JP5521735B2 - 隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料 - Google Patents

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Description

本発明は、隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料に関し、特に、低膨張のガラス基板上に高さの高い隔壁を形成するために用いられる隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料に関するものである。
医療用途や検査用途等に用いられるX線透過画像としては、従来より、透過したX線をフィルムに感光させ現像することで得られるアナログ画像が利用されてきたが、X線ディテクター等を用いたX線透視撮影台の普及に伴い、X線透過画像のデジタル化が進んできている。
X線ディテクターは、照射して透過したX線を光に変換する蛍光体プレートと、その直下に配置されるガラス基板(熱膨張係数:30〜50×10−7/℃)からなるフォトダイオードアレイにより構成される。尚、フォトダイオードアレイの表面には行列状TFTスイッチが形成されており、X線照射後、蛍光体プレートからフォトダイオードに伝わる光で各TFTスイッチを順次ONにすることで、各画素に蓄積された電荷信号を読み出しX線画像を形成するものである。このようなX線ディテクターを従来のX線透視撮影台に組込むことで、従来よりも、短時間で、精密なデジタル画像を得ることができる。
ところで、より高精度な画像を得るために、フォトダイオードアレイ上に隔壁を設けて画素を形成し、各画素内に蛍光体を塗布して、蛍光体からフォトダイオードに伝わる光を画素ごとに区切ることが検討されている。
フォトダイオードアレイ上に隔壁を形成する方法としては、特許文献1で開示されているように、フォトダイオードアレイと同等の熱膨張係数を有する隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料を用いて、フォトダイオードアレイ上に隔壁層を形成し乾燥させた後、サンドブラスト法にて不要な部分を除去し、600℃程度の温度で焼成することで隔壁を形成することが考えられる。
特開平11−79786号公報
X線ディテクターにおいて、フォトダイオードアレイ上に隔壁を形成して画素を区切ると、蛍光体からフォトダイオードに伝わる光の量が低下する。そのため、隔壁を形成して画素を区切る場合、蛍光体から発せられる光量を増加させるために、隔壁の高さを高くして、蛍光体の塗布面積を増加させる必要がある。
しかしながら、隔壁の高さを高くすると、特許文献1で開示されているような隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料を用いて隔壁を形成しても、隔壁に亀裂が生じたり、隔壁が崩れやすくなるという問題が生じる。
本発明の目的は、低膨張のガラス基板上に亀裂や崩れを生じさせることなく高さの高い隔壁を形成することが可能な隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料を提供することである。
本発明者等は種々の実験を行った結果、ガラス粉末とフィラー粉末を含む隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料において、ガラス粉末としてZnO−B−SiO系結晶性ガラスと、フィラー粉末として球状シリカを含有させることで、上記目的が達成できることを見いだし、本発明として提案するものである。
即ち、本発明の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料は、ガラス粉末とフィラー粉末を含む隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料であって、質量%で、ガラス粉末が30〜60%、フィラー粉末が40〜70%からなり、ガラス粉末がZnO−B−SiO系結晶性ガラスからなり、フィラー粉末が球状シリカからなることを特徴とする。
本発明の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料は、低膨張のガラス基板上に隔壁を形成しても、ガラス基板に反りが生じたり、ガラス基板から隔壁が剥離し難い。また、300μm以上の高さを有する隔壁を形成しても、隔壁に亀裂や崩れが生じ難い。それ故、隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料、特に、低膨張のガラス基板上に高さの高い隔壁を形成するための隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料として好適である。
本発明の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料は、基板上に形成した隔壁層(乾燥膜)を焼成する際の熱処理によってZnO・SiO系結晶やZnO・B系結晶を析出し、焼成後の熱膨張係数が低くなる性質を有するZnO−B−SiO系結晶性ガラスからなるガラス粉末と、フィラー粉末として、低い熱膨張係数を有するシリカを含有させている。しかも、本発明では、焼成時における収縮率が大きいZnO−B−SiO系結晶性ガラス粉末の使用割合を60質量%までとし、焼成時における収縮率が極めて小さいシリカフィラー粉末の使用割合を40質量%以上にしている。
そのため、焼成後の熱膨張係数が低膨張のガラス基板のそれと適合しやすくなり、低膨張のガラス基板上に隔壁を形成しても、ガラス基板に反りが生じたり、ガラス基板からの剥離を抑制することができる。
尚、本発明において、ガラス粉末とフィラー粉末の混合割合は、ガラス粉末が30〜60質量%、フィラー粉末が40〜70質量%の範囲であることが重要である。ガラス粉末の割合が大きくなりすぎたり、フィラー粉末の割合が小さくなりすぎると、焼成時の収縮率が大きくなり、焼成後のガラス基板に反りが生じたり、ガラス基板から隔壁が剥離しやすくなる。一方、ガラス粉末の使用割合が少なくなりすぎたり、フィラー粉末の使用割合が多くなりすぎると、焼結性が低下し緻密な焼成膜が得難くなり、十分な強度を有する隔壁が得難くなる。
ところで、隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料において、シリカフィラー粉末は、焼成時における収縮を抑制したり、熱膨張係数を調整するだけでなく、焼成膜の強度を向上させるために用いるものでもあるが、フィラー粉末の含有量が多くなると、焼成膜中に空隙が生じやすく、緻密で高強度の焼成膜が得難くなる傾向にある。そのため、高さの高い隔壁を形成すると、隔壁に亀裂や崩れが生じやすくなる。しかし、本発明では、シリカフィラー粉末の中でも比表面積が小さく、高充填が可能な球状シリカをフィラー粉末として用いている。そのため、焼成膜中に空隙が生じ難くなり、600℃程度の温度で容易に緻密で高強度の焼成膜を得ることができ、隔壁を高くしても、隔壁に亀裂や崩れが生じるのを防止することができる。
尚、本発明に使用するガラス粉末は、600℃程度の温度で焼成でき、焼成後の熱膨張係数が低膨張のガラス基板の熱膨張係数に近似させることが可能なZnO−B−SiO系結晶性ガラスを使用する。この系の結晶性ガラスの中でも、焼成時に、ZnO・SiO系結晶やZnO・B系結晶が析出する性質を有するものを使用することが好ましい。
このような性質を有する結晶性ガラスとしては、実質的にPbOを含まず、質量百分率で、ZnO 50〜70%、B 20〜35%、SiO 7〜15%、LiO+NaO+KO 0〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜10%の組成を含有するガラスを用いることが好ましい。その組成範囲内のガラスをガラス粉末として用いることで、600℃程度の温度でZnO・SiO系結晶やZnO・B系結晶が析出し、低膨張のガラス基板の熱膨張係数に適合する隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料を容易に得ることができる。
本発明において、ガラス粉末のガラス組成を上記のように限定した理由は、次のとおりである。
ZnOは、軟化点を著しく上昇させることなく熱膨張係数を低下させると共に、析出結晶の結晶核となる成分である。その含有量は50〜70%である。ZnOの含有量が少なくなりすぎると、焼成時における結晶析出特性が弱くなって低膨張化が困難になり、低膨張のガラス基板に隔壁を形成すると、ガラス基板に反りが生じたり、ガラス基板から隔壁が剥離しやすくなる。一方、含有量が多くなりすぎると、ガラスが不安定となって溶融時に結晶が析出しやすくなりガラス化が困難となる。ZnOのより好ましい範囲は52〜68%であり、さらに好ましい範囲は54〜65%である。
は、ガラスの骨格を形成すると共に、ガラスの溶融温度や軟化点を下げる成分である。その含有量は20〜35%である。Bの含有量が少なくなりすぎると、ガラス化が困難となる。一方、含有量が多くなりすぎると、焼成時における結晶析出特性が弱くなって低膨張化が困難になり、低膨張のガラス基板に隔壁を形成すると、ガラス基板に反りが生じたり、ガラス基板から隔壁が剥離しやすくなる。Bのより好ましい範囲は22〜33%であり、さらに好ましい範囲は23〜30%である。
SiOは、ガラスの骨格を形成する成分である。その含有量は7〜15%である。SiOの含有量が少なくなりすぎると、ガラス化が困難となる。一方、含有量が多くなりすぎると、焼成時における結晶析出特性が弱くなって低膨張化が困難になり、低膨張のガラス基板に隔壁を形成すると、ガラス基板に反りが生じたり、ガラス基板から隔壁が剥離しやすくなる。また、ガラスの軟化点が上昇して600℃程度の温度で焼成がし難くなる。SiOのより好ましい範囲は7〜13%であり、さらに好ましい範囲は8〜12%である。
LiO、NaO及びKOは、ガラスの溶融温度や軟化点を下げる成分である。これら成分の含有量は合量で0〜10%である。これら成分の合量が多くなりすぎると、熱膨張係数が著しく大きくなりすぎて低膨張のガラス基板に隔壁を形成すると、ガラス基板に反りが生じたり、ガラス基板から隔壁が剥離しやすくなる。また、ガラスが不安定となって溶融時に結晶が析出しやすくなりガラス化が困難となる。さらに、化学的耐久性が低下する傾向にある。これら成分の合量のより好ましい範囲は0〜9%であり、さらに好ましい範囲は2〜8%である。また、各成分の範囲はLiOが0〜3%(好ましくは0〜2%)、NaOが0〜5%(好ましくは0〜3%)、KOが0〜5%(好ましくは0〜3%)である。
MgO、CaO、SrO及びBaOは、ガラスの溶融温度や軟化点を下げる成分である。これら成分の含有量は合量で0〜10%である。これら成分の合量が多くなりすぎると、熱膨張係数が大きくなりすぎて低膨張のガラス基板に隔壁を形成すると、ガラス基板に反りが生じたり、ガラス基板から隔壁が剥離しやすくなる。これら成分の合量のより好ましい範囲は0〜9%であり、さらに好ましい範囲は0〜8%である。また、各成分の範囲はMgOが0〜5%(好ましくは0〜3%)、CaOが0〜5%(好ましくは0〜3%)、SrOが0〜5%(好ましくは0〜3%)、BaOが0〜5%(好ましくは0〜3%)である。
また、上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で種々の成分を添加することができる。例えば、化学的耐久性を向上させるためにAl、Ta、La、SnO、ZrO、TiO、Nbを、また、ガラスを安定化させるためにPを合量で10%まで添加することができる。
尚、PbOは、ガラスの融点を低下させる成分であるが、環境負荷物質でもあるため、実質的に含有しないことが好ましい。本発明で言う「実質的に含有しない」とは、積極的に原料として用いず不純物として混入するレベルをいい、具体的には、含有量が0.1%以下であることを意味する。
また、ガラス粉末は、平均粒子径D50が1.0〜4.0μmのものを使用することが望ましい。平均粒子径が小さすぎると、焼成前の乾燥膜表面に亀裂が入りやすく、隔壁に欠けが生じやすくなる。一方、平均粒子径が大きすぎると、焼結性が低下し緻密な焼成膜が得難くなり、十分な強度を有する隔壁が得難くなる。また、焼成後の隔壁断面に粗大粒子が析出しやすくなり、安定した形状を有する隔壁が得難くなる。
また、本発明の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料は、上記ガラス粉末に加えてフィラー粉末として球状シリカを含有する。
シリカは、熱膨張係数が低く、焼成時における収縮率が極めて小さく、しかも、高い強度を有する。また、その形状を球状とすることで、比表面積が小さくなり、高充填が可能となる。そのため、焼成時における収縮が小さく、低膨張のガラス基板に適合する熱膨張係数を有し、緻密で高強度の焼成膜が得やすくなる。その結果、低膨張のガラス基板上に高さの高い隔壁を形成しても、ガラス基板の反り、隔壁の剥離、亀裂及び崩れを防止することができる。
尚、本発明において、「球状」とは、真球のみに限定されるものではなく、本発明の作用効果が発現される一定の幅をもった物として定義され、球類似形状も含まれる。具体的には3次元空間において重心からの一定距離rから±25%、好ましくは±15%までの変動を含む滑らかな面で構成される立体と定義される。このような球状体は、例えば材料粉末を火炎中に噴霧することにより得ることができる。
また、フィラー粉末としては、球状シリカ以外にも、光学特性や熱膨張係数の調整、焼成膜の強度等の目的で、例えば、アルミナ、ジルコニア、ジルコン、チタニア、コージエライト、ムライト、ウイレマイト、酸化錫、酸化亜鉛、無機顔料等を合量で10%まで添加することができる。
さらに、フィラー粉末は、平均粒子径D50が0.5〜6.0μmのものを使用することが望ましい。平均粒子径が小さすぎると、焼成前の乾燥膜表面に亀裂が入りやすく、隔壁に欠けが生じやすくなる。一方、平均粒子径が大きすぎると、焼結性が低下し緻密な焼成膜が得難くなり、十分な強度を有する隔壁が得難くなる。また、焼成後の隔壁断面に粗大粒子が析出しやすくなり、安定した形状を有する隔壁が得難くなる。
本発明において、ガラス粉末とフィラー粉末の混合割合は、上述したように、ガラス粉末が30〜60質量%、フィラー粉末が40〜70質量%の範囲であることが重要である。ガラス粉末とフィラー粉末の好ましい混合割合は、ガラス粉末が35〜58質量%、フィラー粉末が42〜65質量%の範囲であり、より好ましい範囲はガラス粉末が40〜55質量%、フィラー粉末が45〜60質量%である。
次に、本発明の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料の使用方法を説明する。本発明の材料は、例えばペーストやグリーンシートなどの形態で使用することができる。
ペーストの形態で使用する場合、上述したガラスセラミックス複合材料と共に、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等を使用する。ガラスセラミックス複合材料のペースト中の含有量としては、30〜90質量%程度が一般的である。
熱可塑性樹脂は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、その含有量は、0.1〜20質量%程度が一般的である。熱可塑性樹脂としてはポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
可塑剤は、乾燥速度をコントロールすると共に、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり、その含有量は0〜10質量%程度が一般的である。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
溶剤は材料をペースト化するための材料であり、その含有量は10〜30質量%程度が一般的である。溶剤としては、例えばターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等を単独または混合して使用することができる。
ペーストの作製は、ガラスセラミックス複合材料、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等を用意し、これを所定の割合で混練することによりペーストとすることができる。
尚、得られるペーストの粘度としては、ペーストの保管性や印刷性の点から、23℃、ずり速度5.7/秒の条件で測定したときの値で100〜1500ポイズの範囲になるように調整することが望ましい。
このようなペーストを用いて、隔壁を形成するには、まず、これらのペーストをスクリーン印刷法や一括コート法等を用いて塗布し、所定の膜厚の塗布層を形成した後、乾燥させる。次いでドライフィルムレジスト膜を形成し、露光、現像を行い、所定寸法のドライフィルムレジスト感光膜を形成する。続いて、サンドブラスト法を用いて不要な部分を除去した後、残ったドライフィルムレジストを剥離し、焼成することで所定形状の隔壁を得ることができる。
本発明の材料をグリーンシートの形態で使用する場合、上記ガラスセラミックス複合材料と共に、熱可塑性樹脂、可塑剤等を使用する。
ガラスセラミックス複合材料のグリーンシート中の含有量は、60〜80質量%程度が一般的である。
熱可塑性樹脂及び可塑剤としては、上記ペーストの調製の際に用いられるのと同様の熱可塑性樹脂及び可塑剤を用いることができる。熱可塑性樹脂の混合割合としては、5〜30質量%程度が一般的であり、可塑剤の混合割合としては、0〜10質量%程度が一般的である。
グリーンシートを作製する一般的な方法としては、上記ガラスセラミックス複合材料、熱可塑性樹脂、可塑剤等とを用意し、これらにトルエン等の主溶媒や、イソプロピルアルコール等の補助溶媒を添加してスラリーとし、このスラリーをドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルムの上にシート成形する。シート成形後、乾燥させることによって溶媒や溶剤を除去し、グリーンシートとすることができる。
以上のようにして得られたグリーンシートを、ガラス層を形成すべき箇所に熱圧着し、その後焼成することによって、ガラス層を形成することができる。隔壁を形成する場合には、熱圧着して塗布層を形成した後に、上述のペーストの場合と同様にして所定の隔壁の形状に加工する。
上記の説明においては、隔壁形成方法として、ペーストまたはグリーンシートを用いたサンドブラスト法を例にして説明しているが、本発明の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料は、これらの方法に限定されるものではない。例えば、印刷積層法、リフトオフ法、感光性ペースト法、感光性グリーンシート法、プレス成形法などその他の形成方法を適用することも可能である。
以下、本発明の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料を実施例に基づいて詳細に説明する。
表1は、本発明の実施例で使用するガラス粉末を示している。
表の各試料は、次のようにして調製した。
まず、質量%で表に示すガラス組成となるように原料を調合し、均一に混合した。次いで、白金ルツボに入れて1250℃で2時間溶融した後、溶融ガラスを薄板状に成形した。続いて、これらをボールミルにて粉砕し、気流分級して平均粒径D50が3.0μmのガラス粉末からなる試料を得た。このようにして得られた各ガラス粉末試料について、ガラスの軟化点、熱膨張係数及び析出結晶を評価した。
このようにして得られた各ガラス粉末試料A〜Dは、ガラスの軟化点が572〜591℃であり、30〜300℃における熱膨張係数は53〜56×10−7/℃であった。また、ガラス粉末を600℃で焼成するとZnO・SiO系結晶やZnO・B系結晶を析出する性質を有していた。
次に、表に示す割合で、得られたガラス粉末試料とフィラー粉末を混合し、隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料とした。
表2及び表3は、本発明の実施例(試料No.1〜5)及び比較例(試料No.6〜9)を示している。
続いて得られた複合材料試料について、熱膨張係数、基板の反り、収縮率、焼成後の隔壁の形状及び隔壁の強度を評価した。結果を表2及び表3に示す。
表から明らかなように、実施例である試料No.1〜5は、30〜300℃における熱膨張係数が34〜36×10−7/℃であり、低膨張のガラス基板(熱膨張係数:30〜50×10−7/℃)に適合するものであった。また、基板の反りは12μm以下と小さく、収縮率も11%と小さかった。さらに、得られた隔壁には、亀裂や崩れ等はなく、良好な形状を有しており、しかも、十分な強度を有するものであった。そのため、試料No.1〜5は、低膨張ガラス基板上に隔壁を形成するための隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料として好適である。
これに対し、比較例である試料No.6は、ガラス粉末の量が多く、球状シリカフィラー粉末の量が少ないため、基板の反りが90μmと大きく、収縮率も20%と大きかった。また、試料No.7は、ガラス粉末の量が少なく、球状シリカフィラー粉末の量が多いため、さらに、試料No.8は、フィラー粉末として破砕シリカを用いたため、試料No.9は、フィラー粉末としてコーディエライトを用いたため、焼結性が低下し、緻密な焼成膜が得られず、隔壁に亀裂が発生し、強度も不十分であった。しかも、試料No.9については、基板の反りも120μmと大きかった。
尚、ガラスの軟化点については、マクロ型示差熱分析計を用いて測定し、第四の変曲点の値を軟化点とした。
ガラスの熱膨張係数については、各ガラス粉末試料を粉末プレス成型し、600℃で10分間焼成した後、直径4mm、長さ20mmの円柱状に研磨加工し、JIS R3102に基づいて測定し、30〜300℃の温度範囲における値を求めた。
析出結晶については、各ガラス粉末試料を粉末プレス成型したものを600℃で10分間焼成した。その後、X線回折法で析出した結晶の評価を行った。
ガラスセラミックス複合材料の熱膨張係数については、複合材料粉末試料を粉末プレス成型し、600℃、10分間焼成した後、ガラスの熱膨張係数の測定方法と同様に円柱状に加工し、測定し、30〜300℃の温度範囲における値を求めた。
基板の反りは、次のようにして評価した。まず各試料を、エチルセルロースを5%含有するターピネオール溶液に混合し、3本ロールミルにて混練してペースト化した。次いで、このペーストを低膨張ガラス基板(日本電気硝子株式会社製OA−10 熱膨張係数:37×10−7/℃)の上にスクリーン印刷法で塗布し、膜厚1000μmの塗布膜を形成した。その後、これを60℃で30分間乾燥して膜厚550μmの乾燥膜を形成し、続いて、600℃で10分間焼成した。その後、レーザー膜厚計を用いて、基板の反り量を求めた。
収縮率については、基板の反りの評価と同様にして、低膨張ガラス基板上に膜厚550μmの乾燥膜を形成し、乾燥膜上にドライフィルムレジスト膜をラミネート後、露光、現像を行い、サンドブラスト法にて不要な部分を除去し、600℃で10分間焼成して隔壁を形成した。その後、得られた隔壁の高さをレーザー膜厚計を用いて測定し、100−(焼成後の隔壁の高さ/乾燥後の隔壁の高さ(550μm))×100で求めた値を収縮率とした。
焼成後の隔壁の形状については、上記のようにして得た隔壁をSEM(500倍)で観察し、隔壁に亀裂等が認められなかったものを「良」、亀裂等が確認できたものを「不良」として示した。
隔壁の強度については、ビッカース硬度計を用い、隔壁に50gの荷重を15秒間掛け、隔壁にクラックのみ発生したものを「○」、隔壁が崩れたものを「×」として示した。

Claims (6)

  1. ガラス粉末とフィラー粉末を含む隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料であって、質量%で、ガラス粉末が30〜60%、フィラー粉末が40〜70%からなり、ガラス粉末がZnO−B−SiO系結晶性ガラスからなり、フィラー粉末が球状シリカからなることを特徴とする隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料。
  2. ガラス粉末が、ZnO・B結晶及び/又はZnO・SiO系結晶を析出する性質を有することを特徴とする請求項1記載の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料。
  3. ガラス粉末が、実質的にPbOを含まず、質量百分率で、ZnO 50〜70%、B 20〜35%、SiO 7〜15%、LiO+NaO+KO 0〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜10%含有する結晶性ガラスからなることを特徴とする請求項1または2に記載の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料。
  4. 焼成後の30〜350℃における熱膨張係数が30〜50×10−7/℃であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料。
  5. 300μm以上の高さを有する隔壁を形成するために用いられることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料。
  6. X線ディテクターの画素を形成するために用いられることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の隔壁形成用ガラスセラミックス複合材料。
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