JP3775556B2 - プラズマディスプレーパネル用材料及びガラス粉末 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマディスプレーパネル用材料に関し、特にプラズマディスプレーパネルの透明誘電体層の形成に用いられるプラズマディスプレーパネル用材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレーパネルは、自己発光型のフラットディスプレーであり、軽量薄型、高視野角等の優れた特性を備えており、また大画面化が可能であることから、最も将来性のある表示装置の一つとして注目されている。
【0003】
このプラズマディスプレーパネルの前面ガラス板には、プラズマ放電用の走査電極が形成され、その上に放電維持のために膜厚約30〜40μmの透明な誘電体層が形成される。走査電極にはAgが広く用いられ、また透明誘電体層はガラス粉末を主成分とする誘電体材料を用いて形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の誘電体材料では、ガラスとAg電極が反応して誘電体層が黄色に着色(黄変)する現象が生じ、透過率が低下するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、Ag電極との反応による黄変が起こりにくく、誘電体層の形成に好適なプラズマディスプレーパネル用材料等を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマディスプレーパネル用材料は、ガラス粉末を構成成分として含み、プラズマディスプレーパネルの誘電体層の形成に用いられるプラズマディスプレーパネル用材料であって、ガラス粉末がCuOを含有するガラスからなり、前記ガラスが重量百分率で、B 2O3 26〜60%、ZnO 15〜50%、SiO2 0〜30%、Al2O3 0〜10%、K2O 5〜20%、Na2O+Li2O 0〜10%、CaO+BaO 0〜15%、CuO 0.01〜20%の組成を有するガラスからなることを特徴とする。
【0007】
また本発明のプラズマディスプレーパネル用ガラス粉末は、CuOを含有するガラスからなり、前記ガラスが重量百分率で、B 2O3 26〜60%、ZnO 15〜50%、SiO2 0〜30%、Al2O3 0〜10%、K2O 3〜20%、Na2O+Li2O 0〜10%、CaO+BaO 0〜15%、CuO 0.01〜20%の組成を有するガラスからなることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のプラズマディスプレーパネル用材料は、CuOを含むガラス粉末を主成分とする。ガラス組成中にCuOを必須成分として含むことにより、電極材にAgを使用した場合でも、形成される誘電体層が黄変しにくく、高い透過率を得ることができる。
【0009】
また誘電体用途には、電極との反応性以外にも、▲1▼熱膨張係数がガラス板に適合すること、▲2▼500〜600℃で焼成できること、▲3▼微小な泡(微塵泡)が少なく透明度が高いこと、▲4▼高い耐電圧を有する必要があるため、直径30μm以上の大きな泡(大泡)が殆ど存在しないこと(具体的には約1個以下/cm2)等の特性を満たすことが重要である。
【0010】
上記▲1▼▲2▼の要件を満たすガラス粉末としては、種々の組成を有するものが使用可能であるが、さらに▲3▼▲4▼の条件を満たすためにはPbOの含有量が50重量%以下のガラスを使用することが重要である。つまり、PbOが50重量%を超える場合、SiO2が多い組成系では、ガラスの粘性変化が緩やかになりすぎるために、泡が抜けにくくなってガラス膜中の微塵泡が非常に多くなり、逆にSiO2が少ない組成系では、ガラスの粘性変化が急激になりすぎるために、泡が成長しやすくなってガラス膜中に多数の大泡が生じてしまうためである。
【0011】
上記▲1▼〜▲4▼の条件を満たすガラス粉末の好適な例としては、重量百分率で、BaO+CaO+Bi2O3 2〜30%、ZnO 0〜35%、B2O3 10〜40%、SiO2 1〜15%、PbO 25〜50%、CuO 0.01〜20%の組成を有するガラス(ガラスA)、BaO 15〜45%、ZnO 20〜45%、B2O3 12〜35%、SiO2 3〜15%、PbO 0〜24.5%、CuO 0.01〜20%の組成を有するガラス(ガラスB)等の低PbO含有ガラスや、ZnO 25〜45%、Bi2O3 15〜35%、B2O3 10〜30%、SiO2 0.5〜8%、CaO+SrO+BaO 8〜24%、CuO 0.01〜20%の組成を有するガラス(ガラスC)、B2O3 26〜60%、ZnO 15〜50%、SiO2 0〜30%、Al2O3 0〜10%、K2O 3〜20%、Na2O+Li2O 0〜10%、CaO+BaO 0〜15%の組成を有するガラス(ガラスD)等のPbO不含有ガラスが挙げられる。また各ガラスには、上記した成分に加えて種々の成分、例えば黄変をより一層抑える目的でSnO2を10%まで、P2O5、CeO2、TiO2、Fe2O3等を合量で3%まで、また黄変の防止やガラスの黒化防止の目的でSb2O3を20%まで添加しても良い。
【0012】
なおこれらのガラス粉末は、Ag電極が形成された前面ガラス基板の透明誘電体層形成用として好適なものであるが、この用途に限られるものではなく、例えばCr−Cu−Cr電極が形成された前面ガラス基板の透明誘電体層形成材料や、背面ガラス基板のアドレス保護誘電体形成材料や、隔壁材料等にも使用することができる。
【0013】
以下、各ガラス組成について説明する。
【0014】
ガラスAは、軟化点付近の粘性変化が急(ショートなガラス)であり、泡の大半が焼成初期の比較的低い温度で抜けるため、残存する微塵泡が少ないという特徴がある。以下、ガラスAの組成範囲を限定した理由を述べる。
【0015】
BaO、CaO、及びBi2O3は、軟化点を低下させるとともに、脱泡性に影響する高温粘性を調整するための成分であり、その含有量は合量で2〜30%、好ましくは3〜25%である。これらの成分の合量が2%より少ないと上記効果を得ることが困難になり、30%より多いと軟化点が低下しすぎて焼成時に発泡しやすくなるとともに、熱膨張係数が高くなりすぎる。なおBaO、CaO、及びBi2O3の含有量は、各々BaO 2〜30%、CaO 0〜10%、Bi2O3 0〜10%であることが好ましい。
【0016】
ZnOは熱膨張係数を低下させるとともに、軟化点を下げる成分であり、その含有量は0〜35%、好ましくは5〜30%である。ZnOが35%より多いと焼成時に失透しやすくなる。
【0017】
B2O3はガラス化範囲を広げる成分であり、その含有量は10〜40%、好ましくは15〜35%である。B2O3が10%より少ないとガラス化が困難になり、40%より多いとガラスが分相しやすくなって好ましくない。
【0018】
SiO2はガラスの骨格を形成する成分であり、その含有量は1〜15%、好ましくは2〜13%である。SiO2 が1%より少ないとガラス化が困難になり、15%より多いと軟化点が高くなりすぎ、またガラスの粘性変化が緩やかになりすぎて泡が抜けにくくなる。
【0019】
PbOは軟化点を下げる成分であり、その含有量は25〜50%、好ましくは28〜50%である。PbOが25%より少ないと軟化点が高くなり、焼成後にガラス中に泡が多数残存しやすくなり、50%より多いと熱膨張係数が高くなりすぎる。またガラスの粘性変化が急激になりすぎて泡が成長しやすくなり、大泡が多量に発生する。このため耐電圧が低下して絶縁破壊を起こしやすくなる。
【0020】
CuOの含有量は0.01〜20%、好ましくは0.1〜15%である。CuOが0.01%より少ないと前記した効果が得にくく、20%より多いとガラスの耐水性が悪くなる。
【0021】
またガラスBは、焼成初期に抜けずに残った微塵泡が、温度上昇に伴って大泡に成長しないように、ガラスAに比べて粘性変化を緩やかにしたものである。このためガラスAよりも大泡の数を少なくできるというメリットがある。以下、ガラスBの組成範囲を上記のように限定した理由を述べる。
【0022】
BaOは脱泡性に影響を与える高温粘性を調整するとともに、熱膨張係数を上昇させる成分であり、その含有量は15〜45%、好ましくは20〜40%である。BaOが15%より少ないと脱泡性が低下し、またガラスの熱膨張係数が低くなりすぎて高歪点ガラスのそれと適合しなくなる。一方、BaOが45%より多いと熱膨張係数が高くなりすぎて高歪点ガラスに適合しなくなる。
【0023】
ZnOは軟化点を低下させるとともに、熱膨張係数を調整する成分であり、その含有量は20〜45%、好ましくは22〜42%である。ZnOが20%より少ないと上記効果を得ることができず、45%より多いと熱膨張係数が低くなりすぎる。
【0024】
B2O3はガラスの骨格を形成するとともにガラス化範囲を広げる成分であり、その含有量は12〜40%、好ましくは15〜33%である。B2O3が12%より少ないと、焼成時にガラスが結晶化しやすくなり、40%より多いとガラスの軟化点が高くなりすぎて600℃以下での焼成が困難になる。
【0025】
SiO2はガラスの骨格を形成する成分であり、その含有量は3〜15%、好ましくは4〜13%である。SiO2が3%より少ないと焼成時にガラスが結晶化しやすくなる。一方、15%より多いと軟化点が高くなりすぎ、またガラスの粘性変化が緩やかになりすぎて泡が抜けにくくなる。
【0026】
PbOは軟化点を下げる成分であり、その含有量は0〜24.5%、好ましくは0〜24%である。PbOが24.5%より多いと粘性変化が急激になって泡が成長しやすくなり、焼成後に30μmクラスの大泡が多くなる。
【0027】
CuOの含有量は0.01〜20%、好ましくは0.1〜15%である。CuOが0.01%より少ないと前記した効果が得にくく、20%より多いとガラスの耐水性が悪くなる。
【0028】
またガラスCは、ガラスAと同様、軟化点付近の粘性変化が急であり、泡の大半が焼成初期の比較的低い温度で抜けるため、微塵泡が少ないという特徴がある。また環境に配慮したPbO不含有ガラスである。以下、ガラスCの組成範囲を限定した理由を述べる。
【0029】
ZnOは熱膨張係数を低下させるとともに、軟化点を下げる成分であり、その含有量は25〜45%、好ましくは30〜40%である。ZnOが25%より少ないと上記効果を得ることができず、45%より多いと焼成時に失透しやすくなる。
【0030】
Bi2O3は軟化点を下げる成分であり、その含有量は15〜35%、好ましくは17〜30%である。Bi2O3が15%より少ないと軟化点が高くなり、焼成後にガラス中に泡が多数残存しやすくなり、35%より多いと熱膨張係数が高くなりすぎる。
【0031】
B2O3はガラス化範囲を広げる成分であり、その含有量は10〜30%、好ましくは17〜25%である。B2O3が10%より少ないとガラス化が困難になり、30%より多いとガラスが分相しやすくなって好ましくない。
【0032】
SiO2はガラスの骨格を形成する成分であり、その含有量は0.5〜8%、好ましくは3〜7%である。SiO2が0.5%より少ないとガラス化が困難になり、8%より多いと軟化点が高くなりすぎ、またガラスの粘性変化が緩やかになりすぎて泡が抜けにくくなる。
【0033】
CaO、SrO及びBaOは軟化点を低下させるとともに、脱泡性に影響する高温粘性を調整するための成分であり、その含有量は合量で8〜24%、好ましくは10〜20%である。これらの合量が8%より少ないと上記効果を得ることが困難になり、24%より多いと軟化点が低下しすぎて焼成時に発泡しやすくなるとともに、熱膨張係数が高くなりすぎる。なおCaO、SrO及びBaOの含有量は、各々CaO 0〜20%、SrO 0〜20%、BaO 0〜20%であることが好ましい。
【0034】
CuOの含有量は0.01〜20%、好ましくは0.1〜15%である。CuOが0.01%より少ないと前記した効果が得にくく、20%より多いとガラスの耐水性が悪くなる。
【0035】
またガラスDは、焼成初期に抜けずに残った微塵泡が、温度上昇に伴って大泡に成長しないように、ガラスCに比べて粘性変化を緩やかにしたものである。このためガラスCよりも大泡の数を少なくできるというメリットがある。また、ガラスCと同様に環境に配慮したPbO不含有ガラスである。以下、ガラスDの組成範囲を限定した理由を述べる。
【0036】
B2O3はガラスの骨格を形成するとともに、ガラス化範囲を広げる成分であり、その含有量は26〜60%、好ましくは28〜50%である。B2O3が26%より少ないと焼成時にガラスが結晶化しやすくなって透明性が損なわれ、60%より多いとガラスの軟化点が高くなりすぎて600℃以下での焼成が困難になる。
【0037】
ZnOはガラスを構成する主成分であるとともに、軟化点を下げる働きがあり、その含有量は15〜50%、好ましくは20〜40%である。ZnOが15%より少ないと上記効果が不十分となり、50%より多いと焼成時にガラスが結晶化して透明性が損なわれる。
【0038】
SiO2はガラスの骨格を形成する成分であり、その含有量は0〜30%、好ましくは1〜25%である。SiO2が30%より多いとガラスの軟化点が高くなりすぎて600℃以下の温度で焼成できなくなる。
【0039】
Al2O3はガラスの分相性を制御する成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜8%である。Al2O3が10%より多いと軟化点が高くなりすぎて600℃以下の温度での焼成が困難になる。
【0040】
K2Oはガラスを低融点化させたり、熱膨張係数を調整する働きがある。またAg電極との反応による黄変を抑制する効果があり、その含有量は3〜20%、好ましくは5〜15%である。K2Oが3%より少ないと上記した効果がなく、20%より多いと熱膨張係数がガラス基板より大きくなり好ましくない。
【0041】
Na2OやLi2Oはガラスを低融点化させたり、熱膨張係数を調整するために添加する成分である。しかしこれらの成分は、黄変を起こしやすくする傾向があり、その含有量は合量で0〜10%、好ましくは0〜5%に制限される。
【0042】
CaOやBaOはガラスの軟化点を低下させたり、熱膨張係数を調整するために添加する成分であり、その含有量は合量で0〜15%、好ましくは0〜10%である。これらの成分の合量が15%より多いと熱膨張係数がガラス基板より大きくなり好ましくない。
【0043】
本発明におけるガラス粉末の粒度は、平均粒径D50が3.0μm以下、最大粒径DMAXが20μm以下であることが好ましい。平均粒径D50又は最大粒径DMAXがその上限を超えると、粉末間の隙間が大きくなるために大泡が残存しやすくなる。
【0044】
また本発明のプラズマディスプレーパネル用材料は、焼成後の強度の改善や外観の調節のために、上記ガラス粉末に加えて、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、酸化チタン等のセラミック粉末を添加することができる。なおセラミック粉末の最大粒径DMAXは15μm以下であることが好ましい。
【0045】
ガラス粉末とセラミック粉末の割合は、ガラス粉末90〜100重量%、セラミック粉末0〜10重量%である。なおセラミック粉末が10%より多いと可視光が散乱して不透明になりやすく好ましくない。
【0046】
次に本発明のプラズマディスプレーパネル用材料の使用方法を説明する。この材料は、例えばペーストやグリーンシートの形態で使用することができる。
【0047】
ペーストの形態で使用する場合、上述したガラス粉末やセラミック粉末とともに、樹脂、可塑剤、溶剤等を使用する。
【0048】
ガラス粉末及びセラミック粉末の含有量は30〜90重量%、特に50〜80重量%の範囲にあることが好ましい。
【0049】
樹脂は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、その含有量は0.1〜20重量%、特に0.5〜10重量%の範囲にあることが好ましい。樹脂としてはポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
【0050】
可塑剤は、乾燥速度をコントロールするとともに、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり、その含有量は0〜10重量%、特に0〜9重量%の範囲にあることが好ましい。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
【0051】
溶剤は材料をペースト化するための成分であり、その含有量は10〜30重量%、特に15〜25重量%の範囲にあることが好ましい。溶剤としては、例えばターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等を単独または混合して使用することができる。
【0052】
上記材料を用いてペーストを作製するには、まずガラス粉末、セラミック粉末、樹脂、可塑剤、溶剤等を用意し、続いて各成分を所定の割合で混練すればよい。
【0053】
続いてこのペーストを用いて誘電体層を形成する方法の一例について説明する。まず、プラズマディスプレーパネルに用いられる前面ガラス板を用意する。次にペーストをスクリーン印刷法や一括コート法等を用いて塗布し、膜厚30〜100μmの塗布層を形成する。なお前面ガラス板には予め電極が形成されており、ペーストの塗布はその上に行う。続いて塗布層を80〜120℃程度の温度で乾燥させる。その後、500〜600℃で5〜15分間焼成することにより、誘電体層を形成することができる。
【0054】
グリーンシートの形態で使用する場合、上記ガラス粉末とともに、樹脂、可塑剤等を使用する。
【0055】
ガラス粉末及びセラミック粉末の含有量は60〜80重量%、特に65〜77重量%の範囲にあることが好ましい。
【0056】
樹脂は、グリーンシートに必要な強度と柔軟性、及び自己接着性を付与するための材料であり、その混合割合は5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%である。樹脂としては、ポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
【0057】
可塑剤は、グリーンシートに柔軟性を高めるとともに自己接着性を付与するために添加する成分であり、その混合割合は0〜10重量%、好ましくは0.1〜7重量%である。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレートが使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
【0058】
上記材料を用いてグリーンシートを作製するには、まずガラス粉末、セラミック粉末、樹脂、可塑剤等を用意し、各成分を所定の割合で混合する。次いでトルエン等の主溶媒や、イソプロピルアルコール等の補助溶剤を添加してスラリーとし、このスラリーをドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のフィルム上にシート成形する。このとき乾燥後のシート厚が約20〜100μmとなるように成形することが好ましい。その後、乾燥させることによって溶媒や溶剤を除去し、グリーンシートを得ることができる。
【0059】
続いてこのグリーンシートを用いて誘電体層を形成する方法の一例について説明する。まず、プラズマディスプレーパネルに用いられる前面ガラス板を用意する。前面ガラス板には、予め電極が形成されており、その上に本発明の材料を熱圧着によって接着する。熱圧着は、50〜200℃で1〜5kgf/cm2 の条件で行うことが好ましい。その後、500〜600℃で5〜15分間焼成することにより、誘電体層を形成することができる。
【0060】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0061】
表3は本発明の実施例(試料No.13、14)及び比較例(試料No.15〜17)を示している。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
各試料は次のようにして調製した。まず表に示す組成となるようにガラス原料を調合し、白金坩堝に入れて1300℃で2時間溶融した後、溶融ガラスを薄板状に成形した。次いでこれを粉砕し、分級して平均粒径D50が3.0μm以下、最大粒径DMAXが20μm以下のガラス粉末からなる試料を得、さらにNo.11のガラス粉末についてはアルミナ粉末と混合して試料とした。なお平均粒径D50及び最大粒径DMAXは、日機装株式会社製のレーザー回折式粒度分布計「マイクロトラックSPA」を用いて確認した。
【0066】
得られた試料について、軟化点、熱膨張係数、焼成温度、焼成後のガラス膜厚、550nmにおける分光透過率、ガラス膜中に残存する直径30μm以上の大泡の個数、及びAg電極との反応による黄変の有無を評価した。結果を各表に示す。
【0067】
表から明らかなように、本発明の実施例であるNo.13、14の各試料がAg電極との反応による黄変が認められなかったのに対し、比較例であるNo.15、16の試料はCuOを含有していないために黄変が発生した。またNo.17は、微塵泡が多量に発生しており、透過率が低かった。
【0068】
なおガラスの軟化点はマクロ型示差熱分析計を用いて測定し、第一の変曲点の値を転移点、第四の変曲点の値を軟化点とした。熱膨張係数は、各試料を粉末プレス成型し、焼成した後、直径4mm、長さ40mmの円柱状に研磨加工し、JIS R3102に基づいて測定した後、30〜300℃の温度範囲における値を求めた。ガラス膜厚、大泡数、及びAg電極との反応による黄変の有無は次のようにして測定した。まず各試料をエチルセルロースの5%ターピネオール溶液に混合し、3本ロールミルにて混練してペースト化した。次いでこのペーストを、約30μmのガラス膜が得られるように、1.7mm厚のソーダライムガラス板上にスクリーン印刷法で塗布し、電気炉に入れた後、焼成温度で10分間保持した。このようにして得られたガラス膜について、デジタルマイクロメータにて膜厚を確認した。大泡の個数は、焼成されたガラス膜の表面を実体顕微鏡(30倍)にて観察し、3×4cmの範囲の30μm以上の大泡をカウントした。また黄変の有無は、ガラス膜の表面の色調を目視にて観察した。透過率測定は、ガラス膜の形成されたガラス板を試料側にセットし、分光光度計の積分球を用いて550nmにおける透過率を測定した。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプラズマディスプレーパネル用材料は、Ag電極との反応による黄変が生じにくいため、透過率の高い誘電体層を形成することができる。
【0070】
それゆえ、特にプラズマディスプレーパネルの透明誘電体層の形成材料として好適である。
Claims (11)
- ガラス粉末を構成成分として含み、プラズマディスプレーパネルの誘電体層の形成に用いられるプラズマディスプレーパネル用材料であって、ガラス粉末がCuOを含有するガラスからなり、前記ガラスが重量百分率で、B 2O3 26〜60%、ZnO 15〜50%、SiO2 0〜30%、Al2O3 0〜10%、K2O 5〜20%、Na2O+Li2O 0〜10%、CaO+BaO 0〜15%、CuO 0.01〜20%の組成を有するガラスからなることを特徴とするプラズマディスプレーパネル用材料。
- さらにセラミック粉末を含むことを特徴とする請求項1のプラズマディスプレーパネル用材料。
- ガラス粉末90〜100重量%、セラミック粉末0〜10重量%であることを特徴とする請求項2のプラズマディスプレーパネル用材料。
- Ag電極が形成された前面ガラス基板の透明誘電体の形成に用いられる材料であることを特徴とする請求項1〜3の何れかのプラズマディスプレーパネル用材料。
- 請求項1〜4の何れかのプラズマディスプレーパネル用材料を含むことを特徴とするペースト。
- さらに樹脂、可塑剤、溶剤を含むことを特徴とする請求項5のペースト。
- 請求項1〜4の何れかのプラズマディスプレーパネル用材料を含むことを特徴とするグリーンシート。
- さらに樹脂、可塑剤を含むことを特徴とする請求項7のグリーンシート。
- プラズマディスプレーパネル用材料を用いて誘電体層を形成する方法であって、重量百分率で、B 2O3 26〜60%、ZnO 15〜50%、SiO2 0〜30%、Al2O3 0〜10%、K2O 5〜20%、Na2O+Li2O 0〜10%、CaO+BaO 0〜15%、CuO 0.01〜20%の組成を有するCuO含有ガラスからなるガラス粉末を含むプラズマディスプレーパネル用材料を用いてペーストを作製し、予め電極が形成されたガラス板上に塗布した後、焼成することを特徴とする誘電体層の形成方法。
- プラズマディスプレーパネル用材料を用いて誘電体層を形成する方法であって、重量百分率で、B 2O3 26〜60%、ZnO 15〜50%、SiO2 0〜30%、Al2O3 0〜10%、K2O 5〜20%、Na2O+Li2O 0〜10%、CaO+BaO 0〜15%、CuO 0.01〜20%の組成を有するCuO含有ガラスからなるガラス粉末を含むプラズマディスプレーパネル用材料を用いてグリーンシートを作製し、予め電極が形成されたガラス板上に熱圧着した後、焼成することを特徴とする誘電体層の形成方法。
- プラズマディスプレーパネルの誘電体層の形成に用いられるプラズマディスプレーパネル用ガラス粉末であって、CuOを含有するガラスからなり、前記ガラスが重量百分率で、B 2O3 26〜60%、ZnO 15〜50%、SiO2 0〜30%、Al2O3 0〜10%、K2O 5〜20%、Na2O+Li2O 0〜10%、CaO+BaO 0〜15%、CuO 0.01〜20%の組成を有するガラスからなることを特徴とするプラズマディスプレーパネル用ガラス粉末。
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