JP5517793B2 - サーキュレータおよびサーキュレータシステム - Google Patents

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Description

この発明は、設置空間内の空気を搬送、攪拌および任意方向に送風するサーキュレータと、複数のサーキュレータを連動動作させるサーキュレータシステムに関するものである。
冷暖房機器の稼動中、冷房時に冷気が下方に溜まることで足下が冷えたり、暖房時に暖気が上方に集中することで頭のみ暑かったり、等といった不快な空気質状況が多く見られる(空調による温度ムラ)。また冬場の窓や屋根裏からの日射による暖気は、天井や吹き抜けの上部に溜まりやすく(自然エネルギによる温度ムラ)、広い空間の中央部は空気が汚れてよどみやすい状況になりやすい(空気循環の滞りによるよどみ)。こうした不均一な空気質状況には、空気の攪拌が必要である。
また近年、できるだけ冷暖房機器の負荷を軽減し、日射や通風、北側の涼気といった自然エネルギを活用することで、快適性を損なわず、省エネルギを実現しようという動きが出てきている。
それにより、室内空気の攪拌をサーキュレータまたは扇風機等で行うことが増えているが、ほとんどが床面据え置き型であり、設置スペースが必要な状況である(例えば、特許文献1参照)。
そこで、従来は、偏った空気の攪拌を扇風機や床置きサーキュレータを用いて行う構成にしていた。但し一定の方向にしか向けられず、うまく空気の攪拌ができていないことが多かった。また窓を開けて空気の循環を行い、日射エネルギを調整するため、カーテンやブラインドの開閉などを行っているが、天候や屋外環境によって、自然エネルギをうまく活用できないことも多く、うまく活用するための機器も今まではなかった。
さらに、スペースの有効活用のために、冷暖房および換気した空気の搬送を大がかりな設置施工が必要な天井裏の配管ダクトを介して行う構成にしたり、天井固定設置型の搬送ファン(例えば、特許文献2参照/業務用の大型固定エア搬送ファン等)を用いて行う構成にしたりしていた。
特開平3−267598号公報 特開平1−168316号公報
従来の特許文献1に係る送風装置は、床面据え置き型のため、床面や卓上に設置場所を取るという課題があった。また、従来のような配管ダクト及び送風装置を設置するには、天井裏や床下に本体や配管ダクトの設置場所が必要なことから、施工が大掛かりになったり、場所によっては設置が困難になったりと、設置場所に制約があった。
さらに、従来の特許文献1,2に係る送風装置は、送風口から吹き出す風の向きを、上下または左右のいずれか一方の方向にしか変更できないため、設置空間内の空気質状況に応じた適切な方向への送風ができない場合があるという課題および、室内環境によっては、家具や調度品、OA機器等の設置により送風を遮られてしまう課題もあった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、設置が容易で場所をとらず、かつ、周囲360度の全方向に送風可能なサーキュレータおよびサーキュレータシステムを提供することを目的とする。
この発明に係るサーキュレータは、2つのラインフローファンを収容し、気流を発生させて送風部から吹き出す送風本体部と、設置空間の天井面に取り付いて、送風本体部を保持する取付け部と、送風本体部を周囲360度の全方向に回転させる回転軸部とを備え、回転軸部は、取付け部から送風本体部の方向を第1軸として、当該第1軸を中心にして送風本体部を回転自在に支持する第1軸回転部と、第1軸回転部に連結して一体的に回転すると共に、第1軸と直交する方向の第2軸を中心にして送風本体部を回転自在に支持する第2軸回転部とを有し、回転軸部を制御して、送風本体部を所定方向に向けて送風させる制御部を備えることを特徴とするものである。
この発明に係るサーキュレータシステムは、2つのラインフローファンを収容し、気流を発生させて送風部から吹き出す送風本体部と、設置空間の天井面に取り付いて、送風本体部を保持する取付け部と、送風本体部を周囲360度の全方向に回転させる回転軸部とを有するサーキュレータと、複数のサーキュレータを制御して連動動作させ、複数のサーキュレータの回転軸部を制御し、所定方向に向けて送風させるメイン制御部とを備え、複数のサーキュレータの各回転軸部は、取付け部から送風本体部の方向を第1軸として、当該第1軸を中心にして送風本体部を回転自在に支持する第1軸回転部と、第1軸回転部に連結して一体的に回転すると共に、第1軸と直交する方向の第2軸を中心にして送風本体部を回転自在に支持する第2軸回転部とを有することを特徴とするものである。
この発明によれば、設置空間の天井面に取付けて、送風本体部が周囲360度の全方向に回転するようにしたので、設置が容易で場所をとらず、かつ、周囲360度の全方向に送風可能なサーキュレータを提供することができる。
この発明によれば、各サーキュレータを設置空間の天井面に取付けて周囲360度の全方向に回転するようにし、メイン制御部に各サーキュレータを連動動作させるようにしたので、設置が容易で場所をとらず、かつ、周囲360度の全方向に送風可能なサーキュレータシステムを提供することができる。
この発明の実施の形態1に係るサーキュレータの内部構成の概略を示す斜視図である。 図1に示すサーキュレータの外観斜視図である。 サーキュレータの水平送風動作を示す図であり、図3(a)は側面図、図3(b)は外観斜視図である。 サーキュレータの斜め下送風動作を示す図であり、図4(a)は側面図、図4(b)は外観斜視図である。 サーキュレータの真下送風動作を示す図であり、図5(a)は側面図、図5(b)は外観斜視図である。 サーキュレータの真上送風動作を示す図であり、図6(a)は側面図、図6(b)は外観斜視図である。 サーキュレータの左右方向180度回転動作を示す上面図である。 サーキュレータの左右方向90度回転動作を示す上面図である。 サーキュレータの左右方向45度回転動作を示す上面図である。 サーキュレータの空気搬送動作を説明する側面図であり、図10(a)は動作前、図10(b)は動作中の状態を示す。 サーキュレータの空気搬送動作の他の例を説明する側面図であり、図11(a)は夏場、図11(b)は秋冬の状態を示す。 サーキュレータの空気攪拌動作を説明する側面図であり、図12(a)は動作前、図12(b)は動作中を示す。 サーキュレータの可変送風動作を説明する側面図である。 サーキュレータの可変送風動作の他の例を説明する上面図である。 サーキュレータの可変送風動作の他の例を説明する上面図である。 サーキュレータの制御部の構成を示すブロック図である。 図16に示す優先目的判定条件格納部に格納された優先目的判定情報の一例を示す図である。 図16に示す設備・空間情報格納部に格納された設備・空間情報の一例を示す図である。 設置空間における窓、換気扇等の位置情報の例を説明する図である。 運転パタン判定条件格納部に格納された運転パタン判定情報の一例を示す図である。 運転パタン格納部に格納された、運転パタンに応じた運転制御情報の一例を示す図である。 実施の形態1に係るサーキュレータの動作を示すフローチャートである。 図22のフローチャートの続きであり、優先目的「埃っぽさの解消」の場合の動作を示す。 図22のフローチャートの続きであり、優先目的「暑さの解消」の場合の動作を示す。 図22のフローチャートの続きであり、優先目的「冷えの解消」の場合の動作を示す。 図22のフローチャートの続きであり、優先目的「温度分布の不均一の解消」の場合の動作を示す。 図22のフローチャートの続きであり、優先目的「冷暖房の風を搬送」の場合の動作を示す。 複数のサーキュレータの空気搬送連動動作を説明する側面図であり、図24(a)は動作前、図24(b)は動作中の状態を示す。 複数のサーキュレータの空気搬送連動動作または空気攪拌連動動作の他の例を説明する側面図であり、図25(a)は動作前、図25(b)は空気搬送連動動作中の状態、図25(c)は空気攪拌連動動作中の状態を示す。 複数のサーキュレータの空気攪拌連動動作を説明する側面図であり、図26(a),(b)は動作前、図26(c)は動作中の状態を示す。 複数のサーキュレータの可変送風連動動作の例を説明する上面図である。 複数のサーキュレータの可変送風連動動作の他の例を説明する上面図である。 実施の形態2に係るサーキュレータシステムの、メイン制御装置の構成を示すブロック図である。 本実施の形態2に係るサーキュレータシステムの動作を示すフローチャートである。 図30のフローチャートの続きであり、優先目的「埃っぽさの解消」の場合の動作を示す。 図30のフローチャートの続きであり、優先目的「暑さの解消」の場合の動作を示す。 図30のフローチャートの続きであり、優先目的「冷えの解消」の場合の動作を示す。 図30のフローチャートの続きであり、優先目的「温度分布の不均一の解消」の場合の動作を示す。 図30のフローチャートの続きであり、優先目的「冷暖房の風を搬送」の場合の動作を示す。
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1に係るサーキュレータ1の内部構成の概略を示す斜視図であり、図2にその外観斜視図を示す。サーキュレータ1は、2つのラインフローファン11,12を収容して送風をする送風本体部10と、天井面等の取付け面に取り付いて送風本体部10を保持する取付け部20と、送風本体部10を左右方向に回転させる左右回転部30とから構成される。本実施の形態1において取付け面をX−Y軸平面、および取付け面に対する重力方向をZ軸と仮定すると、上記左右回転部20はZ軸を左右回転の中心軸(以下、左右回転軸)にして送風本体部10を左右方向に回転させることとなる。
送風本体部10は、気流を発生するラインフローファン11,12と、これらラインフローファン11,12それぞれを駆動する送風用モータ13,14と、ラインフローファン11,12へ送風本体部10の外部から空気を取り込む給気部15(不図示)と、発生した気流を外部へ吹き出す送風部16と、左右回転部30の一端に連結して一体的に左右回転すると共に、送風本体部10を上下方向に回転させる上下回転部17とを有する。給気部15および送風部16は、送風本体部10を構成するケースに開設した開口部分に、適宜スリットおよびフィルタ等が設置されて成る。
上下回転部17は、本体回転用モータ18を有し、X−Y軸平面に平行な上下回転軸を中心にして送風本体部10を回転させて、給気部15および送風部16を上下方向に所定の角度回転させる。なお、図示例ではラインフローファンを用いるが、送風能力を向上させるためにプロペラファンを用いてもよい。また、送風用モータ13,14を送風本体部10の両端側に設ける構成であるが、1つまたは2つの送風用モータを中央側に設けてもよい。送風用モータ13,14の動作制御は、不図示の制御回路基板等を用いて行う。
左右回転部30は、左右回転軸の一端側を本体回転用モータ31に連結し、他端側に上下回転部17を連結する。本体回転用モータ31が左右回転軸を回転させて、送風本体部10の給気部15および送風部16を左右方向に所定の角度回転させる。
なお、左右回転軸は、取付け部20から送風本体部10の方向に平行な第1軸であり、上下回転軸は、第1軸と直交する方向の第2軸である。また、回転軸部は、上下回転部17および左右回転部30から構成される。
図1に示すように、サーキュレータ1は温度センサ41、よどみセンサ42、埃センサ43、人感センサ44といった検知部と、リモートコントローラ等の遠隔操作部(不図示)から出力される操作情報を受け付ける遠隔操作入力部45とを備える。
温度センサ41は、温度素子、赤外線センサ等で構成される温度検知部であり、サーキュレータ1が設置される空間の天井付近の温度、床面の温度等を検知する。よどみセンサ42は、COガスセンサ、においセンサ等で構成されるよどみ検知部であり、空気のよどみを検知する。埃センサ43は、投光素子、受光素子等で構成されるよどみ検知部であり、埃(粒子)濃度を検知する。人感センサ44は、温度センサ41と同一の赤外線センサ等で構成される人感検知部であり、人の居る方向を検知する。
さらに、サーキュレータ1は、本体回転モータ18,31を制御して上下左右の送風方向を調整すると共に、送風用モータ13,14を制御して送風量(風速)を調整するための制御回路基板等から構成される制御部50を有する。
次に、図3〜図6を用いて、サーキュレータ1の上下回転動作を説明する。
図3は、サーキュレータ1の水平送風動作を示す図であり、図3(a)は側面図、図3(b)は外観斜視図である。X−Y軸平面と平行な方向を水平0度とすると、上下回転部17が送風本体部10を上下回転軸を中心に回転させて、送風部16を水平0度に向ける。この状態のとき、サーキュレータ1は本体背面側の空気を給気部15から取り込んで、送風部16から本体正面方向へ送風する。
図4は、サーキュレータ1の斜め下送風動作を示す図であり、図4(a)は側面図、図4(b)は外観斜視図である。上下回転部17が送風本体部10を上下回転軸を中心に回転させて、送風部16を斜め下45度に向ける。この状態のとき、サーキュレータ1は本体背面側の斜め上方向の空気を給気部15から取り込んで、送風部16から本体正面側の斜め下方向へ送風する。
図5は、サーキュレータ1の真下送風動作を示す図であり、図5(a)は側面図、図5(b)は外観斜視図である。上下回転部17が送風本体部10を上下回転軸を中心に回転させて、送風部16を真下90度に向ける。この状態のとき、サーキュレータ1は本体略真上側の空気を給気部15から取り込んで、送風部16から本体真下方向へ送風する。
図6は、サーキュレータ1の真上送風動作を示す図であり、図6(a)は側面図、図6(b)は外観斜視図である。上下回転部17が送風本体部10を上下回転軸を中心に回転させて、送風部16を略真上270度に向ける。この状態のとき、サーキュレータ1は本体真下側の空気を給気部15から取り込んで、送風部16から本体略真上方向へ送風する。
なお、図示例では、給気部15と送風部16とが、上下回転軸を中心にして160度離れた送風本体部10表面の対向位置に形成されているが、これ以外の位置関係に形成してもよく、例えば180度離れた対向位置に形成してもよい。
次に、図7〜図9を用いて、サーキュレータ1の左右回転動作を説明する。
図7は、サーキュレータ1の左右方向180度回転動作を示す上面図である。図7(a)に示すサーキュレータ1の左右方向の角度位置を正面0度とすると、左右回転部30が送風本体部10を左右回転軸を中心に180度回転させて、図7(b)に示すように、送風部16を背面180度に向ける。なお、図示例では送風部16の上下方向は水平0度に固定されているが、左右方向と同時に上下方向を変更可能なことは言うまでもない。
図8は、サーキュレータ1の左右方向90度回転動作を示す上面図である。図8に破線で示す正面0度を向いた送風本体部10を、左右回転部30が左右回転軸を中心に反時計回りに90度回転させて正面90度を向ける。
図9は、サーキュレータ1の左右方向45度回転動作を示す上面図である。図9に破線で示す正面90度を向いた送風本体部10を、左右回転部30が左右回転軸を中心に反時計回りに45度回転させて正面135度を向ける。
このように、サーキュレータ1は、上下回転軸を中心にして水平0度から略真上270度まで時計回りおよび反時計回りに送風部16を無段階に回転させると共に、左右回転軸を中心にして正面0度から背面180度まで時計回りおよび反時計回りに送風部16を無段階に回転させることができる。よって、サーキュレータ1の周囲360度の全方向(上下左右斜め方向)に送風できる。
なお、上記説明では、上下回転部17の本体回転モータ18および左右回転部30の本体回転モータ31を用いた上下・左右の2軸回転により、送風部16を上下左右360度に向ける構成にしたが、回転制御方式はこれに限定されるものではなく、例えば取付け部20と送風本体部10を自在継手等で連結して、送風部16を周囲360度に向ける構成にしてもよい。
次に、サーキュレータ1の目的別の動作を説明する。サーキュレータ1の動作目的は、主に、(1)設置空間内のにおい、空気のよどみ、偏った温度の空気を搬送して快適性を向上させる空気搬送目的と、(2)偏った温度の空気を攪拌して設置空間内の空気温度を均一化する空気攪拌目的と、(3)任意の方向に送風する可変送風目的とがある。以下では、各目的別にサーキュレータ1の動作例を説明する。
(1)空気搬送目的
図10は、設置空間100に設置したサーキュレータ1の空気搬送動作を説明する図であり、図10(a)はサーキュレータ1の動作前の状態、図10(b)は動作中の状態を示す。図では、設置空間100の対向する一対の壁面に開放された窓101,102があり、天井103にはサーキュレータ1が設置されている。図10(a)において、設置空間100内の空気のよどみ、例えば人の呼気を表すCOガス濃度をよどみセンサ42で検知すると、制御部50が送風本体部10の上下左右方向の回転を制御して、図10(b)に示すように送風部16が窓102の方向を向いて水平0度になるように調整する。調整されたサーキュレータ1は、給気部15が窓101の方向から新鮮な空気を設置空間100内に搬送すると共に、送風部16が窓102の方向へ空気のよどみを搬送して排出し、設置空間100の快適性を向上させる。
なお、空気の給気および搬送先は、窓101,102に限定されるものではなく、設置空間100と外部を連通する開口部であればよく、窓の他にドア、換気扇等であってもよい。また、空気搬送動作は、よどみセンサ42で検知するよどんだ空気の搬送の他、温度センサ41で検知する偏った温度の空気の搬送、埃センサ43で検知する埃っぽい空気の搬送、または空調機器からの送風空気が届かない場所への当該空気の搬送等に適用できる。
図11は、設置空間100に設置したサーキュレータ1の空気搬送動作の他の例を説明する図である。図では、設置空間100に南向きの窓101および北向きの窓102がある。夏場、図11(a)に示すように日射が少ない北側の涼しい空気または北側の部屋に連通する窓102を温度センサ41で検知して、制御部50が送風本体部10の上下左右方向の回転を制御して、北側から南側へ送風するように給気部15および送風部16の向きを調整する。一方、秋冬には、図11(b)に示すように日射の多い南側の暖かい空気または南側の部屋に連通する窓101を温度センサ41で検知して、制御部50が送風本体部10の上下左右方向の回転を制御して、南側から北側へ送風するように給気部15および送風部16の向きを調整する。
これにより、設置空間100の温度差をなくし、空調機器の冷暖房負荷を軽減できるので、省エネルギおよび環境配慮が可能となる。また、冬場のヒートショック対策にもなる。
なお、図11に示すサーキュレータ1の動作は、季節によって送風方向を可変にすれば、後述の(3)可変送風目的にも該当する。
このように、サーキュレータ1を家庭内に設置して空気搬送目的で動作させることにより、南向きの部屋の日射で暖まった空気、または暖房機器で暖められた空気を、北向きの部屋または暖房機器のない部屋へ搬送して空気の均一化を図ることができる。また、暖気を浴室および脱衣室へ搬送して、冷暖房機器のない空間の快適性向上および温度差によるヒートショックを和らげる効果も期待できる。また、夏場の帰宅時に、部屋にこもった熱気を換気扇、窓等に向って搬送すれば、風が通らない居住空間でも通風を維持し、空調負荷を軽減できる。また、就寝時に、冷房機器が設置できない部屋に、隣室の冷房機器の風を搬送すれば、冷房機器の冷気が直接人体に当たらず快適性が向上すると共に、冷房機器が設置できない空間の快適性向上効果も期待できる。
もちろん家庭内以外にもサーキュレータ1を設置してよく、例えば商業店舗、オフィス、業務用空間等にサーキュレータ1を設置しても同等の効果があることは言うまでもない。以下の(2),(3)も同様である。
(2)空気攪拌目的
図12は、設置空間100に設置したサーキュレータ1の空気攪拌動作を説明する図であり、図12(a)はサーキュレータ1の動作前の状態、図12(b)は動作中の状態を示す。この例では空調機器104が暖房運転中とする。図12(a)において、設置空間100は上下に温度の偏った空気を温度センサ41で検知すると、制御部50が送風本体部10の上下左右方向の回転を制御して、図12(b)に示すように給気部15を略真上側に向け、送風部16を真下90度に調整する。調整されたサーキュレータ1は、天井103付近に溜まった暖気を吹き下ろして、設置空間100内の空気を攪拌し、空気温度を均一化する。これにより、空調機器104の空調負荷を軽減させると共に快適性を向上させる。
なお、空調機器104が冷房運転中で、設置空間100の床付近に冷気が溜まっている場合には、給気部15を真下側に向け、送風部16を略真上270度に調整して、床付近に溜まった冷気を上に吹き上げることもできる。これにより、上記同様に設置空間100内の空気を攪拌し、空気温度を均一化して、空調機器104の空調負荷を軽減させると共に快適性を向上させる。
このように、サーキュレータ1を家庭内に設置して空気攪拌目的で動作させることにより、夏場の冷房時に足下ばかりが冷えてリビング等の広い空間の空調が不均一の場合に、床面にむけて送風することで足下の冷気を攪拌させ、部屋全体を均一温度にして、足下の冷えを軽減して、快適性を向上させることができる。また、冬場の暖房時に天井に溜まりがちな暖かい空気を床面に向って吹き下ろすことで足下まで暖かな暖房を実現でき、無駄な暖房機器の運転を軽減しつつ、快適性を向上させることができる。
(3)可変送風目的
図13は、設置空間100に設置したサーキュレータ1の可変送風動作を説明する図である。図において、設置空間100内にいる人105を人感センサ44で検知すると、制御部50が送風本体部10の上下左右方向の回転を制御して、人105に向けて送風する「風当てモード」の設定がされている場合には人105の方向へ送風部16の向きを調整する。また、人105を避けて送風する「人よけモード」の設定がされている場合には人105を避けてその周辺へ送風部16の向きを調整する。「風当てモード」および「人よけモード」の詳細は後述する。
このように、制御部50に設定されたモード、各種センサで検知する室内環境等によって自由に送風方向を変更して、多様な使い方をすることもできる。図13のようにサーキュレータ1を「風当てモード」でスポット的に使用すると、人の居場所に追随して送風するので風の涼感および爽快感を得ることができると共に、従来のような据え置き型の扇風機の代用が可能となり、かつ、天井103に設置するので床面の設置スペースが不要となり空間の有効活用につながる。また、ドラフト感を嫌う人であれば、「人よけモード」で周辺に送風するので周辺の熱気を排除することができる。
図14は、設置空間106に設置したサーキュレータ1の可変送風動作の他の例を説明する上面図である。図において、床面がL字の設置空間106の一端側に空調機器104が設置されている場合、L字の折れ曲がった先の空間(図中に破線で囲う)には空調機器104の風が届かない。そこで、L字の折れ曲がり位置にサーキュレータ1を設置して、空調機器104の風をその先へ中継する。
また、図15は、設置空間107に設置したサーキュレータ1の可変送風動作の他の例を説明する上面図である。図において、横長で距離のある設置空間107の一端側に空調機器104が設置されている場合、他端側の空間(図中に破線で囲う)には空調機器104の風が届かない。そこで、空調機器104の風が届く位置にサーキュレータ1を設置して、空調機器104の風を他端側へ中継する。
このように、サーキュレータ1を家庭内に設置して可変送風目的で動作させることにより、夏場の風呂上りおよび帰宅後等に暑さを和らげるために、扇風機代わりにスポット的に使用することができる。また、夏/冬に、冷暖房機器のないリビング隣の和室、冷暖房機器の風が届かない変形リビング等に向けて、冷風/温風が届くように送風することができる。また、L字、台形、吹き抜け等の、空調機器の風が届かない距離および場所にも中継用の空調機器として活用することもできる。
次に、制御部50の制御方法の具体例を説明する。
図16は、制御部50の構成を示すブロック図である。制御部50は、センサ出力情報取得部51と、優先目的判定条件格納部52と、優先目的判定部53と、設備・空間情報格納部54と、運転パタン判定条件格納部55と、運転パタン格納部56と、運転パタン判定部57と、運転制御部58と備える。
センサ出力情報取得部51は、温度センサ41が検知する設置空間の床面の温度、天井付近の温度等を含む温度環境情報と、よどみセンサ42が検知するCOガス濃度情報およびにおい情報と、埃センサ43が検知する埃濃度情報と、人感センサ44が検知する人の有無および人の位置を含む人感検知情報とを、各センサから取得する。
優先目的判定条件格納部52は、サーキュレータ1の動作目的の優先度を判定するための優先目的判定情報を格納する手段であり、この優先目的判定情報が予め設定されている。優先目的判定部53は、センサ出力情報取得部51から上述のセンサ出力情報が入力されると、センサ出力情報と後述する設備・空間情報格納部54に格納された空調機器の動作状態情報とに基づいて優先目的判定条件格納部52から優先目的を判定する。
図17は、優先目的判定条件格納部52に格納された優先目的判定情報の一例を示す図である。この例では、優先目的の判定条件1〜6の6種類があり、優先目的判定部53がよどみセンサ42のセンサ出力情報に基づいて例えば判定条件1の条件「空気中のCO濃度(またはにおいセンサで検知するにおい)が設定値よりも高い場合」に該当すると判定し、優先目的を「よどみの解消」に決定する。この「よどみの解消」の優先度は「1」であり、センサ出力情報に複数の優先目的が該当する場合に、それら優先目的の中で最も優先される。
また、優先目的判定部53は、埃センサ43の検知した埃濃度が設定値よりも高ければ、優先目的「埃っぽさの解消」を選択する。
また、優先目的判定部53は、温度センサ41の検知した天井付近の温度が設定温度以上であれば、優先目的「暑さの解消」を選択する。
また、優先目的判定部53は、空調機器の動作状態情報が冷房動作中を示すと共に温度センサ41の検知した床面付近の温度が設定温度以下であれば、優先目的「冷えの解消」を選択する。
また、優先目的判定部53は、空調機器の動作状態情報が暖房動作中を示すと共に温度センサ41の検知した天井付近と床面付近の温度差が許容範囲以上であれば、優先目的「温度分布の不均一解消」を選択する。
また、優先目的判定部53は、空調機器の動作状態情報が動作中を示す場合であって、例えば空間情報が「L字スペース」の設置空間であることを示す場合(図18)、温度センサ41が床面2箇所以上で検知した温度の差が許容範囲以上であれば、「距離が届かない」状況にあると判定して、優先目的「冷暖房の風を搬送」を選択する。
設備・空間情報格納部54は、サーキュレータ1が設置された設置空間の情報およびこの設置空間内に存在する設備機器の情報を格納する手段であり、これら設備・空間情報が予め設定されている。
図18は、設備・空間情報格納部54に格納された設備・空間情報の一例を示す図である。この例では、図17の判定条件6の条件「室内の一部に冷暖房の風が届いていない場合」に対応する、より詳細な判定条件として用いる設備情報が格納されており、風が届いているか否かを温度差から判定する。また、設置空間の大きさ、形状等の空間情報は、例えば遠隔操作部から遠隔操作入力部45を介して設備・空間情報格納部54に設定してもよいし、あるいは、赤外線センサ等で構成される空間認識センサ(空間認識部)を用いて、機器設置位置から床面や壁面の位置情報を認識することで、空間の広さをより正確に認識することも可能で、設置空間の大きさ、形状等を自動で認識してその情報を設備・空間情報格納部54に設定してもよい。
また、空間情報としては、例えば設置空間の窓、ドア、換気扇等の開口部の設置位置、他のサーキュレータ1の情報(詳細は実施の形態2で説明する)、他の設備機器(空調機器等)の設置位置等を示す位置情報がある。これらの位置情報は、予め設備・空間情報格納部54に設定されていてもよいし、リモコン等の遠隔操作部から遠隔操作入力部45を介して情報取得してもよい。あるいは、上述の空間認識センサを設けた場合には、窓等の位置も自動で認識してその位置情報を設備・空間情報格納部54に格納してもよい。
図19は、サーキュレータ1の設置空間における窓、換気扇等の位置情報の例を説明する図である。図において、サーキュレータ1の設置位置を直交するX,Y,Z軸の原点にして、窓等の位置を、X−Y軸平面上の方位角Hと、X−Y軸平面上の原点に対する仰俯角Aと、原点からの距離Dとで表現する。なお、図示例では、設置空間の側壁面に窓、換気扇等があるが、他の空調機器(エアコン、他の送風機)等があってもよいことは言うまでもない。
さらに、設備・空間情報格納部54は、他の設備機器(空調機器等)の動作状態を示す動作状態情報も格納する。空調機器の動作状態情報として、季節毎の冷暖房動作時間、即ちスケジュール運転の設定情報を、設備・空間情報格納部54に予め設定しておけばよい。または、動作判定手段(不図示)が、温度センサ41の検知する温度に基づいて冷暖房動作中か否かを判定して、設備・空間情報格納部54の動作状態情報を随時更新してもよい。あるいは、空調機器と有線または無線により通信する通信手段(不図示)が、直接、空調機器から動作状態情報を取得して、設備・空間情報格納部54の動作状態情報を随時更新してもよい。
さらに、設備・空間情報格納部54は、「風当てモード」と「人よけモード」の設定モード情報も格納する。設定モード情報は、例えば遠隔操作部から遠隔操作入力部45を介して設備・空間情報格納部54に設定される。
運転パタン判定条件格納部55は、サーキュレータ1の優先目的に応じた運転パタンを判定するための運転パタン判定情報を格納する手段であり、この運転パタン判定情報が予め設定されている。
図20は、運転パタン判定条件格納部55に格納された運転パタン判定情報の一例を示す図である。この例では、運転パタンの判定条件1〜6の6種類があり、例えば判定条件1として、図17の優先目的「よどみの解消」に応じた、設備・空間条件および設定モードの条件と、該当する運転パタンとが設定されている。
運転パタン格納部56は、運転パタンに応じたサーキュレータ1の具体的な運転制御に関する情報を格納する手段である。
図21は、運転パタン格納部56に格納された、運転パタンに応じた運転制御情報の一例を示す図である。この例では、図20の運転パタン1〜4に対応する4種類の運転制御情報があり、運転パタン毎に送風本体部10の上下左右方向の回転角度(送風方向)および風速の条件が設定されている。
運転パタン判定部57は、優先目的判定部53から優先目的が入力されると、その優先目的に対応する運転パタンを運転パタン格納部56から選択し、その運転パタンの具体的な運転制御情報を運転パタン格納部56に従って決定し、運転制御部58へ出力する。運転制御部58は、運転パタン判定部57から運転パタンの運転制御情報が入力されると、設備・空間情報格納部54の設備・空間情報に基づいて、送風用モータ13,14および本体回転モータ18,31を制御する。
例えば、優先目的判定部53から優先目的「よどみの解消(優先度1)」が入力されると、運転パタン判定部57は運転パタン格納部56から「運転パタン1」を選択する。また、運転パタン判定部57は、優先目的「暑さの解消(優先度4)」が入力されると、設備・空間情報格納部54に格納された設定モード情報が「風当てモード」なら「運転パタン3」を選択し、「人よけモード」なら「運転パタン4」を選択する。
例えば運転パタン1を選択すると、運転パタン判定部57は続いて設備・空間情報格納部54から窓、換気扇といった送風対象物の位置情報を取得して、送風部16の上下左右方向と風速を決定して運転制御情報を生成し、運転制御部58に出力する。
このとき、運転パタン判定部57は、左右回転部30の本体回転モータ31の左右方向の回転角度は送風対象物の方位角Hから決定し、上下回転部17の本体回転モータ18の上下方向の回転角度は送風対象物の仰俯角Aから決定する。また、送風部16の可能送風範囲は、風速1.5m/s等の固定値にして固定範囲内に送風してもよいし、窓等の距離Dに応じて風速を多段階に可変制御して任意範囲内に送風するようにしてもよい。なお、空調機器の風を届かない場所へ搬送する場合には、その届かない場所の方向を向いて送風するようにする。
運転制御部58は、この運転制御情報に従って本体回転モータ18,31および送風用モータ13,14を制御し、送風部16を窓、換気扇等の方向に向けて、送風させる。
各運転パタンの詳細を、図22および図23A〜図23Eのフローチャートを用いて説明する。
図22に示すように、サーキュレータ1が運転を開始すると、ステップST1において温度センサ41、よどみセンサ42、埃センサ43、人感センサ44も検知動作を開始してセンサ出力情報を出力する。
ステップST2において、センサ出力情報取得部51がセンサ出力情報を取得して、優先目的判定部53が設置空間の空気質状態を解析する。ステップST3において、優先目的判定部53が、優先目的判定条件格納部52および設備・空間情報格納部54の中から、解析結果の空気質状態および空調機器等の動作状態に該当する判定条件の優先目的を選択する。
優先目的「よどみの解消」が選択されると(ステップST3“よどみの解消”)、続くステップST4において運転パタン判定部57が「運転パタン1」を選択し、続くステップST5において運転制御部58が送風本体部10の上下左右方向を制御して、例えば図10に示すように、よどんだ空気を窓、換気扇等へ搬送して排出させる。
これにより、通常の24時間連続運転タイプの換気扇等では除去できないよどんだ空気を、窓、換気扇等の開口部へ搬送して手早く解消することができる。
優先目的「埃っぽさの解消」が選択されると(ステップST3“埃っぽさの解消”)、図23Aに示すステップST4aにおいて運転パタン判定部57が「運転パタン1」を選択し、続くステップST5aにおいて運転制御部58が送風本体部10の上下左右方向を制御して、埃っぽい空気を窓、換気扇等へ搬送して排出させる。
これにより、通常の24時間連続運転タイプの換気扇等では除去できない埃っぽい空気を、窓、換気扇等の開口部へ搬送して手早く解消することができる。
優先目的「暑さの解消」が選択されると(ステップST3“暑さの解消”)、図23Bに示すステップST4bにおいて運転パタン判定部57が人感検知情報に基づいて設置空間内の人の有無を判定する。人がいて、かつ、「風当てモード」が設定されている場合(ステップST4b“YES”)、続くステップST5bにおいて運転パタン判定部57は「運転パタン3」を選択する。続くステップST6bにおいて、運転制御部58が、人感センサ44が検知する人のいる方向に送風部16が追随するように送風本体部10の上下左右方向を制御して、例えば図13に示すように、人のいる方向へ送風する。
これにより、人の居場所に合わせてスポット的に送風して、風の涼感、爽快感を手早く得ることができる。また、冷房機器を作動させずにすむため、省エネルギ化を図ることもできる。
一方、人がいないか、または「人よけモード」が設定されているかの少なくとも一方の場合(ステップST4b“NO”)、続くステップST7bにおいて運転パタン判定部57は「運転パタン4」を選択する。続くステップST8bにおいて、運転制御部58が、人のいない場所、または窓、換気扇等に送風部16が向くように送風本体部10の上下左右方向を制御して、人のいない方向へスポット的に送風するか、窓、換気扇等へ送風して熱気を排出させる。
これにより、通常の24時間連続運転タイプの換気扇等では早急に除去できない熱気を、窓、換気扇等の開口部へ搬送して手早く解消することができる。
優先目的「冷えの解消」が選択されると(ステップST3“冷えの解消”)、図23Cに示すステップST4cにおいて運転パタン判定部57が「運転パタン2」を選択し、続くステップST5cにおいて運転制御部58が送風本体部10の上下左右方向を制御して、例えば図12に示すように、床付近に溜まった冷気を吹き上げて、窓、換気扇等へ搬送して排出させる。
これにより、夏場に冷房機器が効いて足下が寒く、頭上が暑い状態の不均一な上下方向の温度差を改善し、快適性を向上できる。この結果、冷暖機器の負荷を低減して消費電力を抑え、省エネルギ化を図ることができる。
優先目的「温度分布の不均一の解消」が選択されると(ステップST3“温度分布の不均一の解消”)、図23Dに示すステップST4dにおいて運転パタン判定部57が「運転パタン2」を選択する。続くステップST5dにおいて運転制御部58が人感検知情報に基づいて設置空間内の人の有無を判定する。運転制御部58は、人がいる場合(ステップST5d“YES”)、続くステップST6dにおいて人感センサ44が検知する人のいない方向、かつ、真下90度の方向に送風部16が向くように送風本体部10の上下左右方向を制御して送風し、天井付近に溜まった暖気を吹き下ろして空気を攪拌する。
一方、人がいない場合(ステップST5d“NO”)、運転制御部58は続くステップST7dにおいて送風部16が真下90度の方向に向くように送風本体部10の上下左右方向を制御して送風し、天井付近に溜まった暖気を吹き下ろして空気を攪拌する。
これにより、冬場に暖房機器の暖気が上側にのぼり、人のいる下側が一向に温まらない状態の不均一な上下方向の温度差を改善し、快適性を向上できる。この結果、暖房機器の負荷を低減して消費電力を抑え、省エネルギ化を図ることができる。
優先目的「冷暖房の風を搬送」が選択されると(ステップST3“冷暖房の風を搬送”)、図23Eに示すステップST4eにおいて運転パタン判定部57が「運転パタン1」を選択する。続くステップST5eにおいて運転制御部58が設備・空間情報格納部54の設備・空間情報および温度センサ41の検知する温度環境情報に基づいて空調機器の風が届いていない場所を決定し、その場所に送風部16が向くように送風本体部10の上下左右方向を制御して、例えば図14、図15に示すように送風する。
これにより、冷暖房機器の送風距離が届かない位置へ、当該冷暖房機器の風を中継して送風することができるようになり、冷暖房機器の設置不可能な場所でも、快適な温度調整された空気を送風可能となる。
なお、図22に示すステップST3において、解析結果の空気質状態に該当する判定条件の優先目的が複数ある場合には、制御部50は優先度の最も高い優先目的について先ずその後の処理を行って、その後に、次に優先度の高い優先目的についてその後の処理を行うか、改めてステップST1から処理を開始すればよい。
また、上述した各優先目的に対する運転パタン(と運転制御情報)は例示であり、サーキュレータ1はこれ以外の動作を行って優先目的を解消してもよい。
以上より、実施の形態1によれば、サーキュレータ1を、給気部15から給気して気流を発生させ、送風部16から吹き出す送風本体部10と、設置空間の天井面に取り付いて送風本体部10を保持する取付け部20と、送風本体部10を周囲360度の全方向に回転させる上下回転部17および左右回転部30とを備えるように構成したので、設置が容易で場所をとらず、かつ、周囲360度の全方向に空気の搬送、攪拌、可変送風ができる。
なお、上記実施の形態1のサーキュレータ1は、温度センサ41、よどみセンサ42、埃センサ43、人感センサ44を備える構成であったが、全てのセンサを備える必要はなく、少なくとも1種類以上のセンサを備え、そのセンサ出力情報に応じた送風動作のみを行う構成であってもよい。
また、空気質を検知するためのセンサは、温度センサ、COガス濃度センサ、においセンサ、埃センサに限定されるものではなく、この他にも例えば湿度センサを用いるようにしてもよい。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、1つのサーキュレータ1を設置空間に設置して動作させる例を説明したが、本実施の形態2では複数のサーキュレータ1を連動させる例を説明する。複数のサーキュレータ1を連動させる場合にも、その動作目的は上記実施の形態1と同様、主に、(1’)連動空気搬送目的、(2’)連動空気攪拌目的、(3’)連動可変送風目的がある。以下では、各目的別にサーキュレータ1の連動動作例を説明する。なお、以下に示す図24〜図28において図1〜図13と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
(1’)連動空気搬送目的
図24は、設置空間100に設置した複数のサーキュレータ1の空気搬送連動動作を説明する図であり、図24(a)はサーキュレータ1a〜1dの動作前の状態、図24(b)は動作中の状態を示す。なお、複数のサーキュレータを区別するためにサーキュレータ1a〜1dと称すが、それぞれは図1のサーキュレータ1と同一構成である。
図24(a)において、設置空間100内のサーキュレータ1a,1bそれぞれのよどみセンサ42a,42bが空気のよどみを検知すると、制御部50a〜50dが送風本体部10a〜10dそれぞれの上下左右方向の回転を制御して、送風部16a〜16dが窓102の方向を向いて水平0度になるよう調整する。調整された各サーキュレータ1a〜1dは、図24(b)に示すように窓101の方向から新鮮な空気を設置空間100内に搬送すると共に、窓102の方向へ空気のよどみを搬送して排出する。
なお、上記実施の形態1と同様、空気の給気および搬送先は、窓101,102に限定されるものではなく、設置空間100と外部を連通するドア、換気扇等であってもよい。また、空気搬送連動動作は、よどみセンサ42a〜42dで検知するよどんだ空気の搬送の他、温度センサ41a〜41dで検知する偏った温度の空気の搬送、埃センサ43で検知する埃っぽい空気の搬送、または空調機器からの送風空気が届かない場所への当該空気の搬送等に適用できる。
図25は、設置空間100に設置した複数のサーキュレータ1の空気搬送連動動作の他の例を示す図であり、図25(a)はサーキュレータ1a〜1dの動作前の状態、図25(b)は動作中の状態を示す。夏場は、図25(a)に示すように南側の窓102周辺に熱気がたまりやすく、反対に、北側の窓101周辺は温度が低くなりやすい。設置空間100内のサーキュレータ1a,1dそれぞれの温度センサ41a,41dが所定範囲以上の温度差を検知すると、制御部50a〜50dが送風本体部10a〜10dそれぞれの上下左右方向の回転を制御して、図25(b)に示すように送風部16a〜16dが窓102の方向を向いて水平0度になるよう調整する。調整された各サーキュレータ1a〜1dは、図25(b)に示すように窓101の方向から窓102の方向へ空気搬送し、南側の窓102周辺の温度を下げて快適にすると共に熱気を窓102から排出する。
このように、複数のサーキュレータ1を空気搬送目的で連動動作させることにより、上記実施の形態1の(1)空気搬送目的と同様の効果がある。また、1つのサーキュレータ1では送風が届かないような、商業店舗、オフィス、業務用空間等の広い空間に本実施の形態2に係るサーキュレータシステムを設置して、連動空気搬送目的で動作させることにより、南に面した広いオフィスエリアの日射で暖まった空気、または暖房機器で暖められた空気を、北側のオフィスエリアに向けて搬送したり、広いオフィスエリア内で複数のサーキュレータ1を連動動作させて空気を任意方向に搬送したりすれば、広いエリアでの偏った暖気、天井部に溜まりやすい暖気を均一化できる。また、夏/冬に、店舗およびオフィス等の入口に近く温度が変わりやすいエリアへ向けて内部から冷気/暖気を搬送すれば、冷暖房機器のない空間の快適性向上効果が期待できる。また、冬に、老人介護施設および病院等の出入り口に近い温度が下がりやすいエリアへ向けて内部から暖気を搬送すれば、温度差によるヒートショックを和らげる効果が期待できる。さらに、人の多いオフィスおよび業務用空間等においても、よどんだ空気を窓、換気扇等に向けて搬送して換気することもできる。
(2’)連動空気攪拌目的
図26は、設置空間100に設置した複数のサーキュレータ1の空気攪拌連動動作を説明する図であり、図26(a)はサーキュレータ1a〜1dの動作前かつ空調機器104a,104bが暖房運転中の状態、図26(b)はサーキュレータ1a〜1dの動作前かつ空調機器104a,104bが冷房運転中の状態、図26(c)はサーキュレータ1a〜1dが動作中の状態を示す。図26(a),(b)において、設置空間100の上下に温度の偏った空気を温度センサ41a〜41dが検すると、制御部50a〜50dが送風本体部10a〜10dそれぞれの上下左右方向の回転を制御して、図26(c)に示すようにサーキュレータ1a,1cの送風部16a,16bを真下90度に調整し、給気部15a,15cを略真上側に向ける。また、サーキュレータ1b,1dの送風部16b,16dを略真上270度に調整し、給気部15b,15dを真下に向ける。これにより、サーキュレータ1a〜1dが、設置空間100内の空気を攪拌し、温度差をなくす。
また、図25(a)および図25(c)は、設置空間100に設置した複数のサーキュレータ1の空気攪拌連動動作の他の例を示す図であり、図25(c)はサーキュレータ1a〜1dの動作中の状態を示す。秋冬は、図25(a)に示すように日射の多い南向きの窓102周辺は暖かいが、窓101は北側に面して寒くなりがちである。設置空間100内のサーキュレータ1a,1dそれぞれの温度センサ41a,41dが所定範囲以上の温度差を検知すると、制御部50a〜50dが送風本体部10a〜10dそれぞれの上下左右方向の回転を制御して、図25(c)に示すようにサーキュレータ1aの送風部16aを略真上270度に調整し、給気部15aを真下側に向ける。また、サーキュレータ1b,1cの送風部16b,16cを水平0度に調整する。さらに、サーキュレータ1dの送風部16dを真下90度に調整し、給気部15dを略真上側に向ける。また、サーキュレータ1a〜1dを左右回転させて、送風部16a〜16dをそれぞれ窓102の方向に向ける。これにより、サーキュレータ1a〜1dが、床付近に溜まった冷気を吹き上げると共に天井103付近に溜まった暖気を吹き下して空気を攪拌し、設置空間100の温度差をなくす。
このように、複数のサーキュレータ1を空気攪拌目的で連動動作させることにより、上記実施の形態1の(2)空気攪拌目的と同様の効果がある。また、1つのサーキュレータ1では送風が届かないような広い空間に本実施の形態2に係るサーキュレータシステムを設置して、連動空気攪拌目的で動作させることにより、夏/冬、エリア内の容積が大きく冷暖房機器の風量が足りずに足下が冷える/頭上ばかりが暖まる場合に、エリア内の空気を攪拌させ、エリア全体を均一温度にできる。よって、夏場に足下の冷えを軽減して、快適性を向上させることができ、冬場に無駄な暖房機器の運転を軽減しつつ、快適性を向上させることができる。
(3’)連動可変送風目的
図27は、設置空間108に設置した複数のサーキュレータ1の可変送風連動動作の例を説明する上面図である。図において、床面がL字の設置空間108に2つの空調機器104a,104bが設置されている場合、L字の折れ曲がった先の空間等(図中に破線で囲う)には空調機器104a,104bの風が届かない。そこで、L字の折れ曲がり位置、空調機器104a,104bの間等に複数のサーキュレータ1a〜1dを設置して、空調機器104a,104dの風をその先へ中継する。
また、図28は、設置空間109に設置した複数のサーキュレータ1の可変送風連動動作の他の例を説明する上面図である。図において、通常のような直方体状ではなく変形した、例えば台形状の設置空間109に2つの空調機器104a,104bが設置されている場合、突出した空間(図中に破線で囲う)に空調機器104a,104bの風が届かない。そこで、空調機器104a,104bの風が届く位置にサーキュレータ1a,1bを設置して、空調機器104a,104bの風を突出した空間へ中継する。
このように、複数のサーキュレータ1を可変送風目的で連動動作させることにより、上記実施の形態1の(3)可変送風目的と同様の効果がある。また、1つのサーキュレータ1では送風が届かないような、商業店舗、オフィス、業務用空間等の広い空間に本実施の形態2に係るサーキュレータシステムを設置して、可変送風目的で動作させることにより、冷暖房機器がない部屋、冷暖房機器は室外機設置場所が無いため等の理由で設置できない部屋、冷房が効いていない部屋、省エネルギ実施により冷暖機器が作動しない温度帯である場合等に、扇風機代わりにスポット的に使用することができ、冷暖房機器動作時間を短くしたり、空調の効率を向上させたりして、省エネルギ化を図ることができる。また、夏/冬に、冷暖房機器のない廊下、冷暖房機器の風が届かないオフィスエリア等に向けて冷風/温風が届くように送風することができる。また、L字、台形、吹き抜け等の、空調機器の届かない距離および場所にも中継用の空調機器として活用することもできる。
以上のように、広い空間に複数のサーキュレータ1を取付けて動作させる場合であっても、各サーキュレータ1を天井面に設置するので、床面の設置スペースは不要であり、商業店舗、オフィス、業務用空間等の空間の有効活用につながる。
次に、複数のサーキュレータ1を連動動作させる場合の、制御部50の制御方法の具体例を説明する。
なお、複数のサーキュレータ1それぞれが制御部50を有しているが、連動動作させる場合は、そのうちの1つの制御部50をメイン制御部にし、その他の制御部50をメイン制御部からの制御指示に従って動作するサブ制御部にする。そのため、例えばサーキュレータ1に、単体使用モード(上記実施の形態1に相当する)、メイン制御モード、サブ制御モードの動作設定を切り替える切替手段を設けたり、あるいはサーキュレータ1とは別体のメイン制御装置を設け、各サーキュレータ1の制御部50をサブ制御部にしたりする。
以下では、メイン制御装置を用いて、4つのサーキュレータ1a〜1dを連動動作させる例を説明する。メイン制御装置と各サーキュレータ1a〜1dとは有線または無線により通信可能とする。
また、サーキュレータ1a〜1dの各制御部50a〜50dは、サブ制御モードに動作設定が切り替えられているものとする。サブ制御モードに設定された制御部50は、センサ出力情報を外部へ通信により送信すると共に、外部から通信により運転パタンと運転制御情報を受信して、運転制御部58がその運転制御情報に従って送風本体部10の上下左右方向を調整する。
図29は、メイン制御装置60の構成を示すブロック図である。なお、図29において図16と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。メイン制御装置60は各サーキュレータ1a〜1dと有線または無線により通信して、メイン制御装置60のセンサ出力情報取得部51がサーキュレータ1a〜1dからセンサ出力情報を取得する。また、運転制御指示部61が、各サーキュレータ1a〜1dの制御部50a〜50dへ、連動動作させるための運転制御情報を指示する。
メイン制御装置60が制御するサーキュレータ1a〜1dの連動動作を、図30および図31A〜図31Bのフローチャートを用いて説明する。
図30に示すように、メイン制御装置60が運転を開始すると、サーキュレータ1a〜1dに制御指示が出力されてそれぞれ運転開始となり、ステップST11において温度センサ41a〜41d、よどみセンサ42a〜42d、埃センサ43a〜43d、人感センサ44a〜44dも検知動作を開始して、センサ出力情報をメイン制御装置60へ出力する。
ステップST12において、メイン制御装置60のセンサ出力情報取得部51が、サーキュレータ1a〜1dのセンサ出力情報を取得して、優先目的判定部53が設置空間の空気質状態を解析すると共に空調機器等の動作状態を判定する。ステップST13において、メイン制御装置60の優先目的判定部53が、優先目的判定条件格納部52および設備・空間情報格納部54の中から、サーキュレータ1a〜1dそれぞれについて個別の優先目的を選択し、その中から所定条件を満たす優先目的を代表として決定する。
例えば、該当するサーキュレータ1a〜1dの数が最も多い個別優先目的を代表にしたり、優先度を重みにして各個別優先目的に該当するサーキュレータ1a〜1dの数の重み付け平均を求めて、平均値の最も高い個別優先目的を代表にしたりすればよい。
なお、ステップST11,ST12の処理を各サーキュレータ1a〜1dが個別に行って、メイン制御装置60へ個別の優先目的を出力し、ステップST13において、メイン制御装置60の優先目的判定部53が、受信した個別の優先目的の中から代表優先目的を決定するように構成してもよい。
代表優先目的「よどみの解消」が選択されると(ステップST13“よどみの解消”)、続くステップST14において、メイン制御装置60の優先目的判定部53が代表優先目的に該当する個別優先目的のサーキュレータ数が過半数以下か、過半数より多いかを判定する。
過半数以下の場合(ステップST14“YES”)、続くステップST15においてメイン制御装置60の運転パタン判定部57は該当サーキュレータに対して「運転パタン1」を選択し、続くステップST16において運転制御指示部61が該当サーキュレータの制御部50へ「運転パタン1」の具体的な運転制御情報を指示して動作させ、該当サーキュレータに、例えば非該当サーキュレータの方向からきれいな空気を搬送させる。
過半数より多い場合(ステップST14“NO”)、続くステップST17においてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が設置空間全体のよどみを解消する必要があると判断して全サーキュレータ1a〜1dに対して「運転パタン1」を選択し、続くステップST18において運転制御指示部61が全サーキュレータ1a〜1dの制御部50a〜50dへ「運転パタン1」の具体的な運転制御情報を指示して動作させ、例えば図24に示すようにサーキュレータ1a〜1dを同一の上下左右方向に連動させて、よどんだ空気を窓、換気扇等へ搬送して排出させる。
代表優先目的「埃っぽさの解消」が選択されると(ステップST13“埃っぽさの解消”)、図31Aに示すステップST14aにおいてメイン制御装置60の優先目的判定部53が代表優先目的に該当するサーキュレータ数が過半数以下か、過半数より多いかを判定する。
過半数以下の場合(ステップST14a“YES”)、続くステップST15aにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57は該当サーキュレータに対して「運転パタン1」を選択し、続くステップST16aにおいて運転制御指示部61が該当サーキュレータの制御部50へ「運転パタン1」の具体的な運転制御情報を指示して動作させ、該当サーキュレータに、例えば非該当のサーキュレータの方向からきれいな空気を搬送させる。
過半数より多い場合(ステップST14a“NO”)、続くステップST17aにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が設置空間全体の埃っぽさを解消する必要があると判断して全サーキュレータ1a〜1dに対して「運転パタン1」を選択し、続くステップST18aにおいて運転制御指示部61が全サーキュレータ1a〜1dの制御部50a〜50dへ「運転パタン1」の具体的な運転制御情報を指示して動作させ、埃っぽい空気を窓、換気扇等へ搬送して排出させる。
代表優先目的「暑さの解消」が選択されると(ステップST13“暑さの解消”)、図31Bに示すステップST14bにおいてメイン制御装置60の優先目的判定部53が代表優先目的に該当するサーキュレータ数が過半数以下か、過半数より多いかを判定する。
過半数以下の場合(ステップST14b“YES”)、続くステップST15bにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が人感検知情報に基づいて設置空間内の人の有無を判定する。人がいて、かつ「風当てモード」が設定されている場合(ステップST15b“YES”)、続くステップST16bにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が該当サーキュレータに対して「運転パタン3」を選択し、続くステップST17bにおいて運転制御指示部61が該当サーキュレータの制御部50へ「運転パタン3」の具体的な運転制御情報を指示して、該当サーキュレータの各送風部16を、人に追随するように送風させる。
一方、人がいないか、または「人よけモード」が設定されているかの少なくとも一方の場合(ステップST15b“NO”)、続くステップST18bにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が該当サーキュレータに対して「運転パタン4」を選択し、続くステップST19bにおいて運転制御指示部61が該当サーキュレータの制御部50へ「運転パタン4」の具体的な運転制御情報を指示して、該当サーキュレータの各送風部16を、人に風が当たらないように送風させる。
過半数より多い場合(ステップST14b“NO”)、続くステップST20bにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が設置空間全体の暑さを解消する必要があると判断して全サーキュレータ1a〜1dに対して「運転パタン1」を選択し、続くステップST21bにおいて運転制御指示部61が全サーキュレータ1a〜1dの制御部50a〜50dへ「運転パタン1」の具体的な運転制御情報を指示して動作させ、熱気を窓、換気扇等へ搬送して排出させる。
代表優先目的「冷えの解消」が選択されると(ステップST13“冷えの解消”)、図31Cに示すステップST14cにおいてメイン制御装置60の優先目的判定部53が代表優先目的に該当するサーキュレータ数が過半数以下か、過半数より多いかを判定する。
過半数以下の場合(ステップST14c“YES”)、続くステップST15cにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が該当サーキュレータに対して「運転パタン2」を選択し、続くステップST16cにおいて運転制御指示部61が該当サーキュレータの制御部50へ「運転パタン2」の具体的な運転制御情報を指示して、該当サーキュレータの各給気部15に床付近に溜まった冷気を吹き上げさせ、各送風部16に窓、換気扇等の方向に向けて送風させる。
過半数より多い場合(ステップST14c“NO”)、続くステップST17cにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が設置空間全体の床付近の冷えを解消する必要があると判断して全サーキュレータ1a〜1dに対して「運転パタン2」と「運転パタン1」を選択し、続くステップST18cにおいて運転制御指示部61は先ず全サーキュレータ1a〜1dの各制御部50a〜50dへ「運転パタン2」の具体的な運転制御情報を指示して動作させ、例えば図26に示すように、床付近に溜まった冷気を吹き上げさせる。運転制御指示部61は、続いてステップST19cにおいて各制御部50a〜50dへ「運転パタン1」の具体的な運転制御情報を指示して動作させ、ステップST18cで吹き上げた冷気を窓、換気扇等へ搬送して排出させる。
代表優先目的「温度分布の不均一解消」が選択されると(ステップST13“温度分布の不均一解消”)、図31Dに示すステップST14dにおいてメイン制御装置60の優先目的判定部53が代表優先目的に該当するサーキュレータ数が過半数以下か、過半数より多いかを判定する。
過半数以下の場合(ステップST14d“YES”)、続くステップST15dにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が人感検知情報に基づいて設置空間内の人の有無を判定する。メイン制御装置60の運転パタン判定部57は、人がいる場合(ステップST15d“YES”)、続くステップST16dにおいて該当サーキュレータに対して「運転パタン2」と「運転パタン4」を選択し、続くステップST17dにおいて運転制御指示部61が該当サーキュレータの制御部50へ「運転パタン2」または「運転パタン4」の具体的な運転制御情報を適宜指示して、該当サーキュレータの送風部16が天井付近に溜まった暖気を吹き下ろして空気を攪拌させる際に、人に風の当たらない方向に送風させる。
一方、人がいない場合(ステップST15d“NO”)、続くステップST18dにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が該当するサーキュレータに対して「運転パタン2」を選択し、続くステップST19dにおいて運転制御指示部61が該当サーキュレータの制御部50へ「運転パタン2」の具体的な運転制御情報を指示して、該当サーキュレータの送風部16に天井付近に溜まった暖気を吹き下ろさせて、空気を攪拌させる。
過半数より多い場合(ステップST14d“NO”)、続くステップST20dにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が設置空間全体の温度不均一を解消する必要があると判断して全サーキュレータ1a〜1dに対して「運転パタン2」と「運転パタン1」を選択し、続くステップST21dにおいて運転制御指示部61は先ず全サーキュレータ1a〜1dの各制御部50a〜50dへ「運転パタン2」の具体的な運転制御情報を指示して動作させ、例えば図26に示すように、天井付近に溜まった暖気を吹き下ろさせる。運転制御指示部61は、続いてステップST22dにおいて各制御部50a〜50dへ「運転パタン1」の具体的な運転制御情報を指示して動作させ、ステップST21dで吹き下ろした暖気を窓、換気扇等へ搬送して排出させる。
代表優先目的「冷暖房の風を搬送」が選択されると(ステップST13“冷暖房の風を搬送”)、図31Eに示すステップST14eにおいてメイン制御装置60の優先目的判定部53が代表優先目的に該当するサーキュレータ数が過半数以下か、過半数より多いかを判定する。
過半数以下の場合(ステップST14e“YES”)、続くステップST15eにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が該当サーキュレータに対して「運転パタン1」を選択し、続くステップST16eにおいて該当サーキュレータに対して「運転パタン1」の具体的な運転制御情報を指示して動作させ、冷暖房の風を届いていない方向へ送風させる。
過半数より多い場合(ステップST14e“NO”)、続くステップST17eにおいてメイン制御装置60の運転パタン判定部57が設置空間全体に冷暖房の風を搬送する必要があると判定して全サーキュレータ1a〜1dに対して「運転パタン1」を選択し、続くステップST18eにおいて運転制御指示部61が全サーキュレータ1a〜1dの各制御部50a〜50dへ「運転パタン1」の具体的な運転制御情報を指示して動作させ、例えば図27、図28に示すように、冷暖房の風を各サーキュレータ1a〜1dに中継させて、届いていない場所へ搬送させる。
なお、上記説明では、代表優先目的に該当するサーキュレータが過半数以下の場合に個別動作させる構成にしたが、これに限定されるものではなく、所定数以下の場合に個別動作させる構成にしてもよい。あるいは、該当するサーキュレータの組み合わせに応じた運転制御情報を指示して、該当するサーキュレータ同士で連動動作させる構成にしてもよい。
また、代表優先目的に該当するサーキュレータが過半数より多い場合に設置空間全体が例えばよどんでいると判断して全サーキュレータを連動動作させる構成にしたが、これに限定されるものではなく、所定数より多い場合に連動動作させる構成にしてもよい。あるいは、設置空間を複数の領域に分割して、領域毎にサーキュレータを連動動作させる構成にしてもよい。例えば、設置空間を複数の窓毎の領域に分割して、設置空間全体がよどんでいると判断した場合に、各領域のサーキュレータが各窓に向けてよどんだ空気を搬送するように連動動作する。
また、上記実施の形態2で説明したサーキュレータシステムは、サーキュレータ1a〜1dとメイン制御装置60とを備える構成であったが、これに限定されるものではなく、上述したように、メイン制御装置60に相当する機能を各サーキュレータ1a〜1dに設けておき、切替手段でサーキュレータ1a〜1dのうちのいずれか1つをメイン制御モードにして、メイン制御装置60を省略する構成であってもよい。
さらに、メイン制御装置60(またはサーキュレータ1のメイン制御モード)を用いた中央集中制御方式だけでなく、各サーキュレータ1による自律分散制御方式を適用することも可能である。
以上より、実施の形態2によれば、複数のサーキュレータ1と、これら複数のサーキュレータ1を制御して連動動作させるメイン制御装置60とを備えるサーキュレータシステムを構成するようにしたので、設置が容易で場所をとらず、かつ、周囲360度の全方向に空気の搬送、攪拌、可変送風ができる。
1 サーキュレータ、10 送風本体部、11,12 ラインフローファン、13,14 送風用モータ、15 給気部、16 送風部、17 上下回転部、18 本体回転用モータ、20 取付け部、30 左右回転部、31 本体回転用モータ、41 温度センサ、 42 よどみセンサ、43 埃センサ、44 人感センサ、45 遠隔操作入力部、50 制御部、51 センサ出力情報取得部、52 優先目的判定条件格納部、53 優先目的判定部、54 設備・空間情報格納部、55 運転パタン判定条件格納部、56 運転パタン格納部、57 運転パタン判定部、58 運転制御部、60 メイン制御装置、61 運転制御指示部、100,106,107,108,109 設置空間、101,102 窓、103 天井、104 空調機器、105 人、X,Y,Z 軸、H 方位角、A 仰俯角、D 距離。

Claims (18)

  1. 2つのラインフローファンを収容し、気流を発生させて送風部から吹き出す送風本体部と、
    設置空間の天井面に取り付いて、前記送風本体部を保持する取付け部と、
    前記送風本体部を周囲360度の全方向に回転させる回転軸部とを備え
    前記回転軸部は、
    前記取付け部から前記送風本体部の方向を第1軸として、当該第1軸を中心にして前記送風本体部を回転自在に支持する第1軸回転部と、
    前記第1軸回転部に連結して一体的に回転すると共に、前記第1軸と直交する方向の第2軸を中心にして前記送風本体部を回転自在に支持する第2軸回転部とを有し、
    前記回転軸部を制御して、前記送風本体部を所定方向に向けて送風させる制御部を備えることを特徴とするサーキュレータ。
  2. 設置空間の1箇所以上の温度を検知する温度検知部を備え、
    制御部は、前記設置空間の開口部の位置情報を用いて、前記温度検知部が検知した温度に基づいて回転軸部を制御して前記開口部の方向に空気を搬送させることを特徴とする請求項記載のサーキュレータ。
  3. 制御部は、温度検知部が検知した設置空間の異なる2箇所の温度の差に基づいて回転軸部を制御して、空気を攪拌させることを特徴とする請求項記載のサーキュレータ。
  4. 設置空間内の空気のよどみを検知するよどみ検知部を備え、
    制御部は、前記設置空間の開口部の位置情報を用いて、前記よどみ検知部がよどみを検知すると回転軸部を制御して前記開口部の方向に空気を搬送させることを請求項記載のサーキュレータ。
  5. よどみ検知部は、CO2ガス濃度、におい、および埃のうちの少なくともいずれか1つを検知することを特徴とする請求項記載のサーキュレータ。
  6. 設置空間内の人の位置を検知する人感検知部を備え、
    制御部は、前記人感検知部が検知した位置に基づいて回転軸部を制御して、前記人の方向に送風させることを特徴とする請求項記載のサーキュレータ。
  7. 制御部は、人感検知部が検知した位置に基づいて回転軸部を制御して、人の方向をさけて送風させることを特徴とする請求項記載のサーキュレータ。
  8. 空調機器の設置位置と当該空調機器の送風距離が届かない位置の間に設置して、当該空調機器の風を届かない位置へ送風することを特徴とする請求項1記載のサーキュレータ。
  9. 設置空間の形状および開口部の位置を認識して、位置情報として制御部へ出力する空間認識部を備えることを特徴とする請求項記載のサーキュレータ。
  10. 2つのラインフローファンを収容し、気流を発生させて送風部から吹き出す送風本体部と、設置空間の天井面に取り付いて、前記送風本体部を保持する取付け部と、前記送風本体部を周囲360度の全方向に回転させる回転軸部とを有するサーキュレータと、
    複数の前記サーキュレータを制御して連動動作させ、複数の前記サーキュレータの前記回転軸部を制御し、所定方向に向けて送風させるメイン制御部とを備え
    複数の前記サーキュレータの各回転軸部は、
    前記取付け部から前記送風本体部の方向を第1軸として、当該第1軸を中心にして前記送風本体部を回転自在に支持する第1軸回転部と、
    前記第1軸回転部に連結して一体的に回転すると共に、前記第1軸と直交する方向の第2軸を中心にして前記送風本体部を回転自在に支持する第2軸回転部とを有することを特徴とするサーキュレータシステム。
  11. 複数のサーキュレータは、設置空間の1箇所以上の温度を検知する温度検知部をそれぞれ有し、
    メイン制御部は、前記設置空間の開口部の位置情報を用いて、前記複数のサーキュレータの各温度検知部が検知した温度に基づいて前記複数のサーキュレータを連動制御して前記開口部の方向に空気を搬送させることを特徴とする請求項10記載のサーキュレータシステム。
  12. メイン制御部は、複数のサーキュレータの各温度検知部が検知した設置空間の異なる2箇所の温度の差に基づいて前記複数のサーキュレータを連動制御し、空気を攪拌させることを特徴とする請求項11記載のサーキュレータシステム。
  13. 複数のサーキュレータは、設置空間内の空気のよどみを検知するよどみ検知部をそれぞれ有し、
    メイン制御部は、前記設置空間の開口部の位置情報を用いて、前記複数のサーキュレータの各よどみ検知部の検知結果に基づいて前記複数のサーキュレータを連動制御して前記開口部の方向に空気を搬送させることを特徴とする請求項10記載のサーキュレータシステム。
  14. 複数のサーキュレータの各よどみ検知部は、CO2ガス濃度、におい、および埃のうちの少なくともいずれか1つを検知することを特徴とする請求項13記載のサーキュレータシステム。
  15. 複数のサーキュレータは、設置空間内の人の位置を検知する人感検知部をそれぞれ有し、
    メイン制御部は、前記複数のサーキュレータの各人感検知部の検知結果に基づいて前記複数のサーキュレータを連動制御し、前記人の方向に送風させることを特徴とする請求項10記載のサーキュレータシステム。
  16. メイン制御部は、複数のサーキュレータの各人感検知部の検知結果に基づいて複数のサーキュレータを連動制御し、人の方向をさけて送風することを特徴とする請求項15記載のサーキュレータシステム。
  17. 複数のサーキュレータそれぞれは、空調機器の設置位置と当該空調機器の送風距離が届かない位置の間に設置され、当該空調機器の風を届かない位置へ送風することを特徴とする請求項10記載のサーキュレータシステム。
  18. 複数のサーキュレータおよびメイン制御部のうちの少なくとも1つは、設置空間の形状および開口部の位置を認識して、位置情報として前記メイン制御部へ出力する空間認識部を有することを特徴とする請求項10記載のサーキュレータシステム。
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