JP5066334B2 - イオン性化合物 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような電気化学テバイスを構成する電解液においては、有機溶媒が揮発しやすく引火点が低いという点や、漏液が発生し易く、長期間の信頼性に欠けるという点や、低温で電解液が凝固してしまい、電解液としての性能を発揮できないという点があることから、これらを改善することができる材料が求められていた。
本発明はまた、ジシアノトリアゾレートアニオンと下記一般式(2);
本発明は更に、上記イオン性化合物とマトリックス材料とを含む電解質でもある。
以下に本発明を詳述する。
上記アニオンとしては、ジシアノトリアゾレートアニオンが好適であり、下記式(3);
上記カチオンとしては、上記一般式(1)で表されるものである。本発明のイオン性化合物は、このような一価の元素又は有機基を有するカチオンと、ジシアノトリアゾレートアニオンとを有するため、リチウム塩等の無機塩に比べて容易にマトリックス(溶媒等)に溶け、種々の物性に優れた化合物とすることができ、電解質、電気化学デバイスの材料等の様々な用途に好適に適用することができる。
上記Rは、同一又は異なって、一価の元素又は有機基であり、互いに結合した元素となっていてもよい。上記一価の元素又は有機基としては、水素元素、フッ素元素、アミノ基、イミノ基、アミド基、エーテル基、エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、スルホン基、スルフィド基、ビニル基、炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18炭化フッ素基等が好ましい。上記炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18炭化フッ素基は、直鎖、分岐鎖又は環状であってもよく、窒素元素、酸素元素、硫黄元素を含んでいてもよい。また、これらの炭素数としては、1〜18であることが好ましく、1〜8であることがより好ましい。
上記一価の元素又は有機基としてより好ましくは、水素元素、フッ素元素、シアノ基、スルホン基、炭素数1〜8の炭化水素基、酸素元素を含有する炭素数1〜8の炭化水素基、炭素数1〜8の炭化フッ素基であり、更に好ましくは、水素元素である。このように、上記一般式(1)は、Rのうちの少なくとも1つが水素元素であるイオン性化合物もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記カチオンとしては、上記一般式(1)を満たすものであれば特に限定されないが、中でも、下記(I)〜(IV)のオニウムカチオンがより好ましい。なお、オニウムカチオンとは、O、N、S、P等の非金属元素又は半金属元素のカチオンを有する有機基を意味する。
本発明のイオン性化合物は、上記カチオンと上記アニオンとを有するものであるが、イオン性化合物以外のその他の成分を含むイオン性組成物もまた、本発明の好ましい形態の一つであり、このようなイオン性組成物としては、長期間に耐える電気化学デバイスのイオン伝導体の材料として特に好適なものとなる。
(I)下記一般式;
(II)下記一般式;
(III)下記一般式;
上記一般式中、R4〜R15は、同一若しくは異なって、一価の元素又は有機基であり、互いに結合していてもよい。
(IV)RがC1〜C8のアルキル基である鎖状オニウムカチオン。
このようなオニウムカチオンの中でも、より好ましくは、上記一般式(1)におけるLが窒素元素であるものであり、更に好ましくは、下記一般式;
上記R4〜R15の一価の元素又は有機基としては、水素元素、フッ素元素、アミノ基、イミノ基、アミド基、エーテル基、エステル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、スルホン基、スルフィド基、ビニル基、炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18炭化フッ素基等が好ましい。上記炭素数1〜18の炭化水素基、炭素数1〜18炭化フッ素基は、直鎖、分岐鎖又は環状であってもよく、窒素元素、酸素元素、硫黄元素を含んでいてもよい。また、これらの炭素数としては、1〜18であることが好ましく、1〜8であることがより好ましい。
これらのようなオニウムカチオンと上述のようなアニオンとから構成される化合物は、常温で溶融した状態を安定に保つ常温溶融塩となり、このような溶融塩を含む上記イオン性組成物は、長期間に耐える電気化学デバイスのイオン伝導体の材料として好適なものとなる。なお、溶融塩とは、80℃以下の温度において液体状態を安定に保つことができるものである。
上記(1)の形態において、共役二重結合を有する窒素複素環カチオンとしては、上記(I)一般式で表される10種類の複素環オニウムカチオンや上記(II)一般式で表される5種類の不飽和オニウムカチオン等のうち、共役二重結合を有し、上記一般式(1)におけるLが窒素元素であるもの等が好適である。
上記(2)の形態においては、R1、R2及びR3のうちの少なくとも2つが炭化水素基である場合は、それらの炭化水素基は、直接結合するか、又は、O、S及びNの中から選ばれる少なくとも1種類の元素を介して結合した構造となっていてもよい。このように、ジシアノトリアゾレートアニオンと下記一般式(2);
上記イオン性組成物としては更に、上述したオニウムカチオンを必須としてなるアニオンの有機塩以外の、オニウムカチオンを有する有機化合物を含んでもよい。このようなオニウムカチオンを有する有機化合物としては、例えば、ハロゲンアニオン(フルオロアニオン、クロロアニオン、ブロモアニオン、ヨードアニオン)、4フッ化ホウ酸アニオン、6フッ化リン酸アニオン、4フッ化アルミン酸アニオン、6フッ化ヒ酸アニオン、下記一般式(4)で表されるスルホニルイミドアニオン、下記一般式(5)で表されるスルホニルメチドアニオン、有機カルボン酸(酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、マレイン酸、安息香酸等のアニオン)の他、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロニオブ酸イオン、ヘキサフルオロタンタル酸イオン等の含フッ素無機イオン;フタル酸水素イオン、マレイン酸水素イオン、サリチル酸イオン、安息香酸イオン、アジピン酸イオン等のカルボン酸イオン;ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、パーフルオロブタンスルホン酸等のスルホン酸イオン;ホウ酸イオン、リン酸イオン等の無機オキソ酸イオン;ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン、パーフルオロアルキルフルオロボレートイオン、パーフルオロアルキルフルオロホスフェートイオン、ボロジカテコレート、ボロジグリコレート、ボロジサリチレート、ボロテトラキス(トリフルオロアセテート)、ビス(オキサラト)ボレート等の四配位ホウ酸イオン等のアニオンと、オニウムカチオンとを有する有機化合物が好適である。
上記アニオンを必須とするイオン性物質の場合には、ジシアノトリアゾレートアニオンのアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩であることが好ましい。例えば、リチウム塩の形態として用いることができる。その他のアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩としては、例えば、リチウム塩を用いることができ、このようなリチウム塩としては、LiC(CN)3、LiSi(CN)3、LiB(CN)4、LiAl(CN)4、LiP(CN)2、LiP(CN)6、LiAs(CN)6、LiOCN、LiSCN等が好適である。
上記電解質塩の存在量としては、イオン性組成物100質量%に対して、下限値が0.1質量%、上限値が50質量%であることが好適である。0.1質量%未満であると、イオンの絶対量が充分なものとはならず、イオン伝導度が小さくなるおそれがあり、50質量%を超えると、イオンの移動が大きく阻害されるおそれがある。より好ましい上限値は30質量%である。
上記プロトンの存在量としては、イオン性組成物に対して、下限値が0.01mol/L、上限値が10mol/Lであることが好ましい。0.01mol/L未満であると、プロトンの絶対量が充分なものとはならず、プロトン伝導度が小さくなるおそれがあり、10mol/Lを超えると、プロトンの移動が大きく阻害されるおそれがある。より好ましい上限値は5mol/L以下である。
上記重合体としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等のポリビニル系重合体;ポリオキシメチレン:ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル系重合体;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系重合体;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系重合体;ポリスチレン、ポリフォスファゼン類、ポリシロキサン、ポリシラン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート系重合体、アイオネン系重合体の1種又は2種以上が好適である。
上記イオン性組成物を高分子固体電解質とする場合、重合体の存在量としては、イオン性組成物100質量%に対して、下限値が0.1質量%、上限値が5000質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると、固体化の効果を充分に得られないおそれがあり、5000質量%を超えると、イオン伝導度が低下するおそれがある。より好ましい下限値は1質量%、上限値は1000質量%である。
上記イオン性組成物は、揮発分が低減されものであり、かつ、例えば−55℃の低温においても凍ることがなく、イオン伝導度に優れるものであり、電解液とした場合に優れた基本性能を発揮することができる。
上記無機酸化物微粒子としては、非電子伝導性、電気化学的に安定なものが好適であり、また、イオン伝導性を有するものがより好ましい。このような微粒子としては、α、β、γ−アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、チタン酸バリウム、酸化チタン、ハイドロタルサイト等のイオン伝導性又は非電導性セラミックス微粒子が好適である。
上記無機酸化物微粒子の形状としては、球形、卵形、立方体状、直方体状、円筒、棒状等の種々の形状を有するものを用いることができる。
上記無機酸化物微粒子の添加量としては、高分子固体電解質100質量%に対して、上限値が50質量%であることが好ましい。50質量%を超えると、逆に高分子固体電解質の強度やイオン伝導性を低下させたり、成膜しづらくなったりするおそれがある。より好ましくは30質量%である。また、下限値は0.1質量%であることが好適である。
上記添加剤の含有量は特に限定されないが、例えば、イオン性組成物100質量%に対して、0.1〜20質量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜10質量%の範囲である。
上記イオン伝導度の測定方法としては、SUS電極を用いたインピーダンスアナライザーHP4294A(商品名、東陽テクニカ社製)やインピーダンスアナライザーSI1260(商品名、ソーラトロン社製)を用いて行う複素インピーダンス法により測定する方法が好適である。
上記粘度の測定方法としては、特に限定はないが、25℃において、TV−20形粘度計 コーンプレートタイプ(トキメック社製)を用いて測定する方法が好適である。
なお、上記不純物とは、水を含まないものであり、例えば、イオン性物質を製造する際に混入するものが挙げられる。具体的には、上述のジシアノトリアゾレートアニオンを必須とするイオン性物質を製造する場合を例にすると、例えば、ハロゲン化合物を用いて該イオン性物質を誘導して得たときには、ハロゲン化合物が不純物として混入する可能性があり、また、銀塩を用いて該イオン性物質を誘導して得たときには、銀塩が不純物として混入する可能性がある。また、製造原料や副生物等が不純物として混入する可能性もある。
本発明においては、イオン性物質における不純物含量を上記のように設定することにより、例えば、ハロゲン化合物が電気化学デバイスにおける電極を被毒して性能を低下させることを充分に抑制したり、銀イオン等がイオン伝導性に影響して性能を低下させることを充分に抑制したりすることが可能となる。なお、不純物含有量の測定は、下記の測定方法により行うことが好ましい。
(1)ICP(銀イオン、鉄イオン等陽イオン類測定)
機器:ICP発光分光分析装置SPS4000(セイコー電子工業社製)
方法:サンプル0.3gをイオン交換水で10倍に希釈し、その溶液を測定
(2)イオンクロマト(硝酸イオン、臭素イオン、塩素イオン等陰イオン類測定)
機器:イオンクロマトグラフシステムDX−500(日本ダイオネクス社製)
分離モード:イオン交換
検出器:電気伝導度検出器CD−20
カラム:AS4A−SC
方法:サンプル0.3gをイオン交換水で100倍に希釈し、その溶液を測定
なお、水分含有量の測定は、下記の測定方法により行うことが好ましい。
(水分測定方法)
サンプル調整においては、露点−80℃以下のグローボックス中で測定サンプル0.25g、脱水アセトニトリル0.75gを混合し、グローボックス中で充分乾燥したテルモシリンジ(商品名、2.5ml)で混合溶液0.5gを採取することにより行う。その後、カールフィッシャー水分計AQ−7(商品名、平沼産業社製)にて水分測定を行う。
上記電解質は、電解液用材料又は電解質用材料の意味であって、(1)電解液を構成する溶媒及び/又は(2)電解質の材料(イオン伝導体用材料)として、また、(3)固体電解質の材料(電解質用材料)として電気化学デバイスのイオン伝導体に好適に用いることができるものである。例えば、(1)の場合は、本発明の電解質とともに、溶媒中でイオン伝導性を示す物質を含有させることによって、電解液(又は固体電解質)を構成することになる。(2)の場合は、本発明の電解質を溶媒中に含有させることによって、電解質の材料を構成することになる。(3)の場合は、本発明の電解質をそのまま又は他の成分を含有させて固体電解質とすることになる。
上記マトリックス材料は、有機溶媒を必須とするものである電解質であることが好ましい。このような有機溶媒としては、上述の有機溶媒と同様のものが好適である。
上記イオン伝導体としては、電解質と有機溶媒又は重合体との混合物が好適である。有機溶媒を用いれば、一般にこのイオン伝導体は電解液と呼ばれ、重合体を用いれば、高分子固体電解質と呼ばれるものとなる。高分子固体電解質には可塑剤として有機溶媒を含有するものも含まれる。本発明の電解質は、このようなイオン伝導体において、電解液における電解質や有機溶媒の代替として、また、高分子固体電解質として好適に適用することができ、本発明の電解質をイオン伝導体の材料として用いてなる電気化学デバイスでは、これらのうちの少なくとも1つが、本発明の電解質により構成されることになる。これらの中でも、電解液における有機溶媒の代替、又は、高分子固体電解質として用いることが好ましい。
(1)リチウム二次電池
リチウム二次電池は、正極、負極、正極と負極との間に介在するセパレータ及び本発明の電解質を用いてなるイオン伝導体を基本構成要素として構成されるものである。この場合、本発明の電解質にはイオン伝導性を示す物質としてリチウム塩が含有されていることになる。このようなリチウム二次電池としては、水電解質以外のリチウム二次電池である非水電解質リチウム二次電池であることが好ましい。リチウム二次電池の一形態の断面模式図を図1に示す。このリチウム二次電池は、後述する負極活物質としてコークスを用い、正極活物質としてCoを含有する化合物を用いたものであるが、このようなリチウム二次電池おいて、充電時には、負極においてC6Li→6C+Li+eの反応が起こり、負極表面で発生した電子(e)は、電解液中をイオン伝導して正極表面に移動し、正極表面では、CoO2+Li+e→LiCoO2の反応が起こり、負極から正極へ電流が流れることになる。放電時には、充電時の逆反応が起こり、正極から負極へ電流が流れることになる。このように、イオンによる化学反応により電気を蓄えたり、供給したりすることとなる。
上記負極活物質としては、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な材料等が好適である。上記リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な材料としては、金属リチウム;熱分解炭素;ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等のコークス;グラファイト;ガラス状炭素;フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したものである有機高分子化合物焼成体;炭素繊維;活性炭素等の炭素材料;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアセン等のポリマー;Li4/3Ti5/3O4、TiS2等のリチウム含有遷移金属酸化物又は遷移金属硫化物;アルカリ金属と合金化するAl、Pb、Sn、Bi、Si等の金属;アルカリ金属を格子間に挿入することのできる、AlSb、Mg2Si、NiSi2等の立方晶系の金属間化合物や、Li3−fGfN(G:遷移金属)等のリチウム窒素化合物等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アルカリ金属イオンを吸蔵・放出できる金属リチウムや炭素材料がより好ましい。
上記正極活物質としては、金属Li、LixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1−yO2、LixCoyJ1−yOz、LixNi1−yJyOz、LixMn2O4、LixMn2−yJyO4;MnO2、VgOh、CrgOh(g及びhは、1以上の整数)等のリチウムを含まない酸化物等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記Jは、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb及びBから選ばれた少なくとも1種の元素を表す。また、xは、0≦x≦1.2であり、yは、0≦y≦0.9であり、zは、2.0≦z≦2.3であり、xは、電池の充放電により増減することとなる。また、正極活物質としては、遷移金属カルコゲン化物、リチウムを含んでいてもよいバナジウム酸化物やニオブ酸化物、共役系ポリマーからなる有機導電性物質、シェブレル相化合物等を用いてもよい。正極活物質粒子の平均粒径としては、1〜30μmであることが好ましい。
上記正極用集電体としては、用いる正極活物質の充放電電位において化学変化を起こさない電子伝導体であればよく、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、炭素、導電性樹脂、アルミニウムやステンレス鋼の表面に炭素、チタン等を付着又は被膜させたもの等が好適である。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アルミニウム又はアルミニウムを含む合金が好ましい。また、これらの正極用集電体の表面を酸化して用いることもできる。更に、集電体表面に凹凸を付けることが望ましい。正極用集電体の形状及び厚さとしては、上述した負極集電体と同様である。
またセパレータの表面は、予めコロナ放電処理、プラズマ放電処理、その他界面活性剤を用いた湿式処理により、その疎水性が低減するように改質しておくことが好ましい。これによりセパレータの表面及び空孔内部の濡れ性が向上し、電池の内部抵抗の増加を極力抑制することが可能となる。
上記リチウム二次電池の形状としては、コイン形、ボタン形、シート形、積層形、円筒形、偏平形、角形、電気自動車等に用いる大形等が挙げられる。
電解コンデンサは、陽極箔、陰極箔、陽極箔と陰極箔との間に挟まれたセパレータである電解紙及びリード線より構成されるコンデンサ素子と、本発明の電解質を用いてなるイオン伝導体と、有底筒状の外装ケースと、外装ケースを密封する封口体とを基本構成要素として構成されているものである。コンデンサ素子の一形態の斜視図を図2(a)に示す。本発明における電解コンデンサは、コンデンサ素子に上記イオン性組成物を用いてなるイオン伝導体である電解液を含浸し、該コンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納し、外装ケースの開口部に封口体を装着するとともに、外装ケースの端部に絞り加工を施して外装ケースを密封することにより得ることができるものである。このような電解コンデンサとしては、アルミ電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、ニオブ電解コンデンサが好適である。アルミ電解コンデンサの一形態の断面模式図を図2(b)に示す。このようなアルミ電解コンデンサとしては、電解エッチングで細かな凹凸を作って粗面化したアルミ箔の表面に電解陽極酸化によって形成した薄い酸化被膜(酸化アルミニウム)を誘電体とするものが好適である。
上記陰極箔としては、表面の一部又は全部に、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化タンタル及び窒化ニオブから選ばれる1種以上の金属窒化物、及び/又は、チタン、ジルコニウム、タンタル及びニオブから選ばれる1種以上の金属より構成される皮膜を形成したアルミニウム箔を用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、蒸着法、メッキ法、塗布法等を挙げることができ、皮膜を形成する部分としては、陰極箔の全面に被覆してもよいし、必要に応じて陰極箔の一部、例えば陰極箔の一面のみに金属窒化物又は金属を被覆してもよい。
上記封口体は、リード線をそれぞれ導出する貫通孔を備え、例えば、ブチルゴム等の弾性ゴムより構成されるものであることが好適であり、ブチルゴムとしては、例えば、イソブチレンとイソプレンとの共重合体からなる生ゴムに補強剤(カーボンブラック等)、増量剤(クレイ、タルク、炭酸カルシウム等)、加工助剤(ステアリン酸、酸化亜鉛等)、加硫剤等を添加して混練した後、圧延、成型したゴム弾性体を用いることができる。加硫剤としては、アルキルフェノールホルマリン樹脂;過酸化物(ジクミルペルオキシド、1,1−ジ−(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン等);キノイド(p−キノンジオキシム、p,p′−ジベンゾイルキノンジオキシム等);イオウ等を用いることができる。なお、封口体の表面をテフロン(登録商標)等の樹脂でコーティングしたり、ベークライト等の板を貼り付けたりすると、溶媒蒸気の透過性が低減するので更に好ましい。
上記セパレータとしては、通常マニラ紙やクラフト紙等の紙が用いられるが、ガラス繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン等の不織布を用いることもできる。
電気二重層キャパシタは、負極、正極及び本発明の電解質を用いてなるイオン伝導体を基本構成要素として構成されているものであり、好ましい形態としては、対向配置した正極及び負極からなる電極素子に、イオン伝導体である電解液を含ませたものである。このような電気二重層キャパシタの一形態の断面模式図及び電極表面の拡大模式図を図3に示す。
上記電極活物質としては、活性炭以外にも上述の高比表面積を有する炭素材料を用いてもよく、例えば、カーボンナノチューブやプラズマCVDにより作製したダイヤモンド等を用いてもよい。
上記電気二重層キャパシタの形状としては、コイン型、巻回型、角型、アルミラミネート型等が挙げられ、いずれの形状としてもよい。
[工程1]1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイドの合成
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管、攪拌装置、及び、滴下漏斗を備えたフラスコに、メチルイミダソール82g(1.0mol)と2−ブタノン(以下、MEKと記す。)400gを仕込み、窒素気流下で50℃に保ちながら、エチルブロマイド163.5g(1.5mol)を2時間をかけて滴下し、さらに、2時間、80℃を保ち、反応を終了した。次いで、反応液をろ過して、やや茶白色結晶の1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロマイド(以下、EMImBrと記す。)を得た。その後、この結晶を窒素置換されたグローブボックス内においてMEKで2回洗浄して白色のEMImBr172g(収率90%)を得た。
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管、攪拌装置、及び、滴下漏斗を備えたフラスコにジシアノマレノニオリル(以下、DAMNと記す。)216g(2.0mol)、硫酸98gとイオン交換水400gを仕込み、窒素気流下で0℃に保ちながら、亜硝酸ナトリウム138g(2.0mol)と水400gを1時間をかけて滴下し、さらに、1時間、25℃を保ち、反応を終了した。
次いで、ジエチルエーテルとイオン交換水を用いて抽出工程を行い、茶色の固体を得た。得られた固体を80℃、30Paで昇華することで白色の4,5−ジシアノトリアゾール(以下、HDCTAと記す。)160gを得た。
次いで、HDCTA119g(1.0mol)をイオン交換水500gに溶解させ、そこに水酸化ナトリウム30wt%水溶液40gを冷却しながら添加し、ナトリウムジンアノトリアゾレート水溶液を得た。
次いで、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管、及び、攪拌装置を備えたフラスコに、上記、ケーキ状AgDCTA120g(0.45mol)、及び、イオン交換水500gを加え、室温で分散させた。次いで、EMImBr57.3g(0.30mol)をイオン交換水200gに溶解させ、上記、AgDCTA分散水溶液に2時間かけて滴下した。この時、系内は30℃以下に保持した。滴下終了後、さらに、24時間、室温で攪拌した。その後、吸引ろ過(フィルター:メンブランセルロース混合エステルタイプ 孔系0.2μm)で沈殿物を除去し、そのろ液をロータリーエバポレーターを用いて、50℃、10〜200mmHgで揮発分を除去した。次いで、60℃、3日間、減圧下で乾燥させ、水分50ppm以下の1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ジシアノトリアゾレート(以下、EMImDCTAと略す。)を得た(65g、収率95%)。得られたEMImDCTAの1H−NMRを図4に、13C−NMRを図5に示す。測定は、以下に示す条件で行った。このEMImDCTAは淡黄色の固体であり、窒素中での熱分解温度が218℃であった。またEMImDCTA プロピレンカーボネート(以下、PCと略す。)2mol/kgの25℃でのイオン伝導度は3.0×10−2S/cmであった。
標準1H測定
溶媒:DMSO
温度:室温
装置:GEMINI−200BB gemini2000
パルスシークエンス:
リラクゼーションディレイ:1.254秒
パルス:45.4度
取り込み時間:2.741秒
スペクトル範囲:3000.3Hz
積算回数:16回
観測 H1,199.9329029MHz
データプロセッシング
データポイント数 32768
測定時間 1分
13C測定
溶媒:DMSO
温度:室温
装置:GEMINI−200BB gemini2000
パルスシークエンス:
リラクゼーションディレイ:1.000秒
パルス:44.6度
取り込み時間:1.498秒
スペクトル範囲:12500.0Hz
積算回数:13712回
観測 C13, 50.2732453MHz
デカップル H1,199.9339080MHz
power 41dB
continuously on
WALTZ−16 modulated
データプロセッシング
線幅:1.0Hz
データポイント数 65536
測定時間 9.5時間
温度計、窒素ガス導入管、還流冷却管、攪拌装置、及び、滴下漏斗を備えたフラスコに、実施例1における工程2で得られたHDCTA35.7g(0.3mol)をメタノール200gに溶解させた。次いで系内は30℃以下に保持させ、トリエチルアミン30.3g(0.3mol)を1時間かけて滴下した。その後、得られた溶液をロータリーエバポレーターを用いて、50℃、10〜200mmHgで揮発分を除去した。次いで、60℃、3日間、減圧下で乾燥させ、水分50ppm以下のトリエチルアンモニウム ジシアノトリアゾレート(以下、TEADCTAと略す。)を得た(65g、収率98%)。得られたTEADCTAの1H−NMRを図6に、13C−NMRを図7に示す。測定は、以下に示す条件で行った。このTEADCTAは淡黄色の固体であり、窒素中での熱分解温度が93℃であり、またTEADCTA PC 2mol/kgの25℃でのイオン伝導度が1.8×10−2S/cmであった。
標準1H測定
パルスシークエンス:s2pul
溶媒:DMSO
温度:室温
装置:Varian社製 UNITY plus−400
リラクゼーションディレイ:3.000秒
パルス:45.0度
取り込み時間:4.000秒
スペクトル範囲:8000.0Hz
積算回数:16回
観測 H1,399.9694491MHz
データプロセッシング
データポイント数 65536
測定時間 1分52秒
13C測定
溶媒:DMSO
温度:室温
装置:GEMINI−200BB gemini2000
パルスシークエンス:
リラクゼーションディレイ:1.000秒
パルス:44.6度
取り込み時間:1.498秒
スペクトル範囲:12500.0Hz
積算回数:20432回
観測 C13, 50.2732453MHz
デカップル H1,199.9339080MHz
power 41dB
continuously on
WALTZ−16 modulated
データプロセッシング
線幅:1.0Hz
データポイント数 65536
測定時間 14.2時間
500mLのSUS製攪拌式オートクレーブに炭酸ジメチル135g、2−メチルイミダゾリン(42.1g)、及び、溶媒としてメタノール100gを充填し、反応温度130℃、反応圧力0.7MPaで24時間反応した。反応後オートクレーブを冷却し、反応液を取り出し、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウムメチルカーボネートを得た(90.0g、収率95.5%)。次いで、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウムメチルカーボネート37.6gをメタノール200gに溶解して、ジシアノトリアゾール23.8gを徐々に添加したところ、炭酸ガスが激しく発生した。次いで、エバポレーターを用いて、75℃、20mmHgで揮発分を除去して、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウムジシアノトリアゾレート(44.3g、収率95.8%)を得た。得られた1,2,3−トリメチルイミダゾリニウムジシアノトリアゾレートの重水(D2O)溶液について1H−NMRの測定をし、DMSO−d6溶液について13C−NMR下記シグナルの測定をしたところ下記のシグナルを得た。
1H−NMR
δ=2.22ppm(3H)、3.05ppm(6H)、3.78ppm(2H)
13C−NMR
δ=10.7ppm、34.0ppm、114.2ppm、121.9ppm、166.9ppm
また、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウムジシアノトリアゾレート プロピレンカーボネート(以下、PCと略す)2mol/kgの25℃でのイオン伝導度は2.5×10−2S/cmであった。
SUS製攪拌式オートクレーブに炭酸ジメチル135g、2,4−ジメチルイミダゾリン(49.1g)、及び、溶媒としてメタノール100gを充填し、反応温度130℃、反応圧力0.7MPaで24時間反応した。反応後オートクレーブを冷却し、反応液を取り出し、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムメチルカーボネートを得た(95.6g、収率94.5%)。
次いで、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムメチルカーボネート40.5gをメタノール200gに溶解して、ジンアノトリアゾール23.8gを徐々に添加したところ、炭酸ガスが激しく発生した。次いで、エバポレーターを用いて、75℃、20mmHgで揮発分を除去して、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムジシアノトリアゾレート(45・1g、収率97.5%)を得た。
実施例1における工程2で得られたHDCTA35.7g(0.3mol)をメタノール200gに溶解させた。次いで炭酸リチウム11.1g(0.15mol)をメタノール300gに分散させた分散液に上記で得られたその溶液を1時間かけて添加した。その後、得られた溶液をロータリレエバポレーターを用いて、50℃、10〜200mmHgで揮発分を除去した。次いで、80℃、3日間、減圧下で乾燥させ、リチウムジシアノトリアゾレート(以下、LiDCTAと略す。)を得た。次いでLiDCTA PC 1mol/Lの溶液を調整しようとしたが、PCには溶解困難であり、多くの溶け残りが見られたためイオン伝導度の測度ができなかった。
Claims (5)
- 前記カチオンがイミダゾリウムカチオンまたはイミダゾリニウムカチオンであることを特徴とする請求項1記載のイオン性化合物。
- 請求項1または2に記載のイオン性化合物とマトリックス材料とを含むことを特徴とする電解質。
- 前記マトリックス材料は、有機溶媒を必須とするものであることを特徴とする請求項3に記載の電解質。
- 前記有機溶媒として、炭酸エステル類、脂肪族エステル類、エーテル類、カーボネート類または環状エステル類を含む、請求項4に記載の電解質。
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