034A (ja) 非水電解質および非水電解質電池
KR20170031679A (ko) 비수 전해질 및 비수 전해질 전지
JP5471598B2 (ja) 非水電解質電池
JP4304570B2 (ja) 非水電解液およびそれを用いた二次電池
CN102195089B (zh) 非水电解质和非水电解质电池
JP2008016316A (ja) 非水電解質二次電池
JP2011181354A (ja) 負極および非水電解質電池
JP2012023030A (ja) 非水電解質電池および非水電解質
JP5858687B2 (ja) 非水電解質二次電池及びその製造方法
KR100872279B1 (ko) 수분을 방출하는 화합물을 사용하여 안전성이 향상된 전기화학 소자
JP2010073354A (ja) 非水電解質二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130920

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140310

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140401

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5533035

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140414

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250